JP2016108613A - 導電性基板、導電性基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同時にエッチング処理を行うことができる銅層と、黒化層と、を備えた導電性基板を提供することを目的とする。【解決手段】透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた導電性基板を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、導電性基板、導電性基板の製造方法に関する。
特許文献1に開示されているように、高分子フィルム上に透明導電膜としてITO(酸化インジウム−スズ)膜を形成したタッチパネル用の透明導電性フィルムが従来から用いられている。
ところで、近年タッチパネルを備えたディスプレイの大画面化が進んでおり、これに対応してタッチパネル用の透明導電性フィルム等の導電性基板についても大面積化が求められている。しかし、ITOは電気抵抗値が高いため、導電性基板の大面積化に対応できないという問題があった。
このため、例えば特許文献2、3に開示されているようにITO膜にかえて銅等の金属箔を用いることが検討されている。しかし、例えば配線層に銅を用いた場合、銅は金属光沢を有しているため、反射によりディスプレイの視認性が低下するという問題がある。
そこで、銅等の金属箔により構成される配線層と共に、黒色の材料により構成される黒化層を形成した導電性基板が検討されている。しかしながら、配線パターンを有する導電性基板とするためには、配線層と黒化層とを形成した後に、配線層と黒化層とをエッチングして所望のパターンを形成する必要があるが、エッチング液に対する反応性が配線層と黒化層とで大きく異なるという問題があった。すなわち、配線層と黒化層とを同時にエッチングしようとすると、いずれかの層が目的の形状にエッチングできないという問題であった。また、配線層のエッチングと黒化層のエッチングとを別の工程で実施する場合、工程数が増加するという問題があった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では同時にエッチング処理を行うことができる銅層と、黒化層とを備えた導電性基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様では、
透明基材と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた導電性基板を提供する。
透明基材と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた導電性基板を提供する。
本発明の一態様によれば、同時にエッチング処理を行うことができる銅層と、黒化層とを備えた導電性基板を提供することができる。
以下、本発明の導電性基板、および、導電性基板の製造方法の一実施形態について説明する。
(導電性基板)
本実施形態の導電性基板は、透明基材と、
透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、
透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた構成とすることができる。
(導電性基板)
本実施形態の導電性基板は、透明基材と、
透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、
透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた構成とすることができる。
なお、本実施形態における導電性基板とは、透明基材の表面に、パターニングする前の銅層や黒化層を有する導電性基板、及び透明基材の表面に、パターニングして配線の形状にした銅層や黒化層を有する導電性基板、すなわち配線基板を含む。
ここでまず、本実施形態の導電性基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、可視光を透過する絶縁体フィルムや、ガラス基板等を好ましく用いることができる。
可視光を透過する絶縁体フィルムとしては例えば、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、20μm以上120μmm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以上100μm以下である。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
次に銅層について説明する。
銅層についても特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、銅層と透明基材との間、または、銅層と黒化層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち銅層は、他の部材の上面に直接形成されていることが好ましい。
他の部材の上面に銅層を直接形成するため、スパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等の乾式めっき法を用いて銅層を形成することが好ましい。
また銅層をより厚くする場合には、乾式めっき後に湿式めっき法を用いることが好ましい。すなわち、例えば透明基材または黒化層上に、乾式めっき法により銅薄膜層を形成し、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成することができる。この場合、銅層は銅薄膜層と、銅めっき層とを有することとなる。
上述のように乾式めっき法のみ、又は乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて銅層を形成することにより透明基材または黒化層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
銅層の厚さは特に限定されるものではなく、銅層を配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。特に十分に電流を供給できるように銅層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上とすることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。銅層の厚さの上限値は特に限定されないが、銅層が厚くなると、配線を形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ、エッチングの途中でレジストが剥離する等の問題を生じ易くなる。このため、銅層の厚さは5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることがより好ましい。なお、銅層が上述のように銅薄膜層と、銅めっき層とを有する場合には、銅薄膜層の厚さと、銅めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
次に、黒化層について説明する。
銅層は金属光沢を有するため、透明基材上に銅層をエッチングした配線を形成したのみでは上述のように銅が光を反射し、例えばタッチパネル用の配線基板として用いた場合、ディスプレイの視認性が低下するという問題があった。そこで、黒化層を設ける方法が検討されてきたが、黒化層がエッチング液に対する反応性を十分に有していない場合があり、銅層と黒化層とを同時に所望の形状にエッチングすることは困難であった。
これに対して、本実施形態の導電性基板に配置した黒化層は、酸素と、窒素と、銅とを含有している。このため、本実施形態の導電性基板に配置した黒化層のエッチング液に対する反応性は、銅層のエッチング液に対する反応性とほとんど差がなくエッチング性も良好である。従って、本実施形態の導電性基板においては、銅層と、酸素と窒素と銅とを含有する黒化層と、を同時にエッチングすることができる。
本実施形態の導電性基板に配置した黒化層は、上述のように酸素と、窒素と、銅とを含有することができる。黒化層に含まれる酸素、窒素、銅の状態は特に限定されるものではないが、例えば少なくとも一部の元素は、他の元素と化合物を形成して黒化層に含まれていることが好ましい。具体的には例えば、銅の酸化物や、銅の窒化物を形成し、黒化層に含まれていることが好ましい。また、銅が酸素および窒素と化合物を形成し、黒化層に含まれていてもよい。
上述のように黒化層が銅の酸化物や銅の窒化物等の化合物を含有する場合でも、黒化層のエッチング液に対する反応性は、銅層のエッチング液に対する反応性とほぼ同等となる。このため、本実施形態の導電性基板においては、銅層と黒化層とを同時にエッチングすることができる。
本実施形態の導電性基板に配置する黒化層の成膜方法は特に限定されるものではない。黒化層は、例えば銅のターゲットを用い、チャンバー内にスパッタリングガスとして用いられる不活性ガス以外に、窒素ガスおよび酸素ガスを供給しながらスパッタリング法により成膜することができる。
スパッタリング法により黒化層を成膜する際、チャンバー内に供給する窒素ガス及び酸素ガスの供給量を調整する方法は特に限定されるものではない。例えば予め所望の分圧となるように窒素ガス、酸素ガス、及び不活性ガスとを混合した混合ガスを用いることもできる。また、チャンバー内に不活性ガス、窒素ガス、及び酸素ガスをそれぞれ同時に供給し、各ガスの供給量を調整することで、チャンバー内の窒素ガスおよび酸素ガスの分圧を調整することもできる。特に後者の方が必要に応じてチャンバー内の各ガスの分圧を調整できることから好ましい。
なお、黒化層を成膜する際の不活性ガスとしては特に限定されるものではなく、例えばアルゴンガスやキセノンガスを用いることができるが、アルゴンガスを好適に用いることができる。
上述のように不活性ガスと、窒素ガスと、酸素ガスと、をチャンバーに供給しながらスパッタリング法により黒化層を成膜する際、チャンバー内に供給する不活性ガス、窒素ガス、酸素ガスの比は限定されるものではない。ただし、黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2))と、黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))とが、以下に示す(1)式および(2)式を満たすことが好ましい。すなわち、黒化層を成膜する際、以下の(1)式および(2)式を充足するようにチャンバー内の窒素分圧および酸素分圧を調整することが好ましい。
30≦Γ(N2)/Γ(Cu) ・・・(1)
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2)
ここで(1)式は、黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2)))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2)
ここで(1)式は、黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2)))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
そして、上記(1)式に示したようにΓ(N2)/Γ(Cu)は30以上であることが好ましい。特に、Γ(N2)/Γ(Cu)は50以上であることがより好ましい。
これは、Γ(N2)/Γ(Cu)が30未満の場合、黒化層の黒化が不十分となり、黒化層としての機能を十分に果たせず、導電性基板の反射率を十分に低減できない場合があるためである。
一方、Γ(N2)/Γ(Cu)の上限値は特に限定されるものではないが、Γ(N2)/Γ(Cu)を大きくするには、窒素ガスの分圧を大きくする、あるいは銅の堆積速度を小さくすることになる。窒素ガスの分圧を大きくするためには、不活性ガスの分圧を小さくすることになるが、不活性ガスの分圧を小さくすると銅のスパッタ収率が小さくなる。これは、スパッタ収率はイオン化されたガスの質量が大きい方が高いためである。一方、銅の堆積速度を小さくすることは生産性の低下を招く。このため、Γ(N2)/Γ(Cu)は、2000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。
次に上記(2)式は黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
そして、上記(2)式に示したように、Γ(O2)/Γ(Cu)は0.4以上50以下であることが好ましい。特に、Γ(O2)/Γ(Cu)は0.6以上40以下であることがより好ましく、1.0以上20以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の導電性基板における黒化層は、例えば上述のように不活性ガス、窒素ガスおよび酸素ガスを供給しながらスパッタリング法により成膜することができる。このように、不活性ガス、窒素ガス、及び酸素ガスを供給して黒化層を成膜することで、不活性ガス及び窒素ガスのみを供給し、黒化層を成膜した場合と比較して、導電性基板の反射率をさらに1割以上低下させることができる。
ただし、Γ(O2)/Γ(Cu)が0.4未満では、不活性ガス及び窒素ガスに、酸素ガスを追加して供給したことによる導電性基板の反射率を低減する効果を十分に発揮できない場合がある。
一方酸素ガスの供給量が多い場合、銅の酸化が優先的に進行して黒化層の透明度が高くなる場合がある。この場合、黒化層を透過した光が銅層で反射し再度黒化層を透過するため、反射率が却って高くなる恐れがある。このため、上述のようにΓ(O2)/Γ(Cu)は0.4以上50以下であることが好ましい。
なお、上述した黒化層の被成膜表面とは、黒化層を成膜する際の最表面部分を意味している。このため、黒化層の成膜開始時であれば該黒化層を成膜する下層、すなわち、透明基材または銅層の表面を意味する。また、黒化層の成膜開始後であれば成膜されている黒化層の最表面を意味する。
ここで、上述の(1)式および(2)式のうち、黒化層の被成膜表面に入射する窒素または酸素分子の分子数Γ(x)の算出方法について説明する。黒化層の被成膜表面に入射する窒素または酸素分子の分子数Γ(x)は、以下の(3)式により算出することができる。
Γ(x)=p/(2πmkT)0.5 [個/(m2s)]・・・(3)
ここで、x:窒素分子あるいは酸素分子、p:xの分圧[Pa]、m:xの質量[kg]、k:ボルツマン定数(1.38×10−23[J/K])、T:温度(K)を意味している。
Γ(x)=p/(2πmkT)0.5 [個/(m2s)]・・・(3)
ここで、x:窒素分子あるいは酸素分子、p:xの分圧[Pa]、m:xの質量[kg]、k:ボルツマン定数(1.38×10−23[J/K])、T:温度(K)を意味している。
また、上述の(1)式及び(2)のうち、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))は、単位面積に堆積した銅の質量と成膜時間から算出することができる。具体的には以下の(4)式により算出することができる。
Γ(Cu)=W・Na/(M・A・t) [個/(m2s)]・・・(4)
ここで、W:被成膜表面に堆積した銅の質量、Na:アボガドロ数、M:銅の分子量、A:成膜面積、t:成膜時間を意味している。
Γ(Cu)=W・Na/(M・A・t) [個/(m2s)]・・・(4)
ここで、W:被成膜表面に堆積した銅の質量、Na:アボガドロ数、M:銅の分子量、A:成膜面積、t:成膜時間を意味している。
本実施形態の導電性基板において形成する黒化層の厚さは特に限定されるものではなく、例えば銅層表面での光の反射を抑制する程度等に応じて任意に選択することができる。
黒化層の厚さは、下限値は例えば10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることがさらに好ましい。上限値は例えば70nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下である。
黒化層は上述のように銅層表面における光の反射を抑制する層として機能するが、黒化層の厚さが薄い場合には、銅層による光の反射を十分に抑制できない場合がある。これに対して、黒化層の厚さを10nm以上とすることにより、銅層表面における光の反射をより確実に抑制できる。
黒化層は上述のように銅層表面における光の反射を抑制する層として機能するが、黒化層の厚さが薄い場合には、銅層による光の反射を十分に抑制できない場合がある。これに対して、黒化層の厚さを10nm以上とすることにより、銅層表面における光の反射をより確実に抑制できる。
黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、黒化層の厚さは70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
次に、本実施形態の導電性基板の構成例について説明する。
上述のように、本実施形態の導電性基板は透明基材と、銅層と、黒化層と、を有することができる。この際、銅層と黒化層とを透明基材上に配置する順番は特に限定されるものではない。つまり、例えば透明基材の一方の面に銅層を、もう一方の面(他方の面)に黒化層を配置することや、透明基材の少なくとも一方の面に、銅層と黒化層とを積層して配置することもできる。また、銅層と黒化層とはそれぞれ複数層形成することもできる。
なお、銅層表面での光の反射の抑制のため、銅層の表面のうち光の反射を特に抑制したい面に黒化層が配置されていることが好ましい。特に黒化層が銅層の表面に形成された積層構造を有することがより好ましい、すなわち、銅層は黒化層に挟まれた構造を有していることがより好ましい。
具体的な構成例について、図1、図2を用いて以下に説明する。図1、図2は、本実施形態の導電性基板の、透明基材、銅層、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
例えば、図1(a)に示した導電性基板10Aのように、透明基材11の一方の面11a側に銅層12と、黒化層13と、を一層ずつその順に積層することができる。また、図1(b)に示した導電性基板10Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ銅層12A、12Bと、黒化層13A、13Bと、を一層ずつその順に積層することができる。なお、銅層12(12A、12B)、及び、黒化層13(13A、13B)を積層する順は、図1(a)、(b)の例に限定されず、透明基材11側から黒化層13(13A、13B)、銅層12(12A、12B)の順に積層することもできる。
また、例えば黒化層を透明基材11の1つの面側に複数層設けた構成とすることもできる。例えば図2(a)に示した導電性基板20Aのように、透明基材11の一方の面11a側に、第1の黒化層131と、銅層12と、第2の黒化層132と、をその順に積層することができる。
この場合も透明基材11の両面に銅層、第1の黒化層、第2の黒化層を積層した構成とすることができる。具体的には図2(b)に示した導電性基板20Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ第1の黒化層131A、131Bと、銅層12A、12Bと、第2の黒化層132A、132Bと、をその順に積層できる。
なお、透明基材の両面に銅層と、黒化層と、を積層した、図1(b)、図2(b)の構成例においては、透明基材11を対称面として透明基材11の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、図2(b)において、透明基材11の一方の面11a側の構成を図1(a)の構成と同様に、銅層12と、黒化層13と、をその順に積層した形態とし、もう一方の面(他方の面)11b側を第1の黒化層131Bと、銅層12Bと、第2の黒化層132Bと、をその順に積層した形態として、透明基材11の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
ここまで、本実施形態の導電性基板について説明してきたが、本実施形態の導電性基板においては、透明基材上に銅層と、黒化層と、を設けているため、銅層による光の反射を抑制することができる。従って、黒化層を設けることにより、例えばタッチパネル等に用いた場合に良好な視認性を有することができる。
本実施形態の導電性基板の光の反射の程度は特に限定されるものではないが、例えば波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。これは波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が55%以下の場合、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いた場合でもディスプレイの視認性の低下を特に抑制できるためである。
導電性基板の光の反射率の測定は、黒化層に光を照射するようにして測定を行うことができる。すなわち、導電性基板に含まれる銅層及び黒化層のうち、黒化層側から光を照射して測定を行うことができる。具体的には例えば図1(a)のように透明基材11の一方の面11aに銅層12、黒化層13の順に積層した場合、黒化層13に光を照射できるように、図中Aで示した表面側から光を照射して測定できる。また、図1(a)の場合と銅層12と黒化層13との配置を換え、透明基材11の一方の面11aに黒化層13、銅層12の順に積層した場合、黒化層13に光を照射できるように、透明基材11の面11b側から光を照射して反射率を測定できる。
なお、後述のように導電性基板は銅層及び黒化層をエッチングすることにより配線を形成できるが、上記反射率は導電性基板のうち透明基材を除いた場合に、最表面に配置されている黒化層の、光が入射する側の表面における反射率を示している。このため、エッチング処理前、または、エッチング処理を行った後であれば、銅層及び黒化層が残存している部分での測定値が上記範囲を満たしていることが好ましい。
なお、光の反射率の平均とは、400nm以上700nm以下の範囲内で波長を変化させて測定を行った際の測定結果の平均値を意味している。測定の際、波長を変化させる幅は特に限定されないが、例えば、10nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことが好ましく、1nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことがより好ましい。
本実施形態の導電性基板は上述のように例えばタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。この場合、導電性基板は銅層、及び黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成された構成とすることができる。より好ましくは、メッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。
開口部を備えた配線パターンが形成された導電性基板は、ここまで説明した本実施形態の導電性基板の銅層及び黒化層をエッチングすることにより得ることができる。例えば、二層の配線によりメッシュ状の配線とすることができる。具体的な構成例を図3に示す。図3はメッシュ状の配線を備えた導電性基板30を銅層、黒化層の積層方向の上面側から見た図を示している。図3に示した導電性基板30は、透明基材11と、図中X軸方向に平行な複数の配線31AとY軸方向に平行な配線31Bとを有している。なお、配線31A、31Bは銅層をエッチングして形成されており、該配線31A、31Bの上面および/または下面には図示しない黒化層が形成されている。また、黒化層は配線31A、31Bと同じ形状にエッチングされている。
透明基材11と配線31A、31Bとの配置は特に限定されない。透明基材11と配線との配置の構成例を図4(a)、(b)に示す。図4(a)、(b)は図3のA−A´線での断面図に当たる。
まず、図4(a)に示したように、透明基材11の上下面にそれぞれ配線31A、31Bが配置されていてもよい。なお、この場合、配線31A、31Bの上面には、配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。また、図4(b)に示したように、1組の透明基材11を用い、一方の透明基材11を挟んで上下面に配線31A、31Bを配置し、かつ、一方の配線31Bは透明基材11間に配置されてもよい。この場合も、配線31A、31Bの上面には配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。なお、既述のように、黒化層と、銅層との配置は限定されるものではない。このため、図4(a)、(b)いずれの場合でも黒化層32A、32Bと配線31A、31Bの配置は上下を逆にすることもできる。また、例えば黒化層を複数層設けることもできる。ただし、黒化層は銅層表面のうち光の反射を特に抑制したい面に配置されていることが好ましい。このため、図4(b)に示した導電性基板において、例えば、図中下面側からの光の反射を抑制する必要がある場合には、黒化層32A、32Bの位置と、配線31A、31Bの位置とをそれぞれ逆にすることが好ましい。また、黒化層32A、32Bに加えて、配線31A、および/または配線31Bと透明基材11との間に黒化層をさらに設けてもよい。
図3及び図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図1(b)、図2(b)のように透明基材11の両面に銅層12A、12Bと、黒化層13A、13B(131A、132A、131B、132B)と、を備えた導電性基板から形成することができる。
図1(b)の導電性基板を用いて形成した場合を例に説明すると、まず、透明基材11の一方の面11a側の銅層12A及び黒化層13Aを、図1(b)中X軸方向に平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。なお、図1(b)中のX軸方向とは、図1(b)中の各層の幅方向と平行な方向を意味している。そして、透明基材11のもう一方の面11b側の銅層12B及び黒化層13Bを図1(b)中Y軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。なお、図1(b)中のY軸方向は、紙面と垂直な方向を意味している。
以上の操作により図3、図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。なお、透明基材11の両面のエッチングは同時に行うこともできる。すなわち、銅層12A、12B、黒化層13A、13Bのエッチングは同時に行ってもよい。
図3に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図1(a)または図2(a)に示した導電性基板を2枚用いることにより形成することもできる。図1(a)の導電性基板を用いた場合を例に説明すると、図1(a)に示した導電性基板2枚についてそれぞれ、銅層12及び黒化層13を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を貼り合せることによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。例えば図4(b)に示した構成とする場合、一方の導電性基板の銅層12等が積層された図1(a)における面Aと、他方の導電性基板の銅層12等が積層されていない図1(a)における面11bとを貼り合せることができる。なお、黒化層は銅層表面のうち光の反射を特に抑制したい面に配置されていることが好ましい。このため、図4(b)に示した導電性基板において、図中下面側から光の反射を抑制する必要がある場合には、黒化層32A、32Bの位置と、配線31A、31Bの位置とをそれぞれ逆に配置することが好ましい。また、黒化層32A、32Bに加えて、配線31A、および/または配線31Bと透明基材11との間に黒化層をさらに設けてもよい。
また、2枚の導電性基板を貼り合せて図4(a)に示した構成とする場合、例えば2枚の導電性基板について、透明基材11の銅層12等が積層されていない図1(a)における面11b同士を貼り合せることができる。
なお、図3、図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における配線の幅や、配線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、配線に流す電流量等に応じて選択することができる。
このように2層の配線から構成されるメッシュ状の配線を有する導電性基板は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。
(導電性基板の製造方法)
次に本実施形態の導電性基板の製造方法の構成例について説明する。
(導電性基板の製造方法)
次に本実施形態の導電性基板の製造方法の構成例について説明する。
本実施形態の導電性基板の製造方法は、以下の工程を有することができる。
透明基材を準備する透明基材準備工程。
透明基材の少なくとも一方の面側に銅を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成する銅層形成工程。
透明基材の少なくとも一方の面側に酸素と、窒素と、銅とを堆積する黒化層成膜手段により黒化層を成膜する黒化層形成工程。
透明基材の少なくとも一方の面側に銅を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成する銅層形成工程。
透明基材の少なくとも一方の面側に酸素と、窒素と、銅とを堆積する黒化層成膜手段により黒化層を成膜する黒化層形成工程。
そして、黒化層形成工程は減圧雰囲気下において実施することが好ましい。
以下に本実施形態の導電性基板の製造方法について説明するが、以下に説明する点以外については上述の導電性基板の場合と同様の構成とすることができるため説明を省略している。
上述のように、本実施形態の導電性基板においては、銅層と、黒化層と、を透明基材上に配置する際の積層の順番は特に限定されるものではない。また、銅層と、黒化層と、はそれぞれ複数層形成することもできる。このため、上記銅層形成工程と、黒化層形成工程と、を実施する順番や、実施する回数については特に限定されるものではなく、形成する導電性基板の構造に合わせて任意の回数、タイミングで実施することができる。
透明基材を準備する工程は、例えば可視光を透過する絶縁体フィルムや、ガラス基板等により構成された透明基材を準備する工程であり、具体的な操作は特に限定されるものではない。例えば後段の各工程に供するため必要に応じて任意のサイズに切断等を行うことができる。なお、可視光を透過する絶縁体フィルムとして好適に用いることができるものについては既述のため、ここでは説明を省略する。
次に銅層形成工程について説明する。
銅層形成工程では透明基材の少なくとも一方の面側に銅を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成することができる。
銅層は既述のように、乾式めっき法を用いて銅層を形成することが好ましい。また銅層をより厚くする場合には、乾式めっき後に湿式めっき法を用いてさらに銅層(銅めっき層)を成膜することが好ましい。
このため、銅層形成工程は、例えば乾式めっき法により銅薄膜層を形成する工程を有することができる。また、銅層形成工程は、乾式めっき法により銅薄膜層を形成する工程と、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成する工程と、を有していてもよい。従って、上述の銅層成膜手段としては1つの成膜手段に限定されるものではなく、複数の成膜手段を組み合わせて用いることもできる。
上述のように乾式めっき法のみ、又は乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて銅層を形成することにより透明基材または黒化層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
乾式めっき法としては特に限定されるものではないが、減圧雰囲気下において、スパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。
特に、銅薄膜層の形成に用いる乾式めっき法としては、厚さの制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。すなわちこの場合、銅層形成工程における銅を堆積させる銅層成膜手段としてスパッタリング成膜手段(スパッタリング成膜法)を好ましく用いることができる。
銅薄膜層は例えばロール・ツー・ロールスパッタリング装置50を用いて好適に成膜することができる。以下にロール・ツー・ロールスパッタリング装置を用いた場合を例に銅薄膜層を形成する工程を説明する。
図5はロール・ツー・ロールスパッタリング装置50の一構成例を示している。ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50は、その構成部品のほとんどを収納した筐体51を備えている。図5において筐体51の形状は直方体形状として示しているが、筐体51の形状は特に限定されるものではなく、内部に収容する装置や、設置場所、耐圧性能等に応じて任意の形状とすることができる。例えば筐体51の形状は円筒形状とすることもできる。ただし、成膜開始時に成膜に関係ない残留ガスを除去するため、筐体51内部は1Pa以下まで減圧できることが好ましく、10−3Pa以下まで減圧できることがより好ましく、10−4Pa以下まで減圧できることがさらに好ましい。なお、筐体51内部全てが上記圧力まで減圧できる必要はなく、スパッタリングを行う、後述するキャンロール53が配置された図中下側の領域のみが上記圧力まで減圧できるように構成することもできる。
筐体51内には、銅薄膜層を成膜する基材を供給する巻出ロール52、キャンロール53、スパッタリングカソード54a〜54d、前フィードロール55a、後フィードロール55b、テンションロール56a、56b、巻取ロール57を配置することができる。また、銅薄膜層を成膜する基材の搬送経路上には、上記各ロール以外に任意にガイドロール58a〜58hや、ヒーター61等を設けることもできる。
巻出ロール52、キャンロール53、前フィードロール55a、巻取ロール57にはサーボモータによる動力を備えることができる。巻出ロール52、巻取ロール57は、パウダークラッチ等によるトルク制御によって銅薄膜層を成膜する基材の張力バランスが保たれるようになっている。
キャンロール53の構成についても特に限定されないが、例えばその表面が硬質クロムめっきで仕上げられ、その内部には筐体51の外部から供給される冷媒や温媒が循環し、略一定の温度に調整できるように構成されていることが好ましい。
テンションロール56a、56bは例えば、表面が硬質クロムめっきで仕上げられ張力センサーが備えられていることが好ましい。また、前フィードロール55aや、後フィードロール55b、ガイドロール58a〜58hについても表面が硬質クロムめっきで仕上げられていることが好ましい。
スパッタリングカソード54a〜54dは、マグネトロンカソード式でキャンロール53に対向して配置することが好ましい。スパッタリングカソード54a〜54dのサイズは特に限定されないが、スパッタリングカソード54a〜54dの銅薄膜層を成膜する基材の巾方向の寸法は、対向する銅薄膜層を成膜する基材の巾より広いことが好ましい。
銅薄膜層を成膜する基材は、ロール・ツー・ロール真空成膜装置であるロール・ツー・ロールスパッタリング装置50内を搬送されて、キャンロール53に対向するスパッタリングカソード54a〜54dで銅薄膜層が成膜される。
ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50を用いて銅薄膜層を成膜する場合の手順について説明する。
まず、銅ターゲットをスパッタリングカソード54a〜54dに装着し、銅薄膜層を成膜する基材を巻出ロール52にセットした装置内を真空ポンプ60a、60bにより真空排気する。そしてその後、不活性ガス、例えばアルゴン等のスパッタリングガスを気体供給手段59により筐体51内に導入する。この際、スパッタリングガスの流量と、真空ポンプ60bと筐体51との間に設けられた圧力調整バルブの開度と、を調整して装置内を例えば0.13Pa以上1.3Pa以下に保持し、成膜を実施することが好ましい。
この状態で、巻出ロール52から基材を例えば毎分1m以上20m以下の速さで搬送しながら、スパッタリングカソード54a〜54dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給してスパッタリング放電を行う。これにより基材上に所望の銅薄膜層を連続成膜することができる。
また、既述のように乾式めっき後に湿式めっき法を用いてさらに銅層(銅めっき層)を成膜することができる。
湿式めっき法により銅めっき層を成膜する場合、上述した乾式めっきにより成膜した銅薄膜層を給電層とすることができる。そしてこの場合、銅層形成工程における銅を堆積させる銅層成膜手段として、電気めっき成膜手段を好ましく用いることができる。
銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成する工程における条件、すなわち、電気めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、銅めっき液を入れためっき槽に銅薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、銅めっき層を形成できる。
次に、黒化層形成工程について説明する。
黒化層形成工程は既述のように、透明基材の少なくとも一方の面側に酸素と、窒素と、銅とを堆積する黒化層成膜手段により黒化層を成膜する工程である。黒化層形成工程における酸素と、窒素と、銅とを堆積する黒化層成膜手段は特に限定されるものではないが、例えば減圧雰囲気下におけるスパッタリング成膜手段(スパッタリング成膜法)であることが好ましい。
また、黒化層形成工程は、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))とが、(1)式を満たしていることが好ましい。さらに、黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))とが、(2)式を満たしていることが好ましい。なおΓ(N2)、Γ(O2)、Γ(Cu)については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
30≦Γ(N2)/Γ(Cu)・・・(1)
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2)
ここで(1)式は、黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2)))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2)
ここで(1)式は、黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2)))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
そして、上記(1)式に示したようにΓ(N2)/Γ(Cu)は30以上であることが好ましい。特に、Γ(N2)/Γ(Cu)は50以上であることが好ましい。
これは、Γ(N2)/Γ(Cu)が30未満の場合、黒化層の黒化が不十分となり、黒化層としての機能を十分に果たせず、導電性基板の反射率を十分に低減できない場合があるためである。
一方、Γ(N2)/Γ(Cu)の上限値は特に限定されるものではないが、Γ(N2)/Γ(Cu)を大きくするには、窒素ガスの分圧を大きくする、あるいは銅の堆積速度を小さくすることになる。窒素ガスの分圧を大きくするためには、不活性ガスの分圧を小さくすることになるが、不活性ガスの分圧を小さくすると銅のスパッタ収率が小さくなる。これは、スパッタ収率はイオン化されたガスの質量が大きい方が高いためである。一方、銅の堆積速度を小さくすることは生産性の低下を招く。このため、Γ(N2)/Γ(Cu)は、2000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。
次に上記(2)式は黒化層を成膜する際、黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))との比を示している。
そして、上記(2)式に示したように、Γ(O2)/Γ(Cu)は0.4以上50以下であることが好ましい。特に、Γ(O2)/Γ(Cu)は0.6以上40以下であることがより好ましく、1.0以上20以下であることがさらに好ましい。
黒化層を成膜する黒化層形成工程においては、例えば上述のように不活性ガス、窒素ガスおよび酸素ガスを供給しながらスパッタリング法により黒化層を成膜することができる。このように、不活性ガス、窒素ガス、及び酸素ガスを供給して黒化層を成膜することで、不活性ガス及び窒素ガスのみを供給し、黒化層を成膜した場合と比較して、導電性基板の反射率をさらに1割以上低下させることができる。
ただし、Γ(O2)/Γ(Cu)が0.4未満では、不活性ガス及び窒素ガスに、酸素ガスを追加して供給したことによる導電性基板の反射率を低減する効果を十分に発揮できない場合がある。
一方酸素ガスの供給量が多い場合、銅の酸化が優先的に進行して黒化層の透明度が高くなる場合がある。この場合、黒化層を透過した光が銅層で反射し再度黒化層を透過するため、反射率が却って高くなる恐れがある。このため、上述のようにΓ(O2)/Γ(Cu)は0.4以上50以下であることが好ましい。
なお、上述した黒化層の被成膜表面とは、黒化層を成膜する際の最表面部分を意味している。このため、黒化層の成膜開始時であれば該黒化層を成膜する下層、すなわち、透明基材または銅層の表面を意味する。また、黒化層の成膜開始後であれば成膜されている黒化層の最表面を意味する。
黒化層は例えば上述のロール・ツー・ロールスパッタリング装置50を用いて好適に成膜することができる。ロール・ツー・ロールスパッタリング装置の構成については既述のため、ここでは説明を省略する。
ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50を用いて黒化層を成膜する場合の手順の構成例について説明する。
まず、銅ターゲットをスパッタリングカソード54a〜54dに装着し、黒化層を成膜する基材を巻出ロール52にセットした装置内を真空ポンプ60a、60bにより真空排気する。そしてその後、不活性ガス、例えばアルゴンと、窒素と、酸素とからなるスパッタリングガスを気体供給手段59により筐体51内に導入する。この際、スパッタリングガスの流量と、真空ポンプ60bと筐体51との間に設けられた圧力調整バルブの開度とを調整して装置内を例えば0.13Pa以上13Pa以下に保持して成膜を実施することが好ましい。なお、この際、上述のようにΓ(N2)/Γ(Cu)およびΓ(O2)/Γ(Cu)が、黒化層成膜時に所定の範囲を充足するように、窒素分圧および酸素分圧を調整することが好ましい。
また、不活性ガス、窒素ガス、酸素ガスは予め混合したガスを筐体51内に供給することもできるが、それぞれ個別に筐体51に供給し、筐体51内でそれぞれのガスが所望の分圧となるようにその供給量、圧力を調整することもできる。
この状態で、巻出ロール52から基材を例えば毎分0.5m以上10m以下程度の速さで搬送しながら、スパッタリングカソード54a〜54dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給してスパッタリング放電を行う。これにより基材上に所望の黒化層を連続成膜することができる。
ここまで、本実施形態の導電性基板の製造方法に含まれる各工程について説明した。
本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、既述の導電性基板と同様に、銅層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上とすることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。銅層の厚さの上限値は特に限定されないが、銅層の厚さは5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることがより好ましい。なお、銅層が上述のように銅薄膜層と、銅めっき層を有する場合には、銅薄膜層の厚さと、銅めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
また、黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば10nm以上であることが好ましく、15nm以上とすることがより好ましく、25nm以上とすることがさらに好ましい。黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、銅層及び黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成された導電性基板とすることができる。より好ましくは、メッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。これらの配線パターンを形成する場合、上述の工程に加えて、銅層と、黒化層と、をエッチングすることで配線パターンを形成するエッチング工程をさらに有することができる。
エッチング工程では例えばまず、エッチングにより除去する部分に対応した開口部を有するレジストを、導電性基板の最表面に形成する。図1(a)に示した導電性基板の場合、導電性基板に配置した黒化層13の露出した面A上にレジストを形成することができる。なお、エッチングにより除去する部分に対応した開口部を有するレジストの形成方法は特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィー法により形成することができる。
次いで、レジスト上面からエッチング液を供給することにより、銅層12、黒化層13のエッチングを実施することができる。
なお、図1(b)のように透明基材11の両面に銅層、黒化層を配置した場合には、導電性基板の最表面A及びBにそれぞれ所定の形状の開口部を有するレジストを形成し、透明基材11の両面に形成した銅層、黒化層を同時にエッチングしてもよい。また、透明基材11の両側に形成された銅層及び黒化層について、一方の側ずつエッチング処理を行うこともできる。すなわち、例えば、銅層12A及び黒化層13Aのエッチングを行った後に、銅層12B及び黒化層13Bのエッチングを行うこともできる。
本実施形態の導電性基板の製造方法で形成する黒化層は、銅層と同様のエッチング液への反応性を示す。このため、エッチング工程において用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、一般的に銅層のエッチングに用いられるエッチング液を好ましく用いることができる。エッチング工程で用いるエッチング液としては例えば、塩化第二鉄と、塩酸との混合水溶液をより好ましく用いることができる。エッチング液中の塩化第二鉄、及び塩酸の含有量は特に限定されるものではないが例えば、塩化第二鉄を5重量%以上50重量%以下の割合で含むことが好ましく、10重量%以上30重量%以下の割合で含むことがより好ましい。また、エッチング液は例えば、塩酸を1重量%以上50重量%以下の割合で含むことが好ましく、1重量%以上20重量%以下の割合で含むことがより好ましい。なお、残部については水とすることができる。
エッチング液は室温で用いることもできるが、反応性を高めるため加温していること好ましく、例えば40℃以上50℃以下に加熱して用いることが好ましい。
上述したエッチング工程により得られるメッシュ状の配線の具体的な形態については、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。また、既述のように、図1(a)、図2(a)に示した透明基材11の一方の面側に銅層、黒化層を有する導電性基板を2枚貼り合せてメッシュ状の配線を備えた導電性基板とする場合には、導電性基板を貼り合せる工程をさらに設けることができる。この際、2枚の導電性基板を貼り合せる方法は特に限定されるものではなく、例えば接着剤等を用いて接着することができる。
以上に本実施形態の導電性基板及び導電性基板の製造方法について説明した。係る導電性基板、または導電性基板の製造方法により得られる導電性基板によれば、銅層と黒化層とがエッチング液に対してほぼ同じ反応性を示す。このため、同時にエッチング処理を行うことができる銅層と、黒化層とを備えた導電性基板を提供することができる。そして、銅層と黒化層とを同時にエッチングすることができるため、容易に所望の形状の配線、及び黒化層を形成することができる。
また、黒化層を設けることで銅層による光の反射を抑制することができ、例えばタッチパネル用の導電性基板とした場合に、視認性の低下を抑制することができる。このため、黒化層を設けることで良好な視認性を有する導電性基板とすることができる。
以下に、本発明の実施例、比較例、及び参考例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって、なんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)反射率の平均
以下の各実施例、比較例、参考例において作製した導電性基板について反射率の測定を行った。
(評価方法)
(1)反射率の平均
以下の各実施例、比較例、参考例において作製した導電性基板について反射率の測定を行った。
測定は、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所製 型式:UV−2550)に反射率測定ユニットを設置して行った。
各実施例、参考例で図2(a)の構造を有する導電性基板を作製したが、反射率の測定は図2(a)における第2の黒化層132の外部に露出した面Cに対して入射角5°、受光角5°として、波長400nm以上700nm以下の範囲の光を照射して実施した。なお、比較例では、透明基材上に銅層のみを配置した構造を有する導電性基板を作製した。このため、比較例1の導電性基板の反射率の測定に当たっては、銅層のうち、透明基材と対向する面とは反対側の、外部に露出した面に、同様にして波長400nm以上700nm以下の範囲の光を照射して実施した。
また、導電性基板に照射した光は、波長400nm以上700nm以下の範囲内で、1nm毎に波長を変化させて各波長の光について反射率の測定を行い、測定結果の平均を該導電性基板の反射率の平均とした。
(試料の作製条件)
以下に各実施例、比較例、参考例における導電性基板の製造条件を示す。
[実施例1]
図2(a)に示した構造を有する導電性基板を作製した。
(試料の作製条件)
以下に各実施例、比較例、参考例における導電性基板の製造条件を示す。
[実施例1]
図2(a)に示した構造を有する導電性基板を作製した。
まず、透明基材準備工程を実施した。
具体的には、幅500mm、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材を準備した。
次に、第1の黒化層形成工程を実施した。
準備した透明基材を図5に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置50にセットした。
そして、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50のヒーター61を100℃に加熱し、透明基材を加熱し、基材中に含まれる水分を除去した。
続いて筐体51内を1×10−4Paまで排気した後、アルゴンガスを240sccm、窒素ガスを120sccm、酸素ガスを40sccmで導入し、筐体51内の圧力が4Paになるように調整した。そして、透明基材を巻出ロール52から毎分2mの速さで搬送しながら、スパッタリングカソード54a〜54dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給し、スパッタリング放電を行い、基材上に所望の第1の黒化層を連続成膜した。係る操作により透明基材上に第1の黒化層131を厚さ40nmとなるように形成した。
続いて、銅層形成工程を実施した。
銅層形成工程では筐体51内を排気後、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50の筐体51内にアルゴンガスのみを導入し、圧力が0.3Paになるように調整した点以外は第1の黒化層の場合と同様にして第1の黒化層の上面に銅層を厚さ200nmとなるように形成した。
なお、銅層を形成する基材としては、第1の黒化層形成工程で、透明基材上に第1の黒化層を形成した基材を用いた。
そして次に第2の黒化層形成工程を実施した。
第2の黒化層形成工程では、第1の黒化層131と同条件で銅層12の上面に第2の黒化層132を形成した。
ここで、第1の黒化層131、第2の黒化層132を成膜したときのΓ(N2)/Γ(Cu)は、61.3、Γ(O2)/Γ(Cu)は20.4であった。
作製した導電性基板の反射率を、第2の黒化層132の露出している面C側、すなわち、銅層12と対向していない面側から光を照射して、上述の手順により波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均を測定したところ反射率の平均は14.0%であった。
[実施例2〜実施例26]
各実施例について第1の黒化層131、及び第2の黒化層132を成膜する際の条件を表1に示した値とした点以外は実施例1と同様にして導電性基板を製造し、評価を行った。
[実施例2〜実施例26]
各実施例について第1の黒化層131、及び第2の黒化層132を成膜する際の条件を表1に示した値とした点以外は実施例1と同様にして導電性基板を製造し、評価を行った。
具体的には、第1の黒化層131、第2の黒化層132を成膜する際のΓ(N2)/Γ(Cu)、Γ(O2)/Γ(Cu)、筐体51内を排気後、アルゴンガス、窒素ガス、酸素ガスを導入した際の筐体51内の圧力、基材の搬送速度、第1の黒化層131、第2の黒化層132の厚さを表1に示した値にした。それ以外の点は上述の実施例1と同様にして第1の黒化層131、及び第2の黒化層132を成膜している。
なお、いずれの例においても第1の黒化層131を成膜する際の成膜条件と、第2の黒化層132を成膜する際の成膜条件は同じにしている。
また、いずれの例においても銅層は実施例1と同じ条件で成膜した。
[比較例1]
実施例1と同じく幅500mm、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材を準備し、図5に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置50にセットした。そして、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50のヒーター61を100℃に加熱し、透明基材を加熱し、基材中に含まれる水分を除去した。
[比較例1]
実施例1と同じく幅500mm、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材を準備し、図5に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置50にセットした。そして、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置50のヒーター61を100℃に加熱し、透明基材を加熱し、基材中に含まれる水分を除去した。
続いて筐体51内を1×10−4Paまで排気した後、筐体51内にアルゴンガスのみを導入し、圧力が0.3Paになるように調整した。透明基材を巻出ロール52から毎分2mの速さで搬送しながら、スパッタリングカソード54a〜54dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給し、スパッタリング放電を行い、厚さ200nmの銅層を透明基材の一方の面に形成した。
すなわち、第1の黒化層、および第2の黒化層を成膜せず、透明基材上に銅層のみを形成した点以外は実施例1と同様にして導電性基板を作製した。
作製した導電性基板の反射率を、銅層の面側から光を照射して、上述の手順により波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均を測定したところ反射率の平均は80.7%であった。
[参考例1〜参考例6]
参考例1〜参考例6では、第1の黒化層131、第2の黒化層132を成膜する際に、酸素ガスを導入しないでアルゴンガス及び窒素ガスのみとし、黒化層を窒素と銅とを含む層として導電性基板を製造し、評価を行った。
[参考例1〜参考例6]
参考例1〜参考例6では、第1の黒化層131、第2の黒化層132を成膜する際に、酸素ガスを導入しないでアルゴンガス及び窒素ガスのみとし、黒化層を窒素と銅とを含む層として導電性基板を製造し、評価を行った。
具体的には、各参考例において、第1の黒化層、及び第2の黒化層を成膜する際に、Γ(N2)/Γ(Cu)、Γ(O2)/Γ(Cu)、筐体51内を排気後、アルゴンガス、窒素ガスを導入した際の筐体51内の圧力、基材の搬送速度、第1の黒化層、第2の黒化層の厚さを表1に示した値にした点以外は実施例1と同様にして導電性基板を作製した。
なお、いずれの例においても第1の黒化層を成膜する際と、第2の黒化層を成膜する際と、で成膜条件は同じにして黒化層の成膜を行っている。
また、いずれの例においても銅層は実施例1と同じ条件で成膜している。
以上に説明した実施例1〜26、及び参考例1〜6で製造した導電性基板の反射率の平均を表1に示す。
また、第1の黒化層、第2の黒化層の成膜時の筐体内の圧力、基材の搬送速度、第1、第2の黒化層の厚さが同一である、実施例1〜実施例18、実施例24、及び参考例1〜6における、第1、第2の黒化層成膜時のΓ(N2)/Γ(Cu)と、反射率との関係を図6に示す。なお、図6においては、形成した黒化層のΓ(O2)/Γ(Cu)比毎にプロットのマークを変更している。
特にタッチパネルの用途等で用いる場合、反射率は40%以下であることがより好ましい。そして、表1、図6に示した上記実験結果から、Γ(O2)/Γ(Cu)によらず、反射率を十分に低くするためには、黒化層を成膜するときのΓ(N2)/Γ(Cu)は30以上であることがより好ましいことを確認できた。
また、実施例2〜14、及び参考例3、4における、第1、第2の黒化層成膜時のΓ(O2)/Γ(Cu)と、反射率の平均との関係を図7に示す。なお、図7においては、形成した黒化層のΓ(N2)/Γ(Cu)比毎にプロットのマークを変更している。
反応性ガスとして窒素ガスと酸素ガスの両方を導入し、Γ(O2)/Γ(Cu)の値を0.4以上50以下の範囲内とした実施例2〜6及び実施例8〜12は、それぞれの参考例3または4に対して反射率の平均が1割以上低下しており、反射抑制効果が高いことが確認できた。
第1、第2の黒化層がない比較例1、第1、第2の黒化層の厚さのみ条件が異なる実施例10及び実施例19〜21における、第1、第2の黒化層の厚さと、反射率の平均との関係を図8に示す。第1、第2の黒化層の厚さが薄くなると反射率が高くなるが、厚さを10nm以上にすれば反射率は55%以下であり、黒化層の厚さは10nm以上が好ましいことも確認できた。
なお、実施例1〜26のいずれの導電性基板についても、塩化第二鉄10重量%と、塩酸10重量%と、残部が水と、からなるエッチング液に1分間浸漬したところ、第1、第2の黒化層、及び、銅層が溶解することを確認できた。
10A、10B、20A、20B、30 導電性基板
11 透明基材
12、12A、12B 銅層
13、13A、13B、131、132、131A、131B、132A、132B、32A、32B 黒化層
31A、31B 配線
11 透明基材
12、12A、12B 銅層
13、13A、13B、131、132、131A、131B、132A、132B、32A、32B 黒化層
31A、31B 配線
Claims (12)
- 透明基材と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された銅層と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に形成された酸素と、窒素と、銅とを含有する黒化層とを備えた導電性基板。 - 前記銅層は厚さが50nm以上であり、
前記黒化層の厚さが10nm以上である請求項1に記載の導電性基板。 - 前記黒化層が、前記銅層の表面に形成された積層構造を有する請求項1または2に記載の導電性基板。
- 波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が55%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電性基板。
- 前記黒化層を成膜する際、
黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2))と、
黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、
黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))とが、(1)式および(2)式を満たす、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電性基板。
30≦Γ(N2)/Γ(Cu)・・・(1)
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2) - 前記銅層、及び前記黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成された請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電性基板。
- 透明基材を準備する透明基材準備工程と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に銅を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成する銅層形成工程と、
前記透明基材の少なくとも一方の面側に酸素と、窒素と、銅とを堆積する黒化層成膜手段により黒化層を成膜する黒化層形成工程と、を有し、
前記黒化層形成工程は減圧雰囲気下において実施する導電性基板の製造方法。 - 前記銅層成膜手段と、前記黒化層成膜手段と、がスパッタリング成膜法であることを特徴とする請求項7に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記黒化層形成工程は、
黒化層の被成膜表面に入射する窒素分子数(Γ(N2))と、
黒化層の被成膜表面に入射する酸素分子数(Γ(O2))と、
黒化層の被成膜表面に堆積する銅の原子数(Γ(Cu))とが、(1)式および(2)式を満たすようにして行う、請求項7または8に記載の導電性基板の製造方法。
30≦Γ(N2)/Γ(Cu)・・・(1)
0.4≦Γ(O2)/Γ(Cu)≦50・・・(2) - 前記銅層は厚さが50nm以上であり、
前記黒化層は厚さが10nm以上である請求項7乃至9のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。 - 得られる導電性基板の波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が55%以下である請求項7乃至10のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記銅層と、前記黒化層と、をエッチングすることにより、配線パターンを形成するエッチング工程をさらに有し、
得られる導電性基板は前記銅層、及び前記黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成される請求項7乃至11のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
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JP2013169712A (ja) * | 2012-02-21 | 2013-09-02 | Toray Ind Inc | 積層体 |
-
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- 2014-12-05 JP JP2014247366A patent/JP2016108613A/ja active Pending
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