JP2016142444A - ボイラ水薬注方法、薬注制御装置およびプログラム - Google Patents

ボイラ水薬注方法、薬注制御装置およびプログラム Download PDF

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雄也 山邊
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Abstract

【課題】清缶剤を用いてボイラ水の水質を管理しつつ、清缶剤によるハイドアウト現象の発生を抑制する。
【解決手段】第一薬注装置105は、蒸気ドラム102の圧力にかかわらず、蒸気ドラム102への給水に、揮発性pH調整剤を添加する。第二薬注装置106は、蒸気ドラム102の圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、蒸気ドラム102のドラム水に清缶剤を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラ水薬注方法、薬注制御装置およびプログラムに関する。
水管ボイラ、排熱回収ボイラなどに用いられるボイラにおいては、配管の腐食およびデポジットの発生を防ぐために、ボイラ水への薬注による水質管理がなされている。具体的には、ボイラへの給水に対し、アンモニアまたはヒドラジンなどの揮発性pH調整剤が添加され、さらにボイラ水に対し、リン酸塩または水酸化ナトリウムなどの清缶剤が添加される。揮発性pH調整剤は、ボイラ水のpHを上げることで配管の腐食を防止する。清缶剤は、ボイラ水のpH値を上げ、さらに配管に硬度成分に由来するデポジットが生じることを防止する。
揮発性pH調整剤のみによりボイラ水のpH値を調整する場合、揮発性pH調整剤の蒸気側への分配が生じるために、ボイラ水のpH値が管理値に達しない可能性がある。そのため、ボイラ水への清缶剤の添加により、ボイラ水のpH値を管理値に維持することができる。
特許文献1には、ボイラの水質管理データからハイドアウト現象を検知する技術が開示されている。
特開2014−85091号公報
リン酸塩などの清缶剤は、急激な圧力変化によりボイラ水への溶解度が低くなり、成分の濃縮や析出が生じることが知られている。当該現象は、ハイドアウト現象と呼ばれる。ボイラにおいて顕著なハイドアウト現象が生じると、ボイラ水からリン酸塩が消失するため、ボイラ水のpH値が一時的に低下する。これを補うためにリン酸塩の添加頻度を上昇させると、リン酸塩の成分の濃縮および析出が進行し、ボイラにアルカリ腐食または酸性リン酸塩腐食が生じる可能性がある。殊に、高圧ボイラにおいて顕著なハイドアウト現象が生じやすいことが知られている。
本発明の目的は、清缶剤を用いてボイラ水の水質を管理しつつ、清缶剤によるハイドアウト現象の発生を抑制するボイラ水薬注方法、薬注制御装置およびプログラムを提供することにある。
第1の態様は、蒸気ドラムの圧力にかかわらず、前記蒸気ドラムへの給水に、揮発性pH調整剤を添加する第一薬注工程と、前記蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する第二薬注工程と、を有するボイラ水薬注方法である。
また、第2の態様は、第1の態様において、前記第二薬注工程では、ボイラ水のpH値が、前記蒸気ドラムの圧力が前記所定の圧力となる環境下において前記揮発性pH調整剤のみを添加した場合のドラム水のpH値より低いpH値である所定のpH閾値以下になった場合に前記ドラム水に前記清缶剤を添加するボイラ水薬注方法である。
また、第3の態様は、第2の態様において、前記ボイラ水のpH値に関する物理量を監視するpH監視工程をさらに有し、前記第二薬注工程では、前記pH監視工程において監視された前記物理量が示すpH値が、前記pH閾値以下になった場合に前記ドラム水に前記清缶剤を添加するボイラ水薬注方法である。
また、第4の態様は、第1の態様において、前記蒸気ドラムの圧力を監視する圧力監視工程をさらに有し、前記第二薬注工程では、前記圧力監視工程で監視している圧力が前記所定の圧力を下回る場合にのみ、前記ドラム水に前記清缶剤を添加するボイラ水薬注方法である。
また、第5の態様は、第1から第4の何れかの態様において、前記第二薬注工程では、前記蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合、および前記蒸気ドラムに海水が漏えいした場合に、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加するボイラ水薬注方法である。
また、第6の態様は、蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する指示を出力する薬注指示部を備える薬注制御装置である。
また、第7の態様は、コンピュータを、蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する指示を出力する薬注指示部として機能させるためのプログラムである。
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、清缶剤を用いてボイラ水の水質を管理しつつ、清缶剤によるハイドアウト現象の発生を抑制することができる。
第1の実施形態に係るボイラの構成を示す概略ブロック図である。 第1の実施形態に係るドラム水薬注方法を示すフローチャートである。 電気伝導率閾値を0.65mS/mとしてボイラを運転させた場合の蒸気ドラムの電気伝導率の推移を示す図である。 第1の実施形態に係るドラム水薬注方法によってボイラを運転させた場合の蒸気ドラムの電気伝導率の推移を示す図である。 第2の実施形態に係るボイラの構成を示す概略ブロック図である。 第2の実施形態に係るドラム水薬注方法を示すフローチャートである。 少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るボイラの構成を示す概略ブロック図である。
ボイラ100は、給水ポンプ101、蒸気ドラム102、蒸発管103、過熱器104、第一薬注装置105、第二薬注装置106、電気伝導率計107、および薬注制御装置108を備える。本実施形態に係るボイラ100は、常用使用圧力が12MPaであり、最大負荷時の圧力が15MPaを超える排熱回収ボイラである。本実施形態に係るボイラ100を構成する管材としては、鋼管またはチタン製の管を用いる。
給水ポンプ101は、蒸気ドラム102への給水を供給する。給水とは、蒸気ドラム102に供給される水であって、過熱器104が出力した過熱蒸気が凝縮された復水と補給水とを混合したものである。
蒸気ドラム102は、蒸発管103にて発生した水蒸気とボイラ水とを分離する。ボイラ水とは、蒸気ドラム102内の水のことをいう。
蒸発管103は、ボイラ水を熱し、水蒸気を発生させる。
過熱器104は、蒸気ドラム102が分離した水蒸気をさらに熱し、より高い温度の過熱蒸気を発生させる。
第一薬注装置105は、給水にアンモニアを添加する。アンモニアは、揮発性pH調整剤の一例である。
第二薬注装置106は、薬注制御装置108の指示に基づいてドラム水にリン酸塩を添加する。リン酸塩は、清缶剤の一例である。
電気伝導率計107は、ドラム水の電気伝導率を計測する。電気伝導率は、ドラム水のpH値に応じて変化する。つまり、電気伝導率は、pH値に関する物理量の一例である。
薬注制御装置108は、電気伝導率計107が計測した電気伝導率に基づいて、第二薬注装置106によるリン酸塩の添加を制御する。薬注制御装置108は、電気伝導率監視部181および薬注指示部182を備える。
電気伝導率監視部181は、電気伝導率計107が計測した電気伝導率を取得する。
薬注指示部182は、電気伝導率監視部181が監視する電気伝導率に基づいて、リン酸塩を添加するか否かを決定し、リン酸塩をボイラ水に添加する指示を第二薬注装置106に出力する。また、薬注指示部182は、海水の漏えいが発生した時に、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を第二薬注装置106に出力する。
次に、本実施形態に係るドラム水薬注方法について説明する。
図2は、第1の実施形態に係るドラム水薬注方法を示すフローチャートである。
ボイラ100が稼働すると、第一薬注装置105は、給水に対し、所定量のアンモニア(揮発性pH調整剤)を添加する(ステップS1)。本実施形態に係る第一薬注装置105が添加するアンモニアの量は、15MPa(所定の圧力)超の高負荷帯で運用されるときのボイラ水の水質基準値が、JISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する量である。例えば、第一薬注装置105が添加するアンモニアの量を、給水のアンモニア濃度が1.1mg/Lとなる量とすることができる。
以下に、アンモニアの添加量を、給水のアンモニア濃度が1.1mg/Lとなる量とすることで、ボイラ水の水質基準値がJISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する理由を示す。
ボイラ100を構成する管材が鋼管またはチタン製の管であるため、JISB8223(2006年)に示す給水の水質基準値は、pH9.4以上pH9.7以下である。なお、pH9.4に相当するアンモニアの気相濃度は、1.1mg/Lである。
15MPa環境下におけるアンモニア分配率(気液分配率)が2.5であるため、給水のアンモニアの量、すなわちアンモニアの気相濃度が1.1mg/Lであるときのアンモニアの液相濃度は、0.44mg/Lである。アンモニアの液相濃度0.44mg/Lは、pH9.15に相当する。つまり、ボイラ水のpH値は、pH9.15となる。
JISB8223(2006年)に示す15MPaを超え20MPa以下を常用使用圧力とするボイラにおける、ボイラ水の水質基準値はpH8.5以上pH9.7以下であるため、給水のアンモニア濃度が1.1mg/Lになるようにアンモニアを添加することで、JISB8223(2006年)に示す給水の水質基準値を満たすことが分かる。
薬注制御装置108の電気伝導率監視部181は、電気伝導率計107からボイラ水の電気伝導率を取得する(ステップS2)。次に、薬注指示部182は、電気伝導率監視部181が取得した電気伝導率が所定の電気伝導率閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。電気伝導率閾値は、15MPa以下の中負荷帯または低負荷帯で運用されるときのボイラ水の水質基準値が、JISB8223(2006年)に示す水質基準値(所定のpH閾値)を満足する量である。例えば、電気伝導率閾値を、0.3mS/mとすることができる。電気伝導率0.3mS/mは、ボイラ水のpH値がJISB8223(2006年)に示す15MPa以下の圧力におけるボイラ水の水質基準下限値であるpH9.0であるときの電気伝導率に等しい。
ボイラ水の電気伝導率が電気伝導率閾値未満である場合(ステップS3:NO)、薬注指示部182は、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を、第二薬注装置106に出力する(ステップS4)。第二薬注装置106は、薬注制御装置108から指示を受け付けると、ボイラ水に対し、所定量のリン酸塩を添加する(ステップS5)。例えば、ボイラ水の量が30tであってボイラ水のpH値が9.0である場合、第二薬注装置106が、濃度1%のリン酸塩を30リットル毎時で10分間添加することで、ボイラ水のpHを9.2以上まで上昇させることができる。
他方、ボイラ水の電気伝導率が電気伝導率閾値以上である場合(ステップS3:YES)、薬注指示部182は、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を、第二薬注装置106に出力しない。
上記手順を、ボイラ100が稼働している間、繰り返し実行する。これにより、ボイラ水の水質は、常にJISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する。
本実施形態によれば、蒸気ドラム102への海水の漏えいが無い環境下においては、第一薬注装置105は、蒸気ドラム102の圧力にかかわらず、給水にアンモニアを添加し、第二薬注装置106は、蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下となる場合にのみ、ドラム水にリン酸塩を添加する。つまり、本実施形態によれば、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える場合、ドラム水にリン酸塩が添加されない。これにより、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える高負荷帯において、リン酸塩によるハイドアウト現象の発生を抑制することができる。
以下に、本実施形態に係るドラム水薬注方法によって、第二薬注装置106が蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下となる場合にのみ、ドラム水にリン酸塩を添加することとなる理由を説明する。
第一薬注装置105は、1.1mg/Lのアンモニアを、常に給水に添加する。蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える場合、アンモニアの分配率は2.5以下となるため、ドラム水におけるアンモニアの濃度は0.44mg/L以上となり、ドラム水のpH値は、pH9.15以上となる。他方、電気伝導率閾値はpH9.0に相当する電気伝導率である0.3mS/mであるため、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える場合、ドラム水の電気伝導率は、常に電気伝導率閾値より高い値となる。つまり、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える場合、薬注指示部182は、リン酸塩の添加の指示を出力せず、第二薬注装置106は、ドラム水にリン酸塩を添加しない。
蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下である場合、アンモニアの分配率は2.5を超えるため、ドラム水におけるアンモニアの濃度は0.44mg/L未満となり、ドラム水のpH値は、pH9.15未満となる。他方、電気伝導率閾値はpH9.0に相当する電気伝導率である0.3mS/mであるため、蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下である場合、ドラム水の電気伝導率は、電気伝導率閾値以下の値となることがある。具体的には、蒸気ドラム102の圧力が6MPa以下になると、ドラム水の電気伝導率は、電気伝導率閾値以下の値となる。これは、pH9.0のときのアンモニア濃度が0.28mg/Lであり、アンモニアの液相濃度が0.28mg/Lとなる分配率は、3.9以上であり、分配率3.9に対応するドラム圧力が6MPaであるためである。
つまり、第二薬注装置106は、ボイラ水のpH値が、蒸気ドラム102の圧力が15MPaとなる環境下においてアンモニアのみを添加した場合のドラム水のpH値(pH9.15)より低いpH値である所定のpH閾値(pH9.0)以下になった場合に、ドラム水にリン酸塩を添加する。
したがって、薬注指示部182は、蒸気ドラム102への海水の漏えいが無い環境下においては、蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下となる場合にのみ、リン酸塩の添加の指示を出力し、第二薬注装置106は、蒸気ドラム102の圧力が15MPa以下となる場合にのみ、ドラム水にリン酸塩を添加する。
ここで、本実施形態に係るドラム水薬注方法によってボイラ100を運転させた場合と、電気伝導率閾値を0.65mS/mとしてボイラ100を運転させた場合とを比較する。
図3は、電気伝導率閾値を0.65mS/mとしてボイラを運転させた場合の蒸気ドラムの電気伝導率の推移を示す図である。
図4は、第1の実施形態に係るドラム水薬注方法によってボイラを運転させた場合の蒸気ドラムの電気伝導率の推移を示す図である。
第二薬注装置106がボイラ水の電気伝導率が0.65mS/m以下になったときにボイラ水にリン酸塩を添加する場合について説明する。時刻t0から時刻t1までの間、ボイラ100は、圧力6MPaの中負荷帯で稼働する。この間にボイラ水の電気伝導率が0.65mS/m以下になると、第二薬注装置106は、ボイラ水にリン酸塩を添加する。リン酸塩の添加により、ボイラ水の電気伝導率は0.65mS/mより高くなる。これにより、ボイラ水の水質は、常にJISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する。
時刻t1から時刻t2までの間、ボイラ100は、圧力17MPaの高負荷帯で稼働する。この間にボイラ水の電気伝導率が0.65mS/m以下になると、第二薬注装置106は、ボイラ水にリン酸塩を添加する。リン酸塩の添加により、ボイラ水の電気伝導率は一時的に0.65mS/mより高くなる。しかしながら、蒸気ドラム102の圧力が高いためにリン酸塩のハイドアウトが生じ、リン酸塩の析出および局所的な濃縮によりボイラ水の電気伝導率が0.65mS/m以下まで低下する。このように、電気伝導率閾値を0.65mS/mに設定すると、高負荷帯での稼働中、リン酸塩が継続的に添加されることとなる。このとき、ボイラ100には、リン酸塩の析出および局所的な濃縮によりアルカリ腐食またはリン酸塩腐食が生じるする可能性がある。
時刻t2から時刻t3までの間、ボイラ100は、再び圧力6MPaの中負荷帯で稼働する。蒸気ドラム102の圧力が低下によりハイドアウト現象が生じなくなると、析出していたリン酸塩がボイラ水に溶けるため、ボイラ水の電界度が急上昇する。この現象はハイドアウトリターンと呼ばれる。ハイドアウトリターンにより、ボイラ水の電界度が上昇すると、ボイラ水の水質がJISB8223(2006年)に示す水質基準上限値を超える可能性がある。
次に、第二薬注装置106がボイラ水の電気伝導率が0.30mS/m以下になったときにボイラ水にリン酸塩を添加する場合(本実施形態)について説明する。時刻t0から時刻t1までの間、ボイラ100は、圧力6MPaの中負荷帯で稼働する。この間にボイラ水の電気伝導率が0.30mS/m以下になると、第二薬注装置106は、ボイラ水にリン酸塩を添加する。リン酸塩の添加により、ボイラ水の電気伝導率は0.65mS/mより高くなる。これにより、ボイラ水の水質は、常にJISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する。
時刻t1から時刻t2までの間、ボイラ100は、圧力17MPaの高負荷帯で稼働する。この間、上述したとおり、ボイラ水の電気伝導率は0.30mS/m以下になることがない。したがって、第二薬注装置106は、リン酸塩のハイドアウトが生じやすい高負荷帯でボイラ100が稼働しているときには、リン酸塩を添加しない。これにより、ボイラ水の水質がJISB8223(2006年)に示す水質基準上限値を満たしつつ、リン酸塩の析出および局所的な濃縮を防ぐことができる。
時刻t2から時刻t3までの間、ボイラ100は、再び圧力6MPaの中負荷帯で稼働する。蒸気ドラム102の圧力が低下することにより、ハイドアウトリターンが生じるが、高負荷帯の間、ボイラ水にリン酸塩が添加されていないため、電界度が急変することはない。つまり、ボイラ100の圧力が高負荷帯から中負荷帯に遷移したとしても、ボイラ水の水質は、JISB8223(2006年)に示す水質基準上限値を超えない。
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について説明する。
図5は、第2の実施形態に係るボイラの構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係るボイラ100は、第1の実施形態の構成に加え、圧力計109をさらに備える。圧力計109は、蒸気ドラム102の圧力を計測する。
また、本実施形態に係る薬注制御装置108は、第1の実施形態の構成に加え、圧力監視部183をさらに備え、薬注指示部182の動作が第1の実施形態と異なる。
圧力監視部183は、圧力計109が計測した圧力の値を取得する。
薬注指示部182は、圧力監視部183が監視する圧力の値と電気伝導率監視部181が監視する電気伝導率とに基づいて、リン酸塩を添加するか否かを決定する。
次に、本実施形態に係るドラム水薬注方法について説明する。
図6は、第2の実施形態に係るドラム水薬注方法を示すフローチャートである。
ボイラ100が稼働すると、第一薬注装置105は、給水に対し、所定量のアンモニア(揮発性pH調整剤)を添加する(ステップS11)。本実施形態に係る第一薬注装置105が添加するアンモニアの量は、必ずしも15MPa(所定の圧力)超の高負荷帯で運用されるときのボイラ水の水質基準値が、JISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する量でなくても良い。
薬注制御装置108の圧力監視部183は、圧力計109から蒸気ドラム102の圧力の値を取得する(ステップS12)。次に、薬注指示部182は、圧力監視部183が取得した圧力の値が15MPaを超える値であるか否かを判定する(ステップS13)。圧力監視部183が取得した圧力の値が15MPaを超える値である場合(ステップS13:YES)、薬注指示部182は、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を、第二薬注装置106に出力しない。
他方、圧力監視部183が取得した圧力の値が15MPa以下の値である場合(ステップS13:NO)、電気伝導率監視部181は、電気伝導率計107からボイラ水の電気伝導率を取得する(ステップS14)。次に、薬注指示部182は、電気伝導率監視部181が取得した電気伝導率が所定の電気伝導率閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。本実施形態に係る電気伝導率閾値は、15MPa以下の中負荷帯または低負荷帯で運用されるときのボイラ水の水質基準値が、JISB8223(2006年)に示す水質基準値(所定のpH閾値)を満足する量である。他方、本実施形態に係る電気伝導率閾値は、必ずしも、蒸気ドラム102の圧力が15MPaとなる環境下においてアンモニアのみを添加した場合のドラム水の電気伝導率より低い値でなくても良い。例えば、本実施形態に係る電気伝導率閾値は、0.65mS/mであっても良い。
ボイラ水の電気伝導率が電気伝導率閾値未満である場合(ステップS15:NO)、つまり、薬注指示部182は、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を、第二薬注装置106に出力する(ステップS16)。第二薬注装置106は、薬注制御装置108から指示を受け付けると、ボイラ水に対し、所定量のリン酸塩を添加する(ステップS17)。つまり、本実施形態においては、第二薬注装置106は、蒸気ドラム102の圧力が15MPa未満であり、かつボイラ水の電気伝導率が電気伝導率閾値未満である場合に、リン酸塩を添加する。
他方、ボイラ水の電気伝導率が電気伝導率閾値以上である場合(ステップS15:YES)、薬注指示部182は、ボイラ水にリン酸塩を添加する指示を、第二薬注装置106に出力しない。
上記手順を、ボイラ100が稼働している間、繰り返し実行する。これにより、ボイラ水の水質は、常にJISB8223(2006年)に示す水質基準値を満足する。また、これにより、第1の実施形態と同様に、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える高負荷帯において、リン酸塩によるハイドアウト現象の発生を抑制することができる。
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
上述した実施形態では、揮発性pH調整剤としてアンモニアを用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、揮発性pH調整剤としてヒドラジンを用いても良い。
また、上述した実施形態では、清缶剤としてリン酸塩を用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、清缶剤として水酸化ナトリウムを用いても良い。
また、上述した実施形態では、ボイラ100が常用使用圧力が12MPaであり、管材として鋼管またはチタン製の管が用いられる排熱回収ボイラである場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るボイラ100の常用使用圧力は、例えば12MPaを超える圧力であっても良いし、12MPa未満の圧力であっても良い。また他の実施形態に係るボイラ100の管材としては、銅合金製の管を用いても良い。
また、上述した実施形態では、蒸気ドラム102の圧力が15MPaを超える場合に清缶剤の添加を行わない場合について説明したが、これに限られない。他の実施形態においては、他の圧力を、清缶剤の添加を行うか否かの基準値に設定しても良い。この場合、電気伝導率閾値も、当該基準値に合わせて変更することとなる。
また、上述した実施形態では、ボイラ水のpH値に関する物理量として、電気伝導率監視部181がボイラ水の電気伝導率を監視する場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、電気伝導率計107に代えてpH計を備え、薬注制御装置108がpH値を監視しても良い。この場合、薬注指示部182は、電気伝導率閾値に代えてpH閾値と監視するpH値とを比較し、清缶剤の添加指示を出力するか否かを決定する。
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の薬注制御装置108は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
100 ボイラ
101 給水ポンプ
102 蒸気ドラム
103 蒸発管
104 過熱器
105 第一薬注装置
106 第二薬注装置
107 電気伝導率計
108 薬注制御装置
181 電気伝導率監視部
182 薬注指示部
109 圧力計
183 圧力監視部
900 コンピュータ
901 CPU
902 主記憶装置
903 補助記憶装置
904 インタフェース

Claims (7)

  1. 蒸気ドラムの圧力にかかわらず、前記蒸気ドラムへの給水に、揮発性pH調整剤を添加する第一薬注工程と、
    前記蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する第二薬注工程と、
    を有するボイラ水薬注方法。
  2. 前記第二薬注工程では、ボイラ水のpH値が、前記蒸気ドラムの圧力が前記所定の圧力となる環境下において前記揮発性pH調整剤のみを添加した場合のドラム水のpH値より低いpH値である所定のpH閾値以下になった場合に前記ドラム水に前記清缶剤を添加する
    請求項1に記載のボイラ水薬注方法。
  3. 前記ボイラ水のpH値に関する物理量を監視するpH監視工程をさらに有し、
    前記第二薬注工程では、前記pH監視工程において監視された前記物理量が示すpH値が、前記pH閾値以下になった場合に前記ドラム水に前記清缶剤を添加する
    請求項2に記載のボイラ水薬注方法。
  4. 前記蒸気ドラムの圧力を監視する圧力監視工程をさらに有し、
    前記第二薬注工程では、前記圧力監視工程で監視している圧力が前記所定の圧力を下回る場合にのみ、前記ドラム水に前記清缶剤を添加する
    請求項1に記載のボイラ水薬注方法。
  5. 前記第二薬注工程では、前記蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合、および前記蒸気ドラムに海水が漏えいした場合に、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載のボイラ水薬注方法。
  6. 蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する指示を出力する薬注指示部
    を備える薬注制御装置。
  7. コンピュータを、
    蒸気ドラムの圧力の値が所定の圧力以下となる場合にのみ、前記蒸気ドラムのドラム水に清缶剤を添加する指示を出力する薬注指示部
    として機能させるためのプログラム。
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