JP2016138296A - 銅ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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一憲 高橋
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Abstract

【課題】還元触媒として貴金属を使用しない、銅ナノ粒子の製造方法の提供。【解決手段】銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合して、銅ナノ粒子Bを製造する、銅ナノ粒子の製造方法。銅イオンに対する被覆銅ナノ粒子Aの使用量が前記銅イオン全量に対し、0.5質量%以上、好ましくは2〜10質量%である場合、銅イオンの還元反応が進みやすくなる【選択図】なし

Description

本発明は銅ナノ粒子の製造方法に関する。
従来、金属微粒子は種々の用途に用いられており、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷等により配線を形成するための導電性ペーストや導電性インクとして、銅ナノ粒子を媒体中に分散させた分散物が知られている。
このような銅ナノ粒子の分散物は、銅の酸化物や塩を反応液中で還元させることによって得ることができる。
例えば特許文献1には、水系媒体中において、錯化剤、及び重量平均分子量10000以下のコラーゲンペプチドの存在下、銅の酸化物又は塩を還元剤と反応させることにより、銅の酸化物又は塩を還元し、平均粒径50nm以下の銅ナノ粒子が重量平均分子量10000以下のコラーゲンペプチドで被覆されたコラーゲンペプチド被覆銅ナノ粒子を製造する、コラーゲンペプチド被覆銅ナノ粒子の製造方法が記載されている。
また、特許文献1には、硫酸銅五水和物、酢酸パラジウム、コラーゲンペプチド、水酸化ナトリウム、ヒドラジン一水和物、水等を用いて、コラーゲンペプチド被覆銅ナノ粒子を得たことが記載されている(実施例1)。
特開2013−64191号公報
このように、従来の銅ナノ粒子の製造には例えばパラジウム系化合物が使用される場合があった。
しかし、パラジウムは高価であるため、生産コストを低くする観点からパラジウム等の貴金属を使用しない、銅ナノ粒子の製造方法が必要であると本発明者らは考えた。
そこで、本発明は還元触媒として貴金属を使用しない、銅ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合して、銅ナノ粒子Bを製造する、銅ナノ粒子の製造方法によれば、所定の効果が得られることを見出した。
また、本発明者らは、銅イオンに対する被覆銅ナノ粒子Aの使用量が特定の範囲である場合、銅イオンの還元反応が進みやすくなることを見出した。
また、本発明者らは、銅イオンに対する分散剤の使用量が多くなるほど、銅ナノ粒子Bの粒度分布が狭くなることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決する。
[1] 銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合して、銅ナノ粒子Bを製造する、銅ナノ粒子の製造方法。
[2] 上記被覆銅ナノ粒子Aの使用量が、上記銅イオン全量に対して、0.5質量%以上である、[1]に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[3] 上記被覆銅ナノ粒子Aの使用量が、上記銅イオン全量に対して、2質量%以上10質量%以下である、[1]又は[2]に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[4] 上記分散剤が、コラーゲンペプチド及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[5] 上記コラーゲンペプチド及び上記ゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種の使用量が、上記銅イオン全量に対して、2質量%以上10質量%以下である、[4]に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[6] 上記分散剤が、コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンと、多価アルコールとを含有する、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[7] 上記多価アルコールが、グリセリン及び/又はエチレングリコールである、[6]に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[8] 上記分散剤としての上記コラーゲンペプチド及び/又は上記ゼラチンの全量に対する、上記多価アルコールの使用量の割合が、100以上である、[6]又は[7]に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[9] 上記分散剤としての上記コラーゲンペプチド及び/又は上記ゼラチンの全量に対する、上記多価アルコールの使用量の割合が、300以上3000以下である、[6]〜[8]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[10] 上記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム及び/又はヒドラジンである、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[11] 上記被覆銅ナノ粒子Aと上記銅イオンと上記還元剤と上記分散剤とを混合し、上記銅イオンを還元させて、上記銅ナノ粒子Bを製造する、[1]〜[10]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[12] 上記分散剤が上記銅ナノ粒子Bの表面を被覆する、[1]〜[11]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[13] 上記被覆銅ナノ粒子Aと上記銅イオンと上記還元剤と上記分散剤とを、水系の分散媒中で混合する、[1]〜[12]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[14] 上記被覆銅ナノ粒子Aと上記銅イオンと上記還元剤と上記分散剤とを、4℃以上の条件下で混合する、[1]〜[13]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[15] 上記被覆銅ナノ粒子Aと上記銅イオンと上記還元剤と上記分散剤とを、80℃以下の条件下で混合する、[1]〜[14]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[16] あらかじめ、上記銅イオンと上記分散剤とを含む第1液と、上記還元剤を含む第2液を混合して混合液を得、上記混合液と上記被覆銅ナノ粒子Aとを混合する、[1]〜[15]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[17] 上記混合において塩基を使用し、上記塩基がテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド及び/又は水酸化ナトリウムである、[1]〜[16]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
[18] 上記被覆銅ナノ粒子Aが、貴金属系触媒と、銅イオンと、還元剤と、コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンとを、混合することによって製造される、[1]〜[17]のいずれか1つに記載の銅ナノ粒子の製造方法。
本発明の銅ナノ粒子の製造方法によれば、還元触媒として貴金属を使用せずに、銅ナノ粒子を製造することができる。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の使用量とは、2種以上の化合物の合計の使用量を指す。
本発明において、成分の量を、銅イオンの量を基準として記載する場合、銅イオンの量は、銅イオンを形成する際に使用される銅化合物に含まれる銅の量と同じとする。
本明細書において、被覆銅ナノ粒子Aと銅イオンと還元剤と分散剤とを混合して得られるものを反応液という。
本発明の銅ナノ粒子の製造方法(本発明の製造方法)は、
銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合して、銅ナノ粒子Bを製造する、銅ナノ粒子の製造方法である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所定の効果が得られるものと考えられる。
本発明者らは、銅イオンの還元反応における被覆銅ナノ粒子Aの作用又は機能を確認するため以下の実験を行った。
上記の実験は以下の手順で行われた。まず、パラジウム触媒を使用して被覆銅ナノ粒子を得、次に上記のようにして得られた被覆銅ナノ粒子を精製して被覆銅ナノ粒子から未反応のパラジウム触媒を除いて、精製した被覆銅ナノ粒子を得た。次に、上記の精製した被覆銅ナノ粒子を、銅イオンと還元剤と分散剤と塩基と水とを含有する混合液に混合した。
その結果、上記の混合液に上記の精製後の被覆銅ナノ粒子を加えたあと、銅イオンの還元反応が起こったことを本発明者らは確認した。
このことから、本発明者らは、被覆銅ナノ粒子Aが銅イオンの還元反応において還元触媒として作用できると推測する。
以下、本発明の銅ナノ粒子の製造方法に使用される各成分、各工程について詳述する。
[被覆銅ナノ粒子A]
本発明の製造方法に使用される被覆銅ナノ粒子Aは、銅ナノ粒子aとコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンとを有し、銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された銅ナノ粒子である。
被覆銅ナノ粒子Aは、銅イオンの還元反応の還元触媒として作用することができる。よって、本発明の製造方法は還元触媒として貴金属を使用せずとも銅イオンを還元させることができる。
被覆銅ナノ粒子Aの調製としては、例えば、貴金属系触媒と、銅イオンと、還元剤と、コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンとを、混合する方法が挙げられる。コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンは銅ナノ粒子aを系内で分散させる分散剤として機能することができる。
銅イオンは貴金属系触媒の存在下で還元剤によって還元されて銅ナノ粒子aが生成し、銅ナノ粒子aに分散剤としてのコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンが例えば吸着することによってコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンが銅ナノ粒子aの表面を被覆し、被覆銅ナノ粒子Aが得られる。
被覆銅ナノ粒子Aは例えば特開2013−64191号公報の記載の方法に従って調製することがきる。被覆銅ナノ粒子Aを調製する際に使用される各成分の量は適宜選択することができる。
上記のとおり調製された被覆銅ナノ粒子Aは、必要に応じて、被覆銅ナノ粒子Aに例えばエタノール等を添加することによって、凝集させることができる。
被覆銅ナノ粒子Aを調製する際に使用される成分を以下に説明する。
(貴金属系触媒)
被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用される貴金属系触媒は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属又は貴金属を含む金属化合物である。
金属化合物としては、例えば、貴金属の酸化物、その塩が挙げられる。塩としてはカルボン酸塩が挙げられる。パラジウムの塩が好ましく、酢酸パラジウムがより好ましい。
(銅イオン)
被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用される銅イオンは特に制限されない。
銅イオンを生成させることができる銅化合物としては、例えば、銅の酸化物、塩、ハロゲン化物、水酸化物が挙げられる。具体的には例えば、銅の酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、臭化物、水酸化物、酸化物が挙げられる。
(還元剤)
被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用される還元剤は、銅イオンを還元させることができる化合物であれば特に制限されない。
還元剤としては、例えば、ヒドラジンや、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジンなどのヒドラジン系還元剤、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、次亜硝酸ナトリウム、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、アルデヒド類、アルコール類、アミン類、糖類などが挙げられ、これらを1種または2種以上を用いてもよい。
(コラーゲンペプチド)
被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用されるコラーゲンペプチドは特に制限されない。コラーゲンペプチドはペプチド結合を有する。コラーゲンペプチドとしては例えば、ゼラチンを酵素や酸、アルカリなどで加水分解して得られたものが挙げられる。ゼラチンを加水分解する方法には特に制限がなく、例えば従来公知の方法を用いることができる。コラーゲンペプチドは市販品であってもよい。
コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、500以上10,000以下であることが好ましく、10,000未満とすることができ、2,000以上7,000以下であることがより好ましく、2,700以上5,000以下であることが更に好ましい。
本発明において、コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて確認できる。即ち、あらかじめ分子量が既知でそれぞれ異なる複数のポリマー(例えばポリエチレングリコール:PEG)数種を同条件で測定して得られたリテンションタイムと分子量との関係の検量線を元にコラーゲンペプチドの重量平均分子量を算出すればよい。本発明において平均分子量とは、この手法に従ってGPCより算出した重量平均分子量を指す。ゼラチンの重量平均分子量も同様である。
(ゼラチン)
被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用されるゼラチンは特に制限されない。ゼラチンはペプチド結合を有する。ゼラチンとしては例えば従来公知のものが挙げられる。ゼラチンは市販品であってもよい。ゼラチンは例えば、石灰処理されたゼラチン、酸処理されたゼラチンゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物、アミノ基またはカルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)であってもよい。
ゼラチンの重量平均分子量は、10,000〜1、000,000であるのが好ましく、10,000〜200,000であるのがより好ましい。ゼラチンの重量平均分子量は、上記のコラーゲンペプチドの重量平均分子量と同様の測定方法で確認することができる。
被覆銅ナノ粒子Aの調製には更に、錯化剤を使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。被覆銅ナノ粒子Aの調製の際に更に錯化剤を使用することにより、被覆銅ナノ粒子Aの粒子形状及び粒子径の制御を容易にすることができる。
錯化剤としては、銅イオンと錯体を形成するものであれば限定されない。酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含む配位性の官能基を有するものが好ましい。そのような官能基としては水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、チオール基などが挙げられ、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基が好ましい。また、官能基を同一分子内に二種類以上含有する形態も好ましい。
錯化剤としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、グリコールエーテルジアミン四酢酸、アスパラギン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノカルボン酸又はこれらの塩、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセリンが挙げられ、酒石酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)が好ましい。また、これらの塩(例えば酒石酸ナトリウムなど)でもよく、水和物(例えば酒石酸ナトリウム二水和物など)でもよい。
被覆銅ナノ粒子Aは、被覆銅ナノ粒子Aを分散質として含有する分散液であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。被覆銅ナノ粒子Aの分散液に含有される分散媒は水系であるのが好ましい。分散媒としては、例えば、水、水と有機溶媒との混合物が挙げられる。なかでも、水が好ましい。有機溶媒としては例えば、メタノールのようなアルコールが挙げられる。
被覆銅ナノ粒子Aを調製する際に、上記の成分を混合するために使用することができる混合装置としては、例えば、特願2013−179366号に記載した構造を有するフローリアクターが挙げられる。
被覆銅ナノ粒子Aはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、被覆銅ナノ粒子Aの使用量は、得られる銅ナノ粒子Bの粒径が均一になりやすいという観点から、本発明の製造方法に使用される、後述の銅イオン全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
[銅イオン]
本発明の製造方法に使用される銅イオンは特に制限されない。銅イオンはCu2+であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明の製造方法において、銅イオンとして、銅イオンを生成させることができる銅化合物を使用することができる。
銅イオンを生成させることができる銅化合物としては、例えば、上記の被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用される銅化合物と同様のものが挙げられる。銅化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、銅の塩が好ましく、銅のカルボン酸塩、硫酸銅、硝酸銅がより好ましく、酢酸銅が更に好ましい。
[還元剤]
本発明の製造方法に使用される還元剤は、銅イオンを還元させることができる化合物であれば特に制限されない。
還元剤としては、例えば、上記の被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用される還元剤と同様のものが挙げられる。
なかでも、水素化ホウ素ナトリウム及び/又はヒドラジンが好ましい。
還元剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
還元剤の使用量は、本発明の製造方法に使用される、銅イオン100質量部に対して、10〜100質量部であるのが好ましく、15〜30質量部であるのがより好ましい。
[分散剤]
本発明の製造方法に使用される分散剤は、銅イオンが還元されて生成した銅のナノ粒子(銅ナノ粒子B)を系内で分散させることができるものであれば特に制限されない。
分散剤は、銅ナノ粒子Bの表面を被覆できるものであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
分散剤としては、例えば、コラーゲンペプチド、ゼラチン及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
なかでも、得られる銅ナノ粒子Bの表面を被覆でき、所定の効果により優れるという観点から、分散剤がコラーゲンペプチド及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、分散剤がコラーゲンペプチド及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種と多価アルコールとを含有するのがより好ましい。
分散剤の使用量は、本発明の製造方法に使用される、銅イオン全量に対して、2質量%以上3,000質量%以下が好ましく、3質量%以上1,000質量%以下がより好ましい。
分散剤として使用することができるコラーゲンペプチドは特に制限されない。例えば、上記の被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用されるコラーゲンペプチドと同様のものが挙げられる。
なかでも、コラーゲンペプチドの重量平均分子量が、500〜10,000であるのが好ましく、10,000未満とすることができ、500〜2,000であるのがより好ましい。
分散剤として使用することができるゼラチンは特に制限されない。例えば、上記の被覆銅ナノ粒子Aの調製に使用されるゼラチンと同様のものが挙げられる。
コラーゲンペプチド及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種の使用量は、銅イオン全量に対して、2質量%以上15質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
分散剤として使用することができる多価アルコールは、ヒドロキシ基を複数有する脂肪族炭化水素化合物であれば特に制限されない。例えば、アルキレングリコールのような2価のアルコール;グリセリンのような3価のアルコールが挙げられる。
なかでも、グリセリン及び/又はエチレングリコールが好ましい。
本発明の製造方法に使用される分散剤としてのコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンの全量に対する、多価アルコールの使用量の割合[質量基準で、(多価アルコールの使用量)/(コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンの全量)。以下同様。]は、100以上が好ましく、300以上3,000以下がより好ましく、300以上500以下が更に好ましい。なお上記割合について100以上であることは100倍以上を意味する。
本発明の製造方法は、更に錯化剤を使用するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。本発明の製造方法において更に錯化剤を使用することによって、得られる銅ナノ粒子Bの粒子形状及び粒子径の制御を容易にすることができる。
錯化剤としては、銅イオンと錯体を形成するものであれば限定されない。例えば、被覆銅ナノ粒子Aの調製の際に使用することができる錯化剤と同様のものが挙げられる。
なかでも、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなポリアルカノールアミンが好ましい。
錯化剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
錯化剤の使用量は、本発明の製造方法に使用される、銅イオン全量に対して、50質量%以上500質量%以下が好ましく、75質量%以上150質量%以下がより好ましい。
[pHの条件]
本発明の製造方法において、上記の成分をpHが14以上の条件下で混合する。
pH(より具体的には、被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを少なくとも含む反応液のpH)が下がると、還元剤が水と優先的に反応する結果、銅イオンの還元反応が進みにくい傾向にある。銅イオンの還元反応を効率的に進めるためには、pHを高くすることが有効であり、その値として14以上が好ましい。
本発明において、pHの測定は、25℃の条件下でリトマス試験紙を用いて行われた。
上記の反応液のpHを上記の範囲に調整するために、本発明の製造方法において塩基を使用することができる。
本発明の製造方法に使用することができる塩基は、水溶性であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
塩基は有機化合物、無機化合物のいずれであってもよい。例えば、アルカリ金属化合物、アンモニア、アンモニウム塩化合物が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水酸化物塩が挙げられる。
なかでも、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド及び/又は水酸化ナトリウムが好ましい。
塩基はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
塩基の使用量は反応液のpHを上記の範囲にできる量であれば特に制限されない。
[銅ナノ粒子B]
本発明の製造方法によれば、銅ナノ粒子Bを製造することができる。本発明において銅イオンを還元させて銅ナノ粒子Bを製造することができる。
本発明の製造方法における還元反応のメカニズムとしては例えば、銅イオンが還元剤によって還元される還元反応において、被覆銅ナノ粒子Aが還元触媒として作用すると推察される。
銅ナノ粒子Bは、銅ナノ粒子Bの表面が分散剤で被覆されている被覆銅ナノ粒子であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、銅ナノ粒子Bは、銅ナノ粒子Bを分散質として含有する分散液であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。銅ナノ粒子Bの分散液に含有される分散媒は水系であるのが好ましい。
分散媒としては、例えば、水、水と有機溶媒との混合物が挙げられる。
なかでも、水が好ましい。水は特に制限されない。例えば、蒸留水であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
有機溶媒は水に可溶な有機化合物であれば特に制限されない。有機溶媒としては例えば、メタノールのようなアルコールが挙げられる。
分散媒の含有量は、銅ナノ粒子Bの分散液全体に対して、99質量%以下とすることができ、80質量%以上99質量%以下が好ましい。
[銅ナノ粒子Bの製造方法]
本発明の製造方法において、被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを混合する。
本発明の製造方法は、被覆銅ナノ粒子Aと銅イオンと還元剤と分散剤とを、水系の分散媒中で混合するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。分散媒は上記と同様である。
本明細書において、被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを混合する工程を以下混合工程ということがある。本発明の製造方法は少なくとも混合工程を有する。
(混合工程)
混合工程は、被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを混合する工程である。上記銅イオンとして、銅イオンを生成することができる上記の銅化合物を使用するのが好ましい態様として挙げられる。
本発明において、被覆銅ナノ粒子Aが、銅イオン、還元剤と混合されることによって還元反応を起こすことができる。
本明細書において、被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを混合して得られるものを反応液という。反応液は少なくとも被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを含有する。反応液は更に、例えば、錯化剤、塩基、水等の分散媒を含有することができる。
反応液は、例えば、銅イオンと還元剤と分散剤とを含む混合液と、被覆銅ナノ粒子Aとを混合して得ることができる。
混合液は、更に、錯化剤、塩基、水等の分散媒を含有することができる。
混合液は、例えば、あらかじめ、銅イオンと分散剤とを含む第1液と、還元剤を含む第2液を混合して得られるものであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
第1液は、更に塩基と水とを含むことができる。
第2液は、更に塩基と水とを含むことができる。
第1液と第2液とを混合する方法は特に制限されない。
混合液と被覆銅ナノ粒子Aとを混合する方法は特に制限されない。例えば、撹拌によって混合液と被覆銅ナノ粒子Aとを混合することができる。混合は例えば、一般的な撹拌装置を用いて行うことができる。
本発明において、被覆銅ナノ粒子Aと銅イオンと還元剤と分散剤とを、4℃以上の条件下で混合するのが好ましく、20℃以上の条件下で混合するのがより好ましく、40℃以上80℃以下の条件下で混合するのがより好ましい。
反応液を上記の温度範囲とすることができる。
本発明の製造方法において、被覆銅ナノ粒子Aと銅イオンと還元剤と分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合する。pHの好適範囲等は上記と同様である。
pHを上記の範囲に調整するために、塩基を使用することができる。塩基の種類、組成物の使用量は上記と同様である。
(精製工程)
本発明の製造方法は、上記の混合工程の後に、更に、精製工程を有することができる。
精製工程は、混合工程で得られた銅ナノ粒子Bを精製する工程である。
精製工程によって、未反応の銅イオン等を銅ナノ粒子Bから除くことができる。
銅ナノ粒子Bを分散液として製造する場合、精製工程において、最終的に得られる銅ナノ粒子Bの分散液における銅ナノ粒子Bの濃度を調整することができる。
精製工程において、銅ナノ粒子Bを精製する方法は特に制限されない。例えば、遠心分離機による固液分離、限外ろ過、これらの組合せが挙げられる。
精製された銅ナノ粒子Bを再分散させる際に使用することができる分散媒は特に制限されない。例えば、水、有機溶剤が挙げられる。なかでも、水が好ましい。
[銅ナノ粒子Bの用途]
本発明の製造方法によって製造された銅ナノ粒子Bはその用途について特に制限されない。例えば、銅ナノ粒子Bを含有する導電膜形成用組成物が挙げられる。
上記の導電膜形成用組成物は、銅ナノ粒子B以外に更に添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、多価アルコール、溶媒、ポリビニルピロリドンのような高分子化合物、界面活性剤が挙げられる。
導電膜形成用組成物が更に含有することができる多価アルコールは、ヒドロキシ基を複数有する脂肪族炭化水素化合物であれば特に制限されない。多価アルコールとしては、例えば、キシリトール、エチレングリコール及びプロピレングリコールプロピルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記の多価アルコールの含有量は、導電膜形成用組成物全体に対して、0.5〜10質量%とすることができる。
銅ナノ粒子Bを含有する導電膜形成用組成物によれば、例えば、ガラス、低耐熱基板の上に高い導電性を有する導電膜を形成することができる。また、基材密着性に優れる導電膜を得ることができる。
上記の導電膜形成用組成物を用いて導電膜を形成する方法は特に制限されない。例えば、上記の導電膜形成用組成物に対して加熱処理及び/又は活性エネルギー線照射処理し、銅ナノ粒子Bを焼結させて、銅を含有する導電膜を形成する方法が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
(被覆銅ナノ粒子Aの分散液の製造)
(A液)
被覆銅ナノ粒子Aの分散液を製造する際に使用するA液を以下に示す成分及び量で混合し調製した。
・酢酸銅(関東化学)(100質量部)
・ジエタノールアミン(和光純薬)(100質量部)
・酢酸パラジウム(和光純薬)(0.15質量部)
・25質量%濃度のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(和光純薬)(630質量部)
・コラーゲンペプチド(重量平均分子量2,000、和光純薬)(1.5質量部)
・グリセリン(和光純薬)(100質量部)
(B液)
被覆銅ナノ粒子Aの分散液を製造する際に使用するB液を以下に示す成分及び量で混合し調製した。
・NaBH4(和光純薬)(20質量部)
・25質量%濃度のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(和光純薬)(225質量部)
・蒸留水(75質量部)
(混合工程)
次に、上記のとおり調製した、A液とB液とを、特願2013−179366号に記載した構造を有するフローリアクターで混合し、被覆銅ナノ粒子Aの分散液を得た。
詳細には、定量ポンプ(PHD4400、HRVARD社製)を用いて、A液、B液のそれぞれを、A液の流速を45ml/分とし、B液の流速を15ml/分として、フローリアクターの合流場へ送液し、合流場でA液とB液とを混合させた。混合後速やかに反応が開始し、被覆銅ナノ粒子Aの分散液を得た。
(精製工程)
上記のとおり得られた被覆銅ナノ粒子Aの分散液100質量部に対して、エタノール50質量部を添加して、被覆銅ナノ粒子Aの凝集を促した。
次に、凝集後の混合液を、遠心分離機で4500rpmの条件下で10分間固液分離を行い、上澄みを除去した。
その後、残留物に蒸留水を加え、被覆銅ナノ粒子Aを蒸留水で再分散させた。
上記のエタノールの添加から再分散までの一連の操作をさらに3回繰り返した。
次に、分画分子量10,000程度のポリサルフォンの膜(アドバンテック)にて、限外ろ過精製操作を行った。
最後に濃縮操作を行い、被覆銅ナノ粒子Aの最終濃度が15質量%である分散液を調製した。
得られた被覆銅ナノ粒子Aの分散液に含有される酢酸パラジウムの含有量をICP原発光分光法(高周波誘導結合プラズマ(ICP)を光源とする発光分光分析法)による分析で測定した。その結果、被覆銅ナノ粒子Aの分散液に含有される酢酸パラジウムの含有量は、分散液全体に対して0.001質量%以下であった。
銅ナノ粒子の生成は電子回折により確認した。合成した銅ナノ粒子の電子回折パターンより、Cu−fccの結晶構造を有する銅ナノ粒子であることが確認できた。
上記のとおり得られた被覆銅ナノ粒子Aの分散液を被覆銅ナノ粒子分散液A1とする。
上記のとおりに得られた被覆銅ナノ粒子分散液A1を用いて、後述する実施例と同様にして、被覆銅ナノ粒子Aの累積体積粒度分布、導電膜の体積抵抗値、クラックの有無を評価した。
被覆銅ナノ粒子Aの累積体積粒度分布の結果は、D10=5nm、D50=20nm、D90=100nmであった。
導電膜の体積抵抗値は、8.0×10-5Ωcmであった。なお、導電膜の形成の際、塗布膜を260℃の条件下で焼結させた。
導電膜にクラックは認められなかった。なお上記導電膜の膜厚は0.1μmであった。
<銅ナノ粒子Bの分散液の製造>
(混合工程)
・混合液の調製
酢酸パラジウムを使用しない他は、被覆銅ナノ粒子分散液A1の調製に使用したA液と同様にして、銅ナノ粒子Bの分散液の製造に使用される第1液を調製した。各成分の使用量(質量部)を表1に示す。
また、被覆銅ナノ粒子分散液A1の調製に使用したB液と同様にして、銅ナノ粒子Bの分散液の製造に使用される第2液を調製した。各成分の使用量(質量部)を表1に示す。
次に、上記のとおり調製した、第1液および第2液をビーカー内で予め混合して、銅ナノ粒子Bの分散液の製造に使用される混合液を得た。
・反応液の配合
次に、上記のとおり得られた各混合液を表1に示す使用量(g)で用い、上記のとおり得られた被覆銅ナノ粒子分散液A1を表1に示す使用量(g)で用いて、これらをビーカー内で混合し、反応液を得た。なお、混合液及び被覆銅ナノ粒子分散液A1を混合する際、これらがそれぞれ表1に示す混合温度になるように必要に応じて予め、混合液及び被覆銅ナノ粒子分散液A1を加温した。
上記のとおり得られた反応液を表1に示す混合温度(20℃、40℃又は80℃)の条件下で0.5時間反応させて銅ナノ粒子Bの分散液を製造した。
(精製工程)
上記のとおり上記のとおり製造した各銅ナノ粒子Bの分散液を以下の精製方法・その1又はその2で精製した。
・精製方法・その1
次に、上記のとおり製造した各銅ナノ粒子Bの分散液を用いて、上記の被覆銅ナノ粒子分散液A1を製造する際に行った上記の精製工程と同様の精製を行った。
精製後、濃縮操作を行い、銅ナノ粒子Bの最終濃度が15質量%である、銅ナノ粒子Bの分散液を調製した。
・精製方法・その2
上記のとおり製造した各銅ナノ粒子Bの分散液を用いて、分画分子量10,000程度のポリサルフォンの膜(アドバンテック)にて、限外ろ過精製操作を行った。
最後に濃縮操作を行い、銅ナノ粒子Bの最終濃度が15質量%である、銅ナノ粒子Bの分散液を調製した。
以上のとおり、上記の精製方法で精製、濃縮操作まで行われ調製された、各銅ナノ粒子Bの分散液を銅ナノ粒子分散液Bという。
<評価>
・製造された各銅ナノ粒子分散液B中の銅ナノ粒子Bの有無
上記のとおり製造された各銅ナノ粒子分散液Bを透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電子回折により分析し、銅ナノ粒子Bの生成を確認した。
得られた電子回折パターンにより、合成した銅ナノ粒子BがCu−fccの結晶構造を有することが確認できた場合、製造された銅ナノ粒子分散液B中に銅ナノ粒子があると評価して、これを「あり」と表示した。
得られた電子回折パターンにより、合成した銅ナノ粒子BがCu−fccの結晶構造を有することが確認できなかった場合、製造された銅ナノ粒子分散液B中に銅ナノ粒子はないと評価して、これを「なし」と表示した。
結果を表1に示す。
・製造された各銅ナノ粒子分散液B中の銅ナノ粒子Bの分散の状態
上記のとおり製造された各銅ナノ粒子分散液Bを目視で観察して、各銅ナノ粒子分散液B中の銅ナノ粒子Bの分散の状態を評価した。
銅ナノ粒子分散液B中において銅ナノ粒子Bが分散している場合を分散性に非常に優れると評価し、これを「良好」と表示した。
銅ナノ粒子分散液B中において銅ナノ粒子Bが凝集している場合を分散性に優れると評価し、これを「凝集」と表示した。
反応液に変化がなかった場合を「変化なし」と表示した。
結果を表1に示す。
・銅ナノ粒子Bの累積体積粒度分布
上記のとおり製造された各銅ナノ粒子分散液Bを用いて、動的光散乱法による累積体積粒度分布を、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で測定した。各銅ナノ粒子分散液Bの、10%粒子径(D10)、50%粒子径(D50)、90%粒子径(D90)を表1に示す。
・導電膜の体積抵抗値
(導電膜形成用組成物の調製)
上記のとおり製造した各銅ナノ粒子分散液Bに、銅ナノ粒子の焼結を促進することを目的として、各銅ナノ粒子分散液Bの3質量%の量のキシリトールを加えて、各導電膜形成用組成物を調製した。
(導電膜の形成)
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(商品名テトロンK、厚み50μm、帝人デュポン社製)上に、塗布バー(OSP−1.5、松尾産業社製)で上記のとおり調製した各導電膜形成用組成物を塗布し、0.1μm程度の膜厚の塗布膜を形成した。
次に、上記のとおり形成された塗布膜を50℃程度のホットプレート上で予備乾燥させ、その後グローブボックスにて窒素雰囲気(酸素濃度0.1%以下)、250℃の条件下において焼結を行い、導電膜を得た。
(導電膜の評価)
上記のとおり得られた各導電膜について、四探針法抵抗率計(ロレスタGP MCP−T610、三菱化学アナリック)を用いて、体積抵抗率を測定した。
結果を表1に示す。
本発明において、体積抵抗値が10×10-5Ωcm以下の場合、上記導電膜にクラックは発生しなかったと評価する。
Figure 2016138296
上記の表1中、第1液に使用された各成分の詳細は、上記の被覆銅ナノ粒子分散液A1の製造においてA液に使用された各成分の詳細と同じである。なお銅ナノ粒子分散液Bの製造において使用された第1液は酢酸パラジウムを使用しない。
また、同表の第2液に使用された各成分の詳細は、上記の被覆銅ナノ粒子分散液A1の製造においてB液に使用された各成分の詳細と同じである。
表1に示す結果から明らかなように、被覆銅ナノ粒子Aを使用しない比較例1は銅ナノ粒子Bを生成しなかった。また、比較例1では銅イオンの還元反応が進行していることを示す還元剤由来の水素の発泡は確認されなかった。
これに対して、実施例1〜8は銅ナノ粒子Bが生成した。
また、実施例1〜8では、混合液に被覆銅ナノ粒子Aを加えてから15分後に、反応液の色の変化や還元剤由来の水素の発泡が観察された。このことからも、被覆銅ナノ粒子Aが還元触媒として機能し銅イオンの還元反応が起こったと考えられる。
また、コラーゲンペプチドの含有量に対するグリセリンの含有量の割合について実施例2、3、5を比較すると、上記比率を大きくすればコラーゲンペプチドの量が少なくとも銅ナノ粒子Bを生成することができることが明らかとなった。
分散剤の使用量について実施例4、6、1、7を比較すると、分散剤(特にコラーゲンペプチド)の使用量が多くなるほど、銅ナノ粒子分散液B中の銅ナノ粒子Bの分散が良好となり、粒度分布がシャープになり、得られる銅ナノ粒子Bの平均粒子径が均一となることが明らかとなった。また、分散剤の使用量が多くなるほど、銅ナノ粒子Bの平均粒子径が小さくなることが明らかとなった。
銅イオンに対するコラーゲンペプチドの質量%について、実施例1、6、7とその他の実施例とを比較すると、銅イオンに対するコラーゲンペプチドの質量%が5〜20質量%である実施例1、6、7は、5質量%未満であるその他の実施例よりも、銅ナノ粒子分散液B中の銅ナノ粒子Bの分散性に優れることが分かった。
グリセリンを使用する実施例2とグリセリンを使用しない実施例4とを比較すると、実施例2は実施例4よりも得られる導電膜の体積抵抗値が低くなることが分かった。
結果を表1に示していないが、銅イオンの還元反応が完了する時間について、混合温度が異なる実施例5、8を比較すると、混合温度が80℃であった実施例5の反応時間は、混合温度が20℃であった実施例8の反応時間の約10分の1であった。このことから、加熱し被覆銅ナノ粒子A等を混合することによって、被覆銅ナノ粒子Aの還元触媒としての活性を高めることができると考えらえる。

Claims (18)

  1. 銅ナノ粒子aの表面がコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンで被覆された被覆銅ナノ粒子Aと、銅イオンと、還元剤と、分散剤とを、pH:14以上の条件下で混合して、銅ナノ粒子Bを製造する、銅ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記被覆銅ナノ粒子Aの使用量が、前記銅イオン全量に対して、0.5質量%以上である、請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記被覆銅ナノ粒子Aの使用量が、前記銅イオン全量に対して、2質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記分散剤が、コラーゲンペプチド及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記コラーゲンペプチド及び前記ゼラチンからなる群から選択される少なくとも1種の使用量が、前記銅イオン全量に対して、2質量%以上10質量%以下である、請求項4に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  6. 前記分散剤が、コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンと、多価アルコールとを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  7. 前記多価アルコールが、グリセリン及び/又はエチレングリコールである、請求項6に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  8. 前記分散剤としての前記コラーゲンペプチド及び/又は前記ゼラチンの全量に対する、前記多価アルコールの使用量の割合が、100以上である、請求項6又は7に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  9. 前記分散剤としての前記コラーゲンペプチド及び/又は前記ゼラチンの全量に対する、前記多価アルコールの使用量の割合が、300以上3000以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  10. 前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム及び/又はヒドラジンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  11. 前記被覆銅ナノ粒子Aと前記銅イオンと前記還元剤と前記分散剤とを混合し、前記銅イオンを還元させて、前記銅ナノ粒子Bを製造する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  12. 前記分散剤が前記銅ナノ粒子Bの表面を被覆する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  13. 前記被覆銅ナノ粒子Aと前記銅イオンと前記還元剤と前記分散剤とを、水系の分散媒中で混合する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  14. 前記被覆銅ナノ粒子Aと前記銅イオンと前記還元剤と前記分散剤とを、4℃以上の条件下で混合する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  15. 前記被覆銅ナノ粒子Aと前記銅イオンと前記還元剤と前記分散剤とを、80℃以下の条件下で混合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  16. あらかじめ、前記銅イオンと前記分散剤とを含む第1液と、前記還元剤を含む第2液を混合して混合液を得、前記混合液と前記被覆銅ナノ粒子Aとを混合する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  17. 前記混合において塩基を使用し、前記塩基がテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド及び/又は水酸化ナトリウムである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
  18. 前記被覆銅ナノ粒子Aが、貴金属系触媒と、銅イオンと、還元剤と、コラーゲンペプチド及び/又はゼラチンとを、混合することによって製造される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
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