JP2016130189A - 13族窒化物単結晶の製造方法、および13族窒化物単結晶の製造装置 - Google Patents

13族窒化物単結晶の製造方法、および13族窒化物単結晶の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】雑晶の発生を十分に抑制する。
【解決手段】13族窒化物単結晶19の製造方法は、反応容器52内に保持されたアルカリ金属と13族金属を含む混合融液24中に、気相22から窒素を溶解させ、混合融液24中に配置された種結晶30に13族窒化物結晶27を結晶成長させる。そして、混合融液24中に、気相22と混合融液24との気液界面A側から種結晶30側に向かう第1の流れC1、および種結晶30側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2が形成される。これらの第1の流れC1および第2の流れC2の内、少なくとも種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する流れ中に、気液界面Aに連続する第1温度の第1領域24Aと、第1領域24Aの種結晶30側に連続すると共に種結晶30が配置された、第1温度より高い第2温度の第2領域24Bと、が含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、13族窒化物単結晶の製造方法、および13族窒化物単結晶の製造装置に関する。
液相成長法を用いてGaN基板を製造する手法の一つとして、金属ナトリウムと金属Gaの混合融液中に窒素を溶解し、GaNを結晶成長させるフラックス法が開示されている。フラックス法は700℃〜900℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も3MPa〜8MPa程度と比較的低く、工業化可能な結晶成長方法である。
このフラックス法を用いたGaN基板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。特許文献1には、混合融液の温度と窒素分圧、混合融液中のナトリウムとガリウムの比率によって、結晶形状を制御する方法が開示されている。特許文献2には、融液の気液界面における温度と融液の底部における温度との差を1℃以上、8℃以下とし、融液の気液界面と種結晶基板の成長面とが成す角度を45°以上、135°以下として結晶成長を行う方法が開示されている。特許文献3には、育成容器内の融液に水平方向に温度勾配を設け、融液の気液界面と種結晶基板の育成面とをほぼ平行として結晶成長を行う方法が開示されている。
しかしながら、従来では、雑晶の発生を十分に抑制することは出来なかった。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の13族窒化物単結晶の製造方法は、反応容器内に保持されたアルカリ金属と13族金属を含む混合融液中に、気相から窒素を溶解させ、前記混合融液中に配置された種結晶に13族窒化物結晶を結晶成長させる、13族窒化物単結晶の製造方法において、前記混合融液中に、前記気相と前記混合融液との気液界面側から前記種結晶側に向かう第1の流れ、および前記種結晶側から前記気液界面側へ向かう第2の流れが形成され、前記第1の流れおよび前記第2の流れの内、少なくとも前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に接する流れ中に、前記気液界面に連続する第1温度の第1領域と、前記第1領域の前記種結晶側に連続すると共に前記種結晶が配置された、前記第1温度より高い第2温度の第2領域と、が含まれることを特徴とする。
本発明によれば、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
図1は、13族窒化物単結晶の製造装置の一例を示す図である。 図2は、針状の種結晶の一例を示す図である。 図3は、13族窒化物単結晶の製造装置の一例を示す図である。 図4は、13族窒化物単結晶の製造装置の一例を示す図である。 図5は、13族窒化物単結晶の製造装置の一例を示す図である。
以下に添付図面を参照して、本実施の形態にかかる13族窒化物単結晶の製造方法、および13族窒化物単結晶の製造装置について説明する。なお、以下の説明において、図には発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本発明が特に限定されるものではない。また、複数の図に示される同様の構成要素については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法では、フラックス法により、種結晶から13族窒化物結晶を成長させることで、13族窒化物単結晶を製造する。
本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法は、反応容器内に保持された混合融液中に、気相から窒素を溶解させ、混合融液中に配置された種結晶に、13族窒化物結晶を結晶成長させる。混合融液は、アルカリ金属と13族金属を含む。
本実施の形態では、混合融液中に、第1の流れと第2の流れによる対流が形成される。第1の流れは、気相と混合融液との気液界面側から種結晶側に向かう流れである。第2の流れは、種結晶側から気液界面側へ向かう流れである。これらの第1の流れおよび第2の流れの内、少なくとも種結晶または種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に接する流れ中に、第1領域と、第2領域と、が含まれる。
第1領域は、混合融液における、気相と混合融液との気液界面に連続する第1温度の領域である。第2領域は、混合融液における、第1領域の種結晶側に連続し、第1温度より高い第2温度の領域である。この第2領域内に、種結晶が配置される。第1の流れおよび第2の流れは、混合融液中の温度差に起因して発生した対流である。なお、第1の流れおよび第2の流れは、温度差に起因して発生した対流に限定されない。
これらの第1領域および第2領域の温度は、後述する加熱部によって混合融液を加熱することで調整される。
本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法では、上記製造方法を用いることによって、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
上記効果が奏される理由は、以下のように推測される。なお、下記推測によって本発明は限定されない。
気相から気液界面を介して混合融液中に溶解した窒素は、混合融液中で、13族金属とアルカリ金属と何らかの液体構造を有する溶解種を形成し、気液界面近傍の第1領域に溶解した状態となる。
ここで、形成された溶解種は、時間経過により複数の溶解種が凝集し、サイズの拡大したクラスターとなる。このクラスターのサイズが臨界核の大きさを越えると、結晶核が発生して雑晶になると考えられる。
そこで、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法では、混合融液中における第1の流れおよび第2の流れの内、少なくとも種結晶または種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に接する流れ中に、第1温度の第1領域と、第1温度より高い第2領域と、が含まれる。第1領域は、気液界面に連続する領域である。第2領域内に、種結晶が配置される。
このため、本実施の形態では、第1領域で形成された溶解種のクラスターは、第1の流れおよび第2の流れの内、種結晶または種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に接する流れに沿って流れて第2領域に到る。第2領域において、クラスターには、第2温度の熱エネルギーが与えられる。すなわち、本実施の形態では、気液界面近傍で形成された溶解種のクラスターが臨界核サイズを超える前に、該クラスターに第2温度の熱エネルギーが与えられる。第2温度の熱エネルギーが与えられることで、クラスターは、種結晶または種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に到達する前に破壊され、小さいサイズとなる。
このように、混合融液中における第2領域を通過することで、クラスターは熱エネルギーにより破壊される。このため、混合融液中の第2領域に配置された種結晶、または該種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶には、クラスターが破壊されてサイズの小さくなった溶解種が接することとなる。このため、種結晶は、雑晶の核発生の抑制された状態で、結晶成長することとなる。
また、種結晶に取り込まれなかった溶解種は、再度クラスターを形成してサイズを拡大する場合がある。しかし、形成されたクラスターは、対流によって再度第2領域に到る。このため、種結晶または種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶には、第2領域において第2温度の熱エネルギーを与えられることで破壊されて小さいサイズとなった溶解種が供給されることとなる。
従って、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法、および該製造方法を用いた13族窒化物単結晶の製造装置は、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
また、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法、および該製造方法を用いた13族窒化物単結晶の製造装置では、種結晶に結晶成長した13族窒化物結晶の表面に、表面近傍で核発生した微結晶が付着することを抑制することができる。
また、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法、および該製造方法を用いた13族窒化物単結晶の製造装置では、混合融液24中に、クラスターを破壊可能な第2温度の第2領域を設けるだけで、クラスターを破壊することができる。このため、結晶成長温度と、窒素分圧と、を一定に保ちつつ、結晶成長を行うことができる。
従って、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造方法、および該製造方法を用いた13族窒化物単結晶の製造装置は、上記効果に加えて、成長速度や不純物量を均一にすることができ、歪みやキャリア濃度等が均一な品質の、13族窒化物単結晶を製造することができる。
以下、詳細を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態の13族窒化物単結晶の製造装置の一例を示す図である。なお、以下では、“13族窒化物単結晶の製造装置”を、単に、製造装置と称して説明する場合がある。
製造装置1は、制御部10と、本体部12と、を備える。
本体部12は、ステンレス製の外部耐圧容器50を備える。外部耐圧容器50内には内部容器51が設置されている。内部容器51は、閉じた形状を成す。内部容器51は、例えば、ステンレス製である。内部容器51は、外部耐圧容器50から取り外し可能である。
内部容器51内には、設置台42が設けられている。この内部容器51内の設置台42上に、反応容器52が設置されている。すなわち、反応容器52は、外部耐圧容器50および内部容器51による二重構造の容器の内側に配置されている。内部容器51は外部耐圧容器50に対して着脱可能となっている。また、反応容器52は、設置台42に対して着脱可能となっている。
反応容器52は、混合融液24を内部に保持する。また、反応容器52は、内部に保持した混合融液24内に、種結晶30を保持する。すなわち、反応容器52は、種結晶30と混合融液24とを保持して、種結晶30から13族窒化物結晶27の結晶成長を行うための容器である。図1に示す例では、反応容器52には蓋部53が設けられており、反応容器52の開放口を閉じる蓋として機能する。
混合融液24は、フラックスとしてのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一方と、13族金属と、を少なくとも含む。
フラックスは、例えば、金属ナトリウム、ナトリウム化合物(例えば、アジ化ナトリウム)などである。混合融液24には、リチウムや、カリウム等のその他のアルカリ金属や、アルカリ金属の化合物、バリウム、ストロンチウムやカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルカリ土類金属の化合物を、結晶成長を促進させるために助剤として添加してもよい。
本実施の形態では、フラックスとして、アルカリ金属であるNaを用いる場合を説明するが、Naに限られない。
本実施の形態では、原料である13族金属として、ガリウムを用いる場合を説明する。なお、13族金属として、ホウ素、アルミニウム、インジウム等の他の13族金属を用いてもよいし、13族金属から選ばれる複数の金属の混合物を用いてもよい。
また、本実施の形態で製造する13族窒化物単結晶19は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、およびこれらの混晶を意味する。
13族金属とアルカリ金属とのモル比は、特に限定されるものではないが、13族金属とアルカリ金属との総モル数に対するアルカリ金属のモル比を、40%〜95%とすることが好ましい。
なお、混合融液24には、核発生の抑制される準安定領域を拡大する効果のあるカーボンや、n型ドーパント原料となる酸化ホウ素、酸化ガリウム等を適宜添加してもよい。
反応容器52の材質は特に限定しない。反応容器52の材質は、例えば、BN焼結体、P−BN等の窒化物、アルミナ、YAG等の酸化物、SiC等の炭化物等である。なお、反応容器52の内壁面、すなわち、反応容器52が混合融液24と接する部位は、混合融液24と反応し難い材質で構成されていることが望ましい。13族窒化物結晶27が窒化ガリウム結晶である場合、反応容器52の材質の例は、窒化ホウ素(BN)や、パイロリティックBN(P−BN)や、窒化アルミニウム等の窒化物や、アルミナ、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等の酸化物、ステンレス鋼(SUS)等である。
また、製造装置1は、供給部48を備える。供給部48は、反応容器52内の気相22に窒素を供給し、窒素を混合融液24に溶解させる。
供給部48は、ガス供給管65、ガス供給管66、窒素供給管57、圧力制御装置56、バルブ55、ガス供給管54、ガス供給管60、圧力制御装置59、バルブ58、バルブ63、バルブ61、及びバルブ62を含む。
ガス供給管65及びガス供給管66は、外部耐圧容器50と内部容器51に接続されている。ガス供給管65及びガス供給管66の各々は、外部耐圧容器50の内部空間67と内部容器51の内部空間68の各々に、13族窒化物単結晶19の原料である窒素(N)ガスおよび全圧調整用の希釈ガスを供給する。
これらの窒素ガスおよび希釈ガスは、反応容器52内の気相22に供給される。
希釈ガスとしては、不活性ガスのアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、その他のヘリウム(He)等の不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。
窒素ガスは、窒素ガスのガスボンベ等と接続された窒素供給管57から供給されて、圧力制御装置56で圧力を調整された後、バルブ55を介してガス供給管54に供給される。一方、全圧調整用のガス(例えば、アルゴンガス)は、全圧調整用のガスのガスボンベ等と接続された全圧調整用のガス供給管60から供給されて、圧力制御装置59で圧力を調整された後、バルブ58を介してガス供給管54に供給される。このようにして圧力を調整された窒素ガスと全圧調整用のガスは、ガス供給管54にそれぞれ供給されて混合される。
窒素および希釈ガスの混合ガスは、ガス供給管54から、バルブ63、ガス供給管65、バルブ61、ガス供給管66を経て、外部耐圧容器50および内部容器51内に供給される。なお、内部容器51はバルブ61部分で製造装置1から取り外すことが可能となっている。また、ガス供給管65は、バルブ62を介して外部に連通している。
また、ガス供給管54には、圧力計64が設けられている。製造装置1では、制御部10が、圧力計64によって外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧をモニターしながら、外部耐圧容器50および内部容器51内の圧力を調整する。
本実施の形態では、製造装置1は、このように窒素ガスおよび希釈ガスの圧力をバルブ55及びバルブ58と、圧力制御装置56及び圧力制御装置59と、によって調整することにより、窒素分圧を調整することができる。また、外部耐圧容器50と内部容器51の全圧を調整できるので、内部容器51内の全圧を高くして、反応容器52内のフラックス(たとえばナトリウム)の蒸発を抑制することができる。即ち、窒化ガリウムの結晶成長条件に影響を与える窒素原料となる窒素分圧と、ナトリウム等のフラックスの蒸発抑制に影響を与える全圧を、別々に制御する事が可能となっている。
なお、内部容器51内の窒素分圧は、例えば、0.1MPa〜8MPaの範囲内とすることが好ましい。
外部耐圧容器50内の内部容器51の外周には、第1加熱部70及び第2加熱部72が配置されている。第1加熱部70および第2加熱部72は、内部容器51および反応容器52を加熱することで、反応容器52内の混合融液24を加熱する。
反応容器52に、種結晶30やGaやNaと、Cなどの添加剤やGeなどのドーパント等の原料などを投入する作業は、内部容器51を例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気のグローブボックスに入れて行う。この作業は内部容器51に反応容器52を入れた状態で行ってもよい。
種結晶30は、反応容器52内に保持された混合融液24内に設置されている。本実施の形態では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに配置されている。図1に示す例では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bにおける、気相22と混合融液24との気液界面Aに平行な断面の中央に相当する位置に配置されている。なお、図1に示す例では、種結晶30は、種結晶30を保持する穴を備えた保持冶具41の、該穴に差し込むことで、反応容器52の内側の底部Bに保持されている。
種結晶30としては、13族窒化物単結晶を用いることが好ましい。種結晶30の形状は限定されない。例えば、種結晶30の形状は、例えば、板状、柱状、針状、の何れであってもよい。
図2は、針状の種結晶30の一例を示す図である。種結晶30として、針状の種結晶30を用いる場合、図2に示す形状の種結晶30を用いることが好ましい。具体的には、種結晶30は、{10−10}面を側面とし、c軸方向の長さがa軸方向の長さより長い針状結晶であることが好ましい。
なお、種結晶30には、サファイア基板上に13族窒化物を成膜したテンプレート基板を、用いてもよい。
図1に戻り、製造装置1において、種結晶30から13族窒化物結晶27を結晶成長させる場合、まず、上述した混合融液24の原料を反応容器52内に投入する。反応容器52に原料を投入する作業は、内部容器51を例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気とされたグローブボックスに入れて行う。この作業は、内部容器51に反応容器52を入れた状態で行ってもよい。また、反応容器52には、種結晶30を設置する。
このように原料や種結晶30等を設置した後に、第1加熱部70および第2加熱部72に通電して、内部容器51およびその内部の反応容器52を加熱し、混合融液24を結晶成長温度に加熱する。結晶成長温度は、例えば、750℃以上である。
すると、反応容器52内において原料の13族金属、アルカリ金属、その他の添加物等が溶融し、混合融液24が形成される。また、供給部48から気相22を介して供給された窒素を混合融液24に接触させて、混合融液24中に溶解させる。これにより、13族窒化物結晶27の原料である窒素を混合融液24中に供給する。
そして、混合融液24中に溶解している原料が種結晶30の外周表面に供給されて、当該原料によって種結晶30の外周表面から13族窒化物結晶27が結晶成長する。このように、種結晶30から13族窒化物結晶27が結晶成長することにより、種結晶30を含む13族窒化物単結晶19を製造することができる。
ここで、本実施の形態では、製造装置1は、上述したように、第1加熱部70および第2加熱部72を備える。
第1加熱部70は、反応容器52内に保持された混合融液24における、混合融液24と気相22との気液界面Aに連続する第1領域24Aを加熱する。すなわち、第1加熱部70は、反応容器52内に保持された混合融液24の第1領域24Aを加熱可能な位置に配置されている。図1に示す例では、第1加熱部70は、外部耐圧容器50内の内部容器51の外周の、該第1領域24Aを加熱可能な位置に配置されている。具体的には、第1加熱部70は、反応容器52の外周における深さ方向の、反応容器52の開口側(底部の反対側)の端部に相当する位置に配置されている。
第2加熱部72は、反応容器52内に保持された混合融液24における、第1領域24Aの種結晶30側(すなわち、底部B側)に連続する第2領域24Bを加熱する。第2加熱部72は、外部耐圧容器50内の内部容器51の外周および反応容器52の外周における、第2領域24Bを加熱可能な位置に配置されている。
本実施の形態では、第2加熱部72は、中段加熱部72Aと、下段加熱部72Bと、底部加熱部72Cと、を含む。中段加熱部72Aは、外部耐圧容器50内の内部容器51の外周の、第1加熱部70の下側に配置されている。下段加熱部72Bは、外部耐圧容器50内の内部容器51の外周の、中段加熱部72Aの下側に配置されている。
なお、下段加熱部72Bは、内部容器51の側面の、内部容器51の底部Bの周縁に相当する位置と、中段加熱部72Aによって加熱される位置と、の間の領域を加熱可能な位置に配置されている。また、中段加熱部72Aは、内部容器51の側面の、第1加熱部70によって加熱される位置と、下段加熱部72Bによって加熱される位置と、の間の領域を加熱可能な位置に配置されている。
底部加熱部72Cは、反応容器52の底部Bを、反応容器52の外側から加熱可能な位置に配置されている。図1に示す例では、底部加熱部72Cは、設置台42内に配置されている。
これらの第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々は、制御部10に接続されている。制御部10は、第1加熱部70、中段加熱部72A、下段加熱部72B、及び底部加熱部72Cの各々を、個別に温度制御する。
本実施の形態では、制御部10は、混合融液24を結晶成長温度に加熱すると共に、混合融液24内に温度分布を生じさせ、第1の流れおよび第2の流れによる対流を生じさせるように、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を制御する。
具体的には、制御部10は、第1領域24Aを第1温度に加熱するように第1加熱部70を制御する。また、制御部10は、第2領域24Bを第2温度に加熱するように、第2加熱部72を制御する。
第1温度および第2温度は、結晶成長温度(例えば、750℃)以上の温度である。なお、結晶成長温度は、混合融液24の組成や組成比や窒素分圧などにより定まり、750℃に限定されない。
また、第2温度は、第1温度より高い。第2温度は、結晶成長温度以上の温度であり、且つ、第1温度より高ければよく、値は限定されない。
なお、第2温度は、窒素を含む溶解種が凝集したクラスターを破壊可能な温度であることが好ましい。
また、第2温度は、第1温度より15℃以上高いことが好ましく、25℃以上高いことが更に好ましい。
制御部10の制御によって、第1加熱部70は、混合融液24内の第1領域24Aを第1温度に加熱する。また、制御部10の制御によって、第2加熱部72は、混合融液24内の第2領域24Bを第2温度に加熱する。
これらの加熱部(第1加熱部70、第2加熱部72)によって加熱されることで、混合融液24の第1領域24Aは、第1温度に加熱され、混合融液24の第2領域24Bは第2温度に加熱される。第2温度は第1温度より高いことから、混合融液24内の第1領域24Aと第2領域24Bとの温度差により、少なくとも鉛直方向に温度分布が生じる。この鉛直方向に生じた温度分布によって、混合融液24内に対流Cが生じる。
詳細には、図1に示すように、混合融液24内には、気液界面A側から種結晶30側へ向かう第1の流れC1と、種結晶30側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2と、による対流Cが形成される。本実施の形態では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに配置されている。このため、第1の流れC1は、気液界面A側から底部B側へ向かう流れである。また、第2の流れC2は、底部B側から気液界面A側へ向かう流れである。すなわち、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27は、気液界面A側から底部Bへ向かう第1の流れC1に接することとなる。
そして、第1の流れC1および第2の流れC2の内、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する流れ(図1では第1の流れC1)中に、第1領域24Aと第2領域24Bとが含まれることとなる。
このため、第1領域24Aで形成された溶解種のクラスターは、第1の流れC1に沿って流れて第2領域24Bに到る。そして、第2領域24Bにおいて、クラスターには、第2温度の熱エネルギーが与えられ、クラスターが破壊される。このため、第2領域24Bにおける、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cには、クラスターが破壊されてサイズの小さくなった溶解種が供給される。このため、種結晶30は、雑晶の核発生の抑制された状態で、結晶成長する。
また、種結晶30に取り込まれなかった溶解種は、再度クラスターを形成してサイズを拡大する場合がある。しかし、形成されたクラスターは、対流Cによって再度第2領域24Bに到る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27には、第2領域24Bにおいて第2温度の熱エネルギーを与えられることで破壊されて小さいサイズとなった溶解種が供給されることとなる。
このため、13族窒化物単結晶19の製造装置1は、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
なお、混合融液24中の第2領域24Bは、第3領域24Cと、第4領域24Dと、を含む。
第3領域24Cは、第2領域24Bにおける、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続した領域である。第4領域24Dは、第2領域24Bにおける、第3領域24C以外の領域である。
第4領域24Dの第4温度は、結晶成長温度以上の温度であり、且つ第1領域24Aの第1温度より高い。また、第3領域24Cの第3温度は、第4領域24Dの第4温度以下であり、第1温度より高く、且つ結晶成長温度以上の温度である。
また、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続した領域である第3領域24Cは、溶解種濃度が飽和濃度より高く、且つ、核発生の抑制される準安定領域であることが好ましい。このため、第3領域24Cの第3温度は、第3領域24Cを準安定状態に保持可能な温度であることが好ましい。
制御部10は、第2領域24Bにおける第4領域24Dを、第4温度に加熱するように第2加熱部72を制御する。また、制御部10は、第2領域24Bにおける第3領域24Cを、第3温度に加熱するように第2加熱部72を制御する。
例えば、制御部10は、第3領域24Cを第3温度に加熱するように底部加熱部72Cを制御する。底部加熱部72Cは、反応容器52内の混合融液24を底部B側から加熱することで、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続する第3領域24Cを第3温度に加熱する。
また、制御部10は、第4領域24Dを第4温度に加熱するように、下段加熱部72Bおよび中段加熱部72Aを制御する。例えば、制御部10は、第4領域24Dにおける、第3領域24Cに対して横方向(鉛直方向に対して交差する方向)に連続する領域を、第3領域24Cの第3温度より高温とするように下段加熱部72Bを制御する。また、制御部10は、第4領域24Dにおける、第3領域24Cに対して気液界面A側に連続する領域を、第3温度以上とするように、中段加熱部72Aを制御する。
このため、混合融液24は、鉛直方向と共に、水平方向にも温度差による温度分布を有する。
制御部10の制御によって、底部加熱部72Cは第3領域24Cを第3温度に加熱する。また、制御部10の制御によって、下段加熱部72Bおよび中段加熱部72Aは、各々上記温度に混合融液24を加熱する。
第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)によって加熱された混合融液24における、反応容器52の中央、すなわち種結晶30または種結晶30から結晶成長する13族窒化物結晶27に接する領域は、下降流である第1の流れC1となる。また、反応容器52の内壁面Dに沿った領域は、上昇流である第2の流れC2となる。
なお、反応容器52の中央とは、反応容器52における混合融液24の気液界面Aに平行な断面の中央を意味する。また、内壁面Dは、反応容器52の内壁の一部であり、反応容器52の内側の底部Bに対して交差する方向に連続する壁面である。
このため、種結晶30または13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cに、クラスターの破壊された溶解種を、効率良く供給することができる。このため、本実施の形態の製造装置1は、雑晶の発生を効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造装置1は、反応容器52と、種結晶30と、供給部48と、第1加熱部70と、第2加熱部72と、制御部10と、を備える。反応容器52は、アルカリ金属と13族金属を含む混合融液24を内側に保持する。種結晶30は、反応容器52内の混合融液24中に配置される。供給部48は、反応容器52内の気相22に窒素を供給し、窒素を混合融液24に溶解させる。第1加熱部70は、混合融液24における、混合融液24と気相22との気液界面Aに連続する第1領域24Aを加熱する。第2加熱部72は、混合融液24における、第1領域24Aの種結晶30側に連続する第2領域24Bを加熱する。第2領域24B内には、種結晶30が配置されている。制御部10は、第1領域24Aを第1温度に加熱し、第2領域24Bを第1温度より高い第2温度に加熱するように、第1加熱部70および第2加熱部72を制御する。
従って、本実施の形態の製造装置1は、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
また、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造方法は、反応容器52内に保持されたアルカリ金属と13族金属を含む混合融液24中に、気相22から窒素を溶解させ、混合融液24中に配置された種結晶30に13族窒化物結晶27を結晶成長させる。そして、混合融液24中に、気相22と混合融液24との気液界面A側から種結晶30側に向かう第1の流れC1、および種結晶30側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2が形成される。これらの第1の流れC1および第2の流れC2の内、少なくとも種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する流れ中に、気液界面Aに連続する第1温度の第1領域24Aと、第1領域24Aの種結晶30側に連続すると共に種結晶30が配置された、第1温度より高い第2温度の第2領域24Bと、が含まれる。
従って、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造方法は、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
なお、混合融液24における第2領域24Bの深さは、第2領域24B内に配置された種結晶30および種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27が、第2領域24B内に留まる深さ(第1領域24Aに到らない深さ)となるように、予め調整すればよい。第2領域24Bの深さの調整は、種結晶30の配置位置、第1加熱部70および第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の配置位置、および反応容器52内の混合融液24の量を調整することで、行えばよい。
また、第2温度は、窒素を含む溶解種が凝集したクラスターを破壊可能な温度であることが好ましい。また、第2温度は、第1温度より15℃以上高いことが好ましい。
また、第2領域24Bは、第3領域24Cと第4領域24Dとを含む。第3領域24Cは、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続した領域である。第4領域24Dは、第2領域24Bにおける、第3領域24C以外の領域である。第4領域24Dの第4温度は第1温度より高く、第3領域24Cの第3温度は第4温度以下であり且つ第1温度より高いことが好ましい。
また、第3温度は、第3領域24Cを核発生の抑制される準安定状態に保持可能な温度であることが好ましい。
また、混合融液24は、鉛直方向および水平方向に温度分布を有する。
また、種結晶30は、例えば、反応容器52の内側の底部Bに配置されている。また、種結晶30または種結晶30から結晶した13族窒化物結晶27は、気液界面A側から底部B側へ向かう第1の流れC1に接する。
また、種結晶30の形状は限定されないが、{10−10}面を側面とし、c軸方向の長さがa軸方向の長さより長い針状結晶であることが好ましい。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、反応容器52内に、板状部材を配置した形態を説明する。
図3は、本実施の形態の製造装置1Aの一例を示す図である。製造装置1Aは、制御部10Aと、本体部12Aと、を備える。
本体部12Aは、外部耐圧容器50と、内部容器51と、設置台42と、反応容器52と、蓋部53と、供給部48と、第1加熱部70と、第2加熱部72と、を備える。これらの外部耐圧容器50、内部容器51、設置台42、反応容器52、蓋部53、供給部48、第1加熱部70、及び第2加熱部72は、第1の実施の形態と同様である。
制御部10Aは、第1加熱部70、第2加熱部72、および供給部48などを制御する。制御部10Aによる第1加熱部70および第2加熱部72の制御は、第1の実施の形態と同様である。
反応容器52は、第1の実施の形態と同様に、混合融液24を内部に保持する。また、反応容器52は、混合融液24内に種結晶30を保持する。種結晶30は、第1の実施の形態と同様である。図3に示す例では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに配置されている。また、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bにおける、気相22と混合融液24との気液界面Aに平行な断面の中央に相当する位置に配置されている。なお、図3に示す例では、種結晶30は、種結晶30を保持する穴を備えた保持冶具41の、該穴に差し込むことで、反応容器52の内側の底部Bに保持されている。
本実施の形態では、反応容器52内には、第1板状部材74と、第2板状部材76と、が設けられている。なお、製造装置1Aは、反応容器52内に、第1板状部材74および第2板状部材76の少なくとも一方を備えた構成であればよい。本実施の形態では、反応容器52内に、第1板状部材74および第2板状部材76が設けられた形態を説明する。
第1板状部材74は、反応容器52内に保持された混合融液24内の、第1領域24Aと第2領域24Bとの境界に、気液界面Aに対して平行に設置されている。なお、第1板状部材74は、気液界面Aに対して平行に設置されていることが好ましいが、気液界面Aに対して傾いて配置されていてもよい。
なお、第1板状部材74の設置位置は、種結晶30の配置位置、第1加熱部70および第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の配置位置、反応容器52内の混合融液24の量、および第1板状部材74の設置位置、の少なくとも1つを調整することで、上記条件を満たすように調整すればよい。
第1板状部材74には、第1の流れC1および第2の流れC2の流れ方向に沿った貫通孔74Aが設けられている。図3に示す例では、貫通孔74Aは、第1板状部材74を鉛直方向に貫通する貫通孔である。
すなわち、混合融液24内の第1領域24Aと第2領域24Bは、第1板状部材74の貫通孔74Aによって、第1の流れC1および第2の流れC2の流れ方向に連通している。貫通孔74Aの直径は、溶解種や溶解種の凝集したクラスターが少なくとも通過可能な大きさであればよい。第1板状部材74に設けられた貫通孔74Aの密度および数は、混合融液24内で生じる対流C(第1の流れC1、第2の流れC2)を阻害しない密度および数となるように、予め調整すればよい。
第2板状部材76は、第2領域24Bに含まれる第3領域24Cと第4領域24Dとの境界における、気液界面Aに対して平行な平行領域に沿って配置されている。
なお、第2板状部材76の設置位置は、種結晶30の配置位置、第1加熱部70および第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の配置位置、反応容器52内の混合融液24の量、および第2板状部材76の設置位置、の少なくとも1つを調整することで、上記条件を満たすように調整すればよい。
第2板状部材76は、第1の流れC1および第2の流れC2の流れ方向に沿った貫通孔76Aを備える。図3に示す例では、貫通孔76Aは、第2板状部材76を鉛直方向に貫通する貫通孔である。
すなわち、混合融液24内の第2領域24Bにおける、第4領域24Dと第3領域24Cとの境界の内、気液界面Aに対して平行な平行領域は、第2板状部材76の貫通孔76Aによって、第1の流れC1および第2の流れC2の流れ方向に連通している。貫通孔76Aの直径は、溶解種や溶解種の凝集したクラスターが少なくとも通過可能な大きさであればよい。第2板状部材76に設けられた貫通孔76Aの密度および数は、混合融液24内で生じる対流C(第1の流れC1、第2の流れC2)を阻害しない密度および数となるように、予め調整すればよい。
第1板状部材74および第2板状部材76は、混合融液24より熱伝導率の低い材料で構成することが好ましい。第1板状部材74および第2板状部材76の構成材料は、例えば、アルミナ、サファイア、などである。
このように、本実施の形態の製造装置1Aは、反応容器52内に、第1板状部材74および第2板状部材76を配置した点が、第1の実施の形態の製造装置1と異なる。
本実施の形態の製造装置1Aでは、第1の実施の形態の製造装置1と同様にして、結晶成長を行う。
具体的には、種結晶30から13族窒化物結晶27を結晶成長させる場合、まず、混合融液24の原料を反応容器52内に投入する。また、反応容器52には、種結晶30を設置する。そして、原料や種結晶30等を設置した後に、第1加熱部70および第2加熱部72に通電して、内部容器51およびその内部の反応容器52を加熱し、混合融液24を結晶成長温度に加熱する。
すると、反応容器52内において原料の13族金属、アルカリ金属、その他の添加物等が溶融し、混合融液24が形成される。また、供給部48から気相22を介して供給された窒素を混合融液24に接触させて、混合融液24中に溶解させる。これにより、13族窒化物結晶27の原料である窒素を混合融液24中に供給する。
そして、制御部10Aは、混合融液24を結晶成長温度に加熱すると共に、混合融液24内に温度分布を生じさせ、第1の流れC1および第2の流れC2による対流Cを生じさせるように、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を制御する。この加熱の制御は、第1の実施の形態と同様である。
これらの加熱部(第1加熱部70、第2加熱部72)によって加熱されることで、混合融液24の第1領域24Aは、第1温度に加熱され、混合融液24の第2領域24Bは第2温度に加熱される。
ここで、本実施の形態では、反応容器52内に、第1板状部材74および第2板状部材76が設けられている。このため、第1板状部材74が熱的抵抗として機能し、第1板状部材74の上下(第1領域24A側と第2領域24B側)で熱伝導と対流が抑制される。このため、混合融液24における、第1領域24Aと第2領域24Bとの間で温度分布が顕著に生じることとなる。同様に、第2板状部材76もまた熱的抵抗として機能し、第2板状部材76の上下(第4領域24D側と第3領域24C側)で熱伝導と対流が抑制される。このため、混合融液24内の第2領域24Bにおける、第4領域24Dと第3領域24Cとの間で温度分布が顕著に生じることとなる。
このため、混合融液24内の第1領域24Aと第2領域24Bとの温度差、および第2領域24B内の第4領域24Dと第3領域24Cとの温度差により、鉛直方向に顕著な温度分布が生じる。言い換えると、第1板状部材74および第2板状部材76によって、これらの各々の部材の上下の混合融液24間で熱伝導と対流Cが遮断され、温度分布が生じやすくなる。この鉛直方向に生じた温度分布によって、混合融液24内に対流Cが生じる。
例えば、図3に示すように、混合融液24内には、気液界面A側から種結晶30側へ向かう第1の流れC1と、種結晶30側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2と、による対流Cが形成される。
このため、図3に示すように、第1領域24Aで形成された溶解種のクラスターは、第1の流れC1に沿って流れて、第1板状部材74の貫通孔74Aを通過して第2領域24Bの第4領域24Dに到る。そして、第2領域24Bの第4領域24Dにおいて、クラスターには、第2温度の熱エネルギーが与えられ、クラスターが破壊される。そして、破壊されてサイズの小さくなった溶解種は、第1の流れC1の流れに沿って流れて、第2板状部材76の貫通孔76Aを通過して、第2領域24B内における第3領域24Cへ至る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cには、クラスターが破壊されてサイズの小さくなった溶解種が供給される。このため、種結晶30は、雑晶の核発生の抑制された状態で、結晶成長する。
また、種結晶30に取り込まれなかった溶解種は、再度クラスターを形成してサイズを拡大する場合がある。しかし、形成されたクラスターは、対流Cによって再度第2領域24Bに到る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27には、第2領域24Bにおいて第2温度の熱エネルギーを与えられることで破壊されて小さいサイズとなった溶解種が供給されることとなる。
このため、13族窒化物単結晶19の製造装置1Aは、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造装置1Aは、反応容器52内に、第1板状部材74を備える。
第1板状部材74は、反応容器52内の混合融液24中における、第1領域24Aと第2領域24Bとの境界に、気液界面Aに対して平行に設置され、気液界面A側から種結晶30側に向かう第1の流れC1、および種結晶30側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2の流れ方向に沿った貫通孔74Aを備える。
また、製造装置1Aは、第2板状部材76を備える。第2板状部材76は、第3領域24Cと、第4領域24Dと、の境界における、気液界面Aに対して平行な平行領域に沿って配置され、第1の流れC1および第2の流れC2の流れ方向に沿った貫通孔76Aを備える。第3領域24Cは、第2領域24Bにおける、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続した領域である。第4領域24Dは、第2領域24Bにおける、第3領域24C以外の領域である。
第1板状部材74や第2板状部材76を反応容器52内に配置することによって、これらの第1板状部材74や第2板状部材76が、熱的抵抗や対流Cを抑制する部材として機能する。このため、混合融液24内に顕著な温度分布を生じさせることが可能となる。
従って、本実施の形態の製造装置1Aは、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、種結晶30を、反応容器52内に保持された混合融液24における、鉛直方向の中央部付近に設置した形態を説明する。
図4は、本実施の形態の製造装置1Bの一例を示す図である。製造装置1Bは、制御部10Bと、本体部12Bと、を備える。
本体部12Bは、外部耐圧容器50と、内部容器51と、設置台42と、反応容器52と、蓋部53と、供給部48と、第1加熱部70と、第2加熱部72と、を備える。これらの外部耐圧容器50、内部容器51、設置台42、反応容器52、蓋部53、供給部48、第1加熱部70、及び第2加熱部72は、第1の実施の形態と同様である。
反応容器52は、第1の実施の形態と同様に、混合融液24を内部に保持する。また、反応容器52は、混合融液24内に種結晶30を保持する。種結晶30は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに配置された支持部材44上に配置されている。支持部材44の高さは、支持部材44上に配置された種結晶30が混合融液24内における鉛直方向の中央部に位置するように、予め調整されている。また、支持部材44および種結晶30は、気相22と混合融液24との気液界面Aに平行な断面の中央に相当する位置に配置されている。
制御部10Bは、第1加熱部70、第2加熱部72、および供給部48などを制御する。
制御部10Bは、第1の実施の形態の制御部10と同様に、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を、個別に温度制御する。
すなわち、制御部10Bは、混合融液24を結晶成長温度に加熱すると共に、混合融液24内に温度分布を生じさせ、第1の流れC1および第2の流れC2による対流Cを生じさせるように、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を制御する。
具体的には、制御部10Bは、第1領域24Aを第1温度に加熱するように第1加熱部70を制御する。また、制御部10Bは、第2領域24Bを第2温度に加熱するように、第2加熱部72を制御する。第1温度および第2温度は、第1の実施の形態と同様である。
ここで、本実施の形態では、種結晶30は、支持部材44によって、混合融液24における鉛直方向の中央部に配置されている。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続する領域である第3領域24Cは、混合融液24の底部Bではなく、底部Bより上方に位置することとなる。図4に示す例では、種結晶30は、反応容器52内に保持された混合融液24における、深さ方向の中央付近(中段加熱部72Aに相当する位置)に位置することとなる。
制御部10Bは、第2領域24Bにおける第3領域24Cを第3温度に加熱し、第4領域24Dを第4温度に加熱するように、第2加熱部72を制御する。第3温度および第4温度は、第1の実施の形態と同様である。
例えば、制御部10Bは、第3領域24Cが第3温度となり、第4領域24Dが第4温度となるように、第2加熱部72の中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72Cの各々を制御する。このとき、制御部10Bは、底部B側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2が種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接し、気液界面A側から底部B側へ向かう第1の流れC1が、内壁面Dに接するように、第2加熱部72を制御する。
このため、混合融液24は、鉛直方向と共に、水平方向にも温度差による温度分布を有する。そして、第1加熱部70および第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)によって加熱された混合融液24における、反応容器52の中央、すなわち種結晶30または種結晶30から結晶成長する13族窒化物結晶27に接する領域は、上昇流である第2の流れC2となる。また、反応容器52の内壁面Dに沿った領域は、下降流である第1の流れC1となる。
このため、種結晶30または13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cに、クラスターの破壊された溶解種を、効率良く供給することができる。このため、本実施の形態の製造装置1Bは、雑晶の発生を効果的に十分に抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造装置1Bでは、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに設置された支持部材44上に配置されている。そして、支持部材44上に配置された種結晶30または該種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27は、底部B側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2に接することとなる。また、第1の流れC1は、反応容器52の内壁面Dに接して下降することとなる。
このため、第1領域24Aで形成された溶解種のクラスターは、第1の流れC1に沿って流れて第2領域24Bに到る。そして、第2領域24Bにおいて、クラスターには、第2温度の熱エネルギーが与えられ、クラスターが破壊される。そして、破壊されてサイズの小さくなった溶解種は、第2の流れC2の流れに沿って流れて、第2領域24B内における第3領域24Cへ至る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cには、クラスターが破壊されてサイズの小さくなった溶解種が供給される。このため、種結晶30は、雑晶の核発生の抑制された状態で、結晶成長する。
また、種結晶30に取り込まれなかった溶解種は、再度クラスターを形成してサイズを拡大する場合がある。しかし、形成されたクラスターは、対流Cによって再度第2領域24Bに到る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27には、第2領域24Bにおいて第2温度の熱エネルギーを与えられることで破壊されて小さいサイズとなった溶解種が供給されることとなる。
従って、13族窒化物単結晶19の製造装置1Bは、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、種結晶30を、反応容器52内に保持された混合融液24における、鉛直方向の中央部付近に設置した形態を説明する。また、本実施の形態では、種結晶30を、反応容器52の気液界面Aに平行な断面の中央より内壁面D側に配置した形態を説明する。
図5は、本実施の形態の製造装置1Cの一例を示す図である。製造装置1Cは、制御部10Cと、本体部12Cと、を備える。
本体部12Cは、外部耐圧容器50と、内部容器51と、設置台42と、反応容器52と、蓋部53と、供給部48と、第1加熱部70と、第2加熱部72と、を備える。これらの外部耐圧容器50、内部容器51、設置台42、反応容器52、蓋部53、供給部48、第1加熱部70、及び第2加熱部72は、第1の実施の形態と同様である。
反応容器52は、第1の実施の形態と同様に、混合融液24を内部に保持する。また、反応容器52は、混合融液24内に種結晶30を保持する。種結晶30は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに配置された支持部材44上に配置されている。支持部材44の高さは、支持部材44上に配置された種結晶30が混合融液24内における鉛直方向の中央部に位置するように、予め調整されている。
また、本実施の形態では、反応容器52内に、複数の支持部材44を設置している。これらの複数の支持部材44の各々上には、種結晶30が配置されている。本実施の形態では、反応容器52内には、4つの支持部材44が配置された形態を説明する。これらの4つの支持部材44は、反応容器52の底部Bの中央を円中心として90°の間隔で、内壁面Dの近傍に配置した。なお、図5は断面図であるため、2本の支持部材44を図示した。これらの4つの支持部材44の各々上には、種結晶30が配置されている。
支持部材44および種結晶30は、気相22と混合融液24との気液界面Aに平行な断面の中央より内壁面D側に配置されている。すなわち、本実施の形態では、反応容器52内における、気液界面Aに対して平行な断面の中央部には、種結晶30は配置されていない。また、種結晶30は、反応容器52内における、気液界面Aに対して平行な断面の中央より内壁面D側に配置されている。
制御部10Cは、第1加熱部70、第2加熱部72、および供給部48などを制御する。
制御部10Cは、第1の実施の形態の制御部10と同様に、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を、個別に温度制御する。
すなわち、制御部10Cは、混合融液24を結晶成長温度に加熱すると共に、混合融液24内に温度分布を生じさせ、第1の流れC1および第2の流れC2による対流Cを生じさせるように、第1加熱部70及び第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々を制御する。
具体的には、制御部10Cは、第1領域24Aを第1温度に加熱するように第1加熱部70を制御する。また、制御部10Cは、第2領域24Bを第2温度に加熱するように、第2加熱部72を制御する。第1温度および第2温度は、第1の実施の形態と同様である。
ここで、本実施の形態では、種結晶30は、支持部材44によって、混合融液24における鉛直方向の中央部に配置されている。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に連続する領域である第3領域24Cは、混合融液24の底部Bではなく、底部Bより上方に位置することとなる。図5に示す例では、種結晶30は、反応容器52内に保持された混合融液24における、深さ方向の中央付近(中段加熱部72Aに相当する位置)に位置することとなる。
また、種結晶30は、支持部材44によって、混合融液24における気液界面Aに平行な断面の中央より内壁面D側に配置されている。
そこで、制御部10Cは、第2領域24Bにおける、種結晶30の各々の第3領域24Cを第3温度に加熱し第4領域24Dを第4温度に加熱するように、第2加熱部72を制御する。第3温度および第4温度は、第1の実施の形態と同様である。
例えば、制御部10Cは、種結晶30の各々の第3領域24Cが第3温度となり、第4領域24Dが第4温度となるように、第2加熱部72の中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72Cの各々を制御する。このとき、制御部10Cは、底部B側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2が種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接し、気液界面A側から底部B側へ向かう第1の流れC1が反応容器52の気液界面Aに平行な断面の中央に沿って下降するように、第2加熱部72を制御する。
このため、混合融液24は、鉛直方向と共に、水平方向にも温度差による温度分布を有する。そして、第1加熱部70および第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)によって加熱された混合融液24における、種結晶30または種結晶30から結晶成長する13族窒化物結晶27に接する領域は、上昇流である第2の流れC2となる。また、反応容器52内における、気液界面Aに平行な断面の中央に相当する領域は、下降流である第1の流れC1となる。
このため、種結晶30または13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cに、クラスターの破壊された溶解種を、効率良く供給することができる。このため、本実施の形態の製造装置1Cは、雑晶の発生を効果的に十分に抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態の13族窒化物単結晶19の製造装置1Cでは、種結晶30は、反応容器52の内側の底部Bに設置された支持部材44上に配置されている。また、本実施の形態では、種結晶30は、反応容器52の気液界面Aに平行な断面の中央より内壁面D側に配置されている。そして、種結晶30は、底部B側から気液界面A側へ向かう第2の流れC2に接することとなる。また、第1の流れC1は、反応容器52の中央に沿って下降することとなる。
このため、第1領域24Aで形成された溶解種のクラスターは、第1の流れC1に沿って流れて第2領域24Bに到る。そして、第2領域24Bにおいて、クラスターには、第2温度の熱エネルギーが与えられ、クラスターが破壊される。そして、破壊されてサイズの小さくなった溶解種は、第2の流れC2の流れに沿って流れて、第2領域24B内における第3領域24Cへ至る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27に接する第3領域24Cには、クラスターが破壊されてサイズの小さくなった溶解種が供給される。このため、種結晶30は、雑晶の核発生の抑制された状態で、結晶成長する。
また、種結晶30に取り込まれなかった溶解種は、再度クラスターを形成してサイズを拡大する場合がある。しかし、形成されたクラスターは、対流Cによって再度第2領域24Bに到る。このため、種結晶30または種結晶30から結晶成長した13族窒化物結晶27には、第2領域24Bにおいて第2温度の熱エネルギーを与えられることで破壊されて小さいサイズとなった溶解種が供給されることとなる。
従って、13族窒化物単結晶19の製造装置1Cは、雑晶の発生を十分に抑制することができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、符号は、上記実施の形態で説明した製造装置1、製造装置1A、製造装置1B、および製造装置1Cの構成と対応している。
(実施例1)
−種結晶−
種結晶30として、{10−10}面を側面とし、c軸方向の長さがa軸方向の長さより長い針状結晶を用いた。この針状結晶は、c軸に垂直な方向の長さが500μmであり、c軸方向の長さが約30mmであった。
−13族窒化物単結晶の製造−
本実施例では、図1に示す製造装置1により、種結晶30から13族窒化物結晶27の結晶成長を行い、13族窒化物単結晶19を製造した。なお、本実施例では、アルカリ金属としてナトリウムを用い、13族金属としてガリウムを用いた。そして、13族窒化物単結晶19として、GaN(窒化ガリウム)単結晶を製造した。
まず、内部容器51をバルブ61部分で製造装置1から分離し、Ar雰囲気のグローブボックスに入れた。次いで、アルミナからなる内径92mm、深さ120mmの反応容器52に、種結晶30を設置した。なお、種結晶30は、反応容器52内の底部Bの中央に設置した深さ4mm、直径0.6mmの穴部の設けられた保持冶具41を設置し、この保持冶具41の穴部に差し込んで保持した。保持冶具41には、サファイアブロックを用いた。
次に、フラックスとして、ナトリウム(Na)を加熱して液体にして反応容器52内に入れた。ナトリウムが固化した後、ガリウムを入れた。本実施例では、ガリウムとナトリウムとのモル比を0.3:0.7とした。
その後、グローブボックス内で、高純度のArガス雰囲気下、反応容器52を内部容器51内に設置した。そして、バルブ61を閉じてArガスが充填された内部容器51を密閉し、反応容器52内部を外部雰囲気と遮断した。次に、内部容器51をグローブボックスから出して、製造装置1に組み込んだ。すなわち、内部容器51を第1加熱部70及び第2加熱部72に対して所定の位置に設置し、バルブ61部分でガス供給管54に接続した。
内部容器51を外部耐圧容器50に取り付けることによって、外部耐圧容器50内は外部雰囲気から遮断された。
次に、バルブ61とバルブ63の間の配管内と外部耐圧容器50内の真空引きと、窒素導入と、を、バルブ62を介して10回繰り返した。なお、バルブ63はあらかじめ閉じておいた。その後、バルブ62を閉じ、バルブ61とバルブ63とバルブ58とを開け、全圧調整用のガス供給管60からArガスを入れた。また、圧力制御装置59で圧力を調整し、外部耐圧容器50内と内部耐圧容器51内の全圧を2.38MPaにし、バルブ58を閉じた。
そして、窒素供給管57から窒素ガスを入れ、圧力制御装置56で圧力を調整してバルブ55を開け、外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧を3.4MPaにした。すなわち、外部耐圧容器50の内部空間67と、内部容器51の内部空間68及び反応容器52内の内部空間である気相22と、の各々の窒素分圧は、1.02MPaとなった。その後、バルブ55を閉じ、圧力制御装置56を8MPaに設定した。
次に、制御部10の制御によって、第1加熱部70、第2加熱部72(中段加熱部72A、下段加熱部72B、底部加熱部72C)の各々に通電し、反応容器52内の混合融液24を結晶成長温度にまで昇温させた。具体的には、第1加熱部70を870℃、中段加熱部72Aを885℃、下段加熱部72Bを890℃、底部加熱部72Cを885℃に設定した。
これらの加熱により、混合融液24中に設置された種結晶30(すなわち第3領域24C)は、885℃に加熱された。また、下段加熱部72Bの温度が、底部加熱部72Cの温度より高いので、混合融液24内には、対流Cが生じた。この対流Cは、反応容器52の内壁面Dに接する領域では上昇する第2の流れC2と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では下降する第1の流れC1と、から構成されていた。
なお、結晶成長温度では、外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧は、圧力計64により8MPaであった。このため、結晶成長温度における、外部耐圧容器50と内部容器51内の窒素分圧は、2.4MPaであった。
そして、バルブ55を開け、窒素ガス圧力を8MPaとした。窒素ガス圧力を8MPaとすることにより、結晶成長によって消費された窒素が反応容器52内に供給され、常に窒素分圧を一定に保持しておくことができる。この状態で、反応容器52を600時間保持し、種結晶30上に13族窒化物結晶27を結晶成長させた。
このとき、上述したように、混合融液24内には、反応容器52の内壁面Dに接する領域では上昇する第2の流れC2と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では下降する第1の流れC1と、からなる対流Cが生じていた。
このため、気液界面Aで混合融液24内に溶け込んだ窒素は、溶解種となり、混合融液24内で生じた対流Cに沿って種結晶30へと輸送される。
このとき、混合融液24内の第1領域24Aの温度は、870℃であった。また、混合融液24内は、種結晶30に向かって温度が高くなっていた。また、種結晶30の近傍である第3領域24Cの温度は885℃であった。
このため、溶解種が気液界面Aの近傍の第1領域24Aで凝集してクラスターサイズが拡大しても、種結晶30表面に到達する前にクラスターが破壊されると考えられる。すなわち、溶解種は、臨界核サイズに達することが無く、種結晶30から結晶成長する13族窒化物結晶27に取り込まれると考えられる。また、13族窒化物結晶27に取り込まれずに対流Cに乗って混合融液24中を移動する溶解種は、反応容器52の底部Bで、下段加熱部72Bによって890℃に加熱される。このため、クラスターの破壊が進み、そのサイズを拡大することなく気液界面A側へ上昇すると考えられる。そして、再び対流Cに乗って下降し、種結晶30へ輸送されると考えられる。
本実施例では、このようなサイクルを繰り返して13族窒化物結晶27の結晶成長が進むので、雑晶の結晶核の発生が抑制されると考えられる。このため、種結晶30に雑晶が付着することなく、種結晶30が単結晶として大きく結晶成長すると考えられる。
上記600時間の結晶成長を行った結果、反応容器52内には、種結晶30のc軸に対して垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物単結晶19が製造されていた。
製造された13族窒化物単結晶19のc軸に対して垂直な方向の最大幅は、20mmであった。また、13族窒化物単結晶19のc軸に沿った方向の長さは、保持冶具41に差し込んだ種結晶30の部分を含めて、約35mmであった。また、得られた13族窒化物単結晶19は、六角柱の上に六角錐が載った形状を成し、六角柱の側面には{10−10}m面が形成され、六角錐の錐面には{10−11}面が形成されていた。また、種結晶30は、13族窒化物単結晶19のほぼ中心に内包されていた。
また、13族窒化物単結晶19の表面には微結晶の付着は観察されなかった。このため、雑晶の発生が十分に抑制されていたといえる。
(実施例2)
−種結晶−
本実施例では、種結晶30として、実施例1と同じ種結晶30を用いた。
−13族窒化物単結晶の製造−
本実施例では、図3に示す製造装置1Aにより、種結晶30から13族窒化物結晶27の結晶成長を行い、13族窒化物単結晶19を製造した。なお、本実施例では、アルカリ金属としてナトリウムを用い、13族金属としてガリウムを用いた。そして、13族窒化物単結晶19として、GaN(窒化ガリウム)単結晶を製造した。
詳細には、反応容器52内に、第1板状部材74および第2板状部材76を配置し、第1加熱部70および第2加熱部72の加熱条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、13族窒化物単結晶19を製造した。
本実施例では、第1板状部材74および第2板状部材76として、アルミナからなる板状部材を用いた。
なお、本実施例では、制御部10の制御によって、第1加熱部70を870℃、中段加熱部72Aを895℃、下段加熱部72Bを880℃、底部加熱部72Cを875℃に設定した。
これらの加熱により、混合融液24中に設置された種結晶30(すなわち第3領域24C)は、875℃に加熱された。また、下段加熱部72Bの温度が、底部加熱部72Cの温度より高いので、混合融液24内には、対流Cが生じた。この対流Cは、反応容器52の内壁面Dに接する領域では上昇する第2の流れC2と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では下降する第1の流れC1と、から構成されていた。
なお、結晶成長温度では、外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧は、圧力計64により8MPaであった。このため、結晶成長温度における、外部耐圧容器50と内部容器51内の窒素分圧は、2.4MPaであった。また、Arガス分圧は5.6MPaであった。
そして、バルブ55を開け、窒素ガス圧力を8MPaとした。窒素ガス圧力を8MPaとすることにより、結晶成長によって消費された窒素が反応容器52内に供給され、常に窒素分圧を一定に保持しておくことができる。この状態で、反応容器52を600時間保持し、種結晶30上に13族窒化物結晶27を結晶成長させた。
このとき、上述したように、混合融液24内には、反応容器52の内壁面Dに接する領域では上昇する第2の流れC2と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では下降する第1の流れC1と、からなる対流Cが生じていた。
このため、気液界面Aで混合融液24内に溶け込んだ窒素は、溶解種となり、混合融液24内で生じた対流Cに沿って種結晶30へと輸送されると考えられる。
ここで、気液界面Aの近傍の第1領域24Aには、気相22から溶解した直後の窒素からなる小さな溶解種の他に、時間が経過して複数の溶解種が凝集して臨界核の大きさに近づいたクラスターが存在する。これらの溶解種やクラスターは、第1板状部材74の貫通孔74Aを通って、第1領域24Aより高温の領域である第2領域24Bに移動する。本実施例では、870℃の第1領域24Aから、第1板状部材74の貫通孔74Aを通って895℃の第2領域24B(第4領域24D)に移動すると考えられる。
この第2領域24B(第4領域24D)で熱エネルギーを得ることで、クラスターは破壊され、サイズが小さくなる。サイズの小さくなった溶解種は、さらに下の第2板状部材76の貫通孔76Aを通って、種結晶30の配置された第3領域24C(第2領域24B)に到る。そして、サイズの小さくなった溶解種は、種結晶30の表面に取り込まれて結晶成長すると考えられる。
本実施例では、このようなサイクルを繰り返して13族窒化物結晶27の結晶成長が進むので、雑晶の結晶核の発生が抑制されると考えられる。このため、種結晶30に雑晶が付着することなく、種結晶30が単結晶として大きく結晶成長すると考えられる。
上記600時間の結晶成長を行った結果、反応容器52内には、種結晶30のc軸に対して垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物単結晶19が製造されていた。
製造された13族窒化物単結晶19のc軸に対して垂直な方向の最大幅は、19mmであった。また、13族窒化物単結晶19のc軸に沿った方向の長さは、保持冶具41に差し込んだ種結晶30の部分を含めて、約34mmであった。また、得られた13族窒化物単結晶19は、六角柱の上に六角錐が載った形状を成し、六角柱の側面には{10−10}m面が形成され、六角錐の錐面には{10−11}面が形成されていた。また、種結晶30は、13族窒化物単結晶19のほぼ中心に内包されていた。
また、13族窒化物単結晶19の表面には微結晶の付着は観察されなかった。このため、雑晶の発生が十分に抑制されていたといえる。
(実施例3)
−種結晶−
本実施例では、種結晶30として、実施例1と同じ種結晶30を用いた。
−13族窒化物単結晶の製造−
本実施例では、図4に示す製造装置1Bにより、種結晶30から13族窒化物結晶27の結晶成長を行い、13族窒化物単結晶19を製造した。なお、本実施例では、アルカリ金属としてナトリウムを用い、13族金属としてガリウムを用いた。そして、13族窒化物単結晶19として、GaN(窒化ガリウム)単結晶を製造した。
詳細には、反応容器52内に、支持部材44を介して種結晶30を配置し、第1加熱部70および第2加熱部72の加熱条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、13族窒化物単結晶19を製造した。
支持部材44には、サファイアからなるブロックを用いた。この支持部材44に、直径0.6mm、深さ4mmの穴をあけ、種結晶30を差し込んで保持した。そして、支持部材44を反応容器52の底部Bの中央に設置し、その上に種結晶30を配置した。なお、支持部材44の高さは、反応容器52の底部Bに設置したときの気液界面A側の端部が、中段加熱部72Aにおける底部B側の端部と一致する高さとなるように調整した。
本実施例では、クラスターを破壊する第4領域24Dが、反応容器52内の底部B近傍に形成されるように、第2加熱部72の温度制御を行った。
詳細には、制御部10Bの制御によって、第1加熱部70を870℃、中段加熱部72Aを880℃、下段加熱部72Bを890℃、底部加熱部72Cを900℃に設定した。
これらの加熱により、反応容器52内に保持された混合融液24の中央部に設置された種結晶30(すなわち第3領域24C)は、880℃に加熱された。また、底部加熱部72Cの温度が、下段加熱部72Bの温度より高いので、混合融液24内には、対流Cが生じた。この対流Cは、反応容器52の内壁面Dに接する領域では下降する第1の流れC1と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では上昇する第2の流れC2と、から構成されていた。
なお、結晶成長温度では、外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧は、圧力計64により8MPaであった。このため、結晶成長温度における、外部耐圧容器50と内部容器51内の窒素分圧は、2.4MPaであった。また、Arガス分圧は5.6MPaであった。
そして、バルブ55を開け、窒素ガス圧力を8MPaとした。窒素ガス圧力を8MPaとすることにより、結晶成長によって消費された窒素が反応容器52内に供給され、常に窒素分圧を一定に保持しておくことができる。この状態で、反応容器52を600時間保持し、種結晶30上に13族窒化物結晶27を結晶成長させた。
このとき、上述したように、混合融液24内には、反応容器52の内壁面Dに接する領域では下降する第1の流れC1と、反応容器52の中央部(すなわち、種結晶30に接する領域)では上昇する第2の流れC2と、からなる対流Cが生じていた。
このため、気液界面Aで混合融液24内に溶け込んだ窒素は、溶解種となり、気液界面Aに連続する第1領域24Aに溶解している。この第1領域24Aには、気相22から溶解した直後の窒素からなる小さな溶解種の他に、時間が経過して複数の溶解種が凝集し臨界核の大きさに近づいたクラスターが存在すると考えられる。これらの溶解種やクラスターは、下降する第1の流れC1に乗って反応容器52の内壁面Dに沿って下降し、反応容器52の底部Bに到ると考えられる。
反応容器52の底部Bは、下段加熱部72Bおよび底部加熱部72Cによって、890℃〜900℃に加熱されている。このため、底部Bに到達したクラスターは、熱エネルギーを得ることで破壊され、サイズが小さくなる。そして、サイズの小さくなった溶解種は、反応容器52の中央部を流れる第2の流れC2に乗って上昇し、種結晶30に接する第3領域24Cに輸送される。そして、サイズの小さくなった溶解種は、種結晶30の表面に取り込まれて結晶成長すると考えられる。
本実施例では、このようなサイクルを繰り返して13族窒化物結晶27の結晶成長が進むので、雑晶の結晶核の発生が抑制されると考えられる。このため、種結晶30に雑晶が付着することなく、種結晶30が単結晶として大きく結晶成長すると考えられる。
上記600時間の結晶成長を行った結果、反応容器52内には、種結晶30のc軸に対して垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物単結晶19が製造されていた。
製造された13族窒化物単結晶19のc軸に対して垂直な方向の最大幅は、21mmであった。また、13族窒化物単結晶19のc軸に沿った方向の長さは、保持冶具41に差し込んだ種結晶30の部分を含めて、約36mmであった。また、得られた13族窒化物単結晶19は、六角柱の上に六角錐が載った形状を成し、六角柱の側面には{10−10}m面が形成され、六角錐の錐面には{10−11}面が形成されていた。また、種結晶30は、13族窒化物単結晶19のほぼ中心に内包されていた。
また、13族窒化物単結晶19の表面には微結晶の付着は観察されなかった。このため、雑晶の発生が十分に抑制されていたといえる。
(実施例4)
−種結晶−
本実施例では、種結晶30として、実施例1と同じ種結晶30を用いた。
−13族窒化物単結晶の製造−
本実施例では、図5に示す製造装置1Cにより、種結晶30から13族窒化物結晶27の結晶成長を行い、13族窒化物単結晶19を製造した。なお、本実施例では、アルカリ金属としてナトリウムを用い、13族金属としてガリウムを用いた。そして、13族窒化物単結晶19として、GaN(窒化ガリウム)単結晶を製造した。
詳細には、反応容器52内に、支持部材44を介して種結晶30を配置し、第1加熱部70および第2加熱部72の加熱条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、13族窒化物単結晶19を製造した。
支持部材44には、サファイアからなるブロックを4本用意した。これらの支持部材44の各々に、直径0.6mm、深さ4mmの穴をあけ、種結晶30を差し込んで保持した。
そして、各支持部材44の各々を、反応容器52の底部Bに、底部Bの中央を円中心として互いに90°の間隔となるように、内壁面Dの近傍に配置した。そして、各支持部材44の各々に、種結晶30を配置した。なお、支持部材44の高さは、反応容器52の底部Bに設置したときの気液界面A側の端部が、中段加熱部72Aにおける底部B側の端部と一致する高さとなるように調整した。
本実施例では、クラスターを破壊する第4領域24Dが、反応容器52内の底部B近傍に形成されるように、第2加熱部72の温度制御を行った。
詳細には、制御部10Cの制御によって、第1加熱部70を870℃、中段加熱部72Aを880℃、下段加熱部72Bを900℃、底部加熱部72Cを890℃に設定した。
これらの加熱により、反応容器52内に保持された混合融液24内に設置された種結晶30(すなわち第3領域24C)は、880℃に加熱された。また、底部加熱部72Cの温度が、下段加熱部72Bの温度より低いので、混合融液24内には、対流Cが生じた。この対流Cは、反応容器52の内壁面Dに接する領域(すなわち、種結晶30に接する領域)では上降する第2の流れC2と、反応容器52の中央部では下降する第1の流れC1と、から構成されていた。
なお、結晶成長温度では、外部耐圧容器50と内部容器51内の全圧は、圧力計64により8MPaであった。このため、結晶成長温度における、外部耐圧容器50と内部容器51内の窒素分圧は、2.4MPaであった。また、Arガス分圧は5.6MPaであった。
そして、バルブ55を開け、窒素ガス圧力を8MPaとした。窒素ガス圧力を8MPaとすることにより、結晶成長によって消費された窒素が反応容器52内に供給され、常に窒素分圧を一定に保持しておくことができる。この状態で、反応容器52を600時間保持し、種結晶30上に13族窒化物結晶27を結晶成長させた。
このとき、上述したように、混合融液24内には、反応容器52の内壁面Dに接する領域(種結晶30に接する第3領域24C)では上昇する第2の流れC2と、反応容器52の中央部では下降する第1の流れC1と、からなる対流Cが生じていた。
このため、気液界面Aで混合融液24内に溶け込んだ窒素は、溶解種となり、気液界面Aに連続する第1領域24Aに溶解している。この第1領域24Aには、気相22から溶解した直後の窒素からなる小さな溶解種の他に、時間が経過して複数の溶解種が凝集し臨界核の大きさに近づいたクラスターが存在すると考えられる。これらの溶解種やクラスターは、下降する第1の流れC1に乗って反応容器52の中央に沿って下降し、反応容器52の底部Bに到ると考えられる。
反応容器52の底部Bは、下段加熱部72Bおよび底部加熱部72Cによって、890℃〜900℃に加熱されている。このため、底部Bに到達したクラスターは、熱エネルギーを得ることで破壊され、サイズが小さくなる。そして、サイズの小さくなった溶解種は、反応容器52の内壁面Dに沿って流れる第2の流れC2に乗って上昇し、種結晶30に接する第3領域24Cに輸送される。そして、サイズの小さくなった溶解種は、種結晶30の表面に取り込まれて結晶成長すると考えられる。
本実施例では、このようなサイクルを繰り返して13族窒化物結晶27の結晶成長が進むので、雑晶の結晶核の発生が抑制されると考えられる。このため、種結晶30に雑晶が付着することなく、種結晶30が単結晶として大きく結晶成長すると考えられる。
上記600時間の結晶成長を行った結果、反応容器52内には、種結晶30のc軸に対して垂直方向に結晶径が増大し、結晶径のより大きな13族窒化物単結晶19が製造されていた。
製造された13族窒化物単結晶19の各々の、c軸に対して垂直な方向の最大幅は、19〜21mmであった。また、13族窒化物単結晶19の各々の、c軸に沿った方向の長さは、保持冶具44に差し込んだ種結晶30の部分を含めて、約34〜36mmであった。また、得られた13族窒化物単結晶19は、六角柱の上に六角錐が載った形状を成し、六角柱の側面には{10−10}m面が形成され、六角錐の錐面には{10−11}面が形成されていた。また、種結晶30は、13族窒化物単結晶19のほぼ中心に内包されていた。
また、13族窒化物単結晶19の表面には微結晶の付着は観察されなかった。このため、雑晶の発生が十分に抑制されていたといえる。
1、1A、1B、1C 製造装置
10、10A、10B、10C 制御部
19 13族窒化物単結晶
24 混合融液
30 種結晶
70 第1加熱部
72 第2加熱部
74 第1板状部材
76 第2板状部材
特開2007−320817号公報 特許第4827107号公報 特許第5235864号公報

Claims (13)

  1. 反応容器内に保持されたアルカリ金属と13族金属を含む混合融液中に、気相から窒素を溶解させ、前記混合融液中に配置された種結晶に13族窒化物結晶を結晶成長させる、13族窒化物単結晶の製造方法において、
    前記混合融液中に、前記気相と前記混合融液との気液界面側から前記種結晶側に向かう第1の流れ、および前記種結晶側から前記気液界面側へ向かう第2の流れが形成され、
    前記第1の流れおよび前記第2の流れの内、少なくとも前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に接する流れ中に、前記気液界面に連続する第1温度の第1領域と、前記第1領域の前記種結晶側に連続すると共に前記種結晶が配置された、前記第1温度より高い第2温度の第2領域と、が含まれることを特徴とする、
    13族窒化物単結晶の製造方法。
  2. 前記第2温度は、前記第1温度より15℃以上高い、請求項1に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  3. 前記第2領域は、
    前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に連続した第3領域と、
    前記第2領域における前記第3領域以外の第4領域と、
    を含み、
    前記第4領域の第4温度は前記第1温度より高く、前記第3領域の第3温度は前記第4温度以下であり且つ前記第1温度より高い、
    請求項1または請求項2に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  4. 前記混合融液は、鉛直方向および水平方向に温度分布を有する、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  5. 前記種結晶は、前記反応容器の内側の底部に配置され、
    前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶は、前記気液界面側から前記底部へ向かう前記第1の流れに接する、
    請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  6. 前記種結晶は、前記反応容器の内側の底部に設置された支持部材上に配置され、
    前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶は、前記底部から前記気液界面側へ向かう前記第2の流れに接する、
    請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶は、前記反応容器の前記気液界面に平行な断面の中央に配置され、
    前記第1の流れは、前記反応容器の前記底部に対して交差する方向に連続する内壁面に接する、
    請求項6に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  8. 前記種結晶は、前記反応容器の前記気液界面に平行な断面の中央より前記反応容器の前記底部に対して交差する方向に連続する内壁面側に配置され、
    前記第1の流れは、前記中央に沿って下降する、
    請求項6に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  9. 前記反応容器は、
    前記第1領域と前記第2領域との境界に、前記気液界面に対して平行に設置され、前記第1の流れおよび前記第2の流れの流れ方向に沿った貫通孔を備えた第1板状部材を有する、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  10. 前記反応容器は、
    前記第2領域に含まれる前記第3領域と前記第4領域との境界における、前記気液界面に対して平行な平行領域に沿って配置され、前記第1の流れおよび前記第2の流れの流れ方向に沿った貫通孔を備えた第2板状部材を有する、請求項3に記載の13族窒化物単結晶の製造方法。
  11. アルカリ金属と13族金属を含む混合融液を内側に保持した反応容器と、
    前記反応容器内の前記混合融液中に配置された種結晶と、
    前記反応容器内の気相に窒素を供給し、前記窒素を前記混合融液に溶解させる供給部と、
    前記混合融液における、前記混合融液と前記気相との気液界面に連続する第1領域を加熱する第1加熱部と、
    前記混合融液における、前記第1領域の前記種結晶側に連続すると共に前記種結晶が配置された第2領域を加熱する第2加熱部と、
    前記第1領域を第1温度に加熱し、前記第2領域を前記第1温度より高い第2温度に加熱するように、前記第1加熱部および前記第2加熱部を制御する制御部と、
    を備えた、13族窒化物単結晶の製造装置。
  12. 前記反応容器内の前記混合融液中における、前記第1領域と前記第2領域との境界に、前記気液界面に対して平行に設置され、前記気液界面側から前記種結晶側に向かう第1の流れ、および前記種結晶側から前記気液界面側へ向かう第2の流れの流れ方向に沿った貫通孔を備えた第1板状部材を有する、請求項11に記載の13族窒化物単結晶の製造装置。
  13. 前記第2領域における前記種結晶または前記種結晶から結晶成長した13族窒化物結晶に連続した第3領域と、前記第2領域における前記第3領域以外の第4領域と、の境界における、前記気液界面に対して平行な平行領域に沿って配置され、前記第1の流れおよび前記第2の流れの流れ方向に沿った貫通孔を備えた第2板状部材を有する、請求項12に記載の13族窒化物単結晶の製造装置。
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