JP2016109321A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Iori Maruhashi
伊織 丸橋
道美 日下
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道美 日下
朋一郎 田村
Tomoichiro Tamura
朋一郎 田村
良美 林
Yoshimi Hayashi
良美 林
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Abstract

【課題】冷媒に対する添加剤の比率を冷凍サイクル装置の円滑な運転にとって望ましい値に調整するための技術を提供する。【解決手段】本開示の冷凍サイクル装置(100)は、冷媒成分と添加剤との混合物を冷媒として用いた冷凍サイクル装置であって、冷媒液を貯留するとともに、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器(3)と、冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器(6)と、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機(2)が設けられた、蒸発器(3)から凝縮器(6)に冷媒蒸気を導く蒸気経路(30)と、凝縮器(6)から蒸発器(3)に冷媒液を導く第1バイパス路(21)と、第1バイパス路(21)とは別の経路であって、蒸発器(3)から凝縮器(6)に冷媒液を導く第2バイパス路(22)と、を備えている。【選択図】図1

Description

本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
従来の冷凍サイクル装置には、フロン、代替フロンなどのハロゲン化炭化水素が冷媒として広く使用されている。しかし、これらの冷媒は、オゾン層の破壊、地球温暖化などの問題を有している。そこで、地球環境に対する負荷が極めて小さい冷媒である水を用いた冷凍サイクル装置が提案されている。
特許文献1には、そのような冷凍サイクル装置として、冷房専用の空気調和装置が開示されている。特許文献1の空気調和装置は、自然冷媒を使用することに基づいて環境負荷の低減を達成できる。また、水の潜熱量は従来の冷媒よりも大きいので、特許文献1の空気調和装置は、低い質量流量で従来の空気調和装置と同等の能力を発揮できる。すなわち、冷房専用の空気調和装置の用途において、水を冷媒として用いた冷凍サイクル装置は、高いCOP(Coefficient of Performance)を達成できる。
特開2008−122012号公報(図1)
ところで、冷凍サイクル装置の冷媒には、しばしば、冷媒成分以外の添加剤が含まれている。例えば、特許文献1に記載された冷凍サイクル装置の場合、水(冷媒成分)と、水の凍結を防止するための添加剤との混合物を冷媒として使用することが考えられる。しかし、このような添加剤の溶液の飽和蒸気圧は、冷媒成分の飽和蒸気圧と大きく異なる場合がある。飽和蒸気圧の差が原因で、冷凍サイクル装置の特定の部分(例えば、蒸発器及び凝縮器)において、冷媒に対する添加剤の比率が円滑な運転にとって望ましくない値に徐々に変化する可能性がある。
上記の事情に鑑み、本開示は、冷媒に対する添加剤の比率を冷凍サイクル装置の円滑な運転にとって望ましい値に調整するための技術を提供する。
すなわち、本開示は、
冷媒成分と添加剤との混合物を冷媒として用いた冷凍サイクル装置であって、
冷媒液を貯留するとともに、前記冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、
前記冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器と、
前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機が設けられた、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒蒸気を導く蒸気経路と、
前記凝縮器から前記蒸発器に前記冷媒液を導く第1バイパス路と、
第1熱交換器と、前記蒸発器の出口と前記第1熱交換器の入口との間に配置されたポンプとを有し、前記蒸発器と前記第1熱交換器との間で前記冷媒液を循環させる吸熱循環路と、
前記第1バイパス路とは別の経路であって、前記ポンプの吐出口と前記第1熱交換器の入口との間において前記吸熱循環路から分岐しており、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒液を導く第2バイパス路と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
本開示によれば、蒸発器及び凝縮器のそれぞれにおいて、冷媒に対する添加剤の比率が冷凍サイクル装置の円滑な運転にとって望ましい値に調整されうる。
実施形態に係る冷凍サイクル装置の構成図 蒸発器に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧が、凝縮器に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧に一致している場合の単一の飽和蒸気圧曲線CREFを示すグラフ 蒸発器に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が上昇し、凝縮器に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が低下したときにおける、蒸発器に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧曲線CCON及び凝縮器に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧曲線CCONを示すグラフ
特許文献1の冷凍サイクル装置(空気調和装置)のように、冷媒として水を使用すると、冷媒の温度を氷点下まで下げることを必要とする運転条件で冷媒が凍結する。そのため、外気温が低いときに暖房運転を行うことができない。また、冷却対象物の温度が氷点下を下回る条件で冷凍サイクル装置を冷凍機として使用できない。
不凍液と水との混合物を冷媒として使用すれば、低温での運転が可能になる。しかし、一般的な不凍液であるエチレングリコール溶液及び酢酸カリウム溶液は、水よりも低い飽和蒸気圧を持っている。そのため、不凍液と水との混合物を冷媒として使用すると、蒸発器においては水が優先的に蒸発し、冷媒蒸気の大部分が水で占められる。その結果、運転時間の経過とともに、蒸発器に貯留された冷媒液における不凍液の濃度(正確には、エチレングリコールの濃度又は酢酸カリウムの濃度)が上昇し、凝縮器に貯留された冷媒液における不凍液の濃度が低下する。このような状態で運転を停止すると、凝縮器の中の冷媒液が凍結し、凝縮器、配管などの部品が損壊するおそれがある。
この問題に対処する方法として、以下の方法が考えられる。すなわち、蒸発器における不凍液の濃度が上昇又は凝縮器における不凍液の濃度が低下した時点で運転(例えば暖房運転)を一時停止し、蒸発器に貯留された冷媒液の一部と凝縮器に貯留された冷媒液の一部とを相互に入れ替える。これにより、蒸発器に貯留された冷媒液における不凍液の濃度及び凝縮器に貯留された冷媒液における不凍液の濃度を初期化することができる。
すなわち、本開示の第1態様は、
冷媒成分と添加剤との混合物を冷媒として用いた冷凍サイクル装置であって、
冷媒液を貯留するとともに、前記冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、
前記冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器と、
前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機が設けられた、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒蒸気を導く蒸気経路と、
前記凝縮器から前記蒸発器に前記冷媒液を導く第1バイパス路と、
第1熱交換器と、前記蒸発器の出口と前記第1熱交換器の入口との間に配置されたポンプとを有し、前記蒸発器と前記第1熱交換器との間で前記冷媒液を循環させる吸熱循環路と、
前記第1バイパス路とは別の経路であって、前記ポンプの吐出口と前記第1熱交換器の入口との間において前記吸熱循環路から分岐しており、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒液を導く第2バイパス路と、
を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。
第1態様によれば、蒸発器及び凝縮器のそれぞれにおいて、冷媒に対する添加剤の比率が冷凍サイクル装置の円滑な運転にとって望ましい値に調整されうる。また、第1態様によれば、第2バイパス路を蒸発器に直接接続せずに済む。このことは、冷凍サイクル装置の構造の簡素化に寄与する。さらに、第1態様によれば、吸熱循環路のポンプの動力を使って、第2バイパス路を経由して、蒸発器に貯留された冷媒液を凝縮器に一方向に供給することができる。つまり、第2バイパス路に専用のポンプを設ける必要がないので、コストの増加を抑制することができる。
本開示の第2態様は、第1態様に加え、前記蒸発器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度、及び/又は、前記凝縮器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を直接的又は間接的に検出する濃度検出機構をさらに備えた、冷凍サイクル装置を提供する。蒸発器に貯留された冷媒液における添加剤の濃度及び/又は凝縮器に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を監視することによって、蒸発器から凝縮器に冷媒液を移動させるべき適切なタイミングを正確に知ることができる。
本開示の第3態様は、第2態様に加え、前記濃度検出機構は、前記蒸発器の内部の圧力を検出する圧力センサと、前記蒸発器の内部の温度を検出する温度センサとを含む、冷凍サイクル装置を提供する。圧力センサと温度センサとの組み合わせは、冷媒液における添加剤の濃度を間接的に検出する手段であるものの、濃度センサよりも安価でありうる。また、圧力センサ及び温度センサは、添加剤の濃度を検出する用途だけでなく、冷凍サイクル装置の制御にも使用されうる。
本開示の第4態様は、第2又は第3態様に加え、前記濃度検出機構は、前記凝縮器の内部の圧力を検出する圧力センサと、前記凝縮器の内部の温度を検出する温度センサとを含む、冷凍サイクル装置を提供する。第4態様によれば、第3態様と同じ効果が得られる。
本開示の第5態様は、第2〜第4態様のいずれか1つに加え、前記濃度検出機構は、前記蒸発器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を検出する濃度センサと、前記凝縮器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を検出する濃度センサとの少なくとも1つを含む、冷凍サイクル装置を提供する。濃度センサによれば、添加剤の濃度を直接的に検出することができる。
本開示の第6態様は、第1〜第5態様のいずれか1つに加え、前記第1バイパス路には、弁が設けられている、冷凍サイクル装置を提供する。第1バイパス路に弁が設けられていると、凝縮器から蒸発器に冷媒液をスムーズに流すことが可能になる。
本開示の第7態様は、第1〜第6態様のいずれか1つに加え、前記第2バイパス路には、弁が設けられている、冷凍サイクル装置を提供する。弁を閉じれば、第2バイパス路を経由して、蒸発器から凝縮器に冷媒液が移動することを禁止できる。
本開示の第8態様は、第1〜第7態様のいずれか1つに加え、前記蒸発器の内部における前記冷媒液の液面の位置を検出する液面センサをさらに備えた、冷凍サイクル装置を提供する。液面センサによれば、蒸発器の冷媒液の量と凝縮器の冷媒液の量を適切に調整することができる。
本開示の第9態様は、第1〜第8態様のいずれか1つに加え、前記凝縮器の内部における前記冷媒液の液面の位置を検出する液面センサをさらに備えた、冷凍サイクル装置を提供する。液面センサによれば、蒸発器の冷媒液の量と凝縮器の冷媒液の量を適切に調整することができる。
本開示の第10態様によれば、第1〜第9態様のいずれか1つに加え、前記濃度検出機構の検出結果に基づき、前記第2バイパス路を通じて前記蒸発器から前記凝縮器へと前記冷媒液を供給するための処理を実行する制御器をさらに備えた、冷凍サイクル装置を提供する。制御器によれば、当該処理が適切なタイミングで実行されうる。
本開示の第11態様によれば、第1〜第10態様のいずれか1つに加え、前記冷媒成分は、常温での飽和蒸気圧が負圧の物質である、冷凍サイクル装置を提供する。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態)
図1に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置100は、蒸発器3、蒸気経路30、凝縮器6、第1バイパス路21及び第2バイパス路22を備えている。蒸発器3において生成された冷媒蒸気が蒸気経路30を経由して凝縮器6に供給される。蒸気経路30には、圧縮機2が設けられている。冷媒蒸気は、圧縮機2によって圧縮される。凝縮器6の冷媒液が第1バイパス路21を経由して蒸発器3に供給される。
冷凍サイクル装置100には、常温(日本工業規格:20℃±15℃/JIS Z8703)での飽和蒸気圧が負圧(絶対圧で大気圧よりも低い圧力)の物質を主成分として含む冷媒が充填されている。そのような冷媒としては、水などを主成分として含む冷媒が挙げられる。冷凍サイクル装置100の運転時において、冷凍サイクル装置100の内部の圧力は大気圧よりも低い。圧縮機2の入口の圧力は、例えば、0.5〜5kPaAの範囲にある。圧縮機2の吐出口の圧力は、例えば、5〜15kPaAの範囲にある。「主成分」とは、質量比で最も多く含まれた成分を意味する。
冷媒は、冷媒成分と添加剤との混合物である。添加剤は、典型的には、混合物の凝固温度が、冷媒成分の凝固温度を下回るように、冷媒成分に混合された物質(不凍剤)である。このような混合物を冷媒として使用することによって、以下の利益が得られる。すなわち、外気温が低いときに、冷凍サイクル装置100を空気調和装置(詳細には暖房機)として使用できる。また、冷却対象物の温度が氷点下を下回る条件で冷凍サイクル装置100を冷凍機として使用できる。冷媒の凍結防止のための添加剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、及び、酢酸カリウムなどの無機塩類である。これらの他に、防腐剤、防錆剤などが添加剤として挙げられる。添加剤は、例えば、1〜70質量%の範囲で冷媒に含まれている。
また、添加剤は、混合物の特定温度における飽和蒸気圧が、冷媒成分の特定温度における飽和蒸気圧を下回るように、冷媒成分に混合された物質でありうる。上述の多価アルコール及び無機塩類には、このような働きがある。また、吸収式冷凍機で吸収液として使用される臭化リチウムにもこのような働きがある。冷媒としての混合物には、上述した働きを持つ添加剤が1種類のみ含まれていてもよいし、上述した働きを持つ複数の種類の添加剤が冷媒としての混合物に含まれていてもよい。
なお、本明細書において、「特定温度」は、冷凍サイクル装置100の運転中に冷媒が到達する可能性がある温度範囲における温度を意味する。そのような温度範囲は、例えば、−20〜50℃である。
冷凍サイクル装置100は、さらに、吸熱循環路24及び放熱循環路25を備えている。
吸熱循環路24は、ポンプ4、第1熱交換器5及び流路(配管)13〜15を有する。吸熱循環路24の両端はそれぞれ蒸発器3に接続されている。具体的には、流路13の一端が蒸発器3の下部(液面よりも下の部分)に接続され、流路13の他端がポンプ4の吸入口に接続されている。流路14の一端がポンプ4の吐出口に接続され、流路14の他端が第1熱交換器5の入口に接続されている。流路15の一端が第1熱交換器5の出口に接続され、流路15の他端が蒸発器3の上部又は中間部に接続されている。ポンプ4は、当該ポンプ4の吸入口から蒸発器3に貯留された冷媒液の液面までの高さが必要吸込ヘッド(required NPSH)よりも大きくなるような位置に配置されている。吸熱循環路24は、蒸発器3と第1熱交換器5との間で熱媒体を循環させる。本実施形態において、吸熱循環路24を循環する熱媒体は、蒸発器3に貯留された冷媒液である。吸熱循環路24の働きにより、蒸発器3に貯留された冷媒液を効率的に加熱することができる。また、蒸発器3に貯留された冷媒液を吸熱循環路24に循環させるので、他の熱媒体を吸熱循環路24に循環させる場合と比較して、蒸発器3及び吸熱循環路24の構造が簡素である。
第1熱交換器5は、フィンチューブ熱交換器、シェルチューブ熱交換器などの公知の熱交換器でありうる。例えば、冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、第1熱交換器5は室内に配置され、室内の空気を冷媒液によって冷却する。
放熱循環路25は、ポンプ7、第2熱交換器8及び流路(配管)18〜20を有する。放熱循環路25の両端はそれぞれ凝縮器6に接続されている。具体的には、流路18の一端が凝縮器6の下部(液面よりも下の部分)に接続され、流路18の他端がポンプ7の吸入口に接続されている。流路19の一端がポンプ7の吐出口に接続され、流路19の他端が第2熱交換器8の入口に接続されている。流路20の一端が第2熱交換器8の出口に接続され、流路20の他端が凝縮器6の上部又は中間部に接続されている。ポンプ7は、当該ポンプ7の吸入口から凝縮器6に貯留された冷媒液の液面までの高さが必要吸込ヘッド(required NPSH)よりも大きくなるような位置に配置されている。放熱循環路25は、凝縮器6と第2熱交換器8との間で熱媒体を循環させる。本実施形態において、放熱循環路25を循環する熱媒体は、凝縮器6に貯留された冷媒液である。放熱循環路25の働きにより、凝縮器6に貯留された冷媒液を効率的に冷却することができる。また、凝縮器6に貯留された冷媒液を放熱循環路25に循環させるので、他の熱媒体を放熱循環路25に循環させる場合と比較して、凝縮器6及び放熱循環路25の構造が簡素である。
第2熱交換器8は、フィンチューブ熱交換器、シェルチューブ熱交換器などの公知の熱交換器でありうる。例えば、冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、第2熱交換器8は室外に配置され、室外の空気を冷媒液によって加熱する。
蒸発器3は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって形成されている。蒸発器3は、冷媒液を貯留するとともに、冷媒液を内部で蒸発させる。すなわち、外部環境から熱を吸収することによって加熱された冷媒液が蒸発器3の中で沸騰する。本実施形態において、蒸発器3に貯留された冷媒液は、吸熱循環路24を循環する冷媒液に直接接触する。つまり、蒸発器3に貯留された冷媒液の一部は、第1熱交換器5で加熱され、飽和状態の冷媒液を加熱するために使用される。
先に説明したように、冷媒に含まれた添加剤は、混合物(冷媒)の特定温度における飽和蒸気圧が、冷媒成分の特定温度における飽和蒸気圧を下回るように、冷媒成分に混合された物質でありうる。このとき、蒸発器3において生成された冷媒蒸気の大部分は、冷媒成分で占められる。添加剤の種類にもよるが、冷媒成分の比率は、冷媒蒸気に対して、例えば、99.8質量%以上である。ただし、不可避的に混入している空気を除き、冷媒蒸気に冷媒成分のみが含まれていてもよい。
吸熱循環路24及び蒸発器3は、蒸発器3に貯留された冷媒液が吸熱循環路24を循環する熱媒体と混ざらないように構成されていてもよい。例えば、蒸発器3がシェルチューブ熱交換器のような熱交換構造を有している場合、吸熱循環路24を循環する熱媒体によって蒸発器3に貯留された冷媒液を加熱し、蒸発させることができる。このとき、第1熱交換器5は、蒸発器3に貯留された冷媒液を加熱するための熱媒体を加熱する。このような構成は、真空系の経路の全長を短縮することができる点で有利である。また、蒸発器3に熱源が設けられていてもよい。
蒸気経路30は、蒸発器3から凝縮器6に冷媒蒸気を導くための経路である。蒸気経路30は、上流部分16及び下流部分17を有する。上流部分16によって蒸発器3の上部が圧縮機2の吸入口に接続されている。下流部分17によって圧縮機2の吐出口が凝縮器6の上部に接続されている。圧縮機2は、遠心式圧縮機又は容積式圧縮機でありうる。圧縮機2は、上流部分16を通じて蒸発器3から冷媒蒸気を吸い込み、断熱的に圧縮する。圧縮された冷媒蒸気は、下流部分17を通じて凝縮器6に供給される。
蒸気経路30には、複数の圧縮機が設けられていてもよい。この場合、低圧側圧縮機と高圧側との間に中間冷却器が設けられていてもよい。中間冷却器は、低圧側圧縮機で圧縮された冷媒蒸気を冷却する。これにより、高圧側圧縮機の性能及び信頼性を向上させることができる。中間冷却器で冷媒蒸気を冷却するために使用される流体は、冷凍サイクル装置100の特定部分(例えば、放熱循環路24)を流れる冷媒であってもよいし、外部から供給された熱媒体(例えば、空気又は水)であってもよい。さらに、前者と後者とを併用してもよい。また、複数の中間冷却器が蒸気経路30に設けられていてもよい。例えば、蒸気経路30にn台(nは3以上の整数)の圧縮機が設けられているとき、(n−1)台の中間冷却器が蒸気経路30に配置されうる。
凝縮器6は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって形成されている。凝縮器6は、冷媒蒸気を凝縮させるとともに、冷媒蒸気を凝縮させることによって生じた冷媒液を貯留する。本実施形態では、過熱状態の冷媒蒸気が、外部環境に熱を放出することによって冷却された冷媒液に直接接触して凝縮する。凝縮器6に貯留された冷媒液は、放熱循環路25を循環する冷媒液に直接接触する。つまり、凝縮器6に貯留された冷媒液の一部は、第2熱交換器8で冷却され、過熱状態の冷媒蒸気を冷却するために使用される。
放熱循環路25及び凝縮器6は、凝縮器6に貯留された冷媒液が放熱循環路25を循環する熱媒体と混ざらないように構成されていてもよい。例えば、凝縮器6がシェルチューブ熱交換器のような熱交換構造を有している場合、放熱循環路25を循環する熱媒体によって冷媒蒸気を冷却し、凝縮させることができる。このとき、第2熱交換器8は、冷媒蒸気を冷却するための熱媒体を冷却する。このような構成は、真空系の経路の全長を短縮することができる点で有利である。また、凝縮器6に吸熱源が設けられていてもよい。
本実施形態においては、蒸発器3及び凝縮器6が直接接触型の熱交換器である。そのため、蒸発器3及び凝縮器6を小型化しやすい。他方、吸熱循環路24(又は放熱循環路25)に冷媒とは別の熱媒体を循環させる場合には、ポンプ4(又はポンプ7)に要求されるNPSHが低減されるため、冷凍サイクル装置100の高さを縮小することが可能である。
第1バイパス路21は、凝縮器6から蒸発器3に冷媒液を導くための経路である。第1バイパス路21によって、蒸発器3と凝縮器6とが接続されている。本実施形態では、蒸発器3の中間部(高さ方向における中間部)と凝縮器6の中間部(高さ方向における中間部)とが第1バイパス路21によって接続されている。第1バイパス路21には、弁11が設けられている。弁11は、開閉弁であってもよいし、流量調整弁であってもよい。冷媒液は、弁11において減圧されながら、第1バイパス路21を通じて凝縮器6から蒸発器3に戻される。つまり、弁11は、膨張機構としての機能を有する。弁11が流量調整弁であるとき、必要に応じて、第1バイパス路21における冷媒液の流量を正確に調整することができる。ただし、弁11に加えて、第1バイパス路21にキャピラリが設けられていてもよい。場合によっては、弁11を省略してもよい。
本実施形態では、第1バイパス路21にポンプが設けられていない。この場合、次の2つの駆動圧によって、凝縮器6から蒸発器3に冷媒液が戻される。2つの駆動圧の1つは、蒸発器3に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧と凝縮器6に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧との間の差に起因する駆動圧である。2つの駆動圧の他の1つは、蒸発器3に貯留された冷媒液の液面の高さと凝縮器6に貯留された冷媒液の液面の高さとの差(液面ヘッド差)に起因する駆動圧である。ポンプを省略することによって、コストを削減できる。
また、第1バイパス路21は、冷媒液を双方向に流すことができる経路であってもよい。
第2バイパス路22は、蒸発器3から凝縮器6に冷媒液を導くための経路である。第2バイパス路22は、蒸気経路30及び第1バイパス路21とは別の経路である。第2バイパス路22を通じて、冷媒液を蒸発器3から凝縮器6に移動させることができる。所定の入れ替え条件が満たされた場合、第2バイパス路22を経由して、蒸発器3に貯留された冷媒液を凝縮器6に移動させることができる。言い換えれば、添加剤を相対的に高い濃度で含む冷媒液と添加剤を相対的に低い濃度で含む冷媒液とを混合させる。これにより、蒸発器3に貯留された冷媒液の添加剤の濃度と凝縮器6に貯留された冷媒液の添加剤の濃度とを均一化することができる。もちろん、蒸発器3に貯留された冷媒液の添加剤の濃度と凝縮器6に貯留された冷媒液の添加剤の濃度とを完全に一致させる必要は無い。
第2バイパス路22には、弁12が設けられている。弁12は、開閉弁であってもよいし、流量調整弁であってもよい。弁12を閉じれば、第2バイパス路22を経由して、蒸発器3から凝縮器6に冷媒液が移動することを禁止できる。弁12が流量調整弁であるとき、必要に応じて、第2バイパス路22における冷媒液の流量を正確に調整することができる。
本実施形態において、第2バイパス路22は、吸熱循環路24から分岐している。このような構成によれば、第2バイパス路22を蒸発器3に直接接続せずに済む。このことは、冷凍サイクル装置100の構造の簡素化に寄与する。具体的に、吸熱循環路24は、蒸発器3の出口と第1熱交換器5の入口との間に配置されたポンプ4を有する。第2バイパス路22は、ポンプ4の吐出口と第1熱交換器5の入口との間において吸熱循環路24から分岐している。このような構成によれば、吸熱循環路24のポンプ4の動力を使って、第2バイパス路22を経由して、蒸発器3に貯留された冷媒液を凝縮器6に一方向に供給することができる。つまり、第2バイパス路22に専用のポンプを設ける必要がないので、コストの増加を抑制することができる。もちろん、第2バイパス路22に専用のポンプが設けられていてもよい。第2バイパス路22に専用のポンプが設けられているとき、第2バイパス路22が蒸発器3に直接接続されていてもよい。
第2バイパス路22の他端は、凝縮器6に接続されている。本実施形態では、凝縮器6の底部に第2バイパス路22が接続されている。
蒸発器3において、第1バイパス路21の一端(第1バイパス路21の開口部)は、高さ方向(鉛直方向)に関して、吸熱循環路24の入口よりも上に位置している。凝縮器6において、第1バイパス路21の他端は、高さ方向(鉛直方向)に関して、第2バイパス路22の出口(第2バイパス路22の開口部)よりも上に位置している。このような位置関係によれば、濃度均一化処理をスムーズに行えるとともに、液面ヘッド差を利用して第1バイパス路21を通じて凝縮器6から蒸発器3に冷媒液を移動させやすい。ただし、これらの位置関係は上記の関係に限定されない。
冷凍サイクル装置100は、さらに、濃度センサ10a及び10bを備えている。濃度センサ10aは、蒸発器3の下部に取り付けられている。濃度センサ10bは、凝縮器6の下部に取り付けられている。濃度センサ10aは、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を検出する濃度検出機構である。同様に、濃度センサ10bは、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を検出する濃度検出機構である。濃度センサ10a及び10bによれば、添加剤の濃度を直接的に検出することができる。蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度及び/又は凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を監視することによって、蒸発器3から凝縮器6に冷媒液を移動させるべき適切なタイミングを正確に知ることができる。添加剤の初期濃度は既知であるため、濃度センサ10a及び10bから選ばれる一方のみが冷凍サイクル装置100に設けられていたとしても、上記のタイミングを正確に知ることができる。
また、濃度センサ10a以外の手段によって、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を知ることもできる。例えば、冷凍サイクル装置100は、濃度検出機構として、圧力センサ9a及び温度センサ26aを備えている。圧力センサ9aは、蒸発器3の内部の圧力を検出する。詳細には、圧力センサ9aは、蒸発器3の内部における蒸気圧(飽和蒸気圧)を検出する。温度センサ26aは、蒸発器3の内部の温度を検出する。詳細には、温度センサ26aは、蒸発器3に貯留された冷媒液の温度又は蒸発器3で生成された冷媒蒸気の温度を検出する。
添加剤の初期濃度は既知であるため、冷媒液の初期の飽和蒸気圧曲線も既知である。任意の温度における現在の飽和蒸気圧と初期の飽和蒸気圧との差から、現在の添加剤の濃度を知ることができる。例えば、飽和蒸気圧、温度及び添加剤の濃度の関係が記述されたテーブルが準備されているとき、飽和蒸気圧及び温度から添加剤の濃度を直ちに特定することができる。したがって、圧力センサ9a及び温度センサ26aは、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を検出する濃度検出機構として機能しうる。圧力センサ9a及び温度センサ26aによって、蒸発器3から凝縮器6に冷媒液を移動させるべき適切なタイミングを正確に知ることができる。圧力センサ9aと温度センサ26aとの組み合わせは、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を間接的に検出する手段であるものの、濃度センサ10aよりも安価でありうる。また、圧力センサ9a及び温度センサ26aは、添加剤の濃度を検出する用途だけでなく、冷凍サイクル装置100の制御にも使用されうる。
同様に、濃度センサ10b以外の手段によって、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を知ることもできる。例えば、冷凍サイクル装置100は、濃度検出機構として、圧力センサ9b及び温度センサ26bを備えている。圧力センサ9bは、凝縮器6の内部の圧力を検出する。詳細には、圧力センサ9bは、凝縮器6の内部における蒸気圧(飽和蒸気圧)を検出する。温度センサ26bは、凝縮器6の内部の温度を検出する。詳細には、温度センサ26bは、凝縮器6に貯留された冷媒液の温度又は凝縮器6における冷媒蒸気の温度を検出する。
圧力センサ9a及び温度センサ26aと同じ理由により、圧力センサ9b及び温度センサ26bは、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を検出する濃度検出機構として機能しうる。圧力センサ9b及び温度センサ26bによっても、蒸発器3から凝縮器6に冷媒液を移動させるべき適切なタイミングを正確に知ることができる。圧力センサ9bと温度センサ26bとの組み合わせは、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を間接的に検出する手段であるものの、濃度センサ10bよりも安価でありうる。また、圧力センサ9b及び温度センサ26bは、添加剤の濃度を検出する用途だけでなく、冷凍サイクル装置100の制御にも使用されうる。
本実施形態において、圧力センサ9aは、蒸発器3の上部(液面よりも上の部分)に取り付けられている。温度センサ26aは、蒸発器3の下部に取り付けられている。圧力センサ9bは、凝縮器6の上部(液面よりも上の部分)に取り付けられている。温度センサ26bは、凝縮器6の下部に取り付けられている。ただし、これらのセンサの位置は特に限定されない。
濃度検出機構としての具体的手段は、蒸発器3のみに設けられていてもよいし、凝縮器6にのみ設けられていてもよいし、それらの両方に設けられていてもよい。なぜなら、一方における添加剤の濃度が判明するだけで、後述する濃度均一化処理を実行すべきタイミングを知ることができるからである。また、一方における添加剤の濃度から他方における添加剤の濃度を推定することもできる。また、濃度検出機構としての具体的手段は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
冷凍サイクル装置100は、さらに、液面センサ23a及び23bを備えている。液面センサ23aは、蒸発器3の内部における冷媒液の液面の位置を検出する。液面センサ23bは、凝縮器6の内部における冷媒液の液面の位置を検出する。液面センサ23a及び23bの検出結果に基づき、蒸発器3における冷媒液の量及び凝縮器6における冷媒液の量を適切に調整することができる。具体的には、ポンプ4の吸入口から蒸発器3に貯留された冷媒液の液面までの高さが必要吸込ヘッドよりも大きくなるように、蒸発器3における冷媒液の量を調整することができる。同様に、ポンプ7の吸入口から凝縮器6に貯留された冷媒液の液面までの高さが必要吸込ヘッドよりも大きくなるように、凝縮器6における冷媒液の量を調整することができる。
ただし、冷媒液の合計量は既知であるから、蒸発器3の内部における冷媒液の液面の位置から、凝縮器6の内部における冷媒液の液面の位置を推定できる。同様に、凝縮器6の内部における冷媒液の液面の位置から、蒸発器3の内部における冷媒液の液面の位置を推定できる。したがって、液面センサ23a及び23bから選ばれる一方のみが設けられていたとしても、蒸発器3の内部における冷媒液の液面の位置及び凝縮器6の内部における冷媒液の液面の位置の両方を正確に知ることができる。
液面の位置を検出できる限りにおいて、液面センサ23a及び23bの種類は特に限定されない。液面センサ23a及び23bとして、フロート式の液面センサ、静電容量式の液面センサなどを使用できる。
蒸気経路30における冷媒の流量(質量流量)は、第1バイパス路21における冷媒の流量(質量流量)と必ずしも一致していない。しかし、両者が相違していたとしても、液面センサ23a及び/又は液面センサ23bを使用して液面の位置を把握し、弁11を適切に制御すれば、蒸発器3の冷媒液の量と凝縮器6の冷媒液の量を適切に調整することができる。
冷凍サイクル装置100は、さらに、制御器32を備えている。制御器32は、上記した濃度センサ10aなどの濃度検出機構の検出結果に基づき、第2バイパス路22を通じて蒸発器3から凝縮器6へと冷媒液を供給するための処理を実行する。その際、液面センサ23a及び23bの検出結果に基づき、冷媒液の供給量が調整されうる。制御器32によれば、当該処理が適切なタイミングで実行されうる。
次に、第2バイパス路22を通じて、冷媒液を蒸発器3から凝縮器6に移動させることによって得られる他の利益について説明する。
例えば、冷凍サイクル装置100の性能を冷房用途で十分に発揮させるためには、凝縮器6に貯留された冷媒液の温度が外気温よりも高いことが必要である。凝縮器6で生成される冷媒液の温度は、凝縮器6に供給された冷媒蒸気の圧力と、凝縮器6に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧とに依存する。
まず、蒸発器3に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧が、凝縮器6に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧に一致している場合を説明する。この場合、図2Aに示すように、蒸発器3の内部の温度及び圧力だけでなく、凝縮器6の内部の温度及び圧力も単一の飽和蒸気圧曲線CREFに従って変化する。そのため、例えば、蒸発器3に貯留された10℃の冷媒液から40℃の冷媒液を凝縮器6で生じさせるためには、蒸発器3で生成された冷媒蒸気の圧力を少なくともPA(例えば1.7kPa)からPC(例えば9kPa)まで上昇させる必要がある。
しかし、先に説明したように、添加剤(不凍液)と水との混合物を冷媒として使用すると、蒸発器3においては水が優先的に蒸発し、冷媒蒸気の大部分が水で占められる。蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度がα質量%であり、蒸気経路2を流れる冷媒蒸気における添加剤の濃度がβ質量%であると仮定する。添加剤と冷媒成分との混合物の飽和蒸気圧が、冷媒成分の飽和蒸気圧を下回るとき、一般には、添加剤の溶液(例えば水溶液)の飽和蒸気圧も冷媒成分の飽和蒸気圧を下回る。そのため、一般には、値αは、値βよりも大きい。蒸発器3で冷媒液が気化する際、高い飽和蒸気圧を有する冷媒成分が気化しやすいため、冷媒蒸気の全部又は大部分を冷媒成分が占める。その結果、運転時間の経過とともに、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が上昇し、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が低下する。
すると、図2Bに示すように、蒸発器3に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧曲線CEVAが低圧側にシフトし、凝縮器6に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧曲線CCONが高圧側にシフトする。つまり、蒸発器3に貯留された10℃の冷媒液から40℃の冷媒液を凝縮器6で生じさせるために必要な圧縮仕事が増加する。具体的には、(PD−PB)−(PC−PA)の圧力に相当する圧縮仕事が余分に必要となる。
本実施形態においては、第2バイパス路22を通じて、蒸発器3に貯留された冷媒液の一部と凝縮器6に貯留された冷媒液の一部とが入れ替えられる。これにより、蒸発器3及び凝縮器6における添加剤の濃度が均一化し、圧縮仕事の増加を抑制することができる。蒸発器3に貯留された冷媒液の一部と凝縮器6に貯留された冷媒液の一部とを入れ替えるための処理(濃度均一化処理)は、例えば、以下の通りである。
通常の運転モード(例えば、冷房運転又は暖房運転)において、第2バイパス路22の弁12は閉じられている。第1バイパス路21の弁11は、第1バイパス路21における冷媒液の流量が蒸気経路30における冷媒蒸気の流量に一致するように制御されている。詳細には、弁11の開度が適切に調整されている。あるいは、第1バイパス路21の弁11を定期的に開くことによって、凝縮器6から蒸発器3に冷媒液を戻してもよい。
制御器32は、濃度センサ10aなどのセンサ群から信号を取得し、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度、及び/又は、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度を監視する。蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が閾値e-thを上回った場合、及び/又は、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が閾値c-thを下回った場合、通常の運転が一時停止され、上記の濃度均一化処理が実行される。濃度均一化処理において、圧縮機2の運転を停止してもよいし、継続してもよい。
閾値e-th及び閾値c-thの値は特に限定されない。閾値e-th及び閾値c-thは、使用された添加剤(不凍剤)の種類、初期濃度、冷媒成分などに応じて適切に定められる。一例において、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度が凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度の1.1倍を超えた場合に上記の濃度均一化処理が実行されるように、閾値e-th及び/又は閾値c-thが定められる。
濃度センサ10a及び10bに代えて、圧力センサ9a及び温度センサ26aを使用する場合、蒸発器3に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧が閾値(閾値は、温度によって異なる)を下回った場合、上記の濃度均一化処理が実行されうる。濃度センサ10a及び10bに代えて、圧力センサ9b及び温度センサ26bを使用する場合、凝縮器6に貯留された冷媒液の飽和蒸気圧が閾値(閾値は、温度によって異なる)を上回った場合、上記の濃度均一化処理が実行されうる。これらの閾値も、使用された添加剤(不凍剤)の種類、初期濃度、冷媒成分などに応じて適切に定められる。
濃度均一化処理においては、第2バイパス路22の弁12を開き、ポンプ4を駆動する。弁12を開くと、ポンプ4の高い吐出圧力によって、第2バイパス路22を通じて、蒸発器3から凝縮器6に向かって冷媒液が流れる。併せて、ヘッド差及び圧力差によって、第1バイパス路21を通じて、凝縮器6から蒸発器3に向かって冷媒液が流れる。これにより、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加剤の濃度と凝縮器6に貯留された冷媒液における添加剤の濃度との差が縮小する。第1バイパス路21の弁11は、凝縮器6から蒸発器3に冷媒液をスムーズに流すことができるように制御されうる。弁11が開度可変の弁であるとき、濃度均一化処理において、弁11は、例えば、最大の開度となるように制御される。
濃度均一化処理の実行中において、液面センサ23aによる液面の位置の検出結果及び/又は液面センサ23bによる液面の位置の検出結果に基づき、蒸発器3の冷媒液の量と凝縮器6の冷媒液の量とを積極的に調整してもよい。すなわち、蒸発器3の内部における冷媒液の液面の位置が予め定められた範囲に収まるように、濃度均一化処理が実行されうる。同様に、凝縮器6の内部における冷媒液の液面の位置が予め定められた範囲に収まるように、濃度均一化処理が実行されうる。このようにすれば、蒸発器3及び凝縮器6のそれぞれに必要な冷媒量が保たれるので、濃度均一化処理の終了後、直ちに通常の運転を再開することができる。また、液面センサ23a及び23bによれば、第1バイパス路21及び第2バイパス路22を通じた冷媒液の移動量を容易に管理することができる。特に、液面センサ23a又は23b(例えば静電容量式の液面センサ)から第1バイパス路21の開口部までの距離が適切に設定されているとき、濃度均一化処理において、一定量の冷媒液の移動を容易に管理することができる。このことは、蒸発器3に貯留された冷媒液における添加物の濃度の算出、及び、凝縮器6に貯留された冷媒液における添加物の濃度の算出の精度を高めることに貢献する。
なお、センサ群を使用せずに上記の濃度均一化処理を定期的に実行してもよい。すなわち、冷凍サイクル装置100の運転継続時間が一定時間(例えば1時間)に達した場合、上記の濃度均一化処理を実行してもよい。このような構成によれば、添加剤の濃度を検出するための手段が不要である。さらに、冷凍サイクル装置100の運転を停止する際に上記の濃度均一化処理を実行してもよい。このような構成によれば、冷媒液の凍結によって凝縮器6、配管などの部品が損壊することを防止できる。
本明細書に開示された冷凍サイクル装置は、家庭用エアコン、業務用エアコンなどの空気調和装置に特に有用である。本明細書に開示された冷凍サイクル装置は、空気調和装置に限定されず、チラー、蓄熱装置などの他の装置であってもよい。第1熱交換器5の冷却対象及び第2熱交換器8の加熱対象は、空気以外の気体であってもよいし、液体であってもよい。
2 圧縮機
3 蒸発器
4,7 ポンプ
5 第1熱交換器
6 凝縮器
8 第2熱交換器
9a,9b 圧力センサ
10a,10b 濃度センサ
11,12 弁
21 第1バイパス路
22 第2バイパス路
23a,23b 液面センサ
24 吸熱循環路
25 放熱循環路
26a,26b 温度センサ
100 冷凍サイクル装置

Claims (11)

  1. 冷媒成分と添加剤との混合物を冷媒として用いた冷凍サイクル装置であって、
    冷媒液を貯留するとともに、前記冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、
    前記冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器と、
    前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機が設けられた、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒蒸気を導く蒸気経路と、
    前記凝縮器から前記蒸発器に前記冷媒液を導く第1バイパス路と、
    第1熱交換器と、前記蒸発器の出口と前記第1熱交換器の入口との間に配置されたポンプとを有し、前記蒸発器と前記第1熱交換器との間で前記冷媒液を循環させる吸熱循環路と、
    前記第1バイパス路とは別の経路であって、前記ポンプの吐出口と前記第1熱交換器の入口との間において前記吸熱循環路から分岐しており、前記蒸発器から前記凝縮器に前記冷媒液を導く第2バイパス路と、
    を備えた、冷凍サイクル装置。
  2. 前記蒸発器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度、及び/又は、前記凝縮器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を直接的又は間接的に検出する濃度検出機構をさらに備えた、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記濃度検出機構は、前記蒸発器の内部の圧力を検出する圧力センサと、前記蒸発器の内部の温度を検出する温度センサとを含む、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記濃度検出機構は、前記凝縮器の内部の圧力を検出する圧力センサと、前記凝縮器の内部の温度を検出する温度センサとを含む、請求項2又は3に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記濃度検出機構は、前記蒸発器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を検出する濃度センサと、前記凝縮器に貯留された前記冷媒液における前記添加剤の濃度を検出する濃度センサとの少なくとも1つを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記第1バイパス路には、弁が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記第2バイパス路には、弁が設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記蒸発器の内部における前記冷媒液の液面の位置を検出する液面センサをさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記凝縮器の内部における前記冷媒液の液面の位置を検出する液面センサをさらに備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記濃度検出機構の検出結果に基づき、前記第2バイパス路を通じて前記蒸発器から前記凝縮器へと前記冷媒液を供給するための処理を実行する制御器をさらに備えた、請求項1〜9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  11. 前記冷媒成分は、常温での飽和蒸気圧が負圧の物質である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
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