JP2016137868A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】減速中に蓄電装置の受入可能電力が変化しても、エンジンの回転速度を変化させることなくトータルの減速力を要求回生電力に応じた値に維持する。
【解決手段】吸気バルブの開弁タイミングを電動アクチュエータによって変更可能なエンジンと、モータジェネレータと、モータジェネレータが発生する回生電力を受け入れる蓄電装置とを備えたハイブリッド車両において、制御装置は、車両減速中に要求回生パワーPtagが蓄電装置の受入可能電力WINを超える場合、モータジェネレータの回生電力を要求回生パワーPtagよりも小さい受入可能電力WINに制限する。制御装置は、モータジェネレータの回生電力を受入可能電力WINに制限する場合、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に応じて、エンジンの吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させるように電動アクチュエータを制御する。
【選択図】図4
【解決手段】吸気バルブの開弁タイミングを電動アクチュエータによって変更可能なエンジンと、モータジェネレータと、モータジェネレータが発生する回生電力を受け入れる蓄電装置とを備えたハイブリッド車両において、制御装置は、車両減速中に要求回生パワーPtagが蓄電装置の受入可能電力WINを超える場合、モータジェネレータの回生電力を要求回生パワーPtagよりも小さい受入可能電力WINに制限する。制御装置は、モータジェネレータの回生電力を受入可能電力WINに制限する場合、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に応じて、エンジンの吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させるように電動アクチュエータを制御する。
【選択図】図4
Description
本発明は、吸気バルブの開閉タイミングを電動アクチュエータによって変更可能なエンジンと、モータジェネレータとを備える車両に関する。
特開2010−247749号公報(特許文献1)には、エンジンと、エンジンの回転速度を調整可能な第1MG(モータジェネレータ)と、車両減速時に回生電力を発生可能な第2MGと、第2MGが発生する回生電力を受け入れるバッテリとを備えるハイブリッド車両が開示されている。このハイブリッド車両は、減速中に要求回生電力(第2MGに対して要求される回生ブレーキ力)がバッテリの受入可能電力を超えている場合、第2MGが発生する回生電力をバッテリの受入可能電力に制限するとともに、第1MGを用いてエンジンの回転速度を増加させることによってエンジンブレーキを増加させる。これにより、回生ブレーキ力の不足分(要求回生電力とバッテリの受入可能電力との差に相当するブレーキ力)が、エンジンの回転速度増加によるエンジンブレーキの増加によって補われる。そのため、第2MGの回生電力がバッテリの受入可能電力に制限されている状態においても、トータルの減速力を要求回生電力に応じた値に維持することができる。
特許文献1に開示された車両においては、減速中に第2MGの回生電力がバッテリの受入可能電力に制限されている状態で、バッテリの蓄電量の増加などに応じてバッテリの受入可能電力が減少される場合がある。この場合、バッテリの受入可能電力の減少(回生電力の減少)に伴ってエンジンの回転速度が増加されることになる。すなわち、回生ブレーキ力とエンジンブレーキ力とを合わせたトータルの減速力は変わらないにも関わらず、エンジンの回転速度が増加することになる。そのため、ユーザに違和感を与えることが懸念される。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、減速中に蓄電装置の受入可能電力が変化しても、エンジンの回転速度を変化させることなくトータルの減速力を要求回生電力に応じた値に維持することである。
この発明に係る車両は、駆動輪に接続され、吸気バルブの開弁タイミングを電動アクチュエータによって変更可能なエンジンと、駆動輪に接続されたモータジェネレータと、モータジェネレータが発生する回生電力を受け入れる蓄電装置と、車両減速中に要求回生電力が蓄電装置の受入可能電力を超える場合、モータジェネレータの回生電力を要求回生電力よりも小さい蓄電装置の受入可能電力に制限する制御装置とを備える。制御装置は、モータジェネレータの回生電力を蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差に応じて吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させるように電動アクチュエータを制御する。
このような構成によれば、モータジェネレータの回生電力が蓄電装置の受入可能電力に制限されることによる回生ブレーキ力の不足分(要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差に相当するブレーキ力)を、吸気バルブの開弁タイミングの進角によるエンジンブレーキ力の増加によって補うことができる。さらに、吸気バルブの開弁タイミングの進角量によってエンジンブレーキ力を調整しているため、たとえ回生電力が蓄電装置の受入可能電力に制限されている状態で蓄電装置の受入可能電力が変化しても、エンジンの回転速度を変化させることなくエンジンブレーキ力を変化させることができる。そのため、減速中に蓄電装置の受入可能電力が変化しても、エンジンの回転速度を変化させることなくトータルの減速力を要求回生電力に応じた値に維持することができる。
好ましくは、制御装置は、モータジェネレータの回生電力を蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差が大きいほど、吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させる量を大きくする。
このような構成によれば、回生ブレーキ力の不足量(要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差)が大きいほど、吸気バルブの開弁タイミングの進角によるエンジンブレーキ力の増加量を大きくすることができる。
好ましくは、制御装置は、モータジェネレータの回生電力を蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差に加えてエンジンの回転速度に応じて吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させる。
このような構成によれば、エンジンブレーキ力は吸気バルブの開弁タイミングが同じであってもエンジンの回転速度が高いほど大きくなることを考慮し、要求回生電力と蓄電装置の受入可能電力との差に加えてエンジンの回転速度に応じて吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させる。そのため、吸気バルブの開弁タイミングの進角によるエンジンブレーキ力の増加量を、回生ブレーキ力の不足量により適切に調整することができる。
好ましくは、車両は、エンジンに接続された他のモータジェネレータをさらに備える。制御装置は、モータジェネレータの回生電力を受入可能電力に制限する場合、エンジンの回転速度が変化しないように他のモータジェネレータを制御する。
このような構成によれば、回生ブレーキ力の不足分を補うために吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させた場合において、エンジンの回転速度が変化することをより確実に抑制することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
図1は、本実施の形態に係る車両1の全体構成を示す図である。車両1は、エンジン100と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割装置4と、減速機5と、駆動輪6と、蓄電装置10と、PCU(Power Control Unit)20と、制御装置200とを備える。
車両1は、エンジン100およびモータジェネレータMG2の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行するハイブリッド車両である。エンジン100は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。エンジン100は、動力分割装置4を介して駆動輪6および発電機として作動可能なモータジェネレータMG1のうちの少なくともいずれかに動力を供給する。
エンジン100は、モータジェネレータMG1によりクランキングされて始動し得る。このエンジン100は、吸気バルブの作動特性を変更するための電動VVT(Variable Valve Timing)装置400を有する。車両の走行状況やエンジン100の始動性に応じて、制御装置200により電動VVT装置400が制御される。エンジン100の排気通路には、触媒を用いてエンジン100の排気を浄化する排気浄化装置が設けられている。エンジン100、電動VVT装置400、および排気浄化装置については、後ほど詳しく説明する。
動力分割装置4は、エンジン100が発生する駆動力を、減速機5を介して駆動輪6を駆動するための動力と、モータジェネレータMG1を駆動するための動力とに分割可能に構成される。動力分割装置4は、たとえば遊星歯車機構によって構成される。この場合において、たとえば、遊星歯車機構のサンギヤには、モータジェネレータMG1が連結され、遊星歯車機構のキャリアには、エンジン100が連結され、遊星歯車機構のリングギヤには、モータジェネレータMG2および減速機5を経由して駆動輪6が連結される。
モータジェネレータMG1,MG2は、交流回転電機であり、たとえば、三相交流同期電動発電機である。モータジェネレータMG1は、動力分割装置4を介して受けるエンジン100の動力を用いて発電し得る。たとえば、蓄電装置10の蓄電量(SOC:State Of Charge)が所定の下限に達すると、エンジン100が始動してモータジェネレータMG1により発電が行なわれる。モータジェネレータMG1によって発電された電力は、PCU20により電圧変換され、蓄電装置10に一時的に蓄えられたり、モータジェネレータMG2に直接供給されたりする。
モータジェネレータMG2は、蓄電装置10に蓄えられた電力、およびモータジェネレータMG1によって発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。モータジェネレータMG2の駆動力は、減速機5を介して駆動輪6に伝達される。なお、図1では、駆動輪6は前輪として示されているが、前輪に代えて、または前輪とともに、モータジェネレータMG2によって後輪を駆動してもよい。
車両の減速時には、モータジェネレータMG2は、減速機5を介して駆動輪6から伝達される動力を用いて発電する。これにより、モータジェネレータMG2による回生ブレーキ力を発生させることができる。モータジェネレータMG2が発生した回生電力は、蓄電装置10に受け入れられる。なお、以下の説明では、回生電力の符号を正(プラス)と扱うものとする。
PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するための駆動装置である。PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するためのインバータを含み、さらに、インバータと蓄電装置10との間で電圧変換するためのコンバータを含んでもよい。
蓄電装置10は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成される。蓄電装置10の電圧は、たとえば200V程度である。蓄電装置10は、モータジェネレータMG1がエンジン100の動力を用いて発電した電力、あるいはモータジェネレータMG2が発電した回生電力を受け入れる。なお、蓄電装置10には、蓄電装置10の温度、電圧および電流を検出するためのセンサ(図示せず)が設けられ、センサによる検出値が制御装置200へ出力される。
制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)や、記憶装置、入出力バッファ等(いずれも図示せず)を含むECU(Electronic Control Unit)を含んで構成される。制御装置200は、各種センサからの信号(アクセル開度ACCや車速VSS等)の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両1における各機器の制御を行なう。主要なものとして、制御装置200は、車両1の走行制御や、走行制御に応じたエンジン100(たとえば、電動VVT装置400等)の制御を実行する。制御装置200の動作については、後ほど説明する。
次に、電動VVT装置400を有するエンジン100の構成について説明する。図2は、図1に示されたエンジン100の構成を示す図である。
図2を参照して、エンジン100への吸入空気量は、スロットルモータ312により駆動されるスロットルバルブ104により調整される。インジェクタ108は、吸気ポートに燃料を噴射する。吸気ポートにおいて、燃料と空気とが混合される。混合気は、吸気バルブ118が開くことによって、シリンダ106内へ導入される。なお、インジェクタ108は、シリンダ106内に直接燃料を噴射する直噴インジェクタとして設けられてもよい。あるいは、インジェクタ108は、ポート噴射用と直噴用との両方が設けられてもよい。
シリンダ106内の混合気は、点火プラグ110により着火されて燃焼する。燃焼後の混合気すなわち排気ガスは、排気通路に排出される。排気通路には、触媒を用いて排気ガスを浄化する排気浄化装置が設けられる。排気浄化装置は、触媒112S(以下「S/C(スタートキャット)触媒」とも称する。)と、S/C触媒112Sよりも下流側に配置される触媒112U(以下「U/F(アンダーフロア)触媒」とも称する。)とを含んで構成される。排気ガスは、S/C触媒112SおよびU/F触媒112Uにより浄化された後、車外に排出される。混合気の燃焼によりピストン114が押し下げられ、クランクシャフト116が回転する。
シリンダ106の頭頂部には、吸気バルブ118および排気バルブ120が設けられる。シリンダ106に導入される空気の量および時期は、吸気バルブ118により制御される。シリンダ106から排出される排気ガスの量および時期は、排気バルブ120により制御される。吸気バルブ118はカム122により駆動され、排気バルブ120はカム124により駆動される。
吸気バルブ118の作動特性は、電動VVT装置400によって変化される。電動VVT装置400は、カムシャフトと、カムスプロケットと、電動アクチュエータとを含む(いずれも図示せず)。カムシャフトは、回転軸の方向がクランクシャフトの回転軸と平行になるようにエンジン100のシリンダヘッドに回転自在に設けられる。カムシャフトは、カムによって各気筒に設けられる排気バルブを開閉する排気側カムシャフトと、カムによって各気筒に設けられる吸気バルブを開閉する吸気側カムシャフトとを含む。排気側カムシャフトには、複数のカム124が所定の間隔で固定される。吸気側カムシャフトには、複数のカム122が所定の間隔で固定される。
吸気側および排気側のカムシャフトの各々の一方端には、カムスプロケットが設けられる。双方のカムスプロケットには同じタイミングチェーンが巻き掛けられる。タイミングチェーンは、クランクシャフト116に設けられるタイミングロータ(図示せず)にも巻き掛けられる。そのため、クランクシャフトとカムシャフトとはタイミングチェーンによって同期して回転する。
カムシャフトとカムスプロケットとの間には電動アクチュエータが設けられる。電動アクチュエータは、吸気側のカムシャフトとカムスプロケットとの間の回転位相を変化させる。電動アクチュエータは、制御装置200から送信される制御信号VVTに基づいてその動作が制御される。吸気側のカムシャフトとカムスプロケットとの回転位相を電動アクチュエータを用いて変化させることによって、吸気バルブ118の開弁期間(作用角)を維持しつつ、開弁タイミング(および閉弁タイミング)を変化させることができる。
電動VVT装置400による吸気バルブ118の開弁タイミングの変化の態様については後述する。なお、電動VVT装置400は、吸気バルブ118に代えてまたは加えて排気バルブ120の開弁タイミングを変化させるようにしてもよい。
制御装置200には、アクセル開度ACCや車速VSSを示す信号のほか、カム角センサ300、クランク角センサ302およびスロットル開度センサ306の各センサから信号が入力される。
カム角センサ300は、カムの位置を表す信号を出力する。クランク角センサ302は、クランクシャフト116の回転数(エンジン回転数)およびクランクシャフト116の回転角度を表す信号を出力する。スロットル開度センサ306は、スロットル開度θthを表す信号を出力する。
さらに、制御装置200は、これらの各センサからの信号に基づいてエンジン100を制御する。具体的には、制御装置200は、車両の走行状況や排気浄化装置の暖機状況に応じてエンジン100が所望の運転ポイントで運転されるように、スロットル開度θth、点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量、吸気バルブ118の作動状態(開閉タイミング)を制御する。なお、運転ポイントとは、エンジン100の出力、トルクおよび回転数が決定されるエンジン100の動作点であり、エンジン100が所望の出力やトルクを発生するようにエンジン100の運転ポイントが決定される。
制御装置200は、車両1の走行制御において、エンジン100への要求出力を設定する。さらに、制御装置200は、エンジン100が設定された要求出力を発生するための動作点(エンジン回転数およびエンジントルクの組み合わせ)で動作するように、上記のパラメータ群を制御する。
制御装置200は、蓄電装置10の蓄電量や温度などに基づいて、蓄電装置10の受入可能電力WIN(単位はワット)を設定する。たとえば、制御装置200は、蓄電装置10の蓄電量が大きいほど(満充電状態に近いほど)、受入可能電力WINを小さい値に設定する。制御装置200は、蓄電装置10に入力される電力Pinが受入可能電力WINを超えないようにモータジェネレータMG1,MG2の発電量を制御する。
図3は、電動VVT装置400において実現されるバルブ変位量とクランク角との関係を示す図である。図3の縦軸はバルブ変位量を示し、図3の横軸はクランク角を示す。
排気バルブ120のバルブ変位量が波形EXに示される。排気バルブ120は、波形EXに示されるとおり、排気行程において開かれ、バルブ変位量がピークとなった後に閉じられる。一方、吸気バルブ118のバルブ変位量は波形INに示される。吸気バルブ118は、波形INに示されるとおり、排気行程後の吸気行程において開かれ、バルブ変位量がピークとなった後に閉じられる。
なお、バルブ変位量とは、各バルブ(吸気バルブ118あるいは排気バルブ120)が閉じた状態からの各バルブの変位量を意味する。各バルブの開度がピークに達したときのバルブ変位量を「リフト量」といい、各バルブが開いてから閉じるまでのクランク角を「作用角」という。
電動VVT装置400は、吸気バルブ118のリフト量および作用角を維持しつつ、吸気バルブ118の開弁タイミングを変更する。本実施の形態においては、吸気バルブ118の開弁タイミングの変更可能範囲は、図3に示すクランク角CA1とクランク角CA2との間の範囲である。
以下の説明においてクランク角CA1に近づく方向に開弁タイミングを変更することを開弁タイミングを進角するといい、クランク角CA2に近づく方向に開弁タイミングを変更することを開弁タイミングを遅角するというものとする。クランク角CA1は最も進角させた開弁タイミングであり、クランク角CA2は最も遅角させた開弁タイミングである。そのため、以下では、クランク角CA1を「最進角CA1」とも称し、クランク角CA2を「最遅角CA2」とも称する。
電動VVT装置400は、吸気バルブ118の開弁タイミングの初期値をクランク角CA0(以下、「初期角CA0」という)とし、必要に応じて吸気バルブ118の開弁タイミングを初期角CA0よりも進角したり遅角したりする。
図3には、吸気バルブ118の開弁タイミングが初期角CA0である時の吸気バルブ118のバルブ変位量の波形INと、最進角CA1である時の吸気バルブ118のバルブ変位量の波形IN1と、最遅角CA2である時の吸気バルブ118のバルブ変位量の波形IN2とが例示されている。なお、波形IN1に示すように、本実施の形態においては、吸気バルブ118の開弁タイミングを最進角CA1とした場合、吸気バルブ118の閉弁タイミングは下死点となる。
以上のような構成を有する車両1が減速中である場合、制御装置200は、アクセル開度ACCなどに基づいて、モータジェネレータMG2に対する要求回生パワー(要求回生電力、すなわち回生ブレーキ力)Ptagを算出する。そして、車両減速中に要求回生パワーPtagが蓄電装置10の受入可能電力WINを超えていない場合、制御装置200は、モータジェネレータMG2が発生する回生電力(以下「MG2回生電力」ともいう)を要求回生パワーPtagとする。
一方、車両減速中に要求回生パワーPtagが受入可能電力WINを超える場合、制御装置200は、MG2回生電力を要求回生パワーPtagよりも小さい受入可能電力WINに制限する。以下、この制限を「WIN制限」ともいう。
WIN制限によって、蓄電装置10に入力される電力Pin(すなわちMG2回生電力)は受入可能電力WINに制限されて蓄電装置10が保護されるが、その一方で、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に相当する分だけ回生ブレーキ力が不足してしまう。
そこで、本実施の形態による制御装置200は、車両減速中にWIN制限が行なわれる場合、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差(以下「回生制限量ΔP」ともいう)に応じて吸気バルブ118の開弁タイミングを進角させるように、電動VVT装置400の電動アクチュエータを制御する。
吸気バルブ118の開弁タイミングを進角すると、吸入工程で筒内に吸入される空気量が増加するため、圧縮工程で筒内で圧縮される空気量が増加して圧縮工程における筒内圧力が増加する。そのため、圧縮工程でピストンを上死点まで押し上げる際の抵抗が増加し、エンジンブレーキ力が増加することになる。したがって、WIN制限による回生ブレーキ力の不足分を、吸気バルブ118の開弁タイミングの進角によるエンジンブレーキ力の増加によって補うことができる。
さらに、吸気バルブ118の開弁タイミングの進角量によってエンジンブレーキ力を調整しているため、たとえWIN制限中に受入可能電力WINが変化しても、エンジン回転速度を変化させることなくエンジンブレーキ力を変化させることができる。そのため、ユーザに違和感を与えることなくトータルの減速力を要求回生電力に応じた値に維持することができる。
さらに、本実施の形態においては、電動VVT装置400を採用しているため、油圧式のVVT装置を採用する場合に比べて、吸気バルブ118の開弁タイミングの進角量を受入可能電力WINの変化に応じて応答性良くかつ精度良く調整することが可能である。
図4は、制御装置200がWIN制限中に吸気バルブ118の開弁タイミングを進角させる処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは所定周期で繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、制御装置200は、車両減速中であるか否かを判定する。車両減速中でない場合(S10にてNO)、制御装置200は、S16にて、吸気バルブ118の開弁タイミングを初期角CA0に設定する。
車両減速中である場合(S10にてYES)、制御装置200は、S11にて、アクセル開度ACCに基づいて要求回生パワーPtagを算出するとともに、蓄電装置10の状態に基づいて蓄電装置10の受入可能電力WINを算出する。
S12にて、制御装置200は、要求回生パワーPtagが受入可能電力WINを超えているか否かを判定する。要求回生パワーPtagが受入可能電力WINを超えていない場合(S12にてNO)、すなわち上述のWIN制限が行なわれていない場合、制御装置200は、S16にて、開弁タイミングVVTを初期角CA0に設定する。
要求回生パワーPtagが受入可能電力WINを超えている場合(S12にてYES)、すなわち上述のWIN制限が行なわれる場合、制御装置200は、S13にて、回生制限量ΔP(要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差)を算出する。
S14にて、制御装置200は、回生制限量ΔPに応じて、吸気バルブ118の開弁タイミングを進角させる量(以下「VVT進角量」ともいう)を算出する。制御装置200は、回生制限量ΔPが大きいほど、VVT進角量を大きい値に算出する。そして、制御装置200は、S15にて、吸気バルブ118の開弁タイミングを初期角CA0よりもVVT進角量だけ進角させる。これにより、WIN制限中に受入可能電力WINが変化して回生パワーが変化しても、回生ブレーキ力の変化に応じてエンジンブレーキ力を変化させることができる。
図5は、WIN制限によるVVT進角量の変化の一例を模式的に例示した図である。
時刻t1にて、アクセル開度が減少し、要求トルクが加速側(正)の値から減速側(負)の値に変化している。要求トルクが減速側の値に変化したことに応じて、エンジン100の燃料供給がカット(フューエルカット)が行なわれる。
時刻t1にて、アクセル開度が減少し、要求トルクが加速側(正)の値から減速側(負)の値に変化している。要求トルクが減速側の値に変化したことに応じて、エンジン100の燃料供給がカット(フューエルカット)が行なわれる。
また、要求トルクが減速側の値に変化したことに応じて、要求回生パワーPtagが0よりも増加(図5では下側に変化)し始める。これにより、MG2回生電力が要求回生パワーPtagに設定され、蓄電装置10の蓄電量が増加し始める。
蓄電装置10の蓄電量が増加した影響により、時刻t2にて受入可能電力WINが低下し始める。時刻t3にて、受入可能電力WINが要求回生パワーPtagまで低下すると、WIN制限が開始され、回生電力が要求回生パワーPtagよりも小さい受入可能電力WINに制限される。
時刻t3以降は、回生制限量ΔP(=要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差)に応じてVVT進角量が調整される。これにより、回生ブレーキ力の不足量に応じてエンジンブレーキ力が調整される。すなわち、受入可能電力WINの減少に応じて回生ブレーキ力の不足量が増加すると、VVT進角量が増加されてエンジンブレーキ力も増加される。すなわち、回生ブレーキ力の不足分をVVT進角によるエンジンブレーキ力の増加によって補うことができる。
さらに、VVT進角量によってエンジンブレーキ力を調整しているため、WIN制限中に受入可能電力WINが減少しても、エンジンの回転速度を変化させることなくエンジンブレーキ力を増加させてトータルの減速力を要求回生パワーPtagに応じた値に維持することができる。
以上のように、本実施の形態による制御装置200は、車両減速中にWIN制限が行なわれる場合、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差(以下「回生制限量ΔP」ともいう)に応じてVVT進角量を変更する。そのため、エンジン回転速度を変化させることなくエンジンブレーキ力を増加させてトータルの減速力を要求回生パワーPtagに応じた値に維持することができる。
<変形例>
上述の実施の形態は、たとえば以下のように変更することもできる。
上述の実施の形態は、たとえば以下のように変更することもできる。
(1) 上述の実施の形態においては、図4のS14において、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に応じてVVT進角量を変更したが、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に加えてエンジン回転速度に応じてVVT進角量を変更するようにしてもよい。
すなわち、VVT進角によるエンジンブレーキ力は、VVT進角量が同じであっても、エンジン回転速度が高いほど大きくなる傾向にある。この点を考慮し、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差に加えてエンジン回転速度に応じてVVT進角量を変更するようにしてもよい。たとえば、エンジン回転速度の違いによってVVT進角によるエンジンブレーキ力の増加量に差が生じないように、要求回生パワーPtagと受入可能電力WINとの差が同じである場合においてエンジン回転速度が高いほどVVT進角量を小さくするようにしてもよい。このようにすると、VVT進角によるエンジンブレーキ力の増加量を、回生ブレーキ力の不足量により適切に調整することができる。
(2) また、WIN制限による回生ブレーキ力の不足分を補うためにVVT進角を行なう場合において、エンジン回転速度が変化しないようにモータジェネレータMG1を制御するようにしてもよい。このようにすると、VVT進角中にエンジン回転速度が変化することをより確実に抑制することができる。
また、上述した実施の形態およびその変形例については、適宜組合せることも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、4 動力分割装置、5 減速機、6 駆動輪、10 蓄電装置、100 エンジン、104 スロットルバルブ、106 シリンダ、108 インジェクタ、110 点火プラグ、112S,112U 触媒、114 ピストン、116 クランクシャフト、118 吸気バルブ、120 排気バルブ、122,124 カム、200 制御装置、300 カム角センサ、302 クランク角センサ、306 スロットル開度センサ、312 スロットルモータ、400 電動VVT装置。
Claims (4)
- 駆動輪に接続され、吸気バルブの開弁タイミングを電動アクチュエータによって変更可能なエンジンと、
前記駆動輪に接続されたモータジェネレータと、
前記モータジェネレータが発生する回生電力を受け入れる蓄電装置と、
車両減速中に要求回生電力が前記蓄電装置の受入可能電力を超える場合、前記モータジェネレータの回生電力を前記要求回生電力よりも小さい前記蓄電装置の受入可能電力に制限する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記モータジェネレータの回生電力を前記蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、前記要求回生電力と前記蓄電装置の受入可能電力との差に応じて前記吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させるように電動アクチュエータを制御する、車両。 - 前記制御装置は、前記モータジェネレータの回生電力を前記蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、前記要求回生電力と前記蓄電装置の受入可能電力との差が大きいほど、前記吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させる量を大きくする、請求項1に記載の車両。
- 前記制御装置は、前記モータジェネレータの回生電力を前記蓄電装置の受入可能電力に制限する場合、前記要求回生電力と前記蓄電装置の受入可能電力との差に加えて前記エンジンの回転速度に応じて前記吸気バルブの開弁タイミングを進角側に変化させる、請求項1または2に記載の車両。
- 前記車両は、前記エンジンに接続された他のモータジェネレータをさらに備え、
前記制御装置は、前記モータジェネレータの回生電力を前記受入可能電力に制限する場合、前記エンジンの回転速度が変化しないように前記他のモータジェネレータを制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両。
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2015
- 2015-01-29 JP JP2015015189A patent/JP2016137868A/ja active Pending
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