JP2016139091A - 定着装置、画像形成装置及び定着方法 - Google Patents

定着装置、画像形成装置及び定着方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016139091A
JP2016139091A JP2015015382A JP2015015382A JP2016139091A JP 2016139091 A JP2016139091 A JP 2016139091A JP 2015015382 A JP2015015382 A JP 2015015382A JP 2015015382 A JP2015015382 A JP 2015015382A JP 2016139091 A JP2016139091 A JP 2016139091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
temperature
recording medium
toner
fixing unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015015382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6187491B2 (ja
Inventor
千晶 山田
Chiaki Yamada
千晶 山田
順哉 平山
Junya Hirayama
順哉 平山
裕文 中川
Hirofumi Nakagawa
裕文 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2015015382A priority Critical patent/JP6187491B2/ja
Priority to US15/001,601 priority patent/US9429890B2/en
Priority to CN201610059984.XA priority patent/CN105843021B/zh
Publication of JP2016139091A publication Critical patent/JP2016139091A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6187491B2 publication Critical patent/JP6187491B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2064Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat combined with pressure
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2017Structural details of the fixing unit in general, e.g. cooling means, heat shielding means
    • G03G15/2021Plurality of separate fixing and/or cooling areas or units, two step fixing
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • G03G15/2046Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature specially for the influence of heat loss, e.g. due to the contact with the copy material or other roller

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】良好な定着分離性が得られるとともに高い定着強度が得られる、定着装置を提供する。【解決手段】トナーにより記録媒体の表面上に形成されたトナー像を定着させる定着装置であって、トナーは、離型剤を含み、前記離型剤の融点をTa(℃)、トナーの弾性率が1×104Paになる温度をTb(℃)とすると、Ta<Tbであり、定着装置は、記録媒体の搬送方向に沿って、第1定着部及び第2定着部を順に備え、第1定着部は、記録媒体の表面の最高温度T13(℃)が、Ta≦T13<Tbとなるようにトナー像を加圧加熱し、第2定着部は、記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tbとなるようにトナー像を加圧加熱する。【選択図】図1

Description

本発明は定着装置、これを用いた画像形成装置、及び定着方法に関し、特に電子写真方式の画像形成装置におけるトナー像の定着に用いられる定着装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、トナーと呼ばれる粉末状の色材を静電的に記録媒体に付着させ、トナーを加熱し加圧することでトナーを記録媒体に固着させるのが一般的である。記録媒体としては、紙製の記録媒体、OHP等に用いられる樹脂製の記録媒体等が含まれる。
従来よく用いられてきた定着方法として、トナー像が転写された記録媒体を、2個のローラで挟持搬送するローラニップ方式、または無端ベルトとローラとで挟持搬送するベルトニップ方式が挙げられる(特開2012−68665号公報(特許文献1)、特開平9−160405号公報(特許文献2)、特開2006−154608号公報(特許文献3)等)。
特許文献1には、ベルトニップ方式とローラニップ方式の定着器を順に配置し、それぞれにより記録媒体を異なる温度に加熱してトナー像を定着させる方法が記載されている。特許文献2,3には、ベルトニップ方式の定着器において、加熱したベルトにより記録媒体を挟持搬送してトナー像を定着させる方法が記載されている。ローラまたはベルトを圧接させて搬送する際にトナーが加熱されてトナー中に含まれる離型剤が染み出し、トナー像の定着と同時にトナー像とローラまたはベルトとの分離性(以下、単に「定着分離性」ともいう)を実現することができる。
特開2012−68665号公報 特開平9−160405号公報 特開2006−154608号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、トナー中の離型剤が十分に染み出さず、良好な定着分離性が得られない場合があった。また、トナー中に残った離型剤がトナー像の膜強度を低下させて、トナー像の定着強度(以下、単に「定着強度」ともいう)を低下させるという問題があった。
本発明は、良好な定着分離性が得られるとともに高い定着強度が得られる、定着装置、画像形成装置及び定着方法を提供することを目的とする。
本発明は、トナーにより記録媒体の表面上に形成されたトナー像を定着させる定着装置であって、
トナーは、離型剤を含み、前記離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とすると、T<Tであり、
上記定着装置は、記録媒体の搬送方向に沿って、第1定着部及び第2定着部を順に備え、
第1定着部は、記録媒体の表面の最高温度T13(℃)が、T≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱し、
第2定着部は、記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱する。
上記第1定着部において、記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaであることが好ましい。
上記定着装置の一形態において、上記第1定着部は、記録媒体の表面側に配置された第1定着部材と、記録媒体の裏面側に配置された第1加圧部材とを備え、第1定着部材と第1加圧部材とで記録媒体を挟持して搬送し、
上記第2定着部は、記録媒体の表面側に配置された第2定着部材と、記録媒体の裏面側に配置された第2加圧部材とを備え、第2定着部材と第2加圧部材とで記録媒体を挟持して搬送する。
上記一形態において、第1定着部材及び第1加圧部材の温度が調節可能であり、第1定着部材の温度T11(℃)と第1加圧部材の温度T12(℃)とが、T11>T12となるように温度を調節することが好ましい。また、第2定着部材の温度が調節可能であり、第2定着部材の温度T21(℃)が、T21≧Tとなるように温度を調節することが好ましい。
上記一形態において、第1定着部材及び第2定着部材に接触している介在部材を備えていてもよい。例えば、上記介在部材は無端状のベルトであり、第1定着部及び第2定着部において、介在部材が記録媒体の表面に当接して記録媒体が搬送される。または、例えば、第1定着部、第2定着部及び介在部材は、それぞれローラである。
また本発明は、上記定着装置を備える画像形成装置である。
また本発明は、トナーにより記録媒体上に形成されたトナー像を定着させる定着方法であって、
記録媒体が第1定着工程及び第2定着工程の順に搬送されることによってトナー像が定着され、
トナーは、離型剤を含み、前記離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とすると、T<Tであり、
第1定着工程は、記録媒体の表面の最高温度T13(℃)が、T≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱し、
第2定着工程は、前記記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるように前記トナー像を加圧加熱する。
上記第1定着工程において、記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaであることが好ましい。
上記定着方法の一形態では、上記第1定着工程において、記録媒体は、記録媒体の表面側に配置された第1定着部材と、記録媒体の裏面側に配置された第1加圧部材とで挟持されて搬送され、
上記第2定着工程において、記録媒体は、記録媒体の表面側に配置された第2定着部材と、記録媒体の裏面側に配置された第2加圧部材とで挟持されて搬送される。
上記一形態において、第1定着部材及び前記第1加圧部材の温度が調節可能であり、第1定着工程は、第1定着部材の温度T11(℃)と第1加圧部材の温度T12(℃)とが、T11>T12となるように温度を調節することが好ましい。上記一形態において、第2定着部材の温度が調節可能であり、第2定着工程は、第2定着部材の温度T21(℃)が、T21>Tとなるように温度を調節することが好ましい。
本発明の定着装置及び定着方法によると、良好な定着分離性が得られるとともに高い定着強度が得られる。
第1実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。 第2実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。 第3実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。 第4実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。 第5実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。 本実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明に係わる実施の形態(以下単に「本実施形態」と記す)について、さらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態において図面を用いて説明する場合、同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
[定着装置]
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。定着装置1は、記録媒体10の搬送方向Aに沿って、第1定着部20及び第2定着部30を順に備える。第1定着部20は、記録媒体10の表面側に配置された加熱ローラ(第1定着部材)21と、記録媒体10の裏面側に加熱ローラ21と対向するように配置された加圧ローラ(第1加圧部材)22とを備える。第1定着部20において、記録媒体10は、加熱ローラ21と加圧ローラ22とにより挟持搬送される。第2定着部30は、記録媒体10の表面側に配置された加熱ローラ(第2定着部材)31と、記録媒体10の裏面側に加熱ローラ31と対向するように配置された加圧ローラ(第2加圧部材)32とを備える。第2定着部30において、記録媒体10は、加熱ローラ31と加圧ローラ32とにより挟持搬送される。記録媒体10の表面は、トナーによりトナー像が形成されている面とする。
第1定着部20及び第2定着部30において、加熱ローラ21,31と加圧ローラ22,32は不図示の圧力付与装置(ばね)によって圧接されており、所望の圧力となるように調整することができる。
加熱ローラ21,31は、金属よりなる円筒状基体211,311と、その表面に形成されたゴム層212,312とからなる。ゴム層212,312の表面には離型層(不図示)が形成されている。また、円筒状基体211,311の内部には、これを加熱する加熱体(不図示)が設けられている。加熱体は、フィラメントを有するガラス管ヒーターであり、円筒状基体211,311の内部より熱線を照射することで加熱ローラ21,31全体を加熱する。また、加熱ローラ21,31の温度は、表面に設置された温度センサー(不図示)によりモニターされ、温度制御回路にフィードバックされ、加熱ローラ21,31は所定の温度に制御されるようになっている。
加熱ローラのゴム層212,312は耐熱性のゴム材が使用され、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどが使用される。厚みは5〜50mmの範囲が好ましく、硬度はJIS K6253に準じた値で5〜60の範囲が好ましい。離型層には、耐熱性及び離型性に優れるフッ素系のフィルムが好適である。フッ素系のフィルムの材料としては、PTFEなどのフッ素樹脂、あるいはPFAなどの共重合樹脂が好適である。
加圧ローラ22,32は、金属よりなる円筒状基体221,321と、その表面に形成されたゴム層222,322とからなる。また、円筒状基体221,321の内部には、これを加熱する加熱体(不図示)が設けられている。加熱体は、フィラメントを有するガラス管ヒーターであり、円筒状基体221,321の内部より熱線を照射することで加圧ローラ22,32全体を加熱する。また、加圧ローラ22,32の温度は、表面に設置された温度センサー(不図示)によりモニターされ、温度制御回路にフィードバックされ、加圧ローラ22,32は所定の温度に制御されるようになっている。
加圧ローラのゴム層222,322は耐熱性のゴム材が使用され、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどが使用される。厚みは0.5〜30mmの範囲が好ましく、硬度はJIS K6253に準じた値で5〜60の範囲が好ましい。
定着装置1においては、不図示の温度センサーの測定結果に基づき、第1定着部20を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部30を通過する記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)を取得することができる。記録媒体の表面の温度推移は、第1定着部20と第2定着部30の温度制御、搬送速度等によって異なるものの、通常、各定着部内において、昇温、最高温度到達、降温の温度推移を示す。記録媒体の表面温度を検出する温度センサーとして、例えば、赤外線センサーなどの非接触の温度センサーを用いてもよいし、記録媒体10上に高速応答性熱電対を貼付し、これにより記録媒体10の表面温度を測定してもよい。赤外線センサーを用いる場合は、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を検出するように設けてもよいし、複数の位置での温度を検出し、各位置での検出温度に基づいて最高温度を算出するようにしてもよいし、予め最高温度との温度差がわかっている位置での温度を検出し、かかる位置での検出結果に基づいて最高温度を算出するようにしてもよい。
記録媒体の表面にトナー像を形成するために用いられるトナーは、少なくとも、結着樹脂と離型剤を含むものであり、離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とした場合にT<Tの関係を満たすトナーであれば特に限定されない。なお、市販のトナーであれば、通常離型剤を含むものであり、またT<Tの関係を満たす。
第1定着部20では、記録媒体10の表面の最高温度T13が、T≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱する。すなわち、表面の最高温度T13(℃)が、T≦T13<Tとなるように、加熱ローラ21と加圧ローラ22の温度制御を行なう。例えば、加熱ローラ21の温度をT以上でかつT+40℃未満の温度範囲において適宜制御することにより実現することができる。なお、本実施形態は、第1定着部材である加熱ローラ21と、第1加圧部材である加圧ローラ22の両方が加熱体を備え温度制御が可能な態様であるが、第1定着部材と第1加圧部材の一方のみが加熱体を備え温度制御が可能な態様であってもよい。
第2定着部30では、記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱する。すなわち、表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるように、加熱ローラ31と加圧ローラ32の温度制御を行なう。例えば、加熱ローラ31の温度をT+40℃以上の温度範囲において適宜制御することにより実現することができる。なお、本実施形態は、第2定着部材である加熱ローラ31と、第2加圧部材である加圧ローラ32の両方が加熱体を備え温度制御が可能な態様であるが、第2定着部材と第2加圧部材の一方のみが加熱体を備え温度制御が可能な態様であってもよい。
定着装置1においては、第1定着部20及び第2定着部30で上記のように温度制御することにより、良好な定着分離性と、高い定着強度を得ることができる。これは、第1定着部20において、T≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱することにより、トナーに含まれる離型剤を十分に染み出させることができ、その後第2定着部30において、T23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱することによりトナー像を十分に定着させることができることによるものと解される。第1定着部20において染み出した離型剤は、記録媒体10の表面と加熱ローラ21の表面に付着するので、第1定着部20における記録媒体10と加熱ローラ21の分離性を向上させ、第2定着部30における記録媒体10と加熱ローラ31の分離性を向上させる。
本実施形態においては、Tをトナーの弾性率が1×10Paになる温度として、これを第1定着部20及び第2定着部30での温度制御の基準に採用している。この理由について以下説明する。
複数のトナーについて、下記の測定条件により粘弾性測定を行ない、温度と貯蔵弾性率(G’)の関係を求めた。また、第1定着部20の温度制御を行ない、第1定着部20を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)が異なるいくつかの試料について、トナー表面のSEM観察を行なった。SEM観察によりトナーが溶融してトナー像の表面が均一になり隙間がなくなるのは、トナーの弾性率が1×10Paになる温度T(℃)以上の温度の場合であることがわかった。したがって、温度T未満の温度ではトナー像の表面に隙間がありトナー中の離型剤がトナー像の表面に染み出しやすいものと仮定して、第1定着部20において十分に離型剤を染み出させるべく、離型剤の融点以上で離型剤が液状でありかつトナー層に隙間がある温度範囲であるT≦T13<Tとなるように温度制御を行なったところ、良好な定着分離性が得られた。第1定着部20で記録媒体10の表面に染み出した離型剤は、第1定着部20で加熱ローラ21に付着するとともに、記録媒体10により第2定着部30に搬送され、第2定着部30で加熱ローラ31に付着するので、第1定着部20及び第2定着部30での定着分離性に寄与する。したがって、定着装置1全体における定着分離性の向上に寄与する。第2定着部30では、T23≧Tとなるように温度制御することにより、高い定着強度が得られた。
(トナーの粘弾性測定)
トナーの粘弾性特性は、粘弾性測定装置(レオメーター)「RDA−II型」(レオメトリックス社製)を用いて測定を行なった。
測定治具:直径10mmのパラレルプレートを使用した。
測定試料:トナーを加熱・溶融後に直径約10mm,高さ1.5〜2.0mmの円柱状試料に成型して使用した。
測定歪の設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行なった。
試料の伸長補正:自動測定モードにて調整した。
測定周波数:6.28ラジアン/秒、
測定開始温度:30℃、
測定終了温度:200℃、
昇温条件:2℃/min、とした。
なお、第1定着部20においては、加熱ローラ21の温度T11と加圧ローラ22の温度T12とが、T11>T12となるように温度を調節することが好ましい。このように温度を調節することにより、トナーに含まれる離型剤がより染み出しやすくなり、定着分離性をより向上させることができる。
第1定着部20において、記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaであることが好ましい。圧力が300kPa以上であることにより、離型剤を十分に染み出させることができる。第2定着部30においても、記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaであることが好ましい。
<第2実施形態>
図2は、第2実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。定着装置2は、図1に示す第1実施形態の定着装置1とは、加熱ローラ21と加熱ローラ31とに接触している介在部材である、無端状のベルト41を備える点が異なる。
ベルト41は、加熱ローラ21と加熱ローラ31とに架け渡され、加熱ローラ21と加熱ローラ31の回転に従動する。ベルト41は、第1定着部20において加熱ローラ21と加圧ローラ22とにより記録媒体10が挟持搬送される際に加熱ローラ21と記録媒体10の間に介在し記録媒体10に当接される。その後、記録媒体10に当接された状態で第2定着部30に進み、第2定着部30において、加熱ローラ31と加圧ローラ32とにより記録媒体10が挟持搬送される際に加熱ローラ31と記録媒体10の間に介在する。
本実施形態の定着装置2においては、第1定着部20でT≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱することにより、トナーに含まれる離型剤を十分に染み出させることができ、その後第2定着部30でT23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱することによりトナー像を十分に定着させることができ、良好な定着分離性と、高い定着強度を得ることができる。第1定着部20において染み出した離型剤は、記録媒体10の表面とベルト41に付着するので、第2定着部30における記録媒体10とベルト41の分離性を向上させる。第1定着部20及び第2定着部30において、共通のベルト41が記録媒体10の表面に接触した状態で搬送されることにより、第1定着部20で染み出した離型剤が、第2定着部30において記録媒体10とベルト41とが分離される際に、分離性向上に寄与することになり、良好な定着分離性が得られる。
定着装置2においては、不図示の温度センサーにより、第1定着部20を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部30を通過する記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)を取得することができる。記録媒体の表面の温度推移は、第1定着部20と第2定着部30の温度制御、搬送速度等によって異なるものの、通常、各定着部内において、昇温、最高温度到達、降温の温度推移を示す。記録媒体の表面温度を検出する温度センサーとして、例えば、赤外線センサーなどの非接触の温度センサーを用いてもよいし、記録媒体10上に高速応答性熱電対を貼付し、これにより記録媒体10の表面温度を測定してもよい。赤外線センサーを用いる場合は、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を検出するように設けてもよいし、複数の位置での温度を検出し、各位置での検出温度に基づいて最高温度を算出するようにしてもよいし、予め最高温度との温度差がわかっている位置での温度を検出し、かかる位置での検出結果に基づいて最高温度を算出するようにしてもよい。
<第3実施形態>
図3は、第3実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。定着装置3は、図1に示す第1実施形態の定着装置1とは、加熱ローラ(第1定着部材)21と加熱ローラ(第2定着部材)31とに接触している介在部材である、ワックス搬送ローラ42を備える点が異なる。ワックス搬送ローラ42は、加熱ローラ21と加熱ローラ31とに適度に圧接するように構成されており、不図示の圧力付与機構及び圧力調整機構が設けられている。
ワックス搬送ローラ42は、加熱ローラ21と加熱ローラ31との間に、両者に接触するように設けられ、加熱ローラ21または加熱ローラ31の回転にしたがって従動回転する構成であってもよいし、駆動により回転する構成であってもよい。加熱ローラ21,31に接触する最表面は、特に限定されないが、例えばゴムなどの弾性材料で形成されているものでもよい。
本実施形態の定着装置3においては、第1定着部20でT≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱することにより、トナーに含まれる離型剤を十分に染み出させることができ、その後第2定着部30でT23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱することによりトナー像を十分に定着させることができ、良好な定着分離性と、高い定着強度を得ることができる。第1定着部20において染み出した離型剤は、記録媒体10の表面と加熱ローラ21に付着し、第1定着部20において記録媒体10と加熱ローラ21の分離性の向上に寄与する。ワックス搬送ローラ42は、加熱ローラ21に付着した離型剤を搬送して、加熱ローラ31に付着させる。したがって、第2定着部30の加熱ローラ31には、記録媒体10により搬送された離型剤と、ワックス搬送ローラ42によって搬送された離型剤とが付着し、記録媒体10と加熱ローラ31の分離性向上に寄与することになり、第2定着部30において良好な定着分離性が得られる。
定着装置3においては、不図示の温度センサーにより、第1定着部20を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部30を通過する記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)を取得することができる。記録媒体の表面の温度推移は、第1定着部20と第2定着部30の温度制御、搬送速度等によって異なるものの、通常、各定着部内において、昇温、最高温度到達、降温の温度推移を示す。記録媒体の表面温度を検出する温度センサーとして、例えば、赤外線センサーなどの非接触の温度センサーを用いてもよいし、記録媒体10上に高速応答性熱電対を貼付し、これにより記録媒体10の表面温度を測定してもよい。赤外線センサーを用いる場合は、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を検出するように設けてもよいし、複数の位置での温度を検出し、各位置での検出温度に基づいて最高温度を算出するようにしてもよいし、予め最高温度との温度差がわかっている位置での温度を検出し、かかる位置での検出結果に基づいて最高温度を算出するようにしてもよい。
<第4実施形態>
図4は、第4実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。定着装置4は、記録媒体10の搬送方向Aに沿って、第1定着部50及び第2定着部60を順に備える。第1定着部50において、加熱ローラ(第1定着部材)51と加圧ローラ(第1加圧部材)71とが対向して配置されている。第2定着部60において、加熱ローラ(第2定着部材)61と加圧ローラ(第2加圧部材)71とが対向して配置されている。また、加熱ローラ51と加熱ローラ71とに架け渡されている無端状のベルト43を備える。
定着装置4は、図1に示す第1実施形態の定着装置1とは、第1加圧部材と第2加圧部材として一つの加圧ローラ71が兼用されている点と、第1定着部材51と第2定着部材61とに接触している介在部材である、無端状のベルト43を備える点とが異なる。
ベルト43は、加熱ローラ51と加熱ローラ61の回転に従動する。ベルト43は、第1定着部50において加熱ローラ51と加圧ローラ71により記録媒体10が挟持搬送される際に加熱ローラ51と記録媒体10の間に介在し記録媒体10に当接される。その後、ベルト43と加圧ローラ71とが記録媒体10に当接した状態で第2定着部60に進み、第2定着部60において、加熱ローラ61と加圧ローラ71により記録媒体10が挟持搬送される。このとき、ベルト43は、加熱ローラ61と記録媒体10の間に介在され記録媒体10に当接される。
加熱ローラ51,61は、金属よりなる円筒状基体511,611と、その表面に形成されたゴム層512,612とからなる。ゴム層512,612の表面には離型層が形成されている。また、円筒状基体511,611の内部には、これを加熱する加熱体(不図示)が設けられている。加熱体は、フィラメントを有するガラス管ヒーターであり、円筒状基体511,611の内部より熱線を照射することで加熱ローラ51,61全体を加熱する。また、加熱ローラ51,61の温度は、表面に設置された温度センサー(不図示)によりモニターされ、温度制御回路にフィードバックされ、加熱ローラ51,61は所定の温度に制御されるようになっている。
加熱ローラのゴム層512,612は耐熱性のゴム材が使用され、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどが使用される。厚みは5〜50mmの範囲が好ましく、硬度はJIS K6253に準じた値で5〜60の範囲が好ましい。離型層には、耐熱性及び離型性に優れるフッ素系のフィルムが好適である。フッ素系のフィルムの材料としては、PTFEなどのフッ素樹脂、あるいはPFAなどの共重合樹脂が好適である。
加圧ローラ71は、金属よりなる円筒状基体711と、その表面に形成されたゴム層712とからなる。また、円筒状基体711の内部には、これを加熱する加熱体(不図示)が設けられている。加熱体は、フィラメントを有するガラス管ヒーターであり、円筒状基体711の内部より熱線を照射することで加圧ローラ71全体を加熱する。また、加圧ローラ71の温度は、表面に設置された温度センサー(不図示)によりモニターされ、温度制御回路にフィードバックされ、加圧ローラ71は所定の温度に制御されるようになっている。
加圧ローラのゴム層712は耐熱性のゴム材が使用され、シリコーンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどが使用される。厚みは0.5〜30mmの範囲が好ましく、硬度はJIS K6253に準じた値で5〜60の範囲が好ましい。
本実施形態の定着装置4においては、第1定着部50でT≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱することにより、トナーに含まれる離型剤を十分に染み出させることができ、その後第2定着部60でT23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱することによりトナー像を十分に定着させることができ、良好な定着分離性と、高い定着強度を得ることができる。第1定着部50において染み出した離型剤は、記録媒体10の表面とベルト43に付着するので、第2定着部60における記録媒体10とベルト43の分離性を向上させる。第1定着部50及び第2定着部60において、共通のベルト43が記録媒体10の表面に接触した状態で搬送されることにより、第1定着部50で染み出した離型剤が、第2定着部60において記録媒体10とベルト43とが分離される際に、分離性向上に寄与することにより、良好な定着分離性が得られる。
定着装置4においては、不図示の温度センサーにより、第1定着部50を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部60を通過する記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)を取得することができる。記録媒体の表面の温度推移は、第1定着部50と第2定着部60の温度制御、搬送速度等によって異なるものの、通常、各定着部内において、昇温、最高温度到達、降温の温度推移を示す。記録媒体の表面温度を検出する温度センサーとして、例えば、赤外線センサーなどの非接触の温度センサーを用いてもよいし、記録媒体10上に高速応答性熱電対を貼付し、これにより記録媒体10の表面温度を測定してもよい。赤外線センサーを用いる場合は、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を検出するように設けてもよいし、複数の位置での温度を検出し、各位置での検出温度に基づいて最高温度を算出するようにしてもよいし、予め最高温度との温度差がわかっている位置での温度を検出し、かかる位置での検出結果に基づいて最高温度を算出するようにしてもよい。
<第5実施形態>
図5は、第5実施形態の定着装置の概略構成を示す断面図である。定着装置5は、記録媒体10の搬送方向Aに沿って、第1定着部50及び第2定着部60を順に備える。第4実施形態の定着装置4とは、第1定着部材として加熱ローラ51の代わりに加熱パッド52が配置され、第2定着部材として加熱ローラ61の代わりに加熱パッド62が配置されている点と、無端状のベルト43が駆動により回動可能に構成されている点とが異なる。ベルト43は、加熱パッド52,62に接触した状態を維持して回動する。
加熱パッド52,62は、それぞれベルト43と接触する表面近傍に、金属よりなる加熱部521,621を備える。加熱部521,621の内部には、これを加熱する加熱体(不図示)が設けられている。加熱体は、フィラメントを有するガラス管ヒーターであり、加熱部521,621の内部より熱線を照射することで加熱部521,621全体を加熱する。加熱パッド52,62は、弾性体により構成されており、加圧ローラ71と組み合わされて記録媒体10を加圧加熱することができる。
第1定着部50において、記録媒体10は、ベルト43と加圧ローラ71とによって挟持搬送される。このとき、加熱パッド52によって記録媒体10は加圧加熱される。第2定着部60において、記録媒体10は、ベルト43と加圧ローラ71とによって挟持搬送される。このとき、加熱パッド62によって記録媒体10は加圧加熱される。
本実施形態の定着装置5においては、第1定着部50でT≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱することにより、トナーに含まれる離型剤を十分に染み出させることができ、その後第2定着部60でT23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱することによりトナー像を十分に定着させることができ、良好な定着分離性と、高い定着強度を得ることができる。第1定着部50において染み出した離型剤は、記録媒体10の表面とベルト43に付着するので、第2定着部60における記録媒体10とベルト43の分離性を向上させる。第1定着部50及び第2定着部60において、共通のベルト43が記録媒体10の表面に接触した状態で搬送されることにより、第1定着部50で染み出した離型剤が、第2定着部60において記録媒体10とベルト43とが分離される際に、分離性向上に寄与することにより、良好な定着分離性が得られる。
定着装置5においては、不図示の温度センサーにより、第1定着部50を通過する記録媒体10の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部60を通過する記録媒体10の表面の最高温度T23(℃)を取得することができる。記録媒体の表面の温度推移は、第1定着部50と第2定着部60の温度制御、搬送速度等によって異なるものの、通常、各定着部内において、昇温、最高温度到達、降温の温度推移を示す。記録媒体の表面温度を検出する温度センサーとして、例えば、赤外線センサーなどの非接触の温度センサーを用いてもよいし、記録媒体10上に高速応答性熱電対を貼付し、これにより記録媒体10の表面温度を測定してもよい。赤外線センサーを用いる場合は、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を検出するように設けてもよいし、複数の位置での温度を検出し、各位置での検出温度に基づいて最高温度を算出するようにしてもよいし、予め最高温度との温度差がわかっている位置での温度を検出し、かかる位置での検出結果に基づいて最高温度を算出するようにしてもよい。
[定着方法]
本実施形態の定着方法は、トナーにより記録媒体上に形成されたトナー像を定着させる定着方法である。トナー像を形成するトナーとしては、離型剤を含み、前記離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とすると、T<Tであるものを用いる。本実施形態の定着方法においては、記録媒体が第1定着工程及び第2定着工程の順に搬送されることによってトナー像が記録媒体の表面上に定着される。第1定着工程は、記録媒体の表面の最高温度T13(℃)が、T≦T13<Tとなるようにトナー像を加圧加熱し、第2定着工程は、記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるようにトナー像を加圧加熱する。本実施形態の定着方法を実現する定着装置として、上記で説明した定着装置を用いることができる。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置は、上記で説明したいずれかの定着装置を備えたものであり、このような定着装置を備える限り、その他の構成は従来公知の構成を特に制限することなく採用することができる。以下、図6に基づき本実施形態の画像形成装置について説明する。図6は、本実施形態の画像形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。
図6の画像形成装置100は、公知の電子写真方式により記録材上に画像を形成するものであり、画像プロセス部110と、転写部120と、給紙部130と、定着部140および制御部145を備え、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)から受け付けたプリントジョブに基づき、カラーおよびモノクロのプリントを選択的に実行する。
画像プロセス部110は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像部110Y〜110Kを有する。作像部110Yは、静電潜像担体である電子写真感光体111と、その周囲に配された帯電器112、露光部113、現像部114、一次転写ローラ115、クリーナ116などを備えている。帯電器112は、矢印Bで示す方向に回転する電子写真感光体111の周面を帯電させる。
露光部113は、帯電された電子写真感光体111をレーザ光により露光走査して、電子写真感光体111上に静電潜像を形成する。現像部114は、内部にトナーを含む現像剤が収容され、電子写真感光体111上の静電潜像をトナーで現像し、これにより電子写真感光体111上にY色のトナー像が作像される。すなわち、これにより静電潜像担体にトナー像が担持される。
1次転写ローラ115は、電子写真感光体111上のY色トナー像を中間転写体121上に静電作用により転写させる。すなわち、上記のトナー像が中間転写体に1次転写される。クリーナ116は、転写後に電子写真感光体111Y上に残った残留トナーを清掃する。本実施形態の電子写真感光体によると、上記で説明したように優れたクリーニング性が得られるが、これはクリーナ116による電子写真感光体111上に残った残留トナーの除去性が優れていることを意味する。
他の作像部110M〜110Kについても作像部110Yと同様の構成であり、同図では符号が省略されている。また、転写部120は、駆動ローラ124と従動ローラ125に張架されて矢印方向に循環走行される中間転写体121を備える。当該中間転写体121は、シームレスベルト形状(すなわち無端ベルト状の形状)であって、設計で決まる所望の周長になるように樹脂材料を射出成型もしくは遠心成型した円筒状のものである。
なお、カラーのプリント(カラーモード)を実行する場合には、作像部110M〜110K毎に、対応する色のトナーが電子写真感光体111上に作像され、その作像されたトナー像それぞれが中間転写体121上に転写される。このY〜Kの各色の作像動作は、各色のトナー像が、走行する中間転写体21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
給紙部130は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットから記録材であるシートSを1枚ずつ繰り出して、繰り出されたシートSを搬送路131上を二次転写ローラ122に向けて搬送する。2次転写ローラ122に搬送されたシートSが二次転写ローラ122と中間転写体121の間を通過する際に、中間転写体121の上に形成された各色トナー像が2次転写ローラ122の静電作用によりシートSに一括して2次転写される。すなわち、該トナー像が、該中間転写体から記録材へ2次転写されることになる。
各色トナー像が2次転写された後のシートSは、定着部140まで搬送され、定着部140において加熱、加圧されることにより、その表面のトナーがシートSの表面に融着して定着された後、排紙ローラ132によって排紙トレイ133上に排出される。このようにして、記録材上にトナー像に対応した画像が形成される。定着部140においては、上述した定着装置が用いられる。
なお、上記では、カラーモードを実行する場合の動作を説明したが、モノクロ、例えばブラック色のプリント(モノクロモード)を実行する場合には、ブラック色用の作像部110Kだけが駆動され、上記と同様の動作によりブラック色に対する帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経て記録シートSにブラック色の画像形成(プリント)が実行される。
なお、中間転写体121上の、記録シートSに転写しきれなかったトナーやトナーパターンは、中間転写体121を挟んで従動ローラ125に対向する位置に配されたクリーニングブレード126により除去される。また、作像ユニット110Kの、中間転写体121走行方向の下流側には、例えば、反射型の光電センサーからなる濃度検出センサー123が配されており、中間転写体121に形成されたトナーパターンの濃度を検出する。
制御部145は、ネットワークを介して外部の端末装置から受け付けたプリントジョブのデータに基づき各部を制御して円滑なプリント動作を実行させる。なお、画像形成装置100の装置本体の正面側かつ上側であり、ユーザの操作し易い位置に、操作パネル135が配置されている。操作パネル135は、ユーザからの各種指示を受け付けるボタンやタッチパネル式の液晶表示部などを備えており、当該受け付けた指示内容を制御部145に伝えることができる。
このような画像形成装置としては、たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置を挙げることができる。
[トナー]
上記定着装置及び画像形成装置で記録媒体の表面にトナー像を形成するために用いられるトナーは、少なくとも、結着樹脂と離型剤を含むものであり、離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とした場合にT<Tの関係を満たすトナーであれば特に限定されない。
(結着樹脂)
トナーを構成する結着樹脂としては、特に限定されず、公知の種々のものを用いることができ、例えば、スチレン樹脂やアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂またはエポキシ樹脂などが挙げられる。結着樹脂としては、トナー粒径および形状制御性と帯電性との観点から、スチレン−アクリル系樹脂を含有していることが好ましい。また、スチレン−アクリル系樹脂を得るための重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、などの(メタ)アクリレートエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸などのカルボン酸系単量体などを使用することができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、30〜50℃であることが好ましく、より好ましくは35〜48℃である。結着樹脂のガラス転移点が上記範囲にあることにより、低温定着性および耐熱保管性が両立して得られる。
結着樹脂のガラス転移点は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。測定手順としては、試料(結着樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
(離型剤)
トナーに含有される離型剤は、公知のワックスを用いることができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。これらの中でも、光沢ムラを抑制する観点から、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックスが特に好ましい。
トナーに含有される離型剤の融点は、70〜100℃であることが好ましく、より好ましくは70〜85℃である。離型剤の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)および熱分析装置コントローラ「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定される。
具体的には、試料(離型剤)4.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、加熱−冷却−加熱の温度制御を行い、その2度目の加熱におけるデータをもとに解析される。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用する。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量部である。ワックスの含有割合が上記範囲内であることにより、良好な定着分離性が得られる。
(着色剤)
トナーに着色剤が含有される場合において、着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜8質量部である。
(荷電制御剤)
トナーに荷電制御剤が含有される場合においては、公知の正帯電制御剤または負帯電制御剤を用いることができる。具体的には、正帯電制御剤としては、例えば「ニグロシンベースEX」(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、「第4級アンモニウム塩P−51」(オリエント化学工業社製)、「コピーチャージPX VP435」(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、および「PLZ1001」(四国化成工業社製)等のイミダゾール化合物などが挙げられる。
また、負帯電制御剤としては、例えば、「ボントロンS−22」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンS−34」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−81」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−84」(オリエント化学工業社製)、「スピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等の金属錯体、チオインジゴ系顔料、「コピーチャージNX VP434」(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩、「ボントロンE−89」(オリエント化学工業社製)等のカリックスアレーン化合物、「LR147」(日本カーリット社製)等のホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボン等のフッ素化合物などが挙げられる。負帯電制御剤として用いられる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有するものが挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
(外添剤)
トナーは、そのままで用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、外添剤が添加されてなるものであってもよい。外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤を構成する無機微粒子は、平均一次粒子径が30nm以下のものであることが好ましい。無機微粒子よりなる外添剤が上記の粒径を有するものであることにより、トナーが画像形成時において外添剤の遊離が生じにくいものとなる。外添剤の添加量は、トナー中0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%とされる。
(現像剤)
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄等の強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛等の合金、フェライトおよびマグネタイト等の強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散したバインダー型キャリアなどを用いることもできる。コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
トナーが二成分現像剤として使用される場合には、トナーおよびキャリアに、さらに、必要に応じて、荷電制御剤、密着性向上剤、プライマー処理剤、抵抗制御剤などを添加して二成分現像剤を形成することもできる。
(トナー粒子の平均粒径)
トナー粒子は、平均粒径が、例えば体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、試料(トナー粒子)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を調製し、このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
(トナー粒子の平均円形度)
トナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
にしたがって円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
(トナーの貯蔵弾性率)
トナーは、温度170℃における貯蔵弾性率(G’170)が1×10〜1×10(Pa)であることが、光沢度安定性や耐高温オフセット性の観点で好ましい。G’170の値が1×10Paより小さいと、温度変化に対する光沢度の変化が鋭敏で、画像の先端と後端で光沢度変化が生じやすく安定した画像が得られず、高温オフセットが起こりやすい。また、G’170の値は、1×10Paより大きいとトナーが十分に溶けきれず光沢度不足となる。トナーの貯蔵弾性率(G’170)は、上記した粘弾性測定の結果に基づく値とする。
(トナーの軟化点)
トナーの軟化点(Tsp)は、90〜110℃であることが好ましい。軟化点(Tsp)が上記範囲であることにより着色剤に負担をかけずに画像形成が行なえるので、より広く安定した色再現性を発現させることが期待される。トナーの軟化点(Tsp)は、たとえば、以下の方法を単独で、または、組み合わせることにより制御することができる。すなわち、
(1)結着樹脂を形成すべき重合性単量体の種類や組成比を調整する、
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により結着樹脂の分子量を調整する、
(3)離型剤等の種類や添加量を調整する。
トナーの軟化点(Tsp)は、「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×10Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶融開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とする方法により測定されるものである。
[トナーの製造方法]
トナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、乳化分散法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、画像の高画質化を達成するために小粒径化されたトナーを得る必要があることを考慮して、製造コスト及び製造安定性の観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤よりなる微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径及び粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナーを製造する方法である。
トナーを製造する方法において、乳化重合凝集法を用いる場合に形成させる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1結着樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
また、トナーはコア−シェル構造として構成されていてもよく、このコア−シェル構造のトナーの製造方法は、コア用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを会合、凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層を形成するためのシェル用結着樹脂微粒子を添加して、コア粒子表面にこのシェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
トナーがコア−シェル構造である場合において、その製造方法について以下具体的に説明する。
(1)着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2−1)主ワックスおよび内添剤などを含有したコア用の結着樹脂よりなるコア用結着樹脂微粒子を得て、この分散液を調製するコア用結着樹脂微粒子重合工程、
(2−2)シェル用の結着樹脂よりなるシェル用結着樹脂微粒子を得て、この分散液を調製するシェル用結着樹脂微粒子重合工程、
(3)コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する凝集・融着工程、
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コア粒子を得る第1の熟成工程、
(5)コア粒子の分散液中に、シェル層を形成すべきシェル用結着樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面に当該シェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア−シェル構造の粒子を形成するシェル層形成工程、
(6)コア−シェル構造の粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コア−シェル構造のトナー粒子を得る第2の熟成工程、
(7)冷却されたトナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を固液分離し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去するろ過、洗浄工程、
(8)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程から構成され、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程を加えてもよい。
(1)着色剤微粒子分散液調製工程
この工程においては、水系媒体中に着色剤を添加して分散機によって分散処理することにより、着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する処理が行われる。具体的には、着色剤の分散処理は界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態の水系媒体中で行われる。分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、超音波分散機、機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザ等の加圧分散機、サンドグラインダ、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミルなどの媒体型分散機が挙げられる。この着色剤微粒子分散液における着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で40〜200nmであることが好ましい。この着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150(HONEYWELL社製)」を用い、下記測定条件下により測定されるものである。
サンプル屈折率:1.59、
サンプル比重:1.05(球状粒子換算)、
溶媒屈折率:1.33、
溶媒粘度:0.797(30℃)、1.002(20℃)
0点調整:測定セルにイオン交換水を投入し調整した。
(2−1)コア用結着樹脂微粒子重合工程
この工程においては、重合処理を行って主ワックスおよび内添剤などを含有したコア用の結着樹脂よりなるコア用結着樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。この工程における重合処理の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、必要に応じて主ワックスおよび内添剤などが含有された重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性の重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この様な工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的な乳化(液滴の形成)を行う処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサ、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
(界面活性剤)
ここで、上記着色剤微粒子分散液やコア用結着樹脂微粒子の重合時に使用する水系媒体に用いられる界面活性剤について説明する。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。以下、コア用結着樹脂微粒子重合工程で使用される重合開始剤および連鎖移動剤について説明する。
(重合開始剤)
水溶性の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを挙げることができる。また、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
(連鎖移動剤)
得られるコア用の結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、および、α−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(2−2)シェル用結着樹脂微粒子重合工程
この工程においては、上記(2−1)のコア用結着樹脂微粒子重合工程と同様に重合処理を行って、シェル用の結着樹脂よりなるシェル用結着樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。
(3)凝集・融着工程
この工程においては、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する処理が行われる。この工程における凝集、融着の方法としては、(1)の着色剤微粒子分散液調製工程により得られた着色剤微粒子、及び、(2−1)のコア用結着樹脂微粒子重合工程により得られたコア用結着樹脂微粒子を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、コア用結着樹脂微粒子や着色剤微粒子とともにワックス微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
ここで、「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。塩析/融着法は、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩などからなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、コア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子の融解ピーク温度以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に凝集・融着を行うものである。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集・融着工程(3)を塩析/融着によって行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくともコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度がコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であると、コア用結着樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては結着樹脂のガラス転移点以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤をコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、コア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確ではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。以上の塩析/融着法により、コア用結着樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。また、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、生成される樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
(4)第1の熟成工程
この工程においては、会合粒子を熱エネルギーにより熟成させる処理が行われる。そして、凝集・融着工程(3)の加熱温度や特に第1の熟成工程(4)の加熱温度と時間を制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成されたコア粒子表面が平滑だが均一的な形状を有するものになる様に制御することができる。具体的には、凝集・融着工程(3)で加熱温度を低めにしてコア用結着樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル層形成工程
この工程においては、コア粒子の分散液中にシェル用結着樹脂微粒子の分散液を添加してコア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を被覆させてコア−シェル構造の粒子を形成するシェル化処理が行われる。この工程は、低温定着性と耐熱保存性の両方の性能を付与するための好ましい製造条件である。また、カラー画像を形成する場合に、二次色について高い色再現性を得るために、このシェル層形成を行うことが好ましい。
具体的には、コア粒子の分散液を凝集・融着工程(3)及び第1の熟成工程(4)における加熱温度を維持した状態でシェル用結着樹脂微粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用結着樹脂微粒子をコア粒子表面に被覆させてコア−シェル構造の粒子を形成させる。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
この工程においては、シェル層形成工程(5)によりコア−シェル構造の粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用結着樹脂微粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、コア粒子の表面を被覆するシェル用結着樹脂微粒子による層の厚さを100〜300nmとする。このようにして、コア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を固着させてシェル層を形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃ったコア−シェル構造のトナー粒子が形成される。
(7)ろ過、洗浄工程
この工程においては、先ず、トナー粒子の分散液を冷却する処理が行われる。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。次いで、所定温度まで冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離し、その後、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にあるトナー粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理が行われる。ここで、ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧ろ過法、フィルタープレス等を使用して行うろ過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程においては、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥する処理が行われる。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この工程においては、乾燥工程(8)で乾燥処理されたトナー粒子に対して外添剤を添加する処理が行われる。外添剤の添加方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を用いて添加することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
[実施例1〜14、比較例1〜4]
画像形成装置(商品名:bizhub PRESS C1060、コニカミノルタ社製)の定着ユニットを取り外した改造機で、ソリッドパターン(紙上付着量は8.0g/m)をコート紙(商品名:OKトップコート+、王子製紙社製)上に形成させた。なお、画像形成装置において、コート紙の搬送速度は200mm/secとした。トナーとして、トナーA(上記のトナー製造方法により作製したスチレン−アクリル系トナー)またはトナーB(上記のトナー製造方法により作製したスチレン−アクリル系トナー)を用いた。各実施例で用いたトナーの種類は表1に示した通りである。トナーAに含まれている離型剤は、ポリエステルワックスであり、その融点Tは70℃であった。また、かかるトナーAの弾性率が1×10Paになる温度をTは110℃であった。トナーBに含まれている離型剤は、ポリエステルワックスであり、その融点Tは80℃であった。また、かかるトナーBの弾性率が1×10Paになる温度をTは124℃であった。なお、Tbは上記した粘弾性測定により求めた。
その後、図1〜図5のいずれかに示す定着装置、または一段定着装置(比較例1)に、トナー像を形成したコート紙を200mm/secの搬送速度で通過させた。1段定着装置では、各実施例および各比較例で用いた定着装置の種類は表1に示した通りである。第1定着部材の温度T11、第1加圧部材の温度T12、第2定着部材の温度T21、第1定着部20において記録媒体にかかる圧力は、表1に示す温度及び圧力となるように制御した。また、第2加圧部材の温度は180℃となるように制御した。
図1に示す定着装置1は、第1定着部におけるニップ幅を20mm、第2定着部におけるニップ幅を20mm、第1定着部と第2定着部におけるニップ間距離を120mmとして用いた。図2に示す定着装置2は、第1定着部におけるニップ幅を20mm、第2定着部におけるニップ幅を20mm、第1定着部と第2定着部におけるニップ間距離を180mmとして用いた。図3に示す定着装置3は、第1定着部におけるニップ幅を22mm、第2定着部におけるニップ幅を22mm、第1定着部と第2定着部におけるニップ間距離を180mmとして用いた。図4に示す定着装置4は、ベルト43の周長を420mm、加圧ローラ71の外径を120mmとして用いた。図5に示す定着装置5は、ベルト43の周長を380mm、加圧ローラ71の外径を120mmとして用いた。一段定着装置(比較例1)として、図1に示す定着装置1の第2定着部30の構成のみからなるものを用いた。
[評価]
(温度測定)
図1に示す定着装置1を用いた実施例1〜10及び比較例2〜4について、赤外線温度センサーにより第1定着部の通過時のコート紙の表面の最高温度T13(℃)と、第2定着部の通過時のコート紙の表面の最高温度T23(℃)を取得した。これらは、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を赤外線センサーにより検出することにより取得した。また、実施例11〜14及び比較例1については、赤外線温度センサーにより第2定着部を通過したコート紙の表面の最高温度T23(℃)を取得した。これは、予め最高温度に到達する位置を特定し、その位置での温度を赤外線センサーにより検出することにより取得した。その結果を表1に示す。なお、図2〜図5に示す定着装置を用いた場合の第1定着部を通過したコート紙の表面の温度は、第1定着部におけるT11及びT12が同じ場合、図1に示す定着装置1を用いた場合の第1定着部を通過したコート紙の表面の温度とほぼ同じ温度となり、その違いは±2℃の範囲に入ることを予め確認した。したがって、実施例1〜10の温度T13に基づいて、実施例11〜14について第1定着部を通過したコート紙の表面の温度T13を予測値として表1に記載した。
(定着分離性)
実施例1〜14及び比較例1〜4において、コート紙が定着装置から排紙されるときの様子を観察し、以下の3段階で評価を行なった。表1に評価結果を示す。
A:画像面が第2定着部材(または第2定着部材に架け渡されたベルト)に巻き付かず、分離時にジャムも生じない、
B:画像面が第2定着部材(または第2定着部材に架け渡されたベルト)にわずかに巻き付くものの、分離時にジャムは発生しない、
C:画像面が第2定着部材(または第2定着部材に架け渡されたベルト)に巻き付き、分離時にジャムが発生する。
(定着強度)
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られたコート紙上の画像について、その画像部を消しゴム(砂消し「LION26111」、ライオン事務機社製)を押圧荷重1kgfで2回擦り、画像濃度の残存率を反射濃度計(製品名:X−Rite model 404、X−Rite社製)により測定し、以下の3段階で評価を行なった。表1に評価結果を示す。
A:画像濃度残存率が90%以上、
B:画像濃度残存率が80%以上90%未満、
C:画像濃度残存率が80%未満。
Figure 2016139091

<考察>
実施例1〜14においては、第1定着部において「T≦T13<T」の関係を満たし、第2定着部において「T23≧T」の関係を満たし、良好な定着分離性、良好な定着強度が得有れている。一方、第1定着部を有しない比較例1、及び第1定着部において「T≦T13<T」の関係満たさない比較例1〜3は定着分離性が劣る結果となっている。
今回開示された実施の形態及び実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1,2,3,4,5 定着装置、10 記録媒体、20,50 第1定着部、21 加熱ローラ(第1定着部材)、22 加圧ローラ(第1加圧部材)、30,60 第2定着部、31 加熱ローラ(第2定着部材)、32 加圧ローラ(第2加圧部材)、41,43 ベルト、42 ワックス搬送ローラ、52 加熱パッド(第1定着部材)、62 加熱パッド(第2定着部材)、100 画像形成装置、110 画像プロセス部、111 電子写真感光体、112 帯電器、113 露光部、114 現像部、115 一次転写ローラ、116 クリーナ、120 転写部、122 二次転写ローラ、123 濃度検出センサー、124 駆動ローラ、125 従動ローラ、126 クリーニングブレード、130 給紙部、131 搬送路、132 排紙ローラ、133 排紙トレイ、135 操作パネル、140 定着部、145 制御部。

Claims (14)

  1. トナーにより記録媒体の表面上に形成されたトナー像を定着させる定着装置であって、
    前記トナーは、離型剤を含み、前記離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とすると、T<Tであり、
    前記定着装置は、前記記録媒体の搬送方向に沿って、第1定着部及び第2定着部を順に備え、
    前記第1定着部は、前記記録媒体の表面の最高温度T(℃)が、T≦T<Tとなるように前記トナー像を加圧加熱し、
    前記第2定着部は、前記記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるように前記トナー像を加圧加熱する、定着装置。
  2. 前記第1定着部において、前記記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaである、請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第1定着部は、前記記録媒体の表面側に配置された第1定着部材と、前記記録媒体の裏面側に配置された第1加圧部材とを備え、前記第1定着部材と前記第1加圧部材とで前記記録媒体を挟持して搬送し、
    前記第2定着部は、前記記録媒体の表面側に配置された第2定着部材と、前記記録媒体の裏面側に配置された第2加圧部材とを備え、前記第2定着部材と前記第2加圧部材とで前記記録媒体を挟持して搬送する、請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記第1定着部材及び前記第1加圧部材の温度が調節可能であり、前記第1定着部材の温度T11(℃)と前記第1加圧部材の温度T12(℃)とが、T11>T12となるように温度を調節する、請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第2定着部材の温度が調節可能であり、前記第2定着部材の温度T21(℃)が、T21≧Tとなるように温度を調節する、請求項3または4に記載の定着装置。
  6. 前記第1定着部材及び前記第2定着部材に接触している介在部材を備える、請求項3〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記介在部材は無端状のベルトであり、
    前記第1定着部及び前記第2定着部において、前記介在部材が前記記録媒体の前記表面に当接して前記記録媒体が搬送される、請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記第1定着部、前記第2定着部及び前記介在部材は、それぞれローラである、請求項6に記載の定着装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置。
  10. トナーにより記録媒体上に形成されたトナー像を定着させる定着方法であって、
    前記記録媒体が第1定着工程及び第2定着工程の順に搬送されることによって前記トナー像が定着され、
    前記トナーは、離型剤を含み、前記離型剤の融点をT(℃)、トナーの弾性率が1×10Paになる温度をT(℃)とすると、T<Tであり、
    前記第1定着工程は、前記記録媒体の表面の最高温度T13(℃)が、T≦T13<Tとなるように前記トナー像を加圧加熱し、
    前記第2定着工程は、前記記録媒体の表面の最高温度T23(℃)が、T23≧Tとなるように前記トナー像を加圧加熱する、定着方法。
  11. 前記第1定着工程において、前記記録媒体にかかる圧力は300kPa〜1000kPaである、請求項10に記載の定着方法。
  12. 前記第1定着工程において、前記記録媒体は、前記記録媒体の表面側に配置された第1定着部材と、前記記録媒体の裏面側に配置された第1加圧部材とで挟持されて搬送され、
    前記第2定着工程において、前記記録媒体は、前記記録媒体の表面側に配置された第2定着部材と、前記記録媒体の裏面側に配置された第2加圧部材とで挟持されて搬送される、請求項11に記載の定着方法。
  13. 前記第1定着部材及び前記第1加圧部材の温度が調節可能であり、
    前記第1定着工程は、前記第1定着部材の温度T11(℃)と前記第1加圧部材の温度T12(℃)とが、T11>T12となるように温度を調節する、請求項12に記載の定着方法。
  14. 前記第2定着部材の温度が調節可能であり、
    前記第2定着工程は、前記第2定着部材の温度T21(℃)が、T21>Tとなるように温度を調節する、請求項12または13に記載の定着方法。
JP2015015382A 2015-01-29 2015-01-29 定着装置、画像形成装置及び定着方法 Active JP6187491B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015015382A JP6187491B2 (ja) 2015-01-29 2015-01-29 定着装置、画像形成装置及び定着方法
US15/001,601 US9429890B2 (en) 2015-01-29 2016-01-20 Fixing device, image forming apparatus and fixing method
CN201610059984.XA CN105843021B (zh) 2015-01-29 2016-01-28 定影装置、图像形成装置和定影方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015015382A JP6187491B2 (ja) 2015-01-29 2015-01-29 定着装置、画像形成装置及び定着方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016139091A true JP2016139091A (ja) 2016-08-04
JP6187491B2 JP6187491B2 (ja) 2017-08-30

Family

ID=56554214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015015382A Active JP6187491B2 (ja) 2015-01-29 2015-01-29 定着装置、画像形成装置及び定着方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9429890B2 (ja)
JP (1) JP6187491B2 (ja)
CN (1) CN105843021B (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11338287A (ja) * 1998-05-21 1999-12-10 Fuji Xerox Co Ltd 両面画像定着装置
JP2000284524A (ja) * 1999-01-28 2000-10-13 Ricoh Co Ltd 電子写真用トナー、該トナーを含有した現像剤およびこれらを用いたカラー画像形成方法とローラ定着装置
US20040057741A1 (en) * 2002-09-24 2004-03-25 Fuji Xerox Co., Ltd. Fixing device, fixing method and image forming apparatus
JP2009003419A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Sharp Corp 画像形成装置および画像形成方法
JP2012068665A (ja) * 2004-04-26 2012-04-05 Canon Inc 定着方法及び定着装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09160405A (ja) 1995-12-13 1997-06-20 Minolta Co Ltd 定着装置
JP2003167459A (ja) * 2001-11-30 2003-06-13 Konica Corp 定着装置および画像形成装置
JP2005338807A (ja) 2004-04-26 2005-12-08 Canon Inc 定着方法及び定着装置
JP2005352389A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Canon Inc 定着装置
JP2006154608A (ja) 2004-12-01 2006-06-15 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置
JP2006250979A (ja) 2005-03-08 2006-09-21 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP5095678B2 (ja) * 2008-12-18 2012-12-12 株式会社リコー 画像形成装置
JP5321341B2 (ja) * 2009-08-07 2013-10-23 コニカミノルタ株式会社 定着装置及び画像形成装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11338287A (ja) * 1998-05-21 1999-12-10 Fuji Xerox Co Ltd 両面画像定着装置
JP2000284524A (ja) * 1999-01-28 2000-10-13 Ricoh Co Ltd 電子写真用トナー、該トナーを含有した現像剤およびこれらを用いたカラー画像形成方法とローラ定着装置
US20040057741A1 (en) * 2002-09-24 2004-03-25 Fuji Xerox Co., Ltd. Fixing device, fixing method and image forming apparatus
JP2012068665A (ja) * 2004-04-26 2012-04-05 Canon Inc 定着方法及び定着装置
JP2009003419A (ja) * 2007-05-22 2009-01-08 Sharp Corp 画像形成装置および画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6187491B2 (ja) 2017-08-30
CN105843021A (zh) 2016-08-10
CN105843021B (zh) 2019-05-10
US20160223969A1 (en) 2016-08-04
US9429890B2 (en) 2016-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5306217B2 (ja) トナー
JP6613948B2 (ja) 定着装置、画像形成装置、および、画像形成装置の制御方法
JP6331640B2 (ja) 画像形成方法
JP2009151060A (ja) 静電荷像現像用トナーとその製造方法、及び画像形成装置
JP2006330706A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナー製造方法、画像形成方法、画像形成装置
JP6089746B2 (ja) クリアトナー、クリアトナーの製造方法およびクリアトナー層形成方法
JP2011170229A (ja) 静電荷像現像用トナー、及び、トナーの製造方法
JP2008064837A (ja) 静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法
JP2007133308A (ja) 電子写真用トナー、電子写真用トナーの製造方法、画像形成方法
JP2013109288A (ja) 両面画像形成方法およびトナー
JP4765650B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP2010210862A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法
US10558159B2 (en) Image forming device and method for controlling the same
JP6187491B2 (ja) 定着装置、画像形成装置及び定着方法
JP2012198445A (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JP2007293161A (ja) トナーによる画像形成方法及び画像形成装置
JP6201794B2 (ja) 画像形成方法
JP6318951B2 (ja) 画像形成方法
JP2014115505A (ja) 付箋紙作製方法
JP5696583B2 (ja) 画像形成方法
JP6497159B2 (ja) 画像形成装置およびその制御方法
JP2011099954A (ja) 静電潜像現像用トナーと画像形成方法
JP2009069351A (ja) 画像形成方法
JP4193555B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法及び画像形成方法
JP2009271342A (ja) 静電荷像現像用トナーとその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6187491

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150