JP6685789B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

この発明は、熱伝導式のガスセンサに関する。
ガスの熱伝導度は、ガスの組成および圧力によって変化する。このような特性を利用して、特定種類のガスの濃度を測定し、あるいは、ガスの圧力を測定することが行われている。例えば、特許文献1には、湿度やガス等を検出するマイクロセンサが記載されている。このマイクロセンサでは、シリコンチップの同一基板上に温度補償と検出との2つの機能を具備させるとともに、この温度補償を機能させるために外部雰囲気を遮断している。
特開平6−138072号公報
ところで、特許文献1に記載されたマイクロセンサでは、外部雰囲気を遮断するためのカバー部材は、接着剤を用いて温度補償用のセンサ部が設けられたシリコンチップに接合されている。このように、カバー部材をシリコンチップに接着する工程は、シリコンチップと同程度の大きさのカバー部材を取り扱うこととなるため、必ずしも簡単な工程ではない。そのため、特許文献1に記載されているようなマイクロセンサは、必ずしも製造が容易ではなかった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、熱伝導式のガスセンサにおいて、製造がより容易なガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を達成するために、本発明のガスセンサは、熱伝導式のガスセンサであって、空洞部と、前記空洞部の上に設けられた検出用ヒータおよび補償用ヒータと、開口部が設けられた第1の有孔蓋として構成され、前記検出用ヒータを基準として前記空洞部とは反対側において、前記検出用ヒータを覆うガス透過性のガス透過蓋と、開口部が設けられた第2の有孔蓋と、当該開口部を塞ぐ封止膜とを有し、前記補償用ヒータを基準として前記空洞部とは反対側の位置に密閉された空間を形成する密閉部と、を備え、前記検出用ヒータ、前記補償用ヒータおよび前記密閉部は、厚さが100μm以下の薄膜であり、前記ガスセンサは、前記検出用ヒータおよび前記補償用ヒータの温度が測定できるように構成されていることを特徴とする。
このガスセンサでは、空洞部の上に設けられた検出用ヒータおよび補償用ヒータの温度を測定できるようにするとともに、補償用ヒータを基準として空洞部とは反対側の位置に密閉された空間を形成する密閉部を設けることにより、環境温度の変化等の外部要因による出力の変動が補償されている。このガスセンサを構成する密閉部、検出用ヒータおよび補償用ヒータは、いずれも厚さが100μm以下の薄膜となっているため、半導体プロセスにおける一連の製造工程によりガスセンサを製造することができるので、より容易にガスセンサを製造することが可能となる。
また、検出用ヒータを基準として空洞部とは反対側において、検出用ヒータを覆うガス透過性のガス透過蓋を備ているため、検出用ヒータと補償用ヒータとの熱的な特性をより近くすることができるので、外的要因による出力の変動をより正確に補償することが可能となる。
さらに、このガスセンサでは、ガス透過蓋が、開口部が設けられた第1の有孔蓋として構成されており、密閉部が、開口部が設けられた第2の有孔蓋と、当該開口部を塞ぐ封止膜を有している。そのため、第1および第2の有孔蓋に設けられた開口部を用いて、密閉された空間や、検出用ヒータ側において当該空間に対応する空間を形成することができるので、これらの空間が設けられたガスセンサをより容易に製造することが可能となる。
前記ガスセンサは、さらに、前記検出用ヒータの近傍に設けられ、前記検出用ヒータの温度を測定する検出用測温素子と、前記補償用ヒータの近傍に設けられ、前記補償用ヒータの温度を測定する補償用測温素子と、を備えるものとしても良い。検出用ヒータおよび補償用ヒータのそれぞれの近傍に、各ヒータの温度を測定する測温素子を設けることにより、ヒータの構造にかかわらず、ヒータの温度を表す出力信号を十分に大きくすることができる。そのため、ガスの検出感度をより高くすることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、ガスセンサ、そのガスセンサを利用したセンサモジュール、そのセンサモジュールを使用した特定のガスの検出装置および検出システム、それらのガスセンサ、センサモジュールおよび検出装置を用いたリークテスト装置やリークテストシステム等の態様で実現することができる。
本発明の第1実施形態におけるセンサモジュールの構成を示す説明図。 ガスセンサの構造を示す説明図。 ガスセンサの機能的な構成を示す説明図。 第2実施形態におけるガスセンサの構造を示す説明図。
A.第1実施形態:
A1.センサモジュール:
図1は、本発明の第1実施形態における熱伝導式ガスセンサモジュール10(以下、単に「センサモジュール10」とも呼ぶ)の構成を示す説明図である。図1(a)は、センサモジュール10の断面を示している。第1実施形態のセンサモジュール10では、センサチップ100が、ヘッダ11とキャップ12とからなるパッケージ19内に実装されている。キャップ12は、例えば、ステンレス鋼や真鍮等の焼結金属、ステンレス鋼等からなる金網、あるいは、多孔質セラミックスで形成されている。これにより、パッケージ19内外の通気性が確保されるとともに、センサチップ100の汚染が抑制され、また、センサモジュール10自体の防爆化が図られている。センサチップ100は、その基板110がダイボンド材15によりヘッダ11に接着されることにより、ヘッダ11に固定されている。
図1(b)は、ヘッダ11に固定されたセンサチップ100を上面から見た様子を示している。図1(b)における2本の一点鎖線C1,C2は、それぞれセンサチップ100の中心線(以下、「中心線C1」および「中心線C2」とも呼ぶ)を示し、二点鎖線は、図1(a)で示したセンサチップ100の断面の位置を示している。なお、図1(a)において、パッケージ19の断面は、センサチップ100の中心線C2における断面として図示している。図1(b)に示すように、センサチップ100は、図1(b)の縦方向に伸びる中心線C1と、図1(b)の横方向に伸びる中心線C2とのそれぞれに対してほぼ対称に形成されている。そのため、以下では、必要性がない限り、このように対称性を有する部分については、その1つについてのみ説明する。
図1(b)に示すように、センサチップ100の上面には、導電膜が露出したボンディングパッドP1〜P4が形成されている。この4つのボンディングパッドP1〜P4と、封止材13を介してヘッダ11に取り付けられた端子14とをワイヤ16で接続することにより、センサチップ100は外部の回路に接続される。
センサチップ100は、図1(b)において、中心線C1の左側に位置するガス検出部RD(以下、「検出部RD」とも呼ぶ)と、中心線C1の右側に位置する補償部RCとを有している。検出部RDおよび補償部RCの上面側には、それぞれ、開口部167,168を有する蓋161,162が形成されている。蓋161,162は、その一部が空中に浮いた状態で形成されているため、中空の空間(中空空間)191,192を形成する。検出部RDでは、蓋161の開口部167が塞がれていないため、センサモジュール10外部の雰囲気が、キャップ12と蓋161の開口部167とを介して、中空空間191の内部に導入される。一方、補償部RCでは、蓋162の開口部168が塞がれており、中空空間192が密閉されているため、中空空間192の内部のガスは、雰囲気の影響を受けない。
詳細については後述するが、第1実施形態のセンサチップ100は、検出部RDおよび補償部RCに形成された中空空間191,192のそれぞれについて、それらの内部に存在するガスの熱伝導度を表す信号を出力する。この出力信号に基づいて、検出部RDの中空空間191内に導入されるセンサモジュール10の雰囲気と、密閉された補償部RCの中空空間192内のガスとの熱伝導度の差を評価することで、基準となるガス(空気や窒素等)と熱伝導度が異なる特定のガス(検出対象ガス)の雰囲気中における濃度が測定可能となっている。
検出対象ガスの濃度の測定は、例えば、検出部RDおよび補償部RCの出力信号を、センサモジュール10の外部に設けられた演算増幅器に入力し、出力信号の差を表す差分信号を得ることにより行うことができる。なお、一般的に、検出対象ガスの濃度を測定する際には、予めセンサモジュール10を検出対象ガスが含まれない雰囲気中に配置し、その状態における差分信号の値(オフセット)が零に調整される。オフセットを零に調整した後、センサモジュール10を測定対象となる雰囲気中に配置すると、当該雰囲気中に検出対象ガスが存在する場合には、検出部RDに形成された中空空間191内のガスの熱伝導度が変化する。これにより、検出部RDの出力信号のみが検出対象ガスの濃度に応じて変化するので、差分信号の値が検出対象ガスの濃度に対応することとなり、検出対象ガスの濃度が測定される。
第1実施形態のセンサチップ100では、検出部RDおよび補償部RCがほぼ対称に形成されているので、検出部RDおよび補償部RCは、中空空間191,192に雰囲気が導入されるか否かを除いて、熱的な特性がほぼ同じとなっている。そのため、環境温度の変化等の外的要因による検出部RDの出力信号の変動を、補償部RCの出力信号により高い精度で補償することができる。このようにして、環境温度の変化等の外的要因による検出対象ガスの濃度の測定値の変動(ドリフト)を十分に小さくすることができるので、雰囲気中における検出対象ガスの検出感度をより高くすることができる。なお、このように、センサチップ100は、センサモジュール10において、特定のガスを検出する機能を担っているので、ガスセンサそのものであると謂える。そのため、以下では、センサチップ100を単に「ガスセンサ100」と呼ぶ。
A2.ガスセンサの構造:
図2は、ガスセンサ100の構造を示す説明図である。図2(a)は、ガスセンサ100を上面から見た様子を示しており、図2(b)および図2(c)は、それぞれ、図2(a)の切断線A−A’および切断線B−B’におけるガスセンサ100の断面を示している。
ガスセンサ100は、2つの空洞部117,118が設けられた基板110と、基板110の上面に形成された絶縁膜120とを有している。絶縁膜120上には、ガスの検出機能を実現するための構造(後述する)を形成する複数の膜(機能膜)が積層されている。具体的には、絶縁膜120上には、半導体膜130と、導電膜140と、保護膜150と、中空膜160とが、この順で積層されている。これらの機能膜130,140,150,160は、薄膜として形成されている(すなわち、機能膜130,140,150,160は、薄膜である)。ここで、薄膜とは、厚さが100μm以下の膜を謂う。薄膜として形成される機能膜130,140,150,160は、半導体デバイスの製造方法として周知の技術(微細加工技術)を用いて形成することができる。なお、本明細書において、機能膜130,140,150,160とは、成膜された後、パターニング等により所定の形状に形成された膜、および、後の工程においてさらにパターニング等がなされた膜を謂う。絶縁膜120および絶縁膜120上に積層される機能膜は、ガスセンサの製造工程や構造の変更に伴い、適宜追加あるいは省略される。
ガスセンサ100の作成工程では、まず、空洞部117,118を有さないシリコン(Si)基板を準備する。次いで、準備したSi基板上に、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)およびSiOをこの順に成膜することにより、絶縁膜120を形成する。なお、絶縁膜120を、SiOとSiとの多層膜とせず、酸窒化ケイ素(SiON)の単層膜とすることも可能である。絶縁膜120を形成した後、ポリシリコンの成膜・パターニングを行うことにより、半導体膜130を形成する。半導体膜130を形成する材料として、ポリシリコンに替えて、鉄シリサイド(FeSi)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)あるいはビスマス・アンチモン(BiSb)等の種々の半導体を用いても良い。次いで、白金(Pt)の成膜・パターニングを行うことにより、導電膜140を形成する。導電膜140を形成する材料として、Ptに替えて、タングステン(W)、レニウム(Rh)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、Al合金、窒化チタン(TiN)、チタンタングステン(TiW)等、種々の金属や合金を用いても良い。また、導電膜140の少なくとも一方の面に、Tiやクロム(Cr)からなる密着層を形成しても良い。導電膜140を形成した後、SiOの成膜・パターニングを行うことにより、保護膜150を形成する。パターニングによって保護膜150に開口部(コンタクトホール)151〜154を設けることにより、導電膜140が露出したボンディングパッドP1〜P4が形成される。
これらの開口部151〜154の他、保護膜150には、4つの開口部155が設けられている。これらの4つの開口部155を通してさらに絶縁膜120をエッチングすることにより、絶縁膜120にも開口部129が形成される。なお、これらの開口部155,129の形成を省略することも可能である。開口部129(あるいは、開口部151〜154)を形成した後、中空空間191,192が形成される領域に犠牲膜を形成する。犠牲膜は、フォトレジストあるいは感光性ポリイミド等の感光性樹脂を塗布した後、露光および現像を行うことによって、中空空間191,192の形状に形成される。また、インクジェットやスクリーン印刷等の印刷技術を用いてフォトレジストあるいはポリイミド等の有機材料を中空空間191,192の形状に形成し、犠牲膜とすることも可能である。犠牲膜の形成の後、Alの成膜・パターニングを行うことにより、中空膜160を形成する。中空膜160を形成する材料として、Alに替えて、W、Au、Cu、銀(Ag)またはベリリウム(Be)等の単体金属、クロム銅またはベリリウム銅等の合金、タングステンシリサイド(WSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)またはチタンシリサイド(TiSi)等のシリサイド、あるいは、カーボンナノチューブやダイヤモンドライクカーボン等の炭素化合物を使用することも可能である。なお、犠牲膜は、後の工程において除去可能であれば良く、必ずしも有機材料で形成する必要はない。犠牲膜としては、中空膜160を形成する材料に応じて、ポリシリコン、Al、Cu、ニッケル(Ni)等の種々の無機材料から選択された材料で形成することも可能である。
中空膜160を形成した後、基板110に設けられる空洞部117,118を形成する。空洞部117,118の形成に際しては、まず、基板の機能膜130,140,150,160が形成されていない面(裏面)を研磨する。研磨により基板を所望の厚さにした後、裏面をエッチングすることにより、空洞部117,118を形成する。なお、基板の研磨を省略することも可能である。空洞部117,118の形成は、ドライエッチングと、ウェットエッチングとのどちらによっても行うことができる。ドライエッチングを行う場合には、Cプラズマによるパッシベーションと、SFプラズマによるエッチングとのステップを短い時間間隔で繰り返すエッチング方法(いわゆるボッシュプロセス)を用いるのが好ましい。また、ウェットエッチングを行う場合には、結晶異方性エッチングを行うのが好ましい。空洞部117,118を形成することにより、外枠部111と、2つの空洞部117,118を隔てる板状部112とを備える基板110が形成される。また、空洞部117,118を形成することにより、絶縁膜120が裏面側において露出したメンブレン121,122が形成される。なお、図2から明らかなように、メンブレン121,122は、空洞部117,118を渡るように形成されている。
空洞部117,118の形成後、中空空間191,192となる領域に形成されている犠牲膜を除去する。有機材料で形成された犠牲膜は、中空膜160に設けられた開口部167,168を介してアッシングを行うことにより除去される。また、犠牲膜を無機材料で形成している場合には、犠牲膜は、エッチング等により除去される。犠牲膜の除去の後、補償部RCの蓋162の上面に封止膜170が形成される。封止膜170は、蓋162の上面にディスペンサやインクジェット等によりポリイミドを塗布し、塗布したポリイミドを加熱硬化することにより形成することができる。この場合、補償部RCの中空空間192内には、封止膜170となるポリイミドを塗布する際の雰囲気ガスが導入された状態となる。なお、封止膜170として、感光性ポリイミドを中空膜160の全体を覆うように塗布し、露光および現像を行うことによって、補償部RC側の蓋162のみを覆うようにすることも可能である。さらに、封止膜170は、上述の形成方法のほか、金属やガラスの粉末を含むペーストを塗布して焼成することにより形成することもでき、また、金属粉末粒子が分散された感光性樹脂を塗布し、露光および現像を行って形成することも可能である。このようにして、封止膜170として金属やガラスを含む膜を用いると、検出対象ガスが封止膜170を透過することが抑制される。そのため、補償部RC側の中空空間192に検出対象ガスが入ることにより補償部RCの出力信号が変動し、ドリフトが発生することを抑制することができる。また、封止膜170は、プラズマCVD、スパッタリング、蒸着あるいはめっき等の方法を用いて形成することも可能である。この場合、密閉された中空空間192内は、プラズマCVD、スパッタリング、蒸着あるいはめっきが行われた環境と同じ状態(真空等の減圧された状態)となる。さらに、封止膜170は、複数種類の膜を積層した積層膜(例えば、有機膜と無機膜との積層膜)として形成することも可能である。なお、蓋162と、蓋162の開口部168を塞ぐ封止膜170とにより、中空空間192は密閉されるので、蓋162と封止膜170とは、併せて、密閉された空間を形成する「密閉部」とも呼ぶことができる。
上述のように形成されたガスセンサ100では、検出部RDおよび補償部RCにおいて、導電膜140として形成されたヒータ141,142が、メンブレン121,122上に位置している。なお、後述するが、検出部RD側のヒータ141は、ガスの検出機能を実現するために使用されるので、「検出用ヒータ」とも呼ぶことができる。一方、補償部RC側のヒータ142は、検出部RDの出力変動を補償するために使用されるので、「補償用ヒータ」とも呼ぶことができる。メンブレン121,122の下面には、熱を伝達しにくい空洞部117,118が形成されているので、ガスセンサ100内において、ヒータ141,142で発生した熱は、メンブレン121,122を介して伝達される。このように、空洞部117,118は、熱を伝達しにくいので、「低熱伝導部」とも呼ぶことができる。一方、メンブレン121,122は、一般に薄く(約1〜5μm)形成されるので、メンブレン121,122の面方向への熱の伝達は抑制される。そのため、ヒータ141,142で発生した熱のうち、ガスセンサ100内で伝達され、ダイボンド材15(図1)およびヘッダ11を介して外部に放出される熱量を十分に低くすることができる。
さらに、中空空間191,192を形成する蓋161,162は、ヒータ141,142の上方において、ヒータ141,142に近接して配置されている。また、蓋161,162を形成している中空膜160は、保護膜150および絶縁膜120に設けられた開口部155,129を介して基板110の外枠部111に接触している。中空膜160は、また、基板110の板状部112の上部において、保護膜150に接触している。これにより、中空膜160に伝わった熱は、外枠部111および板状部112を介してガスセンサ100の外部に放出されるので、中空膜160として形成された蓋161,162の温度は、ガスセンサ100を実装したパッケージ19の温度(環境温度)とほぼ同じになる。なお、保護膜150および絶縁膜120に開口部155,129を形成しない場合においても、中空膜は、その周縁において保護膜に接触する。そのため、中空膜に伝わった熱は、周縁の接触部を介して外枠部111に伝達されるので、中空膜の温度を環境温度とほぼ同じにすることができる。但し、中空膜および蓋は、必ずしも環境温度とほぼ同じにする必要はなく、中空膜および蓋を熱伝導度の低い材料で形成することも可能である。このようにしても、検出部および補償部の熱的な特性がほぼ同じにすることができるので、環境温度の変化等の外的要因による検出部の出力信号の変動を、補償部の出力信号により補償することができる。なお、図2から明らかなように、蓋161,162および蓋161,162により形成される中空空間191,192は、ヒータ141,142を基準として空洞部117,118(低熱伝導部)とは反対側に位置している。
このように、メンブレン121,122を介して外部に放出される熱量が低く抑えられるとともに、環境温度とほぼ同温度の蓋161,162がヒータ141,142に近接して配置されているため、ヒータ141,142で発生した熱は、その大部分が中空空間191,192の内部に存在するガスにより蓋161,162に伝達され、蓋161,162から基板110を介してガスセンサ100の外部に放出される。このように、ヒータ141,142で発生した熱は、主として中空空間191,192の内部に存在するガスにより伝達されて外部に放出されるので、ヒータ141,142に一定の電力を供給し、ヒータ141,142の発熱量を一定とした場合、ヒータ141,142の温度を測定することで、中空空間191,192のそれぞれの内部に存在するガスの熱伝導度を求めることができる。そして、雰囲気が導入される中空空間191と、密閉された中空空間192との内部に存在するガスの熱伝導度の差を評価することにより、雰囲気中の検査対象ガスの濃度を測定することができる。
なお、第1実施形態のセンサチップ100では、基板を下面側からエッチングすることにより空洞部117,118を形成しているが、空洞部は、基板を上面側からエッチングして形成することも可能である。この場合、開口部155,129の形成と同時に、絶縁膜120と、保護膜150とに貫通穴を設け、当該貫通穴を通して基板をエッチングすることにより空洞部を形成することができる。基板のエッチングは、中空空間191,192を形成するための犠牲膜を除去した後、蓋161,162に設けられた開口部167,168を介して行うことができる。このように基板を上面側からエッチングした場合、基板の上面側からの加工のみでガスセンサを製造でき、また、基板の残存部を下面側からエッチングした場合よりも多くすることができる。そのため、ガスセンサの製造工程を簡略化して歩留まりをより高くすることができるとともに、エッチング後の基板の強度をより高くすることができる点で、基板を上面側からエッチングするのが好ましい。一方、基板の下面側からエッチングする方が、空洞部が形成される領域において絶縁膜120に貫通穴を形成することを避けることができるので、メンブレンに貫通穴が形成されて強度が低下することを抑制し、メンブレンの破損を抑制できる点で、好ましい。
また、空洞部は、必ずしも基板に設ける必要はない。例えば、基板と絶縁膜との間、もしくは、絶縁膜120と半導体膜、導電膜および保護膜との間に、空洞部を形成することも可能である。このような基板上の空洞部は、基板もしくは絶縁膜120上の空洞部を形成する領域に犠牲膜(以下、「空洞形成膜」とも呼ぶ)を形成した後、上述のように中空膜までの各機能膜を形成し、保護膜上面から犠牲膜に到達する貫通穴を通して空洞形成膜を除去することにより、形成することができる。この空洞形成膜は、中空空間191,192を形成するための犠牲膜と同様に形成することができる。そして、空洞形成膜は、犠牲膜を除去して中空空間191,192を形成する際に、中空空間191,192を形成する犠牲膜と同時に除去することができる。なお、空洞形成膜として半導体等を用いる場合には、基板もしくは半導体膜のエッチングを阻止するため、基板、もしくは、絶縁膜120および犠牲膜の上に、SiOやSi等からなる阻止膜が形成される。このように、基板上に空洞部を形成した場合、基板をエッチングした場合よりも、基板の強度をより高くすることができる。一方、ガスセンサの製造工程をより簡略化できる点においては、基板をエッチングするのが好ましい。
第1実施形態のセンサチップ100では、板状部112の上部において中空膜160を保護膜150に接触させることで、中空膜160自体により、検出部RDと補償部RCとの中空空間191,192を分離しているが、これらの2つの中空空間は、他の方法で分離することも可能である。例えば、保護膜の上面に別途形成された厚い絶縁膜、あるいは、厚く形成された保護膜を用いて2つの中空空間を分離することも可能である。この場合、厚い絶縁膜あるいは保護膜の上面に開口部が設けられた中空膜を形成し、中空膜の開口部からエッチングにより厚い絶縁膜あるいは保護膜に凹部を設ければよい。
A3.熱伝導度評価のための機能的な構成:
図3は、ガスセンサ100においてガスの熱伝導度を評価するための機能的な構成を示す説明図である。図3(a)は、図2(a)と同様に、ガスセンサ100を上面から見た様子を示している。但し、図3(a)および図3(b)においては、図示の便宜上、中空膜160および封止膜170の図示と、保護膜150のハッチングとを省略している。図3(b)は、図3(a)において点線で囲んだ領域の拡大図である。
ガスセンサ100は、蓋161,162(図2)により形成される中空空間191,192内のガスの熱伝導度を評価するための構造として、4つのサーモパイルTP1〜TP4と、導電膜140として形成された2つのヒータ141,142、接続線144、グランド配線145およびヒータ配線146とを有している。
ヒータ141,142は、幅の狭い葛折の線状に形成されている。ヒータ141,142のそれぞれは、一端がグランド配線145に接続され、他端がヒータ配線146に接続されている。そのため、グランド配線145に形成されたボンディングパッドP1と、ヒータ配線146に形成されたボンディングパッドP2との間に電圧を印加することにより、ヒータ141,142が発熱する。
サーモパイルTP1は、図3(b)に示すように、半導体膜130(図2)として形成された半導体熱電素子131と、導電膜140として形成された金属熱電素子143とを有している。サーモパイルTP1では、図3において横方向に伸びる半導体熱電素子131および金属熱電素子143が縦方向に複数配列されている。金属熱電素子143は、メンブレン121上のヒータ141の付近と、基板110(図2(b))の外枠部111の上部とにおいて、隣接する半導体熱電素子131に接続されている。これにより、半導体熱電素子131および金属熱電素子143は、温接点HJと冷接点CJとを有する熱電対として機能し、冷接点CJを基準とし、ヒータ141の付近に配置された温接点HJの温度を表す電圧を出力する。なお、温接点HJの温度は、温接点HJをヒータ141に十分に近づけることにより、ヒータ141とほぼ同じ温度とすることができるので、以下では、「ヒータ141の温度」とも謂う。冷接点CJは、ダイボンド材15(図1)を介してヘッダ11に接着された外枠部111(すなわち、低熱伝導部である空洞部117,118が設けられていない領域)の上部に形成されているので、環境温度とほぼ同温度となる。そのため、ヒータ141の温度の測定基準は、環境温度となる。他のサーモパイルTP2〜TP4も、図3(b)に示すサーモパイルTP1と同様に構成されている。そのため、サーモパイルTP1,TP2の温接点HJは、検出部RD側のヒータ141の温度を測定する機能を有し、サーモパイルTP3,TP4の温接点HJは、補償部RC側のヒータ142の温度を測定する機能を有している。このように、サーモパイルTP1〜TP4の温接点HJは、ヒータ141,142の温度を測定する機能を有しているため、「測温素子」とも謂うことができる。また、検出部RDのサーモパイルTP1,TP2が有する温接点HJは、ガスの検出機能を実現するために使用されるので、「検出用測温素子」とも呼ぶことができる。一方、補償部RCのサーモパイルTP3,TP4が有する温接点HJは、検出部RDの出力変動を補償するために使用されるので、「補償用測温素子」とも呼ぶことができる。
検出部RD側において、サーモパイルTP1を構成する半導体熱電素子131のうち、中心線C2とは反対側(外側)の半導体熱電素子131は、グランド配線145に接続されている。一方、サーモパイルTP1の中心線C2側(内側)の金属熱電素子143は、接続線144と連続するように形成されている。接続線144は、基板110(図2(b))の外枠部111を跨ぎ、中心線C1に対してサーモパイルTP1とほぼ対称に形成されたサーモパイルTP2の内側の半導体熱電素子131に接続されている。サーモパイルTP2の外側の金属熱電素子143は、ボンディングパッドP3と連続するように形成されている。これにより、グランド配線145上のボンディングパッドP1と、サーモパイルTP2に接続されたボンディングパッドP3との間では、ヒータ141の付近に配置された温接点HJと、外枠部111の上部に配置された冷接点CJとを有する熱電対が直列接続される。このように、熱電対が直列接続されることにより、2つのボンディングパッドP1,P3間の電圧、すなわち、検出部RDのヒータ141の温度を表す出力信号を十分に大きくすることができる。同様に、補償部RC側のサーモパイルTP3,TP4においても、熱電対が直列接続されるので、補償部RCのヒータ142の温度を表す出力信号を十分に大きくすることができる。そのため、検出部RDおよび補償部RCのそれぞれに設けられたヒータ141,142の温度をより正確に測定することが可能となる。なお、電磁ノイズからのシールド性を向上させ、あるいは、グランド配線に近接した冷接点CJの温度の均一性を向上させるため、冷接点CJに近い位置において、絶縁膜120(図2)に開口部を設け、グランド配線と基板110(図2)とを接続するものとしても良い。
第1実施形態のガスセンサ100では、2つのボンディングパッドP1,P2の間に電圧を印加することにより、ヒータ141,142が発熱する。このヒータ141,142の温度は、ヒータ141,142に投入された電力と、ヒータ141,142からガスセンサ100の外部に放出される熱量により決定される。上述のように、ヒータ141,142からガスセンサ100の外部への熱の放出は、主として、中空空間191,192(図2)内のガスを通して行われるため、ヒータ141,142から外部に放出される熱量は、中空空間191,192内のガスの熱伝導度によって決まる。そのため、サーモパイルTP1〜TP4を用いてヒータ141,142の温度を測定することにより、中空空間191,192内のガスの熱伝導度を評価することができる。
ガスセンサ100は、検出部RDおよび補償部RCから、ヒータ141,142の温度を表す出力信号を出力する。これらの出力信号は、雰囲気が導入される検出部RDの中空空間191と、密閉され雰囲気の影響を受けない補償部RCの中空空間192との、それぞれの内部に存在するガスの熱伝導度に対応するため、検出部RDおよび補償部RCから出力され、ヒータ141,142のそれぞれの温度を表す出力信号の差である差分信号を得ることにより、検出対象ガスの濃度に対応する熱伝導度の差を評価することができる。そして、雰囲気中に検出対象ガスが含まれない状態で差分信号のオフセットを零に調整することで、差分信号の値を雰囲気中の検出対象ガスの濃度に対応したものとすることができるので、差分信号に基づいて検出対象ガスの濃度を測定することができる。
また、第1実施形態のガスセンサ100では、検出部RDおよび補償部RCがほぼ対称な構造となっている。そのため、環境温度の変化等の外的要因による検出部RDの出力信号の変動を、補償部RCの出力信号により高い精度で補償し、検出対象ガスの濃度の測定値の変動(ドリフト)を十分に小さくすることができるので、検出対象ガスの検出感度をより高くすることができる。
さらに、第1実施形態のガスセンサ100では、ガスの検出機能を実現するための構造(すなわち、ヒータ141,142、サーモパイルTP1〜TP4および蓋161,162等)を、薄膜として形成している。そのため、ガスセンサ100およびガスセンサ100を使用したセンサモジュール10を小型化することができる。このように、ガスセンサ100およびセンサモジュール10を小型化することにより、ガスセンサ100およびセンサモジュール10をガスの検出が行われる検出領域により近づけることができる。そのため、検出領域以外への検出対象ガスの拡散による、検出対象ガスの検出感度の低下や、検出対象ガスが放出されている位置を特定する際の位置精度の低下を抑制することができる。特に、第1実施形態のガスセンサ100では、ガスセンサ100およびセンサモジュール10の高さをより小さくすること(低背化)ができる。これにより、ガスセンサ100およびセンサモジュール10の実装の自由度をより高くすることができる。
また、第1実施形態のガスセンサ100では、ガスの検出機能を実現するための構造を、薄膜として形成しているため、当該構造を、半導体デバイスの製造方法として使用される微細加工技術を用いて形成することができる。そのため、ガスセンサ100の各部の位置合わせの精度をより高くし、検出部RDおよび補償部RCとの対称性をより高くすることができる。このように、検出部RDおよび補償部RCとの対称性をより高くすることにより、検出部RDの出力信号の変動の補償部RCの出力信号による補償を、さらに高い精度で行うこと可能となるので、検出対象ガスの検出感度をさらに高くすることができる。加えて、ガスセンサ100は、他の半導体デバイスと同様に、一連の製造工程(半導体プロセス)により形成される。このように、第1実施形態によれば、ガスセンサの製造がより容易となり、ガスセンサを製造するために要する労力が低減されるので、ガスセンサの製造コストの低減を図ることができる。
第1実施形態のガスセンサ100では、2つの空洞部117,118の間の板状部112が、図1(a)に示すように、ダイボンド材15を介して、パッケージ19のヘッダ11に接着されているので、検出部RDと補償部RCとのそれぞれに形成されたヒータ141,142で発生し、板状部112に向かって伝達された熱は、板状部112からガスセンサ100の外部に放出される。そのため、検出部RDのヒータ141の温度変化が補償部RCのヒータ142の温度に与える影響をより小さくすることができるので、外的要因による検出部RDの出力変動をより正確に補償し、検出対象ガスの検出感度をより高くすることができる。このように、板状部112は、検出部RDと補償部RCとを熱的に分離する機能を有しているので、「熱分離部」と謂うことができる。熱分離部は、必ずしも板状である必要はなく、また、外枠部111を渡るように形成されている必要はない。一般的には、熱分離部は、基板として検出部RDと補償部RCとの境界部である中心線C2の近傍に形成されていれば良い。ここで、ある領域の近傍とは、その領域と重なる位置、および、その領域の付近の位置の双方を含む位置を謂う。但し、板状部112等の熱分離部を省略することも可能である。熱分離部を省略しても、ヒータ141,142と、サーモパイルTP1〜TP4の温接点HJとが、熱伝導度が低い絶縁膜(SiO、Si)を主体に構成されたメンブレン上に設けられることにより、メンブレンに沿った方向への熱の伝達が抑制されるので、外的要因による検出部RD出力の変動を補償することができる。さらに、第1実施形態のガスセンサ100では、ヒータ141,142に通電するためのグランド配線145およびヒータ配線146は、空洞部117,118およびメンブレン121,122の上において、検出部RDと補償部RCとを跨がない。そのため、グランド配線145およびヒータ配線146は、熱伝導度の高い導電膜140として形成されているが、検出部RDと補償部RCとの熱的な分離状態は、より良好に維持される。
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態におけるガスセンサ200の構造を示す説明図である。上面から見た場合、第2実施形態のガスセンサ200は、第1実施形態のガスセンサ100と同一形状となる。そのため、図4では、ガスセンサ200を上面から見た様子を省略し、図2(a)の切断線A−A’および切断線B−B’に対応する位置におけるガスセンサ200の断面を、図4(a)および図4(b)にて示している。なお、第2実施形態のガスセンサ200は、その構成の大部分が第1実施形態のガスセンサ100と共通する。そのため、第2実施形態のガスセンサ200のうち、第1実施形態のガスセンサ100と共通する部分については、第1実施形態のガスセンサ100と同一の符号を付けている。
第2実施形態のガスセンサ200は、ガスセンサ200の下面に、開口部227,228が設けられた下蓋220が設けられている点と、下蓋220に設けられた補償部RC側の開口部228が、封止膜270により塞がれている点と、下蓋220が設けられることによりメンブレン121,122の下面に形成された空洞部217,218が中空空間191,192を形成している点とで、第1実施形態のガスセンサ100と異なっている。他の点は、第1実施形態と同様である。
下蓋220は、絶縁膜120を成膜する際に、基板の下面にも同時に成膜される絶縁膜をパターニングすることにより形成することができる。具体的には、空洞部217,218を形成する際に基板の研磨を行わないようにすることで、下面の絶縁膜を残し、当該絶縁膜をパターニングすることにより、開口部227,228が形成された下蓋220が形成される。そして、下蓋220の開口部227,228を介して基板をエッチングすることにより、空洞部217,218を形成することができる。なお、基板の研磨を行う場合には、基板の研磨の後、別途下面側に絶縁体膜あるいは金属膜を成膜・パターニングすることで下蓋220を形成すれば良い。
空洞部217,218の形成では、まず、下蓋220を介して、ボッシュプロセス等の深堀り反応性イオンエッチング(Deep RIE)を行う。これにより、開口部227,228から絶縁膜120の下面に到達する凹部を形成する。次いで、形成された凹部から基板を等方的にエッチングすることにより、凹部を連結させる。これにより、全体的に基板が除去された空洞部217,218が形成される。空洞部217,218の形成の後、補償部RCの上面の蓋162と同様に、開口部228が封止膜270により塞がれる。
このように形成されたガスセンサ200では、ダイボンド材15でヘッダ11に接着される下面側においても、中空空間となる空洞部218は密閉される。そのため、ダイボンド材15に隙間が存在し、あるいは、検出対象ガスがダイボンド材15を透過する場合においても、空洞部218に検出対象ガスが入ることが抑制される。空洞部218に検出対象ガスが入ると、空洞部218内のガスの熱伝導度が変化し、ヒータ142の温度が変化する可能性がある。しかしながら、第2実施形態では、空洞部218に検出対象ガスが入ることが抑制されるので、ヒータ142の温度の変化により補償部RCの出力信号が変動することによるドリフトの発生を抑制することができる。なお、図4の例では、補償部RCの開口部228のみを封止膜270で塞いでいるが、補償部RCの開口部228と検出部RDの開口部227との双方を封止膜で塞ぐものとしても良い。この場合、検出部RD側の空洞部217に検出対象ガスが入るのが抑制されるので、検出対象ガスの濃度が低下していく際に、空洞部217に検出対象ガスが残ることで、応答速度が低下することを抑制することができる。
C.変形例:
本発明は上記各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記各実施形態では、2つのヒータ141,142を並列に接続して、2つのヒータ141,142に同時に通電しているが、2つのヒータ141,142に別個に通電するものとしても良い。この場合、例えば、ヒータ配線146を2つに分割し、それぞれに、電圧印加用のボンディングパッドを設ければ良い。2つのヒータ141,142に別個に通電すれば、ヒータ141,142ごとに通電電流を調整して独立に加熱温度を制御できる。そのため、通電電流を調整することにより、雰囲気中に検知対象ガスがない状態において、ヒータ141,142のそれぞれの温度を表す出力信号の差(オフセット)を零に調整すれば、より低濃度のガスを検出することが可能となる。
C2.変形例2:
上記各実施形態では、検出部RDと補償部RCとのそれぞれにおいて、2つのサーモパイルTP1〜TP2,TP3〜TP4を設けているが、サーモパイルの数は、任意の数とすることができる。例えば、ガス検出部と補償部とのそれぞれにおいて、単一のサーモパイルを設けるものとしても良く、また、さらにサーモパイルを増やすものとしても良い。また、上記各実施形態では、ヒータ141,142の温度を測定するために、熱電対を直列接続したサーモパイルTP1〜TP2,TP3〜TP4を用いているが、検出部と補償部とのそれぞれにおいて、単一の熱電対を設け、それによりヒータ141,142の温度を測定するものとしても良い。但し、出力信号をより大きくすることができる点で、熱電対を直列接続したサーモパイルを用いるのが好ましい。
C3.変形例3:
上記各実施形態では、半導体膜130として形成された半導体熱電素子131と、導電膜140として形成された金属熱電素子143とを接続することにより、サーモパイルTP1〜TP4を構成しているが、サーモパイルは、極性の異なる2つの半導体膜として形成された2種の半導体熱電素子を接続するものとしても良く、また、材質の異なる2つの導電膜として形成された2種の金属熱電素子を接続するものとしても良い。但し、出力信号をより大きくするとともに、ガスセンサを製造するための工程数の増加を抑制することができる点で、半導体膜130として形成された半導体熱電素子131と、導電膜140として成された金属熱電素子143とを接続して、サーモパイルTP1〜TP4を構成するのが好ましい。
C4.変形例4:
上記各実施形態では、サーモパイルTP1〜TP4の温接点HJによりヒータ141,142の温度を測定しているが、ヒータ141,142の温度は、測温抵抗体や半導体測温素子等の他の測温素子を用いて測定することも可能である。但し、ヒータ141,142の温度を表す十分に高い電圧信号が直接出力され、検出対象ガスの検出感度をより高くすることが容易となる点で、サーモパイルTP1〜TP4の温接点HJによりヒータ141,142の温度との温度を測定するのが好ましい。さらに、ヒータ141,142の温度は、別個の測温素子を用いることなく測定することも可能である。この場合、2つのヒータ141,142を別個に通電できるように形成したうえで、ヒータ141,142の抵抗値を測定することで、ヒータ141,142の温度を測定することができる。但し、ヒータ141,142の構造にかかわらず、ヒータ141,142の温度を表す出力信号を十分に大きくすることができる点で、ヒータ141,142の付近に設けられた測温素子によりヒータ141,142の温度を測定するのが好ましい。
C5.変形例5:
上記各実施形態では、測温素子であるサーモパイルTP1〜TP4の温接点HJは、ヒータ141,142から離れた位置に形成されている。しかしながら、機能膜の構成を適宜変更することにより、温接点HJとヒータとを上下に重なり合うように配置することも可能である。従って、温接点HJ等の測温素子は、ヒータの近傍に設けられていればよい。
C6.変形例6:
上記各実施形態では、検出部RDにおいて、ヒータ141の上面側に蓋161を設けているが、蓋161を省略することも可能である。一般的には、補償部RCにおいて、ヒータ142の上面側、すなわち、空洞部118とは反対側の位置に密閉された空間が形成されていれば良い。但し、検出部RDと補償部RCとの熱的な特性をより近いものとすることでより確実に外的要因による出力変動を補償できる点で、検出部RDにおいて、補償部RCの蓋162と同様な蓋161を設けるのが好ましい。また、ヒータ141に近い位置に蓋161を設けることにより、中空空間191内のガスを介して外部に放出される熱量をより大きくすることができ、検出対象ガスの検出感度をより高くすることができる。
C7.変形例7:
上記各実施形態では、検出部RDのヒータ141の上部に設けられた蓋161に開口部167を形成しているが、一般的には、検出部RDにおいて、ヒータ141を覆う蓋は、ガス透過性を有していればよい。ガス透過性の蓋としては、蓋161の開口部167をガス透過性材料で塞いだものを使用することができる。この場合、開口部167を塞ぐガス透過性材料として、特定のガスを選択的に透過する材料を用いることにより、検出対象ガスの選択性を高くすることができる。例えば、水素透過性の金属により開口部167を塞ぐことにより、水素を選択的に検出するようにすることも可能である。また、開口部が形成されていない膜によりガス透過性の蓋を形成することも可能である。この場合、多孔質の金属薄膜によりガス透過性の蓋を形成することも可能である。なお、多孔質の金属薄膜は、例えば、金属と、当該金属に対して選択的にエッチングされる細孔形成材とをコスパッタリングして膜を形成し、形成された膜の細孔形成材を選択的にエッチングすることにより形成することができる。但し、開口部167を介して犠牲膜を除去することが可能であり、中空空間191の形成がより容易となる点で、ヒータ141を覆う蓋は、開口部167が設けられた蓋161(有孔蓋)とするのが好ましい。また、開口部168を介して犠牲膜を除去することが可能であり、中空空間192の形成がより容易となる点で、密閉された中空空間192を形成する密閉部は、開口部168が設けられた蓋162(有孔蓋)と、当該開口部168を塞ぐ封止膜170により形成するのが好ましい。
C8.変形例8:
上記各実施形態では、低熱伝導部として、基板自体に設けられた空洞部、もしくは、基板上に形成された空洞部を用いているが、低熱伝導部は必ずしも空洞である必要はない。低熱伝導部は、例えば、基板自体に設けられた空洞部に、多孔質材や樹脂等の低熱伝導材を埋め込むことにより形成することができる。多孔質材としてSiOを用いる場合には、周知の低比誘電率(Low-k)絶縁膜やシリカエアロゲルの形成技術により空洞部に多孔質SiOを埋め込むことができる。多孔質材として樹脂を用いる場合には、当該樹脂のモノマやプレポリマを空洞部に充填し、その後、熱や紫外線によりモノマやプレポリマを重合させれば良い。また、低熱伝導部として、基板上に多孔質材や樹脂等の低熱伝導膜を形成するものとしても良い。この場合、上述した基板上に空洞部を形成する工程と同様に、基板もしくは絶縁膜120上に多孔質材や樹脂等の低熱伝導膜を形成し、形成した低熱伝導膜を残存させることにより低熱伝導部を形成することができる。また、基板上に低熱伝導膜を形成するためのポリシリコン膜を形成し、当該ポリシリコン膜を陽極酸化により多孔質化しても良い。さらに、低熱伝導部として、基板自体に多孔質部を形成するものとしても良い。多孔質部は、例えば、基板としてSi基板を用いている場合には、基板自体に空洞部を形成する工程と同様に、基板の下面側もしくは基板の上面側から、空洞部に相当する領域を陽極酸化により多孔質化することで形成することができる。なお、空洞でない低熱伝導部を用いる場合において、低熱伝導部の材料が導電性を有する場合には、低熱伝導部と、半導体膜あるいは導電膜との間には絶縁膜が追加される。このように、空洞でない低熱伝導部を用いることにより、低熱伝導部上に形成された機能膜の破損が抑制される。
10…センサモジュール、11…ヘッダ、12…キャップ、13…封止材、14…端子、15…ダイボンド材、16…ワイヤ、19…パッケージ、100…ガスセンサ、110…基板、111…外枠部、112…板状部、117,118…空洞部(低熱伝導部)、120…絶縁膜、121,122…メンブレン、129…開口部、130…半導体膜、131…半導体熱電素子、140…導電膜、141,142…ヒータ、143…金属熱電素子、144…接続線、145…グランド配線、146…ヒータ配線、150…保護膜、151,152,153,154,155…開口部、160…中空膜、161,162…蓋、167,168…開口部、170…封止膜、191,192…中空空間、200…ガスセンサ、217,218…空洞部(低熱伝導部)、220…下蓋、227,228…開口部、270…封止膜、CJ…冷接点、HJ…温接点、P1,P2,P3,P4…ボンディングパッド、RC…補償部、RD…検出部、TP1,TP2,TP3,TP4…サーモパイル

Claims (2)

  1. 熱伝導式のガスセンサであって、
    空洞部と、
    前記空洞部の上に設けられた検出用ヒータおよび補償用ヒータと、
    開口部が設けられた第1の有孔蓋として構成され、前記検出用ヒータを基準として前記空洞部とは反対側において、前記検出用ヒータを覆うガス透過性のガス透過蓋と、
    開口部が設けられた第2の有孔蓋と、当該開口部を塞ぐ封止膜とを有し、前記補償用ヒータを基準として前記空洞部とは反対側の位置に密閉された空間を形成する密閉部と、
    を備え、
    前記検出用ヒータ、前記補償用ヒータおよび前記密閉部は、厚さが100μm以下の薄膜であり、
    前記ガスセンサは、前記検出用ヒータおよび前記補償用ヒータの温度が測定できるように構成されている、
    ガスセンサ。
  2. 請求項1記載のガスセンサであって、さらに、
    前記検出用ヒータの近傍に設けられ、前記検出用ヒータの温度を測定する検出用測温素子と、
    前記補償用ヒータの近傍に設けられ、前記補償用ヒータの温度を測定する補償用測温素子と、
    を備える、
    ガスセンサ。
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