JP2012051746A - Iii族窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】いずれの結晶面についても低転位密度であり大面積であるIII族窒化物単結晶基板を製造する。
【解決手段】反応容器内に、III族元素と、アルカリ金属とを含む混合融液を形成する混合融液形成工程と、前記混合融液に窒素を含む気体を接触させて、前記混合融液中に前記窒素を溶解させる窒素溶解工程と、前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角錐状のIII族窒化物単結晶である角錐状結晶部を、前記角錐状結晶部の底面が所定の面積となるまで成長させる第1工程と、前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角柱状のIII族窒化物単結晶である角柱状結晶部を、前記角柱状結晶部の高さが所定の高さとなるまで成長させる第2工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、III族窒化物単結晶の製造方法に関する。
現在、紫外光、紫色光、青色光、緑色光を発する光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、サファイア基板或いはシリコンカーバイド(SiC)基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)、MBE法(分子線結晶成長法)等を用いてIII族窒化物単結晶を結晶成長させる工程を含む製造方法によりその殆どが製造されている。
基板としてサファイア基板或いはSiC基板を用いた場合の問題点としては、基板とIII族窒化物とにおける熱膨張係数の差、格子定数の差が大きいことに起因して結晶欠陥が多くなってしまうことが挙げられる。このために例えば発光デバイスであるIII族窒化物デバイスの寿命が短くなるというようにデバイス特性が悪化してしまったり、動作電力が大きくなってしまったりするおそれがある。
これらの問題を解決するためには、基板の材料と基板上に成長させる結晶の材料とを同一とし、例えば窒化ガリウム(GaN)基板のようなIII族窒化物単結晶基板を用いてIII族窒化物単結晶基板上に結晶成長を行うことが最も適切である。
GaN基板の製造方法としては、従来、サファイア基板、GaAs基板などの異種材料により構成される下地基板上に、ハロゲン化気相エピタキシー(HVPE)法によりGaN厚膜を成長させた後に、下地基板からGaN厚膜を分離することにより、直径(φ)2インチ程度のGaN基板を製造していた。
しかしながら、HVPE法では、異種材料により構成される下地基板上にGaN単結晶をヘテロエピタキシャル成長させるため、GaN単結晶と下地基板とにおいて、不可避的に熱膨張係数に差が生じたり、格子不整合が生じたりする場合がある。よって、HVPE法で製造されるGaN基板は、転位密度が10cm−2程度と高くなってしまったり、下地基板との熱膨張係数の差によりGaN基板に反りが生じてしまったりする等の問題がある。従って、GaN基板のさらなる高品質化が可能な製造方法が望まれている。
高品質なGaN基板を製造する方法の1つとして、ナトリウム(Na)とガリウム(Ga)との混合融液中に窒素を溶解してGaN単結晶を結晶成長させるフラックス法が研究開発されている。フラックス法によれば、700℃〜900℃と比較的低温でGaN単結晶を結晶成長させることが可能であり、反応容器内の圧力も100kg/cm程度と比較的低く、GaN単結晶の結晶製造方法として実用的である。
非特許文献1では、アジ化ナトリウム(NaN)とGaを原料として、ステンレス製の反応容器内に窒素を封入し、その反応容器を600℃〜800℃の温度で24時間〜100時間保持することにより、GaN単結晶を成長させた例が報告されている。また、特許文献1では、フラックス法によってGaNの大型結晶を製造する方法として、窒化アルミニウム(AlN)の針状結晶を種結晶として用いて、GaNの柱状結晶を育成する方法が開示されている。さらに、特許文献2では、種結晶として用いられるAlN針状結晶の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1が開示するように、AlNを種結晶として用いてGaN単結晶を成長させると、AlN及びGaNの格子定数及び熱膨張係数がそれぞれ互いに異なるために、転位の発生を避けることは難しく、転位密度が10cm−2以下と低い、高品質なGaN単結晶を製造することは困難であった。
また、このようにして製造されたGaN単結晶から、例えばm面を主面とするφ2インチのウェハを切り出すためには、結晶軸におけるc軸およびa軸方向の長さが2インチ以上であるGaN単結晶が必要となる。ところが、長さが2インチ以上の針状結晶を作製することは非常に困難であるため、当該針状結晶を種結晶として用いてc軸およびa軸方向の長さが2インチ以上であるGaN単結晶を製造することも困難であった。
これに対して、特許文献3では、Ga極性面である(0001)面または{10−11}面で概ね覆われた領域から、窒素極性面である(000−1)面を成長させることにより、(000−1)面を成長面とする結晶成長を優先させて、c軸方向に長尺化したGaN単結晶を製造する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献3に記載された技術では、c軸と直交するa軸方向にGaN単結晶を成長させることが難しく、c軸を法線とするc面、即ち、(0001)面または(000−1)面が大面積であるGaN単結晶を製造することが難しいという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、いずれの結晶面についても、転位密度が低く、かつ大面積であるIII族窒化物単結晶基板を製造することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のIII族窒化物単結晶の製造方法は、反応容器内に、III族元素と、アルカリ金属とを含む混合融液を形成する混合融液形成工程と、前記混合融液に窒素を含む気体を接触させて、前記混合融液中に前記窒素を溶解させる窒素溶解工程と、前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角錐状のIII族窒化物単結晶である角錐状結晶部を、前記角錐状結晶部の底面が所定の面積となるまで成長させる第1工程と、前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角柱状のIII族窒化物単結晶である角柱状結晶部を、前記角柱状結晶部の高さが所定の高さとなるまで成長させる第2工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、第1工程では、角錐状結晶部の底面が所定の面積となるまで結晶成長を行い、第2工程では、角柱状結晶部の高さが所定の高さとなるまで結晶成長を行うので、III族窒化物単結晶の角柱状結晶部の体積を大型化することが可能となる。従って、角柱状結晶部から結晶基板を切り出すことにより、いずれの結晶面についても、転位密度が低く、かつ大面積であるIII族窒化物単結晶基板を製造することができるという効果を奏する。
図1は、III族窒化物単結晶の結晶成長モードと、結晶成長温度および窒素分圧の関係を示すグラフである。 図2−1は、III族窒化物単結晶の製造方法の第1工程について説明する図である。 図2−2は、III族窒化物単結晶の製造方法の第2工程について説明する図である。 図3は、本実施の形態の結晶製造装置の一例を示す概略構成図である。 図4−1は、反応容器内の構成例を示す図である。 図4−2は、反応容器内のその他の構成例を示す図である。 図5は、窒素分圧の制御例を示すグラフである。 図6は、混合融液の温度の制御例を示すグラフである。 図7は、混合融液中のナトリウム量比の制御例を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかるIII族窒化物単結晶の製造方法を詳細に説明する。尚、以下の説明において、図には発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本発明が特に限定されるものではない。また、複数の図に示される同様の構成要素については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
<III族窒化物単結晶の結晶成長条件と結晶成長モード>
フラックス法によれば、700℃〜900℃、窒素分圧5Pa程度の成長条件下において低転位密度で高品質のIII族窒化物単結晶を成長可能であることが知られている。本願発明者らのグループは、結晶成長温度及び窒素圧力を制御することにより、GaN単結晶の結晶成長モードを制御する技術について開発してきた(例えば、特許文献3参照)。
図1を参照して、III族窒化物単結晶の結晶成長モードについて説明する。図1は、III族窒化物単結晶(例えば、GaN単結晶)の結晶成長モードと、結晶成長温度Tおよび窒素分圧PN2の関係を示すグラフである。図1では、グラフの横軸は結晶成長温度Tの逆数1/Tを示しており、縦軸は窒素分圧PN2を対数表示している。尚、結晶成長温度Tは絶対温度であり、その単位はKである。
領域A、領域B、領域D、領域Eの結晶成長条件については略明確になっており、結晶成長条件を制御して各領域における結晶成長モードでIII族窒化物単結晶を成長させる技術は開示されている。
図1において、直線aよりも結晶成長温度Tが高く窒素分圧PN2が低い領域Aは、分解モードとなる領域であり、III族窒化物単結晶が成長しない領域である。
また、図1において、直線aと直線bとで挟まれた領域Bは、結晶成長モードが種結晶成長モードとなる領域である。領域Bでは、種結晶上にIII族窒化物単結晶の結晶がエピタキシャルに成長する。
また、図1において、直線cと直線dとで挟まれた領域Dは、結晶成長モードが自発核成長モードとなる領域である。領域Dでは、反応容器27内に生成した複数のIII族窒化物単結晶の結晶核が成長して、六角柱状に成長する。例えば、図1に示すように、温度がTであり、窒素分圧PN2がPであるS2の条件や、温度TがTであり、窒素分圧PN2がPであるS3の条件で結晶成長を行うと、図2−2に示すように、六角柱状のIII族窒化物単結晶である六角柱状結晶部33bを製造することができる。
また、図1において、直線dよりも結晶成長温度Tが低く窒素分圧PN2が高い領域Eは、反応容器27内に生成した複数のIII族窒化物単結晶の結晶核が成長して、板状結晶に成長する領域である。
これまで、図1に示す領域Cの結晶成長条件については、隣り合う領域Bや領域Dの結晶成長条件とは明確に識別されておらず、結晶成長条件を制御してIII族窒化物単結晶を六角錐状に成長させる技術も確立されていなかった。
そこで本願発明者らは、領域Bから領域Dにかけての領域において、III族窒化物であるGaNの結晶成長条件を詳細に調査した。その結果、六角錐形状に結晶が成長する領域Cがあることを発見した。そして、更に調査を重ねたところ、結晶成長温度Tや窒素分圧PN2、フラックスとして用いられるアルカリ金属の量比を制御することにより、六角錐形状に結晶を成長させることができることを見出した。
図1において、直線bと直線cとで挟まれた領域Cは、結晶成長モードが自発核成長モードとなる領域である。領域Cでは、反応容器27内に生成した複数のIII族窒化物単結晶の結晶核が成長して、六角錐状に成長する。例えば、図1に示すように、温度TがTであり、窒素分圧PN2がPであるS1の条件で結晶成長を行うと、図2−1に示すように、六角錐状のIII族窒化物単結晶である六角錐状結晶部33aを製造することができる。
本実施の形態にかかる結晶製造方法は、六角錐状のIII族窒化物単結晶である六角錐状結晶部33a(図2−1参照)を成長させる第1工程と、六角柱状のIII族窒化物単結晶である六角柱状結晶部33b(図2−2参照)を成長させる第2工程とを含むことを特徴としている。
<結晶製造装置>
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかるIII族窒化物単結晶の結晶製造方法において使用される結晶製造装置の構成例につき説明する。
(1)結晶製造装置の構成
図3は、本実施の形態において用いられる結晶製造装置1の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、結晶製造装置1は、閉空間を形成できる例えばステンレス製の気密の耐圧容器11を備えている。耐圧容器11はバルブ21部分で結晶製造装置1から取り外すことが可能となっており、耐圧容器11部分のみをグローブボックスに入れて作業することができる。また耐圧容器11内の底部に設けられた保持台24には、内容器25が設置される。尚、内容器25は、保持台24に対して脱着可能となっている。
内容器25内の下部には、ナトリウム32を保持するナトリウム保持容器26が載置され、該ナトリウム保持容器26の上部には、反応容器27が載置される。
反応容器27は、原料や添加物を含む混合融液31を保持してIII族窒化物単結晶33の結晶成長を行うための容器である。反応容器27内の構成については、図4−1、図4−2を用いて後述する。
内容器25、ナトリウム保持容器26、蓋28の材質は特に限定されるものではなく、BN焼結体、Pyrolytic−BN(P−BN)等の窒化物、アルミナ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)等の酸化物、SiC等の炭化物、ステンレス等の金属等を使用することができる。好適な実施形態としては、BN焼結体の内容器25、ナトリウム保持容器26、蓋28を用いることが好ましい。
また、図3に示すように、耐圧容器11の外周近傍にはヒーター12、13が配置されている。ヒーター12は、反応容器27を加熱して、反応容器27内の混合融液31の温度を調整することができる。本実施の形態で用いられる結晶製造装置1では、反応容器27と混合融液31とは熱平衡状態となるため両者の温度は等しくなる。従って、本実施の形態では、反応容器27の近傍(熱平衡状態とみなせる領域)に熱電対を設置して反応容器27の温度を測定し、測定した温度によって結晶成長温度Tを制御する。このように、ヒーター12によって結晶成長温度Tを制御することができる。
ヒーター13は、ナトリウム保持容器26を加熱して、ナトリウム保持容器26内のナトリウム32の温度を調整することができる。これにより、ナトリウムの蒸気圧を上げて、反応容器27内にナトリウムを気相輸送し、混合融液31に溶解するナトリウムの量を増加させることができる。また、温度とナトリウムの蒸気圧から混合融液31に溶解するナトリウムの量が求められるので、ヒーター13の温度と、混合融液31が含有するIII族元素に対するナトリウムの量比rとの対応関係を予め求めておくことができる。そしてこの対応関係を用いてヒーター13の温度を制御することで、ナトリウム量比rを制御することができる。
また、耐圧容器11には、耐圧容器11の内部空間23に、III族窒化物単結晶33の原料である窒素(N)ガスや、希釈ガスを供給するガス供給管14が接続されている。ガス供給管14は、窒素供給管17と希釈ガス供給管20に分岐しており、それぞれバルブ15、18で分離することができる。
窒素ガスは、窒素ガスのガスボンベ等と接続された窒素供給管17から供給されて、圧力制御装置16で圧力を調整された後、バルブ15を介してガス供給管14に供給される。他方で、希釈ガス(例えば、アルゴンガス)は、希釈ガスのガスボンベ等と接続された希釈ガス供給管20から供給されて、圧力制御装置19で圧力を調整された後、バルブ18を介してガス供給管14に供給される。このようにして圧力を調整された窒素ガスと希釈ガスとは、ガス供給管14にそれぞれ供給されて混合される。
そして、窒素ガスおよび希釈ガスの混合ガスは、ガス供給管14からバルブ21を経て耐圧容器11の内部空間23に供給される。また、ガス供給管14には、圧力計22が設けられており、圧力計22によって耐圧容器11内の全圧をモニターしながら耐圧容器11内の圧力を調整できるようになっている。
本実施の形態では、このように耐圧容器11の全圧を調整できるので、耐圧容器11内の全圧を高くして、反応容器27内のアルカリ金属(例えば、ナトリウム)の蒸発を抑制することができる。加えて、窒素ガスおよび希釈ガスの圧力をバルブ15、18と圧力制御装置16、19とによって調整することにより、窒素分圧を独立して制御することができる。これにより、結晶成長工程における窒素分圧を制御して、III族窒化物単結晶の結晶成長速度を制御することができる。
尚、希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)ガスを用いることが好ましいが、これに限定されず、その他の不活性ガスを用いてもよい。
(2)反応容器内の構成
次に、図4−1および図4−2を参照して、反応容器27(27a、27b)内の構成について詳細に説明する。尚、本実施の形態に関する記載において、反応容器27aと反応容器27bとを特に限定しない場合には、反応容器27と総称する。
(構成例1)
図4−1は、反応容器27内の一構成例を示す図である。尚、図4−1に示す構成は、図3に示された構成と同様である。
構成例1において、反応容器27aの材質は、III族窒化物単結晶の結晶核が生成されやすい材質であれば特に限定されるものではない。反応容器27の材質としては、例えば、BN焼結体、P−BN等の窒化物、SiC等の炭化物等を用いることができる。好適な実施形態としては、BN焼結体の反応容器27aを用いることが好ましい。
このように、反応容器27aはIII族窒化物単結晶の結晶核が生成されやすい材質であるため、混合融液31が接触する反応容器27aの内壁には、III族窒化物単結晶(例えば、GaN単結晶)33以外のIII族窒化物単結晶(雑結晶)が発生しやすい。雑結晶が成長すると、III族窒化物単結晶33の結晶成長が阻害される可能性があるため、反応容器27a内では雑結晶を成長させないことが望ましい。
そこで、本構成例では、図4−1に示すように、雑結晶の発生を防止するための雑結晶発生防止容器29が反応容器27a内に収容される。雑結晶発生防止容器29の材質としては、雑結晶となるIII族窒化物の結晶核が生成し難い材質であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミナや、YAG等の酸化物を用いることができる。好適な実施形態としては、YAG製の雑結晶発生防止容器29を用いることが好ましい。
雑結晶発生防止容器29の底部には小さな穴30が貫通しており、雑結晶発生防止容器29内の混合融液31は、この穴30を介して反応容器27aと接触可能に構成されている。上述のように、反応容器27aは、III族窒化物単結晶の結晶核が生成されやすい材質で構成されている。よって、穴30で囲まれ、混合融液31が接触している反応容器27aの内壁部分のある領域を起点として、他の領域では雑結晶の発生を防止しつつIII族窒化物単結晶33の結晶核を生成させ、結晶成長を開始することができる。
また、穴30が結晶成長時のガイドとなる。よって、III族窒化物単結晶33を、図4−1に示すように反応容器27aの底面に対してほぼ垂直方向に結晶成長させることができる。
(構成例2)
図4−2は、反応容器27内の別の構成例を示す図である。構成例2では構成例1の反応容器27aとは材質の異なる反応容器27bが用いられる。
構成例2において、反応容器27bの材質は、III族窒化物単結晶の結晶核が生成し難い材質であれば特に限定されるものではない。反応容器27bの材質としては、例えば、アルミナやYAG等の酸化物を用いることができる。
このような反応容器27bを用いることで反応容器27bの内壁に雑結晶が発生することを防止することができる。
また、図4−2に示すように、反応容器27b内には、III族窒化物単結晶の結晶核が生成する起点となる部材36が設置される。部材36の材質は、III族窒化物単結晶の結晶核が生成されやすい材質であれば特に限定されるものではない。部材36の材質としては、例えば、BN焼結体、P−BN等の窒化物、SiC等の炭化物、あるいは、III族窒化物を用いることができる。
このような部材36を用いることで、混合融液31が接触している部材36の表面のある領域を起点として、III族窒化物単結晶33の結晶核が生成し、結晶成長が開始される。
<結晶製造方法>
本実施の形態にかかる結晶製造方法では、反応容器27(27aまたは27b)に投入した原料と内部空間23中の窒素ガスからフラックス法によって反応容器27内にIII族窒化物単結晶33の結晶核を生成させて、さらに、この結晶核をフラックス法によって結晶成長させて大型のIII族窒化物単結晶33(図3、図4−1、図4−2参照)を製造する。
(1)原料等の調製
反応容器27に原料や添加物を投入する作業は、耐圧容器11をバルブ21から切り離し、切り離した耐圧容器11を、アルゴンガス等の不活性ガスを充填したグローブボックスに入れて行う。
反応容器27には、混合融液31の構成材料として、少なくともIII族元素を含む物質(例えば、ガリウム)と、フラックスとして用いられるアルカリ金属(例えば、ナトリウム)とを投入する。
原料である少なくともIII族元素を含む物質としては、例えばIII族元素(周期表第13族元素)のガリウム(Ga)が用いられるが、その他の例として、ホウ素、アルミニウム、インジウム等のその他のIII族元素や、これらの混合物を用いるとしてもよい。
フラックスとして用いられるアルカリ金属としては、ナトリウム(Na)、或いはナトリウム化合物(例えば、アジ化ナトリウム)が用いられるが、その他の例として、リチウムやカリウム等のその他のアルカリ金属や、それらアルカリ金属の化合物を用いてもよい。尚、複数種類のアルカリ金属を用いてもよい。
III族元素とアルカリ金属とのモル比は、特に限定されるものではないが、III族元素とアルカリ金属との総モル数に対するアルカリ金属のモル比を40〜95%程度とすることが好ましい。
原料等を投入した後、反応容器27を耐圧容器11内の保持台24に設置する。耐圧容器11に不活性ガスが充填された状態で、バルブ21を操作することにより、耐圧容器11を結晶製造装置1に接続する。
(2)結晶成長工程の開始
上述のように原料等の調整を行って耐圧容器11を結晶製造装置1にセッティングした後、ヒーター12、13に通電して、耐圧容器11およびその内部に収容された反応容器27と、ナトリウム保持容器26を加熱する。これにより、反応容器27内に、III族元素と、アルカリ金属と、を含む混合融液31が形成される(混合融液形成工程)。
また、バルブ15、18と圧力制御装置16、19とを調節して、窒素ガスおよび希釈ガスを所定のガス分圧に調整するとともに、バルブ21を開けて耐圧容器11にこれらの混合ガスを導入する。これにより、耐圧容器11内の混合融液31に接触する気体中の窒素が、混合融液31中に溶解する(窒素溶解工程)。
このように、混合融液31の温度と、反応容器27の内部空間23における窒素分圧および全圧とを制御して、III族窒化物単結晶33の結晶核が発生可能な温度および圧力(窒素分圧、全圧)とすることにより、III族窒化物単結晶33の結晶成長工程を開始させる。
(3)第1工程
図2−1を参照して、第1工程について説明する。図2−1は、III族窒化物単結晶の製造方法の第1工程について説明する図である。
尚、以降では、III族窒化物単結晶における面及び方向はミラー指数を用いて説明するものとする。六方晶(例えば、ウルツ鉱型構造)のIII族窒化物単結晶において、{0001}面のIII族金属極性面(+c面)を(0001)面とし、窒素極性面(−c面)を(000−1)面とし、c軸の(0001)面側(+c方向)を[0001]方向とし、(000−1)側(−c方向)を[000−1]方向と定義する(図においても同様であるが、本明細書においては「バー:−」を付されるべき数字の直前に記す。)。
第1工程では、混合融液31中に溶解したIII族元素と窒素とから、六角錐(角錐)状のIII族窒化物単結晶である六角錐状結晶部33aを成長させる。
即ち、第1工程の結晶成長条件では、図2−1に示すように、反応容器27の内壁のある領域が結晶成長起点Sとなり、結晶成長起点Sに結晶核が発生する。第1工程では、この結晶成長起点Sを六角錐状結晶部33aの頭頂点として結晶成長を開始させて、六角錐状結晶部33aの底面の面積が所定の面積となるまで六角錐状結晶部33aの結晶成長を行う。
ここで、所定の面積とは、必要とされるIII族窒化物の結晶基板のサイズによって決まるものであり、設計に応じた任意好適な面積とすることができる。
より詳細には、第1工程では、結晶成長起点Sから[000−1]方向に向かって六角錐状結晶部33aの結晶成長を開始させる。そして、[000−1]方向を法線方向とする(000−1)面を底面とし、結晶成長起点Sと(000−1)面の六角形の隣り合う2つの頂点とを結んで形成される6つの三角形状の側面を有する六角錐形状に結晶成長させながら、底面の面積が所定の面積となるまで六角錐状結晶部33aを結晶成長させる。
即ち、第1工程では、六角錐状結晶部33aの底面を構成する(000−1)面が成長面となっている。そして、六角錐状結晶部33aは、六角錐の底面を構成する(000−1)面の面積が増加しながら[000−1]方向(−c方向)に結晶成長する。
また、図2−1では、六角錐状結晶部33aを構成する6つの三角形状の側面を{10−11}面と表示したが、6つの側面は{10−11}面に限定されるものではなく、その他の結晶面によって構成されてもよい。
(4)移行工程
上述のように、第1工程において六角錐状結晶部33aを底面積が所望の面積となるまで成長させた後に結晶成長条件を変えて、第2工程に移行させる。
好適な実施形態としては、移行工程において、反応容器27内の気相中の窒素分圧または混合融液31の温度のうち少なくともいずれか一方を変化させることにより結晶成長の条件を変化させる。即ち、図1に示すように、S1の条件から窒素分圧PN2及び結晶成長温度Tのうちのいずれか一方又は双方を制御して、S2またはS3の条件に切替えて結晶成長条件を領域Cから領域Dに移行させて、第1工程から第2工程に移行させる。
また、好適な実施形態としては、図1に示すように、窒素分圧PN2のみを変化させて、S1の条件からS2の条件に切替えて領域Cから領域Dに移行させて、第1工程から第2工程に移行させるとしてもよい。(制御例1参照)
また、好適な実施形態としては、図1に示すように、混合融液31の温度(結晶成長温度T)のみを変化させて、S1の条件からS3の条件に切替えて領域Cから領域Dに移行させて、第1工程から第2工程に移行させるとしてもよい。(制御例2参照)
また、他の好適な実施形態としては、移行工程において、混合融液中のIII族元素(例えば、ガリウム)に対するアルカリ金属(例えば、ナトリウム)の量比を増加させることにより、結晶成長条件を変えて、第1工程から第2工程に移行させるとしてもよい。(制御例3参照)
(5)第2工程
図2−2を参照して、第2工程について説明する。図2−2は、III族窒化物単結晶の製造方法の第2工程について説明する図である。
第2工程では、混合融液31に溶解したIII族元素と窒素とから、六角柱(角柱)状のIII族窒化物結晶である六角柱状結晶部33bを成長させて、六角柱状結晶部33bの高さが所定の高さとなるまで結晶成長させる。
ここで、所定の高さとは、必要とされるIII族窒化物の結晶基板のサイズによって決まるものであり、設計に応じた任意好適な高さとすることができる。
また、第2工程では、第1工程で得られる六角錐状結晶部33aの底面を、六角柱状結晶部33bの底面として、六角柱状結晶部33bの結晶成長を開始させる。即ち、第2工程では、図2−2に示すように、第1工程で得られる六角錐状結晶部33aの底面から六角柱状結晶部33bを延出するように成長させて、III族窒化物単結晶33を得ることができる。
より詳細には、第2工程では、図2−2に示すように、六角錐状結晶部33aの底面を構成する(000−1)面が成長面となり、(000−1)面の法線方向である[000−1]方向(−c方向)が六角錐状結晶部33aの高さ方向となる。
図2−2に示すように、領域Dにおける結晶成長モードでは、c軸に垂直な方向、すなわち六角柱状結晶部33bの径方向には結晶がほぼ成長せず、III族窒化物単結晶33のうちの六角柱状結晶部33bはその径および断面積((000−1)面の面積)をほぼ一定に保ったまま、六角柱状結晶部33bの高さ方向([000−1]方向、−c方向)に成長する。また、図2−2に示すように、六角柱状結晶部33bの6つの四角形状の側面としては例えば{10−10}面が出現する。
<結晶成長条件の制御例>
次に、結晶成長条件の制御例について、図5ないし図7を参照して説明する。
(制御例1)
制御例1では、窒素分圧PN2を変化させることにより、第1工程から第2工程への移行工程を行う。
図5は、結晶成長条件の制御例1として、窒素分圧PN2の制御例を示す図である。図5では、窒素分圧PN2の時間(t〜t)に対する変化を示している。
図5に示すように、本制御例では、時間tからtにかけて温度を室温から所定の結晶成長温度Tまで昇温する。これにより窒素分圧PN2は、昇温に追随してPからPまで増加する。ここで、所定の結晶成長温度Tとは、図1の領域Cの条件を満たす温度であり、例えば、図1のS1における温度Tである。
そして、tからtでは、窒素分圧PN2を領域Cの条件を満たす窒素分圧Pに保って第1工程を行い、六角錐状結晶部33aを成長させる。窒素分圧Pとしては、例えば、図1のS1における窒素分圧PN2である。第1工程では、t〜t間の時間を長くすることにより、(000−1)面の面積を増加させて所望の面積まで結晶成長させることができる。
そしてtにおいて第1工程を終了し、第1工程から第2工程に移行させる。そこで、tからtにかけて窒素分圧PN2をPからPまで増加させ移行工程を行う。ここで、窒素分圧Pは領域Dの条件を満たす窒素分圧であり、例えば図1のS2における窒素分圧である。
移行工程においてtからtまでの時間の長さは特に限定されないが、急激な圧力変化は結晶欠陥の発生や雑結晶の発生を引き起こすおそれがあるので、PからPへの圧力増加はある程度の時間をかけて行うことが好ましい。
そして、t〜tでは、窒素分圧Pにおいて第2工程を行い、六角柱状結晶部33bを成長させてIII族窒化物単結晶を完成させる。また、tからtまでの時間を長くすることにより、六角柱状結晶部33bの高さ(c軸方向の長さ)を高くすることができる。
そして、tにおいて第2工程を終了し、t〜tではヒーター12、13の温度を室温まで下げる。これにより、窒素分圧PN2は温度降下に伴ってPからPまで減少する。
(制御例2)
制御例2では、結晶成長温度Tを変化させることにより、第1工程から第2工程への移行工程を行う。
図6は、結晶成長条件の制御例2として、結晶成長温度Tの制御例を示す図である。図6では、結晶成長温度Tの時間(t〜t)に対する変化を示している。
図6に示すように、本制御例では、時間tからtにかけて結晶成長温度Tを室温であるTからTまで昇温する。ここで、Tは図1の領域Cの条件を満たす温度であり、例えば、図1のS1における温度である。
そして、t1〜t2では、温度をTに保って第1工程を行い、六角錐状結晶部33aを成長させる。第1工程では、tからtまでの時間を長くすることにより、(000−1)面の面積を増加させて所望の面積まで結晶成長させることができる。
そしてtにおいて第1工程を終了し、第1工程から第2工程に移行させる。そこで、tからtにかけて温度をTからTに下げて移行工程を行う。ここで、温度Tは、領域Dの条件を満たす温度であり、例えば図1のS3における温度である。
移行工程においてtからtまでの時間の長さは特に限定されないが、急激な温度変化は結晶欠陥の発生や雑結晶の発生を引き起こすおそれがあるので、TからTへの温度降下はある程度の時間をかけて行うことが好ましい。
そして、t〜tでは、温度Tにおいて第2工程を行い、六角柱状結晶部33bを成長させてIII族窒化物単結晶を完成させる。第2工程では、tからtまでの時間を長くすることにより、六角柱状結晶部33bの高さ(c軸方向の長さ)を高くすることができる。
そして、tにおいて第2工程を終了し、t〜tでは温度をTから室温Tまで下げる。
(制御例3)
制御例3では、ナトリウムのIII族元素に対する量比rを変えることで、第1工程から第2工程への移行工程を行う。
図7は、結晶成長条件の制御例3として、ナトリウム量比rの制御例を示す図である。図7では、ナトリウム量比rの時間(t〜t)に対する変化を示している。
本制御例では他の制御例と同様に、時間tからtにかけて、領域Cの条件を満たす結晶成長温度(例えば、図1のS1における温度T)まで昇温する。
そして、図7に示すように、時間t〜tでは、ナトリウム量比をrに保って第1工程を行い、六角錐状結晶部33aを成長させる。第1工程では、tからtまでの時間を長くすることにより、(000−1)面の面積を増加させて所望の面積まで結晶成長させることができる。
そしてtにおいて第1工程を終了し、第1工程から第2工程に移行させる。そこで、tからtにかけてヒーター13の温度を上げて、ナトリウム量比をrからrに増加させて移行工程を行う。ここで、rは、領域Dの条件を満たすナトリウム量比である。
移行工程においてtからtまでの時間の長さは特に限定されないが、ナトリウム量比rを急激に変化した場合には結晶欠陥の発生や雑結晶の発生を引き起こすので、ナトリウム量比rを変化させる場合にはある程度の時間をかけて行うのが好ましい。
そして、t〜tでは、ナトリウム量比rで第2工程を行い、六角柱状結晶部33bを成長させてIII族窒化物単結晶を完成させる。第2工程では、tからtまでの時間を長くすることにより、六角柱状結晶部33bの高さ(c軸方向の長さ)を高くすることができる。
そして、tにおいて第2工程を終了し、t〜tでは温度をTから室温Tまで下げる。
上述のように結晶成長条件を制御することにより、領域Cから領域Dに正確に移行を行うことができ、移行工程を制御性良く行うことができる。
上述のように、第1工程では、六角錐状結晶部33aを構成する(000−1)面(c面)が所定の面積となるまで結晶成長を行い、第2工程では、六角柱状結晶部33bの[000−1]方向の高さが所定の高さとなるまで結晶成長を行うことができる。これにより、III族窒化物単結晶のうちの六角柱状結晶部33bの体積を制御して大型化することが可能となり、この六角柱状結晶部33bから各結晶面(c面、m面、a面等)を主面とする結晶基板を切り出すことにより、いずれの結晶面についても、転位密度が低く、かつ大面積であるIII族窒化物単結晶の結晶基板を得ることが可能となる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、符号は図3、図4−1、図4−2を参照して説明した結晶製造装置1の構成に対応している。
まず、耐圧容器11をバルブ21部分で結晶製造装置1から分離し、内部の空間をArガス雰囲気としたグローブボックスに入れた。次いで、BN焼結体からなる内径90mmの反応容器27に、YAG製の雑結晶防止容器29を収容し、ガリウム(Ga)とナトリウム(Na)を入れた。本実施例では、ガリウムとナトリウムとのモル比を0.6:0.4とした。
また、ナトリウム保持容器26にナトリウムを入れ、ナトリウム保持容器26と反応容器27とを内容器25に収容し、内容器の蓋28をかぶせ、耐圧容器11内の保持台24上に設置した。次いで、耐圧容器11を密閉し、バルブ21を閉じて、反応容器27の内部空間23を外部雰囲気から遮断した。尚、一連の作業は高純度のArガス雰囲気のグローブボックス内で行うので、耐圧容器11の内部にはArガスが充填されている。
次いで、耐圧容器11をグローブボックスから出し、結晶製造装置1に組み込んだ。すなわち、耐圧容器11をヒーター12,13の加熱領域にある所定の位置に設置し、バルブ21部分でガス供給管14に接続した。次いで、バルブ21とバルブ18を開けて、希釈ガス供給管20からArガスを入れ、圧力制御装置19で圧力を調整して耐圧容器11内の全圧を0.5MPaとし、バルブ18を閉じた。
次いで、窒素供給管17から窒素ガスを入れ、圧力制御装置16で圧力を調整してバルブ15を開け、耐圧容器11内の全圧を4MPaにした。すなわち、耐圧容器11の内部空間23の窒素の分圧は、3.5MPaである。その後、バルブ15を閉じ、圧力制御装置16を8MPaに設定した。
次いで、ヒーター12に通電し、反応容器27を第1工程の結晶成長温度である900℃まで2時間で昇温した。また、ヒーター13の温度を880℃として、ナトリウム保持容器26内のナトリウムを加熱した。尚、結晶成長温度では反応容器内のガリウムとナトリウムとは融解し、混合融液を形成する。また、混合融液の温度は反応容器の温度と同温になる。また、900℃まで昇温すると本実施例の結晶製造装置1においては、耐圧容器11内の気体温度の上昇によって、全圧は8MPaとなる。すなわち、窒素分圧は7MPaとなる。
次に、バルブ15を開けて窒素ガス圧力を8MPaとした。これにより耐圧容器11内の窒素分圧を一定に保つことが可能となり、窒素が窒化ガリウムの結晶成長で消費されても耐圧容器11内の窒素分圧は7MPaに維持される。この状態で300時間保持し、窒素を継続して混合融液31中に溶解させ、ガリウムと窒素とからなる窒化ガリウムの六角錐状結晶部33aを成長させた。
300時間が経過した後に、ヒーター13の温度を24時間かけて900℃まで昇温し、ナトリウム保持容器26内のナトリウム32を900℃まで加熱し、ナトリウムの蒸気圧を上げ、反応容器27内にナトリウム32を気相輸送し、混合融液31のナトリウム量比を0.65まで増加させた。この状態で、20日間保持し第2工程により六角柱状結晶部33bを成長させた。20日間経過した後、ヒーター12、13を室温まで降温した。
耐圧容器11内のガスの圧力を下げた後、耐圧容器11を開けると、反応容器27内には、III族窒化物単結晶33であるGaN単結晶が結晶成長していた。GaN単結晶は、図2−2に示すように六角錐状結晶部33aと六角柱状結晶部33bとからなる鉛筆状の柱状結晶で、無色透明であった。また、GaN単結晶において、対向するm面の長さ(即ち、結晶軸に直交する方向に延在する六角柱状結晶部33bの断面に相当する六角形の対角線の長さ)は約25mm、六角錐状結晶部33aと六角柱状結晶部33bとを含めたIII族窒化物結晶33のc軸方向の高さは約50mm程度であり、六角柱の上面には(000−1)面(c面)が、側面には{10−10}面(m面)が形成されていた。
III族窒化物単結晶33をc面とm面とでスライスし、研磨して、酸性溶液でエッチングした。c面とm面を観察したところ、エッチピット密度はそれぞれ10cm−2以下であった。エッチピットは、転位に対応すると考えられることから、本実施例で得られたGaN単結晶は転位が少なく、高品質であることが分かった。
このように、本実施例では、c面とm面のいずれの結晶面についても転位密度が低く、かつ大面積であるGaN単結晶を製造することができた。また、得られたGaN単結晶は、c面の外径が約25mmでありGaN単結晶の長さ(高さ)が約50mmとその体積が大きかった。よって、c面とm面以外の面を切り出す場合にも大面積の結晶基板を得ることが可能であり、この場合にも、結晶基板は転位密度が低くなる。従って、いずれの結晶面についても転位密度が低く、かつ大面積であるGaN単結晶基板を製造することができる。
1 結晶製造装置
11 耐圧容器
12、13 ヒーター
14 ガス供給管
15、18、21 バルブ
16、19 圧力制御装置
17 窒素供給管
20 希釈ガス供給管
22 圧力計
23 内部空間
24 保持台
25 内容器
26 ナトリウム保持容器
27 反応容器
28 内容器の蓋
29 雑結晶発生防止容器
30 穴
31 混合融液
32 ナトリウム
33 III族窒化物単結晶
33a 六角錐状結晶部
33b 六角柱状結晶部
36 部材
特開2008−94704号公報 特開2006−045047号公報 特開2006−124224号公報
Chemistry of Materials,Vol.9(1997)413-416

Claims (10)

  1. 反応容器内に、III族元素と、アルカリ金属とを含む混合融液を形成する混合融液形成工程と、
    前記混合融液に窒素を含む気体を接触させて、前記混合融液中に前記窒素を溶解させる窒素溶解工程と、
    前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角錐状のIII族窒化物単結晶である角錐状結晶部を、前記角錐状結晶部の底面が所定の面積となるまで成長させる第1工程と、
    前記混合融液中に溶解した前記III族元素および前記窒素とから、角柱状のIII族窒化物単結晶である角柱状結晶部を、前記角柱状結晶部の高さが所定の高さとなるまで成長させる第2工程と、
    を含むことを特徴とするIII族窒化物単結晶の製造方法。
  2. 六方晶のIII族窒化物単結晶の製造方法であって、
    前記第1工程では、前記角錐状結晶部として、六角錐状の六角錐状結晶部を成長させ、
    前記第2工程では、前記角柱状結晶部として、六角柱状の六角柱状結晶部を成長させること、を特徴とする請求項1記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  3. 前記第1工程では、前記反応容器内の結晶成長起点を前記六角錐状結晶部の頭頂点として、前記六角錐状結晶部の結晶成長を開始させて、
    前記第2工程では、前記六角錐状結晶部の底面を、前記六角柱状結晶部の底面として、前記六角柱状結晶部の結晶成長を開始させること、
    を特徴とする請求項1または2記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  4. 前記第1工程では、前記結晶成長起点から[000−1]方向に向かって前記六角錐状結晶部の結晶成長を開始させて、前記底面が(000−1)面で構成された前記六角錐状結晶部を成長させ、
    前記第2工程では、前記[000−1]方向を高さ方向とする前記六角柱状結晶部を成長させること、
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  5. 前記結晶成長の条件を変えることにより、前記第1工程から前記第2工程へ移行させる移行工程をさらに含むこと、を特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  6. 前記移行工程は、前記反応容器内の気相中の窒素分圧、または、前記混合融液の温度のうち少なくともいずれか一方を変化させることにより、前記結晶成長の条件を変えること、を特徴とする請求項5記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  7. 前記移行工程は、前記気相中の窒素分圧を増加させることにより、前記結晶成長の条件を変えること、を特徴とする請求項5または6記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  8. 前記移行工程は、前記混合融液の温度を低下させることにより、前記結晶成長の条件を変えること、を特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  9. 前記移行工程は、前記混合融液中の前記III族元素に対する前記アルカリ金属の量比を増加させることにより、前記結晶成長の条件を変えること、を特徴とする請求項5ないし8のいずれか1つに記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
  10. 前記移行工程は、前記アルカリ金属を加熱して前記反応容器内に前記アルカリ金属を気相輸送することにより、前記混合融液中の前記アルカリ金属の量比を増加させること、を特徴とする請求項9記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。
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