JP2016142189A - エジェクタ - Google Patents

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大介 中島
陽一郎 河本
Yoichiro Kawamoto
陽一郎 河本
山田 悦久
Etsuhisa Yamada
悦久 山田
栄太郎 田中
Eitaro Tanaka
田中  栄太郎
晴彦 渡邊
Haruhiko Watanabe
晴彦 渡邊
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Abstract

【課題】エジェクタの冷媒通路の通路断面積を変化させるための駆動力を出力する駆動手段の保護を図る。
【解決手段】エジェクタの内部に形成された冷媒通路の通路断面積を変化させるための駆動力を出力する駆動手段として、封入空間37aに封入された感温媒体の圧力と導入空間37bへ流入した冷媒の圧力との圧力差によって変位するダイヤフラム(圧力応動部材)371を有する駆動機構37を採用する。さらに、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側へ変位した際に、ダイヤフラム371を当接させることによって、ダイヤフラム371の変位量を規制する規制用プレート375を、封入空間37aを形成する蓋部材372に固定する。これにより、ダイヤフラム371が大きく変形して損傷してしまうことを抑制して、駆動機構37の保護を図る。
【選択図】図5

Description

本発明は、高速度で噴射される噴射流体の吸引作用によって流体を吸引するエジェクタに関する。
従来、特許文献1に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用されて、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口から冷媒を吸引し、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタが開示されている。
この特許文献1のエジェクタでは、ボデーの内部に略円錐形状の通路形成部材を配置し、ボデーと通路形成部材の円錐状側面との隙間に断面円環状の冷媒通路を形成している。そして、この冷媒通路のうち、冷媒流れ最上流側の部位を、高圧冷媒を減圧させて噴射するノズル通路として利用し、ノズル通路の冷媒流れ下流側の部位を、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて混合冷媒を昇圧させるディフューザ通路として利用している。
さらに、特許文献1のエジェクタは、通路形成部材を変位させて冷媒通路の通路断面積を変化させる駆動手段を備えている。これにより、冷凍サイクル装置の負荷変動に応じて冷媒通路の通路断面積を変化させ、サイクルを循環する冷媒流量に応じてエジェクタを適切に作動させようとしている。
より具体的には、特許文献1では、駆動手段として、蒸発器出口側冷媒の圧力と、封入空間に封入されて蒸発器出口側冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体の圧力との圧力差に応じて変位するダイヤフラム(圧力応動部材)を有し、このダイヤフラムの変位に応じて機械的な機構で通路形成部材を変位させる駆動機構を採用している。
特開2013−177879号公報
ところで、特許文献1の駆動機構では、封入空間へ封入される感温媒体の封入密度が、サイクルの通常作動時に通路形成部材を適切に変位させることができるように設定される。このため、サイクルの停止時等のように、蒸発器出口側冷媒の圧力が上昇すると、ダイヤフラムが封入空間を縮小させる側に大きく変形してしまうおそれがある。
そして、このような変形が生じるとダイヤフラムの損傷等を招き、サイクルの作動時に駆動手段が通路形成部材を適切に変位させることができなくなり、サイクルを循環する冷媒流量に応じてエジェクタを適切に作動させることができなくなってしまう。
本発明は、上記点に鑑み、冷媒通路の通路断面積を変化させるための駆動力を出力する駆動手段を備えるエジェクタにおいて、駆動手段の保護を図ることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、減圧用空間(30b)の冷媒流れ下流側に連通して外部から吸引された冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、および減圧用空間(30b)から噴射された噴射冷媒と吸引用通路(13b)から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、少なくとも一部が減圧用空間(30b)の内部、および昇圧用空間(30e)の内部に配置されるとともに、減圧用空間(30b)側から離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、通路形成部材(35)を変位させる駆動手段(37)と、を備え、
ボデー(30)のうち減圧用空間(30b)を形成する部位の内周面と通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、ボデー(30)のうち昇圧用空間(30e)を形成する部位の内周面と通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
駆動手段(37)は、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入される封入空間(37a)を形成する封入空間形成部材(372)、および封入空間形成部材(372)とともに封入空間(37a)を形成して感温媒体の圧力と封入空間(37a)の外部の冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(371)を有し、さらに、圧力応動部材(371)の封入空間(37a)を縮小させる側への変位量を規制する規制部材(375…378)を備えることを特徴としている。
これによれば、規制部材(375…378)を備えているので、圧力応動部材(371)が封入空間(37a)を縮小させる側へ大きく変形してしまうことを抑制することができる。従って、駆動手段(37)を構成する圧力応動部材(371)の保護を図ることができる。延いては、冷凍サイクル装置(10)の負荷変動に応じて、ノズル通路(13a)やディフューザ通路(13c)の通路断面積を調整可能なエジェクタ(13)の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記特徴のエジェクタにおいて、封入空間(37a)および圧力応動部材(371)は、通路形成部材(35)の中心軸(CL)の周りに、環状に形成されていてもよい。これによれば、エジェクタ(13)全体としての小型化を図ることができる。これに加えて、圧力応動部材(371)は、ゴムで形成された基材(371a)を有していてもよい。これによれば、比較的小型な圧力応動部材(371)を採用しても、充分な変位量を確保して、通路形成部材(35)を適切に変位させることができる。
また、ゴムで形成された基材(371a)を有する圧力応動部材(371)を採用するエジェクタ(13)では、金属で形成されたものよりも圧力応動部材(371)が損傷しやすい。従って、規制部材(375…378)によって圧力応動部材(371)の保護を図ることができることは極めて有効である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第1実施形態のエジェクタの各冷媒通路を説明するための模式的な拡大断面図である。 第1実施形態の駆動機構の一部を切り欠いた分解斜視図である。 図2のV部拡大図である。 図4のVI−VI断面図である。 第1実施形態の規制用プレートの上面図である。 図8のVIII−VIII拡大断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第1実施形態の規制用プレートの変形例の上面図である。 第1実施形態の規制用プレートの別の変形例の上面図である。 第1実施形態の駆動機構の変形例の拡大拡大図である。 第2実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第2実施形態のストッパが組み付けられた蓋部材の底面図である。 第3実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第4実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第5実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第6実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第7実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第8実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。 第8実施形態の駆動機構の一部を切り欠いた分解斜視図である。 第9実施形態のダイヤフラムの図6に対応する断面図である。 第9実施形態の駆動機構の図5に対応する拡大断面図である。
(第1実施形態)
図1〜図9を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態のエジェクタ13は、図1に示すように、冷媒減圧手段としてエジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置、すなわちエジェクタ式冷凍サイクル10に適用されている。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、エジェクタ式冷凍サイクル10において、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、電動モータは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
より具体的には、放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部12a、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄えるレシーバ部12b、およびレシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風される外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却部12cを有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器である。
冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。放熱器12の過冷却部12cの冷媒出口側には、エジェクタ13の冷媒流入口31aが接続されている。
エジェクタ13は、放熱器12から流出した過冷却状態の高圧液相冷媒を減圧させて下流側へ流出させる冷媒減圧手段としての機能を果たすとともに、高速度で噴射される冷媒流の吸引作用によって後述する蒸発器14から流出した冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能も果たす。
さらに、本実施形態のエジェクタ13は、減圧させた冷媒の気液を分離する気液分離手段としての機能も果たす。つまり、本実施形態のエジェクタ13は、気液分離機能付きエジェクタ(エジェクタモジュール)として構成されている。
エジェクタ13の具体的構成については、図2〜図8を用いて説明する。なお、図2における上下の各矢印は、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に搭載した状態における上下の各方向を示している。また、図3は、エジェクタ13の各冷媒通路の機能を説明するための模式的な一部拡大断面図であって、図2と同一の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
本実施形態のエジェクタ13は、図2に示すように、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー30を備えている。
より具体的には、ボデー30は、角柱状あるいは円柱状の金属もしくは樹脂にて形成されて、エジェクタ13の外殻を形成するハウジングボデー31を有している。さらに、ハウジングボデー31の内部には、略円柱状の空間が形成されており、この空間内にノズルボデー32、ディフューザボデー33が固定されている。
ハウジングボデー31には、放熱器12から流出した冷媒を内部へ流入させる冷媒流入口31a、蒸発器14から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口31b、ボデー30の内部に形成された気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒流出口31c、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させる気相冷媒流出口31d等が形成されている。
さらに、本実施形態では、気液分離空間30fと液相冷媒流出口31cとを接続する液相冷媒通路に、蒸発器14へ流入させる冷媒を減圧させる減圧手段としてのオリフィス30iを配置している。
次に、ノズルボデー32は、円環状の金属部材で形成されて、図2に示すように、ハウジングボデー31の内部の上方側に配置されている。より具体的には、ノズルボデー32は、ハウジングボデー31内に形成された略円柱状の空間の内径と同程度の径の大径部32a、および大径部32aよりも径の小さい円筒状に形成された小径部32bを同軸上に結合させた形状に形成されている。
さらに、ノズルボデー32は、大径部32aの外周側がハウジングボデー31の内部に圧入されることによって、ハウジングボデー31に固定されている。なお、大径部32aとハウジングボデー31との間には、シール部材としてのO−リングが配置されており、大径部32aとハウジングボデー31との隙間から冷媒が漏れることはない。
大径部32aの内部には、冷媒流入口31aから流入した冷媒を旋回させる旋回空間30aが形成されている。また、大径部32aの上方側には、円板状の金属プレート32cが配置されており、この金属プレート32cによって、旋回空間30aの上方側の開口部が閉塞されている。
旋回空間30aは、略円柱状に形成されており、旋回空間30aの中心軸は、後述する通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。もちろん、旋回空間30aは、円錐台と円柱とを結合させた回転体形状等に形成されていてもよい。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)周りに回転させた際に形成される立体形状である。
冷媒流入口31aと旋回空間30aとを接続する冷媒流入通路31eは、旋回空間30aの中心軸方向から見たときに旋回空間30aへ流入する冷媒を、旋回空間30aの内壁面に沿って流入させるように形成されている。これにより、冷媒流入通路31eから旋回空間30aへ流入した冷媒は、旋回空間30aの中心軸周りに旋回する。
ここで、旋回空間30a内で旋回する冷媒には遠心力が作用するので、旋回空間30a内では中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力となるまで低下させるようにしている。
このような旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力の調整は、旋回空間30a内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することによって実現することができる。さらに、旋回流速の調整は、例えば、冷媒流入通路31eの通路断面積と旋回空間30aの軸方向垂直断面積との面積比を調整すること等によって行うことができる。なお、本実施形態の旋回流速とは、旋回空間30aの最外周部近傍における冷媒の旋回方向の流速を意味している。
また、小径部32bの内部には、旋回空間30aから流出した冷媒を減圧させて下流側へ流出させる減圧用空間30bが形成されている。減圧用空間30bは、2つの円錐台形状の空間の頂部側同士を結合させた鼓状の回転体形状に形成されている。この減圧用空間30bの中心軸も、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
さらに、減圧用空間30bの内部には、通路形成部材35が配置されている。通路形成部材35は、減圧用空間30bの内部に冷媒通路を形成するとともに、中心軸CL方向(鉛直方向)に変位することによって、冷媒通路の通路断面積を変化させる機能を果たす。
より具体的には、通路形成部材35は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に広がる略円錐形状の金属部材で形成されており、その中心軸CLが旋回空間30aや減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。つまり、通路形成部材35は、減圧用空間30bから離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成されている。
さらに、ノズルボデー32の減圧用空間30bを形成する部位の内周面と通路形成部材35の上方側の外周面との間に形成される冷媒通路としては、図3に示すように、先細部131および末広部132が形成される。
先細部131は、通路断面積が最も縮小した最小通路面積部30mよりも冷媒流れ上流側に形成されて、最小通路面積部30mに至るまでの通路断面積が徐々に縮小する冷媒通路である。末広部132は、最小通路面積部30mから冷媒流れ下流側に形成されて、通路断面積が徐々に拡大する冷媒通路である。
この末広部132では、径方向から見たときに減圧用空間30bと通路形成部材35が重合(オーバーラップ)しているので、冷媒通路の軸方向垂直断面の形状が円環状(円形状から同軸上に配置された小径の円形状を除いたドーナツ形状)となる。さらに、末広部132における通路断面積は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。
本実施形態では、このような通路形状によって減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の頂部側の外周面との間に形成される冷媒通路をラバールノズルとして機能するノズル通路13aとしている。そして、このノズル通路13aにて、冷媒を減圧させるとともに、冷媒の流速を超音速となるように増速させて噴射している。
次に、ディフューザボデー33は、円環状の金属部材で形成されており、図2に示すように、ハウジングボデー31の内部であって、ノズルボデー32の下方側に配置されている。
より具体的には、ディフューザボデー33は略円筒状に形成されており、その中心部には、表裏(上下)を貫通する貫通穴33aが形成されている。この貫通穴33aも回転体形状に形成されており、その中心軸が通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。また、ディフューザボデー33の上面側であって、貫通穴33aの外周側には、後述する駆動機構37の一部を構成する円環状の溝部33bが形成されている。
さらに、ディフューザボデー33は、その外周側がハウジングボデー31の内部に圧入されることによって、ハウジングボデー31に固定されている。なお、ディフューザボデー33とハウジングボデー31との間には、シール部材としてのO−リングが配置されており、ディフューザボデー33とハウジングボデー31との隙間から冷媒が漏れることはない。
ディフューザボデー33の上面とこれに対向するノズルボデー32の大径部32aの底面との間には、冷媒吸引口31bから吸引した冷媒を流入させる吸引空間30cが形成されている。本実施形態では、ノズルボデー32の小径部32bの下方側先端部が、ディフューザボデー33の貫通穴33aの内部まで延びているため、吸引空間30cは、中心軸方向からみたときに、断面円環状に形成される。
さらに、貫通穴33aの内周面と小径部32bの下方側先端部の外周面との間には、吸引空間30cと減圧用空間30bの冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路30dが形成される。従って、本実施形態では、吸引空間30cおよび吸引通路30dによって、中心軸の外周側から内周側へ向かって、冷媒吸引口31bから吸引された吸引冷媒が流通する断面円環状の吸引用通路13bが形成されている。
また、ディフューザボデー33の貫通穴33aのうち、吸引通路30dの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間30eが形成されている。昇圧用空間30eは、上述したノズル通路13aから噴射された噴射冷媒と吸引用通路13bから吸引された吸引冷媒とを混合させる空間である。
昇圧用空間30eの内部には、通路形成部材35の下方側が配置されている。さらに、ディフューザボデー33の昇圧用空間30eを形成する部位の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒流れ下流側に向かって通路断面積を徐々に拡大させる形状に形成されている。これにより、この冷媒通路では、噴射冷媒および吸引冷媒の混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させることができる。
従って、昇圧用空間30eを形成するディフューザボデー33の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、図3に示すように、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザ(昇圧部)として機能するディフューザ通路13cを構成している。このディフューザ通路13cの中心軸に垂直な断面形状も円環状に形成されている。
次に、ディフューザボデー33の内部に配置されて、通路形成部材35を変位させる駆動手段である駆動機構37について説明する。駆動機構37は、図4に示すように、圧力応動部材であるダイヤフラム371、ディフューザボデー33に形成された環状の溝部33bの開口部を閉塞する蓋部材372等を有して構成されている。
ダイヤフラム371および蓋部材372は、いずれも軸方向から見たときに、溝部33bと略同等の環状に形成されている。そして、図5に示すように、溝部33bの内部にダイヤフラム371が収容された状態で、蓋部材372が、かしめ等の手段によって、溝部33bの開口部を閉塞するようにディフューザボデー33に固定されている。
これにより、ダイヤフラム371の内周側縁部と外周側縁部は、ディフューザボデー33と蓋部材372との間に挟み混まれて固定されている。そして、蓋部材372と溝部33bとの間に形成される空間が、ダイヤフラム371によって上下の2つの空間に仕切られている。
ダイヤフラム371によって仕切られた2つの空間のうち上方側(吸引空間30c側)の空間は、蒸発器14出口側冷媒(具体的には、蒸発器14から流出した冷媒)の温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入される封入空間37aである。この封入空間37bには、冷凍サイクル10を循環する冷媒と同一組成の感温媒体が予め定めた密度となるように封入されている。従って、本実施形態における感温媒体は、R134aを主成分とする媒体となる。
一方、ダイヤフラム371によって仕切られた2つの空間のうち下方側の空間は、図2に示すディフューザボデー33に形成された連通路33cを介して、蒸発器14出口側冷媒を導入させる導入空間37bである。
従って、封入空間37aに封入された感温媒体には、吸引空間30cと封入空間37aとを仕切る蓋部材372、および封入空間37aと導入空間37bとを仕切るダイヤフラム371を介して、蒸発器14出口側冷媒の温度が伝達される。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の蓋部材372は、特許請求の範囲に記載された封入空間形成部材を構成している。さらに、本実施形態の蓋部材372、ダイヤフラム371、封入空間37a、および導入空間37bは、いずれも通路形成部材35の中心軸CL周りに、環状に配置されている。
また、ダイヤフラム371は、封入空間37aの内圧と導入空間37bへ流入した蒸発器14出口側冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材である。従って、ダイヤフラム371は弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、かつ耐圧性および気密性に優れる材質で形成されていることが望ましい。
このようなダイヤフラム371としては、例えば、基布(ポリエステル)入りのEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やHNBR(水素添加ニトリルゴム)等のゴム製の基材で構成されたものを採用することができる。
より具体的には、本実施形態では、図6に示すように、ゴム製の基材371aの表面に、基材371aよりも冷媒および感温媒体の透過性の低い樹脂製のバリア膜371bが設けられたものを採用している。従って、冷媒および感温媒体が基材371aを透過してしまうことを抑制することができる。
なお、図6では、基材371aの一面にバリア膜371bを設けた例を図示しているが、基材371aの両面にバリア膜371bを設けてもよいし、基材371a内部にバリア膜371bを設けてもよい。また、図5では、図面の明確化のためバリア膜371bの図示を省略している。このことは、後述する図12等、図5に対応する図面においても同様である。
ここで、ゴム製の基材371aとバリア膜371bとを一体化させるためには、例えば、アルミ箔やポリイミド等といったゴム製の基材371aの架橋温度よりも比較的融点の高い膜をPET(ポリエチレンテレフタレート)でラミネートしたバリア膜371bをゴム製の基材371aに挟んで成形すればよい。また、スプレーコーティング等によりゴム製の基材371aの表面にバリア膜371bを塗布してもよい。
また、ダイヤフラム371の下方側(導入空間37b側)には、図4に示すように、ダイヤフラム371の変位を通路形成部材35へ伝達するための、プレート部材373および複数の作動棒374(本実施形態では、2本)が配置されている。これらの複数の作動棒374は、ダイヤフラム371の変位を通路形成部材35へ適切に伝達するために、中心軸CL周りに等角度間隔で配置されていることが望ましい。
プレート部材373は、円環状かつ平板状の金属部材で構成されており、ダイヤフラム371の下方側(導入空間37b側)の面に接触するように配置されている。また、複数の作動棒374は、中心軸CL方向に延びる円柱状の金属部材で構成されており、その上方側端部がプレート部材373の下側面に接触し、下方側端部が通路形成部材35の最下方側のディフューザボデー33に対向する面に接触するように配置されている。
作動棒374の上方側端部および下方側端部は、曲面形状(本実施形態では、半球形状)に形成されており、プレート部材373および通路形成部材35に対する接触位置や接触角度が変更可能となっている。これにより、本実施形態では、感温媒体の圧力のばらつき等によって、作動棒374の中心軸が通路形成部材35の中心軸CLに対して傾いてしまうことを抑制している。
また、図2に示すように、通路形成部材35の底面は、後述する支持部材41に支持されたコイルバネ40の荷重を受けている。コイルバネ40は、通路形成部材35に対して、上方側(通路形成部材35が最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小する側)に付勢する荷重を加える弾性部材である。従って、通路形成部材35は、作動棒374から受ける荷重とコイルバネ40から受ける荷重が釣り合うように変位する。
より具体的には、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度)が上昇すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が上昇し、封入空間37aの内圧から導入空間37bの圧力を差し引いた圧力差が大きくなる。これにより、ダイヤフラム371が導入空間37b側へ変位して、通路形成部材35が作動棒374から受ける荷重が増加する。このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が上昇すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる方向(鉛直方向下方側)に変位する。
一方、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度)が低下すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が低下し、封入空間37aの内圧から導入空間37bの圧力を差し引いた圧力差が小さくなる。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37a側へ変位して、通路形成部材35が作動棒374から受ける荷重が減少する。このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が低下すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる方向(鉛直方向上方側)に変位する。
本実施形態の駆動機構37では、このように蒸発器14出口側冷媒の過熱度に応じて通路形成部材35を変位させることによって、蒸発器14出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度KSHに近づくように、最小通路面積部30mにおける通路断面積を調整している。なお、作動棒374とディフューザボデー33との隙間には、O−リングが配置されており、作動棒374が変位してもこの隙間から冷媒が漏れることはない。
ところで、蒸発器14出口側冷媒の過熱度を、より精度良く基準過熱度KSHに近づけるためには、封入空間37a内の感温媒体の温度を蒸発器14出口側冷媒の温度に近づけることが望ましい。そこで、本実施形態では、蓋部材372に、蓋部材372側から吸引空間30c内に向かって突出する感温筒372aを設けている。
この感温筒372aの内部には、封入空間37aに連通する空間が形成されている。この感温筒372aの内部空間には、吸引空間30c内の蒸発器14出口側冷媒の温度が伝達される。さらに、本実施形態では、感温筒372aの内部空間の感温媒体の温度が、より一層蒸発器14出口側冷媒の温度に近づくように、感温筒372aを通路形成部材35の中心軸CLよりも冷媒吸引口31bに近い位置に配置している。
なお、このような感温筒372aは、蓋部材372やダイヤフラム371を介して蒸発器14出口側冷媒の温度を封入空間37a内の感温媒体へ適切に伝達できれば、必須の構成ではない。
また、本実施形態の蓋部材372には、図5に示すように、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側への変位量を規制する規制部材としての規制用プレート375が固定されている。この規制用プレート375は、封入空間37a内に固定されており、ダイヤフラム371が変位した際に、ダイヤフラム371を当接させることによって、ダイヤフラム371の変位量を規制するものである。
この規制用プレート375は、図7に示すように、円環状かつ平板状の金属部材で構成されており、内周側および外周側の少なくとも一方が、蓋部材372の内部に圧入等の手段によって固定されている。
このため、封入空間37aは、規制用プレート375によって上下の2つの空間に仕切られるものの、規制用プレート375には、その表裏を連通させる複数(本実施形態では、8つ)の連通穴375aが形成されている。従って、規制用プレート375によって仕切られた上下の2つの空間は、連通穴375aを介して、互いに連通している。
これにより、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に変位した際には、規制用プレート375によって仕切られた下方側の空間内の感温媒体を、規制用プレート375によって仕切られた上方側の空間内へ移動させることができる。
さらに、連通穴375aの開口部のうち、少なくともダイヤフラム371が当接する面側の開口部には、図8の拡大断面図に示すように、R面取り加工が施されている。これにより、ダイヤフラム371が連通穴375aの開口縁部に接触した際に生じ得る損傷を抑制している。
次に、ハウジングボデー31の内部に形成された空間のうち、通路形成部材35の下方側には、図2に示すように、ディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間30fが形成されている。この気液分離空間30fは、略円柱状の回転体形状の空間として形成されており、気液分離空間30fの中心軸も、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
さらに、気液分離空間30fでは、ディフューザ通路13cから流出した冷媒を中心軸CL周りに旋回させて、遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する。また、この気液分離空間30fの内容積は、サイクルに負荷変動が生じてサイクルを循環する冷媒循環流量が変動しても、実質的に余剰冷媒を溜めることができない程度の容積になっている。
気液分離空間30fの中心部には、気液分離空間30fに対して同軸上に配置されて、上方側へ向かって延びる円筒状のパイプ31fが設けられている。そして、気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、パイプ31fの外周側に一時的に滞留して、液相冷媒流出口31cから流出する。
パイプ31fの内部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒をハウジングボデー31の気相冷媒流出口31dへ導く気相冷媒流出通路31gが形成されている。さらに、パイプ31fの内部には、前述したコイルバネ40を支持する支持部材41が配置されている。
このコイルバネ40は、冷媒が減圧される際の圧力脈動に起因する通路形成部材35の振動を減衰させる振動緩衝部材としての機能も果たしている。さらに、支持部材41は、支持部材41を中心軸方向(上下方向)に変位させる調整ねじ41aに連結されている。従って、調整ねじ41aにて、コイルバネ40が通路形成部材35に付勢する荷重を調整することで、狙いの基準過熱度KSHを変更することができる。
エジェクタ13の液相冷媒流出口31cには、図1に示すように、蒸発器14の冷媒入口側が接続されている。蒸発器14は、エジェクタ13にて減圧された低圧冷媒と送風ファン14aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
送風ファン14aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器14の出口側には、エジェクタ13の冷媒吸引口31bが接続されている。さらに、エジェクタ13の気相冷媒流出口31dには圧縮機11の吸入側が接続されている。
次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述の各種電気式のアクチュエータ11、12d、14a等の作動を制御する。
また、制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器14の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサおよび放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ等の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の電動モータの作動を制御する構成が吐出能力制御手段を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図9のモリエル線図を用いて説明する。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の電動モータ、冷却ファン12d、送風ファン14a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図9のa点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入し、冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて凝縮した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図9のa点→b点)。
放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、エジェクタ13の減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の外周面との間に形成されるノズル通路13aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される(図9のb点→c点)。この際、減圧用空間30bの最小通路面積部30mにおける通路断面積は、蒸発器14出口側冷媒(図9のh点)の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
そして、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒(図9のh点)が、冷媒吸引口31bおよび吸引用通路13b(より詳細には、吸引空間30cおよび吸引通路30d)を介して吸引される。ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒および吸引用通路13b等を介して吸引された吸引冷媒は、ディフューザ通路13cへ流入して合流する(図9のc点→d点、h’点→d点)。
ディフューザ通路13cでは冷媒通路断面積の拡大により、冷媒の運動エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒が混合されながら混合冷媒の圧力が上昇する(図9のd点→e点)。ディフューザ通路13cから流出した冷媒は気液分離空間30fにて気液分離される(図9のe点→f点、e点→g点)。
気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、オリフィス30iにて減圧されて(図9のg点→g’点)、蒸発器14へ流入する。蒸発器14へ流入した冷媒は、送風ファン14aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図9のg’点→h点)。これにより、送風空気が冷却される。
一方、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒は気相冷媒流出口31dから流出して、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図9のf点→a点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
この際、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ通路13cにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13によれば、旋回空間30aにて冷媒を旋回させることで、旋回空間30a内の旋回中心側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させることができる。これにより、旋回中心軸の外周側よりも内周側に気相冷媒が多く存在するようにして、旋回空間30a内の旋回中心線近傍はガス単相、その周りは液単相の二相分離状態とすることができる。
このように二相分離状態となった冷媒がノズル通路13aへ流入することで、ノズル通路13aの先細部131では、円環状の冷媒通路の外周側壁面から冷媒が剥離する際に生じる壁面沸騰および円環状の冷媒通路の中心軸側の冷媒のキャビテーションによって生じた沸騰核による界面沸騰によって冷媒の沸騰が促進される。これにより、ノズル通路13aの最小通路面積部30mへ流入する冷媒が、気相と液相が均質に混合した気液混合状態となる。
そして、最小通路面積部30mの近傍で気液混合状態の冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングによって音速に到達した気液混合状態の冷媒が末広部132にて加速されて噴射される。このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって、気液混合状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路13aにおけるエネルギ変換効率を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、駆動機構37を備えているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて通路形成部材35を変位させて、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路断面積)を調整することができる。これにより、サイクルを循環する冷媒の循環流量に応じて、最小通路面積部30mにおける通路断面積等を適切に変化させて、エジェクタ13を適切に作動させることができる。
さらに、本実施形態の駆動機構37では、蓋部材372に感温筒372aを設けているので、蒸発器14出口側冷媒の過熱度を、精度良く基準過熱度KSHに近づけることができる。これに加えて、駆動機構37がハウジングボデー31の内部に配置されているので、封入空間37a内の感温媒体が外気温の影響を受けにくい。従って、蒸発器14出口側冷媒の過熱度を、より一層、精度良く基準過熱度KSHに近づけることができる。
ところで、本実施形態の駆動機構37では、封入空間37aへ封入される感温媒体の封入密度が、サイクルの通常作動時に通路形成部材35を適切に変位させることができるように設定されている。このため、サイクルの停止時のように、蒸発器14出口側冷媒の圧力が上昇してしまうと、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に大きく変形してしまうおそれがある。
そして、このような変形が生じるとダイヤフラム371の損傷等を招き、サイクルの作動時に駆動手段37が通路形成部材35を適切に変位させることができなくなってしまい、サイクルを循環する冷媒流量に応じて、エジェクタ13を適切に作動させることができなくなってしまう。
これに対して、本実施形態のエジェクタ13では、規制部材としての規制用プレート375を備えているので、図5の破線で示すように、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に大きく変形してしまうことを抑制することができる。従って、ダイヤフラム371の保護を図ることができる。延いては、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aやディフューザ通路13cの通路断面積を調整可能なエジェクタ13の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態の規制用プレート375は、ダイヤフラム371を当接させることによって、ダイヤフラム371の変位量を規制しているので、ダイヤフラム371の変位量を確実に規制することができる。さらに、規制用プレート375は、蓋部材372に固定されているので、規制用プレート375が移動してしまうことがない。従って、ダイヤフラム371の変位量を一定の量に規制することができる。
また、本実施形態の駆動機構37では、封入空間37aおよびダイヤフラム371が、通路形成部材35の中心軸CLの周りに、環状に配置されている。これによれば、エジェクタ13の内部空間を有効に利用して駆動機構37を配置することができる。従って、駆動機構37の小型化を図ることができ、エジェクタ13全体としての小型化を狙うことができる。
さらに、本実施形態の駆動機構37では、ダイヤフラム371として、ゴムで形成された基材371aを有するものを採用している。これによれば、比較的小型なダイヤフラム371を採用しても、充分な変位量を確保することができ、通路形成部材35を適切に変位させることができる。
そして、本実施形態のように、ゴムで形成された基材371aを有するダイヤフラム371を採用するエジェクタ13では、金属で形成されたものよりもダイヤフラム371が損傷しやすい。従って、規制部材(規制用プレート375)によってダイヤフラム371の保護を図ることができることは極めて有効である。
なお、本実施形態では、規制用プレート375として、図7に示すように、円環状かつ平板状の金属部材に8つの連通穴375aを設けたものを採用しているが、規制用プレート375は、これに限定されない。
例えば、図10に示すように、連通穴375aの径を小さくして、本実施形態よりも多数の連通穴375aを形成した規制用プレート375を採用してもよい。このような規制用プレート375は、平板状金属部材に多数の穴開け加工を施すことによって形成された、いわゆるパンチングメタルを、封入空間37aに適合する円環状に加工することによって形成すればよい。
これによれば、ダイヤフラム371のうち、1つの連通穴375aと重合する部位の面積を縮小させることができ、当該部位が導入空間37b側の冷媒から受ける荷重を小さくすることができる。従って、ダイヤフラム371が連通穴375aの開口縁部に接触した際に生じ得る損傷を、より一層抑制することができる。
また、図11に示すように、連通穴375aを規制用プレート375の内周側あるいは外周側に偏在させてもよい。これによれば、ダイヤフラム371が規制用プレート375に当接しても、ダイヤフラム371が連通穴375aの開口縁部に接触しにくくなり、ダイヤフラム371の損傷を抑制することができる。
また、図12に示すように、規制用プレート375の外径を縮小して、規制用プレート375の内周側を蓋部材372に圧入固定するようにしてもよい。これによれば、規制用プレート375に連通穴375aを設けることなく、規制用プレート375の外周側と蓋部材372との間に形成される隙間を介して、規制用プレート375によって仕切られた上下の2つの空間を連通させることができる。
もちろん、規制用プレート375の内径を拡大して規制用プレート375の内周側と蓋部材372との間に隙間を形成し、さらに、規制用プレート375の外周側を蓋部材372に圧入固定するようにしてもよい。なお、図10、図11は、それぞれ本実施形態の図8に対応する図面であり、図12は、図5に対応する図面である。
以下、第2〜第8実施形態では、第1実施形態に対して、駆動機構37の規制部材を変更した例を説明する。
(第2実施形態)
第2実施形態の規制部材は、図13に示すように、金属製あるいは樹脂製の板状部材を湾曲させることによって形成された板ばねストッパ376で構成されている。なお、図13は、第1実施形態で説明した図5に対応する図面であって、図13では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
板ばねストッパ376は、湾曲させた状態から平板に戻ろうとする反力(いわゆる、スプリングバック)によって、蓋部材372の封入空間37aを形成する内周側面および外周側面に固定されている。さらに、板ばねストッパ376は、複数(本実施形態では、8つ)設けられており、図14に示すように、蓋部材372を下方側から見たときに、中心軸CL周りに等角度間隔で円環状に配置されている。
従って、各板ばねストッパ376の内周側(上方側)に形成される空間と外周側(下方側)に形成される空間は、互いに連通している。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に変位した際には、板ばねストッパ376の外周側に形成される空間内の感温媒体を、板ばねストッパ376の内周側に形成される空間内へ移動させることができる。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材として板ばねストッパ376を採用しても、図13の破線で示すように、ダイヤフラム371を板ばねストッパ376に当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
本実施形態の規制部材は、図15に示すように、蓋部材372の封入空間37a側のダイヤフラム371に対向する面に設けられた複数のスリット部372bで構成されている。スリット部372bは、蓋部材372のダイヤフラム371に対向する面から円筒状に突出する形状に形成されている。さらに、複数のスリット部372bは、中心軸方向から見たときに、予め定めた間隔を開けて同心円状に配置されている。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材としてスリット部372bを採用しても、図15の破線で示すように、ダイヤフラム371をスリット部372bに当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
本実施形態の規制部材は、図16に示すように、金属製あるいは樹脂製の板状部材を断面コの字状に折り曲げることによって形成された複数の折り曲げ部材377aで構成されている。複数の折り曲げ部材377aは、第2実施形態で説明した板ばねストッパ376と同様に、封入空間37aの内部に中心軸CL周りに円環状に配置されている。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材として折り曲げ部材377aを採用しても、図16の破線で示すように、ダイヤフラム371を折り曲げ部材377aに当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、規制部材として折り曲げ部材377aを採用しているので、ダイヤフラム371との当接する部位を平坦面とすることができる。従って、ダイヤフラム371が折り曲げ部材377aに当接した際に生じる得る損傷を、効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、複数の折り曲げ部材377aで規制部材を構成した例を説明したが、規制部材を1つの折り曲げ部材377aで構成してもよい。この場合は、中心軸方向から見たときに、折り曲げ部材377aを、封入空間37aと同等の円環状に形成すればよい。
(第5実施形態)
本実施形態の規制部材は、図17に示すように、金属製あるいは樹脂製の中空円筒状の複数の管状部材(チューブ)377bで構成されている。さらに、複数の管状部材377bは、第2実施形態で説明した板ばねストッパ376と同様に、封入空間37aの内部に中心軸CL周りに円環状に配置されている。
従って、管状部材377bの内側に形成される空間と外側に形成される空間は、互いに連通している。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に変位した際には、管状部材377bの外側に形成される空間内の感温媒体を、管状部材377bの内側に形成される空間内へ移動させることができる。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材として管状部材377bを採用しても、図17の破線で示すように、ダイヤフラム371を管状部材377bに当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、複数の管状部材377bで規制部材を構成した例を説明したが、規制部材を1つの管状部材377bで構成してもよい。この場合は、中心軸方向から見たときに、管状部材377bを、封入空間37aと同等の円環状に形成すればよい。さらに、管状部材377bは、中心軸方向から見たときに、同心円状に複数配置されていてもよい。
(第6実施形態)
本実施形態の規制部材は、図18に示すように、感温媒体を通過させる複数の細孔が設けられた多孔質材377cで構成されている。さらに、中心軸方向から見たときに、多孔質材377cは、封入空間37aと重合するように円環状に形成されている。このような多孔質材377cとしては、連続気泡体として形成された発砲樹脂、発泡金属、あるいは焼結金属等を採用することができる。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材として多孔質材377cを採用しても、図18の破線で示すように、ダイヤフラム371を多孔質材377cに当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、図19に示すように、複数の金属製あるいは樹脂製の平板状部材を組み合わせることによって断面エの字状に形成された規制部材378を採用した例を説明する。
より具体的には、本実施形態の規制部材378は、ダイヤフラム371の封入空間37a側の面に接合された円環状かつ平板状のダイヤフラム側プレート378a、ダイヤフラム側プレート378aと平行に配置された円環状かつ平板状の蓋部材側プレート378b、およびダイヤフラム側プレート378aと蓋部材側プレート378bとを連結させる筒状部材378cを有している。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の規制部材378では、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に変位すると、ダイヤフラム371とともに規制部材378が蓋部材372側へ変位する。そして、図19の破線出示すように、規制部材378の蓋部材側プレート378bが蓋部材372に当接することによって、ダイヤフラム371の変位量が規制される。
従って、本実施形態の規制部材378を採用しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の規制部材378では、ダイヤフラム側プレート378aがダイヤフラム371に接合されているので、ダイヤフラム371の中心側の平面が波打つように変形してしまうことを抑制して、より一層効果的に、ダイヤフラム371の保護を図ることができる。
なお、本実施形態の規制部材378において、筒状部材378cに内周側と外周側とを連通させる連通穴を設けてもよい。これによれば、規制部材378が変位した際に、感温媒体が封入空間37a内を移動しやすくなるので、規制部材378が変位する際に感温媒体が抵抗となってしまうことを抑制することができる。
(第8実施形態)
本実施形態の規制部材は、図20に示すように、蓋部材372のダイヤフラム371に対向する壁面(上方側壁面)372cによって構成されている。より詳細には、本実施形態の蓋部材372では、第1実施形態よりも、上方側壁面372cがダイヤフラム371の近くに配置されている。そして、ダイヤフラム371が変位した際に、上方側壁面372cに当接することによって、ダイヤフラム371の変位量が規制される。
ここで、上方側壁面372cによって規制部材を構成すると、ダイヤフラム371が上方側壁面372cに当接した際に、封入空間37aの容積が著しく縮小してしまう。そこで、本実施形態では、図21に示すように、感温筒372aの内部空間を拡大させている。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37aを縮小させる側に変位した際には、封入空間37a内の感温媒体を、感温筒372aの内部空間へ移動させることができる。なお、図21は、第1実施形態で説明した図4に対応する図面である。
その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、規制部材を蓋部材372の上方側壁面372cで構成しても、図20の破線で示すように、ダイヤフラム371を上方側壁面372cに当接させてダイヤフラム371の変位量を規制することができる。その結果、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ダイヤフラム371の構成を変更している。より具体的には、本実施形態のダイヤフラム371の基材371aには、図22に示すように、被挟持部371c、変位部371d、およびコンボリューション部371eが設けられている。なお、図22は、第1実施形態で説明した図6に対応する図面である。
被挟持部371cは、蓋部材372とディフューザボデー33との間に挟み混まれる部位であって、内周側および外周側の2箇所に設けられている。変位部371dは、封入空間37aの内の感温媒体の圧力から導入空間37b内の冷媒の圧力を減算した圧力差に応じて変位する部位である。
コンボリューション部371eは、被挟持部371cと変位部371dとを連結するとともに、変位部371dが変位する際に折れ曲がる部位である。従って、コンボリューション部371eは、内周側および外周側の2箇所に設けられている。さらに、コンボリューション部371eは、被挟持部371cおよび変位部371dに対して、軸方向の厚み寸法が小さい薄肉部として形成されている。
また、本実施形態の蓋部材372には、変位部371dが封入空間37aを縮小させる側に変位する際に、折れ曲がったコンボリューション部371eを収容する円環状の収容空間37cが、ダイヤフラム371の内周側および外周側の2箇所に形成されている。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ13においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、コンボリューション部371eを有するダイヤフラム371を採用しているので、ダイヤフラム371の変位部371dを大きく湾曲させることなく、変位部371dを変位させることができる。従って、ダイヤフラム371が規制用プレート375に当接した際に生じ得る損傷を抑制することができる。
また、本実施形態では、蓋部材372に収容空間37cが形成されているので、図23の破線で示すように、折れ曲がったコンボリューション部371eを収容空間37c内に収容することができる。
これによれば、コンボリューション部371eが折れ曲がる際の曲率が不必要に大きくなってしまうことを抑制することができ、コンボリューション部371eに過度な曲げ応力がかかってしまうことを抑制することができる。従って、本実施形態のようにダイヤフラム371の封入空間37aを縮小させる側の変位量が規制されるエジェクタであっても、コンボリューション部371eの効果的な保護を図ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、第2〜第8実施形態のエジェクタ13の駆動機構37に、第9実施形態で説明したダイヤフラム371を採用するとともに、収容空間37cを設けてもよい。
(1)上述の実施形態では、駆動機構37として、封入空間37aおよびダイヤフラム371が、通路形成部材35の中心軸CL周りに、環状に配置されたものを採用した例を説明したが、駆動機構37はこれに限定されない。
例えば、ディフューザボデー33に複数の円柱状の空間を設け、これらの空間の内部にそれぞれ円形薄板状のダイヤフラムを固定するとともに、これらの空間の開口部を蓋部材(封入空間形成部材)で閉塞することによって、複数の駆動機構を形成してもよい。このように複数の駆動機構を形成する場合は、それぞれの駆動機構を通路形成部材35の中心軸CL周りに等角度間隔で配置することが望ましい。
(2)上述の第4〜第6実施形態では、各規制部材(折り曲げ部材377a、管状部材377b、多孔質材377c)の固定手段について説明していないが、各規制部材は、第1実施形態と同様に圧入によって蓋部材372に固定されていてもよいし、第2実施形態と同様にスプリングバックによって蓋部材372に固定されていてもよい。
さらに、折り曲げ部材377a、管状部材377b、多孔質材377c等の規制部材は、封入空間37a内に収容されていれば、蓋部材372あるいはダイヤフラム371に固定されていなくてもダイヤフラム371の保護効果を発揮することができる。
(3)上述の実施形態では、規制部材を備えることによるダイヤフラム371の最大変位量について言及していないが、本発明の効果を得るためには、ダイヤフラム371の最大変位量は、サイクルの停止時等にダイヤフラム371が損傷してしまうことがなく、サイクルの通常作動時に通路形成部材35を適切に変位させることができるように設定される必要がある。
さらに、サイクルの通常作動時にエジェクタ13の冷媒通路の通路断面積を適切に制御するためには、通路形成部材35をノズルボデー32に当接させてノズル通路13aを閉塞できるようにしておくことが望ましい。従って、規制部材としては、ダイヤフラム371が最も封入空間37aを縮小させる側に変位した際に、通路形成部材35がノズルボデー32に当接可能な範囲で変位量を規制するものを採用すればよい。
(4)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、プーリ、ベルト等を介して車両走行用エンジンから伝達される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。さらに、エンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整することのできる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。さらに、通常の放熱器とともに、この放熱器にて放熱した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える受液器(レシーバ)を一体化させたレシーバ一体型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aあるいはR1234yf等を採用可能であることを説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R600a、R410A、R404A、R32、R1234yfxf、R407C等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(5)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ13を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10の放熱器12を冷媒と外気とを熱交換させる室外側熱交換器とし、蒸発器14を送風空気を冷却する利用側熱交換器としている。これに対して、蒸発器14を外気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として用い、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱流体を加熱する利用側熱交換器として用いてもよい。
10 エジェクタ式冷凍サイクル
13 エジェクタ
13a、13c ノズル通路、ディフューザ通路
30 ボデー
35 通路形成部材
37 駆動機構(駆動手段)
37a、37b 封入空間、導入空間
371 ダイヤフラム(圧力応動部材)
372 蓋部材(封入空間形成部材)
375…378 規制用プレート他(規制部材)

Claims (13)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
    冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、前記減圧用空間(30b)の冷媒流れ下流側に連通して外部から吸引された冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、および前記減圧用空間(30b)から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路(13b)から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間(30b)の内部、および前記昇圧用空間(30e)の内部に配置されるとともに、前記減圧用空間(30b)側から離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、
    前記通路形成部材(35)を変位させる駆動手段(37)と、を備え、
    前記ボデー(30)のうち前記減圧用空間(30b)を形成する部位の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、
    前記ボデー(30)のうち前記昇圧用空間(30e)を形成する部位の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記噴射冷媒および前記吸引冷媒を混合して昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
    前記駆動手段(37)は、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入される封入空間(37a)を形成する封入空間形成部材(372)、および前記封入空間形成部材(372)とともに前記封入空間(37a)を形成して前記感温媒体の圧力と前記封入空間(37a)の外部の冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(371)を有し、
    さらに、前記圧力応動部材(371)の前記封入空間(37a)を縮小させる側への変位量を規制する規制部材(375…378)を備えることを特徴とするエジェクタ。
  2. 前記規制部材(375…378)は、前記封入空間(37a)の内部に配置されており、前記圧力応動部材(371)が変位した際に、前記圧力応動部材(371)を当接させることによって、前記変位量を規制するものであることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記規制部材(375…378)は、前記封入空間形成部材(372)および前記圧力応動部材(371)の少なくとも一方に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記規制部材(375、378)は、板状部材によって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  5. 前記規制部材(375、378)は、表裏を貫通する貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  6. 前記規制部材(376、377a)は、板状部材を折り曲げることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  7. 前記規制部材(377b)は、管状部材によって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  8. 前記規制部材(377c)は、前記感温媒体を通過させる複数の孔が設けられた多孔質材で形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  9. 前記封入空間(37a)および前記圧力応動部材(371)は、前記通路形成部材(35)の中心軸(CL)の周りに、環状に配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  10. 前記圧力応動部材(371)は、ゴムで形成された基材(371a)を有していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  11. 前記基材(371a)の表面には、前記基材(371a)よりも、冷媒および感温媒体の透過性が低いバリア膜(371b)が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のエジェクタ。
  12. 前記基材(371a)には、前記封入空間形成部材(372)と前記ボデー(30)との間に挟持される被挟持部(371c)、前記圧力差に応じて変位する変位部(371d)、および前記被挟持部(371c)と前記変位部(371d)とを連結するとともに、前記変位部(371d)が変位する際に折れ曲がるコンボリューション部(371e)が設けられており、
    さらに、前記封入空間形成部材(372)は、前記変位部(371d)が前記封入空間(37a)を縮小させる側に変位する際に、折れ曲がった前記コンボリューション部(371e)を収容する収容空間(37c)を形成していることを特徴とする請求項10または11に記載のエジェクタ。
  13. 前記ボデー(30)には、前記冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を旋回させて前記減圧用空間(30b)側へ流出させる旋回空間(30a)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載のエジェクタ。
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