以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
本発明の実施の形態に係るパイプラック1aは、図1に示すように、上面に図6に示した複数本のパイプPa1〜Pk7が並置される棒状の下側支持体10と、この下側支持体10の一端に下側支持体10と着脱自在に設けられ、下側支持体10の上側に柱状に突出した第1の側方支持体20aと、第1の側方支持体20aに対向して、下側支持体10の他端に下側支持体10と着脱自在に設けられ、下側支持体10の上側に柱状に突出した第2の側方支持体20bと、を備える。パイプラック1aは、複数本のパイプPa1〜Pk7の長手方向の両端部にそれぞれ配置され、図1(b)に示すように、下側支持体10と第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとによって形成された、上側に開口部を有する略U字状の枠体の内側に複数本のパイプPa1〜Pk7を集積する。
(下側支持体の構造)
下側支持体10は、図1(a)及び図2に示すように、本体11と、本体11の上面に互いに離間して設けられた一対のパイプストッパー12a,12bとを有する。本体11は、略直方体状に形成され、鉄等の金属材料で構成されている。本体11は、図5に示すように、本体11の長手方向がパイプの長手方向に直交するように配置される。図2(b)に示すように、本体11の長手方向の一方(図2(b)中の左側)の端部の両側面には、水平方向にそれぞれ突出するように形成された2本の円柱状の突起部11a1,11a2が設けられている。また本体11の長手方向の他方(図2(b)中の右側)の端部の両側面には、水平方向にそれぞれ突出するように形成された2本の円柱状の突起部11b1,11b2が設けられている。
一方の端部の2本の突起部11a1,11a2と、他方の端部の2本の突起部11b1,11b2とは、いずれも本体11の両端から等距離の位置にそれぞれ配置され、本体11の長手方向の中心に対して、左右対称的に設けられている。4本の突起部11a1,11a2,11b1,11b2は、いずれも鉄等の金属材料からなる棒状の部材であり、溶接等により本体11に固着されている。
一対のパイプストッパー12a,12bをなす一方のパイプストッパー12aと他方のパイプストッパー12bとは、図2に示すように、いずれも上方に突出するように形成され、本体11の長手方向の両端から等距離の位置にそれぞれ配置され、本体11の長手方向の中心に対して、左右対称的に設けられている。図2(a)及び図2(b)に示すように、一方のパイプストッパー12aは、本体11の長手方向の一方の端部の2本の突起部11a1,11a2と、上下方向で揃う位置に設けられている。また他方のパイプストッパー12bは、本体11の長手方向の他方の端部の2本の突起部11b1,11b2と、上下方向で揃う位置に設けられている。
一方のパイプストッパー12aは、図2(a)に示すように、パイプストッパーを正面から見て直角三角形の形状とされた第1の本体板12a1と第2の本体板12a2とが、連結棒12a3を介して、例えば溶接等により一体的に連結された上で、本体11と溶接等により固着され一体化されている。第1の本体板12a1と第2の本体板12a2と連結棒12a3とは、いずれも鉄等の金属部材で構成されている。
一方のパイプストッパー12aの第1の本体板12a1は、図2(a)に示すように、いずれも、直角三角形の斜辺が他方のパイプストッパー12b側に対向するように設けられる。直角三角形の斜辺と、本体11に固着する側の辺との間には、角度θが形成される。直角三角形の、本体11に固着する側の辺と、他方のパイプストッパー12bとの間の角度は約90度である。また第2の本体板12a2は、第1の本体板12a1と同じ構造であり、図2(b)に示すように、本体11の上面上で、本体11の軸方向に対して対称的に構成されている。
また他方のパイプストッパー12bは、一方のパイプストッパー12aと同じ構造である。他方のパイプストッパー12bの第1の本体板12a1は、一方のパイプストッパー12aの第1の本体板12a1に対応し、他方のパイプストッパー12bの第2の本体板12a2は、一方のパイプストッパー12aの第2の本体板12a2に対応する。また他方のパイプストッパー12bの連結棒12a3は、一方のパイプストッパー12aの連結棒12a3に対応する。
下側支持体10の上面上であって、一対のパイプストッパー12a,12b間に、パイプラック1aに集積される複数本のパイプPa1〜Pk7のうち、最下段をなす一段目のパイプPa1〜Pa7が、図4に示すように、パイプの長手方向に直交する方向に並置される。一対のパイプストッパー12a,12bにおいては、直角三角形の斜辺が互いに対向するように配置されているので、一対のパイプストッパー12a,12b間の幅(図2(a)中の左右方向の長さ)は、下側支持体10から上側に向かうに従って拡大する。
(側方支持体の構造)
第1の側方支持体20aは、図3に示すように、いずれも同じ形状とされた板状の第1の本体板20a1と第2の本体板20a2とが、3本の連結棒を介して、例えば溶接等により一体的に連結されている。第1の側方支持体20aの最下段の連結棒20a3は、第1の側方支持体20aと下側支持体10とを一体化して枠体を形成する際に、下面が、下側支持体10の上面に接触して突き当たる位置に設けられている。尚、図3中では、説明の便宜のため、3本の連結棒中、最下段の連結棒20a3にのみ符号を付している。第1の本体板20a1と第2の本体板20a2と3本の連結棒とは、いずれも鉄等の金属部材で構成されている。
第1の本体板20a1は、長手方向(図3(a)中の上下方向)の外側(第2の側方支持体20bと反対側)の辺と内側(第2の側方支持体20b側)の辺とを有し、第1の本体板20a1の上部においては、図3(a)に示すように、長手方向の外側の辺と内側の辺とがそれぞれ鉛直に、且つ、互いに平行に形成されている。
第1の本体板20a1の中央部においては第1の本体板20a1の上部よりも幅広に形成されている。第1の本体板20a1の中央部の長手方向の外側の辺は、上端部の外側の辺と同一直線上で延伸して形成されるとともに、内側の辺には鉛直部22a1が形成されている。鉛直部22a1は、上端部の内側の辺の下端が第2の側方支持体20b側に向かって水平方向に略90度屈曲して延伸した後、再び鉛直方向の下方に向かって略90度屈曲して延伸して形成されている。
第1の本体板20a1の下部においては第1の本体板20a1の中央部よりも幅広に形成されている。第1の本体板20a1の下部の長手方向の外側の辺は、中央部の外側の辺と同一直線上で延伸して形成されるとともに、内側の辺には傾斜部24a1が形成されている。傾斜部24a1により、第1の本体板20a1の下部は、第1の側方支持体20aの長手方向に直交する幅が下側支持体10側に向かうに従って、第2の側方支持体20b側に拡がるように張り出して形成されている。すなわち第1の側方支持体20aの下部の、パイプラック1aの枠体を構成する側の側部は、第1の側方支持体20aの長手方向に直交する方向(下側支持体10の長手方向)の幅が下側支持体10側に向かうに従って第2の側方支持体20b側に拡がるように張り出して形成される。第1の本体板20a1の傾斜部24a1の傾斜角度は、下側支持体10の一方のパイプストッパー12aの斜辺と本体11に固着する側の辺との間の角度と同じ角度θである。
また第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の下端部で傾斜部24a1の下側には、略U字状の切欠き部26a1が内側から外側に向かって形成されている。すなわち第1の側方支持体20aの切欠き部26a1は、図3(a)中の右側に開口部が形成されるとともに、図3(a)中の左側に半円弧状の底部が形成される。第1の本体板20a1の切欠き部26a1は、図2(b)中に示した下側支持体10の一方の端部の下側の突起部11a1に対応して、突起部11a1が嵌合する位置に設けられている。切欠き部26a1の幅(図3(a)中の上下方向の長さ)は、突起部の円柱の円の直径より僅かに長い長さである。また切欠き部26a1の底部の半円弧の曲率は、突起部の円柱の円の曲率と略同じか僅かに大きく設定されている。
また第1の側方支持体20aの第2の本体板20a2は、第1の本体板20a1と同じ構造であり、第2の本体板20a2の鉛直部22a2は第1の本体板20a1の鉛直部22a1に対応し、第2の本体板20a2の傾斜部24a2は第1の本体板20a1の傾斜部24a1に対応する。また第2の本体板20a2の切欠き部26a2は第1の本体板20a1の切欠き部26a1に対応する。
また第2の側方支持体20bは、第1の側方支持体20aと同じ構造であり、下側支持体10に取り付けられる端部が第1の側方支持体20aと反対である点が異なる。第2の側方支持体20bの第1の本体板20b1は、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1に対応し、第2の側方支持体20bの第2の本体板20b2は、第1の側方支持体20aの第2の本体板20a2に対応する。第2の側方支持体20bの中央部の鉛直部22b1、下部の傾斜部24b1及び下端部の切欠き部26b1は、第1の側方支持体20aの中央部の鉛直部22a1、下部の傾斜部24a1及び下端部の切欠き部26a1にそれぞれ対応する。また第2の側方支持体20bの3本の連結棒は、第1の側方支持体20aの3本の連結棒に対応し、第2の側方支持体20bの最下段の連結棒20b3は、第1の側方支持体20aの最下段の連結棒20a3に対応する。
(下側支持体、第1の側方支持体及び第2の側方支持体の一体化)
第1の側方支持体20aが下側支持体10の長手方向の一方の端部に側方から嵌め込まれるとともに、第2の側方支持体20bが下側支持体10の長手方向の他方の端部に側方から嵌め込まれることにより、第1の側方支持体20a、第2の側方支持体20b及び下側支持体10が一体化される。そして、図2(b)に示すように、上側に開口部を有する枠体が形成される。枠体の底部には、上側に向かって拡大する領域が、第1の側方支持体20aの傾斜部24a1と、第2の側方支持体20bの傾斜部24b1とによって形成される。
第1の側方支持体20aが、図1(b)に示すように、下側支持体10と一体化されると、第1の側方支持体20aの下端部では、第1の本体板20a1と第2の本体板20a2との間の空間内に、それぞれ下側支持体10と隙間(クリアランス)を空けて、下側支持体10が挟み込まれる。またこのとき、下側支持体10の一方の端部の第1の本体板20a1側の突起部11a1は、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の切欠き部26a1に嵌合する。また下側支持体10の一方の端部の第2の本体板20a2側の突起部11a2は、第1の側方支持体20aの第2の本体板20a2の切欠き部26a2に嵌合する。また第1の側方支持体20aの最下段の連結棒20a3の下面が、下側支持体10の上面に突き当たって接触する。
また第2の側方支持体20bが、第1の側方支持体20aと同様に、下側支持体10と一体化されると、下側支持体10の他方の端部の第1の本体板20b1側の突起部11b1は、第2の側方支持体20bの第1の本体板20b1の切欠き部26b1に嵌合する。また下側支持体10の他方の端部の第2の本体板20b2側の突起部11b2は、第2の側方支持体20bの第2の本体板20b2の切欠き部26b2に嵌合する。また第2の側方支持体20bの最下段の連結棒20b3の下面が、下側支持体10の上面に突き当たって接触する。
下側支持体10の4本の突起部11a1〜11b2が、それぞれ対応する切欠き部26a1〜26b2に嵌合することにより、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bがいずれも、突起部より下側支持体10の中心に向かって変位することが防止される。すなわち4本の突起部11a1〜11b2は、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの、下側支持体10に対する取り付け位置を決めるものであるとともに、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとの間の離間距離を定義するものである。
第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの取り付け位置が決まることにより、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の傾斜部24a1の端面及び第2の本体板20a2の傾斜部24a2と、一方のパイプストッパー12aの第1の本体板12a1の斜辺が形成される領域の端面及び第2の本体板12a2の斜辺が形成される領域の端面と、が下側支持体10の上面から角度θで傾斜した仮想平面上に揃う。図1(b)中には、第2の側方支持体20bの第1の本体板20b1の傾斜部24b1の端面及び第2の本体板20b2の傾斜部24b2と、他方のパイプストッパー12bの第1の本体板12b1の斜辺が形成される領域の端面及び第2の本体板12b2の斜辺が形成される領域の端面とが、同一平面上に揃った状態が例示されている。
第1の側方支持体20aの傾斜部の端面と一方のパイプストッパー12aの斜辺が形成される領域の端面とが同一平面上に揃うとともに、第2の側方支持体20bの傾斜部の端面と一方のパイプストッパー12bの斜辺が形成される領域の端面とが同一平面上に揃うことにより、下側支持体10の上面上に並置されるパイプPa1〜Pa7が、外側に移動することを防止しつつ、更に上に向かってパイプPb1〜Pk7を積段することが可能となる。
すなわち下側支持体10の上面上に並置されるパイプPa1〜Pk7は、パイプラック1aの枠体に複数本のパイプPa1〜Pk7を積段した際に最も荷重が加わる段であり、最下段のパイプPa1〜Pa7が外側に転がって第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを外側に押し出すと、下から2段目以降の段のパイプを、傾斜部に支持させることが不可能となる。そこで、一対のパイプストッパー12a,12bにより最下段の並置構成を安定させ、最下段のパイプの外側への移動を防止し、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの下側支持体10への取り付け位置を保持させる。そして取り付け位置が保持された第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bのそれぞれの傾斜部にパイプを支持させることにより、最下段から上段に向かうに従って、各段に並置するパイプの本数を1本ずつ増やすことが可能となる。
また第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bが下側支持体10と一体化されると、第1の側方支持体20aの最下段の連結棒20a3が、図4に示すように、下側支持体10の上面に、第1の側方支持体20aの自重により、強く圧下された状態で接触する。そのため、第1の側方支持体20aの静止摩擦力を高め、第1の側方支持体20aが地面の上で外側に変位して、下側支持体10から分離することが抑制される。すなわち、第1の側方支持体20aは、自重及び集積されるパイプからの荷重を用いて静止し、下側支持体10から分離しないように、重量、地面と接触する下端面の面積、最下段の連結棒20a3の形状等が構成されている。そして、第1の側方支持体20aは、下側支持体10から取り外し可能であっても、パイプ集積時には、下側支持体10と安定して一体化する。
また第2の側方支持体20bの最下段の連結棒20b3も、第1の側方支持体20aの最下段の連結棒20a3と同様に、下側支持体10の上面に、強く圧下された状態で接触する。第2の側方支持体20bも、第1の側方支持体20aと同様に、自重及び集積されるパイプからの荷重を用いて静止し、下側支持体10から分離しないように、重量、地面と接触する下端面の面積、最下段の連結棒20b3の形状等が構成され、パイプ集積時には、下側支持体10と安定して一体化する。
また第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの取り付け位置が決まることにより、図4に示すように、第1の側方支持体20aの下端部と第2の側方支持体20bの下端部との間は、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとの最近接距離w2Lで離間する。第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとの最近接距離w2Lと、下側支持体10の一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1とは、等しい(w1=w2L)。
ここで、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1は、以下の(α)〜(γ)の3点に対応して設定されている。
(α)パイプストッパーの斜辺と本体11に固着する側の辺との間の角度θ
(β)パイプラック1aの目標集積パイプ本数N
(γ)パイプPa1〜Pk7の外径R
上記(α)の角度θの値は適宜設定されてよいが、本発明の実施の形態では60度に設定されている。角度θ=60度であることにより、複数本のパイプPa1〜Pk7を六方細密充填構造に類似した密着状態とし、より一体性を高めることができる。
例えば、角度θ=60度、目標集積パイプ本数N=100本の場合であって、図6に示すように、100本のパイプPa1〜Pk7を、各段の構成本数を異ならせて計11段で積段する場合を考える。下から上に向かってそれぞれの段に並置する本数が、7本、8本、9本、10本、11本、10本、9本、8本、7本の順となる。一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1は、最下段に7本のパイプが並置されるため、下記の式(1)で設定される。
w1=R/2・tan(θ/2)+6R+R/2・tan(θ/2) …(1)
そして、例えばパイプの外径Rが48.6mm程度の場合、最小幅w1は、上記式(1)より約320mmとなる。また本発明の実施の形態では、製造上の誤差を考慮して、320〜340mm程度の値を、最小幅w1の許容範囲として設定できる。
また第1の側方支持体20aの傾斜部24a1及び第2の側方支持体20bの傾斜部24b1の、下側支持体10の上面からのそれぞれの高さhLも、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1と同様に、上記の(α)〜(γ)に対応して設定されている。例えば、角度θ=60度、目標集積パイプ本数N=100本の場合であって、図6に示すように、100本のパイプを、各段の構成本数を異ならせて計11段で積段する場合、最下段から上に5段のパイプを傾斜部に支持させて積段する場合には、傾斜部の高さhLは下記の式(2)で設定される。
hL={(R/2・tan(θ/4)+4R+R/2・tan(θ/2)}×sinθ
…(2)
そして、例えばパイプの外径Rが48.6mm程度の場合、傾斜部の高さhLは、上記式(2)より約186mmとなる。また本発明の実施の形態では、製造上の誤差を考慮して、190〜200mm程度の値を、傾斜部の高さhLの許容範囲として設定できる。
また第1の側方支持体20aの鉛直部22a1及び第2の側方支持体20bの鉛直部22b1の、下側支持体10の上面からの高さhUも、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1と同様に、上記(α)〜(γ)に対応して設定される。第1の側方支持体20aの中央部と第2の側方支持体20bの中央部の間隔w2Uを用いて、下から5段目、6段目及び7段目の計3段を、左右の鉛直部の間に形成する場合には、鉛直部の高さhUは、下記の式(3)で設定される。
hU=R/2・tan(θ/4)+2R・sinθ+R/2・tan(θ/4)
…(3)
そして、例えばパイプの外径Rが48.6mm程度の場合、鉛直部の高さhUは、上記式(3)より約97mmとなる。また本発明の実施の形態では、製造上の誤差を考慮して、100〜120mm程度の値を、鉛直部の高さhUの許容範囲として設定できる。
第1の側方支持体20aの中央部と第2の側方支持体20bの中央部との間には、図5に示すように、パイプラック1aに積段される各段のうち最も多い本数のパイプが並置される段が位置する。第1の側方支持体20aの中央部と第2の側方支持体20bの中央部の間隔w2Uも、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1と同様に、上記の(α)〜(γ)に対応して設定可能であるが、傾斜部の高さhL及び角度θが設定されることによって自ずと定まる。
このように、上記の(α)〜(γ)に対応して、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1、傾斜部の高さhL、鉛直部の長さhUが設定されるとともに、パイプラック1aの枠体の内側に複数本のパイプを積段することにより、図6に示すように、集積されるパイプを軸方向から見たときに八角形の形状を形成することが可能となる。
またN=100本の場合に積段される11段のうち鉛直部間に位置する3段(11本、10本、11本の各段)のように、すべての段の中段の位置で、最多本数のパイプを並置する段を2段以上形成することにより、鉛直部の長さhUに相当する八角形の鉛直な側面の長さと、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1に相当する八角形の水平な側面の長さとの比が、1:1に近づく。そして最終的に集積されるすべてのパイプによって形成される八角形の縦横比を1:1に近づけて、より正円に近似させ、結束した際のパイプの一体性を高めることが可能となる。
(パイプラックの使用方法)
次に、本発明の実施の形態に係るパイプラック1aを用いて、複数本のパイプを集積し、一塊に結束する方法を説明する。パイプはいずれも同じ外径Rを有する100本の単管パイプとする。また説明に用いる図5〜図11中のパイプは、説明の便宜のため、輪郭線のみを示す。まず、図5に示すように、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bと下側支持体10とを一体化して枠体を形成する。そして一体化したパイプラック1aを2個、パイプの長手方向に沿って間隔を空けて並置する。
(最下段の形成)
次に、形成された枠体の内側において、一対のパイプストッパー12a,12bの間に、7本のパイプPa1〜Pa7を、空隙が生じないように密に連ねて並置する。すなわち、7本のパイプPa1〜Pa7は、いずれも下側支持体10の上面に接触するとともに、7本のパイプPa1〜Pa7のうち最左端のパイプPa1は、一方のパイプストッパー12aと、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の傾斜部24a1及び第2の本体板20a2の傾斜部24a1とに、同時に接触する。また7本のパイプPa1〜Pa7のうち最右端のパイプPa7は、他方のパイプストッパー12bと、第2の側方支持体20bの第1の本体板20a1の傾斜部24a1及び第2の本体板20a2の傾斜部24a1とに、最左端のパイプPa1と同様に、同時に接触する。また一対のパイプストッパー12a,12b間で、隣り合うパイプ同士が接触して並置される。
7本のパイプPa1〜Pa7は、一対のパイプストッパー12a,12b、第1の側方支持体20a、第2の側方支持体20b及び下側支持体10に支持されることにより、枠体の内側の底部に安定して保持される。この7本のパイプPa1〜Pa7が、100本のパイプのうちの最下段を構成する。
また7本のパイプPa1〜Pa7の上端はいずれも略同じ高さで並ぶ。第1の側方支持体20aと最左端のパイプPa1との間に、上側に開口した凹部が形成されるとともに、第2の側方支持体20bと最右端のパイプPa7との間に、上側に開口した凹部が形成される。そして並置された7本のパイプPa1〜Pa7の隣接するパイプ間にそれぞれ凹部が形成される。すなわち最下段の7本のパイプPa1〜Pa7のそれぞれの左右に、第1の側方支持体20aと、第2の側方支持体20bと、7本のパイプPa1〜Pa7とによって、計8個の凹部が形成される。
(二段目の形成)
次に、最下段の7本のパイプPa1〜Pa7のそれぞれの左右に形成された8個の凹部に、8本のパイプPb1〜Pb8を1本ずつ載置し、下から二段目の段を形成する。8本のパイプPb1〜Pb8は、一対のパイプストッパー12a,12b間に、略空隙が生じないように、密に連ねて並置される。
8本のパイプPb1〜Pb8は、図5に示すように、両端のパイプを除く7本のパイプPa1〜Pa7は、いずれも下側に位置する最下段の7本のパイプPa1〜Pa7のうちの2本に同時に接触する。また8本のパイプPb1〜Pb8のうち最左端のパイプPb1は、最下段の7本のパイプPa1〜Pa7のうちの最左端のパイプPa1と、一方のパイプストッパー12aの上端部と、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の傾斜部24a1及び第2の本体板20a2の傾斜部24a1とに、同時に接触する。また8本のパイプPb1〜Pb8のうち最右端のパイプPb8は、最下段の7本のパイプPa1〜Pa7のうちの最右端のパイプPa7と、他方のパイプストッパー12bの上端部と、第2の側方支持体20bの第1の本体板20a1の傾斜部24a1及び第2の本体板20a2の傾斜部24a1とに、同時に接触する。また二段目の8本のパイプPb1〜Pb8は、一対のパイプストッパー12a,12b間で、隣り合うパイプ同士が接触する。
また二段目の8本のパイプPb1〜Pb8の上端は、最下段の7本のパイプPa1〜Pa7と同様に、いずれも略同じ高さで並ぶ。第1の側方支持体20aの傾斜部24a1と最左端のパイプPb1との間に、上側に開口した凹部が形成される。また第2の側方支持体20bの傾斜部24a1と最右端のパイプPb8との間に、上側に開口した凹部が形成される。そして、並置された8本のパイプPb1〜Pb8においても、隣接するパイプ間にそれぞれ凹部が形成される。すなわち下から二段目の8本のパイプPb1〜Pb8のそれぞれの左右に、第1の側方支持体20aと、第2の側方支持体20bと、8本のパイプPb1〜Pb8とによって、計9個の凹部が形成される。
8本のパイプPb1〜Pb8は、第1の側方支持体20aの傾斜部24a1、第2の側方支持体20bの傾斜部24b1及び下から二段目の8本のパイプPb1〜Pb8に同時に支持されることにより、枠体の内側に安定して保持される。このとき、最下段の7本のパイプPa1〜Pa7については、下側支持体10の上面より上方に突出する一対のパイプストッパー12a,12bにより、下側支持体10の上面上で、外側に転がって移動することが防止されるため、7本のパイプPa1〜Pa7が連なって並置される状態が緊密に保持される。そして最下段の7本のパイプPa1〜Pa7が緊密に並置されるため、7本のパイプPa1〜Pa7によって形成される8個の凹部を安定して保持でき、8個の凹部に、下から二段目の8本のパイプPb1〜Pb8を、安定して積段することが可能となる。
(三段目の形成)
次に、下から二段目の8本のパイプPb1〜Pb8それぞれの左右に形成された9個の凹部に、9本のパイプPc1〜Pc9を1本ずつ載置し、下から三段目の段を形成する。9本のパイプPc1〜Pc9は、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bの間に、略空隙が生じないように、密に連ねて並置される。
9本のパイプPc1〜Pc9は、図5に示すように、両端のパイプを除く7本のパイプPc2〜Pc8が、いずれも下側に位置する二段目の8本のパイプPb1〜Pb8のうちの2本のパイプに同時に接触する。また9本のパイプPc1〜Pc9のうち最左端のパイプPc1は、二段目の8本のパイプPb1〜Pb8のうちの最左端のパイプPb1と、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の傾斜部24a1及び第2の本体板20a2の傾斜部24a2とに同時に接触する。また9本のパイプPc1〜Pc9のうち最右端のパイプPc9は、二段目の8本のパイプPb1〜Pb8のうちの最右端のパイプPb8と、第2の側方支持体20bの第1の本体板20b1の傾斜部24b1及び第2の本体板20b2の傾斜部24b1とに同時に接触する。また下から三段目の9本のパイプPc1〜Pc9は、一対のパイプストッパー12a,12b間で、隣り合うパイプ同士が接触する。
9本のパイプPc1〜Pc9は、第1の側方支持体20aの傾斜部24a1、第2の側方支持体20bの傾斜部24b1及び下から二段目の8本のパイプPb1〜Pb8に同時に支持されることにより、枠体の内側に安定して保持される。
また下から三段目の9本のパイプPc1〜Pc9の上端は、最下段及び下から二段目のパイプと同様に、いずれも略同じ高さで並ぶ。第1の側方支持体20aの傾斜部24a1と最左端のパイプPa1との間に、上側に開口した凹部が形成される。また第2の側方支持体20bの傾斜部24a1と最右端のパイプPa7との間に、上側に開口した凹部が形成される。そして、並置された9本のパイプPc1〜Pc9においても、隣接するパイプ間にそれぞれ凹部が形成され、下から三段目の9本のパイプPc1〜Pc9の上側には、第1の側方支持体20aと、第2の側方支持体20bと、9本のパイプPc1〜Pc9とによって、計10個の凹部が形成される。
このとき、第1の側方支持体20aには、9本のパイプPc1〜Pc9のうちの最左端のパイプPc1により水平方向外向きに押し出される力が負荷される。ここで、第1の側方支持体20aの下端面と、第1の側方支持体20aが載置される地面とによっては、第1の側方支持体20aの自重と、集積されるパイプからの荷重とに応じて、摩擦力が発生する。発生した摩擦力により、第1の側方支持体20aを水平方向外向きに押し出す力が相殺され、パイプの集積作業中に第1の側方支持体20aと下側支持体10とが分離しない。
また第1の側方支持体20aの切欠き部26a1が、下側支持体10の突起部に向かって押し当てられて接触して摩擦力が発生する。発生した摩擦力により、第1の側方支持体20aを水平方向外向きに押し出す力が相殺され、第1の側方支持体20aと下側支持体10とが分離しないように、第1の側方支持体20aと下側支持体10との一体性が高められる。
また第2の側方支持体20bについても、第1の側方支持体20aと同様に、下側支持体10と分離することなく、一体性が保たれる。そして第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの、下側支持体10との一体性が保たれることにより、三段目の9本のパイプPc1〜Pc9が連なって並置される状態が保持される。そして9本のパイプPc1〜Pc9それぞれの左右に形成される10個の凹部を安定して保持でき、10個の凹部に、下から四段目の10本のパイプPd1〜Pd10を、安定して積段することが可能となる。
(四段目及び五段目の形成)
次に、下から三段目の9本のパイプPc1〜Pc9それぞれの左右に形成された10個の凹部に、10本のパイプPd1〜Pd10を1本ずつ載置して下から四段目の段を形成し、二段目、三段目と同様に、四段目の10本のパイプPd1〜Pd10が連なって並置される状態を保持する。更に、下から四段目の10本のパイプPd1〜Pd10と、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとによって形成された11個の凹部に、11本のパイプPe1〜Pe11を1本ずつ載置して下から五段目を形成し、下から五段目の11本のパイプPe1〜Pe11が連なって並置される状態を保持する。すなわち、最下段から五段目に向かって、並置されるパイプが1本ずつ増えるようにパイプを順次積段する。最下段から五段目の段までの積段作業により、45本のパイプが集積される。
ここで、下から五段目の11本のパイプPe1〜Pe11のうち最左端のパイプPe1は、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の鉛直部22a1と傾斜部24a1とに同時に接触するとともに、第2の本体板20a2の鉛直部22a2と傾斜部24a2とに同時に接触する。また下から五段目の11本のパイプPe1〜Pe11のうち最右端のパイプPe11は、第2の側方支持体20bの第1の本体板20a1の鉛直部22a1と傾斜部24a1とに同時に接触するとともに、第2の本体板20a2の鉛直部22a2と傾斜部24a2とに同時に接触する。
(六段目及び七段目の形成)
次に、下から五段目の11本のパイプPe1〜Pe11の隣り合うパイプ同士の間に形成された10個の凹部に、10本のパイプPf1〜Pf10を1本ずつ載置して下から六段目の段を形成する。次に、下から六段目の10本のパイプPf1〜Pf10と、第1の側方支持体20aの鉛直部22a1と第2の側方支持体20bの鉛直部22a2とによって形成された11個の凹部に、11本のパイプPg1〜Pg11を1本ずつ載置して下から七段目を形成する。
下から七段目の11本のパイプPg1〜Pg11のうち最左端のパイプPg1は、下から五段目の11本のパイプPe1〜Pe11の最左端のパイプPe1と同様に、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1の鉛直部22a1及び傾斜部24a1に同時に接触するとともに、第2の本体板20a2の鉛直部22a2及び傾斜部24a2に同時に接触する。また七段目の11本のパイプPg1〜Pg11のうち最右端のパイプPg11も、第2の側方支持体20bの第1の本体板20a1の鉛直部22a1及び傾斜部24a1に同時に接触するとともに、第2の本体板20a2の鉛直部22a2及び傾斜部24a1に同時に接触する。下から七段目の11本のパイプPg1〜Pg11についても、下から五段目の段と同様に、11本のパイプPg1〜Pg11が連なって並置される状態が保持される。
(八段目〜十一段目の形成)
次に、図6に示すように、下から七段目の11本のパイプPg1〜Pg11の隣り合うパイプ同士の間に形成された10個の凹部に、10本のパイプPh1〜Ph10を1本ずつ載置して下から八段目の段を形成する。次に、下から八段目の10本のパイプPh1〜Ph10の隣り合うパイプ同士の間に形成された9個の凹部に、9本のパイプPi1〜Pi9を1本ずつ載置して九段目の段を形成する。
次に、下から九段目の9本のパイプPi1〜Pi9の隣り合うパイプ同士の間に形成された8個の凹部に、8本のパイプPj1〜Pj8を1本ずつ載置して下から十段目の段を形成し、更に続けて下から十段目の8本のパイプPj1〜Pj8の隣り合うパイプ同士の間に形成された7個の凹部に、7本のパイプPk1〜Pk7を1本ずつ載置して下から十一段目の最上段を形成する。
最下段から最上段までの積段作業により、パイプラック1aの枠体の内側に、100本のパイプPa1〜Pk7がすべて集積される。100本のパイプPa1〜Pk7は、図6に示すように、パイプの端面側を軸方向に沿って正面から見た場合に、縦方向よりも横方向にやや長い扁平な八角形に近似した形状を示す。また100本のパイプPa1〜Pk7は、仮に下から六段目の段に12本のパイプが並置されれば左右の2つの頂点が形成されて六角形の形状を示す。パイプラック1aに集積された100本のパイプPa1〜Pk7は、図6に示すように、左右対称的に集積されるとともに、下から六段目の段を中心に上下対称的に集積される。
(結束作業)
次に、図7に示すように、パイプラック1aの枠体の内側に集積された100本のパイプPa1〜Pk7の外周に、所定の番線(ワイヤー)等の結束具30を巻き付けて一塊に結束する。次に、図8に示すように、第1の側方支持体20aの第1の本体板20a1と第2の本体板20a2のそれぞれの上端部に、パイプ側に向かって力を加えることにより、第1の側方支持体20aの下端部を、鉛直部22a1の上端を中心に、パイプと反対側である外側に回動させ、第1の側方支持体20aを集積されたパイプの外周面から離間させる。すなわち、鉛直部22a1の上端と下から七段目の11本のパイプPg1〜Pg11のうち最左端のパイプPg1との接触部を支点とし、力を加える第1の側方支持体20aの上端部を力点とし、第1の側方支持体20aの下端部を作用点とした、梃の作用が行われる。そして傾斜部をパイプの荷重から解放した上で、第1の側方支持体20aを外側へ移動させて、下側支持体10から取り外す(図11参照)。
また第1の側方支持体20aと同様に、第2の側方支持体20bの第1の本体板20a1と第2の本体板20a2のそれぞれの上端部に、パイプ側に向かって力を加えることにより、第2の側方支持体20bの下端部を、鉛直部22a1を中心に、パイプと反対側である外側に回動させ、第2の側方支持体20bを集積されたパイプの外周面から離間させて、下側支持体10から取り外す。
100本のパイプPa1〜Pk7は、結束具30によって一束に結束されているので、図9に示すように、下側支持体10から、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bが取り外されても、八角形の形状が保持される。尚、取り外された第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bは、他の複数本のパイプを集積する作業に再利用することが可能である。
次に、図10に示すように、結束具30の上端に例えば、図示を省略したクレーンのブームの先端に取り付けられたフック等を有する吊り上げ装置40を引っ掛けて、100本のパイプPa1〜Pk7を結束された状態のまま吊り上げ、所定の位置へ移動させる。尚、図10中に示した結束具30は、フック等を引っ掛けても、結束されたパイプの一体性が損なわれないように、長さ調節可能なものが用いられている。パイプを結束するための結束具30や吊り上げ装置の個数は、パイプの長さや集積本数等に応じて、適宜変更されてよい。
本発明の実施の形態に係るパイプラック1aによれば、複数本のパイプを集積して束ねる時には、第1の側方支持体20aと第2の側方支持体20bとを下側支持体10に取り付けて安定した枠体を構成し、枠体の内側に所定の本数のパイプを集積して計数することが可能である。また、パイプの結束後、又は集積作業に使用しないときには、梃の作用を用いて第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを下側支持体10から容易に取り外し、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを下側支持体10とは別に揃えてまとめることが可能である。よって、パイプの結束作業の回数が多い場合に使用されても、パイプラックの搬入、組立、保管等に係る作業負担を抑制することができる。
また本発明の実施の形態に係るパイプラック1aによれば、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを下側支持体10から取り外した後は、他の複数本のパイプを結束する作業で、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを再利用することが可能となる。そのため、予定される結束作業が複数回の場合、下側支持体10については作業回数に応じた個数を用意する必要はあるが、側方支持体については、パイプラック1aの個数より少ない個数用意すれば足りる。
例えば、結束作業が10回であって、1回の結束作業につき一対のパイプラックを用いるとして計20個のパイプラックが必要である場合、下側支持体10を40個用意するとともに、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを2個ずつ用意すればよい。すなわち結束対象である一塊のパイプに対して、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを下側支持体10に取り付けた状態が、少なくとも1組構成できれば、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを、異なる結束作業毎に、それぞれの下側支持体10に付け替えて転用する。
これにより、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bの個数が少なくても、結束作業の回数が増えても、それぞれの結束作業を滞りなく行うことが可能となる。よって予定される結束作業の回数に対して、用意するパイプラック1a全体の体積や重量を大きく低減することが可能となり、結束作業の回数が多い場合に使用されても、パイプラックの搬入、組立、保管等に係る作業負担を、全体的に大きく抑制することができる。
また本発明の実施の形態に係るパイプラック1aは、簡易な部材及び構造で、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bを構成するとともに、これらを下側支持体10と脱着自在に構成するので、特許文献1に示したような起伏支持枠や連繋鎖といった部材を用いる必要がなく、パイプラックを製造する際の原料コストや加工負担を抑制し製造性がよい。
また本発明の実施の形態に係るパイプラック1aによれば、第1の側方支持体20a及び第2の側方支持体20bに形成された傾斜部を用いることにより、複数本のパイプであっても、八角形の形状に容易に集積して結束することが可能となる。結束されたパイプが八角形の形状であると、従来の矩形のパイプラックを用いる場合のように、結束されたパイプの下角部が直角となって角張らないので、作業現場に載置しても、傍らで移動する作業員の足を踏み込ませることができ、動作がスムーズになる。またパイプを軸方向から見たときの結束されたパイプの縦横の比率が1:1に近づく、すなわち円に近づくため、従来の矩形のパイプラックと比べて、同じ本数のパイプを束ねても、横幅を短くすることが可能となる。よって、結束されたパイプを、例えばトラックの荷台に並置する際、従来よりも多く並置することができる。
また集積された時点でパイプ同士の密着性が高められているため、パイプを一塊に結束する場合の作業性がよいとともに、結束後のパイプの一体性も高い。そのため結束したパイプをクレーンで吊り上げる際の安定性も高まり、吊り作業の安全性も向上する。
また本発明の実施の形態に係るパイプラック1aによれば、(α)パイプストッパーの斜辺と本体11に固着する側の辺との間の角度θ、(β)パイプラック1aの目標集積パイプ本数N、(γ)パイプの外径R、の3点に対応して、一対のパイプストッパー12a,12b間の最小幅w1、傾斜部の高さhL、鉛直部の長さhUが設定されるとともに、パイプラック1aの枠体の内側に、集積されるパイプを軸方向から見たときに八角形の形状を形成するように、パイプを集積する。そのため、八角形の形状が形成された時点で、目標集積パイプ本数Nが達成できるので、集積作業後に、パイプラック1aの枠体の内側に集積されたパイプを1本1本数えて本数を確認する必要がない。
本発明は上記のとおり開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
(第1変形例)
例えば、図11に示した第1変形例に係るパイプラック1b,1cのように、目標集積パイプ本数をN=50本と、100本以外の目標集積パイプ本数にしてパイプラック1b,1cを構成してもよい。50本のパイプは、下から上に向かって各段に並置する本数が、4本、5本、6本、7本、8本、7本、6本、5本、4本の順に計9段で積段されている。N=50本の場合も、N=100本の場合と同様に、最下段のパイプの本数、傾斜部に支持させるパイプの段数、鉛直部間に配置するパイプの段数に応じて、一対のパイプラック1b,1cのそれぞれの一対のパイプストッパー間の最小幅w1、傾斜部の高さhL、鉛直部の長さhUを適宜設定すれば、枠体の内側に50本のパイプを集積できる。
(第2変形例)
また図12(a)に示すように、本発明の第2変形例に係るパイプラック1xは、上面に複数本のパイプPa1〜Pk7が並置される棒状の下側支持体10xと、この下側支持体10xの一端に下側支持体10xと着脱自在に設けられ、下側支持体10xの上側に柱状に突出した第1の側方支持体30aと、第1の側方支持体30aに対向して、下側支持体10xの他端に下側支持体10xと着脱自在に設けられ、下側支持体10xの上側に柱状に突出した第2の側方支持体30bと、を備える。パイプラック1xは、複数本のパイプPa1〜Pk7の長手方向の両端側にそれぞれ配置され、図12(b)に示すように、下側支持体10xと第1の側方支持体30aと第2の側方支持体30bとによって形成された、上側に開口部を有する略U字状の枠体の内側に複数本のパイプPa1〜Pk7を集積する。
下側支持体10xは、図1に示した下側支持体10と、4本の突起部11a1,11a2,11b1,11b2を有さない点以外は、構成が共通する。また第1の側方支持体30aは、1枚の本体板30a1と、本体板30a1の下部に取り付けられ断面が略U字状をなす連結部30a2とを有する。第1の側方支持体30aは、図1に示した第1の本体板20a1及び第2の本体板20a2の2枚からなる支持体に対応して、1枚の本体板30a1でパイプラック1xの枠体の側壁をなす。本体板30a1にも、図1に示した第1の本体板20a1及び第2の本体板20a2と同様に、鉛直部32a1及び傾斜部34a1が形成されている。
また本体板30a1の下端部で傾斜部34a1の下側には、略L字状切欠き部36a1が内側から外側に向かって形成されている。切欠き部36a1は、L字の長辺が下側支持体10xの本体11xの軸方向に沿って水平とされると共に、長辺の一端が本体11xの中央側に開口するように形成されている。また切欠き部36a1は、L字の長辺の他端から延びる短辺が、本体11xの軸方向に直交するように上方に向かって鉛直となる状態で形成されている。すなわち切欠き部36a1の内側は、本体11xの内側から外側へ向かって水平に延びた後、略90°屈曲して上方に延び、切欠き部36a1の底部に至るように形成されている。屈曲部は、滑らかに湾曲して形成されると共に、底部は半円弧状に形成されている。
切欠き部36a1の幅は、開口部から底部に亘って等幅であり、連結棒12a3の円柱の円の直径より僅かに長い長さとされている。また切欠き部36a1の底部の半円弧の曲率は、連結棒12a3の円柱の円の曲率と略同じか僅かに大きく設定されている。第1の側方支持体30aと下側支持体10xとを一体化する際には、連結棒12a3を、切欠き部36a1の内側に差し込み、更に連結棒12a3の円柱の外周面が切欠き部36a1の底面に接触するように、第1の側方支持体30aを下側支持体10x側に僅かに下降させ、連結棒12a3と切欠き部36a1とを緩やかに嵌合させる。
連結棒12a3と切欠き部36a1とが嵌合すると、連結棒12a3が切欠き部36a1の短辺の上部の溝に左右から挟まれ、下側支持体10xの軸方向に沿った水平方向(左右方向)に移動することが抑制される。そのため、下側支持体10xと第1の側方支持体30aとを一体化し、更には枠体の内側に複数本のパイプを集積しても、第1の側方支持体30aが外側にずれて、下側支持体10xから外れることが防止される。
また第1の側方支持体30aの連結部30a2は、連結棒12a3が切欠き部36a1の底面の位置で嵌合したときに、U字の溝の内面が下側支持体10xの本体11xの外面に接触するように、厚みや高さの寸法及び本体板30a1への取り付け位置が設定されている。連結棒12a3と切欠き部36a1とが嵌合すると同時に、連結部30a2のU字の溝の互いに対向する側壁をなす2枚の板状部分は、下側支持体10xの本体11xの前面と後面とに同時に1枚ずつ密着して接触する。またU字の溝の底部をなす板状部分は、本体11xの上面に密着して接触する。これにより、連結部30a2が本体11xと嵌合する。
第2の側方支持体30bは、第1の側方支持体30aと同じ構造であり、下側支持体10xに取り付けられる端部が第1の側方支持体30aと反対である点が異なる。第2の側方支持体30bの本体板30b1は、第1の側方支持体30aの本体板30a1に対応する。第2の側方支持体30bの中央部の鉛直部32b1、下部の傾斜部34b1及び下端部の切欠き部36b1は、第1の側方支持体30aの中央部の鉛直部32a1、下部の傾斜部34a1及び下端部の切欠き部36a1にそれぞれ対応する。また第2の側方支持体30bの連結部30b2は、第1の側方支持体30aの連結部30a2に対応する。
第1の側方支持体30aは、切欠き部36a1による連結棒12a3の固定、及び連結部30a2と本体11xとの接触から生じる摩擦力を用いて、下側支持体10xに安定的に取り付けられる。また第2の側方支持体30bは、切欠き部36b1による連結棒12b3の固定、及び連結部30b2と本体11xとの接触から生じる摩擦力を用いて、下側支持体10xに安定的に取り付けられる。第2変形例に係るパイプラック1xのように、側方支持体を1枚の板状の部材で構成しても、図1に示したパイプラック1aと同様に、安定した枠体を構成し、枠体の内側に複数本のパイプを集積して計数することができる。
また本発明に係るパイプラックは、図1〜図12で示したような本発明の実施の形態及び他の実施の形態のそれぞれの技術的思想を互いに組み合わせて構成してもよい。以上のとおり、本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。