JP2016108539A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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真士 岡本
鹿野 泰和
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Abstract

【課題】本発明は、高いシャルピー衝撃強度をもち、かつ水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制できるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、及び(B)リン化合物を含有する組成物であって、ポリアミド樹脂1kgあたり、(B)リン化合物を、リン元素濃度として0.5〜1000mmol含有し、80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されており、粘度数[VN]が160mL/g以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド成形用材料、及び成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして知られており、包装・容器などの汎用的な消費分野、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野などの各種分野において使用する部品材料として広く利用されている。近年、これらの各種部品に関しては、一体化・軽量化などを目的として、金属材料からポリアミド樹脂への代替要求が非常に高まっている。また、靭性、衝撃性、及び耐久性をさらに高める要求が高まっている。その結果、ポリアミド樹脂に要求される性能レベルは一層高くなってきている。
具体的には、金属材料に代替可能な高い強度を有し、靭性、衝撃性、及び耐久性に優れた樹脂材料が強く要望されている。ポリアミド樹脂の高分子量化はこれらの要望に応える手法の一つである。
前記ポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法としては、溶融重合後のポリアミド樹脂を固相重合させる方法が知られている。前記固相重合法により所望の高分子量のポリアミド樹脂を得るためには、多大な固相重合時間や熱エネルギーが必要である。また、色調などのポリアミド樹脂の品質を確保するためには、窒素気流下や減圧下での固相重合工程が必要となる。このように、固相重合法は工程が煩雑であると共に長時間を要するため、より簡便かつ短時間でポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法が求められている。
また、短時間でポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法としては、次亜リン酸ナトリウムなどの高分子量化触媒をポリアミド樹脂に添加して、押出機にて、減圧下条件で溶融混練を行い、押出を行う触媒高分子量化押出の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法としては、リン酸を高分子量化触媒としてポリアミド樹脂に添加して、押出機にて、減圧下条件で溶融混練を行い、押出を行う触媒高分子量化押出の方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−26396号公報 特開平01−153725号公報
上述した特許文献1及び2に開示された技術は、ポリアミド樹脂の高分子量化に長時間を要する固相重合などを用いずに、押出機を用いて短時間でポリアミド樹脂を高分子量化させることができる技術である。しかしながら、特許文献1及び2に開示されている技術においては、ポリアミド樹脂が高分子量化はするものの、水などの液体に接触した際に、ポリアミド樹脂強度などの物性が低下してしまうため、より改善が求められている。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高いシャルピー衝撃強度をもち、かつ水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制できるポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを含有する組成物であって、ポリアミド樹脂1kgあたり(B)リン化合物を、リン元素濃度として0.5〜1000mmol含有し、80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されており、粘度数[VN]が160mL/g以上であるポリアミド樹脂組成物により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
ポリアミド樹脂、及び
(B)リン化合物を含有する組成物であって、
ポリアミド樹脂1kgあたり、(B)リン化合物を、リン元素濃度として0.5〜1000mmol含有し、
80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されており、
粘度数[VN]が160mL/g以上である、ポリアミド樹脂組成物。
[2]
ポリアミド樹脂1kgあたり、(C)金属元素を、0.5〜1000mmol含有する、[1]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[3]
(C)金属元素が、周期律表第二族の金属元素を少なくとも含有する、[2]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[4]
(B)リン化合物がリン酸系化合物を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[5]
(B)リン化合物が、リン酸及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[6]
ポリアミド樹脂100質量部に対して10〜250質量部の(D)強化材をさらに含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[7]
ポリアミド樹脂100質量部に対して、アパタイト型化合物の含有量が、0.3質量部以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[8]
ポリアミド樹脂100質量部に対して、アパタイト型化合物の含有量が、0.1質量部以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[9]
X線回折測定において、アパタイト型化合物由来の回折角(2θ)25.5〜26.5度及び32.5〜33.5度にピークを示さない、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド成形用材料であり、示差走査熱量計(DSC)の融解熱量測定において、1回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH1(J/g)と、2回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH2(J/g)との差(ΔH1−ΔH2)が10J/g以下である、ポリアミド成形用材料。
[11]
(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、
前記混練物において、最初の脱揮を行った後に、(E)金属化合物を添加する、製造方法により得られる、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[12]
(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、
前記混練物において、最初の脱揮を行った後に、(E)金属化合物を添加する、製造方法により得られる、[10]に記載のポリアミド成形用材料。
[13]
[1]〜[9]及び[11]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物及び/又は[10]又は[12]に記載のポリアミド成形用材料を含む、成形体。
本発明によれば、高いシャルピー衝撃強度をもち、かつ水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制できるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、
ポリアミド樹脂、及び(B)リン化合物を含有する組成物であって、
ポリアミド樹脂1kgあたり(B)リン化合物を、リン元素濃度として0.5〜1000mmol含有し、
80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されており、
粘度数[VN]が160mL/g以上である、ポリアミド樹脂組成物である。
上記のように構成されているため、本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、高いシャルピー衝撃強度をもち、かつ水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制できる。
(ポリアミド樹脂)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を含有する。「ポリアミド樹脂」とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体であるポリアミド樹脂を意味する。
なお、本明細書において、ポリアミド樹脂とは、特段言及の無い限り原料段階の(A)ポリアミド樹脂ではなく、ポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂を意味する。
また、本明細書において、ポリアミド樹脂組成物の製造方法に用いる、原料段階の(A)ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂とは、分子量によって明確に区別できる。分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量測定や溶液粘度等により評価することができる。
さらに、原料段階の(A)ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂は、分子量以外の特性、例えば融点、高温結晶化温度のピーク温度等は同様である。原料段階の(A)ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂組成物中に含有されている状態のポリアミド樹脂が、分子量が異なることは前記GPCや溶液粘度により分析することができ、その他の特性において同様であることも特性に応じた検証方法を選択することにより確認できる。
ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミン及びジカルボン酸の縮合重合で得られるポリアミド樹脂、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、及びこれらのポリアミド樹脂を構成する2種類以上の単位(単量体)の共重合で得られる共重合物が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、上記ポリアミドの1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、ポリアミド樹脂の原料((A)ポリアミド樹脂)について説明する。前記ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミン;例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン等の炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミン;等が挙げられる。前記分岐状飽和脂肪族ジアミンとしては、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが挙げられる。
前記脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等の、炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の脂環族カルボン酸が挙げられる。脂環族カルボン酸の脂環構造の炭素数は、特に限定されないが、得られるポリアミド樹脂の吸水性と結晶化度とのバランスの観点から、好ましくは炭素数:3〜10であり、より好ましくは5〜10である。前記脂環族ジカルボン酸の中でも、機械特性の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
前記脂環族ジカルボン酸は、無置換でもよいし、置換基を有していてもよい。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無置換又は置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、スルホン酸基、及びナトリウム塩などのその塩である基等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
前記ジカルボン酸は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸をさらに含んでもよい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。これらの中でも、靭性の観点から、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
前記アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、上記したラクタムが開環した化合物(ω−アミノカルボン酸、α,ω−アミノカルボン酸等)等が挙げられる。
前記アミノカルボン酸としては、結晶化度を高める観点から、ω位がアミノ基で置換された、炭素数4〜14の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましい。具体的には、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。前記アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。これらの中でも、低吸水性の観点から、12−アミノドデカン酸が好ましい。
ポリアミド樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド116(ポリウンデカメチレンアジパミド)、ポリアミド92(ポリノナメチレンオキサミド)、ポリアミドTMHT(トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド2Me−5T(ポリ2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド、Meはメチル基である。以下同様とする。)、ポリアミド9T(ポリノナメチレンテレフタルアミド)、2Me−8T(ポリ2−メチルオクタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド6C(ポリヘキサメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド2Me−5C(ポリ2−メチルペンタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド9C(ポリノナメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、2Me−8C(ポリ2−メチルオクタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミドPACM12(ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド)、ポリアミドジメチルPACM12(ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ポリアミド10T(ポリデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド11T(ポリウンデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド12T(ポリドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド10C(ポリデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド11C(ポリウンデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド12C(ポリドデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)等のポリアミド樹脂が挙げられる。
ポリアミド樹脂の好ましい例としては、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド2Me−5T(ポリ2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナメチレンテレフタルアミド)、2Me−8T(ポリ2−メチルオクタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6C(ポリヘキサメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド2Me−5C(ポリ2−メチルペンタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド9C(ポリノナメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、2Me−8C(ポリ2−メチルオクタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド10T(ポリデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド10C(ポリデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)が挙げられる。これらは、靱性、強度及び成形性の観点から好ましい。同様の観点から、ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6C、ポリアミド2Me−5C、ポリアミド9C、2Me−8C、ポリアミド10Cを含むことがより好ましく、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612がよりさらに好ましく、ポリアミド66(以下「PA66」とも記す)を含むことがよりさらに一層好ましい。
なお、ポリアミド樹脂は、上述した各種ポリアミドを構成する単位(単量体)を2種以上共重合させて得られるポリアミド共重合体であってもよい。
前記ポリアミド共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド66/6I、PA66/6I/6、PA66/6T、PA6T/2Me−5T(Meはメチル基)、PA9T/2Me−8T、PA6C/2Me−5C、PA9C/2Me−8C等のポリアミド共重合体が挙げられる。
上述した各種ポリアミド樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド66/6、ポリアミド66/6I、ポリアミド6C/2Me−5C、ポリアミド2Me−5Cがより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、ポリアミド66/6Iがさらに好ましく、強度・靱性と結晶性のバランスから、ポリアミド66がさらにより好ましい。
ポリアミド樹脂を、所定のモノマーを重合して製造する際には、分子量調節のために末端封止剤をさらに添加することができる。この末端封止剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
前記末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。これらの中でも、(A)ポリアミド樹脂の熱安定性の観点から、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであればよく、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミ等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できる酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水酢酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノ酸ハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、ジフェニルメタンカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、ジフェニルスルホキシドカルボン酸、ジフェニルスルフィドカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、ベンゾフェノンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸等のモノカルボン酸の、ハロゲン置換モノカルボン酸が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノエステル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノモンタネート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールモノモンタネート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンジモンタネート、ソルビタントリモンタネート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールモノベヘネート、ソルビトールトリベヘネート、ソルビトールモノモンタネート、ソルビトールジモンタネート等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端封止剤として使用できるモノアルコール類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール(以上、直鎖状、分岐状)、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、フェノール、クレゾール(o−、m−、p−体)、ビフェノール(o−、m−、p−体)、1−ナフトール、2−ナフトール等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアミド樹脂の融点は、特に限定されるものではないが、好ましくは200℃以上340℃以下であり、より好ましくは210℃以上335℃以下であり、さらに好ましくは240℃以上330℃以下である。ポリアミド樹脂の融点を、200℃以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の耐熱性が向上する傾向にある。また、ポリアミド樹脂の融点を、340℃以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の溶融加工中の熱分解や劣化をより効果的に抑制できる傾向にある。
ポリアミド樹脂の融点は、JIS−K7121に準じて測定することができる。測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond DSC等を用いることができる。
ポリアミド樹脂の示差走査熱量測定(DSC)で測定した降温結晶化温度のピーク温度は、特に限定されるものではないが、220℃以上であることが好ましい。ポリアミド樹脂の降温結晶化温度のピーク温度を、220℃以上とすることにより、成形性が一層向上する傾向にある。なお、示差走査熱量測定(DSC)は、JIS−K7121に準じて、昇温速度20℃/分の条件で行うことができる。
原料の(A)ポリアミド樹脂や、ポリアミド樹脂組成物中に含有されているポリアミド樹脂の分子量は、種々の方法により測定することができる。例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量測定や溶液粘度などが挙げられる。具体的に、溶液粘度としては、ISO307(JIS−K6933)に準拠して測定される粘度数[VN]やASTM−D789に準拠して測定されるギ酸相対粘度[RV]がある。ISO307(JIS−K6933)による測定としては、一例として、25℃において96%濃度の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5質量%溶液で測定することができる。
また、上記の異なる規格への換算については、例えば、ISO307(JIS−K6933に記載されている換算表などを適宜用いればよい。
本明細書では、前記粘度数[VN]を、原料の(A)ポリアミド樹脂の分子量の指標としており、VNの数値が高いほど高分子量であるものと評価される(また、同じ[VN]に対して、PA66の場合については[RV]もカッコ内に併記した)。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の粘度数[VN]は、160mL/g(RV(PA66):58)以上であり、165mL/g以上350mL/g以下(RV(PA66):61以上477以下)が好ましい。本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、粘度数[VN]を160mL/g以上にすることで、耐衝撃性を向上させることができる。また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、粘度数[VN]を350mL/g以下にすることで、成形などの溶融加工性を確保することができる。本実施形態のポリアミド樹脂組成物の粘度数[VN]は、より好ましくは、175mL/g以上310mL/g以下(RV(PA66):69以上306以下)であり、さらにより好ましくは180mL/g以上290mL/g以下(RV(PA66):72以上245以下)であり、さらに一層好ましくは、190mL/g以上270mL/g以下(RV(PA66):81以上197以下)であり、特に好ましくは、200mL/g以上250mL/g以下(RV(PA66):90以上157以下)である。
なお、本実施形態において、ポリアミド樹脂組成物の粘度数[VN]は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上述の範囲の粘度数[VN]を有するポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、例えば、原料の(A)ポリアミド樹脂の分子量を適宜調整する方法が挙げられる。
原料の(A)ポリアミド樹脂の分子量を調整する方法としては、例えば、ペレットなど固体の状態の原料の(A)ポリアミド樹脂を融点以下の温度で加熱し高分子量化させる固相重合法や原料の(A)ポリアミド樹脂に高分子量化の触媒を加えて、溶融押出にて原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させる触媒高分子量化押出法等が挙げられる。
なかでも、原料の(A)ポリアミド樹脂に(D)強化材などの添加剤を添加して溶融混練にてポリアミド樹脂組成物を製造する場合は、固相重合法など別工程で原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化を行う方法よりも、添加剤の混練と原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化とを同時に実施することが可能な触媒高分子量化押出法が、工程が少なく所要時間も短いため好ましい。また、成形などの溶融加工時にも可塑化に優れるため好ましい。
また、必要に応じて、押出機内で原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させてポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。この場合は、押出原料の(A)ポリアミド樹脂の粘度数[VN]はさほど高くなくてもよい。押出機モーターへの負荷を低減し、吐出量を大きくして効率よくポリアミド樹脂組成物を生産したい場合は、原料の(A)ポリアミド樹脂の粘度数[VN]は、70mL/g以上200mL/g以下が好ましく、より好ましくは、90mL/g以上180mL/g以下であり、さらに好ましくは100mL/g以上170mL/g以下であり、特に好ましくは、120mL/g以上165mL/g未満である。
(原料としての(A)ポリアミド樹脂の製造方法)
原料としての(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下の種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩とラクタム及び/又はアミノカルボン酸などの他の成分との混合物(以下、これらを、「その混合物」と略称する場合がある。)の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」ともいう。);
2)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーと取り出す方法(「プレポリマー法」);
3)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(「熱溶融重合・固相重合法」);
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー・押出重合法」);
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持して、その重合度を上昇させる方法(「プレポリマー・固相重合法」);
6)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「モノマー・固相重合法」);
7)「ジカルボン酸及びジアミンの塩」又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(「塩・固相重合法」);
8)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、押出機内で原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させる工程により十分に高分子量化することもできる。この場合、前記原料としての(A)ポリアミド樹脂の製造方法においては、原料段階での(A)ポリアミド樹脂を敢えて高分子量化する必要はない。このような観点からは、工程が少なく安定した分子量のポリアミド樹脂が製造しやすい熱溶融重合法やプレポリマー法が好ましい。
原料としての(A)ポリアミド樹脂の製造方法における重合形態は、以下に限定されるものではなく、例えば、バッチ式、連続式が挙げられる。重合装置としては、特に限定されず、公知の装置(例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等)を用いることもできる。
((B)成分:リン化合物)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、(B)リン化合物(以下、単に「(B)成分」又は「(B)」と記載する場合がある。)を含有する。(B)リン化合物としては、リン元素を含む化合物であれば、特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸やそれらのエステル、金属塩、アミン塩などの誘導体を挙げることができる。上記(B)リン化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、(B)リン化合物としては、ポリアミド樹脂の熱安定剤であるヨウ化銅及びヨウ化カリウムを混合した際に変色がない観点よりリン酸系化合物が好ましい。
リン酸系化合物としては、特に限定されないが、例えば、リンのオキソ酸でH3PO4で示されるオルトリン酸、H427で示されるピロリン酸(二リン酸)、(HPO3nで示されるメタリン酸(ポリリン酸)や、それらのリン酸誘導体が挙げられる。
前記リン酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、H3PO4などの1つ以上のHが有機置換基(特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ステアリル基、及びオレイル基などの脂肪族基、フェニル基及びビフェニル基などの芳香族基が挙げられる。)によって置換されたリン酸エステルや、塩基との塩であるリン酸金属塩(リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなど)や、リン酸アミン塩(リン酸アンモニウム塩、リン酸ジアミン塩等含む)が挙げられる。
リン酸系化合物としては、分子中のHが有機置換基等によって置換されていない方が、少量添加にて成形時の離型性などの効果を発現させられる。そのために、リン酸系化合物としては、リン酸及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、無置換のオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸やその金属塩や塩基との塩がより好ましく、さらに好ましくは、無置換のオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸やその塩基との塩である。
上記(B)リン化合物は、固体の状態でも液体(水溶液含む)の状態でもよい。
また、(B)リン化合物は、ポリアミド樹脂組成物の製造工程において、そのまま添加してもよく、マスターバッチ等希釈した状態で添加してもよい。マスターバッチは、特に限定しないが、ペレットでも顆粒でもパウダー状でもよく、ポリアミド樹脂を用いて希釈したものが好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、押出機内で原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させる工程により十分に高分子量化することもできる。この場合、前記原料の(A)ポリアミド樹脂を押出機中で高分子量化させることができる観点より、(B)リン化合物としては、リン酸系化合物が好ましい。なかでも、無置換のオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸やその金属塩や塩基との塩が好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(B)リン化合物の含有量としては、ポリアミド樹脂1kg当りリン元素濃度として、0.5〜1000mmolである。(B)リン化合物が上記の範囲で含有されていると、ポリアミド樹脂組成物の成形時の離型性や色調などが良好になる傾向がある。なお、ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン化合物の含有量が、ポリアミド樹脂1kg当りリン元素濃度として、0.5mmol以上である場合、ポリアミド樹脂組成物の成形時の離型性や色調などが良好になる。一方で、ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン化合物の含有量が、ポリアミド樹脂1kg当りリン元素濃度として1000mmol以下であると、ポリアミド樹脂組成物の押出や成形などの溶融加工時にガスの発生などを抑制でき、溶融加工性が良好になる傾向がある。上記と同様の観点から、ポリアミド樹脂組成物中の(B)リン化合物の含有量は、ポリアミド樹脂1kg当りリン元素濃度として1〜500mmolであることが好ましく、より好ましくは2〜300mmolであり、さらに好ましくは3〜100mmolであり、さらにより好ましくは4〜50mmolであり、特に好ましくは5〜20mmolである。ポリアミド樹脂組成物に含有されているリン元素濃度は、種々の方法により測定することができる。例えば、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析などが挙げられる。具体的には、ポリアミド樹脂組成物中のリン元素濃度(質量%)をICP分析で求め、一方ポリアミド樹脂組成物中の灰分を例えばISO3451−4の規定に基づいて測定し、ポリアミド樹脂組成物から灰分を差し引いたものをポリアミド樹脂量として計算によりポリアミド樹脂組成物中のリン元素濃度(質量%)を求めることができる。リン元素濃度(質量%)はリン原子の原子量(30.97g/mol)を用いることで、リン元素濃度(mol%)に換算できる。
((C):金属元素)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、任意ではあるが(C)金属元素(以下、単に「(C)」と記載する場合がある。)を含有させることができる。(C)金属元素としては、特に限定しないが、例えば、周期律表第一族、第二族の金属元素やマンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムなどの金属元素を挙げることができる。
(C)金属元素としては、ポリアミド樹脂組成物が水などの液体に接触した際に、物性の低下をより抑制できる観点から、より好ましくは、周期律表第二族の金属元素やマンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、アルミニウムなどの金属元素であり、さらにより好ましくは、周期律表第二族の金属元素であり、さらにより一層好ましくは、マグネシウム、カルシウムであり、特に好ましくは、カルシウムである。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の好ましい含有量としては、前記ポリアミド樹脂1kg当り、0.5〜1000mmolである。ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量を上記の範囲とすることにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、熱滞留時のゲル化を抑制することができる。なお、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量がポリアミド樹脂1kg当り0.5mmol以上である場合、ポリアミド樹脂組成物の熱滞留時のゲル化を十分に抑制できる。一方で、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量がポリアミド樹脂1kg当り1000mmol以下であることにより、金属元素の添加量が適切で、ポリアミド樹脂組成物の強度の低下などを防止できる。上記と同様の観点から、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量はポリアミド樹脂1kg当り好ましくは、1〜500mmolであり、より好ましくは2〜300mmolであり、さらに好ましくは、3〜100mmolであり、さらにより好ましくは、4〜50mmolであり、特に好ましくは5〜20mmolである。また、(C)成分を(B)成分と意図的に反応をさせる場合には、(C)成分の含有量(モル)は、(B)成分のリン元素含有量(モル)以上とすることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物中に(C)金属元素を含有させる方法としては、特に限定はしないが、例えば、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する方法、(B)リン化合物の金属塩として添加する方法や、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加して、押し出しなどの溶融加工中に(B)リン化合物の全部または一部と(E)金属化合物を反応させて、(B)リン化合物の金属塩を生成させる方法などが挙げられる。
押出などで本実施形態のポリアミド樹脂組成物を製造する際に、原料として添加する(B)リン化合物が、水溶性の場合は、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加して、押し出しなどの溶融加工中に(B)リン化合物の全部または一部と(E)金属化合物を反応させて、より水溶性の低い(B)リン化合物の金属塩を生成させる方法が、ポリアミド樹脂組成物が水などの液体に接触した際に、液体中へのポリアミド樹脂組成物中のリン成分の溶出を抑制できる観点から好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、押出機内で原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させる工程により十分に高分子量化することもできる。この場合、前記原料の(A)ポリアミド樹脂を押出機中で(B)リン化合物によって、高分子量化させることができるが、ポリアミド樹脂組成物中では(B)リン化合物の高分子量化させる触媒効果を失活させることでポリアミド樹脂組成物の熱滞留時のゲル化を抑制できる観点から、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加して、押し出しなどの溶融加工中に(B)リン化合物の全部または一部と(E)金属化合物を反応させて、(B)リン化合物の金属塩を生成させる方法が好ましい。
この場合に添加する(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物としては、限定はされないが、金属ハロゲン化物、金属酸化物、金属水酸化物、及び金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらを選択する場合、より効率よく(B)成分の高分子量化させる触媒効果の失活でき、ポリアミド樹脂組成物の熱滞留時のゲル化を抑制できる傾向にある。上記した群の具体例としては、以下に限定されるものではないが、例えば、リチウムハロゲン化物(ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム)、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、ナトリウムハロゲン化物(ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム)、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、マグネシウムハロゲン化物(ヨウ化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム)、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、カリウムハロゲン化物(ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム)、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カルシウムハロゲン化物(ヨウ化カルシウム、臭化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム)、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、鉄ハロゲン化物(ヨウ化鉄、臭化鉄、塩化鉄、フッ化鉄)、酸化鉄、水酸化鉄、炭酸鉄、銅ハロゲン化物(ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅)、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、亜鉛ハロゲン化物(ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛)、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、アルミニウムハロゲン化物(ヨウ化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム)、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム等が挙げられる。上記(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)金属化合物としては、押出機や成形機等の加工機への腐食を低減させる観点から、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、臭化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カルシウム、臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ヨウ化鉄、臭化鉄、酸化鉄、水酸化鉄、炭酸鉄、ヨウ化銅、臭化銅、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ヨウ化アルミニウム、臭化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム等が好ましい。より好ましくは、ヨウ化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウム、ヨウ化ナトリウム、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ヨウ化カリウム、酸化カリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ヨウ化鉄、酸化鉄、水酸化鉄、炭酸鉄、ヨウ化銅、酸化銅、水酸化銅、炭酸銅、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム等が挙げられる。
前記(B)リン化合物を効率よく失活させる観点から、(E)金属化合物としては、さらに好ましくは、ヨウ化リチウム、酸化リチウム、ヨウ化ナトリウム、酸化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ヨウ化カリウム、酸化カリウム、ヨウ化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ化鉄、酸化鉄、水酸化鉄、ヨウ化銅、酸化銅、水酸化銅、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、さらにより好ましくは、ヨウ化リチウム、酸化リチウム、ヨウ化ナトリウム、酸化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ヨウ化カリウム、酸化カリウム、ヨウ化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが挙げられ、よりさらに好ましくは、ヨウ化カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
また、別の観点ではあり、上述しているが、ポリアミド樹脂組成物が水などの液体に接触した際に、液体中へのポリアミド樹脂組成物中のリン成分の溶出をより抑制できる観点から、(E)金属化合物としては、より好ましくは、周期律表第二族の金属元素を含む化合物であり、さらにより好ましくは、マグネシウムを含む化合物、カルシウムを含む化合物であり、特に好ましくは、カルシウムを含む化合物である。
(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する方法や(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加して、押し出しなどの溶融加工中に(B)リン化合物の全部または一部と(E)金属化合物を反応させて、(B)リン化合物の金属塩を生成させる方法などで本実施形態のポリアミド樹脂組成物を製造する際に、添加する(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物の添加量は、前記ポリアミド樹脂1kg当り金属元素として、0.5〜1000mmolであることが好ましい。ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量を上記の範囲とすることにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、熱滞留時のゲル化を抑制することができる。なお、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量がポリアミド樹脂1kg当り0.5mmol以上である場合、ポリアミド樹脂組成物の熱滞留時のゲル化を十分に抑制できる。一方で、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量がポリアミド樹脂1kg当り1000mmol以下であることにより、金属元素の添加量が適切で、ポリアミド樹脂組成物の強度の低下などを防止できる。上記と同様の観点から、ポリアミド樹脂組成物中の(C)金属元素の含有量はポリアミド樹脂1kg当り好ましくは、1〜500mmolであり、より好ましくは2〜300mmolであり、さらに好ましくは、3〜100mmolであり、さらにより好ましくは、4〜50mmolであり、特に好ましくは5〜20mmolである。
また、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する際は、(E)金属化合物をそのまま添加しても、マスターバッチ等の状態で添加してもよい。マスターバッチは、特に限定しないが、ペレットでも顆粒でもパウダー状でもよく、原料の(A)ポリアミド樹脂を用いて希釈したものが好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、押出機内で原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化させる工程により十分に高分子量化することもできる。この場合、前記原料の(A)ポリアミド樹脂を押出機中で(B)リン化合物によって、高分子量化させることができるが、ポリアミド樹脂組成物中では(B)リン化合物の高分子量化させる触媒効果を失活させることでポリアミド樹脂組成物の熱滞留時のゲル化を抑制できる観点から、原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練して、得られた混練物において、最初の脱揮を行った後に(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を、添加することが好ましい。但し、厳密には、原料の(A)ポリアミド樹脂中に金属化合物が混在している場合があり得るが、原料の(A)ポリアミド樹脂中の金属化合物の混在量が、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物の添加量に対して、少量である場合は、原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化への影響が阻害されないため、最初の脱揮を行う前に原料の(A)ポリアミド樹脂中に金属化合物が混在されていてもよい。最初の脱揮を行う前に原料の(A)ポリアミド樹脂中に混在しうる金属化合物成分の量としては、本実施形態の所望の効果を阻害しなければよいが、好ましくは金属化合物成分の当量として、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物成分の添加量の20%当量以下であることが好ましく、より好ましくは10%当量以下であり、さらに好ましくは5%当量以下であり、さらにより好ましくは1%当量以下である。
((D)成分:強化材)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、任意の成分として、(D)強化材(以下、単に「(D)成分」又は「(D)」と記載する場合がある。)を用いることができる。すなわち、本実施形態において、ポリアミド樹脂組成物が、(D)強化材をさらに含有することが好ましい。(D)強化材とは、材料の強度及び/又は剛性を向上させるものであれば、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母が挙げられる。これらの中でも、強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母。また、より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素が挙げられる。上記した(D)強化材は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のガラス繊維や炭素繊維のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3〜30μmであって、かつポリアミド樹脂組成物中において、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10〜100であるものがより好ましい。
また、上記のウォラストナイトのうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3〜30μmであって、かつポリアミド樹脂組成物中において、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比が3〜100であるものがより好ましい。
また、上記のタルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがより好ましい。
ここで、前記数平均繊維径及び重量平均繊維長に関しては、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の(D)強化材を任意に選択し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、これらの(D)強化材の繊維径を測定することにより数平均繊維径を測定することができ、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求めることができる。
前記(D)強化材は、シランカップリング剤等により表面処理を施してもよい。前記シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。中でも、アミノシラン類が好ましい。
また、前記ガラス繊維や炭素繊維については、さらに集束剤を含んでいてもよい。集束剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体のうち、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸や無水シトラコン酸が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
ここで、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。特にスチレンやブタジエンが好ましい。これらの組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、及び無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
また、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましい。また、ポリアミド樹脂組成物の流動性向上の観点から、より好ましくは2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜1,000,000である。なお、本明細書における重量平均分子量は、GPCにより測定した値である。
前記エポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド、エイコセンオキサイドなどの脂肪族エポキシ化合物;グリシド−ル、エポキシペンタノ−ル、1−クロロ−3,4−エポキシブタン、1−クロロ−2−メチル−3,4−エポキシブタン、1,4−ジクロロ−2,3−エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、エポキシ化シクロヘキセンメチルアルコールなどの脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイドなどのテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p−クロロスチレンオキサイド、m−クロロスチレンオキサイドなどの芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油;及びエポキシ化亜麻仁油が挙げられる。
前記ポリカルボジイミド化合物は、一以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物を縮合することにより得られる。
ポリカルボジイミド化合物の縮合度は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。ポリカルボジイミド化合物の縮合度が1〜20の範囲内にある場合、より良好な水溶液又は水分散液が得られる傾向にある。さらに、ポリカルボジイミド化合物の縮合度が1〜10の範囲内にある場合、より一層良好な水溶液又は水分散液が得られる傾向にある。
また、前記ポリカルボジイミド化合物は、部分的にポリオールセグメントを持つポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。ポリオールセグメントを持つことにより、ポリカルボジイミド化合物が水溶化し易くなる傾向にあり、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤として一層好適に使用可能となる傾向にある。
これらポリカルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物を3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド等の公知のカルボジイミド化触媒の存在下で脱炭酸反応させることによって得られる。ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、並びにそれらの混合物を用いることが可能である。以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。そして、これらのジイソシアネート系化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物が得られる。これらのうち、反応性向上の観点からジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好適に使用可能である。
前記末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物に対し、さらにモノイソシアネート化合物を等モル量カルボジイミド化させる方法、又はポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと等モル量反応させてウレタン結合を生成する方法等によって、末端にイソシアネート基を1つ有するポリカルボジイミド化合物が得られる。前記モノイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネートやシクロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルやポリエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂は、集束剤として一般的に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)やイソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるものが好適に使用できる。
前記アクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)としては、重量平均分子量が1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
前記アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する、前記アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。なお、前記その他の共重合性モノマーは、上記モノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のポリマー(ホモポリマー及びコポリマーのいずれも含む。)は、塩の形態であってもよい。アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に限定されるものではないが、第一級、第二級又は第三級のアミン塩が挙げられる。以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤など)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲であることが好ましい。ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、ポリアミド樹脂組成物とした際の機械的特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。
ガラス繊維や炭素繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維や炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いて、ガラス繊維や炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することによって連続的に反応させることにより得られる。前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。かかる集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%付与(添加)する。ガラス繊維や炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維または炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、またはストランドを乾燥した後に切断してもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物における、(D)強化材は任意成分であるため、その含有量としては特に限定はされないが、ポリアミド樹脂100質量部に対して、(D)強化材10〜250質量部であることが好ましい。(D)強化材の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して10質量部以上である場合、より優れた強度の向上効果が得られる傾向にある。また、(D)強化材の含有量をポリアミド樹脂100質量部に対して250質量部以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の押出工程でより良好な製造性が得られる傾向にある。上記と同様の観点から、(D)強化材の含有量はポリアミド樹脂100質量部に対して好ましくは20〜150質量部であり、より好ましくは25〜100質量部であり、さらに好ましくは30〜60質量部である。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、例えば下記一般式で示されるアパタイト型化合物の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.3質量部以下が好ましい。
(A)10-z(HPO4z(PO46-z(X)2-z・nH2
ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは金属元素であり、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物である。
アパタイト型化合物の合成は、例えば、水酸化カルシウムとリン酸などとを約pH8の水溶液中で反応させる湿式法、リン酸一水素カルシウムなどを約200℃、1.47MPa(ゲージ圧)の高温高圧条件下で行う水熱法などが用いられている。
アパタイト型化合物の確認はポリアミド樹脂組成物などの広角X線回折を測定して確認することができる。また、ポリアミド樹脂組成物をフェノールなどのポリアミドが可溶な溶媒に浸し、ポリアミド樹脂を溶出し、残った分離成分の広角X線回折を測定して確認することもできる。より具体的に説明すると、X線の線源として、銅Kα(波長λ=0.1542nm)を用いて、前記分離成分の広角X線回折を測定し、回折角(2θ)が25.5〜26.5度に(002)面ピークが存在し、さらに回折角(2θ)が32.5〜33.5度に(300)面ピークが存在することを確認すればよい。
また、アパタイト型化合物の含有量は、上記の定性確認で、アパタイト型化合物の存在確認を行ってから、例えば、ポリアミド樹脂組成物などをJIS R3420に従って強熱減量(Ig.loss)を測定し、その重量減少量から求めることができる。具体的には、ポリアミド樹脂組成物を十分乾燥した後、白金皿に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含有量を定量する。
ポリアミド樹脂組成物は、アパタイト型化合物の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して0.3質量部以下の場合には、成形時の離型性、靭性(引張伸び)が、十分に発揮できる。本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、アパタイト型化合物の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以下、より好ましくは0質量部である。すなわち、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、X線回折測定において、アパタイト型化合物由来の回折角(2θ)25.5〜26.5度及び32.5〜33.5度にピークを示さないことが好ましい。
(ポリアミド樹脂組成物に含まれうる他の成分)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、必要に応じ、本実施形態の目的を損なわない範囲で、上述した成分以外のその他の成分を含有させることができる。当該その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、他のポリマーや原料の(A)ポリアミド樹脂に用いられる通常の添加剤、例えば、成形性改良剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤等が挙げられる。
前記他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、(変性)ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
前記成形性改良剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記高級脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、及びモンタン酸等の炭素数8〜40の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、ステアリン酸、モンタン酸が好ましい。
前記高級脂肪酸金属塩とは、高級脂肪酸の金属塩である。金属塩を構成する金属元素としては、元素周期律表の第1、第2、第3族元素、亜鉛、及びアルミニウム等が好ましく、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等がより好ましい。前記高級脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、モンタン酸の金属塩及びステアリン酸の金属塩が好ましい。
前記高級脂肪酸エステルとは、高級脂肪酸とアルコールとのエステル化物である。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、炭素数8〜40の脂肪族カルボン酸と、炭素数8〜40の脂肪族アルコールとのエステルが好ましい。ここで、高級脂肪酸としては、上述したものを使用できる。脂肪族アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
前記高級脂肪酸アミドとは、高級脂肪酸のアミド化合物である。高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。これらの中でも、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド、N−ステアリルエルカ酸アミドがより好ましい。
これらの高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミドは、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ニグロシン等の染料、酸化チタン及びカーボンブラック等の顔料;アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、及びチタン等の金属粒子;マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、及びカラーガラスフレーク等のメタリック顔料等が挙げられる。
前記難燃剤としては、溶融加工時のガス発生抑制や成形加工時の金型へのモールドデポジット抑制の観点から、非ハロゲン系難燃剤、臭素系難燃剤が好ましい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、赤リン、リン酸アンモニウム、あるいはポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズ、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛等の金属水酸化物あるいは無機金属化合物の水和物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム等のホウ酸化合物等の無機化合物系難燃剤、メラミン、メラム、メレム、メロン(300℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂等のトリアジン系難燃剤、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ等のシリコーン系難燃剤等が挙げられる。
前記臭素系難燃剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体及び臭素系架橋芳香族重合体からなる化合物類から選ばれる少なくとも1種の難燃剤が挙げられる。三酸化アンチモンなどの難燃助剤も併用できる。
前記可塑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素化合物、ポリエチレンワックス、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
前記安定剤としては、熱劣化、熱時の変色防止、耐熱エージング性、耐候性の向上等を目的として、劣化抑制剤を含んでもよい。
前記劣化抑制剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅やヨウ化銅等の銅化合物や、ヒンダードフェノール化合物等のフェノール系安定剤;ホスファイト系安定剤:ヒンダードアミン系安定剤;トリアジン系安定剤;イオウ系安定剤等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
前記結晶核剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、窒化ホウ素やタルクなどが挙げられる。
(リン元素濃度保持率) 本実施形態のポリアミド樹脂組成物(以下、単に「組成物」とも記す)は、80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されている。このことについて以下説明する。
組成物を80℃の水中に24時間浸した後に、組成物を取り出し、その組成物中のリン元素を定量し、初期(前記浸漬処理前)の組成物のリン元素濃度をP0、前記浸漬処理後の組成物のリン元素濃度をP1とした時に以下の式(1)でリン元素濃度保持率(%)を求めることができる。
Figure 2016108539
浸漬試験の例について以下説明する。組成物のペレットを冷凍粉砕により粉末状にして、その時点での組成物中のリン元素濃度を測定する(P0)。その粉末1.0gを80℃の水(蒸留水)50mLを入れた容器に入れ、蓋をして水温80℃を24時間維持する。その後、濾過により組成物粉末を濾別し、乾燥した粉末のリン元素濃度を測定する(P1)。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、前記浸漬処理後のリン元素濃度保持率は、55〜100%であることが好ましく、58〜98%であることがより好ましく、60〜97%であることがよりさらに好ましく、63〜96%であることがよりさらにいっそう好ましく、65〜95%であることが特に好ましい。本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、前記浸漬処理後のリン元素濃度保持率が前記範囲内であると、水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制することができる(保持率を高くできる)。
前記浸漬処理後のリン元素濃度保持率が前記範囲内であるポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂に対する(B)リン化合物の含有量を上述した範囲に制御する方法が挙げられ、(C)金属元素を含有させる場合は、(C)金属元素の含有量を上述した範囲に制御する方法や(C)金属元素の種類を適宜選択する方法等が挙げられる。(C)金属元素の種類としては、好ましくは、周期律表第二族の金属元素であり、より好ましくは、マグネシウム、カルシウムであり、特に好ましくは、カルシウムである。また、ポリアミド樹脂組成物の製造する際の条件によっても前記浸漬処理後のリン元素濃度保持率を前記範囲内に制御することができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、押出などでポリアミド樹脂組成物を製造する際に、原料として添加する(B)リン化合物が、水溶性の場合、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加して、押し出しなどの溶融加工中に(B)リン化合物の全部または一部と(E)金属化合物を反応させて、より水溶性の低い(B)リン化合物の金属塩を生成させる方法が挙げられる。
(ポリアミド樹脂組成物の製造方法)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定はされないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(1)原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを押出機などで溶融混練したものを固相重合などにより高分子量化する方法。
(2)予め高分子量化させた原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを押出機などで溶融混練する方法。
(3)原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを押出機などで溶融混練し、該溶融混練とともに原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化も同時に行う方法。(触媒高分子量化押出法)。
なかでも、押出機のモーターへの負荷を低減して、吐出量を大きくして効率よくポリアミド樹脂組成物を生産したい場合は、上記(1)や(3)の方法が好ましい。また、(B)リン化合物の混練と原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化を同時にできる上記(3)の方法が工程を少なくできる点や色調が好ましい傾向にある点でより好ましい。
また、別の観点ではあるが、ポリアミド成形用材料は、成形性をよりよくする観点では、固相重合以外の方法が好ましい。
上記(3)の触媒高分子量化押出法については、例えば、原料の(A)ポリアミド樹脂と高分子量化効果のある(B)リン化合物とを混練し、脱揮を行い高分子量化させる方法などが挙げられる。
任意成分であるが、(C)金属元素として(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する際には、限定はされないが原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、脱揮した後にサイドフィードなどにより、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する方法が、原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化が効率よく達成できる傾向にあり好ましい。
脱揮とは、減圧操作であり、例えば、押出機(溶融混練装置)内で減圧装置に接続されて押出機内のある領域を減圧装置と同程度の減圧度とする操作である。前記脱揮される領域は、押出機の壁面、押出機が具備する撹拌装置や充満している樹脂等の材料などにより密閉状態となっている。従って、押出機の途中で脱揮領域を設ける場合は、脱揮領域の前後を充満樹脂により密閉(シール)することが好ましい。例えば、順回転及び逆回転のスクリュー(ニーディング)パーツを押出機内に組み込み、原料の(A)ポリアミド樹脂等の流れを少し阻害することによって、密閉することができる。
脱揮(減圧)処理を設けることは、押出機内で発生するガスや原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化反応(脱水縮合反応)の際に生成する水をポリアミド樹脂の系中から効率的に除去する観点から好ましい。また、このようにして水を除去することで、原料の(A)ポリアミド樹脂の解重合の平衡反応を一層重合方向へ傾けることができ、(B)成分の高分子量化効果との相乗効果により、原料の(A)ポリアミド樹脂の高分子量化がさらに一層促進される傾向にある。
上記減圧度とは、大気圧を基準とし、脱揮領域の圧力と大気圧との差を意味する。例えば、減圧度0.02MPaとは、大気圧が0.1013MPaのとき、0.1013−0.02=0.0813MPaの絶対圧を示す。
溶融混練時の減圧度としては、0.02MPa以上とすることが好ましい。0.02MPa以上にすることで、水の除去速度(除去能力)を高められる傾向にある。そのため、原料の(A)ポリアミド樹脂の十分な高分子量化を実現できる傾向にある。また、減圧装置(真空ポンプなど)の最大限(減圧度0.1013MPa)まで減圧することができる傾向にある。長期間安定した減圧度を維持することを優先する際には、減圧度0.1MPa以下が好ましい。溶融混練時の減圧度は、好ましくは、0.02MPa以上0.1MPa以下であり、さらに好ましくは、0.04MPa以上0.097MPa以下であり、よりさらに好ましくは、0.05MPa以上0.095MPa以下であり、特に好ましくは、0.06MPa以上0.093MPa以下である。
上記減圧度は、減圧装置(真空ポンプなど)から押出機の脱揮領域に接続される部位までの任意の位置に減圧度計(差圧計)や真空計などを取り付けることにより、測定し、管理することができる。
減圧度を測定し、管理する際には、例えば、減圧装置(真空ポンプなど)から押出機の脱揮領域に接続される部位までの任意の位置に弁又は弁付空気吸引ノズルを設置するのが好ましい。この場合、この弁の開閉操作を行うことにより減圧度の調整を容易に行うことができる傾向にある。
これらの理由より、上記(3)の触媒高分子量化押出法については、一以上の脱揮領域を具備する押出機を用い、前記原料の(A)ポリアミド樹脂と前記(B)リン化合物とを混練して混練した後に脱揮を行うことが好ましい。また、任意成分の(C)金属元素として(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加させる際には、前記原料の(A)ポリアミド樹脂と前記(B)リン化合物とを混練して混練した後に脱揮を行い、押出機の最初の脱揮領域を経由した後に、得られた混練物に(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する態様とすることが好ましい。この場合、簡便に効率よく原料の(A)ポリアミド樹脂を高分子量化することが可能となる傾向にある。
減圧装置(真空ポンプなど)から溶融混練部の間に、ベントガス中のドレンを貯めるドレンポットを設置することができる。ベントポットを設置している場合、空気吸引ノズルをベントポットに取り付けることも可能である。
脱揮領域は、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加する前に少なくとも一度は経る方が好ましいが、(最初の脱揮領域)、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加した後に脱揮領域を設けても設けなくても構わない。押出の溶融樹脂のストランドのガス成分を除去して、ストランドの引取り性を向上させる観点より(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物添加後にも、脱揮領域を設ける方が好ましい。すなわち、本実施形態において、(B)リン化合物とは別の(E)金属化合物を添加した後にも、再度の脱揮を少なくとも1回行うことがより好ましいといえる。
溶融混練を行う装置としては、公知の装置を用いることができる。例えば、単軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどの溶融混練機などが好ましく用いられる。この中でも脱揮機構(ベント)装置及びサイドフィーダー設備を装備した多軸押出機が好ましく、より好ましくは二軸押出機が用いられる。
押出機で溶融混練する工程において、押出での樹脂温度、減圧度、平均滞留時間などの混練条件を適宜設定することでポリアミド樹脂の分子量を調節し、高分子量化できる。
溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度としては、原料の(A)ポリアミド樹脂の融点以上380℃以下とすることが好ましい。例えば、原料の(A)ポリアミド樹脂として、融点264℃のポリアミド66を用いる場合は、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を、264℃以上380℃以下とすることが好ましい。溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を、上記のように原料の(A)ポリアミド樹脂の融点以上にすることで、原料の(A)ポリアミド樹脂の溶融が十分になり押出機モーターへの負荷を低減できる傾向にある。また、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を380℃以下にすることで原料の(A)ポリアミド樹脂自体の分解を抑制できる傾向にある。上記した観点から、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度は、より好ましくは(原料の(A)ポリアミド樹脂の融点+5)℃以上370℃以下であり、さらに好ましくは、(原料の(A)ポリアミド樹脂の融点+10)℃以上360℃以下であり、さらにより好ましくは、(原料の(A)ポリアミド樹脂の融点+15)℃以上355℃以下であり、よりさらに好ましくは(原料の(A)ポリアミド樹脂の融点+20)℃以上350℃以下である。例えば、融点264℃のポリアミド66を原料の(A)ポリアミド樹脂として用いる場合は、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を、264℃以上380℃以下とすることが好ましい。原料の(A)ポリアミド樹脂として融点264℃のポリアミド66を用いる場合、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を264℃以上にすることで、ポリアミド66の溶融が十分になり押出機モーターへの負荷を低減できる傾向にある。また、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度を380℃以下にすることでポリアミド66自体の分解を抑制できる傾向にある。上記した観点から、溶融混練時のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度は、より好ましくは270℃以上370℃以下であり、さらに好ましくは275℃以上360℃以下であり、さらにより好ましくは280℃以上355℃以下であり、よりさらに好ましくは285℃以上350℃以下である。ポリアミド66以外のポリアミド樹脂を原料の(A)ポリアミド樹脂として使用する場合でも、その融点に応じて適宜調整することができる。
上記ポリアミド樹脂組成物の樹脂温度は、例えば、押出機の吐出口(紡口)に出てきた溶融状態のポリアミド樹脂組成物に熱電対などの温度計を直接接触させて測定することができる。ポリアミド樹脂組成物の樹脂温度の調整は、押出機のシリンダーのヒーター温度による調整や、押出機の回転数、吐出量を変更することによる樹脂の剪断発熱量を適宜調整することで可能である。
溶融混練時の平均滞留時間は、10秒以上120秒以下が好ましい。溶融混練時の平均滞留時間が10秒以上であれば、本実施形態の所望のポリアミド樹脂組成物がより効率的に得られる傾向にある。また、溶融混練時の平均滞留時間を120秒以下にすることで、押出の吐出速度(生産速度)がある程度上がる傾向にある。その結果、ポリアミド樹脂組成物の生産性も良好になる傾向にある。上記の観点から、溶融混練時の平均滞留時間は、より好ましくは20秒以上100秒以下であり、さらに好ましくは25秒以上90秒以下であり、さらにより好ましくは、30秒以上80秒以下であり、よりさらに好ましくは、35秒以上70秒以下である。
平均滞留時間とは、溶融混練装置内での滞留時間が一定の場合はその滞留時間を意味し、滞留時間が不均一な場合は最も短い滞留時間と最も長い滞留時間との平均値を意味する。溶融混練中の着色剤マスターバッチなど本実施形態に用いる原料の(A)ポリアミド樹脂とは色の異なる樹脂など、本実施形態に用いる原料の(A)ポリアミド樹脂とは区別できる樹脂など(以下、Xとも略記する)を溶融混練装置に添加し、Xの最も濃い状態での排出開始時間と排出終了時間とを計測し、排出開始時間と排出終了時間とを平均することにより、平均滞留時間を測定することができる。なお、上記平均滞留時間は、押出機の吐出量(吐出速度)や回転数によって適宜調整できる。
〔ポリアミド樹脂組成物〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、例えば、上述のポリアミド樹脂組成物の製造方法により得られる。このようにして得られた本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、原料の(A)ポリアミド樹脂が高分子量化されているだけでなく、十分な引張強度を確保しつつ優れた引張伸びを発揮すると共に熱滞留時のゲル化が抑制される。そのため、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、発泡成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法を用いて良好に成形加工することができる傾向にある。
〔ポリアミド成形用材料〕
本実施形態のポリアミド成形用材料は、上述のポリアミド樹脂組成物からなる成形用の材料である。当該成形用の材料の形態としては、特に限定されないが、例えば、上述のポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練して得られるペレット等が挙げられる。また、ペレット以外の形態としては、例えば、顆粒、パウダーが挙げられる。
本実施形態のポリアミド成形用材料は、上述のポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド成形用材料であり、示差走査熱量計(DSC)の融解熱量測定において、1回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH1(J/g)と、2回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH2(J/g)との差(ΔH1−ΔH2)が10J/g以下である。前記融解熱量差(ΔH1−ΔH2)は、−30〜10J/gであることが好ましく、−25〜9J/gであることがより好ましく、−20〜8J/gであることがよりさらに好ましく、−15〜7J/gであることが特に好ましい。前記融解熱量差(ΔH1−ΔH2)が前記範囲内であると、ポリアミド成形用材料は、成形時の可塑化時間の短縮と安定化とが両立できる。
前記融解熱量差(ΔH1−ΔH2)が前記範囲内であるポリアミド成形用材料を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、溶融したポリアミド樹脂組成物を水などで急冷する方法が挙げられる。
特に、本実施形態のポリアミド成形用材料は、原料の(A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、前記混練物において、最初の脱揮を行った後に、(C)金属化合物を添加する、製造方法により得られることが好ましい。
なお、本実施形態において、前記融解熱量差(ΔH1−ΔH2)は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
〔成形体〕
本実施形態の成形体は、上述のポリアミド樹脂組成物及び/又はポリアミド成形用材料を含む。そのため、本実施形態の成形体は、高い衝撃強度をもち、かつ水などの液体に接触した際の物性の低下を抑制でき、さらに色調、表面外観、耐熱変色、耐候性、耐熱エージング性、耐光性、耐薬品性などに優れる。そのため、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品、各種ギア、押出用途などの各種部品への応用が期待される。
以下、本実施形態を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本実施形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例に用いられる原材料及び評価方法は、以下のとおりとした。
[原材料]
(A)ポリアミド樹脂
PA66−1 下記製造例1にて製造した粘度数[VN]:141mL/g、水分率:0.08質量%のPA66−1
PA66−2 下記製造例2にて製造した粘度数[VN]:134mL/g、水分率:0.08質量%のPA66−2
(B)リン化合物
リン酸 和光純薬工業(株)製 商品名 リン酸(85%水溶液)
SHP 和光純薬工業(株)製 商品名 ホスフィン酸ナトリウム一水和物(別名:次亜リン酸ナトリウム)
リン酸Ca 和光純薬工業(株)製 商品名 リン酸一水素カルシウム(二水和物)
リン酸K 和光純薬工業(株)製 商品名 リン酸水素二カリウム
(E)金属化合物 KI 東京化成工業(株)製 商品名 ヨウ化カリウム
CaO 和光純薬工業(株)製 商品名 酸化カルシウム
Ca(OH)2 和光純薬工業(株)製 商品名 水酸化カルシウム
MgO 和光純薬工業(株)製 商品名 酸化マグネシウム
Mg(OH)2 和光純薬工業(株)製 商品名 水酸化マグネシウム
(D)強化材 GF(ガラス繊維) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 平均繊維径(平均粒径)10μm(真円状)、カット長3mm
(1)粘度数
<1−1>粘度数:VN(mL/g)
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ISO307(JIS−K6933)に準じて、粘度数を測定した。より詳細には、25℃において96%濃度の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5質量%溶液で測定した。また、GFなどの強化材を含む際には、予めポリアミド樹脂組成物中の灰分率を例えばISO3451−4の規定に基づいて測定し、灰分率を差し引いたポリアミド樹脂率を用いることで、樹脂組成物からポリアミド樹脂量を算出した。
<1−2>ギ酸相対粘度(RV)
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ギ酸相対粘度(RV)は、ポリアミド樹脂組成物をギ酸に加えた溶液の粘度とギ酸自身の粘度とを比較することによって得た。具体的な測定方法については、ASTM−D789に準拠して実施するものとした。より詳細には、90質量%ギ酸(10質量%水)にポリアミド樹脂を8.4質量%になるように溶解させた溶液を用いて、25℃で測定したRV値を採用した。また、GFなどの強化材を含む際には、予めポリアミド樹脂組成物中の灰分率を例えばISO3451−4の規定に基づいて測定し、灰分率を差し引いたポリアミド樹脂率を用いることで、樹脂組成物からポリアミド樹脂量を算出した。
(2)水分率の測定(質量%)
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、ISO 15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計(三菱化学アナリテック社製 電量滴定方式微量水分測定装置CA−200型)を用いてペレット中の水分率(質量%)を測定した。
(3)融解熱量差(J/g) 融解熱量差(J/g)は以下の式(2)で求めた。
Figure 2016108539
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて各融解熱量を測定(以下「DSC測定」とも記す。)した。当該DSC測定は、窒素雰囲気下で行った。また、後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレット(ポリアミド成形用材料)約10mgを試料として用いた。具体的には、前記DSC測定において、まず、試料を、昇温速度20℃/分で25℃からポリアミド樹脂の融点+約30℃(例えば、PA66では294℃)まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)でのピーク面積より、1回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH1(J/g)を求めた。次に、1回目の昇温時の最高温度で3分間保ってポリアミド樹脂を一度完全に溶融状態とした後、試料を降温速度20℃/分で25℃まで降温し、25℃で3分間保持した。その後、再度、試料を昇温速度20℃/分で同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)でのピーク面積より、2回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH2(J/g)を求めた。
ポリアミド成形用材料中にポリアミド樹脂以外の成分(例えば、(D)強化材等)を含有している場合には、まず、上記と同様の方法でポリアミド成形用材料1g当たりの各融解熱量ΔH1’及びΔH2’を求めた。このポリアミド成形用材料1g当たりのΔH1’及びΔH2’から、ポリアミド樹脂1g当たりの各融解熱量ΔH1及びΔH2を以下のとおり換算して求めた。具体的には、ポリアミド成形用材料中のポリアミド樹脂以外の成分(例えば、(D)強化材等)の含有量を「Y質量%」とした場合、ポリアミド樹脂の含有量は「(100−Y)質量%」となるので、例えば、ポリアミド樹脂1g当たりのΔH1=ポリアミド成形用材料1g当たりのΔH1’×(100/100−Y)として換算を実施した。なお、ポリアミド樹脂1g当たりのΔH2も同様にして算出した。
(4)リン元素濃度保持率(%)
リン元素濃度保持率(%)は以下の式(3)で求めることができる。
Figure 2016108539
<4−1>水中浸漬処理
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを冷凍粉砕により粉末状にした。この時点でのポリアミド樹脂組成物中のリン元素濃度の測定を行った(初期リン元素濃度:P0)。その粉末1.0gを80℃の水(蒸留水)50mLを入れた容器に入れ、蓋をして水温80℃を24時間維持した。その後、濾過によりポリアミド樹脂組成物粉末を濾別し、乾燥した粉末中のリン元素濃度を測定した(浸漬処理後のリン元素濃度:P1)。
<4−2>リン元素濃度測定[P](質量ppm)
上記ポリアミド樹脂組成物の粉末0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解した。該分解後の溶液について、冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。該濃縮後の溶液について、再び冷却し、純水を加えて500mlとした。得られた水溶液について、測定装置としてThermo Jarrell Ash製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析を行うことにより、波長213.618(nm)にて組成物中のリン元素濃度[P]を定量した。
リン元素の定量は、装置としてThermoJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)にて定量した。その他の金属元素も同様にして、それぞれの特性波長で定量した。
(5)アパタイト型化合物の確認
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物を用い、組成物中のアパタイト型化合物の確認を以下のとおり行った。ポリアミド樹脂組成物10gを秤量し、90質量%フェノール200mLと混合し、40℃で2時間攪拌し、混合物を得た。該混合物について、遠心分離器〔国産遠心器(株)製H103RLH〕を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。さらに上澄み溶媒を除去した混合物に200mLのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行った。引き続き、得られた混合物に99.5質量%エタノール200mLを加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。この操作をさらに4回繰り返した後、減圧乾燥器中で80℃で12時間乾燥し、不溶物を得た。
得られた不溶物のX線回折を測定した。測定条件は以下の通りであった。
X線:銅Kα 波数:0.1542nm 管電圧:40KV 管電流:200mA 走査速度:4deg./分 発散スリット:1deg. 散乱スリット:1deg. 受光スリット:0.15mm
回折角(2θ)25.5〜26.5度及び32.5〜33.5度にピークがある場合は、ポリアミド樹脂組成物中にアパタイト型化合物が含有すると判断して、表1中に「有」と記載し、当該ピークがない場合はポリアミド樹脂組成物中にアパタイト型化合物が含有しないと判断して、表1中に「無」と記載した。
また、ポリアミド樹脂組成物中にアパタイト化合物が含有する場合は、ポリアミド樹脂組成物を100±20℃で8時間乾燥後、白金皿に1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含有量を定量し、ポリアミド樹脂100質量部に対してのアパタイト型化合物の量(質量部)をカッコ内に記載した。
(6)引張強度保持率(%)
引張強度保持率(%)は以下の式(4)で求めることができる。
Figure 2016108539
<6−1>引張試験片製造
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを用い、射出成形機を用いて、JIS−K7139に準拠し、以下のとおり小型引張試験片(タイプCP13)(3mm厚)を製造した。射出成形装置として日精樹脂工業(株)社製PS40Eを用い、上記小型引張試験片2個取りの金型を取り付けた。なお、シリンダー温度はポリアミド樹脂の融点+約20℃(例えば、PA66では284℃)、金型温度80℃に設定した。さらに、射出10秒、冷却7秒、可塑化量30mm(クッション量約10mm)の射出成形条件で、ポリアミド樹脂組成物ペレットからダンベル状の小型引張試験片を得た。
<6−2>吸水処理
<6−1>で得られた試験片を80℃の水(蒸留水)を入れた容器に入れ、試験片全体が水中に浸る状態にして、蓋をして水温80℃を24時間維持した。その後、試験片を取り出し、試験片表面の付着水をふき取り、23℃、50RH%の環境下に30分静置した。当該静置後の試験片を吸水引張強度測定用試験片とした。
<6−3>引張強度(MPa)
<6−1>で得られた試験片そのままの乾燥した状態の引張強度(引張強度)、及び、<6−2>の吸水処理を実施したもの(吸水引張強度測定用試験片)の引張強度(吸水引張強度)を測定した。ここで、チャック間距離30mm、引張速度5mm/分の条件で、ダンベルの引張強度を測定した。
(7)成形性(可塑化平均時間(秒)、可塑化最大−最小差(秒))
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレット(ポリアミド成形用材料)から、射出成形装置を用いて、JIS−K7139に準拠し、小型引張試験片(タイプCP13)(3mm厚)を作製した。射出成形装置として日精樹脂工業(株)社製PS40Eを用い、該射出成形装置に上記試験片2個取りの金型を取り付けた。なお、シリンダー温度はポリアミド樹脂の融点+約15℃(例えば、PA66では279℃)に設定し、金型温度は80℃に設定した。さらに、射出:10秒、冷却:7秒、可塑化量:30mm(クッション量約10mm)の射出成形条件とした。
この射出成形において、最初の20ショットの成形は成形サイクルを安定化させるための成形として評価から除外し、21ショットから50ショットまでの合計30ショットの成形について、ポリアミド成形用材料の可塑化時間を記録した。この30ショットの可塑化時間の平均を可塑化平均時間(秒)とし、また可塑化時間の最大値と最小値との差を可塑化最大−最小差とした。可塑化平均時間が小さいほど、ポリアミド成形用材料の可塑化が容易であることを示し、成形時間を短縮するうえで良好といえる。また、可塑化最大−最小差が小さいほど、1ショットごとのポリアミド成形用材料の可塑化が安定しており、品質上のバラつきも小さくなる傾向があり良好であることを示す。
(8)シャルピー衝撃強度(kJ/m2
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットから、射出成形機を用いて、ISO 3167に準拠し、多目的試験片(4mm厚)を作製した。射出成形装置として日精樹脂工業(株)社製PS40Eを用い、該射出成形装置に上記試験片2個取りの金型を取り付けた。なお、シリンダー温度はポリアミド樹脂の融点+約30℃(例えば、PA66では294℃)に設定し、金型温度は80℃に設定した。さらに、射出:25秒、冷却:15秒、可塑化量:90mm(クッション量約10mm)の射出成形条件とした。
ここで得られた成形体(多目的試験片(4mm厚))を用いて、ISO−179に準じて、ノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。
(9)成形機滞留時ゲル化
上記(8)と同様に非強化及び強化での成形体の製造を行った。なお、シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+約40℃(例えば、PA66を用いた場合は、304℃)に設定し、可塑化量90mmの射出成形条件とした。可塑化後に30分間熱滞留させた後に、2ショット成形し、2ショット目の試験片を3〜5mm片程度に切り、評価用の試験片を得た。この評価用の試験片を25℃において96%濃度の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5質量%溶液になるように溶解させた。硫酸に溶けない部分や膨潤した部位があり、完全に溶解しない場合はゲル化しているものと判断した。
(ゲル化の評価基準)
○:硫酸に溶解した。
×:硫酸に溶解しなかった、または膨潤する部位が存在した(ゲル化)。
(10)CuI/KIとの混合による着色有無
ヨウ化カリウム(KI):85重量%、ヨウ化銅(CuI):5重量%、モンタン酸カルシウム:10重量%を撹拌混合した後、顆粒状造粒物を作成した。ペレット状のポリアミド樹脂(下記製造例1で得られたPA66−1又は下記製造例2で得られたPA66−2):70重量%とヨウ化カリウム/ヨウ化銅/モンタン酸カルシウムの顆粒状造粒物:30重量%とをタンブラー型ブレンダーにて混合した。得られた混合物を二軸押出機により溶融混練し、ポリアミド樹脂マスターバッチペレットを得た。
後述する実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットとこのマスターバッチペレットとを質量比(各例で得られたペレット:マスターバッチペレット)で98:2でブレンドして、得られた混合物を用いて上記(8)と同じように成形を実施した。
この時に、成形体について紫色の変色(着色)の有無を確認した。
○:紫色への変色は確認されなかった。
×:紫色への変色が確認された。
[ポリアミド樹脂(PA66−1)の製造例1]
40Lのオートクレーブ内で、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当量塩の50%水溶液を用いて、公知の方法でポリアミド樹脂を溶融重合した。また、溶融ポリアミド樹脂をオートクレーブ下部ノズルからストランド状に取り出し、水で冷却固化して、ストランドカッターでペレット化した。このポリアミド樹脂ペレットの粘度数(VN)は141(mL/g)であり、水分率は0.08質量%であった。
[ポリアミド樹脂(PA66−2)の製造例2]
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当量塩の50%水溶液を冷却し、析出した塩を取り出し、80℃で真空乾燥して、固体塩を用意した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との当モル固体塩3000gと、リン酸Ca10.5gとをヘンシェルミキサーでよく撹拌し、5Lのオートクレーブ十分窒素で置換した後、圧力をゲージ圧にして0.49MPaに設定し、温度を室温から190℃まで昇温し、その状態を2時間保った。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして1.47MPaになる。引き続き圧力を0.049MPaまで減圧し、温度を240℃に昇温し、その状態を8時間保った。この一連の操作において、圧力を0.049MPaに保つために、生成する水は分縮器により除去した。冷却後、オートクレーブを開け、ポリマーを取出し粉砕した。粉砕したポリマーは、80℃の窒素気流中で24時間乾燥した。その後、小型2軸押出機(東洋精機(株)製ラボプラストミルME型)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpm、押出レート4kg/時間の条件でペレットにした。
得られたペレットは、PA66−2の重合と同時に形成されたアパタイト型化合物(リン酸カルシウム)を含有したペレットであり、ポリアミド樹脂1kgあたり、リン元素23.6mmol、カルシウム元素23.6mmolを含有していた。
[比較例1]
押出機上流のバレル上面(トップの位置)にトップ供給口(以下top−Fと略記)を有し、下流のバレル側面に2つの供給口と上面に2つの減圧口を備えた二軸押出機(COPERION社製ZSK25)を用いた。側面の供給口はそれぞれ上流側から第一供給口(以下side1と略記)及び第二供給口(以下side2と略記)であり、上面の減圧口は、上流側から第一減圧口(以下vent1と略記)及び第二減圧口(以下vent2と略記)であった。また、上流からside1、vent1、side2、vent2の順に設置し、各減圧口の前後は、逆回転ニーディングディスクなどを組み込んだスクリューで各脱揮領域の前後を樹脂シールできるようにした。
PA66−1:100質量部に対して、リン酸85%水溶液0.115質量部、即ちリン酸:0.098質量部(リン元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg)をあらかじめPA66−1ペレットに添着したブレンド物を用意した。top−FからPA66−1とリン酸とのブレンド物を供給し、side1からGFをPA66−1:100質量部に対して、33質量部になるように供給して、スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度300℃、押出レートは20kg/hr、vent1、vent2の減圧度を0.085MPaで溶融混練を行った。この際、先端ノズル付近の樹脂温度は315℃、平均滞留時間は55秒であった。以上の条件下、先端ノズルからストランド状にポリアミド樹脂組成物を排出し、水冷及びカッティングを行って、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
PA66−1:100質量部に対して、KIを0.287質量部、即ちKI(カリウム元素濃度:17.3mmmol/ポリアミド樹脂1kg)をside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例1]
PA66−1:100質量部に対して、CaOを0.0112質量部、即ちCaO(カルシウム元素濃度:2.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)をside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜実施例5]
CaOの添加量を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
PA66−1:100質量部に対して、CaOを0.0561質量部、即ちCaO(カルシウム元素濃度:10.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)と、KIを0.287質量部、即ちKI(カリウム元素濃度:17.3mmmol/ポリアミド樹脂1kg)とをside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
PA66−1:100質量部に対して、Ca(OH)2を0.0741質量部、即ちCa(OH)2(カルシウム元素濃度:10.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)をside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
PA66−1:100質量部に対して、MgOを0.0403質量部、即ちMgO(マグネシウム元素濃度:10.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)をside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
PA66−1:100質量部に対して、Mg(OH)2を0.0583質量部、即ちMg(OH)2(マグネシウム元素濃度:10.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)をside2から供給する以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
PA66−1:100質量部に対して、SHP0.106質量部、即ちSHP(リン元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg、ナトリウム元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg)をあらかじめPA66−1ペレットに添着したブレンド物を用意し、top−FからPA66−1とSHPとのブレンド物を供給し、side1からGFをPA66−1:100質量部に対して、33質量部、side2からCaOを0.0561質量部、即ちCaO(カルシウム元素濃度:10.0mmmol/ポリアミド樹脂1kg)になるように供給した以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例10]
PA66−1:100質量部に対して、リン酸Ca0.172質量部、即ちリン酸Ca(リン元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg、カルシウム元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg)をあらかじめPA66−1ペレットに添着したブレンド物を用意し、top−FからPA66−1とリン酸Caとのブレンド物を供給し、side1からGFをPA66−1:100質量部に対して、33質量部供給した以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。そのペレット10kgを円錐型リボン真空乾燥機(株式会社大川原製作所製、商品名リボコーンRM−10V)に入れ、充分に真空乾燥機内の窒素置換を行った。真空乾燥機において、1L/分で窒素を流したまま、ペレットを、攪拌しながら、温度210℃で4時間、加熱してポリアミド樹脂の固相重合を行った。その後、真空乾燥機において、窒素を流通したまま温度を下げていき約50℃になったところでペレットをそのまま真空乾燥機から取り出し、固相重合(後重合)によりポリアミド樹脂を高分子量化したポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
リン酸Caの代わりにPA66−1:100質量部に対して、リン酸K0.172質量部、即ちリン酸K(リン元素濃度:10.0mmol/ポリアミド樹脂1kg、カリウム元素濃度:20.0mmol/ポリアミド樹脂1kg)に変更した以外は実施例10と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例11]
top−FからPA66−1とリン酸とのブレンド物に代えてPA66−2を供給し、side1からGFをPA66−2:100質量部に対して、33質量部供給した以外は比較例1と同様の方法でポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。その後、ペレットを乾燥しペレット中の水分量を調整した。得られたポリアミド樹脂組成物について、粘度数、水分率、融解熱量差、リン元素濃度保持率、アパタイト型化合物の確認、引張強度保持率、成形性、シャルピー衝撃強度、成形機滞留時ゲル化、CuI/KIとの混合による着色を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2016108539
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、シャルピー衝撃強度を向上させて、かつ水などの液体に接触した際に、液体中へのポリアミド樹脂組成物中のリン成分の溶出を抑制できる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品、各種ギア、押出用途などの分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (13)

  1. ポリアミド樹脂、及び
    (B)リン化合物を含有する組成物であって、
    ポリアミド樹脂1kgあたり、(B)リン化合物を、リン元素濃度として0.5〜1000mmol含有し、
    80℃の水中で24時間浸漬処理後の組成物におけるリン元素濃度が初期(前記浸漬処理前)の組成物におけるリン元素濃度に対して55%以上保持されており、
    粘度数[VN]が160mL/g以上である、ポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂1kgあたり、(C)金属元素を、0.5〜1000mmol含有する、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. (C)金属元素が、周期律表第二族の金属元素を少なくとも含有する、請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. (B)リン化合物がリン酸系化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. (B)リン化合物が、リン酸及びリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. ポリアミド樹脂100質量部に対して10〜250質量部の(D)強化材をさらに含有する、請求項1〜5いずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. ポリアミド樹脂100質量部に対して、アパタイト型化合物の含有量が、0.3質量部以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. ポリアミド樹脂100質量部に対して、アパタイト型化合物の含有量が、0.1質量部以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. X線回折測定において、アパタイト型化合物由来の回折角(2θ)25.5〜26.5度及び32.5〜33.5度にピークを示さない、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド成形用材料であり、示差走査熱量計(DSC)の融解熱量測定において、1回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH1(J/g)と、2回目の昇温時のポリアミド樹脂1g当たりの融解熱量ΔH2(J/g)との差(ΔH1−ΔH2)が10J/g以下である、ポリアミド成形用材料。
  11. (A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、
    前記混練物において、最初の脱揮を行った後に、(E)金属化合物を添加する、製造方法により得られる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  12. (A)ポリアミド樹脂と(B)リン化合物とを混練し、
    前記混練物において、最初の脱揮を行った後に、(E)金属化合物を添加する、製造方法により得られる、請求項10に記載のポリアミド成形用材料。
  13. 請求項1〜9及び11のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物及び/又は請求項10又は12に記載のポリアミド成形用材料を含む、成形体。
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