JP2016129158A - 固体酸化物形燃料電池用グリーンシートおよびその製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用グリーンシートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた発電性能と高い信頼性(耐久性)とを備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)を実現すること。
【解決手段】
本発明により、アノード支持型のSOFCの形成に用いられるグリーンシート110、120が提供される。グリーンシート110、120は、アノード層10と固体電解質層20とを備える。アノード層10は、導電性材料とバインダとを含む。アノード層10の上記バインダは、エーテル系高分子化合物を含む。固体電解質層20は、酸化物イオン伝導体とバインダとを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池に関し、詳しくは該電池に用いられるグリーンシートおよびその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;以下、単に「SOFC」ということもある。)は、種々のタイプの燃料電池のなかでも発電効率が高く、また多様な燃料の使用が可能なため、環境負荷の少ない次世代の発電装置として開発が進められている。
かかるSOFCの一形態として、アノード支持型のSOFCが挙げられる。該SOFCの典型的な製造方法では、まず、ドクターブレード法によって導電性粉末を含むスラリー状(ペースト状、インク状を包含する。以下同様。)の組成物を厚み100μm程度のシート状に成形する。次いで、これを複数枚積層し加熱圧着等の手法により相互に接合した後乾燥することで、比較的厚い(例えば厚みが凡そ100μm〜1500μmの)アノード支持層を形成する。そして、かかるアノード支持層の上に固体電解質層とカソード層とをそれぞれ10μm〜50μm程度の厚みで順に形成し焼成する。
しかしながら、ドクターブレード法でアノード支持層を形成する場合には、上述の通り溶媒(典型的には有機溶媒)を使用してスラリー状組成物を調製する必要がある。このため、乾燥時間が長くなったり、或いは乾燥時に溶媒の揮発に伴う環境衛生上の問題を招来したりすることがあり得る。また、かかる方法では製造条件(例えばスラリー状組成物の粘度等)を厳密に管理する必要があり、条件が僅かに異なるだけで塗工不良や得られたアノード支持層の組成に不均質さを生じ得る。加えて、複数枚のシートを積層する際には接合界面に空隙(気泡)が生じ易く、これを起点として界面剥離等の不都合を生じ得る。したがって、より簡便で、再現性や信頼性の高いアノード支持層の形成方法が求められている。これに係る技術としては、例えば特許文献1,2が挙げられる。これらの特許文献には、ロール成形の手法によってアノード支持層を形成し得ることが記載されている。また、その他、ロール成形に係る従来技術として特許文献3〜5が挙げられる。
特開2012−146579号公報 特開2004−152773号公報 特開2002−111210号公報 特開平7−25665号公報 特開2007−134248号公報
ところで、近年、SOFCの高性能化の一環として固体電解質層の薄層化が検討されている。一般に、電気抵抗は厚みに比例して増大するため、固体電解質層を薄くする(例えば10μm以下とする)ことでより発電性能に優れたSOFCを実現し得る。しかしながら、本発明者の検討によれば、かかる固体電解質層の薄層化は、その背反としてSOFCの信頼性(耐久性)低下を生じ得る。すなわち、薄層化された固体電解質層では、アノード支持層の組成や表面の平坦さ等が僅かに異なるだけで、該固体電解質層にクラックを生じたり、或いはアノード支持層との界面で剥離を生じたりすることがあり得る。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クラックや界面剥離等の不都合が生じ難く、優れた発電性能と高い信頼性(耐久性)とを発揮し得るSOFCを提供することである。また、関連する他の目的は、かかるSOFCの作製に用いるグリーンシートを提供すること、および該グリーンシートを簡便かつ安価に製造する方法を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートであって、少なくともアノード支持層と固体電解質層とが積層されたグリーンシートの製造方法が提供される。かかる製造方法は、
(1)少なくとも導電性材料とバインダとを含む原料混合物を用意すること;
(2)上記原料混合物を用いて、ロール成形法によりアノード支持層を形成すること;
(3)上記アノード支持層の表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層を形成すること;
を包含する。そして、上記原料混合物に含まれるバインダとして、エーテル系高分子化合物を用いる。
ロール成形法によれば、例えば100μm〜1500μm程度の比較的厚いアノード支持層を、より等方的に(例えば、厚み方向に対して組成や気孔率にバラつきが少なく、均質に)製造し得る。また、ロール成形法は、溶媒を用いてスラリー状組成物を調製する必要がないため簡便であり、作業効率(典型的には乾燥時間の短縮)や製造コスト、環境衛生の観点からも好ましい。加えて、アノード支持層形成用バインダとして少なくともエーテル系高分子化合物(好ましくは環状エーテル系高分子化合物)を用いることで、固体電解質層を構成する材料(例えば酸化物イオン伝導体)との親和性をより高めることができ、アノード支持層−固体電解質層間の界面接合性を良好に保つことができる。したがって、ここで開示されるグリーンシートの製造方法によれば、固体電解質層の薄層化に伴う不都合(クラックや界面剥離等の発生)が好適に抑制され、高い発電性能を長期に渡って発揮し得る、高性能なSOFCを実現することができる。
本明細書において「グリーンシート」とは、未焼成の状態のシート(生シート)をいう。なお、完全な未焼成シートの他、例えば100℃以下の温度で乾燥したシート(乾燥シート)や、例えば200℃以下の温度で仮焼成したシート(仮焼成シート)をも包含し得る。また、「エーテル系高分子化合物」とは、環状エーテル系高分子化合物および鎖状エーテル系高分子化合物を包含し得る。
ロール成形法は、例えば、一対のロールの間に原料混合物(典型的には粉末状)を供給し、ロールの間を通すことで圧縮成形する方法であり得る。そして、以下の条件;
(1)一対のロールの温度が上記アノード支持層形成用の原料混合物に含まれるバインダが軟化する温度よりも高くなるよう調整すること;
(2)一対のロールの間隔が100μm以上1500μm以下となるよう調整すること;
(3)線圧を0.1kN/cm以上30kN/cm以下に設定すること;および
(4)成形速度を0.1m/min以上20m/min以下に設定すること;
を、いずれも具備することが好ましい。かかる態様によれば、その後の焼成において反りや変形等の不都合が生じ難い、等方性や均質性に優れたアノード支持層を好適に形成し得る。
ここで開示される好適な一態様では、上記アノード支持層は、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成する。上記厚みとすることで、強度や耐久性に優れた支持体を実現し得る。加えて、単層構造とすることで、例えば100μm程度のシートを複数枚積層し一体化させた場合に比べて界面の数が少ないため、抵抗を低く抑えることができる。このことは作業効率や製造コストの観点からも好ましい。したがって、かかる態様によれば、より信頼性や耐久性に優れたSOFCを、従来に比べ簡便かつ安価に実現し得る。
また、ここで開示される好適な一態様では、上記アノード支持層は、有機物含有率が10質量%以下となるよう形成する。グリーンシートに含まれる有機物含有率を低減することで、焼成収縮時に発生し得る不都合を抑制し得る。すなわち、かかるグリーンシートは、アノード支持層に反りや変形等が生じ難く、また、アノード支持層−固体電解質層の界面接合性に優れる。したがって、より一層信頼性や耐久性に優れたSOFCを実現することができる。
上記固体電解質層の形成は、例えば、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダと溶媒とを含むスラリー状の組成物を調製し、かかる組成物をアノード支持層の表面に付与することによって行い得る。ここで、上記バインダとしては、ポリビニルブチラールおよび/またはエチルセルロースを好適に採用し得る。上記溶媒としては、例えばαーテルピネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート等を好適に採用し得る。かかるバインダや溶媒を用いることで、アノード支持層と固体電解質層との界面密着性をより一層高めることができ、その後の焼成においてクラックや界面剥離等の発生を抑制することができる。
スラリー状の組成物の付与方法としては、例えば印刷成形法やドクターブレード法を好適に採用し得る。かかる手法によれば、従来に比べて薄く(例えば平均厚みが20μm以下の、好ましくは平均厚みが10μm以下の)緻密な固体電解質層を好適に形成することができる。固体電解質層の厚みを上記範囲とすることで、抵抗をより低く抑えることができ、酸化物イオン導電性に優れた固体電解質層を実現することができる。
ここで開示される好適な一態様では、固体電解質層の表面に少なくともセリウム酸化物とバインダとを含む反応抑止層を形成する。反応抑止層を形成することで、固体電解質層とカソード層との界面がより安定化され、固相反応を抑制することができる。したがって、長期に渡り安定して高い性能を発現し得るSOFCを実現することができ、本願発明の効果をさらに高いレベルで発揮することができる。
また、本発明により、固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートであって、少なくともアノード支持層と固体電解質層とが積層されたグリーンシートが提供される。ここで、上記アノード支持層は、少なくとも導電性材料とバインダとしてのエーテル系高分子化合物(好ましくは環状エーテル系高分子化合物)とを含み、且つ平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造である。また、上記固体電解質層は、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとしてのポリビニルブチラールおよび/またはエチルセルロースを含んでいる。
かかる構成によればアノード支持層−固体電解質層間の界面接合性を良好に保つことができ、界面剥離等の発生を一層好適に抑制し得る。また、上記アノード支持層は、機械的強度や耐久性に優れ、且つ抵抗が低減されたものであり得る。したがって、ここで開示されるグリーンシートによれば、優れた発電性能(高出力密度)と信頼性(耐久性)とを高いレベルで両立し得るSOFCを実現することができる。
なお、アノード支持層が単層構造であるか否かは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)観察によって把握し得る。より具体的には、まずクロスセクションポリッシャ加工等によってグリーンシートの断面出しを行い、かかる断面をSEMで観察する。そして、得られた観察画像に基づいて、アノード支持層を構成する層の数(シートの枚数)および各層の厚みを計測することにより、該アノード支持層が単層構造であるか否かを明らかにし得る。また、アノード支持層および/または固体電解質層に含まれるバインダの種類は、例えば熱分解GC−MS(GC;Gas Chromatography−MS;Mass Spectrometry)の手法によって把握し得る。より具体的には、グリーンシートのアノード支持層および固体電解質層からそれぞれ測定用試料を採取し、この測定試料を熱分解GC−MSに導入し分析することによって、バインダの種類を特定し得る。
ここで開示される好ましい一態様では、上記アノード支持層の有機物含有率が10質量%以下である。アノード支持層の有機物含有率が10質量%以下と従来に比べて低い場合、焼成収縮時に発生し得る不都合(例えばアノード支持層の反りや変形、アノード支持層−固体電解質層の界面剥離)を好適に抑制することができる。したがって、より一層信頼性や耐久性に優れたSOFCを実現し得、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
なお、有機物含有率は、例えば示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA;Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)の手法によって把握し得る。より具体的には、グリーンシートから測定用試料としてのアノード支持層を採取し、酸素ガス雰囲気下において該測定用試料を500℃まで昇温する。そして、例えば25℃〜500℃の温度範囲における重量変化(重量減少)に基づいて、有機物含有率を算出し得る。
ここで開示される好ましい一態様では、上記固体電解質層の表面に少なくともセリウム酸化物とバインダとを含む反応抑止層を備える。反応抑止層を備えることで、固体電解質層とカソード層との界面が安定化され得、長期に渡り安定的に使用可能なSOFCを実現し得る。したがって、本願発明の効果をさらに高いレベルで発揮することができる。
また、本発明により、上記グリーンシートを焼成してなる積層体を備えた固体酸化物形燃料電池が提供される。上述のように、ここで開示されるSOFCは高い発電性能を発揮し得る。さらに、アノード支持層−固体電解質層間の接合強度が高いため、界面剥離を生じ難く、長期に渡って高い発電性能を安定的に発揮することができる。すなわち、ここで開示されるSOFCは、高性能且つ高耐久であり得る。
一実施形態に係るロール成形機を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るグリーンシートを模式的に示す断面図であり、(a)はアノード支持層−固体電解質層グリーンシートを、(b)はアノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを、それぞれ示している。 一実施形態に係るアノード支持型のSOFCを備えた発電システムを模式的に示す断面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、発電システムの構成や製造方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本発明により、少なくともアノード支持層と固体電解質層とが積層されたグリーンシートの製造方法が開示される。ここで開示される製造方法は、以下の工程を包含する。
(1)少なくとも導電性材料とバインダとを含む原料混合物を用意すること。
(2)上記原料混合物を用いて、ロール成形法によりアノード支持層を形成すること。
(3)上記アノード支持層の表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層を形成すること。
好適な一態様では、上記(3)の後に、さらに以下の工程を包含する。
(4)上記固体電解質層の表面に少なくともセリウム酸化物とバインダとを含む反応抑止層を形成すること。
特に限定することを意図したものではないが、以下では図2(a)および(b)に模式的に示すグリーンシートを例として、本発明を詳細に説明する。
≪(1)原料混合物の用意≫
ここで開示される製造方法では、先ず、図2(a)および(b)に示すようなアノード支持層10を形成するための原料混合物を準備する。かかる原料混合物は、少なくとも導電性材料とバインダとを含み、これらを撹拌混合することによって調製し得る。
導電性材料としては、従来からSOFCのアノード層の形成に用いられる電気触媒的作用(触媒活性)を有する物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。具体的には、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ランタン(La)、金(Au)等の金属材料;酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni、Ni)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物材料;等を用いることができる。なかでもニッケルは他の金属に比べて比較的安価であり、且つ高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから特に好適な金属種である。したがって、ここで開示される製造方法では、導電性材料としてニッケル系材料(例えば酸化ニッケル)を特に好ましく用いることができる。
導電性材料としてはまた、例えば上記金属系材料と他の材料とを混合した複合材料を用いることもできる。例えば、上記金属系材料と後述する固体電解質層20の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)とを任意の割合で混合した複合材料を用い得る。好適例として、ニッケル系材料(例えばNiO)と、安定化ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ;Yttria stabilized zirconia)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ;Calcia stabilized zirconia)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Scandia stabilized zirconia)等)とのサーメットが挙げられる。アノード支持層に固体電解質層の形成材料(酸化物イオン伝導体)を含ませることで、該アノード支持層と固体電解質層との整合性(例えば熱膨張係数の調和)を高め得、これによってアノード支持層−固体電解質層間の接合性(密着性)が向上し得る。したがって、界面剥離等の不具合を一層抑制し得、耐久性や信頼性に優れたSOFCを実現し得る。金属系材料と固体電解質層形成材料との混合比率(質量比)は特に限定されないが、例えば90:10〜40:60(好ましくは、80:20〜50:50)とすることができる。
導電性材料の性状は特に限定されないが、例えば平均粒径が0.01μm〜5μm(典型的には0.1μm〜2μm)程度の粉末状(粒子状)のものを好ましく用いることができる。また、上述のようなサーメットを調製・使用する場合には、実質的に同等な平均粒径を有する材料同士を混合して用いることが好ましい。例えば、平均粒径が凡そ0.1μm〜5μmのニッケル系材料と、平均粒径が凡そ0.1μm〜5μmの安定化ジルコニアと、を上記比率で混合して用いることが好ましい。これによって、より均質なアノード支持層を実現し得る。なお、本明細書において「平均粒径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。かかる粒径の調製は、従来公知の粉砕処理や篩いがけ、分級等によって行うことができる。
バインダとしては、熱可塑性を有し、且つ脱バインダ処理(典型的には、200℃以上の加熱焼成)によって蒸発除去し得るものを用いることができる。なかでも、エーテル系高分子化合物または該エーテル系高分子化合物を主体とするものを好ましく用いることができる。アノード支持層にエーテル系高分子化合物を用いることで、固体電解質層との界面接合性を良好に保つことができ、界面剥離等を好適に抑制することができる。
エーテル系高分子化合物は、環状エーテル系と鎖状エーテル系とに大別される。環状エーテル系高分子化合物としては、例えば、デキストリン、パキマン、ラミナラン、澱粉、グルコマンナン、アガロース、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、クインシードガム、キサンタンガム、アラビアガム、プルラン、寒天、コンニャクマンナン等の天然高分子化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系高分子化合物;を一種または二種以上用いることができる。
また、鎖状エーテル系高分子化合物としては、例えば、ポリアルキレンオキシド類(ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)やポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリジメチルシロキサン等の合成高分子化合物を一種または二種以上用いることができる。
また、エーテル系高分子化合物以外のバインダとしては、エーテル系高分子化合物と均一に混合し得るバインダであって、従来からSOFCのアノード支持層の製造に用いられているバインダのうち一種または二種以上を用いることができる。例えば、バインダの50質量%以上(より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)がエーテル系高分子化合物であるものを好ましく使用し得る。特に好ましい例として、実質的にエーテル系高分子化合物からなるバインダが挙げられる。
ここで開示される製造方法では、バインダとして環状エーテル系高分子化合物を好ましく用いることができる。特に、デキストリン等の天然高分子化合物、エチルセルロース等のセルロース系高分子化合物を好適に用い得る。これらの高分子化合物は、比較的少ない添加量で導電性材料の粒子間を強固に接着することができる。このため、アノード支持層中の有機物含有率を一層低減することができ、その後の焼成時における反りやボイドの発生を一層抑制し得る。また、固体電解質層との密着性(親和性)をより高めることができ、界面剥離の生じ難いグリーンシートを実現し得る。或いは、バインダとしてアルキレンオキシド類(特にポリエチレンオキシド(PEO))等の鎖状エーテル系高分子化合物を用いることもできる。アルキレンオキシド類は、耐水性や耐薬品性に優れるため、アノード支持層の形状を長期に渡り安定的に保持し得る。したがって、信頼性や耐久性に優れたアノード支持層を好適に形成することができる。
アノード支持層10を形成するための原料混合物には、さらに、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば造孔材(気孔形成材)や可塑剤、酸化防止剤、増粘剤、分散剤等の各種添加剤等を必要に応じて含み得る。造孔材としては、例えばカーボン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、澱粉等を好適に用いることができる。可塑剤としては、例えばプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシル等のフタル酸エステル類;等を好適に用いることができる。分散剤としては、例えばカルボン酸系の高分子界面活性剤を好適に用いることができる。
原料混合物の調製には、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。例えば導電性材料とバインダと必要に応じて用いられる他の成分(典型的には造孔材や可塑剤)とを任意の撹拌・混合装置に投入し、50rpm〜300rpmの攪拌速度で0.5時間〜1時間撹拌混合することによって均質な原料混合物を調製し得る。なお、上記原料を装置に投入する順序は特に限定されず、例えば一度に全ての材料を投入してもよく、何度かに分けて投入してもよい。
ここで開示される好適な一態様では、上記原料混合物の有機物含有率が10質量%以下(好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下)である。有機物含有率を低減することで、グリーンシートを焼成した際に発生し得る不都合(例えば反りや変形、界面剥離)を一層抑制することができる。
原料混合物全体に占める金属系材料(金属または金属酸化物)の割合は、凡そ30質量%以上(典型的には40質量%〜80質量%)であり、通常は凡そ45質量%〜70質量%であることが好ましい。固体電解質層の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)を使用する場合、原料混合物全体に占める固体電解質層形成材料の割合は、例えば凡そ10質量%〜50質量%とすることができ、通常は凡そ20質量%〜40質量%とすることが好ましい。また、原料混合物全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2質量%〜10質量%とすることが好ましい。各種添加剤を使用する場合、原料混合物全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ0.5質量%〜10質量%とすることが好ましい。
≪(2)アノード支持層の形成≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記原料混合物を用いて、図2(a)および(b)に示すようなアノード支持層10を形成する。アノード支持層10は、ロール成形法によって形成することができる。
ところで、アノード支持層の形成は一般にドクターブレード法を用いて行われる。かかる方法では、ドクターブレードと呼ばれる刃を用いて、上述したような材料を溶媒(典型的には有機溶媒)中に分散させてなるスラリー状組成物を所定の厚みに成形した後、溶媒を揮発させることによって所望の厚みのアノード支持層を作成する。このため、スラリー状組成物にはある程度の粘性を持たせる必要があり、このことによって乾燥時間が長びいたり、或いは乾燥時に環境衛生上の問題を生じたりすることがあり得る。また、かかる方法は製造条件(例えば、スラリー状組成物の粘度や乾燥温度等)の影響を受け易く、条件の微妙な変動でアノード支持層にクラックやボイド等を生じたり、該アノード支持層の表面の平坦性が失われたりすることがあり得る。さらに、アノード支持型のSOFCに用いるために、アノード支持層を比較的厚め(例えば100μm〜1500μm)に形成しようとすると、比重の大きい材料(典型的には金属系材料)が下部に沈降し、厚さ方向の組成や密度が不均質なものとなり得る。そこで、一般には100μm程度の厚みのシートをドクターブレード法によって複数枚作製し、該シートを積層して、加熱圧着或いはシートの間に接着剤としての有機物を付与して加圧したりすることで、アノード支持層を形成する。しかしながら、このように複数枚のシートを積層してアノード支持層を形成する場合には、積層枚数の増加に伴ってシート間の界面の数が増え、該界面において空隙や接合不良を生じたり、或いは界面剥離を招来したりする可能性が高まり得る。
これに対して、ここで開示されるロール成形法では、回転するロールで原料を圧縮し所望の形状のアノード支持層を圧縮成形する。典型的には、反対方向に回転する一対のロールの間に原料を供給し、該一対のロール間で原料を圧縮することにより所望の形状に成形する。このため、原料(材料)を粉体のまま直接ロール成形機に投入することができ、すなわち原料混合物をスラリー状に調製する必要がない。このことは、作業効率(典型的には乾燥時間の短縮)や製造コスト、環境衛生の観点からも好ましい。
ここで開示される好適な一態様では、上記アノード支持層は、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成する。100μm以上1500μm以下の厚みとすることで、強度や耐久性に優れたアノード支持層とし得る。加えて、単層構造とすることで、例えば100μm程度の層を積層し一体化させた場合に比べて界面の数が少ないため、界面間の接合不良が生じ難く、且つアノード支持層の抵抗を低く抑えることができる。このように、ロール成形法によれば、アノード支持型のSOFCに用いられるような比較的厚いアノード支持層であっても、安定的に形成することができる。すなわち、かかるアノード支持層は、等方性や均質性に優れた(例えば組成や気孔率にバラつきが少ない)ものであり得る。
図1に、一実施形態に係るロール成形機の模式的な断面図を示す。図1に示すロール成形機5は、大まかに言って、原料混合物1aを貯留する貯留タンク1と、一対のロール2と、を備える。貯留タンク1はまた、その底部にフィーダー1bを備えており、該フィーダーの出口から原料混合物1aが一対のロール2上に連続的に供給されるよう構成されている。一対のロール2に供給された原料混合物1aは、ロール2の表面との摩擦力によって一対のロール2の間(隙間)に引き込まれ、かかるロール2の間を通過する際に圧縮成形される。ここでは、後述するロール成形の条件等を調整することにより、所望の性状(例えば厚みや気孔率)を有するアノード支持層10を形成し得る。
貯留タンク1は、原料混合物1aを貯留する容器である。貯留タンク1は、その底部にフィーダー1bを備え、一定量の原料混合物1aをロール2上に連続的に供給することができる。貯留タンク1としては、貯留する原料混合物1aに含まれる材料に対し、耐薬品性や耐腐食性に優れた材質からなることが好ましい。このような材質として例えばステンレスが挙げられる。フィーダー1bとしては、定量性に優れるものであれば特に限定されず、例えばスクリュー式、振動式、流動式等の各種フィーダーを適宜採用し得る。
貯留される原料混合物1aは、ロール成形を行う前に予め軟化点(典型的には原料混合物1aに含まれるバインダの融点)に近い温度に調整されていることが好ましい。具体的には、例えば50℃以上(好ましくは60℃以上)以上であって、200℃以下(通常160℃以下、好ましくは140℃)であり得る。予め原料混合物の温度を高く調整しておくことで、ロール2の表面における原料混合物1aの上滑りを防止し得、均質な(例えば厚みや密度のバラつきが少ない)アノード支持層を安定して形成し得る。
ロール2は、耐薬品性や耐腐食性に優れた材質からなることが好ましい。このような材質として、例えばステンレスが挙げられる。また、ロール成形時には、ロール2の温度を常温よりも高めに設定することが好ましい。典型的には原料混合物1aに含まれるバインダの軟化点より高く、例えばバインダの軟化点よりも10℃以上高く(例えば20℃以上高く)設定することがより好ましい。具体的には、通常凡そ30℃〜200℃であり、例えば50℃〜150℃であり得る。
一対のロール2の間隔は特に限定されず、目的物としてのアノード支持体の厚みに応じて適宜調整することができる。ここで開示されるアノード支持層10は、SOFCの支持体として、例えば固体電解質層20やカソード層40に比べて厚めに形成される。支持体としてのアノード支持層10の平均厚みは通常凡そ100μm〜2000μmであることから、一対のロール2の間隔は例えば100μm以上(典型的には200μm以上、例えば500μm以上)であって、2000μm以下(典型的には1800μm以下、例えば1500μm以下)とすることができる。ロール成形法では、ロール2の間隔を調整するだけで所望の厚みを有するアノード支持層10を形成することができるため、簡便である。
ロール2の直径は特に限定されないが、例えば数十cm〜数百cm程度であり得る。原料混合物やロール成形機の運転条件等が等しい場合は、一般にロールの直径が大きくなるほど密度の高い(緻密な)アノード支持層10を形成することができる。また、一対のロール2間のプレス線圧は特に限定されないが、通常0.1kN/cm〜30kN/cmであり、例えば0.5kN/cm〜10kN/cmであり得る。また、アノード支持層10の成形速度は、通常0.1m/分〜20m/分であり、例えば1m/分〜15m/分、好ましくは1m/分〜10m/分、より好ましくは5m/分〜10m/分であり得る。かかる態様によれば、従来に比べて反りや変形等の不都合が生じ難く、均質なアノード支持層10を安定して形成することができる。
≪(3)固体電解質層の形成≫
ここで開示される製造方法では、次に、図1(a)および(b)に示すように、アノード支持層10の表面に、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとを含む固体電解質層20を形成する。かかる固体電解質層20は、例えば、アノード支持層10の上に、酸化物イオン伝導体とバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば可塑剤)とを溶媒に分散させてなるスラリー状の組成物(固体電解質層形成用スラリー)を任意の手法で付与し乾燥させることで形成し得る。
酸化物イオン伝導体としては、従来からSOFCの固体電解質層の形成に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。好適例として、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)から選択される元素を含んだ酸化物が挙げられる。具体的には、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er)等の安定化剤で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO);イットリア(Y)、ガドリニア(Gd)、サマリア(Sm)等のドープ剤をドープした酸化セリウム(CeO);等を採用し得る。なかでも、ジルコニア(ZrO)にイットリウムの酸化物(例えば、イットリア(Y))を固溶させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、またはスカンジウムの酸化物(例えばスカンジア(Sc))を固溶させたスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)を好適に用いることができる。これらの酸化物は、比較的温度が低い場合(凡そ500℃〜800℃)であっても高い酸化物イオン伝導性を示し得るため、起動性に優れたSOFCを実現し得ることから好ましい。固溶させる酸化物の量は特に限定されないが、例えば凡そ1mol%〜20mol%(通常、凡そ5mol%〜10mol%)とすることができる。
上記酸化物イオン伝導体の平均粒径は、上記アノード支持層の形成用として例示した導電性材料と同等であり得る。すなわち、平均粒径が0.01μm〜5μm程度(例えば0.1μm〜2μm)程度の酸化物イオン伝導体を好ましく用いることができる。アノード支持層および固体電解質層に含まれる材料の平均粒径を揃えることで、両者の層間における接着性を高めることができ、より高い接合性や機械的強度を実現することができる。
バインダとしては、脱バインダ処理(典型的には、300℃以上で加熱焼成すること)によって蒸発除去し得るものであればよく、特に限定なく用いることができる。具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系ポリマー;メタクリル酸エステル等のエステル系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリアミドイミド、ポリイミド等のイミド系ポリマー;ポリエチレンオキサイド等のエチレン系ポリマー;ポリアクリロニトリル、ポリメタリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリウレタン等のウレタン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンポリフッ化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系重合体;スチレンブタジエンゴム等のゴム類;等を用いることができる。なかでも、セルロース系ポリマー(例えばエチルセルロース)やポリビニルブチラールを好適に用いることができる。
溶媒としては、上記酸化物イオン伝導体およびバインダを好適に分散(または溶解)し得るもののうち一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、環状エーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤または他の有機溶剤が挙げられる。なかでも、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、α−テルピネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等を好適に用いることができる。
好適な一態様では、バインダとしてセルロースおよびその誘導体(典型的にはエチルセルロース)を、溶媒としてα−テルピネオールを用いる。好適な他の一態様では、バインダとしてポリビニルブチラールを、溶媒としてブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート等のエステル系溶剤および/またはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いる。本発明者の検討によれば、上記バインダや溶媒を用いて固体電解質層を形成することによって、アノード支持層と固体電解質層との界面密着性をより一層高めることができ、界面剥離やボイド(空隙)等の発生を抑制することができる。
固体電解質層形成用スラリーの固形分濃度(NV)は特に限定されないが、例えば60質量%〜80質量%(例えば65質量%〜75質量%)程度とし得る。換言すれば、固体電解質層形成用スラリー全体に占める溶媒の割合は、例えば凡そ20質量%〜40質量%とすることができ、通常は凡そ25質量%〜35質量%とすることが好ましい。
また、固体電解質層形成用スラリー全体に占める酸化物イオン伝導体の割合は、凡そ50質量%以上であり、通常は凡そ60質量%〜70質量%であることが好ましい。固体電解質層形成用スラリー全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。各種添加剤を使用する場合、固体電解質層形成用スラリー全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ0.5質量%〜15質量%とすることが好ましい。
固体電解質層形成用スラリーの付与方法としては、一般的なスラリーの塗布技術、例えば印刷法(凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等)、シート成形法(ドクターブレード法等)、ディッピング法、スプレー法等を採用することができ、なかでも印刷成形法(典型的にはスクリーン印刷法)やドクターブレード法を好ましく採用し得る。かかる手法によれば、従来に比べて薄く緻密な固体電解質層を好適に形成することができる。
また、ここで開示される製造方法の好適な一態様では、固体電解質層形成用スラリーを付与した後に、適当な乾燥手法で該固体電解質層形成用スラリーに含まれる溶媒を除去する。かかる手法としては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線等による乾燥を単独または組み合わせて用いることができる。
ここで開示される好適な一態様では、固体電解質層の厚みを従来に比べて薄く形成する。固体電解質層の平均厚みは、典型的には10μm以下、例えば7μm以下、特に5μm以下となるよう形成することが好ましい。上記範囲とすることで、抵抗をより低く抑えることができ、優れた発電性能(高出力密度)を発揮し得るSOFCを実現し得る。また、典型的には1μm以上、例えば2μm以上、好ましくは3μm以上となるよう形成することが好ましい。上記範囲とすることで、固体電解質層の形成に起因する不都合(例えばピンホールや塗工スジ等の発生)を低減し得る。
≪アノード支持層−固体電解質層グリーンシート110≫
上述のようにして、図2(a)に示すようなグリーンシートを製造することができる。図2(a)は、アノード支持層10と固体電解質層20とが積層されたグリーンシート110を模式的に示す断面図である。
アノード支持層10の厚みは、機械的強度の確保や耐久性の観点から、通常100μm以上であり、例えば200μm以上である。また、抵抗を低く抑える観点から、通常
2000μm以下であり、好ましくは1500μm以下である。さらに、単層構造であることが好ましい。上記構成のアノード支持層10は、機械的強度や耐久性に優れ、且つ抵抗が低減されたものであり得る。また、固体電解質層との界面接合性を良好に保つことができるため好ましい。好適な一態様では、アノード支持層10の有機物含有率が10質量%以下(好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下)である。有機物含有率を低く抑えることで、焼成収縮時に発生し得る不都合(例えばアノード支持層の反りや変形、アノード支持層−固体電解質層の界面剥離)を好適に抑制し得る。
アノード支持層10は、少なくとも導電性材料(典型的には金属系材料と酸化物イオン伝導体とのサーメット)とバインダとしてのエーテル系高分子化合物とを含んでいる。アノード支持層10全体に占める金属系材料の割合は、凡そ30質量%以上(典型的には40質量%〜80質量%)であり、通常は凡そ45質量%〜70質量%であり得る。固体電解質層の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)を使用する場合、アノード支持層10全体に占める固体電解質層形成材料の割合は、例えば凡そ10質量%〜50質量%であり、通常は凡そ20質量%〜40質量%であり得る。また、アノード支持層10全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜20質量%であり、通常は凡そ2質量%〜10質量%であり得る。各種添加剤を使用する場合、アノード支持層10全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%であり、通常は凡そ0.5質量%〜10質量%であり得る。
固体電解質層20の厚みは、塗工を良好に行う観点から、通常1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。また、抵抗を低く抑える観点から、通常10μm以下であり、好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
固体電解質層20は、少なくとも酸化物イオン伝導体とバインダとしてのポリビニルブチラールおよび/またはエチルセルロースを含んでいる。固体電解質層20全体に占める酸化物イオン伝導体の割合は、凡そ50質量%以上であり、通常は凡そ60質量%〜70質量%であり得る。固体電解質層20全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜10質量%であり、通常は凡そ1質量%〜5質量%であり得る。各種添加剤を使用する場合、固体電解質層20全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%であり、通常は凡そ0.5質量%〜15質量%であり得る。
≪(4)反応抑止層の形成≫
ここで開示される好適な一態様では、図2(b)に示すように、固体電解質層20の表面に反応抑止層30を形成する。例えば、固体電解質層20に酸化ジルコニウム系の材料を含み、且つ後述するカソード層40にペロブスカイト構造の酸化物材料を含む場合、これらの接触する部分(界面)で固相反応を生じ、固体電解質層20および/またはカソード層40間の酸化物イオン伝導性が低下する場合がある。このため、上記材料を用いてSOFCを製造する場合には、固体電解質層20とカソード層40との間に反応抑止層30を形成することで固体電解質層20とカソード層40との界面を安定化し得、反応を抑制することができる。
かかる反応抑止層30は、例えば、セリウム酸化物とバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば分散剤)とを溶媒に分散させて調整してなるスラリー状の組成物(反応抑止層形成用スラリー)を、固体電解質層20の表面に任意の手法で付与し乾燥させることで形成し得る。
セリウム酸化物としては、例えば固体電解質層の形成材料として例示したセリウム酸化物を用いることができる。好適例として、ガドリニア(Gd)をドープした酸化セリウム(CeO)が挙げられる。上記置換的な構成元素の量(異元素のドープ量)は、特に限定されないが、例えば当該置換元素の酸化物換算で1mol%〜20mol%(例えば5mol%〜15mol%)とすることができる。
バインダや溶媒としては、例えば固体電解質層の形成用として例示したものの中から適宜採用し得る。好適な一態様では、上記固体電解質層の形成に用いたものと同種のバインダや溶媒を使用する。例えば、バインダにセルロースおよびその誘導体(典型的にはエチルセルロース)を、溶媒にα−テルピネオールを、それぞれ好ましく採用し得る。或いは、バインダにポリビニルブチラールを、溶媒にブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、イソボルニルアセテート等のエステル系溶剤を用いることができる。かかる構成によれば、固体電解質層20−反応抑止層30間の親和性(相溶性)を高めることができ、かかる界面において自己組織化を生じ得る。したがって、界面剥離等の不都合を一層抑制することができ、高い発電性能を長期に渡って発揮し得る、高性能なSOFCを実現し得る。また、添加剤としては、カルボン酸系(例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸等)の界面活性剤を好ましく用いることができる。
反応抑止層形成用スラリーの固形分濃度(NV)は特に限定されないが、典型的には60質量%〜80質量%(例えば65質量%〜75質量%)程度とすることができ、概ね固体電解質層形成用スラリーと同等とすることが好ましい。換言すれば、反応抑止層形成用スラリー全体に占める溶媒の割合は、例えば凡そ20質量%〜40質量%とすることができ、通常は凡そ25質量%〜35質量%とすることが好ましい。
また、反応抑止層形成用スラリー全体に占める上記セリウム酸化物の割合は、凡そ50質量%以上であり、通常は凡そ60質量%〜70質量%であることが好ましい。反応抑止層形成用スラリー全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。なお、反応抑止層形成用スラリーの調製方法は、固体電解質層形成用スラリーと同様であり得る。
反応抑止層形成用スラリーの付与方法は特に限定されないが、固体電解質層を形成する場合と同様であり得、例えば印刷法(例えばスクリーン印刷法)を採用し得る。
固体電解質層30の厚みは特に限定されないが、あまりに厚い場合は酸化物イオン伝導性が低くなり、発電性能が低下する虞がある。また、あまりに薄い場合は固体電解質層20とカソード層40とが接触し反応を生じる等、反応抑止層としての役割を果たさない虞がある。かかる観点から、反応抑止層30の平均厚みは、0.5μm〜10μmであることが適当であり、通常1μm〜5μm程度であることが好ましい。
≪アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシート120≫
上述のようにして、図2(b)に示すようなグリーンシートを製造することができる。図2(b)は、アノード支持層10と固体電解質層20と反応抑止層30とが積層されたグリーンシート120を模式的に示す断面図である。なお、アノード支持層10および固体電解質層20の構成は、図2(a)と同様であり得る。
反応抑止層30は、少なくともセリウム酸化物とバインダとを含んでいる。反応抑止層30全体に占める上記セリウム酸化物の割合は、凡そ70質量%以上(典型的には70質量%〜98質量%)であり、通常は凡そ85質量%〜95質量%であり得る。また、反応抑止層30全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜20質量%であり、通常は凡そ5質量%〜10質量%であり得る。なかでも特に好ましい態様として、反応抑止層30に含まれるバインダと、該反応抑止層に接する固体電解質層20に含まれるバインダの含有率が実質的に同等であることが挙げられる。隣接する層でバインダの含有率を同等とすることで、自己組織化が生じた際のバインダの偏在化が抑制され得る。また、各種添加剤(例えば分散剤)を使用する場合、固体電解質層24全体に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%であり、通常は凡そ0.5質量%〜15質量%であり得る。
≪固体酸化物形燃料電池(SOFC)≫
また、本発明により、上記グリーンシートを焼成してなる積層体を備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)が提供される。かかるSOFCは、例えば、上記作製したグリーンシート110(または反応抑止層を備えたグリーンシート120)を所定の温度で焼成して得られたアノード支持層−固体電解質層積層体(またはアノード支持層−固体電解質層−反応抑止層積層体)の固体電解質層側(または反応抑止層側)の表面にカソード層40を形成し、再度焼成することによって製造し得る。ここで開示されるSOFCは、アノード支持層内の界面の数が少なく、および/または、各層間(例えばアノード支持層−固体電解質層間)の接合強度が高いものであり得る。このため、界面剥離を生じ難く、長期に渡って高い発電性能を安定的に発揮し得る、高性能且つ高耐久なものであり得る。
上記作製したグリーンシート110(または120)を焼成することにより、少なくともアノード支持層10と固体電解質層20を備えた積層体を得ることができる。焼成時の温度は特に限定されないが、例えば凡そ1200℃〜1500℃とすることができる。また、焼成時間は、例えば凡そ1時間〜5時間とすることができる。
焼成後のアノード支持層10は、ガス拡散性に優れた多孔質構造を有しており、気孔率は通常凡そ10体積%〜50体積%であり、20体積%〜40体積%であることが好ましい。また、アノード支持層10の平均細孔径は、通常凡そ10μm以下であり、0.1μm〜5μmであることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、ガスとの接触面積を十分に確保し得、高い機械的強度と優れたガス拡散性とを好適に両立し得る。
なお、本明細書において「平均細孔径」とは、一般的な水銀圧入法の測定によって得られる値をいう。また、本明細書において「気孔率」とは、上記水銀圧入法の測定によって得られる気孔容積(Vb(cm))を、見かけの体積(Va(cm))で除して、100を掛けることにより、算出した値(Vb/Va×100(%))をいう。
焼成後の固体電解質層20および反応抑止層30は、薄膜状で緻密構造を有しており、気孔率は通常凡そ30体積%以下であり、20体積%以下であることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、より出力密度の高いSOFCを実現し得る。
<カソード層40>
カソード層40は、例えばペロブスカイト型酸化物とバインダと必要に応じて含まれる添加剤とを溶媒に分散させてなるスラリー状の組成物(カソード層形成用スラリー)を、固体電解質層20(もしくは反応抑止層30)の上に任意の手法で付与し乾燥することで形成し得る。そして、かかる積層体を所定の温度で焼成することによって、固体酸化物形燃料電池50を製造し得る。このときの焼成温度は、例えば700℃〜1200℃(好ましくは800℃〜1100℃)とすることができ、焼成時間は凡そ1時間〜5時間とすることができる。
カソード層40は、アノード支持層10と同様にガス拡散性に優れた多孔質構造を有し、気孔率は通常凡そ10体積%〜30体積%であり、15体積%〜25体積%であることが好ましい。また、カソード層40の平均細孔径は、通常凡そ10μm以下であり、0.1μm〜5μmであることが好ましい。かかる範囲を満たす場合、ガスとの接触面積を十分に確保し得、高い発電性能を実現し得る。カソード層40の平均厚みは、発電性能の観点から、通常凡そ50μm以下(典型的には、凡そ5μm〜20μm)であるが、かかる厚みに限定されるものではない。
カソード層40を構成する材料としては、従来からSOFCのカソード層の形成に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。なかでも、酸化雰囲気において優れた耐久性を発揮し得るものが好ましい。典型的として、ランタンコバルテート(LaCoO)系、ランタンマンガネート(LaMnO)系、ランタンフェライト(LaFeO)系、ランタンニッケラート(LaNiO)系のペロブスカイト型酸化物;サマリウムコバルテート(SmCoO)系ペロブスカイト型酸化物;等が挙げられる。
ここで、例えば上記ランタンコバルテート系酸化物とは、LaおよびCoを構成金属元素とする酸化物の他、LaおよびCo以外に他の一種以上の金属元素(遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。また、ランタンマンガネート系酸化物、ランタンフェライト系酸化物、ランタンニッケラート系酸化物およびサマリウムコバルテート系酸化物についても同様である。典型例として、SrをドープしたLaMnO系酸化物(例えば、La0.8Sr0.2MnO)、SrをドープしたLaCoO系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4CoO)、SrおよびFeをドープしたLaCoO系酸化物(例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)等が挙げられる。これらの酸化物は、いわゆる電子−酸化物イオン混合伝導体であり、他のペロブスカイト型酸化物に比べて高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから好適である。
カソード層40は、また、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、バインダや各種添加剤等を必要に応じて含み得る。これらは、例えばアノード支持層10の形成用として上述したもののうちの、一種または二種以上を適宜用いることができる。
図3は、ここで開示されるアノード支持型のSOFC50を備えた発電システムの断面構成を示した模式図である。ここに示す構成のSOFC50は、アノード支持層(燃料極)10と、固体電解質層20と、反応抑止層30と、カソード層(空気極)40と、が順に積層された構造を有している。また、アノード支持層10の端部12と、燃料ガスを供給するガス管70の接合面とが接続部材60によって接合され、気体が流出および/または流入しないように封止されている。一方、カソード層40は外気に露出した構造を有している。SOFCの使用時には、アノード支持層10側の固体電解質表面に燃料ガス(典型的には水素(H))が、カソード層40側の固体電解質表面に酸素(O)含有ガス(典型的には空気)が、それぞれ供給される。このSOFC50に電流を印加すると、カソード層40において酸素が還元され、酸化物イオンとなる。そして、該酸化物イオンが(固体電解質層20を介して)アノード支持層10に到達し、燃料ガスを酸化して電子を放出することによって電気エネルギーの生成(すなわち発電)が行われる。
なお、図3に示すSOFCは平型(Planar)であるが、他にも種々の構造、例えば従来公知の多角形型、円筒型(Tubular)あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat Tubular)等とすることができ、形状やサイズは特に限定されない。例えば平型は、電力密度が高く円筒型に比べて安価であるという特徴を有する。また、円筒型はガスの流量を一定に保ち易く、より安定的な発電が可能であるという特徴を有する。このため、用途等に応じて適宜好ましい形状およびサイズを選択することが好ましい。また、平型のSOFCとしては、ここで開示されるアノード支持型(ASC;Anode-Supported Cell)の他にも、例えばアノード支持層の下に多孔質な金属シートを入れた、メタルサポートセル(MSC;Metal-Supported Cell)とすることもできる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔例1〕
先ず、導電性材料としての平均粒径0.5μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と、平均粒径0.5μmのイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y−ZrO、以下「8YSZ」と略称することがある。)粉末とを、NiO:8YSZ=60:40の質量比率で混ぜ合わせ、混合粉末を得た。かかる混合粉末と、バインダ(ポリエチレンオキサイド;PEO)と、造孔材(カーボン)と、可塑剤(グリコールエーテル)とを、76:11:7:6で混練することにより、原料混合物を調製した。該原料混合物を一対のロールの間に供給して圧縮成形すること(ロール成形法)によってシート状に成形して、厚み500μm程度のシート状のアノード支持層を形成した。
ここで、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)の手法によって、アノード支持層に含まれる有機物の量を測定した。具体的には、株式会社リガク製のTG−DTA(型式;Thermo plus)を用いて、酸素ガス(O)雰囲気下において所定の昇温速度(ここでは10℃/min)で500℃まで昇温し、かかる際の重量減少からアノード支持層中の有機物含有量を測定した。そして、得られた有機物含有量を測定前の重量で除すことで有機物含有率(質量%)を算出した。結果を表1の「有機物含有率」の欄に示す。
次に、平均粒径0.5μmの8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(α−テルピネオール;TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、スラリー状の固体電解質層形成用組成物を調製した。これを上記アノード支持層の上にスクリーン印刷法によって付与して厚み5μmの固体電解質層を形成し、アノード支持層−固体電解質層グリーンシートを得た。
そして、平均粒径0.5μmのガドリニアドープセリア(10mol%Gd−CeO、以下「10GDC」と略称することがある。)粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(α−テルピネオール;TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、スラリー状の反応抑止層形成用組成物を調製した。これを上記固体電解質層の表面にスクリーン印刷法によって付与して厚み5μmの反応抑止層を形成し、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例2〕
上記固体電解質層の形成時に、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を、溶媒としてブチルカルビトールアセテート(AC)を用いたこと以外は例1と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例3〕
(1)上記固体電解質層の形成時に、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を、溶媒としてイソプロピルアルコール(AL)を用いてスラリー状の固体電解質層形成用組成物を調製し、これをドクターブレード法によってシート状に形成したこと;
(2)シート状のアノード支持層と固体電解質層とを重ね、再度ロール成形機を通すことで圧縮成形し、アノード支持層−固体電解質層グリーンシートを得たこと;および
(3)上記反応抑止層形成時に、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を、溶媒としてブチルカルビトールアセテート(AC)を用いたこと;
以外は例1と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例4〕
上記アノード支持層の形成時に、バインダとしてエチルセルロース(EC)とグリセリン(GL)とを質量比率1:1で混合したものを用いたこと以外は例1と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例5〕
上記アノード支持層の形成時に、バインダとしてデキストリン(DE)を用いたこと以外は例1と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例6〕
上記アノード支持体の形成時に、NiO粉末および8YSZ粉末を含む混合粉末と、バインダ(メタクリル酸エステル;MAE)と、造孔材(カーボン)と、可塑剤(フタル酸エステル)と、溶媒(キシレン;XE)とを、58:8.5:5:4.5:24で混練することにより、スラリー状のアノード支持層形成用組成物を調製し、これをドクターブレード法によってシート状に成形したこと以外は例1と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
〔例7〕
(1)上記固体電解質層の形成時に、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を、溶媒としてイソプロピルアルコール(AL)を用いたこと;および、
(2)上記反応抑止層形成時に、バインダとしてポリビニルブチラール(PVB)を、溶媒としてブチルカルビトールアセテート(AC)を用いたこと;
以外は例6と同様に、アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシートを得た。
以下、各例に係るグリーンシートの作製方法を表1に纏める。なお、表1中の「バインダ」および「溶媒」の欄は、上述した略称を示している。また、「−」は当該成分を使用していないことを示す。
Figure 2016129158
<グリーンシートの状態観察>
上記作製したグリーンシートの状態を観察し、クラックや破れ等の不都合がないか確認した。なお、観察手法としては目視および走査型電子顕微鏡(SEM)観察とを併用した。結果を、表1の「グリーンシートの状態」の欄に示す。当該欄の「○」はクラックや破れ等がなかったことを、「×」は、クラックや破れ等が発生したことを示す。
<焼成後の積層体の状態観察>
次に、上記グリーンシートを大気雰囲気中において1400℃の温度で3時間焼成した。この積層体の状態を上記と同様の手法で観察し、成形体の反りや界面剥離等の不都合がないか確認した。また、アルコールを用いてリークチェックを行い、ピンホール(貫通孔)がないか確認した。結果を、表1の「焼成後の積層体の状態」の欄に示す。当該欄の「○」は界面剥離やピンホール等の発生が認められなかったことを、「×」は界面剥離および/またはピンホールの発生が認められたことを示す。
表1に示すように、ドクターブレード法によってアノード支持層を形成した例6および例7では、グリーンシートの状態および/または焼成後の積層体の状態で上記のような不都合の発生が確認された。この原因として、一般的なドクターブレード法では、接合部(典型的にはアノード支持層−固体電解質層)の界面不良による剥離等の不都合が生じ易いことが考えられる。また、アノード支持層内の組成が不均質であったため、焼成後に反りや変形、界面剥離等の不都合が発生したことが考えられる。他方、ロール成形法でアノード支持層を形成した例1〜例5についてはグリーンシートおよび焼成後の積層体において不都合の発生は認められなかった。この結果から、ロール成形法を用いることで等方性に優れた(例えば厚み方向に対して組成や気孔率にバラつきの少ない、均質な)アノード支持層を形成し得ることが示された。
<発電性能の評価>
次に、上記得られた例1〜例7に係る積層体の反応抑止層の表面にカソードを形成し、SOFCを作製した。具体的には、先ず平均粒径1.0μmのLaCoO系酸化物(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)粉末と、バインダ(エチルセルロース:EC)と、溶媒(αーテルピネオール)とを、80:4:16の質量比率で混練することにより、スラリー状のカソード形成用組成物を調製した。このカソード層形成用スラリーを、上記反応抑止層上にスクリーン印刷法によって付与し、φ16mm、厚み10μmのカソード層を形成した。そして、上記積層体を1100℃の温度で1時間焼成することによって、例1〜例7に係るSOFCを得た。
上記SOFCを温度500℃〜800℃で動作させ、発電特性評価を行った。代表値として、温度700℃における最大電力密度(W/cm)の値を表1の「発電性能」の欄に示す。
表1に示すように、グリーンシートの状態および/または焼成後の積層体の状態で不都合の発生が認められた例6および例7に係るSOFCでは、発電性能が低かった。一方、例1〜例5ではより高い発電性能を示した。なかでも、例3〜5に係るSOFCは特に高い発電性能を示した。例3に係るSOFCが高い発電性能を示した理由としては、シート状のアノード支持層と固体電解質層とをあわせて再度ロール成形機に通すことで、層間の密着性(接合強度)がより高まり、抵抗が一層低減されたことが考えられる。また、例4および例5に係るSOFCが高い発電性能を示した理由としては、バインダとしてグリセリンやデキストリンなどの環状エーテル系高分子化合物を用いたことで、固体電解質層との密着性(アノード支持層−固体電解質層間の接合強度)がより高まり、抵抗が一層低減されたことが考えられる。
以上の結果より、ここで開示された製造方法によれば、界面剥離等の不都合が抑制され、高い発電性能を長期に渡って発揮し得る、高性能なSOFCを実現し得ることが示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 貯留タンク
1a 原料混合物
1b フィーダー
2 ロール
5 ロール成形機
10 アノード支持層
20 固体電解質層
30 反応抑止層
40 カソード層
50 SOFC
60 接合部材
70 ガス管
110 アノード支持層−固体電解質層グリーンシート
120 アノード支持層−固体電解質層−反応抑止層グリーンシート

Claims (1)

  1. アノード支持型の固体酸化物形燃料電池の形成に用いられるグリーンシートであって、
    アノード層と固体電解質層とを備え、
    前記アノード層は、導電性材料とバインダとを含み、
    前記アノード層の前記バインダは、エーテル系高分子化合物を含み、
    前記固体電解質層は、酸化物イオン伝導体とバインダとを含む、固体酸化物形燃料電池形成用のグリーンシート。
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