JP2016121082A - ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法 - Google Patents

ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ピペラジンをより選択的且つ高収率で得られるピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法を提供する。
【解決手段】 エチレンジアミンと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのアルキル化体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン類とを、BEA構造を有するゼオライトと接触させ反応を行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法に関する。
ピペラジン及びトリエチレンジアミンは、医農薬中間体、有機合成用触媒、化学吸着剤、又は抗菌剤として有用な化合物である。
ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成法としては、ゼオライトを触媒として使用し、エチレンジアミン類をゼオライトと接触させ、ピペラジンをトリエチレンジアミンと同時に製造する方法が知られている。
例えば、未処理のペンタシルゼオライトを使用してポリエチレンポリアミン又はエタノールアミンからトリエチレンジアミン及びピペラジンの混合物を製造する方法(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)が知られている。
また、酸性度の低いペンタシル型のゼオライト(具体的には、アルカリ金属イオンを含有するか又はゼオライト骨格のアルミニウムが鉄により同形的に置換されているペンタシル型のゼオライト)を触媒とし、エチレンジアミンからトリエチレンジアミン及びピペラジンを製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、本願出願人も、500〜950℃の温度にて焼成し、次いで、無機酸で接触処理された、アルミナに対するシリカのモル比が12以上の結晶性アルミノシリケートから成る触媒と、エチレンジアミン類とを接触させることにより、ピペラジン及びトリエチレンジアミンを製造する方法を既に特許出願している(例えば、特許文献3参照)。
これらの方法は、触媒として、MFI構造を有するペンタシル型のゼオライト、例えばZSM−5を使用する技術であるが、主生成物として得られるのはトリエチレンジアミンであり、ピペラジンの収率はトリエチレンジアミンに比べ低いものであった。ピペラジンを主生成物として得ようとした場合、原料の転化率を低くする必要があり、生産性に問題があった。
特開平01−143864号公報 特開平03−133971号公報 特開2000−344776公報
Journal of Catalysis,144,556,1993
本発明は、上記した背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピペラジンをより選択的且つ高収率で得られるピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、特定の原料と、BEA構造を有するゼオライトとを接触させることで、上記した課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりのピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法である。
[1]エチレンジアミンと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのアルキル化体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン類とを、BEA構造を有するゼオライトと接触させ反応を行うことを特徴とするピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
[2]BEA構造を有するゼオライトが、β型ゼオライト、β型メタロアルミノシリケート及びβ型メタロシリケートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]に記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
[3]BEA構造を有するゼオライトが、β型ゼオライト及びβ型鉄シリケートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]に記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
[4]アミン類の合計1モルに対して、エチレンジアミンが0.1モル以上10モル以下の範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
[5]アミン類が、ジエチレントリアミンを含有することを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
本発明の製造方法は、安価な原料を利用することができ、原料さらには副生物からピペラジンをより選択的且つ高収率で製造することができるため、経済性、生産性に優れ、工業的に有用な方法である。
また、本発明の製造方法は、簡便な方法で実施することができ、安全性、操作性にも優れるため、工業的に極めて有用である。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法は、エチレンジアミンと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのアルキル化体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン類とを、BEA構造を有するゼオライトと接触させ反応を行うことをその特徴とする。
本発明において、BEA構造を有するゼオライトとしては、国際ゼオライト学会で定義される構造コードBEAに属する骨格構造を有するゼオライトであれば、特に限定するものではないが、例えば、β型ゼオライト、β型ゼオライトの骨格のアルミニウムの代わりに他の金属種又は半金属種をゼオライト骨格に導入した、β型メタロアルミノシリケート又はβ型メタロシリケート等が挙げられる。
本発明において、β型メタロアルミノシリケート又はβ型メタロシリケートとしては、特に限定するものではないが、例えば、ゼオライト骨格中のアルミニウムを、ホウ素、ガリウム、チタン、鉄、クロム、及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種で同形置換した、BEA構造を有するゼオライトが挙げられる。これらのうち、ゼオライト骨格中のアルミニウムを鉄で同形置換したBEA構造を有するゼオライトである、β型鉄シリケートが好ましい。
上記したβ型メタロアルミノシリケート又はβ型メタロシリケートにおいて、ゼオライト骨格中のアルミニウムを他の金属種又は半金属種で同形置換したゼオライトの骨格を構成する元素としては、アルミニウムと、ホウ素、ガリウム、チタン、鉄、クロム、及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含有すればよく、2種以上を組み合わせて含有しても一向に差し支えない。また、本発明の製造方法に悪影響を与えない限り、上記した以外の元素を含有しても全く差し支えない。さらにはアルミニウムと同形置換する金属成分の割合についても特に限定されない。
本発明において、BEA構造を有するゼオライトを2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率としては特に制限はなく、任意に変えることができる。
本発明において、β型ゼオライトのSiO/Al(モル比)は特に限定されないが、例えば、25〜200の範囲のSiO/Al(モル比)であれば、触媒活性値がある程度高く、しかも、触媒が耐熱性に優れているので好ましい。
また、本発明において、β型鉄シリケートとしては、例えば、特開2011−148677公報に開示された、乾燥重量に対するフッ素の含有率が400ppm以下であり、走査型電子顕微鏡観察において結晶粒子が双四角錐台形状である鉄の全部又は一部をβ骨格構造中に含有するβ型鉄シリケートが好適なものとして挙げられる。当該β型鉄シリケートは、例えば、SiO/Al(モル比)が300以上、乾燥重量に対して少なくとも5.5重量%以上の鉄を含有するものである。そして、当該β型鉄シリケートは、例えば、鉄、シリカ、アルミナ、SDA(構造指向剤)からなる原料混合物であって、特に(SDA/SiO)モル比が0.10〜0.35の組成物を水熱結晶化することによって製造することができる。
本発明において、BEA構造を有するゼオライトを2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明においては、BEA構造を有するゼオライトに従来公知の方法で前処理を実施してもよい。例えば、当該ゼオライトのイオン交換サイトがプロトンで置換されたプロトン型のゼオライトが挙げられる。
本発明において、BEA構造を有するゼオライトは、通常、プロトン型として用いられるが、イオン交換法、吸着法等の公知の方法で水素イオンを各種金属イオンでイオン交換したゼオライト、含浸法等の公知の方法で金属を含浸したゼオライト、蒸発乾固法、共沈法等の公知の方法で金属を担持したゼオライト等を使用することができる。
イオン交換、含浸、又は担持する金属としては特に制限はないが、例えば、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cs、Ba、W、Pt、Au、La、Ce、Yb等が挙げられ、中でもコスト、反応性、及び安全性の観点からLi、Na、Mg、K、Ca、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Cs、Ba、La、及びCeからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、Na、Mg、K、Fe、Ni、Cu、La、及びCeからなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
本発明において、上記のゼオライトの形態は、反応形式に応じて自由に選択できる。例えば、連続反応に用いるときは成型体を使用することができ、また、回分反応に用いるときは粉末又は成型体を使用することができる。成型体の形状は、特に制限されず、球状、円柱状、円筒状、顆粒状、不定形等、反応形式に応じて自由に選択できる。ゼオライトの成型方法としては、例えば、打錠成型、押し出し成型、転動造粒、噴霧乾燥等、種々の方法が挙げられるが、特に限定されない。また、ゼオライトを成型する際には、例えば、粘土、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ等の公知の結合剤(バインダー)を用いることができる。
本発明において、原料として用いるエチレンアミン類は、エチレンジアミンと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのアルキル化体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン類との混合物である。好ましくはエチレンジアミンとジエチレントリアミンとの組合せである。エチレンジアミンとジエチレントリアミンとを組合せることで、ジエチレントリアミンのエチレンジアミンへの分解を抑制し、ジエチレントリアミンがピペラジン及びトリエチレンジアミンへ効率よく転位する効果が発揮される。エチレンジアミンと上記したアミン類とのいずれの組合せでも同様の効果が得られる。
本発明において、エチレンジアミンと上記したアミン類とのモル比は、特に限定するものではないが、上記したアミン類の合計1モルに対して、エチレンジアミンは、通常0.1モル以上10モル以下の範囲であり、好ましくは0.5モル以上8モル以下の範囲であり、さらに好ましくは1モル以上5モル以下の範囲である。上記したアミン類の合計1モルに対してエチレンジアミンを0.1モル以上とすることで、エチレンジアミンを添加しない場合と比べ、得られるピペラジン及びトリエチレンジアミンの選択性は向上するが、10モルを超えて使用してもさらなる添加効果の向上は望めない。
本発明において、原料として用いるエチレンアミン類が、例えば、エチレンジアミンとジエチレントリアミンとを含有する場合は、ジエチレントリアミン1モルに対して、エチレンジアミンは、0.1モル以上10モル以下の範囲であることが好ましく、0.5モル以上8モル以下の範囲であることがさらに好ましく、1モル以上5モル以下の範囲であることが特に好ましい。
本発明において、エチレンジアミンは、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの原料としても、反応の希釈剤としても作用する。したがって、ピペラジン及びトリエチレンジアミンを製造するため、エチレンジアミンが消費された場合は、ジエチレントリアミンに対して消費されたエチレンジアミンを追加して添加すればよい。一方、エチレンジアミンが希釈剤として用いられた場合、すなわち、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造に用いられていないときは、当該エチレンジアミンは、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造後、蒸留等の公知の方法で分離、回収し、本発明の反応に再び用いることができる。
本発明において、反応を行う際には、原料として用いるエチレンアミン類を希釈剤で希釈して反応させることが好ましい。希釈剤としては、特に限定するものではないが、例えば、窒素ガス、水素ガス、アンモニアガス、水蒸気、炭化水素等の不活性ガス、水、不活性な炭化水素等の不活性溶媒が挙げられる。これらのうち単独又は複数を用いて原料を希釈し、反応を進行させることが好ましい。これらの希釈剤は任意の量で使用できるがその限りではない。希釈剤の使用量としては、特に限定するものではないが、原料のエチレンアミン類の1〜50重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%の範囲である。希釈剤の使用量に対して、エチレンアミン類が1重量%以上とすることでピペラジン及びトリエチレンジアミンの生産性が向上し、50重量%以下とすることでピペラジン及びトリエチレンジアミンの選択性が向上する。
本発明において、反応における希釈剤は、原料として用いるエチレンアミン類と同時に反応器内に導入してもよく、予めエチレンアミン類を希釈剤に溶解させた後に、原料溶液として反応器に導入してもよい。
本発明において、反応は200〜500℃の温度範囲で実施することが好ましく、さらに250〜400℃の温度範囲で実施することが好ましい。200℃未満でも反応は進行するが、十分な反応速度が得られない場合があり、温度を下げる利点は少ない。また、500℃を越える温度で反応させると原料及び生成物が分解するおそれがあり、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの選択率が低下することがある。
また、本発明において、反応は、常圧〜50MPaの圧力範囲で実施することが好ましく、さらに0.1〜5MPaの圧力範囲で実施することが好ましい。50MPaを越える圧力で反応させても特別な効果はなく、安全面で工業的に不利となる。
本発明において、原料として用いるエチレンアミン類の供給量は、特に限定するものではないが、BEA構造を有するゼオライト1kgに対して、1時間当たり0.01〜10kgの範囲が好ましく、0.05〜5kgの範囲がさらに好ましい。供給量を0.01kg以上とすることでピペラジン及びトリエチレンジアミンの生産性が向上し、10kg以下とすることでピペラジン及びトリエチレンジアミンの選択性が向上する。
本発明において、反応は気相反応、液相反応で行うことができる。反応様式は回分式、半回分式、又は固定床のいずれの方法によって実施してもよい。使用する反応器は、例えば、槽型、管型等のいずれの形状でもよい。また、使用する触媒と反応液との分離は、ろ過、デカンテーション等の固体と液体とを分離する一般的な方法を用いることができる。また、蒸留等、公知の方法により触媒と反応液を分離することもできる。触媒と反応液の分離操作が不要である固定床で実施することが好ましい。
本発明において、得られたピペラジン及びトリエチレンジアミンと希釈剤とを分離する方法としては特に限定されず、例えば、蒸留等の公知の方法を用いることができる。分離された希釈剤は反応の希釈剤として再び用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
また、本実施例における原料の転化率、生成物の収率はガスクロマトグラフ分析で確認した。ガスクロマトグラフ分析はガスクロマトグラフGC−2014(島津製作所製)を用い、カラムにはDB−5(アジレント・テクノロジー社製)、検出器にはFIDを用いた。なお、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの収率はジエチレントリアミン換算とした。
実施例1 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
β型鉄シリケート(SiO/Al=800、SiO/Fe=27)を、特開2011−148677公報の実施例1に記載の方法に準じて製造した。
すなわち、3号珪酸ソーダ、98%硫酸、水及び硝酸鉄九水和物を混合し、生成したゲルを固液分離し、純水により洗浄した。洗浄後のゲルに所定量の水、35%テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAOH)及び48%NaOHを加えて十分に撹拌混合した。この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下150℃で90時間加熱してβ型鉄シリケートを結晶化した。
得られたβ型鉄シリケートを、加圧成型器で成型後、乳鉢で破砕、篩で分級し、3.5メッシュの成型体として、直径15mmのガラス反応管に20ml充填し、その上下部にそれぞれセラミックス製ラシヒリング(直径3mm×長さ3mm×厚さ1mm)を詰め、触媒層とした。
この触媒層の温度を320℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%であり、ピペラジンの収率は85モル%、トリエチレンジアミンの収率は10モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は96%であった。
実施例2 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン2モルとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は69モル%、トリエチレンジアミンの収率は12モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は100%であった。
実施例3 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン1モルとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は57モル%、トリエチレンジアミンの収率は15モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は100%であった。
実施例4 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン0.5モルとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は51モル%、トリエチレンジアミンの収率は15モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は100%であった。
実施例5 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
β型鉄シリケートの代わりに、β型ホウ素シリケート(SiO/Al=172、SiO/B=18、ケイ素源にNipsil VN3(東ソーシリカ製)、ホウ素源にホウ酸を用い、35%TEAOH及び48%NaOHを加えて十分に撹拌混合し、この反応混合物をステンレス製オートクレーブに密閉し、回転条件下60℃で14時間、140℃で5日間加熱して結晶化したもの)を触媒に用いたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は78モル%、トリエチレンジアミンの収率は15モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は57%であった。
実施例6 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
β型鉄シリケートの代わりに、市販のβ型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−930、SiO/Al=27)を触媒に用いたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は75モル%、トリエチレンジアミンの収率は25モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は70%であった。
実施例7〜11
表1に示す触媒及び反応条件とする以外は、実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合物を得た。結果を表1に併せて示す。
Figure 2016121082
比較例1 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
エチレンジアミンを添加しないこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は41モル%、トリエチレンジアミンの収率は13モル%であった。
比較例2 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
エチレンジアミンを添加しないこと以外は、実施例6に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は97%、ピペラジンの収率は39モル%、トリエチレンジアミンの収率は42モル%であった。
比較例3 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
β型鉄シリケートの代わりに、市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−860、SiO/Al=70)を触媒に用いたこと以外は、実施例2に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は64モル%、トリエチレンジアミンの収率は150モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は0%であり、トリエチレンジアミンが主生成物であった。
実施例12 (ピペラジン及びトリエチレンジアミンの合成)
市販のβ型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−930、SiO/Al=27)を、加圧成型器で成型後、乳鉢で破砕、篩で分級し、3.5メッシュの成型体として、直径15mmのガラス反応管に20ml充填し、その上下部にそれぞれセラミックス製ラシヒリング(直径3mm×長さ3mm×厚さ1mm)を詰め、触媒層とした。
この触媒層の温度を320℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率は100%であり、ピペラジンの収率は71モル%、トリエチレンジアミンの収率は32モル%、添加したエチレンジアミンの回収率は70%であった。
100時間後、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は68モル%、トリエチレンジアミンの収率は41モル%であり、添加したエチレンジアミンの回収率は73%であった。
200時間後、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は66モル%、トリエチレンジアミンの収率は38モル%であり、添加したエチレンジアミンの回収率は75%であった。
340時間後、ジエチレントリアミンの転化率は100%、ピペラジンの収率は66モル%、トリエチレンジアミンの収率は41モル%であり、添加したエチレンジアミンの回収率は81%であった。

Claims (5)

  1. エチレンジアミンと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びそれらのアルキル化体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン類とを、BEA構造を有するゼオライトと接触させ反応を行うことを特徴とするピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
  2. BEA構造を有するゼオライトが、β型ゼオライト、β型メタロアルミノシリケート及びβ型メタロシリケートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
  3. BEA構造を有するゼオライトが、β型ゼオライト及びβ型鉄シリケートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
  4. アミン類の合計1モルに対して、エチレンジアミンが0.1モル以上10モル以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
  5. アミン類が、ジエチレントリアミンを含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のピペラジン及びトリエチレンジアミンの製造方法。
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