JP2016108708A - 柔軟性を有する無機繊維断熱吸音材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
製造時のエネルギー消費が少なく、優れた剛性と柔軟な風合いを有し、住宅や建物への施工に適した無機繊維断熱吸音材を提供すること。
【解決手段】
熱可塑性樹脂を主成分とした水溶性ポリマーと、架橋剤と、柔軟剤とを含有し、100から200℃の加熱温度により硬化する事が可能な水溶性バインダーが提供される。又、該水溶性バインダーを用いて成形された無機繊維断熱吸音材が提供される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製造時のエネルギー消費が少なく、住宅や建物への施工に適した、優れた剛性と柔軟な風合いを有した無機繊維断熱吸音材とその製造方法に関する。
従来から、グラスウール等の無機繊維からなる断熱吸音材において、繊維間を接着するバインダーとして、水溶性フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を主成分としたフェノール系バインダーが広く使用されている(例えば、特許文献1)。フェノール系バインダーは加熱により硬化し、その硬化物は剛性と耐水性に優れていることから、それを用いた断熱吸音材は、圧縮梱包品の開梱後の復元厚さ等に優れている。
無機繊維断熱吸音材は、通常、無機繊維の紡糸から樹脂を硬化させ成形するまでを連続で生産している。その為、フェノール系バインダーを短時間で硬化させる必要がある。その為には、高い硬化温度が必要となる。
フェノール系バインダーの硬化物は、硬い風合いを特徴としている。しかし、その硬化物は、柔軟性に劣り、人間が把持した場合、皮膚に刺さるような悪い触感を与える。その為、フェノール系バインダーには柔軟性の付与を目的として、重質オイル等の水分散体等の柔軟剤を混合する方法が広く使用される。
特開昭58−70760号公報
フェノール系樹脂は、短時間で硬化する為には、200℃から350℃と高い温度が必要となり、その温度に加熱する為に多大な熱エネルギーを消費する。
柔軟性の付与を目的として混合される重質オイル等の水分散体の耐熱性は、250℃程度と低く、フェノール系バインダーの硬化する温度と近い。その為、フェノール系バインダーの硬化と、重質オイルの分解が並行して起こり、得られた無機繊維断熱吸音材中の重質オイルの含有量が低下する恐れがある。重質オイルが低下した場合、無機繊維断熱吸音材の柔軟性が劣り、人間が把持した場合に皮膚に刺さる様な悪い触感を感じる。そして、柔軟性を追求した柔軟剤の過度の添加は無機繊維断熱吸音材の剛性を弱くし、施工性が悪化する問題があった。
したがって、本発明の目的は、重質オイル等の水分散体の柔軟性を損なう事のない低い温度での硬化が可能であり、製造時のエネルギー消費が少なく、優れた剛性と柔軟な風合いを有する住宅や建物への施工に適した無機繊維断熱吸音材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意に検討した結果、本発明に達した。
1)熱可塑性樹脂を主成分とした水溶性ポリマーと、架橋剤と、柔軟剤とを含有し、低温加熱により成形が可能な水溶性バインダーであること。
2)前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であること。
3)前記架橋剤は、(a)ポリカルボン酸の化合物、重合物若しくは共重合物、(b)ほう素化合物、又は、(c)それらの混合物より選択される1種類であること。
4)前記柔軟剤は、(A)重質オイル、(B)シリコーンオイル、又は(C)その混合物の水分散体であること。
5)1〜4の水溶性バインダーを無機繊維に付与し、100℃から200℃の低温加熱処理によって成形すること。
本発明の水溶性バインダーは、ポリビニルアルコール系樹脂であり、その硬化温度は、フェノール系樹脂に比べ、格段に低い。その為、無機繊維断熱吸音材の成形温度を格段に下げる事が可能となり、加熱に必要な熱エネルギーの消費を低減できる。
本発明に用いる柔軟剤は、250℃の高い温度の場合、十分に無機繊維断熱吸音材を柔軟にすることができない。何故ならば、重質オイルの耐熱性が250℃程度だからである。従って、硬化するための加熱温度は、200℃を上限とする。
本発明の水溶性バインダーは、低い温度での硬化が可能になる事で、混合した柔軟剤の性能を十分に発揮する事ができる。その為、住宅や建物への施工に適した剛性と柔軟性を有した無機繊維断熱吸音材を提供することができる。
バインダー液の硬化温度と硬化時間との関係を示した図である。 図1の関係図より水分蒸発を除いた樹脂の硬化時間と温度の関係を示した図である。
本発明の水溶性バインダーは、熱可塑性樹脂を主成分とした水溶性ポリマーと、架橋剤と、柔軟剤とを含有し、100℃から200℃の加熱により硬化が可能な水溶性バインダーであること。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーに用いる水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール系樹脂が望ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、フェノール系樹脂と比較して、硬化温度が100℃から200℃であり、低い温度での硬化が可能となる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定はしないが、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が水溶液の粘度に直接影響する為、塗布装置のスプレー適性に合わせて選択する必要がある。例えば、日本酢ビ・ポバール社製の「JL−05E」が挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーに用いる架橋剤(a)(b)(c)は、上記ポリビニルアルコール系樹脂を100質量部に対し、固形分換算で4.0質量部以上を含有することが好ましい。4.0質量部未満だと、ポリビニルアルコール系樹脂との架橋反応が十分に行われず、無機繊維断熱吸音材の剛性の低下に繋がる。
尚、架橋剤の上限は、特に限定するものではないが、経済性の観点からすると、ポリビニルアルコール系樹脂100.0質量部に対して、100.0質量部以下が好ましい。
前記架橋剤(a)としては、脂肪族カルボン酸単量体より選択される1種類以上の単量体の化合物、重合物または共重合物である。上記脂肪族カルボン酸単量体としては、アクリル酸系、メタクリル酸系、クロトン酸系等の脂肪族モノカルボン酸類の重合物、又、共重合物、マレイン酸系、フマル酸系、イタコン酸系等の脂肪族ジカルボン酸類の化合物、重合物、又、共重合物が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂との反応性を考慮すると、単量体中に2個のカルボン酸を持つマレイン酸系共重合物が更に好ましい。例えば、五協産業社製の「ガントレンツAN −119」が挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
前記架橋剤(b)としては、ホウ素化合物であって、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸錯体等が挙げられる。ホウ素系化合物は、混合撹拌時に架橋反応を行う為、水溶液の過度な粘度増加が見られる恐れがあり、低濃度の水溶液として添加する事が望ましい。好ましくは、市販されているホウ砂を4%水溶液に調整したものが挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
前記架橋剤(c)としては、前記架橋剤(a)と(b)の混合物である。耐水性の効果や水溶液の粘度状態に応じて、架橋剤(a)(b)を併用して使用できる。従来、フィルム成形の分野では、(b)ホウ素化合物をポリビニルアルコール系樹脂と架橋させ、増粘させる目的として、(a)脂肪族カルボン酸系化合物をポリビニルアルコール系樹脂と架橋させ、耐水性を付与する目的として、併用して使用する事が多く、周知の技術として挙げられる。
本発明においては、下記に記述する柔軟剤(A)、(B)及び(C)が添加される。柔軟剤は重質オイルやシリコーンオイルに界面活性剤を混合し、水に分散させたものである。これら柔軟剤は、樹脂と混ざり合い、硬化物に取り込まれる事で、その硬化物に柔軟性を付与する事ができる。柔軟性が付与できた硬化物は、無機繊維断熱吸音材に柔らかい触感を与える。特に、ポリビニルアルコール系樹脂は、柔軟剤との相溶性に優れ、その効果を発揮しやすい。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーに用いる柔軟剤(A)(B)(C)としては、前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤との合計100質量部に対し、5.0から30.0質量部含有することが好ましい。5.0質量部より少ないと、柔軟剤としての効果を発揮することができない。5.0質量部以上だと、柔軟剤としてより有効に効果を発揮することができる。30.0質量部を超えると、無機繊維断熱吸音材の剛性の低下に繋がり、施工性が悪化する。
上記柔軟剤(A)としては、重質オイルの水分散体であり、防塵性の付与に高い効果を示す。重質オイルの粘度グレードでVG320、VG460、VG680をベース油としたエマルションのものが好ましい。VG320より小さいグレードでは、加熱処理時の揮発が大きくなり、柔軟剤としての効果が弱くなる恐れがある。VG680より大きいグレードでは、無機繊維用バインダーの粘度増加に影響し、無機繊維へのスプレー性が悪化する恐れがある。好ましくは、出光興産社製の「ダフニープロソルブルPF」が挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
上記柔軟剤(B)としては、シリコーンオイルの水分散体であり、柔軟性の付与に高い効果を示す。シリコーンオイルとしては、ジメチルタイプ、アミノ変性、エポキシ変性、水素変性等の有機官能性タイプのポリシロキサン系オイルのエマルションが好ましい。特にジメチルタイプは、ポリビニルアルコール系樹脂に対し、強い滑りがあり、優れた柔軟性を付与できる為、更に好ましい。例えば、信越化学社製の「Polon MR」が挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
前記柔軟剤(C)としては、前記柔軟剤(A)と(B)の混合物である。防塵性と柔軟性のバランスを考慮し、必要に応じて、柔軟剤(A)(B)を併用して使用できる。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーは、必要に応じて、シランカップリング剤、撥水剤、着色剤、pH調整剤等の添加剤を更に添加しても良い。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーは、上記ポリビニルアルコール系樹脂と、架橋剤と、柔軟剤とを、攪拌機の付いたタンクを用いて混合し、調整することができる。
本発明の無機繊維用水溶性バインダーの塗布液の固形分濃度は、2から20質量%が好ましく、2から10質量%が更に好ましい。20質量%より大きいと、水溶液の粘度が増加し、塗布液量が減少する事で、無機繊維に対する付着効率が低下する。2質量%未満では、水分量が多くなり、加熱処理に時間を要し、生産性が低下すると共にエネルギー消費量が大きくなってしまう。
本発明の無機繊維断熱吸音材は、上記無機繊維用水溶性バインダーを無機繊維に付与し、加熱処理により硬化させて成形して得られたものである。
バインダーの加熱硬化温度は、100〜200℃が好ましい。100℃未満だと、十分に硬化しない。200℃を超えると、硬化する為に多大なエネルギーを消費することとなるからであり、また、重質オイルの耐熱性(250℃)を考慮したものである。より好ましくは、110〜200℃である。また、加熱硬化時間は、無機繊維断熱吸音材の密度、厚さにより選定され、60秒〜600秒の間で適宜調整する。より好ましくは、150〜500秒である。その為、硬化時間に合わせて、硬化温度を100〜200℃の間で適宜調整する事が好ましい。
バインダー液の硬化時間には、測定溶液の水分蒸発も含まれており、水分蒸発時間を除くと、樹脂成分は60秒程度で硬化する。実際の製造工程では、気温が40〜50℃と高温になり、スプレー時より水分の蒸発が開始する為、塗布液の濃度調整により、理論上は60秒程度での硬化は可能である。但し、実生産では、150秒以上がより好ましい条件と判断した。
本発明の無機繊維断熱吸音材は、例えば以下のようにして製造することができる。
本発明の無機繊維断熱吸音材に用いる無機繊維としては、特に限定しないが、通常の断熱吸音材に使用されているグラスウール、ロックウール等を用いることができる。無機繊維の繊維化方法は、火焔法、吹き飛ばし法、遠心法(ロータリー法とも言う)等の各種方法を用いることができる。特に無機繊維がグラスウールの場合は、遠心法を用いることが好ましい。なお、目的とする無機繊維断熱吸音材の密度は、通常の断熱材や吸音材に使用されている密度でよく、好ましくは5〜300kg/mの範囲である。
無機繊維にバインダーを付与するには、スプレー装置等を用いて塗布、噴霧する。バインダーの付与量の調整は、従来のバインダーと同様の方法で調整することができる。そして、バインダーの付与量は、無機繊維断熱吸音材の密度や用途によって異なるが、バインダーを付与した無機繊維断熱吸音材の質量を基準として、固形分換算で0.5〜15質量%の範囲が好ましく、0.5〜9質量%の範囲がより好ましい。
無機繊維にバインダーを付与するタイミングとしては、繊維化後であればいつでも良いが、バインダーを効率的に付与させるためには、繊維化直後に付与することが好ましい。
上記工程によってバインダーが付与された無機繊維は、繊維堆積装置内の有孔コンベア上に堆積され、嵩高い無機繊維中間体となる。繊維堆積装置は、有孔コンベアの裏面より吸引する事で無機繊維を効率的に堆積させることができる。
その後、前記無機繊維断熱吸音材中間体を、乾燥設備にて所望とする厚さになるように設定した上下一対の有孔コンベア等で連続的に狭圧し、熱風によりバインダーを硬化させて、無機繊維断熱吸音材をマット状に成形した後、所望とする幅、長さに切断する。
一般に、乾燥炉は数個に区分され、各区分にて個別で温度設定が出来る構造となっている。主に水分の蒸発を行う前半部では、200℃以上の高温での処理が可能であるが、樹脂を硬化させる後半部では、柔軟剤の揮発を抑制する為にも100〜200℃、好ましくは110〜200℃で調整する。また、加熱時間は、60〜600秒、好ましくは150〜500秒である。
本発明の無機繊維断熱吸音材は、そのままの形態で用いてもよく、また、表皮材で被覆して用いてもよい。表皮材としては、この分野で公知の紙、合成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布、織布あるいはこれらを組み合わせたものを用いることができる。
このようにして得られた本発明の無機繊維断熱吸音材は、従来のフェノール系バインダーと比較して、製造時のエネルギー損失が少なく、優れた剛性と柔軟な風合いを有し、住宅や建物への施工に適した無機繊維断熱吸音材を提供することができる。
以下に、本発明を実施例によって説明する。本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下の説明において、部及び%は、質量基準を表す。
(実施例1)
重合度が300で、ケン化度が88%である日本酢ビ・ポバール社製のポリビニルアルコール系樹脂「JL−05E」の水溶液を固形分換算で92.5部と、架橋剤として五協産業社製マレイン酸系共重合物「ガントレンツAN‐119」の水溶液を固形分換算で7.5部と、柔軟剤として出光興産社製の重質オイルエマルション「ダフニープロソルブルPF」を固形分換算で15部及び信越化学社製シリコーンオイルエマルション「Polon MR」を固形分換算で5部とを混合し、撹拌後、水溶液の濃度が4.0%になるように、水で調整して、実施例1の無機繊維用水溶性バインダーを得た。
(実施例2)
重合度が300で、ケン化度が88%である日本酢ビ・ポバール社製のポリビニルアルコール系樹脂「JL−05E」の水溶液を固形分換算で96部と、架橋剤としてホウ砂の4%水溶液を固形分換算で4部と、柔軟剤として出光興産社製の重質オイルエマルション「ダフニープロソルブルPF」を固形分換算で15部及び信越化学社製シリコーンオイルエマルション「Polon MR」を固形分換算で5部とを混合し、撹拌後、水溶液の濃度が4.0%になるように、水で調整して、実施例2の無機繊維用水溶性バインダーを得た。
(比較例1)
DIC製無機繊維用水溶性フェノール系樹脂「フェノライト」の水溶液を固形分換算で100部と、柔軟剤として、出光興産社製の重質オイルエマルション「ダフニープロソルブルPF」を固形分換算で15部及び信越化学社製シリコーンオイルエマルション「Polon MR」を固形分換算で5部とを混合し、撹拌後、水溶液の濃度が4.0%になるように、水で調整して、比較例1の無機繊維用水溶性バインダーを得た。尚、使用した水溶性フェノール樹脂は、すでに架橋剤(ホルムアルデヒド)が混合されたものを使用している為、新たに架橋剤は添加していない。
(比較例2)
ポリアクリル酸を主成分とした三洋化成製無機繊維用水溶性アクリル樹脂「グラスパール」の水溶液を固形分換算で100部と、柔軟剤として、出光興産社製の重質オイルエマルション「ダフニープロソルブルPF」を固形分換算で15部及び信越化学社製シリコーンオイルエマルション「Polon MR」を固形分換算で5部とを混合し、撹拌後、水溶液の濃度が4.0%になるように、水で調整して、比較例2の無機繊維用水溶性バインダーを得た。尚、使用した水溶性アクリル酸重合物は、すでに架橋剤が添加されたものを使用している為、新たに架橋剤は添加していない。
実施例1及び2、比較例1及び2で得られた無機繊維用水溶性バインダーを用いて、下記に記す方法にて評価を実施した。
(バインダー硬化温度の評価)
実施例1及び2、比較例1及び2で得られた無機繊維用水溶性バインダーを、各温度に設定した熱板上に1ミリリットルを滴下し、熱板上で硬化するまでの時間を測定した。測定結果は、表-1にて記し、硬化時間と加熱温度の関係図として図1に示した。また、図1より水分の蒸発時間を除いた樹脂成分の硬化時間と加熱温度の関係図を図2に示した。
Figure 2016108708
上記結果より、実施例1及び2は、比較例1及び2と比べ、かなり低い温度で硬化する事が確認出来た。尚、実施例1及び2において、参考のために240℃の加熱温度までの試験を行ったが、本発明の無機繊維断熱吸音材は、100〜200℃の加熱温度で硬化させるものである。硬化時間を一定にした場合、実施例1及び2は、比較例1及び2より、70℃低い温度で硬化できる。
尚、加熱温度が110℃及び130℃の場合、比較例1及び2においては、樹脂が硬化しなかった。
(加熱エネルギー試算)
実施例1及び2、比較例1及び2で得られた無機繊維用水溶性バインダーを、遠心法により繊維化したグラスウールに5.0%の付着量になる様にスプレー装置にて塗布し、無機繊維堆積装置内で吸引しながら有孔コンベア上に堆積させ、無機繊維中間体を得た。得られた無機繊維中間体をそれぞれの樹脂特性に適した乾燥温度(実施例1及び2:180℃,比較例1:240℃,比較例2:260℃)にて、5分間の加熱処理を実施し、各温度に加熱するのに必要な時間当たりの加熱エネルギー量を試算し、表2に記した。尚、エネルギー改善率は、従来技術の代表例たるフェノール樹脂(比較例1)を基準とし、フェノール樹脂を用いた場合に比較してどの程度エネルギーが改善されるかを示した。
Figure 2016108708
上記より、ポリビニルアルコール系樹脂を使用した実施例1及び2は、比較例1のフェノール系樹脂を使用した場合に比べ、樹脂硬化に伴う、乾燥機後半部で60℃から90℃低い温度で硬化させることができた。そして、上表記載の温度に加熱する為に必要な加熱エネルギーも7%から9%削減する事ができた。
(柔軟性及び剛性の評価)
前項で加熱処理を行い、密度16kg/m、厚さ100mm、バインダー付着率5.0%の無機繊維断熱吸音材を得た。得られたそれぞれの無機繊維断熱吸音材を、SHIMADZU社製万能試験機「AG−IS」を用い、元厚さに対し、10%まで圧縮した時の反発力(低圧強度)と、50%まで圧縮した時の反発力(高圧強度)を測定し、比較した。測定結果は下記表に示した。
尚、低圧強度は、人間が無機繊維断熱吸音材を把持した時の感触に関するものである。200N/m以下だと、人間が把持した場合に、感触が良いと感じる。250N/m以上の場合、人間が把持した場合に皮膚に刺さる様な悪い触感を感じる。
高圧強度は、無機繊維断熱吸音材の強度に関するものである。1000N/m以下の場合、柔らか過ぎ、切断等の加工や施工がし難くなる。また、1000N/m以上の場合、切断等の加工や施工がし易いものと言える。
Figure 2016108708
上記結果より、実施例1及び2は、比較例1と比べ、人の触感に関わる低圧強度が低く、無機繊維断熱吸音材の剛性に関わる高圧強度が高い結果となった。又、比較例2は、低圧強度及び高圧強度共に低く、柔らかい風合いであるが、剛性も弱い結果となった。実施例1及び2によれば、柔軟剤の存在により、無機繊維断熱吸音材の剛性を維持したまま、適度な柔軟性を付与する事ができた。比較例1の場合、硬化温度の高いフェノール樹脂を使用したため、硬化温度を240℃とする必要があり、このため、柔軟剤が熱分解したためと思われる。比較例2は、硬化温度の高いアクリル樹脂を使用した為、柔軟剤の熱分解は起こったが、樹脂硬化物自体の強度が弱く、剛性も劣る結果となったと思われる。これにより、実施例1及び2は、比較例1及び2より、柔軟な風合いを有し、且つ、優れた剛性を有する事が確認出来た。
本発明の無機繊維断熱吸音材は、従来のフェノール系バインダーを使用した無機繊維断熱吸音材と比較し、製造時のエネルギー消費が少なく、優れた剛性と柔軟な風合いを有し、住宅や建物への好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とした水溶性ポリマーと、架橋剤と、柔軟剤とを含有し、100から200℃の加熱温度において硬化することが可能な水溶性バインダーであることを特徴とする、水溶性バインダー。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1に記載の水溶性バインダー。
  3. 前記架橋剤は、(a)ポリカルボン酸の化合物、重合物、若しくは、共重合物、(b)ホウ素化合物、又は、(c)それらの混合物より選択される1種類であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂を100質量部に対し、固形分換算で4.0質量部以上を含有する請求項1又は2のいずれか1項に記載の無機繊維用水溶性バインダー。
  4. 前記柔軟剤は、(a)重質オイル、(b)シリコーンオイル、又は、(c)その混合物の水分散体を、前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤との合計100質量部に対し、5.0から30.0質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機繊維用水溶性バインダー。
  5. 60〜600秒の間で、100から200℃の加熱温度で硬化する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機繊維用水溶性バインダー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水溶性バインダーを無機繊維に付与し、100℃から200℃で60〜600秒間の加熱処理によって成形したことを特徴とする無機繊維断熱吸音材。
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