JP6275076B2 - 固体酸化物形燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池およびその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;以下、単に「SOFC」ということもある。)は、種々のタイプの燃料電池のなかでも発電効率が高く、また多様な燃料の使用が可能なため、環境負荷の少ない次世代の発電装置として開発が進められている。SOFCを構成する最小単位のセル(単セル)は、酸素イオン伝導体からなる緻密構造の層状の固体電解質と、該固体電解質層の一方の面に形成された多孔質構造の空気極(カソード)と、該固体電解質層の他方の面に形成された多孔質構造の燃料極(アノード)とから構成されている。単セルのカソード形成側の固体電解質の表面に空気等に代表されるO含有ガスが供給され、アノード形成側の固体電解質の表面にはH等の燃料ガスが供給される。そして電池反応として、空気中のOガスがカソードで還元されて生成された酸素イオンが固体電解質を通過し、アノードにおいてHガス等の燃料ガスを酸化することによって外部負荷に電子を放出する。これに伴い、電気エネルギーを発生させる。
SOFCの固体電解質を構成する材料としては、イオン伝導性や安定性の観点からイットリア、スカンジア等がドープされた安定化ジルコニア(YSZ、ScSZ等)が広く用いられている。かかる固体電解質の層は薄くなるほどSOFC(単セル)の性能が向上するため、近年、アノードを構成する多孔質基材上に固体電解質を薄膜として形成するいわゆるアノード支持型SOFCの開発が進んでいる。
典型的には、酸化ニッケル(NiO)およびYSZ等の導電性材料の混合物に、造孔剤、溶剤、ビヒクル(樹脂)等を添加し混合して得た混練材料(すなわち坏土)をドクターブレード法等によってシート状に成形し、さらに当該シートを所望数だけ積層してアノード支持体層を形成する。そして形成したアノード支持体層上に固体電解質層、カソード層を順次積層し、得られた積層体を焼成(すなわち共焼成)することによって、アノード支持型SOFC(単セル)を製造する。例えば、特許文献1には、従来のアノード支持型SOFCの一例が記載されている。
特開2008−258064号公報
ところで、燃料電池セルのアノードに一般的に用いられているNiO等の導電性材料には、原料等に由来する不可避的な不純物として硫黄成分が含まれる場合がある。本発明者の知見によれば、かかる硫黄成分を含む導電性材料を用いてアノード(ひいてはSOFC)を構築すると、発電中に硫黄成分が飛散、拡散してセル電極やスタック部材の劣化を引き起こす可能性がある。SOFCの耐久性向上を図るべく、硫黄成分は成形プロセス前になるべく除去したい。また、かかる硫黄成分の除去を生産ライン上で連続製造に適した態様で実現することができれば、有用である。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、燃料極中に含まれる硫黄成分が従来に比べて少なく、優れた発電性能と高い信頼性(耐久性)とを発揮し得るSOFCを提供することである。また、他の目的は、そのような性能を有するSOFCを効率よく製造する方法を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって、燃料極と固体電解質層と空気極とを備えた固体酸化物形燃料電池の製造方法が提供される。この製造方法は、
少なくとも導電性材料とバインダとを分散媒中に分散させた燃料極形成用のスラリーを用意すること;
前記スラリーに対して脱硫処理を行うことにより、前記導電性材料に含まれる硫黄成分の少なくとも一部を除去すること;
前記脱硫処理されたスラリーを噴霧乾燥して造粒粒子を造粒すること;
前記造粒粒子の粉体をロール成形することにより、燃料極形成用のグリーンシートを形成すること;
前記燃料極形成用のグリーンシートを焼成すること;
を包含する。
ここで本明細書において「硫黄(S)成分」とは、硫黄単独(イオンの状態を含み得る)で存在する場合と、構成元素としてSを含む化合物として存在する場合とを包含する用語である。また「グリーンシート」とは、未焼成の状態のシートをいい、完全な未焼成シートの他、例えば100℃以下の温度で乾燥したシート(乾燥シート)や、例えば200℃以下の温度で仮焼成したシート(仮焼成シート)をも包含する。
かかる態様の製造方法では、導電性材料とバインダとを分散媒中に分散させた燃料極形成用のスラリーに対して脱硫処理を行う。このことによって、導電性材料に不可避的な不純物として含まれる硫黄成分を取り除くことができる。また、後工程の噴霧乾燥(造粒)処理に適したスラリーの態様で脱硫処理を行うので、かかる脱硫処理を噴霧乾燥処理の直前に容易に組み込むことができる。そのため、脱硫処理と噴霧乾燥処理とを生産ライン上で連続製造に適した態様で実施でき、硫黄成分の少ない燃料極が効率よく得られ得る。さらに、脱硫処理されたスラリーを噴霧乾燥して造粒粒子を造粒し、かかる造粒粒子の粉体をロール成形することで、例えば100μm〜1500μm程度の比較的厚い燃料極形成用のグリーンシートを、より等方的に(例えば、厚み方向に対して組成や気孔率にバラつきが少なく、均質に)形成し得る。かかるグリーンシートは、その後の焼成工程において反りや変形等の不都合が生じ難いため、等方性や均質性に優れた燃料極が形成され得る。
したがって、ここで開示される製造方法によれば、従来に比して硫黄成分が少なく、なおかつ等方性や均質性に優れた燃料極を備えた、高性能なSOFCが得られうる。かかるSOFCは、優れた発電性能と高い信頼性(耐久性)とをより高いレベルで発揮するものであり得る。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記脱硫処理は、ゼオライトを含む脱硫剤が充填された脱硫器に前記スラリーを流通させることにより行われる。かかる態様によれば、スラリー中の硫黄成分を簡便かつ効果的に除去し得る。したがって、従来に比べて硫黄成分が少ない(例えば硫黄(S)の含有率が10ppm以下、好ましくは5ppm以下の)最適な燃料極を簡易に実現し得る。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記ゼオライトは、Ag、Cu、Ni、Zn、Mn、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素が担持されてなる金属担持ゼオライトである。このような金属元素をゼオライトに担持させることにより、ゼオライトに脱硫剤としての活性をより確実に発揮させることができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記ゼオライトは、β型ゼオライトである。β型ゼオライトを用いることで、上記スラリー中の硫黄成分をより有効に除去し得る。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記脱硫処理を行う前において、前記導電性材料に含まれる硫黄(S)の含有率が50ppm〜200ppm(すなわち、導電性材料1gあたり50μg〜200μgの割合)である。本発明の態様によれば、このような高濃度の硫黄成分が含まれる導電性材料を用いた場合でも、硫黄成分を確実に取り除いて高性能なSOFCとすることができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記導電性材料は、酸化ニッケルである。酸化ニッケルは、高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから燃料極材料として有用である一方で、原料等に由来する不可避的な不純物として硫黄成分が高濃度に混入されがちである。しかし、ここで開示される製造方法は、酸化ニッケルのような有用な材料から硫黄成分を確実に取り除いて高性能なSOFCとすることができる。
また、本発明により、ここに開示される何れかの製造方法により製造された固体酸化物形燃料電池(SOFC)が提供される。前記固体酸化物形燃料電池の燃料極に含まれる硫黄(S)の含有率が10ppm以下(すなわち、燃料極1gあたり10μg以下の割合)である。かかるSOFCは、燃料極に含まれる硫黄の含有率が従来に比して低いため、発電中に硫黄成分が飛散、拡散してセル電極やスタック部材の劣化を引き起こすことなく、信頼性(耐久性)に優れたものであり得る。なお、導電性材料や燃料極に含まれる硫黄の含有率は、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により把握し得る。より具体的には、導電性材料や燃料極からそれぞれ測定用試料(酸等に溶解させた試料溶液)を採取し、この測定試料をICP発光分光分析装置に導入し、組成分析することによって硫黄の含有率を測定し得る。
一実施形態に係る製造フローを示す図である。 一実施形態に係るロール成形機を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るSOFC(単セル)の積層構造を模式的に示す断面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、発電システムの構成や製造方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本発明により、燃料極(アノード)と固体電解質層と空気極(カソード)とを備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC)の製造方法が開示される。ここで開示される製造方法は、図1に示すように、以下の工程(1)〜(5)を包含する。
(1)少なくとも導電性材料とバインダとを分散媒中に分散させた燃料極形成用のスラリーを用意すること。
(2)上記スラリーに対して脱硫処理を行うことにより、上記導電性材料に含まれる硫黄成分の少なくとも一部を除去すること。
(3)上記脱硫処理されたスラリーを噴霧乾燥して造粒粒子を造粒すること。
(4)上記造粒粒子の粉体をロール成形することにより、燃料極形成用のグリーンシートを形成すること。
(5)上記燃料極形成用グリーンシートを焼成すること。
≪(1)燃料極形成用スラリーの用意≫
ここで開示される製造方法では、先ず、燃料極を形成するための燃料極形成用スラリーを準備する。かかるスラリーは、少なくとも導電性材料とバインダと分散媒とを含み、これらを撹拌混合することによって調製し得る。
上記燃料極形成用スラリーに用いられる導電性材料としては、従来からSOFCの燃料極の形成に用いられる電気触媒的作用(触媒活性)を有する物質の一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。具体的には、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ランタン(La)、金(Au)等の金属材料;酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni、Ni)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物材料;等を用いることができる。なかでもニッケルは他の金属に比べて比較的安価であり、且つ高い反応活性を示す(高い触媒能を有する)ことから特に好適な金属種である。したがって、ここで開示される製造方法では、導電性材料としてニッケル系材料(例えば酸化ニッケル)を特に好ましく用いることができる。これらの導電性材料は、原料等に由来する不可避的な不純物として硫黄成分を含み得る。かかる硫黄成分としては、S単体の他、構成元素としてSを含む化合物、例えば、硫化水素、硫酸、硫酸根、Sを含む有機化合物;等の態様であり得る。また、上記導電性材料は、ICP発光分光分析に基づいて求めた導電性材料中の硫黄(S)の含有率が、概ね50ppm〜200ppm(すなわち、導電性材料1gあたり50μg〜200μgの割合)、例えば80ppm〜150ppm、典型的には100ppm〜120ppmを示すものであり得る。
導電性材料としては、また、例えば上記金属系材料と他の材料とを混合した複合材料を用いることもできる。例えば、上記金属系材料と後述する固体電解質層の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)とを任意の割合で混合した複合材料を用い得る。好適例として、ニッケル系材料(例えばNiO)と、安定化ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ;Yttria stabilized zirconia)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ;Calcia stabilized zirconia)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Scandia stabilized zirconia)等)とのサーメットが挙げられる。燃料極に固体電解質層の形成材料(酸化物イオン伝導体)を含ませることで、該燃料極と固体電解質層との整合性(例えば熱膨張係数の調和)を高め得、これによって燃料極−固体電解質層間の接合性(密着性)が向上し得る。したがって、界面剥離等の不具合を一層抑制し得、耐久性や信頼性に優れたSOFCを実現し得る。金属系材料と固体電解質層形成材料との混合比率(質量比)は特に限定されないが、例えば90:10〜40:60(好ましくは、80:20〜50:50)とすることができる。
導電性材料の性状は特に限定されないが、例えば平均粒径が0.01μm〜5μm(典型的には0.1μm〜2μm)程度の粉末状(粒子状)のものを好ましく用いることができる。また、上述のようなサーメットを調製・使用する場合には、実質的に同等な平均粒径を有する材料同士を混合して用いることが好ましい。例えば、平均粒径が凡そ0.1μm〜5μm(好ましくは0.2μm〜1μm)のニッケル系材料と、平均粒径が凡そ0.1μm〜5μm(好ましくは0.2μm〜1μm)の安定化ジルコニアと、を上記比率で混合して用いることが好ましい。これによって、より均質な燃料極を実現し得る。なお、本明細書において「平均粒径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。かかる粒径の調製は、従来公知の粉砕処理や篩いがけ、分級等によって行うことができる。
上記燃料極形成用スラリーに含有されるバインダとしては、熱可塑性を有し、且つ脱バインダ処理(典型的には、200℃以上の加熱焼成)やグリーンシートの焼成によって蒸発除去し得るものを用いることができる。例えば、アクリル系高分子化合物または該アクリル系高分子化合物を主体とするものを好ましく用いることができる。アクリル系高分子化合物は、比較的少ない添加量で導電性材料の粒子間を強固に接着することができる。このため、燃料極用グリーンシートの有機物含有率を低減することができ、その後の焼成時における反りやボイドの発生を抑制することができる。また、燃料極用グリーンシートと固体電解質層用グリーンシートとの接着性(親和性)を高めることができ、界面剥離の生じ難いグリーンシートを実現し得る。アクリル系高分子化合物は、典型的には、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマー(単量体全体の50質量%超を占める成分)として含み、当該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含むモノマー混合物であり得る。主モノマーおよび副モノマーに加えて、他の共重合成分を任意に含んでもよい。そしてこれらのモノマー混合物が共重合することにより、所要の機能を有するアクリル系高分子化合物となり得る。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般式:CH=C(R)COORで表される化合物を好適に用いることができる。ここで、式中のRは水素原子またはメチル基を示している。また、Rは炭素原子数が1〜14の鎖状アルキル基を示している。Rは、炭素原子数が1〜10、例えば2〜8の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。さらには、Rがブチル基または2−エチルヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート等が好ましい。なかでも、好ましいアルキル(メタ)アクリレートとしては、n−ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)等が挙げられる。副モノマーとしては、各種の官能基を含むモノマー成分を用いることができる。かかる官能基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等であり得る。例えば、ヒドロキシ基含有モノマーの好ましい例として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
バインダは、上述したアクリル系高分子化合物に限らず、例えばエーテル系高分子化合物または該エーテル系高分子化合物を主体とするものを用いてもよい。例えば、環状エーテル系高分子化合物を好ましく用いることができる。特に、デキストリン等の天然高分子化合物、エチルセルロース等のセルロース系高分子化合物を好適に用いることができる。あるいは、バインダとしてアルキレンオキシド類(特にポリエチレンオキシド(PEO))等の鎖状エーテル系高分子化合物を用いてもよい。
燃料極形成用スラリーは、さらに、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば造孔材(気孔形成材)や可塑剤、酸化防止剤、増粘剤、分散剤等の各種添加剤等を必要に応じて含み得る。造孔材としては、例えばカーボン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、澱粉等を好適に用いることができる。可塑剤としては、例えばプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシル等のフタル酸エステル類;等を好適に用いることができる。分散剤としては、例えばカルボン酸系の高分子界面活性剤を好適に用いることができる。
上述した導電性材料、バインダおよび必要に応じて用いられる他の成分(典型的には造孔材や可塑剤)を分散させる分散媒としては、従来のこの種のスラリーに用いられているものを特に制限なく使用することができ、水系溶媒および非水系溶媒(例えばトルエン:エタノール)の何れも使用可能である。典型的には、水または水を主体とする混合溶媒が好ましく用いられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。
上記燃料極形成用スラリーの調製には、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。例えば導電性材料とバインダと必要に応じて用いられる他の成分と分散媒とを任意の撹拌・混合装置に投入し、50rpm〜300rpmの攪拌速度で0.5時間〜1時間撹拌混合することによって均質なスラリーを調製し得る。なお、上記原料を装置に投入する順序は特に限定されず、例えば一度に全ての材料を投入してもよく、何度かに分けて投入してもよい。また、分散媒は複数回に分けて少量ずつ投入してもよい。
なお、上記燃料極形成用スラリーの全固形分に占める金属系材料(金属または金属酸化物)の割合は、凡そ30質量%以上(典型的には40質量%〜80質量%)であり、通常は凡そ45質量%〜70質量%であることが好ましい。固体電解質層の形成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)を使用する場合、スラリーの全固形分に占める固体電解質層形成材料の割合は、例えば凡そ10質量%〜50質量%とすることができ、通常は凡そ20質量%〜40質量%とすることが好ましい。また、スラリーの全固形分に占めるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2質量%〜10質量%とすることが好ましい。各種添加剤を使用する場合、スラリーの全固形分に占める添加剤の割合は、例えば0.1質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ0.5質量%〜10質量%とすることが好ましい。
ここで開示される燃料極形成用スラリーは、目的に応じて適宜固形分濃度(NV)を選択することができるが、後述する脱硫器にスラリーを流通させ易くする観点から、通常は20質量%〜50質量%にすることが適当であり、好ましくは25質量%〜45質量%であり、より好ましくは30質量%〜40質量%である。かかる固形分濃度は、後述の噴霧乾燥(造粒)処理時にスラリーの液滴を効率よく乾燥する観点からも好適である。
≪(2)スラリーの脱硫処理≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記燃料極形成用スラリーに対して脱硫処理を行う。これにより、スラリー中の導電性材料に含まれる硫黄成分を除去する。
脱硫処理としては、上記スラリーの導電性材料に含まれる硫黄成分を除去し得るものであれば、一般的な脱硫処理において常套的に使用されているものから任意に選択することができる。例えば、硫黄成分の吸着または収着機能をもった脱硫剤をスラリーと接触させる方法を用いることができる。接触方法としては、固体(脱硫剤)と液体(スラリー)とが接触可能な方法であれば特に限定されない。一好適例では、粒状の脱硫剤が充填された脱硫器(反応器)中に上記スラリーを流通させることで、脱硫剤とスラリーとを接触させる。脱硫器に充填される脱硫剤としては、特に制限がなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、脱硫剤は、硫黄成分を細孔(細孔内表面)に吸着する多孔性無機化合物であり得る。多孔性無機化合物としては、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、多孔質シリカ;等が例示される。これらを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用して用いてもよい。
好ましい一態様では、脱硫器に充填される脱硫剤は、金属元素が担持されてなる金属担持ゼオライトである。ここでゼオライトとは、結晶性のアミノケイ酸塩の総称を指す。ゼオライトとしては、従来公知のゼオライトの中から適宜選択して使用することができる。例えば、β型ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、USY型ゼオライト、L型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、A型ゼオライト、T型ゼオライト、モルデナイト、フォージサイト等が挙げられ、これらの2種以上併用してもよい。また、ゼオライトは、分子サイズの細孔径の細孔を有することが好ましく、ゼオライトに含まれる細孔の平均細孔径が3nm以下(例えば0.1nm〜3nm)、さらには1nm以下(例えば0.3nm〜1nm)、さらには0.7nm以下(例えば0.5nm〜0.7nm)であることが好ましい。このような平均細孔径を有するゼオライトであると、スラリー中の硫黄成分をより効果的に補足し得る。特に本技術における好適なゼオライトとして、Alに対するSiOのモル比が15〜40(好ましくは20〜30、例えば25〜30)の範囲のβ型ゼオライトが例示される。
上記ゼオライトに担持される金属元素としては、Ag、Cu、Ni、Zn、Mn、FeおよびCoのうちの一種以上が挙げられる。このうちAgまたはCuが好ましく、なかでもAgが特に好適である。このような金属元素をゼオライトに担持させることにより、ゼオライトに脱硫剤としての活性をより確実に発揮させることができる。金属担持ゼオライト中の金属元素の含有量としては特に限定されないが、例えば0.5質量%〜30質量%であり、好ましくは5質量%〜20質量%である。かかる脱硫剤(金属担持ゼオライト)は、上記ゼオライトに上述した金属元素を担持させることにより調製することができる。例えば、目的の金属を構成元素とする各種の水溶性化合物を含む水溶液とゼオライトとを、含浸法などにより接触(典型的にはイオン交換)させ、次いで、水洗後、乾燥、焼成処理することにより得られ得る。上記水溶性化合物としては、各種の塩、例えば硝酸塩、酢酸塩、水酸化物等が選択され得る。これらを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用して用いてもよい。特に好ましい例として硝酸塩が例示される。
上記脱硫器に充填される脱硫剤(金属担持ゼオライト)の形状は特に制限されないが、より大きい比表面積を確保できるという観点から、粒状(粉末状)のものが好ましく用いられる。例えば、脱硫剤の平均粒子径は、100μm以下(例えば0.1μm〜100μm、典型的には0.1μm〜50μm)が好ましく、50μm以下(例えば1μm〜50μm、典型的には1μm〜30μm)が好ましく、30μm以下(例えば1μm〜10μm)が特に好ましい。このような平均粒子径を有する脱硫剤であると、スラリー中の硫黄成分をより効果的に補足し得る。
上記脱硫剤の粉末を充填した脱硫器に前記スラリーを常温(例えば5℃〜30℃)で流通させ、前記スラリーを脱硫剤と接触させることで、スラリー中の硫黄成分を除去することができる。かかる脱硫処理は、後工程の噴霧乾燥(造粒)処理の直前に組み込むことが好ましい。この実施形態では、後工程の噴霧乾燥処理に適したスラリーの態様で脱硫処理を行うので、かかる脱硫処理を噴霧乾燥処理の直前に容易に組み込むことができる。そのため、脱硫処理と噴霧乾燥処理とを生産ライン上で連続して実施でき、硫黄成分の少ない燃料極が効率よく得られ得る。好ましい一態様では、上記脱硫器は、噴霧乾燥処理に用いられる噴霧乾燥装置の一部に取り付けられている。
特に限定するものではないが、脱硫剤が充填される脱硫器(反応器)としては、全体で1L〜10L程度の容量を有しているものが適当であり、例えば2L〜5Lの容量を有しているものを好ましく用いることができる。また、脱硫器(反応器)の形状としては円筒状(例えばカラム形状)であり、その直径は概ね5cm〜20cmが適当であり、例えば8mm〜15cmであるとより好ましい。脱硫器に流通させるスラリーの流速は、特に制限されないが、通常は1cm/min〜20cm/min、好ましくは5cm/min〜15cm/minである。また、脱硫剤とスラリーとの接触時間は、通常は1分〜500分(例えば100分〜400分)の範囲内で設定することができる。かかる態様によれば、スラリー中の硫黄成分をより効果的に補足し得る。なお、必要に応じて、上記脱硫処理を複数回(例えば2〜5回)繰り返し行ってもよい。
≪(3)噴霧乾燥(造粒)≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記脱硫処理されたスラリー(すなわち導電性材料、バインダおよび必要に応じて用いられる他の成分および分散媒を含むスラリー)を噴霧乾燥して造粒粒子を造粒する。スラリーを液滴として噴霧するには、例えば、2流体ノズル、噴霧器などを用いるとよい。これらの機器を用いることによって、スラリーを適当なサイズの液滴として噴霧することができる。また、噴霧された液滴を乾燥雰囲気中で乾燥するとよい。乾燥温度としては、例えば160℃〜220℃が例示される。かかる乾燥処理により、分散媒がスラリーの液滴中から除去される。これによって、導電性材料とバインダとが凝集した凝集体が形成され、導電性材料とバインダとを含む造粒粒子が得られる。一好適例では、スプレードライ法を採用して、上記スラリーを乾燥雰囲気中に噴霧し乾燥させることで造粒(成形)するとよい。この手法では、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒されるため、液滴の大きさによって造粒粒子の大きさや質量等が容易に調整され得る。
造粒粒子の大きさは特に制限されないが、例えば、生産効率を高める観点やより均質な燃料極用グリーンシートを形成する観点等から、例えば粒径分布範囲はおよそ10μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上180μm以下、例えば45μm以上150μm以下であるとよい。また、平均粒子径は、20μm以上100μm以下、好ましくは30μm以上90μm以下、例えば50μm以上80μm以下であるとよい。
≪(4)ロール成形≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記造粒粒子の粉体を用いて、燃料極用グリーンシートを形成する。燃料極用グリーンシートは、ロール成形法によって形成する。
ところで、燃料極用グリーンシートの形成は一般にドクターブレード法を用いて行われる。かかる方法では、ドクターブレードと呼ばれる刃を用いて、上述したような導電性材料の混合物に、溶媒(典型的には有機溶媒)、造孔剤、ビヒクル等を添加し混合して得た混練材料(すなわち坏土)を所定の厚みに成形した後、溶媒を揮発させることによって所望の厚みの燃料極用グリーンシートを形成する。かかる方法は製造条件(例えば、坏土の粘度や乾燥温度等)の影響を受け易く、条件の微妙な変動で燃料極用グリーンシートにクラックやボイド等を生じたり、該燃料極用グリーンシートの表面の平坦性が失われたりすることがあり得る。さらに、アノード支持型のSOFCに用いるために、燃料極用グリーンシートを比較的厚め(例えば100μm〜1500μm)に形成しようとすると、比重の大きい材料(典型的には金属系材料)が下部に沈降し、厚さ方向の組成や密度が不均質なものとなり得る。そこで、一般には100μm程度の厚みのシートをドクターブレード法によって複数枚作製し、該シートを積層して、加熱圧着或いはシートの間に接着剤としての有機物を付与して加圧したりすることで、燃料極用グリーンシートを形成する。しかしながら、このように複数枚のシートを積層して燃料極用グリーンシートを形成する場合には、積層枚数の増加に伴ってシート間の界面の数が増え、該界面において空隙や接合不良を生じたり、或いは界面剥離を招来したりする可能性が高まり得る。
これに対して、ここで開示されるロール成形法では、回転するロールで造粒粒子の粉体を圧縮し所望の形状の燃料極用グリーンシートを圧縮成形する。典型的には、反対方向に回転する一対のロールの間に造粒粒子の粉体を供給し、該一対のロール間で造粒粒子の粉体を圧縮することにより所望の形状に成形する。好適な一態様では、上記燃料極用グリーンシートは、平均厚みが100μm以上1500μm以下の単層構造となるよう形成する。100μm以上1500μm以下の厚みとすることで、強度や耐久性に優れた燃料極用グリーンシートとし得る。加えて、単層構造とすることで、例えば100μm程度の層を積層し一体化させた場合に比べて界面の数が少ないため、界面間の接合不良が生じ難く、且つ燃料極の抵抗を低く抑えることができる。このように、ロール成形法によれば、例えばアノード支持型のSOFCに用いられるような比較的厚い燃料極用グリーンシートであっても、安定的に形成することができる。すなわち、かかる燃料極用グリーンシートは、等方性や均質性に優れた(例えば組成や気孔率にバラつきが少ない)ものであり得る。
図2に、一実施形態に係るロール成形機の模式的な断面図を示す。図2に示すロール成形機5は、大まかに言って、造粒粒子の粉体1aを貯留する貯留タンク1と、一対のロール2と、を備える。貯留タンク1はまた、その底部にフィーダー1bを備えており、該フィーダーの出口から造粒粒子の粉体1aが一対のロール2の間に連続的に供給されるよう構成されている。一対のロール2の間に供給された造粒粒子の粉体1aは、ロール2の表面との摩擦力によって一対のロール2の間に引き込まれ、かかるロール2の間を通過する際に圧縮成形される。ここでは、後述するロール成形の条件等を調整することにより、所望の性状(例えば厚みや気孔率)を有する燃料極用グリーンシート10Gを形成し得る。
貯留タンク1は、造粒粒子の粉体1aを貯留する容器である。貯留タンク1は、その底部にフィーダー1bを備え、一定量の造粒粒子の粉体1aをロール2の間に連続的に供給することができる。貯留タンク1としては、貯留する造粒粒子の粉体1aに含まれる材料に対し、耐薬品性や耐腐食性に優れた材質からなることが好ましい。このような材質として例えばステンレス鋼が挙げられる。フィーダー1bとしては、定量性に優れるものであれば特に限定されず、例えばスクリュー式、振動式、流動式等の各種フィーダーを適宜採用し得る。
貯留される造粒粒子の粉体1aは、ロール成形を行う前に予め軟化点(典型的には造粒粒子の粉体1aに含まれるバインダの融点)に近い温度に調整されていてもよい。具体的には、例えば50℃以上(好ましくは60℃以上)以上であって、200℃以下(通常160℃以下、好ましくは140℃)であり得る。予め造粒粒子の粉体の温度を高く調整しておくことで、ロール2の表面における造粒粒子の粉体1aの上滑りを防止し得、均質な(例えば厚みや密度のバラつきが少ない)燃料極用グリーンシート10Gを安定して形成し得る。
ロール2は、耐薬品性や耐腐食性に優れた材質からなることが好ましい。このような材質として、例えばステンレスが挙げられる。また、ロール成形時には、ロール2の温度を常温よりも高めに設定することが好ましい。典型的には造粒粒子の粉体1aに含まれるバインダの軟化点より高く、例えばバインダの軟化点よりも10℃以上高く(例えば20℃以上高く)設定することがより好ましい。具体的には、通常凡そ30℃〜200℃であり、例えば50℃〜150℃であり得る。
ロール2の直径は特に限定されないが、例えば数十cm〜数百cm程度であり得る。原料混合物やロール成形機の運転条件等が等しい場合は、一般にロールの直径が大きくなるほど密度の高い(緻密な)燃料極用グリーンシート10Gを形成することができる。また、一対のロール2間のプレス線圧は、特に限定されないが、通常0.1kN/cm〜30kN/cmであり、例えば0.5kN/cm〜10kN/cmであり得る。また、燃料極
用グリーンシート10Gの成形速度は、通常0.1m/分〜20m/分であり、例えば1m/分〜15m/分、好ましくは1m/分〜10m/分、より好ましくは5m/分〜10m/分であり得る。かかる態様によれば、従来に比べて反りや変形等の不都合が生じ難く、均質な燃料極用グリーンシート10Gを安定して形成することができる。
また、一対のロール2の間隔は特に限定されず、目的物としての燃料極用グリーンシートの厚みに応じて適宜調整することができる。ここで開示される燃料極用グリーンシートは、SOFCの支持体として、例えば固体電解質層やカソード層に比べて厚めに形成される。支持体としての燃料極用グリーンシート10Gの平均厚みは通常凡そ100μm〜2000μmであることから、一対のロール2の間隔は例えば100μm以上(典型的には200μm以上、例えば500μm以上)であって、2000μm以下(典型的には1800μm以下、例えば1500μm以下)とすることができる。ロール成形法では、ロール2の間隔を調整するだけで所望の厚みを有する燃料極用グリーンシート10Gを形成することができるため、簡便である。
≪(5)燃料極用グリーンシートの焼成≫
ここで開示される製造方法では、次に、燃料極用グリーンシートを所定の温度で焼成して、燃料極を作製する(図1参照)。このときの焼成の温度(最高到達温度)は、例えば1000℃〜1500℃(好ましくは1200℃〜1500℃、より好ましくは1300℃〜1400℃)とすることができる。また、焼成時間は、概ね0.5時間〜5時間(好ましくは1時間〜3時間)とすることができる。焼成雰囲気は、大気雰囲気とすることができ、必要に応じて大気より酸素がリッチな酸素雰囲気下、窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下等とすることができる。
以上のようにして、SOFC用燃料電極を形成することができる。
このようにして得られた燃料極は、導電性材料とバインダとを分散媒中に分散させた燃料極形成用スラリーに対して脱硫処理を行うことにより、導電性材料に含まれる硫黄成分の少なくとも一部が除去されて形成されたものである。したがって、従来に比して硫黄成分が少ない燃料極が得られ得る。好ましい一態様では、燃料極中の硫黄(S)の含有率が、概ね10ppm以下(例えば0.01ppm〜10ppm)であり、好ましくは5ppm以下(例えば0.1ppm〜5ppm)であり、特に好ましくは3ppm以下(例えば1ppm〜3ppm)である。このような硫黄成分の少ない燃料極を用いることにより、より高性能な(例えば耐久性に優れた)SOFCセルが構築され得る。また、ここで開示される製造方法によれば、上記脱硫処理されたスラリーを噴霧乾燥して造粒粒子を造粒し、かかる造粒粒子の粉体をロール成形することで、例えば100μm〜1500μm程度の比較的厚い燃料極形成用のグリーンシートを、より等方的に(例えば、厚み方向に対して組成や気孔率にバラつきが少なく、均質に)形成し得る。そのため、焼成時に反りや変形等の不都合が生じ難く、等方性や均質性に優れた燃料極が形成され得る。したがって、ここで開示される製造方法によれば、従来に比して硫黄成分が少なく、なおかつ等方性や均質性(ひいては機械的強度や耐久性)に優れた燃料極が形成され得る。
本実施形態に係る燃料極は、上記のように高性能であることから、種々の形態のSOFCセルの構成要素として好ましく利用され得る。例えば、ここに開示されるいずれかの方法により製造された燃料極を多孔質支持体とし、該多孔質支持体の表面に薄膜状の固体電解質と空気極とを形成したアノード支持型SOFCの構成要素として好ましく使用され得る。かかるアノード支持型SOFCの形状やサイズ、あるいはアノード支持型SOFCを構成する固体電解質(層)および空気極(カソード)の構造等について特に制限はない。
≪アノード支持型SOFC≫
以下、上述した方法を適用して製造された燃料極を用いて構築されるアノード支持型SOFCの一実施形態につき、図3に示す模式図を参照しつつ説明する。
かかる実施態様における固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、図3に示すように、アノード支持型のSOFC100を備えている。このSOFC100は、多孔質構造の燃料極(アノード)支持体10の表面(上面)に、順に、ジルコニアを主体とする酸化物イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質層20、多孔質構造の反応抑止層30および多孔質構造の空気極(カソード)40が形成されることで構成されている。SOFCの作動時には、燃料極10を通じて燃料極10側の固体電解質層20表面に燃料ガス(典型的には水素(H))が、空気極40を通じて空気極40側の固体電解質層20表面に酸素(O)含有ガス(典型的には空気)が、それぞれ供給される。一般的な動作においては、酸素(O)含有ガス中のOガスが空気極40で還元されてO2−アニオンとなり、固体電解質層20を通って燃料極10に移動し、Hガス燃料を酸化する。そしてかかる酸化反応に伴い、電気エネルギーを発生させている。
本実施形態において、かかるアノード支持型のSOFC100は、以下のようにして構築され得る。すなわち、前述した(1)燃料極形成用スラリーの用意、(2)スラリーの脱硫処理、(3)噴霧乾燥(造粒)および(4)ロール成形と同じ手順にて燃料極用グリーンシートを形成する。
次に、固体電解質材料として、平均粒子径0.1〜10μmのジルコニアを主体とするセラミック(例えば8mol%イットリア安定化ジルコニア(YSZ))粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶媒(例えばテルピネオール系)とを、所定の質量比率で混練することにより、固体電解質層形成用組成物(坏土)を調製する。これを上記燃料極用グリーンシートの上に印刷成形法(典型的にはスクリーン印刷法)やドクターブレード法によってシート状に供給することで、厚みが約1〜20μmの固体電解質層用グリーンシートを形成する。
また、反応抑止層形成用材料として、例えば、セリウム酸化物とバインダと必要に応じて含まれる添加剤(例えば分散剤)とを溶剤に分散させて調整してなる反応抑止層形成用組成物(坏土)を、上記固体電解質層用グリーンシートの上に印刷成形法(典型的にはスクリーン印刷法)やドクターブレード法によってシート状に供給することで、厚みが約1〜10μmの反応抑止層用グリーンシートを形成する。
このようにして用意した積層グリーンシートを、前述した(5)燃料極用グリーンシートの焼成と同じ手順にて共焼成することで、SOFCのハーフセルを得る。
次いで、空気極材料として、平均粒子径0.1〜10μmのペロブスカイト型酸化物(例えばランタンコバルタイト系材料、典型的にはランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF))粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶剤(例えばアルコール系)とを、所定の質量比率で混練することにより、空気極形成用組成物(坏土)を調製する。これを上記ハーフセルの反応抑止層の上に印刷成形法(典型的にはスクリーン印刷法)やドクターブレード法によってシート状に供給することで、空気極用グリーンシートを形成する。次いで、これを1000℃〜1200℃(例えば1100℃)で焼成して空気極40を焼成し、SOFCを得る。
このようにして得られた固体酸化物形燃料電池(SOFC)100は、燃料極支持体10に含まれる硫黄の含有率が従来に比して低い(例えば硫黄の含有率が10ppm以下であり得る。)ため、発電中に硫黄成分が飛散、拡散してセル電極やスタック部材の劣化を引き起こすことなく、信頼性(耐久性)に優れたものであり得る。また、アノード支持体10の等方性や均質性が良好である(例えば組成や気孔率にバラつきが少ない)ので、より優れた発電性能を示すものであり得る。
なお、固体電解質層20を構成する材料としては、上記例示したYSZに変えて、例えば、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er)等の安定化剤で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO);イットリア(Y)、ガドリニア(Gd)、サマリア(Sm)等のドープ剤をドープしたセリウム酸化物(CeO);等を採用し得る。これらの酸化物は、比較的温度が低い場合(凡そ500℃〜800℃)であっても高い酸化物イオン伝導性を示し得るため、起動性に優れたSOFCを実現し得ることから好ましい。
また、反応抑止層30を構成するセリウム酸化物としては、例えば固体電解質層の形成材料として例示したセリウム酸化物を用いることができる。好適例として、ガドリニア(Gd)をドープした酸化セリウム(CeO)が挙げられる。
また、空気極40を構成する材料としては、上記例示したLSCFに変えて、例えば、以下の導電性ペロブスカイト型酸化物を用いることができる。すなわち、具体的には、(LaSr)MnO、(LaCa)MnOに代表されるランタンマンガネート(LaMnO)系ペロブスカイト型酸化物や、LaCoO、(LaSr)CoO、(LaSr)(CoFe)O等に代表される、ランタンコバルタイト(LaCoO)系のペロブスカイト型酸化物、さらには、(LaSr)(TiFe)O等に代表される、ランタンチタネート(LaTiO)系のペロブスカイト型酸化物からなるものが例示される。なお、ここに列挙した一般式は、当業者において慣用的に使用されているように、かかる酸化物を構成する主元素の組み合わせを簡略的に示すものであって、実際の電極材料の組成を示すものではない。また、上記に示した主元素以外の元素をドープするようにしても良い。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは燃料極−空気極−反応抑止層からなる円形の燃料極支持型のハーフセルを以下の手順で作製した。なお、文中に%とあるのは質量%の意味である。
<実施例>
導電性材料として、平均粒子径0.5μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と平均粒子径0.5μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y2O3‐ZrO2;以下、8YSZ)粉末とを、NiO:8YSZ=60:40の質量比で混合し、混合粉末とした。ICP発光分光分析に基づいて求めた酸化ニッケル粉末中の硫黄(S)の含有率は100ppmであった。この混合粉末と、バインダ(アクリル系高分子化合物)と、造孔材(カーボン粒子、平均粒子径:約5μm)と、可塑剤(グリコールエーテル)とを、100:12:10:5の質量比で配合し、イオン交換水を加えて攪拌することで、燃料極形成用スラリーを調製した。このスラリーの固形分濃度(NV)は35%とした。
次いで、この燃料極形成用スラリーを脱硫器に10cm/minの流速で流通させて脱硫処理を行った。ここで脱硫剤としては、Ag担持βゼオライトを用いた。具体的には、βゼオライト(東ソー株式会社製:HSZ−930NHA)をアンモニア性硝酸銀水溶液に入れ、40℃で5時間イオン交換を行った。水洗後、120℃で乾燥し、さらに400℃で1時間焼成した。得られた粉末を直径10cm、長さ50cmの円筒状の反応器に収容し、上記脱硫器を構築した。
次いで、脱硫処理されたスラリーを用い、スプレードライ法により噴霧乾燥して造粒することで、造粒粒子を得た。かかる造粒粒子の粉体を一対のロール間に連続的に供給し、圧縮成形すること(ロール成形法)により、厚みが約0.5mm程度のシート状の燃料極用グリーンシートを形成した。
次に、固体電解質材料として、平均粒子径0.5μmの8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(α‐テルピネオール:α‐TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、固体電解質層形成用組成物(坏土)を調製した。これを上記燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約10μmの固体電解質層用グリーンシートを形成した。
また、反応抑止層形成用材料として、平均粒子径0.5μmの10%ガドリニウムドープセリア(GDC)粉末と、バインダ(EC)と、溶媒(α‐TE)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、反応抑止層形成用組成物(坏土)を調製した。これを上記固体電解質層用グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約5μmの反応抑止層用グリーンシートを形成した。このようにして用意した積層グリーンシートを、1350℃で共焼成することで、SOFCのハーフセルを得た。
<比較例>
また、比較のために、燃料極形成用スラリーに対して脱硫処理を行わずにSOFCのハーフセルを作製した。燃料極形成用スラリーに対して脱硫処理を行わなかったこと以外は実施例と同じ手順でハーフセルを作製した。
上記得られた各例に係るハーフセルの燃料極に含まれる硫黄(S)の含有率をICP発光分光分析に基づいて求めた。その結果、比較例の燃料極中の硫黄の含有率は100ppmであるのに対して、実施例の燃料極中の硫黄の含有率は10ppm以下となり、脱硫処理を行わない場合に比べて、硫黄(S)の含有率が大幅に低減されていた。この結果から、前記スラリーに対して脱硫処理を行うことにより、硫黄(S)の含有率が従来に比べて少ない燃料極(ひいてはSOFC)を構築し得ることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 貯留タンク
1a 造粒粒子の粉体
1b フィーダー
2 ロール
5 ロール成形機
10 燃料極
10G 燃料極用グリーンシート
20 固体電解質層
30 反応抑止層
40 空気極
100 固体酸化物形燃料電池(SOFC)

Claims (6)

  1. 燃料極と固体電解質層と空気極とを備えた固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
    少なくとも導電性材料とバインダとを分散媒中に分散させた燃料極形成用のスラリーを用意すること;
    前記スラリーに対して脱硫処理を行うことにより、前記導電性材料に含まれる硫黄成分の少なくとも一部を除去すること;
    前記脱硫処理されたスラリーを噴霧乾燥して造粒粒子を造粒すること;
    前記造粒粒子の粉体をロール成形することにより、燃料極形成用のグリーンシートを形成すること;および、
    前記燃料極形成用のグリーンシートを焼成すること;
    を包含する、固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  2. 前記脱硫処理は、ゼオライトを含む脱硫剤が充填された脱硫器に前記スラリーを流通させることにより行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ゼオライトは、Ag、Cu、Ni、Zn、Mn、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素が担持されてなる金属担持ゼオライトである、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記ゼオライトは、β型ゼオライトである、請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 前記脱硫処理を行う前において、前記導電性材料に含まれる硫黄(S)の含有率が50ppm〜200ppmである、請求項1〜4の何れか一つに記載の製造方法。
  6. 前記導電性材料は、酸化ニッケルである、請求項1〜5の何れか一つに記載の製造方法。
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