JP2016023276A - 硫化防止コーティング剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルを49質量%以上74質量%以下と、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルを16質量%以上31質量%以下と、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーを4質量%以上33質量%以下の割合で含むモノマー成分を、ランダム重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系ランダム共重合体を、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤である。
【選択図】なし
Description
このような事情に鑑み、銀等の金属を含む部材に塗布して硫化を防止する硫化防止剤について検討が行われている(例えば、特許文献1を参照)。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、手間をかけずに硫化防止膜を形成することができるコーティング剤を提供することを目的とする。
・一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルがメチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートから選ばれる一種以上である。
・一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが、2−エチルヘキシルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートから選ばれる一種以上である。
・前記溶剤が、総炭素数が5のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上である。
・溶剤の全質量に対して、2,2,2−トリフルオロエチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテルを10質量%以上含む構成とする。
一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルと、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーと、を含むモノマー成分と、重合溶媒と、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を加えて公知の重合法により重合を行うことによりフッ素系共重合体が得られる。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが16質量%未満であると柔軟性が低下し、熱衝撃等に耐えられなくなることがある。
一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーが33質量%を超えると硫化性能が劣ることがある。硫化性能が劣る理由は、フッ素が表面だけでなく、内部にも入り込むため、界面から侵入しやすくなるためと考えられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1および表2に記載されているモノマー成分と重合溶媒を用いて各重合方法(重合方法1および2)によりポリマーを作製した後、当該ポリマーを溶剤に溶解してコーティング剤を作製した。
(重合例1)
メチルメタクリレート49.5g、2−エチルヘキシルアクリレート16.5g、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート33g、メタクリル酸1g、シクロヘキサン100gおよび重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、系内(フラスコ内)を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、0.1gのAIBNをトルエン1gに溶解し重合液に加え、さらに3時間重合を継続した。窒素ガスは重合終了まで流し続けた。重合終了後20℃まで冷却すると、透明の餅状の重合体が重合溶媒と分離して沈降していたので、真空乾燥で溶剤を取り除き重合体1を得た。重合体1のGPC(ゲルパーミレーションクロマトグラフ)を測定したところPMMA換算でMn(数平均分子量)が26,000、Mw(重量平均分子量)が58,000であった。
表1および表2に記載の種類のモノマーを表1および表2に記載の量で用いて重合したこと以外は重合例1と同様にして、重合例2、重合例13〜18を実行し、各重合体のGPCで測定したPMMA換算のMnとMwを表1および表2に示した。
(コーティング剤1〜2、13〜20の調製)
重合例1〜2、重合例13〜17で得られた各重合体を5g、表3および表4に記載の溶剤95gに溶解してコーティング剤1〜2、コーティング剤13〜20を得た。
メチルメタクリレート4g、n−ブチルメタクリレート14.5g、2−エチルヘキシルメタクリレート26g、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート55g、メタクリル酸0.5g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン(本明細書ではBTMBと略記することもある)を100gおよび重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、系内(フラスコ内)を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、0.1gのジメチル2,2´―アゾビス(イソブチレート)をゼオローラH1gに溶解し重合液に加え、さらに3時間重合を継続した。重合終了後40℃まで冷却した後、AE−3000を1800g加えて攪拌し、コーティング剤3を得た。
コーティング剤1gをアルミカップに取り、150℃で1時間加熱して溶剤を取り除いて得られた重合体をGPCで測定したところPMMA換算でMnが87,000、Mwが16,200であった。
メチルメタクリレート71.5g、2−エチルヘキシルアクリレート24g、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.5g、ゼオローラH150gおよび重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.1gを、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽根、蓋、冷却管、及び温度計をフラスコにセットした後、回転数100rpmで撹拌した。次いで、系内(フラスコ内)を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットし重合を開始した。
重合開始2時間後に、0.1gのジメチル2,2´―アゾビス(イソブチレート)をゼオローラH1gに溶解し重合液に加え、さらに3時間重合を継続した。重合終了後40℃まで冷却した後、ゼオローラHを650gとAE−3000を1100g加えて攪拌し、コーティング剤4を得た。
コーティング剤4を1gアルミカップに取り、150℃で1時間加熱して溶剤を取り除いて得られた重合体をGPCで測定したところPMMA換算でMnが38,000、Mwが10,500であった。
表1および表2に記載の種類のモノマーを表1および表2に記載の量で用いて重合したこと以外は重合例4と同様にして、重合例5〜12を実行した後、コーティング4と同様にしてコーティング剤5〜12を得た。各コーティング剤に含まれる重合体のMnとMwを、コーティング剤4と同様の方法により測定して表1および表2に示した。
重合例1〜17の樹脂に代えて、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体(SEBS樹脂)を用いてコーティング剤21を作製した。具体的にはSEBS樹脂10質量部をトルエン90質量部に溶解することによりコーティング剤21を作製した。
一般式(3)で表されるフッ素含有モノマー(フッ素系モノマー)としては、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6メタクリレート)、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート(C6アクリレート)、パーフルオロブチルエチルメタクリレート(C4メタクリレート)、パーフルオロブチルエチルメタクリレート(C4アクリレート)を用いた。
一般式(1)で表されるメタクリル酸エステル[式(1)のモノマー]としては、メチルメタクリレート(MMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)を用いた。重合例14では一般式(1)のモノマーを使わずイソボルニルメタクリレート(IBX)を用いた。
一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル[式(2)のモノマー]としては、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)、n−ブチルアクリレート(nBA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)を用いた。重合例13では一般式(2)のモノマーを使わずステアリルメタクリレート(SA)を用いた。
一般式(1)〜(3)で表されるモノマーに加えて用いる他のモノマー(添加剤)としては、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HMA)、3−メタクリロキシトリメトキシシラン(3MMS)を用いた。
表中、フッ素系モノマーの欄、式(1)のモノマー欄、式(2)のモノマーの欄、添加剤の欄、IBXの欄およびSAの欄に記載の数値はモノマー成分の全質量を100としたときの各成分の配合割合である。
重合溶媒としてはシクロヘキサン、へプタン、1,1,2,3,3,4−へプタフルオロシクロペンタン(ゼオローラH)、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン(BTMB)を用いた。重合溶媒の量はモノマー成分の全質量を100としたときの割合である。
重合方法1とは重合例1で示した方法であり、重合方法2とは重合例4で示した方法である。
上記式(7)の化合物(旭硝子(株)製、AE−3000)、上記式(4)の化合物(三井デュポンフロロケミカル(株)製、バートレルXF)、上記式(5)の化合物(日本ゼオン(株)製、ゼオローラH)、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン(BTMB)、トルエンを用いた。
上記のようにして作成したコーティング剤1〜21を用いて以下の評価試験を行い結果を表3および表4に示した。
(硫化防止試験:硫化試験後の光沢度)
銀メッキ板にコーティング剤を、ディップコーター(SDI社製、マイクロディップ0408)でディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させることにより試験片を作製した。硫化防止試験を行う前の試験片の光沢度をあらかじめ測定しておき、この測定値を光沢度(0hr)とした。光沢度の測定には、日本電色社製、Gross MeterVG7000を使用した。測定角度は20°であった。
次に、0.05%硫化アンモニウム水溶液2.5mlと試験片を100mlのガラス容器に入れて蓋をし、この測定値を光沢度(24hr)とした。銀メッキ板の光沢度の変化率(維持率)を次式により算出した。
維持率=1−{[光沢度(0hr)−光沢度(24hr)]}/光沢度(0hr)
維持率が70%以上ならば、充分な硫化防止性能を備えていると判断した。
7cm×3cmの長方形状のSUS板および銅板を基材として用い、各基材にコーティング剤を、試験例1と同様に、ディップコーターでディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させることにより試験片を作製した。
次に各試験片につき、1mm幅で横5本、縦5本の線をカッターで入れて25個のマス目ができるように碁盤目状の切り傷を付けた。切り傷はカッターガイド(JIS K 5600−5−6に規定)を用いて、カッターナイフ(JIS K 5600−5−6に規定)の刃先を壁面に対して35〜45度の範囲の一定の角度に保ち皮膜を貫通して試験片の生地面に届くように切り傷1本について約0.5秒間かけて等速に引いた。次に粘着セロハンテープ(JIS K 5600−5−6に規定)を碁盤目状の切り傷に貼り一気にはがし、残存するます目の数(X)を数えた。残存するます目の数が多いほど密着性が高いといえる。
評価結果を、X/25(全ます目数)として示した。Xが25以上(すなわち100/100以上)であれば、密着性が高いと判断した。
2液型メチルシリコーンのA液とB液とを混合して得られた混合液を、ガラスエポキシ基板(JIS2型くし型基板)に塗布し150℃で2時間硬化させたのち、当該基板にコーティング剤を、試験例1と同様にディップコーターでディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させることにより試験片を作製した。
−60℃で試験片を30分保持し、5分かけて120℃に昇温して試験片を30分保持し、5分かけて−60℃とする工程を1サイクルとし、100サイクル行った後、試験片の皮膜の状態を目視により観察し、以下の基準に基づき評価し表3および表4に示した。
◎:浮き剥がれなし
〇:剥がれはないが多少しわが寄っている
△:剥がれはないが大きなクラックが入っている
×:皮膜が剥がれている
ガラス板に各コーティング剤をディップコーターでディップし(引き上げ速度5mm/秒)、皮膜を形成した後25℃で1時間乾燥させることにより試験片を作製した。
日本電色社製ヘイズメーターNDH−5000を用いてヘイズを測定し、以下の基準により透明性を評価した。
◎:ヘイズ0.5未満
〇:ヘイズ0.5以上1.0未満
△:ヘイズ1.0以上5未満
×:ヘイズ5以上、または変色
表1〜表4に示す結果より、一般式(1)で表されるモノマー49質量%以上74質量%以下と、一般式(2)で表されるモノマーを16質量%以上31質量%以下と、一般式(3)で表されるフッ素系モノマーを1質量%以上33質量%以下の割合で含むモノマー成分を、重合させて得られるフッ素系共重合体を、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる含むコーティング剤を用いると、硫化防止性能に優れた皮膜を形成することができるということが分かった。
一方、モノマー成分中に一般式(1)のモノマーおよび一般式(2)のモノマーの双方または一方を含まないフッ素系重合体を含むコーティング剤13〜15では、硫化防止性能が不十分であった。また、溶剤としてトルエンや1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンを用いたコーティング剤17,18でも硫化防止性能が不十分であった。
なお、重合例2で作製した重合体を含むコーティング剤では、ヒートショック性能や透明性に優れた皮膜を形成することができるということがわかった。
表1〜表4に示す結果より、一般式(1)で表されるモノマー49質量%以上74質量%以下と、一般式(2)で表されるモノマーを16質量%以上31質量%以下と、一般式(3)で表されるフッ素系モノマーを1質量%以上33質量%以下の割合で含むモノマー成分を、重合させて得られるフッ素系共重合体を、総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる含むコーティング剤を用いると、硫化防止性能に優れた皮膜を形成することができるということが分かった。
一方、モノマー成分中に一般式(1)のモノマーおよび一般式(2)のモノマーの双方または一方を含まないフッ素系重合体を含むコーティング剤13〜15では、硫化防止性能が不十分であった。また、溶剤としてトルエンや1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンを用いたコーティング剤17,18でも硫化防止性能が不十分であった。
なお、重合例4,5で作製した重合体を含むコーティング剤では、ヒートショック性能や透明性に優れた皮膜を形成することができるということがわかった。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルを49質量%以上74質量%以下と、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルを16質量%以上31質量%以下と、下記一般式(3)で表されるフッ素含有モノマーを1質量%以上33質量%以下の割合で含むモノマー成分を、重合させて得られる数平均分子量が20000〜100000のフッ素系共重合体を、
総炭素数が4〜8のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4〜8のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上の溶剤に溶解してなる硫化防止コーティング剤。
- 前記一般式(1)で表されるメタクリル酸エステルがメチルメタクリレートおよびn−ブチルメタクリレートから選ばれる一種以上である請求項1に記載の硫化防止コーティング剤。
- 前記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが、2−エチルヘキシルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートから選ばれる一種以上である請求項1または請求項2に記載の硫化防止コーティング剤。
- 前記溶剤が、総炭素数が5のハイドロフルオロカーボンおよび総炭素数が4のハイドロフルオロエーテルから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の硫化防止コーティング剤。
- 前記溶剤の全質量に対して、2,2,2−トリフルオロエチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテルを10質量%以上含む請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の硫化防止コーティング剤。
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WO2006003885A1 (ja) * | 2004-07-06 | 2006-01-12 | Noda Screen Co., Ltd. | グラフト共重合体、コーティング剤、及びコーティング膜の形成方法 |
JP2014070100A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Du Pont Mitsui Fluorochem Co Ltd | 非晶質含フッ素樹脂組成物および薄膜製造方法 |
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