JP2016111957A - 多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品 - Google Patents

多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品 Download PDF

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昌和 栗原
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Abstract

【課題】多糖類を加水分解した場合の粘度低下率が極めて高く、粘度低下後に糊状感を有しない多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品を提供する。
【解決手段】アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上の多糖類並びに1価カチオンを水に溶解して一次水溶液を得る工程と、該一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解して二次水溶液を得る工程とを含む多糖類水溶液の製造方法であって、前記一次水溶液を、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/L、2価カチオン濃度が0.05mol/L以下、pHが2.5〜5.5、水溶液粘度が200〜10000mPa・sの範囲に調整する多糖類水溶液の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、多糖類を加水分解することにより分子が切断され粘度低下する多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品に関する。
水不溶性物と水溶性物が混合された水を溶媒とする増粘物において、一次機能としては粘性が高く、二次機能としては粘性が低いことが有益な用途がある。
例えば、水性塗料の顔料ビヒクルとして多糖類水溶液が使用されている。水性塗料において、特に肉厚塗装の場合には、塗装時の粘性は高い方がよいが、粘性が高いと乾燥阻害をおこすため、乾燥時の粘性は低い方がよい。また、建築用の特殊塗装において、鉱物粒子などの水不溶性物を均一に分散させ均一に塗装するためには、高粘性の水性塗料がよいが、塗装後の乾燥には低粘性のほうがよい。しかし、現状は粘性を下げる手段がなく粘度が高いままのため、作業の時間が長いという問題がある。
また、砂やカラー粒子をコンクリートブロックに付着させる場合において、砂やカラー粒子の接着剤として粘性を有する多糖類が使用される場合があるが、粘性が高いと熱風で乾燥しても乾燥速度が遅いという問題があり、連続的な生産が難しいという問題がある。
同様に、陶器に釉薬を塗って乾燥させる工程において、釉薬に多糖類を入れて増粘させることにより釉薬の付着性を向上させることができるが、粘性が高いと乾燥に時間がかかり、熱風乾燥すると一部が乾燥してひび割れてしまうなどの問題がある。
また、化粧品として、スクラブを含む液体マッサージ材がある。液体マッサージ材は、スクラブを均一に分散させ、均一に容器充填するために、多糖類を含有して粘性を付与しているが、使用時に粘性が高いと皮膚感触が悪いため問題となる。
また、食品製造においては、水不溶性物を粘性を有する粘性水溶液に均一に分散させながら押出成形して、乾燥物を得る加工食品がある。例えば、エクストルーダーを使用して作るゴマ入りのスナック食品などである。このような加工食品の場合、ゴマのような水不溶性物を均一に分散させるために、粘性水溶液の粘性を高めて固計量を均一にさせている。しかしながら、粘性があると乾燥が遅くなる問題がある。同様に、野菜チップなどの水不溶性物と粘性水溶液を均一にドラムドライ乾燥する加工食品がある。例えば、ふりかけなどに使用する野菜粉末やゴマなどが入ったフレーク状食品などである。これらは、搬送で分離しないように、溶液にある程度の粘性を付けて均一分散させている。しかし、粘性があると、乾燥が遅くなる問題がある。
さらに、具材を調味して調味液と共に包装される調理加工食品が多く流通している。例えば、カレー、シチュー、牛丼、中華丼、ビビンバ、パスタソース、ラタトゥイユ、麻婆豆腐などの中華惣菜、モツ煮、フカヒレや蟹玉スープ、炊き込みご飯、混ぜご飯、五目寿司飯の素などである。また、フルーツなどの具材と果汁や甘味料などの液体とを調理加工したデザート、善哉、甘酒などの嗜好食品も同様に、具材と調味液により構成されている。これらは、パウチなどの容器に具材を定量で入れ、調味液を充填して密封し、必要に応じて加熱調理も兼ねたレトルト殺菌や熱水殺菌などの熱殺菌をしている。これらの加工工程は、具材充填と調味液充填の二度の充填をするか、具材が均一分散されて充填ノズルを容易に通る場合には、具材と調味液を混合した状態で一度の充填をしている。しかし、一度に充填する方法では、調味液に具材を均一分散させるほどの粘性を付与すると、加熱したとしても粘度が下がりきらないという問題がある。
また、具材と溶液が充填されているレトルトパウチ入りのペットフードの製造において、具材を均一に充填するために溶液には、ある程度の粘性が必要とされる。しかし、粘性があるままでは、パウチからの取り出しが悪く、ペットの嗜好性が悪くなるという問題がある。
上記のような問題点を解決する方法として、例えば特許文献1には、流動性食品の製造方法に関して、250cp以上の粘度の粘稠物を保持して不溶性原料を分散させ、加熱処理して粘度を低下させ、品温5〜15℃で500cp以下の粘度とする記載がある。そして、加熱殺菌により粘度を低下させる増粘性物質として、グアーガム、ゼラチン、ペクチンが例示され、用途としては、パスタソース、肉ソースなどが想定されている。
特許第3118408号
しかしながら、特許文献1に示されているグアーガム、ゼラチン、ペクチン等は、加熱処理を施して粘度が低下した場合でも、糊状感を有する溶液になってしまうということがあり、食感的に好ましくないという問題がある。
特に、上記調理加工食品において例示された食品の中で、炊き込みご飯、混ぜご飯、五目寿司飯の素、牛丼、スープカレーなどは、食味を悪くしないように調味液の粘性が極めて低いことが望まれている。特に米飯文化の日本人は、米飯まわりの食品は微妙な食感の違いでも厳しい評価をしやすい。そのため、炊き込みご飯、混ぜご飯、五目寿司などは、粘性があると米がべたついたようになり好ましくない。このため、粘度の低下のみならず、糊状感のない水のような液性が求められる。また、ポタージュやシチューなどとは異なり粘性を有しないスープ、例えばポトフ、テールスープ、トムヤンクンスープ、けんちん汁、豚汁などは、粘性があると本来の食味が整わない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、多糖類を加水分解した場合の粘度低下率が極めて高く、粘度低下後に糊状感を有しない多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定の多糖類を含む多糖類水溶液の1価カチオン濃度、2価カチオン濃度及びpHを調整することにより、加熱処理により加水分解した場合の粘度低下率が極めて高く、さらに加水分解後の水溶液の液性がニュートン流体に近くなり、粘度低下後に糊状感を有しないことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上の多糖類並びに1価カチオンを水に溶解して一次水溶液を得る工程と、該一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解して二次水溶液を得る工程とを含む多糖類水溶液の製造方法であって、前記一次水溶液を、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/L、2価カチオン濃度が0.05mol/L以下、pHが2.5〜5.5、水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が200〜10000mPa・sの範囲に調整することを特徴とする多糖類水溶液の製造方法に関する。
また、本発明は、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上の多糖類並びに1価カチオンを水に溶解した一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解させた二次水溶液を含む多糖類水溶液であって、前記一次水溶液は、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/L、2価カチオン濃度が0.05mol/L以下、pHが2.5〜5.5、水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が200〜10000mPa・sの範囲に調整されたことを特徴とする多糖類水溶液に関する。
さらに、本発明は、上記記載の多糖類水溶液を含む食品に関する。
以上のように、本発明によれば、多糖類を加水分解した場合の粘度低下率が極めて高く、粘度低下後に糊状感を有しない多糖類水溶液の製造方法、それによって得られた多糖類水溶液及び多糖類水溶液を含む食品を提供することができる。
本発明の多糖類水溶液に含有される多糖類は、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上が好ましい。
本発明者らが、多糖類の加熱(121℃、30分)による加水分解性を溶液の粘性またはゲル強度(ゲル化するカードラン、ジェランガム、ネーティブ型ジェランガム、寒天、カラギナン、ファーセレラン、についてはレオメーターでゲル強度を測定)を指標として検討したところ、多糖類として、タマリンドガム、キサンタンガム、ダイユータンガム、サクシノグルカン、カードラン、ジェランガム及び寒天を用いた場合には、加熱前後で粘度またはゲル強度があまり変化せず、多糖類として、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガム、カラヤガム、ペクチン、カラギナン、ファーセレラン、メチルセルロース、HPMC、ネーティブ型ジェランガム及び澱粉を用いた場合には、加熱前後で粘度またはゲル強度が中程度に変化することが分かった。
そして、多糖類として、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムを用いた場合のみ、加熱前後で粘度が著しく低下し、さらに粘度低下後の溶液の糊状感が極めて少ない傾向にあることが分かった。
従来、上記のような多糖類を食品に加える目的は、食品への粘性付与であり、本発明のように、多糖類を加えて粘性を発現させるにもかかわらず、最終的な食品としては粘性及び糊状感を可能な限り減らすという目的はなく、そのような評価もされていなかった。本発明では、このような目的の用途に注目し、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上であれば、熱処理により分子が切断され、低粘性の液性(200mPa・s未満)で、且つ水のようなニュートン流体に変化することを初めて見出した。
アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムが、加熱処理により加水分解し、且つ糊状感がない溶液になる理由は、以下のとおりであると考えられる。
上記多糖類は、全て側鎖を有しない直鎖構造をしている。そして、単独では高濃度においてもゲル化することはなく粘性体である。高分子状態のものは、直鎖構造とはいえ分子間の絡み合いが多くなり分子間同士の相互作用が強くなる。このため、非ニュートン流体となり糊状感が生じるのである。これに対し、上記多糖類の直鎖が加水分解し低分子化すると、分子間の絡み合いが減少し、ニュートン流体となり、糊状感を感じなくなるのである。つまり、単独ではゲル化しない直鎖構造を有する多糖類であるアルギン酸ナトリウム等が加水分解して初めて本発明の効果が生じるのである。
本発明の多糖類水溶液は、上記多糖類の粘度及び糊状感をさらに低下したものとするため、上記多糖類並びに1価カチオンを水に溶解して一次水溶液を得る工程と、該一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解して二次水溶液を得る工程とを含む製造方法により製造され、さらに、一次水溶液を得る工程において、1価カチオン濃度、2価カチオン濃度及びpHを調整することを特徴とする。
本発明において、1価カチオンとは、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムのうちいずれか一以上のカチオンを示す。1価カチオン濃度は、水溶性の1価カチオン化合物のモル数を算出し、前記カチオンに相当する量の食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどを規定量溶解することにより調整することができる。また、溶解した多糖類に1価カチオンを含む場合には、多糖類由来の1価カチオンも本発明の1価カチオンに含まれる。これらのイオンは、ICP発光分析装置を使用して測定することができる。
一次水溶液を得る工程において、一次水溶液の1価カチオン濃度は、0.08〜1.70mol/Lに調整されるが、0.5〜1.20mol/Lであることが好ましい。1価カチオン濃度が0.08mol/Lより少ないと、加水分解が起こりにくく、さらに加水分解してもニュートン流体になりにくい。また、多糖類と微量に存在する2価カチオンとの相互作用が、多糖類と1価カチオンとの相互作用より強くなり、分子が安定し加熱による粘度低下が悪くなるため好ましくない。一方、1価カチオン濃度が1.70mol/Lより多いと、一次水溶液の粘度が発現しない。また、多糖類が塩析に近い状態となり多糖類分子と水との親和性が悪くなり加水分解が起きにくい状態になる。このため、分子は加熱による加水分解を受けにくくなり粘度低下が悪くなるため好ましくない。
また、一次水溶液を得る工程において、2価カチオンを含む場合の2価カチオン濃度は、0.05mol/L以下であり、0〜0.03mol/Lであることがさらに好ましい。2価カチオン濃度が0.05mol/Lより多いと、一次水溶液の粘度が発現しにくく、さらに加水分解が起きにくいため好ましくない。また、多糖類のカルボキシル基とカルシウムイオンなどの2価カチオンが電気的に親和性を示し、複合体を作るため耐熱性が上がり粘度の低下が悪くなるため好ましくない。
本発明において、2価カチオンとは、カルシウム、マグネシウム及び鉄のうちいずれか一以上のカチオンを示す。2価カチオン濃度も1価カチオン濃度と同様に水溶性の2価カチオン化合物のモル数を算出し、前記カチオンに相当する量の塩化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸鉄、ピロリン酸鉄、ミルクカルシウム、カゼインカルシウムなどを必要により規定量溶解することにより調整することができる。これらのイオンは、ICP発光分析装置を使用して測定することができる。
また、一次水溶液のpHは、pH2.5〜5.5が好ましく、pH3.0〜5.0がさらに好ましい。pHが2.5より小さいと、一次水溶液中での多糖類の加水分解が激しく、着色、酸味が強くなる、フルフラールが生成するなどの好ましくない状況が生じる。また、一次水溶液の粘度低下が起こり好ましくない。一方、pHが5.5より大きいと、多糖類が安定となり加熱による粘度低下が悪くなり、多糖類の加水分解が起こりにくくなり好ましくない。本発明において、pHの調整は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アスコルビン酸及びフィチン酸などの有機酸;硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸などの無機酸;クエン酸ナトリウムなどの有機酸のナトリウム塩やカリウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムなどのアルカリ性物質;リン酸塩など食品に一般的に使用されているpH調整剤を使用して行うことができる。また、本発明におけるpHは、pH計を使用して測定することができる。
さらに、一次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)は、200〜10000mPa・sであるが、500〜8000mPa・sが好ましく、650〜5000mPa・sがより好ましい。水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が200mPa・s未満では、粘性が低く溶液中の固形物が均一に分散しないという問題があり、10000mPa・sを超えると、粘性が高すぎて溶液中の固形物を均一に混合できないため好ましくない。
一次水溶液中の多糖類の重量平均分子量(Mw)は、200000〜2500000が好ましく、200000〜1500000がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が200000未満では粘性が低く溶液中の固形物が均一に分散しない傾向があり、使用濃度を高めると加水分解後においても糊状感が出てしまう傾向がある。一方、重量平均分子量(Mw)が2500000を超えると粘性が高すぎて溶液中の固形物を均一に混合できず、使用濃度を下げた場合でも加熱により加水分解しにくい傾向があり好ましくない。
一次水溶液中の多糖類の使用濃度は、多糖類の種類によって異なるが、上記水溶液粘度に調整するために、一般的には、0.2〜7.0重量%が好ましい。
二次水溶液を得る工程において、上記一次水溶液の粘性を低下させるための加熱処理としては、例えば、温度80〜150℃で5秒〜90分加熱する加熱処理、pH3.0〜4.5、温度80〜95℃で20〜90分加熱する酸低温加熱処理などが挙げられる。なお、当然のことながら、加水分解反応は、温度と時間が重要な因子であり、温度が80℃の場合は長時間が必要となり、温度が150℃の場合は短時間でよい。
加熱処理の方法は、特に限定されないが、レトルト式加熱、直蒸気加熱(スピンジェクション式など)、チューブ式加熱、プレート式加熱、ジュール式加熱、エクストルーダー加熱、ドラム加熱、熱風加熱、蒸煮加熱、マイクロ波加熱等が挙げられる。一般的に100℃を超える加熱は、レトルト式加熱、直蒸気加熱、チューブ式加熱、プレート式加熱、エクストルーダー加熱などが好ましい。
また、酸低温加熱処理の方法は、水浴、熱水シャワー、温風などが好ましい。
上記多糖類が加水分解したことを示す指標として、本発明においては、二次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が、一次水溶液の水溶液粘度の50%以下で且つ1〜200mPa・sの範囲であり、ローター回転数が6rpm及び60rpmであるB型粘度計で測定した二次水溶液の水溶液粘度(20℃)を後述する式(1)に当てはめた場合の粘度比が50%以下であることと定める。
多糖類が加水分解した後の二次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)は、一次水溶液粘度の50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。また、二次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)は、1〜200mPa・sであるが、10〜150mPa・sが好ましい。二次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が1mPa・s未満では、加水分解の程度が激しすぎて、溶液が着色したり異臭が発生し、200mPa・sより大きいと、粘度が高すぎて本発明の効果が確認できないため好ましくない。
また、ローター回転数が6rpm及び60rpmであるB型粘度計で測定した二次水溶液の水溶液粘度(20℃)を下記式(1)に当てはめた場合の粘度比が50%以下であることが好ましいが、40%以下がより好ましく、30%以下が特に好ましい。
Figure 2016111957
上記式(1)は、粘性の指標のひとつとして、糊状感の測定をおこなったものである。糊状感の指標は、官能検査の他、B型粘度計を使用し、ローター回転数を変えて粘度を測定することにより、回転数ごとの粘度値の変化が小さい液性をニュートン流体、回転数ごとの粘度値の変化が大きい液性を非ニュートン流体の目安とすることができる。そして、一般的に、ニュートン流体のものは、糊状感がないことの指標とすることができる。
二次水溶液中の多糖類の重量平均分子量(Mw)は、1000〜200000未満が好ましく、10000〜150000がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が1000未満では加水分解の程度が激しく、溶液が着色したり異臭が発生する傾向があり、200000以上だと粘度が高すぎて本発明の効果が確認できない傾向があり好ましくない。
本発明の多糖類水溶液によれば、粘性を有する一次水溶液中に攪拌により固形物を均一に分散させることができ、液体移送中にもその均一性は維持される。そして、加熱処理により、粘性が極度に低下し且つ糊状感を有しない二次水溶液とすることができ、多糖類水溶液の利用の幅を広げることができる。
例えば、具材を調味して調味液と共に包装された調理加工食品において、従来の方法では、具材を均一分散させて具材と液体が混合した状態で一度に充填すると粘度が下がりきらないので、固形物を包装容器にまず計量充填してからスープ液を充填するという二度の操作が必要であるような場合でも、本発明の多糖類水溶液を用いれば、粘性を有する液体により、固形物を均一に分散し一度の操作にて包装容器に充填でき、移送中にも均一性が担保され、加熱調理・殺菌処理により粘性を失い、糊状感がなく食味が整えられる食品を提供することが可能になる。
また、食品素材として野菜パルプなど水不溶性物と粘性水溶液を均一にドラムドライ乾燥する加工食品において、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、均一分散目的で粘性を付けても、熱伝導が悪くならず乾燥効率が落ちないと共に、ドラム表面への焦げ付きが少なくなることを可能にした。さらに、水不溶性物を均一に分散させながら押し出し成形して乾燥物を得る用途においては、水不溶性物を均一に分散させるために、粘性を高めて固計量を均一にさせても、乾燥性を良くすることが可能となる。
また、水性塗料の顔料ビヒクルとして、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、肉厚塗装の場合でも、塗料の乾燥阻害をおこすことがなくなる。
また、スクラブを含む液体マッサージ材において、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、均一にスクラブが分散されていて且つ肌へののびが良く、べたつきがない化粧品を作ることが可能となる。
さらに、具材と溶液が充填されているレトルトパウチ入りのペットフードの製造において、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、具材を均一に充填でき、レトルト殺菌後は溶液の粘性が低下し、しかもべたつきがないため、ペットの嗜好性が高い製品が製造可能となる。
さらにまた、砂やカラー粒子をコンクリートブロックに付着させる場合において、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、熱風乾燥で粘性が低下し、乾燥速度が速くなるため、連続的な生産が可能となる。
また、陶器に釉薬を塗って乾燥させる工程において、本発明の多糖類水溶液を使用することにより、塗布時の釉薬の付着性を向上させることができ、しかも、熱風乾燥で粘性が低下し、乾燥によるひび割れを生じないで乾燥させることが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
まず、実施例で使用した資材は下記の通りである。
アルギン酸ナトリウム(1):イナゲルGS−20 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw200000)
アルギン酸ナトリウム(2):イナゲルGS−30 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw250000)
アルギン酸ナトリウム(3):イナゲルGS−50 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw500000)
アルギン酸ナトリウム(4):イナゲルGS−70 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw730000)
アルギン酸ナトリウム(5):イナゲルGS−230 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw2350000)
アルギン酸カリウム:イナゲルGP−30 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw310000)
アルギン酸アンモニウム:イナゲルGA−30 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw340000)
アルギン酸プロピレングリコールエステル(アルギン酸PGA):イナゲルGE−30 伊那食品工業社製(重量平均分子量MW310000)
カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC−Na):イナゲルMC−30 伊那食品工業社製(重量平均分子量Mw300000)
グアーガム:イナゲルGR−10 伊那食品工業社製
タラガム:イナゲルタラガムA 伊那食品工業社製
ローカストビーンガム:イナゲルL−15 伊那食品工業社製
カシアガム:カシアガム 伊那食品工業社製
タマリンドガム:イナゲルV−250 伊那食品工業社製
グルコマンナン:マンナン100 伊那食品工業社製
トラガントガム:トラガントガム 伊那食品工業社製
カラヤガム:カラヤガム 伊那食品工業社製
キサンタンガム:エコーガム CPケルコ社製
ダイユータンガム:CPケルコ社製
サクシノグルカン:ダニスコ社製
カードラン:キリン協和フーズ社製
ペクチン:イナゲルJP−10 伊那食品工業社製
カラギナン:イナゲルE−150 伊那食品工業社製
ファーセレラン:ファーセレラン 伊那食品工業社製
メチルセルロース:MCE−1500 信越化学工業社製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):SFE−400 信越化学工業社製
ジェランガム:ケルコゲル CPケルコ社製
ネーティブ型ジェランガム:LT−100 CPケルコ社製
寒天:伊那寒天S−7 伊那食品工業社製
澱粉:馬鈴薯澱粉 川光物産社製
化工澱粉:グルメスター3 松谷化学工業社製
また、実施例で使用した測定方法を以下に示す。以後に示す%は、特に指定がない限り重量%である。
(粘度1:一次水溶液の水溶液粘度(20℃))
B型粘度計(ブルックフィールド社製)を使用し、ローター回転数は6rpmで測定した。使用ローターは、粘度にあわせ測定上限を超えないように適宜選択して使用した。
(粘度2:二次水溶液の水溶液粘度(20℃))
B型粘度計(ブルックフィールド社製)を使用した。ローター回転数は6、12、30、60rpmとし、それぞれの粘度を測定した。使用ローターは、粘度にあわせ測定上限を超えないように適宜選択して使用した。
また、下記式(1)により、ローター回転数6rpmと60rpmでの粘度値の差の割合を算出した。
Figure 2016111957
(食感)
パネラー10名により、加熱処理後の溶液(20℃)の官能検査を行った。評価は、次の項目で示した。
A:溶液の糊状感はほとんどない。
B:溶液の糊状感はわずかにあるが問題ない程度である。
C:溶液の粘性は低いが糊状感がある。
D:溶液の粘性が高く糊状感がある。
(重量平均分子量(Mw))
GPC法により測定した。
(1価カチオン及び2価カチオン濃度)
ICP発光分光分析装置(ICPE−9000、島津製作所社製)を使用して測定した。なお、前処理として一次水溶液中の不溶性の2価カチオン化合物を除去するため、一次水溶液をろ紙をセットしたロートに入れ24時間放置し、流出したろ液について通常の方法により測定を行った。
(pH)
pH計(D−71、堀場製作所社製)を使用して20℃で測定した。
[実験例1:各種多糖類の比較]
(実施例1〜6、比較例1〜22)
表1および表2に示した配合にて多糖類溶液を作製した(作製量1000g)。具体的には、水に表2に示す多糖類を入れ分散後、95℃にて加熱溶解した(比較例12は静置加温)。さらに、80℃になったところで、食塩、塩化カルシウム、クエン酸、クエン酸Naを加えてpHを5.0に調整した(比較例12は多糖類と同時に添加)。なお、この溶液の1価カチオン濃度は、実施例5及び比較例1〜22が0.82mol/L、実施例1〜4、6が0.86mol/Lであり、2価カチオン濃度は何れも0.01mol/Lであった。この溶液を20℃に冷却し、粘度1(mPa・s)を測定した。また、この溶液300gをレトルトパウチに密封し、121℃、20分の加熱処理を行い、20℃に冷却後、粘度2(mPa・s)を測定した。また、溶液の食感、加熱後の多糖類の重量平均分子量(Mw)を測定し、表3に結果を示した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、実施例の多糖類は、加熱処理により粘度が著しく低下し、さらに液性はニュートン流体に近く、糊状感が少なかった。
[実験例2:一次水溶液の物性]
(実施例7〜18、比較例23〜37)
表4に示した配合にて多糖類溶液を作製した(作製量1000g)。具体的には、水にアルギン酸ナトリウム(2)を入れ分散後、室温にて溶解した。溶解後、目的の物性になるように他の成分を添加した。一次水溶液の1価カチオン濃度、2価カチオン濃度及びpHを表5に示した。これらの溶液を20℃において、粘度1(mPa・s)を測定した。さらにこれらの溶液300gをレトルトパウチに密封し、121℃、20分の加熱処理を行い、20℃に冷却後、粘度2(mPa・s)を測定した。また、溶液の食感、加熱後の多糖類の重量平均分子量(Mw)を測定し、表6に結果を示した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/Lであり、2価カチオン濃度が0〜0.05mol/Lであり、pHが2.5〜5.5であるものは、一次水溶液を加熱処理して、前記多糖類を加水分解した二次水溶液の水溶液粘度が一次水溶液と比べて大きく低下し、水溶液の糊状感がなく良好な食感であった。一方、1価カチオン濃度、2価カチオン濃度及びpHを上記範囲に調整していないものは、二次水溶液の水溶液粘度が一次水溶液と比べてあまり低下しないか、低下したとしても糊状感を有するものとなってしまっていた。
[実験例3:加水分解が充分でない場合]
(実施例19〜20、比較例38〜41)
表7に示した配合にて多糖類溶液を作製した(作製量1000g)。具体的には、水に多糖類を入れ分散後、室温にて溶解した。溶解後、食塩、塩化カルシウム、クエン酸、クエン酸Naを加えてpHを5.0に調整した。なお、この溶液の1価カチオン濃度は、実施例19及び比較例38、39は0.55mol/Lであり、実施例20及び比較例40、41は0.54mol/Lであり、2価カチオン濃度は何れも0.01mol/Lであった。この溶液を20℃に冷却し、粘度1(mPa・s)を測定した。この溶液を、表7に示した条件で加熱処理を行い、20℃に冷却後、粘度2(mPa・s)を測定した。溶液の食感、加熱後の多糖類の重量平均分子量(Mw)を測定し表8に結果を示した。なお物性の評価方法は実験例1と同様とした。加熱処理は、比較例38、40は熱水中で行い、実施例19、20は高温高圧中(レトルト)で比較例39、41は高温高圧中(UHT)で行った。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、アルギン酸ナトリウムを用いた場合であっても、加水分解していない(本発明の加水分解に満たない)比較例においては、溶液に糊状感が感じられた。
[実験例4:各種条件における加水分解]
(実施例21〜26)
表9に示した配合にて多糖類溶液を作製した(作製量1000g)。具体的には、水に多糖類を入れ分散後、室温にて溶解した。溶解後、食塩、塩化カルシウム、クエン酸、クエン酸Naを加えて表9に示したpHに調整した。なお、この溶液の1価カチオン濃度は0.60mol/Lであり、2価カチオン濃度は0.01mol/Lであった。この溶液の20℃における粘度1(mPa・s)を測定した。この溶液を表9に示した条件で加熱処理を行い、20℃に冷却後、粘度2(mPa・s)を測定した。溶液の食感、加熱後の多糖類の重量平均分子量(Mw)を測定し、表10に結果を示した。なお、加熱処理は、実施例22、23、25、26は高温高圧中(レトルト)で行い、実施例21、24は熱水中で行った。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
[実験例5:具材を入れて評価]
(実施例27〜40、比較例42〜65)
実施例1〜6、19〜26及び比較例1〜5、8〜22、38〜41と同様に作製した加熱前の溶液に、トウモロコシ粒、5mm角に細断した人参、10mm角に細断した鶏肉を具材として、溶液に対して各3%添加し、加熱処理前と加熱処理後の状態を確認した。評価項目を下記に示し、結果を表11に示した。なお、比較例51、53、54、57、58、59は20℃でゲル化していたため、除外した。
A:浮遊していて沈殿しない。
B:しばらく浮遊した後、1時間〜2時間程度時間をかけて徐々に沈殿した。
C:沈殿していて、撹拌して浮遊させても直ちに沈殿した。
Figure 2016111957
以上のように、実施例の溶液は、加熱処理前は粘性があり具材の沈降を抑制するが、加熱処理後は粘性が低下し具材が沈降した。これに対し、比較例の溶液は、粘性の低下が充分でなく加熱処理後においても具材の沈降が遅かった。
[実験例6:液状食品の製造]
(実施例41〜48)
表12に示した組み合わせにて具材と多糖類を含む液状食品を作製した。具体的には、表12の多糖類を表12の液状食品に溶解後、予め調理された具材、調味料を加え加熱処理前の液状食品を作製した。この状態において、具材は均一に分散していた。この液状食品300gをレトルトパウチに充填し、121℃、20分間のレトルト処理を行った。実施例41〜45は60℃にて、実施例46〜48は20℃にて状態と溶液の食感を調べ表13に記載した。なお、固形物の具材を除いた状態の一次水溶液と二次水溶液の粘度を測定し表14に記載した。また、固形物の具材を除いた状態の1価カチオン濃度と2価カチオン濃度およびpHを測定し表15に記載した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、実際に液状食品を製造した場合においても良好な結果が得られた。
[実験例7:水性塗料の顔料ビヒクル]
(実施例49、比較例66、67)
常法により表16の多糖類を使用して顔料入りの水性塗料を作製し一次水溶液の粘度を測定した。この一次水溶液の1価カチオン濃度は1.18mol/Lであり、2価カチオン濃度は0.05mol/Lであった。また、この溶液のpHは5.0であった。この溶液100mLを金属板(30cm×40cm×厚さ1mm)に塗布した後、130℃の熱風を10分間送り乾燥させた。これらにつき塗料の状態を観察し表17に記載した。また別に一次水溶液100mLを還流装置に充填しコンデンサで蒸発分を還流しながらオイルバスで130℃で10分間加熱処理し、二次水溶液の粘度を測定した。さらに表16の使用濃度で、顔料成分を含まない以外は実施例49、比較例66、67と同様に作製した水溶液100mLを金属板(30cm×40cm×厚さ1mm)に塗布した後、130℃の熱風を10分送り乾燥させ、回収した多糖類の分子量を測定し表18に記載した。なお、加熱処理前の分子量も合わせて記載した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、アルギン酸ナトリウム(3)を使用したものは、乾燥性が良く、肉厚の顔料水性塗料となった。
[実験例8:スクラブ入り化粧品]
(実施例50、比較例68、69)
常法によりスクラブ入り洗顔化粧品を表19の多糖類を使用して作製し一次水溶液の粘度を測定した。このスクラブ入り化粧品を化粧品用のチューブに充填し状態を観察した。この一次水溶液の1価カチオン濃度は1.50mol/Lであり、2価カチオン濃度は0.04mol/Lであった。また、この溶液のpHは5.1であった。この溶液100mLを200mLビーカーに入れ、85℃の熱水中に40分間浸漬させ二次水溶液を作製した。二次水溶液の状態と使用感を観察し表20に記載した。さらに二次水溶液の粘度を測定し表21に記載した。さらに表19の使用濃度で、化粧品成分を含有しない以外は実施例50、比較例68、69と同様にして作製した水溶液100mLを200mLビーカーに入れ、85℃の熱水中に40分間浸漬させた。この溶液中の多糖類の分子量を実験例1と同様に測定し表21に記載した。なお、加熱処理前の分子量も合わせて記載した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、アルギン酸ナトリウム(2)を使用したものは、べたつき感がなく延びがあり使いやすく、振とうすることによりスクラブが均一に分散する洗顔化粧品となった。
[実験例9:ペットフード]
(実施例51、比較例70、71)
常法によりレトルトパウチ入りペットフードを表22の多糖類を使用して作製し一次水溶液の粘度を測定した。この一次水溶液の1価カチオン濃度は0.08mol/Lであり、2価カチオン濃度は0.04mol/Lであった。また、この溶液のpHは5.2であった。この一次水溶液200mLをレトルトパウチに充填し、これを121℃で20分間レトルト処理させた。レトルトパウチに充填した状態と加熱処理後の状態を観察し表23に記載した。さらに、表22の使用濃度でペットフード食材を含まない以外は実施例51、比較例70、71と同様にして作製した水溶液200mLを121℃で20分間レトルト処理した。この溶液中の多糖類の分子量を実験例1と同様に測定し表24に記載した。なお、加熱処理前の分子量も合わせて記載した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、アルギン酸ナトリウム(4)を使用したものは、具材が均一に分散され、且つ粘性がない液体状ペットフードとなった。
[実験例10:陶器]
(実施例52、比較例72、73)
常法により表25の多糖類を使用して多糖類入りの釉薬を作製し一次水溶液の粘度を測定した。この一次水溶液の1価カチオン濃度は0.68mol/Lであり、2価カチオン濃度は0.05mol/Lであった。また、この溶液のpHは5.3であった。この釉薬30mLを原料模擬陶器(直径7cm、高さ10cmの円柱状)に塗布した。これを90℃で120分間乾燥させた。これらにつき釉薬の状態を観察し表26に記載した。また別に一次水溶液30mLを還流装置に充填しコンデンサで蒸発分を還流しながら湯浴で90℃で120分間加熱処理し、二次水溶液の粘度を測定し表27に示した。さらに、表25の使用濃度で釉薬成分を含有しない以外は実施例52、比較例72、73と同様にして作製した水溶液30mLを原料模擬陶器(直径7cm、高さ10cmの円柱状)に塗布し、90℃で120分間乾燥させ、回収した多糖類の分子量を実験例1と同様に測定し、表27に記載した。なお、加熱処理前の分子量も合わせて記載した。
Figure 2016111957
Figure 2016111957
Figure 2016111957
以上のように、アルギン酸ナトリウム(1)を使用したものは、きれいに乾燥し均一に釉薬が付着している陶器となった。

Claims (6)

  1. アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上の多糖類並びに1価カチオンを水に溶解して一次水溶液を得る工程と、
    該一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解して二次水溶液を得る工程とを含む多糖類水溶液の製造方法であって、
    前記一次水溶液を、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/L、2価カチオン濃度が0.05mol/L以下、pHが2.5〜5.5、水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が200〜10000mPa・sの範囲に調整することを特徴とする多糖類水溶液の製造方法。
  2. アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムのうちいずれか一以上の多糖類並びに1価カチオンを水に溶解した一次水溶液を加熱処理して、前記一次水溶液に溶解した多糖類を加水分解させた二次水溶液を含む多糖類水溶液であって、
    前記一次水溶液は、1価カチオン濃度が0.08〜1.70mol/L、2価カチオン濃度が0.05mol/L以下、pHが2.5〜5.5、水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が200〜10000mPa・sの範囲に調整されたことを特徴とする多糖類水溶液。
  3. 前記二次水溶液の水溶液粘度(20℃,ローター回転数6rpm)が、前記一次水溶液の水溶液粘度の50%以下で且つ1〜200mPa・sの範囲であり、ローター回転数が6rpm及び60rpmであるB型粘度計で測定した前記二次水溶液の水溶液粘度(20℃)を下記式(1)に当てはめた場合の粘度比が50%以下であることを特徴とする請求項2記載の多糖類水溶液。
    Figure 2016111957
  4. 前記一次水溶液中の多糖類の重量平均分子量(Mw)が200000〜2500000であり、前記二次水溶液中の多糖類の重量平均分子量(Mw)が1000〜200000未満であることを特徴とする請求項2又は3記載の多糖類水溶液。
  5. 前記加熱処理が、レトルト式加熱、直蒸気加熱、チューブ式加熱、プレート式加熱、ジュール式加熱、エクストルーダー加熱、ドラム加熱、熱風加熱、蒸煮加熱及びマイクロ波加熱のうちいずれか一以上であることを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載の多糖類水溶液。
  6. 請求項2乃至5いずれか記載の多糖類水溶液を含む食品。
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