JP2013143334A - 光電変換素子、光電変換素子モジュール、光電変換素子モジュールの製造方法、電子機器および建築物 - Google Patents

光電変換素子、光電変換素子モジュール、光電変換素子モジュールの製造方法、電子機器および建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池などの色素増感光電変換素子を用いた半透過型の光電変換素子モジュールの発電量を低コストにできる増加させることができる光電変換素子モジュールを提供する。
【解決手段】半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20は、互いに離れて配置された複数の色素増感光電変換素子10を有する。色素増感光電変換素子10は、透明導電性基板3の一方の主面に設けられた多孔質電極4と対極7との間に電解質層8を有する。透明導電性基板3の端面は光の透過率が90%以上となるように平滑化されている。互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の間の部分には、垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30を有する。
【選択図】図12

Description

本開示は、光電変換素子、光電変換素子モジュール、光電変換素子モジュールの製造方法、電子機器および建築物に関する。本開示は、より詳細には、例えば色素増感太陽電池モジュールに適用して好適な光電変換素子モジュールおよびその製造方法ならびに光電変換素子モジュールを用いる電子機器および建築物に関するものである。
太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換素子である太陽電池は太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて少なく、より一層の普及が期待されている。
従来より、太陽電池としては、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池および非晶質(アモルファス)シリコン系太陽電池が主に用いられている。
一方、1991年にグレッツェルらが提案した色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を得ることができ、しかも従来のシリコン系太陽電池とは異なり製造の際に大掛かりな装置を必要とせず、低コストで製造することができることなどにより注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この色素増感太陽電池は、一般的に、光増感色素を結合させた酸化チタンなどからなる多孔質電極と白金などからなる対極とを対向させ、それらの間に電解液からなる電解質層が充填された構造を有する。電解液としては、ヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化還元種を含む電解質を溶媒に溶解したものが多く用いられる。
ところで、一般的に、太陽電池の実際の使用においては複数の太陽電池を組み合わせた形態であるモジュールという単位で使用されることが一般的である。太陽電池モジュールは、例えば、建築物や電子機器などに装備し使用される。太陽電池モジュールの設置は、太陽電池の発電特性から、一般には、建築物の屋根の上などの直射日光が垂直に当たる場所などに限られていた。しかし、近年では、低照度および/または低入射角の光であっても発電特性に優れた太陽電池が登場しており、これにより、ビルディングの壁面、マンションなどのベランダなどに太陽電池モジュールを設置することが可能となってきている。このように設置される太陽電池モジュールは建材一体型と呼ばれている。
この建材一体型の太陽電池モジュールの中でも、近年では、太陽電池セルを透明なガラスで挟み込み、さらに、太陽電池セルと太陽電池セルとの間隔を広くとり、その間隔を光透過可能とした半透過型の太陽電池モジュールとして設置されることが多くなってきた。半透過型の太陽電池モジュールとすることで室内への採光が可能となるので、窓などの採光部などにも設置が可能となり広く普及が期待されている。図23Aに一般的な半透過型の太陽電池モジュールの一例である平面図を、図23Bに図23AのA−A線に沿っての断面図を示す。図23AおよびBに示すように、第1の透明板101と第2の透明板102に挟み込まれる形態で複数の太陽電池103が配置され、これらの太陽電池103が配線材104により互いに電気的に接続されている。互いに隣接する二つの太陽電池103の間には大きな隙間があるが、この隙間は光が透過可能に構成されており、この部分が採光部105となる。
また、一般的に、太陽電池モジュールの能力を表す指標として発電効率が挙げられる。これは単位面積当たりの発電電力を表すものである。このとき、一つのモジュールを構成するに際して、モジュール面積のうち発電に寄与する部分ができるだけ多い方が発電効率の向上を図る上では有利となる。
このため、発電に寄与しない領域である採光部105を有する半透過型の太陽電池モジュールは、採光部105を有しない一般的な太陽電池モジュールと比較して発電効率が小さい。特に、室内への採光量を増やすためにモジュール面のうちの採光部105の面積の割合を大きくすると、発電効率は著しく落ちることとなる。一方、発電効率を向上させるためにモジュール面のうちの太陽電池103の面積の割合を大きくすると、今度は室内への採光が十分ではなくなる。このように、従来においては、発電効率が太陽電池のモジュール面における発電量のみで決定されていたので、半透過型の太陽電池モジュールの光の透過率と発電効率とはトレードオフの関係が存在するという問題があった。また、一般的な太陽電池モジュールにおいても隣接する太陽電池同士をタブ線などで接続するので、隣接する太陽電池の間にはどうしても隙間が生じ、この隙間が発電無効領域となっていた。
また、建材一体型の太陽電池モジュールにあっては、建物の外壁面などに固定されて設置されるので、太陽光が時刻、季節、天候などにより光量や入射角が変化することで発電効率が低下するという問題があった。
特開H10−270740号公報 特開2006−46001号公報
Nature,353,p.737-740,1991
これらの問題を解決するために、太陽光の光量や入射角が、が時刻、季節、天候などにより変化しても太陽電池のモジュール面に効率よく光が到達するように太陽電池モジュール面上に集光装置を設ける方法が提案されている(例えば、引用文献1および2参照。)。しかしながら、このような集光装置を設ける方法は、モジュール面の全面に集光装置が設けられるので、太陽電池モジュールの重量の大幅な増加を招くという問題があった。また、太陽電池のモジュール面に鋭利な突起物である集光装置を設けることは建材一体型の太陽電池モジュールを窓などに設置し利用するには安全性、意匠性などの点で問題があった。
そこで、本開示が解決しようとする課題は、色素増感太陽電池などの光電変換素子を用い、互いに隣接する光電変換素子との間に隙間を有する光電変換素子モジュールにおいて、簡易な方法で、発電量の大幅な増加を図ることができる光電変換素子モジュールおよびその製造方法を提供することである。
本開示が解決しようとする他の課題は、色素増感太陽電池などの光電変換素子を用いた光電変換素子モジュールの発電に寄与する有効面積の大幅な増加を図ることができ、低コストで製造可能な光電変換素子モジュールおよびその製造方法を提供することである。
本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記のように優れた光電変換素子モジュールを用いた高性能の電子機器を提供することである。
本開示が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような優れた光電変換素子モジュールを用いた建築物を提供することである。
上記課題を解決するために、本開示は、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有する光電変換素子モジュールである。
また、本開示は、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有する光電変換素子モジュールを製造する場合に、
上記光電変換素子を、1つの面上に上記透明基板の端面が互いに対向するように配置し、
互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、上記光電変換素子の端面に入射光を導光可能に導光体を配置する光電変換素子モジュールの製造方法である。
また、本開示は、
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである電子機器である。
また、本開示は、
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである建築物である。
本開示において、光電変換素子の形状は、典型的には、主面が長方形の平面形状、垂直断面が長方形の直方体形状であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、光電変換素子の主面の形状は、n角形(n≧3)、円形などの平面形状、曲面形状などであってもよく、n角形(n≧3)であれば、例えば、三角形、長方形、正方形、台形、平行四辺形などが挙げられ、円形であれば、例えば、真円形、楕円形などが挙げられる。また、光電変換素子の垂直断面の形状は、n角形(n≧3)、円形などであってもよく、n角形(n≧3)であれば、例えば、三角形、長方形、正方形、台形、平行四辺形などが挙げられ、円形であれば、例えば、真円形、楕円形などが挙げられる。これらの主面形状、断面形状を有する形状としては、柱形、錐形、錐台などが挙げられるが、光電変換素子の形状は上記に挙げたものに限定されるものではなく、上記に挙げた形状を適宜組み合わせることができる。
光電変換素子は、典型的には、多孔質電極に光増感色素が結合(吸着)した色素増感光電変換素子である。この場合、光電変換素子の製造方法は、多孔質電極に光増感色素を結合(吸着)させる工程を有する。この多孔質電極は、典型的には、半導体からなる微粒子により構成される。半導体は、好適には、酸化チタン(TiO2 )、取り分けアナターゼ型のTiO2 を含む。
多孔質電極としては、いわゆるコア−シェル構造の微粒子により構成されたものを用いてもよい。この多孔質電極としては、好適には、金属からなるコアとこのコアを取り巻く金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子により構成されたものが用いられる。このような多孔質電極を用いると、この多孔質電極と対極との間に電解質層を設けた場合、電解液の電解質が、金属からなるコアと金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子の金属からなるコアと接触することがないことから、電解質による多孔質電極の溶解を防止することができる。このため、金属からなるコアと金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子のコアを構成する金属として、従来使用が困難であった、表面プラズモン共鳴の効果が大きい金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などを用いることができ、光電変換において表面プラズモン共鳴の効果を十分に得ることができる。また、電解液の電解質としてヨウ素系の電解質を用いることができる。金属からなるコアと金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子のコアを構成する金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などを用いることもできる。金属からなるコアと金属酸化物からなるシェルとからなる微粒子のシェルを構成する金属酸化物としては、使用する電解質に溶解しない金属酸化物が用いられ、必要に応じて選ばれる。このような金属酸化物としては、好適には、酸化チタン(TiO2 )、酸化スズ(SnO2 )、酸化ニオブ(Nb2 5 )および酸化亜鉛(ZnO)からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物が用いられるが、これらに限定されない。例えば、酸化タングステン(WO3 )、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )などの金属酸化物を用いることもできる。微粒子の粒径は適宜選ばれるが、好適には1nm以上500nm以下である。また、微粒子のコアの粒径も適宜選ばれるが、好適には1nm以上200nm以下である。
透明基板としては、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料を用いることが好ましい。また、色素増感光電変換素子に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。透明基板の材料としては、透明無機材料、透明プラスチックなどであって、透明無機材料であれば、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、ソーダガラスなどが挙げられ、透明プラスチックであれば、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリブチレンテレフタラート、アセチルセルロース、テトラアセチルセルロース、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ブロム化フェノキシ、アミド類、ポリエーテルイミドなどのポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリエステルスルホンなどのポリスルホン類、ポリオレフィン類などが挙げられる。また、透明基板の厚さは特に制限されないが、1mm以上6mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましく、3mm以上4mm以下であることが最も好ましいが、光の透過率や、光電変換素子内外を通過する光を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
透明基板は、色素増感光電変換素子の側面に入射する光を積極的に取り込むために主面および端面のうち少なくとも一面において光の透過率が高くなるように構成することが好ましい。透明基板の主面における光の透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。また、透明基板の端面における光の透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。また、上述した透過率は可視光透過率であることが好ましく、また、光の波長550nmにおける透過率であることがより好ましい。さらに、色素増感光電変換素子の特性低下を抑制するために、透明基板の光入射面においては、光の波長が400nm未満の紫外線については透過しない事が望ましく、その透過率は10%未満であることが好ましい。この光入射面における紫外線透過の抑制は、具体的には、透明基板に紫外線遮断剤を混合する方法、透明基板の光入射面に紫外線遮断材をコーティングする方法などが挙げられ、紫外線遮断材によって透明基板に入射した紫外線は吸収もしくは散乱される。紫外線遮断材としては、例えば、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、また、酸化ジルコニウム、マイカなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、透明基板の光入射面に紫外線遮断材をコーティングして製膜する場合にあっては、その膜厚は10nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがより好ましく、100nm以上200nm以下であることが最も好ましいが、このことに限定されるものではない。
透明基板の端面における光の透過率を向上させる方法としては、典型的には透明基板の端面の少なくとも一部を研磨し表面を平坦する方法が挙げられ、研磨には従来公知の方法が用いられるが、このことに限定されるものではない。また、透明基板の主面および端面の少なくとも一部には、表面反射を抑えて光の透過量を向上させるための処理を施すことが好ましい。表面処理は、具体的には、例えば、透明基板の主面に少なくとも一層の光反射防止膜を設ける方法などが挙げられる。光反射防止膜としては、具体的には、例えば、Ta25膜、Si34膜、Al2О3膜、MgF2膜、La23膜、SiO2膜、SnO2膜、TiO2膜、Y23膜、ZnO膜、ZrO2膜、ITO膜、FTO膜、水晶膜などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、光反射防止膜の膜厚は10nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがより好ましく、100nm以上200nm以下であることが最も好ましいが、このことに限定されるものではない。また、光反射防止膜に代えて表面反射を抑える加工が施されたフィルムなどを表面に貼りつけてもよい。また、透明基板の主面の少なくとも一部に、透明基板内部から外部へ出射する光を反射し、多孔質電極に導光する光反射膜を設けてもよい。光反射膜は、具体的には、各種の金属薄膜などが挙げられ、例えば、アルミニウム(Al)膜、Ag膜、Au膜などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、光反射膜の膜厚は10nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがより好ましく、100nm以上200nm以下であることが最も好ましいが、このことに限定されるものではない。また、光反射膜に代えて、光反射率の高いフィルム、金属薄膜などを透明基板の側面の少なくとも一方に転写する方法、貼りつける方法などを用いてもよい。光反射防止膜および光反射膜の形成方法は、具体的には、例えば、スパッタリング法、各種のCVD法、蒸着法などの方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
導光体は、光を屈折、反射および散乱させる機能のうち少なくとも1つを有していれば、基本的にはどのようなものであってもよい。導光体を構成する材料は反射および/または屈折率を設計可能であるものが好ましく、具体的には、導光体の少なくとも一部が透明材料で構成されることが好ましい。透明材料は、具体的には、透明基板に用いられる材料と同様な特性を有するものが好ましく、接着などに使用する樹脂などに溶融しない耐溶剤性に優れている材料がより好ましく、透明基板として上記に挙げた材料を適宜選択することができるが、これらのものに限定されるものではなく、例えば、液体レンズなどを用いてもよい。また、導光体を、屈折率の高いコア層と屈折率の低いクラッド層とを複数組み合わせて形成することもできる。
また、導光体の形状は、光を屈折、反射および散乱させる機能のうち少なくとも1つを有していれば、基本的にはどのような大きさ、形状であってもよいが、導光体は、導光体が配置される面と交差する方向に平行な面を少なくとも1つ有することが好ましい。配置面と上記平行な面とがなす角は、20°以上80°以下が好ましく、30°以上60°以下であることがより好ましいが、これらには限定されず、光の照射条件によって適宜選択される。また、導光体は立体形状であることが好ましく、例えば、色素増感光電変換素子が長方形または正方形の平面形状を有する場合においては、色素増感光電変換素子の1辺に平行に延在する形状を有することが好ましく、さらに柱形状(長尺形状)であることがより好ましい。導光体は、具体的には、例えば、導光板、導光スペーサなどが挙げられる。導光体を導光板とする場合にあっては、その形状は、例えば、平板形状、曲板形状などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、導光板の板厚は、基本的にはどのような厚さでもよく、互いに隣接する二つの光電変換素子の間の部分に形成される空間の大きさによって適宜設計されるが、導光板の板厚は、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。また、導光体を導光スペーサとする場合にあっては、その形状は、n面体(n≧3)、球体、楕円球体、部分球体、部分楕円球体、球面体、レンズ体、柱体、錐台などであって、柱体であれば、例えば、n角柱形状(n≧3)、円柱形状、楕円柱形状、部分円を底面とする柱体などが挙げられ、具体的には、断面形状が三角形または台形である柱体であるが、これに限定されるものではなく、上記挙げた形状の部分形状であってもよく、上記に挙げた形状を組み合わせた形状であってもよい。また、導光体は中実体であっても中空体であってもよい。導光体の中には、気体、液体、固体などのうちの少なくとも一つが封入されているものであってもよく、例えば、導光体内部に散乱体を設けることもできる。散乱体は、例えば、球状の固体散乱体、気泡などが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。また、導光体は単一に形成して構成されているものであっても、複数の導光体を組み合わせて1つの導光体として構成されているものであってもよい。また、屈折率が異なる導光体を組み合わせて導光体を構成してもよい。また、導光体の大きさは、基本的にはどのような大きさであってもよいが、互いに隣接する二つの光電変換素子の間の部分に形成される空間より小さいことが好ましく、例えば、互いに隣接する二つの光電変換素子と導光体が同一面上に配置される場合にあっては、導光体の配置面を底面とした時の高さが光電変換素子の厚さ以下であることが好ましい。
導光体は、入射光を上記光電変換素子の端面に導ければ、基本的にはどのように配置されていてもよいが、典型的には、複数の光電変換素子が配置された1つの面上と同一面上に配置される。複数の光電変換素子が配置された1つの面は、具体的には、平面、曲面などであるが、これらのものに限定されるものではない。また、複数の光電変換素子が配置された1つの面は可動面であってもよい。
光電変換素子モジュールは、最も典型的には、太陽電池モジュールとして構成される。ただし、光電変換素子モジュールは、太陽電池モジュール以外のもの、例えば光センサーモジュールなどであってもよい。
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、光電変換素子は、例えばこれらの電子機器の電源として用いられる太陽電池である。
建築物は、典型的にはビルディング、特に、商業ビルディング、マンションなどの大型建築物であるが、これらには限定されず、外壁面を有する建築された構造物であれば、基本的にはどのようなものであってもよい。建築物は、具体的には、例えば、戸建住宅、アパート、駅舎、校舎、庁舎、遊歩道、競技場、球場、病院、教会、工場、倉庫、小屋、車庫、橋、固定遊具などが挙げられ、特に、少なくとも1つの窓部(例えばガラス窓)あるいは採光部を有する建築された構造物であることが好ましい。また、可動部を有する建築物であってもよく、具体的には、例えば、可動橋、天文台、観覧車、パラボラアンテナ、可動部を有する看板などが挙げられるが、建築物は、上記に挙げたものに限定されるものではない。
建築物に設けられる光電変換素子および/または複数の光電変換素子が電気的に接続されている光電変換素子モジュールのうち、窓部あるいは採光部などに設けられるものは、2枚の透明板の間に挟持し、必要に応じて固定して構成することが好適であって、典型的には、光電変換素子および/または光電変換素子モジュールを2枚のガラス板の間に組み込み必要に応じて固定することによって構成される。
また、本技術は、光電変換素子に入射する光の角度が経時的に変化する移動体などにも適用することができ、具体的には次の通りである。
すなわち、本開示は、
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである移動体である。
移動体は、基本的にはどのようなものであってもよく、具体例を挙げると、自動車、トラック、バス、二輪車、三輪車、エレベーター、そり、ショッピングカート、鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、モノレール、リニアモーターカー、船舶、ホバークラフト、航空機、ヘリコプター、グライダー、気球、飛行船、ロケット、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーションなどである。また、建設機械は、基本的にはどのようなものであってもよく、具体例を挙げると、ショベルカー、ブルドーザー、クレーン車、ロードローラー、掘削機などである。また、農業機械は、基本的にはどのようなものであってもよく、具体例を挙げると、耕耘機、トラクター、コンバイン、田植え機などであるが、移動体は上記に挙げたものに限定されるものではない。
また、本技術は、1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、互いに隣接する二つの光電変換素子の間に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光スペーサを有する場合に限定されない。すなわち、本技術は、1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有する場合にあっても適用することができ、具体的には次の通りである。
すなわち、本開示は、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子のうち少なくとも一方は、上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である光電変換素子モジュールである。
また、本開示は、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、透明基板と、透明基板上に設けられた多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有する光電変換素子モジュールを製造する場合に、
上記透明基板の端面を研磨することで平滑化し、光透過率を90%にする光電変換素子モジュールの製造方法である。
また、本開示は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である光電変換素子である。
また、本開示は、
透明基板と、
透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有する光電変換素子を製造する場合に、
上記透明基板の端面を研磨することで平滑化し、光透過率を90%にする光電変換素子の製造方法である。
また、本開示は、
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子のうち少なくとも一方は、上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である電子機器である。
また、本開示は
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子のうち少なくとも一方は、上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である建築物である。
また、本開示は
少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
上記光電変換素子モジュールが、
1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
透明基板と、
上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
対極と、
上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
上記互いに隣接する二つの光電変換素子のうち少なくとも一方は、上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である移動体である。
本開示によれば、色素増感太陽電池などの光電変換素子を用い、互いに隣接する光電変換素子との間に隙間を有する光電変換素子モジュールにおいて、発電量の大幅な増加を図ることができ、しかも低コストに製造することができる。そして、この優れた光電変換素子モジュールを用いることにより、高性能の電子機器および建築物を実現することができる。
第1の実施の形態による色素増感光電変換素子を示す断面図である。 第2の実施の形態による色素増感光電変換素子を示す断面図である。 実施例2の色素増感光電変換素子を示す平面図および断面図である。 実施例3の色素増感光電変換素子を示す平面図および断面図である。 実施例4の色素増感光電変換素子を示す平面図および断面図である。 実施例5の色素増感光電変換素子を示す平面図および断面図である。 第3の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュールを示す平面図および断面図である。 第3の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例7の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例8の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 比較例2の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 第4の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュールを示す平面図である。 第4の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュールを示す平面図である。 第4の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例10の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例11の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例12の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例13および実施例14の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例15および実施例16の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例17および実施例18の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例19および実施例20の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 実施例21の半透過型の色素増感光電変換素子モジュールにおける互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子の間隔部を拡大して示す断面図である。 従来の半透過型の光電変換素子モジュールを示す平面図および断面図である。 従来の一般的な色素増感光電変換素子を示す平面図および断面図である。
本開示者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を行った。その研究の過程において、本開示者らは、半透過型の光電変換素子モジュールにおいて、互いに隣接する光電変換素子の少なくとも一方を色素増感光電変換素子とし、この色素増感光電変換素子を、素子の端面に照射される光を素子内部に入射可能に構成すると、上記端面から入射した光を有効に発電利用することが可能となり、採光部における光の透過量を維持しつつも発電量の大幅な増加を図ることができることを見出した。以下にその概要を述べる。
光電変換素子の一つである色素増感光電変換素子は、太陽電池として利用すると、低照度、低入射角などであっても光電変換効率の低下が少ないという優れた特徴を有している。この特徴を生かし、特に、朝晩や季節により変化する太陽高度により生じる入射角に対して従来の太陽電池よりも多くの発電量を得ることができる。
図24は一般的な色素増感光電変換素子200を示す要部断面図である。
図24に示すように、この色素増感光電変換素子200においては、透明基板201上にFTO層からなる透明電極202が設けられている透明導電性基板203を有する。この透明導電性基板203の端面は無数の凹凸を有し曇りガラス状となっている。透明電極202上にはTiO2焼結体で構成された多孔質電極204が設けられている。この多孔質電極204には一種又は複数種の光増感色素(図示せず)が結合している。一方、対向基板205の一主面上に触媒層206が設けられ対極207を構成している。そして、多孔質電極204と対極207との間にレドックス対としてI-/I3 - の酸化還元種を用いた電解液からなる電解質層208が充填され、これらの透明導電性基板203および対極207の外周部が封止体209で封止されている。
色素増感光電変換素子200は透明基板201の外側の主面である光入射面から多孔質電極204内に光が入射すると、透明電極202を負極、対極207を正極とする電池として動作する。色素増感光電変換素子200に入射する光のうち、発電に寄与するのは多孔質電極204に入射する光に限られる。多孔質電極204へは、透明基板201の主面から入射する光が最も多く供給される。そのため、発電に寄与する光の量を増加させるために、従来においては、透明基板1の光入射面を大きくする手法が主に用いられていた。
しかしながら、色素増感光電変換素子200を互いに隣接する二つの光電変換素子として半透過型の光電変換素子モジュールを構成すると、上述したように光の透過率と発電効率とはトレードオフの関係が存在することとなる。そのため、色素増感光電変換素子200内部への入射光の量を増加させるために上記光入射面を大きくする方法には、設置領域が限定されているなどの理由により限界がある。
本開示者らは考えた。半透過型の光電変換素子モジュールにおいて上記のトレードオフの関係を解決しつつ、半透過型の光電変換素子モジュール全体の発電量を増やす方法はないだろうか。
そこで本開示者らは、上述した色素増感光電変換素子200の構造に注目し、特に、色素増感光電変換素子200の素子厚について注目した。色素増感光電変換素子200は、従来の太陽電池と比較して低コストな材料およびプロセスで構成可能であるという利点を有する一方で、上述したように、特に結晶系光電変換素子と比較して構造上セルが厚くなってしまうという不利な点も有する。
さらに、本開示者らは、色素増感光電変換素子200の素子厚が大きくなってしまう要因として、構造上の点に加えて、透明導電性基板203の板厚が大きく関係していることも見出した。色素増感光電変換素子200を構成する透明導電性基板203は素子の厚さや重量の問題から薄い方が好ましい。しかしながら、実際の実施などにおいて用いられる透明導電性基板203は、低コスト化や素子に一定の強度が必要であるなどの要求によって、総じて厚いものが用いられているのが現状である。透明導電性基板203の具体的な一例を挙げると、板厚が4mmのFTO基板である。FTO基板は、透明基板であるガラス板の一方の主面上の全面に透明電極であるFTO層が形成されている。このFTO基板の板厚うち、FTO層の厚さは一般に数百nm程度であるので、FTO基板の板厚の大部分は透明基板201であるガラス板が占めているといえる。
本開示者らは、この構造上のデメリットである透明基板201の大きな板厚について特に注目した。透明基板201が大きな板厚を有しているということは、主面に加えて端面からも多くの光が入射可能であると考えられる。しかしながら、一般に用いられている透明基板201の端面は、通常カットによって曇りガラス状の粗い切断面となっており、端面に入射する光の大部分は透明基板201内部に透過することなく、表面において拡散反射してしまう。そのため、透明基板201の端面をそのまま光入射面として利用するには非常に効率が悪いという問題があり、光を積極的に取り込むためには何らかの手段を追加する必要がある。
このように、この大きな板厚を有する透明基板201の側面を、光入射面として利用すれば、透明基板201の主面を大きくすることなくモジュール全体の発電量を増加させることができる。特に、半透過型の光電変換素子モジュールは、採光部を有するために素子側面からの光の入射が可能である。そこで、これらを組み合わせることで、半透過型の光電変換素子モジュールの上記のトレードオフの関係を解決しつつ、モジュール全体の発電量を増やすことができることを見出し、本技術を案出するに至った。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(色素増感光電変換素子およびその製造方法)
2.第2の実施の形態(色素増感光電変換素子およびその製造方法)
3.第3の実施の形態(色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法)
4.第4の実施の形態(色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法)
<1.第1の実施の形態>
[色素増感光電変換素子]
図1は第1の実施の形態よる色素増感光電変換素子10を示す断面図である。
図1に示すように、この色素増感光電変換素子10においては、透明基板1上に透明電極2が設けられた透明導電性基板3を有し、透明電極2上にはTiO2焼結体で構成された多孔質電極4が設けられている。この多孔質電極4には一種又は複数種の光増感色素(図示せず)が結合している。一方、対向基板5の一主面上に触媒層6が設けられ対極7を構成している。そして、多孔質電極4と対極7との間にレドックス対としてI-/I3 - の酸化還元種を用いた電解液からなる電解質層8が充填され、これらの透明導電性基板3と対向基板5との間には封止体9が電解質層8を封止する形態で設けられている。透明導電性基板の端面の少なくとも一部は効率よく光が入射可能に研磨されている。透明導電性基板3は透明基板1の端面の少なくとも一部のみが研磨されているものであっても、透明導電性基板3の端面全体の少なくとも一部が研磨されているものであってもよい。また、透明基板1の端面および/または主面の少なくとも一部に光反射防止膜を設けてもよい。光反射防止膜は上記に挙げたものを適宜選択することができる。
透明基板1上に設けられる透明電極2は導電性の薄膜であって、シート抵抗が小さいほど好ましい。透明電極2のシート抵抗は、1Ω/□以上500Ω/□以下であることが好適であって、1Ω/□以上100Ω/□以下であることがさらに好適である。100Ω/□を超えると透明電極2の内部抵抗が著しく上昇するからである。また薄膜である透明電極2の厚さは100nm以上500nm以下であることが好適である。厚さが100nmよりも薄いと表面抵抗値および内部抵抗が上昇し、500nmを超えると透明電極2に亀裂が入りやすくなるためである。また、透明電極2を構成する材料としては公知の材料を用いることができ、必要に応じて選択される。典型的には金属酸化物であって、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)SnO2(FTO)、酸化スズ(IV)SnO2、酸化亜鉛(II)ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられる。ただし、透明電極2を構成する材料はこれらのものに限定されるものではなく、金属、鉱物の薄膜でもよく、金属の薄膜であれば、例えば、白金、金、銀、クロム、銅、タングステン、アルミニウムなどが挙げられる。また、上記で挙げたものの中から二種類以上を組み合わせて透明電極2とすることもできる。
多孔質電極4としては、典型的には、半導体微粒子を焼結させた多孔質半導体層が用いられる。光増感色素はこの半導体微粒子の表面に結合(吸着)している。半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する半導体などを用いることができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体であることが好ましい。具体的には、例えば、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3 )、酸化ニオブ(Nb2 5 )、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )、酸化スズ(SnO2 )などの半導体が用いられる。これらの半導体の中でも、TiO2 、取り分けアナターゼ型のTiO2 を用いることが好ましい。ただし、半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、必要に応じて、二種以上の半導体を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子の形態は粒状、チューブ状、棒状などのいずれであってもよい。
上記の半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1nm以上200nm以下が好ましく、特に好ましくは5nm以上100nm以下である。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、この粒子で入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20nm以上500nm以下であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
多孔質電極4は、できるだけ多くの光増感色素を結合させることができるように、半導体微粒子からなる多孔質半導体層の内部の空孔に面する微粒子表面も含めた実表面積の大きいものが好ましい。このため、多孔質電極4を透明導電性基板3の上に形成した状態での実表面積は、多孔質電極4の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがさらに好ましい。この比に特に上限はないが、通常1000倍程度である。
一般に、多孔質電極4の厚さが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積に保持することができる光増感色素の量が増加するため、光吸収率が高くなる。一方、多孔質電極4の厚さが増加すると、光増感色素から多孔質電極4に移行した電子が透明導電性基板3に達するまでに拡散する距離が増加するため、多孔質電極4内での電荷再結合による電子の損失も大きくなる。従って、多孔質電極4には好ましい厚さが存在するが、この厚さは一般的には0.1μm以上100μm以下であり、1μm以上50μm以下であることがより好ましく、3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電解質層8を構成する電解液としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられる。酸化還元系としては、適切な酸化還元電位を有する物質であれば、特に制限はない。具体的には、酸化還元系としては、例えば、ヨウ素(I2 )と金属または有機物のヨウ化物塩との組み合わせや、臭素(Br2 )と金属または有機物の臭化物塩との組み合わせなどが用いられる。金属塩を構成するカチオンは、例えば、リチウム(Li+ )、ナトリウム(Na+ )、カリウム(K+ )、セシウム(Cs+ )、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)などである。また、有機物塩を構成するカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第四級アンモニウムイオンが好適なものであり、これらを単独に、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
電解質層8を構成する電解液としては、上記のほかに、コバルト、鉄、銅、ニッケル、白金などの遷移金属からなる有機金属錯体の酸化体と還元体との組み合わせ、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることもできる。
電解質層8を構成する電解液の電解質としては、上記の中でも特に、ヨウ素(I2 )と、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、イミダゾリウムヨーダイドなどの第四級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好ましい。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05M以上10M以下が好ましく、さらに好ましくは0.2M以上3M以下である。ヨウ素(I2 )または臭素(Br2 )の濃度は0.0005M以上1M以下が好ましく、さらに好ましくは0.001M以上0.5M以下である。
電解液の電解質としては、上記の中でも特に、ヨウ素(I2 )と、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、イミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適なものである。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05M以上10M以下が好ましく、さらに好ましくは0.2M以上3M以下である。ヨウ素I2 または臭素Br2 の濃度は0.0005M以上1M以下が好ましく、さらに好ましくは0.001M以上0.5M以下である。また、開放電圧や短絡電流を向上させる目的で4−tert−ブチルピリジンやベンズイミダゾリウム類などの各種添加剤を加えることもできる。
電解液を構成する溶媒としては、一般的には、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素などが用いられる。
電解液を構成する溶媒としてはイオン液体を用いてもよく、こうすることで電解液の揮発の問題を改善することができる。イオン液体としては従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。
多孔質電極4に結合させる光増感色素は、増感作用を示すものであれば特に制限はなく、有機金属錯体、有機色素、金属ナノ分子、半導体ナノ粒子などを用いることができるが、この多孔質電極4の表面に吸着する酸官能基を有するものが好ましい。この光増感色素は、一般的には、カルボキシ基、リン酸基などを有するものが好ましく、この中でも特にカルボキシ基を有するものが好ましい。光増感色素の具体例を挙げると、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニン、キノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどの塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物が挙げられ、その他のものとしてはアゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、ピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、トリフェニルメタン系色素、インドリン系色素、ペリレン系色素、ポリチオフェンなどのπ共役系高分子やそのモノマーの2量体以上20量体以下、CdS、CdSeなどの量子ドットなどが挙げられる。これらの中でも、リガンド(配位子)がピリジン環またはイミダゾリウム環を含み、Ru、Os、Ir、Pt、Co、FeおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも一種類の金属の錯体の色素は量子収率が高く好ましい。特に、シス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)またはトリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2' :6' ,2" −ターピリジン−4,4' ,4" −トリカルボン酸を基本骨格とする色素分子は吸収波長域が広く好ましい。ただし、光増感色素は、これらに限定されるものではない。
光増感色素の多孔質電極4への吸着方法に特に制限はないが、上記の光増感色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、これに多孔質電極4を浸漬したり、光増感色素を含む溶液を多孔質電極4上に塗布したりすることができる。また、光増感色素の分子同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などを添加してもよい。必要に応じて紫外線吸収剤を併用することもできる。
多孔質電極4に光増感色素を吸着させた後に、過剰に吸着した光増感色素の除去を促進する目的で、アミン類を用いて多孔質電極4の表面を処理してもよい。アミン類の例としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
対向基板5の材料としては、不透明なガラス、プラスチック、セラミック、金属などを用いてもよいし、透明材料、例えば透明なガラスやプラスチックなどを用いてもよい。対向基板5の材料を導電性材料としない場合には、対向基板5の触媒層6が形成される面上に導電層が形成される。導電層としては透明電極2と同様なものを用いることができるほか、不透明な導電材料により形成されたものを用いることもできる。
触媒層6の材料としては、導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性材料の、電解質層8に面している側に導電層が形成されていれば、これも用いることが可能である。触媒層6の材料としては、電気化学的に安定な材料を用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。
また、触媒層6での還元反応に対する触媒作用を向上させるために、電解質層8に接している対極7の表面は、微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましい。例えば、対極7の表面は、白金であれば白金黒の状態に、カーボンであれば多孔質カーボンの状態に形成されていることが好ましい。白金黒は、白金の陽極酸化法や塩化白金酸処理などによって、また多孔質カーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法によって形成することができる。
封止体9の材料としては、耐光性、絶縁性、防湿性などを備えた材料を用いることが好ましい。封止体9の材料の具体例を挙げると、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着フィルムなどである。また、封止体9は透明であることが特に好ましく、具体的には、ガラス、透明樹脂などであり、例えば、上記の透明基板に挙げた材料を適宜選択することもできる。
[色素増感光電変換素子の動作]
次に、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作について説明する。
この色素増感光電変換素子10は、光が入射すると、対極7を正極、透明電極2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。なお、ここでは、透明電極2の材料としてFTOを用い、多孔質電極4の材料としてTiO2 を用い、レドックス対としてI-および/またはI3 - の酸化還元種を用いることを想定しているが、この構成に限定されるものではない。また、多孔質電極4に、一種類の光増感色素が結合していることを想定する。
透明基板1および透明電極2を透過し、多孔質電極4に入射した光子を多孔質電極4に結合した光増感色素が吸収すると、この光増感色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。こうして励起された電子は、光増感色素と多孔質電極4との間に電気的結合を介して、多孔質電極4を構成するTiO2の伝導帯に引き出され、多孔質電極4を通って透明電極2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素は、電解質層8中の還元剤、例えばIから下記の反応によって電子を受け取り、電解質層8中に酸化剤、例えばI3 -(I2 とI-の結合体)を生成する。
2I- → I2+ 2e-
2 + I- → I3 -
こうして生成された酸化剤は拡散によって対極7を構成する触媒層6に到達し、上記の反応の逆反応によって触媒層6から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
3 - → I2 + I-
2 + 2e- → 2I-
透明電極2から外部回路に送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対極7を構成する対向基板5を経て触媒層6に戻る。このようにして、光増感色素にも電解質層8にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
[色素増感光電変換素子の製造方法]
次に、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、端面が4面全て研磨された透明な平板である透明基板1の一主面にスパッタリング法などにより透明導電層を形成して透明電極2を形成し、端面が4面全て研磨された透明導電性基板3とする。透明導電性基板3は、一般に市販されているものを用いてもよい。透明導電性基板3の端面が通常カットの曇りガラス状の粗面である場合には、研磨して端面を平滑化する。また、端面には必要に応じて、光透過率向上のための光反射防止膜などを施す。
透明導電性基板3の端面の研磨は、色素増感光電変換素子10の完成後に行ってもよく、このとき封止体9が透明である場合には、封止体9の端面も研磨されることが好ましいが、このことに限定されるものではない。
次に、透明電極2上の封止体9が接する面以外の少なくとも一部に多孔質電極4を形成する。この多孔質電極4の形成方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式製膜法を用いるのが好ましい。湿式製膜法では、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、この分散液を透明基板1の透明電極2上に塗布または印刷する方法が好ましい。分散液の塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などを用いることができる。また、印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
半導体微粒子の材料としてアナターゼ型TiO2 を用いる場合、このアナターゼ型TiO2 は、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
多孔質電極4は、半導体微粒子を透明電極2上に塗布または印刷した後に、半導体微粒子同士を電気的に接続し、多孔質電極4の機械的強度を向上させ、透明電極2との密着性を向上させるために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると、透明電極2の電気抵抗が高くなり、さらには透明電極2が溶融することもあるため、通常は40℃以上700℃以下が好ましく、40℃以上650℃以下がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、通常は10分以上10時間以下程度である。
焼成後、半導体微粒子の表面積を増加させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液や直径10nm以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理を行ってもよい。透明電極2を支持する透明基板1としてプラスチック板を用いる場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明電極2上に多孔質電極4を製膜し、加熱プレスによって透明電極2に圧着することも可能である。
次に、多孔質電極4が形成された透明基板1を、光増感色素を所定の有機溶媒に溶解した光増感色素溶液中に浸漬することにより、多孔質電極4に光増感色素を結合させる。
一方、対向基板5の一方の主面上の封止体9が接する面以外の少なくとも一部に少なくとも一部に触媒層6を形成する。触媒層は、例えばスパッタリング法などにより対向基板5の全面に導電層を形成した後、この導電層上に所定の平面形状を有する触媒層6を形成する。この触媒層6は、例えば、導電層の全面に例えばスパッタリング法などにより触媒層6の材料となる膜を形成した後、この膜をエッチングによりパターニングすることにより形成することができる。また、対向基板5を金属基板などの導電性基板とする場合には、触媒層6は対向基板5の面上に設けられ、触媒層6は、具体的には、例えば、導電性カーボン層などで形成されるが、これに限定されるものではない。
次に、透明基板1と対向基板5とを多孔質電極4と対極7とが所定の間隔、例えば1μm以上100μm以下、好ましくは1μm以上50μm以下の間隔をおいて互いに対向するように配置する。そして、透明基板1および対向基板5との間に封止体9を形成する。封止体9は、多孔質電極4および触媒層6を取り囲むように形成され電解質層8が封入される閉空間を作る。この空間に例えば透明基板1に予め形成された注液口(図示せず)から電解液を注入し、電解質層8を形成する。この電解液としては、ヨウ素レドックス系電解液に、ヨウ化物イオンよりもヨウ素分子と強い相互作用を示す化合物からなる添加剤を単に加えて混合したものや、この添加剤を予めヨウ素などの呈色成分と相互作用させてから混合したものなどを用いる。その後、この注液口を塞ぐ。以上により、目的とする色素増感光電変換素子が製造される。
<実施例1>
色素増感光電変換素子10を以下のようにして製造した。
まず、透明導電性基板3として、3mm厚、1辺が125mmの正方形の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を用意した。次に透明導電性基板3に電解液注入用の注入口として0.5mmφの穴を2箇所開けた。
次に、FTO基板の端面を全面において研磨し鏡面とした。
次に、このFTO基板を0.2mol/lの四塩化チタン溶液に70℃、40分間浸漬した。その後、純水で洗浄しエタノールを用いてリンスを行い十分に乾燥させた。このFTO基板の端面における光の透過率を光の波長550nmにおいて計測したところ、90%であった。光の透過率は、光入射面に対して垂直に入射させ、入射光の強度と透過光の強度の比によって規定した。
次に、このFTO基板のFTO層上へ、一辺が120mmの正方形のスクリーンマスクを用い、TiO2 ペーストPST−24NRT(触媒化成工業(株))をスクリーン法によって塗布し、FTO基板の中央部にTiO2 の塗膜を得た。
次に、得られたTiO2 の塗膜上にTiO2 ペーストPST−400Cを重ね塗りし、積層TiO2 塗膜を得た。その後、得られた積層TiO2 塗膜を500℃に60分間保持して焼成し、TiO2 微粒子をFTO層上に焼結させることで多孔質電極4となるTiO2 焼結体を得た。得られたTiO2 焼結体は、透明電極2の中央部に形成され、一辺が120mmの正方形で、厚さ18μmであった。
次に、作製したTiO2 焼結体の不純物を除去し、活性を高める目的で、エキシマランプにより3分間、紫外線露光を行った。
次に、光増感色素としてZ991と、共吸着剤としてDPA(1-decylphosphonic acid)とを溶媒であるtert−ブチルアルコールとアセトニトリルとの混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた色素浸漬溶液を調製した。Z991とDPAとの混合比率は、mol比で、Z991:DPA=4:1の割合で行った。次に、調製した色素浸漬溶液に上記のTiO2 焼結体を室温下24時間浸漬させて色素を担持させた。このTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で溶媒を蒸発させ乾燥させた。こうして光増感色素を担持した多孔質電極4が得られた。
一方、溶媒である3−メトキシプロピオニトリル(MPN)に、1.0mol/lのメトキシプロピオイミダゾリウムヨーダイド、0.05mol/lのヨウ化リチウム(LiI)、0.10mol/lのヨウ素(I2)、そして添加剤として0.25mol/lのN−ブチルベンズミダゾール(NBB)を溶解させ電解液を調製した。
次に、カーボンとしてケッチェンブラックおよびグラファイトと、無機バインダとして酸化チタンと、有機バインダとしてエチルセルロースとを溶媒であるテルピネオールに加え、攪拌分散させてペースト状の分散液を調製し印刷用ペーストとした。
次に、対向基板5として厚さ1mm、1辺が125mmの正方形のチタニウム板を用意し、前工程で調製した印刷用ペーストを塗料としてチタニウム板上に印刷機で印刷し、チタニウム板上にカーボン塗膜を得た。その後、得られた塗膜中の溶液を蒸発させる目的で100℃のホットプレートで加熱し乾燥させ、チタニウム板上に導電性カーボン層を有する金属基板2を得た。
次に、得られた導電性カーボン層の焼成を行った。1時間30分で400℃にまで昇温させ、400℃で30分保持し焼成した。この工程により、完全にエチルセルロースを分解し消失させる。
次に、焼成した導電性カーボン層上に、さらに同様にしてカーボン塗膜を形成し焼成する。この工程を2回行い、3層の焼成カーボン層である触媒層6を得る。こうして、チタニウム板上に触媒層6である導電性カーボン層を有する対極7が得られた。触媒層6はチタニウム板の中央部に形成され、一辺が120mmの正方形で、厚さは約35μmであった。
次に、FTO基板とチタニウム板とを互いに対向するように配置する。このとき、多孔質電極4と触媒層6とを所定の間隔をおくようにする。そして、FTO基板とチタニウム板との間に、紫外線硬化樹脂と熱硬化樹脂とで構成された封止体9を設ける。封止体9はFTO基板の主面外縁部と他方をチタニウム板の主面外縁部とを連結する形態で、多孔質電極4および触媒層6を取り囲むように、FTO基板の主面外縁部から5mmまでの領域に設けた。次に、紫外線を照射することで封止体9を硬化させる。封止体9が硬化することで、FTO基板とチタニウム板とが封止体9を介して強固に結着し、電解質層8が封入される空間が形成される。
次に、この空間に例えば透明基板1に予め形成された注液口から送液ポンプを用いて注入し、減圧することで素子内部の気泡を追い出し電解質層8を形成した。その後、この注液口を、封止樹脂を用いてガラス基板で封止した。以上により、目的とする色素増感光電変換素子10が製造された。
<比較例1>
FTO基板の端面を研磨しないこと以外は実施例1と同様にして色素増感光電変換素子10を製造した。使用したFTO基板の端面における光の透過率を光の波長550nmにおいて計測したところ、50%であった。
次に、実施例1と比較例1とにおける発電量の比較を示す。透明導電性基板3であるFTO基板の端面からの採光は、光の入射角や、透明基板1であるガラスの反射、屈折などにより効果の程度はさまざまであるが、一例として、両例の比較に実施例1と比較例1の色素増感光電変換素子10をそれぞれ200個使用した場合を考える。
透明導電性基板3の端面の長さの合計は、両例ともに100mであるので、端面の面積の合計は両例ともに0.3m2である。この端面に対して500W/m2の入射光があったとすれば、比較例1の場合において素子内に入射する光は、0.3×500×0.5=75W、一方、実施例1の場合において素子内に入射する光は、0.3×500×0.9=135Wである。ここで、実施例1および比較例1の色素増感光電変換素子10の発電効率を10%とすれば、透明導電性基板の端面の光透過率が50%である比較例1に対して、透明導電性基板3の端面の光透過率を90%である実施例1は発電量が6W増加する。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、色素増感光電変換素子10の封止体9を透明導電性基板3と対向基板5と間に設け、透明導電性基板3の端面を光が良好に透過可能に構成したので、従来においては、発電利用されていなかった色素増感光電変換素子10の端面に入射する光を有効に発電利用することが可能となり、透明基板1の主面の面積を大きくすることなく色素増感光電変換素子10内部への光の入射量を大幅に増加させることができ、これにより、簡易な方法で、低コストに色素増感光電変換素子10の発電効率を向上させることができる。
<2.第2の実施の形態>
[色素増感光電変換素子]
図2は第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10を示す断面図である。
図2に示すように、この色素増感光電変換素子10は、素子内部へ採光性を向上させるために透明導電性基板3の端面の形状を変化させたものである。
透明導電性基板3の端面形状は、採光性が良好であれば基本的にはどのような形状であってもよいが、具体的には、斜面形状、曲面形状などが挙げられ、斜面形状であれば、透明導電性基板3の端面と底面とがなす角が30°以上60°以下であることが好ましく、40°以上50°以下であることがより好ましく、また、曲面形状であれば、例えば、凸型レンズ形状、凹型レンズ形状、上記に挙げた形状の部分形状、上記に挙げた形状を組み合わせた形状などが挙げられるが、透明導電性基板3の端面形状は、これらの形状に限定されるものではない。また、透明導電性基板3が複数の端面を有する場合には、それぞれの端面において上記に挙げた端面形状を適宜選択することができる。また、上記に上げた形状は、透明導電性基板3のみならず、透明導電性基板3を構成する透明基板1のみにも適用することもできる。その他のことは、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10と同様である。
[色素増感光電変換素子の動作]
第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作は、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10と同様である。
[色素増感光電変換素子の製造方法]
まず、用意した透明導電性基板3の端面の少なくとも一部を、ガラスカッターなどで斜めに切断し、端面を斜面形状とする。端面を曲面形状とする場合には、端面を所望の形状に切削加工する。切断された端面は曇りガラス状の粗面であるので、研磨して端面を平滑化する。その他のことは、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10の製造方法と同様にして色素増感光電変換素子10が作製される。
また、別の方法としては、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10を作製した後に、端面を所望の形状に切削加工する。このとき、加工される端面の領域は、透明導電性基板3の端面のみであってもよいし、透明導電性基板3の端面および封止体9の端面の少なくとも一方を含めた少なくとも一部の領域であってもよいが、加工の容易さを勘案すると、色素増感光電変換素子10の端面全体を切削加工することが好ましい。切削加工した後の粗面は研磨し平滑化する。
<実施例2>
図3Aは、実施例2の色素増感光電変換素子10の平面図、図3Bは、図3AのB−B線に沿っての断面図である。図3Bは内部の構成を示すために、透明導電性基板3と対向基板5との距離を対向基板5の厚さとほぼ同じように示したが、対向基板5の厚さは、透明導電性基板3と対向基板5との距離の10倍である。これは、以下の実施例においても同様である。実施例2の色素増感光電変換素子10は以下のようにして製造する。
まず、透明導電性基板3として、3mm厚、1辺が131mmの正方形の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を用意した。次に、FTO基板の全ての端面を、FTO基板の端面と底面とがなす角が45°となるようにガラスカッターでカットした。底面には透明電極2であるFTO層が形成されている。こうして、一方の主面の一辺が65mmの正方形で、垂直断面が上底125mm、下底が131mm、高さ3mmの等脚台形形状であるFTO基板を得た。その他のことは実施例1と同様にして色素増感光電変換素子10が製造した。
<実施例3>
図4Aは、実施例3の色素増感光電変換素子10の平面図、図4Bは、図4AのC−C線に沿っての断面図である。実施例3の色素増感光電変換素子10は以下のようにして製造する。
まず、透明導電性基板3として、3mm厚、1辺が125mmの正方形の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を用意した。次に、FTO基板の全ての端面を、FTO基板の端面と底面とがなす角が135°となるようにガラスカッターでカットした。底面には透明電極2であるFTO層が形成されている。こうして、一方の主面の一辺が65mmの正方形で、垂直断面が上底119mm、下底が125mm、高さ3mmの等脚台形形状であるFTO基板を得た。その他のことは実施例1と同様にして色素増感光電変換素子10が製造した。
<実施例4>
図5Aは、実施例4の色素増感光電変換素子10の平面図、図5Bは、図5AのD−D線に沿っての断面図である。実施例4の色素増感光電変換素子10は以下のようにして製造する。
まず、透明導電性基板3として、3mm厚、1辺が125mmの正方形の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を用意した。次に、FTO基板の4つの端面のうち対向する2つの端面を、FTO基板の端面と底面とがなす角が45°となるようにガラスカッターでカットした。底面には透明電極2であるFTO層が形成されている。こうして、一方の主面が65mm×125mmの長方形で、垂直断面が上底119mm、下底が125mm、高さ3mmの等脚台形形状であるFTO基板を得た。その他のことは実施例1と同様にして色素増感光電変換素子10が製造した。
<実施例5>
図6Aは、実施例5の色素増感光電変換素子10の平面図、図6Bは、図6AのE−E線に沿っての断面図である。実施例5の色素増感光電変換素子10は以下のようにして製造する。
まず、透明導電性基板3として、3mm厚、1辺が125mmの正方形の日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を用意した。次に、FTO基板の4つの端面のうち対向する2つの端面を、FTO基板の端面と底面とがなす角が135°となるようにガラスカッターでカットした。底面には透明電極2であるFTO層が形成されている。こうして、一方の主面が65mm×125mmの長方形で、垂直断面が上底119mm、下底が125mm、高さ3mmの等脚台形形状であるFTO基板を得た。その他のことは実施例1と同様にして色素増感光電変換素子10が製造した。
次に、透明導電性基板3の端面形状と発電量の関係は、光の入射角や、透明基板1であるガラスの反射、屈折などにより効果の程度はさまざまであるが、一例として、実施例1と実施例2とにおける色素増感光電変換素子10の発電量の比較を示す。両例の比較には、実施例1および実施例2の色素増感光電変換素子10をそれぞれ200個使用した場合を考える。
実施例2の色素増感光電変換素子10における透明導電性基板3の端面の面積の合計は、(0.125+0.247)×0.003√2÷2×4×200=0.42(m2)である。実施例1の色素増感光電変換素子10における透明導電性基板3の端面の面積の合計は、上述したように0.3(m2)である。ここで、この端面に対して500(W/m2)の入射光があったとすれば、実施例1の場合において端面から素子内に入射する光は、0.3×500×0.9=135(W)である。一方で、実施例2の場合において素子内に入射する光は、0.42×500×0.9=189(W)である。実施例2の色素増感光電変換素子10は、端面を斜面としたことで主面における光入射領域が減少する。しかしながら、封止体9を不透明な材料で構成する場合にあっては、透明導電性基板3の主面における端部領域は封止体9によって発電無効領域となっているため、この光入射領域の減少は全体の発電量には影響しないと考えられる。さらに、端面を斜面としたので斜面において光が屈折し、実施例1では発電無効領域に入射していた光が、発電領域である多孔質電極4に入射可能となることで色素増感光電変換素子10の発電量が増加する。
また、実施例3の色素増感光電変換素子10においては、透明導電性基板3の端面の形状を、端面を光入射面に向かって斜めに突出するように構成したので、透明導電性基板3の主面外縁部である上記突出部に入射した光が、端面で内部反射することによって入射光が多孔質電極4に導かれる。このことにより、発電領域であるに多孔質電極4に導かれる光の量が増加し、色素増感光電変換素子10の発電量も増加する。
以上のように、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得るとともに、透明導電性基板3の端面の形状を斜面形状としたので、色素増感光電変換素子10の側面から入射する光のみならず、発電無効領域である封止体9の上方から入射する光も発電領域に導くことができ、色素増感光電変換素子10内部への光の入射量を増加させることができる。また、色素増感光電変換素子10が互いに対向して設けられているので、一方の色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3の端面において表面反射した光が、もう一方の色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3内に入射することにより、入射光を無駄なく発電利用することができる。これにより、簡易な方法で、低コストに色素増感光電変換素子10の発電効率を向上させることができる。
<3.第3の実施の形態>
[色素増感光電変換素子モジュール]
図7Aは第3の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す平面図、図7Bは図7AのF−F線に沿っての断面図である。
図7AおよびBに示すように、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20は、第1の透明板21と第2の透明板22の間に挟み込まれる形態で複数の色素増感光電変換素子10が配置され、これらの色素増感光電変換素子10が配線材23より互いに電気的に接続されている。色素増感光電変換素子10は、互いに離れて配置されており、間隔部が千鳥格子状に形成されている。上記間隔部は光が透過可能に構成されており、ここが採光部24となる。上記間隔部は一定間隔であることが好ましいが、このことに限定されるものではない。色素増感光電変換素子モジュール20で用いられる複数の色素増感光電変換素子10は、第1および第2の実施の形態のいずれかの色素増感光電変換素子10である。この色素増感光電変換素子10を1種類、または少なくとも2種類以上を組み合わせて用いる。また、第1の透明板21から第2の透明板22にかけては光が透過可能である。
色素増感光電変換素子10の配置形態は、第1の透明板21および第2の透明板22の間に、複数の色素増感光電変換素子10のうち、少なくとも1つの色素増感光電変換素子10が挟持されており、素子の側面が互いに対向する位置に配置していれば、基本的にはどのような配置であってもよく、色素増感光電変換素子10の端面が、2枚の透明板の少なくとも一方の透明板の端面に対して突出するように配置してもよいし、色素増感光電変換素子10の端面に対して、2枚の透明板の少なくとも一方の透明板の端面が突出するように配置してもよいが、色素増感光電変換素子10の端面と、2枚の透明板の端面とが一つの面上に配置することが好ましく、同一平面上にあるように配置することがより好ましい。また、色素増感光電変換素子10が互いに離れて配置されていることが好ましいが、上記に挙げたことに限定されるものではない。
この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20は、第1の透明板21と第2の透明板22に挟み込まれる形態であれば、挟持する2枚の透明板と色素増感光電変換素子10とは固定されていてもいなくてもよいが、少なくとも一方の透明板に色素増感光電変換素子10が固定されることが好ましい。色素増感光電変換素子10を第1の透明板21および第2の透明板22のいずれかに固定する方法は、従来公知の方法が用いられ、具体的には、例えば、接着剤による接着、ねじ止め、嵌合などが挙げられるが、これらのことに限定されるものではない。
図8は半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示す。図8に示すように、互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10は、上述したように、透明導電性基板3と対向基板5との間に設けられた光電変換部11を有する。光電変換部11は、多孔質電極と触媒層との間に設けられた電解質層とを有する。互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10は、2枚の透明板に挟持される形態で一定間隔を置いて同じ向きに配置される。このとき、二つの色素増感光電変換素子10は一つの面上に配置されていることが好ましく、同一平面上に配置されていることがより好ましい。二つの色素増感光電変換素子10とそれぞれの透明板とは、対向基板5の主面と第1の透明板21の主面とが第1の接着層25を介して接着されている。また、透明導電性基板3の主面と対向する第2の透明板22の主面とが第2の接着層を介してそれぞれ接着されていてもよい。2枚の透明板に挟持された二つの色素増感光電変換素子10の間隔は、光が透過可能に構成され、互いに隣接する2つの色素増感光電変換素子10の端面と、2枚の透明板とに囲まれた空間である間隔部24aを有する。この間隔部24a上方の第2の透明板22の光入射面採光部24となる。第2の透明板22を有しない場合には、上記間隔部24aが採光部24となる。採光部24に光が入射すると、光は、まず第2の透明板22を透過し、間隔部24aを通過した後に、第2の透明板22から出射することで、屋内などに採光する。この色素増感光電変換素子モジュールの大きさは特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、小さいものでは例えば数cm程度、大きいものでは例えば1m以上である。
また、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20は、第1の透明板21を廃した構成であってもよい。すなわち、複数の色素増感光電変換素子10が第2の透明板22上のみに配置されている構成であってもよい。逆に、複数の色素増感光電変換素子10が第1の透明板21上のみに配置されている構成であってもよい。この場合には第1の透明板21と色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3とが透明接着剤などによって接着される。
互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の間隔は、基本的には限定されないが、第2の透明板22上における上記間隔が5mm以上150mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがより好ましく、20mm以上30mm以下であることが最も好ましい。
第1の透明板21の材料は透明材料で構成される。透明材料は、具体的には、透明基板1に用いられる材料と同様な特性を有するものが好ましく、第1の接着層25および第2の接着層26に使用する樹脂などに溶融しない耐溶剤性に優れている材料がより好ましい。透明基板1として上記に挙げた材料を適宜選択することができるが、これに限定されるものではない。このことは、第2の透明板22においても同様であるが、色素増感光電変換素子モジュールを半透過型としない場合においては、第2の透明板21に変えて、不透明な材料で構成された板を用いることもできる。不透明な材料は従来公知のものを用いることができるが、具体的には、金属、樹脂、無機化合物などが挙げられるがこれに限定されるものではない。
第1の透明板21の板厚は基本的には限定されるものではないが、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましく、3mm以上4mm以下であることが最も好ましい。このことは第2の透明板22および上記不透明な材料で構成された板においても同様である。
また、第1の透明板21の主面上の少なくとも一部に表面反射を抑えて光の透過量を向上させるための処理または表面反射率を高める処理を施すことが好ましい。表面反射を抑えて光の透過量を向上させるための処理および表面反射率を高める処理は、上記に挙げたものを適宜選択することができる。
接着層25を構成する材料は、接着強度が高いものであれば、基本的にはどのようなものであってもよく、従来公知の接着剤などが用いられる。また、第1の硬化時に高い透明性を有する材質のものであれば基本的にはどのようなものであってもよく、具体的には、無機系接着剤、有機系接着剤、粘着フィルム、熱融着フィルムなどが挙げられ、有機系接着剤であれば、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコン樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤、エチレン酢酸ビニル(EVA)系接着剤、紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、天然樹脂などが挙げられ、粘着フィルムであれば、例えば、アクリル系粘着フィルム、ポリイミド粘着フィルム、透明なフィルムに上記に挙げた接着剤を塗布したものなどが挙げられ、熱融着フィルムであれば、ポリエチレン系樹脂フィルム、プロピレン系樹脂フィルムなどが挙げられ、上記に挙げた材料を組み合わせて用いることもできるが、これらのものに限定されるものではない。また、このことは第2の接着層26においても同様であるが、第2の接着層26を構成する材料は不透明であってもよい。不透明な材料は、接着強度が高いものであれば従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
また、半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20において、色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3の側面の少なくとも一部に表面反射率を高める処理を施してもよい。表面反射率を高める処理は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には光反射膜を表面に設ける反射コーティングなどが挙げられ、光反射膜は上記に上げたものを適宜選択する。
色素増感光電変換素子10においては、一方の色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3の端面に表面反射を高める処理を施すことが好ましい。さらに、もう一方の色素増感光電変換素子10の上記端面とは対向する透明導電性基板3の端面には、表面反射を抑え光の透過量を向上させる処理を施すことがより好ましいが、これに限定されるものではない。
[色素増感光電変換素子モジュールの動作]
第3の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を構成する各色素増感光電変換素子10は、半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の一方の末端の色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の他方の末端の色素増感光電変換素子10の対極7に戻る。その他のことは、第1の実施の形態による色素増感光電変換素子10の動作と同様である。
[色素増感光電変換素子モジュールの製造方法]
この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の製造方法について説明する。
まず、複数の色素増感光電変換素子10を第1および第2の実施の形態のいずれかの方法で製造する。次に、第2の透明板22の主面上に、複数の色素増感光電変換素子10を、互いに離れて配置し、第2の透明板22の主面と色素増感光電変換素子10の対向基板5の主面との間に第2の接着層26を形成する。これにより、第2の透明板22と複数の色素増感光電変換素子10とがそれぞれ接着され、主面上に複数の色素増感光電変換素子10が第2の接着層26を介して設けられた第2の透明板22を得た。
次に、隣接する二つの色素増感光電変換素子10を電気的に接続する。別の方法として、隣接する二つの色素増感光電変換素子10を電気的に接続した後に、第2の透明板22と色素増感光電変換素子10との間に第2の接着層26を形成してもよい。
次に、第1の透明板21を、色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3上に、色素増感光電変換素子10に関して第2の透明板22と線対称な位置に配置する。次に、第1の透明板21の主面と色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3の主面との間に第1の接着層25を形成する。これにより、第1の透明板21と複数の色素増感光電変換素子10とがそれぞれ接着され、目的とする採光部24を有する半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20が製造される。
<実施例6>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。製造した色素増感光電変換素子10は、一辺が125mmの正方形で厚さ4.1mmであった。
次に、第1の透明板21および第2の透明板22として、縦805mm、横650mm、板厚が3mmのソーダガラス板を2枚用意した。次に、第2の透明板22である2枚のうちの一方のガラス板(ガラス板Bとする)の主面上に複数の色素増感光電変換素子10を設けた。色素増感光電変換素子10は、ガラス板Bの縦横それぞれの端辺から垂直に30mm進んだ位置から、縦横30mm間隔に5行4列で配置される。このとき、ガラス板B上における間隔部は30mm幅の千鳥格子状となる。ガラス板Bに色素増感光電変換素子10を配置する際に、色素増感光電変換素子10の対向基板5であるチタニウム板の主面全面にEVA接着剤を塗布し、ガラス板Bと色素増感光電変換素子10との間に第2の接着層25であるEVA層を形成し両者を接着した。次に隣接する色素増感光電変換素子10同士をタブ線で電気的に直列に接続した。
次に、もう一方のガラス板(ガラス板Aとする)を、色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3であるFTO板上に、色素増感光電変換素子10の断面中心線に関してガラス板Bと線対称な位置に配置した。第2の透明板22に色素増感光電変換素子10を配置する際には、色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3であるFTO基板の主面全面にEVA接着剤を塗布し、ガラス板Aと色素増感光電変換素子10との間に第1の接着層24であるEVA層を形成し両者を接着した。以上により、目的とする半透過型の色素増感光電変換素子10が製造した。
図9Aは、実施例6の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示した断面図である。
ここで、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置した場合を考える。この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面には太陽光が入射することを想定する。
入射太陽光の水平方向成分の入射角は、太陽が移動することにより午前から午後にかけて変化する。特に従来においては光入射面に斜め方向から入射する光を効率よく採光することができなかったが、図9Aに示すように、色素増感光電変換素子10を互いに離して配置して採光部24を設けたので、色素増感光電変換素子10の側面に太陽光を照射可能となり、さらに色素増感光電変換素子10の端面における透過率を90%としたので、光入射面に斜め方向から入射する光を効率よく色素増感光電変換素子10の光電変換部11に導くことができる。色素増感光電変換素子10の側面に入射した光のうちFTO基板の端面に入射した光は、その90%が素子内部に入射可能となる。
<実施例7>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
実施例2の方法で色素増感光電変換素子10を製造した。それ以外のことは実施例6と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図9Bは、実施例7の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示した断面図である。
実施例6と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置した場合を考える。この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面には太陽光が入射することを想定する。
図9Bに示すように、この実施例においては、実施例6の構成に加えて、色素増感光電変換素子10の端面を光入射面に対して45°の傾斜角を有するようにしたので、実施例6における利点を有するとともに、FTO基板の端面に入射した光は、FTO基板の端面において屈折することで光電変換部へ導くことができる。また、端面において表面反射した光は、互いに隣接して設けられたもう一方の色素増感光電変換素子10のFTO基板の端面に入射することができる。FTO基板の端面における反射、透過を調整するために、端面に上記に挙げたような表面処理を施すこともでき、具体的には、FTO基板の端面に光反射膜などを設けることが好ましく、その中でも反射率50%、透過率50%のハーフミラーとすることが好ましいが、これに限定されるものではない。
<実施例8>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
実施例3の方法で色素増感光電変換素子10を製造した。色素増感光電変換素子10は、対向基板5が互いに8.2mm離れ、FTO基板の端面の一部が互いに接するように設けた。それ以外のことは実施例6と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図10Aは、実施例8の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示した断面図である。
実施例6と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置した場合を考える。この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面には太陽光が入射することを想定する。
図10Aに示すように、この実施例においては、実施例6の構成に加えて、色素増感光電変換素子10におけるFTO基板の端面を突出させ、上記突出部を光入射面に対して135°の傾斜角を有するようにし、上記突出部が互いに対向するように隙間なく配置したので、実施例6の利点を有するとともに、採光部24に入射した光を、色素増感光電変換素子10のFTO基板の主面外縁部に入射させ、FTO基板の端面において反射させることで色素増感光電変換素子10の光電変換部11へ導くことができる。また、FTO基板の端面における反射、透過を調整するために、実施例9と同様な方法を用いてもよい。また、この実施例においては色素増感光電変換素子10を間隔無く配置しているが、互いに隣接する色素増感光電変換素子10を互いに離れて配置してもよい。
<実施例9>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
実施例2の方法で色素増感光電変換素子10を製造した。次に、色素増感光電変換素子10のFTO基板の端面のうちの一面にアルミニウムを真空蒸着させて100nmのAl膜を形成し、Al膜27を得た。次に、FTO基板のAl膜が形成された端面とは反対側の端面に、100nmのSi34の層をMOCVD法によって形成し、光反射防止膜であるSi34膜28を得た。互いに隣接する色素増感光電変換素子10は、一定間隔を置いて対向するFTO基板の端面が、一方は光反射膜であるAl膜27が設けられた端面、もう一方が光反射防止膜である、Si34膜28が設けられた端面となるように配置される。それ以外のことは実施例6と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図10Bは、実施例9の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示した断面図である。
実施例6と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置した場合を考える。この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面には太陽光が入射することを想定する。
図10Bに示すように、この実施例においては実施例8の構成に加えて、一方の色素増感光電変換素子10のFTO基板端面にはAl膜27が設けられ、対向するもう一方の色素増感光電変換素子10のFTO基板端面にはSi34膜28が形成されている。Al膜27およびSi34膜28の反射率および透過率は適宜決定されるが、この場合においては、全反射、全透過を想定する。Si34膜28が形成されたFTO基板の端面に入射した光は、FTO基板内部に光が入射することで実施例8と同様な利点を得ることができる。一方で、Al膜27が形成されたFTO基板の端面に入射した光は、端面で直角方向に全反射し、対向するもう一方の色素増感光電変換素子10のSi34膜28が形成されたFTO基板の端面に入射することで、入射光を効率よく色素増感光電変換素子10の光電変換部11に導くことができる。また、光反射膜および光反射防止膜は、Al膜およびSi34膜には限定されず、上記に挙げたものを適宜選択することができる。
<比較例2>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
比較例1の方法で色素増感光電変換素子10を製造した。それ以外のことは実施例8と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図11は、比較例2の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20における互いに隣接する二つの色素増感光電変換素子10の詳細を示した断面図である。
実施例6と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置した場合を考える。この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面には太陽光が入射することを想定する。
図11に示すように、比較例2においては、実施例6において用いた色素増感光電変換素子10を、FTO基板の端面の透過率が50%の色素増感光電変換素子10としたので、採光部24に入射した光のうち斜め方向から入射する光は、色素増感光電変換素子10の側面に入射可能ではあるものの、入射した光は端面における凹凸によって散乱反射し、FTO基板内部に透過する光は全入射光の50%となる。
以上のように、この第3の実施の形態によれば、半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20において、色素増感光電変換素子10を互いに離して配置して採光部24を設け、さらに、用いる色素増感光電変換素子10を、透明導電性基板3の端面が高効率で光が透過可能である第1および第2の実施形態による色素増感光電変換素子としたので、第1および第2の実施の形態と同様な利点を得ることともに、採光部24に斜めから入射する光を効率よく色素増感光電変換素子10の光電変換部11に導くことが可能となる。これにより、色素増感光電変換素子10に入射する光の角度が経時的に変化しても、常に入射光を効率よく発電利用することが可能となる。さらに、色素増感光電変換素子10の透明導電性基板3の端面形状を屈折または反射可能な形状としたので、採光部24に入射する光を、色素増感光電変換素子10の光電変換部24に導くことが可能となる。これにより、色素増感光電変換素子10の間隔および端面形状を任意に変更することで、採光部24に入射した光を室内採光などに用いるか、発電に用いるかを任意に選択することが可能になる。
<4.第4の実施の形態>
[色素増感光電変換素子モジュール]
図12は第4の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す平面図である。図13Aは図12のG−G線に沿っての断面図、図13Bは図12のH−H線に沿っての断面図である。
図12、図13AおよびBに示すように、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20は、第3の実施の形態の色素増感光電変換素子モジュール20の間隔部24aにおける第1の透明板21の、第2の透明板22と対向する面上に透明接着層31を介して導光体を設けたものである。この例では、色素増感光電変換素子10に垂直に光を導光する垂直導光スペーサ29および水平に光を導光する水平導光スペーサ30を設けているが、導光体はこれらのものに限定されるものではない。第1の透明板21から第2の透明板22にかけては、垂直導光スペーサ29または水平導光スペーサ30を介して光が透過可能である。
垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30は、導光体として上記に挙げた材料および形状を適宜選択して製造される。特に、形状は、採光部24に入射した光が色素増感光電変換素子10内に効率良く入射可能なような、大きさ、角度が適宜選択される。このことは、水平導光スペーサ30においても同様である。
また、垂直導光スペーサ29の大きさは、色素増感光電変換素子モジュール20の互いに隣接する色素増感光電変換素子10が形成する間隔部24aに収納可能であれば、基本的にはどのような大きさ、形状であってもよいが、好適には、垂直導光スペーサ29の少なくとも一面が、間隔部24aを形成する第1の透明板21の面と同一の大きさおよび/または形状であることが好ましく、垂直導光スペーサ29の上記の面以外の少なくとも一面が色素増感光電変換素子10の端面と同一の大きさおよび/または形状であることがより好ましいが、これらのことに限定されるものではない。このことは、水平導光スペーサ30においても同様である。
また、垂直導光スペーサ29の表面の少なくとも一部に表面反射を抑えて光の透過量を向上させるための処理または表面反射率を高める処理を施すことが好ましい。表面反射を抑えて光の透過量を向上させるための処理および表面反射率を高める処理は、上記に挙げたものを適宜選択することができる。このことは、水平導光スペーサ30においても同様である。
また、垂直導光スペーサ29の材質、形態、設置方法は水平導光スペーサ30にもそのまま適用することが可能であり、逆に、水平導光スペーサ30の材質、形態、設置方法も垂直導光スペーサ29にそのまま適用が可能である。
また、この色素増感光電変換素子モジュール20に用いられる色素増感光電変換素子10は、第1および第2の実施の形態による色素増感光電変換素子10のいずれかから選ばれる少なくとも一種類が好ましいが、これらのものには限定されず、透明導電性基板3の端面における光透過率が90%に満たない色素増感光電変換素子10を用いることもできる。
また、第1の透明板21を、色素増感光電変換素子10を構成する透明基板1または透明導電性基板3としてもよい。その場合にあっては、透明導電性基板3上に、互いに離れて複数の光電変換部11を有し、光電変換部11は、透明導電性基板3と対向基板5との間に設けられており、互いに隣接する二つの光電変換部11の間には、入射光を光電変換部の端面に導く導光体を有する光電変換素子モジュール20となる。導光体は、互いに隣接する光電変換部11の間に封止体9を介して設けられることが好ましく、対向基板5側の面の少なくとも一部に、第2の透明板22を設ける場合にあっては、透明導電性基板3と第2の透明板22が、互いに離れて設けられた複数の光電変換部11の少なくとも1つを挟持する形態で設けられることが好ましいが、これらのことに限定されるものではない。
また、導光体として導光スペーサに代えて導光板を用いてもよい。垂直導光体である垂直導光板の形状は、採光部24に入射した光が色素増感光電変換素子10内に効率良く入射可能なような大きさであることが好ましく、上記の垂直導光スペーサの光入射面と同様な向きに垂直導光板の光入射面が設置される。垂直導光板の光入射面の角度と設置面とがなす角は30°以上60°以下であることが好ましく、40°以上50°以下であることがより好ましいが、このことに限定されるものではなく、設置環境によって適宜選択される。導光板のその他のことは、垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30と同様である。
また、色素増感光電変換素子10の主面または第1の透明板21の主面の少なくとも一部に、反射率を高めるための表面処理を施すことが好ましい。この処理は、典型的には光反射膜を形成することであり、光反射膜として上記に挙げたものを適宜選択することができるが、これらのことに限定されるものではない。
反射率を高める表面処理は、典型的には、色素増感光電変換素子10の端部から封止体9が設けられている領域の垂直上方の透明導電性基板3の光入射面または第1の透明板21の主面上に設けられる。これは、色素増感光電変換素子10の封止体9は貼り合わせシールのため、封止体9が発電無効領域となるためである。このため、封止体9の垂直上方から入射する光は発電に寄与できない。このため、この発電無効領域の垂直上方から入射する光を光反射膜で反射しても発電量は低下することはない、一方で、導光体よって端面から入射した光を、光反射膜で発電領域に導くことによって発電量を増加させることができる。
[色素増感光電変換素子モジュールの動作]
第4の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の動作は、第3の実施の形態による半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の動作と同様である。
[色素増感光電変換素子モジュールの製造方法]
この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20の製造方法について説明する。
まず、複数の色素増感光電変換素子10を第1および第2の実施の形態のいずれかの方法で製造する。次に、透明材料を加工して垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30を製造する。
次に、第2の透明板22上に、複数の色素増感光電変換素子10を互いに離れて配置し、間隔部24aの領域内の第2の透明板22の面上に、第2の透明板22の横方向の一辺に平行に延在する複数の間隔部42aの少なくとも一部に垂直導光スペーサ29を配置する。次に、互いに対向する第2の透明板22の面と垂直導光スペーサ29の面との間に接着層25を形成し、第2の透明板22と複数の垂直導光スペーサ29とをそれぞれ接着する。垂直導光スペーサ29は、複数の間隔部42aの全てに設けられることが好ましく、間隔部42aの領域内の第2の透明板22の全面を覆うように設けられることがより好ましいが、これらのことに限定されるものではない。また、垂直導光スペーサ29は第1の透明板21上に設けてもよい。
次に、第2の透明板22の縦方向の一辺に平行に延在する複数の間隔部42aのうち、垂直導光スペーサ29が設けられていない領域内の第2の透明板22の面上の少なくとも一部に、水平導光スペーサ30を配置する。次に、互いに対向する第2の透明板22の面と水平導光スペーサ30の面との間に接着層25を形成し、第2の透明板22と複数の垂直導光スペーサ29とをそれぞれ接着する。垂直導光スペーサ29は、水平導光スペーサ30は、複数の間隔部42aの全てに設けられることが好ましく、間隔部42aの領域内の第2の透明板22の全面を覆うように設けられることがより好ましいが、これらのことに限定されるものではない。また、垂直導光スペーサ29は第1の透明板21上に設けてもよい。また、第2の透明板22の縦方向の一辺に平行に延在する複数の間隔部24aと、横方向の一辺に平行に延在する複数の間隔部24aが交差する部分には、垂直導光スペーサ29を設けても水平導光スペーサ30を設けてもよいが、色素増感光電変換素子10に光が入射するように設計された第3の導光スペーサを設けてもよい。
また、第2の透明板22の主面上に、垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30を全て設けた後に、色素増感光電変換素子10を設けてもよく、第2の透明板22の主面上に、垂直導光スペーサ29および水平導光スペーサ30のいずれかの少なくとも一部を設けた後に色素増感光電変換素子10を設け、その後残りの導光体を設けてもよいが、これらのことに限定されるものではない。
また、導光体として、導光板を用いる場合においては、導光板の光入射面を、上記の導光スペーサの光入射面と同様にして配置すること以外は、上記の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20と同様に製造することができる。その他のことは、第3の実施の形態の色素増感光電変換素子モジュール20と同様にして、目的とする採光部24の内部に導光体を有する半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20が製造される。
<実施例10>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、垂直導光スペーサ29であるプリズムAを製造する。
まず、厚さ4.1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦8.2mm、横650mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、底辺8.2mm、高さの辺4.1mmの直角三角形を底面とする高さ650mmの三角柱体のガラス棒であるプリズムAを6本得た。次に、プリズムAの全面を研磨し鏡面とした。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムBを製造する。
まず、厚さ4.1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦4.1mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、等辺を4.1mmとする直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体のガラス棒を50本得た。次に、得られたガラス棒の全面を研磨し鏡面とした。次に、得られたガラス棒2本組み合わせて、底辺8.2mm、高さ4.1mmの直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体のガラス棒であるプリズムBを25本得た。プリズムBは、厚さ4.1mmのガラス板を縦8.2mm、横125mmに切断し、切断したガラス板をガラス切削機で切削して一体として形成してもよい。
次に、実施例6と同様な方法でガラス板Bの主面上に複数の色素増感光電変換素子10を設けた。このとき、色素増感光電変換素子10は、ガラス板Bの縦方向のそれぞれの端辺から垂直に65.4mm進んだ2辺と、横方向のそれぞれの端辺から垂直に54.5mm進んだ2辺とによって形成される領域に縦横8.2mm間隔に5行4列で配置する。このとき、間隔部は8.2mm幅の千鳥格子状になる。
次に、ガラス板Bの横方向の一辺に平行に延在するガラス板B上の間隔部6つに垂直導光スペーサ29であるプリズムAを6本設けた。プリズムAは、プリズムAの面のうち、上記ガラス板Bの間隔部と同じ大きさの面がガラス板Bと接する。具体的には、プリズムAの4.1mm×650mmの面が、複数の色素増感光電変換素子10の側面全面と接し、かつ8.2mm×650mmの面のうちの全面が、ガラス板Bに接するように配置する。配置をする際には、プリズムAのガラス板Bと接合する全面にEVA接着剤を塗布し、両者を接着し固定する。
次に、ガラス板Bの縦方向の一辺に平行に延在するガラス板B上の複数の間隔部のうち、垂直導光スペーサ29が設けられていない領域25箇所に全てプリズムBを設けた。プリズムBは、プリズムBの面のうち、上記領域と同じ大きさの面がガラス板Bと接する。具体的には、プリズムBの8.2×125mmの面の全面がガラス板Bの上記領域に接するように配置する。配置をする際には、プリズムBのガラス板Bと接合する全面にEVA接着剤を塗布し、両者を接着し固定する。それ以外のことは実施例6と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図14は、実施例10の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。また、図15は、実施例10の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す垂直断面図である。
ここで、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、入射面には太陽光が入射することを想定する。
入射太陽光の水平方向成分の入射角は、太陽が移動することにより午前から午後にかけて変化する。この太陽光入射角の変化には、図14に示すように、色素増感光電変換素子10の配置を実施例6と同様としたことで、実施例6と同様な効果を得ることができる。
一方で、太陽が南中する昼間においては採光部24に入射した光の殆どは、端面に対する太陽光入射角が小さすぎるため、色素増感光電変換素子10の端面へは入射することはない。そこで、採光部24に入射した光を水平導光スペーサ30で反射させることで、色素増感光電変換素子10の光電変換部11に光を導くことが可能となり、朝昼夕にかけて太陽光の採光効率を著しく向上させることができる。水平導光スペーサ30の形状は光入射面に垂直に入射する光を角度90°で反射させるために、垂直二等辺三角形であることが好ましい。
また、入射太陽光の垂直方向成分の入射角は、図15に示すように、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を設置する場所の緯度および季節による太陽高度の影響が大きい。しかしながら、入射光の水平成分の場合とは異なり、光入射面に対して90°の入射角から上方向には変化しても、90°から下方向には変化しない。つまり、光入射面に対して90°より上で入射角が変化するならば、90°よりも下の入射角で太陽光が入射することはないということである。このことから、垂直導光スペーサ29は、水平導光スペーサ30のような二等辺三角形ではなく、片側にのみ傾きを持った、くさび形状のスペーサが好ましい。
ここで、このくさび形状の光入射面に対する傾斜角は一般に30°が好ましいが、太陽光は90°よりも小さい入射角で入射しないことから。さらに、このくさび形状の傾斜角は45°よりも大きくすることは好ましくない。よって、傾斜角は、10°以上45未満であることが好ましく、15°以上35°以下であることが好ましく、20度以上30°以下であることが最も好ましいが、これらのものには限定されず、設置場所などによって適宜決定される。
また、このくさび形状の光入射面に対する傾斜角は、例えば、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を赤道に近い低緯度の場所に設置する場合には、太陽高度が高い状態が多いことから傾斜角を小さくすること、例えば20°に近い方が好ましく、具体的には10°以上30°以下であることが好ましく、15°以上25°以下であることが最も好ましい。逆に極地などの高緯度の場所に設置する場合には、太陽高度が低い場合が多いことから傾斜角度を大きくすること、例えば、45°に近い方が好ましく、具体的には、30°以上45以下であることが好ましく、40°以上45°以下であることがより好ましい。
<実施例11>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光板33である導光板Aを製造する。
まず、厚さ1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦6mm、横125mmに切断する。次に、このガラス板を切削した後に接合することによって5.8mmの等辺に挟まれる角が90°のL字形を底面とする長さ125mm、厚さ1mmの柱体である導光板Aを得た。得られた導光板Aの全面を研磨し鏡面とした。
次に、ガラス板Bの横方向の一辺に平行に延在するガラス板B上の6つの間隔部24aに水平導光板33である導光板Aを6本設けた。導光板Aは、互いに隣接する複数の色素増感光電変換素子10が形成する間隔部24a内に納まるように、ガラス板Aの光入射面に対して導光板Aの頂角(90°)が対向するように配置する。導光板Aのガラス板Bと対向する2つの端面とガラス板Bとは接着層を介して接合されている。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図16は、実施例11の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、入射太陽光は実施例10と同様に色素増感光電変換素子10の光電変換部11に入射し、実施例10と同様な利点を得ることができる。
<実施例12>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、垂直導光板32である導光板Bを製造する。
まず、厚さ1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦9mm、横125mmに切断する。次に、得られたガラス板の全面を研磨し鏡面とした。
次に、ガラス板Bの横方向の一辺に平行に延在するガラス板B上の間隔部6つに垂直導光板32である導光板Bを6本設けた。導光板Bは、色素増感光電変換素子10の間隔部24a内に納まるように、ガラス板Aの光入射面に対して導光板Bの主面が30°または60°の角度をなすように傾けて配置する。導光板Bのガラス板Bと対向する端面とガラス板BとはEVA接着剤で接合し、透明接着層31を形成する。また、導光板Bのガラス板Aと対向する端面とガラス板AとはEVA接着剤で接合し透明接着層31が形成する。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図17は、実施例12の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、実施例10と同様な利点を得ることができるとともに、導光体を導光スペーサよりも軽量な導光板としたので、色素増感光電変換素子モジュール20の重量を軽く構成することが可能となる。
<実施例13>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムCを製造する。
まず、厚さ4.1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦8.2mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、底辺8.2mm、高さ4.1mm、底辺と対向する角が直角である直角三角形を底面とする高さ125mmの三角柱体のガラス棒であるプリズムCを6本得た。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図18Aは、実施例13の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定する。さらに、この実施例においては、例えば、南西方向を向く壁面に色素増感光電変換素子モジュール20を設置する場合を想定する。そうすると、この色素増感光電変換素子モジュール20の光入射面に入射する光は夕方においては垂直に近い角度となるが、朝方においてはより低角度で入射することになる。そこで、この実施例においては、実施例10における水平導光スペーサ30を、図18に示すような傾斜の小さい面と傾斜の大きい面とで頂角を挟むくさび形の形状とすると、実施例10の利点を有するとともに、朝方の太陽光などの、より低角度で入射する入射光に対応することができる。この2つの傾斜面の傾斜角度は、色素増感光電変換素子モジュール20を設置する場所における、入射光の変位などの照射条件によって適宜選択される。
<実施例14>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光板33である導光板Cを製造する。
まず、厚さ1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦4mm、横125mmおよび縦7mm、横125mmにそれぞれ切断する。次に、このガラス板を切削した後に接合することによって4mmの辺と7.9mmの辺に挟まれる角が90°のL字形を底面とする長さ125mm、厚さ1mmの柱体である導光板Cを得た。得られた導光板Cの全面を研磨し鏡面とした。
次に、ガラス板Bの横方向の一辺に平行に延在するガラス板B上の間隔部6つに水平導光板33である導光板Cを6本設けた。導光板Cは、色素増感光電変換素子10の間隔部24a内に納まるように、ガラス板Aの光入射面に対して導光板Cの頂角(90°)が対向するように配置する。導光板Cのガラス板Bと対向する2つの端面とガラス板BとはEVA接着剤で接合し、透明接着層31を形成する。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図18Bは、実施例14の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
図18に示すように、実施例13と同様な設置形態を想定する場合において、実施例13と同様な利点を得ることができるとともに、導光体を導光スペーサよりも軽量な導光板としたので、色素増感光電変換素子モジュール20の重量を軽く構成することが可能となる。
<実施例15>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムDを製造する。
まず、厚さ4.1mmのソーダガラス板を用意する。次に、ソーダガラス板を、縦4.1mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、等辺を4.1mmとする直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体のガラス棒を50本得た。同様に、ソーダガラス板を、縦21.8mm、横125mmに切断し、直方体のガラス棒25本を得た。次に、得られたこれらのガラス棒の全面を研磨し鏡面とした。
次に、得られた3つのガラス棒を、それぞれ1本ずつ組み合わせて、上底が21.8mm、下底が30mm高さ4.1mmの等脚台形を底面とする、高さ125mmの台形柱体のガラス棒であるプリズムDを25本得た。プリズムDは、厚さ4.1mmのガラス板を縦30mm、横125mmに切断し、切断したガラス板をガラス切削機で切削して一体として形成してもよい。
次に、実施例6と同様な方法でガラス板Bの主面上に複数の色素増感光電変換素子10を設けた。互いに隣接する色素増感光電変換素子10のガラス板B上における間隔部は同様に30mmとした。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図19Aは、実施例15の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、実施例10と同様な利点を有するとともに、水平導光スペーサ30の断面形状を台形形状とし、特に水平導光スペーサの端面を全反射可能に構成すると、透過部と反射部を独立して設けることが可能となったので、採光部24に入射した光を採光利用するか、発電利用するかを制御することが可能となる。
<実施例16>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光板33である導光板Dを製造する。
まず、厚さ1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦6mm、横125mmおよび21mm、横125mmにそれぞれ切断する。次に、このガラス板を切削した後に接合することによって、21mmの平板の両端面に5.8mmの平板が135°の角度をなして接合している、厚さ1mm、長さ125mmの柱体である導光板Dを得た。得られた導光板Dの全面を研磨し鏡面とした。
次に、実施例6と同様な方法でガラス板Bの主面上に複数の色素増感光電変換素子10を設けた。互いに隣接する色素増感光電変換素子10のガラス板B上における間隔部は同様に30mmとした。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図19Bは、実施例16の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例15と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、実施例15と同様な利点を有するとともに、導光体を導光スペーサよりも軽量な導光板としたので、色素増感光電変換素子モジュール20の重量を軽く構成することが可能となる。
<実施例17>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムEを製造する。
まず、厚さ4.1mmの石英ガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦8.2mm、横125mmに切断し柱体であるプリズムEを得た。プリズムEは、色素増感光電変換素子10のFTO基板を構成するソーダガラスよりも屈折率が小さく、空気の屈折率よりも大きい石英ガラスによって構成されている。プリズムEを構成する材料は、空気よりも大きい屈折率の値を有し、かつ、透明導電性基板3よりも小さい屈折率を有する材料であれば基本的にはどのようなものであってもよい。次に、得られたプリズムEの全面を研磨し鏡面とした。
次に、得られたプリズムEを水平導光スペーサ30として、互いに隣接する色素増感光電変換素子10のガラス板B上における間隔部に設けた。
プリズムEは、互いに隣接する色素増感光電変換素子10の間隔部の空間を、プリズムEが全て埋めるようにして設けられる。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図20Aは、実施例17の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、この実施例においては、実施例10の採光部24における間隔部の全ての領域を水平導光スペーサで置き換えたので、実施例10の利点を有するとともに。採光部24の入射面に垂直に入射した光は、水平導光スペーサをそのまま透過し外部へ出射する。一方、入射面に斜めから入射する光は、第2のガラス板と水平導光スペーサとの界面において屈折し、色素増感光電変換素子10の端面に入射光が導かれることにより、発電効率を向上させることができる。また、光の入射角の変位量に応じて第2の透明板22と水平導光スペーサ30との比屈折率の値を決定することで、設置環境に適宜対応することが可能となる。また、水平導光スペーサをコア層とクラッド層を適宜組み合わせて多層構造を構成し、屈折率分布をもたせることによって水平導光スペーサ内で光を屈折させて、色素増感光電変換素子10の端面に光を入射させてもよい。
<実施例18>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
まず、実施例2の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムFを製造する。
まず、厚さ4.1mmの石英ガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦30mm、横125mmに切断しガラス柱体を得た。次に、このガラス柱体を切削して上底が21.8mm、下底が30mm高さ4.1mmの等脚台形を底面とする、高さ125mmの台形柱体のガラス棒であるプリズムFを得た。プリズムFは、色素増感光電変換素子10のFTO基板を構成するソーダガラスよりも屈折率が小さく、空気の屈折率よりも大きい石英ガラスによって構成されている。プリズムFを構成する材料は、空気よりも大きい屈折率の値を有し、かつ、透明導電性基板3よりも小さい屈折率を有する材料であれば基本的にはどのようなものであってもよい。
次に、得られたプリズムFを水平導光スペーサ30として、互いに隣接する色素増感光電変換素子10のガラス板B上における間隔部に配置した。
プリズムFを、互いに隣接する色素増感光電変換素子10の間隔部の空間を、プリズムFが全て埋めるようにして配置する。具体的には、プリズムFの21.8mm×125mmの面とガラス板Bの間隔部主面とを、色素増感光電変換素子10の端面とプリズムFの4.1√2×125の面とをEVA接着剤で接着する。その他のことは実施例10と同様にして色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図20Bは、実施例18の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、この実施例においては、実施例7の色素増感光電変換素子モジュール20の間隔部を水平導光スペーサ30が全て埋めるようにして設けられているので、実施例7および実施例16の利点を得ることができる。
<実施例19>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムGを製造する。
まず、厚さ4.1mmの石英ガラス板を用意する。次に、このガラス板を、縦4.1mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、等辺を4.1mmとする直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体のガラス棒であるプリズムGを50本得た。次に、得られたプリズムGの全面を研磨し鏡面とした。
プリズムGは、プリズムGの面のうち、上記領域と同じ大きさの面がガラス板Bと接する。具体的には、プリズムGの一方の4.1×125mmの面の全面が色素増感光電変換素子10の端面と接し、もう一方の4.1×125mmの面の全面が第2の透明板22に接するように配置する。配置をする際には、プリズムGのガラス板Bと接合する少なくとも一部にEVA接着剤を塗布し、両者を接着し固定する。それ以外のことは実施例10と同様にして半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。また、プリズムGのもう一方の4.1×125mmの面の全面を第2の透明板22に接するように配置することもできる。
図21Aは、実施例19の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定すると、この実施例においては、色素増感光電変換素子10の端面に、光入射面に対して45°の傾斜角を有する水平導光スペーサ30を配置したので、実施例7における利点を有するとともに、水平導光スペーサ30をソーダガラスよりも屈折率の大きな石英ガラスとしたので、各界面における屈折率を大きくすることができる。
<実施例20>
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、水平導光スペーサ30であるプリズムHを製造する。
まず、厚さ4.1mmの石英ガラス板を用意する。次に、この石英ガラス板を、縦4.1mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、等辺を4.1mmとする直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体の石英ガラス棒を100本得た。
次に、厚さ4.1mmのソーダガラス板を用意する。次に、このソーダガラス板を、縦4.1mm、横125mmに切断する。次に、切断したガラス板をガラス切削機で切削し、等辺を4.1mmとする直角二等辺三角形を底面とする、高さ125mmの三角柱体の石英ガラス棒を100本得た。
次に、得られた石英ガラス棒およびソーダガラス棒の全面をそれぞれ研磨し鏡面とした。
次に、得られた石英ガラス棒と、ソーダガラス棒とをEVA接着剤で接合し、一辺が4.1mmの正方形を底面とする直柱体ガラス棒を50本得た。
次に、得られた直柱体ガラス棒2本のソーダガラスの面を互いに接合し、水平導光スペーサ30であるプリズムHを25本得た。接合には、EVA接着剤を用いる。また、水平導光スペーサ30は、直柱体ガラス棒2本の石英ガラスの面を互いに接合してプリズムHを構成もよいし、一方の直柱体ガラス棒のソーダガラスの面と、もう一方の直柱体ガラス棒の石英ガラスの面とを接合してプリズムHを構成してもよい。
次に、得られたプリズムHを水平導光スペーサ30として、互いに隣接する色素増感光電変換素子10のガラス板B上における間隔部に配置した。
プリズムHを、互いに隣接する色素増感光電変換素子10の間隔部の空間を、プリズムHが全て埋めるようにして配置する。具体的には、プリズムHの石英ガラスの面とガラス板Bの間隔部主面とを、プリズムHのソーダガラスの面とガラス板Aの間隔部主面とをEVA接着剤で接着する。その他のことは実施例10と同様にして色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図21Bは、実施例20の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定する。そうすると、この実施例においては、水平導光スペーサ30bである実施例19のプリズムGと、プリズムGとは屈折率の異なるソーダガラスで構成した水平導光スペーサ30aであるプリズムとを組み合わせて、水平導光スペーサ30であるプリズムHとしたので、実施例19の利点を有するとともに、さらに、各界面における屈折率を大きくすることができる。
<実施例21>
半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を以下のようにして製造した。
まず、実施例1の方法で色素増感光電変換素子10を20個製造した。
次に、垂直導光スペーサ29であるプリズムIを実施例13と同様にして作製し、底辺8.2mm、高さ4.1mmの斜辺を半径4.1mmの四分の一円弧とする凸形状を底面とする、高さ125mmの柱体のガラス棒であるプリズムIを25本得た。
次に、色素増感光電変換素子10のFTO基板の光入射面の4つの端辺から5mmまでの領域に光反射膜であるAl膜27を蒸着によって形成した。その他のことは実施例16と同様にして色素増感光電変換素子モジュール20を製造した。
図22は、実施例21の半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を示す水平断面図である。
実施例10と同様に、この半透過型の色素増感光電変換素子モジュール20を、太陽光が照射される屋外に設置し、光入射面には太陽光が入射することを想定する。そうすると、この実施例においては、採光部24を透過し、水平導光スペーサ30であるプリズムIに入射した一部の光は、色素増感光電変換素子10の透明基板1の面上の任意の一領域に集光する。上記任意の一領域には、Al膜27が設けられているので、集光された光は反射して光電変換部11に導かれることで、色素増感光電変換素子モジュール20の発電量を増加させることができる。また、プリズムIの凸形状は、この実施例の形状に限定されず、色素増感光電変換素子10の透明基板1の任意の一領域に集光可能であればどのような形状であってもよい。また、光反射膜はAl膜27に限定されず、FTO基板内部から外部へ出射する光を、光電変換部11に導光できるものであれば、どのような材質、大きさ、形状であってもよく、上記の各実施例においても組み合わせることができる。
また、上記の各実施例における導光体は、水平導光体および垂直導光体のいずれか一方のみで構成してもよいし、各実施例の導光体を互いに組み合わせて構成することもでき、例えば、水平導光スペーサ30と垂直導光スペーサ29とを上記の各実施例より選び、それぞれ組み合わせて、全ての方向からの入射光を効果的に採光することが可能となるモジュールとしてもよい。
以上のように、この第4の実施の形態によれば、第1〜第3の実施の形態と同様の利点を得るとともに、さらに、色素増感光電変換素子10を互いに離れて設けられた色素増感光電変換素子10の間隔部に導光体である導光スペーサおよび/または導光板を設けたので、導光体の形状、材質、構成などによって光学特性を変化させることにより効率よく色素増感光電変換素子10の端面に導光可能となる。また、採光部24の形状や大きさを変化させることなく、採光部24に入射した光の全光量に対する室内への採光量を調整することができる。また、色素増感光電変換素子10の透明基板の主面の少なくとも一部に光反射膜をさらに設けたので、導光体による反射などによって色素増感光電変換素子10内部から出射する光を反射させ、光電変換部へと導光することが可能となり、発電効率を向上させることができる。
以上、実施の形態および実施例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、透明基板と、上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有する光電変換素子モジュール。
(2)上記複数の光電変換素子は互いに離れて配置されている上記(1)に記載の光電変換素子モジュール。
(3)上記導光体の少なくとも一部は透明材料からなる上記(1)または(2)に記載の光電変換素子モジュール。
(4)上記導光体は上記1つの面上に配置されている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(5)上記導光体は、上記1つの面と交差する方向に平行な面を少なくとも1つ有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(6)上記1つの面と、上記導光体の上記1つの面と交差する方向に平行な1つの面とがなす角が20°以上80°以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(7)上記光電変換素子は長方形または正方形の平面形状を有し、上記導光体は上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の部分に設けられ、上記光電変換素子の一辺に平行に延在する柱の形状を有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(8)上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(9)上記透明基板の厚さが、1mm以上6mm以下である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(10)上記導光体は、断面形状が三角形または台形である柱の形状を有する上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(11)上記導光体は、上記1つの面と接する面を底面とした時の高さが、上記光電変換素子の厚さ以下である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(12)上記透明基板の光入射面の少なくとも一部に光反射膜を有する上記(1)〜(11)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(13)上記複数の光電変換素子のうち少なくとも1つは、2枚の透明板の間に挟持されている上記(1)〜(12)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(14)上記光電変換素子の端面が、その主面に対して傾斜している上記(1)〜(13)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(15)上記光電変換素子の端面の、その主面に対する傾斜角が30°以上60°以下である上記(1)〜(14)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(16)上記光電変換素子は上記多孔質電極に光増感色素が吸着した色素増感光電変換素子である上記(1)〜(15)のいずれかに記載の光電変換素子モジュール。
(17)1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、透明基板と、上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有する光電変換素子モジュールを製造する場合に、上記光電変換素子を、1つの面上に上記透明基板の端面が互いに対向するように配置し、互いに隣接する二つの光電変換素子の間に、上記光電変換素子の端面に入射光を導光可能に導光体を配置する光電変換素子モジュールの製造方法。
(18)少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、上記光電変換素子モジュールが、1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、透明基板と、上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである電子機器。
(19)少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、上記光電変換素子モジュールが、1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、透明基板と、上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、対極と、上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである建築物。
(20)上記光電変換素子および/または上記光電変換素子モジュールのうち、少なくとも1つは2枚の透明板の間に挟持されている上記(19)に記載の建築物。
1…透明基板、2…透明電極、3・透明導電性基板、4…多孔質電極、5…対向基板、6…触媒層、7…対極、8…電解質層、9…封止体、10…色素増感光電変換素子、11…光電変換部、20…色素増感光電変換素子モジュール、21…第1の透明板、22…第2の透明板、採光部…24、間隔部…24a、垂直導光スペーサ…29、水平導光スペーサ…30、垂直導光板…32、水平導光板…33。

Claims (20)

  1. 1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
    上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
    透明基板と、
    上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有する光電変換素子モジュール。
  2. 上記複数の光電変換素子は互いに離れて配置されている請求項1に記載の光電変換素子モジュール。
  3. 上記導光体の少なくとも一部は透明材料からなる請求項2に記載の光電変換素子モジュール。
  4. 上記導光体は上記1つの面上に配置されている請求項3に記載の光電変換素子モジュール。
  5. 上記導光体は、上記1つの面と交差する方向に平行な面を少なくとも1つ有する請求項4に記載の光電変換素子モジュール。
  6. 上記1つの面と、上記導光体の上記1つの面と交差する方向に平行な1つの面とがなす角が20°以上80°以下である請求項5に記載の光電変換素子モジュール。
  7. 上記光電変換素子は長方形または正方形の平面形状を有し、上記導光体は上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の部分に設けられ、上記光電変換素子の一辺に平行に延在する柱の形状を有する請求項6に記載の光電変換素子モジュール。
  8. 上記透明基板の端面の光透過率が90%以上である請求項7に記載の光電変換素子モジュール。
  9. 上記透明基板の厚さが、1mm以上6mm以下である請求項8に記載の光電変換素子モジュール。
  10. 上記導光体は、断面形状が三角形または台形である柱の形状を有する請求項9に記載の光電変換素子モジュール。
  11. 上記導光体は、上記1つの面と接する面を底面とした時の高さが、上記光電変換素子の厚さ以下である請求項10に記載の光電変換素子モジュール。
  12. 上記透明基板の光入射面の少なくとも一部に光反射膜を有する請求項11に記載の光電変換素子モジュール。
  13. 上記複数の光電変換素子のうち少なくとも1つは、2枚の透明板の間に挟持されている請求項12に記載の光電変換素子モジュール。
  14. 上記光電変換素子の端面が、その主面に対して傾斜している請求項9に記載の光電変換素子モジュール。
  15. 上記光電変換素子の端面の、その主面に対する傾斜角が30°以上60°以下である請求項10に記載の光電変換素子モジュール。
  16. 上記光電変換素子は上記多孔質電極に光増感色素が吸着した色素増感光電変換素子である請求項1に記載の光電変換素子モジュール。
  17. 1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
    上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
    透明基板と、
    上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有する光電変換素子モジュールを製造する場合に、
    上記光電変換素子を、1つの面上に上記透明基板の端面が互いに対向するように配置し、
    互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、上記光電変換素子の端面に入射光を導光可能に導光体を配置する光電変換素子モジュールの製造方法。
  18. 少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
    上記光電変換素子モジュールが、
    1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
    上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
    透明基板と、
    上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである電子機器。
  19. 少なくとも一つの光電変換素子モジュールを有し、
    上記光電変換素子モジュールが、
    1つの面上に配置された複数の光電変換素子を有し、
    上記複数の光電変換素子のうちの少なくとも互いに隣接する二つの光電変換素子は、
    透明基板と、
    上記透明基板上に設けられた多孔質電極と、
    対極と、
    上記多孔質電極と上記対極との間に設けられた電解質層とを有し、
    上記互いに隣接する二つの光電変換素子の間の少なくとも一部に、入射光を上記光電変換素子の端面に導く導光体を有するものである建築物。
  20. 上記光電変換素子および/または上記光電変換素子モジュールのうち、少なくとも1つは2枚の透明板の間に挟持されている請求項19に記載の建築物。
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