JP2016125607A - 制動装置と免震装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような構造システムでは、地震による激しい振動が発生しても、下部構造物に対して免震装置や減衰装置を介することで上部構造物はゆったりと揺れ、単純に固定された場合に比べて、上部構造物の加速度応答が低減される。このことにより、構造の安全性や居住性の向上を図ることができる。
そして、地震時には架台と基台との間に設けた上下部レールと各ローラーとで相対的に摺動して振動することで免震性能を発揮する。しかも、地震終了後には上下部レールが凹曲面状に湾曲形成されていることで被免震物が上下部レールの中央位置に復帰するようになっている。
そのため、加速度応答低減効果を高める場合は減衰特性が小さく設定されるため、免震装置が設置される場所に許容される地震動の大きさは、衝突をさせないという免震装置の変形量に支配される。一方、変形量抑制効果を高めることは減衰特性を大きくすることにより可能であり、より大きな地震動に対しても免震装置の変形量を許容変形量以下とすることができるが、減衰特性が大きいため、大きな地震動のみでなく小さな地震動の場合でも上部構造物に大きな加速度を発生させてしまうという欠点があった。
本発明によれば、支持体が静止体に沿って移動した際に、変形可能な車輪が静止体または支持体を押圧して変形させることで車輪と静止体または支持体の間に発生する摩擦抵抗によって支持体を制動することができる。
本発明によれば、支持体が静止体に沿って移動した際に、支持体または静止体に設けた車輪が軸部に偏心して回転することで静止体または支持体を押圧して変形することで両者の間に発生する摩擦抵抗によって支持体の移動を減衰させて制振することができる。しかも、複数の車輪を配設した場合、各車輪の角度を一致させて回転による摩擦抵抗を同時に増減調整してもよいし、各車輪の角度を異ならせて個別に増減調整してもよい。
地震等の際に支持体がガイドレールに沿って振動するために、支持体と静止体の一方に設けた車輪を支持体と静止体の他方に押圧させて摩擦抵抗によって制振することができる。
地震時等に、支持体の振動による移動を車輪の弾性変更によって摩擦抵抗を発揮させて制振させた際、弾性部材の付勢力によって減衰した振動に打ち勝って支持体を基準位置に復帰させることができる。
本発明によれば、支持体が静止体に沿って移動した際に、車輪が静止体の傾斜部を押圧していずれか一方を弾性変形させることで車輪と静止体の間に発生する摩擦抵抗によって支持体の振動を減衰させて制振することができる。
なお、車輪は軸部に偏心して回転可能に設けられていてもよい。
図1から図3は本発明の第一実施形態による免震装置1を示すものであり、建物等の構造物の耐震補強のために用いられる。
本実施形態による免震装置1を構築する下部構造物2には、例えば直線状のガイドレール3が設置され、ガイドレール3上には例えばブロック状の支持体4が設置されている。支持体4は例えば所定間隔で縦横方向に複数個設置され、その上部には構造物が設置されている。ガイドレール3は例えば縦方向または横方向に略平行に複数配設され、各ガイドレール3に沿って構造物を部分的に支える支持体4が所定間隔で複数本設置されているものとし、図1では1つの支持体4と1条のガイドレール3を示している。
なお、図に示す例では、車輪10は支持体4の基部6の両側面に2基ずつ設置されているが、1基または3基以上設けてもよい。
そして、図1に示す構造物の設置位置の原点となる静止位置を基準位置Pとし、この位置にある車輪10を図4の拡大図に示す。図4に示す車輪10において、偏心した車輪10の回転中心である軸部9から最も近い距離の外周面の位置をA点とし、A点から左右方向に90度回転した位置をB点、180度回転した位置をC点という。免震装置1の基準位置Pにおいて、車輪10はA点でガイド部材12のガイド壁12aに当接し、そのガイド壁12aとの押圧強度は車輪10の周方向で最も小さく、支持体4が振動等で移動するとA点に当接して車輪10が軸部9を中心に回転することになる。
また、支持体4のガイドレール3に沿った両側にばね15の一端が連結され、他端は下部構造物2に固定されている。そのため、地震等の際には支持体4は振動によってガイドレール3に沿って移動可能であるが、振動が終息後またはばね15の付勢力未満となった場合には支持体4はばね15の付勢力によって基準位置Pに戻るようになっている。
そのため、支持体4が振動した際に車輪10が軸部9を中心に偏心回転することで、ガイド壁12aに圧接されて摩擦抵抗が変化し、その摩擦抵抗力で減衰効果、制動効果を生じるため、いわゆるポンピングブレーキのような機能を発揮できる。
地震の発生していない状態では、図5(a)に示すように、建築物等の構造物を支える各支持体4はその両側のガイド部材12のガイド壁12a間に挟まれた基準位置Pで安定した状態に保持される。そして、地震発生時には下部構造物2の振動によってガイドレール3に対して支持体4がばね15の付勢力に抗して相対的に振動し、支持体4はガイドレール3の摺動面3aに沿ってベアリング7で摺動する。
そして、支持体4の移動によって車輪10は更に90度回転してガイド壁12aへの当接位置がC点からB点に変位し、更に90度回転してB点からA点に変位することで摩擦抵抗による制動力は次第に減衰する。
次に、地震によって支持体4が逆方向に振動して、同様に回転する車輪10のガイド壁12aへの押圧変形力の増減によって摩擦抵抗が増減し、振動が減衰して停止する。
そのため、地震の震度が小さい場合には、車輪10の回転によるポンピングブレーキ状の増減変動する摩擦抵抗によって、車輪10の少ない回転数による支持体4の少ない移動距離で振動が減衰して停止し、地震の震度が大きい場合には車輪10の比較的大きな回転数と支持体4の比較的大きな移動距離によって振動が繰り返されて減衰して停止する。
特に、本実施形態では、加速度応答低減効果と変形量抑制効果をバランスさせて制振できる。
例えば、上述した実施形態では、支持体4の両側に取り付けた4つの車輪10は基準位置Pにおいて軸部9から最も距離の短いA点がガイド壁12aに当接し、支持体4の移動によって4つの車輪10で同期してB点,C点がガイド壁12aに押圧変形されて摩擦抵抗が増減するようにしたが、車輪10を個別に異なる点でガイド壁12aに当接させてもよい。この場合、支持体4の振動に対する摩擦抵抗の増減変動が小さくなる。
図6に示す免震装置1Aにおいて、支持体4に設けた各車輪10は中心に軸部9が取り付けられ、偏心していない。そして、ガイドレール3の両側に配設させたガイド部材12は支持体4の基準位置Pから離間した位置から次第にガイド壁12aがガイドレール3側に湾曲する湾曲部12bが形成されている。
そして、支持体4が逆方向に振動すると、同様に逆方向のガイド壁12aの湾曲部12bで次第に増大する制動がかけられる。こうして支持体4は左右方向に振動しつつ減衰させられ、振動が0に近くなるとばね15の付勢力が振動力に打ち勝って支持体4を基準位置Pに戻す。
この場合には、車輪10による制動力が第一実施形態の場合よりも大きくなる上に、湾曲部12bを移動する車輪10の摩擦抵抗がポンピングブレーキのように増減変動して、制動力が増減変動する特性を呈するため、加速度応答低減効果と変形量抑制効果をバランスさせることができる。
また、ガイド部材12のガイド壁12aに形成した湾曲部12bに代えて直線状の傾斜部を設けてもよく、本明細書の傾斜部は湾曲部12bと直線状の傾斜部の両方を含むものとする。
図7及び図8に示す免震装置1Bにおいて、支持体4に車輪10を設けていない。車輪10はガイドレール3の両側で支持体4が基準位置Pから移動した際に支持体4の側面4aによって押圧可能な位置に複数配列されている。車輪10は偏心した位置で下部構造物2等から起立する軸部9に回転可能に支持されており、複数の軸部9はガイドレール3に平行な直線L上に所定間隔で配列されていることが好ましい。
各車輪10について、上述した第一実施形態と同様に、軸部9から最も径方向の距離が短い外周面の位置をA点、A点と180度対向する位置で軸部9から最も径方向の距離が長い位置をC点、A,C点から90度離れた両側の位置をB点とする。
更に移動する支持体4は次の車輪10(これを第二の車輪10Bとする)を軸部9回りに回転させて変形させて同様にB点で押される。このとき、第一の車輪10Aは押圧する支持体4の側面4aに更に押されて回転するため、C点で支持体4を強く押圧し最も扁平に変形される。支持体4は車輪10のC点で押されることで最も高強度の押圧力を受けて最も高い摩擦力を支持体4に与えて振動を減衰させる。
そして、振動の復帰力により、または、ばね15の付勢力により、支持体4は逆方向に移動し始め、反対側に同様に配列された車輪10によって同様に増減変動する摩擦抵抗によって減衰させられる。
こうして支持体4は左右方向に振動しつつ強弱の変化で減衰させられ、振動が0に近くなるとばね15の付勢力が振動力に打ち勝って支持体4は基準位置Pに戻される。
また、支持体4の移動方向に設置する車輪10は3つに限定されるものではなく、その設置数は任意である。
また、各実施形態ではガイドレール3に沿って振動可能な支持体4の両側にガイド部材12や車輪10を設けたが、ガイド部材12や車輪10はガイドレール3の片側にだけ設けていてもよい。この場合でも振動の減衰を達成することができる。
例えば、第三実施形態において、複数の車輪10を任意の間隔で設置して支持体4の制振を行うようにしてもよく、車輪10は任意の支持体4の振動を制御するために適宜の位置に設置できる。そのため、支持体4の振動または移動方向と車輪10の軸部9とが同一間隔であれば、支持体4のガイドレール3を設置しなくてもよい。
しかも、複数の車輪10を配設した場合、各車輪10のA,B,C点の角度を一致させて回転による摩擦抵抗を同時に増減調整してもよいし、各車輪のA,B,C点の角度を異ならせて個別に摩擦抵抗と制振力を増減調整してもよい。
また、本発明において、支持体4の車輪10は押圧部材を構成する。ガイド部材12や軸部9を支持する下部構造物2等は静止体を構成する。
2 下部構造物
3 ガイドレール
4 支持体
6 基部
7 ベアリング
8 支持枠
9 軸部
10 車輪
12 ガイド部材
12a ガイド壁
12b 湾曲部
15 ばね
P 基準位置
Claims (6)
- 支持体と、
前記支持体の移動方向に沿って設けた静止体と、
前記静止体と支持体の一方に設けた軸部に偏心して回転可能に設けられていて前記静止体と支持体の他方を押圧して前記支持体を制動する変形可能な車輪と、
を備えたことを特徴とする制動装置。 - 構造物に設けた支持体と、
前記支持体の可動方向に沿って設けた静止体と、
前記静止体と支持体の一方に設けた軸部に偏心して回転可能に設けられていて前記静止体と支持体の他方を押圧して前記支持体を制動する変形可能な車輪と、
を備えたことを特徴とする免震装置。 - 前記支持体は、ガイドレールに沿って移動可能とした請求項2に記載された免震装置。
- 前記支持体には振動後に基準位置に復帰させるための弾性部材が設置されている請求項2または3に記載された免震装置。
- 構造物に設けた支持体と、
前記支持体の可動方向に沿って設けられていて前記支持体との距離が次第に短くなる傾斜部を有する静止体と、
前記支持体に設けた軸部に回転可能に設けられていて前記静止体の傾斜部を押圧して前記支持体を制振する車輪と、
を備え、前記湾曲部と車輪の一方が変形可能であることを特徴とする免震装置。 - 前記車輪は軸部に偏心して回転可能に設けられている請求項5に記載された免震装置。
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