JP2016138262A - 硫化防止コーティング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】密着性の高い硫化防止コーティング剤の提供。【解決手段】式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステルと、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルと、カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーと、を含むモノマー成分を重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系共重合体と、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基又はアルコキシ基とケイ素原子に結合したエポキシ基含有基とを含むシロキサンオリゴマーと、を、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボン又総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤。【選択図】なし

Description

本明細書に開示された技術は、硫化防止コーティング剤に関する。
発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子を用いた発光装置の一例として、パッケージに形成された凹部の底面に金属製のリードを露出させると共に、このリード上にLED素子を配置し、凹部に封止樹脂を充填することでLED素子を封止した装置が挙げられる。封止樹脂の表面には、コーティング層が配置されることがある(特許文献1参照)。
特開2013−179124号公報
封止樹脂には、耐熱性、耐光性に優れたシリコーン樹脂が使用されることが一般的である。一方、コーティング層には、リードの表面に施された銀メッキの硫化防止を目的として、フッ素系樹脂が使用されることがある。しかし、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂は、共に他の材料に対する密着性が低い材料であるため、密着性を向上させる技術の開発が求められている。
本明細書に開示された技術は、下記一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、下記一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系共重合体と、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基またはアルコキシ基とケイ素原子に結合したエポキシ基含有基とを含むシロキサンオリゴマーとを、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤である。
Figure 2016138262
(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
Figure 2016138262
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは、Rが水素の場合、炭素数4〜8の直鎖状または分岐状アルキル基であり、かつRがメチル基の場合、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
Figure 2016138262
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、nは、4〜6の整数を示す。)
本発明によれば、密着性の高い硫化防止コーティング剤を提供することができる。
本明細書に開示された技術は、下記一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、下記一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系共重合体と、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基またはアルコキシ基とケイ素原子に結合したエポキシ基含有基とを含むシロキサンオリゴマーとを、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤である。
Figure 2016138262
(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
Figure 2016138262
(式中、Rは水素またはメチル基、Rは、Rが水素の場合、炭素数4〜8の直鎖状または分岐状アルキル基であり、かつRがメチル基の場合、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
Figure 2016138262
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、nは、4〜6の整数を示す。)
まず、硫化防止コーティング剤に含まれるフッ素系共重合体について説明する。フッ素系共重合体は、一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーとを含むモノマー成分を、重合させて得られる。
一般式(1)中のRは、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、isoブチル基、tertブチル基が挙げられる。一般式(1)で表されるメタクリル酸エステル(メタクリレート)としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−,tert−,iso−の各ブチルメタクリレートなどが挙げられ、これらの化合物は一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートから選ばれる一種以上が好ましい。
一般式(2)中のRは、Rが水素の場合、炭素数4〜8の直鎖状または分岐状アルキル基であり、かつRがメチル基の場合、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキル基であり、具体的には、n−ブチル基、isoブチル基、tertブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基などのオクチル基が挙げられる。一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル(メタクリレート、アクリレート)としては、n−,tert−,iso−の各ブチルアクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの化合物は一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−エチルヘキシルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートから選ばれる一種以上であるのが、好ましい。本明細書において、(メタ)アクリレートとはメタクリレートとアクリレートとを含む。
一般式(3)中のRは、水素又はメチル基であり、nは4〜6である。一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーとしては、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのフッ素含有モノマーは一種または二種以上を組み合わせてもよい。
カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーは、上記一般式(1)〜(3)と共に、フッ素系共重合体を重合するためのモノマー成分として利用される。カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシフタル酸、2−メタクロイロキシエチル−コハク酸、2‐メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸、2−アクリロイロキシフタル酸、2−アクロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。これらのカルボキシル基を含有する官能基含有モノマーは一種または二種以上を組み合わせてもよい。
硫化防止性能、および密着性を損なわない範囲であれば、上記一般式(1)〜(3)で表されるモノマー、及びカルボキシル基を含有する官能基含有モノマーに加えて他のモノマーを共重合させることも可能である。例えば、機能性を付与するためにカルボキシル基、ヒドロキシル基、グリシジル基、アミド基、アルコキシシリル基等のカルボキシル基以外の極性官能基を有する官能基含有モノマーを共重合することが可能である。具体的には、例えばアルコキシシリル基を含むγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、グリシジル基を含むグリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を含むヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を例示することができる。官能基含有モノマーは1種だけでもよく、2種以上を共重合させても良い。
重合法としては例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等を用いることができる。例えば、溶液重合法の場合には、各モノマーを所望のモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することによりフッ素系共重合体を得ることができる。
重合の際に用いられる溶媒としては、モノマーを溶解又は懸濁し得るものであればいかなる溶媒でも用いることが可能であり、例えば、水、又はトルエン、キシレン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒があり、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。フッ素系共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとを所定割合で含む幹モノマー成分を重合させて得られる幹ポリマーに、所定割合の一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーを重合させて得られるグラフト共重合体であってもよい。
フッ素系共重合体がランダム共重合体である場合、一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、を含むモノマー成分と、重合溶媒と、重合開始剤を加えて公知の重合法により重合を行うことによりフッ素系共重合体が得られる。
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。比較的高分子量の共重合体を得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。フッ素系共重合体の数平均分子量(Mn)は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算で、20000〜100000程度であることが好ましい。フッ素系共重合体のガラス転移温度は0〜50℃程度が好ましい。
フッ素系共重合体がランダム共重合体である場合、モノマー成分には、モノマー成分の全質量に対して、一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルが53質量%以上72質量%以下と、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが22質量%以上35質量%以下と、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーが1質量%以上12質量%以下と、カルボキシル基を含有する官能基含有モノマーが0.1質量%以上5質量%以下の割合で含まれることが好ましい。
一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルが53質量%以上であると硫化水素の透過が少なく、バリア性能に優れる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが22質量%以上であると柔軟性が確保され、熱衝撃等に耐えられる。
一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーが12質量%以下であると硫化防止性能に優れる。
カルボキシル基を含有する官能基含有モノマーの含有割合が上記範囲であると、密着性に優れる。
フッ素系共重合体がグラフト共重合体である場合、まず、上記一般式(1)のモノマーおよび一般式(2)のモノマーを含む幹モノマー成分を公知の重合法によって、重合して幹ポリマーを得る。重合方法としては、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等があげられる。ここで、例えば、溶液重合法の場合には、各モノマーを所望のモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することにより幹ポリマー(ランダム共重合体)を得ることができる。
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。幹ポリマーの平均分子量(Mn)は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)換算で、10000〜50000程度であることが好ましい。重合度が小さくなると、グラフト共重合体を膜とした場合の膜強度が低下し、また、あまりに重合度が大きすぎるとグラフト共重合体の不燃性溶剤に対する溶解性が低下する傾向にあるからである。
さらに、幹ポリマーに、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーをグラフト重合させる。グラフト共重合体は、幹ポリマーと一般式(3)のモノマーを公知の重合法によって、グラフト重合して調製することができる。例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等を用いることができるが、比較的簡易な装置で行うことができることから、溶液重合法が好ましい。
このグラフト重合は、一般式(1)のモノマーと一般式(2)のモノマーとを反応させて幹ポリマーを合成した反応溶媒中に、一般式(3)のモノマー及び開始剤を入れて行ってもよい。あるいは、一旦、幹ポリマーを反応溶媒中から取り出して、改めて幹ポリマーを溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液中に一般式(3)のモノマー及び開始剤を入れて行ってもよい。
グラフト重合開始剤としては、過酸化物であれば特に制限されず、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクメルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロパノールパーオキシジカーボネート等の公知のものを幅広く使用できる。これらの過酸化物は1種または2種以上組み合わせて使ってもよい。
グラフト重合に、過酸化物を用いることで幹ポリマー中の水素が引き抜かれ、幹ポリマー中にラジカルが発生し、グラフト化起点が生成する。なお、過酸化物を用いることで、容易な操作、かつ低コストにてグラフト共重合体を得ることができる。なお、重合時間は特に制限されない。
フッ素系共重合体がグラフト共重合体である場合、モノマー成分には、モノマー成分の全質量に対して、一般式(1)のモノマーが45質量%以上75質量%以下、一般式(2)のモノマーが15質量%以上30質量%以下、一般式(3)のモノマーが0.5質量%以上35質量%以下、カルボキシル基を含有する官能基含有モノマーが0.1質量%以上5質量%以下の割合であることが好ましい。
一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルが45質量%以上であると硫化水素の透過が少なく、バリア性能に優れる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが15質量%以上であると柔軟性が確保され、熱衝撃等に耐えられる。
一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーが35質量%以下であると硫化防止性能に優れる。
カルボキシル基を含有する官能基含有モノマーの含有割合が上記範囲であると、密着性に優れる。
上記範囲において、幹ポリマーと一般式(3)のモノマーとをグラフト重合させると、グラフト鎖の分子量(Mn)は、1000〜50000程度となり、グラフト共重合体の平均分子量(Mn)は、PMMA換算で、20000〜100000程度となり、そのガラス転移温度は0〜50℃程度となる。
官能基含有モノマーをさらに共重合したグラフト共重合体を得るためには、一般式(1)のモノマーと一般式(2)のモノマーと官能基含有モノマーとを共重合して幹ポリマーを調製し、これに一般式(3)のモノマーをグラフト重合させても良い。あるいは、一般式(1)のモノマーと一般式(2)のモノマーとを共重合して幹ポリマーを調製し、これに一般式(3)のモノマーをグラフト重合する際に官能基含有モノマーを共重合させても良い。あるいは、一般式(1)のモノマーと一般式(2)のモノマーと官能基含有モノマーとを共重合して幹ポリマーを調製し、これに一般式(3)のモノマーをグラフト重合する際に官能基含有モノマーを共重合させても良い。
次に、シロキサンオリゴマーについて説明する。シロキサンオリゴマーは、アルコキシシランを縮合または共縮合してできるオリゴマーであって、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基またはアルコキシ基とケイ素原子に結合したエポキシ基含有基とを含む。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等を例示することができ、メトキシ基が特に好ましい。
エポキシ基含有基としては、γ−グリシドキシプロピル基、β−グリドキシエチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等の、アルキレン基等の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したエポキシ基を含有する基を例示することができる。
シロキサンオリゴマーは、エポキシ基がフッ素系共重合体のカルボキシル基と反応して結合すると考えられる。また、シリコーン樹脂と同じSiを含むため、シリコーン樹脂と一体化(相溶)すると考えられる。これらの作用が、シリコーン樹脂に対する硫化防止コーティング剤の接着性の向上に寄与するものと考えられる。
このシロキサンオリゴマーとしては、例えば、下記式(4)で示されるオリゴマーを例示することができる。
Figure 2016138262
(式中、Rはヒドロキルシ基またはアルコキシ基であり、Rは水素原子、1価の置換もしくは非置換の炭化水素基またはエポキシ基含有基であり、nは1〜100の整数を示す。ただし、Rのうち少なくとも1個はエポキシ基含有基である。)
シロキサンオリゴマーは、フッ素系共重合体の樹脂量100重量部に対し1重量部以上、10重量部以下の比率で含まれていることが好ましい。1重量部以上であればある程度の密着性向上効果が得られ、10重量部の添加で充分な密着性向上効果が得られる。
次に、溶剤について説明する。フッ素系共重合体及びシロキサンオリゴマーは、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解され、硫化防止コーティング剤とされる。
総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンの具体例としては、下記化合物があげられる。
Figure 2016138262
総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルとしては、下記化合物があげられる。
Figure 2016138262
これらのうち、−20℃でも凝固しないという点で、一般式(9)で表される化合物(2,2,2−トリフルオロエチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル)が好ましい。一般式(9)で表される化合物を溶剤の全質量に対して10質量%以上含む溶剤が特に好ましい。
硫化防止コーティング剤の塗布方法としては、ディスペンサー法、浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、ロールコート法など公知の方法が採用可能であり、生産方法、部品の形態により適宜選択することが可能である。なお、硫化防止コーティング剤には、実用性を向上させるために、酸化防止剤、紫外線安定剤、フィラー等各種添加剤を添加することも可能である。
また、硫化防止膜の形成時においては、硫化防止コーティング剤を塗布後、常温で乾燥するのみでも良く、加熱処理しても良い。常温で乾燥させれば工程短縮が図れ、省エネルギー化でき、加熱すれば、硬度および防錆性が付与される。特に、官能基含有モノマーを共重合した場合において、加熱による硬度および防錆性の向上効果が顕著である。
[試験例]
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1に記載されているモノマー成分と重合溶媒とを用いてポリマーを作製した後、当該ポリマーを溶剤に溶解してコーティング剤を作製した。
<コーティング剤の作製>
(コーティング剤1:重合例1(ランダム共重合体))
メチルメタクリレート(MMA)71.5g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)24g、パーフルオロブチルアクリレート(C4アクリレート)4g、メタクリル酸0.5g、ゼオローラH150gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、系内(フラスコ内)を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、0.1gのジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)をゼオローラH1gに溶解し重合液に加え、さらに3時間重合を継続した。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600g加えて攪拌し、コーティング剤1を得た。
コーティング剤1gをアルミカップに取り、150℃で1時間加熱して溶剤を取り除いて得られた重合体をGPC(ゲルパーミレーションクロマトグラフ)で測定したところPMMA換算でMn(数平均分子量)が57,000、Mw(重量平均分子量)が170,000であった。
(コーティング剤2、6〜10:重合例2、6〜10(ランダム共重合体))
表1に記載の種類のモノマーを表1に記載の量で用いて重合したこと以外はコーティング剤1と同様にして、重合例2、6〜10を実行し、コーティング剤2、6〜10を得た。各コーティング剤について、重合体の分子量Mn、Mwを表2に記載した。
(コーティング剤3:重合例3(グラフト共重合体))
メチルメタクリレート(MMA)73.5g、n−ブチルアクリレート(nBA)25g、メタクリル酸0.5g、シクロヘキサン100gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、常温で空間部を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、回転数を150rpmに設定した。次に、ビス(4―t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2gをトルエン1gに溶解し、この溶液を重合液の入っているフラスコに添加した。その後、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6メタクリレート)1gを1分かけてフラスコに滴下した後、さらに3時間重合を継続した。窒素ガスは重合終了まで流し続けた。
重合終了後20℃まで冷却すると、白色の餅状の重合体が重合溶媒と分離して沈降していたので、真空乾燥で溶剤を取り除き重合体を得た。重合体のGPCを測定したところPMMA換算でMnが42,000、Mwが95,000であった。
重合体を5g、ゼオローラHを100g、AE−3000を145gに溶解しコーティング剤3を作製した。
(コーティング剤4:重合例4(グラフト共重合体))
メチルメタクリレート(MMA)64.5g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)25g、メタクリル酸0.5g、シクロヘキサン100gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、常温で空間部を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、回転数を150rpmに設定した。次に、ビス(4―t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2gをトルエン1gに溶解し、この溶液を重合液の入っているフラスコに添加した。その後、パーフルオロブチルエチルメタクリレート(C4メタクリレート)10gを10分かけてフラスコに滴下した後、さらに3時間重合を継続した。窒素ガスは重合終了まで流し続けた。
重合終了後20℃まで冷却すると、白色の餅状の重合体が重合溶媒と分離して沈降していたので、真空乾燥で溶剤を取り除き重合体を得た。重合体のGPCを測定したところPMMA換算でMnが35,000、Mwが78,000であった。
重合体を5g、ゼオローラHを100g、AE−3000を145gに溶解しコーティング剤4を作製した。
(コーティング剤5:重合例5(グラフト共重合体))
メチルメタクリレート(MMA)49g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)17g、メタクリル酸1g、シクロヘキサン100gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、常温で空間部を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、回転数を150rpmに設定した。次に、ビス(4―t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.2gをトルエン1gに溶解し、この溶液を重合液の入っているフラスコに添加した。その後、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6メタクリレート)33gを30分かけてフラスコに滴下した後、さらに3時間重合を継続した。窒素ガスは重合終了まで流し続けた。
重合終了後20℃まで冷却すると、白色の餅状の重合体が重合溶媒と分離して沈降していたので、真空乾燥で溶剤を取り除き重合体を得た。重合体のGPCを測定したところPMMA換算でMnが26,000、Mwが58,000であった。
重合体を5g、ゼオローラHを100g、AE−3000を145gに溶解しコーティング剤5を作製した。
(コーティング剤11)
コーティング剤1と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のシランカップリング剤「MP−200」を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤11を得た。
(コーティング剤12)
コーティング剤3と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のシランカップリング剤「MP−200」を、重合体の樹脂量100重量部に対して5重量部となるように添加して、コーティング剤12を得た。
(コーティング剤13)
コーティング剤4と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤としてシランカップリング剤「MP−200」を、重合体の樹脂量100重量部に対して1重量部となるように添加して、コーティング剤13を得た。
(コーティング剤14)
コーティング剤5と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤としてシランカップリング剤「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤14を得た。
(コーティング剤15〜27)
重合体として表4,5に記載された重合例のものを用いつつ、表4、表5に記載の密着性向上剤を表4、表5に記載の配合量で加えた他はコーティング剤11と同様にして、コーティング剤15〜27を得た。
各コーティング剤の作製に用いたモノマーは以下の通りである。カッコ内は表中の記載である。
一般式(3)で表されるフッ素含有モノマー(フッ素系モノマー)としては、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6メタクリレート)、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート(C6アクリレート)、パーフルオロブチルエチルメタクリレート(C4メタクリレート)、パーフルオロブチルエチルアクリレート(C4アクリレート)を用いた。
一般式(1)で表されるメタクリル酸エステル[式(1)のモノマー]としては、メチルメタクリレート(MMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)を用いた。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル[式(2)のモノマー]としては、n−ブチルアクリレート(nBA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)を用いた。
一般式(1)〜(3)で表されるモノマーに加えて用いる他のモノマー(官能基モノマー)としては、カルボキシル基を含有するメタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸を用いた。
表中、フッ素系モノマーの欄、式(1)のモノマー欄、式(2)のモノマーの欄、官能基モノマーの欄に記載の数値はモノマー成分の全質量を100としたときの各成分の配合割合である。
重合溶媒および溶剤としては、シクロヘキサン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン(株)製「ゼオローラH」)、2,2,2−トリフルオロエチル1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル(旭硝子(株)製「アサヒクリン AE−3000」)を用いた。重合溶媒の量はモノマー成分の全質量を100としたときの割合である。
Figure 2016138262
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Figure 2016138262
Figure 2016138262
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密着性向上剤としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のシランカップリング剤「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)、「MP−200」(シロキサンオリゴマー)、および、信越化学工業株式会社製「X−41−1053」「X−41−1059A」、「KR−516」(いずれもシロキサンオリゴマー)を用いた。3−グリドキシプロピルトリメトキシシランは、下記式(9)で表される化合物である。これらの一般特性を表6に示した。密着性向上剤の量は重合体の樹脂量を100としたときの割合である。
Figure 2016138262
Figure 2016138262
<ヒートショック試験>
(試験片I)
2液型メチルシリコーンのA液とB液とを混合して得られた混合液を、ガラスエポキシ基板(JIS2型くし型基板)に塗布し150℃で4時間硬化させたのち、当該基板にコーティング剤を、ディップコーター(SDI社製、マイクロディップ0408)でディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させることにより試験片Iを作製した。
(試験片II)
コーティング剤を、ガラスエポキシ基板(JIS2型くし型基板)にディップコーター(SDI社製、マイクロディップ0408)でディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させたのち、当該基板に2液型メチルシリコーンのA液とB液とを混合して得られた混合液を塗布し150℃で4時間硬化させることにより試験片IIを作製した。
(ヒートショック試験)
−60℃で試験片を30分保持し、1時間かけて120℃に昇温して試験片を30分保持し、1時間かけて−60℃とする工程を1サイクルとし、100サイクル行った後、試験片の皮膜の状態を目視により観察し、以下の基準に基づき評価し表2に示した。
◎:浮き剥がれなし
〇:剥がれはないが多少しわが寄っている
△:剥がれはないが大きなクラックが入っている
×:皮膜が剥がれている
(結果と考察)
表3〜5に示す結果より、密着性向上剤を含まないコーティング剤1〜10、および、官能基モノマーを含まないコーティング剤24では、特に、シリコーン樹脂が基板側となる試験片Iを用いたヒートショック試験において、被膜に剥がれが生じた。また、「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)を用いたコーティング剤14では、特に、試験片I、IIのいずれを用いたヒートショック試験においても、被膜に剥がれが生じた。
これに対し、シロキサンオリゴマーである「MP−200」、「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「KR−516」と、カルボキシル基含有官能基モノマーとの双方を含むコーティング剤11〜13、15〜23および25〜27では、試験片I、IIのいずれを用いたヒートショック試験においても、被膜に浮き剥がれが見られず、シリコーン樹脂に対する密着性が良好であった。シロキサンオリゴマーがフッ素系共重合体の樹脂量100重量部に対し1重量部以上添加されていれば、ある程度の密着性向上効果が得られ、10重量部の添加で充分な密着性向上効果が得られることが分かった。
また、コーティング剤25〜27の試験結果より、カルボキシル基を含有する官能基モノマーが、モノマー成分の全質量100重量部に対し0.1重量部含まれていれば、ある程度の密着性向上効果が得られ、5重量部の添加で充分な密着性向上効果が得られることが分かった。
(コーティング剤28:重合例11(ランダム共重合体))
表7に示されるように、メチルメタクリレート(MMA)71g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)24g、パーフルオロブチルアクリレート4g、アクリル酸1g、ゼオローラH150gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、系内(フラスコ内)を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、0.1gのジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)をゼオローラH1gに溶解し重合液に加え、さらに3時間重合を継続した。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)を、重合体の100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤28を得た。
(コーティング剤29)
コーティング剤28の重合例11と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「MP−200」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤29を得た。
(コーティング剤30)
コーティング剤28の重合例11と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「KR−516」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤30を得た。
(コーティング剤31:重合例12(ランダム共重合体))
アクリル酸1gに代えて、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1gを使用したこと以外は、重合例11と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)を、重合体の100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤31を得た。
(コーティング剤32)
コーティング剤31の重合例12と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「MP−200」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤32を得た。
(コーティング剤33)
コーティング剤31の重合例12と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「KR−516」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤33を得た。
(コーティング剤34:重合例13(ランダム共重合体))
アクリル酸1gに代えて、グリシジルメタクリレート(GMA)1gを使用したこと以外は、重合例11と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)を、重合体の100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤34を得た。
(コーティング剤35)
コーティング剤34の重合例13と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「MP−200」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤35を得た。
(コーティング剤36)
コーティング剤34の重合例13と同様にして重合を行った。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを1150g、AE−3000を3600gと、密着性向上剤として「KR−516」(シロキサンオリゴマー)を、重合体の樹脂量100重量部に対して10重量部となるように添加して、コーティング剤36を得た。
(重合例11〜13の分子量Mn、Mw)
重合例11〜13の各重合体について、上述したコーティング剤1等と同様、GPC(ゲルパーミレーションクロマトグラフ)を利用してMn(数平均分子量)及びMw(重量平均分子量)(PMMA換算)を求めた。結果は、表8に示した。
<ヒートショック試験>
上述した「ヒートショック試験」と同様の方法により、コーティング剤28〜36を使用した試験片I及び試験片IIを作製した。そして、上述した「ヒートショック試験」と同様の方法及び同様の評価基準により、コーティング剤28〜36を使用した試験片I及び試験片IIについて、ヒートショック試験を行った。試験結果(評価結果)は、表9に示した。
Figure 2016138262
Figure 2016138262
Figure 2016138262
表9に示されるように、アクリル酸(1%)に由来する構成単位を含む重合体(重合例11)と、「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)とを含むコーティング剤28は、ヒートショック試験の試験片IIにおいて、皮膜の浮き剥がれは無かったものの、ヒートショック試験の試験片Iにおいて、皮膜の剥がれが生じた。これに対し、重合体(重合例11)とシロキサンオリゴマーである「MP−200」とを含むコーティング剤29、及び重合体(重合例11)とシロキサンオリゴマーである「KR−516」とを含むコーティング剤30では、ヒートショック試験の試験片I及び試験片IIにおいて、何れも皮膜の浮き剥がれは発生しない結果となった。
表9に示されるように、官能基として水酸基を有するヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に由来する構成単位を含む重合体12(重合例12)を利用したコーティング剤31〜33では、密着性向上剤として、「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)、「MP−200」(シロキサンオリゴマー)及び「MP−200」(シロキサンオリゴマー)の何れを使用しも、ヒートショック試験の試験片Iにおいて、皮膜の剥がれが生じた。なお、ヒートショック試験の試験片IIでは、皮膜の浮き剥がれは無かった。
表9に示されるように、官能基としてエポキシ基を有するグリシジルメタクリレート(GMA)に由来する構成単位を含む重合体13(重合例13)を利用したコーティング剤34〜36では、密着性向上剤として、「A−187」(3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン)、「MP−200」(シロキサンオリゴマー)及び「MP−200」(シロキサンオリゴマー)の何れを使用しも、ヒートショック試験の試験片Iにおいて、皮膜の剥がれが生じた。なお、ヒートショック試験の試験片IIでは、皮膜の浮き剥がれは無かった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、下記一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、カルボキシル基を官能基として含有する官能基含有モノマーとを含むモノマー成分を重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系共重合体と、
    ケイ素原子に結合したヒドロキシル基またはアルコキシ基とケイ素原子に結合したエポキシ基含有基とを含むシロキサンオリゴマーとを、
    総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤。
    Figure 2016138262
    (式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
    Figure 2016138262
    (式中、Rは水素またはメチル基、Rは、Rが水素の場合、炭素数4〜8の直鎖状または分岐状アルキル基であり、かつRがメチル基の場合、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキル基である。)
    Figure 2016138262
    (式中、Rは、水素またはメチル基であり、nは、4〜6の整数を示す。)
  2. 前記シロキサンオリゴマーが、前記フッ素系共重合体の樹脂量100重量部に対し1重量部以上10重量部以下の比率で含まれる、請求項1に記載の硫化防止コーティング剤。
  3. 前記官能基モノマーが、前記モノマー成分の全質量に対し0.1質量%以上5質量%以下の比率で含まれる、請求項1または請求項2に記載の硫化防止コーティング剤。
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