JP2016124073A - カッターおよびプリンター - Google Patents
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Abstract
【課題】第2カッター刃を第1カッター刃と擦接可能な擦接位置に付勢する付勢力を小さくした場合でも媒体を良好に切断できるカッターを提供すること。
【解決手段】カッター15は、第1カッター刃21、第2カッター刃22、第1カッター刃21を予め定めた移動面23に沿って移動させる第1カッター刃移動機構24、第2カッター刃22を移動面23と平行な回転軸58回りに揺動可能に支持する支持機構55、および第2カッター刃22を、その刃先22aが第1カッター刃21と擦接可能な擦接位置22Aに付勢する付勢部材59を有する。第2カッター刃22は、擦接位置22Aにおいて、回転軸58と刃先22aとを結ぶ仮想線Lが移動面23に対して傾斜している。従って、第2カッター刃22は、付勢部材59の付勢力F1と記録紙切断負荷F2の合力F3で第1カッター刃21に押し付けられる。
【選択図】図10
【解決手段】カッター15は、第1カッター刃21、第2カッター刃22、第1カッター刃21を予め定めた移動面23に沿って移動させる第1カッター刃移動機構24、第2カッター刃22を移動面23と平行な回転軸58回りに揺動可能に支持する支持機構55、および第2カッター刃22を、その刃先22aが第1カッター刃21と擦接可能な擦接位置22Aに付勢する付勢部材59を有する。第2カッター刃22は、擦接位置22Aにおいて、回転軸58と刃先22aとを結ぶ仮想線Lが移動面23に対して傾斜している。従って、第2カッター刃22は、付勢部材59の付勢力F1と記録紙切断負荷F2の合力F3で第1カッター刃21に押し付けられる。
【選択図】図10
Description
本発明は、2枚のカッター刃を擦接させてシート状の媒体を切断するカッターに関する。また、このようなカッターを搭載するプリンターに関する。
予め設定した移動面を移動する第1カッター刃と、第1カッター刃とともに媒体を切断する第2カッター刃を備えるカッターは特許文献1に記載されている。同文献では、第1カッター刃は、媒体を切断する前進位置と前進位置から離間した後退位置の間を移動面に沿って往復移動する。第2カッター刃は、移動面に対して傾斜した姿勢とされている。また、第2カッター刃は、第1カッター刃の移動面に対して、その全体が接近する方向および離間する方向に移動可能に支持されており、付勢部材によって第1カッター刃に擦接可能な擦接位置に付勢されている。
このようなカッターでは、厚みのある媒体を切断する場合などを考慮して、第2カッター刃を擦接位置に付勢する付勢部材の付勢力をある程度大きくしている。しかし、付勢部材による付勢力を大きくすると、第1カッター刃と第2カッター刃とが擦接している間にこれらの刃先に磨耗が発生しやすくなる。また、第1カッター刃移動機構にかかる負荷も大きくなる。従って、装置の寿命が短くなるという問題がある。
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、第2カッター刃を第1カッター刃と擦接可能な擦接位置に付勢する付勢力を小さくした場合でも媒体を良好に切断できるカッターを提供することにある。また、このようなカッターを搭載するプリンターを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のカッターは、第1カッター刃と、前記第1カッター刃を予め定めた移動面に沿って移動させる第1カッター刃移動機構と、前記第1カッター刃とともにシート状の媒体を切断する第2カッター刃と、前記第2カッター刃を回転軸回りに揺動可能に支持する支持機構と、前記第2カッター刃を、その刃先が前記第1カッター刃と擦接可能な擦接位置に付勢する付勢部材と、を有し、前記第2カッター刃は、前記擦接位置において、前記回転軸と前記刃先とを結ぶ仮想線が前記移動面に傾斜して接することを特徴とする。
本発明によれば、第2カッター刃が第1カッター刃の移動面に対して傾斜した傾斜姿勢で配置されている。従って、付勢部材の付勢力は第2カッター刃の刃先から第1カッター刃に向って移動面と直交する方向に働く。この一方、媒体を切断する際に発生する媒体切断負荷は、第2カッター刃の刃先から第1カッター刃の移動方向の前方に向かって働く。
ここで、第2カッター刃は移動面と平行な回転軸回りに揺動可能に支持されている。従って、媒体を切断する際に、第2カッター刃の刃先には付勢部材の付勢力と媒体切断負荷の合力が回転軸回りのモーメントとして働く。そして、このモーメントは第2カッター刃の刃先を第1カッター刃の側に押し付ける。
従って、本発明によれば、付勢部材による付勢力だけではなく、媒体の切断時に発生する媒体切断負荷を利用して、第2カッター刃を擦接位置に押しつけることができる。よって、付勢部材による付勢力を、比較的小さなものとした場合でも、切断に十分な力で第2カッター刃を第1カッター刃に押し付けることができる。この結果、第1カッター刃および第2カッター刃の磨耗を抑制できるともに、第1カッター刃移動機構にかかる負荷を低減できる。また、厚みのある媒体を切断する場合など媒体切断負荷が大きくなる場合には、媒体切断負荷の増加に伴って第2カッター刃に働くモーメントが大きくなり、第2カッター刃はより大きな力で媒体の側(第1カッター刃の側)に押し付けられる。従って、厚みのある媒体でも、良好に切断できる。
本発明において、前記第2カッター刃を、前記擦接位置と前記移動面から離間する離間位置との間で前記回転軸回りに揺動させる第2カッター刃移動機構を有し、前記第1カッター刃移動機構は、前記第1カッター刃を、前記媒体を切断する前進位置と当該前進位置から離間する後退位置との間で往復移動させ、前記第2カッター刃移動機構は、前記第1カッター刃移動機構が前記第1カッター刃を前記前進位置から前記後退位置に移動させる前に記第2カッター刃を前記離間位置に配置することが望ましい。このようにすれば、第1カッター刃が前進位置から後退位置に戻る復路の全区間で、第1カッター刃と第2カッター刃との擦接を解除できる。よって、媒体の切断後に2枚のカッター刃が磨耗することを防止できる。
次に、本発明のプリンターは、上記のカッターと、印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷位置および前記カッターによる切断位置を経由する搬送路に沿って前記媒体を搬送する搬送機構と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、カッターにおいて、2枚のカッター刃の磨耗が抑制されている。また、カッターにおいて、第1カッター刃移動機構にかかる負荷も低芸されている。従って、カッターの寿命が長く、プリンターの製品寿命を延ばすことができる。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態にかかるプリンターを説明する。
(全体構成)
図1(a)は本発明の実施の形態に係るプリンターの斜視図であり、図1(b)は図1のプリンターの外装を取り外した斜視図である。図2は図1のプリンターの概略断面図である。本例のプリンター1はロール紙2から繰り出される長尺状の記録紙3に印刷を行うロール紙プリンターである。図1に示すように、プリンター1は全体として直方体形状をしたプリンターケース4を備える。プリンターケース4の上面の前側部分には記録紙3を排出するための排出口5が設けられている。排出口5はプリンター1の幅方向に延びている。なお、以下では、互いに直交する方向をプリンター幅方向X、プリンター前後方向Y、プリンター上下方向Zとして説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態に係るプリンターの斜視図であり、図1(b)は図1のプリンターの外装を取り外した斜視図である。図2は図1のプリンターの概略断面図である。本例のプリンター1はロール紙2から繰り出される長尺状の記録紙3に印刷を行うロール紙プリンターである。図1に示すように、プリンター1は全体として直方体形状をしたプリンターケース4を備える。プリンターケース4の上面の前側部分には記録紙3を排出するための排出口5が設けられている。排出口5はプリンター1の幅方向に延びている。なお、以下では、互いに直交する方向をプリンター幅方向X、プリンター前後方向Y、プリンター上下方向Zとして説明する。
プリンターケース4は、箱型のケース本体6と、ケース本体6に上方から被せられた開閉扉8を備える。ケース本体6は、内部にロール紙収納部7(図2参照)を備えており、開閉扉8は、ロール紙収納部7のロール紙投入口7aを上方(プリンター上下方向Zの上方)から封鎖する。
開閉扉8は排出口5の後方Y2(プリンター前後方向Yの後方Y2)に設けられている。開閉扉8のプリンター幅方向Xの一方X1には開閉ボタン9が設けられている。開閉ボタン9の後方Y2には電源スイッチ10が設けられている。開閉ボタン9を操作すると開閉扉8のロックを解除することができる。ロックが解除されると、開閉扉8は、その後端部分においてプリンター幅方向Xに延びる回転軸回りに回動可能となる。開閉扉8は図1に示すように平伏した姿勢でロール紙収納部7を封鎖する封鎖位置8Aと、図2に点線で示すように、起立した姿勢でロール紙収納部7を開放状態とする開放位置8Bの間を移動する。
図2に示すように、プリンターケース4の内部には、印刷ヘッド14、カッター15が搭載されている。また、プリンターケース4の内部には、ロール紙収納部7から、印刷ヘッド14による印刷位置Aおよびカッター15による切断位置Bを経由して排出口5に至る記録紙3の搬送路16が設けられている。
印刷ヘッド14はサーマルヘッドである。印刷位置Aは印刷ヘッド14と対峙するプラテンローラー17によって規定されている。プラテンローラー17には搬送モーター18の回転駆動力が伝達される。プラテンローラー17および搬送モーター18は記録紙3を搬送路16に沿って搬送する搬送機構を構成する。
プリンター1は、搬送モーター18を駆動してプラテンローラー17を回転させ搬送路16に沿ってセットされた記録紙3を一定速度で搬送する。また、プリンター1は、印刷ヘッド14を駆動して印刷位置Aを搬送される記録紙3に印刷を施す。さらに、プリンター1はカッター15を駆動して印刷が済んだ記録紙3の記録紙部分を切断する。
(カッター)
図3はカッター15の斜視図である。図4はカッター15の側面図である。なお、図4では、複合歯車の間欠歯部、複合歯車側突部およびカム、並びに、カッター刃戻し用歯車のカッター刃戻し用突部がよく判るように、これらを記載している。図1(b)および図3に示すように、カッター15は、第1カッター刃21と、第1カッター刃21とともに記録紙3を切断する第2カッター刃22を備える。また、カッター15は、第1カッター刃21を、予め設定した移動面23(図2参照)に沿って移動させる第1カッター刃移動機構24を備える。移動面23は切断位置Bにおいて搬送路16と交差する面であり、排出口5の下方でプリンター上下方向Zと直交する。図4に示すように、第1カッター刃移動機構24は記録紙3を切断する前進位置21Aと前進位置21Aから離間した後退位置21Bの間で第1カッター刃21を往復移動させる。
図3はカッター15の斜視図である。図4はカッター15の側面図である。なお、図4では、複合歯車の間欠歯部、複合歯車側突部およびカム、並びに、カッター刃戻し用歯車のカッター刃戻し用突部がよく判るように、これらを記載している。図1(b)および図3に示すように、カッター15は、第1カッター刃21と、第1カッター刃21とともに記録紙3を切断する第2カッター刃22を備える。また、カッター15は、第1カッター刃21を、予め設定した移動面23(図2参照)に沿って移動させる第1カッター刃移動機構24を備える。移動面23は切断位置Bにおいて搬送路16と交差する面であり、排出口5の下方でプリンター上下方向Zと直交する。図4に示すように、第1カッター刃移動機構24は記録紙3を切断する前進位置21Aと前進位置21Aから離間した後退位置21Bの間で第1カッター刃21を往復移動させる。
また、カッター15は、第2カッター刃22を、第1カッター刃21に擦接して記録紙3を切断する擦接位置22Aと、第1カッター刃21(移動面23)から離間する離間位置22Bとの間で揺動させる第2カッター刃移動機構25を有する。
カッター15は、第2カッター刃22が擦接位置22Aに配置された状態で第1カッター刃21が後退位置21Bから前進位置21Aに移動することにより、搬送路16上の記録紙3を切断位置Bにおいて切断する。
(第1カッター刃および第2カッター刃)
図3に示すように、第1カッター刃21はその刃先21aを前方Y1(プリンター前後方向Yの前方Y1)に向けている。第1カッター刃21は、板状であり、左右対称のわずかにそりが付いた平面形状を備える。第1カッター刃21は、その前側にプリンター幅方向Xの中央が後方Y2に後退したV字形状の刃部21bを備える。また、第1カッター刃21は、刃部21bのプリンター幅方向Xの両側に前方Y1に突出する一対の乗り上げ部21cを備える。各乗り上げ部21cは、プリンター上下方向Zから見た場合に第2カッター刃22におけるプリンター幅方向Xの両端部分(被乗り上げ部22c)と重なる位置まで延びている。第1カッター刃21の後側部分はラック部材27によって支持されている。また、カッター15刃およびラック部材27は、プリンター前後方向Yに移動可能な状態で扉側フレーム28(図1(b)参照)に支持されている。
図3に示すように、第1カッター刃21はその刃先21aを前方Y1(プリンター前後方向Yの前方Y1)に向けている。第1カッター刃21は、板状であり、左右対称のわずかにそりが付いた平面形状を備える。第1カッター刃21は、その前側にプリンター幅方向Xの中央が後方Y2に後退したV字形状の刃部21bを備える。また、第1カッター刃21は、刃部21bのプリンター幅方向Xの両側に前方Y1に突出する一対の乗り上げ部21cを備える。各乗り上げ部21cは、プリンター上下方向Zから見た場合に第2カッター刃22におけるプリンター幅方向Xの両端部分(被乗り上げ部22c)と重なる位置まで延びている。第1カッター刃21の後側部分はラック部材27によって支持されている。また、カッター15刃およびラック部材27は、プリンター前後方向Yに移動可能な状態で扉側フレーム28(図1(b)参照)に支持されている。
第2カッター刃22はその刃先22aを後方Y2に向けている。第2カッター刃22は、板状であり、全体としてプリンター幅方向Xに長い長方形の平面形状を備える。第2カッター刃22は、その後側(第1カッターは21と対向する側)のプリンター幅方向Xの両端部分に、第1カッター刃21の乗り上げ部21cが上方から擦接可能な被乗り上げ部21cを備える。第2カッター刃22の刃部22bは、被乗り上げ部21cの間においてプリンター幅方向Xに直線状に延びている。第2カッター刃22は支持フレーム29に搭載されている。
(第1カッター刃移動機構)
図3に示すように、第1カッター刃移動機構24は、駆動源となる駆動モーター31と、駆動歯車32と、駆動歯車32の回転を直動に変換して第1カッター刃21を移動面23に沿って進退させる回転直動変換機構33と、駆動モーター31の回転を駆動歯車32に伝達する伝達機構34を有する。また、第1カッター刃移動機構24は、第1カッター刃21を前進位置21Aの側から後退位置21Bに付勢する付勢部材を有する。付勢部材はコイルバネ35である。
図3に示すように、第1カッター刃移動機構24は、駆動源となる駆動モーター31と、駆動歯車32と、駆動歯車32の回転を直動に変換して第1カッター刃21を移動面23に沿って進退させる回転直動変換機構33と、駆動モーター31の回転を駆動歯車32に伝達する伝達機構34を有する。また、第1カッター刃移動機構24は、第1カッター刃21を前進位置21Aの側から後退位置21Bに付勢する付勢部材を有する。付勢部材はコイルバネ35である。
回転直動変換機構33は、ラックアンドピニオン機構である。すなわち、回転直動変換機構33は、駆動歯車32と同軸に配置されて一体に回転するピニオン37と、第1カッター刃21を支持するラック部材27に設けられたラック27aを備える。ピニオン37はラック27aに噛合する。駆動モーター31はDCモーターであり、一方向に回転駆動される。ここで、回転直動変換機構33は、駆動歯車32が第1回転方向R1(図4参照)へ規定回転角度だけ回転することにより、第1カッター刃21を後退位置21Bから前進位置21Aに移動させる。また、回転直動変換機構33は、駆動歯車32が第1回転方向R1とは逆の第2回転方向R2(図4参照)へ規定回転角度だけ回転することにより、第1カッター刃21を前進位置21Aから後退位置21Bに移動させる。
伝達機構34は、複合歯車(間欠歯車)40と、駆動モーター31の回転の伝達経路において複合歯車40よりも上流側に位置する上流側伝達機構41と、複合歯車40よりも下流側に位置する下流側伝達機構42を備える。第1カッター刃21は、駆動モーター31の駆動によって複合歯車40が一方向に1回転する間に、前進位置21Aと後退位置21Bの間を1往復する。
複合歯車40は、第1カッター刃21の移動面23よりも下方において、その回転軸をプリンター幅方向Xに向けて配置されている。複合歯車40は所定の角度範囲に形成された間欠歯部(歯部)43aを備える間欠歯車部43と、間欠歯車部43よりも大径で当該間欠歯車部43と同軸に形成された大径歯車部44を備える。大径歯車部44は間欠歯車部43のプリンター幅方向Xの一方X1の側(外側)に位置している。
大径歯車部44はその外周に全周に渡る歯部44aを備える。また、大径歯車部44は、間欠歯車部43の側の端面に、プリンター幅方向Xを間欠歯車部43の側に向かって突出する複合歯車側突部(当接部)44bを備える。複合歯車側突部44bは、間欠歯車部43の間欠歯部43aよりも外周側で、間欠歯部43aとは異なる角度位置に設けられている。また、複合歯車側突部44bは、周方向に延びて所定の角度範囲に亘る寸法を備える。
さらに、複合歯車40は、カム44cを備える。カム44cは間欠歯部43aおよび大径歯車部44と一体に形成されている。カム44cと大径歯車部44の複合歯車側突部44bとは、異なる角度位置に設けられている。
上流側伝達機構41は、駆動モーター31の回転軸に取り付けられたピニオン46と、ピニオン46の回転が伝達されるウオーム47と、ウオーム47とピニオン38との間に設けられたクラッチ機構48を備える。駆動モーター31は、その回転軸をプリンター上下方向Zに向けた状態で配置されている。ウオーム47は、その回転軸をプリンター上下方向Zに向けて配置されている。ウオーム47は複合歯車40における大径歯車部44の歯部44aと噛合している。クラッチ機構48は、伝達経路の下流側から上流側に向かって大きな回転力が入力された場合などに、ウオーム47とピニオン38の間で、伝達経路を切断する。これにより、クラッチ機構48は第1カッター刃移動機構24が破損することを防止する。
下流側伝達機構42は、駆動歯車32と噛合するカッター刃戻し用歯車50と、複合歯車40の回転をカッター刃戻し用歯車50に伝達する伝達歯車51を有する。駆動歯車32、カッター刃戻し用歯車50および伝達歯車51は、複合歯車40の間欠歯車部43よりも上方に配置されている。また、駆動歯車32、カッター刃戻し用歯車50および伝達歯車51は前方Y1から後方Y2に向かってこの順番に配置されている。駆動歯車32の回転軸は複合歯車40の回転軸よりも前方Y1に位置し、伝達歯車51の回転軸は複合歯車40の回転軸よりもプリンター後方Y2に位置する。
伝達歯車51は複合歯車40(間欠歯車部43)の間欠歯部43aと噛合可能である。カッター刃戻し用歯車50は間欠歯車である。カッター刃戻し用歯車50の間欠歯部50aは駆動歯車32および伝達歯車51の双方に噛合する。なお、カッター刃戻し用歯車50は、全周に歯部を備える通常の歯車とすることもできる。
カッター刃戻し用歯車50は、その回転軸から径方向に離間した位置にカッター刃戻し用突部50bを備える。カッター刃戻し用突部50bは、外側に向って周方向に広がる扇型をしている。この扇型の要はカッター刃戻し用歯車50の回転軸と一致する。
カッター刃戻し用突部50bは複合歯車40の複合歯車側突部44bと当接可能である。すなわち、カッター刃戻し用歯車50が1回転する間にカッター刃戻し用突部50bが移動する円形の移動経路と、複合歯車40が1回転する間に複合歯車40の複合歯車側突部44bが移動する円形の移動経路とは部分的に重なっている。これにより、複合歯車40が1回転する間に、複合歯車40の複合歯車側突部44bは、所定の期間だけカッター刃戻し用突部50bと当接して、カッター刃戻し用突部50bを複合歯車40の回転方向D1に移動させる。なお、複合歯車40の複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bが当接する期間は、伝達歯車51と複合歯車40の間欠歯部43aの噛合が解除されている期間であり、伝達歯車51と複合歯車40の間欠歯部43aが噛合している間に、複合歯車40の複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bが当接することはない。
ここで、駆動モーター31の回転が伝達された複合歯車40が1回転する間であって複合歯車40の間欠歯部43aと伝達歯車51とが噛合している期間中は、複合歯車40の回転が伝達歯車51からカッター刃戻し用歯車50を介して駆動歯車32に伝達される。これにより、駆動歯車32は第1回転方向R1に規定回転角度だけ回転する。この結果、第1カッター刃21は後退位置21Bから前進位置21Aへと移動する。
一方、駆動モーター31の回転が伝達された複合歯車40が1回転する間であって、複合歯車40の間欠歯部43aと伝達歯車51との噛合が解除された状態で当該複合歯車40の複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用歯車50のカッター刃戻し用突部50bとが当接している期間中は、複合歯車40の回転が、複合歯車側突部44bおよびカッター刃戻し用突部50bを介して、カッター刃戻し用歯車50に伝達される。これにより、複合歯車40にカッター刃戻し用歯車50が連れ回りし、カッター刃戻し用歯車50は複合歯車40の回転が伝達歯車51を介して伝達されている場合とは逆の回転方向に回転する。この結果、複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bとが当接している期間中に、駆動歯車32は第2回転方向R2に規定回転角度だけ回転する。よって、第1カッター刃21は前進位置21Aから後退位置21Bに戻る。
一対のコイルバネ35は、プリンター幅方向Xに離間した位置でプリンター前後方向Yに延びている。各コイルバネ35は、それぞれ前端部分がラック部材27に取り付けられ、後端部分が扉側フレーム28に取り付けられている。各コイルバネ35は、第1カッター刃21が後退位置21Bから前進位置21Aに移動するのに伴って伸張して付勢力を蓄積する。従って、第1カッター刃移動機構24は、各コイルバネ35の付勢力に抗して、第1カッター刃21を後退位置21Bから前進位置21Aに移動させる。また、各コイルバネ35は、第1カッター刃移動機構24が第1カッター刃21を前進位置21Aから後退位置21Bに移動させる際には、その蓄積された付勢力によって、第1カッター刃21の後退位置21Bへの移動をアシストする。
ここで、プラテンローラー17、第1カッター刃移動機構24の上流側伝達機構41(伝達歯車51およびカッター刃戻し用歯車50)、駆動歯車32、ラック部材27、第1カッター刃21、および、コイルバネ35は、扉側フレーム28に支持されている。従って、プラテンローラー17、上流側伝達機構41、駆動歯車32、ラック部材27、第1カッター刃21、および、コイルバネ35は、開閉扉8を開く際に、開閉扉8とともに回動してケース本体6から離間する。
(第2カッター刃移動機構)
図4に示すように、第2カッター刃22は、第1カッター刃21と擦接可能な擦接位置22Aでは、第1カッター刃21の後退位置21Bに向って(プリンター後方Y2に向かって)第1カッター刃21の移動面23に接近する方向に傾斜した傾斜姿勢とされている。傾斜姿勢では第2カッター刃22の刃先22aは移動面23上にある。第2カッター刃移動機構25は、その刃先21aを傾斜姿勢よりも移動面23から離れる下方に変位させることによって第2カッター刃22を擦接位置22Aから離間位置22Bに移動させる。
図4に示すように、第2カッター刃22は、第1カッター刃21と擦接可能な擦接位置22Aでは、第1カッター刃21の後退位置21Bに向って(プリンター後方Y2に向かって)第1カッター刃21の移動面23に接近する方向に傾斜した傾斜姿勢とされている。傾斜姿勢では第2カッター刃22の刃先22aは移動面23上にある。第2カッター刃移動機構25は、その刃先21aを傾斜姿勢よりも移動面23から離れる下方に変位させることによって第2カッター刃22を擦接位置22Aから離間位置22Bに移動させる。
第2カッター刃移動機構25は第1カッター刃21の移動面23よりも下方に構成されている。図3、図4に示すように、第2カッター刃移動機構25は、第2カッター刃22を予め定めた回転軸回りに揺動可能に支持する支持機構55と、第1カッター刃移動機構24による前記第1カッター刃21の移動に同期させて第2カッター刃22を揺動させるリンク機構56を備える。
支持機構55は、第2カッター刃22を搭載する支持フレーム29と、支持フレーム29を揺動可能に支持する支軸58と、支持フレーム29を付勢することにより第2カッター刃22を擦接位置22Aに付勢する付勢部材59を備える。本例では、付勢部材59はコイルバネである。
図3に示すように、支持フレーム29はプリンター幅方向Xに延びて第2カッター刃22を下方から支持するカッター支持部分61と、カッター支持部分61のプリンター幅方向Xの一方X1の側の端部分から下方に延びるリンクフレーム部分62を備える。リンクフレーム部分62は、下方に延びる前側フレーム部62aと前側フレーム部62aの下端部分から後方Y2に延びる中間フレーム部分62bと中間フレーム部分62bの後端部分から上方に延びる後側フレーム部62cを備える。後側フレーム部62cの上端部分には、複合歯車40のカム44cに当接可能なカムフォロワー部29aが設けられている。
支軸58は、前側フレーム部62aの前側の上端部分をプリンター幅方向Xに貫通している。支軸58は第2カッター刃22の回転軸であり、支軸58の中心線は第2カッター刃22の揺動中心線(回転中心線)である。付勢部材59は前側フレーム部62aの上端部分であって、支軸58を間に挟んで第2カッター刃22の刃先21aとは反対側に位置する前端部分を下方に付勢する。
支持フレーム29のカムフォロワー部29aと複合歯車40のカム44cは、リンク機構56を構成する。複合歯車40が1回転する間であって、カムフォロワー部29aと複合歯車40のカム44cとが擦接していない期間では、付勢部材59によって、支持フレーム29は支軸58回りを図3、図4に矢印で示す反時計回りS1に付勢される。支持フレーム29が反時計回りS1に付勢されると、第2カッター刃22の被乗り上げ部21cが下方から第1カッター刃21の乗り上げ部21cに当接する。従って、第2カッター刃22は傾斜姿勢で擦接位置22Aに配置される。また、第2カッター刃22が擦接位置22Aに配置された状態では、第2カッター刃22は、付勢部材59の付勢力によって、第1カッター刃21に押し付けられる。
一方、複合歯車40が回転して支持フレーム29のカムフォロワー部29aと複合歯車40のカム44cとが擦接すると、付勢部材59の付勢力に抗して、後側フレーム部62cが下方に変位する。これにより、支持フレーム29は支軸58回りを図3、図4に矢印で示す時計回りS2に回動する。この結果、第2カッター刃22は、その刃先21aが移動面23から下方に離間して、第1カッター刃21と擦接しない離間位置22Bに配置される。第2カッター刃22は、カムフォロワー部29aと複合歯車40のカム44cが擦接している期間中、離間位置22Bに配置される。
ここで、第2カッター刃移動機構25は、第1カッター刃移動機構24が第1カッター刃21を後退位置21Bから前進位置21Aに移動させる前に、第2カッター刃22を擦接位置22Aに配置する。また、第2カッター刃移動機構25は、第1カッター刃移動機構24が第1カッター刃21を前進位置21Aから後退位置21Bに移動させる前に、第2カッター刃22を離間位置22Bに配置する。
(切断動作)
次に、図5乃至図9を参照してカッター15による記録紙3の切断動作を説明する。図5はカッター15の待機状態を示す。図6は第1カッター刃21が移動を開始する直前の状態を示す。図7は第1カッター刃21が前進位置21Aに到達した状態を示す。図8は記録紙3を切断した直後のカッター15の状態を示す。図9は第1カッター刃21が後退位置21Bに到達した状態を示す。各図の(a)はカッター15の平面図であり、各図の(b)はカッター15を回転直動変換機構33のピニオン37を通過する面で切断した縦断面図であり、各図の(c)はカッター15の側面図であり、各図の(d)は、複合歯車40の周囲の部分拡大図である。各図の(c)、(d)では、間欠歯部43a、複合歯車側突部44b、カッター刃戻し用突部50b、カム44cおよびカムフォロワー部29aの位置がよく判るように、これらを記載している。
次に、図5乃至図9を参照してカッター15による記録紙3の切断動作を説明する。図5はカッター15の待機状態を示す。図6は第1カッター刃21が移動を開始する直前の状態を示す。図7は第1カッター刃21が前進位置21Aに到達した状態を示す。図8は記録紙3を切断した直後のカッター15の状態を示す。図9は第1カッター刃21が後退位置21Bに到達した状態を示す。各図の(a)はカッター15の平面図であり、各図の(b)はカッター15を回転直動変換機構33のピニオン37を通過する面で切断した縦断面図であり、各図の(c)はカッター15の側面図であり、各図の(d)は、複合歯車40の周囲の部分拡大図である。各図の(c)、(d)では、間欠歯部43a、複合歯車側突部44b、カッター刃戻し用突部50b、カム44cおよびカムフォロワー部29aの位置がよく判るように、これらを記載している。
まず、プリンター1が電源オフの状態とされている場合、或いは、プリンター1が印刷データの供給を待つ待機状態とされている場合には、カッター15は待機状態とされる。待機状態では、図5(a)に示すように、第1カッター刃21は後退位置21Bに配置されている。図5(b)に示すように、駆動歯車32と同軸のピニオン37は、ラック部材27のラック27aの前端部分に噛合している。図5(c)、(d)に示すように、複合歯車40の間欠歯部43aは、伝達歯車51から離間する角度位置に配置されており、伝達歯車51とは噛合していない。カッター刃戻し用歯車50のカッター刃戻し用突部50bは複合歯車40の複合歯車側突部44bの移動経路から外れた位置にあり、複合歯車側突部44bはカッター刃戻し用突部50bとは当接していない。一方、第2カッター刃22を支持する支持フレーム29のカムフォロワー部29aは、図5(c)に示すように、複合歯車40のカム44cに接している。これにより支持フレーム29の後側フレーム部62cはコイルバネ35の付勢力に抗して下方に押し下げられており、第2カッター刃22は第1カッター刃21から離間する離間位置22Bに配置されている。
外部の機器から印刷データが供給されると、プリンター1は、搬送モーター18を駆動してプラテンローラー17を回転させて、搬送路16に沿ってセットされた記録紙3を一定速度で搬送する。また、プリンター1は、印刷ヘッド14を駆動して、印刷位置Aを搬送される記録紙3に印刷を行う。印刷が終了すると、プリンター1は、駆動モーター31を規定駆動時間だけ同一方向に回転駆動する。これにより、カッター15を動作させて、印刷が済んだ記録紙3の記録紙部分を切断する。
駆動モーター31が駆動されると複合歯車40が回転方向D1(時計回り)に回転を開始する。複合歯車40が回転すると、その直後に、支持フレーム29のカムフォロワー部29aと複合歯車40のカム44cとの当接が解除される。これにより支持フレーム29は付勢部材59の付勢力により支軸58回りを反時計回りS1に回動する(図6(c)参照)。この結果、第2カッター刃22は、第1カッター刃21に擦接可能な擦接位置22Aに移動する。
その後、複合歯車40がさらに回転すると、図6に示すように、駆動モーター31の駆動開始時点から所定時間経過後に複合歯車40の間欠歯部43aが伝達歯車51と噛合する。本例では、間欠歯部43aは複合歯車40の回転軸回りを90°以上回転した後に伝達歯車51と噛合する。複合歯車40の間欠歯部43aと伝達歯車51が噛合すると、図6(d)に示すように、伝達歯車51は反時計回りに回転する。また、伝達歯車51と噛合しているカッター刃戻し用歯車50が時計回りに回転する。そして、カッター刃戻し用歯車50と噛合している駆動歯車32が反時計回りの第1回転方向R1に回転する。複合歯車40の間欠歯部43aが伝達歯車51と噛合している間に駆動歯車32は第1回転方向R1に規定回転角度だけ回転する。
駆動歯車32の第1回転方向R1への規定回転角度の回転は、回転直動変換機構33により第1カッター刃21の前方Y1への直動に変換される。従って、第1カッター刃21は後退位置21Bから前進位置21Aに向かって規定距離だけ移動する。これにより、第1カッター刃21は、その刃部21bを第2カッター刃22の刃部22bに擦接させながら搬送路16の切断位置Bを通過して、前進位置21Aに到達する。この結果、切断位置Bに配置された記録紙3が切断される。
第1カッター刃21が前進位置21Aに到達すると、図7に示すように、複合歯車40と間欠歯部43aと伝達歯車51の噛合が解除される。これにより、複合歯車40の回転が駆動歯車32に伝達されなくなるので、第1カッター刃21は、前進位置21Aにおいて、その移動を停止する。第1カッター刃21が前進位置21Aに配置された状態では、駆動歯車32はラック部材27のラック27aの後端部分に噛合している。なお、第1カッター刃21が前進位置21Aに移動する間、コイルバネ35は伸張して付勢力を蓄積する。
ここで、図7(c)、(d)に示すように、伝達歯車51の回転を駆動歯車32に伝達しているカッター刃戻し用歯車50は、第1カッター刃21が後退位置21Bから前進位置21Aに移動する間に(複合歯車40と間欠歯部43aと伝達歯車51が噛合している間に)、カッター刃戻し用突部50bを、複合歯車40の複合歯車側突部44bの移動経路上に位置させている。
その後、さらに、複合歯車40が回転すると、図8に示すように、複合歯車40のカム44cと、第2カッター刃22を支持する支持フレーム29のカムフォロワー部29aが擦接する。これにより、図8(c)に示すように、支持フレーム29の後側フレーム部62cが下方に押し下げられて、支持フレーム29は支軸58回りを時計回りS2に揺動する。この結果、第2カッター刃22は、第1カッター刃21と離間する離間位置22Bに移動する。
そして、第2カッター刃22が離間位置22Bに配置された後に、複合歯車40の複合歯車側突部44bがカッター刃戻し用歯車50のカッター刃戻し用突部50bに当接する。複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bが当接する時点では、複合歯車40の間欠歯部43aと伝達歯車51との噛合が解除されている。従って、カッター刃戻し用歯車50は回転自在であり、複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bの当接が維持されている期間、カッター刃戻し用歯車50は複合歯車40に連れ回りする。これにより、カッター刃戻し用歯車50は、図8(d)に示すように反時計回りに回転して、駆動歯車32を時計回りの第2回転方向R2に回転させる。複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bの当接が維持されている期間に駆動歯車32は第2回転方向R2に規定回転角度だけ回転する。
駆動歯車32の第2回転方向R2の規定回転角度の回転は回転直動変換機構33により第1カッター刃21のプリンター後方Y2への直動に変換される。従って、第1カッター刃21は前進位置21Aから後退位置21Bに向かって規定距離だけ移動する。また、第1カッター刃21が後退位置21Bに移動する際には、コイルバネ35の付勢力がその移動をアシストする。
その後、さらに複合歯車40が回転して、図9に示すように、カッター刃戻し用歯車50のカッター刃戻し用突部50bが複合歯車40の複合歯車側突部44bの移動経路から外れた位置に移動すると、複合歯車側突部44bとカッター刃戻し用突部50bの当接が解除される。これにより、カッター刃戻し用歯車50の反時計回りの回転は停止するので、駆動歯車32の第2回転方向R2への回転も停止する。この結果、第1カッター刃21は、後退位置21Bにおいて、その移動を停止する。第1カッター刃21が後退位置21Bに配置された状態では、駆動歯車32はラック部材27のラック27aの前端部分に噛合している。
しかる後に、駆動モーター31が停止する。すなわち、第1カッター刃21が後退位置21Bに配置された後に、駆動モーター31の駆動時間が規定駆動時間に達し、駆動モーター31が停止する。これにより、カッター15は図5に示す待機状態に戻る。
図5に示す待機状態では、複合歯車40の間欠歯部43aは、伝達歯車51から離間する角度位置に配置されており、伝達歯車51とは噛合していない。カッター刃戻し用歯車50のカッター刃戻し用突部50bは複合歯車40の複合歯車側突部44bの移動経路から外れた位置にあり、複合歯車側突部44bはカッター刃戻し用突部50bとは当接していない。一方、第2カッター刃22を支持する支持フレーム29のカムフォロワー部29aは、複合歯車40のカム44cに接している。これにより支持フレーム29の後側フレーム部62cはコイルバネ35の付勢力に抗して下方に押し下げられており、第2カッター刃22は第1カッター刃21から離間する離間位置22Bに配置されている。
ここで、プリンター1が待機状態のときに、ロール紙2の装填などのために開閉扉8を開いて開放位置8Bに配置すると、プラテンローラー17、第1カッター刃21、ラック部材27、駆動歯車32、上流側伝達機構41(カッター刃戻し用歯車50および伝達歯車51)、コイルバネ35は、開閉扉8とともに移動するが、待機状態では複合歯車40の間欠歯部43aは伝達歯車51と噛合しない位置にある。従って、開閉扉8を開く開動作が、伝達歯車51と複合歯車40の間欠歯部43aの噛合によって妨げられることがない。
また、待機状態では、複合歯車40の間欠歯部43aは伝達歯車51と噛合しない位置にあり、複合歯車側突部44bはカッター刃戻し用突起50bと当接しない位置にある。従って、開閉扉8を開放位置8Bから封鎖位置8Aに移動させる閉動作に際して、伝達歯車51と複合歯車40の間欠歯部43aが衝突することはなく、カッター刃戻し用突起50bと複合歯車側突部44bが衝突することもない。さらに、第2カッター刃22は、離間位置22Bに配置されているので、第2カッター刃22の刃部22bが第1カッター刃21の移動面23よりも下方に位置する。従って、開閉扉8を開放位置8Bに配置した状態でも、第2カッター刃22の刃部22bがケース本体6から上方に突出することがなく、安全である。
(記録紙の切断時に第2カッター刃の刃先にかかる力)
図10は、記録紙3の切断時に第2カッター刃22の刃先22aにかかる力の説明図である。図10に示すように、擦接位置22Aに配置された第2カッター刃22は傾斜姿勢である。すなわち、第2カッター刃22は、その揺動中心である支軸(回転軸)58と刃先22aを結ぶ仮想線Lが移動面23に対して傾斜した状態で擦接位置22Aに配置される。
図10は、記録紙3の切断時に第2カッター刃22の刃先22aにかかる力の説明図である。図10に示すように、擦接位置22Aに配置された第2カッター刃22は傾斜姿勢である。すなわち、第2カッター刃22は、その揺動中心である支軸(回転軸)58と刃先22aを結ぶ仮想線Lが移動面23に対して傾斜した状態で擦接位置22Aに配置される。
従って、支持フレーム29を支軸58回りで反時計回りS1に付勢する付勢部材59の付勢力F1は、第2カッター刃22の刃先22aから第1カッター刃21に向って移動面23と直交する方向に働く。一方、切断位置Bにおいて記録紙3を切断する際に発生する記録紙切断負荷F2は、第2カッター刃22の刃先22aから移動面23に沿って第1カッター刃21の移動方向の前方Y1に向かって働く。
ここで、第2カッター刃22は移動面23と平行な支軸58回りに揺動可能に支持されている。従って、記録紙3を切断する際に、第2カッター刃22の刃先22aには、付勢部材59の付勢力F1と記録紙切断負荷F2の合力F3が支軸58回りのモーメントとして働く。このモーメントは、第2カッター刃22の刃先22aを第1カッター刃21の側に押し付ける。
よって、本例では、付勢部材59による付勢力F1だけではなく、記録紙3の切断時に発生する記録紙切断負荷F2を利用して、第2カッター刃22を擦接位置22Aに押しつけることができる。従って、付勢部材59による付勢力F1を小さくした場合でも、切断に十分な力で第2カッター刃22を第1カッター刃21に擦接させることができる。
本例によれば、付勢部材59による付勢力F1を小さくすることができるので、第1カッター刃21および第2カッター刃22の磨耗を抑制できる。また、第1カッター刃21を移動させる第1カッター刃移動機構24にかかる負荷を低減できる。
さらに、本例では、厚みのある記録紙3を切断する場合など記録紙切断負荷F2が大きくなる場合には、記録紙切断負荷F2の増加に伴って第2カッター刃22に働くモーメントが大きくなり、第2カッター刃22はより大きな力で第1カッター刃21に押し付けられる。従って、厚みのある記録紙3でも、良好に切断できる。
また、本例では、第1カッター刃21が前進位置21Aから後退位置21Bに移動する前に、第2カッター刃移動機構25が第2カッター刃22を擦接位置22Aから離間位置22Bに移動させる。これにより、第1カッター刃21が前進位置21Aから後退位置21Bに戻る復路の全区間で、第1カッター刃21と第2カッター刃22との擦接を解除できる。よって、記録紙3の切断後に2枚のカッター15刃が磨耗することを防止できる。
1・・プリンター、2・・ロール紙、3・・記録紙(媒体)、4・・プリンターケース、5・・排出口、6・・ケース本体、7・・ロール紙収納部、7a・・ロール紙投入口、8・・開閉扉、8A・・開閉扉の封鎖位置、8B・・開閉扉の開放位置、9・・開閉ボタン、10・・電源スイッチ、14・・印刷ヘッド、15・・カッター、16・・搬送路、17・・プラテンローラー、18・・搬送モーター、21・・第1カッター刃、21a・・第1カッター刃の刃先、21b・・第1カッター刃の刃部、21c・・第1カッター刃の乗り上げ部、21A・・第1カッター刃の前進位置、21B・・第1カッター刃の後退位置、22・・第2カッター刃、22a・・第2カッター刃の刃先、22b・・第2カッター刃の刃部、22c・・第2カッター刃の被乗り上げ部、22A・・第2カッター刃の擦接位置、22B・・第2カッター刃の離間位置、23・・第1カッター刃の移動面、24・・第1カッター刃移動機構、25・・第2カッター刃移動機構、27・・ラック部材、27a・・ラック、28・・扉側フレーム、29・・支持フレーム、29a・・カムフォロワー部、31・・駆動モーター、32・・駆動歯車、33・・回転直動変換機構、34・・伝達機構、35・・コイルバネ(付勢部材)、37・・回転直動変換機構のピニオン、38・・ピニオン、40・・複合歯車(間欠歯車)、41・・上流側伝達機構、42・・下流側伝達機構、43・・間欠歯車部、43a・・間欠歯部(歯部)、44・・大径歯車部、44a・・大径歯車部の歯部、44b・・複合歯車側突部(当接部)、44c・・カム、46・・ピニオン、47・・ウオーム、48・・クラッチ機構、50・・カッター刃戻し用歯車、50a・・カッター刃戻し用歯車の間欠歯部、50b・・カッター刃戻し用突部、51・・伝達歯車、55・・支持機構、56・・リンク機構、58・・支軸(回転軸)、59・・付勢部材、61・・支持フレームのカッター支持部分、62・・支持フレームのリンクフレーム部分、62a・・前側フレーム部、62b・・中間フレーム部分、62c・・後側フレーム部、A・・印刷位置、B・・切断位置、F1・・付勢部材の付勢力、F2・・記録紙切断負荷、F3・・合力、L・・第2カッター刃の回転軸と刃先を結ぶ仮想線、R1・・第1回転方向、R2・・第2回転方向、X・・プリンター幅方向、X1・・プリンター幅方向の一方、Y・・プリンター前後方向、Y1・・プリンター前後方向の前方、Y2・・プリンター前後方向の後方、Z・・プリンター上下方向
Claims (3)
- 第1カッター刃と、
前記第1カッター刃を予め定めた移動面に沿って移動させる第1カッター刃移動機構と、
前記第1カッター刃とともにシート状の媒体を切断する第2カッター刃と、
前記第2カッター刃を回転軸回りに揺動可能に支持する支持機構と、
前記第2カッター刃を、その刃先が前記第1カッター刃と擦接可能な擦接位置に付勢する付勢部材と、を有し、
前記第2カッター刃は、前記擦接位置において、前記回転軸と前記刃先とを結ぶ仮想線が前記移動面に傾斜して接することを特徴とするカッター。 - 請求項1において、
前記第2カッター刃を、前記擦接位置と前記移動面から離間する離間位置との間で前記回転軸回りに揺動させる第2カッター刃移動機構を有し、
前記第1カッター刃移動機構は、前記第1カッター刃を、前記媒体を切断する前進位置と当該前進位置から離間する後退位置との間で往復移動させ、
前記第2カッター刃移動機構は、前記第1カッター刃移動機構が前記第1カッター刃を前記前進位置から前記後退位置に移動させる前に記第2カッター刃を前記離間位置に配置することを特徴とするカッター。 - 請求項1または2に記載のカッターと、
印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷位置および前記カッターによる切断位置を経由する搬送路に沿って前記媒体を搬送する搬送機構と、
を有するプリンター。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10363677B2 (en) * | 2016-06-29 | 2019-07-30 | Seiko Epson Corporation | Printing apparatus and cutter device |
CN113427532A (zh) * | 2021-07-19 | 2021-09-24 | 江苏百瑞尔包装材料有限公司 | 一种可降解软包装膜及其生产设备 |
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-
2015
- 2015-01-05 JP JP2015000113A patent/JP2016124073A/ja active Pending
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