JP2016143552A - 蓄電デバイス用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス Download PDF

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高明 宇野
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達朗 本多
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Abstract

【課題】密着性及び充放電特性が良好な蓄電デバイス電極を製造できる蓄電デバイス用組成物、並びに該組成物を含有する蓄電デバイス用スラリーを提供する。【解決手段】本発明に係る蓄電デバイス用組成物は、(A)重合体粒子と、(B)グラフェン誘導体と、(C)液状媒体と、を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスに関する。
近年、電子機器の駆動用電源として、高電圧かつ高エネルギー密度を有する蓄電デバイスが要求されている。このような蓄電デバイスとしては、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタなどが期待されている。
このような蓄電デバイスに使用される電極は、通常、活物質と、バインダーとして機能する重合体と、を含有する組成物(電極用スラリー)を集電体表面へ塗布・乾燥することにより製造される。バインダーとして使用される重合体に要求される特性としては、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力、電極を巻き取る工程における耐擦性、その後の裁断などによっても、塗布・乾燥された組成物塗膜(以下、「活物質層」ともいう。)から活物質の微粉などが脱落しない粉落ち耐性などを挙げることができる。重合体がこれらの種々の要求特性を満足することにより、得られる電極の折り畳み方法、捲回半径の設定などの蓄電デバイスの構造設計の自由度が高くなり、デバイスの小型化を達成することができる。
なお、上記の活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力、並びに粉落ち耐性については、性能の良否がほぼ比例関係にあることが経験上明らかになっている。従って本明細書では、以下、これらを包括して「密着性」という用語を用いて表す場合がある。
ところで最近になって、蓄電デバイスの高出力化及び高エネルギー密度化の要求を達成する観点から、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用する検討が進められている。例えば、より結晶性の高い黒鉛(グラファイト)を活物質として利用することでリチウム吸蔵量を向上させ、炭素材料の理論吸蔵量(約370mAh/g)に近い容量を実現するアプローチが進められている。一方、特許文献1には、リチウムの理論吸蔵量が最大で約4,200mAh/gであるケイ素材料を活物質として活用するアプローチが開示されている。いずれにしても、このようなリチウム吸蔵量が大きい活物質を活用することで、蓄電デバイスの容量が大幅に向上すると考えられている。
しかしながら、このようなリチウム吸蔵量の大きい材料を利用した活物質は、リチウムの吸蔵・放出により大きな体積変化を伴う。このため、従来使用されている電極用バインダーを、このようなリチウム吸蔵量の大きい材料に適用すると、密着性を維持することができずに活物質が剥離するなどし、充放電に伴って顕著な容量低下が発生する。
また、正極活物質中に導電助剤及びバインダーが含まれていると、正極活物質層重量あたりの放電容量の低減の原因となることに着目して、正極活物質層を作製する際に、導電助剤及びバインダーとしての機能を有する多層グラフェンを用いることで、導電助剤及びバインダーの量を低減する検討がなされている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、正極活物質と電解液との接触面積を大きくすることで、高出力な蓄電デバイスを得るために、酸化グラフェン及びリチウムと酸素を有する化合物を用いて、リチウムと酸素を有する化合物の粒子の隙間に酸化グラフェンを有する正極活物質層を作製する検討
がなされている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−185810号公報 特開2013−93319号公報 特開2013−65551号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような電極用バインダーは、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用した活物質を実用化するにあたり密着性が十分でなく、充放電を繰り返すことにより電極が劣化するため、実用化に必要な耐久性が十分に得られないという課題があった。
一方、特許文献2や特許文献3に記載されている正極活物質層では、密着性が不十分となりやすく、充放電を繰り返すことにより電極が劣化するため、実用化に必要な耐久性が十分に得られないという課題があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、密着性及び充放電特性が良好な蓄電デバイス電極を製造できる蓄電デバイス用組成物、並びに該組成物を含有する蓄電デバイス用スラリーを提供するものである。
さらに、本発明に係る幾つかの態様は、密着性及び充放電特性が良好な蓄電デバイス電極、並びにこれを備える蓄電デバイスを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイス用組成物の一態様は、
(A)重合体粒子と、(B)グラフェン誘導体と、(C)液状媒体と、を含有することを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄電デバイス用組成物において、
前記(A)重合体粒子100質量部に対して、前記(B)グラフェン誘導体を0.001質量部以上20質量部以下含有することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の蓄電デバイス用組成物において、
前記(B)グラフェン誘導体が、酸化グラフェンであることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物において、
前記(A)重合体粒子が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含むジエン系重合体粒子であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物において、
前記(A)重合体粒子が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素系重合体粒子であることができる。
[適用例6]
本発明に係る蓄電デバイス電極用スラリーの一態様は、
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物と、活物質と、を含有することを特徴とする。
[適用例7]
適用例6の蓄電デバイス電極用スラリーにおいて、
前記活物質として、ケイ素材料を含むことができる。
[適用例8]
本発明に係る蓄電デバイス電極の一態様は、
集電体と、前記集電体の表面上に適用例6または適用例7の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布及び乾燥されて形成された層と、を備えることを特徴とする。
[適用例9]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
適用例8の蓄電デバイス電極を備えることを特徴とする。
本発明に係る蓄電デバイス用組成物によれば、密着性及び充放電特性に優れる蓄電デバイス電極を製造することができる。本発明に係る蓄電デバイス用組成物は、蓄電デバイス電極が活物質としてリチウム吸蔵量の大きい活物質、例えばグラファイトのような炭素材料やケイ素材料を含有する場合に特に上記の効果を発揮する。
さらに、本発明に係る蓄電デバイス電極によれば、集電体とシリコン元素を含有する活物質層との密着能力に優れ、該活物質層の粉落ち性にも優れ、かつ、電気的特性も良好となる。また、かかる蓄電デバイス電極を備えた蓄電デバイスによれば、電気的特性の一つである充放電サイクル特性がとりわけ良好となる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極を模式的に示す断面図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」及び「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレート」及び「〜メタクリレート」の双方を包括する概念である。
1.蓄電デバイス用組成物
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(A)重合体粒子と、(B)グラフェン誘導体と、(C)液状媒体と、を含有する。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物
に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)重合体粒子
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(C)液状媒体中に(A)重合体粒子が分散されたラテックス状であることが好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物がラテックス状であると、活物質と混合して作製される蓄電デバイス電極用スラリーの安定性が良好となり、また蓄電デバイス電極用スラリーの塗布性が良好となるため好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物が負極活物質層を作製するために用いられる場合、下記のジエン系重合体粒子であることが好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物が正極活物質層を作製するために用いられる場合、(A)重合体粒子は、耐酸化性及び密着性の双方に優れる観点から、下記の含フッ素系重合体粒子であることが好ましい。また、本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物に含まれる(A)重合体粒子は、ポリアミック酸及びそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
1.1.1.ジエン系重合体粒子
ジエン系重合体粒子は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mc)と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Md)と、を含むことが好ましい。
1.1.1.1.共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)
ジエン系重合体粒子が共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)を有することにより、粘弾性及び強度に優れた負極用バインダーを製造することが容易となる。すなわち、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体粒子を使用すると、重合体粒子に強い結着力を付与することができる。共役ジエン化合物に由来するゴム弾性が重合体粒子に付与されると、電極の体積収縮や拡大等の変化に追従することが可能となる。そのため、結着性を向上させて、さらには長期に充放電特性を維持する耐久性を有するものと考えられる。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
ジエン系重合体粒子において、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に30〜60質量部であることが好ましく、40〜55質量部であることがより好ましい。ジエン系重合体粒子における繰り返し単位(Ma)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.1.1.2.芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)
ジエン系重合体粒子が芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)を有することにより、負極用スラリーが導電付与剤を含有する場合に、これに対する親和性をより良好にすることができる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらの中でも、スチレンが特
に好ましい。
ジエン系重合体粒子において、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に10〜40質量部であることが好ましく、15〜35質量部であることがより好ましい。繰り返し単位(Mb)の含有割合が前記範囲にあると、重合体粒子が活物質として用いられるグラファイトに対して適度な結着性を付与することができる。また、得られる電極活物質層は、柔軟性や集電体に対する結着性が良好なものとなる。
1.1.1.3.不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mc)
ジエン系重合体粒子が不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mc)を有することにより、電解液との親和性が良好となり、蓄電デバイス中で重合体粒子が電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制するとともに、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上であることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることが特に好ましい。
ジエン系重合体粒子において、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mc)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に5〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。繰り返し単位(Mc)の含有割合が前記範囲にあると、ジエン系重合体粒子が電解液との親和性が適度なものとなり、蓄電デバイス中でバインダーが電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制すると共に、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる。
1.1.1.4.不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Md)
ジエン系重合体粒子が不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Md)を有することにより、本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物を用いて調製された蓄電デバイス用スラリーの安定性が向上する。
不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノまたはジカルボン酸を挙げることができ、これらの中から選択される1種以上であることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸から選択される1種以上であることが好ましい。
ジエン系重合体粒子において、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Md)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に15質量部以下であること
が好ましく、0.3〜10質量部であることがより好ましい。繰り返し単位(Md)の含有割合が前記範囲にあると、蓄電デバイス電極用スラリー調製時において、ジエン系重合体粒子の分散安定性が良好となるため、凝集物が生じにくい。また、経時的なスラリー粘度の上昇も抑えることができる。
1.1.1.5.その他の繰り返し単位
ジエン系重合体粒子は、上記以外の繰り返し単位を有していてもよい。上記以外の繰り返し単位としては、例えばα,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位が挙げられる。
α,β−不飽和ニトリル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどを挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。これらの中でも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルから選択される1種以上であることが好ましく、アクリロニトリルであることがより好ましい。
ジエン系重合体粒子において、α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に、35質量部以下であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合が前記範囲にあると、蓄電デバイスで使用する電解液との親和性に優れ、かつ、膨潤率が大きくなりすぎず、電池特性の向上に寄与することができる。
また、ジエン系重合体粒子は、以下に示す化合物に由来する繰り返し単位をさらに有してもよい。このような化合物としては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン及び六フッ化プロピレン等のエチレン性不飽和結合を有する含フッ素化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物;モノアルキルエステル;モノアミド;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホブチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アクリルアミドプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する化合物等を挙げることができ、これらの中から選択される1種以上であることができる。
1.1.1.6.ジエン系重合体粒子の合成方法
ジエン系重合体粒子の合成方法については特に制限されないが、例えば特許第5146710号公報に記載されている方法により作製することができる。
1.1.2.含フッ素系重合体粒子
含フッ素系重合体粒子は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Me)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)と、を含むことが好ましい。含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Me)を有することで、(A)重合体粒子に耐酸化性を付与することができるが、密着性及び柔軟性が低くなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)を有することで、(A)重合体粒子に密着性及び柔軟性を付与することができるが、耐酸化性が低くなる傾向がある。したがって、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Me)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)と、を有する含フッ素系重合
体粒子であれば、それぞれの欠点を補うことができ、耐酸化性を劣化させることなく、密着性及び柔軟性を発現することが可能となる。前述のジエン系重合体粒子は耐酸化性が低いため、高電位に対する安定性が要求される正極においては、含フッ素系重合体粒子を正極用バインダーとして好適に用いることができる。
1.1.2.1.含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Me)
含フッ素系重合体粒子が含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Me)を有することにより、含フッ素系重合体粒子に耐酸化性を付与することができる。
含フッ素エチレン系単量体としては、例えばフッ素原子を有するオレフィン化合物、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。フッ素原子を有するオレフィン化合物としては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物、(メタ)アクリル酸3[4〔1−トリフルオロメチル−2,2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
Figure 2016143552
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはフッ素原子を含有する炭素数1〜18の炭化水素基である。)
上記一般式(1)中のRとしては、例えば炭素数1〜12のフッ化アルキル基、炭素数6〜16のフッ化アリール基、炭素数7〜18のフッ化アラルキル基等が挙げられるが、これらの中でも炭素数1〜12のフッ化アルキル基であることが好ましい。上記一般式(1)中のRの好ましい具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、β−(パーフルオロオクチル)エチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル基、1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
含フッ素エチレン系単量体としては、これらの中でも、フッ素原子を有するオレフィン化合物が好ましく、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン及び六フッ化プロピレンよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。上記の含フッ素エチレン系単量体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
含フッ素系重合体粒子において、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に20〜40質量部であることが好ましく、25〜35質量部であることがより好ましい。
1.1.2.2.不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)
含フッ素系重合体粒子が不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)を有することにより、含フッ素系重合体粒子に密着性及び柔軟性を付与することができる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、上記ジエン系重合体粒子の「1.1.1.3.不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mc)」で例示した化合物が挙げられる。
含フッ素系重合体粒子において、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mf)の含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に45〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましい。
含フッ素系重合体粒子は、上記以外の繰り返し単位を有してもよい。上記以外の繰り返し単位としては、上記ジエン系重合体粒子で説明した、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位、α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位が挙げられる。
1.1.2.3.含フッ素系重合体粒子の合成方法
含フッ素系重合体粒子の合成方法については特に限定されないが、例えば特許第4849286号公報に記載されている方法により作製することができる。
1.1.3.ポリアミック酸及びそのイミド化重合体
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物に含まれる(A)重合体粒子は、ポリアミック酸及びそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。また、ポリアミック酸の部分イミド化物は、上記ポリアミック酸のアミック酸構造の一部を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物やジアミンとしては、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物やジアミンを用いることができる。また、ポリアミック酸やそのイミド化重合体は、特許第5099394号公報に記載されている方法により合成することができる。
1.1.4.(A)重合体粒子の物性
1.1.4.1.平均粒子径
(A)重合体粒子の平均粒子径は、50〜500nmの範囲にあることが好ましく、100〜300nmの範囲にあることがより好ましい。(A)重合体粒子の平均粒子径が前記範囲内にあると、活物質表面への(A)重合体粒子の吸着が効果的になされるため、活物質同士の結着性が良好となる。また、活物質の移動に伴って(A)重合体粒子も追従して移動することができるので、両者の粒子のうちのいずれかのみが単独でマイグレートすることを抑制でき、電極の電気的特性の劣化を抑制できる。
(A)重合体粒子の平均粒子径は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いてJIS Z 8826に準拠して測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えばコールターLS230、LS100、LS13 320(以上、Beckman Coulter.Inc製)や、ALV5000(ALV社製)、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)などを挙げることができる。
1.1.4.2.テトラヒドロフラン(THF)不溶分
(A)重合体粒子のTHF不溶分は、80質量%以上であることが好ましく、90質量
%以上であることがより好ましい。このTHF不溶分は、蓄電デバイスにおいて使用される電解液に対する不溶分量とほぼ比例することが経験的に確認されている。このため、THF不溶分が前記範囲内である(A)重合体粒子を用いて蓄電デバイスを製造することにより、長期間にわたって充放電を繰り返した場合でも電解液中への(A)重合体粒子の溶出を抑制できるため好ましい。
(A)重合体粒子のTHF不溶分は、以下のようにして求めることができる。まず、(A)重合体粒子を含有するラテックス約10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤り取り、120℃で1時間乾燥して成膜する。得られた膜(重合体)のうちの1gをTHF400mL中に浸漬して50℃で3時間振とうする。次いで、THF相を300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のTHFを蒸発除去して得た残留物の重量(Y(g))を測定した値から、下記式(2)によってTHF不要分を求める。
THF不溶分(%)=((1−Y)/1)×100 ・・・・・(2)
1.1.4.3.ガラス転移温度(Tg)
(A)重合体粒子は、JIS K 7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、−50〜+50℃の温度範囲において吸熱ピークを1つしか有さないものであることが好ましい。この吸熱ピークの温度(ガラス転移温度(Tg))は、−40〜+30℃の範囲にあることがより好ましく、−30〜+20℃であることがより好ましい。DSC分析における(A)重合体粒子の吸熱ピークが1つのみであり、かつ、該ピーク温度が上記範囲内にある場合、該(A)重合体粒子は良好な密着性を示すとともに、活物質層に対してより良好な柔軟性及び粘着性を付与することができるため好ましい。
1.2.(B)グラフェン誘導体
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(B)グラフェン誘導体を含有する。本明細書における「グラフェン誘導体」とは、グラフェンを化学修飾して得られる化合物のことをいい、例えばフッ素、窒素、有機基などを付加させたものが挙げられる。
(B)グラフェン誘導体としては、例えば、酸化グラフェン、グラファン等が挙げられる。これらの中でも、集電体と活物質層との密着能力、該活物質層の粉落ち性、電気的特性の観点から、酸化グラフェンが特に好ましい。(B)グラフェン誘導体を添加することにより、蓄電デバイスの充放電特性が良好となる理由は明らかではないが、以下のように考えられる。第1に、(B)グラフェン誘導体を添加することにより、得られる活物質層の硬度は高くなるが、同時に靱性が付与される。このような補強効果が充放電サイクル特性に寄与しているものと考えられる。第2に、(B)グラフェン誘導体のシートは非常に広い比表面積を有しているため、電子伝導が存在すると電解液と接する二重層容量が大きくなる。これにより、放電容量が大きく特性の良好な蓄電デバイスが得られると考えられる。
酸化グラフェンは、炭素がsp結合した(すなわちベンゼンが二次元に結合した)部分(sp結合部)と、酸素官能基(sp結合部)と、を有している。この酸素官能基は、エポキシ基(COC)、ヒドロキシ基(COH)、カルボニル基(CO)、及びカルボキシ基(COOH)から構成されている。このように酸化グラフェンは、絶縁性かつ親水性であるsp結合部を表面に有しているため、水に分散させることができ、均一な蓄電デバイス用組成物を得ることができる。
また、酸化グラフェンは、シート状であることが好ましい。シートの大きさとしては、1nm〜100μmであることが好ましく、5nm〜80μmであることがより好ましい
。また、酸化グラフェンのシートは、sp結合部の1原子層の単層のみで形成されてもよいし、その単層が複数積層されていてもよい。sp結合部が複数積層されている場合、1〜70層までのものが全体の70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
酸化グラフェンの合成法としては、Brodie法、Staudenmaier法、Hummers法等が知られており、中でもHummers法が安全性の面から好ましい。Hummers法は、黒鉛、硝酸ナトリウム、硫酸に過マンガン酸カリウムを添加することで酸化グラフェンを合成する方法である。
酸化グラフェンの炭素(C)と酸素(O)の原子数の比率(C/O)は、20/80〜98/2であることが好ましく、集電体と活物質層との密着能力、該活物質層の粉落ち性、電気的特性の観点から、30/70〜95/5であることがより好ましい。
酸素原子数の比率は、Quantum2000(アルバックファイ社製)を用いたESCA(XPS)法により、表面元素組成分析を行うことで評価することができる。
このような酸化グラフェンとしては、例えば、単層酸化グラフェンなどが挙げられ、単層酸化グラフェンG−17A(イーエムジャパン社製)などが市販されている。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物における(B)グラフェン誘導体の含有割合は、(A)重合体粒子100質量部に対して、集電体と活物質層との密着能力、該活物質層の粉落ち性、電気的特性の観点から、0.001〜20質量部であることが好ましく、0.002〜15質量部であることがより好ましく、0.005〜10質量部であることが特に好ましい。
1.3.(C)液状媒体
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(C)液状媒体を含有する。(C)液状媒体としては、水を含有する水系媒体であることが好ましい。上記水系媒体には、水以外の非水系媒体を含有させることができる。この非水系媒体としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素;2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン化合物;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトン等のラクトン;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドやスルホン化合物を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
(C)液状媒体が水系媒体である場合、液状媒体の全量100質量%中、90質量%以上が水であることが好ましく、98質量%以上が水であることがより好ましく、100質量%が水であることが特に好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、液状媒体として水系媒体を使用することにより、環境に対して悪影響を及ぼす程度が低くなり、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
1.4.その他の添加剤
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、必要に応じて前述した成分以外の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、例えば増粘剤が挙げられる。本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、増粘剤を含有することにより、その塗布性や得られる蓄電デバイスの充放電特性等をさらに向上させることができる。
このような増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース化合物;上記セルロース化合物のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸;上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸とビニルエステルとの共重合体の鹸化物等の水溶性ポリマーを挙げることができる。これらの中でも特に好ましい増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩である。
増粘剤の市販品としては、例えばCMC1120、CMC1150、CMC2200、CMC2280、CMC2450(以上、株式会社ダイセル製)等のカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩を挙げることができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物が増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有割合は、蓄電デバイス用組成物の全固形分量に対して、5質量%以下であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。
2.蓄電デバイス電極用スラリー
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物と、活物質と、を含有する。蓄電デバイス電極用スラリーとは、これを集電体の表面に塗布した後、乾燥させて、集電体表面上に活物質層を形成するために用いられる分散液のことである。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる各成分について詳細に説明する。但し、蓄電デバイス用組成物については、上述の通りであるから説明を省略する。
2.1.活物質
活物質としては、特に制限されないが、例えば炭素材料、ケイ素材料、リチウム原子を含む酸化物、鉛化合物、錫化合物、砒素化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物等が挙げられる。
上記炭素材料としては、例えばアモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
上記ケイ素材料としては、例えばケイ素単体、ケイ素酸化物、ケイ素合金等が挙げられるほか、例えばSiC、SiO(0<x≦3、0<y≦5)、Si、SiO、SiO(0<x≦2)で表記されるSi酸化物複合体(例えば特開2004−185810号公報や特開2005−259697号公報に記載されている材料など)、特開2004−185810号公報に記載されたケイ素材料を使用することができる。上記ケイ素酸化物としては、組成式SiO(0<x<2、好ましくは0.1≦x≦1)で表されるケイ素酸化物が好ましい。上記ケイ素合金としては、ケイ素と、チタン、ジルコニウム、ニッケル、銅、鉄及びモリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属との合金が好ましい。これらの遷移金属のケイ素合金は、高い電子伝導度を有し、かつ高い強度を有することから好ましく用いられる。また、活物質がこれらの遷移金属を含むことにより、活物質の表面に存在する遷移金属が酸化されて表面に水酸基を有する酸化物が形成されることから、(A)重合体粒子との結着力がより良好になる点でも好ましい。ケイ素合金としては、ケイ素−ニッケル合金またはケイ素−チタン合金を使用することがより好ましく、ケイ素−チタン合金を使用することが特に好ましい。ケイ素合金におけるケイ素の含有割合は、該合金中の金属元素の全部に対して10モル%以上とすることが
好ましく、20〜70モル%とすることがより好ましい。なお、ケイ素材料は、単結晶、多結晶及び非晶質のいずれであってもよい。
上記リチウム原子を含む酸化物としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、三元系ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、Li0.90Ti0.05Nb0.05Fe0.30Co0.30Mn0.30PO等が挙げられる。
また、活物質層中には、以下に例示する活物質を含んでもよい。このような活物質としては、例えばポリアセン等の導電性高分子;A(但し、Aはアルカリ金属または遷移金属、Bはコバルト、ニッケル、アルミニウム、スズ、マンガン等の遷移金属から選択される少なくとも1種、Oは酸素原子を表し、X、Y及びZはそれぞれ1.10>X>0.05、4.00>Y>0.85、5.00>Z>1.5の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物や、その他の金属酸化物等が例示される。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、正極及び負極のいずれの蓄電デバイス電極の活物質層を作製する用途に使用することができる。
正極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でもリチウム原子を含む酸化物を使用することが好ましい。
活物質としてリチウム原子を含む酸化物を使用する場合、(B)グラフェン誘導体の含有割合は、リチウム原子を含む酸化物の合計を100質量部としたときに、0.001〜20質量部であることが好ましく、活物質層との密着能力、該活物質層の粉落ち性、電気的特性の観点から、0.005〜15質量部であることがより好ましく、0.01〜10質量部であることが特に好ましい。
負極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でもケイ素材料を含有するものであることが好ましい。ケイ素材料は単位重量当たりのリチウムの吸蔵量がその他の活物質と比較して大きいことから、活物質がケイ素材料を含有することにより、得られる蓄電デバイスの蓄電容量を高めることができ、その結果、蓄電デバイスの出力及びエネルギー密度を高くすることができる。また、負極活物質としては、ケイ素材料と炭素材料との混合物からなることがより好ましい。炭素材料は、充放電に伴う体積変化が小さいから、負極活物質としてケイ素材料と炭素材料との混合物を使用することにより、ケイ素材料の体積変化の影響を緩和することができ、活物質層と集電体との密着能力をより向上させることができる。かかる混合物としては、ケイ素材料の表面に炭素材料の被膜が形成された炭素被膜ケイ素材料を用いることもできる。炭素被膜ケイ素材料を用いることで、ケイ素材料の充放電に伴う体積変化の影響を表面に存在する炭素材料によってより効果的に緩和することができるようになるため、活物質層と集電体との密着能力を向上させることが容易となる。
シリコン(Si)を活物質として使用する場合、シリコンは5原子あたり最大22個のリチウムを吸蔵することができる(5Si+22Li→Li22Si)。その結果、シリコン理論容量は4200mAh/gにも達する。しかしながら、シリコンはリチウムを吸蔵する際に大きな体積変化を生じる。具体的には、炭素材料はリチウムを吸蔵することにより最大1.2倍程度に体積膨張するのに対して、ケイ素材料はリチウムを吸蔵することにより最大4.4倍程度に体積膨張する。このためケイ素材料は膨張と収縮の繰り返しによって微粉化、集電体からの剥離や、活物質同士の乖離を引き起こし、活物質層内部の導電ネットワークが寸断される。したがって短時間でサイクル特性が極端に劣化してしまう。
しかしながら、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーを用いて作製された負極活物質層を有する負極では、ケイ素材料を使用した場合でも上述のような問題が発生することなく、良好な電気的特性を示すことができる。これは、(A)重合体粒子がケイ素材料を強固に結着させることができると同時に、リチウムを吸蔵することによりケイ素材料が体積膨張しても重合体が伸び縮みしてケイ素材料を強固に結着させた状態を維持することができるためであると考えられる。
活物質としてケイ素材料を含有する場合、活物質100質量%中に占めるケイ素材料の割合は、1質量%以上とすることが好ましく、1〜50質量%とすることがより好ましく、5〜45質量%とすることがさらに好ましく、10〜40質量%とすることが特に好ましい。
活物質としてケイ素材料と炭素材料とを併用する場合、十分な結着性を維持する観点から、活物質100質量%中に占めるケイ素材料の割合は、4〜40質量%であること好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。ケイ素材料の含有割合が前記範囲内であると、リチウムの吸蔵に伴うケイ素材料の体積膨張に対する炭素材料の体積膨張が小さいため、これらの活物質を含有する活物質層の充放電に伴う体積変化を低減させることができ、集電体と活物質層との結着性をより向上させることができる。
また、活物質として炭素材料あるいはケイ素材料と炭素材料とを併用する場合のいずれにおいても、(B)グラフェン誘導体の含有割合は、炭素材料あるいはケイ素材料と炭素材料の合計を100質量部としたときに、0.001〜20質量部であることが好ましく、活物質層との密着能力、該活物質層の粉落ち性、電気的特性の観点から、0.005〜15質量部であることがより好ましく、0.01〜10質量部であることが特に好ましい。
活物質の形状としては、特に制限されないが、粒状であることが好ましい。活物質の平均粒子径としては、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
ここで、活物質の平均粒子径とは、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から算出される体積平均粒子径である。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。この粒度分布測定装置は、活物質の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。したがって、この粒度分布測定装置によって得られた平均粒子径は、蓄電デバイス電極用スラリー中に含まれる活物質の分散状態の指標とすることができる。なお、活物質の平均粒子径は、スラリーを遠心分離して活物質を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した活物質を上記の方法で測定することによっても測定することができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーにおいて、活物質の含有割合は、活物質100質量部に対して(A)重合体粒子の割合が、0.1〜25質量部となるような割合で使用することが好ましく、0.5〜15質量部となるような割合で使用することがより好ましい。このような含有割合とすることにより、密着性により優れ、しかも電極抵抗が小さく充放電特性により優れた蓄電デバイス電極を製造することができる。
2.2.その他の添加剤
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーには、前述した成分以外に、必要に応じて他の成分を添加してもよい。このような成分としては、例えば導電助剤、増粘剤、液状媒体(ただし、蓄電デバイス用組成物からの持ち込み分を除く。)などが挙げられる。
2.2.1.導電助剤
導電助剤の具体例としては、リチウムイオン二次電池においては、カーボンなど(ただし、グラフェン誘導体を除く。)を挙げることができる。カーボンとしては、活性炭、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレンなどを挙げることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックを好ましく使用することができる。導電助剤の使用割合は、活物質100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることが特に好ましい。
2.2.2.増粘剤
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、その塗工性を改善する観点から、増粘剤を含有することができる。増粘剤の具体例としては、上記「1.4.その他の添加剤」に記載した各種化合物が挙げられる。
蓄電デバイス電極用スラリーが増粘剤を含有する場合、増粘剤の使用割合としては、蓄電デバイス電極用スラリーの全固形分量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
2.2.3.液状媒体
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物を含有するから、蓄電デバイス用組成物に含まれていた(C)液状媒体を含有することとなる。本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーには、蓄電デバイス用組成物から持ち込まれた(C)液状媒体に加えて、必要に応じてさらに液状媒体を添加してもよい。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに追加で添加される液状媒体は、蓄電デバイス用組成物に含まれていた(C)液状媒体と同種であってもよく、異なっていてもよいが、蓄電デバイス用組成物における(C)液状媒体について上述した液状媒体から選択して使用されることが好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上記例示した液状媒体の中でも、その塗布性を改善する観点から、80〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体を含有することが好ましい。これらの中でも、(A)重合体粒子の安定性を加味すると、N−メチルピロリドンが特に好ましい。
2.2.4.蓄電デバイス電極用スラリーの製造方法
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物と、活物質と、水と、必要に応じて用いられる添加剤と、を混合することにより製造することができる。これらの混合には公知の手法による攪拌によって行うことができ、例えば攪拌機、脱泡機、ビーズミル、高圧ホモジナイザーなどを利用することができる。
蓄電デバイス電極用スラリーを製造するための混合撹拌としては、スラリー中に活物質の凝集体が残らない程度に撹拌し得る混合機と、必要にして十分な分散条件とを選択する必要がある。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物がなくなるように混合分散することが好ましい。このような条件に適合する混合機としては、例えばボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサーなどを例示することができる
3.蓄電デバイス電極
以下、本実施形態に係る蓄電デバイス電極について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る蓄電デバイス電極100(以下、単に「電極」ともいう。)を模式的に示す断面図である。図1に示すように、電極100は、集電体10と、集電体10の表面に形成された活物質層20と、を備えている。活物質層20は、前記集電体10の表面上に上述の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布及び乾燥されて形成された層である。かかる電極100は、金属箔などの適宜の集電体10の表面に、上述のスラリーを塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜から液状媒体を乾燥除去して活物質層20を形成することにより製造することができる。このようにして製造された電極100は、集電体10上に、上述の(A)重合体粒子及び活物質、さらに必要に応じて使用される任意添加成分を含有する活物質層20が結着されてなるものである。かかる電極100は、集電体10と活物質層20との密着能力に優れるとともに、電気的特性の一つである充放電サイクル特性が良好となる。また、活物質の剥落が抑制された良好な電極であり、充電後の電極膜厚変化が小さい点で優れている。
集電体10の材質としては、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池においては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属製の集電体が使用されるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、上述の作用効果が最もよく現れる。ニッケル水素二次電池における集電体としては、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などが使用される。集電体10の形状及び厚さは特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものとすることが好ましい。
活物質層20の厚さは特に制限されないが、通常0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmである。なお、図1における蓄電デバイス電極100では、集電体10の一方の面にのみ活物質層20が形成されているが、集電体10の両面に活物質層20が形成されていてもよい。
スラリーの集電体10への塗布方法については、特に制限はない。塗布は、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法等の適宜の方法によることができる。スラリーの塗布量も特に制限されないが、液状媒体を除去した後に形成される活物質層の厚さが、0.005〜5mmとなる量とすることが好ましく、0.01〜2mmとなる量とすることがより好ましい。
塗布後の塗膜からの液状媒体を乾燥除去する方法についても特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線等の照射による乾燥などによることができる。乾燥速度としては、応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ速く液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
液状媒体を除去した後にさらに塗膜をプレスすることにより、活物質層の密度を高めることが好ましい。プレス方法としては、金型プレス、ロールプレス等の方法が挙げられる。プレスの条件は、使用するプレス機器の種類及び活物質層の密度の所望値によって適宜に設定されるべきである。この条件は、当業者による少しの予備実験により、容易に設定することができるが、例えばロールプレスの場合、ロールプレス機の線圧力は0.1〜10t/cm、好ましくは0.5〜5t/cmの圧力において、例えばロール温度が20〜100℃において、液状媒体除去後の塗膜の送り速度(ロールの回転速度)が1〜80m
/分、好ましくは5〜50m/分で行うことができる。
プレス後の塗膜は、さらに、減圧下で加熱して液状媒体を完全に除去することが好ましい。この場合の減圧の程度としては、絶対圧として50〜200Paとすることが好ましく、75〜150Paとすることがより好ましい。加熱温度としては、100〜200℃とすることが好ましく、120〜180℃とすることがより好ましい。加熱時間は、2〜12時間とすることが好ましく、4〜8時間とすることがより好ましい。
このようにして製造された蓄電デバイス電極は、集電体と活物質層との間の密着能力に優れるとともに、充放電特性が良好となる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極において、活物質としてケイ素材料を用いる場合、活物質層100質量部中のシリコン元素の含有割合が1〜50質量部であることが好ましく、2〜40質量部であることがより好ましく、3〜30質量部であることが特に好ましい。活物質層中のシリコン元素の含有量が前記範囲であると、それを用いて作製される蓄電デバイスの蓄電容量が向上することに加え、シリコン元素の分布が均一な活物質層が得られる。
本発明における活物質層中のシリコン元素の含有量は、以下の手順により測定することができる。すなわち、
(1)蛍光X線分析装置(スペクトリス社製、製品名「パナリティカルMagixPRO」)にて、あらかじめ準備しておいたシリコン元素の含有量既知のサンプルを複数点測定し、検量線を作成する。
(2)蓄電デバイス電極から活物質層の全体(深さ方向の一部のみを採取しないようにする)をスパチュラなどで3g掻き取り、全体が均一になるように乳鉢などで混合した後に直径3cmの円盤状のプレートにプレスする。活物質層単独では成形できない場合は、元素組成既知の凝着剤を適宜使用してもよい。このような凝着剤としては、例えばスチレン・マレイン酸樹脂、ホウ酸粉末、セルロース粉などを使用できる。また、シリコン含有量が高く検量線のリニアリティが確保できない場合も、上記凝着剤を用いてサンプルを希釈して測定することができる。なお、上記凝着剤を使用する際は、マトリックス効果による検量線のズレを回避するため、検量線作成サンプルも同様に凝着剤を使用することが好ましい。
(3)得られたプレートを蛍光X線分析装置にセットして分析し、上記検量線からシリコン元素含有量を算出する。上記凝着剤を使用した場合は、凝着剤の重量を差し引いた上でシリコン元素含有量を算出する。
4.蓄電デバイス
本実施形態に係る蓄電デバイスは、上述の蓄電デバイス電極を備えるものであり、さらに電解液を含有し、セパレーターなどの部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的な製造方法としては、例えば、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に収納し、該電池容器に電解液を注入して封口する方法などを挙げることができる。電池の形状は、コイン型、円筒型、角形、ラミネート型など、適宜の形状であることができる。
電解液は、液状でもゲル状でもよく、活物質の種類に応じて、蓄電デバイスに用いられる公知の電解液の中から電池としての機能を効果的に発現するものを選択すればよい。電解液は、電解質を適当な溶媒に溶解した溶液であることができる。
上記電解質としては、リチウムイオン二次電池では、従来から公知のリチウム塩のいずれをも使用することができ、その具体例としては、例えばLiClO、LiBF、L
iPF、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCFSO、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどを例示することができる。ニッケル水素二次電池では、例えば従来公知の濃度が5モル/リットル以上の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。
上記電解質を溶解するための溶媒は、特に制限されるものではないが、その具体例として、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート化合物;γ−ブチルラクトンなどのラクトン化合物;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。電解液中の電解質の濃度としては、好ましくは0.5〜3.0モル/Lであり、より好ましくは0.7〜2.0モル/Lである。
5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.実施例1
5.1.1.(A)重合体粒子の合成及び評価
<(A)重合体粒子の合成>
攪拌機を備えた温度調節可能なオートクレーブ中に、水300質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6質量部、過硫酸カリウム1.0質量部、重亜硫酸ナトリウム0.5質量部、α−メチルスチレンダイマー0.2質量部、ドデシルメルカプタン0.2質量部、および表1に示した重合単量体成分である、1,3−ブタジエン72質量部、スチレン7質量部、メタクリル酸メチル10質量部、アクリロニトリル5質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3質量部、アクリル酸2質量部、イタコン酸1質量部を順次仕込み、70℃にて8時間重合反応を行った。重合単量体成分の添加開始から3時間経過した時点で、α−メチルスチレンダイマー1.0質量部及びドデシルメルカプタン0.3質量部をさらに添加した。その後、オートクレーブ内の温度を80℃に昇温し、さらに2時間反応を行ってラテックスを得た。その後、ラテックスのpHを7.0に調節し、トリポリリン酸ナトリウム5質量部(固形分換算値、濃度10質量%の水溶液として添加)を加えた。次いで、残留単量体を水蒸気蒸留によって除去し、減圧下で濃縮することにより、重合体の粒子((A)重合体粒子)を35質量%含有する水系分散体を得た。
<平均粒子径の測定>
動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、型式「FPAR−1000」)を用いて、上記で得られた水系分散体の粒度分布を測定し、その粒度分布から平均粒子径(D50)を求めたところ150nmであった。
<DSC分析>
上記で得られた水系分散体から(A)重合体粒子を分離し、その(A)重合体粒子をJIS K7121に準拠する示差走査熱量計(DSC)によって測定したところ、単一のガラス転移温度(Tg)が−60℃に1つだけ観測された。
5.1.2.蓄電デバイス用組成物の調製及び評価
<蓄電デバイス用組成物の調製>
(A)重合体粒子100質量部に対して(B)酸化グラフェンが0.5質量部となるように、上記で得られた(A)重合体粒子を含有する水系分散体に(B)酸化グラフェン(イーケーエムジャパン株式会社製、商品名「単層酸化グラフェン」、品番「G17L」)を添加して、60rpmで1時間撹拌を行った。さらに、この(B)酸化グラフェンを含有する水系分散体1000gに、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを1%含有する水懸濁液を10.1g仕込み、300rpmで撹拌することにより、蓄電デバイス用組成物を調製した。
なお、蓄電デバイス用組成物中における5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの含有量は、以下の手順で蓄電デバイス用組成物を分析することにより確認できる。すなわち、得られた蓄電デバイス用組成物を2.0g秤量し、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝集させる。次に凝集させた重合体成分をろ過し、高速液体クロマトグラフィー装置(カラム:Waters社製、μBondasphere 5μ C18−100Å(内径:3.9mm、長さ:150mm)、移動相:蒸留水を用いて調製した0.01M酢酸アンモニウム2Lにトリフルオロ酢酸を加え、pHを4.0に調整後、高速液体クロマトグラフィー用アセトニトリル500mLを加え混合したもの、流量:0.6mL/分)を使用して定量した結果、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの含有量は100ppmであることが確認できた。
5.1.3.蓄電デバイス電極用スラリーの調製及び評価
<ケイ素材料(ケイ素系活物質)の合成>
粉砕した二酸化ケイ素粉末(平均粒子径10μm)と炭素粉末(平均粒子径35μm)との混合物を、温度を1100〜1600℃の範囲に調整した電気炉中で、窒素気流下(0.5NL/分)、10時間の加熱処理を行い、組成式SiO(x=0.5〜1.1)で表される酸化ケイ素の粉末(平均粒子径8μm)を得た。この酸化ケイ素の粉末300gをバッチ式加熱炉内に仕込み、真空ポンプにより絶対圧100Paの減圧を維持しながら、300℃/hの昇温速度にて室温(25℃)から1100℃まで昇温した。次いで、加熱炉内の圧力を2000Paに維持しつつ、メタンガスを0.5NL/分の流速にて導入しながら、1100℃、5時間の加熱処理(黒鉛被膜処理)を行った。黒鉛被膜処理終了後、50℃/hの降温速度で室温まで冷却することにより、黒鉛被膜酸化ケイ素の粉末約330gを得た。この黒鉛被膜酸化ケイ素は、酸化ケイ素の表面が黒鉛で被覆された導電性の粉末(活物質)であり、その平均粒子径は10.5μmであり、得られた黒鉛被膜酸化ケイ素の全体を100質量%とした場合の黒鉛被膜の割合は2質量%であった。
<蓄電デバイス電極用スラリーの調製>
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)に増粘剤(商品名「CMC2200」、株式会社ダイセル製)を1質量部(固形分換算値、濃度2質量%の水溶液として添加)、負極活物質として結晶性の高いグラファイトである人造黒鉛(日立化成工業株式会社製、商品名「MAG」)99質量部(固形分換算値)、上記で得られた黒鉛被覆膜酸化ケイ素の粉末を1質量部(固形分換算値)、及び水68質量部を投入し、60rpmで1時間攪拌を行った。その後、得られたペーストに水と上記で得られた蓄電デバイス用組成物を、これに含有される(A)重合体粒子2質量部及び(B)酸化グラフェン0.01質量部に相当する量投入し、固形分濃度を50質量%に調整した後、攪拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「泡とり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1800rpmで5分間、さらに減圧下(約2.5×10Pa)において1800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、蓄電デバイス電極用スラリーを調製した。
5.1.4.蓄電デバイス電極の製造及び評価
<蓄電デバイス電極の製造>
厚み20μmの銅箔よりなる集電体の表面に、上記で得られた蓄電デバイス電極用スラリーを、乾燥後の膜厚が80μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、60℃で10分乾燥し、次いで120℃で10分間乾燥処理した。その後、活物質層の密度が1.6g/cmとなるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、蓄電デバイス電極(負極)を得た。
<ピール強度の測定>
上記で得られた蓄電デバイス電極から幅2cm×長さ12cmの試験片を切り出し、この試験片の活物質層側の表面を、幅25mmの両面テープ(ニチバン株式会社製、商品名「ナイスタック(登録商標)」)を用いてアルミニウム板に貼り付けた。一方、試験片の集電体の表面に、幅18mmテープ(ニチバン株式会社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、JIS Z1522に規定)を貼り付けた。この幅18mmテープを90°方向に50mm/minの速度で2cm剥離したときの力(N/m)を6回測定し、その平均値を密着強度(ピール強度、N/m)として算出した。このピール強度の値が大きいほど、集電体と活物質層との密着強度が高く、集電体から活物質層が剥離し難いと評価することができる。定量的には、ピール強度の値が8N/m以上である場合、密着強度が良好であると判断することができる。ピール強度の測定結果を表1に併せて示した。
<クラック率の測定>
上記で得られた蓄電デバイス電極から幅2cm×長さ10cmの試験片を切り出し、該試験片について直径2mmの丸棒に沿って幅方向に折り曲げ回数100回にて繰り返し折り曲げ試験を行った。丸棒に沿った部分のクラックの大きさを目視により観察して計測し、クラック率を測定した。クラック率は、下記式(3)によって定義した。
クラック率(%)=(クラックの入った長さ[mm]/極板全体の長さ[100mm])×100 ・・・・・(3)
5.1.5.蓄電デバイスの製造及び評価
<対極(正極)の製造>
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)に、電気化学デバイス電極用バインダー(株式会社クレハ製、商品名「KFポリマー#1120」)4.0質量部(固形分換算値)、導電助剤(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック50%プレス品」)3.0質量部、正極活物質として平均粒子径5μmのLiCoO(ハヤシ化成株式会社製)100質量部(固形分換算値)およびN−メチルピロリドン(NMP)36質量部を投入し、60rpmで2時間攪拌を行った。得られたペーストにNMPを追加し、固形分濃度を65質量%に調製した後、攪拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「泡とり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1,800rpmで5分間、さらに減圧下(約2.5×10Pa)において1,800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、正極用スラリーを調製した。アルミニウム箔よりなる集電体の表面に、この正極用スラリーを、溶媒除去後の膜厚が80μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で20分間加熱して溶媒を除去した。その後、活物質層の密度が3.0g/cmとなるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、対極(正極)を得た。
<リチウムイオン電池セルの組み立て>
露点が−80℃以下となるようAr置換されたグローブボックス内で、上記で製造した負極を直径15.95mmに打ち抜き成形したものを、2極式コインセル(宝泉株式会社製、商品名「HSフラットセル」)上に載置した。次いで、直径24mmに打ち抜いたポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター(セルガード株式会社製、商品名「セルガード#2400」)を載置し、さらに、空気が入らないように電解液を500μL注入した後、上記で製造した正極を直径16.16mmに打ち抜き成形したものを載置し、前記2
極式コインセルの外装ボディーをネジで閉めて封止することにより、リチウムイオン電池セル(蓄電デバイス)を組み立てた。ここで使用した電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒に、LiPFを1モル/Lの濃度で溶解した溶液である。
<10サイクル目保持率の評価>
上記で製造した蓄電デバイスにつき、25℃に調温された恒温槽にて、定電流(0.5C)にて充電を開始し、電圧が4.2Vになった時点で引き続き定電圧(4.2V)にて充電を続行し、電流値が0.05Cとなった時点で充電完了(カットオフ)する。次いで、定電流(0.5C)にて放電を開始し、電圧が3Vになった時点を放電完了(カットオフ)とし、0.5Cでの1回目の放電容量を測定した。上記充放電をあと9回繰り返し行い、1回目の放電容量に対する10回目の放電容量の割合(百分率%)を計算することにより10サイクル目保持率(%)を算出した。
5.2.実施例2〜11及び比較例1〜5
上記実施例1の<(A)重合体粒子の合成>において、各単量体の種類及び量を、それぞれ表1〜表2に記載の通りとした以外は同様にして固形分濃度35質量%の(A)重合体粒子を含有する水系分散体をそれぞれ調製した。次いで、得られた水系分散体を用い、Carbon.2013,53,P38−49に記載のHummers法で酸化グラフェンを合成する際に酸化剤として使用する過マンガン酸カリウムの量を調製することで異なる酸化度の酸化グラフェンを合成し、(B)グラフェンの含有割合を表1〜表2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして蓄電デバイス用組成物をそれぞれ調製した。次いで、得られた蓄電デバイス用組成物を用い、活物質の含有割合を表1〜表2に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして蓄電デバイス電極用スラリーをそれぞれ調製し、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスをそれぞれ作製した。各種測定及び評価方法は、上記実施例1と全く同様とした。
5.3.実施例12
電磁式撹拌機を備えた内容積約6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)70%及び六フッ化プロピレン(HFP)30%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cmに達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113溶液25gを窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cmに維持されるようVDF60.2%及びHFP39.8%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cmに維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体の微粒子を40%含有する水系分散体を得た。得られた重合体につき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/HFP=21/4であった。
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、上記の工程で得られた重合体の微粒子を含有する水系分散体1600g(重合体換算で25質量部に相当)、乳化剤「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製)0.5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)30質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)40質量部及びメタクリル酸(MAA)5質量部並びに水130質量部を順次仕込み、70℃で3時間攪拌し、重合体の微粒子に単量体を吸収させた。次いで油溶性重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を含有するテトラヒドロフラン溶液20m
Lを添加し、75℃に昇温して3時間反応を行い、さらに85℃で2時間反応を行った。その後、冷却した後に反応を停止し、2.5N水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調節することにより、(A)重合体粒子を40%含有する水系分散体を得た。
次いで、得られた水系分散体を用い、(B)グラフェンの含有割合を表1に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして蓄電デバイス用組成物を調製した。次いで、得られた蓄電デバイス用組成物を用い、活物質の含有割合を表1に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして蓄電デバイス電極用スラリーをそれぞれ調製し、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスをそれぞれ作製した。各種測定及び評価方法は、上記実施例1と全く同様とした。
5.4.実施例13
<正極の製造>
実施例12で得られた水分散体2.0質量部(固形分換算値)、導電助剤(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック50%プレス品」)3.0質量部、正極活物質として平均粒子径5μmのLiCoO(ハヤシ化成株式会社製)100質量部(固形分換算値)を用い、(B)グラフェンの含有割合を表1に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして正極用スラリーを調製した。アルミニウム箔よりなる集電体の表面に、この正極用スラリーを、溶媒除去後の膜厚が80μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で10分間加熱して溶媒を除去した。その後、活物質層の密度が3.0g/cmとなるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、正極を得た。
<負極の製造>
上記実施例12で調製した(A)重合体粒子を含有する水系分散体を用い、実施例1と同様にして蓄電デバイス用組成物をそれぞれ調製した。
さらに、上記で調製した蓄電デバイス用組成物を用い、表1に記載の通りとした以外は実施例1と同様にして、蓄電デバイス電極用スラリーをそれぞれ調製し、蓄電デバイス電極および蓄電デバイスをそれぞれ作製した。
各種測定および評価方法は、上記実施例1と全く同様にした。
5.5.比較例6
上記実施例13において、(B)酸化グラフェンを添加しない以外は実施例13と同様にして、蓄電デバイス電極用スラリーを調製し、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスをそれぞれ作製した。各種測定および評価方法は、上記実施例1と全く同様にした。
5.6.評価結果
下表1〜2に、実施例1〜13および比較例1〜6で使用した重合体(A)組成、バインダー組成物およびスラリーの組成、ならびに各種評価結果をまとめた。
Figure 2016143552
Figure 2016143552
上表1〜2における単量体の略称は、それぞれ以下の意味である。
・BD:1,3−ブタジエン
・ST:スチレン
・MMA:メタクリル酸メチル
・AN:アクリロニトリル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・2EHA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
・AA:アクリル酸
・MAA:メタクリル酸
・TA:イタコン酸
・VDF:フッ化ビニリデン
・HFP:六フッ化プロピレン
上表1における活物質の略称は、それぞれ以下の意味である。
・ケイ素系活物質:上記で合成した黒鉛被覆酸化ケイ素
・炭素系活物質:日立化成工業株式会社製、商品名「MAG」
・グラフェン:グラフェンプラットホーム株式会社製、製品名「グラフェン分散液」、製品型番「GNH−XX/W」
・アセチレンブラック:電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック50%プレス品」
上表1から明らかなように、実施例1〜13に示した本発明に係る蓄電デバイス用組成物を用いて調製された蓄電デバイス電極用スラリーは、比較例1〜6の場合と比較して、密着性が良好で、クラック耐性に優れる蓄電デバイス電極を与えた。また、これらの蓄電デバイス電極を備える蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池)は、サイクル特性が良好となることが判った。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…集電体、20…活物質層、100…蓄電デバイス電極

Claims (9)

  1. (A)重合体粒子と、(B)グラフェン誘導体と、(C)液状媒体と、を含有する蓄電デバイス用組成物。
  2. 前記(A)重合体粒子100質量部に対して、前記(B)グラフェン誘導体を0.001〜20質量部含有する、請求項1に記載の蓄電デバイス用組成物。
  3. 前記(B)グラフェン誘導体が、酸化グラフェンである、請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス用組成物。
  4. 前記(A)重合体粒子が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含むジエン系重合体粒子である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用組成物。
  5. 前記(A)重合体粒子が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素系重合体粒子である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用組成物と、活物質と、を含有する蓄電デバイス電極用スラリー。
  7. 前記活物質として、ケイ素材料を含む、請求項6に記載の蓄電デバイス電極用スラリー。
  8. 集電体と、前記集電体の表面上に請求項6または請求項7に記載の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布及び乾燥されて形成された層と、を備える蓄電デバイス電極。
  9. 請求項8に記載の蓄電デバイス電極を備える蓄電デバイス。
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