JP2016108378A - 柔軟で汚れの付着しにくいポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】PBT樹脂の優れた物性、耐熱性、耐薬品性、特に表面エネルギーから低汚染性を損なうことなく、柔軟で成形性に優れかつ汚染されにくいポリエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)60〜90質量部に熱可塑性エラストマー40〜10質量部を配合した樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)0〜5質量部、カルボジイミド化合物(F)0.1〜5質量部配合したポリエステル樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーが変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであるポリエステル樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂の優れた物性、耐熱性、耐薬品性を損なうことなく、柔軟でかつ成形性、耐衝撃性と耐候性に優れたポリエステル樹脂組成物に関し、特に、土砂等の付着による汚染が少なく自動車の外装部品に使用するクリップや穴ふさぎ部品として極めて有用であるポリエステル樹脂組成物に関する。
PBTは広く自動車用途に使用されているが、その非強化成型品は耐衝撃性が不足している。また、PBT骨格を持つ共重合エラストマーは、価格が高い欠点があるだけでなく、共重合ポリマー故に耐候性や耐熱性に劣る。ポリカーカーボネート樹脂も一定の耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性が設計できるが、耐候性に極めて劣るため耐候性が必要な自動車外装部品としての特性が満たすことができない場合がある。
特許文献1では、ポリエステルブロック共重合体とPBTと相溶化材の組み合わせで薄肉成型用のポリエステル共重合体樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、低温環境で衝撃耐性が高く、成型性に優れるが、ブロック共重合体の比率が高いため材料コストは高く、融点も低いため耐熱性に劣る。
特許文献2では、PBTまたはPBT共重合体とポリエステルエラストマーに安定剤と一定量のコアシェル型エラストマーを添加したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、柔軟で加水分解性を改良されているが、ポリエステルエラストマーの比率が高いためホコリや土砂の付着性が高くなる。
特許文献3では、PBTにポリエステルエラストマーと3つ以上の官能基を有する多官能性化合物を配合した流動性、強靭性に優れた樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、エラストマー成分にポリエステルエラストマーか変性オレフィン系エラストマーを選択している。これらのエラストマーは、極性が高いため土砂やほこりの付着性が高い。
特許文献4および5では、バンパーやフェンダーを取り付ける組み付け機構が開示されているが、ここで重要な機構として組み付け用のクリップがある。クリップは外装材の組み付けに使用されており、耐候性や耐薬品性が必要な上に、土砂やホコリの付着を低減できれば品質として好ましいが、そのための具体的な樹脂組成は何ら教示されていない。
特開2012−126832号公報 特開2009−263648号公報 特開2009−173899号公報 特開2002−308150号公報 特開2013―112224号公報
本発明は、上述の従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、PBT樹脂の優れた物性、耐熱性、耐薬品性、特に表面エネルギーから低汚染性を損なうことなく、柔軟で成形性に優れかつ汚染されにくいポリエステル樹脂組成物を提供することにある。特に本発明は、土砂やホコリなど水分を介して付着する汚染に強く、汚染したとしてもふき取りですぐ取れる特性やPBT樹脂の良好な耐薬品性や耐候性を損なわない配合設計のために自動車外装部品やその留め具、クリップとして極めて有用であるポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、PBT樹脂に独自の配合割合でエラストマーを添加することによって柔軟化し、エラストマー配合については結晶性ポリエステルエラストマー、変性オレフィン系エラストマー、及び/またはコアシェル型エラストマーの配合に応じてシリコーン化合物を添加し、カルボジイミド化合物を添加することによって耐薬品性や耐候性を落とさずに弾性率をよく下げるだけでなく水に対する親和性も制御して汚染性を低減できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)の構成を有するものである。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)60〜90質量部に熱可塑性エラストマー40〜10質量部を配合した樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)0〜5質量部、カルボジイミド化合物(F)0.1〜5質量部配合したポリエステル樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーが変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度が0.65〜0.85dL/gであり、かつノッチ付きシャルピー衝撃値が10kJ/m以上であることを特徴とする(1)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)の配合割合が((B)+(C))≧(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3〜5質量部であり、((B)+(C))<(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3質量部未満であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(4)前記変性オレフィン系エラストマー(B)が、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル0.01〜15質量%を共重合したエチレン共重合体から選択される一種以上のエチレン系樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)結晶性ポリエステルエラストマー(C)が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成される結晶性ポリエステルからなるハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種のソフトセグメントとを含有し、前記ソフトセグメント成分の含有量が10〜85質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(6)紫外線照射試験においてクラックが発生しないことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする自動車外装用成型品。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、柔軟で耐加水分解性と耐候性に優れるだけでなく、土砂や汚染おいて付着が少なく、汚れてもすぐふき取ることのできる意匠性の高さを持つことから、自動車外装部材や外装鋼板や外装樹脂成型品の取り付けに有用なクリップなどのプラスチック成型品として好適に使用することができる。
図1は、実施例1と比較例6の樹脂の耐候試験後の表面状態の拡大写真を示す。
以下、本発明のポリエステル樹脂組成物について詳述する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に特定の熱可塑性エラストマー((B)、(C)及び/又は(D))を特定の配合割合で配合した樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)を必要に応じて配合し、かつカルボジイミド化合物(F)を配合したものであることを特徴とする。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができ、バッチ重合および連続重合のいずれでもよい。エステル交換反応や直接重合も適用できる。カルボキシル末端基量を少なくでき、流動性を制御できる観点から連続重合が好ましく、コスト面からは直接重合が好ましい。成分と構成に関しては、少なくともテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体である低級アルコールエステルなどを含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成誘導体を含むグリコール成分とを重縮合して得られることが好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、ホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を80モル%以上含有する共重合体であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、通常は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(質量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した固有粘度(IV)が0.65〜0.85dl/gであることが好ましい。固有粘度の上限はより好ましくは0.83dl/g、さらに好ましくは0.80dl/g、下限はより好ましくは0.68dl/g、さらに好ましくは0.70dl/gである。固有粘度が上記範囲未満のものを用いると樹脂組成物の機械的強度が低下し、逆に上記範囲より大きいものを用いると流動性が悪く成型性を損なうおそれがある。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、固有粘度を異にする2種類以上のものを併用して、上述の固有粘度となるように調整してもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、流動性、耐加水分解性の観点からカルボキシル末端基量が30meq/kg以下であることが好ましい。カルボキシル末端基量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を粉砕し、ベンジルアルコール中200℃で溶解後、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液の滴定で求められる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述のポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に熱可塑性エラストマーが配合される。熱可塑性エラストマーは、変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型からなる群から選ばれる少なくとも1種が使用される。
変性オレフィン系エラストマー(B)は、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル0.01〜15質量%を共重合したエチレン共重合体であることが好ましい。さらにはエチレン(共)重合体に無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル0.01〜15質量%、好ましくは0.01〜10質量%を共重合した変性エチレン共重合体であることが好ましい。これらは従来公知の方法で製造することが可能であり、通常の共重合により製造する方法でも、グラフト共重合により製造する方法でもよい。
また、変性オレフィン系エラストマー(B)は、未変性のエチレン共重合体と変性エチレン共重合体から選択される一種または二種以上で使用されてもよい。使用される少なくとも一種のガラス転移温度が−30℃以下であることが−30℃以下の低温での耐衝撃性の向上に好ましい。
結晶性ポリエステルエラストマー(C)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成された結晶性ポリエステルからなるハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種のソフトセグメントとを主たる(70質量%以上)構成成分とすることが好ましく、前記ソフトセグメント成分の含有量が10〜85質量%であることが好ましい。
結晶性ポリエステルエラストマー(C)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸は通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、特に限定されないが、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが望ましい。その他の酸成分としては、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%未満、好ましくは20モル%未満である。
また、結晶性ポリエステルエラストマー(C)において、ハードセグメントのポリエステルを構成する脂肪族又は脂環族ジオールは、一般の脂肪族又は脂環族ジオールが広く用いられ、特に限定されないが、主として炭素数2〜8のアルキレングリコール類であることが望ましい。具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが最も好ましい。
上記のハードセグメントのポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位あるいはブチレンナフタレート単位よりなるものが物性、成形性、コストパフォーマンスの点で好ましい。
また、結晶性ポリエステルエラストマー(C)において、ハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、数平均分子量10000〜40000を有するものが好ましい。
結晶性ポリエステルエラストマー(C)において、ソフトセグメント成分である脂肪族ポリエーテルは、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリエーテルの中でも、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールが好ましく、より好ましくは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物である。また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
結晶性ポリエステルエラストマー(C)のソフトセグメントの共重合量は10〜85質量%が好ましく、より好ましくは20〜85質量%である。
結晶性ポリエステルエラストマー(C)は、従来公知の方法で製造できる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、およびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよびソフトセグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法を採用することができる。
コアシェル型エラストマー(D)は、コアシェル構造を有するエラストマーであればよく、例えばコア層およびシェル層のうち、いずれか一方をゴム成分(軟質成分)で構成し、他方の成分を硬質成分で構成しているものが挙げられる。コアシェル型エラストマー(D)は、通常、ゴム成分で構成されたコア層と、このコア層を被覆又は包含する硬質樹脂(ガラス状樹脂など)で構成されたシェル層とを備えた多層構造を有している場合が多い。
コアシェル型エラストマー(D)は、樹脂組成物の耐衝撃性改良の点からはブタジエン成分含有ゴム、ブチルアクリレート成分含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれるゴムをコア層とし、その周囲にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる単量体をグラフト重合して形成されたシェル層からなるコアシェル型エラストマーが特に好ましい。
コアシェル型エラストマーの例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPN(INTERPENETRATING POLYMER NETWORK)ゴム)重合体等が挙げられる。これらのゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
コアシェル型エラストマー(D)のコア層(ゴム成分)のガラス転移温度は、低温でも効果を得るために0℃未満が好ましく、さらに好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
シェル層は、例えば硬質樹脂成分で構成でき、一般的にはビニル系重合体で構成できる。ビニル系重合体は、芳香族ビニル単量体(スチレン、α−メチルスチレンなど)、シアン化ビニル単量体(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、メタクリル酸エステル系単量体、及びアクリル酸エステル単量体の中から選ばれた少なくとも1種の単量体の単独又は共重合体で構成できる。メタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの炭素数1〜20のアルキルメタクリレート、好ましくは炭素数1〜10のアルキルメタクリレート、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキルメタクリレート)、アリールメタクリレート(フェニルメタクリレートなど)、シクロアルキルメタクリレート(シクロへキシルメタクリレートなど)などが例示できる。アクリル酸エステル単量体としては、前記コア層のアクリル酸エステルが例示できる。ビニル系重合体は、メタクリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマーから選択された少なくとも1種[特に、少なくともメチルメタクリレートなど)]を重合成分とする重合体である場合が多い。なお、シェル層を構成するビニル系重合体は、前記と同様の架橋性モノマーとの共重合体であってもよい。
シェル層のガラス転移温度は、取り扱いや耐熱性の観点から30℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。
コアシェル型エラストマー(D)の平均粒子径は、例えば0.05〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5μm、さらにより好ましくは0.1〜3μmである。コアシェル型エラストマー(D)のコア層(ゴム層)とシェル層とは、通常、グラフト結合によって結合しており、このグラフト結合は、必要により、コア層(ゴム層)の重合成分にシェル層と反応するグラフト交差剤を添加して、ゴム層に反応基を与えた後、シェル層を形成させることによって得ることができる。
なお、コアシェル型エラストマー(D)は、慣用の方法(乳化重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法、懸濁重合法など)により調製したものを用いてもよく、市販品を使用してもよく、具体的にはロームアンドハースジャパン(株)からの商品「パラロイドEXL−2620」などを入手して使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性および柔軟性の面から、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)60〜90質量部に対して、変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)から選ばれる少なくとも1種のエラストマーから選択される熱可塑性エラストマー40〜10質量部が配合される。熱可塑性エラストマーが10質量部未満であると目的の耐衝撃性、柔軟性を得ることができず、40質量部よりも多くなると成型性が悪くなるため好ましくない。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記のポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)0〜5質量%及びカルボジイミド化合物(F)0.1〜5質量%が配合される。
シリコーン化合物(E)は、例えば以下に示す(i)〜(iii)から選択されることが好ましい。
(i)側鎖にOH基を持つシリコーン化合物であって、下記一般式(I)で表されるもの:
(式(I)中、RおよびRはアルキル基、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表す。)
(ii)30質量%以上のシリコーン化合物をグラフトした結晶性樹脂反応性ポリオルガノシロキサンを熱可塑性の結晶性樹脂にグラフト重合することによって得られるもの。なお、前記結晶性樹脂としては、各種のポリエチレン樹脂、エチレン/オレフィン系樹脂等が好ましいが、これに限定されるものではない。
(iii)ポリアミド樹脂と反応する極性基を持つシリコーン化合物ポリオルガノシロキサンの両末端または片末端にポリアミド樹脂と反応するアミノ基、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基等の極性基を含有するシリコーン化合物。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるシリコーン化合物(E)の配合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)と熱可塑性エラストマー((B)+(C)+(D))の合計量を100質量部とすると、0〜5質量部が好ましい。より好ましくは変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)の配合割合が((B)+(C))≧(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3〜5質量部、((B)+(C))<(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3質量部未満である。変性オレフィン系エラストマー(B)および結晶性ポリエステルエラストマー(C)はコアシェル型エラストマー(D)に対して水への親和性が高く、熱可塑性エラストマー中の(B)及び(C)成分の比率を上げすぎると水を媒体とした汚染が大きくなり、それを防ぐために多くのシリコーン化合物(E)が添加されることが好ましい。一方、熱可塑性エラストマー中のコアシェル型エラストマー(D)の比率が高い場合は、シリコーン化合物(E)の添加は少ないほうが物性的に良好でかつ必要な耐汚染性を付与できる可能性がある。
シリコーン化合物(E)がシリコーン化合物をグラフトした結晶性樹脂である場合、シリコーン化合物(E)とPBT樹脂との相溶性を改良するため、相溶化剤を添加しても良い。結晶性樹脂がポリエチレン樹脂の場合、相溶化剤として変性ポリエチレン系樹脂の添加が好ましく、変性オレフィン系エラストマー(B)はこの相溶化剤に該当する。
カルボジイミド化合物(F)は、1分子内に−N=C=N−の構造を2つ以上有するカルボジイミドであり、脂肪族系カルボジイミド、脂環族系カルボジイミド、芳香族系カルボジイミドやこれらの構造の共重合体などが挙げられる。
カルボジイミド化合物(F)は、例えば、ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素反応により作製されるが、使用できるジイソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−ジイソシアネートなどを単独又は二種以上を共重合させて使用することができる。また、分岐構造を導入したり、カルボジイミド基やイソシアネート基以外の官能基を共重合により導入したりしても良い。さらに末端のイソシアネートの一部もしくは全部を封鎖させることにより、重合度の制御および、末端イソシアネートを封鎖できる。末端封鎖剤としては、フェニルイソシアネート、トリスイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物、−OH基、−COOH基、−SH基、−NH−R(Rは水素原子またはアルキル基)などを有する化合物を用いることができる。
カルボジイミド化合物(F)のカルボジイミド基数は、安定性と取り扱い性の点で2〜50が好ましく、より好ましくは5〜30である。これらの重合度で、室温付近で固形であると、粉末化されて熱可塑性エラストマーとの混合時の作業性や相溶性に優れ、均一反応性、耐ブリードアウト性の点でも好ましい。
カルボジイミド化合物(F)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)と熱可塑性エラストマー((B)+(C)+(D))の合計量を100質量部とすると、0.1〜5質量部配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜4質量部である。配合量が上記範囲を超えると、柔軟性や、機械的特性、耐熱性、溶融粘度が低下するため好ましくない。また、上記範囲未満であると、組成物中の−N=C=N−量が少なくなり、耐加水分解性向上効果に劣るため好ましくない。
本発明の樹脂組成物には安定剤を添加することが好ましく、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤は好ましい。具体的には、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−トルエン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6’−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシーベンジルーモノエチル−フォスフェート)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンテリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)酪酸〕グリコールエステル、トリフェノール、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2,2’−オキサミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,1,3−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミックアヒドトリエステルウイズ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナアミド)などを挙げることができる。これらの中でも特に、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンのような分子量が500以上のものが好ましい。
また、硫黄系酸化防止剤も安定剤として好ましい。具体的には、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジウロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジラウリルチオジプロピオネート、ジオクタデシルサルファイド、ペンタエリストリール−テトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステルなどを挙げることができる。これらの中でも特に、チオジプロピオンエステル系化合物が好ましい。
本発明に使用することができる安定剤は前述のものに限定されないし、他の複数の安定剤を同時に併用することも問題ない。安定剤は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)と熱可塑性エラストマー((B)+(C)+(D))の合計量を100質量部とすると、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。配合量が上記範囲未満では目的とする耐熱性改良効果が得られ難く、上記範囲を超えるとブリードアウトし外観が悪くなる可能性がある。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、上記の安定剤以外に、本発明の効果を阻害させない範囲において、目的に応じて種々の添加剤を配合して組成物を得ることができる。添加剤としては、公知のヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子調整剤、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。これらの添加剤は合計で、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)と熱可塑性エラストマー((B)+(C)+(D))の合計量を100質量部とすると、40質量部以下の範囲で配合することが可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、本発明におけるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)と、変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)から選ばれる少なくとも1種のエラストマーとからなる樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)、カルボジイミド化合物(F)などの各成分を所定の配合割合で配合した後に、溶融混錬すればよい。混合は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダーなどが使用でき、溶融混錬は、バンバリーミキサー、ニーダー式加熱機、単軸もしくは二軸の溶融混錬押出機などを使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の曲げ弾性率は、ISO178に準じて測定される。本発明のポリエステル樹脂組成物の曲げ弾性率は、1.8GPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率をこの範囲にすることにより、製品の柔軟性を得ることが期待できる。曲げ弾性率をこの範囲にするためには、ポリエステル樹脂組成物を上記の配合とすることが重要である。曲げ弾性率は、1.6GPa以下であることがより好ましく、1.5GPa以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、PBTをベースにすることで必要な耐候性を満たしつつ、変性オレフィン系エラストマー、結晶性ポリエステルエラストマーを配合することによって必要な耐衝撃性や柔軟性を得ている。さらに、それらのエラストマー配合比によって発現する表面特性を、PBTとエラストマーの配合に応じて特定のシリコーン化合物を必要に応じて添加するによってさらに制御し、耐衝撃性と低汚染性、耐候性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、射出成型によって成型されることが好ましい。射出成型は溶融による熱可塑化、成型、冷却の効率に優れており、短時間で大量の成型品を生産することが可能である。形状デザインの自由度にも優れており、本発明のポリエステル樹脂の特性を最大限に引き出す形状設計をすることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述のように作製されているので、その成型品は柔軟で成形性に優れかつ汚染されにくく、汚染したとしてもふき取りですぐ取れる特性を持つ。従って、本発明のポリエステル樹脂組成物は、自動車外装部材やその留め具、クリップとして好適に使用することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において各測定は、以下の方法に従った。
〔結晶性ポリエステルエラストマーの組成分析〕
熱可塑性ポリエステルエラストマーの組成は、重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
〔結晶性ポリエステルエラストマーの還元粘度〕
樹脂0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
〔結晶性ポリエステルエラストマーの融点(Tm)〕
50℃で15時間減圧乾燥した樹脂を示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて室温から20℃/分の昇温速度で測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、アルゴン雰囲気で測定した。
〔曲げ弾性率〕
ISO187に準拠して求めた。
〔シャルピー衝撃値〕
ISO179に準拠して求めた(ノッチあり)。
〔水との接触角]
JIS−R3257を参考にして、実施例、比較例の組成物を射出成型して作成した2mm厚の平板の試験片と水の接触角を協和界面科学(株)製FACE自動接触角計CA−VP型を用いて測定した。5μlの水滴を試験片表面に滴下し、30秒後の水滴をカメラで撮影し、得られた画像から接触角を分度器で測定した。
〔汚染性]
水との接触角が79度より低いものを濡れ性が高く汚染性が高い(×)と判定し、水との接触角が79度以上のものを撥水性があり汚染性が低い(○)と判定した。
〔耐候性〕
岩崎電気株式会社製「スーパーUVテスター」を用いて、63℃、結露なし、照射強度60mW/cmで50時間処理したあとにマイクロスコープによる表面観察でクラック発生の有無を確認した。クラック発生したものは耐候性悪い(×)と判定し、クラック発生しないものは耐候性良好(○)と判定した。なお、実施例1と比較例6の樹脂の耐候性試験後の表面状態の拡大写真を図1に示す。
〔耐塩化カルシウム性〕
(i)80℃×95%×4時間処理、(ii)23℃飽和塩化カルシウム水溶液を塗布し30分放置、(iii)100℃×2時間処理、(iv)23℃室温×18時間静置。前述の(i)〜(iv)を1サイクルとして10サイクル処理を実施したあとに曲げ強度とクラック観察を実施した。曲げ強度の保持率が80%以上でかつクラックがない場合に耐塩化カルシウム性良好(○)と判定し、曲げ強度保持率が80%未満もしくは表面にクラックが発生した場合に耐塩化カルシウム性悪い(×)と判定した。
〔総合評価〕
シャルピー衝撃値が10kJ/m以上、曲げ弾性率が1.8GPa以下、水との接触角(○)、汚染性良好(○)、耐候性良好(○)、耐塩化カルシウム性良好(○)の条件のすべてを満たす場合に総合評価(○)とした。いずれかの条件を満たさない場合に総合評価(×)とした。
〔ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(A)〕
A−1:1200−211E 固有粘度=0.68、カルボキシル末端=21meq/kg(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.)
A−2:1200−211M 固有粘度=0.84、カルボキシル末端=12meq/kg(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.)
〔変性オレフィン系エラストマー(B)〕
B−1:ボンドファースト7M(住友化学工業社製 エチレン/アクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、ガラス転移温度―33℃ GMA含有量6%)
B−2:ボンドファースト7L(住友化学工業社製 エチレン/アクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、ガラス転移温度約―33℃ GMA含有量3%)
〔結晶性ポリエステルエラストマー(C)〕
ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール、及び数平均分子量が1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを原料として、表1に示す組成の結晶性ポリエステルエラストマー(C−1)、(C−2)を合成した。得られたポリエステルエラストマーの組成と各種物性を表1に示す。
〔コアシェル型エラストマー(D)〕
ロームアンドハース(株)製「パラロイドEXL2620」
〔シリコーン化合物(E)〕
東レダウコーニング(株)製「BY27−202H」
〔カルボジイミド化合物(F−1)〕
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下HMDIとも記載する)262gに、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド(以下、カルボジイミド化触媒と略す)1.5gを加え、窒素をバブリングしながら、185℃で28時間縮合反応させることにより、HMDI由来のポリカルボジイミド(C−1)(重合度=20、イソシアネート基含有率1.8%)を得た。
〔カルボジイミド化合物(F−2)〕
市販のポリカルボジイミド(日清紡ケミカル(株)製「HMV−15CA」)を使用した。
〔酸化防止剤〕
実施例、比較例の作成においてコンパウンド時にヒンダードフェノール系安定剤イルガノックス1010(BASF社製)と硫黄系安定剤シーノックス412S(シプロ化成社製)をそれぞれ0.2質量部添加した。
〔離型剤、黒顔料〕
実施例、比較例の作成においてコンパウンド時に以下の離型剤0.6質量部、黒顔料マスター1.0質量部(カーボンブラックとして)を添加した。
離型剤:WE40(クラリアント社製モンタン酸エステルワックス)
黒顔料:ABF−T−9801(レジノカラー社製 カーボンブラックマスターバッチ)
〔実施例1〜5、比較例1〜7〕
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)、変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)、コアシェル型エラストマー(D)、シリコーン化合物(E)、カルボジイミド化合物(F)、酸化防止剤、離型剤、黒顔料の各成分を表2に記載の配合比でドライブレンドし、35mmφ二軸押出機(東芝機械社製)を用いて、240〜260℃の温度設定で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを100℃にて5時間減圧乾燥しポリエステル樹脂組成物を得た。さらに、自動車外装に既に使用されている素材および銘柄として、比較例5として東洋紡(株)製の耐衝撃ポリアミド「グラマイドTY102ND」、比較例6としてポリプラスチックス(株)製の耐衝撃改良ポリアセタール樹脂「ジュラコン FT−20」、比較例7として三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のポリカーボネート樹脂「ユーピロン S−2000」を用意した。これらの評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、実施例1〜5のポリエステル樹脂組成物は、柔軟でシャルピー衝撃値が高いだけでなく、水との接触角、汚染性、耐候性、耐塩化カルシウム性に優れる。それに対して比較例1〜4の組成は、上述のいずれかの項目において実施例より劣る結果となっている。また、自動車外装に既に使用されている素材および銘柄に対応する非ポリエステル素材である比較例5〜7において、ポリアミド(比較例5)は耐塩化カルシウム性が悪く、耐衝撃改良ポリアセタール(比較例6)、ポリカーボネート(比較例7)は、耐候性が悪く、実施例に劣る結果となっている。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、柔軟で、耐加水分解性と耐候性に優れるだけでなく、土砂や汚染おいて付着が少なく、汚れてもすぐふき取ることのできる意匠性の高い特性を有することから、自動車外装部材や外装鋼板や外装樹脂成型品の取り付けに有用なクリップなどのプラスチック成型品として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)60〜90質量部に熱可塑性エラストマー40〜10質量部を配合した樹脂組成物に対して、シリコーン化合物(E)0〜5質量部、カルボジイミド化合物(F)0.1〜5質量部配合したポリエステル樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーが変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度が0.65〜0.85dL/gであり、かつノッチ付きシャルピー衝撃値が10kJ/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 変性オレフィン系エラストマー(B)、結晶性ポリエステルエラストマー(C)及びコアシェル型エラストマー(D)の配合割合が((B)+(C))≧(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3〜5質量部であり、((B)+(C))<(D)の場合、シリコーン化合物(E)が0.3質量部未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記変性オレフィン系エラストマー(B)が、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジル0.01〜15質量%を共重合したエチレン共重合体から選択される一種以上のエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 結晶性ポリエステルエラストマー(C)が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成される結晶性ポリエステルからなるハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種のソフトセグメントとを含有し、前記ソフトセグメント成分の含有量が10〜85質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 紫外線照射試験においてクラックが発生しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする自動車外装用成型品。
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