JP2016132869A - 土台水切り - Google Patents

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Abstract

【課題】水害時に構造物内の浸水を抑制することができる土台水切りを提供する。
【解決手段】土台水切り1は、外壁換気用の外壁換気口107aと床下換気用の床下換気口108aとが設けられた木造住宅100に設置される。土台水切り1は、木造住宅100の外壁102の下端に取り付けられ、外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方よりも屋外側に配置されて外壁換気口107aと床下換気口108aを通して液体が木造住宅100内に浸入することを規制する水切り部本体10と、水切り部本体10内に回動自在に設けられ、かつ木造住宅100の屋外側の水位が木造住宅100の基礎101の上面に近付くと、屋外側から受ける水圧により水切り部本体10に対して回動して外壁換気口107aと床下換気口108aの双方を塞ぐ止水弁20とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、土台水切りに関する。
従来から、構造物としての木造住宅では、内部結露を防止するために外壁換気構造と床下換気構造が用いられている。これらの換気構造を採用した構造物では、外壁内及び床下内に降水した水が浸入することを規制する土台水切りが取り付けられている(特許文献1参照)。
特許第4755775号公報
前述した特許文献1に示された技術は、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害時に、外壁換気構造及び床下換気構造を通して構造物内に水などの液体が浸入すること、即ち、浸水することを抑制できることが望まれている。
本発明の目的は、水害時に構造物内の浸水を抑制することができる土台水切りを提供することである。
本発明の土台水切りは、外壁換気用の外壁換気口と床下換気用の床下換気口とが設けられた構造物に設置される土台水切りであって、前記構造物の外壁の下端に取り付けられ、かつ前記外壁換気口と前記床下換気口との双方よりも構造物の屋外側に配置されて降水した水が前記外壁換気口と前記床下換気口を通して構造物内に浸入することを規制する水切り部本体と、前記水切り部本体内に回動自在に設けられ、かつ前記構造物の屋外側の水位が前記構造物の基礎の上面に近付くと、前記屋外側から受ける水圧により前記水切り部本体に対して回動して前記外壁換気口と前記床下換気口の双方を塞ぐ止水弁と、を備えることを特徴とする。
上記土台水切りでは、水切り部本体が外壁換気口と床下換気口との双方よりも構造物の屋外側に配置されているので、水切り部本体が外壁換気口と床下換気口との双方を覆うこととなる。また、上記土台水切りでは、水切り部本体内に構造物の屋外側から受ける水圧により回動して外壁換気口と床下換気口を塞ぐ止水弁を備えているので、構造物の屋外側の水位が上昇すると、止水弁が外壁換気口と床下換気口との双方を塞ぐことができる。したがって、土台水切りは、止水性を高めることができ、水害時に構造物内の浸水を抑制することができる。
また、土台水切りは、水切り部本体内に止水弁を設けているので、構造物の屋外側から止水弁を隠すこととなり、美観を損ねることを抑制でき、強度を向上することができる。また、土台水切りは、水切り部本体内に止水弁を設けているので、構造物の外壁の屋外側に設置されるエアコンディショナの室外機などの外部機器や配管等に干渉することがない。
上記土台水切りにおいて、前記水切り部本体は、前記外壁の下端から下方に延在しかつ前記外壁と平行に設けられる水切部と、前記水切部の下端から前記構造物の基礎に向かって延在する鼠返し部と、を備え、前記水切部と前記鼠返し部との双方に開口が設けられていることを特徴とすることが好ましい。
上記土台水切りでは、水切り部本体が水切部と鼠返し部とを備え、これら水切部と鼠返し部との双方に開口を設けているので、止水弁が塞ぐ前では、外壁換気口と床下換気口とから外気などを取り込んで、換気量を増やすことができ、内部結露を抑制することができる。
上記土台水切りにおいて、前記止水弁は、前記構造物の屋内側の端部を中心に回動自在に設けられ、前記水切り部本体内に設けられ、かつ前記水圧が作用して前記水切り部本体に対して回動して前記外壁換気口と前記床下換気口の双方を塞ぐ前記止水弁の屋外側の端部を屋内側の端部よりも上方に維持する受け部材を備えることが好ましい。
上記土台水切りでは、水切り部本体に対して回動した止水弁を外壁換気口と床下換気口との双方を塞ぐように維持する受け部材を備えているので、構造物の屋外側の水位が上昇すると止水弁が外壁換気口と床下換気口との双方を塞ぐことができる。
また、土台水切りは、止水弁が止水した状態で受け部材が止水弁の屋外側の端部を屋内側の端部よりも上方に維持するので、止水弁に構造物の屋外側の水圧が作用しなくなると、止水弁が外壁換気口及び床下換気口を開放する位置に復帰することとなる。したがって、水害の発生していない通常時において、外壁換気と床下換気を行うことができ、内部結露を抑制することができる。
上記土台水切りにおいて、前記受け部材は、前記外壁の幅方向に間隔をあけて複数の受け部材側開口が設けられ、前記止水弁は、前記外壁の幅方向に間隔をあけて複数の弁側開口が設けられ、前記受け部材側開口と前記弁側開口とは、前記外壁の幅方向に互いにずれた位置に配置されていることが好ましい。
上記土台水切りでは、受け部材に設けられた複数の受け部材側開口と止水弁に設けられた複数の弁側開口とが外壁の幅方向に互いにずれた位置に配置されているので、構造物の屋外側の水位が上昇して回動した止水弁が外壁換気口と床下換気口との双方を塞ぐことができる。また、土台水切りでは、受け部材に受け部材側開口が設けられ、止水弁に弁側開口が設けられているので、外壁換気口と床下換気口を通して外壁換気と床下換気を行うことができる。
上記土台水切りにおいて、前記止水弁は、前記構造物の屋内側の端部を中心に回動自在に設けられ、かつ、前記水圧が作用して前記水切り部本体に対して回動すると、前記水切り部本体の内面の前記外壁換気口よりも前記屋外側の位置に当接する止水部材を備えることが好ましい。
上記土台水切りでは、止水弁が水圧により回動すると水切り部本体の内面の外壁換気口よりも構造物の屋外側の位置に当接する止水部材を備えているので、構造物の屋外側の水位が上昇すると、止水弁が外壁換気口と床下換気口との双方を塞ぐことができる。
本発明に係る土台水切りは、水害時に構造物内の浸水を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係る土台水切りが設置される木造住宅の一例を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る土台水切りなどを断面で示す斜視図である。 図3は、実施形態に係る土台水切りなどの断面図である。 図4は、図3中のIV部を拡大して示す断面図である。 図5は、実施形態に係る土台水切りの止水弁が止水した状態を示す平面図である。 図6は、実施形態の変形例に係る土台水切りなどの断面図である。 図7は、図6中のVII部を拡大して示す断面図である。 図8は、開示例1に係る土台水切りなどの断面図である。 図9は、図8中のIX部を拡大して示す断面図である。 図10は、開示例2に係る土台水切りなどの断面図である。 図11は、図10中のXI部を拡大して示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る土台水切りにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図5を参照して、実施形態について説明する。実施形態は、木造住宅100(構造物に相当する)と、コンクリートで構成された基礎101との間に設置される土台水切り1に関する。図1は、実施形態に係る土台水切りが設置される木造住宅の一例を示す斜視図、図2は、実施形態に係る土台水切りなどを断面で示す斜視図、図3は、実施形態に係る土台水切りなどの断面図、図4は、図3中のIV部を拡大して示す断面図、図5は、実施形態に係る土台水切りの止水弁が止水した状態を示す平面図である。
木造住宅100は、耐久性を向上するために、内部結露を抑制することが求められている。木造住宅100は、基礎内に浸水したり、外壁に内外から湿気が入りこんで気温が低下すると、内部結露が発生しやすくなる。木造住宅100は、内部結露が発生すると、壁内の木材などが腐って耐久性を低下させたり、室内にカビが発生し室内環境が不衛生な状態となる可能性がある。
実施形態に係る土台水切り1は、図1に示す木造住宅100に設置される。木造住宅100は、図1に示すように、コンクリートで構成された基礎101上に設置され、複数の外壁102等により構成されている。なお、以下、木造住宅100の外壁102の表面と水平方向と平行な方向を外壁102の幅方向といい、鉛直方向と平行な方向を上下方向という。また、木造住宅100の外壁102よりも外側を屋外側、内側を屋内側という。
木造住宅100は、図2及び図3に示すように、基礎101上に固定される土台103と、複数の縦胴縁104と、外壁102などで構成されている。土台103は、基礎101との間に設けられた基礎パッキン105上に固定されている。縦胴縁104は、扁平な角柱状に形成され、釘などにより土台103に下端が固定されて、上下方向と平行に配置される。また、縦胴縁104は、外壁102の幅方向に間隔をあけて複数配置されている。外壁102は、縦胴縁104の屋外側に重ねられ、釘などにより縦胴縁104に固定されている。また、縦胴縁104の屋内側には、水蒸気を透過し液体の水を通さない透湿防水シート106が設けられ、透湿防水シート106の屋内側に図示しない断熱材が設けられている。なお、透湿防水シート106の下端は、土台103と縦胴縁104との間に挟まれて、土台103に取り付けられている。なお、外壁102、縦胴縁104及び透湿防水シート106の下端は、土台103の下端よりも若干上方に配置されている。
木造住宅100は、内部結露を抑制するための構造として、外壁換気構造107と、床下換気構造108とが設けられている。外壁換気構造107は、互いに隣り合う縦胴縁104と、外壁102と、透湿防水シート106との下端で囲まれた外壁換気口107aを備えている。外壁換気口107aは、外気を外壁102と透湿防水シート106との間に取り込んだり、外壁102と透湿防水シート106との間の気体を屋外に排出して、湿気を排出する外壁換気用の開口である。
床下換気構造108は、基礎パッキン105により基礎101と土台103との間に形成された隙間により構成された床下換気口108aを備えている。床下換気口108aは、外気を土台103と基礎101との間即ち基礎101内に取り込んだり、土台103と基礎101との間の気体を屋外に排出して、湿気を排出する外壁換気用の開口である。
土台水切り1は、外壁換気口107aと床下換気口108aとの屋外側を覆って、湿気の排出を許容するとともに、雨などの液体が浸入することを規制するものである。土台水切り1は、水切り部本体10と、止水弁20と、受け部材30とを備える。
水切り部本体10は、木造住宅100の外壁102の下端に取り付けられ、外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方よりも木造住宅100の屋外側に配置されて、降水した水が外壁換気口107aと床下換気口108aとを通して木造住宅100内に浸入することを規制するものである。なお、降水した水とは、水蒸気が凝結して大気中において形成される液体または固体の水が重力により落下する降水現象により地上に落下した雨などの水のことをいう。水切り部本体10は、板金を折り曲げるなどして構成され、木造住宅100の全周に亘って、外壁102の下端に取り付けられる。水切り部本体10は、被取付部11と、下方延在部12と、水切部13と、受け部14とを備える。
被取付部11は、縦胴縁104と、外壁102との間に配置されて、これらに取り付けられる。下方延在部12は、被取付部11の下端に連なり、被取付部11から下方に向かうにしたがって徐々に屋外側に向かうように、上下方向に対して傾斜している。下方延在部12の下端は、外壁102よりも屋外側に配置されている。水切部13は、下方延在部12の下端に連なって、下方延在部12の下端即ち木造住宅100の外壁102の下端から下方に延在している。水切部13は、外壁102と平行に設けられて、床下換気口108aよりも下方まで延在している。受け部14は、鼠などの小動物の換気口107a,108aへの侵入を規制するものである。受け部14は、水切部13の下端から基礎101に向かって延在している。受け部14は、水切部13から基礎101に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように上下方向に対して傾斜している。
水切部13には、当該水切部13を貫通する開口13aが設けられている。開口13aは、水切部13に幅方向に間隔をあけて複数配置されている。開口13aは、湿気を屋外に排出するためのものである。また、受け部14は、基礎101から間隔をあけて配置され、基礎101との間の湿気を屋外に排出するための開口14aを設けている。
受け部材30は、板金などを折り曲げるなどして構成され、水切り部本体10内に設けられ、かつ屋外側からの液体の水圧が作用して水切り部本体10に対して回動して外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐ止水弁20の断面において屋外側の端部20aを屋内側の端部20bよりも上方に維持するものである。なお、屋外側の端部20aとは、止水弁20に水圧が作用せずに外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を開放した時、即ち、非止水時の止水弁20の断面における屋外側に位置する端部をいう。屋内側の端部20bとは、止水弁20に水圧が作用せずに外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を開放した時、即ち、非止水時の止水弁20の断面における屋内側に位置する端部をいう。また、止水弁20は、水圧以外に手動等によっても回動可能である。
受け部材30は、被取付部31と、下方延在部32と、鼠返し部33と、回動支持部34とを備える。被取付部31は、縦胴縁104と、外壁102との間に配置されて、これらに取り付けられる。受け部材30の被取付部31は、水切り部本体10の被取付部11の屋内側に配置される。下方延在部32は、被取付部31の下端に連なり、被取付部31から下方に向かうにしたがって徐々に屋外側に向かうように、上下方向に対して傾斜している。下方延在部32は、水切り部本体10の下方延在部12の屋内側に配置される。
鼠返し部33は、水切り部本体10内に配置され、下方延在部32の下端から下方に向かうにしたがって徐々に屋内側に向かうように、上下方向に対して傾斜している。受け部材30の鼠返し部33は、外壁102の幅方向に間隔をあけて湿気を排出するための複数の受け部材側開口33aが設けられている。鼠返し部33は、屋外側からの液体の水圧が作用して水切り部本体10に対して回動した止水弁20を表面上に重ねることで、止水弁20の断面において屋外側の端部20aを屋内側の端部20bよりも上方に維持する。回動支持部34は、鼠返し部33の下端に連なり、基礎101上に配置されている。回動支持部34は、止水弁20の屋内側の端部20bを中心に回動自在に止水弁20を支持している。
止水弁20は、水切り部本体10内に回動自在に設けられ、かつ木造住宅100の屋外側の水位が木造住宅100の基礎101の上面に近付くと、木造住宅100の屋外側から受ける水圧により水切り部本体10に対して回動して、外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐものである。止水弁20は、板金などから平板状に構成され、外壁102の幅方向と平行な直線状に形成されている。止水弁20は、水切り部本体10内に設けられ、屋内側の端部20bを中心に受け部材30の回動支持部34に回動自在に支持されている。止水弁20の回転中心は、外壁102の幅方向と平行である。
止水弁20は、屋内側の端部20bを中心に回動することで、図4中に実線で示す屋外側の端部20aが受け部14に重なる位置と、図4中に二点鎖線で示す止水弁20が鼠返し部33に重なって外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐ位置とに亘って移動する。止水弁20は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面よりも十分に低いと、屋外側から水圧などが作用せずに、重力等によって図4中に実線で示す位置となる。止水弁20は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面に近付いて、屋外側から水圧などが作用すると、屋外側からの水圧により屋外側の端部20aが水切り部本体10の奥に向かって押されて、屋内側の端部20bを中心に回動する。そして、止水弁20は、図4中に二点鎖線で示す鼠返し部33に重なって外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐ位置となる。
また、止水弁20は、外壁102の幅方向に間隔をあけて湿気を排出するための複数の弁側開口20cが設けられている。受け部材側開口33a(図5中に点線で示す)と、弁側開口20c(図5中に実線で示す)とは、外壁102の幅方向に互いにずれた位置に配置されている。このために、止水弁20が受け部材30に重なって外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐと、受け部材側開口33aと弁側開口20cを通して、水などの液体が外壁換気口107aと床下換気口108aを通して木造住宅100に浸入することを規制する。
以上のことから、実施形態に係る土台水切り1は、水切り部本体10が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方よりも木造住宅100の屋外側に配置されているので、水切り部本体10が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を覆うこととなる。また、土台水切り1では、水切り部本体10内に木造住宅100の屋外側から受ける水圧により回動して外壁換気口107aと床下換気口108aを塞ぐ止水弁20を備えているので、木造住宅100の屋外側の水位が上昇すると、止水弁20が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐことができる。したがって、土台水切り1は、止水弁20の止水性を高めることができ、水害時に木造住宅100内の浸水を抑制することができる。
また、土台水切り1は、水切り部本体10内に止水弁20を設けているので、木造住宅100の屋外側から止水弁20を隠すこととなり、美観を損ねることを抑制でき、強度を向上することができる。また、土台水切り1は、水切り部本体10内に止水弁20を設けているので、木造住宅100の外壁102の屋外側に設置されるエアコンディショナの室外機などの外部機器や配管等と干渉することがない。
土台水切り1は、水切り部本体10が水切部13と受け部14とを備え、これら水切部13と受け部14との双方に開口13a,14aを設けているので、止水弁20が塞ぐ前では、外壁換気口107aと床下換気口108aとから外気などを取り込んで、換気量を増やすことができ、内部結露を抑制することができる。
土台水切り1は、水切り部本体10に対して回動した止水弁20を外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐように維持する受け部材30を備えているので、木造住宅100の屋外側の水位が上昇すると止水弁20が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐことができる。
土台水切り1は、受け部材30が止水弁20が止水した状態で止水弁20の屋外側の端部20aを屋内側の端部20bよりも上方に維持するので、止水弁20に木造住宅100の屋外側の水圧が作用しなくなると、止水弁20が外壁換気口107a及び床下換気口108aを開放する位置に復帰することとなる。したがって、水害の発生していない通常時において、外壁換気と床下換気を行うことができ、内部結露を抑制することができる。
土台水切り1は、受け部材30に設けられた複数の受け部材側開口33aと止水弁20に設けられた複数の弁側開口20cとが外壁102の幅方向に互いにずれた位置に配置されているので、木造住宅100の屋外側の水位が上昇して回動した止水弁20が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐことができる。また、土台水切り1は、受け部材30に受け部材側開口33aが設けられ、止水弁20に弁側開口20cが設けられているので、外壁換気口107aと床下換気口108aを通して外壁換気と床下換気を行うことができる。
[変形例]
図1、図6及び図7を参照して、実施形態の変形例について説明する。図6は、実施形態の変形例に係る土台水切りなどの断面図、図7は、図6中のVII部を拡大して示す断面図である。なお、図6及び図7において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態の変形例に係る土台水切り1−1は、水切り部本体10と、止水弁20とを備え、受け部材30を備えていない。変形例に係る土台水切り1−1は、受け部14が水切り部本体10の下端から基礎101の上面まで延在して構成されている。受け部14には、開口14aが貫通している。開口14aは、外壁102の幅方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。
また、変形例に係る土台水切り1−1は、止水弁20の屋内側の端部20bが、受け部14の屋内側の端部に回動自在に支持されている。土台水切り1−1は、止水弁20に止水ゴム21(止水部材に相当する)が取り付けられている。止水ゴム21は、屋外側から受ける水圧が作用して、止水弁20が水切り部本体10に対して回動すると、水切り部本体10の内面10aの外壁換気口107aよりも木造住宅100の屋外側の位置に当接する。止水ゴム21は、水切り部本体10の内面10aに当接すると、水切り部本体10の内面10aとの間を水密に保って、外壁換気口107a及び床下換気口108aを通して木造住宅100内に水が浸入することを規制する。
実施形態の変形例に係る土台水切り1−1は、実施形態と同様に、水害時に木造住宅100内の浸水を抑制することができる。また、土台水切り1−1は、屋外側の水圧が作用して止水弁20が回動すると水切り部本体10の内面10aの外壁換気口107aよりも木造住宅100の屋外側の位置に当接する止水ゴム21を備えている。このために、木造住宅100の屋外側の水位が上昇すると、止水弁20が外壁換気口107aと床下換気口108aとの双方を塞ぐことができる。
[開示例1]
図1、図8及び図9を参照して、開示例1について説明する。開示例1は、木造住宅100(構造物に相当する)と、コンクリートで構成された基礎101との間に設置される土台水切り2−1に関する。図1は、開示例1に係る土台水切りが設置される木造住宅の一例を示す斜視図、図8は、開示例1に係る土台水切りなどの断面図、図9は、図8中のIX部を拡大して示す断面図である。
木造住宅100は、耐久性を向上するために、内部結露を抑制することが求められている。木造住宅100は、基礎101内に浸水したり、外壁102に内外から湿気が入りこんで気温が低下すると、内部結露が発生しやすくなる。木造住宅100は、内部結露が発生すると、壁内の木材などが腐って耐久性を低下させたり、室内にカビが発生し室内環境が不衛生な状態となる可能性がある。
実施形態に係る土台水切り1は、図1に示す木造住宅100に設置される。木造住宅100は、図1に示すように、コンクリートで構成された基礎101上に設置され、複数の外壁102等により構成されている。なお、以下、木造住宅100の外壁102の表面と水平方向と平行な方向を外壁102の幅方向といい、鉛直方向と平行な方向を上下方向という。また、木造住宅100の外壁102よりも外側を屋外側、内側を屋内側という。
木造住宅100は、図8に示すように、基礎101上に固定される土台103と、複数の縦胴縁104と、外壁102などで構成されている。土台103は、基礎101との間に設けられた基礎パッキン105上に固定されている。縦胴縁104は、扁平な角柱状に形成され、釘などにより土台103に下端が固定されて、上下方向と平行に配置される。また、縦胴縁104は、外壁102の幅方向に間隔をあけて複数配置されている。外壁102は、縦胴縁104の屋外側に重ねられ、釘などにより縦胴縁104に固定されている。また、縦胴縁104の屋内側には、水蒸気を透過し液体の水を通さない透湿防水シート106を設け、透湿防水シート106の屋内側に図示しない断熱材が設けられている。なお、透湿防水シート106の下端は、土台103と縦胴縁104との間に挟まれて、土台103に取り付けられている。なお、外壁102、縦胴縁104及び透湿防水シート106の下端は、土台103の下端よりも若干上方に配置されている。
木造住宅100は、内部結露を抑制するための構造として、外壁換気構造107と、床下換気構造108とが設けられている。外壁換気構造107は、互いに隣り合う縦胴縁104と、外壁102と、透湿防水シート106との下端で囲まれた外壁換気口107aを備えている。外壁換気口107aは、外気を外壁102と透湿防水シート106との間に取り込んだり、外壁102と透湿防水シート106との間の気体を屋外に排出して、湿気を排出する外壁換気用の開口である。
床下換気構造108は、基礎パッキン105により基礎101と土台103との間に形成された隙間により構成された床下換気口108aを備えている。床下換気口108aは、外気を土台103と基礎101との間即ち基礎101内に取り込んだり、土台103と基礎101との間の気体を屋外に排出して、湿気を排出する外壁換気用の開口である。
木造住宅100は、従来から、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害時に、少なくとも床下換気構造108を通して水などの液体が浸入すること、即ち、浸水することを抑制できることが望まれている。開示例1の土台水切り2−1は、床下換気口108aとの屋外側を覆って、湿気の排出を許容するとともに、水害時に木造住宅100内の浸水を抑制することができることを目的としたものである。
土台水切り2−1は、図9に示すように、水切り部本体3と、止水弁4と、鼠返し部材5とを備える。水切り部本体3は、木造住宅100の外壁102の下端に取り付けられ、床下換気口108aよりも木造住宅100の屋外側に配置されて、雨などの降水した水が床下換気口108aを通して木造住宅100内に浸入することを規制するものである。なお、降水した水とは、水蒸気が凝結して大気中において形成される液体または固体の水が重力により落下する降水現象により地上に落下した雨などの水のことをいう。水切り部本体3は、板金を折り曲げるなどして構成され、木造住宅100の全周に亘って、外壁102の下端に取り付けられる。水切り部本体3は、被取付部3aと、下方延在部3bと、水切部3cと、鼠返し部3dを備える。
被取付部3aは、縦胴縁104と、透湿防水シート106との間に配置されて、これらに取り付けられる。下方延在部3bは、被取付部3aの下端に連なり、被取付部3aから下方に向かうにしたがって徐々に屋外側に向かうように、上下方向に対して傾斜している。下方延在部3bの下端は、外壁102よりも屋外側に配置されている。水切部3cは、下方延在部3bの下端に連なって、下方延在部3bの下端即ち木造住宅100の外壁102の下端から下方に延在している。水切部3cは、外壁102と平行に設けられて、床下換気口108aよりも下方まで延在している。鼠返し部3dは、鼠などの小動物の換気口107a,108aへの侵入を規制するものである。鼠返し部3dは、水切部3cの下端から基礎101に向かって延在している。鼠返し部3dは、水切部3cから基礎101に向かうにしたがって徐々に上方に向かうように上下方向に対して傾斜している。
水切部3cには、当該水切部3cを貫通する開口3eが設けられている。開口3eは、水切部3cに幅方向に間隔をあけて複数配置されている。開口3eは、湿気を屋外に排出するためのものである。また、鼠返し部3dは、基礎101から間隔をあけて配置され、基礎101との間の湿気を屋外に排出するための開口3fを設けている。
鼠返し部材5は、板金などを折り曲げるなどして構成され、被取付部5aと、返し部5bと、回動支持部5cとを備える。被取付部5aは、縦胴縁104と、透湿防水シート106との間に配置されて、これらに取り付けられる。鼠返し部材5の被取付部5aは、水切り部本体3の被取付部3aの屋内側に配置される。被取付部5aは、縦胴縁104の下端から基礎パッキン105の下端まで延在している。被取付部5aは、床下換気口108aを開放する開口5dが設けられている。返し部5bは、被取付部5aの下端に連なり、被取付部5aの下端から屋外側に突出している。回動支持部5cは、返し部5bの屋外側の端部に設けられ、止水弁4の屋内側の端部4bを中心に回動自在に止水弁4を支持している。
止水弁4は、水切り部本体3内に回動自在に設けられ、かつ木造住宅100の屋外側の水位が木造住宅100の基礎101の上面に近付くと、木造住宅100の屋外側から受ける水圧により水切り部本体3に対して回動して、床下換気口108aを塞ぐものである。止水弁4は、板金などから平板状に形成され、外壁102の幅方向と平行な直線状に形成されている。止水弁4は、水切り部本体3内に設けられ、屋内側の端部4bを中心に鼠返し部材5の回動支持部5cに回動自在に支持されている。止水弁4の回転中心は、外壁102の幅方向と平行である。なお、屋内側の端部4bとは、止水弁4に水圧が作用せずに床下換気口108aを開放した時、即ち、非止水時の止水弁4の断面における屋内側に位置する端部をいう。屋外側の端部4cとは、止水弁4に水圧が作用せずに床下換気口108aを開放した時、即ち、非止水時の止水弁4の断面における屋外側に位置する端部をいう。
また、止水弁4の屋外側の端部4cには、止水ゴム4a(止水部材に相当する)が取り付けられている。止水ゴム4aは、屋外側から受ける水圧が作用して、止水弁4が水切り部本体3に対して回動すると、鼠返し部材5の表面の開口5dよりも上方の位置に当接する。止水ゴム4aは、鼠返し部材5の表面に当接すると、鼠返し部材5の表面との間を水密に保って、床下換気口108aを通して木造住宅100に水が浸入することを規制する。
止水弁4は、屋内側の端部4bを中心に回動することで、図9中に実線で示す床下換気口108aを開放する位置と、図9中に二点鎖線で示す止水ゴム4aが鼠返し部材5の表面に当接して床下換気口108aを塞ぐ位置とに亘って移動する。止水弁4は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面よりも十分に低いと、屋外側から水圧などが作用せずに、重力等によって図9中に実線で示す位置となる。止水弁4は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面に近付いて、屋外側から水圧などが作用すると、屋外側からの水圧により屋外側の端部4cが水切り部本体3の奥に向かって押されて、屋内側の端部4bを中心に回動する。そして、止水弁20は、図9中に二点鎖線で示す床下換気口108aを塞ぐ位置となる。
以上のことから、開示例1に係る土台水切り2−1は、水切り部本体3が床下換気口108aよりも木造住宅100の屋外側に配置されているので、水切り部本体3が床下換気口108aを覆うこととなる。また、土台水切り2−1では、水切り部本体3内に木造住宅100の屋外側から受ける水圧により回動して床下換気口108aを塞ぐ止水弁4を備えているので、木造住宅100の屋外側の水位が上昇すると、止水弁4が床下換気口108aを塞ぐことができる。したがって、土台水切り2−1は、止水弁4の止水性を高めることができ、水害時に木造住宅100内の浸水を抑制することができる。
また、土台水切り2−1は、水切り部本体3内に止水弁4を設けているので、木造住宅100の屋外側から止水弁4を隠すこととなり、美観を損ねることを抑制でき、強度を向上することができる。また、土台水切り2−1は、水切り部本体3内に止水弁4を設けているので、木造住宅100の外壁102の屋外側に設置されるエアコンディショナの室外機などの外部機器や配管等と干渉することがない。
[開示例2]
図1、図10及び図11を参照して、開示例2について説明する。図10は、開示例2に係る土台水切りなどの断面図、図11は、図10中のXI部を拡大して示す断面図である。なお、図10及び図11において、開示例1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
開示例2に係る土台水切り2−2では、止水弁4が水切り部本体3の下方に上下方向にスライド自在に設けられている。土台水切り2−2は、屋外側から受ける水圧が作用すると、止水弁4が水位の上昇とともに上方に移動する。土台水切り2−2は、止水弁4が上方に移動すると、水切り部本体3の鼠返し部3dに止水ゴム4aが当接する。止水ゴム4aは、鼠返し部3dに当接すると、鼠返し部3dとの間を水密に保って、床下換気口108aを通して木造住宅100に水が浸入することを規制する。
止水弁4は、上下方向に移動することで、図11中に実線で示す水切り部本体3の鼠返し部3dに設けられた開口を開放する位置と、図11中に二点鎖線で示す止水ゴム4aが鼠返し部3dの表面に当接して床下換気口108aを塞ぐ位置とに亘って移動する。止水弁4は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面よりも十分に低いと、屋外側から水圧などが作用せずに、重力等によって図11中に実線で示す位置となる。止水弁4は、木造住宅100の屋外側の水位が基礎101の上面に近付いて、屋外側から水圧などが作用すると、屋外側からの水圧により上方に押されて、上方に移動する。そして、止水弁4は、図11中に二点鎖線で示す床下換気口108aを塞ぐ位置となる。
開示例2に係る土台水切り2−2は、開示例1と同様に、水害時に木造住宅100内の浸水を抑制することができる。
上記の実施形態、変形例、開示例1及び開示例2に開示された内容は、適宜組み合わせて実施することができる。
1,1−1 土台水切り
10 水切り部本体
13 水切り部
13a 開口
14 受け部
14a 開口
20 止水弁
20a 屋外側の端部
20b 屋内側の端部
20c 弁側開口
21 止水ゴム(止水部材)
30 受け部材
33a 受け部材側開口
100 木造住宅(構造物)
102 外壁
107a 外壁換気口
108a 床下換気口

Claims (5)

  1. 外壁換気用の外壁換気口と床下換気用の床下換気口とが設けられた構造物に設置される土台水切りであって、
    前記構造物の外壁の下端に取り付けられ、かつ前記外壁換気口と前記床下換気口との双方よりも構造物の屋外側に配置されて降水した水が前記外壁換気口と前記床下換気口を通して構造物内に浸入することを規制する水切り部本体と、
    前記水切り部本体内に回動自在に設けられ、かつ前記構造物の屋外側の水位が前記構造物の基礎の上面に近付くと、前記屋外側から受ける水圧により前記水切り部本体に対して回動して前記外壁換気口と前記床下換気口の双方を塞ぐ止水弁と、
    を備えることを特徴とする土台水切り。
  2. 前記水切り部本体は、
    前記外壁の下端から下方に延在しかつ前記外壁と平行に設けられる水切部と、
    前記水切部の下端から前記構造物の基礎に向かって延在する鼠返し部と、を備え、前記水切部と前記鼠返し部との双方に開口が設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の土台水切り。
  3. 前記止水弁は、前記構造物の屋内側の端部を中心に回動自在に設けられ、
    前記水切り部本体内に設けられ、かつ前記水圧が作用して前記水切り部本体に対して回動して前記外壁換気口と前記床下換気口の双方を塞ぐ前記止水弁の屋外側の端部を屋内側の端部よりも上方に維持する受け部材を備える
    ことを特徴とする請求項2記載の土台水切り。
  4. 前記受け部材は、前記外壁の幅方向に間隔をあけて複数の受け部材側開口が設けられ、
    前記止水弁は、前記外壁の幅方向に間隔をあけて複数の弁側開口が設けられ、
    前記受け部材側開口と前記弁側開口とは、前記外壁の幅方向に互いにずれた位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項3記載の土台水切り。
  5. 前記止水弁は、前記構造物の屋内側の端部を中心に回動自在に設けられ、かつ、前記水圧が作用して前記水切り部本体に対して回動すると、前記水切り部本体の内面の前記外壁換気口よりも前記屋外側の位置に当接する止水部材を備える
    ことを特徴とする請求項2記載の土台水切り。
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