JP5218271B2 - 2h炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

2h炭化珪素単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、良質な2H炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)単結晶は熱的、化学的に非常に安定な半導体材料であり、珪素(Si)と比較して、優れた物性を備えている。例えば、珪素に比べ、炭化珪素のバンドギャップは2〜3倍、熱伝導率は約3倍、絶縁破壊電圧は約10倍、飽和電子速度は約2倍である。このため、炭化珪素単結晶は、シリコンデバイスの使用限界を超える条件で動作し得るパワーデバイス用、あるいは、高温で動作する耐環境デバイス用の半導体基板材料として期待されている。
炭化珪素単結晶には多くの結晶多形(ポリタイプ)が存在する。結晶多形とは化学量論的に同じ組成でありながら、原子の積層の周期がC軸方向にのみ異なる多くの結晶構造を取るものを言う。炭化珪素単結晶の代表的な結晶多形は2H、3C、4H、6H、15Rである。Hは六方晶構造、Cは立方晶構造、Rは菱面体構造を表し、アルファベットの前の数字は積層方向(C軸方向)の一周期の中に含まれるSi−C単位層の数を意味する。
現在、市販されている炭化珪素単結晶は3C、4Hおよび6Hである。このうち、4H炭化珪素単結晶は大きなバンドギャップおよび高い飽和電子速度を備える。このため、4H炭化珪素単結晶を基板材料として用い、パワーデバイスを実用化する研究が進められている。半導体デバイスとして使用可能な品質を備えた3C、4Hおよび6H炭化珪素単結晶の製造方法としては、VPE(Vapor Phase Epitaxial)成長法の一種である昇華法(改良レーリー法)、CVD法およびLPE(Liquid Phase Epitaxial)成長法が知られている。
一方、2H炭化珪素単結晶はさらに優れた特性を備えていることが知られている。具体的には、4H炭化珪素単結晶のバンドギャップは3.0eVであるのに対し、2H炭化珪素単結晶のバンドギャップは、3.3eVである。電子移動度の測定が可能なほど品質がよく、大きい2H炭化珪素単結晶が得られていないため、2H炭化珪素単結晶の電子移動度の信頼性の高い報告はまだないが、室温以上では4H炭化珪素単結晶の電子移動度(1000cm2/Vs)よりも大きいと予想されている。このため、2H炭化珪素単結晶は、より高性能なパワーデバイスを実現する材料として期待されている。
特許文献1は、珪素および炭素をアルカリ金属フラックスに溶解し、アルカリ金属フラックスから2H炭化珪素単結晶を成長させることを開示している。また、特許文献2は、4Hまたは6H炭化珪素単結晶のC面[(000−1)面(ゼロ、ゼロ、ゼロ、イチバー)]に2H炭化珪素単結晶を成長させることを開示している。
国際公開第2006/070749号パンフレット 特開2008−239371号公報
しかし、特許文献1および2に開示された方法によって得られた2H炭化珪素単結晶は成長した炭化珪素結晶の一部分であり、単結晶の部分は小さい。また、2H以外の結晶多形などを含む雑晶も成長している。つまり、半導体デバイスが作製可能なほど十分に大きくかつ品質の高い2H炭化珪素単結晶を得ることが困難であった。
本発明はこのような従来技術の課題を解決し、雑晶の発生を抑止し、良質な2H炭化珪素単結晶を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の炭化珪素単結晶の製造方法は、圧力容器内において、珪素が溶解したリチウムフラックスに炭化珪素単結晶基板を接触させる工程と、前記圧力容器内にメタンを導入し、前記リチウムフラックスに前記メタンを接触させることにより、前記リチウムフラックスから前記単結晶基板上に2H炭化珪素単結晶を成長させる工程とを包含する。
ある好ましい実施形態において、前記メタンを、前記圧力容器内に0.1MPa以上の圧力で導入する。
ある好ましい実施形態において、前記成長工程中、前記メタンの分解により生じたガスの排気および新しいメタンの導入を断続的に繰り返す。
ある好ましい実施形態において、前記成長工程中、前記メタンを加熱した後、前記圧力容器内に導入する。
ある好ましい実施形態において、前記圧力容器内において、前記リチウムフラックスを、炭素を実質的に含まない物質からなる坩堝で保持する。
ある好ましい実施形態において、前記リチウムフラックスは、ナトリウムを含む。
ある好ましい実施形態において、前記炭化珪素単結晶基板は(000−1)面を有する4Hまたは6H炭化珪素単結晶、または(−1−1−1)面を有する3C炭化珪素単結晶からなり、前記(000−1)面上または(−1−1−1)面上に前記2H炭化珪素単結晶を成長させる。
本発明よれば、珪素が溶解したリチウムフラックスにメタンを接触させることにより、リチウムフラックス中における炭素の溶解量を低く抑え、炭化珪素の急激な析出を抑制できるため、雑晶の成長を抑制しながら良質な2H炭化珪素単結晶を成長させることができる。
(a)は本発明による炭化珪素単結晶の製造方法の一実施形態に用いる結晶育成装置の構成を模式的に示しており、(b)は結晶育成装置の坩堝蓋の斜視図を示している。また、(c)は坩堝蓋で閉じた坩堝の斜視図を示している。 2H炭化珪素単結晶を成長中の坩堝内の様子を示す模式図である。 実施例における温度プロフィールを示す。 (a)および(b)は生成した2H炭化珪素単結晶を示す外観像である。 実施例において、C面[(000−1)面]側に得られた2H炭化珪素単結晶の単結晶膜を示すSEM像である。 実施例において、Si面[(0001)面]側に得られた多結晶膜を示すSEM像である。 実施例において得られた2H炭化珪素単結晶のTEM高分解能像と電子線回折像である。
本願発明者は、2H炭化珪素単結晶が成長する条件について詳細に検討を行った。その結果、2H炭化珪素単結晶の成長には、従来用いられる3C、4Hおよび6H炭化珪素単結晶の成長温度よりも低い成長温度が適していることが分かった。この点で、珪素や炭素を低い温度で溶解させることのできるアルカリ金属フラックス、特にリチウムフラックスを用いることが2H炭化珪素単結晶の成長に好適であることが分かった。
リチウムフラックスは、炭素および珪素の溶解性に優れ、1300℃以下の温度においても、炭素および珪素を溶解し得る。しかしながら、炭素を粉末やペレットのような形態でリチウムフラックスに加えた場合、これまでの検討では、リチウムフラックスへの炭素の溶解と平行して、もしくは、リチウムフラックスへの炭素の溶解よりも早くリチウムと炭素とが反応し、2リチウムアセチリド(Li22)のような炭素−リチウム化学種を形成することが分かった。この2リチウムアセチリドは一般に反応性が高いため、リチウムフラックス中で2リチウムアセチリドが生成すると、生成した2リチウムアセチリドは珪素と容易に反応し、炭化珪素が合成される。
このように、2リチウムアセチリドから、すぐに炭化珪素が合成されるため、炭素および珪素が種結晶基板上へ輸送され、炭化珪素単結晶としてエピタキシャル成長する以外に、炭化珪素多結晶として成長するものや、フラックス中のいたるところで核発生し雑晶となるものが生じる。その結果、雑晶のない2H炭化珪素単結晶のみを成長させるのが困難であった。また、粉末やペレット等の形態を用いた場合、エピタキシャル膜の積層構造中に種々の結晶多形が存在し、2H炭化珪素単結晶として成長しにくい傾向があることが分かった。
このような知見に基づき、本願発明者は、まずリチウムフラックスに珪素を溶解し、珪素が溶解したリチウムフラックスに炭素源となるガスを接触させることにより、リチウムフラックスに炭素を徐々に溶解し、良好な品質を有する2H炭化珪素単結晶を成長させることができることを見出した。この方法によれば、リチウムフラックスへの炭素の溶解はガス圧等によって調整可能であり、リチウムフラックス中における炭素の過飽和度を低く抑えることができる。これにより、2H炭化珪素単結晶の成長速度を適切な範囲に制御し、雑晶の成長を抑制しながら良質な2H炭化珪素単結晶が成長することが分かった。
また、2H炭化珪素単結晶の成長に伴い炭素が消費されるが、本発明のように炭素源としてガスを用いる場合、より簡便に炭素の連続供給ができるため、長時間育成が容易となり、より肉厚な2H炭化珪素単結晶を育成しやすいというメリットがある。
以下、図面を参照しながら、本発明による炭化珪素単結晶の製造方法の実施形態を説明する。
図1(a)は、本発明による炭化珪素単結晶の製造方法の一実施形態に用いる結晶育成装置の構成を模式的に示している。この結晶育成装置は、加熱炉11と、加熱炉11内に支持される圧力容器12と、圧力容器12の空間12a内に支持される坩堝13とを備えている。また坩堝13の開口には坩堝蓋14が設けられる。
図1(b)は坩堝蓋14の斜視図である。坩堝蓋14は、坩堝13内部の空間に挿入される挿入部14aと、坩堝14の開口を覆う外蓋部14bとを含み、互い直交する2つの溝14cが挿入部14aから外蓋部14bの一部に達するように設けられている。図1(c)は、坩堝13の開口を坩堝蓋14で覆った状態を示す斜視図である。図1(c)に示すように溝14cが外蓋部14bにも達しているため、坩堝13の開口を坩堝蓋14で閉じた状態でも、溝14cによって、外部から坩堝13の内部へ気体が導入され得る。
ただし、図1(b)に示す坩堝蓋14の構造は一例に過ぎない。以下において説明するように、坩堝13内に炭素源となるガスを導入でき、リチウムフラックスがガスと接触することが可能であれば、坩堝13や坩堝蓋14は他の構造を備えていてもよい。
加熱炉11は例えば抵抗加熱式電気炉であり、圧力容器12および圧力容器12内の坩堝13を加熱する。他の加熱方式の加熱炉であってもよい。加熱炉11は2H炭化珪素単結晶の成長温度を安定して維持できることが好ましい。
圧力容器12は、例えばステンレスからなり、結晶成長中炭素源となるガスの圧力に耐えうる耐圧性を備えている。圧力容器12の内部の空間12aは坩堝13を収容可能な大きさを有している。坩堝13を均一な温度に保つために、圧力容器12の空間12aの上部に遮蔽板15を設けてもよい。
坩堝13は、2H炭化珪素単結晶を成長させるリチウムフラックスを保持する。このため、溶融したリチウムと反応しない材料からなることが好ましい。例えば、タングステン、タングステン基合金、モリブデン、モリブデン基合金、イットリア(Y23)などからなる坩堝を用いることができる。また、リチウムフラックス中に炭素源となるガス以外から炭素が溶け込まないよう、坩堝13を構成する材料は炭素を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、坩堝13を構成する材料中、炭素の割合が、0.1mol%以下であることを言う。
圧力容器12にはガスバルブ18を介して3方に分岐した配管21の1つが接続されている。配管21の他の1つには炭素源を含むガスのボンベ16が圧力計17およびレギュレータ22を介して接続されている。レギュレータ22と圧力計17との間にはガスバルブ20が設けられている。配管21の残りの分岐にはガスバルブ19が設けられており、排気ポンプが接続されている。
ガスバルブ18を閉じることによって、圧力容器12を密閉状態にすることができる。また、ガスバルブ18、19、20を操作することによって、ボンベ16内の炭素源を含むガスを、圧力計17で調節される圧力で圧力容器12内に導入することができる。圧力容器12の空間12aは排気ポンプを用いて排気される。
図2は、2H炭化珪素単結晶を成長中の坩堝13内の様子を示す模式図である。図1および図2を参照しながら、炭化珪素単結晶の製造方法を説明する。
まず図2に示すように、坩堝13内において種結晶基板25を保持する。2H炭化珪素を成長させる面が坩堝13内で後に生成するリチウムフラックス23と接するように、例えば、治具24によって種結晶基板25を垂直に支持する。治具24はリチウムと反応しない材料によって構成されていることが好ましく、また、炭素を実質的に含まないか、リチウムフラックスと接触しても炭素が溶出しない材料によって構成されていることが好ましい。例えば、治具24は、Re(レニウム)−W(タングステン)ワイヤーからなる。
種結晶基板25は、4Hまたは6H炭化珪素単結晶からなり、(000−1)面(ゼロ、ゼロ、ゼロ、イチバー)のC(炭素)面25aを有していることが好ましい。また、3C炭化珪素単結晶も使用でき、その場合は種結晶基板25は、(−1−1−1)面(イチバー、イチバー、イチバー)のC(炭素)面を有していることが好ましい。本実施形態では、(000−1)面のカット角は0度、つまり、ジャスト基板を用いた。大きさは、6mm×14mmであった。種結晶基板25は例えば4°や8°などのオフカット基板であってもよい。
次にアルゴン雰囲気のグローブボックスの中で、珪素およびリチウムを秤量し、坩堝13に入れる。リチウムが溶融したリチウムフラックス中の珪素濃度が、1mol%〜60mol%となるように、珪素およびリチウム量を決定することが好ましく、10mol%〜50mol%となるように、珪素およびリチウム量を決定することがより好ましい。リチウムフラックス中の珪素は全てが溶解している必要はなく、一部が溶け残ることにより、リチウムフラックス中の珪素が過飽和の状態を保つようにしてもよい。本実施形態では、0.045モルの珪素と0.105モルのリチウムを秤量し坩堝13に配置した。リチウムフラックスの粘度を調整するために、特に、粘度を低下させて珪素や炭素を拡散し易くするために、フラックス中にナトリウム(Na)を含むことが好ましい。また、カリウム(K)などのアルカリ金属、マグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属を不純物として含んでいてもよい。
坩堝13の開口を坩堝蓋14で覆い、坩堝13を図1に示すように、圧力容器12の空間12aに配置する。さらに、熱遮蔽板15で空間12aの上部を覆う。その後、圧力容器12にガスバルブ18を接続し、圧力容器12を密封する。
グローブボックスから圧力容器12を取り出した後、図1に示すように、ガスバルブ18を、ボンベ16、レギュレータ22、ガスバルブ19、20、圧力計17および排気ポンプが接続された配管21に接続する。また、圧力容器12を加熱炉11内に配置する。その後、ガスバルブ18、19を開放し、排気ポンプによって、圧力容器12内を排気する。本実施形態では、10Pa未満のオーダまで排気した。
次に、ガスバルブ18、19を閉じた後、加熱炉11を用いて圧力容器12内の坩堝13を加熱し、リチウムを溶融させて珪素をリチウムフラックスに溶解させる。珪素が溶解したリチウムフラックスを得るために400℃〜1340℃(リチウムの沸点)の温度で加熱することが好ましく、600℃〜1000℃で加熱することがより好ましい。珪素を溶解するためのこの温度は、必ずしもその後の2H炭化珪素単結晶を成長させる成長温度と一致している必要はない。
図3は、加熱炉11の温度プロファイルの一例を示している。図3に示すように、本実施形態では、加熱炉11を900℃まで加熱し、この温度で6時間保持した。加熱炉11により坩堝13の温度が上昇すると、まずリチウムが溶融する。その後、溶融したリチウムフラックスに珪素が溶解する。これにより、図2に示すように、珪素が溶解したリチウムフラックス23が生成し、リチウムフラックス23に種結晶基板25が接触した状態となる。
次いで、ガスバルブ20、18を開け、圧力計17により所定の圧力に調整した炭素源を含むガスを圧力容器12内に導入する。炭素源を含むガスとしてメタンを用いることが好ましい。導入する炭素源を含むガスの圧力は、リチウムフラックス23の量、リチウムフラックス23がメタンと接触する接触面積の大きさ、圧力容器12の空間12aにおいてメタンを充填し得る容積、種結晶基板25の大きさ、成長温度などに依存する。圧力が高いほど、リチウムフラックス23に溶け込む炭素の速度は速くなり、量も多くなる。おおよそ、メタンの圧力を0.1MPa以上に設定することにより、2H炭化珪素単結晶を成長させることができる。また、メタンの圧力が15.0MPaを超えると、リチウムフラックス23に溶け込む炭素量が多くなり、急激に炭化珪素が析出し易くなる結果、雑晶が生成しやすくなる。メタンの圧力は、0.3MPaを超え、5.0MPa以下であることがより好ましく、0.3MPaを超え、2.5MPa以下であることがさらに好ましい。
メタンはアルゴンなどの不活性ガスで希釈した状態で、圧力容器12に充填してもよい。この場合、リチウムフラックス23と接する気体の全圧を高めた状態でメタンの分圧を全圧より低くでき、リチウムフラックス23中のリチウム等の蒸気圧を小さくすることができる。また、圧力容器12内の温度の低下を防止するため、メタンを圧力容器12に導入する前に加熱してもよい。
その後、ガスバルブ20を閉じて炭素源を含むガスを遮断し、成長温度で保持する。成長温度は600℃〜1340℃であることが好ましい。成長温度が600℃より低いと、炭化珪素単結晶の成長速度が遅く、経済的に実用的な条件では炭化珪素単結晶を製造することができなくなる。また、1340℃はリチウムの沸点であり、この温度以上ではリチウムが気化してしまう。2H炭化珪素単結晶を単相で安定的に成長しやすくするためには、成長温度は1300℃以下であることがより好ましく、1000℃以下であることがさらに好ましい。これにより、リチウムフラックス23と接触したメタン26がリチウムフラックス23に溶解し、リチウムフラックス23中に溶解した炭素および珪素が炭化珪素を生成して、種結晶基板25の表面に析出する。
本実施形態では坩堝13中のリチウムフラックス23がメタン26と接触している面積は約0.5cm2であり、圧力容器12の空間12aにおけるメタンの充填可能容積は約130mlであった。この場合、以下において説明するように、メタンの導入圧力は0.3MPaを超え、1.5MPa未満であれば良好な2H炭化珪素単結晶が得られた。
本実施形態では、ガスバルブ20、18を開け、上述した圧力でメタンを圧力容器12に導入し、約1分後にガスバルブ20を閉じてメタンを遮断した。その後、図3に示すように、加熱炉11の温度をさらに900℃で24時間保持し、リチウムフラックス23から種結晶基板25の表面25a上に2H炭化珪素単結晶からなる単結晶膜27を成長させた。このとき、(0001)面のSi面25b上には、2H炭化珪素多結晶からなる多結晶膜28が成長した。
単結晶膜27の成長後、加熱炉11を停止し、リチウムフラックス23を室温まで自然冷却する。冷却に伴って、リチウムフラックス23は凝固する。リチウムフラックス23が室温まで低下したら、単結晶膜27および多結晶膜28が成長した種結晶基板25をリチウムフラックス23から取り出す。このようにして、2H炭化珪素単結晶からなる単結晶膜27を成長させることができる。本実施形態では、リチウムフラックス23をエタノールおよび水に浸漬し、リチウムフラックスを溶解し、単結晶膜27および多結晶膜28が成長した種結晶基板25を取り出した。
前述したように、本発明の特徴は、珪素が溶解したリチウムフラックスに炭素源であるメタンを接触させることにより、リチウムフラックスに炭素を徐々に溶解し、良好な品質を有する2H炭化珪素単結晶を成長させることにある。メタンのリチウムフラックスへの接触のさせ方は、製造する2H炭化珪素単結晶の大きさおよび厚さに依存するため、本発明は上述したメタンの接触方法に限られるものではない。一例として、表1に上述した大きさの種結晶基板25、および、上述したサイズの圧力容器12を用いた場合におけるメタンの導入圧力と結晶の成長について実験した結果を示す。また、炭素源としてメタン以外にプロパンおよびエチレンを用いた場合の結果を示す。
実験例1〜6は圧力のみを変更し、上述した条件で結晶を成長させた結果を示している。表1に示すように、上述した条件では、圧力が0.3MPaを超え1.5M未満の範囲にある場合、雑晶のない2H炭化珪素単結晶の膜が成長した。また、実験例7〜9に示すように、プロパンおよびエチレンを炭素源として用いた場合には、2H炭化珪素単結晶が成長しなかった。
図4(a)および(b)は、本実施形態の方法によって作製した実験例3の2H炭化珪素単結晶からなる単結晶膜27を示す写真である。図4(a)および(b)は同一のサンプルの写真であり、図4(b)にハッチングで示す領域において、2H炭化珪素単結晶であったことを示している。図4(a)および(b)において、単結晶膜27は、1目盛が1mmの方眼紙上に置かれている。したがって、本発明による方法によって、少なくとも6mm角以上の大きさの2H炭化珪素単結晶が形成できたことが分かる。なお、図4(a)および(b)において見られる割れは、種結晶基板25を冶具24から取り外す際に種結晶基板25ごと割れたものであり、結晶成長工程直後はこのような割れがなく、図4(b)のハッチングで示す領域全体に単結晶が形成していたことを確認している。
図5は、実験例3の種結晶基板25のC面25aに成長した2H炭化珪素単結晶からなる単結晶膜27の断面SEM写真である。得られた2H炭化珪素単結晶からなる単結晶膜27の厚さは約100μmであった。図5から、均一な単結晶が成長しており、雑晶が付着していないことが分かる。図6は、実験例3の種結晶基板25のSi面25bに成長した多結晶膜28の断面SEM写真である。図6からSi面25bには柱状の多結晶が生成することが分かる。これらのことから、2H炭化珪素単結晶を成長させるためには、(000−1)面のC面を有する種結晶基板を用いることが好ましいことが分かる。
図7は、実験例3の単結晶膜27の透過型電子顕微鏡(TEM)による高分解能像と電子線回折像である。図7に示す高分解能像は、図7の鉛直方向から少し傾いた方向に、原子が配列しており、概ね丸く示される原子が2周期、つまり、3つごとにジグザクに配列しているのが分かる。右上に示す電子線回折像(図7の右上)は、T.L. Daulton et al., "Polytype Distribution of Circumstellar Silicon Carbide: Microstructural Characterization by Transmission Electron Microscopy", Geochimica et Cosmochimica Acta, Vol.67, No.24, pp4743-4767 (2003) に開示されているシミュレーションによって求められた2H炭化珪素単結晶の回折パターンとよく一致していることも確認した。これらの結果から、生成した炭化珪素単結晶は2Hの結晶多形であることを確認した。
このように本発明によれば、珪素が溶解したリチウムフラックスにメタンガスを接触させることにより、2H炭化珪素単結晶の成長速度を適切な範囲に制御し、雑晶の成長を抑制しながら良質な2H炭化珪素単結晶を成長させることができる。これにより、従来作製することが非常に困難であった、例えば、6mm角以上の比較的大きなサイズの2H炭化珪素単結晶を得ることができることが分かった。
また、本発明よれば、炭素源を気体で供給し、炭化珪素単結晶の成長はリチウムフラックスの液相から行う。リチウムフラックスへの炭素の溶解はガス圧等によって調整可能であり、また、リチウムフラックス中における炭素の過飽和度を低く抑えることができる。したがって、炭化珪素単結晶が成長する液相における炭素濃度を結晶成長に適した範囲に保ちながら、炭素源を連続的に供給することも可能となる。
上記実施形態では、比較的小さな種結晶基板を用いたが、上述した理由からより大きい種結晶基板を用いて大きな2H炭化珪素単結晶を得ることが可能である。このためには、2H炭化珪素単結晶の成長に伴って、減少したメタンを補充する。具体的には、上述したようにメタンを所定の圧力で圧力容器12に導入し、密封後、所定の時間成長温度を維持して、2H炭化珪素単結晶を成長させる。その後、排気ポンプを用いて、圧力容器12内のガスを排気する。メタンの分解によって生じたガス、具体的には、水素を排気するためである。この際、リチウムの蒸気圧が比較的高い(1144Kで0.001MPa)ため、排気時間は短い方が好ましい。所定の圧力、例えば、0.1MPa程度まで排気後、メタンを所定の圧力で圧力容器12に導入する。この際、フラックス23の温度が低下しないように、導入するメタンを結晶の成長温度と同程度まで加熱しておくことが好ましい。このようにして、再び2H炭化珪素単結晶を成長させる。必要に応じて、これらの工程を繰り返すことにより、さらに大きな2H炭化珪素単結晶を得ることができる。
また上記実施形態では、リチウムフラックス23全体を同じ温度で保持していた。しかし、2H炭化珪素単結晶が成長する種結晶基板側が低温となるように温度勾配を設けてリチウムフラックス23を保持してもよい。
本発明は、種々の大きさおよび用途の2H炭化珪素単結晶の製造方法に好適に用いられ、特に、高品質な2H炭化珪素単結晶が求められる、半導体デバイス用基板の製造方法に好適に用いることができる。
11 加熱炉
12 圧力容器
13 坩堝
14 坩堝蓋
14a 挿入部
14b 外蓋部
14c 溝
15 遮蔽板
16 ボンベ
17 圧力計
18、19、20 ガスバルブ
21 配管
22 レギュレータ
23 リチウムフラックス
24 治具
25 種結晶基板
26 メタン
27 単結晶膜
28 多結晶膜

Claims (7)

  1. 圧力容器内において、珪素が溶解したリチウムフラックスに炭化珪素単結晶基板を接触させる工程と、
    前記圧力容器内にメタンを導入し、前記リチウムフラックスに前記メタンを接触させることにより、前記リチウムフラックスから前記単結晶基板上に2H炭化珪素単結晶を成長させる工程と
    を包含する炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記メタンを、前記圧力容器内に0.1MPa以上の高い圧力で導入する請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記成長工程中、前記メタンの分解により生じたガスの排気および新しいメタンの導入を断続的に繰り返す請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記成長工程において、前記メタンを加熱した後、前記圧力容器内に導入する請求項1から3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記圧力容器内において、前記リチウムフラックスを、炭素を実質的に含まない物質からなる坩堝で保持する請求項1から4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記リチウムフラックスは、ナトリウムを含む請求項1から4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記炭化珪素単結晶基板は(000−1)面を有する4Hまたは6H炭化珪素単結晶もしくは(−1−1−1)面を有する3C炭化珪素単結晶からなり、前記(000−1)面上もしくは(−1−1−1)面上に前記2H炭化珪素単結晶を成長させる請求項1から4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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