JP2018172763A - 水蒸気電解セル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低いセル端子電圧で高い電流効率が得られ、長期間安定して水素ガスを効率的に製造することができる水蒸気電解セルを提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る水蒸気電解セルは、アノード層、カソード層、および、当該アノード層と当該カソード層との間に固体電解質層を有する水蒸気電解セルであって、上記固体電解質層がプロトン伝導性であり、上記カソード層が二層構造を有し、上記カソード層の各層が、Ni、CoおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物と、プロトン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物とを含み、上記カソード層のうち上記固体電解質層に接しない側の第1層における上記金属酸化物の平均粒子径が7μm以上、16μm以下であり、上記固体電解質層に接する側の第2層における上記金属酸化物の平均粒子径が1μm以上、4μm以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、消費電力が低く長期間安定して水蒸気から水素ガスを効率的に製造することができる水蒸気電解セルに関するものである。
近年、資源枯渇や地球温暖化を防止する技術が求められている。特に電力分野においては、温暖化ガスの一つである二酸化炭素の排出を抑制し、化石資源に頼らない再生可能エネルギーの開発が進んでいる。再生可能エネルギーは、太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、バイオマスなど、自然から定常的または反復的に補充される再生可能エネルギー源から得られるエネルギーであり、例えば、バイオマスから水素を製造し、燃料電池を使って水素と空気から発電することにより得られる電力が挙げられる。
最近、水素を製造するための有力な技術として、水蒸気電解の研究が広く進められている。水蒸気電解は、H2Oを電気分解して水素と酸素を得る際に、液体である水ではなく気体である水蒸気を用いるものであり、高温で作動させることができるため電解に必要な電圧が小さく、エネルギー効率が高いという特徴を有する。
従来、水蒸気電解では、電解質として酸化物イオン伝導性のものが専ら用いられていた。例えば特許文献1には、固体電解質として、酸化物イオン伝導性であるイットリア安定化ジルコニアを用いた水蒸気電解技術が開示されている。酸化物イオン伝導性固体電解質を用いて水蒸気電解を行う場合、アノードおよびカソードで起こる電極反応はそれぞれ以下の通りである。
アノード: 2O2- → O2 + 4e-
カソード: 2H2O + 4e- → 2H2 + 2O2-
上記式のとおり、この場合には、水素はカソード側で発生し、共存する水蒸気と分離する工程が別途必要になるという問題がある。
かかる問題を解決できる技術としては、例えば特許文献2のように、プロトン伝導性の電解質を用いて水蒸気電解する技術が開発されている。当該技術においてアノードおよびカソードで起こる電極反応はそれぞれ以下の通りである。
アノード: 2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
カソード: 4H+ + 4e- → 2H2
上記式のとおり、この場合には、酸化物イオン伝導性電解質を用いた場合と同様に水素はカソード側で発生するものの、水蒸気はアノード側に供給されるため、水素を水蒸気から分離する必要がないという利点がある。なお、酸化物イオン伝導性の固体電解質とプロトン伝導性の固体電解質とでは組成が全く異なる。また、例えば、酸化物イオン伝導性電解質を用いた水蒸気電解セルでは水蒸気はカソードに供給され、カソードを多孔質にしなければならないのに対して、プロトン伝導性電解質を用いた水蒸気電解セルでは水蒸気はアノードに供給され、カソードは緻密質であるなど、供給ガス条件などが大きく異なる。
特開2005−150122号公報 特開2009−209441号公報
上述したように、近年、プロトン伝導性の固体電解質を用いた水蒸気電解セルが開発されている。しかし近年、燃料電池の原料ガスとしての水素ガスの需要が高まってきており、水素ガスをより効率的にかつ長期間安定して製造できる技術が求められている。また、プロトン伝導性の固体電解質を用いた水蒸気電解において、性能劣化を改善する有効な事例は報告されていない。
そこで本発明は、低いセル端子電圧で高い電流効率が得られ、長期間安定して水素ガスを効率的に製造することができる水蒸気電解セルを提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カソード層を構成粒子の径が異なる二層構造とすることで、従来の水蒸気電解セルに比べ、消費電力が低く高い電流効率が得られ、長時間安定して効率的に水素を製造できるようになることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] アノード層、カソード層、および、当該アノード層と当該カソード層との間に固体電解質層を有する水蒸気電解セルであって、
上記固体電解質層がプロトン伝導性であり、
上記カソード層が二層構造を有し、
上記カソード層の各層が、Ni、CoおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物と、プロトン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物とを含み、
上記カソード層のうち上記固体電解質層に接しない側の第1層における上記金属酸化物の平均粒子径が7μm以上、16μm以下であり、上記固体電解質層に接する側の第2層における上記金属酸化物の平均粒子径が1μm以上、4μm以下であることを特徴とする水蒸気電解セル。
[2] 上記カソード第2層の厚みが5μm以上、20μm以下である上記[1]に記載の水蒸気電解セル。
[3] 上記カソード第1層の厚みが100μm以上、1000μm以下である上記[1]または[2]に記載の水蒸気電解セル。
[4] 上記カソード第1層および上記カソード第2層の気孔率が20%以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の水蒸気電解セル。
本発明に係る水蒸気電解セルは、従来の単層のカソードを用いた水蒸気電解セルに比べて、電極面積当たりのH2生成速度が大きく、なおかつ消費電力が低い。また、当該セルを長時間運転させた際の性能低下を抑制することができるため、本発明に係る水蒸気電解セルは、水素ガスを効率的に製造できるものとして産業上非常に優れている。
本発明に係る水蒸気電解セルは、アノード層、カソード層、および、当該アノード層と当該カソード層との間に固体電解質層を有する。以下、各層について説明する。
1. カソード層
本発明に係るセルのカソード層は、4H+ + 4e- → 2H2の反応を促進する触媒作用を示すと共に、電子伝導性を有する必要がある。このような特性を有する材料としては、還元性雰囲気下で電子伝導性を示す、Ni、CoおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物と、プロトン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物との混合物を挙げることができる。
プロトン伝導性ペロブスカイト型金属酸化物としては、Aサイトにバリウムおよび/またはストロンチウムを含み、Bサイトに周期律表の第4族から第14族に属する3価あるいは4価の元素を含むペロブスカイト型金属酸化物、および、当該ペロブスカイト型金属酸化物のAサイトおよび/またはBサイトの一部を、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Yb、Sc、Y、Ce、In、Ga、Fe、Co、Ni、Zn、TaおよびNbから選択される1以上の元素に置換したペロブスカイト型金属酸化物を用いることができる。
本発明のカソード層には、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物が好ましく用いられる。
SrZrb1Cec1d1x (1)
[式中、b1、c1、d1およびxはそれぞれ、Zr、Ce、YおよびOの原子比を表し、0.3≦b1≦0.7、0.1≦c1≦0.6、0.1≦d1≦0.3であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。]
上記式(1)において、
b1としては、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.40以上、また、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.60以下であり、
c1としては、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、また、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.50以下であり、
d1としては、好ましくは0.10以上、また、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。
本発明に係る水蒸気電解セルのカソード層は、固体電解質層に接しない側の第1層と、固体電解質層に接する側の第2層からなる二層構造を有する。カソード第1層における金属酸化物の平均粒子径としては、7μm以上、16μm以下が好ましく、カソード第2層における金属酸化物の平均粒子径としては、1μm以上、4μm以下が好ましい。カソード層における金属酸化物の粒子径が小さい場合、固体電解質層から得たプロトン(H+)と電子(e-)とが反応する活性点が増え、より効率的に反応が進行するが、生成した水素ガスが排出され難くなる。逆に、カソード層における金属酸化物の粒子径が大きい場合、活性点が減少し、反応性は低下するが、生成した水素ガスが排出され易くなる。従来の単層のカソード層に対して、本発明ではカソード層を二層で構成し、電解質層に接するカソード第2層における金属酸化物の粒子径を小さくすることで反応性を高め、電解質層に接していないカソード第1層の金属酸化物の粒子径を大きくすることで生成した水素ガス排出され易くし、水蒸気電解反応における性能低下を抑制することができる。カソード層における金属酸化物の粒子径は、原料として用いる金属酸化物の粒子径により調整することが可能である。
本発明では、カソード層を厚さ方向に切断し、その断面を1500倍以上、3000倍以下程度で拡大観察し、拡大画像における全金属酸化物の円相当径を求め、その平均値を金属酸化物の平均粒子径とする。さらに、より正確を期すために、同一断面において拡大画像を例えば5枚撮影し、平均粒子径を求めることが好ましい。
また、カソード第1層における金属酸化物とプロトン伝導性ペロブスカイト型酸化物との合計に対する金属酸化物の割合としては、60vol%以上、75vol%以下が好ましく、カソード第2層における同割合としては、45vol%以上、60vol%未満が好ましい。カソード第1層における金属酸化物の割合を大きくすることにより、外部回路からの電子が受け取り易くなる一方で、カソード第2層における金属酸化物の割合を小さくすることにより、プロトン伝導性固体電解質からプロトンを受け取り易くなる。また、カソード第2層において金属酸化物の割合を小さくし、プロトン伝導性ペロブスカイト型酸化物の割合を大きくすることにより、固体電解質層とカソード第2層の界面において、各層のプロトン伝導性固体電解質の接触面積が増え、固体電解質層とカソード第2層との密着性が向上する。カソード層における金属酸化物の割合は、カソード層を形成するためのペーストにおける金属酸化物の割合により調整可能である。
本発明に係る水蒸気電解セルのカソード層ではプロトン伝導性固体電解質層を経由したプロトンと外部回路から供給された電子が反応し、水素のみが生成する。また、作動中のカソード層は生成する水素ガスにより還元的雰囲気にあり、上記金属酸化物は還元されて体積が減少する。よってカソード層では、水素を排出できる気孔があればよい。具体的には、酸化状態において、カソード第1層とカソード第2層の気孔率としては20%以下が好ましい。当該気孔率が20%であることにより、カソード層におけるプロトンと電子の伝導パスと、長期間にわたるセルの安定的な高強度をより確実に確保することができる。一方、上述した通り作動中には上記金属酸化物が還元されて体積が減少して空隙が生じ、生成した水素を排出できるため、酸化状態における気孔率は0%であってもよいが、水素の排出をより促進するための当該気孔率としては2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。なお、上記気孔率は、下記式により算出できる。下記式中、理論密度とは、結晶の単位格子の体積と単位格子に含まれる質量の総和から計算によって求められる密度のことであり、嵩密度はJIS R1634に基づいて求められ、焼結体の質量を焼結体の外形容積で除した値である。
気孔率(%)=1−[嵩密度(g/cm3)/理論密度(g/cm3)]×100
カソード層の形成に際しては、上記金属酸化物が焼結助剤として作用し、カソード層が過剰に緻密質になる可能性があり得る。そのような場合には、グラファイト、カーボンブラック、コーンスターチ、ライススターチなどの気孔形成材を使用し、気孔率を調整してもよい。
カソード層の厚さは特に限定されず、セル形状などに応じて適宜決定すればよいが、例えば、カソード第1層の厚さを100μm以上、1000μm以下、カソード第2層の厚さを5μm以上、20μm以下とすることが好ましい。カソード第1層の厚さが100μm以上であれば、支持体としての利用がより確実に可能となり、セル全体の強度も確保することができ、当該厚さが1000μm以下であれば、スタック化の際により多くのセルを積層することができる。また、カソード第2層の厚さが5μm以上、20μm以下であれば、消費電力を高めることなく当該層における電極反応がより効率的に進行する。
2. プロトン伝導性固体電解質層
水蒸気電解セルは、アノード層とカソード層を有し、当該アノード層と当該カソード層との間にプロトン伝導性固体電解質層を有する。本発明で用いることができるプロトン伝導性固体電解質の材料としては、プロトン伝導性を示す金属酸化物を挙げることができ、かかるプロトン伝導性金属酸化物としては、例えば、ABO3型の構造を有するペロブスカイト型酸化物やA227型の構造を有するパイロクロア型酸化物、セリア−希土類酸化物固溶体あるいはセリア−アルカリ土類金属酸化物固溶体、ブラウンミラライト型構造を有する金属酸化物などを挙げることができる。プロトン伝導性固体電解質の材料としては、アノード層が主成分としてペロブスカイト型酸化物を含有することから、好ましくはABO3型の構造を有するペロブスカイト型金属酸化物を用いる。
プロトン伝導性固体電解質層の材料であるABO3型ペロブスカイト型金属酸化物としては、Aサイトに位置する金属元素におけるBaのモル比が1%以下、より好ましくは0.5%以下、特にAサイトにBaを実質的に含まないもの(0%)が好ましい。
前記プロトン伝導性固体電解質としては、下記式(2):
SrZra2Ceb2c21 d2x (2)
[式中、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、Yはイットリウム、M1はスカンジウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、a2、b2、c2、d2およびxはそれぞれ、Zr、Ce、Y、M1およびOの原子比を表し、0.3≦a2≦0.7、0.1≦b2≦0.6、0.01≦c2≦0.2、0≦d2≦0.1であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である]で表されるペロブスカイト型金属酸化物が望ましい。
式(2)において、a2は、好ましくは0.35≦a2≦0.6、より好ましくは0.4≦a2≦0.65、更に好ましくは0.4≦a2≦0.6である。
b2は、好ましくは0.2≦b2≦0.5、より好ましくは0.3≦b2≦0.45、更に好ましくは0.3≦b2≦0.4である。
c2は、好ましくは0.05≦c2≦0.2、より好ましくは0.07≦c2≦0.15、更に好ましくは0.09≦c2≦0.11である。
d2は、好ましくは0≦d2≦0.05、より好ましくは0である。
また、前記プロトン伝導性固体電解質としては、下記式(3):
Ba1-eSreZrfCeg2 hx (3)
[式中、Baはバリウム、Srはストロンチウム、Zrはジルコニウム、Ceはセリウム、M2はスカンジウム、イットリウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、e、f、g、hおよびxはそれぞれ、Sr、Zr、Ce、M2およびOの原子比を表し、0.01≦e≦0.3、0.1≦f≦0.8、0.1≦g≦0.8、0≦h≦0.2であり、xは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である]で表されるABO3型の構造を有するペロブスカイト型金属酸化物を好適に用いることもできる。前記M2としてより好ましくはイットリウムである。
式(3)において、eは、好ましくは0.05≦e≦0.2、より好ましくは0.07≦e≦0.15、更に好ましくは0.09≦e≦0.11である。
fは、好ましくは0.20≦f≦0.75、より好ましくは0.30≦f≦0.65、更に好ましくは0.40≦f≦0.55である。
gは、好ましくは0.1≦g≦0.6、より好ましくは0.1≦g≦0.5、更に好ましくは0.1≦g≦0.4である。
hは、好ましくは0.01≦h≦0.2、より好ましくは0.1≦h≦0.2である。
プロトン伝導性固体電解質層の厚さは特に制限されず、セル形状などに応じて適宜設定すればよい。例えば、電解質支持型セルの場合では50μm以上、500μm以下とすることが好ましい。当該厚さが50μm以上であれば、十分な強度を確保することができ、当該厚さが500μm以内であれば、良好なプロトン伝導性を確保することができる。電極支持型セルの場合では、当該厚さは1μm以上、50μm以下とすることが好ましい。当該厚さが1μm以上であれば、スクリーンプリントなどの工業的プロセスでプロトン伝導性固体電解質層を十分に形成することが可能になり、当該厚さが50μm以下であれば、より一層十分なプロトン伝導性を確保することができる。
3. アノード層
本発明に係る水蒸気電解セルのアノード層は、2H2O → O2 + 4H+ + 4e-の反応を促進する触媒作用を示すと共に、電子伝導性を有する必要がある。このような材料としては、上記反応を促進する触媒成分である遷移金属元素を含むペロブスカイト型金属酸化物を用いることができ、本発明では、ペロブスカイト型金属酸化物を主成分として用いることが好ましい。
上記のとおり、本発明に係る水蒸気電解セルのアノード層の主成分は、ペロブスカイト型金属酸化物であることが好ましい。本発明において「ペロブスカイト型金属酸化物がアノード層の主成分である」とは、アノード層形成時において、バインダーや溶媒など焼成により消失する成分を除いたアノード層を構成する成分の原料に占めるペロブスカイト型金属酸化物の割合が60v/v%以上であることをいうものとする。当該割合としては65v/v%以上が好ましく、70v/v%以上がより好ましく、75v/v%以上がより更に好ましい。一方、当該割合の上限は特に制限されず、不可避的不純物や不可避的残留物を除いた実質的に100v/v%がペロブスカイト型金属酸化物であってもよいが、後述するように他成分が含まれていてもよいため、当該割合としては95v/v%以下が好ましく、90v/v%以下がより好ましく、85v/v%以下がさらに好ましい。
アノード層を構成するペロブスカイト型金属酸化物は、例えば、AサイトにBa、Sr、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、GdおよびYbから選択される1以上の元素を含み、BサイトにCo、NiおよびFeから選択される1以上の元素を含むことが好ましく、AサイトにはBa、Sr、La、Pr、NdおよびSmから選択される1以上の元素が含まれていることがより好ましい。具体的には、Ba−La−Co系、Sm−Sr−Co系、La−Sr−Co系、La−Ba−Co−Fe系、Pr−Sr−Co系、Nd−Sr−Co系、Ba−Sr−Co−Fe系などのペロブスカイト型金属酸化物が挙げられる。これらを単独で用いることもできるし、或いは上記プロトン伝導性酸化物などを加えた電極も用いることができる。
本発明に係る水蒸気電解セルのアノード層には、上記ペロブスカイト型金属酸化物に加え、電子伝導性成分が含まれていてもよい。電子伝導性成分としては、銀、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化銀などの導電性金属酸化物;およびニッケルフェライトやコバルトフェライト等の複合金属酸化物が挙げられる。これらは単独で使用し得るほか、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用できる。これらの中でも、銀または酸化銀が好ましい。
電子伝導性成分の使用量は特に制限されるものではないが、例えば、アノード層全体に対する質量割合で、2.0質量%以上、25質量%以下とすることが好ましい。当該割合が2.0質量%以上であれば、電子伝導性がより確実に発揮される。一方、当該割合が大き過ぎると電極の気孔率が過剰に低下するおそれがあるので、当該割合としては25質量%以下が好ましい。
アノード層の厚さは特に限定されず、セル形状などに応じて適宜決定すればよい。アノード層の厚さは、例えば、電解質支持型セルと電極支持型セルのいずれにおいても好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下の範囲内とすることが好ましい。
本発明においては、アノード層に水蒸気を供給し、未反応の水蒸気と電極反応で生じた酸素ガスを排出する必要があるため、カソード層よりもアノード層を多孔質にする必要がある。例えば、アノード層の気孔率としては20%超が好ましく、25%以上がより好ましい。なお、アノード層における気孔率は、気孔形成材を用いたり、焼成温度を低く設定するなどして調整することができる。
4. 水蒸気電解セルの製造方法
本発明に係る水蒸気電解セルは、常法により製造することができる。以下、製造方法につき簡単に説明する。
4−1. スラリー調製工程
水蒸気電解セルの各層は、各層用のスラリーを調製し、スクリーン印刷法などの常法により基材に塗布した後に乾燥し、さらに焼成することにより形成することができる。本工程では、少なくとも各層の原料粉末、固体電解質材料、溶媒およびバインダーを混合することによりスラリーを得る。当該スラリーには、その他に、例えば可塑剤、分散剤、消泡剤などを添加してもよい。上記原料粉末は、カソード層用スラリーでは上記金属酸化物とプロトン伝導性ペロブスカイト型酸化物の粉末、プロトン伝導性固体電解質層用スラリーでは上記プロトン伝導性ペロブスカイト型酸化物の粉末、アノード層用スラリーでは上記ペロブスカイト型酸化物と任意成分である電子伝導性成分の粉末をいうものとする。
各層の原料粉末は、必要であれば、少なくとも溶媒およびバインダーと混合する前、或いはスラリーの状態で粉砕してもよい。具体的な粉砕方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕あるいは凍結粉砕のいずれでもよく、ボールミル、ビーズミル、アトライタ、ロッドミル、ハンマーミル、フリーザーミル、ジェットミル等を用いることができる。
粉砕の程度は適宜調整すればよく、例えばカソード層の原料粉末は、焼成後の各層における上記金属酸化物の平均粒子径が本発明の規定範囲内となるように粉砕する。また、プロトン伝導性固体電解質層の材料としては、例えば、比表面積が3g/cm2以上、20g/cm2以下のものを用いることが好ましい。当該比表面積としては、4g/cm2以上がより好ましく、5g/cm2以上がより更に好ましく、また、18g/cm2以下がより好ましく、15g/cm2以下がより更に好ましい。
4−2. 各層の前駆体の形成工程
本工程では、各層用のスラリーを基材に塗布した後に乾燥して溶媒を除去することにより、各層の前駆体を形成する。
スラリーを塗布すべき基材は、水蒸気電解セルの種類や層により異なる。具体的には、カソード支持型セル用のカソード第1層と電解質支持型セルの固体電解質層は、支持体であるため、PETフィルムなどの基材フィルム上にドクターブレード法などにより塗布する。また、電解質支持型セルのカソード第2層用スラリーとアノード層用スラリーは、支持体である固体電解質層の各面にそれぞれ塗布し、カソード第1層用スラリーはカソード第2層またはその前駆体上に形成する。カソード支持型セル用のカソード第2層、固体電解質層およびアノード層は、この順番で支持体であるカソード第1層に形成していく。
各層用のスラリーは、スラリー中の溶媒やバインダーの割合などを考慮して焼成後の各層の厚さが所望のものとなるように、基材に塗布するようにする。また、乾燥条件は使用した溶媒の種類などに応じて、溶媒が十分に留去される範囲で適宜設定すればよい。
4−3. 焼成工程
次に、各層の前駆体を焼成することにより、各層を形成する。但し、本工程は各層の前駆体を形成するごとに行う必要は必ずしもなく、各層の前駆体を2層以上形成してからまとめて焼成してもよい。例えば、各層の中ではプロトン伝導性固体電解質層の焼成温度が一般的には最も高いことから、電解質支持型セルの場合には、先ず固体電解質層の前駆体のみを焼成して固体電解質シートを得た後に、その各面にカソード層および/またはアノード層の前駆体を形成し、焼成することができる。また、カソード支持型セルの場合には、カソード第1層の前駆体の上にカソード第2層の前駆体と固体電解質層の前駆体を順次形成した後に、まとめて焼成することによりハーフセルとしてもよい。
カソード層を形成するための好ましい焼成条件としては、例えば、900℃以上、1500℃以下で、1時間以上、12時間以下とすることができる。焼成温度について、900℃以上であれば、電解質支持型の場合には高い密着性を有するカソード層を形成することができ、カソード支持型の場合には十分な強度を有するカソード層を形成することができ、1500℃以下であれば、焼成治具の成分や電解質の成分との反応を抑制することができる。当該焼成温度としては、好ましくは1000℃以上であり、より好ましくは1300℃以上である。焼成時間として、好ましくは1時間30分間以上、10時間以下である。
プロトン伝導性固体電解質層を形成するための好ましい焼成条件としては、例えば、空気雰囲気下、1000℃以上、1500℃以下で、1時間以上、12時間以下とすることができる。焼成温度について、1000℃以上であれば、相対密度が高い緻密体の固体電解質層を得ることができ、1500℃以下であれば、焼成治具の成分や他層の成分との反応を抑制できる。焼成温度として好ましくは1400℃以下である。
アノード層を形成するための好ましい焼成条件は、例えば、空気雰囲気下、700℃以上、900℃以下で、30分間以上、2時間以下とすることができる。焼成温度について、700℃以上であれば固体電解質層との密着性を十分に確保することができ、剥離を抑制することができ、900℃以下であれば、水素生成速度を十分に確保することができる。焼成温度としては、好ましくは750℃以上、900℃以下であり、より好ましくは800℃以上、900℃以下である。焼成時間としては、好ましくは45分間以上、1時間30分以下である。
本発明に係る水蒸気電解セルを使い、電極間に電圧を印加して電流を流しつつアノードに水蒸気を供給することにより、水素ガスを効率的に製造することができる。なお、本発明に係る水蒸気電解セルは、通電した電流に対する水素ガスの製造効率である電流効率が従来のセルより高く、電流効率の経時的劣化を大幅に改善することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 水蒸気電解セルの作製
(1)電解質粉体の調製
市販の純度99.9質量%のBaCO3、SrCO3、ZrO2、CeO2およびY23の粉末を、SrZr0.5Ce0.40.13-δまたはBa0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.23-δの組成となるように混合した。得られた各混合物にエタノールを加え、遊星ボールミルで2時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥した。次いで、空気雰囲気下、1200℃で10時間焼成することにより、電解質粉体を得た。さらに得られた電解質粉体にエタノールを加え、遊星ボールミルで3時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥することにより、電解質層材料として使用できる電解質粉末を得た。得られた電解質粉末の組成は、それぞれSrZr0.5Ce0.40.13-δとBa0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.23-δであり、X線回折により、共にペロブスカイトからなる単一相であることを確認した。
(2) カソード第1層(支持体)の前駆体の調製
市販の酸化ニッケル粉末(正同化学工業社製,製品名「Green」、BET比表面積:3.6m2/g、D50:0.6μm)と上記(1)で作製した電解質粉末SrZr0.5Ce0.40.10.1粉体とを、当該酸化ニッケル粉末72vol%、電解質粉末28vol%となるように秤量し、混合物1とした。得られた混合物1に、バインダーとして市販のアクリル樹脂、および溶剤としてトルエンと酢酸エチルを添加し、さらに可塑剤としてαオレフィン・無水マレイン酸共重合物、分散剤としてカルボキシ基含有ポリマー変性物を添加し、混合物2を得た。得られた混合物2をボールミルにより40時間湿式粉砕混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを、テープキャスト法によりシート状に成形した後、100℃で1時間乾燥し、カソード第1層(支持体)前駆体を調製した。
(3)カソード第2層ペーストの調製
市販の酸化ニッケル粉末(正同化学工業社製,製品名「Green」、BET比表面積:3.6m2/g、D50:0.6μm)と電解質粉末としてSrZr0.5Ce0.40.13-δ粉体とを、当該酸化ニッケル粉末50vol%、電解質粉末50vol%となるように秤量し、混合物3とした。得られた混合物3にバインダーとして市販のメタクリル樹脂、可塑剤として市販のジブチルフタレート、分散剤として市販のソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤および溶剤としてα−テルピネオールを添加した後、3本ロールミル(EXAK technologies社製,型式「M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、カソード第2層ペーストを調製した。
(4)プロトン伝導性固体電解質用ペーストの調製
上記(1)で得られたSrZr0.5Ce0.40.13-δとバインダーとして市販のエチルセルロース、溶剤として市販のα−テルピネオール、可塑剤として市販のジブチルフタレートおよび分散剤として市販のソルビタン酸エステル系界面活性剤とを予備混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製,型式「M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、電解質用ペーストIを調製した。Ba0.9Sr0.1Zr0.44Ce0.360.23-δも、プロトン伝導性固体電解質用ペーストIと同様にバインダー、溶剤、可塑剤および分散剤と予備混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製,型式「M−80S」,ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、プロトン伝導性固体電解質用ペーストIIを調製した。
(5)ハーフセルの作製
上記(2)で作製したカソード第1層(支持体)前駆体上に、上記(3)で作製したカソード第2層ペーストをクリーン印刷法で塗布し、80℃で30分間乾燥することによりカソード第2層前駆体層を形成した。次に、上記(4)で作製したプロトン伝導性固体電解質前駆体Iのペーストをスクリーン印刷法で塗布し、80℃で30分間乾燥することにより電解質前駆体層Iを形成した。さらに、その上にプロトン伝導性固体電解質前駆体IIのペーストをスクリーン印刷法で塗布し80℃で30分間乾燥することにより電解質前駆体層IIを形成した。その後、1375℃、空気雰囲気下で6時間焼成し、ハーフセルを作製した。各層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)の写真から求め、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード第2層の厚さが8μm、カソード第1層の厚さが350μmであった。また、カソード第1層とカソード第2層の気孔率は、それぞれ6%と5%であった。
(6)アノード層の作製
市販の純度99.9質量%のLa23、BaCO3およびCo34の粉末を、La0.5Ba0.5CoO3-δの組成となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加え、ボールミルで60時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥した。次いで、1100℃で10時間熱処理することにより粉末を得た。さらに、得られた粉末にエタノールを加え、ボールミルで100時間湿式粉砕した後、120℃で10時間乾燥することにより、水蒸気電解用アノード層材料とすることができる原料粉末とした。得られたアノード層原料粉末の組成はLa0.5Ba0.5CoO3-δであり、X線回折により、ペロブスカイトからなる単一相であることを確認した。
上記アノード層原料粉末に、バインダーとしてエチルセルロース、溶媒としてα−テルピネオール、および気孔形成材として市販のグラファイトを加え、予備混合した。次いで、3本ロールミル(EXAKT technologies社製,型式「M−80S」)を用いて混練し、アノード用ペーストを得た。
上記(5)で得たハーフセルのプロトン伝導性固体電解質におけるカソード支持体の反対側に、上記アノード用ペーストをスクリーンプリント法により塗布した後、空気雰囲気下、850℃で1時間焼成することにより、厚さ30μmのアノード層を形成した。
実施例2: 水蒸気電解セルの作製
ハーフセルの焼成時間を12時間にした以外は実施例1と同様の条件で、水蒸気電解セルを作製した。当該水蒸気電解セルにおいて、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード第2層の厚さが7μm、カソード第1層(支持体)の厚さが350μmであった。また、カソード第1層とカソード第2層の気孔率は、それぞれ3%と3%であった。
実施例3: 水蒸気電解セルの作製
カソード第2層の酸化ニッケル粉末としてBET比表面積が7.0m2/gでD50が0.3μmである小粒径タイプの酸化ニッケル(日下レアメタル社製)を用い、ハーフセルの焼成時間を3時間にした以外は実施例1と同様の条件で水蒸気電解セルを作製した。当該水蒸気電解セルにおいて、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード第2層の厚さが13μm、カソード第1層(支持体)の厚さが350μmであった。また、カソード第1層とカソード第2層の気孔率は、それぞれ7%と6%であった。
実施例4: 水蒸気電解セルの作製
ハーフセルの焼成時間を12時間にした以外は実施例3と同様の条件で水蒸気電解セルを作製した。当該水蒸気電解セルにおいて、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード第2層の厚さが23μm、カソード第1層(支持体)の厚さが350μmであった。また、カソード第1層とカソード第2層の気孔率は、それぞれ3%と3%であった。
比較例1: 水蒸気電解セルの作製
カソード第2層を形成しなかったこと以外は実施例2と同様の条件で水蒸気電解セルを作製した。当該水蒸気電解セルにおいて、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード層の厚さが350μmであった。また、カソード層の気孔率は2%であった。
比較例2: 水蒸気電解セルの作製
カソード第2層の酸化ニッケル粉末としてBET比表面積が1.4m2/gでD50が1.5μmである大粒径タイプの酸化ニッケル(日下レアメタル社製)を用い、ハーフセルの焼成時間を3時間にした以外は、実施例2と同様の条件で水蒸気電解セルを作製した。当該水蒸気電解セルにおいて、プロトン伝導性固体電解質の厚さが15μm、カソード第2層の厚さが14μm、カソード第1層(支持体)の厚さが350μmであった。また、カソード第1層とカソード第2層の気孔率は、それぞれ2%と2%であった。
試験例1: カソード層における粒子径測定
実施例1〜4および比較例1で作製した各セルを切断し、樹脂埋め及び研磨した後、カーボン蒸着を行い測定サンプルとした。走査型電子顕微鏡(SEM)にて、2000倍でカソード第1層およびカソード第2層を観察し、EDSにて元素マッピッグを行い、各層の酸化ニッケル粒子を特定した。画像処理ソフト(Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus Version4.0」)を用いてNiO粒子の面積を円換算して求め、写真5枚分(無作為の5ヵ所)の粒子径、平均粒子径および標準偏差を求めた。結果を表1に示す。
試験例2
実施例1〜4および比較例1で作製したセルに、そのアノードに接触しないようガラスリングを挟み、800℃で軟化させることによりガスシールした。次いで、作動温度である600℃まで降温した後、10v/v%H2ガスを含むN2ガスを導入してカソード支持体中のNiOを還元した。アノード側に、水蒸気20v/v%と酸素1v/v%を含むアルゴンガスを流量100NmL/分で導入し、カソード側に、水蒸気2v/v%と水素1v/v%を含むアルゴンガスを流量100NmL/分で導入した。ポテンショガルバノスタットを用い、セルに電流密度0.5A/cm2の電流を印加し、定電流による連続試験を実施した。
カソードにおいて発生した水素の濃度をガスクロマトグラフィで定量し、さらに、カソード出口ガスの流量を高精度精密膜流量計(堀場エステック社製)で測定した。得られた測定値から、下記式により水素生成速度を算出した。
水素生成速度(μmol/h・cm2)=[{(Qv0×Hc0/100)−(Qv1×Hc1/100)}×60×106]/(22400×S)
Qv0: 非通電時のカソード出口ガス流量(NmL/分)
Hc0: 非通電時のカソード出口ガス中の水素濃度(v/v%)
Qv1: 通電時のカソード出口ガス流量(NmL/分)
Hc1: 通電時のカソード出口ガス中の水素濃度(v/v%)
S: アノードの電極面積(cm2
また、下記式により理論水素生成速度を算出した。
理論水素生成速度(μmol/h・cm2)={通電した電流(A)×3600(s)×106}/{2×F×電流面積(cm2)}
F: ファラデー定数
さらに、測定値に基づく水素生成速度と理論水素生成速度から、下記式により電流効率を算出した。
電流効率(%)=(水素生成速度/理論水素生成速度)×100
そして、各セルの初期電流効率(0時間)、および、100時間と1000時間経過時の電流効率から、下記式により低下率を算出した。
電流効率の低下率(%)={(初期(0時間)の電流効率)−(各時間での電流効率)}×100/初期(0時間)の電流効率
結果を表2に示す。
Figure 2018172763
Figure 2018172763
上記結果の通り、カソードを単層で形成した比較例1のセルの場合、通電開始から100時間後の時点で電流効率低下率が7.3%に達してしまい、その後の実験は中止した。それに対して、カソードを二層で形成し且つ各層における酸化ニッケルの平均粒子径を適切に調整した本発明に係るセルの場合には、電流効率の低下率が大幅に改善していることが明らかにされた。

Claims (4)

  1. アノード層、カソード層、および、当該アノード層と当該カソード層との間に固体電解質層を有する水蒸気電解セルであって、
    上記固体電解質層がプロトン伝導性であり、
    上記カソード層が二層構造を有し、
    上記カソード層の各層が、Ni、CoおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物と、プロトン伝導性を有するペロブスカイト型酸化物とを含み、
    上記カソード層のうち上記固体電解質層に接しない側の第1層における上記金属酸化物の平均粒子径が7μm以上、16μm以下であり、上記固体電解質層に接する側の第2層における上記金属酸化物の平均粒子径が1μm以上、4μm以下であることを特徴とする水蒸気電解セル。
  2. 上記カソード第2層の厚みが5μm以上、20μm以下である請求項1に記載の水蒸気電解セル。
  3. 上記カソード第1層の厚みが100μm以上、1000μm以下である請求項1または2に記載の水蒸気電解セル。
  4. 上記カソード第1層および上記カソード第2層の気孔率が20%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の水蒸気電解セル。
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