JP6068406B2 - ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体 - Google Patents

ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体 Download PDF

Info

Publication number
JP6068406B2
JP6068406B2 JP2014179615A JP2014179615A JP6068406B2 JP 6068406 B2 JP6068406 B2 JP 6068406B2 JP 2014179615 A JP2014179615 A JP 2014179615A JP 2014179615 A JP2014179615 A JP 2014179615A JP 6068406 B2 JP6068406 B2 JP 6068406B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
fine particle
silver fine
ink
particle ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014179615A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015017264A (ja
Inventor
勇一 牧田
勇一 牧田
優輔 大嶋
優輔 大嶋
紀章 中村
紀章 中村
宏史 野口
宏史 野口
淳一 谷内
淳一 谷内
久保 仁志
仁志 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanaka Kikinzoku Kogyo KK filed Critical Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority to JP2014179615A priority Critical patent/JP6068406B2/ja
Publication of JP2015017264A publication Critical patent/JP2015017264A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6068406B2 publication Critical patent/JP6068406B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)

Description

本発明は、基板等の上で低温焼結により良好な導電性を発現するナノメートルサイズの被覆銀微粒子を含むナノサイズ銀微粒子インク、銀微粒子焼結体に関する。
例えば、電子部品を実装するプリント配線板は、電子機器の小型・薄型・軽量化及び生産性の向上の要請に伴って導電性配線形成用材料の実装の高速度化及び高密度化が要求されている。
これに対して、ナノサイズの銀微粒子を分散させたインクを用いて、例えばインクジェット印刷技術により、より低温で銀配線を形成することが試みられている。
この場合、銀微粒子を含むインクにより所望の回路形状を印刷し、塗膜中の銀微粒子を焼結により結合して薄膜とすることが考えられるが、基板の耐熱性から100℃近くの温度で焼結することができる銀微粒子含有インクが求められている。また、銀配線であるので、体積抵抗が小さいことが求められ、そのためには可能な限り表面が平滑であることが求められる。
例えば、特許文献1には、高濃度であっても流動性が保たれ、金属超微粒子が凝集濃縮可能である金属超微粒子分散液及びその製造方法が提案されている。
これは、アルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸のうちの1若しくは複数を分散剤とし、粒径100nm以下の金属超微粒子が分散されている金属超微粒子分散液である。
しかしながら、この特許文献1には、焼結温度の開示が無く、本発明者等が実験したところ、100℃を大幅に上回る焼結温度が必要であった。
又、特許文献2には、有機溶媒中で、銀塩、有機溶媒中で還元能を示さない還元剤とアルキルアミンを混合することで銀超微粒子コロイドを製造する方法が開示されている。
この銀超微粒子コロイドは、平均粒子径が1〜20nmであって、単分散であり、均一な形状を有した多角形であって、低温焼結性分塩性ペースト等の材料として好適であるとされているが、具体的な焼結温度の開示が無く、本発明者等の実験によれば、やはり、焼結温度は100℃を大きく超えていた。
又、特許文献1、2の焼結体の表面粗度については、開示が無く、いずれも、表面はマット状態であり、また、焼結体の体積抵抗は重量換算での膜厚が500nm程度で30μΩ・cmを越えていることが確認された。
特開2002−121606号公報 特開2005−36309号公報 特開2010−265543号公報
本発明は、100℃程度の低温で焼結することができると共に、焼結体の表面が滑らかとなるナノサイズ銀微粒子インク(以下銀微粒子インク)及び銀微粒子焼結体を提供することを課題とする。
本発明は、銀微粒子を溶媒により分散してなるナノサイズ銀微粒子インクであって、30〜200wt%の有機溶剤により湿潤されたシュウ酸銀を銀材料とした銀微粒子を前記溶媒に1wt%以上、50wt%以下になるように溶解し、ナノサイズ銀微粒子インクをFIDのキャピラリーカラムを持つガスクロマトグラフィーで分析し、少なくともヘキシルアミン、ドデシルアミン及びオレイン酸を含み、ヘキシルアミン対ドデシルアミンのモル比は、3:1〜60:1であり、オレイン酸量が銀質量に対して0.02mmol/g以上0.30mmol/g以下であり、スピンコートで基板に塗布して形成した銀膜を、室温で5分間乾燥後、100℃で焼結させた焼結体の体積抵抗率が8μΩ・cm以上25μΩ・cm以下であることを特徴とするナノサイズ銀微粒子インクにより上記課題を解決するものである。
上記のような銀微粒子インクを塗布し、その後100℃で焼結してなり、表面が鏡面である銀微粒子焼結体により上記課題を解決することができる。
本発明に係る銀微粒子インクは、室温でスピンコートにより成膜して低温で焼結することによって表面を鏡面とすることができる。更に、上記焼結体の、体積抵抗率は低く、耐熱性の低い基板にも導電膜や導電配線を形成することが可能となった。
本発明の実施例に係る銀微粒子インクにおける被覆銀微粒子の透過電子顕微鏡(TEM)像 本発明の実施例に係る銀微粒子インクにおける被覆銀微粒子の焼結膜(焼結体)断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像 本発明の実施例に係る銀微粒子インクにおける被覆銀微粒子の焼結膜(焼結体)における焼結時間と体積抵抗との関係を示す線図 同焼結膜の鏡面における鏡像を示す写真 本発明の実施例に係る被覆銀微粒子インクのアミン類定量時のガスクロマトグラフチャート図 本発明の実施例に係る被覆銀微粒子インクのオレイン酸定量時のガスクロマトグラフチャート図
以下、本発明の実施形態に係る銀微粒子インク、及び、この銀微粒子の焼結体について説明する。
シュウ酸銀等の銀化合物とアルキルアミンから生成される錯化合物をアルキルアミンの存在下で加熱して、当該錯化合物に含まれるシュウ酸イオンの銀化合物を分解して生成する原子状の銀を凝集させることにより、アルキルアミンの保護膜に保護された銀微粒子を含むインクを製造することが知られている。
本発明の実施形態における第1工程では、予め30〜200wt%の、デカン、メタノール等の有機溶剤によって湿潤されたシュウ酸銀と、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンからなるアルキルジアミンとを混練する。この混練の終了は、精製する錯化合物(銀錯体)がその構成成分に応じた色を呈することによって判断する。
第2工程では、第1工程で得られた混練物に、ヘキシルアミン、ドデシルアミン及びオレイン酸を添加する。
次に、第3工程では、前記銀錯体を110℃に加熱攪拌する。この加熱攪拌中に、クリーム色の銀錯体が徐々に褐色になり、更に黒色に変化したことから銀微粒子の精製を確認する。この第3工程では、反応系から気泡が発生するが、この気泡が発生しなくなるときを、加熱攪拌による反応の終点とする。
遠心分離工程では、前記第3工程における反応系(銀微粒子を含む母体)にメタノール等のアルコールを加えて十分に攪拌し、これを遠心分離機にかける。
銀微粒子はメタノールに溶解しないので、遠心分離によって沈殿し、メタノール溶液から分離され、このときメタノール中には、銀微粒子に保護剤として吸着していないジアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン及びオレイン酸が溶解しているので、遠心分離による上澄み液を除去すれば、これら溶解していない余剰な有機物保護剤を分離することができる。
このメタノール添加と遠心分離による銀微粒子の精製は少なくとも2回行ない、沈殿物として銀微粒子を得る。
分散工程は、遠心分離工程を経た銀微粒子を溶媒に分散してインク化するものであり、例えばオクタン、ブタノールの混合溶媒(4:1)に銀濃度が20〜50wt%になるように溶解して銀インクとする。混合溶媒には微量のヘキシルアミン、ドデシルアミン及びオレイン酸が含まれていることになる。
シュウ酸銀を予め有機溶剤によって湿潤させておくと、シュウ酸銀とアルキルアミンの混練の際に、銀化合物の急激な分解反応やアルキルアミンの構成成分の蒸発を抑制することができる。有機溶剤が30wt%未満のときは抑制効果が不充分であり、200wt%を超えると抑制過剰となる。
なお、第1工程において混練が可能であれば、必ずしもシュウ酸銀は湿潤させなくともよいが、この場合はシュウ酸銀とアルキルアミンを少量ずつ混練していく等の、混練に精密な制御が必要となる。
被覆銀微粒子を製造する際に、銀化合物として、カルボン酸銀、塩化銀、硝酸銀等を使用できるが、分解により容易に金属銀を精製し、且つ、銀以外の不純物を生じ難いという観点からシュウ酸銀が好ましい。
上記のように、被覆銀微粒子中の銀濃度は、遠心分離工程でのメタノール洗浄後の銀沈殿物をTG−DTA測定することで決定される。又、銀微粒子インク中に存在している保護剤の組成については、最終的な銀微粒子インクをFIDのキャピラリーカラムを持つガスクロマトグラフに直接打ち込むことによってアミン成分の分析を行なうことができる。
最終的に銀微粒子インクに含まれるヘキシルアミン対ドデシルアミンのモル比は、3:1〜60:1であり、好ましくは3:1〜9:1の範囲である。また、銀微粒子インクに含まれるオレイン酸量が銀重量に対して0.02〜0.30mmol/gとなる。比率が上記の範囲を超えると、成膜が不完全であったり、焼結体の体積抵抗が大きかったり、銀微粒子の均一性が悪いインクとなる。
上記各工程を経て得られた銀微粒子インクを用いる成膜は、例えば、PETフィルム等の基材(基板)を回転させて、この上に銀微粒子インクを滴下してスピンコートすることによりできる。成膜された銀は、基材と共に、室温空気中で5分程度乾燥させた後に、乾燥機により100℃で加熱することによって焼結させる。
このとき、時間毎に、フィルムの体積抵抗を測定することによって、最適な焼結時間を決定することができる。又、焼結した銀の膜厚は、SEM観察から算出できる。
分散工程における溶媒としては、例えばn−オクタンとn−ブタノール混合溶液が、被覆銀微粒子の分散に好ましい。
本発明においては、シュウ酸銀がアルキルアミンと混合される前に、有機溶剤により湿潤されているので、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンと混合した際に、シュウ酸銀の分解反応及びアルキルアミンの構成成分の蒸発を十分に抑制することができ、反応が均一に進行しN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン配位銀錯体が生成する。
さらに、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン配位銀錯体にヘキシルアミンとドデシルアミン及びオレイン酸を添加する第2工程においても、有機溶剤の存在により、生成する銀粒子表面の保護剤組成が均一になる。
有機溶剤が無い場合はN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン配位銀錯体が生成する際に、攪拌が困難な固形物となり、ここにヘキシルアミンとドデシルアミン及びオレイン酸を加え銀粒子を生成させても、固体と液体の反応になるため、その界面のみで反応が進行し不均一となり、個々の銀微粒子に吸着する保護剤組成にバラつきが出る。例えば、炭素数の多いドデシルアミンが表面にリッチな粒子が存在すると、焼結時にドデシルアミンの沸点が高いためその焼結時間が長くなると考えられる。また、ドデシル基同士の疎水性相互作用により保護剤膜が安定化するため焼結しにくくなることが予想される。
結果として、正確な理由は未解明であるが、銀微粒子インクをPET基板に塗布してすぐ(0〜5分間程度)に、100℃という低温で焼結することができた。又、焼結体は、鏡面を有し、更に、その体積抵抗は12μΩ・cm以下と良好な結果が得られた。また、銀微粒子インクを基板に塗布し、200℃で焼成した場合その体積抵抗は2μΩ・cm以下となった。
[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
実施例に係る銀微粒子インクを、以下のように製造した。
第1工程では、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンを30〜200wt%の有機溶剤により湿潤されたシュウ酸銀と共に混練し、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン配位銀錯体を形成した。第2工程では、第1工程の混合物に、へキシルアミン(炭素数6)及びドデシルアミン(炭素数12)と脂肪酸であるオレイン酸(炭素数19)を加えて混練した。
詳細には、第1工程で、シュウ酸銀は、硝酸銀とシュウ酸二水和物から合成して、これに有機溶剤を加えた。本実施例では、全アルキルアミンのモル数が概ねシュウ酸銀に対して4〜6倍モル量になるようにアルキルアミンを添加した。シュウ酸銀分子内には2個の銀原子が存在するため、上記のアルキルアミンの量は、銀原子を基準にすると2〜3倍モル量に相当する。具体的には、有機溶剤30wt%湿潤シュウ酸銀2.17g(Ag=10.0mmol)、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン0.78g(7.61mmol)とした。シュウ酸銀の投入後、室温でクリーム状になるまで混練することで、シュウ酸銀を白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で混練を終了した。
第2工程では、第1工程での混合物に対して、n−ヘキシルアミン1.16g(11.42mmol)と、n−ドデシルアミン0.18g(0.95mmol)とを加え、更に、オレイン酸0.042g≒44.9μL(Agに対して1.5mol%)を加えて、これを室温でクリーム状になるまで混練し、第1工程と同様に、外見的に変化が終了したと認められる時点で混練を終了した。
上記で得られる粘性のある白色物質について、アルキルアミンが溶解可能なジエチルエーテルを加えることで白色物質に結合していない未反応のアルキルアミンを分離除去した後、残留する白色物質のIRスペクトルを測定したところ、アルキルアミンのアルキル鎖に起因する吸収が観察された。このことから、上記で得られた白色物質はシュウ酸銀とアルキルアミンが結合してなるものであることが示され、シュウ酸銀の銀原子に対してアルキルアミンのアミノ基が配位結合してなる錯化合物であると推察された。
第3工程では、得られた錯化合物をオイルバスに移して、100℃の温度設定で加熱混練を行った。混練の開始後すぐに二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで混練を行うことで、青色光沢を呈する銀微粒子がアミン混合物中に懸濁した懸濁液を得た。
次に、遠心分離工程では、前記懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール4gを加えて撹拌後、遠心分離により銀微粒子を沈殿させ、且つ、上澄み液を除去して分離し、分離した銀微粒子に対し、再度メタノール4gを加え、撹拌、遠心分離を行うことで銀微粒子を沈殿させて分離した。
分散工程では、前記銀微粒子に、混合後の銀濃度が1〜50wt%好ましくは20〜50wt%になるようにn−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒(体積比1:4)を加えて溶解し、濃黄橙色の被覆銀微粒子が独立分散した銀微粒子インクを得た。この濃黄橙色は、製造された被覆銀微粒子において、銀微粒子の表面原子が化合物などを形成することなく金属状態であることにより、金属銀に起因する極大波長が396mm程度の表面プラズモンバンドを示していること、及び、溶媒中で銀ナノ微粒子が独立分散していることを示すものである。なお、n−ブタノールとn−オクタン以外の溶媒、例えばペンタノール、デカンを用いてもよい。
銀微粒子インクのTEM写真を図1に示す。図1から銀微粒子が良好に分散し、且つ、平均粒子径が10〜15nmの範囲にあることが判る。
銀微粒子中の銀濃度はメタノール洗浄後の沈殿物をTG−DTA測定することで決定した。
又、メタノールを加え遠心分離したAg沈殿物を各溶媒に溶解して作製した銀微粒子インクをFIDのキャピラリーカラムを持つ(GC)ガスクロマトグラフに直接打ち込むことでアミン成分の分析を行ない、銀微粒子に吸着している保護剤の組成を調べた。
又、本銀微粒子インクをスピンコートすること(1000〜2000回転させたPETフィルム上にAgインクを滴下し)で、PET上に銀を成膜した。得られた銀コートPETフィルムを樹脂埋めし、その後研磨により銀被膜断面を得た。このSEM観察を行いその膜厚を測定したところ、各銀被膜の膜厚は500nm程度であった(図2)。各加熱時間で銀製膜フィルムの電気抵抗を測定した。電気抵抗は、四探針法(ロレスタ‐GP三菱化学アナリテック)で行った。体積抵抗は、SEM観察より見積もった銀被膜の膜厚から算出した。
図3に、次の実験例2、6、8及び比較例1で作製した銀微粒子インクを、スピンコートにより製膜し、焼成温度100℃で焼結(膜厚500nm)させた場合の焼成時間と体積抵抗の実測値での関係を示す。なお、体積抵抗の最小値は、100℃の加熱により12μΩ・cmとなり、200℃の加熱では2μΩ・cmとなった。
[実験例]
表1に実験例1〜15を示す。また比較例1〜8を表2に示す。
実験例1〜8及び比較例2〜4は各種有機溶剤による湿潤あり、比較例1は湿潤なし、実験例9〜12及び比較例8は、最終的に分散させる有機溶媒の種類を検討している。実験例13〜15及び比較例5〜7ではシュウ酸銀に対するN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイン酸の添加量を検討し銀微粒子インクを作製したものである。
実験例1〜15は、銀微粒子インクが合成でき、1ヶ月以上沈殿を生成しない安定なインクとなる。一方、比較例3では、銀微粒子の合成が出来ず、インクは得られない。さらに比較例4、6、8では、銀微粒子は合成できるものの、その後、銀沈殿が生成し、安定性の悪いインクとなる。
表3は、実験例1〜15及び表4は比較例1〜8でそれぞれ作製した銀微粒子インク中に含まれるヘキシルアミンとドデシルアミンのモル比、及びオレイン酸mmolと銀重量g比、及びインクをPETフィルム上にスピンコートし焼結体を100℃で形成したときの体積抵抗値(20分加熱と120分加熱時の)結果を示す。また、表3、4に、100℃で焼結させた膜の表面を目視により観察し、鏡面(○)、くすみ(△)、濁り(×)の3段階での評価を示す。
安定な銀微粒子インクが合成可能な実験例1〜15のヘキシルアミンとドデシルアミンの比率は3〜60となり、オレイン酸量が銀重量に対して0.025〜0.098mmol/gの範囲であった。また、実験例1〜15ではPET基板にスピンコート後、100℃で焼結したときの体積抵抗値が20分で、50.108μΩ・cm以下となり短時間で電気抵抗が下がり、鏡面状の銀膜となった。
一方で、シュウ酸銀を有機溶剤で湿潤させずに作製した比較例1では、安定な銀微粒子インクが出来るものの、PET基板にスピンコート後、100℃で焼結したときの体積抵抗値が20分で、60μΩ・cmを上回り、湿潤で作製した場合よりも体積抵抗の下がりが遅い。また、120分加熱しても25μΩ・cmを下回る体積抵抗にはならない。また、焼結後の銀膜面はくすんでいた。
比較例4では、体積抵抗が非常に高く伝導性の低い膜になる。これはテトラデカンでシュウ酸銀を湿潤させ銀微粒子インクを合成しているが、最終的なインクの状態になってもインク中には若干テトラデカンが残っているため、インクを100℃で焼結させた際には、沸点が高いテトラデカンが残留し、電気抵抗が下がらないと考えられる。また、焼結後の銀膜面は濁っていた。
比較例5では、デカン湿潤で、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンの添加量が通常の3倍で作製したものであり、銀微粒子インクの合成は可能であるが、インクの安定性は悪い。これは保護剤として銀微粒子表面にN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンが多く吸着し、その他保護剤の吸着量が十分でないためと考えられる。
比較例6はデカン湿潤で、オレイン酸の添加量が通常の3倍で作製したものであり、安定性の非常に高い銀微粒子インクが得られる。インク中のオレイン酸量が銀重量に対して0.3mmol/g以上でありインク中のオレイン酸量が実験例1〜15に対して過剰に多くなっている。これを製膜すると体積抵抗が非常に高く伝導性の低い膜になる。また、焼結後の銀膜面は濁っていた。
比較例7はデカン湿潤で、オレイン酸の添加量が通常の1/3倍で作製したものであり、製膜すると体積抵抗が低く、良好な伝導性を有するが、インクの長期安定性が悪く、1ヶ月程度で沈殿が生ずる。これは、インク中のオレイン酸量が銀重量に対して0.02mmol/gしかないことに起因している。
比較例8では、デカン湿潤で、溶媒にテトラデカン/ブタノール(7:3)を用いたもので、安定な銀インクが得られる。しかし、沸点の高いテトラデカンを多量に含むので、製膜すると体積抵抗が非常に高く伝導性の低い膜になる。
最終的な銀微粒子インク中に含まれるヘキシルアミン/ドデシルアミンの比率は、作製した銀微粒子インクをガスクロマトグラフィーで分析し、算出した。分析方法を以下に示す。
カラム:Stabilwax−DB 30m×0.25mmID、 膜厚0.25μm
昇温条件:80℃(保持5min)〜200℃(保持20min)、昇温20℃/min注入口温度:200℃、スプリット方式(20:1)
検出器温度:210℃、FID(水素炎イオン検出器)
キャリアガス:ヘリウム 160kPa
注入量:1μL
上記の方法でサンプルを分析した場合、2.45〜2.65min.にヘキシルアミンに由来するピークが、3.10〜3.30min.にジアミンに由来のピークが、10.40〜10.50min.にドデシルアミンに由来するピークが検出される(図5)。これらのピーク面積と、事前に作製した検量線からAgインク中に含まれる各保護剤濃度を決定した。
最終的な銀微粒子インク中に含まれるオレイン酸モルと銀重量の比率は、作製した銀微粒子インクをガスクロマトグラフィーで分析し、算出した。分析方法を以下に示す。
カラム:Stabilwax−DA 30m×0.25mmID、 膜厚0.25μm
カラム温度:250℃
注入口温度:250℃、スプリット方式(20:1)
検出器温度:230℃、FID(水素炎イオン検出器)
キャリアガス:ヘリウム 160kPa
注入量:1μL
上記の方法でサンプルを分析した場合、11.90〜12.35min.にオレイン酸由来のピークが検出される(図6)。このピーク面積と、事前に作製した検量線からAgインク中に含まれる各保護剤濃度を決定した。
本発明に係る銀微粒子インクは、塗布焼結したとき、塗膜の焼結体の体積抵抗が小さく、且つ、鏡面となるので、プリント配線板における導電性銀配線に用いることができる。又、焼結体は鏡面であるので、光学的な反射面を容易に形成することができる。

Claims (7)

  1. 銀微粒子を溶媒により分散してなるナノサイズ銀微粒子インクであって、30〜200wt%の有機溶剤により湿潤されたシュウ酸銀を銀材料とした銀微粒子を前記溶媒に1wt%以上、50wt%以下になるように溶解し、ナノサイズ銀微粒子インクをFIDのキャピラリーカラムを持つガスクロマトグラフィーで分析し、少なくともヘキシルアミン、ドデシルアミン及びオレイン酸を含み、ヘキシルアミン対ドデシルアミンのモル比は、3:1〜60:1であり、オレイン酸量が銀質量に対して0.02mmol/g以上0.30mmol/g以下であり、スピンコートで基板に塗布して形成した銀膜を、室温で5分間乾燥後、100℃で焼結させた焼結体の体積抵抗率が8μΩ・cm以上25μΩ・cm以下であることを特徴とするナノサイズ銀微粒子インク。
  2. 請求項1において、
    前記溶媒は、アルカン類とアルコール類の少なくとも2種類以上を含んでなり、アルカン類とアルコール類の混合比率が2:1から4:1であることを特徴とするナノサイズ銀微粒子インク。
  3. 請求項1において、
    前記銀粒子が平均粒径10nm以上15nm以下であることを特徴とするナノサイズ銀微粒子インク。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    常温常圧で保管した際、作製から1ヶ月経過したとき、銀沈殿が目視により、確認されないナノサイズ銀微粒子インク。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    基板に塗布して形成した銀膜を、室温で5分間乾燥後、100℃で焼結させた際、12μΩ・cm以下の体積抵抗になるナノサイズ銀微粒子インク。
  6. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    基板に塗布して形成した銀膜を、室温で5分間乾燥後、100℃で焼結させた際、焼結して形成された銀微粒子焼結体の表面が鏡面となるナノサイズ銀微粒子インク。
  7. 請求項1乃至のいずれかのナノサイズ銀微粒子インクを塗布し、その後100℃で焼結してなり、表面が鏡面である銀微粒子焼結体。
JP2014179615A 2014-09-03 2014-09-03 ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体 Active JP6068406B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014179615A JP6068406B2 (ja) 2014-09-03 2014-09-03 ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014179615A JP6068406B2 (ja) 2014-09-03 2014-09-03 ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012175456A Division JP5647650B2 (ja) 2012-08-07 2012-08-07 銀微粒子インクの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015017264A JP2015017264A (ja) 2015-01-29
JP6068406B2 true JP6068406B2 (ja) 2017-01-25

Family

ID=52438543

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014179615A Active JP6068406B2 (ja) 2014-09-03 2014-09-03 ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6068406B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210028030A (ko) * 2019-09-03 2021-03-11 김승용 능동형 환풍기 제어 장치 및 방법
KR20210029239A (ko) 2018-08-30 2021-03-15 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 저온 소성용의 은 잉크

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2535214A (en) 2015-02-13 2016-08-17 Dst Innovation Ltd Printable conductive ink and method of forming transparent printed electrodes
JP6528270B2 (ja) * 2015-03-31 2019-06-12 トッパン・フォームズ株式会社 金属インク組成物及び配線板

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5574761B2 (ja) * 2009-04-17 2014-08-20 国立大学法人山形大学 被覆銀超微粒子とその製造方法
JP5791146B2 (ja) * 2010-08-03 2015-10-07 バンドー化学株式会社 コロイド分散液

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210029239A (ko) 2018-08-30 2021-03-15 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 저온 소성용의 은 잉크
KR20210028030A (ko) * 2019-09-03 2021-03-11 김승용 능동형 환풍기 제어 장치 및 방법
KR102279567B1 (ko) * 2019-09-03 2021-07-20 김승덕 능동형 환풍기 제어 장치 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015017264A (ja) 2015-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5647650B2 (ja) 銀微粒子インクの製造方法
US10071426B2 (en) Coated metal fine particle and manufacturing method thereof
JP6068406B2 (ja) ナノサイズ銀微粒子インク及び銀微粒子焼結体
CN106660129A (zh) 银微粒子分散体、银微粒子及其制造方法
JP2014034602A5 (ja)
KR102284027B1 (ko) 코어쉘형 금속 미립자의 제조방법, 코어쉘형 금속 미립자, 도전성 잉크 및 기판의 제조방법
CN102642094B (zh) 接合用浆料及半导体元件与基板的接合方法
TWI734797B (zh) 導電性糊及導電性圖案的形成方法
CN107530782A (zh) 银微粒子组合物
WO2012063659A1 (ja) 銀粒子含有組成物、分散液ならびにペーストおよびそれぞれの製造方法
WO2013115300A1 (ja) 金属微粒子を含む膜の導体化方法
JP5588475B2 (ja) 微小金属粒子含有組成物
JP7190449B2 (ja) 銀ナノ微粒子の製造方法および銀ナノ微粒子を含む銀ペースト
JP5705150B2 (ja) 金属微粒子分散液およびその製造方法
JP6715588B2 (ja) 金属複合粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6068406

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250