JP2016108792A - 鉄骨構造物の梁用金物および梁接合部 - Google Patents

鉄骨構造物の梁用金物および梁接合部 Download PDF

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Abstract

【課題】梁通し型架構における全ての接合形態に適合するとともに、無溶接で梁部材の補強を行うことのできる鉄骨構造物の梁用金物および梁接合部を提供することを目的とする。【解決手段】正面が開放された略直方体である第1の金物と、第1の金物とは第1の側板が延在部を有している点のみが異なる第2の金物とを組み合わせて、H型鋼からなる梁にボルト・ナットで固定することで鉄骨構造物の補強部や梁接合部を得る。【選択図】図6

Description

本発明は、梁部材としてH形鋼を用いた鉄骨構造物の梁用金物および梁接合部に係り、特に、金物を用いて無溶接で梁部材の補強を行うとともに、金物の組み合わせによって梁の接合形態を自在とすることのできる鉄骨構造物の梁用金物および梁接合部に関する。
例えば、鉄骨住宅等の板厚6mm未満の鋼材で構成される中低層軽量鉄骨構造物において、梁部材にはH形鋼が多く用いられており、梁通し型の架構では、H形鋼(梁)の上下フランジに柱部材が接合されて立体架構が形成される。柱梁接合部や、梁同士の接合部など、応力が大きくなる部分について、一般に、梁の上下フランジ間にスチフナが溶接された補強構造となっている。梁相互の接合は、ウェブ部分においては、スチフナに貫通孔を設けて、別途ガセットプレートを介してボルトで取付けるか、スチフナを延長してブラケットと兼用するのが一般的である。
スチフナは上記のように溶接によって梁部材に取り付けられるため、梁部材との溶接作業のほか、合理化が困難な、溶接により発生する熱ひずみの矯正や、溶接部の探傷検査などが必要となる場合もあり、梁の製造コストアップの要因になっている。
また、梁部材の加工は工場で行なわれ、スチフナが取り付けられた梁部材は工場で製造されており、製造後には別途防錆処理として塗装や溶融亜鉛めっき(後めっき)が施される。そのため、製造後のスチフナの取付け位置(補強位置)変更といった設計変更や、増改築には対応しにくいという問題もある。さらに、塗装工程や、後めっき工程の合理化のために、予めめっきを施したH形鋼を使用すると、スチフナの溶接によって塗膜やめっき層が損傷し、補修工程が別途必要になるといった問題がある。
そこで、溶接により接合されるスチフナに代わる技術として、特許文献1や特許文献2等に記載された技術がある。これらはいずれも柱と梁を、金物を介してボルトで固定・補強することにより無溶接接合としたものである。また、梁同士の接合に関しては、特許文献3に開示された技術がある。これは付け梁の端部にエンドプレートを溶接し、通し梁の上下フランジに継ぎ金物を溶接またはボルトで接合し、エンドプレートと継ぎ金物をボルトで接合することで、通し梁と付け梁を接続するようにしたものである。さらに、特許文献4には、梁を分断して柱梁接合部に金物を配置する方法が開示されている。
特開2004−11217号公報 特開2005−320745号公報 特開平8−60739号公報 特開平6−288005号公報
梁通し型架構には、単純な梁補強(スチフナ代替)のほか、梁2本によるL型接合、梁2本によるT型接合、梁3本によるT型接合、および、梁3本による十字型接合等の接合形態がある。しかしながら、特許文献1、2に記載された技術は、柱直下の梁の座屈補強専用であって、この技術を用いて柱の直下で複数の梁同士を接合するためには、さらに別の形状の金物が必要となり、金物を合理化することが困難である。特許文献3に記載の方法では、付け梁にエンドプレートを溶接する必要があるので、上記の溶接にかかる課題は依然として残っている。また、特許文献4の実施例2に梁勝ちとして柱を配置した例が記載されている。この例では梁フランジとウェブを連結して補強する形態にも、上下の梁フランジを連結する形態にもなっていないため、梁部の金物に、梁フランジの引張りに対する抵抗要素がない。そのため、この接合構造を上下階に柱を有する接合部に適用しても、梁フランジの変形拘束効果がない。圧縮に関しても、金物のウェブの補剛も十分ではないために、梁ウェブの座屈耐力が不足するという問題がある。
すなわち、これら特許文献で開示された従来技術では、上述した梁補強や全ての接合形態に、必要な性能を満足して汎用的に対応できないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、鉄骨構造物の梁通し型架構における、梁の補強と全ての接合形態に無溶接で使用可能な梁用金物、および梁接合部を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。ここで、勝ち側梁とは、鉄骨構造物の梁通し型架構において、梁同士の接合部の相互の梁芯の交点において、ウェブの存在する側の梁(即ち、側面にもう一方の梁の小口側端面が突きつけられる側の梁)をいい、負け側梁とはウェブの存在しない側(即ち、小口側端面を突きつける側の梁)の梁をいう。
[1] フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび上下フランジ間の内法高さがhであるH型鋼からなる梁の補強もしくは梁同士の接合に用いられる鉄骨構造物の梁用第1の金物であって、
梁用金物は上板、下板、第1の側板、第2の側板および背板からなり、幅が(2×d−t)、奥行きが(2×d−t)、高さがh以下である、正面が開放された略直方体であり、上板および下板には、正面からd、第1の側板の表面からdの位置に1個の貫通孔が設けられ、第1の側板、第2の側板および背板には、複数の貫通孔が少なくとも縦方向に1列設けられており、第1および第2の側板に設けられた貫通孔は正面からdの位置にあり、背板に設けられた貫通孔は第1の側板の表面からdの位置にある上下対称形状であることを特徴とする鉄骨構造物の梁用第1の金物。
[2] [1]記載の梁用第1の金物の第1の側板を、複数の貫通孔が少なくとも縦方向に1列設けられている正面方向への延在部を設け、かつ、延在部をtだけ第2の側板側にシフトするようにしたことを特徴とする鉄骨構造物の梁用第2の金物。
[3] フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面には、[1]記載の第1の金物と[2]記載の第2の金物の第1の側板同士を隣接させ、かつ、その隣接境界部を前記負け側梁の構造芯と一致させた状態で、それぞれの背板が当接するように、第1の金物と第2の金物を配置し、
勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面には、[1]記載の第1の金物2個の第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
第1の金物または第2の金物の背板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定し、
第2の金物の第1の側板の延在部に設けられた貫通孔と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、第2の金物と負け側梁とをボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
[4] フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面には、[1]記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態で、かつその間隙の中心を負け側梁の構造芯となる位置に一致させて、それぞれの第2の側板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面には、[1]記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態でそれぞれの第2の側板が当接するように、または、第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
第1の金物の背板または第2の側板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定し、
負け側梁の先端部のウェブの両面それぞれに、[1]記載の第1の金物を背板が当接するように配置し、これらの金物の背板と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、負け側梁のウェブを挟んで対向する金物同士とをボルト・ナットで固定し、
勝ち側梁の負け側梁が取り付く側に固定された第1の金物2個の第1の側板と、前記負け側梁の先端部に固定された第1の金物2個の第1の側板または第2の側板とを、それぞれの貫通孔を介してボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
[5] フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面に、[1]記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態で、かつその間隙の中心を負け側梁の構造芯と一致させて、それぞれの第2の側板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面に、[1]記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態でそれぞれの第2の側板が当接するように、または、第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
さらに、勝ち側梁の負け側梁が取り付く側に配置した第1の金物2個の間に、厚さが2×tで長さが(2×d−t)より長く、かつ、この長い部分(延在部)が2×tだけシフトしているブラケットを配置し、
第1の金物の背板または第2の側板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士とをボルト・ナットで固定し、
勝ち側梁の負け側梁の取り付く側に配置した第1の金物2個の背板に設けられた貫通孔とブラケットの貫通孔を介して、第1の金物2個の間にブラケットをボルト・ナットで固定し、
ブラケットの延在部に設けられた貫通孔と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、ブラケットと負け側梁とをボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
[6] 柱の先端に、板要素を組み合わせて断面を十字状とした十字状部材とその上下に取り付けられた平板からなり、上下の平板のいずれか一方に、貫通孔が設けられている柱用金物を溶接し、
[3]〜[5]のいずれかに記載の鉄骨構造物の梁接合部の上側および下側のいずれか一方または両方に、柱用金物に設けられた貫通孔と梁接合部のフランジに設けられた貫通孔とを介してボルト・ナットで柱を固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
[7] 柱用金物の上下の平板のいずれか一方に設けられる貫通孔は、十字状部材で区画されたそれぞれの区画に1箇所ずつ、かつその中心間距離が2×dとなるように設けられていることを特徴とする[6]記載の鉄骨構造物の梁接合部。
[8] 柱用金物の十字状部材の少なくとも1つの板要素に鉛直ブレースを取り付けるための貫通孔を設けたことを特徴とする[6]または[7]に記載の鉄骨構造物の梁接合部。
[9] 鉛直ブレースを取り付けるための板要素に、平面視で上下の平板よりも突出する突出部を設け、この突出部に貫通孔を設けたことを特徴とする[8]に記載の鉄骨構造物の梁接合部。
[10] フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる梁のウェブの各面に、[1]記載の第1の金物2個の第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
第1の金物の背板に設けられた貫通孔と梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁補強部。
本発明では、梁の補強と梁同士の全ての接合形態に合わせて、2種類の金物を適宜組み合わせて相互をボルト・ナットで接合して構成した補強部材を、梁とボルトで接合するようにしたので、梁通し型架構の全ての接合形態で、梁部材の補強と無溶接接合とを実現することができる。
その結果、溶接に伴う梁部材の矯正作業や探傷検査は不要となり、プレ塗装やプレめっきしたH形鋼を用いても補強部材取り付け後の塗装やめっきの補修は必要なく、コストを削減することができる。また、設計変更や増改築にも容易に対応でき、さらには補強金物も2種類で済むため金物作製を合理化でき、コストダウンに寄与する。
鉄骨構造物の梁に用いられるH形鋼の断面図である。 本実施形態に係る第1の金物の斜視図である。 第1の金物を示す図で、(a)は正面図、(b)は水平断面図、(c)は垂直断面図である。 本実施形態に係る第2の金物の斜視図である。 第2の金物を示す図で、(a)は正面図、(b)は水平断面図、(c)は垂直断面図である。 接合形態1を示す水平断面図である。 接合形態2を示す水平断面図である。 接合形態3を示す水平断面図である。 接合形態4を示す水平断面図である。 接合形態5を示す水平断面図である。 接合形態6を示す水平断面図である。 本実施形態に係る柱用金物を示す図で、(a)は水平断面図、(b)は垂直断面図である。 接合形態7を示す垂直断面図である。 柱用金物の変形例を示すで、(a)は水平断面図、(b)は正面図である。 柱用金物の他の変形例を示すで、(a)は水平断面図、(b)は正面図である。
本発明が対象とするのは、梁通し型架構の軽量鉄骨構造物である。本発明では、梁に標準化をすすめて共通化したH形鋼を用い、H形鋼の寸法について、図1に示すように、フランジの幅(mm)を4×d、ウェブの厚さ(mm)を2×t、上下フランジ間の間隔(内法高さ)(mm)をhと定義する。
本発明では、第1の金物同士、あるいは第1の金物と第2の金物とを組み合わせて梁の上下フランジ間に配置することで、梁を補強(スチフナ代替)するとともに、全ての梁接合形態(梁2本によるL型接合、梁2本によるT型接合、梁3本によるT型接合、および、梁3本による十字型接合)に対応する。以下に、実施の形態として、ここで用いる金物と、接合形態について説明する。
[第1の金物]
第1の金物10を図2および図3を用いて説明する。図2は第1の金物10の斜視図であり、図3(a)〜(c)はそれぞれ正面図、水平断面図(図3(a)のX―X矢視断面図)、垂直断面図(図3(a)のY―Y矢視断面図)である。第1の金物10は一面が開放された略直方体である。上面および下面は各々1個の貫通孔を有する平板で構成され、4つの側面のうち1面(図では正面側)を開放し、残りの3面の各々は、縦方向に1列に並んだ少なくとも2個の貫通孔を有する平板で構成され、上下対称形状になっている。以下、上面の平板を上板11、下面の平板を下板12といい、また、側面の平板を側板という。さらに、開放側から見た正面図3(a)で右の側板を第1の側板13、左の側板を第2の側板14とし、第1の側板13と第2の側板14との間にあり、開放面と対向する側板を背板15という。
第1の金物の高さは梁フランジ間に配置可能とするため、梁の内法高さh以下とする。望ましくは内法高さhと同じ寸法とし、より望ましくは、誤差を考慮してマイナス公差0.5〜1.0mmを見込む。金物は鋼材で構成し、その板厚および強度は、構造設計上必要とするものを適宜選択してよいが、上板および下板の板厚は、側板および背板の厚さ以上かつ梁フランジの厚さ以上とし、側板および背板の板厚は梁ウェブの厚さ以上とすることが強度上好ましい。
図2に示すように、正面視で、第1の金物の幅および奥行き寸法はいずれも(2×d−t)とする。
また、上板、下板の貫通孔16a、16bは第1の金物の幅方向において第1の側板の外面からd、背板の外面から(d−t)の位置に設ける。第1の側板の貫通孔16c、および第2の側板の貫通孔16dは、背板の外面から(d−t)の位置で、上下対称に複数配置することを基本とし、少なくとも、上下面から概ね1/4hの高さ位置で上下対称に2箇所、好ましくはさらに1/2hの高さ位置を加えた計3箇所とするが、当該貫通孔は、これに限らず設計条件を考慮してさらに増やしてよい。また、背板の貫通孔16eは第1の金物の幅方向において第1の側板の外面からdの位置に、縦方向に少なくとも2個を1列に設けるが、孔の数、高さ方向位置は貫通孔16c、16dに合わせる。これらの貫通孔は接合用のボルトを通すために用いる。
[第2の金物]
次に第2の金物20について図4および図5を用いて説明する。第2の金物20は、負け側梁のウェブとの接合に供するために第1の金物の一部を変更したもので、負け側梁との接合用のブラケットとして、第1の側板を正面側に突出させた延在部を有する形態になっている。図4は第2の金物の斜視図であり、図5(a)〜(c)は第2の金物の正面図、水平断面図(図5(a)のX―X矢視断面図)、垂直断面図(図5(a)のY―Y矢視断面図)である。以下、上面の平板を上板21、下面の平板を下板22、開放側から見た正面図5(a)で右側の側板を第1の側板23、左側の側板を第2の側板24、そして、第1の側板23と第2の側板24との間にある側板を背板25という。上板、下板、側板には、貫通孔26a〜26eが設けられている。第1の側板23は、第2の金物の正面側に突出するように延在していて、該延在部23aは、tだけ内側(第2の側板24側)に偏芯して位置するように加工されている。延在部長さは、直交して取り付けられる梁との取り合いを考慮して設計上必要とされる長さとすればよい。この延在部23aには、負け側梁のウェブと接合される、少なくともひとつ以上の貫通孔26fが設けられている(図示の例では3個)。貫通孔26fの位置は、設計上の観点から決定すればよく、1列に限らず2列以上としてもよい。
その他の構成については、第1の金物10と同じであるので、説明は省略する。
[金物の組み合わせ形態]
本発明では、第1の金物同士、あるいは第1の金物と第2の金物とを組み合わせて梁の上下フランジ間に配置することで、梁を補強するとともに、全ての梁接合形態(L型接合、T型接合、十字型接合)に対応できる。ここで、第1の金物同士、または、第1の金物と第2の金物の2つの金物を組み合わせるのに際しては、一方の金物を、図2〜5に示す状態と上下を逆にして使用する。この場合は、第1の側板13または23は左側に、第2の側板14または24は右側に来る。なお、上板は下側に、上板は下側に来るが、説明の都合上、上下逆にした場合であっても上側を上板、下側を下板と呼ぶことにする。
[梁の接合方式]
本発明によれば、梁の接合方式として、ブラケット方式および突きつけ方式のいずれにも対応することができる。なお、ここで言うブラケット方式とは、第2の金物の延在部または、図11のブラケット40に対して、負け側梁のウェブを、ボルト・ナットによるせん断接合する形式を言い、突きつけ方式とは、図10に示すように、接合する相互の梁に第1の金物を取り付け、それらを突きつけてボルト・ナットで引っ張り接合する形式を言う(図10、図11については後述する)。
[接合形態]
本発明では、梁と梁の接合にあたっては、上述のように溶接接合を行わず、ボルト・ナットを用いて接合する。なお、金物の側板、背板の板厚が厚い場合は、通しボルトではなく、貫通孔16c〜16e、貫通孔26c〜26eにめねじを形成してボルトをねじ込むようにしてもよい。この形態は、縦方向の貫通孔が偶数の場合について用いるとよく、この際、前記すべての貫通孔にめねじを切ると、ねじ込み不能になるので、上下逆転配置して隣接させる場合に対向する貫通孔について、一方が、めねじ、もう一方は、めねじなし、となるように、めねじを形成する貫通孔とめねじを形成しない貫通孔を、例えば、最上部の貫通孔にはめねじを形成し、次の貫通孔には形成しないというように、縦方向で交互に配置するなど、適宜配置するとよい。
以下、上記第1の金物10および第2の金物20を用いて梁接合部とする接合形態1〜7について説明する。
[接合形態1]
第1の金物10と第2の金物20を組み合わせ、平面視で2本の梁をブラケット方式によりL型に接合する場合について説明する(ブラケット式L型接合形態)。図6は第1の金物10を3個、第2の金物20を1個用いて2本の梁をL型に接合している状況を示す水平断面図である。図6において、60は勝ち側梁、70は負け側梁、10、10、10は第1の金物、20は第2の金物である。
梁の接合部において、勝ち側梁60の上下フランジのそれぞれには、梁ウェブの芯から、dだけ離れた位置に、4個の金物10〜10、20の上板および下板に設けられた貫通孔16a、16b、26a、26bに対応する、各4個の貫通孔60aが設けられている。
勝ち側梁60のウェブ61にも、4個の金物10〜10、20の背板に設けられた縦1列の貫通孔16e、26eに対応する貫通孔60bが設けられている。また、負け側梁70のウェブ71にも第2の金物20の延在部に設けられた貫通孔26fに対応する貫通孔70cが設けられている。
第1の金物10の第1の側板13と第1の金物10の第1の側板13を隣接させ、これらの背面を、勝ち側梁のウェブ61の負け側梁70が取り付かない側の面に当接するように配置する。同様に、第1の金物10の第1の側板13と第2の金物20の第1の側板23を隣接させ、これらの背面を、勝ち側梁のウェブ61の負け側梁70が取り付く側の面に当接するように配置する。ここで、勝ち側梁の上下フランジの貫通孔60aおよびウェブに設けた貫通孔60bは、負け側梁のウェブ71の芯の両側に、それぞれdの位置に配置して、これら貫通孔と各金物の貫通孔位置を合致させることによって、隣接する金物同士の接する境界面を、負け側梁70のウェブ71の芯に位置させている。
次いで、第1の金物10と10、第1の金物10と第2の金物20を、各背板の貫通孔16e、26eについて、勝ち側梁のウェブ61に設けた貫通孔60bを介してボルト・ナット(図示せず。以下、同様とする。)で勝ち側梁60に固定する。この際、隣り合う金物10と10および10と20を、互いに接する側板の貫通孔16c、26cを介してボルト・ナットで連結し、また、勝ち側梁60の上下フランジと各金物の上板・下板とをそれぞれに対応する貫通孔を介してボルト・ナットで緊結すると、強度上より好ましくなる。そして、第2の金物20の第1の側板(ブラケットの役目を担う)23の延在部23aと負け側梁70のウェブ71とをそれぞれの貫通孔26fと70cを介してボルト・ナットで固定する。このとき、延在部23aの接合面は負け側梁70の芯よりt(ウェブ厚の1/2)だけシフトした位置に配置されているので、当該位置に負け側梁のウェブ71を当接して接合することで、負け側梁70を所定位置に固定することができる。
以上、第1の金物10と第1の金物10の組み合わせと、第1の金物10と第2の金物20の組み合わせを、勝ち側梁のウェブ61のそれぞれ一方の面に用いて、ひとつの負け側梁70を取り付ける方法を示したが、前記第1の金物10と第1の金物10の組み合わせを、勝ち側梁のウェブ61の両面に配置すれば、負け側梁70が取り付かない、スチフナ代替の補強部を構成することができる。
[接合形態2]
この接合形態は平面視で2本の梁をブラケット方式によりT型に接合するもの(ブラケット式T型接合形態)で、図7に示すように、勝ち側梁60が延長されているほかは、接合形態1と同じであるので、説明は省略する。
[接合形態3]
この接合形態は平面視で3本の梁をブラケット方式によりT型に接合するもの(第2のブラケット式T型接合形態)で、図8を用いて説明する。3本の梁をT字状に配置し、これらを2個の第1の金物10と2個の第2の金物20を用いて接合する。勝ち側梁60の長手方向端部において、ウェブ61を挟んで両側に、2本の負け側梁70がそれぞれ取り付く構造である。
梁の接合部において、勝ち側梁60の上下フランジのそれぞれには、各梁ウェブの芯からdだけ離れた位置に4個の金物10、10、20、20の上板および下板に設けられた貫通孔16a、16b、26a、26bに対応する各4個の貫通孔60aが設けられている。勝ち側梁のウェブ61にも4個の金物101、10、201、20の背板に設けられた縦1列の貫通孔16c、26cに対応する位置に貫通孔60bが設けられている。また、各負け側梁70の先端部のウェブ71にも第2の金物201、20の延在部23aに設けられた縦1列の貫通孔26fに対応する貫通孔70cがそれぞれ設けられている。
勝ち側梁60の先端部において、第1の金物10の第1の側板13と第2の金物201の第1の側板23を隣接させ、これらの背面を、勝ち側梁のウェブ61の一方の面に当接するように配置する。同様に、第1の金物10の第1の側板13と第2の金物20の第1の側板23を隣接させ、これらの背面を、勝ち側梁のウェブ61のもう一方の面に当接するように配置する。ここで、隣接する金物同士が接する面は負け側梁のウェブ71の芯に位置させる。
次いで、第1の金物10と10は、それぞれの背板の貫通孔16eと勝ち側梁60のウェブに設けた貫通孔60bを通してボルト・ナットで勝ち側梁60に固定する。同じく、第2の金物20と20も、それぞれの背板の貫通孔26eと勝ち側梁60のウェブに設けた貫通孔60bを介してボルト・ナットで勝ち側梁60に固定する。この際、隣り合う金物10と20および10と20を互いに接する側板の貫通孔16c、26cを介してボルト・ナットで連結し、また、勝ち側梁60の上下フランジと各金物の上板・下板とをそれぞれに対応する貫通孔を介してボルト・ナットで緊結すると、強度上より好ましくなる。そして、第2の金物201、20の延在部23aは負け側梁70接合用のブラケットになっており、各延在部23aと負け側梁のウェブ71とをそれぞれの貫通孔26f、70cを介してボルト・ナットで固定する。このとき、各延在部23aは、負け側梁70の芯よりt(ウェブ厚の1/2)だけシフトした位置に負け側梁のウェブ71との接合面が配置されるので、当該位置に負け側梁のウェブ71を当接して接合することで、負け側梁70を所定位置に固定することができる。
なお、本接合形態において、ウェブ61を介して、第1の金物10の背面には、もうひとつの第1の金物10が、第2の金物20の背面には、もうひとつの第2の金物20を配置した形態を示したが、金物の配置方向は任意であり、位置を入れ替えて、第1の金物101の背面に第2の金物20を、第2の金物20の背面に第1の金物10を配置するようにしてもよい。
[接合形態4]
この接合形態は平面視で3本の梁をブラケット方式により十字型に接合するもの(ブラケット式十字型接合形態)で、図9に示すように、勝ち側梁60が延長されているほかは、接合形態3と同じであるので、説明は省略する。
以上、ブラケット方式についての接合形態1〜4を説明した。なお、勝ち側梁のウェブ61の両側に配置する第2の金物20のブラケットの接合面の向きは、第2の金物20の背面にもう一方の第2の金物20を配置する場合と、第2の金物20の背面に第1の金物10を配置する場合とで異なる。第2の金物20のブラケット配置方向に関し、負け側梁の両端部でブラケットの配置方向が揃っていないと、梁の取り付けが一方向で行なえなくなり、施工手間がかかるため、2本の梁が取り付く接合形態1、2の場合もあわせて、少なくとも1つの水平構面おいて、それぞれの梁接合部での金物の配置を統一するのが好ましい。最も望ましくは、第2の金物20の背面には第2の金物20を配置する方向に全体を統一する方法であり、具体的には、架構全体の基準となる隅角部を決定し、この位置をxy座標(水平面の座標)の原点とした上で、各梁接合部において、x軸、y軸とも、原点側に第1の金物もしくは第2の金物が来るように配置を統一する。これにより、負け側梁70のブラケット23aとの当接面の方向が統一されることになり、梁の取り付けは一方向での管理となり、現場での管理が容易になる。
[接合形態5]
次に、平面視で2本の梁を突きつけ方式によりT型に接合する接合形態(突きつけ式T型接合形態)を、図10を用いて説明する。2本の梁をT字状に配置し、これらを第1の金物10を6個用いて接合する。なお、図10では、負け側梁70が取り付かない方向の金物および貫通孔の記載を省略している。
勝ち側梁60の金物配置に関し、接合形態1〜4では、第1の金物の背板15および第2の金物の背板25を勝ち側梁のウェブ61に当接させて隣接配置したが、ここでは、第1の金物10と10は背板15を2×t(ウェブ厚さ)の間隔をあけて対向させ、それぞれの第2の側板14が勝ち側梁のウェブ61に当接するように配置する。接合形態1〜4と金物の配置方法は異なるが、勝ち側梁60に関する貫通孔配置は、接合形態1〜4と同じであり、勝ち側梁60の上下フランジのそれぞれには、各梁のウェブ芯から、それぞれdだけ離れた位置に各4個の貫通孔60aが設けられており、ウェブ61には第1の金物の側板14に設けられた貫通孔16dに対応する位置に貫通孔60bが設けられている。すなわち、ウェブ貫通孔60bの位置は、負け側梁のウェブ71の芯からそれぞれdの距離であって、高さ方向は第1の金物の側板および背板の貫通孔16c、16d、16eと同じ高さになるように配置している。
図10では、負け側梁70が取り付かない部分の図示を省略しているが、図示しない第1の金物10、10は、ウェブ61の反対側にも同様に配置する。この際、背板15同士を対向させるのではなく、図7に示したように第1の側板13同士を隣接させるようにしてもよい。
また、負け側梁70の突きつけ側の先端部においては、第1の金物は接合形態1〜4の勝ち側梁60への取り付け形態と同じく、負け側梁70の先端部のウェブ71の両面に第1の金物10と10を、それぞれの背板15がウェブ71面に当接するように配置する。この際、上下フランジのそれぞれに、ウェブ71芯からd、負け側梁70の先端からdだけ離れた位置に2個の貫通孔70aが設けられる。ウェブ71には、前記梁フランジの貫通孔70aを基準として、前記第1の金物10の配置状態で、背板15の貫通孔16eに対応する貫通孔70bが設けられている。
なお、負け側梁に設けられた貫通孔70a、70bの位置は、ここでは、先端からdの位置として説明したが、金物の上下を反転することで、先端から(d−t)としてもよい。
勝ち側梁60の第1の金物10と図示しない第1の金物10、および第1の金物10と図示しない第1の金物10とを、それぞれ勝ち側梁のウェブ61に貫通孔16d、60bを介してボルト・ナットで固定するとともに、負け側梁70の第1の金物10と10を、貫通孔16e、70bを介してボルト・ナットで負け側梁のウェブ71に固定する。そして、勝ち側梁の金物10と10の側板13および負け側梁の金物10と10の側板13(貫通孔70a、70bの位置が先端から(d−t)の場合は側板14)を、各側板の貫通孔16c同士(貫通孔70a、70bの位置が先端から(d−t)の場合は16cと16d)を対向させて当接し、これらの貫通孔にボルトを通してナットで緊結することにより梁60と70を接合する。また、本接合形態では、負け側梁70の先端と金物の側面が一致しているが、ウェブ先端部に設けた貫通孔の位置を調整して、金物を負け側梁の先端から突出させるようにしてもよい。
以上、突きつけ方式で2本のH形鋼梁をT字状に接合する形態について説明したが、2本のH形鋼梁をL字状に接合する形態も全く同様である。3本のH形鋼をT字状に接合する形態、あるいは、3本のH形鋼梁を十字状に接合する形態は、前記負け側梁70の取り付け部を、勝ち側梁のウェブ61の両側に設ける(図示しない部分について、図示した部分を展開する)ことで、本接合形態と同様に構成することができる。さらに、負け側梁70を接合せずに、スチフナ代替の補強部として用いても良いのは言うまでもない。
[接合形態6]
本接合形態は、第1の金物による平面視で2本の梁をブラケット方式によりT型に接合する形態(第3のブラケット式T型接合形態)である。接合形態5の変形例であり、梁に設ける貫通孔は同じである。以下、図11を用いて説明する。なお、接合形態5と同じく、図11では、負け側梁70が取り付かない方向の金物および貫通孔の記載を省略している。
接合形態5で述べたように、勝ち側梁60に取り付けられた第1の金物10と10の背板間には梁ウェブの厚さ2×tに相当する間隙がある。この間隙部に厚さが2×tのブラケット40を配置する。ブラケット40は、第2の金物20の第1の側板23と類似の形状で、前記間隙部に挟持される範囲より正面側に突出した延在部を有し、当該延在部は、2×tだけ平行にずれるように曲げ加工されている。ブラケット40の外形寸法は、第1の側板23に準じ、あるいは、第1の側板23に供する部材を独立して用いてもよいが、挟持される範囲の高さを勝ち側梁60のh以下、延在部の高さを負け側梁70のh以下とすれば任意の形態が可能で、負け側梁70を梁せいの小さい梁にすることも可能である。
ブラケット40には、第1の金物の背板15の貫通孔16eに対応する貫通孔40aが設けられており、延在部にも例えば3個×1列の貫通孔40bが設けられている。そして、2個の金物10と10とブラケット40を、これらが一体となるように貫通孔16e、40aにボルトを通してナットで締結し、勝ち側梁60の第1の金物10と図示しない第1の金物10、および第1の金物10と図示しない第1の金物10とを、勝ち側梁のウェブ61の負け側梁70が取り付く側の面に、それぞれ貫通孔16d、60bを介してボルト・ナットで固定するとともに、負け側梁70については、ブラケット40の延在部と負け側梁のウェブ71とをこれらに設けられた貫通孔40b、70cを用いてボルト・ナットで固定する。
なお、上記において、ブラケット40は2×tだけシフトするようにプレートの途中を曲げ加工したので、ウェブ71を当接させることで、負け側梁が所定の位置に配置させるようになっているが、曲げ加工せずにストレートのままとして、ガセットプレートを使用する形態でもよい。
以上、第1の金物10と別途ブラケット40を用いた2本の梁をT字状に接合する形態について説明したが、2本の梁をL字状に接合する形態も全く同様である。3本の梁をT字状に接合する形態、あるいは、3本の梁を十字状に接合する形態は、前記負け側梁70の取り付け部を、勝ち側梁のウェブ61の両側に設ける(図示しない部分について、図示した部分を展開する)ことで、本接合形態と同様に構成することができる。
前述の接合形態1〜4(図6〜9)では、第1の金物と第2の金物を組み合わせてブラケット方式の梁接合部を得ているが、本接合形態によるブラケット40を別途用意すれば、第2の金物を代替することができ、第1の金物だけで、L型、T型あるいは十字型の接合が可能である。
[接合形態7]
これまでは、梁同士を接合した接合部について述べてきたが、以下、接合形態1〜6の梁接合部(梁が取り付かない場合の梁補強部を含む)にさらに柱が取り付く接合形態について説明する。ここでは、接合形態2(図7参照)で説明したブラケット式T型接合形態を例に説明する。
本接合形態で使用する柱用金物を図12に示す。図12(a)は水平断面図(図12(b)のY−Y矢視断面図)、図12(b)は垂直断面図(図12(a)のX−X矢視断面図)である。柱用金物50は鋼製で、板要素(平板)を組み合わせて断面を十字状とした部材53(以下、十字状部材という)と、その上下に取り付けられた平板51、52から構成されていて、一方の平板52には4個の貫通孔54が設けられている。十字状部材53は平面視でその先端部位置を平板51、52の範囲内とし、平板から突出させないようにすると納まり上望ましく、厚さは構造設計によって決定する。高さは、施工性を考慮して決定する。平板51、52は柱の外形寸法以上、壁の内法寸法以下として、形状は特に規定しない。厚さは構造設計により決定する。
各貫通孔54は柱の中心線からそれぞれdの距離にあり、隣り合う貫通孔54の中心間距離は2×dである。柱用金物50は上下を逆にすることで、柱頭および柱脚のいずれにも使用でき、平板51を柱の上下端部に溶接して用いる。
梁接合部の上下に柱を接合した場合の垂直断面図を図13に示す。勝ち側梁60の梁接合部には、第1の金物10〜10と第2の金物20が配置されているが、ここでは、第1の金物10と10が隣接した、負け側梁70が取り付かない方向について示している。
この梁接合部に接合される上柱80a、下柱80bの先端には、予め、柱用金物50が溶接されている。この溶接は柱用金物50の貫通孔のない平板51との間で行われる。柱用金物50の貫通孔54は勝ち側梁60のフランジに設けられている貫通孔60aと同じ配置となっており、梁フランジの貫通孔60aと柱用金物の貫通孔54を合わせ、これらの貫通孔にボルトを挿入してナットで固定することにより、柱を接合することができる。なお、この接合はハイテンションボルトを用いた引張り接合とすることが好ましい。また、柱用金物の貫通孔54にめねじを切り、これにボルトをねじ込むようにしてもよい。
これにより、上柱80aの引張り応力は、ボルト、第1の金物10を介して下柱80bに伝達されるため、梁の上フランジだけが変形することなく、適切に応力伝達をはかることができる。また、上柱80aの圧縮応力は、金物の平板52から梁の上フランジ、第1の金物10、梁の下フランジ、金物の平板52を介して、下柱80bに伝達され、梁ウェブ61が局部座屈することはない。
なお、上記では梁の上下に柱を接合する場合について説明したが、上下のいずれか一方に柱を接合するようにしてもよい。
次に、本接合形態の変形例について説明する。この変形例は柱用金物の十字状部材に貫通孔をあけ、この貫通孔を利用して鉛直ブレースを取り付けるようにしたものである。前述のように、十字状部材53は、平板51、52の範囲内に納まれば最も望ましいが、梁との固定ボルトと干渉する場合や、ブレース芯を梁芯(さらに言えば、梁の高さ方向の芯と柱芯との交点となる構造芯)と一致させる場合には、図14に示すように、柱用金物50において、十字状部材53の板要素の1つ53aを延長して、平面視で平板51、52から突出させ、この突出部(延在部)に貫通孔53bを設けてもよい。この柱用金物を、図12に示したものと同様に、梁接合部において柱80の柱頭もしくは柱脚とすることで、貫通孔53bにターンバックルブレース等を容易に取り付けることができるとともに、前記梁芯とブレース芯(長手方向の延長線)を一致させることができるので、構造上好ましい。
図15に他の変形例を示す。これは、板要素53aを延長せずに、別途準備したブレース用ブラケット55を柱用金物に取り付けるようにしたものである。ブレース用ブラケット55には、鉛直ブレースを取り付けるための貫通孔55aと板要素53aに固定するための貫通孔55b、55bが設けられ、また、板要素53aには貫通孔53b、53bが設けられており、これらの貫通孔を介してボルト・ナットでブラケット55を柱用金物50に固定するとともに、ターンバックルブレース等を容易に取り付けることができる。この例では、ブレース用ブラケット55を用いるので、図14の例のように十字状部材に延在部を設ける必要が無く、汎用性を高めることができる。なお、ブラケット55は溶接によって取り付けてもよい。
図14、15では、十字状部材53の一方向のみを突出させているが、必要に応じて二方向、三方向、あるいは四方向に突出させて、これらにブレースを取り付けることも可能であるし、あるいは、四方向全てに突出させておき、所望の方向のみブレースを取る付けるようにすれば、汎用性を高めることができる。なお、板要素を延長したり、プレートを継ぎ足したりせずに、そのままの状態で板要素にブレースを取り付けることができる場合には、板要素にブレース用貫通孔を設けるのみでよい。
以上に述べたように、梁の接合形態には、2本の梁をL型に接合する形態、2本または3本の梁をT型に接合する形態、および、3本の梁を十字型に接合する形態があり、また、各々にブラケット方式と突きつけ方式がある。ブラケット方式にあっては、勝ち側梁の負け側梁が取り付かない部分の補強には、第1の金物2個を第1の側板同士を隣接して配置し、梁が取り付く部分には、第1の金物と第2の金物を第1の側板同士を隣接して配置することで、補強と負け側梁の接合を可能とする。突きつけ方式にあっては、第1の金物を組み合わせるだけで、梁の補強と接合が可能となる。また、本実施形態による柱用金物を使用すれば、柱梁接合部を同じ金物で構築可能となる。また、ブラケットを別に用意すれば、第1の金物のみでガセット方式あるいはブラケット方式の接合形態に対応でき、柱用金物の形状を工夫すれば、鉛直ブレースの取り付けも可能である。さらに、補強のみを目的に、梁が取り付かない部分に第1の金物4個を配置することもできる。
さらに、第1または第2の金物の上下面が梁フランジとボルトで締結されて金物の上下面が梁フランジを補強するため、例えば引張り力が作用しても梁フランジの変形を大きく抑制できる。また、金物はウェブに固定されてウェブを補強するため、ウェブの座屈を大きく抑制する。すなわち、本実施形態の金物を用いることにより、梁の上下フランジとウェブが拘束され、局所的な変形による耐力低下を抑制することができる。さらに、本実施形態の金物を梁接合部に使用することで、勝ち側梁のウェブと対向する負け側梁のフランジとが金物で固定される形になるため、さらに補強効果が高まる。
まず、本実施例で用いたH形鋼、第1の金物および第2の金物を説明し、次いで、これらを組み合わせて梁接合部とした例を述べる。なお、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<H形鋼>
軽量鉄骨構造物の梁通し型架構の梁に用いたH形鋼は、標準化により全てH−250×100×3.2×4.5である。図1に示すように、H形鋼のフランジ幅を4×d、ウェブ板厚を2×t、上下フランジの内法高さをhと規定すると、d=25mm、t=1.6mm、h=241mmである。
<第1の金物>
図2および図3に示した第1の金物として、設計寸法で、幅:48.4mm、奥行:48.4mm、高さ:241mmの金物を作製した。幅、奥行の寸法は(2×d−t)から算出し、高さはH形鋼の内法高さhとした。作製の際の精度管理は±0.5mmとしたが、高さについては、梁の上下フランジ間の寸法誤差を考慮して、プラスゼロ、マイナス1mmで管理した。
金物の上板および下板は厚さが9mmの鋼板から作製し、また、厚さ3.2mmの鋼板をプレス加工によりコ字状に成形して、第1の側板、背板および第2の側板とし、これらの板を溶接して第1の金物とした。金物には図2、3に示したように貫通孔を設けており、貫通孔の位置および数は図のとおりである。なお、第1、2の側板および背板に設けた貫通孔の高さ方向位置は、上下方向で1/4hを目安に、それぞれ上側の貫通孔は上面から60mm、下側の貫通孔は下面から60mmの位置とした。貫通孔の径は、上面および下面はM16相当、その他はM10相当とした。
<第2の金物>
第2の金物は、第1の金物の第1の側板を除けば、第1の金物と同じである(図4参照)。厚さが9mmの鋼板から金物の上板および下板は作製し、また、厚さ3.2mmの鋼板をプレス加工によりコ字状に成形して、第1の側板、背板および第2の側板とした。成形にあたっては、第1の側板を第2の側板より50mm長くして延在部を設け、この延在部をt=1.6mmだけ内側(第2の側板側)に位置するように曲げ加工を追加した。その後、これらの板を溶接して第2の金物とした。金物には第1の金物と大きさ・位置が同じの貫通孔を設けており、さらに延在部には、先端から25mmの位置で、高さ方向には各側板と同一位置に2個、高さ方向の中間位置に1個の計3個の、M16相当の貫通孔を設けた。
<梁の貫通孔>
梁には、配置される金物の貫通孔に対応した貫通孔を設けた。勝ち側梁の上下フランジには、梁中心(ウェブ芯)からd=25mm離れた位置に径がM16相当の貫通孔を、ウェブを挟んで両側に2箇所、計4個所に設けた。片側のフランジの貫通孔の間隔は2×d=50mmであり、その中心線は、取り付く梁の中心線と一致するようにした。勝ち側梁のウェブには、上フランジ下面から60mm離れた位置と下フランジ上面から60mm離れた位置との計2箇所に径がM10相当の貫通孔を50mm間隔で2列設けた。
負け側梁のウェブには、勝ち側梁に取り付く側の先端部の先端から25mmの位置で、上フランジの下面から60mm、120.5mmおよび181mm(下フランジの上面からは60mm)の位置に径がM16相当の貫通孔を計3箇所設けた。
<梁接合部>
梁の接合形態には、「発明を実施するための形態」で述べたように、2本の梁をL型に接合する形態、2本または3本の梁をT型に接合する形態、および、3本の梁を十字型に接合する形態があり、また、各々にブラケット方式と突きつけ方式がある。以下に、上記のH形鋼および第1、2の金物を用いて梁接合部を構築したいくつかの例を述べる。
例1)2本の梁をブラケット方式でT型に接合した例(図7参照)
第1の金物と第2の金物との第1の側板同士を隣接させ、これら金物の背板を勝ち側の梁の、負け側の梁が取り付く側のウェブ面に当接させ、別の第1の金物2個の第1の側板同士を隣接させ、これら金物の背板を勝ち側の梁のもう一方のウェブ面に当接させた。次いで、ウェブの両側にある金物同士を、金物およびウェブの貫通孔を介してM10のボルト・ナットで緊結し、隣接する金物同士を側板の貫通孔を介してM10のボルト・ナットで緊結した。そしてこれら金物の上板と上フランジ、下板と下フランジを貫通孔を介してM16のボルト・ナットで緊結し、その後、第2の金物の延在部と負け側梁のウェブを、貫通孔を介してM16のボルト・ナットで緊結した。これにより、溶接することなく、所定の位置に所期の強度で、勝ち側梁に負け側梁を接合することができた。なお、L型接合でも同様である。
例2)3本の梁をブラケット方式で十字型に接合した例(図9参照)
第1の金物と第2の金物との第1の側板同士を隣接させ、これら金物の背板を勝ち側梁のウェブの一方の面に、金物の貫通孔とウェブの貫通孔を合わせて当接させ、他方の面にも同じように当接させて配置した。次いで、ウェブの両側にある金物同士を、金物およびウェブの貫通孔を介してM10のボルト・ナットで緊結し、隣接する金物同士を側板の貫通孔を介してM10のボルト・ナットで緊結した。そしてこれら金物の上板と上フランジ、下板と下フランジを貫通孔を介してM16のボルト・ナットで緊結し、その後2本の負け側梁について、第2の金物の延在部と負け側梁のウェブを、貫通孔を介してM16のボルト・ナットで緊結した。これにより、溶接することなく、所定の位置に所期の強度で、勝ち側梁に負け側梁を接合することができた。なお、T型接合でも問題なく実施することができた。
例3)2本の梁を突きつけ方式でT型に接合した例(図10参照)
ここでは、接合強度を上げるために、金物および梁の貫通孔は全てM16に統一した。さらに、第1の金物の全ての側板には、上面から120.5mmの高さ位置に貫通孔を追加し、勝ち側梁のウェブにも同様に貫通孔を追加した。負け側梁の上下フランジにも、梁芯からそれぞれd=25mm、梁先端からd=25mmの位置に貫通孔を設けた。
勝ち側梁において、第1の金物2個の背板を、その貫通孔の位置が揃う向きで対向させ、これら金物の第2の側板を勝ち側梁のウェブ面に、金物とウェブの貫通孔を合わせて当接させて配置した。ウェブの他方の面の金物配置は、負け側梁が取り付かない場合には、例1で示したように、第1の金物2個を隣接配置して用いてもよいが、この例では、ウェブ両側で同じ配置にした。
負け側梁において、第1の金物2個を負け側梁のウェブを挟んで背板が対向し、かつ、相互の第1の側面を当該負け側の梁の先端側にするように配置した。
これらの金物は、少なくとも、それぞれの梁ウェブを介して対向する金物同士を、貫通孔を介してM16のボルト・ナットで緊結したが、さらに好ましくは、各梁の上下フランジともM16のボルト・ナットで緊結する。
勝ち側梁と負け側梁の接合は、勝ち側梁の金物と、負け側梁の金物の貫通孔部分を対向させて当接し、M16のボルト・ナットにより締結した。これにより、溶接することなく、所定の位置に所期の強度で、勝ち側梁に負け側梁を接合することができた。なお、上記方法によって、突きつけ方式で、2本の梁によるL型接合部、3本の梁によるT型接合部、および十字型接合部も容易に構築することができた。
例4)第1の金物だけを用いて2本の梁をブラケット方式でT型に接合した例(図11参照)
例3と同様にして、勝ち側梁に第1の金物4個を配置した。次に、負け側梁が取り付く側の第1の金物2個の間には、2×t=3.2mmの間隙が生成され、当該間隙には、その間隙と同じ板厚の平板からなるブラケットを配置した。すなわち、このブラケットは、負け側梁のウェブ芯に配置されている。このブラケットの奥行(長さ)寸法を100mm、高さ(幅)寸法を241mmとしたが、高さ寸法は241mmより小さくとも構わない。ブラケットは、金物に固定する部分(取付部)と、負け側梁のウェブに固定する部分(延在部)とからなり、延在部は、中心より2×t=3.2mmだけ片側にシフトするように曲げ加工がなされている。これにより、負け側梁のウェブとの当接面は、負け側梁の芯から1.6mmの位置に配置され、負け側梁のウェブを当接することで、負け側梁は構造芯と一致して配置できるようになっている。また、ブラケットの取付部には、第1の金物の背板の貫通孔に対応するM10相当の貫通孔が、上下方向に2個設けられ、上側の貫通孔は上端から60mm、下側の貫通孔は下端から60mm、いずれも取付部先端から23.4mmの位置に配置した。延在部には、先端から25mmの位置で、高さ方向には各側板と同一高さに2個、高さ方向の中間位置に1個の計3個の、M16相当の3個の貫通孔を設けた。なお、このブラケットは、予め前記間隙に挟持して、2つの金物の背板部分の貫通孔を介して、M10のボルト・ナットで一体に固定した。
そして、これらの金物は、少なくとも、それぞれの梁ウェブを介して対向する金物同士を、貫通孔を介してM10のボルト・ナットで緊結し、梁の上下フランジともM16のボルト・ナットで緊結した。そして、ブラケットの延在部の負け側梁の構造芯側の面に負け側梁のウェブを当接し、M16のボルト・ナットで緊結して、梁同士をT型に接合した。これにより、ひとつの金物を組み合わせて、溶接することなく、所定の位置に所期の強度で、勝ち側梁に負け側梁を接合することができた。前記ブラケットは延在部を2×t=3.2mmだけ片側にシフトするように曲げ加工を行った例を示したが、曲げ加工を行なわなくても使用できる。これによれば、ブラケットは構造芯に配置され、負け側梁のウェブ厚さとブラケットの厚さが等しいため、前記ブラケットに曲げ加工を行なわず、負け側梁とガセットプレートを用いて接合することで、所定の位置に負け側梁を配置することができる。接合形式は、一面せん断でも、二面せん断でもかまわない。
例5)梁接合部に柱用金物を用いて柱を接合した例(図13参照)
例1に記載した梁接合部に柱用金物を用いて柱を接合した。使用した柱用金物は鋼製で、水平断面形状が十字型の、幅100mm×奥行100mm×高さ132mmの十字状部材の上下面に、幅100mm×奥行100mmの平板を溶接して組み立てた。鋼材の厚さは、全て16mmで、金物の仕上がり寸法は、幅100mm×奥行100mm×高さ150mmである。上下の平板の一方にはM16相当の貫通孔を4個設けてあり、各貫通孔の位置は、勝ち側の梁フランジに設けた貫通孔の位置と一致するように、平板の中心線から各d=25mm、隣り合う貫通孔の中心間距離は2×d=50mmとした。
柱用金物は、貫通孔を有さない平板側を、□−100×100×4.5の角形鋼管からなる柱部材の両端に溶接接合した。柱部材は、柱頭を梁の下フランジの下側に、柱脚を梁の上フランジの上側に、それぞれの貫通孔同士を合わせるように配置し、梁ウェブ側からM16のボルトを貫通孔に通して、第1の金物あるいは第2の金物と梁フランジと柱用金物とを一体に固定して接合した。ここで用いたボルト・ナットセットはハイテンションボルト・ナットで、引張り接合とした。これにより、溶接することなく、所定の位置への部材配置が容易で、所期の強度を発揮する柱梁接合部を形成することができた。
なお、上記方法によって、例4で述べた梁接合部にも問題なく、柱を接合することができ、良好な柱梁接合部を形成することができた。
例6)鉛直ブレースを取り付けた例(図14参照)
柱用金物の十字状部材に貫通孔を設けてターンバックルブレースを取り付けるのに際して、当該貫通孔は、十字部状部材を延長せずに設けてもよいが、ここでは、ブレースの偏芯をなくして良好な構造性能を確保するために、例5に記載した柱梁接合部で用いた柱用金物に替えて、十字状部材の板要素の1つを延長して延在部を設けた例について説明する。延在部の突出長は、平面視で上下の平板から100mmであり、ターンバックルブレース取り付け用のM24相当の貫通孔を設けた。貫通孔位置は、金物高さの1/2である75mm、および、延在部の端面から25mmの位置とした。柱の高さは2650mmであり、柱間隔は1820mmである。これら柱と上下の梁とで形成される構面内側に、前記延在部を向けて柱を取り付けた。そして、延在部の貫通孔にM24のボルトでターンバックルブレースを取り付けた。ここで、上下の梁芯間隔は2900mmであるので、前記延在部の貫通孔に固定されたターンバックルブレースの延長線は、梁の高さ方向の芯と柱芯との交点である構造芯を通っており、また、十字状部材の貫通孔高さ位置で、柱芯から125mmの位置、すなわち、貫通孔位置を通っている。
なお、ここでは、十字状部材を延長した例を示したが、図15のように、ブラケットを接合してもよい。
以上、上記実施例では、金物の梁ウェブへの固定および金物同士の固定にはM10のボルトを使用し、梁フランジとの固定にはM16のボルトを使用したが、金物と梁ウェブとの固定や金物同士の固定で使用する貫通孔を大きくかつ数を増やす、例えば、M16相当の貫通孔を縦に3個とするなどによって、金物と梁フランジとの固定を省略してもよい。
また、上記実施例では、d=25mm、t=1.6mm、h=241mmとしたが、d、t、hはH形鋼の寸法によって変化し、金物の寸法もそれに伴って変化する。金物の板厚、貫通孔の径は、構造設計等により必要に応じて任意に設定すればよい。また、接合する柱部材は、ここに記載されたものに限定することなく、角形鋼管のほかH形鋼など、任意の部材やサイズを用いることができ、例えば、□−75×75×3.2を用いても、H−100×100×6×9を用いてもよい。
10 第1の金物
11 上板
12 下板
13 第1の側板
14 第2の側板
15 背板
16a〜16e 貫通孔
20 第2の金物
21 上板
22 下板
23 第1の側板
23a 延在部
24 第2の側板
25 背面(背板)
26a〜26f 貫通孔
40 ブラケット
40a、40b 貫通孔
50 柱接合用金物
51、52 平板
53 十字状部材
53a 板要素
53b 貫通孔
54 貫通孔
55 ブラケット
55a、55b 貫通孔
60 勝ち側梁
60a、60b 貫通孔
61 勝ち側梁のウェブ
70 負け側梁
70a、70b、70c 貫通孔
71 負け側梁のウェブ
80 柱
80a 上柱
80b 下柱

Claims (10)

  1. フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび上下フランジ間の内法高さがhであるH型鋼からなる梁の補強もしくは梁同士の接合に用いられる鉄骨構造物の梁用第1の金物であって、
    梁用金物は上板、下板、第1の側板、第2の側板および背板からなり、幅が(2×d−t)、奥行きが(2×d−t)、高さがh以下である、正面が開放された略直方体であり、上板および下板には、正面からd、第1の側板の表面からdの位置に1個の貫通孔が設けられ、第1の側板、第2の側板および背板には、複数の貫通孔が少なくとも縦方向に1列設けられており、第1および第2の側板に設けられた貫通孔は正面からdの位置にあり、背板に設けられた貫通孔は第1の側板の表面からdの位置にある上下対称形状であることを特徴とする鉄骨構造物の梁用第1の金物。
  2. 請求項1記載の梁用第1の金物の第1の側板を、複数の貫通孔が少なくとも縦方向に1列設けられている正面方向への延在部を設け、かつ、延在部をtだけ第2の側板側にシフトするようにしたことを特徴とする鉄骨構造物の梁用第2の金物。
  3. フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面には、請求項1記載の第1の金物と請求項2記載の第2の金物の第1の側板同士を隣接させ、かつ、その隣接境界部を前記負け側梁の構造芯と一致させた状態で、それぞれの背板が当接するように、第1の金物と第2の金物を配置し、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面には、請求項1記載の第1の金物2個の第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    第1の金物または第2の金物の背板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定し、
    第2の金物の第1の側板の延在部に設けられた貫通孔と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、第2の金物と負け側梁とをボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
  4. フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面には、請求項1記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態で、かつその間隙の中心を負け側梁の構造芯となる位置に一致させて、それぞれの第2の側板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面には、請求項1記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態でそれぞれの第2の側板が当接するように、または、第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    第1の金物の背板または第2の側板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定し、
    負け側梁の先端部のウェブの両面それぞれに、請求項1記載の第1の金物を背板が当接するように配置し、これらの金物の背板と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、負け側梁のウェブを挟んで対向する金物同士とをボルト・ナットで固定し、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付く側に固定された第1の金物2個の第1の側板と、前記負け側梁の先端部に固定された第1の金物2個の第1の側板または第2の側板とを、それぞれの貫通孔を介してボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
  5. フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる勝ち側梁と負け側梁を、勝ち側梁のウェブ面のいずれか一方もしくは両方に負け側梁が取り付くように接合した鉄骨構造物の梁接合部であって、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付く側のウェブ面に、請求項1記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態で、かつその間隙の中心を負け側梁の構造芯と一致させて、それぞれの第2の側板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    勝ち側梁の負け側梁が取り付かない側のウェブ面に、請求項1記載の第1の金物2個の背板同士を2×tの間隙を有するように対向させた状態でそれぞれの第2の側板が当接するように、または、第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    さらに、勝ち側梁の負け側梁が取り付く側に配置した第1の金物2個の間に、厚さが2×tで長さが(2×d−t)より長く、かつ、この長い部分(延在部)が2×tだけシフトしているブラケットを配置し、
    第1の金物の背板または第2の側板に設けられた貫通孔と勝ち側梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、勝ち側梁のウェブを挟んで対向する金物同士とをボルト・ナットで固定し、
    勝ち側梁の負け側梁の取り付く側に配置した第1の金物2個の背板に設けられた貫通孔とブラケットの貫通孔を介して、第1の金物2個の間にブラケットをボルト・ナットで固定し、
    ブラケットの延在部に設けられた貫通孔と負け側梁の先端部のウェブに設けられた貫通孔を介して、ブラケットと負け側梁とをボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
  6. 柱の先端に、板要素を組み合わせて断面を十字状とした十字状部材とその上下に取り付けられた平板からなり、上下の平板のいずれか一方に、貫通孔が設けられている柱用金物を溶接し、
    請求項3〜5のいずれかに記載の鉄骨構造物の梁接合部の上側および下側のいずれか一方または両方に、柱用金物に設けられた貫通孔と梁接合部のフランジに設けられた貫通孔とを介してボルト・ナットで柱を固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁接合部。
  7. 柱用金物の上下の平板のいずれか一方に設けられる貫通孔は、十字状部材で区画されたそれぞれの区画に1箇所ずつ、かつその中心間距離が2×dとなるように設けられていることを特徴とする請求項6記載の鉄骨構造物の梁接合部。
  8. 柱用金物の十字状部材の少なくとも1つの板要素に鉛直ブレースを取り付けるための貫通孔を設けたことを特徴とする請求項6または7に記載の鉄骨構造物の梁接合部。
  9. 鉛直ブレースを取り付けるための板要素に、平面視で上下の平板よりも突出する突出部を設け、この突出部に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項8に記載の鉄骨構造物の梁接合部。
  10. フランジの幅が4×d、ウェブの厚さが2×tおよび内法高さがhであるH型鋼からなる梁のウェブの各面に、請求項1記載の第1の金物2個の第1の側板同士を隣接させた状態でそれぞれの背板が当接するように、第1の金物2個を配置し、
    第1の金物の背板に設けられた貫通孔と梁のウェブに設けられた貫通孔を介して、梁のウェブを挟んで対向する金物同士をボルト・ナットで固定してなることを特徴とする鉄骨構造物の梁補強部。
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