JP2016120899A - 車両用制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた制動モータの遅角制御を適切に行う。【解決手段】車両用制動装置は、制動モータ72を有し、制動モータ72の駆動によって制動液圧を発生させるモータシリンダ装置と、ブラシレスモータである制動モータ72のロータに係る回転角及び回転速度を含むロータ回転情報を取得するロータ回転情報取得部112と、ロータに係る回転角を、目標制動液圧を実現するように制動モータ72の駆動制御を行う制動制御装置101と、を備える。制動制御装置101は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転速度が第2回転速度閾値を超えた際に、回転磁界を発生させるための電圧位相をロータが有する永久磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行う。【選択図】図2A

Description

本発明は、電動機を用いて車両を制動する車両用制動装置に関する。
例えばハイブリッド車両では、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムが採用されている。かかるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、運転者による制動操作量を電気信号に変換して、マスタシリンダに連通する制動液圧発生部におけるスレーブシリンダのピストンを駆動するための電動機に与える。すると、マスタシリンダとスレーブシリンダ間の制動液の流通を閉鎖弁により遮断した状態で、電動機によるピストンの駆動によって倍力された制動液圧がスレーブシリンダに発生する。こうしてスレーブシリンダに発生した制動液圧が、ホイールシリンダ(ディスクキャリパ)を作動させて制動力を発生させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−221995号公報
しかしながら、特許文献1に係るバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、目標となる制動液圧に係る変動の大きさや急峻さ、制動液圧発生用の電動機の回転速度を含む、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行う点で改善の余地があった。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことが可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、運転者の制動操作に基づく目標となる制動液圧(以下、“目標制動液圧”という。)に係る変動の大きさや急峻さ、制動液圧発生用の電動機の回転速度を含む制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の態様にふさわしい電動機の駆動制御態様とはいかなるものかについて調査・研究を行った。その調査・研究を通して、目標制動液圧と、制動液圧発生用の電動機に係る回転速度とを入力パラメータとして用い、この入力パラメータに応じて電動機の駆動制御を行えば、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を行うことができることを見出した。
また、電流位相を用いた電動機の進角制御を行う前提で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を行うためには、制動液圧発生用の電動機が有するロータの回転位置を取得するための回転位置センサに係る分解能を高めることが重要であることがわかった。例えばレゾルバは、電動機の巻線に流れる電流の位相を高い精度をもって検出することができる。
そこで、本発明者らは、例えば、レゾルバと比べてロータ回転位置に係る分解能は劣るがコスト削減効果では優位なホール素子を回転位置センサとして用いた場合であっても、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を行うべく、さらなる研究を重ねた。その結果、電流位相を用いた電動機の進角制御に代えて、電流位相と相関関係のある電圧位相を用いて電動機の進角制御を行えば、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができることを見出した。
特に、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放されると、制動液圧系内に蓄積された(揺り戻し)反力エネルギーが一気に解放される。こうしたケースでは、制動液圧の減圧側方向に前記の揺り戻し反力エネルギーが、電動機に連結された動力伝達機構(例えば、図1に示すボールねじ構造体80参照)に対して加えられる。このような揺り戻し反力エネルギーに対抗して目標制動液圧を実現するには、定格出力及び定格トルクに余裕のある(体格の大きい)電動機を用いる必要がある。しかし、電動機は、限りある車両スペースに搭載されるものであって、余裕のある仕様設計を行うことは困難な場合がある。
そこで、本発明者らは、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放された場合であっても、その際に生じる揺り戻し反力エネルギーに対抗して目標制動液圧を実現可能とする電動機の駆動制御態様について、さらなる研究を重ねた。その結果、目標制動液圧の実現が困難になるのは、特に、前記の揺り戻し反力エネルギーが生じたケースであることを突き止めた。そして、かかる揺り戻し反力に対抗するための要件を整理することによって、遂に本発明を完成させた。
(1)に係る発明は、車両の制動操作に応じて駆動される電動機を有し、該電動機の駆動によって制動液圧を発生させる制動液圧発生部と、前記電動機が有するロータに係る回転角及び回転速度を含むロータ回転情報を取得するロータ回転情報取得部と、前記制動操作に基づく目標制動液圧に係る目標制動液圧情報を取得する目標制動液圧情報取得部と、前記目標制動液圧を実現するように前記電動機の駆動制御を行う制御部と、を備え、前記電動機は、電気巻線に回転磁界を発生させるステータの内方に、磁石を有する前記ロータを回転自在に設けたブラシレスモータであり、前記制御部は、前記目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、前記ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行うことを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明によれば、制御部は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、回転磁界を発生させるための通電角の位相を磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行うため、この遅角制御によって逆起電力を発生させることでロータ回転速度の増大を抑制することができる。
その結果、(1)に係る発明によれば、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放された場合であっても、その際に生じる揺り戻し反力に対抗する力を創り出すことができるため、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記車両は、当該車両の挙動を安定化させる動作を行う車両挙動安定化装置を備え、前記制御部は、前記車両挙動安定化装置による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、前記遅角制御を行うことを特徴とする。
車両挙動安定化装置による制動液圧の減圧制御が介入すると、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放される傾向がある。このため、強い揺り戻し反力エネルギーを生じる頻度が多くなりがちである。
そこで、(2)に係る発明では、車両挙動安定化装置による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、制御部は、遅角制御を行う構成を採用することとした。
(2)に係る発明によれば、車両挙動安定化装置による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、制御部は、遅角制御を行うことで、車両挙動安定化装置による制動液圧に係る減圧制御の介入に由来する強い揺り戻し反力エネルギーに対抗する力を創り出すことができるため、(1)に係る発明と同様に、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
また、(3)に係る発明は、(1)又は(2)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記制御部は、前記目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、前記ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、当該減圧の幅が大きいほど前記通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を大きくすることを特徴とする。
(3)に係る発明によれば、制御部は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、当該減圧の幅が大きいほど通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を大きくするため、(1)又は(2)に係る発明に比べて、強い揺り戻し反力エネルギーに対抗可能な強い力(逆起電力)を創り出すことができる。その結果、(1)又は(2)に係る発明と同様に、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
本発明によれば、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の概略構成図である。 車両用制動装置が発揮する制動力を制御するための制動制御装置周辺のブロック構成図である。 モータドライバの内部構成を表す説明図である。 車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。 モータ回転速度が三通りに変化した際の、比較例に係る目標制動液圧に対応する進角量の関係、及び、モータ回転速度が二通りに変化した際の、実施例に係る目標制動液圧に対応する遅角量の関係を、対比して概念的に表す説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概要〕
本発明の実施形態に係る車両用制動装置10は、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムを備えている。
車両用制動装置10は、図1に示すように、一次液圧発生装置14と、モータシリンダ装置16となどを備えて構成されている。車両には、車両挙動安定化支援装置(ビークル・スタビリティ・アシスト装置;VSA装置:ただし、“VSA”は登録商標)18が搭載されている。一次液圧発生装置14、モータシリンダ装置16、VSA装置18は、図1に示すように、ブレーキ液を通流させる配管チューブ22a〜22fを介して相互に連通接続されている。
一次液圧発生装置14は、運転者がブレーキペダル12を介して入力操作した踏力を制動液圧(一次液圧)に変換する。一次液圧発生装置14は、図1に示すように、マスタシリンダ34、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60b、一対の制動液圧センサPm,Pp、並びに、ストロークシミュレータ64を備えて構成されている。
マスタシリンダ34は、ブレーキペダル12を介して入力操作される運転者の踏力を、制動液圧に変換する。第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bは、車両用制動装置10の正常作動時において、マスタシリンダ34と、四つの各車輪を制動するためのディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを含む)との間の連通を遮断することで、モータシリンダ装置16が発生する制動液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
一対の制動液圧センサPm,Ppは、マスタシリンダ34で発生した制動液圧を検出する機能を有する。ストロークシミュレータ64は、車両用制動装置10の異常作動時において、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、マスタシリンダ34で生じた制動液圧を吸収する役割を果たす。このとき、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64に至るブレーキ液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じるようになる。
モータシリンダ装置16は、図1に示すように、制動モータ72と、第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bが収容されるシリンダ構造体76と、などを備えて構成されている。制動モータ72と、第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bとの間には、制動モータ72の回転駆動力を第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bに伝達するための駆動力伝達部73が介在するように設けられている。モータシリンダ装置16は、制動モータ72の回転駆動力によって、制動液圧(二次液圧)を発生させる機能を有する。モータシリンダ装置16は、本発明の“制動液圧発生部”に相当する。
制動モータ72は、例えば、三相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1に回転磁界を発生させるステータ72Aと、このステータ72Aの内方に回転自在に設けられ、永久磁石72B1を有するロータ72Bと、を備えるIPM(Interior Permanent Magnet)型のブラシレスモータである。制動モータ72は、本発明の“電動機”に相当する。
駆動力伝達部73は、図1に示すように、制動モータ72の回転駆動力を伝達する減速機構78、及び、制動モータ72の回転駆動力をボールねじ軸部80aの軸方向に沿った直線方向駆動力に変換するボールねじ構造体80を含む動力伝達機構74を有している。
例えば、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放されると、制動液圧系内に蓄積された揺り戻し反力エネルギーが一気に解放される。こうしたケースでは、制動液圧の減圧側方向に前記の揺り戻し反力エネルギーが、第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bを介して、ボールねじ構造体80に加えられる。すると、ボールねじ構造体80は、図1の矢印で示す減圧側の方向に押し付けられて、シリンダ構造体76の内壁部76aに突き当てられる。前記のような揺り戻し反力エネルギーを緩衝するために、後記する制動制御装置101は、回転磁界を発生させるための電圧位相を、制動モータ72のロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御を行うように動作する。これについて、詳しくは後記する。
VSA装置18は、モータシリンダ装置16で発生した制動液圧に基づいて車両の挙動の安定化を支援する機能を有する。VSA装置18は、マスタシリンダ34で発生した制動液圧を検出する制動液圧センサPhや、ブレーキ液を加圧するための加圧ポンプ136や、加圧ポンプ136を駆動するためのポンプモータMなどを備えて構成されている。VSA装置18は、制動操作時における車輪のロックを防ぐALB(アンチロック・ブレーキ)機能、加速時等における車輪の空転を防ぐTCS(トラクション・コントロール・システム)機能、及び、旋回時の横すべり等を抑制する機能を有する。
なお、VSA装置18としては、ALB機能のみを有する構成を採用してもよい。VSA装置18は、本発明の“車両挙動安定化装置”に相当する。
図1におけるその他の要素については、本発明とは直接的な関係がないので、その説明を省略する。
〔車両用制動装置10の基本動作〕
ここで、車両用制動装置10の基本動作について説明する。
車両用制動装置10では、モータシリンダ装置16やバイ・ワイヤの制御を行う後記の制動制御装置101(図2A参照)の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、いわゆるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。
具体的には、正常作動時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、モータシリンダ装置16が発生する制動液圧(二次液圧)を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
このとき、ブレーキ液は、マスタシリンダ34から第3遮断弁62を介してストロークシミュレータ64に流れ込む。このため、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断されていても、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64へのブレーキ液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じる。
一方、車両用制動装置10では、モータシリンダ装置16や制動制御装置101が不作動である異常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、既存の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、異常時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ開弁状態とし、かつ、第3遮断弁62を閉弁状態として、マスタシリンダ34で発生する制動液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)に伝達して、ディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有する制動制御装置101の周辺構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有する制動制御装置101の周辺構成について、図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、車両用制動装置10が発揮する制動力を制御するための制動制御装置周辺のブロック構成図である。図2Bは、モータドライバ110の内部構成を表す説明図である。
制動制御装置101には、図2Aに示すように、入力系統として、ホールセンサ群103、ブレーキペダルセンサ105、VSA装置18、車速センサ(不図示)、モータ電流センサ(不図示)、制動液圧センサPm,Pp,Ph(図2A中では不図示)などが接続されている。
ホールセンサ群103は、図2Bに示すように、例えば、3つのホール素子103a,103b,103cから構成される。これらのホール素子103a,103b,103cは、ロータ72Bの回転方向に沿って120度の間隔を置いてそれぞれ設けられている。ホールセンサ群103は、3つのホール素子103a,103b,103cによってそれぞれ120度の位相差をもつロータ回転信号(回転方向及び回転速度の情報を含む)を検出し、検出したロータ回転信号を出力する機能を有する。ホールセンサ群103で検出されたロータ回転信号は、制動制御装置101へと送られる。ロータ回転信号は、本発明の“ロータ回転情報”に相当する。
ブレーキペダルセンサ105は、運転者によるブレーキペダル12の操作量(ストローク量)を検出する機能を有する。ブレーキペダルセンサ105で検出されたブレーキペダルストローク量に係る信号は、制動制御装置101へと送られる。
車速センサは、車両の速度(車速)を検出する機能を有する。車速センサで検出された車速信号は、制動制御装置101のモータ回転速度演算部112へと送られる。
モータ電流センサは、制動モータ72に流れる電流の値を検出する機能を有する。モータ電流センサで検出された制動モータ72に係る電流検出信号は、制動制御装置101のモータ回転速度演算部112へと送られる。
制動液圧センサPm,Pp,Phは、配管チューブ22a〜22fを含む各部の液圧を検出する機能を有する。制動液圧センサPm,Pp,Phでそれぞれ検出された制動液圧に係る信号は、制動制御装置101へと送られる。
一方、制動制御装置101には、図2Aに示すように、出力系統として、モータドライバ110が接続されている。
モータドライバ110は、図2Bに示すように、三相インバータ回路110Aと、インバータ駆動回路110Bとにより構成される。
三相インバータ回路110Aは、例えば蓄電池からなる直流電源BTから供給される直流電力を、パルス幅変調波信号(PWM信号)に基づいてu相・v相・w相の擬似正弦波である三相交流電力に変換し、変換後の擬似正弦波である三相交流電力を制動モータ72へ供給することで、制動モータ72の駆動制御を行う機能を有する。
詳しく述べると、三相インバータ回路110Aは、図2Bに示すように、第1〜第6のスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを有する。第1〜第6のスイッチング素子Sup〜Swnスイッチング素子としては、IGBT(Insulated-gate bipolar transistor)、電力用MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、電力用バイポーラトランジスタなどの半導体素子を用いることができる。
第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunは、第1の接続点Nd1を介して直列接続されている。第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunのそれぞれには、還流ダイオードDupおよび寄生ダイオードDunが逆並列接続されている。第1の接続点Nd1は、制動モータ72のu相動力線に接続されている。
第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnは、第2の接続点Nd2を介して直列接続されている。第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnのそれぞれには、還流ダイオードDvpおよび寄生ダイオードDvnが逆並列接続されている。第2の接続点Nd2は、制動モータ72のv相動力線に接続されている。
第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnは、第3の接続点Nd3を介して直列接続されている。第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnのそれぞれには、還流ダイオードDwpおよび寄生ダイオードDwnが逆並列接続されている。第3の接続点Nd3は、制動モータ72のw相動力線に接続されている。
第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunの直列接続回路、第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnの直列接続回路、および、第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnの直列接続回路のそれぞれは、正の直流母線PLおよび負の直流母線NLの間に、相互に並列に接続されている。
インバータ駆動回路110Bは、制動制御装置101において生成されるスイッチング制御信号(電圧指令Vu*,Vv*,Vw*;図2A参照)に従って、第1〜第6のスイッチング素子Sup〜Swnのスイッチング制御(PWM制御)を行うことにより、三相インバータ回路110Aを駆動させる機能を有して構成されている。
これにより、制動モータ72のステータ72Aが有する3相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1には、スイッチング制御信号に従ったモータ電流が順次流れる。その結果、制動モータ72は、スイッチング制御信号に従うトルクをもって駆動される。
制動制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータによって構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行する。
これにより、制動制御装置101は、ブレーキペダルストローク量に係る信号に基づいて、運転者の要求に応じた目標制動液圧を演算し、この演算による目標制動液圧及びロータ回転信号に基づいて、目標制動液圧を実現するための目標デューティを演算し、この演算による目標デューティ、及び、時々刻々と変動する制動状態を考慮して設定された電圧位相に係る進角量に基づいて、モータドライバ110に供給するためのスイッチング制御信号を生成するように動作する。
詳しく述べると、制動制御装置101は、目標制動液圧演算部111、モータ回転速度演算部112、目標デューティ演算部113、進角量設定部115、VdVq変換部117、及び、2軸三相変換部119を備えて構成されている。
目標制動液圧演算部111は、ブレーキペダルストローク量に係る信号に基づいて、運転者の制動に係る要求に応じた目標制動液圧を演算する機能を有する。目標制動液圧演算部111の演算結果(目標制動液圧)は、目標デューティ演算部113及び進角量設定部115にそれぞれ送られる。目標制動液圧演算部111は、本発明の“目標制動液圧情報取得部”に相当する。
モータ回転速度演算部112は、ホールセンサ群103により検出されたロータ回転信号に基づいて、モータ回転速度を演算する機能を有する。モータ回転速度演算部112の演算結果(モータ回転速度)は、進角量設定部115に送られる。また、モータ回転速度演算部112は、ロータ回転信号に基づく演算により求めたモータ回転速度Nmが、予め定められる第1回転速度閾値Nmth1を超えるか否かを判定する機能を有する。第1回転速度閾値Nmth1としては、運転者がブレーキペダル12をゆっくりと踏み戻すケースに適合する適宜の値(例えば、−2000rpmなど)を設定すればよい。
また、モータ回転速度演算部112は、ロータ回転信号に基づく演算により求めたモータ回転速度Nmが、予め定められる第2回転速度閾値Nmth2を超えるか否かを判定する機能を有する。第2回転速度閾値Nmth2としては、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放されたとみなせるケースに適合する適宜の値(例えば、−7500rpmなど)を設定すればよい。モータ回転速度演算部112は、本発明の“ロータ回転情報取得部”に相当する。
目標デューティ演算部113は、目標制動液圧演算部111の演算による目標制動液圧、及び、ホールセンサ群103により検出されたロータ回転信号に基づいて、目標デューティを演算する機能を有する。目標デューティ演算部113の演算結果(目標デューティ)は、VdVq変換部117に送られる。目標デューティは、目標制動液圧を実現するためのベクトル量である。
進角量設定部115は、目標制動液圧演算部111での演算による目標制動液圧、モータ回転速度演算部112での演算によるモータ回転速度、及び、制動状態の変動に応じた電圧位相に係る進角量を設定するための進角量マップ116に基づいて、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための電圧位相を、ロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して進ませる電圧位相に係る進角量を設定する機能を有する。進角量設定部115による設定内容(進角量)は、VdVq変換部117に送られる。進角量マップ116について、詳しくは後記する。なお、電圧位相に係る進角量とは、電圧位相に係る進角量及び遅角量の両者を含む概念である。
VdVq変換部117は、目標デューティ演算部113の演算により求められたベクトル量である目標デューティ、及び、進角量設定部115により設定された通電位相の進角量に基づいて、d軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を生成する機能を有する。VdVq変換部117により生成されたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*は、2軸三相変換部119に送られる。
2軸三相変換部119は、VdVq変換部117で生成されたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、制動モータ72のステータ72Aが有する三相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1に供給するための電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する機能を有する。2軸三相変換部119により変換された電圧指令Vu*,Vv*,Vw*は、モータドライバ110に送られる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概略動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概略動作について、図3を参照して説明する。図3は、車両用制動装置10の動作説明に供するフローチャート図である。
図3に示すステップS11において、制動制御装置101は、制動動作が生じたか否かを判定する。なお、ここでいう制動動作とは、運転者による制動操作、及び、VSA装置18による減圧制御に基づく制動動作の両者を含む概念である。
ステップS11の判定の結果、制動動作が生じていない旨の判定が下された場合(ステップS11のNo)、制動制御装置101は、制動動作が生じるまで、ステップS11の処理を繰り返す。一方、ステップS11の判定の結果、制動動作が生じた旨の判定が下された場合(ステップS11のYes)、制動制御装置101は、処理の流れを次のステップS12へと進ませる。
ステップS12において、制動制御装置101は、制動動作が減圧要求(運転者がブレーキペダル12を踏み戻した)か否かを判定する。ステップS12の判定の結果、制動動作が減圧要求ではない(つまり、制動動作が昇圧要求である)旨の判定が下された場合(ステップS12のNo)、制動制御装置101は、処理の流れを処理の流れをステップS15へとジャンプさせる。一方、ステップS12の判定の結果、制動動作が減圧要求である旨の判定が下された場合(ステップS12のYes)、制動制御装置101は、処理の流れを次のステップS13へと進ませる。
ステップS13において、制動制御装置101のモータ回転速度演算部112は、ロータ回転信号に基づく演算により求めたモータ回転速度Nmが、第1回転速度閾値Nmth1を超えるか否かを判定する。ステップS13の判定の結果、モータ回転速度Nmが第1回転速度閾値Nmth1を超えない旨の判定が下された場合(ステップS13のNo)、制動制御装置101は、処理の流れをステップS16へとジャンプさせる。一方、ステップS13の判定の結果、モータ回転速度Nmが第1回転速度閾値Nmth1を超える旨の判定が下された場合(ステップS13のYes)、制動制御装置101は、処理の流れを次のステップS14へと進ませる。
ステップS14において、制動制御装置101のモータ回転速度演算部112は、ロータ回転信号に基づく演算により求めたモータ回転速度Nmが、第2回転速度閾値Nmth2を超えるか否かを判定する。ステップS14の判定の結果、モータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えない旨の判定が下された場合(ステップS14のNo)、制動制御装置101は、処理の流れをステップS17へとジャンプさせる。一方、ステップS14の判定の結果、モータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超える旨の判定が下された場合(ステップS14のYes)、制動制御装置101は、処理の流れをステップS18へとジャンプさせる。
ステップS15において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、昇圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る進角量を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる。
ステップS16において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、標準の電気角を用いてモータドライバ110に通電制御を行わせる。ここで、標準の電気角を用いてモータドライバ110に通電制御を行わせるとは、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、ロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して一致させることにより、制動制御装置101がモータドライバ110に通電制御を行わせることをいう。
ステップS17において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、通常減圧用に設定された電圧位相に係る進角量を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる。通常減圧用に設定された電圧位相に係る進角量について、詳しくは後記する。
ステップS18において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、減圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る遅角量を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる。減圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る遅角量について、詳しくは後記する。
〔進角量マップ116について〕
次に、制動状態の変動に応じた電圧位相に係る進角量(遅角量を含む)を設定する際に参照される進角量マップ116について、図4を参照して説明する。
図4は、モータ回転速度が三通りに変化した際の、比較例1〜3に係る目標制動液圧に対応する進角量の関係、及び、モータ回転速度が二通りに変化した際の、実施例1〜2に係る目標制動液圧に対応する遅角量の関係を、対比して概念的に表す説明図である。
図4に示す比較例1は、モータ回転速度Nmが2500rpm(昇圧側)と中速である際の、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量の関係を示す。比較例1では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量(ゼロより大きい)は、基本的に、目標制動液圧が大きいほど進角量が大きくなる右肩あがりの線形な特性を呈している。
図4に示す比較例2は、モータ回転速度Nmが5000rpm(昇圧側)と高速である際の、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量の関係を示す。比較例2では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量(ゼロより大きい)は、比較例1と同様に、基本的に、目標制動液圧が大きいほど進角量が大きくなる右肩あがりの線形な特性を呈している。
ただし、比較例2に係る特性線図は、比較例1に係る特性線図と比べて、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量が大きくなる特性を呈している。
要するに、比較例1及び比較例2では、進角量マップ116は、目標制動液圧の昇圧幅が大きいほど進角量が大きくなる特性を有することを表現している。なお、目標制動液圧が大であれば目標制動液圧の昇圧幅は大となる。また、モータ回転速度Nmが高速であれば目標制動液圧の昇圧幅は大となる。比較例1及び比較例2に係る進角量は、ステップ15の“昇圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る進角量”に相当する。
図4に示す比較例3は、モータ回転速度Nmが−2500rpm(減圧側)と中速である際の、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量の関係を示す。比較例3では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量は、0より大きい固定値となる特性を呈している。比較例3に係る進角量は、ステップS17の“通常減圧用に設定された電圧位相に係る進角量”に相当する。
ただし、比較例3に係る特性線図は、比較例1及び比較例2に係る特性線図と比べて、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量が小さくなる特性を呈している。
ちなみに、モータ回転速度Nmが−2000rpm(減圧側)〜2000rpm(昇圧側)となる低速領域では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量は、ゼロに設定される。一般に、モータ回転速度Nmが前記のように低速となる領域が、一般道路の走行において常用されている。このように常用される低速領域では、低騒音性の要請が大きい。そこで、かかる低速領域では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る進角量はゼロに設定されている。
図4に示す実施例1は、モータ回転速度Nmが−7500rpm(減圧側)と高速である際の、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る遅角量の関係を示す。実施例1では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る遅角量は、進み角の量を正とした場合、負の固定値となる特性を呈している。
図4に示す実施例2は、モータ回転速度Nmが−10000rpm(減圧側)とさらに高速である際の、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る遅角量の関係を示す。実施例2では、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る遅角量は、進み角の量を正とした場合、実施例1と同様に、負の固定値となる特性を呈している。
ただし、実施例2に係る特性線図は、実施例1に係る特性線図と比べて、目標制動液圧に対応する電圧位相に係る遅角量が大きくなる特性を呈している。
要するに、実施例1及び実施例2では、進角量マップ116は、目標制動液圧の減圧幅が大きいほど遅角量が大きくなる特性を有することを表現している。実施例1及び実施例2に係る遅角量は、ステップS15の“減圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る遅角量”に相当する。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、車両の制動操作に応じて駆動される制動モータ(電動機)72を有し、制動モータ72の駆動によって制動液圧を発生させるモータシリンダ装置(制動液圧発生部)16と、制動モータ72のロータ72Bに係る回転角及び回転速度を含むロータ回転情報を取得するモータ回転速度演算部(ロータ回転情報取得部)112と、制動操作に基づく目標制動液圧に係る目標制動液圧情報を取得する目標制動液圧演算部(目標制動液圧情報取得部)111と、目標制動液圧を実現するように制動モータ72の駆動制御を行う制動制御装置(制御部)101と、を備える。
制動モータ72は、電気巻線72A1に回転磁界を発生させるステータ72Aの内方に、永久磁石72B1を有するロータ72Bを回転自在に設けたブラシレスモータであり、制動制御装置101は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度Nmが予め定められる回転速度閾値(第2回転速度閾値Nmth2)を超えた際に、回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)をロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御(強め界磁制御)を行う。なお、ロータ回転速度Nmは、モータ回転速度と同義である。
第1の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、制動制御装置101は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えた際に、回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)をロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御(強め界磁制御)を行うため、この遅角制御(強め界磁制御)によって逆起電力を大きく発生させることでロータ回転速度の増大を抑制することができる。
その結果、第1の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放された場合であっても、その際に生じる揺り戻し反力に対抗する力を創り出すことができるため、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
さらに、第1の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、前記の揺り戻し反力エネルギーによってボールねじ構造体80がシリンダ構造体76の内壁部76aに突き当てられる力を和らげる効果を期待することができる。
また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、車両は、当該車両の挙動を安定化させる動作を行うVSA装置(車両挙動安定化装置)18を備え、制動制御装置101は、VSA装置18による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、遅角制御を行う構成を採用してもよい。
VSA装置18による装置による制動液圧の減圧制御が介入すると、強い制動動作が生じた後に、その制動動作が解放される傾向がある。このため、強い揺り戻し反力エネルギーを生じる頻度が多くなりがちである。
そこで、第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明では、VSA装置18による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、制動制御装置101は、遅角制御を行う構成を採用することとした。
第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、VSA装置18による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、制動制御装置101は、遅角制御を行うことで、VSA装置18による制動液圧に係る減圧制御の介入に由来する強い揺り戻し反力エネルギーに対抗する力(逆起電力)を創り出すことができるため、第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明と同様に、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
また、第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、制動制御装置101は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えた際に、当該減圧の幅が大きいほど電圧位相(通電角の位相)をロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角量を大きくする構成を採用することとした。
第3の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、制動制御装置101は、目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、ロータ回転情報に基づくロータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えた際に、当該減圧の幅が大きいほど電圧位相をロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角量を大きくするため、第1又は第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明に比べて、強い揺り戻し反力エネルギーに対抗可能な強い力(逆起電力)を創り出すことができる。その結果、第1又は第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明と同様に、制動状態が時々刻々と変動する中で、制動状態の変動に応じた電動機の駆動制御を適切に行うことができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の実施形態中、制動モータ72として、IPM型のブラシレスモータを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。制動モータ72として、IPM型のブラシレスモータに代えて、SPM(SurfacePermanent Magnet)型のブラシレスモータを採用してもよい。
また、本発明の実施形態中、制動動作が減圧要求であり(ステップS12のYes)、かつ、ロータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えた際に(ステップS14のYes参照)、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、減圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る遅角量を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる(ステップS18)例をあげて説明した。さらに、第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明では、VSA装置18による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、制動制御装置101は、遅角制御を行う構成を採用してもよい旨に言及した。
ただし、本発明は、VSA装置18による制動液圧の減圧制御が介入した場合のほか、運転者による制動操作が減圧要求であり、かつ、ロータ回転速度Nmが第2回転速度閾値Nmth2を超えた際であっても、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、減圧幅に応じた大きさの電圧位相に係る遅角量を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる構成をも、技術的範囲の射程に捉えている。
10 車両用制動装置
16 モータシリンダ装置(制動液圧発生部)
18 VSA装置(車両挙動安定化装置)
72 制動モータ(電動機)
101 制動制御装置(制御部)
111 目標制動液圧演算部(目標制動液圧情報取得部)
112 モータ回転速度演算部(ロータ回転情報取得部)

Claims (3)

  1. 車両の制動操作に応じて駆動される電動機を有し、該電動機の駆動によって制動液圧を発生させる制動液圧発生部と、
    前記電動機が有するロータに係る回転角及び回転速度を含むロータ回転情報を取得するロータ回転情報取得部と、
    前記制動操作に基づく目標制動液圧に係る目標制動液圧情報を取得する目標制動液圧情報取得部と、
    前記目標制動液圧を実現するように前記電動機の駆動制御を行う制御部と、を備え、
    前記電動機は、電気巻線に回転磁界を発生させるステータの内方に、磁石を有する前記ロータを回転自在に設けたブラシレスモータであり、
    前記制御部は、前記目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、前記ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行う
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
    前記車両は、当該車両の挙動を安定化させる動作を行う車両挙動安定化装置を備え、
    前記制御部は、前記車両挙動安定化装置による制動液圧の減圧制御が介入した場合に、前記遅角制御を行う
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用制動装置であって、
    前記制御部は、前記目標制動液圧を減圧させる要求が生じた場合であって、前記ロータ回転情報に基づくロータ回転速度が予め定められる回転速度閾値を超えた際に、当該減圧の幅が大きいほど前記通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を大きくする
    ことを特徴とする車両用制動装置。
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