JP2016109527A - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】可燃性ガスを検出するガスセンサの検出感度をより高くする。【解決手段】可燃性ガスを検出する接触燃焼式ガスセンサ100は、断熱部119と、ガス検出部と、補償部とを備えている。ガス検出部は、それぞれ断熱部119上に形成された、反応膜ヒータ171と、反応膜ヒータ171の上に形成され、可燃性ガスの燃焼触媒を担持した担体を含むガス反応膜191と、ガス反応膜191の近傍に形成された第1の測温素子HJとを有している。また、補償部は、断熱部119上のガス検出部とは別個の領域に形成された第2の測温素子CJを有している。そして、ガス検出部の反応膜ヒータ171は、第1の測温素子HJを基準として、第2の測温素子CJの反対側に配置されている。【選択図】図3
Description
この発明は、可燃性ガスを検出する接触燃焼式ガスセンサにおいて、可燃性ガスの検出感度をより高くする技術に関する。
従来より、水素等の可燃性ガスを検出するガスセンサとして、触媒を用いて可燃性ガスを燃焼させ、燃焼熱による触媒温度の上昇を電気的に検出する接触燃焼式ガスセンサが使用されてきている。このような接触燃焼式ガスセンサにおいても、種々のセンサと同様に、検出感度をより高くすることが常に求められており、様々な方法により高感度化が図られている。例えば、特許文献1では、低濃度の可燃性ガスや感度の低い可燃性ガスに対してガス検知感度を高めるため、可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層の近傍に可燃性ガスの燃焼を促すためのヒータを形成することが提案されている。
ところで、近年、リークテストに使用されるヘリウム(He)は、供給不足の状態が続き、さらには、近い将来において枯渇することが懸念されている。そこで、Heに替えて水素を用いてリークテストを行うため、検出感度の高いガスセンサが求められている。しかしながら、様々な方法により高感度化が行われているものの、従来の接触燃焼式ガスセンサでは、その検出感度はリークテストに使用するために十分とは言えなかった。また、リークテスト用に限らず、一般的に、検出感度をより高くすることは、可燃性ガスのセンサに対して常に求められている課題である。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、可燃性ガスを検出する接触燃焼式ガスセンサにおいて、可燃性ガスの検出感度をより高くする技術を提供することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を達成するために、本発明の接触燃焼式ガスセンサは、断熱部と、前記断熱部上に形成された反応膜ヒータと、前記断熱部上において前記反応膜ヒータの上に形成され、可燃性ガスの燃焼触媒を担持した担体を含むガス反応膜と、前記断熱部上において前記ガス反応膜の近傍に形成された第1の測温素子と、を有するガス検出部と、前記断熱部上の前記ガス検出部とは別個の領域に形成された第2の測温素子を有する補償部と、を備え、前記反応膜ヒータは、前記第1の測温素子を基準として、前記第2の測温素子の反対側に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、反応膜ヒータを発熱させることにより、ガス反応膜が有する燃焼触媒の活性を高くし、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。さらに、ガス反応膜と、第1および第2の測温素子とを断熱部上に形成することにより、ガス反応膜と、第1および第2の測温素子との外部要因による温度変動が抑制される。そのため、ガス反応膜と補償部との温度差を求め、外的要因によるガス反応膜の温度変化を補償することができるので、可燃性ガスの濃度に対応したガス反応膜の温度上昇量をより正確に求め、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。また、反応膜ヒータを、第1の測温素子を基準として第2の測温素子の反対側に配置することにより、ガス反応膜における触媒燃焼で生じた燃焼熱の補償部への伝達が抑制されるので、燃焼熱による補償部の温度上昇が抑制され、可燃性ガスの検出感度の低下が抑制される。
前記補償部は、さらに、前記断熱部上で、かつ、前記第2の測温素子の近傍を含む領域において、前記反応膜ヒータとは別個に形成された補償部ヒータを備え、前記補償部ヒータは、前記第2の測温素子を基準として、前記第1の測温素子の反対側に配置されているものとしても良い。
断熱部上で、かつ、第2の測温素子の近傍を含む領域に補償部ヒータを形成することにより、第2の測温素子の温度を、ガス反応膜の近傍に形成された第1の測温素子に近づけることができる。そのため、可燃性ガスの濃度に対応する出力信号のオフセットをより小さくすることができるので、低濃度のガスをより容易に検出することが可能となる。
前記第1の測温素子は、温接点および冷接点を有する複数の熱電対を直列接続したサーモパイルの温接点であり、前記第2の測温素子は、前記サーモパイルの冷接点であるものとしても良い。
複数の熱電対を直列接続することにより、その両端の電圧として出力される信号を十分に大きくすることができるので、可燃性ガスの濃度に対応したガス反応膜の温度上昇量をより正確に測定し、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。また、第1の測温素子をサーモパイルの温接点とし、第2の測温素子をサーモパイルの冷接点とすることにより、可燃性ガス濃度に対応した信号を直接出力することができるので、可燃性ガスの検出回路をより簡単にすることが可能となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、ガスセンサ、そのガスセンサを利用したセンサモジュール、そのセンサモジュールを使用した可燃ガス検出装置および可燃ガス検出システム、それらのガスセンサ、センサモジュールおよび可燃ガス検出装置を用いたリークテスト装置やリークテストシステム等の態様で実現することができる。
A.実施形態:
A1.センサモジュール:
図1は、本発明の一実施形態としての接触燃焼式ガスセンサモジュール10(以下、単に「センサモジュール10」とも呼ぶ)の構成を示す説明図である。図1(a)は、センサモジュール10の断面を示している。センサモジュール10では、センサチップ100が、ヘッダ11とキャップ12とからなるパッケージ19内に実装されている。キャップ12は、例えば、ステンレス鋼や真鍮等の焼結金属、ステンレス鋼等からなる金網、あるいは、多孔質セラミックスで形成されている。これにより、パッケージ19内外の通気性が確保されるとともに、センサチップ100の汚染が抑制され、また、センサモジュール10自体の防爆化が図られている。センサチップ100は、センサチップ100の下面をダイボンド材15によりヘッダ11に接着することにより、ヘッダ11に固定されている。
A1.センサモジュール:
図1は、本発明の一実施形態としての接触燃焼式ガスセンサモジュール10(以下、単に「センサモジュール10」とも呼ぶ)の構成を示す説明図である。図1(a)は、センサモジュール10の断面を示している。センサモジュール10では、センサチップ100が、ヘッダ11とキャップ12とからなるパッケージ19内に実装されている。キャップ12は、例えば、ステンレス鋼や真鍮等の焼結金属、ステンレス鋼等からなる金網、あるいは、多孔質セラミックスで形成されている。これにより、パッケージ19内外の通気性が確保されるとともに、センサチップ100の汚染が抑制され、また、センサモジュール10自体の防爆化が図られている。センサチップ100は、センサチップ100の下面をダイボンド材15によりヘッダ11に接着することにより、ヘッダ11に固定されている。
図1(b)は、ヘッダ11に固定されたセンサチップ100を上面から見た様子を示している。図1(b)における一点鎖線は、図1(a)で示した断面の位置を示す切断線である。図1(b)に示すように、センサチップ100の上面には、導電膜が露出した複数のボンディングパッドPD1〜PD6が形成されている。これらのボンディングパッドPD1〜PD6と、封止材13を介してヘッダ11に取り付けられた端子14とをワイヤ16で接続することにより、センサチップ100を外部の回路に接続することができる。なお、図1(b)の例では、ボンディングパッドPD1〜PD6の数が6であるのに対し、ヘッダ11が有する端子14の数が4であるため、2つのボンディングパッドPD3,PD4を1つの端子14に接続し、電気的に等価な2つのボンディングパッドPD5,PD6の一方のボンディングパッドPD6を端子に接続していない。但し、端子数が5以上のヘッダを用いる場合、ボンディングパッドPD3,PD4を別個の端子に接続しても良く、また、ボンディングパッドPD6を端子に接続しても良い。
センサチップ100の上面には、可燃性ガスを触媒燃焼させるためのガス反応膜191と、比較のための参照膜192とが設けられている。可燃性ガスがキャップ12を透過してセンサチップ100に到達すると、ガス反応膜191では、可燃性ガスが触媒燃焼し、可燃性ガスの濃度に応じた量の熱が発生する。そのため、ガス反応膜191は、可燃性ガスの濃度に応じて温度が上昇する。一方、参照膜192は、触媒燃焼による温度上昇が発生しない。詳細については後述するが、センサチップ100は、可燃性ガスの触媒燃焼により温度上昇するガス反応膜191と、可燃性ガスによる温度上昇がない参照膜192との温度差を表す信号を出力する。雰囲気中の可燃性ガスの濃度は、この出力信号に基づいて測定することができる。なお、このように、センサチップ100は、センサモジュール10において、ガスを検出する機能を担っているので、ガスセンサそのものであると謂える。そのため、以下では、センサチップ100を単に「ガスセンサ100」と呼ぶ。
A2.ガスセンサ:
図2は、ガスセンサ100の構成を示す説明図である。図2(a)は、ガスセンサ100を上面から見た様子を示しており、図2(b)は、図2(a)の切断線Aにおけるガスセンサ100の断面を示している。
図2は、ガスセンサ100の構成を示す説明図である。図2(a)は、ガスセンサ100を上面から見た様子を示しており、図2(b)は、図2(a)の切断線Aにおけるガスセンサ100の断面を示している。
ガスセンサ100は、空洞部119が設けられた基板110と、基板110の上面に形成された絶縁膜120と、基板110の下面に形成され開口部109が設けられたマスク膜101とを有している。絶縁膜120上には、ガスの検出機能を実現するための構造(後述する)を形成する複数の膜(機能膜)が積層されている。具体的には、絶縁膜120上には、n型半導体膜130と、第1の層間絶縁膜140と、p型半導体膜150と、第2の層間絶縁膜160と、導電膜170と、保護膜180と、ガス反応膜191もしくは参照膜192とがこの順で積層されている。これらの機能膜のうち、n型およびp型半導体膜130,150と、第1および第2の層間絶縁膜140,160と、導電膜170と、保護膜180とは、半導体デバイスの製造方法として周知の技術を用いて形成することができる。なお、絶縁膜120、マスク膜101、および、絶縁膜120上に積層される各機能膜は、製造工程の内容によって、適宜追加あるいは省略される。
ガスセンサ100の作製工程では、まず、空洞部119を有さないシリコン(Si)基板を準備する。次いで、準備したSi基板の上面に、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)およびSiO2をこの順に成膜することにより、絶縁膜120を形成する。また、Si基板の下面には、絶縁膜120の形成に合わせて、SiO2およびSi3N4をこの順に成膜することにより、開口部109を有しないマスク膜(図示しない)を形成する。なお、絶縁膜120およびマスク膜を、SiO2とSi3N4との多層膜とせず、酸窒化ケイ素(SiON)の単層膜とすることも可能である。
絶縁膜120の形成の後、n型ポリシリコンの成膜・パターニングを行うことにより、n型半導体膜130を形成する。n型半導体膜130を形成する材料として、ポリシリコンに替えて、鉄シリサイド(FeSi2)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)あるいはビスマス・アンチモン(BiSb)等の種々の半導体を用いても良い。n型半導体膜130の形成後、SiO2の成膜を行うことにより、パターニングされていない第1の層間絶縁膜(図示しない)を形成する。次いで、p型ポリシリコンの成膜・パターニングを行うことにより、p型半導体膜150を形成する。p型半導体膜150もn型半導体膜130と同様に、ポリシリコン以外の種々の半導体を用いて形成することができる。また、これら2つの半導体膜130,150のドープ型を逆にすることも可能である。p型半導体膜150の形成の後、SiO2を成膜し、成膜したSiO2膜とパターニングされていない第1の層間絶縁膜とをパターニングすることにより、第1の層間絶縁膜140および第2の層間絶縁膜160を形成する。次いで、白金(Pt)の成膜・パターニングを行うことにより、導電膜170を形成する。導電膜170を形成する材料として、Ptに替えて、タングステン(W)、タンタル(Ta)、金(Au)、アルミニウム(Al)あるいはAl合金等、種々の金属を用いても良い。また、導電膜170の少なくとも一方の面に、チタン(Ti)やクロム(Cr)からなる密着層を形成しても良い。導電膜170の形成の後、SiO2の成膜・パターニングを行うことにより、保護膜180を形成する。なお、図2に示すように、保護膜180には、パターニングにより6つの開口部181〜186が形成されており、これらの開口部181〜186においては、導電膜170が露出している。
保護膜180の形成の後、基板110に設けられる空洞部119を形成する。空洞部119の形成に際しては、まず、基板の下面側に形成されたマスク膜に開口部109を形成する。次いで、開口部109が設けられたマスク膜101をマスクとして基板をエッチングすることにより、空洞部119が形成される。エッチングは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化カリウム(KOH)の水溶液を用いた結晶異方性エッチングにより行うことができる。また、このようなウェットエッチングの他、いわゆるボッシュプロセス等のドライエッチングにより空洞部119を形成するものとしても良い。基板をエッチングして空洞部119を形成することにより、絶縁膜120が裏面側において露出したメンブレン121が形成される。
なお、図2の例では、基板を下面側からエッチングすることにより空洞部119を形成しているが、空洞部は、基板を上面側からエッチングして形成することも可能である。この場合、絶縁膜120と、第1および第2の層間絶縁膜140,160と、保護膜180とに貫通穴を設け、当該貫通穴を通して基板をエッチングすることにより空洞部を形成することができる。このように基板を上面側からエッチングした場合、基板の上面側からの加工のみでガスセンサを製造でき、また、基板の残存部を下面側からエッチングした場合よりも多くすることができる。そのため、ガスセンサの製造工程を簡略化して歩留まりをより高くすることができるとともに、エッチング後の基板の強度をより高くすることができる点で、基板を上面側からエッチングするのが好ましい。一方、基板の下面側からエッチングする方が、絶縁膜120に貫通穴を設けることなく空洞部が形成できるので、メンブレンに貫通穴が形成されて強度が低下することを抑制し、メンブレンの破損を抑制できる点で、好ましい。
なお、空洞部は、必ずしも基板に設ける必要はない。例えば、基板と絶縁膜との間、もしくは、絶縁膜120とn型半導体膜および第1の層間絶縁膜との間に、空洞部を形成することも可能である。このような基板上の空洞部は、基板もしくは絶縁膜120上の空洞部を形成する領域に犠牲膜を形成した後、上述のように保護膜までの各機能膜を形成し、次いで保護膜上面から犠牲膜に到達する貫通穴を設け、当該貫通穴を通して犠牲膜を除去することにより、形成することができる。犠牲膜を形成する材料としては、ポリイミド等の樹脂やポリシリコン等の半導体を用いることができる。樹脂からなる犠牲膜は、アッシングにより除去することができ、半導体からなる犠牲膜は、エッチングにより除去することができる。但し、犠牲膜として半導体を用いる場合には、基板もしくはn型半導体膜のエッチングを阻止するため、基板、もしくは、絶縁膜120および犠牲膜の上に、SiO2やSi3N4等からなる阻止膜が形成される。このように、基板上に空洞部を形成した場合、基板をエッチングした場合よりも、基板の強度をより高くすることができる。一方、ガスセンサの製造工程をより簡略化できる点においては、基板をエッチングするのが好ましい。
空洞部119の形成後、保護膜180上にガス反応膜191および参照膜192を形成する。具体的には、ガス反応膜191および参照膜192を形成する領域に、それぞれ、燃焼触媒としてのPt微粒子を担持させたアルミナ粒子を含むペーストと、触媒を担持させていないアルミナ粒子を含むペーストとを塗布する。ペーストの塗布は、ディスペンサによる塗布技術やスクリーン印刷技術を用いて行うことができる。ペーストを塗布した後、焼成することにより、ガス反応膜191および参照膜192が形成される。このように、保護膜180上にガス反応膜191と参照膜192とを形成することにより、ガスセンサ100が得られる。なお、ガス反応膜191に使用する燃焼触媒として、Pt微粒子に替えて、パラジウム(Pd)微粒子を用いることも可能である。また、参照膜192の比熱をガス反応膜191に近づけるため、参照膜192を形成するためのペーストに酸化銅(CuO)等の金属酸化物を混ぜても良い。さらに、参照膜192に含まれる担体に、特定のガスについて選択的に触媒として作用する燃焼触媒(例えば、Auの超微粒子)を担持するものとしても良い。この場合においても、当該特定のガス以外の可燃性ガスに関しては、参照膜192の担体には燃焼触媒が担持されていないと謂うことができる。
図3は、ガスセンサ100の機能的な構成を示す説明図である。図3(a)は、図2(a)と同様に、ガスセンサ100を上面から見た様子を示している。図3(b)は、図3(a)において二点鎖線で囲んだ領域の拡大図である。なお、図3(a)および図3(b)においては、図示の便宜上、保護膜180のハッチングを省略している。
図3(a)に示すように、ガスセンサ100のうちのメンブレン121上の部分は、図3(a)において左右方向(以下、「横方向」と謂う)に伸びる中心線C1と、上下方向(以下、「縦方向」と謂う)に伸びる中心線C2とのそれぞれに対して、略対称に形成されている。そのため、以下では、対称性を有する部分については、必要がない限り、その1つについてのみ説明する。なお、後述するように、ガスセンサ100のうち、図3(a)における中心線C1の上側の部分は、雰囲気中の可燃性ガスの濃度に対応するガス反応膜191の温度を測定する機能を有し、中心線C1の下側の部分は、外的要因によるガス反応膜191の温度変化を補償するための参照膜192の温度を測定する機能を有している。そのため、中心線C1の上側の部分は、ガスを検出するガス検出部とも謂うことができ、中心線C1の下側の部分は外的要因による出力変動を補償する補償部とも謂うことができる。
ガスセンサ100は、ガスの検出機能を実現するための構造として、サーモパイルTPと、導電膜170(図2)として形成された2つのヒータ171,172および各部を接続する配線173〜179と、ヒータ171,172の上部にそれぞれ形成されたガス反応膜191および参照膜192とを有している。なお、図3(a)に示すように、サーモパイルTP、ヒータ171,172、ガス反応膜191および参照膜192は、メンブレン121上に形成されている。メンブレン121は、一般に薄く(約1〜5μm)形成されるので、メンブレン121自体の熱容量が小さくなるとともに、メンブレン121に沿った方向への熱の伝達が抑制される。そして、薄いメンブレン121の下面には、熱を伝達しない空洞部119が形成されている。そのため、ガス反応膜191における可燃性ガスの触媒燃焼で発生する熱量が少ない場合においても、ガス反応膜191の温度を十分に上昇させることができるので、ガスセンサ100における可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。なお、メンブレン121の下面に形成された空洞部119は、熱を伝達しないので、断熱部とも謂うことができる。
サーモパイルTPは、図3(b)に示すように、n型半導体膜130(図2)として形成されたn型熱電素子131と、p型半導体膜150として形成されたp型熱電素子151と、導電膜170として形成された温接点接続線173および冷接点接続線174とを有している。このサーモパイルTPにおいては、縦方向に伸びる複数のn型熱電素子131が横方向に配列され、n型熱電素子131の第1の層間絶縁膜140(図2)を挟んで上の位置に、n型熱電素子131よりも短いp型熱電素子151が形成されている。
第1および第2の層間絶縁膜140,160には、上にp型熱電素子151が形成されていないn型熱電素子151の両端部の位置に、第1および第2の層間絶縁膜140,160を貫通するコンタクトホールH11,H12が設けられている。また、第2の層間絶縁膜160には、p型熱電素子151の両端部の位置に、第2の層間絶縁膜160を貫通するコンタクトホールH21,H22が設けられている。温接点接続線173は、コンタクトホールH11,H21を介して、第1の層間絶縁膜140を挟んで上下に積層されたn型熱電素子131とp型熱電素子151とを接続している。一方、冷接点接続線174は、コンタクトホールH12,H22を介して、隣接したn型熱電素子131とp型熱電素子151とを接続している。これにより、n型熱電素子131、p型熱電素子151、温接点接続線173および冷接点接続線174は、温接点HJと冷接点CJとを有する複数の熱電対を直列接続したサーモパイルTPを構成し、温接点HJ上に形成されたガス反応膜191と、冷接点CJ上に形成された参照膜192の温度差を表す電圧を出力する。
このように、サーモパイルTPは、ガス反応膜191と参照膜192の温度差を表す電圧を出力するが、温接点HJおよび冷接点CJによりガス反応膜191および参照膜192の温度を測定し、その差(温度差)を求めた上で、当該温度差を表す電圧を出力するものと捉えることもできる。このような捉え方をした場合、サーモパイルTPの温接点HJおよび冷接点CJは、それぞれガス反応膜191および参照膜192の温度を測定する測温素子とも謂うことができる。図3に示すように、これらの測温素子のうち、第1の測温素子(すなわち、温接点HJ)は、ガス検出部(中心線C1の上側)に形成されており、第2の測温素子(すなわち、冷接点CJ)は、ガス検出部とは別個の領域である補償部(中心線C1の下側)に形成されている。なお、図3の例では、温接点HJおよび冷接点CJは、それぞれ、ガス反応膜191および参照膜192の下に形成されているが、一般に、温接点HJおよび冷接点CJは、それぞれ、ガス反応膜191および参照膜192の近傍に形成されていればよい。このようにしても、サーモパイルTPにより、ガス反応膜191および参照膜192の温度(温度差)を測定することができる。また、図3と、以上の説明とから分かるように、ガス反応膜191および参照膜192は、それぞれ、ヒータ171,172の上で、かつ、測温素子(温接点HJおよび冷接点CJ)の近傍を含む領域に形成されていればよい。
図3において左側の端に位置するp型熱電素子151は、コンタクトホールH22を介して、導電膜170として形成された第1の信号配線175に接続されている。一方、図3において右側の端に位置するn型熱電素子131は、コンタクトホールH12を介して、導電膜170として形成された第2の信号配線176に接続されている。これにより、第1の信号配線175上のボンディングパッドPD1と、第2の信号配線176上のボンディングパッドPD2との間には、サーモパイルTPが出力するガス反応膜191と参照膜192の温度差を表す電圧がそのまま出力される。
ヒータ171,172は、図3(a)に示すように、ガス反応膜191および参照膜192のそれぞれの下部に、サーモパイルTPを挟むように別個に形成されている。そのため、ガス反応膜191の下のヒータ171は、温接点HJを基準として冷接点CJの反対側に配置され、参照膜192の下のヒータ172は、冷接点CJを基準として温接点HJの反対側に配置されている。なお、ヒータ171はガス反応膜191を加熱するヒータであるので、反応膜ヒータとも謂うことができ、ヒータ172は補償部に形成された参照膜192を加熱するヒータであるので、補償部ヒータとも謂うことができる。
2つのヒータ171,172は、幅の狭い葛折の線状に形成されており、その一端は、図3(a)において右側に伸びる第1のヒータ配線177に接続されている。ヒータ171,172の他端は、第2のヒータ配線178を介して、矩形状のグランド配線179に接続されている。これらのヒータ171,172は、第1のヒータ配線177上のボンディングパッドPD3,PD4と、グランド配線179上の2つのボンディングパッドPD5,PD6の少なくとも一方との間に電圧を印加してヒータ171,172に通電することにより発熱する。なお、図3(a)の例では、2つのヒータ171,172のそれぞれに第1のヒータ配線177を接続し、2つのヒータ171,172に別個に通電できるようにしているが、2つある第1のヒータ配線177がメンブレン121上でない領域において接続されるように、導電膜をパターニングして、2つのヒータ171,172に同時に通電するようにしても良い。なお、ガスセンサ100では、導電膜170として形成したヒータ171,172を用いているが、n型もしくはp型の半導体膜としてヒータを形成することも可能である。
ヒータ171を発熱させると、ガス反応膜191の温度が上昇する。これにより、ガス反応膜191が有する触媒の活性が高くなり、ガス反応膜191における可燃性ガスの触媒燃焼が促進されるので、ガスセンサ100における可燃性ガスの検出感度が高くなる。また、可燃性ガスとして水素ガス(H2)を検出する場合、ガス反応膜191における触媒燃焼により水(H2O)が生成される。このとき、ガス反応膜191の温度が低いと、生成されたH2Oが凝結してガス反応膜191が濡れ、検出感度が低下する虞がある。一方、本実施形態では、ヒータ171によりガス反応膜191を加熱することにより、生成されたH2Oによる検出感度の低下を抑制することが可能となる。また、参照膜192は、ガス反応膜191と同様にヒータ172により加熱されるので、雰囲気に可燃性ガスが含まれない場合、ガス反応膜191と参照膜192とは、略同温度となり、出力信号のオフセットは略0となる。
ガス反応膜191および参照膜192の温度差を測定するための温接点HJおよび冷接点CJは、図3(a)に示すように、いずれもメンブレン121上に形成されている。上述のように、メンブレン121に沿った方向への熱の伝達が抑制されるとともに、メンブレン121の下面には断熱部となる空洞部119が形成されているので、環境温度の変化等の外的要因により基板110の温度が変動しても、ガス反応膜191、参照膜192、温接点HJ、および、冷接点CJの温度の変動は抑制される。そのため、ガス反応膜191と参照膜192との温度差を表す出力信号の外的要因による変動が抑制されるので、当該出力信号に基づいて求められ可燃性ガスの濃度に対応するガス反応膜191の温度上昇量をより正確に求めることが可能となる。
また、一般に、ヒータは、導電性を有する材料により形成されるので、熱を伝達しやすい。そのため、ヒータが、ガス反応膜と参照膜との間、すなわち、温接点と冷接点との間に配置されていると、可燃性ガスの燃焼によりガス反応膜で生じた熱が、ヒータを介して参照膜側に伝達されることにより参照膜の温度が上昇し、可燃性ガスの検出感度が低下する虞がある。一方、本実施形態では、ガス反応膜191と参照膜192とを加熱する2つのヒータ171,172を別個に形成することにより、ヒータ171,172を温接点HJおよび冷接点CJの外側に配置することが可能となっている。そのため、可燃性ガスの燃焼によりガス反応膜191で生じた熱の参照膜192側への伝達を抑制し、可燃性ガスの検出感度をより高くすることできる。
このように本実施形態では、断熱部となる空洞部119上に、ガス反応膜191、参照膜192、温接点HJ、および、冷接点CJを形成している。そのため、外的要因により基板110の温度が変動しても、ガス反応膜191、参照膜192、温接点HJ、および、冷接点CJの温度の変動が抑制されるので、可燃性ガスの濃度に対応するガス反応膜191の温度上昇量をより正確に求めることが可能となり、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。また、本実施形態では、冷接点CJ(第2の測温素子)をガス検出部とは別個の領域に形成することにより、ガス反応膜191と冷接点CJとの距離を十分に長くし、ガス反応膜191で生じた熱による冷接点CJの温度上昇を抑制できるので、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。さらに、本実施形態では、ガス反応膜191および参照膜192を加熱するためのヒータ171,172を別個に形成することにより、可燃性ガスの燃焼によりガス反応膜191で生じた熱の参照膜192側への伝達が抑制されるので、可燃性ガスの検出感度をより高くすることができる。
B.変形例:
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
上記実施形態では、端子数が4のヘッダ11を用いているため、ヒータ171,172に通電するための2つのボンディングパッドPD3,PD4を1つの端子14に接続し、2つのヒータ171,172に同時に通電しているが、端子数が5以上のヘッダを用いて、ボンディングパッドPD3,PD4を別個の端子に接続するものとしても良い。このようにすれば、2つのヒータ171,172に別個に通電し、通電電流を調整することができる。そのため、雰囲気中に可燃性ガスがない状態において通電電流を調整し、ガス濃度に対応する出力信号のオフセットを0に調整することにより、より低濃度のガスを検出することが可能となる。
上記実施形態では、端子数が4のヘッダ11を用いているため、ヒータ171,172に通電するための2つのボンディングパッドPD3,PD4を1つの端子14に接続し、2つのヒータ171,172に同時に通電しているが、端子数が5以上のヘッダを用いて、ボンディングパッドPD3,PD4を別個の端子に接続するものとしても良い。このようにすれば、2つのヒータ171,172に別個に通電し、通電電流を調整することができる。そのため、雰囲気中に可燃性ガスがない状態において通電電流を調整し、ガス濃度に対応する出力信号のオフセットを0に調整することにより、より低濃度のガスを検出することが可能となる。
B2.変形例2:
上記実施形態では、n型およびp型熱電素子131,151を、温接点接続線173および冷接点接続線174で接続することにより構成されたサーモパイルTPを用いているが、n型およびp型熱電素子131,151の少なくとも一方を、金属熱電素子に置き換えて構成されたサーモパイル用いることも可能である。この場合、金属熱電素子は、ヒータや種々の配線を形成する導電膜と同時に形成することができるので、ガスセンサを製造するための工程数の増加を抑制することができる。なお、n型およびp型熱電素子131,151の双方を金属熱電素子に置き換える場合には、2つの金属熱電素子は、材質の異なる金属で形成される。但し、可燃性ガスの燃焼によりガス反応膜191で生じた熱の参照膜192側への伝達を抑制し、ガスセンサ100の感度をより高くすることができる点で、熱電素子として極性の異なる2種の半導体を用いるのが好ましい。
上記実施形態では、n型およびp型熱電素子131,151を、温接点接続線173および冷接点接続線174で接続することにより構成されたサーモパイルTPを用いているが、n型およびp型熱電素子131,151の少なくとも一方を、金属熱電素子に置き換えて構成されたサーモパイル用いることも可能である。この場合、金属熱電素子は、ヒータや種々の配線を形成する導電膜と同時に形成することができるので、ガスセンサを製造するための工程数の増加を抑制することができる。なお、n型およびp型熱電素子131,151の双方を金属熱電素子に置き換える場合には、2つの金属熱電素子は、材質の異なる金属で形成される。但し、可燃性ガスの燃焼によりガス反応膜191で生じた熱の参照膜192側への伝達を抑制し、ガスセンサ100の感度をより高くすることができる点で、熱電素子として極性の異なる2種の半導体を用いるのが好ましい。
B3.変形例3:
上記実施形態では、ガス反応膜191および参照膜192の温度(温度差)を測定するために複数の熱電対を直列接続したサーモパイルTPを用いているが、ガス反応膜191および参照膜192の温度は、単一の熱電対、測温抵抗体あるいはサーミスタ等の他の測温素子を用いて測定することも可能である。但し、ガス反応膜191と参照膜192との温度差を表す十分に高い電圧信号が直接出力されるため、可燃性ガスの検出感度をより高くするとともに、可燃性ガスの検出回路をより簡単にすることができる点で、複数の熱電対を直列接続したサーモパイルTPを用いるのが好ましい。
上記実施形態では、ガス反応膜191および参照膜192の温度(温度差)を測定するために複数の熱電対を直列接続したサーモパイルTPを用いているが、ガス反応膜191および参照膜192の温度は、単一の熱電対、測温抵抗体あるいはサーミスタ等の他の測温素子を用いて測定することも可能である。但し、ガス反応膜191と参照膜192との温度差を表す十分に高い電圧信号が直接出力されるため、可燃性ガスの検出感度をより高くするとともに、可燃性ガスの検出回路をより簡単にすることができる点で、複数の熱電対を直列接続したサーモパイルTPを用いるのが好ましい。
B4.変形例4:
上記実施形態では、燃焼触媒を担持していない担体を含む参照膜192を形成しているが、製造工程を簡略化するために参照膜192の形成を省略することも可能である。この場合、補償部の測温素子である冷接点CJは、温度がガス反応膜191に近くなるヒータ172の温度を測定するように、ヒータ172の近傍に形成されていればよい。なお、このとき、補償部のヒータ172は、補償部の測温素子(冷接点CJ)の近傍を含む領域に形成されているといえる。但し、参照膜192およびガス反応膜191のそれぞれが形成している領域の熱容量をより近くし、気流等の影響による可燃性ガスの検出精度の低下を抑制することができる点で、参照膜192を形成するのが好ましい。
上記実施形態では、燃焼触媒を担持していない担体を含む参照膜192を形成しているが、製造工程を簡略化するために参照膜192の形成を省略することも可能である。この場合、補償部の測温素子である冷接点CJは、温度がガス反応膜191に近くなるヒータ172の温度を測定するように、ヒータ172の近傍に形成されていればよい。なお、このとき、補償部のヒータ172は、補償部の測温素子(冷接点CJ)の近傍を含む領域に形成されているといえる。但し、参照膜192およびガス反応膜191のそれぞれが形成している領域の熱容量をより近くし、気流等の影響による可燃性ガスの検出精度の低下を抑制することができる点で、参照膜192を形成するのが好ましい。
B5.変形例5:
上記実施形態では、ガス反応膜191および参照膜192のそれぞれの下にヒータ171,172を形成しているが、参照膜192の下のヒータ172を省略することも可能である。この場合においても、空洞部119を渡る薄いメンブレン121上にガス反応膜191および参照膜192が形成されているので、雰囲気が可燃性ガスを含まない場合におけるガス反応膜191と参照膜192と温度差は、主としてメンブレン121上の構造により決定される。そして、基板110の温度が変動しても、ガス反応膜191と参照膜192と温度差の変動は抑制されるので、可燃性ガスの濃度に対応するガス反応膜191の温度上昇量をより正確に求めることが可能となる。但し、雰囲気が可燃性ガスを含まない場合においてガス反応膜191と参照膜192とを略同温度とし、ガス濃度に対応する出力信号のオフセットを略0とすることにより、低濃度のガスをより容易に検出することが可能となる点で、ガス反応膜191および参照膜192のそれぞれの下にヒータ171,172を形成するのが好ましい。
上記実施形態では、ガス反応膜191および参照膜192のそれぞれの下にヒータ171,172を形成しているが、参照膜192の下のヒータ172を省略することも可能である。この場合においても、空洞部119を渡る薄いメンブレン121上にガス反応膜191および参照膜192が形成されているので、雰囲気が可燃性ガスを含まない場合におけるガス反応膜191と参照膜192と温度差は、主としてメンブレン121上の構造により決定される。そして、基板110の温度が変動しても、ガス反応膜191と参照膜192と温度差の変動は抑制されるので、可燃性ガスの濃度に対応するガス反応膜191の温度上昇量をより正確に求めることが可能となる。但し、雰囲気が可燃性ガスを含まない場合においてガス反応膜191と参照膜192とを略同温度とし、ガス濃度に対応する出力信号のオフセットを略0とすることにより、低濃度のガスをより容易に検出することが可能となる点で、ガス反応膜191および参照膜192のそれぞれの下にヒータ171,172を形成するのが好ましい。
B6.変形例6:
上記実施形態では、断熱部として、基板自体に設けられた空洞部、もしくは、基板上に形成された空洞部を用いているが、断熱部は必ずしも空洞である必要はない。断熱部は、例えば、基板自体に設けられた空洞部に、多孔質材や樹脂等の断熱材を埋め込むことにより形成することができる。多孔質材としてSiO2を用いる場合には、周知の低比誘電率(Low-k)絶縁膜やシリカエアロゲルの形成技術により空洞部に多孔質SiO2を埋め込むことができる。多孔質材として樹脂を用いる場合には、当該樹脂のモノマやプレポリマを空洞部に充填し、その後、熱や紫外線によりモノマやプレポリマを重合させればよい。また、断熱部として、基板上に多孔質材や樹脂等の断熱膜を形成するものとしても良い。この場合、上述した基板上に空洞部を形成する工程と同様に、基板もしくは絶縁膜120上に多孔質材や樹脂等の断熱膜を形成し、形成した断熱膜を残存させることにより断熱部を形成することができる。また、基板上に断熱膜を形成するためのポリシリコン膜を形成し、当該ポリシリコン膜を陽極酸化により多孔質化しても良い。さらに、断熱部として、基板自体に多孔質部を形成するものとしても良い。多孔質部は、例えば、基板としてSi基板を用いている場合には、基板自体に空洞部を形成する工程と同様に、基板の下面側もしくは基板の上面側から、空洞部に相当する領域を陽極酸化により多孔質化することで形成することができる。なお、空洞でない断熱部を用いる場合において、断熱部の材料が導電性を有する場合には、断熱部と、半導体膜あるいは導電膜との間には絶縁膜が追加される。このように、空洞でない断熱部を用いることにより、断熱部上に形成された機能膜の破損が抑制される。
上記実施形態では、断熱部として、基板自体に設けられた空洞部、もしくは、基板上に形成された空洞部を用いているが、断熱部は必ずしも空洞である必要はない。断熱部は、例えば、基板自体に設けられた空洞部に、多孔質材や樹脂等の断熱材を埋め込むことにより形成することができる。多孔質材としてSiO2を用いる場合には、周知の低比誘電率(Low-k)絶縁膜やシリカエアロゲルの形成技術により空洞部に多孔質SiO2を埋め込むことができる。多孔質材として樹脂を用いる場合には、当該樹脂のモノマやプレポリマを空洞部に充填し、その後、熱や紫外線によりモノマやプレポリマを重合させればよい。また、断熱部として、基板上に多孔質材や樹脂等の断熱膜を形成するものとしても良い。この場合、上述した基板上に空洞部を形成する工程と同様に、基板もしくは絶縁膜120上に多孔質材や樹脂等の断熱膜を形成し、形成した断熱膜を残存させることにより断熱部を形成することができる。また、基板上に断熱膜を形成するためのポリシリコン膜を形成し、当該ポリシリコン膜を陽極酸化により多孔質化しても良い。さらに、断熱部として、基板自体に多孔質部を形成するものとしても良い。多孔質部は、例えば、基板としてSi基板を用いている場合には、基板自体に空洞部を形成する工程と同様に、基板の下面側もしくは基板の上面側から、空洞部に相当する領域を陽極酸化により多孔質化することで形成することができる。なお、空洞でない断熱部を用いる場合において、断熱部の材料が導電性を有する場合には、断熱部と、半導体膜あるいは導電膜との間には絶縁膜が追加される。このように、空洞でない断熱部を用いることにより、断熱部上に形成された機能膜の破損が抑制される。
10…センサモジュール、11…ヘッダ、12…キャップ、13…封止材、14…端子、15…ダイボンド材、16…ワイヤ、19…パッケージ、100…ガスセンサ、101…マスク膜、109…開口部、110…基板、119…空洞部、120…絶縁膜、121…メンブレン、130…n型半導体膜、131…n型熱電素子、140…層間絶縁膜、150…p型半導体膜、151…p型熱電素子、160…層間絶縁膜、170…導電膜、171,172…ヒータ、173…温接点接続線、174…冷接点接続線、175,176…信号配線、177,178…ヒータ配線、179…グランド配線、180…保護膜、191…ガス反応膜、192…参照膜、CJ…冷接点、HJ…温接点、H11,H12,H21,H22…コンタクトホール、PD1〜PD6…ボンディングパッド、TP…サーモパイル
Claims (4)
- 可燃性ガスを検出する接触燃焼式ガスセンサであって、
断熱部と、
前記断熱部上に形成された反応膜ヒータと、前記断熱部上において前記反応膜ヒータの上に形成され、前記可燃性ガスの燃焼触媒を担持した担体を含むガス反応膜と、前記断熱部上において前記ガス反応膜の近傍に形成された第1の測温素子と、を有するガス検出部と、
前記断熱部上の前記ガス検出部とは別個の領域に形成された第2の測温素子を有する補償部と、
を備え、
前記反応膜ヒータは、前記第1の測温素子を基準として、前記第2の測温素子の反対側に配置されている、
接触燃焼式ガスセンサ。 - 請求項1記載の接触燃焼式ガスセンサであって、
前記補償部は、さらに、前記断熱部上で、かつ、前記第2の測温素子の近傍を含む領域において、前記反応膜ヒータとは別個に形成された補償部ヒータを備え、
前記補償部ヒータは、前記第2の測温素子を基準として、前記第1の測温素子の反対側に配置されている、
接触燃焼式ガスセンサ。 - 請求項1または2記載の接触燃焼式ガスセンサであって、
前記第1の測温素子は、温接点および冷接点を有する複数の熱電対を直列接続したサーモパイルの温接点であり、
前記第2の測温素子は、前記サーモパイルの冷接点である、
接触燃焼式ガスセンサ。 - 請求項1ないし3のいずれか記載の接触燃焼式ガスセンサであって、
前記断熱部は、基板自体に設けられた第1の空洞部と、基板上に形成された第2の空洞部と、前記第1の空洞部に埋め込まれた多孔質材または樹脂と、基板上に形成された多孔質膜または樹脂膜と、基板自体に形成された多孔質部と、のいずれかである、
接触燃焼式ガスセンサ。
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JP2014246443A JP2016109527A (ja) | 2014-12-05 | 2014-12-05 | 接触燃焼式ガスセンサ |
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-
2014
- 2014-12-05 JP JP2014246443A patent/JP2016109527A/ja active Pending
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