JP2016139039A - 静電潜像現像用正帯電トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静電潜像現像用正帯電トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子が、カーボンブラック、及び[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸を含む。トナー粒子が、帯電制御剤を含有しないことが好ましい。
【選択図】なし
Description
本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、カーボンブラック、及び[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸(以下、「化合物(I)」と記載する場合がある)を含む。
本実施形態のトナーを用いて形成される画像は、所定の明度(L*値)を有することが好ましい。具体的には、本実施形態のトナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合に、トナーを記録媒体上に定着することにより得られる画像の明度(L*値)が、18.0以上28.0以下であることが好ましく、18.0以上23.0以下であることがより好ましい。明度(L*値)がこのような範囲内である場合、黒色トナーとしての適切な色味を維持することができる。明度(L*値)は、CIE1976(L*、a*、b*)色空間における明度(L*値)である。明度(L*値)は、JIS Z8729に従って測定することができる。明度(L*値)の測定には、例えば、マクベス反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いることができる。また、トナーの記録媒体上への定着は、例えば、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5200DN」)を用いて行うことができる。
本実施形態のトナーとキャリアとを1分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C1)は、10.0μC/g以上であることが好ましい。帯電量(C1)が10.0μC/g以上である場合、帯電立ち上がり特性が良好なトナーを得ることができる。
帯電量(C30)は、以下のようにして測定することができる。上述の帯電量(C1)の測定において、容器から少量の内容物をサンプルとして採取した後、引き続き、容器の内容物を、粉体混合機(例えば、愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて、通常環境(例えば、温度20℃、湿度65%RHの環境)で29分間(合計30分間)攪拌(混合)する。その後、容器から少量の内容物をサンプルとして採取する。採取したサンプルの帯電量を、通常環境(例えば、温度20℃、湿度65%RHの環境)で、Q/mメーター(例えば、トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定する。測定された帯電量を、トナーとキャリアとを30分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C30)とする。
本実施形態のトナーの帯電量比(C1/C30)は、0.700以上1.400以下であることが好ましく、0.700以上1.300以下であることがより好ましい。帯電量比(C1/C30)とは、本実施形態のトナーとキャリアとを30分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C30)に対する、本実施形態のトナーとキャリアとを1分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C1)の比率である。トナーの帯電量比(C1/C30)は、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否か(帯電立ち上がり特性)の指標となる。換言すると、トナーの帯電レベルが所定の値に到達して飽和するまでの飽和到達時間が短いか否かの指標となる。トナーの帯電量比(C1/C30)が0.700以上1.400以下である場合、チャージアップ又はキャリア汚染による帯電量の変動が抑制され、安定的な正帯電性を有するトナーを得ることができる。
[帯電量比]=[帯電量(C1)]/[帯電量(C30)] (式1)
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、表面に外添剤を有していてもよい。つまり、必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。以下、外添剤により処理される前のトナー粒子を、「トナー母粒子」と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
次に、本実施形態のトナーの一態様であるカプセルトナーについて説明する。本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアとシェル層とを含むことが好ましい。シェル層は、トナーコアを被覆するように位置している。以下、本実施形態のトナーがカプセルトナーである場合のトナーコア、及びシェル層について説明する。また、カプセルトナーの製造方法について説明する。
トナーコアは、少なくとも、結着樹脂、上述のカーボンブラック、及び上述の化合物(I)を含むことが好ましい。カーボンブラック、及び化合物(I)は、所定の含有量でトナーコアに含有されることが更に好ましい。トナーコアは必要に応じて、例えば、離型剤、及び/又は磁性粉を含んでいてもよい。以下、結着樹脂、カーボンブラックの好適な含有量、及び化合物(I)の好適な含有量について説明する。また、必要に応じてトナーコアに含有されてもよい、離型剤、及び磁性粉について説明する。
結着樹脂は、トナーの調製に用いられる結着樹脂である限り、特に限定されない。結着樹脂としては、トナーの定着性を向上させるという観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。トナーコア中の着色剤の分散性、トナー粒子の帯電性、及び記録媒体(例えば、紙)に対するトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂が特に好ましい。以下、ポリエステル樹脂について説明する。
示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて結着樹脂の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線(詳しくは、結着樹脂の比熱の変化点)から結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。例えば、結着樹脂(測定試料)10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分という条件で、結着樹脂の吸熱曲線を測定することができる。得られた結着樹脂の吸熱曲線に基づいて、結着樹脂のガラス転移点(Tg)を求めることができる。
高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)を測定することができる。例えば、結着樹脂(測定試料)を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定することができる。高化式フローテスターの測定により、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブが得られる。得られたS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取ることができる。具体的には、得られたS字カーブに関して、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とする。この場合、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度が、結着樹脂(測定試料)の軟化点(Tm)に相当する。
カーボンブラックの含有量は、トナーコアの質量に対して、4.0質量%以上11.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以上8.0質量%以下であることが特に好ましい。カーボンブラックの含有量が4.0質量%以上であると、トナーを用いて形成される画像の明度(L*値)が特に良好な値となる。カーボンブラックの含有量が11.0質量%以下であると、トナーの導電性が過度に高くなることを抑制することができ、正帯電安定性に優れるトナーを得ることができる。また、カーボンブラックの含有量が11.0質量%超であると、トナー粒子中でカーボンブラック同士の凝集が発生し易くなる。そのため、このようなトナーを用いて形成される画像においては、明度(L*値)が劣る場合がある。
化合物(I)([[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸)の含有量は、トナーコアの質量に対して、0.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。化合物(I)の含有量が0.5質量%未満であると、トナーを用いて形成される画像において所望の明度(L*値)を獲得することが困難となる。化合物(I)の含有量が4.0質量%超であると、トナーの帯電量が過度に高くなるチャージアップが引き起こされやすくなり、正帯電安定性に優れるトナーを得ることが難しくなる。また、コストメリットの観点から、化合物(I)の含有量としては、トナーコアの質量に対して0.5質量%以上4.0質量%以下の範囲内で、より少ない含有量が選択されることが好ましい。
離型剤は、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーが有するトナーコアは、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を含有してもよい。磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、又はマグネタイトのような鉄;コバルト、又はニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;及び二酸化クロムが挙げられる。
シェル層は、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されていてもよい。
熱硬化性樹脂としては、正帯電性を有する熱硬化性樹脂が好ましい。上述のトナーコアに含まれる正帯電性を有する化合物(I)に加えて、シェル層に正帯電性を有する熱硬化性樹脂を含有させることにより、正帯電性の帯電制御剤を用いない場合であっても、トナーに良好で安定的な正帯電性を付与することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びエチレンビニルアルコール共重合体が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体が好ましく、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体がより好ましく、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体が特に好ましい。
<2−2−3.シェル層の物性>
シェル層は、破壊箇所(機械的強度の弱い部位)を有していてもよい。破壊箇所は、シェル層に局所的に欠陥等を生じさせることにより形成することができる。シェル層に破壊箇所を設けることで、シェル層が容易に破壊されるようになる。その結果、低い温度でトナーを記録媒体に定着させることが可能になる。破壊箇所の数は任意である。
以下、本実施形態のトナーがカプセルトナーである場合の好適な製造方法について説明する。詳しくは、トナーコアの製造方法と、シェル層の形成方法とについて説明する。
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、カーボンブラック、化合物(I)、及び任意成分(例えば、離型剤、及び/又は磁性粉)を良好に分散させることができる方法が好ましい。トナーコアの製造方法としては、例えば、凝集法又は粉砕法が好ましく、粉砕法がより好ましい。凝集法は、粉砕法よりも、球形度の高いトナーコアを製造し易い。凝集法は、均一な形状及び粒子径を有するトナーコアを製造し易い。粉砕法は、凝集法よりも簡単にトナーコアを製造できる。シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む場合、シェル層形成工程において、シェル層の材料が加熱されて硬化する際に、トナーコアが、軟化しながら表面張力によって収縮する傾向がある。そして、トナーコアが収縮すると、トナーコアの球形度が高くなる。このため、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含むシェル層を有するトナー粒子を製造する場合には、粉砕法を用いてトナーコアを製造しても、シェル層形成工程においてトナーコアの球形度を高めることで、球形度の高いトナー粒子を製造することができると考えられる。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g及び1質量%濃度のノニオン系界面活性剤(例えば、日本触媒株式会社製「K−85」、ポリビニルピロリドン)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、液中にトナーコアを均一に分散させる。その結果、分散液が得られる。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液(測定試料)を得る。ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて、測定試料中のトナーコアのゼータ電位を測定する。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)100質量部と、トナーコア7質量部とを、ターブラー(登録商標)ミキサーを用いて30分間混合する。混合後、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて、トナーコアの摩擦帯電量を測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアの帯電しやすさ(又はトナーコアが正負何れの極性に帯電しやすいか)の指標となる。
以下に示す方法によって、静電潜像現像用正帯電トナーであるトナー(A−1)を調製した。
低粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):38℃、軟化点(Tm):65℃)65質量部、中粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):53℃、軟化点(Tm):84℃)8質量部、高粘度ポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg):71℃、軟化点(Tm):120℃)12質量部、離形剤(カルナウバワックス、株式会社加藤洋行製「カルナウバ1号」)5質量部、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330」)8.0質量部(トナーコアの質量に対して8.0質量%)、及び[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸(森村ケミカル株式会社製「アルカリブルー」、化合物(I)と記載する場合がある)2.0質量部(トナーコアの質量に対して2.0質量%)を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、2400rpmの速度で混合した。得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料投入速度5kg/時、軸回転数160rpm、及び設定温度範囲80℃以上130℃以下の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却した。冷却された溶融混錬物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。次いで、粗粉砕品をジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)で微粉砕した。得られた微粉砕品をエルボージェット(日鉄工業株式会社製「EJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、トナーコアが得られた。
温度計、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水875mL、及びアニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、花王株式会社製「ラテムルWX」)75mLを加えた。続いて、ウォーターバスを用いてフラスコの内温を80℃に昇温した。その後、スチレン17mLとアクリル酸ブチル3mLとの混合液を、反応容器に5時間滴下した。また、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶解させた溶液を、上述の混合液の滴下と同時に且つ別々に、反応容器に5時間滴下した。フラスコの内温を80℃で更に2時間保持して、共重合反応を完結させた。これにより、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(疎水性熱可塑性樹脂)の微粒子懸濁液(A)を得た。
温度計、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを加え、ウォーターバスを用いてフラスコの内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pHを調整した後、メチロールメラミン水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSM−607」、固形分濃度80質量%)0.35mL、及びスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(疎水性熱可塑性樹脂)の微粒子懸濁液(A)15mLを、シェル層の原料としてフラスコ内に加えた。メチロールメラミン水溶液と微粒子懸濁液(A)とを水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(B)を得た。水溶液(B)に、上述のようにして得られたトナーコア300gを添加した。フラスコの内容物を、200rpmの速度で1時間攪拌した。次いで、フラスコ内にイオン交換水300mLを加えた。その後、フラスコの内容物を100rpmの速度で攪拌しながら、フラスコの内温を1℃/分の速度で70℃まで上げた。昇温後、フラスコの内容物を、70℃、100rpmの速度で2時間攪拌し続けた。その後、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコの内容物のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内容物を、常温まで冷却して、トナー母粒子(シェル層で被覆されたトナーコア)を含む分散液(C)を得た。
得られたトナー母粒子を含む分散液(C)をブフナー漏斗で濾過し、トナー母粒子のウエットケーキを得た。次いで、トナー母粒子のウエットケーキをイオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による洗浄操作を、同様の方法で5回繰り返した。
洗浄したトナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させることにより、トナー母粒子を含むスラリーを得た。得られたスラリーを、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給した。乾燥条件を、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分に設定した。これにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。
乾燥させたトナー母粒子100質量部、疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」)1質量部、及び導電性酸化チタン微粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)2質量部を、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合した。これにより、外添剤をトナー母粒子の表面に付着させた。続いて、外添剤を付着させたトナー母粒子(トナー粒子)を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別し、トナー(A−1)を得た。
得られたトナー(A−1)について、以下のような方法でトナーの正帯電性を評価した。
<2−1.帯電量(C1)>
得られたトナー(A−1)10質量部と、フェライトキャリア100質量部とを、容量20mLのポリ容器に封入した。容器の内容物を、通常環境(温度20℃、湿度65%RHの環境)で、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて1分間攪拌(混合)した。その後、容器から少量の内容物をサンプルとして採取した。採取したサンプルの帯電量を、通常環境(温度20℃、湿度65%RHの環境)で、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定したところ、19.2μC/gであった。測定された値を、トナーとキャリアとを1分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C1)とした。測定された帯電量(C1)に基づき、下記基準に従って、トナーとキャリアとを1分間混合した時の正帯電性(初期正帯電性)を評価した。
良好(○):帯電量(C1)が10.0μC/g以上である。
不良(×):帯電量(C1)が10.0μC/g未満である。
上述の帯電量(C1)の測定において、容器から少量の内容物をサンプルとして採取した後、引き続き、容器の内容物を、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて、通常環境(温度20℃、湿度65%RHの環境)で29分間(合計30分間)攪拌(混合)した。その後、容器から少量の内容物をサンプルとして採取した。採取したサンプルの帯電量を、通常環境(温度20℃、湿度65%RHの環境)で、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS」)を用いて測定したところ、20.5μC/gであった。測定された値を、トナーとキャリアとを30分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C30)とした。
上述のようにして測定された帯電量(C1)と帯電量(C30)とから、下記式(1)に基づき帯電量比を算出した。
良好(◎):帯電量比(C1/C30)が0.700以上1.300以下である。
普通(○):帯電量比(C1/C30)が1.300超であり1.400以下である。
不良(×):帯電量比(C1/C30)が0.700未満、又は1.400超である。
上述のようにして得られたトナー(A−1)10質量部と、フェライトキャリア100質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を得た。得られた2成分現像剤を、評価機(カラープリンター、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5200DN」)にセットした。記録媒体(記録紙)上のトナーの載り量が0.4mg/cm2となるようにバイアスを調整した。評価機の線速を200mm/秒、定着温度を150℃に設定して、ソリッド画像を印刷した。得られたソリッド画像の明度(L*値)を、マクベス反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「SpectroEye」)を用いて測定した。測定された明度(L*値)は、20.9であった。測定された明度(L*値)に基づき、下記基準に従って、明度を評価した。
良好(◎):明度(L*値)が18.0以上23.0以下である。
普通(○):明度(L*値)が23.0超であり28.0以下である。
不良(×):明度(L*値)が18.0未満、又は28.0超である。
以下に示す方法によって、静電潜像現像用正帯電トナーであるトナー(A−2)〜(A−17)及び(B−1)〜(B−3)を調製した。なお、これらのトナーの調製において、カーボンブラック、化合物(I)、及び/又は帯電制御剤の添加量(含有量)を、トナー(A−1)の調製における各添加量から変更した場合には、トナー(A−1)の調製における添加量との差(変化量)に相当する量だけポリエステル樹脂(低粘度、中粘度、及び高粘度ポリエステル樹脂)の添加量を増減させた。ポリエステル樹脂の添加量を増減させる場合には、低粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率、中粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率、及び高粘度ポリエステル樹脂の総ポリエステル樹脂に対する比率が、トナー(A−1)の調製における各比率と同じになるように留意した。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から10.0質量部(トナーコアの質量に対して10.0質量%)に変更した以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−2)を調製した。得られたトナー(A−2)に関し、帯電量(C1)は15.2μC/g、帯電量(C30)は17.4μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.874、明度(L*値)は19.8であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から4.0質量部(トナーコアの質量に対して4.0質量%)に変更した以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−3)を調製した。得られたトナー(A−3)に関し、帯電量(C1)は22.1μC/g、帯電量(C30)は23.2μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.953、明度(L*値)は22.4であった。
化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更した以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−4)を調製した。得られたトナー(A−4)に関し、帯電量(C1)は19.6μC/g、帯電量(C30)は22.2μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.883、明度(L*値)は18.7であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から10.0質量部(トナーコアの質量に対して10.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−5)を調製した。得られたトナー(A−5)に関し、帯電量(C1)は16.7μC/g、帯電量(C30)は20.7μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.807、明度(L*値)は18.0であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から4.0質量部(トナーコアの質量に対して4.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−6)を調製した。得られたトナー(A−6)に関し、帯電量(C1)は26.6μC/g、帯電量(C30)は24.3μC/g、帯電量比(C1/C30)は1.095、明度(L*値)は21.2であった。
化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−7)を調製した。得られたトナー(A−7)に関し、帯電量(C1)は16.8μC/g、帯電量(C30)は19.7μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.853、明度(L*値)は22.3であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から10.0質量部(トナーコアの質量に対して10.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−8)を調製した。得られたトナー(A−8)に関し、帯電量(C1)は11.7μC/g、帯電量(C30)は13.9μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.842、明度(L*値)は21.0であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から4.0質量部(トナーコアの質量に対して4.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−9)を調製した。得られたトナー(A−9)に関し、帯電量(C1)は20.8μC/g、帯電量(C30)は22.2μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.937、明度(L*値)は22.9であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から11.0質量部(トナーコアの質量に対して11.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から0.5質量部(トナーコアの質量に対して0.5質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−10)を調製した。得られたトナー(A−10)に関し、帯電量(C1)は9.2μC/g、帯電量(C30)は12.3μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.748、明度(L*値)は21.0であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−11)を調製した。得られたトナー(A−11)に関し、帯電量(C1)は22.1μC/g、帯電量(C30)は23.4μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.944、明度(L*値)は26.2であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から11.0質量部(トナーコアの質量に対して11.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−12)を調製した。得られたトナー(A−12)に関し、帯電量(C1)は11.9μC/g、帯電量(C30)は16.6μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.717、明度(L*値)は18.9であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−13)を調製した。得られたトナー(A−13)に関し、帯電量(C1)は22.5μC/g、帯電量(C30)は26.2μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.859、明度(L*値)は25.8であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から11.0質量部(トナーコアの質量に対して11.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−14)を調製した。得られたトナー(A−14)に関し、帯電量(C1)は12.2μC/g、帯電量(C30)は17.8μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.685、明度(L*値)は18.2であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から3.0質量部(トナーコアの質量に対して3.0質量%)に変更したこと、及び化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から4.0質量部(トナーコアの質量に対して4.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−15)を調製した。得られたトナー(A−15)に関し、帯電量(C1)は22.7μC/g、帯電量(C30)は28.8μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.788、明度(L*値)は25.7であった。
化合物(I)の添加量(含有量)を、2.0質量部から4.0質量部(トナーコアの質量に対して4.0質量%)に変更したこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−16)を調製した。得られたトナー(A−16)に関し、帯電量(C1)は23.7μC/g、帯電量(C30)は19.5μC/g、帯電量比(C1/C30)は1.215、明度(L*値)は18.4であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から10.0質量部(トナーコアの質量に対して10.0質量%)に変更したこと、及び帯電制御剤としての4級アンモニウム塩1.0質量部(トナーコアの質量に対して1.0質量%)を含有させたこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(A−17)を調製した。得られたトナー(A−17)に関し、帯電量(C1)は24.1μC/g、帯電量(C30)は18.6μC/g、帯電量比(C1/C30)は1.296、明度(L*値)は19.0であった。
トナーコアに化合物(I)を含有させなかったこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(B−1)を調製した。得られたトナー(B−1)に関し、帯電量(C1)は10.8μC/g、帯電量(C30)は11.7μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.923、明度(L*値)は25.8であった。
カーボンブラックの添加量(含有量)を、8.0質量部から11.0質量部(トナーコアの質量に対して11.0質量%)に変更したこと、及びトナーコアに化合物(I)を含有させなかったこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(B−2)を調製した。得られたトナー(B−2)に関し、帯電量(C1)は7.9μC/g、帯電量(C30)は8.7μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.908、明度(L*値)は24.0であった。
化合物(I)2.0質量部に代えて、「FASTOGEN Blue」(DIC株式会社製)2.0質量部(トナーコアの質量に対して2.0質量%)を用いたこと以外は、トナー(A−1)と同様の方法で、トナー(B−3)を調製した。得られたトナー(B−3)に関し、帯電量(C1)は12.0μC/g、帯電量(C30)は15.7μC/g、帯電量比(C1/C30)は0.764、明度(L*値)は24.2であった。
Claims (7)
- 複数のトナー粒子を含む、静電潜像現像用正帯電トナーであって、
前記トナー粒子が、カーボンブラック、及び[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸を含む、静電潜像現像用正帯電トナー。 - 前記トナー粒子が、帯電制御剤を含有しない、請求項1に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。
- 前記トナー粒子が、トナーコア、及び前記トナーコアを被覆するシェル層を有し、
前記トナーコアが、少なくとも、結着樹脂、カーボンブラック、及び[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸を含み、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。 - 前記カーボンブラックの含有量が、前記トナーコアの質量に対して、4.0質量%以上11.0質量%以下であり、
前記[[4−[[4−(フェニルアミノ)フェニル][4−(フェニルイミノ)−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]メチル]フェニル]アミノ]ベンゼンスルホン酸の含有量が、前記トナーコアの質量に対して、0.5質量%以上4.0質量%以下である、請求項3に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。 - 前記熱硬化性樹脂が、正帯電性を有する熱硬化性樹脂である、請求項3又は4に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。
- 前記トナーコアが、ワックスを更に含む、請求項3〜5の何れか一項に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。
- 前記静電潜像現像用正帯電トナーの記録媒体への載せ量が0.4mg/cm2である場合に、前記静電潜像現像用正帯電トナーを前記記録媒体上に定着することにより得られる画像の明度(L*値)が18.0以上23.0以下であり、
前記静電潜像現像用正帯電トナーとキャリアとを30分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C30)に対する、前記静電潜像現像用正帯電トナーとキャリアとを1分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C1)の比率である、帯電量比(C1/C30)が0.700以上1.300以下であり、
前記静電潜像現像用正帯電トナーとキャリアとを1分間混合することにより得られる混合物の帯電量(C1)が、10.0μC/g以上である、請求項1〜6の何れか一項に記載の静電潜像現像用正帯電トナー。
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