JP2016112809A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶液流延製膜法による光学フィルムの製膜に用いるドープの調製において、互いに混ざりにくい2種類の液体を混合する場合でも、異物の発生を抑えながら、駆動部を用いずに省スペースで、迅速かつ均一に混合し、フィルムの生産コストや負荷を低減する。【解決手段】溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法は、2種類の液体を混合して、支持体上に流延するドープを調製する調製工程を有している。調製工程では、粘度が2500〜5000mPa・sである一方の液体と、粘度が10〜500mPa・sである他方の液体とを合流させた後に、2種類の液体の混合液を分割して再度合流させる分割−合流工程を繰り返すことにより、ドープを調製する。分割−合流工程では、流路断面積が平均で0.05mm2〜10mm2となるように分割された複数の流路に混合液を分割し、その後、各流路に分割された混合液を再度合流させる。【選択図】図4

Description

本発明は、溶液流延製膜法によって光学フィルムを製膜する、光学フィルムの製造方法に関するものである。
光透過性を有する樹脂は、フィルム状に成形することにより、光学用途(偏光板保護用途等)など、様々な用途に使用されている。その際、用途に応じて、様々な特性を付与する添加剤(例えば紫外線吸収剤や位相差調整剤)を樹脂に加えて、フィルムの特性を調整している。
樹脂をフィルム状に成形する主な方法としては、溶液流延製膜法や溶融流延製膜法がある。このうち、溶液流延製膜法においては、樹脂を溶媒に溶かしたドープを支持体上に流延し、乾燥、剥離、延伸等を行うことで、フィルムを製膜する。上記の添加剤は、上記ドープを調製する際に用途に応じて添加される。添加剤とドープとを均一に混合する方法としては、一般によく用いられている、撹拌子によって混合する方法のほか、駆動部を持たないスタティックミキサを用いた方法(特許文献1および2参照)、静的混合部と動的混合部(駆動部)とを併用する方法(特許文献3参照)など、様々な方法が用いられている。
特開2007−283762号公報(請求項1、3、段落〔0037〕、図1、図2等参照) 特許第5457108号公報(請求項4、7、段落〔0035〕、〔0039〕、図1、図3等参照) 特開2013−6347号公報(請求項1、段落〔0027〕、〔0028〕、〔0057〕、〔0062〕、〔0066〕、図8等参照)
ところで、近年では、フィルムを備えた光学部材(例えば偏光板)の薄型化および軽量化などの要望により、フィルムの薄膜化が一段と進んでいる。それに伴い、膜厚ごとに異なる特性を持たせた少量多品種でのフィルムの生産が要望されるようになっている。例えば、膜厚は20μm、40μm、60μm、80μmと異なるが、紫外線の透過率は一定以下にしたい、あるいは透過光の複屈折を同じにしたい場合には、添加剤として添加すべき紫外線吸収剤や位相差調整剤の量を膜厚ごとに異ならせ、薄膜ほど多量に添加することが必要となる。
ドープに添加すべき添加剤は、ドープに対して相溶性が常に良いわけではなく、相溶性が劣る場合もある。相溶性が劣る添加剤を一定量以上添加する場合、駆動部によって、添加剤とドープとの混合液に十分なせん断応力を加えて混合しないと、問題になるサイズのゲルが生成してしまう。
このとき、特許文献3のように、接触式の駆動部を用いた混合方法では、駆動部や密閉部の摩耗による混合液への異物の混入が避けられない。また、短時間で高いせん断応力を混合液にかけるために、撹拌方法によってはキャビテーション泡(流動する液体の圧力が局部的に低下した箇所で、溶媒の揮発によって生じる泡)が発生してしまうこともある。このため、異物除去のための濾過や泡抜きが必要になる。一般的な撹拌子を用いて攪拌する場合も、上記と同様に濾過や泡抜きが必要となる。
また、特許文献1および2のように、駆動部を持たない混合方法(スタティックミキサーなどによる混合方法)では、一定濃度以上では凝集してゲルを生成しまうような、相溶性の劣る添加剤を高濃度でドープに添加することは困難であった。
また、添加剤の添加量が異なるフィルムの生産を別々の工場でできればよいが、実際には、1つの工場で図8に示すような設備を用いてフィルムを生産することになる。つまり、樹脂を含む溶液(樹脂溶液、メインドープ)と、添加剤を含む溶液(添加剤溶液)とを混合したドープを1つの経路で流延ダイ101まで送液する構成において、添加剤の量を途中で切り替えてフィルムを生産する。この構成では、添加剤の量を切り替えた後、前品種のドープが次品種のドープと十分置換し終わるまで、生産されるフィルムは廃棄物となる。その結果、工場における次品種のフィルムの生産時間の減少および廃棄物の増加により、フィルムの生産コストが増大する。
一方、図9に示すように、設備としては大型になるが、樹脂溶液の流延ダイ101への供給経路と、添加剤溶液の流延ダイ101への供給経路とを並列に設け、かつ、添加剤溶液の供給経路を、異なる添加剤X・Yの各々に対応して設け、生産するフィルムに応じて、樹脂溶液と混合する添加剤溶液を、流延ダイ101の直前で切り替える構成もある。しかし、この構成であっても、従来用いられていた駆動部を用いた混合では、濾過や静置しての泡抜き等が必要になり、混合部が巨大化してしまう、また、静的な混合では、添加液の量や種類が変わると、同一装置での混合は無駄に長大な設備となり、切り替え負荷が増大してしまううえに、粘度差があまりにも大きい液は混合できないといった問題が発生する。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、溶液流延製膜法で光学フィルムを製膜する際のドープの調製において、互いに混ざりにくい2種類の液体を混合する場合でも、異物(ゲル、摩耗粉、泡)の発生を抑えながら、駆動部を用いずに省スペースで、迅速かつ均一にこれらを混合することができ、これによって、フィルムの生産コストの増大や生産に負荷が発生するのを低減することができる光学フィルムの製造方法を提供することにある。
1.溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法であって、
2種類の液体を混合して、支持体上に流延するドープを調製する調製工程を有し、
前記調製工程では、粘度が2500〜5000mPa・sである一方の液体と、粘度が10〜500mPa・sである他方の液体とを合流させた後に、前記2種類の液体の混合液を分割して再度合流させる分割−合流工程を繰り返すことにより、前記ドープを調製し、
前記分割−合流工程では、流路断面積が平均で0.05mm〜10mmとなるように分割された複数の流路に前記混合液を分割し、その後、各流路に分割された前記混合液を再度合流させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。なお、前記混合液を合流させる際に、近傍の各流路に分割された液同士を合流させてもよいし、全ての流路に分割された液を合流させてもよい。
2.前記分割−合流工程の繰り返しサイクルが、5回以上であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、前記心棒の周囲を複数の棒状体で充填することによって前記配管内に形成される複数の隙間を、前記流路として有していることを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、前記心棒の周囲を細管で充填し、各細管の周囲の隙間を樹脂で封止することにより、前記細管の内部空間を前記流路として有していることを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、山折りと谷折りとの繰り返し構造が形成された折り曲げ部材を、折り目が前記送液方向に沿うように、前記配管内で前記心棒を囲むように配置することによって前記配管内に形成される隙間を、前記流路として有していることを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
なお、前記3〜5において、上流側の単位構造体で一度分割した流路が、下流側の単位構造体で再度分割されないと、混合効果が低下するため、そのように下流側の単位構造体で再度分割されるように、各単位構造体は回転角度がずれるように送液方向に並べて配置されていることが望ましく、図4のように連続的にずらしていくことが望ましい。また、配管内に配置される上記の心棒は、配管中央に配置されて、液体を通さないための遮蔽部として設けられることが望ましい。また、前記5において、前記折り曲げ部材は、前記配管内に形成される隙間がそれぞれ所定の断面積の範囲となるように、配管の径に応じて同心円状に2重あるいは3重に設置されてもよい。
上記の製法によれば、ドープの調製において、互いに粘度範囲が異なり、混ざりにくい2種類の液体を混合する場合でも、異物の発生を抑えながら、駆動部を用いずに、省スペースで、迅速かつ均一にこれらを混合することができる。その結果、フィルムの生産コストを低減できるとともに、混合後の濾過や泡抜きを不要として生産時の負荷を低減することができる。
本発明の実施の形態で用いる光学フィルムの製造装置の概略の構成を示す説明図である。 上記光学フィルムの製造装置の他の構成を示す説明図である。 上記製造装置におけるドープの調製部の概略の構成を示す説明図である。 上記調製部に配置される混合装置の概略の構成を示す斜視図である。 上記混合装置を構成する一単位となる単位構造体の一構成例を示す平面図と側面図とを併せて示した図である。 上記単位構造体の他の構成例を示す平面図と側面図とを併せて示した図である。 上記単位構造体のさらに他の構成例を示す平面図と側面図とを併せて示した図である。 従来のドープ調製部の一構成例を示す説明図である。 上記ドープ調製部の他の構成例を示す説明図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
〔光学フィルムの製造装置〕
図1は、本実施形態で用いる光学フィルムの製造装置の概略の構成を示す説明図である。本実施形態の光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によって光学フィルムを製膜する方法である。この溶液流延製膜法では、樹脂と溶媒とを含むドープを、走行する支持体上に流延ダイから流延して支持体上で乾燥させ、流延膜(ウェブ)を支持体から剥離した後、ウェブを延伸、乾燥させてフィルムを製膜する。以下、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造ついて、より詳細に説明する。
(ドープ調製工程)
まず、調製部1にて、支持体6に流延するドープを調製する。なお、調製部1の詳細については後述する。
(流延、乾燥、剥離工程)
次に、調製部1にて調製されたドープを、流延ダイ3から支持体6上に流延し、支持体6で搬送しながら乾燥させて形成した流延膜としてのウェブ9を支持体6から剥離する。より具体的には、以下の通りである。
調製部1にて調製されたドープを、加圧型定量ギヤポンプ等を通して、導管によって流延ダイ3に送液し、無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体6上の流延位置に、流延ダイ3からドープを流延し、これにより支持体6上に流延膜としてのウェブ9を形成する。
支持体6は、前後一対のドラム5・5および中間の複数のロール(不図示)により保持されている。ドラム5・5の一方または両方に、支持体6に張力を付与する駆動装置(不図示)が設けられており、これによって支持体6は張力が掛けられて張った状態で使用される。
支持体6上に流延されたドープにより形成されたウェブ9を、支持体6上で加熱し、支持体6から剥離ロール8によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、支持体6の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があり、適宜、単独であるいは組み合わせて用いればよい。支持体6上でウェブ9が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化あるいは冷却凝固させた後、ウェブ9を、自己支持性を持たせたまま剥離ロール8によって剥離する。
(延伸工程)
この工程では、支持体6から剥離されたウェブ9を、テンター10によって延伸する。このときの延伸方向としては、フィルム搬送方向(MD方向;Machine Direction)、フィルム面内で上記搬送方向に垂直な幅手方向(TD方向;Transverse Direction)、これらの両方向、のいずれかである。液晶表示装置用のフィルムを製膜する場合、延伸工程では、ウェブ9の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。なお、テンター10内では、延伸に加えて乾燥を行ってもよい。
(乾燥工程)
テンター10にて延伸されたウェブ9は、乾燥装置11にて乾燥される。乾燥装置11内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロールによってウェブ9が蛇行させられ、その間にウェブ9が乾燥される。乾燥装置11での乾燥方法は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いてウェブ9を乾燥させる。簡便さの点から、熱風でウェブ9を乾燥させる方法が好ましい。
なお、乾燥工程を終えた光学フィルムFに対して、次の巻取工程に入る前に、巻取工程での巻きずれやブロッキング(フィルム同士の貼り付き)を防止するために、光学フィルムFの端部に多数の凹凸を有するエンボス部を形成するのが好ましい。
(巻取工程)
最後に、エンボス部の形成加工が終了したフィルムを、巻き取り装置13によって巻き取り、光学フィルムFの元巻を得る。フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
図2は、上記光学フィルムの製造装置の他の構成を示す説明図である。同図に示すように、流延支持体として、ベルト状の支持体6の代わりに、ドラム状の支持体7を用いることもできる。支持体7は、表面にハードクロムメッキ処理を施したステンレス鋼製の回転駆動ドラムである。このような支持体7を用いても、支持体6を用いた場合と同様に光学フィルムを製造することができる。
〔調製部の詳細〕
次に、ドープの調製部1の詳細について説明する。図3は、調製部1の概略の構成を示す説明図である。本実施形態では、調製部1による上述の調製工程において、粘度の異なる2種類の液体L1および液体L2を混合して、支持体6上に流延するドープが調製される。一方の液体L1は、タンク21に収容され、他方の液体L2は、タンク22に収容される。
(液体L1)
液体L1には、溶媒(例えばメチレンクロライド)と、主な固形分となるポリマー(樹脂)とが含まれており、これによってメインドープが構成されている。ポリマーとしては、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂などを用いることができる。液体L1のポリマー濃度は特に限定されず、液体L1の粘度が2500〜5000mPa・sとなるよう調整されている。液体L1には、ポリマーと溶媒以外の材料が含まれていても構わない。例えば、搬送性を向上させるためのマット剤や、可塑剤などの添加剤は、液体L1に事前に添加されていてもよい。メインドープを構成する各材料をタンク21内で混合、溶解することで、液体L1が調液される。
(液体L2)
液体L2には、溶媒(例えばメチレンクロライド、エタノール)と、用途に応じた添加剤とが含まれており、添加剤溶液が構成されている。上記の添加剤としては、紫外線吸収剤(UV吸収剤)、レターデーション制御剤、光学異方性コントロール剤、耐熱剤、剥離剤などがある。液体L2の粘度は、10〜500mPa・sである。この粘度範囲であれば、メインドープとは溶媒が異なっていてもよい。溶液Bは、溶液Aに対して、40質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上であることが望ましい。40質量%を超える量の添加が必要な場合には、添加量変更時に添加時の流速が著しく異なってしまうため、混合時の負荷が増大してしまうし、添加量が0.1質量%未満の場合、合流に必要な送液圧を確保しつつ流速をそろえることが困難になるため、望ましくない。添加剤溶液を構成する各材料をタンク22内で混合、溶解することで、液体L2が調液される。
タンク21内の液体L1は、図示しない濾過装置により異物が除去された後、ポンプ23によって混合装置25に供給される。また、タンク22内の液体L2は、図示しない濾過装置により異物が除去された後、ポンプ24によって混合装置25に供給される。混合装置25は、液体L1をタンク21から流延ダイ3まで送液する配管Pの途中に設けられている。そして、混合装置25の上流側の配管Pには、ノズルNが設けられており、液体L2を送液する配管QはノズルNと接続されている。これにより、液体L2は、ノズルNから下流側の混合装置25に供給され、配管P内を送液される液体L1と混合装置25にて混合される。図3では、配管Pを2つに分割してその継ぎ目に混合装置25を配置しているが、配管Pの内部に混合装置25を配置してもよい。
混合性の観点から、液体L2を添加するノズルNは、配管Pの径方向において、配管Pの中心から内径の10%以内の位置にあることが望ましく、配管Pに沿った送液方向において、ノズルNから添加される液体L2が混合装置25に1秒以内で到達する位置にあることが望ましい。また、混合装置25の送液方向上流側の面(液体L1および液体L2の受け入れ部)において、配管Pの中心から内径の10%以内の範囲は閉塞していることが、混合が迅速になる点で望ましい。つまり、ノズルNから添加される液体L2が閉塞部にぶつかって周囲に分散され、配管Pを流れる液体L1と迅速に混合されるようにするためであり、端面は平面でなく曲面であっても構わない。
なお、混合装置25の上流側に、泡抜きや温度調整のために液体L1(または液体L2)を静置するタンクを設置してもよい。その場合は、そのタンクから液体L1(または液体L2)が混合装置25に送液される。
〔混合装置〕
図4は、混合装置25の概略の構成を示す斜視図である。混合装置25は、液体L1と液体L2とを合流させた後に、2種類の液体L1および液体L2の混合液を分割して再度合流させる分割−合流工程を繰り返すことにより、支持体6上に流延するドープを調製する。特に、上記の分割−合流工程では、流路断面積が平均で0.05mm〜10mmとなるように分割された複数の流路に混合液を分割し、その後、各流路に分割された混合液を近傍の分割された液あるいは全ての分割液と合流させる。上記の分割−合流工程は、流路断面積が上記範囲の複数の流路を持つ単位構造体31を、混合液の送液方向に複数並べる(積層する)ことによって実現できる。なお、単位構造体31の詳細については後述する。切り替え負荷の低減のため、混合装置25はなるべく小さいことが望ましい。また、混合装置25の大きさによって送液配管の断面積が増減するため、送液圧の増減による装置負荷を減らすために単位構造体31の大きさは必要最小限であることが望ましい。
混合する2種類の材料(液体L1および液体L2)に粘度差があり、従来の混合方法では均一に混ざりにくい場合でも、非常に小さい流路断面積を持つ複数の流路に混合液を分割し、各流路を流れた混合液を再度合流させるという、分割−合流工程を繰り返すことにより、2種類の材料を均一に混合でき、これによって混合液(ドープ)を用いて製膜されたフィルムにおいて異物(特にゲル状の異物)の発生が少なくなることが、後述する実施例を含む種々の考察からわかった。このため、従来の混合方法では、一定濃度以上添加すると凝集してゲルを生成しまうような、相溶性の劣る添加剤を用いる場合でも、その添加剤を液体L2に溶解して、樹脂を含む液体L1と均一に混ぜることができるため、添加剤を高濃度でドープに添加することが可能となる。
しかも、液体L1と液体L2との混合液を混合装置25に通すだけで、混合液を構成する2種類の液体L1および液体L2を均一に混合できるため、短時間での(迅速な)混合を実現できる。また、従来のような混合のための駆動部は不要であり、それゆえ、駆動部を設ける場合に生じていた、摩耗粉の混合液への混入や、キャビテーション泡の発生は確実に低減される。したがって、混合後に異物除去のための濾過や泡抜きも不要となる。
また、2種類の液体L1および液体L2(添加剤と樹脂)を迅速かつ均一に混合できるため、従来のように、フィルムの用途に応じて添加剤の種類を迅速に切り替えるべく、添加剤の種類に応じた数だけ送液経路を設ける必要もなく、装置の大型化も回避できる。
よって、ドープの調製において、互いに粘度範囲が異なり、混ざりにくい2種類の液体L1および液体L2を混合する場合でも、異物の発生を抑えながら、駆動部を用いずに省スペースで、迅速かつ均一にこれらを混合することができる。これにより、フィルムの生産時の負荷(濾過、泡抜き)や、生産するフィルムの切り替え時に発生するロス(廃棄物の生成)を抑え、所望のフィルムの生産時間が減少するのを回避できる。その結果、フィルムの生産コストを低減することが可能となり、フィルムを少量多品種で生産する場合でも、効率よく生産することが可能となる。
ここで、上記の混合装置25における、分割−合流工程の繰り返しサイクルは、3回以上であれば減少効果は得られるが、5〜15回であることが望ましい。必要な繰り返しサイクルは、混合する2種類の液体L1および液体L2の粘度や相溶性にもよるが、少なくとも5回確保することで、粘度が2500〜5000mPa・sの液体L1と、粘度が10〜500mPa・sの液体L2とを十分に、かつ均一に混合することができる。一方、繰り返しサイクルが16回以上では、送液時の圧損が増加しすぎ、送液設備の負荷増大や設備の耐圧を上げる必要が生じ、望ましくない。なお、分割−合流工程の繰り返しサイクルは、送液方向に並べる単位構造体31の数によって規定することができる。
なお、混合装置25による混合完了後は、経時により、分散させた相溶性の劣る添加剤が再度凝集する恐れがあるため、混合により得られたドープを迅速に流延ダイ3から支持体6上に流延することが望ましい。
上記した分割−合流工程の繰り返しは、混合装置25を以下のように構成することによって実現することができる。
(混合装置の具体的な構成)
図5は、混合装置25を構成する一単位となる単位構造体31の一構成例を示すものであって、単位構造体31を混合液の送液方向の上流側から見たときの平面図と、単位構造体31の側面図とを併せて示したものである。なお、図5の平面図では、便宜上、後述する金網35の図示を省略している(他の平面図でも同様)。単位構造体31は、配管32内に心棒33を通し、心棒33の周囲を複数の棒状体34で充填することによって配管32内に形成される複数の隙間S1を、混合液の流路として有している。上記の隙間S1は、複数の棒状体34の側面(周面)によって囲まれる空間や、棒状体34と配管32の内面とで囲まれる空間を含む。
上記の配管32、心棒33、棒状体34の素材は、混合液(溶媒)に溶解しない材料であって、送液時の圧力によって破損しない材料であればよく、金属であってもよいし、樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。また、棒状体34は、断面円形の円柱状であってもよいし、断面角形の柱状物であってもよく、流路を形成できれば形状に限定はない。
配管32における混合液の送液方向の上流側および下流側の面には、金属製のフィルターである金網35・36がそれぞれ貼り付けられている。金網35・36の各開口部(1つの格子)の面積(開口面積)は、心棒33および棒状体34の断面積よりも小さくてもよいし大きくてもよいが、棒状体を十分に支えられるよう棒状体よりも小さいことが望ましい。これにより、配管32内の心棒33および棒状体34は、金網35・36から飛び出ることがなく、配管32内で保持される。
混合装置25は、図5で示した単位構造体31を、複数個、混合液の送液方向(上流側から下流側に向かう方向)に並べて配置するとともに、各単位構造体31を通る軸であって上記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、複数の単位構造体31を配置することによって構成されている。例えば、各単位構造体31の配管32の側面の一部に回転位置の基準を示すマーキング32aを施しておくと、図4に示した各マーキング32aの位置から、各単位構造体31は、上記軸の回りに所定の回転角度ずつずれながら、送液方向に並べて配置されていることがわかる。
このように、複数の単位構造体31を用いて混合装置25を構成することにより、最も上流側の単位構造体31に供給された混合液(液体L1+液体L2)は、複数の流路に分割される。つまり、混合液は、心棒33の端面または棒状体34の端面にぶつかることにより、配管32の径方向に分散され、配管32内で各棒状体34の周囲に形成される複数の隙間S1を流れる。そして、複数の隙間S1を流れた混合液は、該単位構造体31とその下流側の単位構造体31との間で合流する。このような混合液の分割と合流とが、各単位構造体31を混合液が通過するごとに行われる。
しかも、各単位構造体31は、送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように配置されているため、各単位構造体31の隙間S1を流れる混合液は、各単位構造体31を上流側から下流側に向かって一直線状に進行することはほとんどなく、各単位構造体31を通過するごとに次の単位構造体31の心棒33または棒状体34の端面にぶつかって、配管32の径方向にずれた位置の隙間S1に流れる。このような送液を各単位構造体31ごとに繰り返すことにより、分割−合流が繰り返される。
このように、複数の単位構造体31を送液方向に並べて混合装置25を構成することで、分割−合流工程の繰り返しを確実に実現することができ、これによって、2種類の液体L1および液体L2の迅速かつ均一な混合を確実に実現することができる。
(混合装置の他の構成)
図6は、混合装置25を構成する単位構造体31の他の構成例を示すものであって、単位構造体31を混合液の送液方向の上流側から見たときの平面図と、単位構造体31の側面図とを併せて示したものである。単位構造体31は、配管32内に心棒33を通し、心棒33の周囲を複数の細管37で充填し、各細管37の周囲の隙間を樹脂38で封止することにより、細管37の内部空間S2を、混合液の流路として有していてもよい。細管37は、配管32よりも外径および内径が小さく、送液時の圧力によって破損しない材料(金属、樹脂、ガラスなど)で構成されている。樹脂38としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂を用いることができる。
混合装置25は、図6で示した単位構造体31を、複数個、混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体31を通る軸であって上記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、複数の単位構造体31を配置することによって構成されている。
上記混合装置25においても、最も上流側の単位構造体31に供給された混合液(液体L1+液体L2)は、複数の流路に分割される。つまり、混合液は、心棒33の端面または樹脂38にぶつかることにより、配管32の径方向に分散され、いずれかの細管37の内部空間S2を流れる。そして、複数の内部空間S2を流れた混合液は、該単位構造体31とその下流側の単位構造体31との間で合流する。このような混合液の分割と合流とが、各単位構造体31を混合液が通過するごとに行われる。
しかも、各単位構造体31は、送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように配置されているため、各単位構造体31の内部空間S2を流れる混合液は、各単位構造体31を上流側から下流側に向かって一直線状に進行することはほとんどなく、各単位構造体31を通過するごとに次の単位構造体31の心棒33の端面または樹脂38とぶつかって、配管32の径方向にずれた位置の内部空間S2に流れる。このような送液を各単位構造体31ごとに繰り返すことにより、分割−合流が繰り返される。
このように、図6で示した単位構造体31を用いて混合装置25を構成した場合でも、分割−合流工程の繰り返しを確実に実現することができ、これによって、2種類の液体L1および液体L2の迅速かつ均一な混合を確実に実現することができる。
(混合装置のさらに他の構成)
図7は、混合装置25を構成する単位構造体31のさらに他の構成例を示すものであって、単位構造体31を混合液の送液方向の上流側から見たときの平面図と、単位構造体31の側面図とを併せて示したものである。単位構造体31は、配管32内に心棒33を通し、山折りと谷折りとの繰り返し構造が形成された折り曲げ部材39を、折り目が送液方向に沿うように、配管32内で心棒33を囲むように配置することによって、配管32内に形成される隙間S3を、混合液の流路として有していてもよい。なお、折り曲げ部材39の折り曲げ構造は、蛇腹状の構造とも言うことができる。折り曲げ部材39は、金属板の折り曲げによって形成されてもよいし、樹脂の成型によって形成されてもよい。形成する断面積が所定の範囲に入るように、心棒33の周辺に同心円状に2重、3重あるいはそれ以上に重ねて、折り曲げ部材を設けてもよい。
なお、同図では、配管32の内部に、配管32よりも外径および内径が小さい別の配管40を通し、さらに配管40の内部に心棒33を通し、外側の配管32と内側の配管40との間、および内側の配管40と心棒33との間に、上記の折り曲げ部材39を配置して、配管32内に隙間S3を形成するようにしているが、配管32の外形や内径、心棒33の直径、折り曲げ部材39の厚さなどを調整することにより、上述した流路断面積を持つ隙間S3を実現できる場合は、内側の配管40を省略することも可能である。
混合装置25は、図7で示した単位構造体31を、複数個、混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体31を通る軸であって上記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、複数の単位構造体31を配置することによって構成されている。
上記混合装置25においても、最も上流側の単位構造体31に供給された混合液(液体L1+液体L2)は、複数の流路に分割される。液体L2は、心棒33の端面に当たり配管内に分散されつつ、折り曲げ部材39の端面にぶつかることにより、配管32の径方向に分散され、折り曲げ部材39の周囲の隙間S3を流れる。そして、複数の隙間S3を流れた混合液は、該単位構造体31とその下流側の単位構造体31との間で合流する。このような混合液の分割と合流とが、各単位構造体31を混合液が通過するごとに行われる。
しかも、各単位構造体31は、送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように配置されているため、各単位構造体31の隙間S3を流れる混合液は、各単位構造体31を上流側から下流側に向かって一直線状に進行することはほとんどなく、各単位構造体31を通過するごとに次の単位構造体31の心棒33または折り曲げ部材39の端面とぶつかって、配管32の径方向にずれた位置の隙間S3に流れる。このような送液を各単位構造体31ごとに繰り返すことにより、分割−合流が繰り返される。
このように、図7で示した単位構造体31を用いて混合装置25を構成した場合でも、分割−合流工程の繰り返しを確実に実現することができ、これによって、2種類の液体L1および液体L2の迅速かつ均一な混合を確実に実現することができる。
なお、蛇腹状の折り曲げ部材39を2枚の平板の間に配置して一体化し、これを心棒33の周囲に何回か巻き付けることによって、上述した流路断面積を持つ単位構造体31を形成するようにしてもよい。
なお、混合装置25までにゲルを形成し、異物となって安定するのを防止するため、ノズルNから該単位構造体31までは、液体L2が1秒以内に到達することが望ましい。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(微粒子添加液の調製)
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
以下の組成に基づいて、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに充分攪拌しながら、微粒子分散液をゆっくりと添加した。さらに二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液 5質量部
(糖エステル化合物の合成)
以下の工程により、糖エステル化合物を合成した。
Figure 2016112809
攪拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、攪拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。
最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4およびA−5の混合物(糖エステル化合物)を得た。
得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。
<HPLC−MSの測定条件>
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):HO(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
(エステル化合物の合成)
以下の工程により、エステル化合物を合成した。
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、攪拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、攪拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物を得た。エステル化合物は、1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸およびアジピン酸が縮合して形成されたポリエステル鎖の末端に安息香酸のエステルを有した。エステル化合物の酸価は0.10、数平均分子量は450であった。
(液体L1および液体L2の調製)
ミキシングタンクに以下に示す材料を投入し、撹拌羽を用いて十分に撹拌しつつ、温度を60℃以上まで上昇させて10分以上保持し、その後冷却して、捕集粒子径1μm95%以上、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いて濾過を行った。得られた液体を、液体L1および液体L2として使用した。なお、粘度は、セコニック社製の粘度計(VM−100A)を用い、試料温度が20℃の条件で測定した。
〈液体L1〉
《メインドープA》粘度5000mPa・s
・ポリマー
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.39、プロピオニル基置換度0.50、総置換度1.89)
100質量部
・添加剤
微粒子添加液 5.0質量部
糖エステル化合物 8.0質量部
エステル化合物 4.0質量部
・溶媒
メチレンクロライド 450質量部
エタノール 80質量部
なお、メインドープAの粘度は、ポリマー分子量によって変動するが、ここでは、5000mPa・sとなるようにメチレンクロライドで調整した。以下のメインドープでも同様に、所望の粘度が得られるようにメチレンクロライドで調整した。
《メインドープB》粘度4000mPa・s
・ポリマー
アクリル樹脂(ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
・溶媒
メチレンクロライド 200質量部
エタノール 20質量部
《メインドープC》粘度2500mPa・s
・ポリマー
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万、ビスフェノールA型) 100質量部
・溶媒
メチレンクロライド 250質量部
エタノール 15質量部
〈液体L2〉
《添加剤溶液α(粘度10mPa・s)》
・添加剤(1)
チヌビン928(BASFジャパン社製) 40質量部
・溶媒
メチレンクロライド 60質量部
《添加剤溶液β(粘度20mPa・s)》
・添加剤(2)
糖エステル化合物 40質量部
・溶媒
メチレンクロライド 60質量部
《添加剤溶液γ(粘度500mPa・s)》
・添加剤(3)
CAP482−20(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、重量平均分子量Mw=200000、イーストマンケミカル(株)製)
30質量部
・溶媒
メチレンクロライド 250質量部
エタノール 30質量部
《添加剤溶液δ(粘度10mPa・s)》
・添加剤(4)
チヌビン928(BASFジャパン社製) 20質量部
・溶媒
メチレンクロライド 40質量部
エタノール 5質量部
(混合装置の作製)
〈単位構造体A〉
内径40mmの配管の中央に直径5mmの心棒を通し、配管内の心棒の周囲を三菱レイヨン製 エスカ(光ファイバー)で充填して長さ10mmで切断し、両端面を平均孔径10μmの焼結金属フィルターで固定することで、単位構造体A(図5の単位構造体31に相当)を作製した。なお、光ファイバーとしては、ファイバー径が0.25mm、0.5mm、1mm、3mmの計4種類を用い、流路断面積が異なる4種類の単位構造体Aを作製した。
なお、個々の単位構造体Aにおける流路断面積の平均は、(配管の断面積(肉厚部を除く)−心棒の断面積−(光ファイバーの断面積×本数))/(隙間の数)で概算することができる。この概算では、光ファイバーのファイバー径が0.25mm、0.5mm、1mm、3mmのそれぞれの場合において、流路断面積の平均は、0.05mm、0.2mm、0.9mm、7.7mmであった。
次に、各々の単位構造体Aを、表1および表2に示す数だけ、送液方向に並べて液漏れしないように連結し、混合装置を作製した。この混合装置においては、送液方向に隣り合う単位構造体Aの焼結金属フィルター同士を接続する接続部が、混合液の合流部を構成し、長さ10mmの各単位構造体Aが、混合液を複数の流路に分割する分割部を構成する。各単位構造体Aを送液方向に配置する個数(繰り返し個数)を異ならせることにより、複数の混合装置が作製される。
なお、表1および表2の混合装置の種類において、例えばファイバー径0.25mmの光ファイバーを有する単位構造体Aを用いたものを、A0.25と表記する。そして、他の単位構造体Aを用いたものについても、これと同様の表記を行う。
〈単位構造体B〉
内径40mmの配管の中央に直径5mmの心棒を通し、配管内の心棒の周囲を細管(SUS304)で充填し、さらに細管の周囲の隙間にPTFE樹脂を充填し、隙間を全て塞いだ。そして、配管を長さ10mmで切断し、両端面を平均孔径10μmの焼結金属フィルターで固定することで、単位構造体B(図6の単位構造体31に相当)を作製した。なお、細管としては、(外径(mm),内径(mm))=(3.0,2.2)、(4.0,3.6)、(8.0,6.0)、(10.0,8.0)の4種類を用い、流路断面積が異なる4種類の単位構造体Bを作製した。
なお、個々の単位構造体Bにおける流路断面積の平均は、細管の断面積(π×半径×半径)をそのまま用いることができる。したがって、細管が上記のサイズのそれぞれの場合において、流路断面積の平均は、3.8mm、10mm、28mm、50mmであった。
次に、各々の単位構造体Bを、表1に示す数だけ、送液方向に並べて液漏れしないように連結し、混合装置を作製した。この混合装置においては、送液方向に隣り合う単位構造体Bの焼結金属フィルター同士を接続する接続部が、混合液の合流部を構成し、長さ10mmの各単位構造体Bが、混合液を複数の流路に分割する分割部を構成する。各単位構造体Bを送液方向に配置する個数(繰り返し個数)を異ならせることにより、複数の混合装置が作製される。
なお、表1の混合装置の種類において、例えば外径3.0mmの細管を有する単位構造体Bを用いたものを、B3.0と表記する。そして、他の単位構造体Bを用いたものについても、これと同様の表記を行う。
〈単位構造体C〉
厚さ0.1mmのアルミ板を用い、幅17mmごとに山折りと谷折りとを繰り返して蛇腹状の折り曲げ部材を成形した。そして、内径40mmの配管の内部に、厚さ0.5mm、内径22mmの別の配管を通し、さらに、内側の配管の内部に、直径5mmの心棒を通し、外側の配管と内側の配管との間、および内側の配管と心棒との間に、蛇腹状の折り曲げ部材を配置した。そして、配管を長さ10mmで切断し、両端面を平均孔径10μmの焼結金属フィルターで固定することで、単位構造体C(図7の単位構造体31に相当)を作製した。なお、折り曲げ部材としては、折り曲げのピッチ(例えば隣り合う山折りの頂点間の距離)が1mmのものと、1.5mmのものを用意し、流路断面積が異なる2種類の単位構造体Cを作製した。
なお、個々の単位構造体Cにおける流路断面積の平均は、(外側の配管の断面積(肉厚部を除く)−内側の配管の肉厚部の断面積−心棒の断面積−(折り曲げ部材の端面の断面積×(山折りの数)))/(隙間の数)で概算することができる。この概算では、折り曲げのピッチが1mm、1.5mmのそれぞれの場合において、流路断面積の平均は、8mm、13mmであった。
次に、各々の単位構造体Cを、表2に示す数だけ、送液方向に並べて液漏れしないように連結し、混合装置を作製した。この混合装置においては、送液方向に隣り合う単位構造体Cの焼結金属フィルター同士を接続する接続部が、混合液の合流部を構成し、長さ10mmの各単位構造体Cが、混合液を複数の流路に分割する分割部を構成する。各単位構造体Cを送液方向に配置する個数(繰り返し個数)を異ならせることにより、複数の混合装置が作製される。
なお、表2の混合装置の種類において、例えば折り曲げ部材の折り曲げのピッチが1mmである単位構造体Cを用いたものを、C1と表記する。そして、他の単位構造体Cを用いたものについても、これと同様の表記を行う。
(混合装置の設置)
液体L1(メインドープ)を送液する配管P内に、配管Pと同材質のノズルNを設置した。このとき、配管Pの管中心から径方向に、直径の10%以内の範囲に位置するように、かつ、配管Pの端面から上流側に0〜10mmの範囲となるようにノズルNを設置した。配管Pの外径は42.7mmであり、内径は40.3mmであった。また、ノズルNの先頭の開口部の内径は2mmであった。そして、液体L2(添加剤溶液)を送液する配管QをノズルNに接続した。
次に、ノズルNを設置した配管Pの端面に上述した混合装置を設置し、固定した。なお、ノズルNの先端から混合装置までの距離は、上述した0〜10mmの範囲である。そして、混合装置を通過した液体(液体L1と液体L2との混合液)が30〜60秒の間で流延ダイから支持体上に流延されるように、流延ダイと混合装置とを別の配管Pで連結し、固定した。
(光学フィルムの製膜)
メインドープおよび添加剤溶液を表1および表2に示す組み合わせで用い、これらを混合装置に送液して、分割−合流工程を繰り返し行い、混合液を生成した。そして、混合装置から流延ダイに混合液を送液し、流延ダイから支持体上に流延させた。流延後、自己支持性をもつまで支持体上で30℃の乾燥風を当て、自己支持性を確保した後に、支持体上からウェブを剥離して110℃で30分乾燥させ、膜厚40μmのフィルムを得た。
(従来の混合方法による混合液をドープとして用いた光学フィルムの製膜)
比較のため、メインドープおよび添加剤溶液を表1および表2に示す組み合わせで用い、撹拌子を用いた攪拌装置で混合液を攪拌、混合してドープを調製し、上記と同様にして光学フィルムを製膜した。
≪評価≫
製膜したフィルムの面積100cm当たりに含まれる異物の個数を、透過顕微鏡を用いて測定し、上記異物の個数が、従来の混合方法(攪拌混合)を用いた場合の異物の数よりも減少しているかどうかを調べた。上記異物としては、最大長が0.5μm以上のものを測定した。表1および表2は、用いたメインドープ、添加剤溶液、混合装置、異物数等の関係を示している。
Figure 2016112809
Figure 2016112809
表1および表2の結果より、2種類の液体を混合装置にて混合してドープを調製する際に、粘度が2500〜5000mPa・sである一方の液体(メインドープ)と、粘度が10〜500mPa・sである他方の液体(添加剤溶液)とを合流させた後、流路断面積が平均で0.05mm〜10mmとなるように分割された複数の流路に混合液を分割し、その後、各流路に分割された混合液を再度合流させる分割−合流工程を繰り返すことにより、異物の数が従来の混合方法よりも少ない良好な光学フィルムが得られていることがわかる。これにより、駆動部を用いずに、また、添加剤ごとに送液経路を設けることなく省スペースで、均一に2種類の液体を混合できていると言える。
特に、分割−合流工程の繰り返しサイクルが5回以上(単位構造体の数が5個以上)であることで、繰り返しサイクルが3回の場合よりも異物数が10個未満と確実に少なくなり、より均一に混合できていることから、メインドープ、添加剤溶液の種類によらず、従来の撹拌子を用いた混合方法に比べて、異物に関して大きな改善効果が得られると言える。なお、上記繰り返しサイクルが16回以上(単位構造体の数が16個以上)では、断面積の小さい水準で液体L1および液体L2の送液の際の圧力が高くなりすぎ、焼結金属フィルターあるいは充填したフッ素樹脂が破損してしまい、評価ができなかったため、これ以上の評価を行っていないが、単位構造体の数の増加に伴って異物が減少するものと考えられる。
また、分割時の流路断面積が上記した一定範囲に収まっていれば、異物数の大幅な改善効果が得られており、その効果は流路の断面形状によらずに得られていることがわかる。
本発明は、高分子からなる樹脂を溶媒に溶解してドープを形成し、支持体上にドープを流延した後、乾燥し、剥ぎ取り、加工して光学フィルムを得る光学フィルムの製造に利用可能である。
6 支持体
25 混合装置
31 単位構造体
32 配管
33 心棒
34 棒状体
37 細管
38 樹脂
39 折り曲げ部材
L1 液体
L2 液体
S1 隙間
S2 内部空間
S3 隙間

Claims (5)

  1. 溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法であって、
    2種類の液体を混合して、支持体上に流延するドープを調製する調製工程を有し、
    前記調製工程では、粘度が2500〜5000mPa・sである一方の液体と、粘度が10〜500mPa・sである他方の液体とを合流させた後に、前記2種類の液体の混合液を分割して再度合流させる分割−合流工程を繰り返すことにより、前記ドープを調製し、
    前記分割−合流工程では、流路断面積が平均で0.05mm〜10mmとなるように分割された複数の流路に前記混合液を分割し、その後、各流路に分割された前記混合液を再度合流させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記分割−合流工程の繰り返しサイクルが、5回以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
    前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
    前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、前記心棒の周囲を複数の棒状体で充填することによって前記配管内に形成される複数の隙間を、前記流路として有していることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
    前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
    前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、前記心棒の周囲を細管で充填し、各細管の周囲の隙間を樹脂で封止することにより、前記細管の内部空間を前記流路として有していることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記調製工程では、混合装置を用いて前記分割−合流工程を繰り返し、
    前記混合装置は、複数の単位構造体を前記混合液の送液方向に並べて配置するとともに、各単位構造体を通る軸であって前記送液方向に沿った軸を中心とする回転角度が異なるように、前記複数の単位構造体を配置することによって構成されており、
    前記単位構造体は、配管内に心棒を通し、山折りと谷折りとの繰り返し構造が形成された折り曲げ部材を、折り目が前記送液方向に沿うように、前記配管内で前記心棒を囲むように配置することによって前記配管内に形成される隙間を、前記流路として有していることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
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