JP2016120875A - 車両後部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバの共通化を図ることができる車両後部構造を提供する。【解決手段】車両後部構造は、車両後部の側部に車両前後方向に沿って配置されるリヤサイドメンバと、リヤサイドメンバの後側に配置され、後突荷重Pの入力に伴って圧縮変形する衝撃吸収部材50と、リヤサイドメンバの後端部14Rの下面14A1に少なくとも一部が重ねられた状態で当該後端部14Rに接合される補強部24と、補強部24の後端部から下側へ延出すると共に衝撃吸収部材50が接合される荷重受け部36と、荷重受け部36と補強部24の下壁部24Aとに亘って設けられ、車両前後方向の突出長さLが荷重受け部36から補強部24へ向かうに従って長くなる荷重伝達ビード部40と、を有する下側ブラケットとを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、車両後部構造に関する。
車両後部の側部に、車両前後方向に沿って配置されるリヤサイドメンバを備える車両後部構造が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
この種の車両後部構造において、車両後面に対する衝突体の衝突(以下、単に「後突」という)に伴って、リヤサイドメンバを車両上下方向に屈曲させることで衝突エネルギーを吸収する車両後部構造がある。この車両後部構造では、リヤサイドメンバを所定部(所定位置)で屈曲させるために、当該所定部に屈曲の起点となるビードや切欠き等の脆弱部が形成される。
特開2014−008835号公報 特開2009−262660号公報 特開2014−125000号公報 特開平8−175421号公報 特開2006−069279号公報
ところで、例えば車種や販売国(仕向け地)が異なる複数の車両において、部品の共通化等の観点から、同様の構成のリヤサイドメンバが採用されることがある。その一方で、車種や販売国によっては、リヤサイドメンバに求められる後突性能が異なる場合がある。具体的には、一部の車両では後突に伴ってリヤサイドメンバを屈曲させるが、他の車両では後突に伴ってリヤサイドメンバを屈曲させずに当該リヤサイドメンバを介して衝突荷重を車両前部へ伝達させる場合がある。
しかしながら、上記のようにリヤサイドメンバの所定部に脆弱部が形成されると、リヤサイドメンバ自体の車両前後方向の剛性が低くなり、後突に伴ってリヤサイドメンバが屈曲し易くなる。そのため、上記のようにリヤサイドメンバに求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバの共通化を図ることが困難になる可能性がある。
本発明は、上記の事情を考慮し、求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバの共通化を図ることができる車両後部構造を提供することを目的とする。
第1態様に係る車両後部構造は、車両後部の側部に車両前後方向に沿って配置されるリヤサイドメンバと、前記リヤサイドメンバの車両前後方向後側に配置され、車両前後方向後側からの荷重の入力に伴って圧縮変形する衝撃吸収部材と、前記リヤサイドメンバの車両前後方向の後端部の下面に少なくとも一部が重ねられた状態で該後端部に接合される補強部と、前記補強部の車両前後方向の後端部から車両上下方向下側へ延出すると共に前記衝撃吸収部材が接合される荷重受け部と、前記荷重受け部と前記補強部とに亘って設けられ、車両前後方向の突出長さが前記荷重受け部から前記補強部へ向かうに従って長くなる荷重伝達突出部と、を有する衝撃吸収部材用ブラケットと、を備える。
上記の構成によれば、リヤサイドメンバの車両前後方向の後端部には衝撃吸収部材用ブラケットが設けられる。この衝撃吸収部材用ブラケットは、補強部と、荷重受け部と、荷重伝達突出部とを有する。
補強部は、リヤサイドメンバの後端部の下面に少なくとも一部が重ねられた状態で当該後端部に接合される。これにより、リヤサイドメンバの車両上下方向の曲げ剛性が補強部の車両前後方向の前端側で急変する。
荷重受け部は、補強部の車両前後方向の後端部から車両上下方向下側へ延出する。この荷重受け部には、衝撃吸収部材が接合される。衝撃吸収部材は、リヤサイドメンバの車両前後方向後側に配置される。そして、後突に伴って衝撃吸収部材に車両前後方向後側から荷重が入力されると、衝撃吸収部材が圧縮変形する。これにより、後突に伴う衝突エネルギーが吸収される。また、衝撃吸収部材に入力された荷重は、荷重受け部を介してリヤサイドメンバに伝達される。
ここで、荷重受け部には、荷重伝達突出部が設けられる。この荷重伝達突出部は、荷重受け部と補強部とに亘って設けられると共に、車両前後方向の突出長さが荷重受け部から補強部に向かうに従って長くなる。
これにより、例えば、衝撃吸収部材から荷重伝達突出部に車両前後方向前側へ荷重が入力された場合は、荷重伝達突出部及び補強部を介してリヤサイドメンバの後端部に車両上下方向上側且つ車両前後方向前側へ荷重が伝達される。この結果、リヤサイドメンバの後端部が、曲げ剛性が急変する補強部の前端側を起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲する。これにより、後突に伴う衝突エネルギーが吸収される。
一方、衝撃吸収部材から補強部と荷重受け部とが出会う角部に車両前後方向前側へ荷重が入力された場合は、補強部を介してリヤサイドメンバの後端部に当該後端部の下面に沿って車両前後方向前側へ荷重が伝達される。この場合は、荷重に対してリヤサイドメンバが車両前後方向の剛性で抵抗する。そのため、リヤサイドメンバの後端部が補強部の前端側を起点として車両上下方向に屈曲し難くなる。したがって、後突に伴って衝撃吸収部材から荷重受け部に入力された荷重がリヤサイドメンバを介して車両前部へ伝達される。
このように第1態様に係る車両後部構造では、衝撃吸収部材用ブラケットに対する荷重の入力位置によって、後突に伴ってリヤサイドメンバを屈曲させるか否かが制御可能とされる。そして、衝撃吸収部材用ブラケットに対する荷重の入力位置は、例えば衝撃吸収部材の断面形状によって変更可能とされる。したがって、後突に伴ってリヤサイドメンバを屈曲させるか否かによって衝撃吸収部材の断面形状等を変更することにより、求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバの共通化を図ることができる。
第2態様に係る車両後部構造によれば、第1態様に係る車両後部構造において、前記衝撃吸収部材は、筒状に形成されると共に車両前後方向を軸方向として配置され、前記衝撃吸収部材の下壁部は、前記荷重伝達突出部の車両上下方向の下端部に対して車両前後方向後側に配置される。
上記の構成によれば、衝撃吸収部材の下壁部は、荷重伝達突出部における車両上下方向の下端部の車両前後方向後側に配置される。これにより、後突に伴って衝撃吸収部材に車両前後方向後側から荷重が入力された場合は、衝撃吸収部材の下壁部を介して荷重伝達突出部の下端部に荷重が伝達される。この荷重は、荷重伝達突出部及び補強部を介してリヤサイドメンバの後端部に車両上下方向上側且つ車両前後方向前側へ伝達される。これにより、リヤサイドメンバの後端部が、曲げ剛性が急変する補強部の前端側を起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲される。これにより、後突に伴う衝突エネルギーが吸収される。
このように第2態様に係る車両後部構造では、荷重伝達突出部における下端部の車両前後方向後側に衝撃吸収部材の下壁部が配置されることにより、後突時にリヤサイドメンバにおいて衝突エネルギーを吸収することができる。
第3態様に係る車両後部構造によれば、第2態様に係る車両後部構造において、前記衝撃吸収部材は、前記下壁部の車両幅方向の端部から車両上下方向上側且つ車両幅方向外側へ向けて延出する傾斜壁部を有し、前記荷重伝達突出部の前記下端部の車両前後方向後側には、前記下壁部と傾斜壁部とが出会う角部が配置される。
上記の構成によれば、荷重伝達突出部の下端部の車両前後方向後側に、衝撃吸収部材の下壁部と傾斜壁部とが出会う角部が配置される。これにより、後突に伴って車両前後方向後側から衝撃吸収部材に荷重が入力された場合に、下壁部の他の部位と比較して剛性が高い角部を介して荷重伝達突出部の下端部に荷重が伝達される。この結果、衝撃吸収部材の下壁部から荷重伝達突出部へ伝達される荷重の伝達効率が向上する。したがって、後突時に、リヤサイドメンバの後端部をより確実に屈曲させることができる。
第4態様に係る車両後部構造によれば、第1態様に係る車両後部構造において、前記衝撃吸収部材は、筒状に形成されると共に車両前後方向を軸方向として配置され、前記衝撃吸収部材の下壁部は、前記補強部と前記荷重受け部とが出会う角部の車両前後方向後側に配置される。
上記の構成によれば、衝撃吸収部材の下壁部は、衝撃吸収部材用ブラケットの補強部と荷重受け部とが出会う角部の車両前後方向後側に配置される。これにより、後突に伴って衝撃吸収部材に車両前後方向後側から荷重が伝達された場合に、衝撃吸収部材の下壁部を介して補強部と荷重受け部とが出会う角部に荷重が入力される。この荷重は、補強部を介してリヤサイドメンバの後端部に当該後端部の下面に沿って車両前後方向前側へ伝達される。そのため、リヤサイドメンバの後端部が補強部の前端側を起点として車両上下方向に屈曲し難くなる。したがって、衝撃吸収部材から荷重受け部に入力された荷重がリヤサイドメンバを介して車両前部へ伝達される。
このように第4態様に係る車両後部構造では、後突に伴って衝撃吸収部材からリヤサイドメンバの後端部に入力された荷重を、当該リヤサイドメンバを介して車両前部へ伝達することができる。
第5態様に係る車両後部構造によれば、第1態様〜第4態様の何れか1つに係る車両後部構造において、前記車両後部に車両幅方向に沿って配置されるリヤクロスメンバと、前記衝撃吸収部材用ブラケットよりも車両前後方向前側で前記リヤサイドメンバに接合され、前記リヤクロスメンバが取り付けられると共に、前記リヤサイドメンバに対する車両前後方向後側からの荷重の入力に伴い車両前後方向の後端側を起点として前記リヤサイドメンバを車両上下方向下側へ凸を成すように屈曲させるクロスメンバ用ブラケットと、を備える。
上記の構成によれば、クロスメンバ用ブラケットは、衝撃吸収部材用ブラケットよりも車両前後方向前側でリヤサイドメンバに接合される。これにより、車両前後方向後側からの荷重の入力に伴って、リヤサイドメンバがクロスメンバ用ブラケットの車両前後方向の後端側を起点として車両上下方向下側へ凸を成すように屈曲される。
このように本態様では、衝撃吸収部材用ブラケットの前端側に加え、クロスメンバ用ブラケットの後端側においてリヤサイドメンバが車両上下方向に屈曲されることにより、後突に伴う衝突エネルギーの吸収量が増加する。
また、後突に伴ってリヤサイドメンバが衝撃吸収部材用ブラケットの前端側及びクロスメンバ用ブラケットの後端側において車両上下方向に屈曲されることにより、リヤサイドメンバの変形形態(変形形状)が安定する。したがって、後突時にリヤサイドメンバにおいて衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。
第6態様に係る車両後部構造によれば、第5態様に係る車両後部構造において、前記車両後部に設けられ、後輪を支持するリヤサスペンションと、前記衝撃吸収部材用ブラケットと前記クロスメンバ用ブラケットとの間で前記リヤサイドメンバに接合され、前記リヤサスペンションが取り付けられると共に、前記リヤサイドメンバに対する車両前後方向後側からの荷重の入力に伴い車両前後方向の一端側を起点として前記リヤサイドメンバを車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲させるサスペンション用ブラケットと、を備える。
上記の構成によれば、サスペンション用ブラケットは、衝撃吸収部材用ブラケットとクロスメンバ用ブラケットとの間でリヤサイドメンバに接合される。これにより、車両前後方向後側からの荷重の入力に伴って、リヤサイドメンバがサスペンション用ブラケットの車両前後方向の一端側を起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲される。
このように本態様では、衝撃吸収部材用ブラケットの前端側及びクロスメンバ用ブラケットの後端側に加え、サスペンション用ブラケットの一端側においてリヤサイドメンバが車両上下方向に屈曲されることにより、後突に伴う衝突エネルギーの吸収量が増加する。
また、後突に伴ってリヤサイドメンバが衝撃吸収部材用ブラケットの前端側、クロスメンバ用ブラケットの後端側、及びサスペンション用ブラケットの一端側において車両上下方向に屈曲されることにより、リヤサイドメンバの変形形態(変形形状)がさらに安定する。したがって、後突時にリヤサイドメンバにおいて衝突エネルギーをさらに効率的に吸収することができる。
第7態様に係る車両後部構造によれば、第1態様〜第6態様の何れか1つに係る車両後部構造において、前記荷重伝達突出部は、車両幅方向外側から見て、前記補強部と前記荷重受け部とに亘る三角形状の荷重伝達ビード部を含む。
上記の構成によれば、荷重伝達突出部は、車両幅方向外側から見て、補強部と荷重受け部とに亘る三角形状の荷重伝達ビード部を含む。これにより、例えば、後突に伴って衝撃吸収部材から荷重伝達ビード部に荷重が入力されると、荷重伝達ビード部及び補強部を介してリヤサイドメンバの後端部に車両上下方向上側且つ車両前後方向前側へ荷重が伝達される。この結果、リヤサイドメンバの後端部が、曲げ剛性が急変する補強部の前端側を起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲される。したがって、後突時にリヤサイドメンバにおいて衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両後部構造によれば、求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバの共通化を図ることができる。
図1は、一実施形態に係る車両後部構造が適用された車両構造を車両幅方向外側から見た側面図である。 図2は、図1に示されるリヤサイドメンバを車両前後方向後側から見た後面図である。 図3は、図1に示されるリヤサイドメンバの車両前後方向の後端部を車両幅方向外側から見た側面図である。 図4は、図3に示されるリヤサイドメンバの車両前後方向の後端部を斜め下方から見た斜視図である。 図5は、図3に示されるリヤサイドメンバの車両前後方向の後端部を斜め前方から見た斜視図である。 図6は、図3に示されるリヤサイドメンバの車両前後方向の後端部を示す縦断面図である。 図7Aは、図1に示されるリヤサイドメンバの後突初期の変形状態を示す側面図である。 図7Bは、図1に示されるリヤサイドメンバの後突中期の変形状態を示す側面図である。 図7Cは、図1に示されるリヤサイドメンバの後突後期の変形状態を示す側面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両後部構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは車両前後方向前側を示している。また、矢印UPは、車両上下方向上側を示している。さらに、矢印OUTは、車両幅方向外側(車体左側)を示している。また、以下の説明における前後及び上下は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後及び車両上下方向の上下をそれぞれ意味する。
(車両後部構造)
図1には、本実施形態に係る車両後部構造10が適用された車両後部12が示されている。車両後部構造10は、一対のリヤサイドメンバ14と、上側ブラケット16と、下側ブラケット20と、衝撃吸収部材50と、リヤバンパリインフォースメント54とを備えている。
(リヤサイドメンバ)
一対のリヤサイドメンバ14は、車両後部12における両側の側部の骨格を構成する金属製の骨格部材である。この一対のリヤサイドメンバ14は、車両後部12の車両幅方向両側の側部に、車両前後方向に沿って配置されている。なお、図1には、一対のリヤサイドメンバ14のうち、車体左側のリヤサイドメンバ14のみが図示されている。また、本実施形態における車両後部12は、一例として、車両幅方向の中央部に対して左右対称に構成されている。
図2に示されるように、各リヤサイドメンバ14は、車両前後方向から見た断面形状が、車両上下方向上側が開口したハット状に形成されている。このリヤサイドメンバ14は、下壁部14A、一対の側壁部14B、及び一対のフランジ部14Cを有している。
下壁部14Aは、車両前後方向及び車両幅方向に沿って配置されている。また、一対の側壁部14Bは、下壁部14Aの車両幅方向の両端部から車両上下方向上側へ延出すると共に、車両幅方向に互いに対向している。さらに、一対のフランジ部14Cは、一対の側壁部14Bの上端部から車両幅方向外側へ延出している。この一対のフランジ部14Cには、車両後部12のフロアを形成する図示しないフロアパネルが接合される。
(上側ブラケット、下側ブラケット)
図3、図4、及び図5に示されるように、リヤサイドメンバ14の車両前後方向の後端部14Rには、上側ブラケット16及び下側ブラケット20が設けられている。上側ブラケット16及び下側ブラケット20は、例えば、金属製とされる。これらの上側ブラケット16及び下側ブラケット20には、後述する2種類の衝撃吸収部材50,60(図6参照)が取り付け可能とされている。
図6に示されるように、上側ブラケット16は、車両幅方向外側から見た断面形状がL字状に形成されている。この上側ブラケット16は、ベース部16A及び上側フランジ部16Bを有している。ベース部16Aは、リヤサイドメンバ14の後端部14Rにおける一対のフランジ部14Cに重ねられた状態で、当該フランジ部14Cに溶接等により接合されている。
上側フランジ部16Bは、ベース部16Aの車両前後方向の後端部から車両上下方向上側へ延出している。この上側フランジ部16Bには、当該上側フランジ部16Bを厚み方向に貫通する複数の貫通孔17(図4参照)が形成されている。各貫通孔17には、後述する衝撃吸収部材50,60の上側フランジ部52Aを上側フランジ部16Bに固定するための図示しないボルトが挿入される。なお、上側ブラケット16には、防水カバー18が取り付けられている。
図4及び図5に示されるように、下側ブラケット20は、ブラケット本体22及びフランジパネル28を有している。ブラケット本体22は、リヤサイドメンバ14の後端部14Rに接合される補強部24と、フランジパネル28が取り付けられる複数のフランジ部26A,26Bとを有している。なお、下側ブラケット20は、衝撃吸収部材用ブラケットの一例である。
補強部24は、車両前後方向から見た断面形状が、車両上下方向上側が開口したU字状(C字状)に形成されている。この補強部24は、下壁部24A及び一対の側壁部24Bを有している。下壁部24Aは、車両前後方向及び車両幅方向に沿って配置されている。また、一対の側壁部24Bは、下壁部24Aの車両幅方向の両端部から車両上下方向上側へ延出している。なお、下壁部24A及び一対の側壁部24Bには、例えば、位置決め用の貫通孔25がそれぞれ形成されている。
補強部24の内側には、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが挿入されている(嵌め込まれている)。そして、リヤサイドメンバ14の後端部14Rの下面14A1に補強部24の下壁部24Aが重ねられた状態で、当該後端部14Rに補強部24が溶接等により接合されている。これにより、補強部24の車両前後方向の前端24F側において、リヤサイドメンバ14の車両上下方向の曲げ剛性が急変している。そのため、後述する一方の衝撃吸収部材60(図6参照)からリヤサイドメンバ14の後端部14Rに後突荷重Pが入力された場合には、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが補強部24の前端24F側を起点として車両上下方向に屈曲し易くなる。
図4に示されるように、下壁部24Aには、フランジ部26Aが一体に形成されている。フランジ部26Aは、下壁部24Aの車両前後方向の後端部24A1から車両上下方向下側へ延出している。また、一対の側壁部24Bには、フランジ部26Bがそれぞれ一体に形成されている。各フランジ部26Bは、側壁部24Bの車両前後方向の後端部から車両幅方向外側へ延出している。これらのフランジ部26A,26Bにおける車両前後方向の前面に、フランジパネル28が重ねられた状態で溶接等によって接合されている。
フランジパネル28は、車両上下方向及び車両幅方向に沿って配置されている。図5に示されるように、フランジパネル28の上部には、車両上下方向上側が開口した矩形状の切欠き部30が形成されている。切欠き部30には、ブラケット本体22の補強部24が挿入されている。
切欠き部30の周縁部には、車両前後方向前側へ延出する延出部32が一体に形成されている。延出部32は、切欠き部30の周縁部に沿って延びており、車両前後方向から見て車両上下方向上側が開口したU字状に形成されている。また、延出部32は、補強部24の下壁部24A及び一対の側壁部24Bに重ねられた状態で、これらの下壁部24A及び一対の側壁部24Bに溶接等によって接合されている。この延出部32は、補強部24の一部を構成している。なお、下側の延出部32Aには、後述する荷重伝達ビード部40が形成されている。
フランジパネル28の下部における車両幅方向両側の部位は、後述する衝撃吸収部材50,60の下側フランジ部52B(図6参照)が固定される固定部28Aとされている。各固定部28Aには、当該固定部28Aを厚み方向(車両前後方向)に貫通する貫通孔34が形成されている。各貫通孔34には、固定部28Aに衝撃吸収部材50,60の下側フランジ部52Bを固定するための図示しないボルトが挿入される。
また、フランジパネル28の下部における車両幅方向の中間部28Bは、フランジ部26A(図4参照)に重ねられており、当該フランジ部26Aと共に荷重受け部36を形成している。この荷重受け部36には、後述する衝撃吸収部材50,60の下側フランジ部52Bが接合されると共に、後突に伴って衝撃吸収部材50,60から後突荷重が入力される。また、荷重受け部36には、車両幅方向に並ぶ一対の荷重伝達ビード部40が一体に形成されている。なお、荷重伝達ビード部40は、荷重伝達突出部の一例である。
一対の荷重伝達ビード部40は、車両幅方向外側から見て、荷重受け部36から車両前後方向前側へ突出すると共に、当該荷重受け部36と補強部24の下壁部24Aとに亘る三角形状のビード部とされている。また、各荷重伝達ビード部40は、図6に示されるように、補強部24の下壁部24Aと荷重受け部36とが出会う(接続される)角部42に形成されている。より具体的には、各荷重伝達ビード部40は、フランジパネル28の中間部28Bと下側の延出部32Aとが出会う(接続される)角部(稜線部)42を、車両前後方向前側且つ車両上下方向下側へ三角形状に突出させる(凹ませる)ことにより形成されている。
荷重伝達ビード部40は、フランジパネル28の中間部28Bから車両前後方向前側へ突出すると共に、その車両前後方向の突出長さLが荷重受け部36から補強部24へ向かうに従って長くなっている。これにより、荷重伝達ビード部40における突出方向先端側の稜線部40Aが、荷重受け部36から補強部24へ向うに従って車両前後方向前側へ向かうように車両上下方向に対して傾斜している。
(衝撃吸収部材)
図6に示されるように、本実施形態には、リヤサイドメンバ14に求められる後突性能に応じて、2種類の衝撃吸収部材50,60がある。各衝撃吸収部材50,60は、上側ブラケット16及び下側ブラケット20を介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに取り付けられる。また、各衝撃吸収部材50,60は、後突に伴って軸方向に圧縮変形して衝突エネルギーを吸収する金属製のクラッシュボックスとされる。
ここで、一方の衝撃吸収部材50は、後突に伴ってリヤサイドメンバ14の後端部14Rが屈曲させ、衝突エネルギーを吸収可能にする。これに対して他方の衝撃吸収部材60は、後突に伴ってリヤサイドメンバ14の後端部14Rを屈曲させずに当該リヤサイドメンバ14を介して後述する後突荷重Pを車両前部(図示省略)へ伝達可能にする。なお、以下では、先ず、一方の衝撃吸収部材50について説明し、他方の衝撃吸収部材60については衝撃吸収部材50との相違点を中心に説明する。
図1に示されるように、衝撃吸収部材50は、リヤサイドメンバ14の車両前後方向後側に配置されている。また、衝撃吸収部材50の車両前後方向後側には、リヤバンパリインフォースメント54が配置されている。リヤバンパリインフォースメント54は、車両後部12の後端側に車両幅方向に沿って配置されている。そして、後突時には、このリヤバンパリインフォースメント54を介して衝撃吸収部材50に車両前後方向前側へ向かう荷重(以下、「後突荷重」という)Pが入力される。
図6に示されるように、衝撃吸収部材50は、筒状に形成されると共に車両前後方向を軸方向として配置されている。この衝撃吸収部材50の車両前後方向の前端部には、フランジパネル52が設けられている。
フランジパネル52は、衝撃吸収部材50の前端部から車両上下方向上側へ延出する上側フランジ部52Aと、衝撃吸収部材50の前端部から車両上下方向下側へ延出する下側フランジ部52Bとを有している。上側フランジ部52Aは、上側ブラケット16の上側フランジ部16Bに重ねられた状態で当該上側フランジ部16Bに図示しないボルト等によって固定される。一方、下側フランジ部52Bは、下側ブラケット20のフランジパネル28に重ねられた状態で、当該フランジパネル28の固定部28A(図4参照)に図示しないボルト等によって固定される。
ここで、本実施形態の衝撃吸収部材50は、後突に伴って下側ブラケット20の荷重伝達ビード部40に後突荷重P2が伝達されるようにその断面形状等が設定されている。具体的には、図2に二点鎖線で示されるように、衝撃吸収部材50は、車両前後方向から見た断面形状が八角形状に形成されている。この衝撃吸収部材50は、上壁部50A、一対の上側傾斜壁部50B、一対の側壁部50C、一対の下側傾斜壁部50D、及び下壁部50Eを有している。なお、下側傾斜壁部50Dは、傾斜壁部の一例である。
図6に示されるように、上壁部50Aの車両前後方向の前端部50A1は、上側ブラケット16のベース部16Aと上側フランジ部16Bとが出会う(接続される)角部(稜線部)44の車両前後方向後側付近に配置されている。これにより、後突時には、衝撃吸収部材50の上壁部50Aから上側ブラケット16の角部44に後突荷重P1が伝達される。この後突荷重P1は、ベース部16Aを介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに、当該後端部14Rの一対のフランジ部14Cに沿って車両前後方向前側へ伝達される。
一方、下壁部50Eの車両前後方向の前端部50E1は、下側ブラケット20の荷重伝達ビード部40の車両前後方向後側に配置されている。これにより、後突時には、衝撃吸収部材50の下壁部50Eから荷重伝達ビード部40に後突荷重P2が伝達される。
また、図2に示されるように、下壁部50Eの車両幅方向の両端部からは、一対の下側傾斜壁部50Dが車両上下方向上側且つ車両幅方向外側へ向けてそれぞれ延出している。この下壁部50Eと一対の下側傾斜壁部50Dとが出会う(接続される)角部(稜線部)51は、荷重伝達ビード部40の車両上下方向の下端部40Lに対し、車両前後方向後側に配置されている。これにより、後突時には、下壁部50Eの他の部位よりも剛性が高い角部51から荷重伝達ビード部40の下端部40Lに後突荷重P2が伝達される。
なお、ここでいう「荷重伝達ビード部40の下端部40Lの車両前後方向後側に角部51が配置される」とは、角部51が荷重伝達ビード部40の下端部40Lの車両前後方向後側に厳密に位置する場合だけでなく、当該下端部40Lに後突荷重P2を伝達可能な範囲内で、角部51が下端部40Lに対して車両上下方向にずれる場合も含む概念である。
次に、他方の衝撃吸収部材60について説明する。他方の衝撃吸収部材60では、後突に伴って下側ブラケット20における補強部24の下壁部24Aと荷重受け部36とが出会う角部42に後突荷重P2が伝達されるようにその断面形状が設定されている。なお、上側ブラケット16及び下側ブラケット20に対する衝撃吸収部材60の取付構造は、衝撃吸収部材50と同様である。
具体的には、図6に二点鎖線で示されるように、衝撃吸収部材60の下壁部60Eにおける車両前後方向の前端部60E1は、角部42の車両前後方向後側に配置される。これにより、後突に伴って衝撃吸収部材60の下壁部60Eから角部42に後突荷重P2が伝達される。
なお、ここでいう「衝撃吸収部材60の下壁部60Eの前端部60E1が、角部42の車両前後方向後側に配置される」とは、前端部60E1が角部42の車両前後方向後側に厳密に位置する場合だけでなく、角部42に後突荷重P2を伝達可能な範囲内で前端部60E1が角部42に対して車両上下方向にずれる場合も含む概念である。
また、リヤサイドメンバ14及び衝撃吸収部材50,60を車両前後方向から見た断面における図心をそれぞれC14,C50,C60とすると、衝撃吸収部材60の図心C60は、衝撃吸収部材50の図心C50よりもリヤサイドメンバ14の図心C14に接近している。そのため、後突荷重Pは、衝撃吸収部材60からリヤサイドメンバ14の軸方向に沿って伝達され易くなる。
一方、衝撃吸収部材50の図心C50は、衝撃吸収部材60の図心C60よりもリヤサイドメンバ14の図心C14から車両上下方向下側に離れている。これにより、衝撃吸収部材50からリヤサイドメンバ14に後突荷重Pが伝達された場合に、リヤサイドメンバ14の後端部14Rに発生するモーメントMが大きくなるため、当該後端部14Rが車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲され易くなる。
(リヤクロスメンバ、リヤサイドサスペンションメンバ等)
図1に示されるように、車両後部構造10は、リヤクロスメンバ61と、クロスメンバ用ブラケット62と、リヤサスペンション64と、サスペンション用ブラケット68とを備えている。
リヤクロスメンバ61は、車両後部12に車両幅方向に沿って配置されており、一対のリヤサイドメンバ14の車両前後方向の中間部14Mに掛け渡されている。このリヤクロスメンバ61の車両幅方向両側の端部は、クロスメンバ用ブラケット62を介してリヤサイドメンバ14の上部に取り付けられている。
クロスメンバ用ブラケット62は、リヤサイドメンバ14の中間部14Mにおける外周面に接合されている。すなわち、クロスメンバ用ブラケット62は、下側ブラケット20よりも車両前後方向前側でリヤサイドメンバ14の下部における外周面に接合されている。
より具体的には、クロスメンバ用ブラケット62は、車両前後方向から見た断面形状が、車両上下方向上側が開口したU字状(C字状)に形成されている。このクロスメンバ用ブラケット62の内側にリヤサイドメンバ14が挿入されている(嵌め込まれている)。そして、リヤサイドメンバ14の下壁部14A及び一対の側壁部14Bにクロスメンバ用ブラケット62が溶接等によって接合されている。これにより、クロスメンバ用ブラケット62の車両前後方向の後端62R側において、リヤサイドメンバ14の車両上下方向の曲げ剛性が急変している。そのため、一方の衝撃吸収部材60からリヤサイドメンバ14の後端部14Rに後突荷重Pが入力された場合には、リヤサイドメンバ14の中間部14Mがクロスメンバ用ブラケット62の後端62R側を起点として車両上下方向に屈曲し易くなる。なお、クロスメンバ用ブラケット62には、後述するサスペンションメンバ66の前部(図示省略)も取り付けられる。
リヤサスペンション64は、車両幅方向に沿って配置されるサスペンションメンバ66を有している。サスペンションメンバ66は、一対のリヤサイドメンバ14に掛け渡された状態で、図示しない後輪を支持している。このサスペンションメンバ66の車両幅方向両側の端部は、サスペンション用ブラケット68を介してリヤサイドメンバ14の下部に取り付けられている。
サスペンション用ブラケット68は、下側ブラケット20とクロスメンバ用ブラケット62との間でリヤサイドメンバ14における下部の外周面に接合されている。より具体的には、サスペンション用ブラケット68は、車両前後方向から見た断面形状が、車両上下方向上側が開口したU字状(C字状)に形成されている。このサスペンション用ブラケット68の内側にリヤサイドメンバ14が挿入されている(嵌め込まれている)。そして、リヤサイドメンバ14の下壁部14A及び一対の側壁部14Bにサスペンション用ブラケット68が溶接等によって接合されている。これにより、サスペンション用ブラケット68の車両前後方向の前端68F側及び後端68R側でリヤサイドメンバ14の車両上下方向の曲げ剛性が急変している。
ここで、サスペンション用ブラケット68の前端68Fと後端68Rとでは、前端68Fの方が下側ブラケット20の補強部24の前端24Fとクロスメンバ用ブラケット62の後端62Rとの中間点Hに接近している。そのため、一方の衝撃吸収部材60からリヤサイドメンバ14の後端部14Rに後突荷重Pが入力された場合には、リヤサイドメンバ14がサスペンション用ブラケット68の前端68F側を起点として車両上下方向に屈曲し易くなる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
先ず、リヤサイドメンバ14の後端部14Rに上側ブラケット16及び下側ブラケット20を介して一方の衝撃吸収部材50が取り付けられた場合について説明する。
図1に示されるように、リヤバンパリインフォースメント54に車両前後方向後側から図示しない衝突体が衝突すると、次のようになる。すなわち、リヤバンパリインフォースメント54を介して衝撃吸収部材50に車両前後方向前側へ向かう後突荷重Pが入力される。この後突荷重Pの入力に伴って、衝撃吸収部材50が軸方向(車両前後方向)に圧縮変形する。これにより、後突に伴う衝突エネルギーが吸収される。
また、衝撃吸収部材50に入力された後突荷重Pは、上側ブラケット16及び下側ブラケット20を介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに伝達される。なお、以下では、衝撃吸収部材50の上壁部50Aに沿って流れる後突荷重Pを後突荷重P1とし、衝撃吸収部材50の下壁部50Eに沿って流れる後突荷重Pを後突荷重P2とする。
図6に示されるように、衝撃吸収部材50の上壁部50Aは、上側ブラケット16の角部44の車両前後方向後側付近に配置されている。これにより、後突荷重P1は、衝撃吸収部材50の上壁部50Aから上側ブラケット16のベース部16Aを介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに一対のフランジ部14Cに沿って車両前後方向前側へ伝達される。
一方、衝撃吸収部材50の下壁部50Eは、下側ブラケット20の荷重伝達ビード部40の下端部40Lに対して車両前後方向後側に配置されている。より具体的には、図2に示されるように、荷重伝達ビード部40の下端部40Lに対する車両前後方向後側には、下壁部50Eと一対の下側傾斜壁部50Dとが出会う(接続される)角部51が配置されている。これにより、後突荷重P2は、下壁部50Eの他の部位よりも剛性が高い角部51から荷重伝達ビード部40の下端部40Lに伝達される。したがって、後突に伴って衝撃吸収部材50の下壁部50Eから荷重伝達ビード部40へ伝達される後突荷重P2の伝達効率が向上する。
ここで、図6に示されるように、荷重伝達ビード部40は、荷重受け部36から車両前後方向前側へ突出すると共に当該荷重受け部36と補強部24の下壁部24Aとに亘って形成されている。また、荷重伝達ビード部40の車両前後方向の突出長さLは、荷重受け部36から補強部24の下壁部24Aに向かうに従って長くなっている。
これにより、後突に伴って衝撃吸収部材50に車両前後方向後側から入力された後突荷重P2は、衝撃吸収部材50の下壁部50Eを介して荷重伝達ビード部40の下端部40Lに伝達される。この後突荷重P2は、荷重伝達ビード部40及び補強部24の下壁部24Aを介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに車両上下方向上側且つ車両前後方向前側(矢印K方向)に伝達される。
この結果、図7Aに示されるように、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが、補強部24の前端24F側を起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲する。そして、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが屈曲すると、図7Bに示されるように、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが車両上下方向上側且つ車両前後方向前側(矢印a方向)へ移動し、リヤサイドメンバ14の中間部14Mがクロスメンバ用ブラケット62の後端62R側を起点として車両上下方向下側へ凸を成すように屈曲する。
さらに、リヤサイドメンバ14の中間部14Mが屈曲すると、図7Cに示されるように、リヤサイドメンバ14が折り畳まれるように変形する。このリヤサイドメンバ14の変形に伴って、リヤサイドメンバ14における下側ブラケット20とクロスメンバ用ブラケット62との間の部位が、サスペンション用ブラケット68の前端68Fを起点として車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲する。
このようにリヤサイドメンバ14が屈曲変形することにより、後突に伴う衝突エネルギーが吸収される。また、本実施形態では、下側ブラケット20の補強部24の前端24F側、クロスメンバ用ブラケット62の後端62R側、及びサスペンション用ブラケット68の前端68F側において、リヤサイドメンバ14を車両上下方向に屈曲させることにより、後突時のリヤサイドメンバ14の変形形態(変形形状)が安定する。したがって、後突時に、リヤサイドメンバ14において衝突エネルギーを効率的に吸収することができる。
次に、リヤサイドメンバ14の後端部14Rに上側ブラケット16及び下側ブラケット20を介して他方の衝撃吸収部材60が取り付けられた場合について説明する。
図6に二点鎖線で示されるように、衝撃吸収部材60の下壁部60Eは、車両幅方向外側から見て、下側ブラケット20の補強部24と荷重受け部36とが出会う(接続される)角部42の車両前後方向後側に配置される。
これにより、後突に伴って衝撃吸収部材60に車両前後方向後側から入力された後突荷重P2は、衝撃吸収部材60の下壁部60Eを介して角部42に伝達される。この後突荷重P2は、補強部24の下壁部24Aを介してリヤサイドメンバ14の後端部14Rに、当該後端部14Rの下面14A1に沿って車両前後方向前側へ伝達される。
この場合は、後突荷重Pに対してリヤサイドメンバ14が車両前後方向の剛性で抵抗する。そのため、リヤサイドメンバ14の後端部14Rが、下側ブラケット20の前端24F側を起点として車両上下方向に屈曲し難くなる。また、クロスメンバ用ブラケット62の後端62R側、及びサスペンション用ブラケット68の前端68F側についても同様に、リヤサイドメンバ14が車両上下方向に屈曲し難くなる。したがって、衝撃吸収部材60からリヤサイドメンバ14に伝達された後突荷重P1,P2は、当該リヤサイドメンバ14を介して車両前部へ伝達される。
このように本実施形態に係る車両後部構造10では、下側ブラケット20に対する後突荷重P2の入力位置によって、リヤサイドメンバ14を屈曲させるか否かが制御可能とされる。そして、下側ブラケット20に対する後突荷重P2の入力位置は、当該下側ブラケット20に取り付けられる2つの衝撃吸収部材50,60の断面形状によって変更される。より具体的には、下側ブラケット20に対する衝撃吸収部材50,60の下壁部50E,60Eの車両上下方向の位置(高さ)によって変更される。
したがって、例えば、後突に伴ってリヤサイドメンバ14を屈曲させる場合には、当該リヤサイドメンバ14の後端部14Rに一方の衝撃吸収部材50が取り付けられる。これに対して後突に伴ってリヤサイドメンバ14を屈曲させずに当該リヤサイドメンバ14を介して後突荷重P1,P2を車両前部へ伝達する場合には、当該リヤサイドメンバ14の後端部14Rに他方の衝撃吸収部材60が取り付けられる。これにより、リヤサイドメンバ14に求められる後突性能が異なる複数の車両において、リヤサイドメンバ14の共通化を図ることができる。
また、本実施形態では、リヤサイドメンバ14の後端部14Rを補強する補強部24の前端24Fを起点として、当該後端部14Rが車両上下方向に屈曲される。つまり、本実施形態では、リヤサイドメンバ14自体にビードや切欠き等の脆弱部が形成されていない。そのため、本実施形態では、リヤサイドメンバ14自体の車両前後方向の剛性が低下しないか、若しくは当該剛性の低下が低減される。したがって、上記のように後突に伴ってリヤサイドメンバ14を屈曲させるか否かの制御が容易になる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、荷重伝達ビード部40の下端部40Lに対する車両前後方向後側に衝撃吸収部材50の下壁部50Eの角部51が配置されるが、この下端部40Lの車両前後方向後側には、下壁部50Eにおける角部51以外の部位が配置されても良い。また、例えば、荷重伝達ビード部40に車両上下方向の中間部に対する車両前後方向後側に衝撃吸収部材50の下壁部50Eが配置されても良い。
また、上記実施形態では、荷重伝達ビード部40が車両幅方向外側から見て三角形状に形成されるが、荷重伝達ビード部40の形状はこれに限らない。荷重伝達ビード部40は、例えば、車両幅方向外側から見て稜線部40Aが車両前後方向の一方側へ凸を成すように湾曲されていても良い。
また、上記実施形態では、荷重伝達ビード部40の車両前後方向から見た断面形状が車両前後方向前側へ凸を成す三角形状に形成されるが、荷重伝達ビード部の車両上下方向から見た断面形状は、車両前後方向前側へ凸を成す矩形状や円弧状に形成されても良い。
また、上記実施形態では、下側ブラケット20に一対の荷重伝達ビード部40が形成されるが、下側ブラケット20には、少なくとも1つの荷重伝達ビード部40が形成されていれば良い。
また、荷重伝達突出部は、荷重伝達ビード部40に限らない。荷重伝達突出部は、例えば、荷重受け部36から車両前後方向前側へ突出するリブ等であっても良い。また、上記実施形態には、荷重伝達突出部としての荷重伝達ビード部40及び上記リブが組み合わされて適用されても良い。
また、上記実施形態では、下側ブラケット20の補強部24は、下壁部24A及び一対の側壁部24Bを有するが、補強部24は少なくとも下壁部24Aを有していれば良い。
また、上記実施形態では、上側ブラケット16と下側ブラケット20とが別体とされるが、上側ブラケット16と下側ブラケット20とは一体化されても良い。この場合、上側ブラケット16と下側ブラケット20とが一体化されたブラケットを衝撃吸収部材用ブラケットと捉えることができる。
また、上記実施形態では、衝撃吸収部材50,60を車両前後方向から見た断面形状が八角形状に形成されるが、衝撃吸収部材50,60を車両前後方向から見た断面形状は、例えば、四角形状や五角形状であっても良い。
また、上記実施形態では、後突に伴って、リヤサイドメンバ14がサスペンション用ブラケット68の前端68F側で車両上下方向に屈曲されるが、上記実施形態はこれに限らない。上記実施形態は、例えば、サスペンション用ブラケット68の後端68R側でリヤサイドメンバ14が車両上下方向に屈曲するように構成されても良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 車両後部構造
12 車両後部
14 リヤサイドメンバ
14A 下壁部
14A1 下面(リヤサイドメンバの下面)
14R 後端部(リヤサイドメンバの車両前後方向の後端部)
20 下側ブラケット(衝撃吸収部材用ブラケット)
24 補強部
24A 下壁部
24A1 下壁部の車両前後方向の後端部(補強部の車両前後方向の後端部)
26A フランジ部(荷重受け部)
28 フランジパネル
28B フランジパネルの中間部(荷重受け部)
36 荷重受け部
40 荷重伝達ビード部(荷重伝達突出部)
40L 下端部(荷重伝達突出部の車両上下方向の下端部)
42 角部(補強部と荷重受け部とが出会う角部)
50 衝撃吸収部材
50D 下側傾斜壁部(傾斜壁部)
50E 下壁部
51 角部(衝撃吸収部材の下壁部と傾斜壁部とが出会う角部)
60 衝撃吸収部材
60E 下壁部
61 リヤクロスメンバ
62 クロスメンバ用ブラケット
64 リヤサスペンション
68 サスペンション用ブラケット
P 荷重

Claims (7)

  1. 車両後部の側部に車両前後方向に沿って配置されるリヤサイドメンバと、
    前記リヤサイドメンバの車両前後方向後側に配置され、車両前後方向後側からの荷重の入力に伴って圧縮変形する衝撃吸収部材と、
    前記リヤサイドメンバの車両前後方向の後端部の下面に少なくとも一部が重ねられた状態で該後端部に接合される補強部と、前記補強部の車両前後方向の後端部から車両上下方向下側へ延出すると共に前記衝撃吸収部材が接合される荷重受け部と、前記荷重受け部と前記補強部とに亘って設けられ、車両前後方向の突出長さが前記荷重受け部から前記補強部へ向かうに従って長くなる荷重伝達突出部と、を有する衝撃吸収部材用ブラケットと、
    を備える車両後部構造。
  2. 前記衝撃吸収部材は、筒状に形成されると共に車両前後方向を軸方向として配置され、
    前記衝撃吸収部材の下壁部は、前記荷重伝達突出部の車両上下方向の下端部に対して車両前後方向後側に配置される、
    請求項1に記載の車両後部構造。
  3. 前記衝撃吸収部材は、前記下壁部の車両幅方向の端部から車両上下方向上側且つ車両幅方向外側へ向けて延出する傾斜壁部を有し、
    前記荷重伝達突出部の前記下端部の車両前後方向後側には、前記下壁部と傾斜壁部とが出会う角部が配置される、
    請求項2に記載の車両後部構造。
  4. 前記衝撃吸収部材は、筒状に形成されると共に車両前後方向を軸方向として配置され、
    前記衝撃吸収部材の下壁部は、前記補強部と前記荷重受け部とが出会う角部の車両前後方向後側に配置される、
    請求項1に記載の車両後部構造。
  5. 前記車両後部に車両幅方向に沿って配置されるリヤクロスメンバと、
    前記衝撃吸収部材用ブラケットよりも車両前後方向前側で前記リヤサイドメンバに接合され、前記リヤクロスメンバが取り付けられると共に、前記リヤサイドメンバに対する車両前後方向後側からの荷重の入力に伴い車両前後方向の後端側を起点として前記リヤサイドメンバを車両上下方向下側へ凸を成すように屈曲させるクロスメンバ用ブラケットと、
    を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両後部構造。
  6. 前記車両後部に設けられ、後輪を支持するリヤサスペンションと、
    前記衝撃吸収部材用ブラケットと前記クロスメンバ用ブラケットとの間で前記リヤサイドメンバに接合され、前記リヤサスペンションが取り付けられると共に、前記リヤサイドメンバに対する車両前後方向後側からの荷重の入力に伴い車両前後方向の一端側を起点として前記リヤサイドメンバを車両上下方向上側へ凸を成すように屈曲させるサスペンション用ブラケットと、
    を備える請求項5に記載の車両後部構造。
  7. 前記荷重伝達突出部は、車両幅方向外側から見て、前記補強部と前記荷重受け部とに亘る三角形状の荷重伝達ビード部を含む、
    請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車両後部構造。
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