JP7354499B2 - 構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に関する。
外壁内に設けられ、雨水を貯留する雨水貯留器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、サイデングボードの内側に設けられ、雨水を貯留する貯水タンクが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、構造物の外壁構造としては、二重構造の外装材を備えるダブルスキン構造が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平07-229172号公報 特開2003-064730号公報 特開2002-256637号公報
特許文献1,2に開示された技術では、雨水貯留器や貯水タンクに雨水を貯留することができる。しかしながら、特許文献1,2に開示された技術では、二重壁内の空間を換気することができない。
本発明は、上記の事実を考慮し、内側外装材と外側外装材との間の空間を換気可能としつつ、雨水を貯留可能にすることを目的とする。
第1態様に係る構造物は、内側外装材と、前記内側外装材の外側に配置され、該内側外装材との間に空間を形成する外側外装材と、前記空間に通じる下側通気口と、前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間に通じる上側通気口と、前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間内に雨水を供給する雨水供給口と、前記下側通気口からの雨水の流出を制限する制限状態と、前記制限を解除する解除状態と、に切り替えられる遮水機構と、を備える。
第1態様に係る構造物によれば、内側外装材の外側には、外側外装材が配置される。この内側外装材と外側外装材との間には、空間が形成される。また、本発明に係る構造物は、空間に通じる下側通気口及び上側通気口を備える。上側通気口は、下側通気口よりも上側に配置される。また、下側通気口よりも上側には、雨水供給口が配置される。この雨水供給口から、内側外装材と外側外装材との間の空間内に雨水が供給される。
ここで、遮水機構は、下側通気口からの雨水の流出を制限する制限状態と、当該制限を解除する解除状態とに切り替えられる。この遮水機構は、例えば、豪雨以外の通常時には、解除状態とされる。これにより、内側外装材と外側外装材との間の空間に下側通気口から空気が供給される。また、空間に供給された空気は、上側通気口から排出される。つまり、遮水機構が解除状態の場合は、下側通気口及び上側通気口によって、内側外装材と外側外装材との間の空間が換気される。
一方、豪雨時には、遮水機構を解除状態から制限状態に切り替える。この状態で、内側外装材と外側外装材との間の空間に雨水供給口から雨水を供給すると、下側通気口から雨水の流出が制限され、空間内に雨水が貯留される。したがって、河川の氾濫や床上浸水等の抑制に寄与することができる。
このように本発明では、内側外装材と外側外装材との間の空間を換気可能としつつ、内側外装材と外側外装材との間の空間内に雨水を貯留することができる。
第2態様に係る構造物は、第1態様に係る構造物において、前記内側外装材及び前記外側外装材は、透光性を有する透光部をそれぞれ有する。
第2態様に係る構造物によれば、内側外装材及び外側外装材は、透光性を有する透光部をそれぞれ有する。これらの透光部によって、構造物の採光性、眺望性、及び開放性を向上させることができる。
第3態様に係る構造物は、第1態様に係る構造物において、前記遮水機構は、前記下側通気口よりも上側で、かつ、前記雨水供給口よりも下側に配置され、前記制限状態において前記空間を上下に仕切る仕切部材を有する。
第3態様に係る構造物によれば、遮水機構は、仕切部材を有する。仕切部材は、下側通気口よりも上側で、かつ、雨水供給口よりも下側に配置され、制限状態において、内側外装材と外側外装材との間の空間を上下に仕切る。つまり、遮水機構を解除状態から制限状態に切り替えると、内側外装材と外側外装材との間の空間が仕切部材によって上下に仕切られる。これにより、仕切部材の上側の空間に雨水を貯留することができる。
第4態様に係る構造物は、第1態様又は第2態様に係る構造物において、前記雨水供給口は、上下方向に間隔を空けて複数設けられ、前記遮水機構は、複数の前記雨水供給口の下側にそれぞれ設けられる。
第4態様に係る構造物によれば、雨水供給口は、上下方向に間隔を空けて複数設けられる。また、遮水機構は、複数の雨水供給口の下側にそれぞれ設けられる。
ここで、遮水機構を解除状態から制限状態に切り替えた状態で、内側外装材と外側外装材との間の空間内に雨水を貯留すると、雨水の貯水量に応じて遮水機構に荷重がかかる。そのため、空間内の雨水の貯水量が増加すると、遮水機構が破損する可能性がある。
この対策として本発明では、前述したように、複数の雨水供給口、及び複数の遮水機構を上下方向に間隔を空けて設ける。これにより、複数の遮水機構を解除状態から制限状態にそれぞれ切り替えると、複数の遮水機構の上側の空間に雨水がそれぞれ貯留可能になる。つまり、複数の遮水機構の上側の空間に、雨水を貯留可能な貯水空間がそれぞれ形成される。これらの貯水空間に雨水が分散して貯留することにより、雨水の貯水量を確保しつつ、複数の遮水機構の破損を抑制することができる。
第5態様に係る構造物は、第1態様第4態様の何れか1つに係る構造物において、前記雨水供給口よりも下側に配置され、前記空間内に貯留された雨水を排出する雨水排出口を備える。
第5態様に係る構造物によれば、雨水排出口は、雨水供給口よりも下側に配置される。この雨水排出口によって、空間内に貯留された雨水を容易に排出することができる。また、空間内に貯留された雨水を再利用し易くなる。
以上説明したように、本発明に係る構造物によれば、内側外装材と外側外装材との間の空間を換気可能としつつ、雨水を貯留可能にすることができる。
第一実施形態に係る構造物を示す立断面図である。 図1に示される構造物のダブルスキン構造内の貯水空間に雨水を貯留した状態を示す縦断面図である。 (A)は、図1の3A-3A線断面図であり、(B)は、図2の3B-3B線断面図である。 第二実施形態に係る構造物を示す立断面図である。 図4に示される構造物のダブルスキン構造内の貯水空間に雨水を貯留した状態を示す縦断面図である。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
(構造物)
図1には、第一実施形態に係る構造物10が示されている。構造物10は、複数階(複数層)を有している。また、構造物10は、各階の床を形成するスラブ12、及びスラブ12を支持する梁14等を有している。この構造物10の外壁部16には、ダブルスキン構造20が適用されている。
(ダブルスキン構造)
ダブルスキン構造20は、内側外装材22及び外側外装材24を有している。内側外装材22及び外側外装材24は、外装面材で形成されており、外壁部16の厚み方向(矢印T方向)に互いに対向して配置されている。
内側外装材22は、構造物10の各階に、上下方向に連続して設けられている。各内側外装材22は、壁部22A及び透光部22Bを有している。壁部22Aは、例えば、鉄筋コンクリート造とされている。この壁部22Aに形成された開口に、透光部22Bが設けられている。透光部22Bは、透光性を有し、例えば、ガラス、強化ガラス又はアクリル板等によって形成されている。
外側外装材24は、内側外装材22の外側(室外側)に配置されている。換言すると、外側外装材24の内側(室内18側)に、内側外装材22が配置されている。この外側外装材24と内側外装材22とは、外壁部16の厚み方向に間隔を空けて配置されている。これにより、外側外装材24と内側外装材22との間に、空間(空気層)26が形成されている。また、内側外装材22及び外側外装材24は、遮水性及び耐圧性(耐水圧性)をそれぞれ有している。これにより、ダブルスキン構造20内の空間26に、雨水が貯留可能とされている。
外側外装材24と内側外装材22との間隔は、空間26に作業者が出入り可能に設定されている。これにより、外側外装材24及び内側外装材22の清掃やメンテナンスが容易となる。なお、外側外装材24と内側外装材22との間隔は、空調効率や、後述する雨水W(図2参照)の貯水量等に応じて、適宜変更可能である。
外側外装材24は、例えば、カーテンウォール等よって形成されており、構造物10の複数階に渡って配置されている。この外側外装材24は、枠状部24A及び透光部24Bを有している。枠状部24Aは、外側外装材24を外側から見て、枠状に形成されている。この枠状部24Aの内側に、透光部24Bが設けられている。透光部24Bは、透光性を有し、例えば、ガラス、強化ガラス又はアクリル板等によって形成されている。
ダブルスキン構造20内の空間26は、換気可能(通気可能)とされている。具体的には、外側外装材24には、下側通気口30及び上側通気口32が形成されている。下側通気口30及び上側通気口32は、例えば、外側外装材24の横幅方向を長手方向とした長方形状の開口とされている。
下側通気口30は、一階F1の外側外装材24の下端側に形成されている。この下側通気口30よりも上側には、上側通気口32が配置されている。上側通気口32は、一例として、三階F3の外側外装材24の上端側に形成されている。これらの下側通気口30及び上側通気口32には、開閉機構40がそれぞれ設けられている。
開閉機構40は、複数の回転ルーバー42と、複数の回転ルーバー42を回転させるモータ等の図示しない駆動源とを有している。この駆動源によって複数の回転ルーバー42を回転させることにより、下側通気口30及び上側通気口32が開閉される。つまり、開閉機構40は、複数の回転ルーバー42の回転に伴って、下側通気口30及び上側通気口32を閉塞する閉塞状態と、下側通気口30及び上側通気口32を開放する開放状態とに切り替えられる。
なお、開閉機構40は、回転ルーバー42に限らず、例えば、下側通気口30を開閉するシャッタや開閉板であっても良い。
(遮水機構)
ダブルスキン構造20には、複数の遮水機構50が設けられている。複数の遮水機構50は、下側通気口30よりも上側で、かつ、上側通気口32よりも下側に配置されている。また、複数の遮水機構50は、ダブルスキン構造20内の空間26に、上下方向に間隔を空けて設けられている。より具体的には、遮水機構50は、各階のスラブ12(壁部22A)と、当該スラブ12と対向する外側外装材24の枠状部24Aとの間に設けられている。
図3(A)及び図3(B)に示されるように、遮水機構50は、複数の回転仕切板52と、複数の回転仕切板52を回転させるモータ等の図示しない駆動源とを有している。なお、回転仕切板52は、仕切部材の一例である。
複数の回転仕切板52は、遮水性及び耐圧性(耐水圧性)を有する金属板や樹脂板等によって形成されている。また、複数の回転仕切板52は、内側外装材22と外側外装材24とに渡るとともに、外壁部16の横幅方向に配列されている。さらに、複数の回転仕切板52は、外壁部16の厚み方向に延びる回転軸54を中心として回転可能とされている。
図3(A)及び図3(B)に示されるように、回転仕切板52は、一対の羽根部52Aを有している。一対の羽根部52Aは、板状に形成されており、回転軸54から径方向の両側へ延出している。また、一対の羽根部52Aは、各々の厚み方向にずれて配置されている。
ここで、遮水機構50は、複数の回転仕切板52の回転に伴って、下側通気口30からの雨水Wの流出を制限する制限状態と、当該制限を解除する解除状態とに切り替えられる。
具体的には、図3(A)には、遮水機構50の解除状態が示されている。この解除状態では、複数の回転仕切板52が上下方向に沿って配置されている。これにより、矢印aで示されるように、隣り合う回転仕切板52の間を空気(外気)が通過可能(通風可能)とされている。この状態から、駆動源によって複数の回転仕切板52を所定方向(矢印R方向)に回転させ、複数の回転仕切板52を水平又は略水平にすると、図3(B)に示されるように、遮水機構50が解除状態から制限状態に切り替えられる。
制限状態では、隣り合う回転仕切板52の羽根部52A同士が上下方向に水密に重なり合う(組み合う)。これにより、隣り合う回転仕切板52の間の空間が閉塞され、内側外装材22と外側外装材24との間の空間26が上下に隙間なく仕切られる。
この結果、図2に示されるように、複数の回転仕切板52の上側の空間26に、雨水Wを貯留可能な貯水空間56が形成される。また、複数の回転仕切板52によって、下側通気口30からの雨水Wの流出が抑制される。
なお、回転仕切板52の羽根部52Aには、遮水性を高めるシール材を設けても良い。
また、制限状態では、略水平状態の複数の回転仕切板52の上を作業者が歩行可能になる。つまり、制限状態では、作業者が、略水平状態の複数の回転仕切板52を足場として利用可能になる。
次に、駆動源によって複数の回転仕切板52を所定方向(矢印R方向)と反対方向に回転させ、複数の回転仕切板52を上下方向に沿って配置すると、図3(A)に示されるように、遮水機構50が制限状態から解除状態に切り替えられる。
(雨水処理設備)
図1に示されるように、構造物10には、図示しない公共雨水管に雨水を排水する雨水処理設備60が設けられている。雨水処理設備60は、雨樋62と、雨水枡64と、排水管66とを備えている。
雨樋62は、内側外装材22の内側に、上下方向に沿って配置されている。この雨樋62の上端部は、構造物10の図示しない屋上に達している。一方、雨樋62の下端部は、地盤に形成された雨水枡64に吐水口空間をもって接続されている。この雨水枡64は、排水管66を介して図示しない公共雨水管と接続されている。これにより、構造物10の屋上で集水された雨水が、雨樋62、雨水枡64、及び排水管66を介して、公共雨水管に排水される。
雨樋62の下端側には、開閉弁62Vが設けられている。開閉弁62Vは、例えば、電磁弁によって形成されている。この開閉弁62Vによって、雨樋62が開閉可能とされている。
雨樋62には、複数の雨水供給管70及び複数の雨水排出管74が設けられている。複数の雨水供給管70は、雨樋62の開閉弁62Vよりも上側に配置されている。各雨水供給管70は、雨樋62から分岐し、各階の内側外装材22の上部に形成された貫通孔に水密に挿入されている。
各階において、雨水供給管70の先端側の雨水供給口70Aは、遮水機構50よりも上側で、ダブルスキン構造20内の空間26に通じている。これにより、各階において、雨樋62から雨水供給管70を介して、遮水機構50の上側に形成される貯水空間56に雨水が供給可能とされている。また、雨水供給口70Aには、例えば、樋72が取り付けられている。これにより、雨水が、雨水供給口70Aから樋72を伝って貯水空間56に流れ落ちる。なお、樋72は、省略可能である。
複数の雨水供給管70には、開閉弁70Vがそれぞれ設けられている。開閉弁70Vは、例えば、電磁弁とされている。これらの開閉弁70Vによって、雨水供給管70がそれぞれ開閉可能とされている。
複数の雨水排出管74は、複数の雨水供給管70の下側にそれぞれ設けられている。各雨水排出管74は、雨樋62から分岐し、各階の内側外装材22の下部に形成された貫通孔に水密に挿入されている。
各階において、雨水排出管74の先端側の雨水排出口74Aは、雨水供給口70Aよりも下側、かつ、遮水機構50よりも上側で、ダブルスキン構造20内の空間26に通じている。これにより、各階において、遮水機構50の上側に形成される貯水空間56に貯留された雨水Wが、雨水排出管74を介して雨樋62に排水可能とされている。
複数の雨水排出管74には、開閉弁74Vがそれぞれ設けられている。開閉弁74Vは、例えば、電磁弁とされている。これらの開閉弁74Vによって、雨水排出管74がそれぞれ開閉可能とされている。
(制御部)
制御部は、例えば、CPU、メモリ、及び記録装置を含むコンピュータで構成されている。また、制御部には、各階の遮水機構50、及び複数の開閉弁62V,70V,74Vが電気的に接続されている。さらに、制御部は、構造物10がある地域の降水量予報を受信する受信部を有している。この制御部は、一例として、構造物10がある地域の降水量予報に基づいて、遮水機構50、及び複数の開閉弁62V,70V,74Vの動作を制御可能とされている。
(作用)
次に、第一実施形態の作用について説明する。
(ダブルスキン構造)
先ず、ダブルスキン構造20の作用について説明する。図1に示される構造物10では、下側通気口30及び上側通気口32の開閉機構40が開放状態とされている。この開放状態では、外側外装材24の下側通気口30及び上側通気口32が開放される。
また、図1に示される構造物10では、各階の遮水機構50が解除状態とされている。この解除状態では、図3(A)に示されるように、各遮水機構50の複数の回転仕切板52が上下方向に沿って配置され、矢印aで示されるように、隣り合う回転仕切板52の間を空気が通過可能とされている。
これにより、図1に矢印aで示されるように、下側通気口30からダブルスキン構造20内の空間26に空気(外気)が供給されるとともに、ダブルスキン構造20内の空間26の空気が上側通気口32から排出される。つまり、ダブルスキン構造20内の空間26が換気(自然換気)される。この結果、例えば夏季等において、室内18の温度上昇が抑制される。
一方、開閉機構40の駆動源を作動し、開閉機構40を開放状態から閉塞状態にすると、下側通気口30及び上側通気口32が閉塞される(図2参照)。これにより、ダブルスキン構造20内の空間26が換気されず、当該空間26が断熱層として機能する。この結果、例えば、冬季等において、構造物10の室内18の温度低下が抑制される。
したがって、例えば、構造物10の室内18の温度等に応じて開閉機構40を作動させ、外側外装材24の下側通気口30及び上側通気口32を開閉することにより、室内18の空調負荷を低減することができる。よって、構造物10の省エネルギー化を図ることができる。
(雨水処理設備)
次に、雨水処理設備60の作用について説明する。図1には、雨樋62の開閉弁62Vが開放されるとともに、各階の雨水供給管70及び雨水排出管74の開閉弁70V,74Vが閉塞された状態が示されている。なお、図1では、前述したように、各階の遮水機構50が解除状態とされている。
この状態で、制御部は、受信部が受信した降水量予報が所定値未満の場合、各階の遮水機構50の解除状態を維持する。また、制御部は、雨樋62の開閉弁62Vの開放状態を維持するとともに、雨水供給管70及び雨水排出管74の開閉弁70V,74Vの閉塞状態を維持する。これにより、構造物10の屋根で集水された雨水Wは、雨樋62、雨水枡64、及び排水管66を介して公共雨水管に排水される。
一方、制御部は、受信部が受信した降水量予報が所定値以上の場合、先ず、図2に示されるように、各階の遮水機構50を解除状態から制限状態に切り替える。なお、降水量予報の所定値は、例えば、公共雨水管の排水能力や、構造物10の雨水処理設備60の排水能力に基づいて設定される。
具体的には、制御部は、図3(A)に示されるように、遮水機構50の駆動源を作動し、複数の回転仕切板52を所定方向(矢印R方向)に回転させる。これにより、図3(B)に示されるように、複数の回転仕切板52によってダブルスキン構造20内の空間26が上下に仕切られる。この結果、各遮水機構50の上側の空間26に、貯水空間56が形成される。
次に、図2に示されるように、制御部は、雨樋62の開閉弁62Vを閉塞するとともに、一階F1の雨水供給管70の開閉弁70Vを開放する。これにより、構造物10の屋上で集水された雨水Wが、雨樋62及び一階F1の雨水供給管70を介して、一階F1の貯水空間56に供給される。この際、雨水Wは、雨水供給管70の雨水供給口70Aから、樋72を伝って貯水空間56に流れ落ちる。したがって、雨水Wの落下音が低減される。
次に、制御部は、例えば、一階F1の貯水空間56の雨水Wの貯水量が所定値以上になった場合や、所定時間が経過した場合、一階F1の雨水供給管70の開閉弁70Vを閉塞するとともに、二階F2の雨水供給管70の開閉弁70Vを開放する。これにより、構造物10の屋上で集水された雨水Wが、雨樋62及び二階F2の雨水供給管70を介して、二階F2の貯水空間56に供給される。この際、雨水Wは、雨水供給管70の雨水供給口70Aから、樋72を伝って貯水空間56に流れ落ちる。したがって、雨水Wの落下音が低減される。
次に、制御部は、例えば、二階の貯水空間56の雨水Wの貯水量が所定値以上になった場合や、所定時間が経過した場合に、二階F2の雨水供給管70の開閉弁70Vを閉塞するとともに、三階F3の雨水供給管70の開閉弁70Vを開放する。これにより、二階F2の貯水空間56と同様に、構造物10の屋上で集水された雨水Wが、雨樋62及び三階F3の雨水供給管70を介して、三階F3の貯水空間56に供給される。
このように本実施形態では、構造物10の各階に形成された貯水空間56に雨水Wを貯留することができる。この結果、豪雨時等に、公共雨水管が溢れることが抑制される。したがって、構造物10がある地域の浸水被害(床上浸水)や、河川の氾濫等の抑制に寄与することができる。
次に、制御部は、例えば、豪雨等が去った後に、雨樋62の開閉弁62Vを開放するとともに、各雨水排出管74の開閉弁74Vを開放する。これにより、各階の貯水空間56に貯留された雨水Wが、雨水排出管74、雨樋62、雨水枡64、及び排水管66を介して公共雨水管に排水される。したがって、貯水空間56に貯留された雨水Wの排水処理が容易となる。
その後、制御部は、各雨水排出管74の開閉弁74Vを閉塞するとともに、各遮水機構50を制限状態から解除状態に切り替える。また、下側通気口30及び上側通気口32の開閉機構40を閉塞状態から開放状態に切り替える。これにより、雨水Wで濡れたダブルスキン構造20内の空間26を換気することができる。
このように本実施形態では、ダブルスキン構造20内の空間26を換気可能としつつ、当該空間26内に雨水Wを貯留することができる。また、本実施形態では、ダブルスキン構造20内の空間26に雨水Wを貯留することにより、スペースの有効利用を図ることができる。
また、本実施形態では、複数の雨水供給口70Aが、上下方向に間隔を設けられている。より具体的には、構造物10の各階に雨水供給口70Aが設けられている。また、構造物10の各階において、雨水供給口70Aの下側には遮水機構50が設けられている。
ここで、遮水機構50を解除状態から制限状態に切り替えた状態で、ダブルスキン構造20内に形成される貯水空間56に雨水Wを貯留すると、雨水の貯水量に応じて遮水機構50の複数の回転仕切板52に荷重がかかる。そのため、雨水Wの貯水量が増加すると、複数の回転仕切板52が破損する可能性がある。
この対策として本実施形態では、前述したように、構造物10の各階に雨水供給口70A及び遮水機構50が設けられている。これにより、各階の遮水機構50を解除状態から制限状態に切り替えると、各階に貯水空間56が形成される。そのため、構造物10の各階の貯水空間56に雨水Wを分散して貯留することができる。したがって、本実施形態では、雨水Wの貯水量を確保しつつ、遮水機構50の破損を抑制することができる。
また、内側外装材22及び外側外装材24は、透光性を有する透光部22Bをそれぞれ有している。これらの透光部22Bによって、構造物10の採光性、眺望性、及び開放性を向上させることができる。
さらに、遮水機構50を制限状態すると、複数の回転仕切板52を足場として利用することができる。したがって、例えば、内側外装材22及び外側外装材24の透光部22Bの清掃や、メンテナンスが容易となる。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
(構造物)
図4及び図5には、第二実施形態に係る構造物80が示されている。構造物80は、一階F1を有している。また、構造物80は、基礎81、一階F1の床を形成するスラブ82、構造物80の屋根を形成する屋根スラブ84、及び屋根スラブ84を支持する梁86等を有している。この構造物80の外壁部88には、ダブルスキン構造90が適用されている。
(ダブルスキン構造)
ダブルスキン構造90は、内側外装材22及び外側外装材24を有している。この外側外装材24と内側外装材22との間に、空間26が形成されている。また、ダブルスキン構造90内の空間26に、雨水が貯留可能とされている。つまり、本実施形態では、ダブルスキン構造90内の空間26全体が、貯水空間とされている。
外側外装材24の下端側には、下側通気口30が形成されている。また、外側外装材24の上端側には、上側通気口32が形成されている。これらの下側通気口30及び上側通気口32には、開閉機構40がそれぞれ設けられている。
(遮水機構)
ダブルスキン構造90には、遮水機構100が設けられている。遮水機構100は、起伏式の遮水板(防水板)102と、可動アーム104とを有している。
遮水板102は、遮水性及び耐圧性(耐水圧性)を有する金属板や樹脂板等によって形成されている。また、遮水板102は、外側外装材24の外側に配置されている。この遮水板102は、基礎81に形成された凹状の収容部106に、起伏可能に収容されている。また、遮水板102には、可動アーム104が連結されている。
可動アーム104は、電動式とされており、収容部106に展開可能に収容されている。この可動アーム104には、制御部が電気的に接続されている。ここで、遮水機構100は、可動アーム104の作動に伴って、下側通気口30からの雨水Wの流出を制限する制限状態と、当該制限を解除する解除状態とに切り替えられる。
具体的には、図4には、遮水機構100の解除状態が示されている。この解除状態では、遮水板102が収容部106に収容されており、下側通気口30が露出されている。この状態から、制御部が可動アーム104を展開して遮水板102を起伏させると、図5に示されるように、遮水機構100が解除状態から制限状態に切り替えられる。
制限状態では、遮水板102によって下側通気口30が遮水可能に閉塞される。この結果、ダブルスキン構造90内の空間26に貯留された雨水Wが、下側通気口30から流出することが抑制される。また、ダブルスキン構造90内の空間26に、雨水Wを貯留可能な貯水空間が形成される。
なお、遮水板は、起伏式に限らず、スライド式や、スイング式等であっても良い。
(雨水処理設備)
図4に示されるように、構造物80には、屋上(屋根)84Aで集水された雨水を再利用する雨水処理設備110が設けられている。雨水処理設備110は、ろ過装置114と、給水器116と、雨水排出管118と、ポンプ120とを備えている。
ろ過装置114は、ダブルスキン構造90の上部に形成された雨水供給口112に設けられている。雨水供給口112は、ダブルスキン構造90内の空間26に通じるとともに、屋上84Aに通じている。
ろ過装置114は、例えば、雨水中の固形物を除去するろ材を有している。これにより、屋上84Aで集水された雨水が、ろ過装置114及び雨水供給口112を介して、ダブルスキン構造90内の空間26に供給される。また、ろ過装置114には、樋72が吊り下げられている。これにより、ろ過装置114を通過した雨水Wは、樋72を伝って流れ落ちる。
なお、雨水供給口112は、開閉式でも良いし、常時開放式であっても良い。また、ろ過装置114及び樋72は、省略可能である。
給水器116は、例えば、蛇口等を有し、構造物80の室内89に設けられている。この給水器116には、雨水排出管118を介して、ダブルスキン構造90内の空間26が接続されている。雨水排出管118は、例えば、構造物80のスラブ82に埋設されている。この雨水排出管118の雨水排出口118Aは、雨水供給口112よりも下側で、ダブルスキン構造90内の空間26に通じている。
なお、給水器116は、構造物10の室外(屋外)に設けられても良い。
雨水排出管118には、ポンプ120が設けられている。このポンプ120を作動することにより、ダブルスキン構造90の空間26に貯留された雨水Wが、雨水排出管118を介して給水器116に供給される。
(制御部)
制御部には、遮水機構100が電気的に接続されている。また、制御部には、例えば、構造物80の屋上84Aに降雨した雨水を検知する図示しない降雨センサが電気に接続されている。この制御部は、一例として、降雨センサで検知された降雨情報に基づいて、遮水機構100の動作を制御する。
(作用)
次に、第二実施形態の作用について説明する。
(ダブルスキン構造)
先ず、ダブルスキン構造90の作用について説明する。図4に示される構造物80では、下側通気口30及び上側通気口32の開閉機構40が開放状態とされている。この開放状態では、外側外装材24の下側通気口30及び上側通気口32が開放されている。
また、図4に示される構造物80では、複数の遮水機構100が解除状態とされている。この解除状態では、遮水機構100の遮水板102が収容部106に収容されており、下側通気口30が露出されている。
これにより、矢印aで示されるように、下側通気口30からダブルスキン構造90内の空間26に空気(外気)が供給されるとともに、ダブルスキン構造90内の空間26の空気が上側通気口32から排出される。つまり、ダブルスキン構造90内の空間26が換気(自然換気)される。この結果、夏季等において、室内89の温度上昇が抑制される。
一方、開閉機構40の駆動源を作動し、開閉機構40を開放状態から閉塞状態にすると、下側通気口30及び上側通気口32が閉塞される(図5参照)。これにより、ダブルスキン構造90内の空間26が換気されず、当該空間26が断熱層として機能する。この結果、例えば、冬季等において、構造物80の室内89の温度低下が抑制される。
したがって、例えば、構造物80の室内89の温度等に応じて開閉機構40を作動させ、外側外装材24の下側通気口30及び上側通気口32を開閉することにより、室内89の空調負荷を低減することができる。よって、構造物80の省エネルギー化を図ることができる。
(雨水処理設備)
次に、雨水処理設備110の作用について説明する。図4では、前述したように、遮水機構100が解除状態とされている。
この状態で、降雨センサによって構造物80の屋上84Aの降雨が検知されると、制御部は、遮水機構100を解除状態から制限状態に切り替える。具体的には、制御部は、遮水機構100の可動アーム104を作動して遮水板102を起伏させる。これにより、図5に示されるように、遮水板102によって下側通気口30が遮水され、ダブルスキン構造90内の空間26に貯水空間が形成される。
この状態で、屋上84Aに降雨した雨水Wは、ろ過装置114及び雨水供給口112を介してダブルスキン構造90内の空間26に供給される。この際、ろ過装置114によって、雨水Wから固形物等が除去される。これにより、ダブルスキン構造90内の空間26には、固形物等を除去された雨水Wが貯留される。また、雨水Wは、ろ過装置114から樋72を伝って空間26に流れ落ちる。したがって、雨水Wの落下音が低減される。
また、雨水排出管118には、ポンプ120を設けられている。このポンプ120を作動することにより、ダブルスキン構造90内の空間26に貯留された雨水Wが給水器116に給水される。したがって、ダブルスキン構造90内の空間26に貯留された雨水Wを容易に再利用することができる。
このように本実施形態では、ダブルスキン構造90内の空間26を換気可能としつつ、当該空間26内に雨水Wを貯留することができる。
また、本実施形態では、ダブルスキン構造90内の空間26に貯留された雨水Wを再利用することができる。さらに、豪雨時等に、ダブルスキン構造90内の空間26に雨水Wを貯留することにより、公共雨水管が溢れることが抑制される。したがって、構造物10がある地域の浸水被害(床上浸水)や、河川の氾濫等の抑制に寄与することができる。
(変形例)
次に、上記第一実施形態及び第二実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は、上記第二実施形態にも適宜適用可能である。
上記第一実施形態では、制御部が、降水量予報に基づいて遮水機構50及び開閉弁62V,70V,74Vの作動を制御する。しかし、制御部は、構造物10がある地域の実際の降水量に基づいて、遮水機構50及び開閉弁62V,70V,74Vの動作を制御しても良い。また、遮水機構50及び開閉弁62V,70V,74Vは、操作ボタン等によって作動させても良い。
また、上記第一実施形態では、一階F1の貯水空間56、二階F2の貯水空間56、三階F3の貯水空間56の順に、雨水Wが貯留される。しかし、雨水Wを貯留する貯水空間56の順序は、適宜変更可能である。また、各階の貯水空間56に、並行して雨水Wを貯留することも可能である。
また、上記第一実施形態では、雨樋62が内側外装材22の内側に配置されている。しかし、雨樋62は、例えば、外側外装材24の外側に配置されても良いし、ダブルスキン構造20内の空間26に配置されても良い。また、雨水供給管70及び雨水排出管74の配置も、雨樋62の位置に応じて適宜変更可能である。
また、上記第一実施形態では、貯水空間56に貯留された雨水Wが、雨水排出管74及び雨樋62を介して排水される。しかし、例えば、雨樋62とは別の排水管に雨水排出管74を接続し、貯水空間56に貯留された雨水Wを、雨樋62とは別の排水管を介して排水しても良い。
また、例えば、二階F2の貯水空間56に貯留された雨水Wを、開閉弁が設けられた配管等を介して一階F1の貯水空間56に排水することも可能である。なお、雨水排出管74(雨水排出口74A)は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
また、上記第一実施形態では、構造物10の各階に遮水機構50が設けられている。しかし、遮水機構50は、例えば、構造物10の1階おき(例えば、一階F1と三階F3)に設けても良いし、構造物10の所定階にのみ設けても良い。また、構造物10の同一階に複数の遮水機構50を設けることも可能である。すなわち、構造物10には、少なくとも1つの遮水機構50を設けることができる。この場合、雨水供給管70(雨水供給口70A)及び雨水排出管74(雨水排出口74A)は、遮水機構50の数や配置に応じて、適宜設ければ良い。
また、上記第一実施形態の構造物10において、一階F1の遮水機構50を省略し、第二実施形態の遮水機構100を設けても良い。また、上記第二実施形態に係る構造物80において、遮水機構100を省略し、第一実施形態の遮水機構50を設けても良い。
また、ダブルスキン構造20内の空間26には、足場としてのグレーチング等を設けても良い。ダブルスキン構造20内の空間26にグレーチング等を設けた場合、遮水機構50は、例えば、グレーチング等の下側に配置される。その際は、遮水機構の形状を適宜変更しても良い。
また、上記第一実施形態では、一階F1の外側外装材24に下側通気口30が形成され、三階F3の外側外装材24に上側通気口32が形成されている。しかし、例えば、一階F1の外側外装材24に下側通気口を形成し、二階F2の外側外装材24に上側通気口を形成しても良い。また、第二実施形態のように、下側通気口及び上側通気口を同一階に形成することも可能である。さらに、下側通気口30及び上側通気口32は、ダブルスキン構造20内の空間26を換気可能であれば良く、その形状や大きさ、配置は、適宜変更可能である。
また、上記第一実施形態では、内側外装材22及び外側外装材24に透光部22B,24Bがそれぞれ設けられている。しかし、透光部22B,24Bは、省略可能である。
また、上記第一実施形態は、種々の構造物に適用可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 構造物
22 内側外装材
22B 透光部
24 外側外装材
24B 透光部
26 空間
30 下側通気口
32 上側通気口
50 遮水機構
52 回転仕切板(仕切部材)
70A 雨水供給口
74A 雨水排出口
80 構造物
100 遮水機構
112 雨水供給口
118A 雨水排出口

Claims (5)

  1. 内側外装材と、
    前記内側外装材の外側に配置され、該内側外装材との間に空間を形成する外側外装材と、
    前記空間に通じる下側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間に通じる上側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、屋上に降雨した雨水を前記空間内に供給する雨水供給口と、
    前記下側通気口からの雨水の流出を制限する制限状態と、前記制限を解除する解除状態と、に切り替えられる遮水機構と、
    を備える構造物。
  2. 内側外装材と、
    前記内側外装材の外側に配置され、該内側外装材との間に空間を形成する外側外装材と、
    前記空間に通じる下側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間に通じる上側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間内に雨水を供給する雨水供給口と、
    前記下側通気口からの雨水の流出を制限する制限状態と、前記制限を解除する解除状態と、に切り替えられる遮水機構と、
    を備え、
    前記遮水機構は、前記下側通気口よりも上側で、かつ、前記雨水供給口よりも下側に配置され、前記制限状態において前記空間を上下に仕切る仕切部材を有する、
    構造物。
  3. 内側外装材と、
    前記内側外装材の外側に配置され、該内側外装材との間に空間を形成する外側外装材と、
    前記空間に通じる下側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間に通じる上側通気口と、
    前記下側通気口よりも上側に配置され、前記空間内に雨水を供給する雨水供給口と、
    前記下側通気口からの雨水の流出を制限する制限状態と、前記制限を解除する解除状態と、に切り替えられる遮水機構と、
    を備え、
    前記雨水供給口は、上下方向に間隔を空けて複数設けられ、
    前記遮水機構は、複数の前記雨水供給口の下側にそれぞれ設けられる、
    構造物。
  4. 前記内側外装材及び前記外側外装材は、透光性を有する透光部をそれぞれ有する、
    請求項1~請求項3の何れか1項に記載の構造物。
  5. 前記雨水供給口よりも下側に配置され、前記空間内に貯留された雨水を排出する雨水排出口を備える、
    請求項1~請求項4の何れか1項に記載の構造物。
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