JP2016121143A - アンヒドロ糖アルコールの製造方法 - Google Patents

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【課題】アンヒドロ糖アルコールの収率を高めるための技術を提供する。
【解決手段】本発明のある態様のアンヒドロ糖アルコールの製造方法は、SiO/Al比が30以上400以下であるプロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト、及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で、(1)糖アルコールを脱水反応させてモノアンヒドロ糖アルコール及びジアンヒドロ糖アルコールの少なくとも一方を製造すること、及び(2)モノアンヒドロ糖アルコールを脱水反応させてジアンヒドロ糖アルコールを製造することの少なくとも一方を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、アンヒドロ糖アルコールの製造方法に関する。
従来、マンニトール、イディトール、ソルビトール、キシリトール及びエリスリトール等の糖アルコールを脱水環化することにより、アンヒドロ糖アルコールが得られることが知られている。得られるアンヒドロ糖アルコールは、化学品合成の原料や中間体として使用することができる。ソルビトールを脱水環化して得られるイソソルビドは、工業的に特に有用であり、例えば、医薬品、界面活性剤、プラスチック及びポリマー等の製造原料として用いることができる。例えば、イソソルビドは、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリカーボネートジオール及びポリエステル等の製造に用いられるモノマーとして有用である。また、イソソルビドの原料であるソルビトールは、様々な天然資源から誘導することができる。このため、イソソルビドは、ポリマー製造における再生可能な天然資源と考えることができる。
糖アルコールを脱水してアンヒドロ糖アルコールを生成する際に、種々の脱水触媒を用いることが知られている。従来、脱水触媒としては、効率的に脱水反応を進行させるために、強酸が用いられることが多かった。強酸を用いた場合、脱水反応は特殊な耐酸性反応容器内で進行させる必要があった。
これに対し、耐酸性反応容器を必要とせず、また触媒の分離や再使用が可能である、有機や無機の固体酸触媒を脱水反応に用いる例が報告されている。例えば、特許文献1には、スルホン化ポリスチレン等のカチオン性イオン交換樹脂及びこれらの混合物を、触媒として用いることが開示されている。また、非特許文献1〜3には、硫酸根をドープした金属酸化物やニオブ酸などの無機の固体酸を、触媒として用いることが開示されている。さらに、特許文献2,3には、酸性ゼオライトを触媒として用いることが開示されている。
米国特許第6849748号明細書 米国特許2004/0152907号明細書 特表2004−501117号公報
Appl.Catal.A,452,34−38(2013) Catal.Commun.12(6)544−547(2011) Bull.Korean Chem.Soc.31(12)3679−3683(2010)
酸性イオン交換樹脂は耐熱性が低い。一方、糖アルコールからのアンヒドロ糖アルコールの生成には、脱水反応を進行させるために高温の反応条件が必要とされる。このため、脱水触媒として酸性イオン交換樹脂を用いた場合、脱水反応を十分に進行させることができないおそれがあった。また、硫酸根をドープした金属酸化物やニオブ酸などの無機の固体酸を脱水触媒として用いる従来の方法は、脱水反応の反応速度や、アンヒドロ糖アルコールの収率が不十分であった。また、酸性ゼオライトを脱水触媒として用いる従来の方法は、触媒性能や反応成績が低く、アンヒドロ糖アルコールの工業的な製法としては不十分であった。
糖アルコールの脱水によりアンヒドロ糖アルコールを得る反応は、原料や生成物の性質のために一般に液相で実行される。また、この脱水反応は、溶媒の存在下で実施される場合もある。溶媒としては、水や、トルエン及びキシレン等の有機溶媒等が使用される。
また、脱水反応で生成する水を反応系外に除去することが有効であることも知られている。反応系外への水の除去について、ソルビトールからイソソルビドを製造するためのバッチ反応を例に説明する。ソルビトールの脱水反応によるイソソルビドの生成は、ソルビトールからソルビタン(1,4−モノアンヒドロソルビトール)への第1の脱水過程と、ソルビタンからイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール)への第2の脱水過程と、の2段階反応であると考えられている。このような2段階反応において、特に第2の脱水反応は、反応系中から水を除去することにより促進される。このため、特許文献2に開示された方法では、反応温度下で真空条件により水、又は、水とイソソルビドとを留出させて反応系から除去している。また、特許文献3に開示された方法では、反応温度下でガスを流通させることにより水、又は水とイソソルビドとを蒸発させて反応系から除去している。
しかしながら、水、又は水と生成物とを、真空条件下で留去する方法あるいはガス流通下で蒸発させる方法では、反応温度が高くなると生成物の分解が起こりやすくなる。また、原料、中間体、生成物の分子間脱水による重合や、炭化も起こりやすくなる。さらに、これらの方法では、水や生成物が留去、蒸発した結果、脱水反応の後半において反応器内の残存物の粘度が増大し、残留物の撹拌効率が低下するおそれがある。撹拌効率が低下すると、脱水反応の反応速度やアンヒドロ糖アルコールの収率が低下するとともに、反応終了後の触媒の分離も困難になる。一方、反応温度が低くなると、上述した分子間脱水は抑制されるが水の除去が困難になる。その結果、脱水反応の促進が妨げられ、アンヒドロ糖アルコールの収率の向上が困難になる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンヒドロ糖アルコールの収率を高めるための技術を提供することにある。
本発明のある態様は、アンヒドロ糖アルコールの製造方法である。この製造方法は、SiO/Al比が30以上400以下であるプロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト、及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で、(1)糖アルコールを脱水反応させてモノアンヒドロ糖アルコール及びジアンヒドロ糖アルコールの少なくとも一方を製造すること、及び(2)モノアンヒドロ糖アルコールを脱水反応させてジアンヒドロ糖アルコールを製造することの少なくとも一方を含む。
本発明によれば、アンヒドロ糖アルコールの収率を高めるための技術を提供することができる。
プロトン型のMCM−68型ゼオライトの粉末X線回折パターンを示す図である。 プロトン型のCIT−1型ゼオライトの粉末X線回折パターンを示す図である。
以下、本発明につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明者らは、脱水触媒の存在下で糖アルコールを分子内脱水させてアンヒドロ糖アルコールを製造する方法について鋭意検討を重ねた結果、脱水触媒として特定の酸性ゼオライトを用い、この脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で糖アルコールの脱水反応を行うことで、アンヒドロ糖アルコールを高収率、高選択的に製造できることを見出した。
すなわち、本実施の形態に係るアンヒドロ糖アルコールの製造方法は、SiO/Al比が30以上400以下であるプロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト、及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で、(1)糖アルコールを脱水反応させてモノアンヒドロ糖アルコール及びジアンヒドロ糖アルコールの少なくとも一方を製造すること、及び(2)モノアンヒドロ糖アルコールを脱水反応させてジアンヒドロ糖アルコールを製造することの少なくとも一方を含む。以下、本実施の形態に係る製造方法に用いられる原料、触媒、反応条件等について説明する。
(原料)
本実施の形態に係る製造方法では、反応の原料、すなわち脱水反応の反応物として、少なくとも1種類の糖アルコール又はモノアンヒドロ糖アルコールが用いられる。原料として用いる糖アルコールとしては、ヘキシトール、ペンチトール及びテトリトールが好適である。より好ましい糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、イディトール、キシリトール、アラビニトール、リビトール、エリトリトール、及びトレイトールが挙げられる。さらに好ましい糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、エリトリトールが挙げられ、特に好ましくはソルビトールである。ソルビトールを原料とする場合、生成物であるアンヒドロ糖アルコールは、モノアンヒドロ糖アルコールであるソルビタン、及びジアンヒドロ糖アルコールであるイソソルビドの少なくとも一方である。モノアンヒドロ糖アルコールとしてのソルビタンは、ソルビトールから1分子脱水してなるソルビタンであり、好ましくは1,4−ソルビタンである。また、キシリトールを原料とする場合、生成物として、環化したC5モノアンヒドロ糖アルコールが得られる。また、エリスリトールを原料とする場合、生成物として、モノアンヒドロ糖アルコールであるエリスリタンが得られる。
また、原料として用いるモノアンヒドロ糖アルコールの例としては、ソルビタンが挙げられ、好ましくは1,4−ソルビタンである。ソルビタンを原料とする場合、生成物であるアンヒドロ糖アルコールは、ジアンヒドロ糖アルコールであるイソソルビドである。原料は、糖アルコール、モノアンヒドロ糖アルコール、及びこれらの混合物のいずれであってもよい。
ソルビトールは、グルコースの還元により得ることができるため、工業的な入手が容易である。このため、糖アルコールのなかでもソルビトールが原料として特に好ましい。ソルビトールの脱水反応で得られるソルビタンやイソソルビドは、各種の化学品や医薬品の原料として、またポリウレタン、ポリカーボネート及びポリエステル等のポリマー製造の原料として有用である。
本実施の形態の製造方法において原料となる糖アルコール及びモノアンヒドロ糖アルコールは、セルロースやグルコース等の天然資源から化学合成法や発酵法等で誘導されたものを用いることができる。この場合、化学合成法等で誘導された糖アルコール及びモノアンヒドロ糖アルコールを、単離精製せずに混合物の状態のまま使用してもよく、また単離精製したものを使用してもよい。本製造方法の脱水反応に供する出発物質の純度(例えば出発物質中の糖アルコール及びモノアンヒドロ糖アルコールの含有量)は、特に限定されないが、好ましくは90%以上(90質量%以上)、より好ましくは95%以上(95質量%以上)、さらに好ましくは98%以上(98質量%以上)である。出発物質の純度を高めることで、不純物に起因する副生物が、脱水反応で無視できないほど増大することを抑制することができる。これにより、副生物の分離工程や生成物の精製工程における効率の低下を抑制することができる。
(脱水触媒)
本実施の形態の製造方法において使用される脱水触媒は、プロトン型の酸性ゼオライトである。脱水反応を進行させるためには、原料である糖アルコールやその中間体が、脱水触媒の活性点にアクセスできなければならない。一方、糖アルコールの分子径は比較的大きい。このため、脱水触媒として使用されるゼオライトの構造としては、12員環以上の大きな孔径を有するゼオライトが好ましく、また12員環の孔径に加えて10員環の孔径をも有するゼオライトがより好ましい。また、脱水触媒として使用されるゼオライトの種類としては、FAU型、ベータ型、MCM−68型及びCIT−1型が好ましく、ベータ型、MCM−68型及びCIT−1型がより好ましい。
ここで、ベータ型ゼオライトとは、国際ゼオライト学会(IZA)によって規定されるフレームワークタイプコード(FTC)がBEA型(FTC表記は*BEA)である三次元構造のゼオライトを意味し、多くの場合、主として多形A(polymorph A)と多形B(polymorph B)との連晶、あるいは混晶であり、多形A及び/又は多形BのX線回折パターンと同等のパターンを与えるゼオライトである。また、MCM−68型ゼオライトとは、国際ゼオライト学会(IZA)によって規定されるフレームワークタイプコード(FTC)がMSE型である三次元構造のゼオライトを意味する。また、CIT−1型ゼオライトとは、国際ゼオライト学会(IZA)によって規定されるフレームワークタイプコード(FTC)がCON型である三次元構造のゼオライトを意味する。
また、脱水触媒として使用されるプロトン型のベータ型ゼオライトは、30以上400以下のSiO/Al比を有する。プロトン型のベータ型ゼオライトのSiO/Al比の下限値は、好ましくは75以上であり、より好ましくは100以上である。SiO/Al比の上限値は、好ましくは300以下であり、より好ましくは200以下である。一例としてのSiO/Al比は、150である。SiO/Al比を30以上とすることで、ゼオライトの活性点における酸性の強度が不足することを抑制することができ、また、反応条件下での脱水触媒の安定性の低下を抑制することができる。さらに、酸点の密度が高まって原料、中間体、生成物の分子間脱水重合が起こりやすくなることを抑制することができる。そして、これによりアンヒドロ糖アルコールの選択率が低下することを抑制することができる。また、SiO/Al比を400以下とすることで、酸点の数が不足することを抑制することができる。そして、これにより触媒量当たりの反応速度が低下することを抑制することができる。また、酸点の強度が高まることによる副反応の増大を抑制することができ、その結果としてアンヒドロ糖アルコールの選択率が低下することを抑制することができる。
脱水触媒として使用されるプロトン型のMCM−68型ゼオライトやプロトン型のCI1−1型ゼオライトは、好ましくは10以上400以下のSiO/Al比を有する。このように幅広いSiO/Al比を有するプロトン型のMCM−68型ゼオライトやプロトン型のCIT−1型ゼオライトがアンヒドロ糖アルコールを製造する際の脱水触媒として適している理由は、その特異な構造に起因する。すなわち、MCM−68型ゼオライトやCIT−1型ゼオライトは、12員環の孔径のみならず10員環の孔径をも有する。この特異な構造に起因して脱水反応に有利な酸点が形成されるため、アンヒドロ糖アルコールへの脱水反応が促進される。脱水触媒には、1種類のゼオライトが単独で用いられてもよいし、複数種類のゼオライトが混合されて用いられてもよい。
脱水触媒を脱水反応に供する際には、脱水触媒を予め反応器内に充填し、原料や溶媒を後から導入してもよいし、脱水触媒を原料や溶媒と混合した後に反応器内に導入してもよい。脱水触媒は、必要に応じて前処理が施されてもよい。この前処理としては、例えば不活性ガス気流下で脱水触媒を加熱すること等が挙げられる。脱水触媒の量は、特に限定されないが、原料の糖アルコール及びモノアンヒドロ糖アルコールの合計質量に対して、好ましくは1質量%以上500質量%以下、より好ましくは2質量%以上200質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上100質量%以下である。
脱水触媒としてのプロトン型のベータ型ゼオライトは、例えば以下のようにして調製することができる。すなわち、テフロン(登録商標)製ビーカー内に、42.0gのテトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(35質量%)と、15.9gの蒸留水とを加える。さらに、ビーカー内に0.51gのアルミニウムイソプロポキシドを加え、室温で30分撹拌する。その後、41.7gのオルトケイ酸テトラエチルを加え、60℃で撹拌する。オルトケイ酸テトラエチルの加水分解が完全に進行するまで、混合物の撹拌を続ける。得られる無色透明の溶液に4.35gのフッ化水素酸(47質量%)を加えると、濃いスラリーが得られる。得られるスラリーをテフロン(登録商標)製内筒を含むステンレス・スチール・オートクレーブに入れ、140℃で5日間撹拌しながら加熱する。得られる混合物をろ過処理に付して固体生成物を回収し、100℃で一晩乾燥させる。乾燥後の生成物をさらに580℃で5時間、空気中で焼成する。以上の工程により、プロトン型のベータ型ゼオライトが得られる。プロトン型のベータ型ゼオライトの製造方法については、M.A. Camblor, A. Corma, S. Valencia, J. Mater. Chem. 8 (1998) 2137-2145.を参照のこと。
脱水触媒としてのプロトン型のMCM−68型ゼオライトは、例えば以下のようにして調製することができる。すなわち、テフロン(登録商標)製ビーカー内に、8MのKOH水溶液4.69ミリリットルと、0.927gの水酸化アルミニウムと、5.58gのTEBOP(I)(N, N, N', N'-Tetraethylbicyclo[2.2.2]oct-7-ene-2,3:5,6-dipyrrolidinium diiodide)と、40.9gの蒸留水とを加え、室温で30分撹拌する。さらに、15.0gのコロイダルシリカ(40質量%)を加え、室温で4時間撹拌する。得られるスラリーをテフロン(登録商標)製内筒を含むステンレス・スチール・オートクレーブに入れ、160℃で16日間、静置しながら加熱する。
得られる混合物を遠心分離処理に付して固体生成物を回収し、乾燥させる。乾燥後の生成物をさらに600℃で5時間、空気中で焼成する。以上の工程により、MCM−68型ゼオライトが得られる。SiO/Al比が10であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを調製する場合、得られたMCM−68型ゼオライトについて、ゼオライト1gに対して50mlの比で1MのNHNO水溶液を用いて、イオン交換を施す。80℃で2時間加熱し、その後ろ過することでプロトン型のMCM−68型ゼオライトが得られる。SiO/Al比が10より大きいプロトン型のMCM−68型ゼオライトを調製する場合、得られたMCM−68型ゼオライトについて、ゼオライト1gに対して50mlの比で0.05−4MのHNO水溶液を用いて、酸処理を施す(SiO/Al比が13、18、33、47、60、70、86、130のとき、それぞれ0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、4MのHNO水溶液を使用)。リフラックス条件下で24時間反応させ、その後ろ過することでプロトン型のMCM−68型ゼオライトが得られる。プロトン型のMCM−68型ゼオライトの製造方法については、D.C. Calabro et al., US Patent 6049018 (2000)、S. Park et al., J. Catal., 319 (2014) 265-273.を参照のこと。
脱水触媒としてのプロトン型のCIT−1型ゼオライトは、例えば以下のようにして調製することができる。すなわち、テフロン(登録商標)製ビーカー内に、29.7gのTMMAOH(N, N, N-Trimethyl myrtanyl ammonium hydroxide)水溶液(37質量%)と、2.8gの蒸留水とを加える。さらに、ビーカー内に0.27gのアルミニウムイソプロポキシドを加え、次いで20.8gのオルトケイ酸エチルを加えた後、撹拌しながらエタノールを留去する。その後、2.1gのフッ化水素酸を加え、さらに、5質量%の割合でCIT−1型ゼオライトの種結晶を加えた後、テフロン(登録商標)製内筒を含むステンレス・スチール・オートクレーブに入れ、170℃で7日間、40rpmで撹拌しながら加熱する。得られる混合物をろ過処理に付して固体生成物を回収し、乾燥させる。乾燥後の生成物をさらに580℃で5時間、空気中で焼成する。以上の工程により、プロトン型のCIT−1型ゼオライトが得られる。プロトン型のCIT−1型ゼオライトの製造方法については、R. F. Lobo and M. E. Davis, J. Amer. Chem. Soc., 117 (1995) 3766-3779、S.I.Zones et al., J. Amer. Chem. Soc., 129 (2007) 9066-9079.を参照のこと。
(脱水反応の態様)
本実施の形態の製造方法において、脱水反応は加熱及び加圧の条件下で実施される。例えば、脱水反応は、脱水触媒が装填され加熱された反応器内で、且つ加圧下で実施される。反応の形式は、バッチ式であっても連続式であってもよい。反応器の形式としては、固定床型や懸濁床型が好適に用いられる。
脱水反応の反応温度は、好ましくは80℃以上300℃以下、より好ましくは100℃以上275℃以下、さらに好ましくは150℃以上250℃以下、特に好ましくは180℃以上220℃以下である。反応温度を300℃以下とすることで、原料、中間体、生成物の分子間反応による重合を抑制することができる。反応温度を80℃以上とすることで、1脱水体等の中間体が関与する副反応が無視できないほど増大することを抑制することができる。また、反応速度の低下を抑制することができる。例えば、ソルビトールの脱水反応は、反応温度200℃で、ソルビトール1molに対して脱水触媒としてのベータ型ゼオライトを90gとして実施される。
脱水反応の反応圧力は、好ましくは0.1MPa超あるいは大気圧超3MPa以下、より好ましくは0.15MPa以上2.5MPa以下、さらに好ましくは0.2Mpa以上2.0MPa以下である。脱水反応は、好ましくは密閉反応器内で実施される。これにより、反応器内をより確実に加圧状態とすることができる。この場合、反応器内は、反応器内の雰囲気ガス及び内容物の蒸気圧を利用して加圧状態とすることができる。例えば、反応器内は、水蒸気圧等により加圧状態となる。したがって、脱水反応の反応圧力は、反応器内の雰囲気ガス及び内容物の蒸気圧により定まる。また、この圧力は、反応温度により調整することができる。反応器内の雰囲気ガスとしては、例えばヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の、脱水反応に悪影響を与えない物質を用いることができる。
脱水反応は、溶媒の存在下で実施してもよい。使用される溶媒としては、トルエンやキシレン等の有機溶媒、水、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。好ましい溶媒は、水である。水を溶媒とする場合、原料となる糖アルコール及び/又はモノアンヒドロ糖アルコールを、水溶液として反応器に導入することも好適である。
脱水反応が終了すると、好ましくは、脱水触媒は反応系から分離される。脱水触媒の分離方法としては、ろ過を挙げることができる。ろ過の際、操作しやすくするために、反応系に水や溶媒が加えられてもよい。通常、ろ過等による脱水触媒の分離は、加熱及び/又は加圧の条件下で行われるが、反応温度に維持したまま脱水触媒をろ過等により分離してもよいし、内容物が固化しない程度まで温度を下げて分離してもよい。また、脱水触媒の分離方法としては、脱水触媒や生成物を含む反応液をフィルターに通す方法を挙げることができる。この場合、反応器に新たに原料を導入することで、連続的に脱水反応を遂行することができる。また、フィルターを通して一部の脱水触媒を反応器内から抜き出し、新しい脱水触媒を反応器内に加える等して、連続的に脱水反応を実施することも好適に行われる。
また、脱水触媒を分離する方法において、加圧下での脱水反応の終了後に、反応系を減圧して反応生成物や水を留去すること、あるいは、反応系に不活性ガスを導入して反応生成物や水を除去することも、好適に実施される。
分離された脱水触媒は、再び脱水反応に用いることができる。脱水反応に再利用する場合、脱水触媒に付着した生成物や重合物を水洗等の処理によって除去あるいは分離回収することで、また脱水触媒に付着した重合物等を焼成処理等で除去することで、脱水触媒を再生させることが好ましい。焼成処理は、脱水触媒の構造が熱により崩壊しない程度の温度で実施することが好ましい。焼成温度は、好ましくは400℃以上600℃以下、より好ましくは500℃以上580℃以下、さらに好ましくは530℃以上560℃以下である。
また、脱水反応の終了後、脱水触媒を中和することも好ましい。脱水触媒を中和することで、留去等の方法によって反応生成物を脱水触媒から容易に分離させることができる。脱水触媒の中和には、酸性ゼオライトの酸点を中和するために必要十分な量の、アルカリあるいはアルカリ土類水酸化物、これらの炭酸塩、アンモニア、尿素、及びこれらを水に溶解してなる水溶液を好適に用いることができる。
(生成されるアンヒドロ糖アルコールの精製、及び用途)
目的生成物であるアンヒドロ糖アルコール(モノアンヒドロ糖アルコール及び/又はジアンヒドロ糖アルコール)は、脱水触媒、溶媒及び副生成物から分離された後、必要に応じて精製される。精製方法は特に限定されないが、活性炭処理やイオン交換樹脂処理、晶析等が好適に用いられる。また、減圧下でアンヒドロ糖アルコール類を蒸留精製することも好ましい。なお、複数の精製方法が組み合わされてもよい。分離精製されたアンヒドロ糖アルコールは、それ自体が各種の化学品、医薬品及び界面活性剤の原料あるいは添加物として用いることができ、また、ポリカーボネート等の各種のポリマーの原料としても用いることができる。
以上説明した本実施の形態に係るアンヒドロ糖アルコールの製造方法では、SiO/Al比が30以上400以下であるプロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト、及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で、糖アルコールを脱水反応させてモノアンヒドロ糖アルコール及びジアンヒドロ糖アルコールの少なくとも一方が製造される。あるいは、上述の条件下で、モノアンヒドロ糖アルコールを脱水反応させてジアンヒドロ糖アルコールが製造される。これにより、脱水反応の速度を向上させることができ、また生成物を高い選択性をもって生成することができる。したがって、アンヒドロ糖アルコールの収率を高めることができる。
また、原料、中間体、生成物の分子間縮合による重合や炭化などの副反応も抑制することができるため、得られるアンヒドロ糖アルコールの精製工程を簡略化することができる。また、精製後のアンヒドロ糖アルコールの純度も高く、各種化学品やポリマーの原料として優れる。さらに、脱水触媒を容易に分離することができる。
したがって、本実施の形態に係るアンヒドロ糖アルコールの製造方法によれば、アンヒドロ糖アルコールの製造規模の増大や、製造過程での諸要因の変化に起因する、反応温度や圧力の変化、及び、原料、中間体、生成物や副生成物の濃度や滞留時間の変化等を低減することができる。この結果、目的とするアンヒドロ糖アルコールを効率よく製造することができる。よって、本実施の形態に係るアンヒドロ糖アルコールの製造方法は、工業的に有利な方法である。
以下に、ソルビトールの脱水反応によりイソソルビドを生成する方法を実施例に挙げて、本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、脱水触媒として合成したゼオライトのSiO/Al比は、ICPによる元素分析によって算出した。また、合成したゼオライトの構造は、粉末XRDで確認した。また、ゼオライトの酸量は、ゼオライトの酸点にピリジンを吸着させ、吸着したピリジンをIR測定により定量することで算出した。
(実施例1)
脱水触媒として、SiO/Al比が150であるプロトン型のベータ型ゼオライト(クラリアント触媒社製)を用いて、ソルビトールの脱水反応によりイソソルビドを合成した。具体的な合成手順は以下の通りである。すなわち、50ccのPFA製内筒、及びSUS製外筒を有するオートクレーブに、0.5Mのソルビトール水溶液(Aldrich試薬99%を使用、ソルビトール7.5mmol)、上述した脱水触媒0.5g、及びPFA製撹拌子を装填した。そして、当該オートクレーブを温度調節器とリボンヒーターを用いて200℃に加熱し、またこれにより加圧条件として、マグネチックスターラーで内容物を撹拌しながら脱水反応を行った。2時間が経過した後、オートクレーブを氷冷し、内容物をろ過して脱水触媒を除去した。内部標準物質として1−ブタノールを濾液に加え、配位子交換型(Ca2+−カチオン交換型)カラムを装着した液体クロマトグラフ(カラム温度80℃、溶離液水)で生成物等を分析した。結果を表1に示す。表1に示すように、ソルビトールの仕込み量に対して22mol%のイソソルビドが生成された。
(比較例1)
脱水触媒としてSiO/Al比が80であるプロトン型のZSM−5型ゼオライト(ゼオリスト社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して9mol%であった。
(比較例2)
脱水触媒としてSiO/Al比が110であるUSY型ゼオライト(東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して1mol%であった。
(比較例3)
脱水触媒としてSiO/Al比が220であるプロトン型のモルデナイト型ゼオライト(東ソー社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して6mol%であった。
(実施例2)
脱水触媒としてSiO/Al比が150であるプロトン型のベータ型ゼオライト(クラリアント触媒社製)を用い、100ccのSUS製オートクレーブに、0.5Mのソルビトール水溶液(ソルビトール7.5mmol)、及び、ゼオライト中のAlに対するソルビトールのモル比が50となる量の脱水触媒を装填した以外は実施例1と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して29mol%であった。
(実施例3)
脱水触媒としてSiO/Al比が300であるプロトン型のベータ型ゼオライト(ゼオリスト社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して16mol%であった。
(比較例4)
脱水触媒としてSiO/Al比が80であるプロトン型のZSM−5型ゼオライト(ゼオリスト社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して7mol%であった。
(比較例5)
脱水触媒としてSiO/Al比が110であるUSY型ゼオライト(東ソー社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して1mol%未満(<1)であった。
(比較例6)
脱水触媒としてSiO/Al比が90であるプロトン型のモルデナイト型ゼオライト(クラリアント触媒社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して8mol%であった。
(比較例7)
脱水触媒としてSiO/Al比が220であるプロトン型のモルデナイト型ゼオライト(東ソー社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して12mol%であった。
(比較例8)
脱水触媒としてSiO/Al比が25であるプロトン型のベータゼオライト(クラリアント触媒社製)を用いた以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して1mol%であった。
(実施例4)
反応時間を12時間とした以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、ソルビトールの転化率は100%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して77mol%であった。
(比較例9)
反応時間を12時間とした以外は比較例4と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、ソルビトールの転化率は89%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して45mol%であった。
(比較例10)
反応時間を12時間とした以外は比較例7と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、ソルビトールの転化率は92%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して40mol%であった。
Figure 2016121143
実施例1と比較例1との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライトは、プロトン型のZSM−5型ゼオライトに比べて、イソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。また、実施例1と比較例2との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライトは、USY型ゼオライトに比べて、イソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。また、実施例1と比較例3との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライトは、プロトン型のモルデナイト型ゼオライトに比べて、イソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。これらの結果から、プロトン型のベータ型ゼオライトを用いることで、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。
実施例2及び実施例3と比較例4との比較からも、プロトン型のベータ型ゼオライトは、プロトン型のZSM−5型ゼオライトに比べてイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。実施例2及び実施例3と比較例5との比較からも、プロトン型のベータ型ゼオライトは、USY型ゼオライトに比べてイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。実施例2及び実施例3と、比較例6及び比較例7との比較からも、プロトン型のベータ型ゼオライトは、プロトン型のモルデナイト型ゼオライトに比べてイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。
実施例2及び実施例3と、比較例8との比較から、SiO/Al比が30以上であるプロトン型のベータ型ゼオライトは、SiO/Al比が30未満であるプロトン型のベータ型ゼオライトに比べて、イソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。これらの結果から、SiO/Al比が30以上であるプロトン型のベータ型ゼオライトを用いることで、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。
実施例4と、比較例9及び比較例10との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライトは、プロトン型のZSM−5型ゼオライト及びプロトン型のモルデナイト型ゼオライトに比べて、ソルビトールの転化速度及びイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。
(実施例5)
実施例4で用いた使用済み脱水触媒を回収した。そして、焼成温度550℃及び焼成時間8時間の条件で、回収した脱水触媒を空気で焼成し、これにより脱水触媒を再生した。再生された脱水触媒を用いて、実施例4と同様にしてソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。その結果、顕著な触媒活性の低下は見られなかった。この脱水反応と脱水触媒の再生とをさらに繰り返したが、3回目の再生処理を経た脱水触媒においても、顕著な活性低下は見られなかった。
(実施例6)
触媒量を0.15gとした以外は実施例2と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は40%であった。生成された1,4−ソルビタンは、ソルビトールの仕込み量に対して27mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して5mol%であった。
(参考例1)
プロトン型のMCM−68型ゼオライトを以下のようにして調製した。まず、テフロン(登録商標)製ビーカー内に、8MのKOH水溶液4.69ミリリットルと、0.927gの水酸化アルミニウムと、5.58gのTEBOP(I)(N, N, N', N'-Tetraethylbicyclo[2.2.2]oct-7-ene-2,3:5,6-dipyrrolidinium diiodide)と、40.9gの蒸留水とを加え、室温で30分撹拌した。さらに、15.0gのコロイダルシリカ(40質量%)を加え、室温で4時間撹拌した。得られたスラリーをテフロン(登録商標)製内筒を含むステンレス・スチール・オートクレーブに入れ、160℃で16日間、静置しながら加熱した。
得られた混合物を遠心分離処理に付して固体生成物を回収し、乾燥させた。乾燥後の生成物をさらに600℃で5時間、空気中で焼成した。以上の工程により、MCM−68型ゼオライトを得た。SiO/Al比が10であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを調製するために、得られたMCM−68型ゼオライトについて、ゼオライト1gに対して50mlの比で1MのNHNO水溶液を用いて、イオン交換を施した。80℃で2時間加熱し、その後ろ過することでプロトン型のMCM−68型ゼオライトを得た。また、SiO/Al比が10より大きいプロトン型のMCM−68型ゼオライトを調製するために、得られたMCM−68型ゼオライトについて、ゼオライト1gに対して50mlの比で0.05−4MのHNO水溶液を用いて、酸処理を施した(SiO/Al比が13、18、33、47、60、70、86、130のとき、それぞれ0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、4MのHNO水溶液を使用)。リフラックス条件下で24時間反応させ、その後ろ過することでプロトン型のMCM−68型ゼオライトを得た。得られたプロトン型のMCM−68型ゼオライトの粉末X線回折パターンを図1に示す。
(実施例7)
脱水触媒としてSiO/Al比が20であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は36%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して26mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して4mol%であった。
(実施例8)
脱水触媒としてSiO/Al比が36であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は52%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して34mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して10mol%であった。
(実施例9)
脱水触媒としてSiO/Al比が66であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は53%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して34mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して12mol%であった。
(実施例10)
脱水触媒としてSiO/Al比が120であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は38%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して25mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して5mol%であった。
(実施例11)
脱水触媒としてSiO/Al比が172であるプロトン型のMCM−68型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は31%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して20mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して4mol%であった。
(参考例2)
プロトン型のCIT−1型ゼオライトを以下のようにして調製した。まず、テフロン(登録商標)製ビーカー内に、29.7gのTMMAOH(N, N, N-Trimethylmytanylammonium hydroxide)水溶液(37質量%)と、2.8gの蒸留水とを加えた。さらに、ビーカー内に0.27gのアルミニウムイソプロポキシドを加え、次いで20.8gのオルトケイ酸エチルを加えた後、攪拌しながらエタノールを留去した。その後、2.1gのフッ化水素酸を加え、さらに、5質量%の割合でCIT−1型ゼオライトの種結晶を加えた後、テフロン(登録商標)製内筒を含むステンレス・スチール・オートクレーブに入れ、170℃で7日間、40rpmで撹拌しながら加熱した。得られた混合物をろ過処理に付して固体生成物を回収し、乾燥させた。乾燥後の生成物をさらに580℃で5時間、空気中で焼成した。以上の工程により、プロトン型のCIT−1型ゼオライトを得た。得られたプロトン型のCIT−1型ゼオライトの粉末X線回折パターンを図2に示す。
(実施例12)
脱水触媒としてSiO/Al比が50であるプロトン型のCIT−1型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は40%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して25mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して8mol%であった。
(実施例13)
脱水触媒としてSiO/Al比が100であるプロトン型のCIT−1型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は40%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して24mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して7mol%であった。
(実施例14)
脱水触媒としてSiO/Al比が150であるプロトン型のCIT−1型ゼオライトを用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は36%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して18mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して4mol%であった。
(比較例11)
脱水触媒としてSiO/Al比が80であるプロトン型のZSM−5型ゼオライト(ゼオリスト社製)を用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は13%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して7mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して1mol%であった。
(比較例12)
脱水触媒としてSiO/Al比が90であるプロトン型のモルデナイト型ゼオライト(クラリアント触媒社製)を用いた以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は14%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して10mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して1mol%であった。
(実施例15)
反応時間を24時間とした以外は実施例6と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は93%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して39mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して45mol%であった。
(実施例16)
反応時間を24時間とした以外は実施例9と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は99%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して19mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して68mol%であった。
(比較例13)
反応時間を24時間とした以外は比較例11と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は84%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して38mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して33mol%であった。
(比較例14)
反応時間を24時間とした以外は比較例12と同様にして、ソルビトールの脱水反応及び生成物の分析を行った。また、生成物の分析結果から、ソルビトールの転化率を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、ソルビトールの転化率は72%であった。生成された1,4−ソルビタンはソルビトールの仕込み量に対して52mol%であった。また、生成されたイソソルビドは、ソルビトールの仕込み量に対して12mol%であった。
Figure 2016121143
実施例6〜14と比較例11,12との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトは、プロトン型のZSM−5型ゼオライトやプロトン型のモルデナイト型ゼオライトに比べて、1,4−ソルビタン及びイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。これらの結果から、プロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトを用いることで、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。
実施例15,16と比較例13,14との比較から、プロトン型のベータ型ゼオライト及びプロトン型のMCM−68型ゼオライトは、プロトン型のZSM−5型ゼオライトやプロトン型のモルデナイト型ゼオライトに比べて、1,4−ソルビタンやイソソルビドの生成速度が速く、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが確認された。これらの結果から、プロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトを用いることで、アンヒドロ糖アルコールの収率を高められることが理解できる。

Claims (2)

  1. SiO/Al比が30以上400以下であるプロトン型のベータ型ゼオライト、プロトン型のMCM−68型ゼオライト、及びプロトン型のCIT−1型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種のゼオライトを含む脱水触媒の存在下、且つ加熱及び加圧の条件下で、(1)糖アルコールを脱水反応させてモノアンヒドロ糖アルコール及びジアンヒドロ糖アルコールの少なくとも一方を製造すること、及び(2)モノアンヒドロ糖アルコールを脱水反応させてジアンヒドロ糖アルコールを製造することの少なくとも一方を含むことを特徴とするアンヒドロ糖アルコールの製造方法。
  2. 前記糖アルコールはソルビトールであり、
    前記モノアンヒドロ糖アルコールはソルビトールから1分子脱水してなるソルビタンであり、
    前記ジアンヒドロ糖アルコールはイソソルビドである請求項1に記載のアンヒドロ糖アルコールの製造方法。
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