JP2009193911A - 色素増感光電変換素子およびその製造方法ならびに色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法ならびに電子機器ならびに多孔質シリカ膜の製造方法 - Google Patents

色素増感光電変換素子およびその製造方法ならびに色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法ならびに電子機器ならびに多孔質シリカ膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止膜が色素増感半導体層の作製に必要な焼成時の加熱に耐えることができ、しかも生産性・コストパフォーマンスに優れており、また、可視光の広範囲の波長域にわたって低い反射率を実現することができ、高い光電変換効率を得ることができる色素増感光電変換素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明導電性基板1の一方の主面上の色素増感半導体層2と対極5との間に電解質層6を有する色素増感光電変換素子において、透明導電性基板1の他方の主面の受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜3を形成する。多孔質シリカ膜3は、テトラメチルオルトシリケートとメチルトリエトキシシランとを水とアルコールとからなる溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を透明基板の他方の主面に塗布した後、この溶液を乾燥させることにより形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、色素増感光電変換素子およびその製造方法ならびに色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法ならびに電子機器ならびに多孔質シリカ膜の製造方法に関し、例えば、色素を担持した半導体微粒子からなる色素増感半導体層を用いた色素増感太陽電池およびこれを用いる各種の電子機器に適用して好適なものである。
太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換素子である太陽電池は太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて少なく、より一層の普及が期待されている。
太陽電池の材質としては様々なものが検討されているが、シリコンを用いたものが多数市販されており、これらは大別して、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶質(アモルファス)シリコン系太陽電池とに分けられる。従来、太陽電池には、単結晶または多結晶のシリコン、すなわち結晶シリコンが多く用いられてきた。
しかし、結晶シリコン系太陽電池では、光(太陽)エネルギーを電気エネルギーに変換する性能を表す光電変換効率が、アモルファスシリコン系太陽電池に比べて高いものの、結晶成長に多くのエネルギーと時間とを要するため生産性が低く、コスト面で不利であった。
また、アモルファスシリコン系太陽電池は、結晶シリコン系太陽電池と比べて光吸収性が高く、基板の選択範囲が広い、大面積化が容易であるなどの特徴があるが、光電変換効率が結晶シリコン系太陽電池より低い。さらに、アモルファスシリコン系太陽電池は、生産性は結晶シリコン系太陽電池に比べて高いが、結晶シリコン系太陽電池と同様に製造に真空プロセスが必要であり、設備面での負担は未だに大きい。
一方、上記の問題を解決し、太陽電池のより一層の低コスト化に向けて、シリコン系材料に代えて有機材料を用いた太陽電池が多く研究されてきた。しかし、これらの太陽電池の多くは光電変換効率が1%程度と非常に低く、実用化には至らなかった。
その中で1991年にグレッツェルらが提案した色素増感太陽電池は安価で高い光電変換効率を示し、また、従来のシリコン系太陽電池とは異なり製造の際に大掛かりな装置を必要としないことなどから注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この色素増感太陽電池の一般的な構造は、透明導電性基板上に形成した酸化チタンなどの半導体多孔質膜に増感色素を組み合わせた半導体多孔質電極(色素増感半導体層)と、白金層などを基板上に形成して得られる対極とを対向させ、これらの周辺部を封止材で封止し、両極間にヨウ素やヨウ化物イオンなどの酸化・還元種を含む有機電解液を充填したものである。
この色素増感太陽電池の光電変換効率の向上を図るためには、受光面に反射防止膜を設け、光電変換層である色素増感半導体層に入射する光の量を増やすことが不可欠である。この反射防止膜としては多層型反射防止膜と単層型反射防止膜とがあり、現在は、多層型反射防止膜が主流となっている。この多層型反射防止膜は、種々の層を組み合わせることにより反射防止性能を向上させることが可能であり、高性能化を図ることが容易である反面、コストが高く、高温加熱に弱いという欠点がある。そこで、層構成が単純で生産性・コストパフォーマンスに優れており、また、可視光の広範囲の波長域にわたって低い反射率を実現しやすいなどの理由により工業的に好ましい反射防止膜として単層型反射防止膜が注目されている。
なお、レーザアニールに耐えることができ、レーザ照射後も剥離する必要のない反射防止膜として、化学気相成長(CVD)法により形成された多孔質シリカ膜を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、太陽電池パネル表面の反射防止処理などのための反射防止膜として、内部が空洞である中空微粒子を第1バインダーで相互に結合させることによって形成される低屈折率層からなり、この低屈折率層内の中空微粒子間の空隙に第2バインダーを充填した反射防止膜が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63である反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、少なくとも鎖状のシリカゾルおよび粒径50〜300nmの球状微粒子を含有する反射防止膜用組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。また、光学基材の表面に設けられた少なくとも1層の低屈折率層を有し、この低屈折率層は内部に空洞を有する中空シリカ微粒子と微細シリカ粒子およびバインダーとを含み、中空シリカ微粒子および微細シリカ粒子の重量に対してバインダーが重量比で0.1以上0.8以下である反射防止膜が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
なお、酸化チタン(TiO2 )微粒子が分散されたTiO2 ペーストの作製方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
Nature,353,p.737(1991) 荒川裕則「色素増感太陽電池の最新技術」(シーエムシー)p.45-47(2001) 特開2001−272506号公報 特開2004−258267号公報 特開2004−37795号公報 特開2005−10470号公報 特開2007−78711号公報
一方、色素増感太陽電池の製造プロセスにおいては、TiO2 などの半導体多孔質膜を焼成により形成するために450℃程度以上の温度での加熱のプロセスが必須である。しかし、従来、この高温加熱プロセスに耐え得る単層型反射防止膜は存在しなかった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、反射防止膜が色素増感半導体層の作製に必要な焼成時の加熱に耐えることができ、しかも生産性・コストパフォーマンスに優れており、また、可視光の広範囲の波長域にわたって低い反射率を実現することができ、高い光電変換効率を得ることができる色素増感太陽電池などの色素増感光電変換素子の製造方法、そのような色素増感光電変換素子、そのような製造方法を用いた色素増感光電変換素子モジュールの製造方法、そのような色素増感光電変換素子モジュール、上記の優れた色素増感光電変換素子を用いた電子機器ならびに多孔質シリカ膜の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、第1の発明は、
色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子の製造方法において、
受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成するようにした
ことを特徴とするものである。
第2の発明は、
色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子において、
受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有する
ことを特徴とするものである。
第3の発明は、
色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールの製造方法であって、
受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成するようにした
ことを特徴とするものである。
第4の発明は、
色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールであって、
受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有する
ことを特徴とするものである。
第5の発明は、
色素増感光電変換素子を用いた電子機器において、
上記色素増感光電変換素子が、
色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子において、
受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有するものである
ことを特徴とするものである。
第1〜第5の発明において、典型的には、透明導電性基板の一方の主面に色素増感半導体層を形成し、この透明導電性基板の他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成する。この場合、この透明導電性基板の他方の主面が受光面である。この多孔質シリカ膜は、好適には、受光面の全体に設けられるが、受光面の少なくとも一部に設けられるだけであってもよい。この多孔質シリカ膜を形成するには、好適には、テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を透明基板の他方の主面に塗布した後、この溶液を乾燥させる。テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させる場合、例えば、塩酸などの酸を触媒として用いることができる。この反応は、好適には、溶液を攪拌しながら行い、好適には室温以上の温度で行う。テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物との反応により得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成する場合、好適には、この組成物に界面活性剤を加えた溶液を攪拌しながら行う。
ここで、テトラアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン(テトラメチルオルトシリケート)、テトラエトキシシラン(テトラエチルオルトシリケート)、テトラプロポキシシラン(テトラプロピルオルトシリケート)、テトラブトキシシラン(テトラブチルオルトシリケート)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このテトラアルコキシシランの加水分解によりシラノール基(Si−OH)が生成される。
ポリアルコキシシリル化合物としては、具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを溶かす少なくとも水を含む溶媒としては、好適には、水とアルコールとを含むものが用いられる。このアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの各種のアルコールを用いることができる。
界面活性剤としては、具体的には、例えば、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(BASF社、商品名:Pluronic F 127、Pluronic 127、Pluronic 123、Pluronic P 103、Pluronic P 85、Pluronic L 64など)、セチルトリメチル臭化アンモニウム(CTAB)、セチルトリメチル塩化アンモニウム(CTAC)、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム(DTAB)、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム(DTAC)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
色素増感半導体層が形成される透明導電性基板は、導電性または非導電性の透明支持基板上に透明導電膜を形成したものであっても、全体が導電性の透明基板であってもよい。この透明支持基板の材質は特に制限されず、透明であれば種々の基材を用いることができる。この透明支持基板は、色素増感光電変換素子外部から侵入する水分やガスの遮断性、耐溶剤性、耐候性などに優れているものが好ましく、具体的には、石英、サファイア、ガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられ、これらの中でも特に可視光領域の透過率が高い基板を用いるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。この透明支持基板の厚さは特に制限されず、光の透過率、色素増感光電変換素子の内部と外部との遮断性などによって自由に選択することができる。
透明導電性基板の表面抵抗(シート抵抗)は低いほど好ましい。具体的には、透明導電性基板の表面抵抗は500Ω/□以下が好ましく、100Ω/□がさらに好ましい。透明支持基板上に透明導電膜を形成する場合、この透明導電膜の材料としては公知のものを使用可能であり、具体的には、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素ドープSnO2 (FTO)、アンチモンドープSnO2 (ATO)、SnO2 、ZnO、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。また、透明導電性基板の表面抵抗を低減し、集電効率を向上させる目的で、透明導電性基板上に、導電性の高い金属などやカーボンなどの導電材料からなる配線を別途設けてもよい。この配線に用いる導電材料に特に制限はないが、耐食性、耐酸化性が高く、導電材料自体の漏れ電流が低いことが望ましい。ただし、耐食性が低い導電材料でも、金属酸化物などからなる保護層を別途設けることで使用可能となる。また、この配線を腐食などから保護する目的で、配線は透明導電性基板と保護層との間に設置することが好ましい。また、基板からの暗電流の低減を目的として、各種の酸化物薄膜のバリア層を設けてもよい。
色素増感半導体層は、典型的には色素を担持した半導体微粒子からなる。この半導体微粒子の材料としては、シリコンに代表される元素半導体のほかに、各種の化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などを使用することができる。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。これらの半導体は、具体的に例示すると、TiO2 、ZnO、WO3 、Nb2 5 、TiSrO3 、SnO2 などであり、これらの中でもアナターゼ型のTiO2 が特に好ましい。半導体の種類はこれらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上混合して用いることもできる。さらに、半導体微粒子は粒子状、チューブ状、棒状など必要に応じて様々な形態を取ることが可能である。
半導体微粒子の粒径に特に制限はないが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、この平均粒径の半導体微粒子にこの平均粒径より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、平均粒径の大きい半導体微粒子により入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する半導体微粒子の平均粒径は20〜500nmであることが好ましい。
半導体微粒子からなる半導体層の作製方法に特に制限はないが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合には湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水や有機溶媒などの溶媒に均一分散したペーストを調製し、透明導電性基板上に塗布する方法が好ましい。塗布は、その方法に特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷など様々な方法により行うことができる。半導体微粒子の材料として結晶酸化チタンを用いる場合、その結晶型はアナターゼ型が光触媒活性の点から好ましい。アナターゼ型酸化チタンは市販の粉末、ゾル、スラリーでもよいし、あるいは、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって所定の粒径のものを作ってもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、塗布液調製時に乳鉢やボールミルや超音波分散装置などを使用して粒子の分散を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解かれた粒子が再度凝集するのを防ぐため、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤などを添加することができる。また、増粘の目的でポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、セルロース系の増粘剤など、各種の増粘剤を添加することもできる。
半導体微粒子からなる半導体層、言い換えると半導体微粒子層は多くの色素を吸着することができるように、表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限に特に制限はないが、通常1000倍程度である。半導体微粒子層は一般に、その厚さが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。従って、半導体微粒子層には好ましい厚さが存在するが、その厚さは一般的には0.1〜100μmであり、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。半導体微粒子層は支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性の向上のために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなってしまい、溶融することもあるため、通常は450〜700℃であり、より好ましくは450〜650℃である。また、焼成時間も特に制限はないが、通常は10分〜10時間程度である。焼成後、半導体微粒子層の表面積を増大させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学めっきや三塩化チタン水溶液を用いたネッキング処理や直径10nm以下の半導体超微粒子ゾルのディップ処理などを行ってもよい。透明導電性基板の支持体にプラスチック基板を用いる場合は、結着剤を含むペーストを基板上に塗布し、加熱プレスによる基板への圧着を行うことも可能である。
半導体層に担持させる色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、半導体層に吸着する酸官能基を有するものが好ましく、具体的にはカルボキシ基、リン酸基を有するものが好ましく、この中でも特にカルボキシ基を有するものが好ましい。色素の具体例を挙げると、例えば、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニン、キノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどの塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物が挙げられ、その他のものとしてはアゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、ビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。これらの中でも、リガンド(配位子)がピリジン環またはイミダゾリウム環を含み、Ru、Os、Ir、Pt、Co、FeおよびCuからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属の錯体の色素は量子収率が高く好ましい。特に、シス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)またはトリス(イソチオシアナート)−ルテニウム(II)−2,2' :6' ,2" −ターピリジン−4,4' ,4" −トリカルボン酸を基本骨格とする色素分子は吸収波長域が広く好ましい。ただし、色素はこれらのものに限定されるものではなく、また、これらの色素を二種類以上混合して用いてもよい。
色素の半導体層への吸着方法に特に制限はないが、上記の色素を例えばアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒に溶解させ、これに半導体層を浸漬させたり、色素溶液を半導体層上に塗布したりすることができる。また、色素分子同士の会合を低減する目的でデオキシコール酸などを添加してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤を併用することもできる。
色素を吸着させた後に、過剰に吸着した色素の除去を促進する目的で、アミン類を用いて半導体層の表面を処理してもよい。アミン類の例としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
電解質は、ヨウ素(I2 )と金属ヨウ化物もしくは有機ヨウ化物との組み合わせ、臭素(Br2 )と金属臭化物あるいは有機臭化物との組み合わせのほか、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。上記金属化合物のカチオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Csなど、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などの4級アンモニウム化合物が好ましいが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上混合して用いることもできる。この中でも、I2 とLiI、NaIやイミダゾリウムヨーダイドなどの4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好ましい。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05〜10Mが好ましく、0.05〜5Mがより好ましく、0.2〜3Mがさらに好ましい。I2 やBr2 の濃度は0.0005〜1Mが好ましく、0.001〜0.5Mがより好ましく、0.001〜0.3Mがさらに好ましい。また、色素増感光電変換素子の開放電圧を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやベンズイミダゾリウム類などの各種添加剤を加えることもできる。
上記電解質組成物を構成する溶媒として水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上混合して用いることもできる。さらに、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系4級アンモニウム塩のイオン液体を用いることも可能である。
色素増感光電変換素子の漏液、電解質の揮発を低減する目的で、上記電解質組成物へゲル化剤、ポリマー、架橋モノマーなどを溶解させるほか、無機セラミック粒子を分散させてゲル状電解質として使用することも可能である。ゲルマトリクスと電解質組成物との比率は、電解質組成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下し、逆に電解質組成物が少なすぎると機械的強度は大きいがイオン導電率は低下するため、電解質組成物はゲル状電解質の50〜99wt%が望ましく、80〜97wt%がより好ましい。また、上記電解質と可塑剤とをポリマーに溶解させ、可塑剤を揮発除去することで全固体型の色素増感光電変換素子を実現することも可能である。
対極は導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性の物質でも色素増感半導体層に面している側に導電性の触媒層が設置されていれば、これも使用可能である。ただし、対極の材料としては電気化学的に安定である材料を用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。また、酸化還元の触媒効果を向上させる目的で、色素増感半導体層に面している側は微細構造で表面積が増大していることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒状態に、カーボンであれば多孔質状態になっていることが望まれる。白金黒状態は白金の陽極酸化法、白金化合物の還元処理などによって、また多孔質状態のカーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法により形成することができる。また、透明導電性基板上に白金など酸化還元触媒効果の高い金属を配線するか、表面に白金化合物を還元処理することにより、透明な対極として使用することもできる。
色素増感光電変換素子が一枚の透明基板上に積層されたいわゆるモノリシック構造であって多孔質絶縁層を設ける場合、その材料は導電性を持たない材料であれば特に制限はないが、特にジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカが好適である。多孔質絶縁層はこれら酸化物の粒子から構成され、空孔率は10%以上であることが好ましい。空孔率の上限に制限はないが、絶縁層の物理的強度の観点から通常は10〜80%程度が好ましい。空孔率が10%以下であると、電解質の拡散に影響を及ぼし、セル特性を著しく低下させてしまう。また、細孔径は1〜1000nmが好ましい。細孔径が1nm以下であると、電解質の拡散や色素の含浸に影響を及ぼし、光電変換素子の特性を低下させてしまう。さらに、細孔径が1000nm以上であると絶縁層中に触媒電極層の触媒粒子が侵入するためショートする恐れが生じる。この多孔質絶縁層の製造方法に制限はないが、上記酸化物粒子の焼結体であることが好ましい。
色素増感光電変換素子の製造方法は特に限定されないが、例えば電解質組成物が液状、もしくは光電変換素子内部でゲル化させることが可能であり、導入前は液状の電解質組成物の場合、色素増感半導体層と対極とを向かい合わせ、これらの電極が接しないように色素増感半導体層が形成されていない基板部分を封止する。このとき、色素増感半導体層と対極との隙間の大きさに特に制限はないが、通常1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。この電極間の距離が長すぎると、導電率の低下から光電流が減少してしまう。封止方法は特に制限されないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料を用いることが好ましく、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート) 、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着フィルムなどを用いることができ、また、種々の溶接法を用いることができる。また、電解質組成物の溶液を注入する場合、注入口が必要であるが、色素増感半導体層およびこれに対向する部分の対極上でなければ注入口の場所は特に限定されない。また、電解質組成物の溶液の注入方法に特に制限はないが、外周が予め封止され、溶液の注入口を開けられた光電変換素子の内部に減圧下で注液を行う方法が好ましい。この場合、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象により注液する方法が簡便である。また、必要に応じて減圧もしくは加熱下で注液の操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限はないが、必要であればガラス板やプラスチック基板を封止剤で貼り付けて封止することもできる。また、この方法以外にも、液晶パネルの液晶滴下注入(ODF;One Drop Filling)工程のように、電解液を基板上に滴下して減圧下で貼り合わせて封止することもできる。また、ポリマーなどを用いたゲル状電解質や全固体型の電解質の場合、色素増感半導体層上で電解質組成物と可塑剤とを含むポリマー溶液をキャスト法により揮発除去させる。可塑剤を完全に除去した後、上記方法と同様に封止を行う。この封止は真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質を色素増感半導体層へ十分に含漬させるため、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
色素増感光電変換素子はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
色素増感光電変換素子は、最も典型的には、色素増感太陽電池として構成される。ただし、色素増感光電変換素子は、色素増感太陽電池以外のもの、例えば色素増感光センサーなどであってもよい。
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、色素増感光電変換素子は、例えばこれらの電子機器の電源として用いられる色素増感太陽電池である。
ところで、上述のように、色素増感光電変換素子の開放電圧を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやベンズイミダゾリウム類などの各種添加剤を加えることもあるが、この場合、短絡電流の低下を招き、電流×電圧×フィルファクターで計算される光電変換効率を大きく増加させることが難しい。このため、短絡電流の低下を招くことなく開放電圧を向上させることができる添加剤が望まれる。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、電解質に添加する添加剤としてイソシアネート基(−NCO)を少なくとも1つ以上有する化合物を用いることにより、色素増感光電変換素子において短絡電流の低下を招くことなく開放電圧を向上させることができることを見出した。すなわち、電解質層を、イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物を含む電解質組成物により構成することが好ましい。この電解質組成物は、典型的にはヨウ素を含む。イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物に特に制限はないが、電解質の溶媒や電解質塩、その他の添加剤と相溶していることが好ましい。イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物は、好適には、同じ分子内にイソシアネート基以外に窒素含有官能基を少なくとも1つ以上含む。あるいは、電解質組成物は、好適には、この化合物以外に、窒素含有官能基を少なくとも1つ以上有する化合物をさらに含む。この窒素含有官能基を少なくとも1つ以上有する化合物は、好適には、アミン系化合物であるが、これに限定されるものではない。このアミン系化合物に特に制限はないが、電解質の溶媒や電解質塩、その他の添加剤と相溶していることが好ましい。このようにイソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物に窒素含有官能基を共存させると、特に、色素増感光電変換素子の開放電圧の増加に大きく寄与する。イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物は、具体的には、例えば、イソシアン酸フェニル、イソシアン酸2−クロロエチル、イソシアン酸m−クロロフェニル、イソシアン酸シクロヘキシル、イソシアン酸o−トリル、イソシアン酸p−トリル、イソシアン酸n−ヘキシル、2,4−ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニルなどであるが、これらに限定されるものではない。また、アミン系化合物は、具体的には、例えば、4−tert−ブチルピリジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルベンズイミダゾールなどであるが、これらに限定されるものではない。
一方、従来の色素増感太陽電池は2枚の基板の間に液体の電解質を充填した構造を有するのが一般的である。そして、この色素増感太陽電池の製造には、一般的には一方の基板に電解質注入用の注液口を準備し、その注液口から電解質溶液を減圧注入し、最終的にその注液口を封止する(エンドシール)方法が良く用いられている。しかし、この色素増感太陽電池はエンドシール部分の強度や耐久性に問題があるほか、エンドシール部分による突起が発生してしまうなどの形状的なデメリットがある。このため、エンドシールが不要で、強度および耐久性に優れ、突起もない色素増感光電変換素子を簡単な製造工程で製造することができる色素増感光電変換素子の製造方法が望まれる。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、そのためには、第1の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、色素増感半導体層と対極との間に電解質を有し、上記色素増感半導体層の外側に第1の外装材が設けられ、上記対極の外側に第2の外装材が設けられた色素増感光電変換素子の製造方法において、上記第1の外装材および上記第2の外装材のうちの一方または両方の所定の部位に封止材および上記電解質を形成する工程と、上記第1の外装材と上記第2の外装材とをそれらの間に上記封止材および上記電解質を挟んだ状態で大気圧以下、上記電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて上記封止材により接着する工程とを有するようにすることが有効であることを見出した。ここで、第1の外装材および第2の外装材の材料および構成は必要に応じて選ばれる。第1の外装材は透明導電性基板、例えば透明導電層を有する透明基板であることが好ましく、典型的にはこの透明導電性基板の一方の主面に色素増感半導体層が形成される。この色素増感半導体層上にはさらに、対極が直接または多孔質絶縁層を介して設けられることもある。第2の外装材に特に制限はないが、例えばガラス基板や石英基板などの基板上に対極が形成されたものであってもよいし、金属板であってもよい。第1の外装材に色素増感半導体層および対極が設けられる場合には、第2の外装材はガスバリア性のある材料であれば特に制限はない。このガスバリア性のある材料は、例えば、酸素透過度が100(cc/m2 /day/atm)以下、水蒸気透過度が(g/m2 /day)以下のものを用いる。第1の外装材と第2の外装材との貼り合わせ時の気圧は、大気圧以下、電解質の蒸気圧以上である以外は制限がなく、蒸気圧がある電解液の場合は沸騰する程度まで気圧を下げることができる。また、減圧時、系内の雰囲気を事前に不活性ガスにより置換しておき、不活性ガス雰囲気中で貼り合せを行うのが好ましい。貼り合わせ圧力に制限はないが、適度に加圧しながら封止材を硬化させると封止強度が高まる。ただし、大気圧に戻した際に第1の外装材および第2の外装材の外部から大気圧がかかるため、必ずしも加圧を行う必要はない。第1の外装材と第2の外装材との間に導入される電解質の蒸気圧は20℃下で100Pa以下であることが好ましい。これは、蒸気圧が100Paよりも高い電解質は減圧に耐えられず、揮発してしまうためである。従って、電解質に溶媒を含む場合は注意を要する。また、この電解質はゲル状であることが好ましい。電解質がゲル状のようにある程度の粘度を有していると第1の外装材または第2の外装材上に塗設した際に型崩れせず、封止材と混じり合うことを避けることができる。封止材は特に制限はないが、紫外線硬化型接着剤を用いるのが好ましい。封止材および電解質を形成する方法は、これらが液状の場合は、各種印刷法やディスペンス、ブレードコーティングなど公知の湿式塗布法を用いることができる。中でも、高い精度で塗布量と塗布パターンとを制御することができるスクリーン印刷やディスペンサーによる塗布が好ましい。電解質に高分子などのゲルマトリクスを含む場合は、必要に応じて可塑剤などで希釈し、塗布後に可塑剤を蒸発除去してもよい。封止材および電解質を形成するのは第1の外装材および第2の外装材のどちら側でも構わない。封止材および電解質を第1の外装材上に形成してもよいし、第2の外装材上に形成してもよいし、封止材および電解質の一方を第1の外装材または第2の外装材上に形成し、他方を第2の外装材または第1の外装材上に形成して第1の外装材と第2の外装材とを貼り合わせてもよい。また、例えば、第1の外装材が透明導電性基板であり、その上に色素増感半導体層および対極層が全て積層されたモノリシック構造を有する色素増感光電変換素子の場合には、第2の外装材はプラスチックなどからなるフィルムであってもよい。
また、近年、色素増感太陽電池モジュールを開発する動きが活発化してきているが、この色素増感太陽電池モジュールの構造としてZ型構造が知られている。このZ型構造の色素増感太陽電池モジュールは、2枚の基板間に複数の色素増感太陽電池を形成し、これらの色素増感太陽電池を基板内部で電気的に直列に接続したものであり、発電効率が高いことが知られている。しかしながら、Z型構造の色素増感太陽電池モジュールでは、基板を2枚用いる必要があるため、薄型化や軽量化には不向きであった。基板1枚で作製可能なモノリシック構造の色素増感太陽電池モジュールも知られているが、このモノリシック構造の色素増感太陽電池モジュールでは、対極の材料に制限が多い上、構造上対極への色素吸着を防ぐことができないため、特性面でZ型構造の色素増感太陽電池モジュールに劣るというデメリットがあった。このため、基板を1枚用いるだけで済み、対極を薄く構成することができることにより薄型化および軽量化が可能であり、対極の材料面での制約がなく、しかもZ型構造の色素増感太陽電池モジュールと同等の発電性能を有する色素増感太陽電池モジュールなどの色素増感光電変換素子モジュールが望まれる。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、このためには、第2の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、互いに電気的に直列に接続された複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールにおいて、透明基板上の複数の領域にそれぞれ透明導電層を有し、上記透明導電層上に色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極が順次積層されて上記色素増感光電変換素子が構成され、上記対極は金属または合金からなる箔の上記多孔質絶縁層側の片面に触媒層を有するもの、または、触媒能を有する材料からなる箔からなり、互いに隣接する2つの上記色素増感光電変換素子の間の部分において1つの色素増感光電変換素子の上記透明導電層ともう1つの色素増感光電変換素子の上記対極とが互いに電気的に接続され、少なくとも上記色素増感半導体層および上記多孔質絶縁層に電解質が含浸され、それぞれの上記色素増感光電変換素子は封止層により覆われるように構成することが好ましいことを見出した。あるいは、第1の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、互いに電気的に直列に接続された複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールの製造方法において、透明基板上の複数の領域にそれぞれ形成された透明導電層上に色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を順次積層して上記色素増感光電変換素子を構成し、この際、上記対極を金属または合金からなる箔の上記多孔質絶縁層側の片面に触媒層を有するもの、または、触媒能を有する材料からなる箔により形成するとともに、互いに隣接する2つの上記色素増感光電変換素子の間の部分において1つの色素増感光電変換素子の上記透明導電層ともう1つの色素増感光電変換素子の上記対極とを互いに電気的に接続する工程と、少なくとも上記色素増感半導体層および上記多孔質絶縁層に電解質を含浸させる工程と、それぞれの上記色素増感光電変換素子を封止層により覆う工程とを有するようにするのが好ましいことを見出した。ここで、少なくとも色素増感半導体層および多孔質絶縁層に電解質を含浸させる工程とそれぞれの色素増感光電変換素子を封止層により覆う工程との順序は問わず、いずれの工程を先に行ってもよい。対極を構成する金属または合金からなる箔は、Ti、Ni、Cr、Fe、Nb、Ta、W、CoおよびZrからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む金属または合金からなる箔を用いるのが好ましい。この金属または合金からなる箔の多孔質絶縁層側の片面に設ける触媒層、または、触媒能を有する材料は、Pt、Ru、IrおよびCからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましい。色素増感光電変換素子モジュールの薄型化の観点からは、対極の厚さ、すなわち金属または合金からなる箔と触媒層との厚さの合計または触媒能を有する材料からなる箔の厚さは0.1mm以下であることが好ましい。金属または合金からなる箔の上に触媒層を担持させるには、触媒または触媒の前駆体を含む溶液を湿式コートする方法や、スパッタリング法、真空蒸着法、化学気相成長(CVD)法などの乾式法などを用いることができる。対極と透明導電層とは、互いに直接接合してもよいし、導電材料を介して接合してもよい。後者の場合、具体的には、対極と透明導電層とを例えば導電性接着剤または融点が300℃以下の低融点金属または合金によって互いに接合する。導電性接着剤としては、市販の銀、カーボン、ニッケル、銅ペーストなどを使用可能であるほか、異方導電性接着剤やフィルム状のものも使用可能である。また、透明導電層に接合可能なInやIn−Sn系はんだなどの各種の低融点金属または合金も使用可能である。さらに、対極と透明導電層との接合部が電解質と直接接触する場合には、接合部を樹脂などで保護して電解質との接触を防止するようにしてもよい。封止層の材質は特に限定されないが、ガスバリア性が高く、化学的に不活性で電気的に絶縁性の材料を用いることが好ましく、具体的には、樹脂、各種接着剤、ガラスフリットなど、より具体的には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などの各種の紫外線(UV)硬化型樹脂、各種の熱硬化樹脂、ホットメルト樹脂、低融点ガラスフリットなどを用いることができる。封止層上には外装材を設けるのが好ましい。この外装材には、好適には、高いガスバリア性を有する材料が用いられ、具体的には、例えば、酸素透過度が100(cc/m2 /day/atm)以下、水蒸気透過度が100(g/m2 /day)以下であるものが用いられる。この外装材としては、例えば、食品の外装フィルムなどに代表されるガスバリア性フィルムが用いられ、好適には、アルミニウム、シリカおよびアルミナからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のガスバリア性材料が積層されたガスバリア性フィルムなどが用いられる。この外装材は、好適には、封止層の最外周を覆う形でこの封止層と一体に設けられ、減圧下または不活性ガス雰囲気中でシールされる。このような外装材を封止層上に設けることにより、色素増感光電変換素子モジュールの内部に外部から酸素などのガスや水蒸気などが浸透するのを防止することができるので、光電変換効率などの特性の劣化を抑えることができ、色素増感光電変換素子モジュールの耐久性の向上を図ることができる。透明基板上の複数の領域に形成する透明導電層は、色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を積層する前にパターニングしてもよいし、これらの色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を積層した後にパターニングしてもよい。このパターニングは、従来公知の各種のエッチング法、レーザスクライブ、物理的な研磨加工などによって行うことができる。
また、Z型構造の色素増感太陽電池モジュールにおいては、各色素増感太陽電池において電解液にヨウ素が用いられるため、このヨウ素が色素増感太陽電池モジュール内部の集電電極を腐食することから、集電電極を腐食から保護する保護層が必要となる。加えて、2枚の基板内部で複数の色素増感太陽電池を確実に直列に接続するためには高度な技術が要求される。このため、電解液による集電電極の腐食を防止することができ、2枚の基板内部で複数の色素増感光電変換素子を容易にしかも確実に直列に接続することができ、光電変換効率が高い色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法が望まれる。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、このためには、第2の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、2枚の基板の間に互いに電気的に直列に接続された複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールにおいて、上記2枚の基板のうちの少なくとも一方の基板は透明基板であり、この透明基板上の複数の領域にそれぞれ透明導電層を有し、上記2枚の基板のうちの他方の基板上の複数の領域に上記透明導電層に対向してそれぞれ導電層を有し、上記透明導電層と上記導電層との間に色素増感半導体層と対極とが互いに対向して設けられて上記色素増感光電変換素子が構成され、互いに隣接する2つの上記色素増感光電変換素子の間の部分において1つの色素増感光電変換素子の上記透明導電層ともう1つの色素増感光電変換素子の上記導電層とが集電電極により互いに電気的に接続され、上記集電電極の両側に接着層が設けられるようにするのが好ましいことを見出した。あるいは、第1の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、2枚の基板の間に互いに電気的に直列に接続された複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールの製造方法において、透明基板上の複数の領域にそれぞれ形成された透明導電層上の互いに異なる部位に色素増感半導体層および第1の集電電極が形成されたものと、基板上の複数の領域にそれぞれ形成された導電層上の互いに異なる部位に対極および第2の集電電極が形成され、上記第2の集電電極を覆うように接着層が形成されたものとを、上記第1の集電電極と上記第2の集電電極とが互いに対向し、かつ、上記色素増感半導体層と上記対極とが互いに対向するように貼り合わせ、上記第1の集電電極と上記第2の集電電極とを電気的に接合するとともに、上記第1の集電電極および上記第2の集電電極の両側に上記接着層を形成するようにすることが好ましい。ここで、第1の集電電極と第2の集電電極とを電気的に確実に接合するため、これらの第1の集電電極および第2の集電電極のうちの一方または両方の表面に導電性接着剤、導電ゴム、異方導電性接着剤などの接着性を有する導電層を設けてもよい。また、第1の集電電極と第2の集電電極とを電気的に確実に接合するために、従来公知の実装技術を用いることも可能である。例えば、これらの第1の集電電極および第2の集電電極のうちの一方または両方にバンプ形状を持たせてこれらを圧着させたり、これらの第1の集電電極および第2の集電電極のうちの一方または両方をソルダーペーストで形成し、リフローを行うことにより接合させたりすることが可能である。第1の集電電極および第2の集電電極の材料は互いに異なっていてもよい。第1の集電電極および第2の集電電極のうちの少なくとも一方の厚さは色素増感半導体層の厚さ以上とし、かつ、電気的に接合された第1の集電電極および第2の集電電極の厚さの合計は色素増感半導体層および対極の厚さの合計以上とする。第1の集電電極および第2の集電電極の全体の幅や厚さ(高さ)は必要に応じて選ばれるが、幅は例えば0.1mm以上5mm以下、厚さは色素増感半導体層および対極の厚さの合計よりも100μmを超えない厚さとするのが好ましい。この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、集電電極の両側に設けられた接着層により集電電極に電解液が接触するのを防止することができることにより、電解液による集電電極の腐食を防止することができる。加えて、この接着層により2枚の基板を互いに強固に接着することができることにより、これらの基板の間において、複数の色素増感光電変換素子を確実に互いに電気的に直列に接続することができる。この場合、集電電極とその両隣の色素増感光電変換素子とはこの接着層により区切られた構造を有する。集電電極は低抵抗で接触抵抗が低いことが好ましい。この集電電極の材料としては、具体的には、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、In、Sn、Zn、Cなど、これらの合金、はんだなどが好ましく、これらの材料からなる導体ペーストをスクリーン印刷やディスペンサーなどにより塗布して形成するのが好ましい。集電電極は色素増感半導体層の外周に沿って形成するのが好ましい。例えば、色素増感半導体層が長方形または正方形の場合は、集電電極はこの色素増感半導体層の一辺に対して平行に配置するのが好ましいが、必要に応じて、集電効率を高める目的で、色素増感半導体層の外周を取り囲む形状としたり、色素増感半導体層内部へ櫛状に延長しても構わない。この場合、隣の色素増感光電変換素子と接合させる部分以外は、必要に応じて、絶縁処理したり、樹脂やガラスフリットなどの保護層を設置したりするのが好ましい。必要に応じて、集電電極の全部または一部を導電性接着剤、導電ゴム、異方導電性接着剤などにより形成してもよい。集電電極の両側に設ける接着層は、例えば、スクリーン印刷やディスペンサーなどにより集電電極を覆うように接着剤を塗布し、2枚の基板を貼り合わせることにより形成すると簡便であるが、この接着層の形成方法に特に制限はなく、他の方法によって形成してもよい。基板の貼り合わせは、減圧下で行うと接着層に気泡によるボイドが形成されにくいため、好ましい。貼り合わせ後は2枚の基板を加圧したまま、熱か紫外線によって接着層を硬化させ、2枚の基板同士を接着する。紫外線による接着層の硬化の際は、色素増感半導体層に紫外線が当たらないように遮光マスクを用いるのが好ましい。各色素増感光電変換素子の形状や大きさは必要に応じて選ぶことができるが、例えば長方形である場合、その幅は例えば1mm以上20mm以下である。また、集電電極の幅や厚さ(高さ)も必要に応じて選ばれるが、幅は例えば0.1mm以上5mm以下、厚さは色素増感半導体層および対極の厚さの合計よりも100μmを超えない厚さとするのが好ましい。
また、近年、色素増感太陽電池モジュールの中でも特に、支持基材としてプラスチック基板を用いたフレキシブル太陽電池モジュールの開発が活発に行われている。しかしながら、一般的な色素増感太陽電池モジュールの製造工程においては、色素増感半導体層に用いられる多孔質半導体層の形成のための焼成処理が必要であるが、上述のように支持基材としてプラスチック基板を用いた場合には、プラスチック基板の耐熱温度(ガラス転移温度)の関係で、焼成時の加熱温度を150℃程度までしか上げることができない。このため、得られる多孔質半導体層の結晶性や粒子間の結合状態が悪く、そのような状態では電子伝導性が低いことから、プラスチック基板を用いた色素増感太陽電池モジュールの発電効率はガラス基板を用いたものに対して半分以下と低くなってしまうのが現状であった。このため、軽量かつ薄型でフレキシブルに構成することができ、しかも高い発電効率を得ることができる色素増感太陽電池モジュールなどの色素増感光電変換素子モジュールおよびその製造方法が望まれる。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、このためには、第2の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、支持基材上に複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールにおいて、上記支持基材として厚さが0.2mm以下の薄膜ガラス基板が用いられ、かつ、上記色素増感光電変換素子モジュールの少なくとも一方の面に上記薄膜ガラス基板の大きさ以上の大きさを有する樹脂系の保護フィルムが接着されるようにするのが好ましいことを見出した。あるいは、第1の発明と同様に受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成することに加えて、支持基材上に複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールの製造方法において、上記支持基材として厚さが0.2mm以下の薄膜ガラス基板を用い、この薄膜ガラス基板上に上記複数の色素増感光電変換素子を形成して上記色素増感光電変換素子モジュールを形成する工程と、上記色素増感光電変換素子モジュールの少なくとも一方の面に上記薄膜ガラス基板の大きさ以上の大きさを有する樹脂系の保護フィルムを接着する工程とを有するようにするのが好ましい。この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法においては、典型的には、透明導電層上に色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を順次積層して色素増感光電変換素子を形成する際に、互いに隣接する2つの色素増感光電変換素子の間の部分において1つの色素増感光電変換素子の透明導電層ともう1つの色素増感光電変換素子の対極とを互いに電気的に接続する。上述のように支持基材として薄膜ガラス基板を用いることにより、色素増感半導体層に用いる多孔質半導体層の形成時に例えば500℃程度の高い温度で焼成処理を行うことが可能になるため、多孔質半導体層の結晶性や粒子の結合状態が良好となり、高い電子伝導性を得ることができることから、高い発電効率を得ることができる。また、厚さが0.2mm以下の薄膜ガラス基板は、プラスチック基板と同様に、容易に曲げることができてフレキシブルであるだけでなく、軽量である。薄膜ガラス基板は、厚さが小さいほど曲がりやすくなり、軽量化にも繋がるが、厚さが小さくなりすぎると機械的強度が低下しすぎるため、これらの観点から好ましい厚さが存在し、具体的には、0.01〜0.2mmが好ましい。この厚さが0.2mm以下の薄膜ガラス基板は、より厚いガラス基板を研磨によって薄くすることにより作製してもよいし、最初からこの厚さに作製された薄膜ガラス基板を用いてもよい。この薄膜ガラス基板の材質は特に制限されず、従来公知の各種のものを用いることができ、これらの中から適宜選択される。この薄膜ガラス基板は、必要に応じて、強化ガラス化することにより機械的強度を増すことも可能である。一方、厚さが0.2mm以下と薄い薄膜ガラス基板は、表面や端面に微小なクラックや傷などが存在すると、容易に割れが発生する場合がある。すなわち、薄膜ガラス基板の機械的強度は、この薄膜ガラス基板の表面や端面の平滑性に依存しているといっても過言ではない。そこで、薄膜ガラス基板の割れを防止し、ひいては色素増感光電変換素子モジュールの破壊を防止するために、色素増感光電変換素子モジュールの少なくとも一方の面、望ましくは両面にこの薄膜ガラス基板の大きさ以上の大きさを有する樹脂系の保護フィルムを接着している。色素増感光電変換素子モジュールの少なくとも一方の面の全面をこの保護フィルムによって覆うことにより、この色素増感光電変換素子モジュールの曲げに対する機械的強度の大幅な向上を図ることができ、薄膜ガラス基板の割れを飛躍的に減少させることが可能となり、ひいては色素増感光電変換素子モジュールの破壊を防止することが可能となる。曲げに対する色素増感光電変換素子モジュールの機械的強度のより一層の向上を図るために、この保護フィルムによって薄膜ガラス基板の端面の少なくとも一部、好適には可能な限り多くの部分を覆うことが望ましい。このため、色素増感光電変換素子モジュールの一方の面にだけ保護フィルムを接着する場合には、この保護フィルムを折り返すなどして薄膜ガラス基板の端面を覆うことが好ましく、色素増感光電変換素子モジュールの両面に保護フィルムを接着する場合には、これらの保護フィルム同士を薄膜ガラス基板からはみ出した部分で接合し、薄膜ガラス基板の端面を覆うことが好ましい。薄膜ガラス基板の端面の保護はこの薄膜ガラス基板の外周全体に対して行うことが好ましいが、薄膜ガラス基板が多角形であり、曲がる辺が1辺以上決まっている場合には、少なくともこの1辺以上の端面を覆うようにすることが望ましい。色素増感光電変換素子モジュールの光入射側の面に接着する保護フィルムおよび接着剤としては透明なものを用いる。この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、典型的には、薄膜ガラス基板上の複数の領域にそれぞれ透明導電層を有し、この透明導電層上に色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極が順次積層されて色素増感光電変換素子が構成され、色素増感光電変換素子モジュールの色素増感光電変換素子側の面に保護フィルムが接着されて色素増感光電変換素子がこの保護フィルムによって覆われている。薄膜ガラス基板上の複数の色素増感光電変換素子を互いに電気的に直列に接続する場合には、互いに隣接する2つの色素増感光電変換素子の間の部分において、1つの色素増感光電変換素子の透明導電層ともう1つの色素増感光電変換素子の対極とを互いに電気的に接続する。少なくとも色素増感半導体層および多孔質絶縁層、典型的には、色素増感半導体層および多孔質絶縁層に加えて対極にも電解質が含浸される。薄膜ガラス基板上の複数の領域に形成する透明導電層は、色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を積層する前にパターニングしてもよいし、これらの色素増感半導体層、多孔質絶縁層および対極を積層した後にパターニングしてもよい。このパターニングは、従来公知の各種のエッチング法、レーザスクライブ、物理的な研磨加工などによって行うことができる。
第6の発明は、
テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を基材に塗布した後、この溶液を乾燥させることにより多孔質シリカ膜を形成するようにした
ことを特徴とする多孔質シリカ膜の製造方法である。
第6の発明においては、第1〜第5の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、受光面に反射防止膜として形成する多孔質シリカ膜は例えば500℃程度以上の耐熱温度を有するため、色素増感半導体層の形成に必要な焼成時の450℃以上の温度の加熱に耐えることができる。また、多孔質シリカ膜は従来の多層型反射防止膜に比べて低コストで簡単に形成することができる。さらに、多孔質シリカ膜は可視光の広範囲の波長域で低反射率を実現することができる。
この発明によれば、反射防止膜が色素増感半導体層の作製に必要な焼成時の加熱に耐えることができ、しかも生産性・コストパフォーマンスに優れており、また、可視光の広範囲の波長域にわたって低い反射率を実現することができ、高い光電変換効率を得ることができる色素増感光電変換素子または色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。そして、この優れた色素増感光電変換素子または色素増感光電変換素子モジュールを用いて高性能の電子機器を実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1はこの発明の第1の実施形態による色素増感光電変換素子を示す。
図1に示すように、この色素増感光電変換素子においては、透明導電性基板1上に色素増感半導体層2が形成されたものと、少なくともその表面が対極を構成する導電性基板3とが、それらの色素増感半導体層2および導電性基板3が所定の間隔をおいて互いに対向した状態で、透明導電性基板1および導電性基板3の周辺部において封止材4によって互いに接着され、封止されている。色素増感半導体層2と導電性基板3との間隔は、例えば1〜100μm、典型的には数十〜100μm、好ましくは1〜50μmである。封止材4としては、例えば、すでに述べたものを用いることができる。色素増感半導体層2と導電性基板3と封止材4とによって囲まれた空間に電解質層5が封入されている。さらに、図示は省略するが、例えば、これらの全体がケース内に収納され封止され、あるいは、ケース内に収納する代わりにこれら全体が樹脂封止される。透明導電性基板1および導電性基板3は、いずれも例えば長方形の形状を有するが、他の形状であっても構わない。透明導電性基板1と導電性基板3とは導線などにより互いに電気的に接続され、それらの間に負荷が接続される。この場合、透明導電性基板1側から色素増感半導体層2に光が当たる構造となっている。
図2に、特に、透明導電性基板1が透明基板1a上に透明導電層1bを形成したものであり、導電性基板3が透明または不透明の基板3a上に対極3bを形成したものである場合の色素増感光電変換素子を示す。
透明導電性基板1(あるいは透明基板1aおよび透明導電層1b)、色素増感半導体層2、導電性基板3(あるいは基板3aおよび対極3b)、封止材4および電解質層5としては、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択することができる。
この色素増感光電変換素子で特徴的なことは、透明導電性基板1の、受光面となる主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜6が設けられていることである。この多孔質シリカ膜6の厚さは必要に応じて選ばれる。このように受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜6が設けられていることにより、色素増感光電変換素子に入射する光はこの受光面でほとんど反射されず、透明導電性基板1を透過して色素増感半導体層2に到達して光電変換が行われる。
次に、この色素増感光電変換素子の製造方法について説明する。
テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を透明導電性基板1上に塗布した後、この溶液を乾燥させることにより多孔質シリカ膜6を形成する。テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させる場合、例えば、塩酸などの酸を触媒として用いることができる。この反応は、好適には、溶液を攪拌しながら行い、好適には室温以上の温度で行う。テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成する場合、好適には、この組成物に界面活性剤を加えた溶液を攪拌しながら行う。
次に、この透明導電性基板1の、多孔質シリカ膜6とは反対側の主面に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップ(厚さ)に塗布する。次に、この透明導電性基板1を例えば450℃程度の温度に加熱して半導体微粒子を焼結する。次に、この半導体微粒子が焼結された透明導電性基板1を色素溶液に浸漬するなどして半導体微粒子に色素を担持させる。こうして色素増感半導体層2が形成される。
一方、導電性基板3を別途用意する。そして、上記の透明導電性基板1とこの導電性基板3とを色素増感半導体層2および導電性基板3が所定の間隔、例えば1〜100μm、好ましくは1〜50μmの間隔をおいて互いに対向するように配置するとともに、封止材4によって電解質層5が封入される空間を作り、この空間に予め形成された注液口から電解質層5を注入する。その後、この注液口を塞ぐ。これによって、色素増感光電変換素子が製造される。
次に、この色素増感光電変換素子の動作について説明する。
透明導電性基板1の受光面に反射防止膜として設けられた多孔質シリカ膜6に入射した光はほとんど反射されずにこの多孔質シリカ膜6を透過し、さらに透明導電性基板1を透過して色素増感半導体層2に入射する。こうして色素増感半導体層2に入射した光は、この色素増感半導体層2の色素を励起して電子を発生する。この電子は、速やかに色素から色素増感半導体層2の半導体微粒子に渡される。一方、電子を失った色素は、電解質層5のイオンから電子を受け取り、電子を渡した分子は、再び導電性基板3の表面で電子を受け取る。この一連の反応により、色素増感半導体層2と電気的に接続された透明導電性基板1と導電性基板3との間に起電力が発生する。こうして光電変換が行われる。
以上のように、この第1の実施形態によれば、色素増感光電変換素子の受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜6が設けられているので、可視光の広範囲の波長域にわたって受光面での反射を抑えることができることにより低い反射率を実現することができ、色素増感半導体層2に入射する光の量を多くすることができる。このため、色素増感光電変換素子の短絡電流を増加させることができ、光電変換効率の向上を図ることができる。また、多孔質シリカ膜6は耐熱温度が500℃程度より十分に高いため、色素増感半導体層2を形成するための焼成時の450℃程度以上での加熱に耐えることができ、反射防止性能の劣化を抑えることができる。また、多孔質シリカ膜6は従来の多層型反射防止膜に比べて層構造が単純であるため、低コストで簡単に形成することができ、生産性・コストパフォーマンスに優れている。
〈実施例1〉
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エタノール、純水、3%塩酸水溶液を準備し、サンプル瓶に順に配合する。配合比(vol%)はテトラエチルオルトシリケート:メチルトリエトキシシラン:エタノール:純水:3%塩酸水溶液=100:100:83:205:43である。最後に触媒としての3%塩酸水溶液を入れることによって反応が始まる。サンプル瓶は他の成分が入らないよう密閉状態にし、60℃環境下にてスターラーなどで攪拌しながら30分間保持する。その後、室温にて30分間攪拌しながら冷却する。こうして前処理した組成物にBASF社製Pluronic F 127を加え、スターラーなどで1時間攪拌する。このときのPluronic F 127の分量は溶液に対し14vol%である。次に、上記工程で作製されたシリカ前駆体に溶媒として1−ブタノールを10:9の体積比率で混合し、30分以上攪拌を行う。
ガラス基板上にFTO膜が形成された日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を25mm×25mm×t(厚さ)1.1mmのサイズに加工し、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。そして、上記のようにして作製された塗布液を0.2μmフィルターでろ過し、このFTO基板にスピンコーターにより1500rpmで1分間スピンコーティングにより塗布する。塗布後直ぐに510℃に加熱されたホットプレートにて大気中で3分間加熱する。こうしてFTO基板上に多孔質シリカ膜が形成された。
この多孔質シリカ膜が受光面に反射防止膜として形成されたFTO基板を透明導電性基板1として用いる。
このFTO基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面に、直径5mmの形状のスクリーンマスクを用い、Solaronix 製TiO2 ペーストをスクリーン印刷機で塗布した。ペーストはFTO基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPペーストを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。次に、この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、こうして作製したTiO2 焼結体の不純物を除去し、活性を高める目的で、エキシマランプにより3分間、紫外線露光を行った。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に上記のTiO2 焼結体を室温下、48時間浸漬させて色素を担持させた。このTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
次に、直径0.5mmの穴が開けられた25mm×25mm×t1.1mmのガラス基板上にCrを厚さ50nm、Ptを厚さ100nm順次スパッタし、対極を準備した。
上記対極へ外形20mm×20mm、幅2mmのサイズで集電部分を残すように紫外線(UV)硬化型接着剤をスクリーン印刷にて塗布した。
一方、メトキシアセトニトリル3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g(0.1mol/L)、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g(1.4mol/L)、ヨウ素(I2 )0.11g(0.15mol/L)、4−tert−ブチルピリジン0.081g(0.2mol/L)を溶解させ、電解質組成物を調製した。
上記電解質組成物を予め準備した素子の注液口から減圧注入し、N2 が充填された0.4MPaの加圧容器内に静置することでセルの内部に完全に電解質組成物を注入した。次に、注液口をUV硬化型接着剤とガラス基板で封止し、色素増感光電変換素子を得た。
〈比較例1〉
透明導電性基板1としてのFTO基板に反射防止膜を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
実施例1の色素増感太陽電池(多孔質シリカ膜からなる反射防止膜付き)および比較例1の色素増感太陽電池(反射防止膜なし)の擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2 )照射時における短絡電流、開放電圧、フィルファクターおよび光電変換効率を測定した。その結果、比較例1の反射防止膜なし色素増感太陽電池は短絡電流21.29(mA/cm2 )、開放電圧0.706(V)、フィルファクター61.4(%)、光電変換効率9.22(%)であるのに対し、実施例1の反射防止膜付き色素増感太陽電池は短絡電流21.74(mA/cm2 )、開放電圧0.706(V)、フィルファクター61.8(%)、光電変換効率9.49%を示し、反射防止膜として多孔質シリカ膜を用いることにより短絡電流および光電変換効率が向上したことが分かる。
界面活性剤の種類をBASF社製Pluronic F 127、BASF社製Pluronic P 123、CTAB(セチルトリメチル臭化アンモニウム) の3種に変えて反射防止膜付き色素増感太陽電池を作製し、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2 )照射時における短絡電流、開放電圧、フィルファクターおよび光電変換効率を測定した。その結果、界面活性剤としてPluronic F 127を用いて多孔質シリカ膜を形成した色素増感太陽電池では、短絡電流21.55(mA/cm2 )、開放電圧0.725(V)、フィルファクター68.4(%)、光電変換効率10.69(%)、界面活性剤としてPluronic P 123を用いて多孔質シリカ膜を形成した色素増感太陽電池は短絡電流21.33(mA/cm2 )、開放電圧0.713(V)、フィルファクター67.5(%)、光電変換効率10.26(%)、界面活性剤としてCTABを用いて多孔質シリカ膜を形成した色素増感太陽電池は短絡電流20.62(mA/cm2 )、開放電圧0.742(V)、フィルファクター68.1(%)、光電変換効率10.41(%)を示した。
従来の多層型反射防止膜と実施例1の方法により作製した多孔質シリカ膜からなる反射防止膜との透過率の比較を行った。すなわち、従来の多層型反射防止膜と実施例1の方法により作製した多孔質シリカ膜との両者を電気炉にて510℃で30分間加熱し、紫外−可視(UV−VIS)分光分析で透過率を測定した。その結果を図3および図4に示す。図3および図4から分かるように、従来の多層型反射防止膜は510℃の加熱により透過率が低下するのに対し、多孔質シリカ膜は510℃の加熱により透過率は変化しなかった。この結果から、多孔質シリカ膜は高温加熱に有利であることが分かる。すなわち、色素増感太陽電池の製造プロセスに必須の450℃以上の高温加熱に耐え得る反射防止膜として多孔質シリカ膜は非常に有利であるといえる。
次に、この発明の第2の実施形態による色素増感光電変換素子について説明する。
この色素増感光電変換素子においては、第1の実施形態による色素増感光電変換素子において、電解質層5が、ヨウ素を含み、かつイソシアネート基(−NCO)を少なくとも1つ有する化合物を含み、好適にはさらに、この化合物が同じ分子内にイソシアネート基以外に窒素含有官能基を少なくとも1つ以上含み、あるいは、この化合物以外に窒素含有官能基を少なくとも1つ以上有する化合物をさらに含む電解質組成物からなる。イソシアネート基(−NCO)を少なくとも1つ以上有する化合物に特に制限はないが、電解質の溶媒や電解質塩、その他の添加剤と相溶していることが好ましい。窒素含有官能基を少なくとも1つ以上有する化合物は、好適には、アミン系化合物であるが、これに限定されるものではない。このアミン系化合物に特に制限はないが、電解質の溶媒や電解質塩、その他の添加剤と相溶していることが好ましい。このようにイソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物に窒素含有官能基を共存させると、特に色素増感光電変換素子の開放電圧の増加に大きく寄与する。イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物としては、既に述べたものを用いることができる。
上記以外のことは、第1の実施形態による色素増感光電変換素子と同様である。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、電解質層4が、イソシアネート基を少なくとも1つ以上有する化合物を含む電解質組成物からなることにより、短絡電流および開放電圧の双方を増加させることができ、これによって光電変換効率が極めて高い色素増感光電変換素子を得ることができるという利点を得ることができる。
〈実施例2〉
実施例1において、電解質組成物の調製に際し、メトキシアセトニトリル3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g(0.1mol/L)、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g(1.4mol/L)、ヨウ素(I2 )0.11g(0.15mol/L)、4−tert−ブチルピリジン0.081g(0.2mol/L)に加えて、イソシアン酸フェニル0.071g(0.2mol/L)を溶解させた。その他は実施例1と同様と同様にして色素増感光電変換素子を得た。
次に、この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子について説明する。
図5はこの第3の実施形態による色素増感光電変換素子を示す断面図である。この色素増感光電変換素子の平面形状が正方形である場合の平面図を図6に示す。図5は図6のX−X線に沿っての断面図に相当する。
図5および図6に示すように、この色素増感光電変換素子においては、例えば透明導電性基板11の一方の主面に色素増感半導体層12が形成され、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜13が形成されたものと、少なくともその表面が対極を構成する導電性基板14とが、それらの色素増感半導体層12および導電性基板14が所定の間隔をおいて互いに対向するように配置されており、それらの間の空間に電解質層15が封入されている。この電解質層15に用いる電解質の蒸気圧は、好適には20℃下で100Pa以下である。色素増感半導体層12としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。電解質層15は封止材16により封止されている。封止材16としては、UV硬化型接着剤などを用いる。
図7に、特に、透明導電性基板11が透明基板11a上に透明導電層11bを形成したものであり、導電性基板14が透明または不透明の基板14a上に対極14bを形成したものである場合の色素増感光電変換素子を示す。
透明導電性基板11(あるいは透明基板11aおよび透明導電層11b)、色素増感半導体層12および導電性基板14(あるいは基板14aおよび対極14b)としては、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択することができる。
次に、この色素増感光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、透明導電性基板1を用意する。次に、この透明導電性基板1上に第1の実施形態と同様にして多孔質シリカ膜13を形成する。次に、この透明導電性基板1の、多孔質シリカ膜13とは反対側の主面に、第1の実施形態と同様にして色素増感半導体層12を形成する。
次に、図8Aに示すように、色素増感半導体層12上の所定部位に所定パターンでゲル状電解質からなる電解質層15を形成する。
一方、導電性基板14を別途用意する。そして、図8Bに示すように、この導電性基板14上の外周部の所定部位に所定パターンで封止材16を形成し、この導電性基板14を透明導電性基板11と対向させる。この導電性基板14の平面図を図9に示す。図8Bに示す導電性基板14の断面図は図9のX−X線に沿っての断面図に相当する。電解質層15は封止材16の内部の空間に収まる大きさとする。
次に、図8Bに示すように、透明導電性基板11と導電性基板14とをそれらの間に封止材16および電解質層15を挟んだ状態で、大気圧以下、電解質層15に用いる電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて封止材16により接着する。封止材16としてUV硬化型接着剤を用いる場合はUV光を照射することにより硬化させる。この貼り合わせは、好適には、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で行う。
以上のようにして、図5および図6に示す色素増感光電変換素子が製造される。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、透明導電性基板11上に色素増感半導体層12を形成し、その上の所定の部位に電解質層15を形成するとともに、少なくとも表面が対極を構成する導電性基板14上の所定の部位に封止材16を設け、これらの透明導電性基板11と導電性基板14とをそれらの間に電解質層15および封止材16を挟んだ状態で大気圧以下、電解質層15に用いる電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて封止材16により接着するようにしていることにより、従来の色素増感光電変換素子において電解質を充填するために必要であったエンドシール工程が不要となり、基板に電解質の注液口を設ける必要もないため注液口を設けることによる強度および耐久性の低下を防止することができ、さらにエンドシール部分がないため突起が発生する問題もなく、強度および耐久性に優れ、突起もない色素増感光電変換素子を簡単な製造工程で製造することができる。
〈実施例3〉
透明導電性基板は次のように準備した。ガラス基板上にFTO膜が形成された日本板硝子製アモルファス太陽電池用FTO基板(シート抵抗10Ω/□)を25mm×25mm×t(厚さ)1.1mmのサイズに加工し、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このFTO基板上へ実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成した後、このFTO基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面へ直径5mmの形状のスクリーンマスクを用い、Solaronix 製酸化チタンペーストをスクリーン印刷機で塗布した。ペーストはFTO基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質酸化チタン膜を得た。この多孔質酸化チタン膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させて色素を担持させた。この電極をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
25mm×25mm×t1.1mmのガラス基板上にCrを厚さ50nm、Ptを厚さ100nm順次スパッタした対極を準備した。
上記対極へ外形20mm×20mm、幅2mmのサイズで集電部分を残すように封止材としてUV硬化型接着剤をスクリーン印刷にて塗布した。
プロピレンカーボネート3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
上記電解質組成物0.9gに対し、0.1gのシリカナノ粉末を加え、自転公転型ミキサーにて十分に撹拌し、ゲル状電解質を得た。このゲル状電解質をFTO基板上の色素増感TiO2 焼結体上へディスペンサーにより塗布し、上記対極とともにアルゴン置換したチャンバー内に導入し、FTO基板上に形成された色素増感TiO2 焼結体とガラス基板上に形成された対極のPt面とを対向させ、ロータリーポンプにてチャンバー内を100Paまで減圧し、1kg/cm2 の圧力にてプレスし、加圧したままUVランプにてUV光の照射を行ってUV硬化型接着剤を硬化させ、その後チャンバー内を大気圧に戻した。こうして、色素増感TiO2 焼結体と対極のPt面との間にゲル状電解質が充填され、その周囲がUV硬化型接着剤により封止された色素増感光電変換素子を得た。
次に、この発明の第4の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図10はこの色素増感光電変換素子モジュールを示す断面図である。この色素増感光電変換素子モジュールの平面形状が長方形である場合の平面図を図11に示す。図10は図11のY−Y線に沿っての拡大断面図に相当する。
図10および図11に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、外装材としてのガラス基板などの非導電性の透明基板21の一方の主面に複数のストライプ状の透明導電層22が互いに平行に形成され、各透明導電層22上にこの透明導電層22と同一方向に延在するストライプ状の色素増感半導体層23が形成され、色素増感半導体層23の間の部分の透明導電層22上にストライプ状の集電電極層24が形成され、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜25が形成されたものと、非導電性の基板26上にストライプ状の集電電極層27が形成され、この集電電極層27上の、色素増感半導体層23に対応する位置にストライプ状の触媒電極層28(対極)が形成され、また、この集電電極層28上の、集電電極層24に対応する位置にストライプ状の集電電極層29が形成されたものとが、それらの色素増感半導体層23および触媒電極層28が所定の間隔をおいて互いに対向するように配置されており、それらの間の空間に電解質層30が封入されている。この電解質層30に用いる電解質の蒸気圧は、好適には20℃下で100Pa以下である。色素増感半導体層23としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。電解質層30は封止材31により各色素増感光電変換素子毎に封止されている。封止材31としては、UV硬化型接着剤などを用いる。
色素増感半導体層23、透明基板21、透明導電層22および基板26は、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択することができる。
次に、この色素増感光電変換素子の製造方法について説明する。
まず、図12に示すように、透明基板21を用意し、この透明基板21上に第1の実施形態と同様にして反射防止膜として多孔質シリカ膜25を形成するとともに、この透明基板21の、多孔質シリカ膜25とは反対側の主面に透明導電層22を形成した後、この透明導電層22をエッチングによりストライプ状にパターニングする。
次に、各透明導電層22上に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップに塗布する。次に、透明基板21を所定温度に加熱して半導体微粒子を焼結し、半導体微粒子焼結体からなる半導体層を形成する。次に、この半導体層の間の部分の透明導電層22上に集電電極層24を形成する。次に、半導体微粒子焼結体からなる半導体層および集電電極層24が形成された透明基板21を色素溶液に浸漬するなどして半導体微粒子に増感用の色素を担持させる。こうして各透明導電層22上に色素増感半導体層23が形成される。
次に、色素増感半導体層23上に所定パターンでゲル状電解質からなる電解質層30を形成する。
一方、基板26を別途用意する。そして、図12に示すように、この基板26上に集電電極層27を形成し、さらにこの集電電極層27上に触媒電極層28および集電電極層29を形成する。そして、この基板26上の外周部ならびに触媒電極層28以外の部位に封止材31を形成し、この基板26を透明基板21と対向させる。電解質層30は封止材31の内部の空間に収まる大きさとする。
次に、透明基板21と基板26とをそれらの間に封止材31および電解質層30を挟んだ状態で、大気圧以下、電解質層30に用いる電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて封止材31により接着する。封止材31としてUV硬化型接着剤を用いる場合はUV光を照射することにより硬化させる。この貼り合わせは、好適には、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で行う。
以上のようにして、図10および図11に示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第4の実施形態によれば、色素増感光電変換素子モジュールにおいて、第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
〈実施例4〉
ガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面にFTO膜を形成した後、このFTO膜をエッチングによりパターニングして、間に0.5mm幅の隙間が形成されるように8本のストライプ状のパターンを形成した。その後、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このガラス基板上へSolaronix 製酸化チタンペーストを5mm幅、長さ40mmのストライプ状で8本(総面積16cm2 )、スクリーン印刷機で塗布した。ペーストはガラス基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、厚膜用の市販の銀ペーストを用い、上記TiO2 焼結体の間に位置合わせし、スクリーン印刷にて0.5mm幅の集電電極層を塗布した。乾燥後、乾燥雰囲気下で500℃で30分間電気炉で焼成した後、集電電極層に遮光マスクを被せ、TiO2 焼結体にのみエキシマランプによりUV光を照射し、吸着した不純物を除去した。焼成後の集電電極層の厚さは40μmであった。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させて色素を担持させた。こうして色素を担持させたTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
対極基板は石英基板を用い、ガラス基板上のFTO膜と同じパターンの集電電極層を市販の白金ペーストを用いてスクリーン印刷機で形成し、さらに市販の白金ペーストでガラス基板上の酸化チタンペーストと同じ位置関係で触媒電極層を形成するとともに、ガラス基板上の集電電極層と同じ位置関係で集電電極層を形成し、これらを1000℃で焼結した。焼成後の触媒電極層および集電電極層の厚さは5μmであった。
上記石英基板上の触媒電極層以外の部分および基板外周部分へスクリーン印刷にて封止材としてUV硬化型接着剤を塗布した。
プロピレンカーボネート3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
上記電解質組成物0.9gに対し、0.1gのシリカナノ粉末を加え、自転公転型ミキサーにて十分に撹拌し、ゲル状電解質を得た。このゲル状電解質をガラス基板上の色素増感TiO2 焼結体上へディスペンサーにより塗布し、ガラス基板側より色素増感TiO2 焼結体に遮光マスクを被せ、上記対極とともにアルゴン置換したチャンバー内に導入し、ガスス基板上に形成された色素増感TiO2 焼結体と石英基板上に形成された対極のPt面とを対向させ、ロータリーポンプにてチャンバー内を100Paまで減圧し、1kg/cm2 の圧力にてプレスし、加圧したままUVランプによるUV光を照射してUV硬化接着剤を硬化させ、チャンバー内を大気圧に戻した。
こうして、色素増感TiO2 焼結体と対極のPt面との間にゲル状電解質が充填され、その周囲がUV硬化型接着剤により封止された色素増感光電変換素子モジュールを得た。
次に、この発明の第5の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図13はこの色素増感光電変換素子モジュールを示す断面図である。この色素増感光電変換素子モジュールの平面形状が長方形である場合の平面図を図14に示す。図13は図14のZ−Z線に沿っての断面図に相当する。
図13および図14に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、外装材としてのガラス基板などの非導電性の透明基板41の一方の主面に複数のストライプ状の透明導電層42が互いに平行に設けられ、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜43が設けられている。各透明導電層42上には、それぞれこの透明導電層42と同一方向に延在するストライプ状の色素増感半導体層44、多孔質絶縁層45および対極層46が順次積層されている。色素増感半導体層44としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。色素増感半導体層44、多孔質絶縁層45および対極層46の全体に電解質が含浸されている。この電解質の蒸気圧は、好適には20℃下で100Pa以下である。この場合、色素増感半導体層44の幅は透明導電層42よりも小さく、透明導電層42の長手方向の1辺に隣接する部分が露出している。多孔質絶縁層44の幅は色素増感半導体層44の幅よりも大きく、色素増感半導体層44の全体を覆うように設けられている。多孔質絶縁層45の一端は透明基板41と接しており、他端は透明導電層42と接している。1つの色素増感光電変換素子の対極層46の一端は隣接する色素増感光電変換素子の透明導電層42と接続されている。
1つの色素増感光電変換素子の対極層46と隣接する色素増感光電変換素子の多孔質絶縁層45との間の部分および基板の外周部に封止材47が設けられており、この封止材47により各色素増感光電変換素子毎に封止されている。封止材47としてはUV硬化型接着剤などを用いる。また、この封止材47により外装材48が接着されている。
色素増感半導体層44、透明基板41、透明導電層42、多孔質絶縁層45、対極層46および外装材48は、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択することができる。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、図15に示すように、透明基板41を用意し、この透明基板41上に第1の実施形態と同様にして反射防止膜として多孔質シリカ膜43を形成するとともに、この透明基板41の、多孔質シリカ膜43とは反対側の主面に透明導電層42を形成した後、この透明導電層42をエッチングによりストライプ状にパターニングする。
次に、各透明導電層42上に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップに塗布する。次に、透明基板41を所定温度に加熱して半導体微粒子を焼結し、半導体微粒子焼結体からなる半導体層を形成する。次に、この半導体層上に多孔質絶縁層45を形成する。次に、半導体微粒子焼結体からなる半導体層および多孔質絶縁層45が形成された透明基板41を色素溶液に浸漬するなどして半導体微粒子に増感用の色素を担持させる。こうして各透明導電層42上に色素増感半導体層44が形成される。
次に、各多孔質絶縁層45上に対極層46を形成する。
次に、対極層46上の所定の部位に所定のパターンにゲル状電解質49を形成する。
次に、透明基板41上の互いに隣接する多孔質絶縁層45と対極層46との間の部分および基板の外周部に封止材47を形成する。
次に、透明基板41と外装材48とをそれらの間に封止材47およびゲル状電解質49を挟み、大気圧以下、ゲル状電解質49に用いる電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて封止材47により接着するとともに、色素増感半導体層44、多孔質絶縁層45および対極層46に電解質を含浸させる。封止材47としては、例えばUV硬化型接着剤を用いる。封止材47としてUV硬化型接着剤を用いる場合はUV光を照射することにより硬化させる。この貼り合わせは、好適には、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で行う。
以上のようにして、図13および図14に示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第5の実施形態によれば、色素増感光電変換素子モジュールにおいて、第3の実施形態と同様な利点を得ることができる。
〈実施例5〉
ガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面にFTO膜を形成した後、このFTO膜をエッチングによりパターニングして8本のストライプ状のパターンを形成した。その後、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このガラス基板上へSolaronix 製TiO2 ペーストを5mm幅、長さ40mmのストライプ状で8本(総面積16cm2 )、スクリーン印刷機で塗布した。ペーストはガラス基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide
DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に絶縁層として、市販の酸化チタン粒子(粒径200nm)、テルピネオール、エチルセルロースから調製したスクリーン印刷用ペーストを長さ41mm、5.5mm幅、厚さ10μmで上記TiO2 焼結体上に塗布した。乾燥後、対極層として市販のカーボンブラックとグラファイト粒子、テルピネオール、エチルセルロースから調製したスクリーン印刷用ペーストを長さ40mm、6mm幅、厚さ30μmで上記絶縁層上に塗布し、450℃で30分間電気炉で焼成した。こうして多孔質絶縁層および対極層が形成された。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させてTiO2 焼結体に色素を担持させた。こうして色素を担持させたTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
上記ガラス基板上の各色素増感光電変換素子以外の部分および基板の外周部にスクリーン印刷にてUV硬化型接着剤を塗布し、各色素増感光電変換素子をUV硬化型接着剤により区画した。
プロピレンカーボネート3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
上記電解質組成物0.9gに対し、0.1gのシリカナノ粉末を加え、自転公転型ミキサーにて十分に撹拌し、ゲル状電解質を得た。このゲル状電解質をガラス基板の色素増感TiO2 焼結体上の多孔質Pt層へディスペンサーにより塗布し、ガラス基板側より色素増感TiO2 焼結体に遮光マスクを被せ、カバーガラスとともにアルゴン置換したチャンバー内に導入し、ガラス基板上に形成されたゲル状電解質とカバーガラスとを対向させ、ロータリーポンプにてチャンバー内を100Paまで減圧し、1kg/cm2 の圧力にてプレスし、加圧したままUVランプによるUV光の照射によりUV硬化樹脂を硬化させ、チャンバー内を大気圧に戻した。
こうして、色素増感TiO2 焼結体、多孔質絶縁層および対極層に電解質が含浸され、これらの周囲がUV硬化型接着剤により封止された色素増感光電変換素子モジュールを得た。
次に、この発明の第6の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図16および図17はこの第6の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールを示し、図16は要部断面図、図17Aは平面図である。図16は図17AのX−X線に沿っての拡大断面図に相当する。
図16および図17Aに示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、絶縁性の透明基板51の一方の主面にストライプ状の透明導電層52が複数、互いに平行に設けられ、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜53が設けられている。各透明導電層52上には、それぞれ透明導電層52と同一方向に延在するストライプ状の色素増感半導体層54、多孔質絶縁層55および対極56が順次積層されて色素増感光電変換素子が構成されている。少なくとも色素増感半導体層54および多孔質絶縁層55の全体に電解質が含浸されている。対極56は、Ti、Ni、Cr、Fe、Nb、Ta、W、CoおよびZrからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む金属または合金からなる箔の多孔質絶縁層55側の片面にPt、Ru、IrおよびCからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む触媒層が設けられたもの、または、Pt、Ru、IrおよびCからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む材料からなる箔からなる。この場合、色素増感半導体層54の幅は透明導電層52よりも小さく、透明導電層52の長手方向の1辺に隣接する部分が露出している。多孔質絶縁層55の幅は色素増感半導体層54の幅よりも大きく、色素増感半導体層54の全体を覆うように設けられている。多孔質絶縁層55の一端は色素増感半導体層54の一方の側面に沿って延在して透明基板51と接しており、他端は色素増感半導体層54の他方の側面に沿って延在して透明導電層52と接している。また、1つの色素増感光電変換素子の対極56の一端は、導電材料57を介して、隣接する色素増感光電変換素子の透明導電層52と接合されている。これによって、複数の色素増感光電変換素子が互いに電気的に直列に接続されている。直列に接続する色素増感光電変換素子の数は必要に応じて選ばれる。各色素増感光電変換素子の間の対極56と多孔質絶縁層55との間の部分および対極56の全面に封止層58が設けられており、この封止層58により各色素増感光電変換素子が封止されている。さらに、この封止層58の全面にガスバリア材料からなる外装フィルム59(外装材)が接着されている。図17Bに多孔質絶縁層55、対極56および封止層58の一部分(図17Aの一点鎖線で囲んだ部分)を拡大した平面図を示す。
色素増感半導体層54としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。封止層58としては、例えば樹脂やガラスフリットなどが用いられる。外装フィルム59としては、好適には、酸素透過度が100(cc/m2 /day/atm)以下、水蒸気透過度が100(g/m2 /day)以下であるものが用いられる。
透明基板51、透明導電層52、色素増感半導体層54、多孔質絶縁層55および対極56は、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択されたものを用いることができる。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、図18Aに示すように、透明基板51を用意し、この透明基板1上に第1の実施形態と同様にして反射防止膜として多孔質シリカ膜53を形成するとともに、この透明基板1の、多孔質シリカ膜53とは反対側の主面に透明導電層52を形成した後、この透明導電層52をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、各透明導電層52上に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップに塗布する。次に、透明基板51を所定温度に加熱して半導体微粒子を焼結し、半導体微粒子焼結体からなる半導体層を形成する。次に、半導体微粒子焼結体からなる半導体層が形成された透明基板51を色素溶液に浸漬するなどして半導体微粒子に増感用の色素を担持させる。こうして各透明導電層52上に色素増感半導体層54が形成される。次に、全面に多孔質絶縁層55を形成した後、この多孔質絶縁層55をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、各透明導電層52上の対極56の接合部に導電材料57を形成した後、所定の形状の金属または合金からなる箔の片面に触媒層を有するか、触媒能を有する材料からなる箔からなる対極56を形成し、導電材料57と接合する。
次に、図18Bに示すように、各色素増感光電変換素子毎の注液口(図17Aにおいて符号60で示す)を形成する部分を除いて、各色素増感光電変換素子の間の対極56と多孔質絶縁層55との間の部分および対極56の全面に封止層58を形成する。
次に、各色素増感光電変換素子毎にあらかじめ形成された注液口60から電解液を注液し、色素増感半導体層54および多孔質絶縁層55の全体に電解質を含浸させる。
次に、この封止層58の全面に外装フィルム59を接着する。
以上のようにして、図16および図17Aに示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、基板として透明基板51を用いるだけで済み、しかも対極56は金属または合金からなる箔の上に触媒層を有するもの、または、触媒能を有する材料からなる箔からなるものであるため対極56を薄く構成することができることにより、色素増感光電変換素子モジュールの薄型化および軽量化が可能である。また、対極56を構成する金属または合金からなる箔および触媒層の材料または触媒能を有する材料は選択の幅が広く、対極の材料面での制約がない。さらに、色素増感半導体層54と対極56とは多孔質絶縁層55で隔てられているため、色素増感半導体層54の色素が対極56に吸着するのを防止することができ、特性の劣化が生じないことから、Z型構造の色素増感太陽電池モジュールと同等の発電性能を有する色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。加えて、各色素増感光電変換素子が封止層58により封止され、しかもこの封止層58の全面にガスバリア材料からなる外装フィルム59が接着されているので、外部から酸素などのガスや水蒸気などがモジュール内部に浸透するのを防止することができ、光電変換効率などの特性の劣化を防止することができる。このため、長期間優れた特性を維持することができる耐久性の高い色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。
〈実施例6〉
ガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面にFTO膜を形成した後、このFTO膜をエッチングによりパターニングして、間に0.5mm幅の隙間が形成されるように8本のストライプ状のパターンを形成した。その後、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このガラス基板上へSolaronix 製TiO2 ペーストを5mm幅、長さ40mmのストライプ状で8本(総面積16cm2 )、スクリーン印刷機で塗布した。ペーストはガラス基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide
DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、市販のジルコニア分散液を用い、テルピネオールへ溶媒置換した後、エチルセルロースにて所定の粘度に調整したスクリーン印刷用ジルコニアペーストを長さ41mm、5.5mm幅、厚さ10μmで上記TiO2 焼結体上に塗布した。このジルコニアペースト膜を乾燥させた後、500℃で30分間電気炉で焼成した。こうして多孔質絶縁層が形成された。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させてTiO2 焼結体に色素を担持させた。こうして色素を担持させたTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
次に、異方導電性ペーストを0.5mm幅でストライプ状の色素増感TiO2 焼結体に平行になるように塗布して乾燥させた。
次に、厚さ0.05mmのチタン箔の片面に0.05mMの塩化白金酸のイソプロピルアルコール(IPA)溶液をスプレーコートし、385℃にて焼成した対極を6mm×40mmの大きさに切り出し、塩化白金酸をスプレーした面を色素増感TiO2 焼結体側に向け、位置合わせを行った後に、上記の異方導電性ペーストと対極とを熱圧着によって接合した。
上記ガラス基板上に、外装フィルムの接着面と集電端子を接続する部分、さらに注液用の直径1mmのパターンを残し、各色素増感光電変換素子を全て覆うようにスクリーン印刷にてUV硬化型接着剤を塗布した。塗布後、気泡が完全に抜けたらコンベア式のUV露光機にてUV硬化型接着剤に紫外光を照射して硬化させた。
メトキシアセトニトリル3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
次に、こうして調製した電解質組成物を上記のように準備された直径1mmの注液口から減圧下で注入した後、0.4MPaの加圧下で30分間保持し、電解液を各色素増感光電変換素子内に完全に浸透させた。こうして、色素増感TiO2 焼結体および多孔質絶縁層に電解質が含浸された。
次に、上記の電解液の注液口をUV硬化型接着剤により封止し、市販のアルミラミネートフィルムの接着面にホットメルト接着フィルムを接合させた外装フィルムを準備し、減圧下で透明基板の最外周部分にヒートシーラーにて融着させ、色素増感光電変換素子モジュールを得た。この色素増感光電変換素子モジュールは、5mm×40mmの大きさの色素増感光電変換素子が8本直列に接続されたものである。
〈実施例7〉
対極をカーボンペーストで箔状に作製したこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例8〉
対極を白金担持カーボンペーストで箔状に作製したこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例9〉
対極を厚さ0.05mmの白金箔で作製し、触媒層を設けなかったこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例10〉
対極を厚さ0.05mmのカーボンペーパーで箔状に作製し、触媒層を設けなかったこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例11〉
対極を厚さ0.05mmのカーボンペーパーで箔状に作製し、塩化白金酸で触媒層を設けたこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例12〉
異方導電性ペーストの代わりにInペーストを用い、電解液と接する面を樹脂で被覆したこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例13〉
異方導電性ペーストの代わりに室温硬化Agペーストを用い、電解液と接する面を樹脂で被覆したこと以外は実施例6と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
次に、この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図19はこの色素増感光電変換素子モジュールを示す断面図である。この色素増感光電変換素子モジュールの平面形状が長方形である場合の平面図を図20に示す。図19は図20のX−X線に沿っての拡大断面図に相当する。
図19および図20に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、ガラス基板などの非導電性の透明基板71の一方の主面に複数のストライプ状の透明導電層72が互いに平行に形成され、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜73が形成されている。また、非導電性の基板74上に、透明導電層72と対向して、この透明導電層72に平行に、かつ互いに平行に複数のストライプ状の導電層75が透明導電層72と同じ幅に形成されている。この場合、透明導電層72と導電層75とは、それらの延在方向に対して直角方向に互いに所定距離ずれている。そして、互いに対向する透明導電層72と導電層75との間に、色素増感半導体層76と対極としての触媒電極層77とが電解質層78を介して互いに対向して設けられて各色素増感光電変換素子が形成されている。これらの色素増感半導体層76および触媒電極層77は透明導電層72および導電層75と平行な方向に長い長方形の形状を有する。色素増感半導体層76は透明導電層72と電気的に接触し、触媒電極層77は導電層75と電気的に接触している。互いに隣接する2つの色素増感光電変換素子の間の部分においては、1つの色素増感光電変換素子の透明導電層72ともう1つの色素増感光電変換素子の導電層75とがそれらの末端部分において集電電極79により互いに電気的に接続されている。これによって、複数の色素増感光電変換素子が互いに電気的に直列に接続されている。直列に接続する色素増感光電変換素子の数は必要に応じて選ばれる。この場合、この集電電極79は、色素増感半導体層76の長手方向の1辺に沿って設けられている。この集電電極79の両側および各色素増感光電変換素子の外周に接着層80が設けられている。集電電極79の一方の側の接着層80は透明基板71と導電層75とを接着し、集電電極79の他方の側の接着層80は透明導電層72と基板74とを接着している。この場合、各色素増感光電変換素子と集電電極79とは接着層80により互いに分離されている。また、電解質層78は接着層80により各色素増感光電変換素子毎に封止されている。集電電極79および接着層80の一部分(図20の一点鎖線で囲んだ部分)を拡大した平面図を図21に示す。
色素増感半導体層76としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。接着層80としては、例えばUV硬化型接着剤などが用いられる。
透明基板71、透明導電層72、基板74、導電層75、触媒電極層77、電解質層78および集電電極80は、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択されたものを用いることができる。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、図22に示すように、透明基板71を用意し、この透明基板71上に反射防止膜として多孔質シリカ膜73を形成するとともに、この透明基板71の、多孔質シリカ膜73とは反対側の主面に透明導電層72を形成した後、この透明導電層72をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、各透明導電層72上に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップに塗布する。次に、透明基板71を所定温度に加熱して半導体微粒子を焼結し、半導体微粒子焼結体からなる半導体層を形成する。次に、各透明導電層72の末端部分に集電電極79aを形成する。この集電電極79aの厚さは、半導体微粒子焼結体からなる半導体層の厚さ以上とする。次に、半導体微粒子焼結体からなる半導体層および集電電極79aが形成された透明基板71を色素溶液に浸漬するなどして半導体微粒子に増感用の色素を担持させる。こうして各透明導電層72上に色素増感半導体層76が形成される。
一方、基板74を別途用意する。そして、図23に示すように、この基板74の全面に導電層75を形成した後、この導電層75をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、各導電層75上に触媒電極層77および集電電極79bを形成する。集電電極79bは各導電層75の末端部分の上に形成する。この集電電極79bの厚さは、集電電極79aの厚さとこの集電電極79bの厚さとの合計が、少なくとも色素増感半導体層76および触媒電極層77の厚さの合計以上で、かつ色素増感半導体層76および触媒電極層77の厚さの合計より100μmを超えないように選ばれる。次に、互いに隣接する触媒電極層77の間の部分に集電電極79bを覆うように接着層80を形成する。
次に、図24に示すように、透明基板71と基板74とを集電電極79aと集電電極79bとが互いに対向するように配置する。
次に、透明基板71と基板74とを互いに平行に保ったまま徐々に互いに接近させる。このとき、図25に示すように、まず透明基板71上の集電電極79aが基板74上の接着層80に食い込む。透明基板71と基板74とをさらに接近させると、集電電極79aが接着層80を貫いて集電電極79aの先端と基板74上の集電電極79bの先端とが接触して電気的に接合される。こうして接合された集電電極79aおよび集電電極79bにより集電電極79が形成される。この接合と同時に、これらの集電電極79aおよび集電電極79bにより接着層80が分割されてこれらの集電電極79aおよび集電電極79bの両側に接着層80が形成される。
この後、基板74に各色素増感光電変換素子毎にあらかじめ形成された注液口(図20において符号81で示す)から、色素増感半導体層76と触媒電極層77と接着層80とにより囲まれた空間に電解液を注液し、電解質層76を形成する。
以上のようにして、図19および図20に示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、集電電極79の両側に形成した接着層80により集電電極79と各色素増感光電変換素子とが互いに分離されているので、集電電極79に電解質層76が接触することがなく、このため電解質層76により集電電極79が腐食されるおそれがない。また、この接着層80により透明基板71と基板74とが互いに強固に接着されているため、集電電極79により1つの色素増感光電変換素子の透明導電層72と隣の色素増感光電変換素子の導電層75とを確実に電気的に接続することができ、ひいては複数の色素増感光電変換素子を確実に電気的に直列に接続することができる。また、接着層80は容易に形成することができる。以上により、信頼性が高く、光電変換効率が高い色素増感光電変換素子モジュールを容易に実現することができる。
〈実施例14〉
ガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面にFTO膜を形成した後、このFTO膜をエッチングによりパターニングして、間に0.5mm幅の隙間が形成されるように8本のストライプ状のパターンを形成した。その後、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
このガラス基板上へSolaronix 製TiO2 ペーストを5mm幅、長さ40mmのストライプ状で8本(総面積16cm2 )、スクリーン印刷機で塗布した。ペーストはガラス基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide
DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、厚膜用の市販の銀ペーストを用い、上記TiO2 焼結体の間に位置合わせし、スクリーン印刷にて0.5mm幅の集電電極を塗布した。乾燥後、乾燥雰囲気下で500℃で30分間電気炉で焼成した後、集電電極に遮光マスクを被せ、TiO2 焼結体にのみエキシマランプによりUV光を照射し、吸着した不純物を除去した。焼成後の集電電極の厚さは40μmであった。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させて色素を担持させた。こうして色素を担持させたTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
対極基板は直径0.1mmの注液口が開けられた石英基板を用い、ガラス基板上のFTO膜と同じパターンの導電層を市販の白金ペーストを用いてスクリーン印刷機で形成し、さらに市販の白金ペーストでガラス基板上の酸化チタンペーストと同じ位置関係で触媒電極層を形成するとともに、ガラス基板上の集電電極と同じ位置関係で集電電極を形成し、これらを1000℃で焼結した。焼成後の触媒電極層および集電電極の厚さは5μmであった。
上記石英基板上の集電電極以外の部分および基板外周部分へスクリーン印刷にてUV硬化型接着剤を塗布した。
上記のように準備されたガラス基板と石英基板とを、ガラス基板上の色素増感TiO2 焼結体と石英基板上の対極のPt面とが互いに対向するように配置し、減圧下でプレスして貼り合わせる。貼り合わせ後、ガラス基板と石英基板とをプレスしたまま、色素増感TiO2 焼結体に遮光マスクを被せ、UVランプによるUV光を照射してUV硬化接着剤を硬化させ、ガラス基板上の集電電極と石英基板上の集電電極とを互いに接触させたまま固定した。
メトキシアセトニトリル3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
次に、こうして調製した電解質組成物を石英基板に形成された注液口から減圧下で注入し、減圧・加圧を繰り返すことで素子内部の気泡を完全に追い出した。次に、注液口にUV硬化接着剤を塗布し、カバーガラスを被せ、UV光を照射することによりUV硬化接着剤を硬化させ、色素増感光電変換素子モジュールを得た。この色素増感光電変換素子モジュールは、5mm×40mmの大きさの色素増感光電変換素子が8本直列に接続されたものである。
〈実施例15〉
対極の触媒電極層をカーボンペースト、集電電極層を常温硬化型銀ペーストで作製したこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例16〉
接着層のUV硬化樹脂をガラス基板側へ塗布したこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例17〉
ガラス基板側の集電電極の厚さを10μm、石英基板側の集電電極の厚さを30μmとしたこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例18〉
対極側の集電電極に異方導電性接着剤を用い、集電電極を熱圧着によって電気的に接合させたこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
〈実施例19〉
対極側の集電電極にソルダーペーストを用い、集電電極をリフローによって電気的に接合させたこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
次に、この発明の第8の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。図26にこの色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図を示す。
図26に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、色素増感半導体層76が櫛状の形状を有し、これに伴い集電電極79はこの色素増感半導体層76の外周に沿って形成されており、櫛状の形状を有している。その他のことは第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールと同様である。
この色素増感光電変換素子モジュールは第7の実施形態と同様な方法により製造することができる。
この第8の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点を得ることができる。
〈実施例20〉
図26に示すような形状に作製したこと以外は実施例14と同様に色素増感光電変換素子モジュールを作製した。この色素増感光電変換素子モジュールは面積76.95cm2 の色素増感光電変換素子が4本直列に接続されたものである。
次に、この発明の第9の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、電解質層78としてゲル状電解質を用いる。その他のことは第8の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールと同様である。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、第8の実施形態と同様に工程を進めて透明基板71上に反射防止膜として多孔質シリカ膜73を形成するとともに、この透明基板71の、多孔質シリカ膜73とは反対側の主面に透明導電層72、色素増感半導体層76および集電電極79aを形成する。
次に、図27に示すように、色素増感半導体層76上の所定部位に所定パターンでゲル状電解質からなる電解質層78を形成する。この電解質層78に用いる電解質の蒸気圧は、好適には20℃下で100Pa以下である。
一方、第7の実施形態と同様に工程を進めて基板74上に導電層75、触媒電極層77および集電電極79bを形成し、集電電極79bを覆うように接着層80を形成する。
次に、図27に示すように、透明基板71と基板74とを集電電極79aと集電電極79bとが互いに対向するように配置する。
次に、透明基板71と基板74とを、それらの間に電解質層78および接着層80を挟んだ状態で、大気圧以下、電解質層78に用いる電解質の蒸気圧以上の気圧下で貼り合わせて接着層80により接着する。接着層80としてUV硬化型接着剤を用いる場合はUV光を照射することにより硬化させる。この貼り合わせは、好適には、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で行う。
以上のようにして、図19および図20に示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第9の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点に加えて、従来の色素増感光電変換素子モジュールにおいて電解質を充填するために必要であったエンドシール工程が不要となり、基板に電解質の注液口を設ける必要もないため注液口を設けることによる強度および耐久性の低下を防止することができ、さらにエンドシール部分がないため突起が発生する問題もなく、強度および耐久性に優れ、突起もない色素増感光電変換素子モジュールを簡単な製造工程で製造することができるという利点を得ることができる。
次に、この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図28〜図30は、この第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールを示す。ここで、図28はこの色素増感光電変換素子モジュールの断面図、図29はこの色素増感光電変換素子モジュールの要部断面図、図30はこの色素増感光電変換素子モジュールの平面図である。図28は図30のX−X線に沿っての断面図に相当し、図29は図30のX−X線に沿っての一部拡大断面図に相当する。
図28〜図30に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、絶縁性で透明な薄膜ガラス基板91の一方の主面にストライプ状の透明導電層92が複数、互いに平行に設けられ、他方の主面に反射防止膜として多孔質シリカ膜93が設けられている。この薄膜ガラス基板91の厚さは0.2mm以下、好適には0.01〜0.2mmとする。各透明導電層92上には、それぞれ透明導電層92と同一方向に延在するストライプ状の色素増感半導体層94、多孔質絶縁層95および対極96が順次積層されて色素増感光電変換素子が構成されている。少なくとも色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95の全体、典型的にはこれらの色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95と対極96との全体に電解質が含浸されている。この場合、色素増感半導体層94の幅は透明導電層92よりも小さく、透明導電層92の長手方向の1辺に隣接する部分が露出している。多孔質絶縁層95の幅は色素増感半導体層94の幅よりも大きく、色素増感半導体層94の全体を覆うように設けられている。多孔質絶縁層95の一端は色素増感半導体層94の一方の側面に沿って延在して薄膜ガラス基板91と接しており、他端は色素増感半導体層94の他方の側面に沿って延在して透明導電層92と接している。また、1つの色素増感光電変換素子の対極96の一端は隣接する色素増感光電変換素子の透明導電層92と接合されている。これによって、複数の色素増感光電変換素子が互いに電気的に直列に接続されている。図28および図30においては、8個の色素増感光電変換素子が直列に接続されている場合が図示されているが、直列に接続する色素増感光電変換素子の数は必要に応じて選ばれ、8個に限定されないことは言うまでもない。これらの直列に接続された複数の色素増感光電変換素子の一端の色素増感光電変換素子が形成されている透明導電層92には取り出し電極97が接続されており、他端の色素増感光電変換素子が形成されている透明導電層92に隣接して形成され、この色素増感光電変換素子の対極96の一端が接続された透明導電層92には取り出し電極98が接続されている。各色素増感光電変換素子の間の対極96と多孔質絶縁層95との間の部分および対極96の全面に接着層99が設けられており、この接着層99の全面に薄膜ガラス基板91の大きさよりも大きい樹脂系の保護フィルム100が接着されている。一方、薄膜ガラス基板91の裏面の全体に接着層101が設けられており、この接着層101の全面に薄膜ガラス基板91の大きさよりも大きい樹脂系の保護フィルム102が接着されている。そして、保護フィルム100と保護フィルム102とは薄膜ガラス基板91からはみ出した部分で互いに接合されており、これによって薄膜ガラス基板91の端面も保護フィルム100によって覆われている。光入射面側に接着された保護フィルム102および接着層101としては透明なものが用いられるが、保護フィルム100および接着層99としては透明なものを用いてもよいし、そうでなくともよい。図31に多孔質絶縁層95、対極96および接着層99の一部分(図30の一点鎖線で囲んだ部分)を拡大した平面図を示す。
色素増感半導体層94としては、半導体微粒子層に色素を担持させたものが用いられる。保護フィルム100、102の少なくとも一方には、好適には、ガスバリア材料からなる樹脂系のフィルムが用いられ、例えば、酸素透過度が100(cc/m2 /day/atm)以下、水蒸気透過度が100(g/m2 /day)以下であるものが用いられる。また、光入射側の保護フィルム102としては、好適には、反射による入射光の光量の損失を抑えるために、無反射(AR)フィルムが用いられる。
薄膜ガラス基板91、透明導電層92、多孔質絶縁層95、対極96および接着層99、101は、すでに挙げたものの中から、必要に応じて選択されたものを用いることができる。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、図32Aに示すように、厚さが0.2mm以下の薄膜ガラス基板91を用意し、この薄膜ガラス基板1上に第1の実施形態と同様にして反射防止膜として多孔質シリカ膜93を形成するとともに、この薄膜ガラス基板91の、多孔質シリカ膜93とは反対側の主面に透明導電層92を形成した後、この透明導電層92をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、各透明導電層92上に、半導体微粒子が分散されたペーストを所定のギャップに塗布する。次に、薄膜ガラス基板1を所定温度に加熱して半導体微粒子を焼結し、半導体微粒子焼結体からなる多孔質半導体層を形成する。
次に、全面に多孔質絶縁層95を形成した後、この多孔質絶縁層95をエッチングによりストライプ状にパターニングする。次に、この多孔質絶縁層95の全面に対極96を形成し、この対極96の一端を各透明導電層92と接合する。
次に、半導体微粒子焼結体からなる多孔質半導体層、多孔質絶縁層95および対極96が形成された薄膜ガラス基板91を色素溶液に浸漬するなどして多孔質半導体層を構成する半導体微粒子に増感用の色素を担持させ、色素増感半導体層94を形成する。
次に、対極96側の表面に電解質を塗布し、この電解質を少なくとも色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95の全体、典型的にはこれらの色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95と対極96との全体に含浸させる。
次に、一端の色素増感光電変換素子が形成された透明導電層92および他端の色素増感光電変換素子が形成された透明導電層92に隣接して形成された透明導電層92にそれぞれ取り出し電極97、98を接合する。
次に、図32Bに示すように、対極96側の表面に接着層99を介して保護フィルム100を接着する。
この後、薄膜ガラス基板91の裏面に接着層101を介して保護フィルム102を接着し、薄膜ガラス基板91からはみ出した部分でこの保護フィルム102と保護フィルム100とを接合し、薄膜ガラス基板1の端面を保護フィルム100により覆う。
以上のようにして、図28〜図30に示す色素増感光電変換素子モジュールが製造される。
この第10の実施形態によれば、支持基材として厚さが0.2mm以下、好適には0.01〜0.2mmの薄膜ガラス基板91が用いられ、色素増感光電変換素子側の全面および薄膜ガラス基板91の端面が保護フィルム100により覆われ、薄膜ガラス基板91の裏面の全体が保護フィルム102により覆われているので、色素増感光電変換素子モジュールを軽量かつ薄型でフレキシブルに構成することができ、色素増感光電変換素子モジュールの機械的強度も十分に確保することができる。また、支持基材として薄膜ガラス基板91が用いられ、しかも反射防止膜として多孔質シリカ膜93が用いられているので、色素増感半導体層94に用いられる多孔質半導体層の形成時の焼成処理を500℃程度の温度で行うことができ、それによって多孔質半導体層の結晶性や粒子の結合状態を良好にすることができ、電子伝導性を良好にすることができる。このため、色素増感光電変換素子モジュールの発電効率を高くすることができる。さらに、保護フィルム100、102としてガスバリア材料からなるフィルムを用いることにより、外部から酸素などのガスや水蒸気などがモジュール内部に浸透するのを防止することができ、光電変換効率などの特性の劣化を防止することができる。このため、長期間優れた特性を維持することができる耐久性の高い色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。また、色素増感半導体層94と対極96とは多孔質絶縁層95で隔てられているため、色素増感半導体層94の色素が対極96に吸着するのを防止することができ、特性の劣化が生じないことから、Z型構造の色素増感太陽電池モジュールと同等の発電性能を有する色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。
〈実施例21〉
大きさが60mm×46mmで厚さが0.2mmのガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面にFTO膜を形成した後、このFTO膜をエッチングによりパターニングして、間に0.5mm幅の隙間が形成されるように9本のストライプ状のパターンを形成した。その後、アセトン、アルコール、アルカリ系洗浄液、超純水を順に用いて超音波洗浄を行い、十分に乾燥させた。
この薄膜ガラス基板上の9本のFTO膜のうちの末端の1本を除いた8本のFTO膜上にSolaronix 製酸化チタンペーストを幅5mm、長さ40mmのストライプ状で8本(総面積16cm2 )、スクリーン印刷機で塗布した。ペーストはガラス基板側より透明なTi-Nanoxide TSPペーストを厚さ7μm、散乱粒子を含むTi-Nanoxide DSPを厚さ13μm順次積層させ、合計20μmの厚さの多孔質TiO2 膜を得た。この多孔質TiO2 膜を500℃で30分間電気炉で焼成し、放冷後、0.1mol/LのTiCl4 水溶液中に浸漬させ、70℃で30分間保持し、十分に純水およびエタノールで洗浄し、乾燥後、再び500℃で30分間電気炉で焼成した。こうしてTiO2 焼結体を作製した。
次に、市販のTiO2 粒子(粒径200nm)、テルピネオールおよびエチルセルロースを用いて調製したスクリーン印刷用TiO2 ペーストを長さ41mm、幅5.5mm、厚さ10μmで上記TiO2 焼結体上に塗布した。このTiO2 ペーストを乾燥させ、対極として市販のカーボンブラックとグラファイト粒子、テルピネオールおよびエチルセルロースを用いて調製したスクリーン印刷用ペーストを長さ40mm、幅6mm、厚さ30μmで上記TiO2 層上に塗布し、このペーストを乾燥させた後、450℃で30分間電気炉で焼成した。こうして多孔質絶縁層および多孔質の対極が形成された。
次に、0.5mMシス−ビス(イソチオシアナート)−N,N−ビス(2,2' −ジピリジル−4,4' −ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ジテトラブチルアンモニウム塩(N719色素)のtert−ブチルアルコール/アセトニトリル混合溶媒(体積比1:1)に室温下、48時間浸漬させてTiO2 焼結体に色素を担持させた。こうして色素を担持させたTiO2 焼結体をアセトニトリルで洗浄し、暗所で乾燥させた。こうして色素増感TiO2 焼結体を作製した。
γ−ブチロラクトン3gにヨウ化ナトリウム(NaI)0.045g、1−プロピル−2.3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド1.11g、ヨウ素(I2 )0.11g、4−tert−ブチルピリジン0.081gを溶解させ、電解質組成物を調製した。
次に、こうして調製した電解質組成物をディスペンサーを用いて対極側の表面の全面に塗布し、この対極、多孔質絶縁層および色素増感半導体層の内部に含浸させ、これらの対極、多孔質絶縁層および色素増感半導体層から染み出した余分な電解質組成物はきれいに拭き取った。
次に、薄膜ガラス基板の両端のFTO膜からなる透明導電層上に設けられた取り出し電極接合部分に大きさが60mm×3mmで厚さが30μmのチタン箔を超音波はんだ法によって接合し、取り出し電極97、98とした。
次に、アルミニウムが蒸着されたガスバリアフィルムの貼り合わせ面に接着層としてホットメルト樹脂を接合した保護フィルムを70mm×56mmのサイズに切り出し、これを色素増感光電変換素子側の面に減圧下でホットプレスすることにより、色素増感光電変換素子モジュールを得た。
次に、色素増感光電変換素子モジュールの光入射側の面、すなわち薄膜ガラス基板の裏面に70mm×56mmのサイズに切り出した旭硝子製ARフィルム(商品名「アークトップ」)を貼り付け、薄膜ガラス基板よりはみ出した部分で、色素増感光電変換素子側に接着した上記保護フィルムと熱圧着により接合し、薄膜ガラス基板の端面を覆った。
以上の工程により、目的とする色素増感光電変換素子モジュールを得た。この色素増感光電変換素子モジュールは、5mm×40mmの大きさの色素増感光電変換素子が8本直列に接続されたものである。
〈実施例21〉
強化ガラス処理した厚さ0.1mmの薄膜ガラス基板上に実施例1と同様にして多孔質シリカ膜を形成するとともに、このガラス基板の、多孔質シリカ膜とは反対側の主面に実施例20のFTO膜と同様なパターンのITO(厚さ450nm)/ATO(厚さ50nm)の透明導電層をスパッタリングにより形成したものを用い、薄膜ガラス基板の裏面研磨を行わなかったこと以外は実施例20と同様にして色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
次に、この発明の第11の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図33に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、薄膜ガラス基板91の裏面に保護フィルム102が接着されておらず、色素増感光電変換素子側の面に接着された保護フィルム100が薄膜ガラス基板91の端面で折り返されて薄膜ガラス基板91の裏面に接合されている。この色素増感光電変換素子モジュールのその他の構成は第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールと同様である。
この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法は、薄膜ガラス基板91の裏面に保護フィルム102を接着せず、保護フィルム100を薄膜ガラス基板91の端面で折り返すことを除いて、第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法と同様である。
この第11の実施形態によれば、第10の実施形態と同様な利点を得ることができる。
〈実施例22〉
薄膜ガラス基板の裏面にARフィルムを接着せず、色素増感光電変換素子側の面に接着された保護フィルムを薄膜ガラス基板の端面で折り返してこの薄膜ガラス基板の裏面に接合したこと以外は実施例20と同様にして色素増感光電変換素子モジュールを作製した。
次に、この発明の第12の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールについて説明する。
図34に示すように、この色素増感光電変換素子モジュールにおいては、対極96は、Ti、Ni、Cr、Fe、Nb、Ta、W、CoおよびZrからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む金属または合金からなる箔の多孔質絶縁層95側の片面にPt、Ru、IrおよびCからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む触媒層が設けられたもの、または、Pt、Ru、IrおよびCからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素を含む材料からなる箔からなる。そして、1つの色素増感光電変換素子の対極96の一端は、導電材料103を介して、隣接する色素増感光電変換素子の透明導電層92と接合されている。この色素増感光電変換素子モジュールのその他の構成は第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールと同様である。
次に、この色素増感光電変換素子モジュールの製造方法について説明する。
まず、第10の実施形態と同様に工程を進めて多孔質絶縁層95まで形成した後、各透明導電層92上の対極96の接合部に導電材料103を形成し、所定の形状の金属または合金からなる箔の片面に触媒層を有するか、触媒能を有する材料からなる箔からなる対極96を形成し、この導電材料103と接合する。
次に、第10の実施形態と同様にして取り出し電極97、98を形成する。
次に、各色素増感光電変換素子毎にあらかじめ形成された注液口の部分を除いて、各色素増感光電変換素子の間の対極96と多孔質絶縁層95との間の部分および対極96の全面に接着層99を形成する。
次に、各色素増感光電変換素子毎にあらかじめ形成された注液口から電解液を注液し、少なくとも色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95の全体、典型的にはこれらの色素増感半導体層94および多孔質絶縁層95と対極96との全体に電解質を含浸させる。
この後、第10の実施形態と同様に保護フィルム100の接着以降の工程を進めて色素増感光電変換素子モジュールを製造する。
この第12の実施形態によれば、第10の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、対極96は金属または合金からなる箔の上に触媒層を有するもの、または、触媒能を有する材料からなる箔からなるものであるため対極96を薄く構成することができることにより、色素増感光電変換素子モジュールの薄型化および軽量化が可能である。また、対極96を構成する金属または合金からなる箔および触媒層の材料または触媒能を有する材料は選択の幅が広く、対極の材料面での制約がない。さらに、色素増感半導体層94と対極96とは多孔質絶縁層95で隔てられているため、色素増感半導体層94の色素が対極96に吸着するのを防止することができ、特性の劣化が生じないことから、Z型構造の色素増感太陽電池モジュールと同等の発電性能を有する色素増感光電変換素子モジュールを実現することができる。
〈実施例23〉
薄膜ガラス基板を用いて実施例20と同様に工程を進めて色素増感TiO2 焼結体を作製した後、異方導電性ペーストを0.5mm幅でストライプ状の色素増感TiO2 焼結体に平行になるように塗布して乾燥させた。
次に、厚さ0.05mmのチタン箔の片面に0.05mMの塩化白金酸のイソプロピルアルコール(IPA)溶液をスプレーコートし、385℃にて焼成した対極を6mm×40mmの大きさに切り出し、塩化白金酸をスプレーした面を色素増感TiO2 焼結体側に向け、位置合わせを行った後に、上記の異方導電性ペーストと対極とを熱圧着によって接合した。
薄膜ガラス基板上に、注液用の直径1mmのパターンを残し、各色素増感光電変換素子を全て覆うようにスクリーン印刷にてUV硬化型接着剤を塗布した。塗布後、気泡が完全に抜けたらコンベア式のUV露光機にてUV硬化型接着剤に紫外光を照射して硬化させた。
次に、実施例20と同様に調製した電解質組成物を上記のように準備された直径1mmの注液口から減圧下で注入した後、0.4MPaの加圧下で30分間保持し、電解液を各色素増感光電変換素子内に完全に浸透させた。こうして、色素増感TiO2 焼結体および多孔質絶縁層に電解質が含浸された。
次に、上記の電解液の注液口をUV硬化型接着剤により封止した後、実施例20と同様にして色素増感光電変換素子側に保護フィルムを接着するとともに、薄膜ガラス基板の裏面に保護フィルムを接着し、薄膜ガラス基板からはみ出した部分でこれらの保護フィルムを接合し、色素増感光電変換素子モジュールを得た。
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
この発明の第1の実施形態による色素増感光電変換素子の要部の断面図である。 この発明の第1の実施形態による色素増感光電変換素子の要部の断面図である。 この発明の実施例1との比較のために従来の多層型反射防止膜を用いた場合に測定した紫外−可視透過スペクトルを示す略線図である。 この発明の実施例1において多孔質シリカ膜を反射防止膜として用いた場合に測定した紫外−可視透過スペクトルを示す略線図である。 この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子の断面図である。 この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子の平面図である。 この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子の断面図である。 この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子の製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態による色素増感光電変換素子の製造方法を説明するための平面図である。 この発明の第4の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の断面図である。 この発明の第4の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図である。 この発明の第4の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第5の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の断面図である。 この発明の第5の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図である。 この発明の第5の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの断面図である。 この発明の第6の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の断面図である。 この発明の第6の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図である。 この発明の第6の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の断面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の一部を拡大して示す平面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第7の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第8の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の平面図である。 この発明の第9の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの断面図である。 この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の拡大断面図である。 この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの平面図図である。 この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の拡大平面図である。 この発明の第10の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第11の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの断面図である。 この発明の第12の実施形態による色素増感光電変換素子モジュールの要部の拡大断面図である。
符号の説明
1…透明導電性基板、1a…透明基板、1b…透明導電層、2…色素増感半導体層、3…多孔質シリカ膜、4…導電性基板、4a…基板、4b…対極、5…封止材、6…電解質層、11…透明導電性基板、11a…透明基板、11b…透明電極、12…色素増感半導体層、13…多孔質シリカ膜、14…導電性基板、14a…基板、14b…対極、15…電解質層、16…封止材、17、19、20…集電電極層、21…触媒電極層、22…透明基板、23…透明導電層、24…多孔質絶縁層、25…対極層、26…外装材、27…ゲル状電解質、41…透明基板、42…透明導電層、43…多孔質シリカ膜、44…色素増感半導体層、45…多孔質絶縁層、46…対極、47…導電材料、48…封止層、49…外装フィルム、50…注液口、71…透明基板、72…透明導電層、73…多孔質シリカ膜、74…基板、75…導電層、76…色素増感半導体層、77…触媒電極層、78…電解質層、79……集電電極、80…接着層、81…注液口、91…薄膜ガラス基板、92…透明導電層、94…色素増感半導体層、95…多孔質絶縁層、96…対極、97、98…取り出し電極、99、101…接着層、100、102…保護フィルム、103…導電材料

Claims (9)

  1. 色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子の製造方法において、
    受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成するようにした
    ことを特徴とする色素増感光電変換素子の製造方法。
  2. 透明導電性基板の一方の主面に上記色素増感半導体層を形成し、上記透明導電性基板の他方の主面に上記多孔質シリカ膜を形成することを特徴とする請求項1記載の色素増感光電変換素子の製造方法。
  3. テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を上記透明導電性基板の上記他方の主面に塗布した後、この溶液を乾燥させることにより上記多孔質シリカ膜を形成することを特徴とする請求項2記載の色素増感光電変換素子の製造方法。
  4. 上記少なくとも水を含む溶媒は水とアルコールとを含むことを特徴とする請求項3記載の色素増感光電変換素子の製造方法。
  5. 色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子において、
    受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有する
    ことを特徴とする色素増感光電変換素子。
  6. 色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールの製造方法であって、
    受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を形成するようにした
    ことを特徴とする色素増感光電変換素子モジュールの製造方法。
  7. 色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する複数の色素増感光電変換素子を有する色素増感光電変換素子モジュールであって、
    受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有する
    ことを特徴とする色素増感光電変換素子モジュール。
  8. 色素増感光電変換素子を用いた電子機器において、
    上記色素増感光電変換素子が、
    色素増感半導体層と対極との間に電解質層を有する色素増感光電変換素子において、
    受光面に反射防止膜として多孔質シリカ膜を有するものである
    ことを特徴とする電子機器。
  9. テトラアルコキシシランとポリアルコキシシリル化合物とを少なくとも水を含む溶媒に溶かして反応させることにより得られる組成物に界面活性剤を加えてシリカ前駆体を形成し、このシリカ前駆体を溶媒に溶かした溶液を基材に塗布した後、この溶液を乾燥させることにより多孔質シリカ膜を形成するようにした
    ことを特徴とする多孔質シリカ膜の製造方法。
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