JPH09137036A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH09137036A
JPH09137036A JP29665495A JP29665495A JPH09137036A JP H09137036 A JPH09137036 A JP H09137036A JP 29665495 A JP29665495 A JP 29665495A JP 29665495 A JP29665495 A JP 29665495A JP H09137036 A JPH09137036 A JP H09137036A
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JP
Japan
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resin composition
weight
thermoplastic resin
antistatic agent
bisphenol
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JP29665495A
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Seiji Yoshida
清次 吉田
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久帯電防止性を有し、且つ、機械的性質、
耐熱性に優れたABS系の熱可塑性樹脂組成物を提供す
ることにある。 【解決手段】 〔A〕ABS系樹脂 98〜50重量% 〔B〕エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分 とグリコール成分とから形成されたハードセグメントと、アルキレングリコール 成分及び/又はビスフェノールのアルキレンオシド付加物から形成されたソフト セグメントからなるポリエステルエーテル 2〜50重量% 及び〔C〕有機スルホン酸型帯電防止剤 0〜10重量% からなる熱可塑性樹脂組成物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久帯電防止性を
有する熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、ABS系
樹脂を主成分とする永久帯電防止性の熱可塑性樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS系樹脂は比較的安価であり、耐衝
撃性に代表される機械的性質、電気的性質、化学的性質
や成形加工性に優れているため、近年、電機機器部品、
機械部品等の多くの分野に使用されている。しかしなが
ら、ABS系樹脂は、上記の優れた特性を備えている反
面、電気抵抗率が高く帯電し易いために、例えば、ビデ
オカセット、ICカード、複写機、テレビ等の電子・電
気機器部品の材料として用いる場合、静電気帯電による
障害が発生したり、あるいは家電製品やOA機器のハウ
ジング材料として用いる場合、静電気の発生、帯電によ
りゴミが付着して汚れが生じるなど好ましくない事態が
生ずる欠点を有している。
【0003】このため、ABS系樹脂本来の望ましい特
性に加えて、帯電防止機能を有し、且つその機能の永続
的な維持が可能な、いわゆる永久帯電防止性材料の開発
が望まれて来た。
【0004】従来から、帯電防止性を付与する手段とし
ては、一般に帯電防止剤、カーボンブラック、金属粉末
を練り込む方法が知られている。帯電防止剤を練り込む
方法は、外観、加工性を損なうことなく帯電防止性を付
与させる方法としては有効であるが、帯電防止効果が持
続せず、年月の経過により表面抵抗値が増大し、帯電防
止性が悪化するという問題点がある。一方、カーボンブ
ラックあるいは金属粉末を練り込む方法は十分な帯電防
止性の付与は可能であるが、樹脂がそれにより着色し任
意の色に着色が出来ないという問題点があった。また、
金属粉末を練り込む場合は、成形加工性が低下し、成型
品表面が荒れて外観が損なわれ、耐衝撃性等の物性が低
下するという欠点を有している。
【0005】これらの欠点を改良する方法として、高分
子帯電防止剤を使用する方法が提示されている。例え
ば、ポリエチレングリコールとポリアミドを主成分とす
るポリエーテルエステルアミドエラストマーを配合する
方法が提案されている。この組成物は、前記帯電防止剤
を添加したABS系樹脂に比べて帯電防止性の持続効果
は有るが、帯電防止効果が十分ではない。この帯電防止
性を更に向上させるべく、公知の帯電防止剤を配合する
方法があるが、熱安定性が劣る場合があった。
【0006】また、本発明の構成成分と類似のものとし
ては、特公昭58−19696号公報に、高分子帯電防
止剤として、ポリエーテルグリコールまたはコポリエー
テルグリコールから成る少なくとも1種のセグメントを
有する共重合体であり、芳香族ジカルボン酸、アルキル
ジカルボン酸またはシクロアルキルジカルボン酸の少な
くとも1種とアルキレングリコールまたはシクロアルキ
レングリコールの少なくとも1種とから製造されるポリ
エーテルエステルを配合する方法が提案されている。し
かしながら、この組成物の帯電防止効果は小さく、相当
多量に配合しても、実用レベルにはまだ不十分な値であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、永久
帯電防止性を有し、且つ、機械的性質、耐熱性に優れた
ABS系の熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、 〔A〕ABS系樹脂 98〜50重量% 〔B〕エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分 とグリコール成分とから形成されたハードセグメントと、アルキレングリコール 成分及び/又はビスフェノールのアルキレンオキシド付加物から形成されたソフ トセグメントからなるポリエステルエーテル 2〜50重量% 及び〔C〕有機スルホン酸型帯電防止剤 0〜10重量% からなる熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おけるABS系樹脂としては、スチレン−ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、ABS樹脂
におけるスチレン及び/又はアクリロニトリルを他のモ
ノマーで置換した樹脂、ABS樹脂のブタジエンを主成
分とするゴム成分を他のゴム成分で置換した樹脂等が挙
げられる。ABS樹脂におけるスチレン及び/又はアク
リロニトリルを他のモノマーで置換した樹脂における他
のモノマーとしては、他のスチレン系モノマー、シアン
化ビニル系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モ
ノマー等で置換した樹脂が挙げられ、スチレン系モノマ
ーとしてはα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
o−エチルスチレン、ビニルトルエン、o−p−ジクロ
ロスチレンが挙げられ、シアン化ビニル系モノマーとし
ては、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が、
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしてはアクリ
ル酸及びメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n
−ブチル、n−ヘキシル等が挙げられる。スチレン及び
/又はアクリロニトリルを他のモノマーで置換する場
合、スチレン及び/又はアクリロニトリルの一部を他の
モノマーで置換することもできるし、全量を他のモノマ
ーで置換することもできる。
【0010】更に、これらと共重合可能な他のビニルモ
ノマーを共重合しても良く、例えば、マレイミド、N−
メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N
−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アク
リルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルア
ミド系モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の
不飽和酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和
酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル及びメトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート等が挙げられる。
【0011】ABS樹脂のゴム成分を他のゴム成分で置
換した樹脂における他のゴム成分としては、例えば、エ
チレンープロピレンラバー、アクリルラバー等が挙げら
れる。本組成物中におけるABS系樹脂の含有量は、5
0〜98重量%である。含有量が50重量%未満では、
衝撃強度、機械的強度、耐熱性等が充分でなく、98重
量%を超えると帯電防止効果が低下する。
【0012】本発明における〔B〕ポリエステルエーテ
ルは、ハードセグメントとソフトセグメントとからな
る。ハードセグメントは、エステル形成性スルホン酸ア
ルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分とグリコー
ル成分とから形成されたポリエステルとからなる。エス
テル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物はジカルボ
ン酸成分の1成分であり、エステル形成性スルホン酸ア
ルカリ金属塩化合物以外のジカルボン酸、グリコール成
分と共にポリエステルを形成するものである。エステル
形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物は永久帯電防止
性発現に有効に作用し、その具体例としては、下記の式
で示される5−ナトリウムスルホイソフタル酸
【0013】
【化1】
【0014】5−カリウムスルホイソフタル酸、及びそ
れらのエステル形成性誘導体、たとえばジメチルエステ
ル、ジエチルエステル、ジフェニルエステル等が挙げら
れる。これらの内、好ましいものは、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸及びそのエステル形成性誘導体であ
る。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物
は、ジカルボン酸成分全体に対して1〜50モル%であ
る。1モル%よりも少ないとポリエステル樹脂組成物の
帯電防止性が不十分なものとなり、50モル%より多い
と、ポリエステルセグメントを形成する際の重合が極め
て困難になる。帯電防止性と重合性のバランスの点よ
り、好ましくは2〜40モル%であり、より好ましくは
3〜35モル%である。
【0015】エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩
以外のジカルボン酸成分の具体例としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタリンジカ
ルボン酸、1,5−ナフタリンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−
ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェ
ノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンニ酸、アゼライン酸、トリメ
シン酸、トリメリット酸、又はこれらのエステル形成性
誘導体が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、そ
れぞれ単独で、或いは、2種以上混合して用いても良
い。
【0016】本発明におけるグリコール成分としては、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2
−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
これらは、各々単独で用いても良いし、2種以上を混合
して用いても良い。
【0017】これら脂肪族グリコール類と共に他のジオ
ール類または他価アルコール類、例えば、シクロヘキサ
ンジメタノール、キシリレングリコール、2,2’ービ
ス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’ービ
ス(4ーヒドロキシー3,5ージブロモフェニル)プロ
パン、2,2’ービス(4ーヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2’ービス(4ーヒドロキシエトキ
シー3,5ージブロモフェニル)プロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトールなどを混合して用いても良
い。
【0018】本発明におけるソフトセグメントは、アル
キレングリコール及び/又はビスフェノール類のアルキ
レンオキシド付加物から形成される。アルキレングリコ
ールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、チオジ
エチレングリコール等の脂肪族グリコールが用いられ
る。特に好ましくは、エチレングリコールであるが、2
種以上混合して用いることができる。
【0019】また、これら脂肪族グリコール類と共に他
のジオール類または多価アルコール類、例えばシクロヘ
キサンジメタノール、キシリレングリコール、2,2’
ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’
ービス(4ーヒドロキシー3,5ージブロモフェニル)
プロパン、2,2’ービス(4ーヒドロキシエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2’ービス(4ーヒドロキシエ
トキシー3,5ージブロモフェニル)プロパン、グリセ
リン、ペンタエリスリトールなどを混合して用いても良
い。
【0020】ビスフェノール類のアルキレンオキシド付
加物成分は、ビスフェノール類にアルキレンオキシドが
付加反応してなる成分である。ビスフェノール類として
は、ビスフェノールA、ビスフェノールS、臭素化ビス
フェノールA、4,4’−ビス(ヒドロキシフェニル)
スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキ
シド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、 ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)アミン等が挙げられる。好ましくはビ
スフェノールAである。アルキレンオキシドとしてはエ
チレンオキサイド(EO)及び/又はプロピレンオキサ
イド(PO)が挙げられ、EOとPOを併用する場合は
ランダム付加でも、ブロック付加でも良い。アルキレン
オキサイドの付加モル数は、ビスフェノール類1モルに
対して、2〜80モル、好ましくは10〜50モルであ
る。
【0021】アルキレングリコール及びビスフェノール
類のアルキレンオキシド付加物から形成されたソフトセ
グメントにおける、アルキレングリコールとビスフェノ
ール類のアルキレンオキシド付加物との割合は、任意に
選択できる。ビスフェノール類のアルキレンオキシド付
加物の割合が増えると、耐熱性は向上し、アルキレング
リコールの割合が増えると、帯電防止性が向上する。
【0022】アルキレングリコール及び/又はビスフェ
ノール類のアルキレンオキシド付加物から形成された重
合体であるソフトセグメントの数平均分子量は400〜
40,000であり、400未満では帯電防止性が不十
分となり、40,000を超えると反応性が低下し、得
られる組成物の帯電防止性も低下する。帯電防止性と反
応性のバランスの点より、ソフトセグメントの数平均分
子量は、好ましくは1,000〜30,000であり、
より好ましくは2,000〜25,000である。
【0023】ソフトセグメントのポリエステルエーテル
に対する割合は、10〜90重量%である。10%未満
では、帯電防止性が不十分であり、90重量%を越える
と、樹脂組成物の耐熱性、機械的性質が低下する。帯電
防止性と耐熱性、機械的性質とのバランスの点より好ま
しくは20〜90重量%である。
【0024】本発明における〔B〕ポリエステルエーテ
ルの熱可塑性樹脂組成物に対する割合は、2〜50重量
%である。50重量%より多いと耐熱性、機械的性質の
低下が起こり、2重量%より少ないと帯電防止性が十分
でない。耐熱性、機械的性質の及び帯電防止性のバラン
スの点より、好ましくは3〜30重量%である。
【0025】本発明における成分〔B〕であるポリエス
テルエーテルの製造は、従来から知られているポリエス
テルエーテルの製造方法に従って行われる。例えば、ジ
カルボン酸成分のアルキルエステルとグリコール成分と
を適当な触媒(例えばチタン化合物等)の存在下でエス
テル交換を行い、ハードセグメント部分を製造する。次
いで、ソフトセグメント成分であるアルキレングリコー
ル及び/又はビスフェノールのアルキレンオキシド付加
物からなる重合体を添加、減圧下で重縮合反応を行う方
法が挙げられる。或いは、予め製造しておいたポリエス
テルオリゴマーにソフトセグメント成分を反応させる方
法、比較的高分子量のポリエステルをソフトセグメント
の存在下、解重合させながら反応させる方法等が挙げら
れる。こうした反応において、少量の酸化防止剤を重合
系に添加することは、得られるポリマーの熱安定性の点
で好ましい。
【0026】ポリエステルエーテルの溶液粘度ηrelは
1.0〜8.0であり、好ましくは1.2〜5.0であ
る。ポリエステルエーテルの溶液粘度は、1,1,2,
2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量
比)の混合溶媒を用いて、温度;30℃、溶液濃度;
0.5g/100ccで測定され、溶液粘度ηrelは、
溶液の滴下秒数/混合溶媒の滴下秒数 で求められる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、
〔C〕有機スルホン酸塩型帯電防止剤を配合することに
より、比較的少量のポリエステルエーテルの配合であっ
ても永久帯電防止性に優れ、耐熱性、機械的性質にも優
れた組成物が得られる。
【0028】本発明における有機スルホン酸塩型帯電防
止剤としては、一般式(1)で示される化合物である。 R−SO3M (1) 式(1)において、Rは、炭素数1〜32の直鎖または
分岐の脂肪族炭化水素基叉は芳香族炭化水素基であり、
好ましくは炭素数8〜28の、直鎖または分岐の脂肪族
炭化水素基叉は芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水
素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、
アルキル基等の置換基を有しても良い。Mは、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、ホスホニウムイオン、アンモ
ニウムイオン、カルボニウムイオン等である。Mとして
は、好ましくはアルカリ金属であり、最も好ましくはナ
トリウムイオンである。
【0029】一般式(1)で示される有機スルホン酸塩
型帯電防止剤の具体例としては、n−ヘキシルスルホン
酸ナトリウム、n−ドデシルスルホン酸ナトリウム、n
−オクタデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホ
ン酸カリウム等のアルキルスルホン酸塩型帯電防止剤、
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキル
ベンゼンスルホン酸金属塩型帯電防止剤、オクチルナフ
タレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスル
ホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸カリ
ウム等のアルキルナフタレンスルホン酸金属塩型帯電防
止剤が挙げられる。
【0030】有機スルホン酸塩型帯電防止剤は、1種又
は2種以上混合して用いても良い。有機スルホン酸塩型
帯電防止剤のABS系樹脂組成物に対する割合は、0〜
10重量%である。10重量%を越えるとポリエステル
樹脂組成物の機械的性質が大幅に低下する。帯電防止性
と機械的性質のバランスの点より、好ましくは0.1〜
10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%で
ある。
【0031】上述したように、ABS系樹脂に特定のポ
リエステルエーテルを所定量配合した組成物、或いは、
こうした組成物に有機スルホン酸塩型帯電防止剤を所定
量配合してなる組成物は、帯電防止性、機械的性質、耐
熱性において優れている。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分
〔A〕〔B〕〔C〕以外に、必要応じて、組成物の特性
を阻害しない範囲で、周知の種々の添加剤、例えばガラ
ス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、鉱
物繊維、金属繊維、セラミックスウイスカー等の補強
剤、酸化チタン、シリカ、アルミナ、カーボンブラッ
ク、炭酸カルシュウム等の充填剤、パラフィンワック
ス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸及びその塩、
エステル、ハーフエステル、ステアリルアルコール、シ
リコンオイル等の離型剤、各種可塑剤、各種帯電防止
剤、そして、ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル
系、硫黄含有エステル化合物系等の熱安定剤、ハロゲン
化合物、燐酸化合物等の難燃剤、難燃助剤、結晶化促進
剤、紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤、染料、顔料、
発泡剤等を含有しても良い。また、本発明の熱可塑性樹
脂組成物における樹脂成分としては、ABS系樹脂の一
部が、ABS系樹脂以外の他の樹脂によって置換されて
いても良い。他の樹脂としては、ポリカーボネート、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロンMX
D6等の各種ポリアミド樹脂、各種ナイロンエラストマ
ー、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポ
リスチレン、AS、MS等のスチレン系樹脂、各種アク
リル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー
プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、そして、エ
ラストマーとして、イソブチレンーイソプレンゴム、ス
チレンーブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴムー
スチレン、エチレンープロピレンゴム、アクリル系エラ
ストマー、アイオノマー樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカ
プロラクタム、等が挙げられる。ここで、ABS系樹脂
と他の樹脂とのブレンド物におけるABS樹脂含有量は
50重量%以上である。ABS樹脂含有量が50重量%
未満では、ABS樹脂の特徴である、耐衝撃性、機械的
性質、電気的性質、化学的性質、成形加工性等のバラン
スの取れた物性を得ることが困難である。
【0033】本発明の樹脂組成物は、前記の各成分
〔A〕〔B〕及び〔C〕、並びに必要に応じて用いられ
る各種添加成分を配合し、混練りすることによって得る
ことができる。 配合は通常用いられる方法、例えば、
リボンブレンダー、ヘンセルミキサー、ドラムブレンダ
ー等で行われる。溶融混練りには各種押出機、ブラベン
ダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バ
ンバリーミキサー等が使われる。溶融混練りに際しての
加熱温度は、通常170〜260℃程度である。混練り
時の分解を抑制する為、前記の熱安定剤を用いるのが好
ましい。
【0034】本発明の樹脂組成物は、既知の種々の成形
方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成
形、カレンダー成形、回転成形等により、電機・電子機
器分野、自動車分野、機械分野、医療分野等の成形品が
得られる。最終成形品を得る成形に当たって、樹脂温度
を170〜260℃にコントロールするのが好ましい。
【0035】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【実施例】実施例中の「部」は「重量部」を示す。尚、
実施例及び比較例の樹脂組成物は射出成形によって成形
片を成形した後、下記の試験方法により性能評価を行っ
た。
【0036】1)帯電防止性 帯電防止性は表面固有抵抗値の測定により評価を行っ
た。ウルトラ・ハイ・レジスタンス・メータ(アドバン
テスト社製)を使用し、ASTM D−257に従い、
試験片(直径10cm、厚さ3mmの円盤)を、温度2
3℃、湿度50%の条件に3日以上放置して状態調節
後、表面固有抵抗値を測定した。値が小さい方が帯電防
止性が良好である。
【0037】2)永久帯電防止性 上記の帯電防止性評価を行った試験片を水洗処理した
後、温度23℃、湿度50%の条件に3日以上放置し、
状態調節後、水洗処理品の表面固有抵抗値を測定した。
水洗処理無しの表面固有抵抗値が低く、且つ水洗処理品
の表面固有抵抗値が低いまま維持されていれば永久帯電
防止性に優れた材料と言える。なお、水洗処理は内径8
mmのホースから水道水を5L/minの流量で流しつ
つ、そのホースの直下15cmに置いた成形試験片に、
水道水が垂直の角度で40秒間均一にかかる様に動かし
ながら行った。その後、その試験片に脱塩水を振りか
け、簡単に置換洗浄した。
【0038】3)機械的性質 曲げ強度、曲げ弾性率は、ASTM D790によって
測定した。 4)熱的性質 荷重たわみ温度(HDT)は、ASTM D−648に
準じて、断面;6.4mm*12.7mmの角柱状試験
片について、高荷重18.5kgf/c〓によって測定
した。この値が高い方が、耐熱性が良好である。
【0039】実施例及び比較例で用いた原料の詳細は次
の通りである。 a)ABS樹脂(三菱化学(株)製、タフレックス T
FX−410) b)有機スルホン酸塩型帯電防止剤 R−SO3Na
(日鉱石油化学工業(株)アトレASー1030) c)熱安定剤(日本チバガイギー(株)製の商品名Ir
ganox1010)
【0040】〔実施例1〕攪拌機、温度計、メタノール
溜出管を取り付けた反応器に、テレフタル酸ジメチル
(DMT)125部、イソフタル酸ジメチル(DMI)
125部、3−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル
(SDM)50部、エチレングリコール(EG)185
部、酢酸ナトリウム3.8部、酢酸亜鉛0.24部
(2.5%EG溶液)、及び三酸化アンチモン0.24
部(1.0%EG溶液)を仕込み、攪拌しながら徐々に
昇温する。所定量のメタノールが留出した後(内温22
0℃)フェニルホスホン酸0.24部を加えて攪拌す
る。得られた反応生成物に、分子量4000のポリエチ
レングリコール(PEG)700部、及び1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン1.5部を仕
込む。次いで、内温約220℃のオートクレーブを攪拌
しながら、約30分で250℃まで昇温しつつ、圧力1
mmHg 以下まで減圧する。その温度で2時間反応さ
せた後、窒素ガスで常圧まで復圧させる。その後、オー
トクレーブ低部の細孔よりポリマーを取り出し、ペレッ
ト化した。得られたポリマーの溶液粘度ηrelは2.6
9であった。該ポリマーをポリエーテルエステルAとす
る。
【0041】10重量部の上記ポリエーテルエステル
A、88重量部のABS樹脂、2重量部の有機スルホン
酸塩型帯電防止剤 R−SO3Na 、0.1重量部の熱
安定剤をタンブラーで10分間ブレンドした。そのブレ
ンド物を、二軸押出機を用い、シリンダー温度220℃
で溶融混練り、ペレット化を行った。得られたペレット
を乾燥した後、220℃で射出成形を行い物性評価用試
験片を得た。調湿後の表面固有抵抗値は1.1×1010
Ω/CM2であり、良好な帯電防止性を示すことが判っ
た。また、水洗処理品の表面固有抵抗値は4.1×10
10Ω/CM2を示し、良好な永久帯電防止性を示すことが
判った。機械的性質を測定した結果、曲げ弾性率は2
2,000Kgf/CM2、曲げ強度は620Kgf/CM2であっ
た。HDT(18.5Kgf/CM2荷重)は 82℃であっ
た。
【0042】〔実施例2〕15重量部の前記ポリエーテ
ルエステルA、85重量部のABS樹脂、0.1重量部
の熱安定剤を、実施例1と同様にブレンドし、2軸押出
機を用いて溶融混練り、ペレット化を行った。この射出
成形試験片の調湿後の表面固有抵抗値は8.5×1010
Ω/CM2であり、良好な帯電防止性を有すことが判っ
た。また、水洗処理品の表面固有抵抗値は9.8×10
10Ω/CM2を示し、良好な永久帯電防止性を示すことが
判った。機械的性質を測定した結果、曲げ弾性率は2
0,900Kgf/CM2、曲げ強度は580Kgf/CM2であっ
た。HDT(18.5Kgf/CM2荷重)は 81℃であっ
た。
【0043】〔実施例3〜8、比較例1〜3〕実施例1
と同様な製法で組成の異なる種々のポリエステルエーテ
ルを製造した。得られたポリエステルエーテルの組成及
びその溶液粘度ηrelを第1表に示す。これらの各ポリ
エステルエーテルを用い、実施例1と同様な方法で、ブ
レンド、二軸押出機を用いて溶融混練り、ペレット化を
行った。そして、射出成形により試験片を得、各種の物
性評価を行った。その結果を第2表に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、良好且
つ恒久的な帯電防止性を有し、しかも機械的性質、熱的
性質にも優れており、本発明の熱可塑性樹脂組成物から
なる成形品は、静電気帯電により表面に埃や塵が付着し
にくく、外観に優れた成形品が得られることにより商品
価値が高まり、また、誤操作を引き起こす等の機能上の
問題や電撃現象による帯電トラブルを生じにくい。その
ため、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野等多
くの分野において幅広く使用することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔A〕ABS系樹脂 98〜50重量% 〔B〕エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を含むジカルボン酸成分 とグリコール成分とから形成されたハードセグメントと、アルキレングリコール 成分及び/又はビスフェノールのアルキレンオキシド付加物から形成されたソフ トセグメントからなるポリエステルエーテル 2〜50重量% 及び〔C〕有機スルホン酸型帯電防止剤 0〜10重量% からなる熱可塑性樹脂組成物
  2. 【請求項2】エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩
    化合物が、ジカルボン酸成分全体に対して1〜50モル
    %であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】アルキレングリコール及び/又はビスフェ
    ノールのアルキレンオキシド付加物からなるソフトセグ
    メントのポリエステルエーテルに対する割合が10〜9
    0重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】アルキレングリコール及び/又はビスフェ
    ノールのアルキレンオキシド付加物から形成されたソフ
    トセグメントの数平均分子量が400〜40,000で
    あることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】有機スルホン酸塩型帯電防止剤が、0.1
    〜10重量%であることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】有機スルホン酸塩型帯電防止剤が、一般式
    (1)で示される有機スルホン酸塩型帯電防止剤である
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物。 R−SO3M (1) (式中、Rは炭素数1〜32の直鎖または分岐の脂肪族
    炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、Mはアルカリ
    金属、アルカリ土類金属、ホスホニウムイオン又はアン
    モニウムイオンである。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006070224A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Tsutsunaka Plast Ind Co Ltd カレンダー成形用ポリ乳酸系樹脂組成物
CN114227979A (zh) * 2021-11-26 2022-03-25 北方华锦化学工业股份有限公司 一种生物质碳材料改性abs树脂抗静电性能的方法

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