JP2017178673A - 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転位等の結晶欠陥の発生を制御してSiC単結晶を成長させることができ、結晶欠陥の少ない良質なSiC単結晶インゴットを製造することができるSiC単結晶インゴットの製造方法を提供する。【解決手段】坩堝内に装填したSiC原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置したSiCの種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、種結晶上にSiC単結晶を成長させてSiC単結晶インゴットを製造するSiC単結晶インゴットの製造方法であって、SiC原料に含まれる不純物元素の総量QをSiC単結晶が成長する種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)が10mg/cm2以下となる条件で、SiC単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法である。【選択図】図1

Description

この発明は、坩堝内に装填した炭化珪素原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置した炭化珪素の種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する方法に関するものである。
炭化珪素(SiC)は、広い禁制帯幅を有するワイドバンドギャップ半導体であり、耐電圧性や耐熱性等で従来のシリコン(Si)をはるかに凌ぐ特性を有することから、次世代の半導体材料として研究開発が進められている。
炭化珪素単結晶(SiC単結晶)を成長させる技術のひとつとして、坩堝内に装填したSiC原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置したSiCの種結晶上にSiC単結晶を再結晶させる昇華再結晶法がある(改良レーリー法とも呼ばれる)。すなわち、この方法では、坩堝の蓋体に種結晶を取り付け、坩堝の容器本体(坩堝本体)にSiC原料を配置して、SiC原料を昇華させることで、種結晶上にバルク状のSiC単結晶を成長させる。その際には、成長する単結晶中への不純物ドーピングが可能であり、例えば、n型SiC単結晶の場合には、成長中の雰囲気ガスへ窒素(N2)ガスを添加することができる。そして、略円柱状をしたバルク状のSiC単結晶(インゴット)を得た後、一般には、300〜600μm程度の厚さに切り出した上で、SiC単結晶基板を製造し、パワーエレクトロニクス等の分野でSiCデバイスの作製に供される。
このような昇華再結晶法による結晶成長には2000℃を超える温度が必要であり、しかも、種結晶とSiC原料を配した坩堝側とに温度勾配を設けて結晶成長を行うことなどから、得られるSiC単結晶には、如何しても転位や積層欠陥等が含まれてしまう。このうち、転位としては、貫通刃状転位(TED)、基底面転位(BPD)、及び貫通らせん転位(TSD)が含まれ、例えば、市販されているSiC単結晶基板では、貫通らせん転位が8×102〜3×103(個/cm2)、貫通刃状転位が5×103〜2×104(個/cm2)、基底面転位が2×103〜2×104(個/cm2)程度存在するという報告がある(非特許文献1参照)。なかでも、例えば、TSDはデバイスの酸化膜不良を引き起こして絶縁破壊の原因となり、また、TEDはデバイスのリーク電流の原因となることなどが知られており、高性能SiCデバイスの作製のためには、これらの転位をできるだけ低減させる必要がある。
そこで、得られるSiC単結晶の転位密度を低減させるために様々な方法が研究され、また検討されている。例えば、所定の成長圧力及び基板温度で初期成長層としてのSiC単結晶を成長させた後、基板温度及び圧力を徐々に減じながら結晶成長を行うことで、マイクロパイプと共にTSDの少ないSiC単結晶を得る方法(特許文献1参照)や、所定の成長圧力、及び基板温度によってSiC単結晶を初期成長層として成長させた後、基板温度はそのまま維持し、減圧して成長速度を高めて結晶成長させることで、マイクロパイプの発生を抑え、かつ、TSD等の転位密度を少なくさせる方法(特許文献2参照)などがある。
また、SiC原料に含まれた不純物がSiC単結晶中に取り込まれると結晶欠陥を引き起こしてしまうとして、不純物元素の含有量が0.1ppm以下の高純度SiC原料を用いる方法が提案されている(特許文献3参照)。すなわち、SiC原料として坩堝内に装填する炭化珪素粉末は、一般にアチソン法により得られたものが使用される。このアチソン法では、黒鉛や石油コークス等のカーボン材料とケイ砂(シリカ)とを電気炉で直接通電して還元することで炭化珪素を合成することから、炭化珪素を大量に製造することができるが、得られた凝結塊を粉砕する必要があるため、粉砕工程で混入したり、或いは材料に由来して不純物が多く含まれてしまう。そこで、この特許文献3では、アチソン法で得られた炭化珪素粉末を2100℃〜2500℃で熱処理することで、所定の元素(周期表の1族から16族元素に属する原子番号3以上の元素であって、原子番号6〜8及び同14〜16の元素を除いたもの)からなる不純物元素を除去して、昇華再結晶法のSiC原料としている。
しかしながら、従来の方法において、昇華再結晶法での成長条件の最適化を図ったり、SiC原料の不純物を除去して調整しても転位等の結晶欠陥を効果的に低減させるまでには至っていない。特に、SiCデバイスのコストを抑えて普及させるなどの目的から、得られるSiC単結晶の口径やサイズの大型化は重要であるが、大きなSiC単結晶を製造しようとすると結晶欠陥の発生はより顕著になってしまう。
特開2002−284599号公報 特開2007−119273号公報 特開2009−173501号公報
大谷昇、SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会第17回講演会予稿集、2008、p8
上述したように、種結晶上にSiC単結晶を成長させる昇華再結晶法において、従来の方法では、転位等の結晶欠陥を確実に低減させるまでには至っておらず、これらの結晶欠陥が発生する原因についても十分に解明できているとは言えない状況である。
そこで、本発明者らは、坩堝に装填したSiC原料に含まれる不純物の挙動に着目して検討を重ねたところ、種結晶上に成長するSiC単結晶の大きさとの関係においてその不純物元素の量がある一定量に達したときに、結晶欠陥が発現することを突き止めた。そして、SiC原料に含まれる不純物元素の総量Qを種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)で結晶欠陥の発生を制御することができることを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明の目的は、マイクロパイプや転位等の結晶欠陥の発生を制御してSiC単結晶を成長させることができ、結晶欠陥の少ない良質なSiC単結晶インゴットを製造することができるSiC単結晶インゴットの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)坩堝内に装填した炭化珪素原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置した炭化珪素の種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qを炭化珪素単結晶が成長する種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)が10mg/cm2以下となる条件で、炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(2)炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qは、含有量が0.01質量ppm以上の不純物元素を合計したものである(1)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
(3)炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qは、金属元素不純物であるAl、Fe、Ti、Cr、Ni、及びVの含有量を合計した総量で擬制される(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
本発明によれば、転位等の結晶欠陥の発生を制御しながらSiC単結晶を成長させることができ、結晶欠陥の少ない良質なSiC単結晶インゴットを製造することができる。本発明のようにして、結晶欠陥の発生が制御可能になることで、SiC単結晶インゴットの口径やサイズを大型化した場合でも良質なSiC単結晶インゴットを得ることができるようになり、また、いたずらにSiC原料の高純度化を図る必要がなくなることから、SiCデバイスのコストを抑えることができるようにもなる。
図1は、SiC単結晶インゴットの種結晶近傍における結晶成長領域を結晶成長方向と平行に切断した縦断面の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、(a)は試験例4のSiC単結晶インゴットであり、(b)は試験例1のSiC単結晶インゴットの場合である。 図2は、SiC単結晶インゴットの製造に用いた改良型レーリー法による単結晶成長装置の説明図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明は、坩堝内に装填した炭化珪素(SiC)原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置した炭化珪素(SiC)の種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、種結晶上に炭化珪素(SiC)単結晶を成長させる炭化珪素(SiC)単結晶インゴットの製造方法に関し、SiC原料に含まれる不純物元素の総量QをSiC単結晶が成長する種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)が10mg/cm2以下となる条件でSiC単結晶を成長させることで、転位やマイクロパイプ等の結晶欠陥の発生を抑制する。
先に述べたように、昇華再結晶法で用いられるSiC原料は、アチソン法により得られたものが一般的に使用され、それらにはいろいろな不純物が含まれる。例えば、FeやV等の金属からSやCl等の非金属まで様々な元素が存在するが、含有量が比較的多いものは金属であり、そのうち、Na、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、及びMo等は、下記の理由から、転位やマイクロパイプ等の結晶欠陥の発生に特に関係していると考えられる。なかでも、Al、Fe、Ni、Cr、Ti、及びVの含有量が多く、これらの金属系元素はアチソン法によるSiCの製造時に混入したもの、もしくは、製造されたSiCを所定の粒度に粉砕して分粒する工程において混入したものと推定される。
すなわち、上記のような金属系元素をはじめとしたSiC原料中の不純物元素はSiCより昇華温度が低く、しかも、Siと共晶を形成し易い。そのため、SiC単結晶の結晶成長初期段階では、所定の条件を満たしたときに、種結晶の近傍領域に例えば金属系元素が凝集して液滴を形成する、もしくは、これらの金属系元素とSiとの共晶を形成すると考えられる。但し、SiC単結晶の結晶成長後にこのような液滴や共晶を確認することはできず、実際には、図1(a)に示したように、種結晶の近傍領域に黒色に写るボイド(気泡)のような粒状欠陥として現れる。この粒状欠陥は大きなものであっても10〜20μm程度であり、また、粒状欠陥の元素分析では上記のような金属系元素等は検出されないことから、液滴やSiと共晶を形成した金属系元素等は気化するものと推測される。そして、この粒状欠陥を起点として、結晶成長方向に転位(なかでも貫通刃状転位や貫通らせん転位)やマイクロパイプ等が発生すると考えられ、粒状欠陥の発生以降に成長したSiC単結晶中には多数の転位欠陥やマイクロパイプ欠陥が存在することになる。
ところで、不純物濃度が同じSiC原料(純度が同じSiC原料)を使用した場合に、必ずしも上記のような粒状欠陥が種結晶の近傍領域に発生するとは限らない。つまり、結晶成長の条件によっては、粒状欠陥が発生する場合とそうでない場合とが確認される。この現象の原因を探るべく検討を重ねたところ、SiC原料に含まれる不純物元素の総量QをSiC単結晶が成長する種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)で整理できることが分かった。すなわち、Q/Sが10mg/cm2以下、好ましくは5mg/cm2以下、更に好ましくは1mg/cm2以下となる条件であれば、種結晶の近傍領域における粒状欠陥の発生を抑制でき、結果として、転位やマイクロパイプ等の結晶欠陥を低減させることができる。
SiC原料に含まれる不純物元素の総量Qについては、好適には、SiC原料をグロー放電質量分析法(Glow Discharge Mass Spectrometry:GDMS)等で元素分析し、Si及びC以外であって含有量が0.01質量ppm以上の不純物元素を合計して求めることができる。また、上述したように、このような分析によると金属系元素の含有量が多く、これらは種結晶の近傍領域に粒状欠陥を発生させる主な原因と考えられることから、金属元素不純物であるNa、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、及びMoの合計含有量を不純物元素の総量Qとみなしてもよく、より詳しくは、Al、Fe、Ti、Cr、Ni、及びVの合計含有量を不純物元素の総量Qとみなしてもよい。
上記Q/Sにより、SiC単結晶中の結晶欠陥が制御可能になる理由としては、種結晶の近傍領域でSiC単結晶が成長する際に存在する不純物元素が一定量を超えると、前述したように不純物元素が凝集して液滴を形成したり、Siとの共晶を形成するためと推測される。先に挙げた金属系元素等はSiCより昇華温度が低いため、坩堝内に装填されたSiC原料中でこれらの金属系元素が結晶成長の初期段階に昇華して、種結晶の近傍領域に集まると考えられる。その際、初期段階に昇華する不純物元素が多くて高濃度になると液滴やSiとの共晶になって、上述したような粒状欠陥がSiC単結晶中に発生するものと推測される。つまり、純度が同じSiC原料を使用する場合でも、より大きな(より高さの高い)SiC単結晶インゴットを製造するときには、SiC原料を多量に使用する必要があり、不純物元素の総量が増加することから、結晶成長の初期段階に不純物元素が集中して上記のような粒状欠陥を発生させてしまう可能性がある。そのため、比較的純度が高いSiC原料を使用していても、SiC単結晶インゴットのスケールアップを図る上で純度が足りなくなる場合がある。逆に言えば、Q/Sが10mg/cm2を超えない結晶成長条件であれば、純度の低いSiC原料を用いても構わない。
本発明において、上記Q/Sが10mg/cm2以下となる結晶成長条件にするにあたっては、成長させるSiC単結晶インゴットのサイズ(口径及び高さ)や坩堝に装填するSiC原料を調整するようにすればよい。例えば、成長させるSiC単結晶インゴットの口径と使用するSiC原料が決まっている場合、SiC原料に含まれる不純物元素の濃度(SiC原料の純度)に応じて、坩堝に装填するSiC原料の装填量を調整して、SiC単結晶インゴットの高さを制御するようにすればよい。また、成長させるSiC単結晶インゴットの口径と高さが決まっている場合には、SiC原料に含まれる不純物元素の濃度を調整して、坩堝内のSiC原料に含まれる不純物元素の総量(含有量)を制御すればよい。
ここで、SiC原料に含まれる不純物元素の濃度を調整するにあたり、不純物元素を除去する手段については特に制限はなく、例えば、フッ硝酸を用いた洗浄によるSiC原料中の金属系元素を溶解させる方法や、SiC原料を高温に加熱して不純物元素を気化させる方法等が挙げられる。
また、本発明においては、上記Q/Sが10mg/cm2以下となれば、それ以外の条件については公知の手法と同様にして、種結晶上にSiC単結晶を成長させてSiC単結晶インゴットを製造することができる。例えば、得られるSiC単結晶インゴットの口径は特に制限はなく、現在主流である口径50mm〜150mmのSiC単結晶インゴットの製造は勿論のこと、それ以上の口径であっても適用可能であり、いずれも結晶欠陥を抑えた良質なSiC単結晶インゴットを製造することができる。なかでも口径が100mm以上である大型化のSiC単結晶インゴットが高品質で得られるようになることで、スケールアップ効果によりSiCデバイスのコストを抑えることができる。一方で、このQ/Sの考え方に従えば、精製工程等を減らした比較的安価な低純度のSiC原料を用いて良質なSiC単結晶インゴットを製造することができることから、やはりSiCデバイスのコストを抑えることが可能になる。なお、本発明は、得られるSiC単結晶インゴットの大きさに制限されずに適用することができるが、現時点での製造技術からして実質的にSiC単結晶インゴットの口径は300mm以下であるのが望ましい。
また、得られるSiC単結晶インゴットのポリタイプ(結晶多形)についても制限はなく、例えば、代表的なポリタイプである4H、6H、3C、15R等のSiC単結晶を成長させる方法として勿論適用可能である。更には、使用する種結晶のオフ角についても同様であって、例えば、一般に採用される0度〜15度のオフ角を有する種結晶を用いることができ、更にまた、結晶成長中に窒素ガスソース(N2)等を用いて、得られるSiC単結晶インゴットの抵抗率を調整することも可能である。
以下、本発明について、試験例に基づきながらより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの内容に制限されるものではない。
(試験例1〜5)
図2には、この試験例1〜5に係るSiC単結晶インゴットの製造に用いた、改良型レーリー法による単結晶成長装置が示されている。SiCの結晶成長は、昇華原料であるSiC原料を坩堝内で誘導加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置した種結晶上に再結晶させることにより行われる。ここで、種結晶1は、黒鉛製坩堝を形成する坩堝蓋体4の内面に取り付けられ、また、SiC原料2は同じく黒鉛製坩堝を形成する坩堝本体3内に装填される。坩堝本体3及び坩堝蓋体4は、熱シールドのために断熱材7で覆われており、断熱材7で覆われた黒鉛製坩堝(坩堝本体3及び坩堝蓋体4)は二重石英管5内部で黒鉛支持台座6の上に設置される。二重石英管5の内部は、真空排気装置及び圧力制御装置11を用いて真空排気された後、純度99.9999%以上の高純度Arガスを、配管9を介してマスフローコントローラ10で制御しながら流入させ、真空排気装置及び圧力制御装置11を用いて二重石英管5内を所定の圧力に保ちながら、ワークコイル8に高周波電流を流して、SiC原料2が充填された坩堝本体3と種結晶1が取り付けられた坩堝蓋体4とがそれぞれ目標温度となるように上昇させる。また、窒素ガス(N2)も同様に、配管9を介してマスフローコントローラ10で制御しながら二重石英管5内に流入させ、雰囲気ガス中の窒素分圧を制御して、SiC結晶中に取り込まれる窒素元素の濃度を調整した。なお、種結晶1の温度の計測は、坩堝蓋体4の上面を覆う断熱材7に直径10mm程度の光路を設けて図示外の放射温度計により行い、測定された温度を種結晶温度とした。
この試験例1〜5では昇華原料として3種類のSiC原料A〜Cを使用した。このうち、SiC原料A及びBはいずれも市販品(SiC原料A:純度99%、SiC原料B:純度96%)であり、それぞれ数グラムをサンプリングして、グロー放電質量分析法(GDMS)により元素分析を行ったところ、表1に示したような不純物元素を含有していた。また、SiC原料Cは、SiC原料Bをフッ硝酸(HFとHNO3を1:1で混合したもの)に2時間浸漬させて金属不純物を溶解させ洗浄したものであり、洗浄後のGDMSによる分析結果は表2に示したとおりである。なお、表1〜2では含有量が0.01ppm未満の元素を「−」としている。
Figure 2017178673
Figure 2017178673
また、この試験例1〜5では、2種類の種結晶1を用意した。先ず、口径100mmであって(0001)面を主面とした4H型のSiC単結晶から、この(0001)面のオフ方位が<11−20>方向であり、かつ(0001)面のオフ角が4度になるように、SiC単結晶基板を切り出し、切り出された面を鏡面研磨して4インチ口径の種結晶(結晶成長表面の面積S=78.5cm2)を作製した。また、口径150mmであって(0001)面を主面とした4H型のSiC単結晶から、上記と同様にしてSiC単結晶基板を切り出し、鏡面研磨して、オフ角4度の6インチ口径の種結晶(結晶成長表面の面積S=176.6cm2)を作製した。
上記で準備した3種類のSiC原料A〜Cと2種類の種結晶とを用いて、表3に示した結晶成長条件により、試験例1〜5に係るSiC単結晶インゴットの製造を行った。ここで、各試験例で使用したSiC原料に含まれる不純物元素の合計(表1又は2に示した不純物元素の合計)を総量Qとし、また、Al、Fe、Ti、Cr、Ni、及びVの合計(表1又は2に示したこれらの元素の合計)を総量Q’とした。
すなわち、試験例1では、4インチ口径の種結晶1を図2に示した単結晶成長装置の坩堝蓋体4の内面に取り付け、また、坩堝本体3にはSiC原料2としてSiC原料Aを7500g装填して、坩堝本体3と坩堝蓋体4とからなる黒鉛製坩堝の外側を黒鉛製フェルト(断熱材)7で被覆し、この黒鉛製フェルト7で被覆した黒鉛製坩堝を黒鉛支持棒6の上に載せて、二重石英管5の内部に設置した。次いで、二重石英管5の内部を真空排気した後、雰囲気ガスとして高純度Arガスを流入させ、二重石英管内の圧力を約80kPaに保ちながら、ワークコイル8に電流を流して温度を上げ、種結晶1の温度が2300℃になるまで上昇させた。そして、石英管内圧力を1.3kPaに減圧し、成長結晶中の窒素濃度が約1×1019cm-3となるようにしながら、50時間の結晶成長を行った。試験例2〜5についても試験例1と同様にして、表3に示した条件で結晶成長を行い、それぞれ試験例1〜5に係るSiC単結晶インゴットを得た。
Figure 2017178673
上記で得られた試験例1〜5に係るSiC単結晶インゴットについて、ラマン分光装置を用いてポリタイプ(結晶多形)を確認したところ、いずれも結晶の全面に亘って4Hポリタイプを有していた。
一方で、各SiC単結晶インゴットについて、種結晶近傍の結晶成長領域(種結晶の結晶成長表面から高さ約1mmの部分)の縦断面を得て、観察面を(−1100)面として光学顕微鏡写真を撮影し(倍率100倍)、黒色に写る粒状欠陥の有無を観察した。また、各SiC単結晶インゴットの結晶成長の終端部から5mmの位置より(000−1)面の観察基板を切り出し、鏡面研磨した後にX線トポグラフによりマイクロパイプを観察した。更には、上記の観察基板から溶融KOHエッチング法により転位欠陥を観察した。結果を表3にまとめて示す。
表3に示したとおり、試験例4及び5のSiC単結晶インゴットでは、種結晶近傍の結晶成長領域に粒状欠陥が発生していた。図1(a)はこのうちの試験例4の種結晶近傍の結晶成長領域の光学顕微鏡写真であり、10〜20μm程度の粒状の黒色点が粒状欠陥である。これに対して、試験例1〜3に係るSiC単結晶インゴットではこのような粒状欠陥は確認されなかった。図1(b)は試験例1の種結晶近傍の結晶成長領域を写した光学顕微鏡写真である。
また、試験例1〜3のSiC単結晶インゴットでは、試験例4及び5のものに比べてマイクロパイプ密度が1/300以下であり、転位欠陥密度も1/2以下であった。ここで、試験例4のSiC単結晶インゴットを結晶成長方向に対して平行に切断した縦断面をX線トポグラフ法により回折面(0004)の条件で観察したところ、粒状欠陥を起点としてマイクロパイプ及び転位欠陥が発生していることが確認された。すなわち、試験例1〜3のSiC単結晶インゴットが試験例4及び5のものに比べてマイクロパイプや転位欠陥が低減されたのは、種結晶近傍の結晶成長領域における粒状欠陥を抑えたためと考えられる。例えば、試験例1及び試験例5では、同じSiC原料を使用していずれも4インチ口径の種結晶上に結晶成長を行っているが、試験例1では粒状欠陥の発生を抑えることができている。
したがって、本発明のように、SiC原料に含まれる不純物元素の総量Qを種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値Q/Sが10mg/cm2以下の条件でSiC単結晶を成長させることで、もしくは、この総量Qを金属元素不純物の合計含有量で擬制してQ/Sが10mg/cm2以下の条件でSiC単結晶を成長させることで(上記試験例ではSiC原料に含まれるAl、Fe、Ti、Cr、Ni、及びVの総量Q’を用いている)、結晶欠陥の少ない良質なSiC単結晶インゴットを製造することが可能になる。
1:種結晶、2:SiC原料、3:坩堝本体、4:坩堝蓋体、5:二重石英管、6:黒鉛支持台座、7:断熱材、8:ワークコイル、9:配管、10:マスフローコントローラ、11:真空排気装置及び圧力制御装置。

Claims (3)

  1. 坩堝内に装填した炭化珪素原料を加熱して昇華ガスを発生させ、坩堝内に対向配置した炭化珪素の種結晶上に再結晶させる昇華再結晶法により、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させて炭化珪素単結晶インゴットを製造する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qを炭化珪素単結晶が成長する種結晶の結晶成長表面の面積Sで除した値(Q/S)が10mg/cm2以下となる条件で、炭化珪素単結晶を成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  2. 炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qは、含有量が0.01質量ppm以上の不純物元素を合計したものである請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  3. 炭化珪素原料に含まれる不純物元素の総量Qは、金属元素不純物であるAl、Fe、Ti、Cr、Ni、及びVの含有量を合計した総量で擬制される請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
JP2016068465A 2016-03-30 2016-03-30 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 Active JP6796941B2 (ja)

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