JP2016113672A - 廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法 - Google Patents

廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有価金属であるニッケルやコバルトと、不純物であるリン及びフッ素とを完全に分離し、且つ、不純物を確実に回収して排水中の不純物負荷を上昇させないことが可能な、使用済みのリチウムイオン電池、即ち、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法を提供する。【解決手段】廃リチウムイオン電池より得られた有価金属含有物を、酸性溶液に混合して溶解した後に、浸出液と浸出残渣とに分離する浸出工程S11と、浸出工程S11で得られた浸出液に、中和剤を添加して、中和終液と中和澱物とに分離する中和工程S12と、中和工程S12で得られた中和終液について、酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、抽出後の有機溶媒と抽出残液とを得る溶媒抽出工程S13と、溶媒抽出工程S13で得られた抽出後の有機溶媒を、硫酸溶液で逆抽出することで逆抽出液を得る逆抽出工程S14とを含み、各工程において所定のpH値の領域に調整し、且つ各工程を順次経る。【選択図】図1

Description

本発明は、使用済みのリチウムイオン電池、即ち、廃リチウムイオン電池から、正極活物質に含まれるニッケルやコバルト等の有価金属を分離回収する廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法に関する。より詳しくは、分離回収された有価金属におけるリンやフッ素による汚染を、効率的に防止することが可能な廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法に関する。
近年、大気中に放出される硫黄酸化物や煤塵等に起因する広域的な大気汚染や炭酸ガス等による地球温暖化等の環境問題が、地球規模の課題としてクローズアップされている。
大気汚染や地球温暖化等の原因の一つに自動車の排気ガスがあり、排気ガスによる汚染を低減するため、自動車用の二次電池を搭載したハイブリッド自動車や電気自動車の生産や需要が加速的に増加している。自動車用二次電池としては、従来では、安全性と信頼性からニッケル水素電池が採用されてきたが、技術開発によるリチウムイオン電池の安全性と信頼性の向上に伴い、現在では、高電圧で高容量のリチウムイオン電池が採用されるケースが増えてきている。
また、原子力発電所の事故リスク低減についても社会的に重要な課題となっている。そのため、太陽光発電や風力発電等の新エネルギーによる発電プラントの新設が盛んに行われるようになると共に、HEMS(home energy management system)の普及も予想されており、電力貯蔵用の二次電池の重要性が高まっている。
更に、小型パーソナルコンピューターやスマートフォン等の移動式端末の普及と性能向上に伴って、小型二次電池についても需要が高まる一方である。そのため、移動式端末においても高容量で小型軽量化が可能であるという特徴を生かし、小型二次電池として主にリチウムイオン電池が利用されている。
つまり、現在では、上述した通りの様々な分野において、二次電池としてのリチウムイオン電池の利用が増加しつつあり、その需要は年々高まる一方である。
リチウムイオン電池は、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極基板に黒鉛等の負極活物質を固着させた負極材、アルミニウム箔からなる正極基板にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着させた正極材、アルミニウムや銅からなる集電体、ポリプロピレンの多孔質フィルム等の樹脂フィルム製セパレータ、電解液、電解質等が封入されたものである。
リチウムイオン電池には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の有機溶媒からなる非水系の電解液と、有価金属であるリチウムを構成したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)等の電解質とが用いられている。
このようなリチウムイオン電池は、用途や使用方法により耐用年数に差があるものの、必ず寿命を迎え、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池は、何れは廃棄される見込みである。現在では、使用済みのリチウムイオン電池(以下、「廃リチウムイオン電池」と称する。)から、上述した各部材に含まれる有価金属を回収して、資源としてリサイクルするための技術開発も進められている。
廃リチウムイオン電池から、有価金属であるニッケルやコバルトを回収する方法としては、例えば、廃リチウムイオン電池を炉に入れて熔解し、廃リチウムイオン電池を構成する合成樹脂等を燃焼して除去し、大部分の鉄をスラグ化して除去し、ニッケルを還元して鉄の一部と合金化したフェロニッケルとして回収する乾式処理方法が知られている。
乾式処理方法には、低コストで大量処理が可能であり、既存の製錬所の設備をそのまま利用できて処理に手間がかからないという利点がある。
しかしながら、乾式処理方法では、回収されたフェロニッケルから不純物を分離することは難しく、フェロニッケルはステンレスの原料以外の用途には適さない。
また、乾式処理方法は、特にコバルトやリチウムがスラグ中に分配されてスラグとして廃棄されてしまい、希少なコバルトやリチウムの回収という側面では望ましい方法とは言い難い。
つまり、乾式処理方法には、純度の低い有価金属が回収され、又は有価金属が回収できず、廃リチウムイオン電池に含まれている有価金属を、電池用にリサイクルが可能となる高純度の金属として回収することができないという問題がある。
一方、湿式処理による有価金属の回収方法としては、例えば、特許文献1に記載の回収方法が開示されている。
湿式処理方法によれば、リチウムイオン電池の廃材の硫酸浸出液に、中和剤と酸化剤を添加することによって、水溶液のpH値を3.5〜4.5、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を500mV以上として鉄とアルミニウムの一部を沈澱除去し、そこで得られた中和後液を、酸性リン酸エステル系抽出剤によって溶媒抽出に処することで、アルミニウム及びマンガンを有機溶媒に抽出し、その有機溶媒を逆抽出してアルミニウム及びマンガンを逆抽出液として回収した後、逆抽出液に中和剤を添加して、アルミニウムを沈澱除去することによって、マンガンを含有する水溶液を得ることができる。
ところで、湿式処理方法によって、廃リチウムイオン電池から有価金属であるニッケルやコバルトを回収する場合には、有価金属側に電解質であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)から持ち込まれるリンやフッ素が混入してしまうという問題がある。
なお、乾式処理方法を適用した場合には、リンやフッ素は基本的にスラグやダストに分配するため、有価金属を汚染することは無い。
リンやフッ素による有価金属の汚染問題に対して、特許文献2には、原料の洗浄過程でリンやフッ素を除去する技術が記載されている。
特許文献2には、リチウムイオン電池を解体する解体工程、電池解体物をアルコール又は水で洗浄する洗浄工程、洗浄した電池解体物を硫酸水溶液に浸漬して、正極基板から正極活物質を剥離する正極活物質剥離工程、剥離した正極活物質を酸性溶液で浸出する浸出工程、得られた浸出液から中和によりアルミニウム及び銅を分離除去する中和工程、中和後液からニッケル及びコバルトを分離回収するニッケル・コバルト回収工程、ニッケル・コバルト回収後の水溶液中のリチウムを溶媒抽出と逆抽出により濃縮した後、リチウムを炭酸リチウムの固体として分離回収するリチウム回収工程とを備える、リチウムイオン電池からの有価金属回収方法が開示されている。
更に、特許文献3では、リンやフッ素を含まないリチウムを効率的に回収する技術が提案されている。
特許文献3には、リチウムイオン電池から分離したヘキサフルオロリン酸リチウムを含有するリチウム含有溶液に、水酸化アルカリを添加してリン酸塩及びフッ化物塩の沈澱を形成させる沈澱形成工程と、その沈澱形成工程にて形成された沈澱を分離除去した後、濾液中のリチウムを酸性抽出剤による溶媒抽出と逆抽出により濃縮した後、炭酸化により炭酸リチウムとしてリチウムを回収するリチウム回収工程とを有する、リチウムの回収方法が開示されている。
特開2013−076112号公報 特開2007−122885号公報 特開2012−072464号公報
上述の通り、湿式処理方法によって廃リチウムイオン電池から有価金属であるニッケルやコバルトを回収する場合には、電解質であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)から持ち込まれるリンやフッ素が、有価金属側に混入してしまうという問題がある。
リンとフッ素は排水規制上の重要物質であるだけに、廃リチウムイオン電池の湿式処理方法では、水溶液中のリンとフッ素を確実に除去することが重要課題となる。
資源循環の理想である、廃電池から回収した元素の電池製造へのリサイクルを実現するための湿式処理方法であるが、その湿式処理によって排水による環境負荷が増大してはならない。
即ち、使用済みのニッケル水素電池に含まれている有価金属を、電池用にリサイクルが可能となる高純度の金属として回収することと、環境負荷の低減とは、両立させなければならない。
しかしながら、特許文献1では、アルミニウムとマンガンの分離回収方法が開示されているに過ぎず、ニッケル、コバルト、リチウム等の有価金属へのリンとフッ素の混入防止方法や、リンとフッ素の除去方法については触れられていない。
特許文献2には、原料の洗浄過程でリンやフッ素を除去する技術が記載されている。しかしながら、特許文献2では、リチウムイオン電池解体物に、洗浄されずに残留したリンやフッ素が、有価金属であるニッケルやコバルトに混入することになる。
特許文献3では、リンやフッ素を含まないリチウムを効率的に回収し、リンとフッ素を安定的に固定する技術が記載されている。しかしながら、特許文献3には、ニッケル、コバルトのリンやフッ素による汚染については触れられていない。
特許文献1〜3に記載されているように、廃リチウムイオン電池の湿式処理方法については、幾つか提案がなされている。しかしながら、現状では、リンとフッ素の処理について詳述しているものは少なく、回収される有価金属の品質や排水による環境負荷まで配慮した、低運転コスト、低設備コストの廃リチウムイオン電池の湿式処理方法が構築されているとは言い難い。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて考案されたものであり、有価金属であるニッケルやコバルトと、リンやフッ素とを完全に分離し、且つ、リンやフッ素を確実に回収して排水中のリンやフッ素負荷を上昇させないことが可能な、使用済みのリチウムイオン電池(以下、「廃リチウムイオン電池」と称する。)からの有価金属の回収方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法において、特に、不純物を有機溶媒に抽出するのでは無く、不純物を抽出残液に残して、有価金属であるニッケル及びコバルトのみを有機溶媒に抽出する方法に着目し、有価金属と不純物とを完全に分離し、且つ、不純物を確実に回収する方法について鋭意研究を重ねた。
その結果、浸出工程、中和工程を経て得られたリンやフッ素を含有するニッケル及びコバルト水溶液について、酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、ニッケル及びコバルトを一旦有機相中に移行させた後、硫酸溶液で逆抽出することにより、ニッケル及びコバルトと、リンやフッ素との完全分離が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、上記目的を達成するための本発明に係る廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法は、廃リチウムイオン電池から、湿式処理法によりニッケル及びコバルトを分離回収する廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、廃リチウムイオン電池より得られた有価金属含有物を、酸性溶液に混合して溶解した後に、浸出液と浸出残渣とに分離する浸出工程と、浸出工程で得られた浸出液に中和剤を添加して、中和終液とアルミニウムを含有する中和澱物とに分離する中和工程と、中和工程で得られた中和終液について、酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、ニッケル及びコバルトを含有する抽出後の有機溶媒とリン及びフッ素を含有する抽出残液とを得る溶媒抽出工程と、溶媒抽出工程で得られた抽出後の有機溶媒を、硫酸溶液で逆抽出することでニッケル及びコバルトを含有する逆抽出液を得る逆抽出工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、有価金属であるニッケルやコバルトと、不純物であるリンやフッ素とを完全に分離し、且つ、リンやフッ素を確実に回収して排水中のリンやフッ素負荷を上昇させずに、廃リチウムイオン電池から有価金属を回収することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収プロセスの概略を示す工程図である。
本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、以下の順序で図1を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
1.浸出工程
2.中和工程
3.溶媒抽出工程
4.逆抽出工程
本実施の形態に係る廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法(以下、単に「有価金属回収方法」と呼称する場合がある。)は、図1に示すように、廃リチウムイオン電池より得られた有価金属含有物を、酸性溶液に混合して溶解した後に、浸出液と浸出残渣とに分離する浸出工程S11と、浸出工程S11で得られた浸出液に、中和剤を添加して、中和終液と中和澱物とに分離する中和工程S12と、中和工程S12で得られた中和終液について、酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、抽出後の有機溶媒と抽出残液とを得る溶媒抽出工程S13と、溶媒抽出工程S13で得られた抽出後の有機溶媒を、硫酸溶液で逆抽出することで逆抽出液を得る逆抽出工程S14とを有するものである。
[1.浸出工程]
浸出工程S11では、図1に示すように、廃リチウムイオン電池に前処理を施して得られた有価金属含有物と酸性溶液とを混合及び加温して溶解することにより、有価金属を含んだ浸出液と浸出残渣とを得る。
浸出工程S11では、まず、廃リチウムイオン電池から有価金属含有物を得る方法について説明する。
リチウムイオン電池には、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極基板に黒鉛等の負極活物質を固着させた負極材、アルミニウム箔からなる正極基板にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着させた正極材、アルミニウムや銅からなる集電体、ポリプロピレンの多孔質フィルム等の樹脂フィルム製セパレータ、電解液、電解質等が封入されている。
リチウムイオン電池におけるこれらの構成物質のうち、有価金属として回収の対象となる物質は、正極基板に固着させたニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質である。
そこで、浸出工程S11では、廃リチウムイオン電池に前処理を施すことによって、廃リチウムイオン電池に含有される正極活物質を濃縮及び分離する必要がある。廃リチウムイオン電池に施される前処理は、どのような方法でも構わないが、主に破砕や篩別といった物理的操作によって行われる。
この前処理の一具体例としては、廃リチウムイオン電池を放電、還元焙焼、破砕、篩分離等の工程を経て処理する方法があり、その前処理方法によって、粉状の廃リチウムイオン電池の正極活物質、即ち有価金属含有物を得ることができる。そして、浸出工程S11では、得られた有価金属含有物を好適に使用することができる。
ただし、有価金属含有物には、不純物として除去の対象となる物質である、電解質のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)から持ち込まれるリンやフッ素のうち、分離されずに残留した一部のリンやフッ素、及びアルミニウム箔からなる正極基板から持ち込まれるアルミニウムが混入することになる。従って、有価金属回収方法では、後述する各工程により、有価金属含有物から不純物を分離除去する。
浸出工程S11では、上述した通り、前処理によって、有価金属として回収の対象となる物質である正極活物質を濃縮及び分離し、有価金属含有物を得ることができ、得られた有価金属含有物が処理原料となる。
有価金属含有物の化学組成は、廃リチウムイオン電池の正極活物質の化学組成やその前処理方法、前処理条件等によって大きな幅があるが、ニッケルが10〜20重量%、コバルトが1〜10重量%、リンが0.001〜2重量%、フッ素が1〜10重量%、アルミニウムが1〜10重量%程度である。
次に、浸出工程S11では、上述の有価金属含有物を酸性溶液で浸出することにより、浸出液と浸出残渣とを得る。
有価金属含有物には熱が加えられているため、その含有物中の電解液成分である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)は、下記式(1)に示す通りフッ化物塩やリン酸塩に変化しており、一部は酸に不溶となって浸出残渣側へ分配される。一方、有価金属含有物に含まれる大部分のリンやフッ素は、浸出工程S11において浸出液側へ分配される。
8LiNiO+LiPF
→ LiPO+6LiF+8Ni+6O ・・・(1)
また、有価金属含有物中に含まれる有価金属のうち、例えばニッケルは、下記式(2)に従って溶解される。
Ni+HSO → NiSO+H ・・・(2)
浸出工程S11では、浸出時における有価金属含有物と酸性溶液とを含む反応溶液のpH値を、少なくとも2以下とすることが好ましく、反応性を考慮すると、0.5〜1.5程度に制御することが更に好ましい。反応溶液のpH値が0.5未満では、後述する中和工程S12で用いる中和剤が増加する。一方、反応溶液のpH値が2を超えると、ニッケル、コバルト等の有価金属の浸出率が低下する。
浸出工程S11では、有価金属含有物の溶解反応が進むにつれてpH値が上昇するので、反応中にも酸性溶液を補加して、反応溶液のpH値を0.5〜1.5程度に保持することが好ましい。
有価金属含有物の溶解に用いる酸性溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸(無機酸)の他、有機酸等の溶液も使用可能である。コスト面、作業環境面、及び浸出液から更にニッケルやコバルト等を回収することを考慮すると、これらの中では、工業的に硫酸溶液を使用することが好ましい。
浸出工程S11において、実用的な満足できる反応速度を得るには、強酸下で80℃以上の液温に維持して浸出することが好ましい。
以上で説明した通り、浸出工程S11では、廃リチウムイオン電池に前処理を施して得られた有価金属含有物と酸性溶液とを混合及び加温して溶解することにより、浸出液と浸出残渣とが得られる。得られた浸出液には、主に、有価金属であるニッケル及びコバルトと、不純物であるアルミニウム、リン及びフッ素とが含まれている。
[2.中和工程]
中和工程S12では、図1に示すように、浸出工程S11で得られた浸出液を中和剤で中和して中和終液と中和澱物とが得られ、不純物の一部を中和澱物として除去する。
浸出工程S11で得られた浸出液には、正極活物質に由来するニッケルやコバルト等、正極基板に由来する微量のアルミニウム等、及び電解質に由来する微量のリンやフッ素等が含有されている。
中和工程S12では、浸出工程S11で得られた浸出液に中和剤を添加して得られた中和反応液のpH値を4.5〜6.0に調整することにより、不純物であるアルミニウム等を沈澱物として分離回収することができる。
浸出液中に含まれる不純物のうち、例えばアルミニウムは、下記式(3)に従って沈澱を生成する。
Al(SO+6NaOH
→ 2Al(OH)+3NaSO ・・・(3)
また、中和工程S12では、上記式(3)に従ってアルミニウムが水酸化アルミニウムとして沈澱する際に、浸出液中に含まれる不純物のうち、例えばリンやフッ素の一部が、下記式(4)に示すような共沈効果によって分離される。
2Al(SO+6NaOH+LiPO+3LiF
→ 2Al(OH)+AlPO+AlF+3NaSO+3LiSO ・・・(4)
中和剤としては、ソーダ灰や消石灰、水酸化ナトリウム等の一般的な薬剤を用いることができ、これらの薬剤は安価で取り扱いも容易である。
中和反応液のpH値は、中和剤の添加により4.5〜6.0に調整することが好ましい。中和反応液のpH値が4.5未満の場合には、アルミニウムの一部が中和反応液中に残留して、アルミニウムの沈澱率が低下する。一方、中和反応液のpH値が6.0より高い場合には、ニッケルやコバルトが同時に沈澱して、アルミニウムの沈澱物中に含有されるため好ましくない。
以上で説明した通り、中和工程S12では、浸出工程S11で得られた浸出液を中和剤で中和することにより、中和終液と中和澱物とが得られる。得られた中和終液には、主に、有価金属であるニッケル及びコバルトと、不純物であるリン及びフッ素とが含まれている。また、中和澱物には、主に、アルミニウムが含まれている。これにより、中和工程S12では、不純物であるアルミニウム等を中和澱物として分離除去することができる。
[3.溶媒抽出工程]
溶媒抽出工程S13では、図1に示すように、中和工程S12で得られた中和終液について、溶媒抽出処理を行うことにより、不純物を含んだ抽出残液と、有価金属を含んだ抽出後の有機溶媒(以下、「抽出後有機溶媒」と称する。)とを得る。
ここで、溶媒抽出工程S13における溶媒抽出処理とは、中和終液に酸性抽出剤を接触させて、酸性抽出剤中(有機相側)に有価金属であるニッケル及びコバルトを抽出することである。これにより、溶媒抽出工程S13では、中和終液中の有価金属と不純物であるリン及びフッ素とを、確実且つ容易に分離することができる。なお、溶媒抽出工程S13では、リン及びフッ素は、そのまま中和終液中(水相側)に残留することになる。
酸性抽出剤としては、例えば、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ジ(2−エチルヘキシル)ホスホン酸、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスホン酸、トリ−n−ブチルホスホン酸、2’−ヒドロキシ−5’−ノニルアセトフェノンオキシム、7−(4−エチル−1−メチルオキシル)−8−ヒドロキシキノリン、バーサチック酸等を用いることができる。
酸性抽出剤の希釈剤としては、水に対する溶解度が低く良好な油水分離性が維持できる有機溶剤であれば特に拘らないが、例えばナフテン系有機溶剤であるテクリーン(登録商標)(JX日石日鉱エネルギー株式会社製)等を用いることができる。
溶媒抽出工程S13では、有機溶媒の粘度を適切に維持するために、有機溶媒、即ち酸性抽出剤と希釈剤の混合物中の酸性抽出剤の濃度を10〜40体積%とする。酸性抽出剤の濃度が40体積%を超過した場合には、抽出後の有機溶媒の粘度が上昇してしまい、溶媒抽出処理が適切に行われないので好ましくない。
中和工程S12で得られた中和終液に含まれる有価金属のうち、例えばニッケルは、下記式(5)に従って有機溶媒中に抽出される。なお、下記式(5)中のRは、ホスホン酸、カルボン酸等の官能基も含めた有機化合物を、Hは、遊離水素を表す。
2RH+Ni2+ → RNi+2H ・・・(5)
溶媒抽出工程S13では、上記式(5)で示した通り、酸性抽出剤は、ニッケルやコバルトの抽出によりプロトンを放出するので、水相のpH値を適切に維持するために、アルカリを添加して中和する必要がある。
溶媒抽出工程S13では、アルカリとしては、水相のpH値を適切に維持することができれば特に拘らないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。特に、溶媒抽出工程S13では、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水への溶解度が低いものよりも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が好適に使用される。
溶媒抽出工程S13では、抽出時の水相のpH値を5.0〜6.5に維持する。水相のpH値が5.0未満の場合には、ニッケルの抽出が不十分になる。一方、水相のpH値が6.5を超える場合には、ニッケル及びコバルトが沈澱物を生成し、溶媒抽出反応を阻害するので好ましくない。
溶媒抽出工程S13では、中和終液中のリンやフッ素は有機溶媒に抽出されずに、抽出残液に残留する。従って、溶媒抽出工程S13では、溶媒抽出処理によって、有価金属であるニッケルやコバルトと、不純物であるリンやフッ素を完全に分離することができる。そして、分離したリン及びフッ素を所定の方法で回収することにより、排水中の不純物の含有量を低減することができる。
図1には示されていないが、溶媒抽出工程S13の後工程においては、溶媒抽出工程S13で得られた抽出残液に水酸化アルカリを添加して、抽出残液のpH値を9以上に調整することによって、抽出残液中にリン酸塩及びフッ化物塩の沈澱物が形成され、不純物の沈澱物を回収することができる。
添加する水酸化アルカリとしては、抽出残液のpH値を9以上に調整することができれば特に拘らないが、例えば水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好適に使用される。
即ち、この工程において、抽出残液に水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムを添加すれば、添加したカルシウムやマグネシウムによって、抽出残液中のリンやフッ素と安定した塩を形成させて、不純物を回収除去することができる。
なお、この工程では、溶媒抽出、炭酸化等の方法により、抽出残液中のリチウムを回収した後、水酸化アルカリを添加してpH値を9以上に調整することによって、リン酸塩及びフッ化物塩の沈澱物を形成させても構わない。
以上で説明した通り、溶媒抽出工程S13では、中和工程S12で得られた中和終液について、溶媒抽出処理を行うことにより、抽出残液と抽出後有機溶媒とが得られる。得られた抽出残液には、不純物であるリン及びフッ素が含まれている。また、抽出後有機溶媒には、有価金属であるニッケル及びコバルトが含まれている。これにより、溶媒抽出工程S13では、有価金属と不純物とを分離することができる。
[4.逆抽出工程]
逆抽出工程S14では、図1に示すように、溶媒抽出工程S13で得られた抽出後有機溶媒を硫酸溶液で逆抽出することにより、有価金属を含んだ逆抽出液を得る。
逆抽出工程S14における逆抽出反応は、上記式(5)で示した抽出反応の逆反応であり、溶媒抽出工程S13で得られた抽出後有機溶媒に含まれる有価金属のうち、例えばニッケルは、下記式(6)に従って有機相中から水相中へ放出される。
Ni+2H → 2RH+Ni2+ ・・・(6)
逆抽出工程S14では、上記式(6)で示した通り、酸性抽出剤は、ニッケルやコバルトの逆抽出においてプロトンを消費するので、水相のpH値を適切に維持するために、pH値が1程度の硫酸溶液を添加することにより、水相のpH値を調整する必要がある。
逆抽出工程S14では、逆抽出時の水相のpH値を0〜4.0に調整する。水相のpH値が4.0を超える場合には、コバルトの逆抽出が不十分になる。一方、水相のpH値が0未満の場合には、硫酸溶液の使用量が増えると共に、ニッケル及びコバルトを含有する硫酸塩水溶液(逆抽出液)のpH値が下がり過ぎる。そうすると、例えば電池材料製造プロセスに供する場合には、得られた有価金属を含有する硫酸塩水溶液を中和する必要性が生じるので、コスト、作業効率、中和剤からの不純物の混入等の観点から鑑みれば好ましくない。
逆抽出工程S14では、逆抽出反応により有価金属が水相中へ放出され、再生された酸性抽出剤を含む有機相(有機溶媒)を、溶媒抽出工程S13において繰返し使用することができる。
以上で説明した通り、逆抽出工程S14では、溶媒抽出工程S13で得られた抽出後有機溶媒を硫酸溶液で逆抽出することにより、逆抽出液が得られる。得られた逆抽出液には、有価金属であるニッケル及びコバルトが含まれている。これにより、逆抽出工程S14では、有価金属を回収することができる。
有価金属回収方法では、廃リチウムイオン電池から得られる有価金属含有物に、不純物として含まれるリンとフッ素のうち、不溶解性のものが浸出工程S11で浸出残渣として分離される。次いで、有価金属回収方法では、浸出されたリンとフッ素の大部分が、中和工程S12で中和澱物として沈澱分離され、中和終液に残留した微量のリンとフッ素が、溶媒抽出工程S13で溶媒抽出によって完全に有価金属であるニッケルやコバルトと分離される。
溶媒抽出工程S13において、ジ(2−エチルヘキシル)ホスホン酸(D2EHPA)等の酸性抽出剤を使用した場合には、抽出時の水相のpH値を4以上に調整すると、ニッケルやコバルトは有機相側に移行し、リンやフッ素は水相側に残存するため、不純物の分離が可能となる。
そして、逆抽出工程S14において、溶媒抽出工程S13で抽出された有機相(抽出後有機溶媒)中のニッケルやコバルトは硫酸溶液へ逆抽出されるため、リンやフッ素が分離された硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液(逆抽出液)を回収することが可能となる。
また、溶媒抽出工程S13で得られた抽出残液に含まれるリンやフッ素は、消石灰等による中和等によって、カルシウム等と澱物を作った固体として回収処分することができる。
以上のように、有価金属回収方法では、浸出工程S11及び中和工程S12における各反応溶液を所定のpH値の領域に調整し、且つ各工程を順次経て得られた中和終液を、溶媒抽出工程S13において酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、有価金属であるニッケル及びコバルトを一旦有機相中に移行させた後、逆抽出工程S14において硫酸溶液で逆抽出することにより、有価金属と、不純物であるリンやフッ素とを、完全に分離することができる。
その結果、有価金属回収方法では、有価金属であるニッケルやコバルトと不純物であるリンやフッ素とを完全に分離することができるので、回収したニッケルやコバルトを電池製造ラインにリサイクル投入することが可能である。また、有価金属回収方法では、分離したリンやフッ素を確実に回収することで、排水中の不純物負荷を上昇させないことが可能となる。
以下に示す実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、この実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(有価金属含有物の準備)
実施例1では、廃リチウムイオン電池を200℃にて加熱処理したものを、破砕及び選別することにより得られた、廃リチウムイオン電池の有価金属含有物(以下、単に「有価金属含有物」と称する。)を原料として用いた。
実施例1では、得られた有価金属含有物の化学組成を表1に示した。なお、実施例1では、フッ素の含有量についてはイオンメーター法により、フッ素以外の成分の含有量についてはICP発光分光分析法(ICP:Inductively Coupled Plasma)により、それぞれ測定を行った。また、実施例1では、以降の化学成分の分析結果は、全て同様の方法を適用して行った。
Figure 2016113672
(浸出工程)
実施例1では、表1に化学組成を示した有価金属含有物30gを、300mLの水に装入して撹拌し、ウォーターバスにて80℃に維持しながら、水溶液のpH値が1を維持するように64重量%の硫酸を断続的に添加した。
実施例1では、有価金属含有物に含まれる金属ニッケル成分が浸出されることにより水素ガスが発生するため、有価金属含有物中に含まれる負極活物質から持込まれた炭素成分との相互作用で気泡が生じた。
そこで、実施例1では、治具で掻き出す等の物理的な気泡の除去を行いながら、水溶液のpH値が10分間上昇しなくなった時点で浸出反応が終了したと見なし、浸出液と浸出残渣とから成る浸出スラリーを5Cのろ紙によってろ過し、浸出液と浸出残渣とを分離した。
実施例1では、得られた浸出液の化学組成を表2に示した。
Figure 2016113672
(中和工程)
実施例1では、表2に化学組成を示した浸出液294mLに、水溶液のpH値が5.5となるように8mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、水溶液中に中和澱物を生成させた。
実施例1では、中和澱物を含んだ水溶液、即ち中和終液と中和澱物とから成る中和スラリーを5Cのろ紙によってろ過し、中和終液と中和澱物とを分離した。
中和工程で得られた中和終液の液量は294mLであり、その化学成分は、表3に示すものであった。
Figure 2016113672
中和工程で得られた中和澱物の乾燥後の重量は36gであり、その化学組成は、ニッケルが2.7重量%、リンが0.59重量%、フッ素が1.9重量%であった。
また、浸出液から中和澱物への分配率は、リンが99%、フッ素が82%であり、中和処理だけでは、中和終液中に微量のリンとフッ素が残存することが確認された。
(溶媒抽出工程)
実施例1では、pH値5.5の中和終液100mLを分液ロートに採取し、ジ(2−エチルヘキシル)ホスホン酸(D2EHPA)濃度が20体積%になるように、テクリーン(登録商標)(JX日石日鉱エネルギー株式会社製)で希釈した有機溶媒900mLを中和終液に加え、溶媒抽出操作を行った。
溶媒抽出操作では、水相のpH値が5.5に維持されるように、8mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加した。
実施例1では、溶媒抽出後の水相と有機相を十分に静置した後、水相(抽出残液)の化学成分分析を行ったところ、リン濃度は0.008g/L、フッ素濃度は0.5g/Lと変化がなく、リンとフッ素が有機相(抽出後有機溶媒)側に抽出されていないことが確認された。
また、実施例1では、抽出残液のニッケル濃度は0.1g/L、コバルト濃度は0.01g/Lであり、ニッケルとコバルトのほぼ全量が有機溶媒に抽出されたことが確認された。
(逆抽出工程)
実施例1では、次いで、ニッケル及びコバルトを含有する抽出後有機溶媒に、pH値が1の硫酸溶液100mLを添加し、逆抽出操作を行った。
逆抽出操作では、水相のpH値が1に維持されるように、64重量%の硫酸を断続的に添加した。
溶媒抽出操作では、逆抽出後の水相(逆抽出液)は、ニッケル濃度が9.8g/L、コバルト濃度が2.4g/Lであり、ニッケルとコバルトのほぼ全量を硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液として回収することができた。

Claims (5)

  1. 廃リチウムイオン電池から、湿式処理法によりニッケル及びコバルトを分離回収する廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法であって、
    前記廃リチウムイオン電池より得られた有価金属含有物を、酸性溶液に混合して溶解した後に、浸出液と浸出残渣とに分離する浸出工程と、
    前記浸出工程で得られた浸出液に中和剤を添加して、中和終液とアルミニウムを含有する中和澱物とに分離する中和工程と、
    前記中和工程で得られた中和終液について、酸性抽出剤による溶媒抽出処理を行い、ニッケル及びコバルトを含有する抽出後の有機溶媒とリン及びフッ素を含有する抽出残液とを得る溶媒抽出工程と、
    前記溶媒抽出工程で得られた抽出後の有機溶媒を、硫酸溶液で逆抽出することでニッケル及びコバルトを含有する逆抽出液を得る逆抽出工程と
    を含むことを特徴とする廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法。
  2. 前記中和工程において、前記中和剤を添加して前記浸出液のpH値を4.5〜6.0に調整することを特徴とする請求項1に記載の廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法。
  3. 前記溶媒抽出工程において、アルカリを添加して溶媒抽出時の水相のpH値を5.0〜6.5に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法。
  4. 前記逆抽出工程において、硫酸溶液を添加して逆抽出時の水相のpH値を0〜4.0に調整することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法。
  5. 前記溶媒抽出工程で得られた抽出残液に、中和剤を添加して、リン及びフッ素を含有する沈澱物を生成させ、該リン及びフッ素を分離除去することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法。
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