以下に図面を用いて、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。以下では、シフトポジションがニュートラルポジションにあるときはエンジンの動作が停止して蓄電装置に充電電流が供給されない仕様のハイブリッド車両を述べるが、これは蓄電装置に充電電流が供給されない例示であって、これ以外の仕様のハイブリッド車両であってもよい。例えば、エンジンと発電を行う回転電機等の間にクラッチが設けられ、クラッチを切ることでエンジンは動作を継続するがエンジンから蓄電装置への電力供給を停止する仕様のハイブリッド車両であってもよい。
以下では、車載二次電池としてリチウムイオン電池を述べるが、これは説明のための例示である。ほとんどの二次電池は電解液を用いるので、その中で電解液中のイオン濃度が放電により偏る性質を有する二次電池であればよい。以下では、二次電池が搭載されるハイブリッド車両として、2台の回転電機を備えるものを述べるが、これは説明のための例示であって、回転電機の台数はいくつでもよい。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、車載二次電池の充放電制御装置を含むハイブリッド車両の制御システム10の構成を示す図である。ハイブリッド車両の制御システム10は、シフトレバー機構12と、蓄電装置20の放電可能状態に関する表示手段13と、蓄電装置20の放電劣化発生に関する警告をユーザに報知する報知手段14と、2台の回転電機15,16と、エンジン18と、エンジン18と2台の回転電機15,16の間に配置される動力分配機構17と、回転電機15,16に接続される駆動回路19と、駆動回路19の充放電動作を制御する車載二次電池の充放電制御装置40を含んで構成される。以下では、特に断らない限り、車載二次電池の充放電制御装置40を充放電制御装置40と呼ぶ。
シフトレバー機構12は、ハイブリッド車両の運転装置の1つで、例えば、マニュアルトランスミッションの歯車の組み合わせに対応するシフトポジションを切り替える操作レバー機構である。図1の例では、シフトポジションとして、ドライブポジション(D)、リバースポジション(R)、パーキングポジション(P)、ニュートラルポジション(N)が示されており、現在のシフトポジションはニュートラルポジション(N)である。シフトレバー機構12におけるシフトポジションの状態は、適当な信号線を介して充放電制御装置40に伝送される。なお、このハイブリッド車両では、シフトポジションがニュートラルポジションにあるときにエンジン18の動作は停止しており、ニュートラルポジションからパーキングポジション等の他のシフトポジションに変更されると、エンジンが始動する仕様のハイブリッド車両である。
表示手段13は、充放電制御装置40と適当な信号線で接続され、蓄電装置20が放電可能な状態か、放電停止の状態かをユーザに表示する装置である。表示手段13における表示部50は「RD」の文字表示であり、蓄電装置20が放電可能な状態のときは「RD」の文字表示が点灯し、放電停止の状態のときは「RD」の文字表示が消灯する。「RD」は、Ready for Dischargeの意味である。表示手段13における操作子52は、蓄電装置20が放電停止の状態のときに、放電停止解除要求をユーザが行えるようにするユーザ操作子である。操作子52がユーザによって操作されると、「RB」信号が充放電制御装置40に伝送される。操作子52の詳細については、図9において詳述する。
報知手段14は、充放電制御装置40と適当な信号線で接続され、充放電制御装置40から伝送される指令に従って、警告をユーザに報知する装置である。報知されるのは、放電による蓄電装置20の放電劣化発生に関する警告である。報知手段14におけるディスプレイ54は、警告メッセージを表示する表示装置である。報知手段14におけるブザー56は、警告音を出力する発音体である。これらは報知手段14の例示であって、これら以外に、警告に応じて点灯または点滅する警告ランプ、警告メッセージを音声で出力するスピーカ等を用いることができる。蓄電装置20の放電劣化発生に関する内容、警告報知の具体的内容については後述する。
2台の回転電機15,16は、ハイブリッド車両の駆動源となるモータ・ジェネレータ(MG)である。モータ・ジェネレータは、駆動回路19から電力が供給されるときはモータとして機能し、ハイブリッド車両の制動時には発電機として機能する三相同期型回転電機である。2台の回転電機15,16を区別してMG1,MG2と呼ぶ。MG1として示される回転電機15は、動力分配機構17のエンジン18側に接続され、動力分配機構17を介してエンジン18によって駆動されて主として発電機能として働く。MG2として示される回転電機16は、動力分配機構17におけるハイブリッド車両の駆動軸側に接続され、駆動輪を駆動して主としてモータ機能として働く。
エンジン18は、ハイブリッド車両の駆動源の1つである内燃機関である。エンジン18は、例えば6気筒のピストン・シリンダ機構で構成される。エンジン18と2台の回転電機15,16の間に設けられる動力分配機構17は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、エンジン18の出力と、MG1である回転電機15への入出力と、MG2である回転電機16の出力との間で、発電に用いる分と駆動輪を駆動する分とを適切に分配する機能を有する機構である。動力分配機構17としては遊星歯車機構を用いることができる。
駆動回路19は、蓄電装置20と、SMRとして示したシステムメインリレー22と、蓄電装置20の電力を用いて動作する放電負荷24と、電力変換器26と、インバータ回路28とを含んで構成される。
蓄電装置20は、電解液を用いて構成される二次電池である。蓄電装置20は、放電負荷24に直流電力を供給し、回転電機15,16に対し、電力変換器26とインバータ回路28を介して電力を供給する。また、回転電機15,16からインバータ回路28と電力変換器26を介して充電電力を受け取り充電される。かかる蓄電装置20として、リチウムイオン単電池を組電池化したリチウムイオン電池を用いる。リチウムイオン電池の他にも多くの種類の二次電池を用いることができるが、以下では、特に電解液中のイオン濃度が放電により偏る性質を有する二次電池を蓄電装置20として用いる場合について述べる。
システムメインリレー22は、蓄電装置20と、駆動回路19を構成する蓄電装置20以外の要素との間の電気的接続を遮断または接続するリレー装置である。システムメインリレー22は、溶着等が生じると遮断または接続に支障を生じるので、ハイブリッド車両のパワースイッチが入って電子制御ユニット(Electric Contorol Unit:ECU)が動作可能になってから、溶着等の安全チェックが行われ、その後に接続状態とされる。システムメインリレー22が接続状態となると、蓄電装置20が放電可能状態となり、表示手段13の表示部50において「RD」の文字表示が点灯する。後述するように、蓄電装置20の放電劣化を防止するために放電停止処理が実行されることがある。蓄電装置20の放電停止処理は、充放電制御装置40の制御の下で、システムメインリレー22を遮断状態にする。このとき、表示手段13の表示部50において「RD」の文字表示が消灯する。このように、システムメインリレー22の遮断または接続状態は、表示手段13の表示部50における「RD」の文字表示の消灯状態または点灯状態でユーザに知らされる。
放電負荷24は、駆動回路19の構成要素ではないが、蓄電装置20からシステムメインリレー22を介して供給される直流電力で動作する機器類である。一例を上げると、ハイブリッド車両のライト、ランプ、空調装置、エンジンの点火装置、パワーステアリング等である。これらは、システムメインリレー22が遮断されない限り、動作可能である。換言すれば、インバータ回路28の動作が停止されて回転電機15,16に蓄電装置20から電力が供給されないときでも、システムメインリレー22が接続状態であれば、蓄電装置20から放電負荷24に対し放電が行われる。
電力変換器26は、蓄電装置20とインバータ回路28の間に接続配置され、蓄電装置20の直流電圧値と、インバータ回路28の正極側と負極側の間の電圧であるシステム電圧値との間に電圧差があるときに、蓄電装置20側の直流電圧値をインバータ回路28のシステム電圧値に昇圧し、逆にインバータ回路28のシステム電圧値を蓄電装置20側の直流電圧値に降圧する。電力変換器26は、リアクトルと、スイッチング素子等を含んで構成される。
インバータ回路28は、蓄電装置20の直流電力と回転電機15,16の三相交流電力との間の交直変換処理を行う回路である。交直変換は、蓄電装置20の直流電力を回転電機15,16の三相交流電力への変換、または、回転電機15,16の三相交流電力を蓄電装置20の直流電力への変換を含む。インバータ回路28は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードとを含んで構成される。
インバータ回路28は、蓄電装置20のSOCが低下して下限値に達すると、蓄電装置20はこれ以上放電をすることができないとして、充放電制御装置40の制御により、その動作が停止される。これにより、回転電機15,16は動作が停止する。このときでも蓄電装置20に放電劣化が生じない状態であれば、蓄電装置20は放電停止状態とされず、システムメインリレー22は接続されており、表示手段14において表示部50の「RD」の文字表示は点灯が継続される。
蓄電装置20に接続される指標値算出部30は、二次電池が放電によって電解液中のイオン濃度が偏る程度を示す指標値Eを算出する。算出された指標値Eは、適当な信号線を介して充放電制御装置40に伝送される。指標値Eの詳細な内容については後述する。
充放電制御装置40は、駆動回路19を構成する蓄電装置20、システムメインリレー22、電力変換器26、インバータ回路28の動作を全体として制御する。かかる充放電制御装置40は車両搭載に適したコンピュータを用いることができる。
充放電制御装置40は、指標値算出部30から伝送された指標値Eを取得する指標値取得処理部42、シフトレバー機構12から伝送されるシフトポジション状態を取得するシフトポジション取得処理部44を備える。これらによって、充放電制御処理に必要な指標値が取得され、シフトポジション状態が取得される。また、充放電制御装置40は、蓄電装置20の放電劣化を防止するために、例えば、シフトポジションがニュートラルポジションにあるときは、ユーザに対しニュートラルポジションを他のシフトポジションに変更するように、報知手段14に対し所定の警告をユーザに報知させる等の処理を行う警告報知処理部46、警告報知を行っても、例えばユーザがニュートラルポジションに放置したまま等のときに、蓄電装置20の放電を停止させる等の処理を行う放電停止処理部48を含んで構成される。
かかる機能は、充放電制御装置40に搭載されたソフトウェアを実行することで実現される。具体的には、充放電制御装置40がソフトウェアとしての充放電制御プログラムを実行することで実現できる。かかる機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
ここで、蓄電装置20が放電によって電解液中のイオン濃度が偏ることについて図2を用いて述べる。図2(a)は、放電時のリチウムイオン電池の状態を示す図、(b)は、電解液におけるイオン濃度の偏りを示す図である。
図2では、リチウムイオン電池を構成するリチウムイオン単電池32を用いて説明する。リチウムイオン単電池32は、正極34と負極36とその間を満たす電解液38を含んで構成される。正極34と負極36は、リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵・放出可能な材料で構成される。かかる正極34として、コバルト酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物が用いられ、負極36として、炭素が用いられる。電解液38は、ヘキサフルオリン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩を、炭酸エチレンや炭酸ジエチル等の有機溶媒に含ませたイオン電解液が用いられる。以下では、リチウム塩としてヘキサフルオリン酸リチウム(LiPF6)を用いる。
リチウムイオン単電池32において、放電が継続すると、電池内部のリチウムイオン濃度の偏りが生じる。その様子を図2(b)に示した。
このようなリチウムイオン濃度の偏りが生じると、電池抵抗が増加する。
リチウムイオン電池である蓄電装置20において、放電電流値の時間積分値(放電電流値をAとし、放電時間をhとして、Ahの時間積分値)が高くなると、電解液38のイオン濃度が偏り、蓄電装置20の放電期間における電池抵抗が上昇する。したがって、蓄電装置20の正極34と負極36の間における電解液38中のイオン濃度偏り程度を示す指標値Eとしては、蓄電装置20の放電電流値の時間積分値、蓄電装置20の放電期間における電池抵抗の上昇率、蓄電装置20の正極34と負極36の間における電解液38中のイオン濃度偏りを示す劣化評価値を用いることができる。劣化評価値としては、特許文献3に述べられている劣化評価値Dを用いることができる。以下では、指標値Eとして劣化評価値Dを用いる。
特許文献3に述べられているように、劣化評価値Dは、予め定めたサイクルタイムにおける各サイクルタイムの劣化評価値Dと、サイクルタイムの1サイクルにおける劣化評価値Dの増加量D(+)と減少量D(−)とから、D(今回のサイクルタイム)={D(前回のサイクルタイム)−D(−)+D(+)}で算出される。最初のサイクルタイムにおけるD(0)は、例えば0とする。
劣化評価値Dの増加量D(+)は、蓄電装置20の放電電流値が大きいほど、サイクルタイムが長いほど大きな値となる。劣化評価値Dの減少量D(−)は、忘却係数Aが大きいほど、サイクルタイムが長いほど大きい値になる。
忘却係数Aは、蓄電装置20の電解液38中のリチウムイオン(Li+)の拡散速度に対応する係数で、忘却係数Aは、サイクルタイムΔTとの積が0から1までの値になるように設定される。図3に忘却係数Aにおける蓄電装置温度TB依存性を示す。忘却係数Aは、蓄電装置20の温度TBが高いほど大きな値となる。したがって、蓄電装置20の温度TBから忘却係数Aを求め、サイクルタイムΔTと蓄電装置20の放電電流値からD(+)を求め、サイクルタイムΔTと忘却係数AからD(−)を求め、D(0)=0として、D(今回のサイクルタイム)={D(前回のサイクルタイム)−D(−)+D(+)}の式から各サイクルタイムにおける劣化評価値D(N)が求められるので、これを指標値Eとすることができる。
上記構成の内容、特に充放電制御装置40の各機能について、図4から図9を用いてさらに詳細に説明する。これらは、充放電制御装置40における充放電制御の手順に関する図である。図4は1制御周期において処理される全体手順を示すフローチャートで、図5、図7〜図9は、図4の手順の一部の内容を詳細に示すフローチャートである。これらにおける各手順は、充放電制御プログラムの各処理手順に対応する。図6は、後述するK条件の論理値表である。
ハイブリッド車両において、パワースイッチがオン(S10)されると、鉛蓄電装置等の低電圧電源から各種のECUに電力が供給され、各種のECUの動作が開始し、例えばシステムメインリレー22の安全確認等が実行される。パワースイッチのオンは、例えば、イグニッションスイッチ等のスイッチ装置をユーザがオンすることで行うことができ、あるいは、ユーザがリモートスイッチ装置を用いて遠隔非接触操作でスイッチ装置をオンすることで行うことができる。パワースイッチがオンされると、ハイブリッド車両の制御システム10の各要素が初期状態にセットされ、充放電制御装置40において充放電制御プログラムが立ち上がる。
充放電制御プログラムの処理手順は、プログラムの初期化(S12)、状態取得(S14)、履歴状態分け(S16)を経て、4つの履歴状態に分岐する。4つの履歴状態は、「履歴なし」(S20)、「警報報知履歴有り」(S22)、「警報報知解除履歴有り」(S24)、「放電停止履歴有り」(S26)である。「履歴なし」(S20)、「警報報知履歴有り」(S22)における処理が1制御周期内で順次処理されると、「RETURN」としてS14に戻る。S14に戻ったのちは、前の制御周期における処理の間に生じた状態取得を行い、それに基づいて4つの履歴状態の分岐に従って、次の制御周期における処理が実行される。制御周期において、「警報報知解除履歴有り」(S24)、「放電停止履歴有り」(S26)の処理が終了すると、一通りの充放電制御プログラムの処理が完了するので、一旦「END」とされる。ハイブリッド車両においてパワースイッチがオンされている間は、継続的に蓄電装置20の放電劣化防止を行う必要があるので、「END」とされたときはS12に戻り、プログラムの初期化を経て、新しい放電制御処理が開始する。
充放電プログラムの初期化の手順(S12)は、つぎのS14で取得される全ての状態変数を初期状態に設定する処理である。状態取得の手順(S14)は、S16以降の手順に用いられる状態変数について、その制御周期における状態を取得する処理である。S16以降の手順に用いられる状態変数としては、図6のK条件の倫理値表に示されるRD,N,Eの論理値、4つの履歴状態(S20,S22,S24,S26)を区別する履歴状態であるM1,M2,M3の論理値、その他各種タイマの経過時間、各種カウンタの計数値等である。これらの内容については、順次、以下で詳述する。
履歴状態分けの手順(S16)は、前の制御周期での処理の履歴の内容に応じて、今回の制御周期における処理を分岐するための分岐設定処理である。履歴状態分けは、4つの履歴状態に分ける。ここで、履歴は、「履歴なし」(S20)の分岐処理で実行される警告報知処理(S30)の処理済みを示すM1、「警報報知履歴有り」(S22)の分岐処理で実行される警告報知解除(S32)の処理済みを示すM2、放電停止処理(S34)の処理済みを示すM3の3つの履歴状態で示される。
履歴状態分けの手順では、4つの履歴状態に従って以後の処理手順を分岐させる。1つ目は、履歴状態が「履歴なし」(S20)である。これは、M1=M2=M3=0の状態である。このときは、警告報知処理(S30)が実行される。警告報知処理(S30)が処理済みになると、M1=1への設定変更が行われる。2つ目は、履歴状態が「警告報知履歴有り」(S22)である。これは、M1=1,M2=M3=0の状態である。このときは、警告報知解除(S32)または放電停止処理(S34)が実行される。警告報知解除(S32)が処理済みになると、M2=1への設定変更が行われ、放電停止処理(S34)が処理済みになると、M3=1への設定変更が行われる。
ハイブリッド車両においてシフトポジションがニュートラルポジションにあって蓄電装置20に充電電流が供給されず、「RD」が点灯するシステムメインリレー22が接続状態にあると、蓄電装置20からライト等の放電負荷24へ放電が生じる。これにより、蓄電装置20の電解液38中のイオン濃度偏り程度を示す指標値Eが劣化側になる。このようなときに、1つ目の分岐における警告報知処理(S30)は、シフトポジションをニュートラルポジション以外に移すことを促す警告を報知する。この警告によってもシフトポジションがニュートラルポジションのままであるとき、2つ目の分岐における放電停止処理(S34)は、システムメインリレー22を強制的に遮断して「RD」が消灯する放電停止状態とする。3つ目の分岐の「警告報知解除履歴有り」(S24)における強度警告報知処理(S36)と、4つ目の分岐の「放電停止履歴有り」(S26)における放電停止強化処理(S38)は、警告報知処理(S30)と放電停止処理(S34)の作用効果を補強する処理である。
図5は、履歴状態が「履歴なし」(S20)の分岐における詳細な処理手順を示すフローチャートである。ここでは、状態取得処理(S14)によって取得した状態変数に基づいて、K条件判断処理を行う(S40)。K条件判断処理は、3つの状態変数RD,N,Eの論理値の組合せに基づいて状態変数Kの論理値がK=1かK=0のいずれであるかを判断する。図6は、K条件判断処理に用いる論理値表である。
状態変数RDは、蓄電装置20が放電可能状態か放電停止状態かを示すものである。RD=1は放電可能状態で、システムメインリレー22が接続状態となって継続期間T0以上継続した状態のときである。このとき、表示手段13の表示部50において、「RD」の文字表示が点灯する。RD=0は放電停止状態で、システムメインリレー22が遮断状態のときである。このとき、表示手段13の表示部50において、「RD」の文字表示が消灯する。したがって、充放電制御装置40は、システムメインリレー22の接続または遮断状態を取得することで、蓄電装置20が放電可能状態にあるか放電停止状態にあるかの区別を行うことができる。あるいは、表示手段13の表示部50の「RD」の文字表示が点灯状態にあるかまたは消灯状態にあるかを取得することで、蓄電装置20が放電可能状態にあるか放電停止状態にあるかの区別を行うことができる。
状態変数Nは、広義では蓄電装置20への充電電流が供給停止状態か供給状態かを示すものである。ここでは、シフトポジションがニュートラルポジションにあるときエンジン18が停止するハイブリッド車両を対象とするので、状態変数Nの代表として、シフトポジションの状態を示す。以下では特に断らない限り、ニュートラルポジションを単にNポジションと呼ぶ。N=1はシフトポジションがNポジションとなって継続期間T0以上継続した状態で、蓄電装置20への充電電流の供給が停止している状態である。N=0はNポジション以外のシフトポジションの状態で、図1のP,R,Dの状態である。この状態では、蓄電装置20へ充電電流が供給される。
状態変数Eは、蓄電装置20の電解液38中のイオン濃度偏り程度を示す指標値Eの状態を示す。E=1は、指標値Eが予め定めた電池劣化発生閾値E0を超えることが継続期間T0以上継続した状態で、蓄電装置20の電池劣化発生となる状態である。電池劣化発生閾値E0は、この状態が継続すると、蓄電装置20の電解液38においてイオン濃度の偏りが大きくなり、蓄電装置20の内部抵抗が上昇し、また電極間で電流集中が生じ、蓄電装置20が放電劣化に至ることがあるので、その放電劣化が始まるポイント(放電劣化開始ポイント)となる閾値を指標値Eに対して設定するものである。電池劣化発生閾値E0は、蓄電装置20の仕様に従って、実験的に予め定めることができる。
継続期間T0を定めるのは、指標値Eが一時的に電池劣化発生閾値E0を超えても、その後放電負荷24の動作が停止する等で放電が行われなくなると指標値Eが低下するため、誤判断を避けるためである。
例えば、指標値Eとして劣化評価値Dを用いる場合、劣化評価値DにおけるD(−)は、忘却係数Aが大きいほど、サイクルタイムが長いほど低下する。蓄電装置20の温度TBが大きいほど、忘却係数Aは大きな値であるので、蓄電装置20の温度TBが極低温でなく適当な温度であれば、放電電流によるD(+)が多少あっても、D(−)が十分大きければ、時間経過と共に劣化評価値Dは小さくなる。同様に、指標値Eの他の例である蓄電装置20の内部抵抗の上昇率についても、指標値Eが一時的に電池劣化発生閾値E0を超えても、その後放電負荷24の動作が停止する等で放電が行われなくなると内部抵抗の上昇率が低下する。したがって、誤判断を避けるのに適当な期間として、継続期間T0を定めることができる。継続期間T0の一例としては、制御周期Δtの数倍程度を用いることができる。例えば、T0=3Δtとすることができる。
状態変数E=1の内容として、指標値Eが予め定めた電池劣化発生閾値E0を超えることが継続期間T0以上継続した状態とすることに代えて、電池劣化発生閾値E0よりも大きな値の第2閾値E1を設定し、指標値Eが電池劣化発生閾値E0を超えて、さらに第2閾値E1を超えた状態をE=1としてもよい。
図6に示すように、状態変数Kは、RD=N=E=1のときK=1となり、それ以外はK=0となる。すなわち、状態変数Kは、RD,N,Eの3状態変数がすべて「1」となるAND条件を満たすとき、K=1となり、いずれか1つでも「0」となると、K=0となる。
K=1となるときは、インバータ回路28の動作が停止して、回転電機15,16が発電を行わないので蓄電装置20に充電が行われず、さらにシステムメインリレー22は接続状態であって、放電負荷24が放電可能であって、蓄電装置20の指標値Eが予め定めた電池劣化発生閾値E0を超えることが継続期間T0以上継続したときである。
再び図5に戻り、K条件判断の結果がK=1か否かが判断される(S42)。S42の判断が否定されるときは、K=0で、蓄電装置20の劣化発生の心配のない状態である。この場合、その制御周期における処理は終了し「RETURN」となってS14に戻る。S42の判断が肯定されるときは、K=1であるので蓄電装置20の放電劣化発生の可能性が高いので、ユーザに所定の警告が報知される(S30)。この処理手順は、充放電制御装置40の警告報知処理部46の機能によって実行される。所定の警告は、蓄電装置20の放電劣化発生防止の方策を取ることをユーザに促すものである。蓄電装置20の放電劣化発生防止のためには、K=0とする必要があるが、図6に示されるように、K=0の条件は、RD=0かN=0かE=0のいずれかを満たす必要がある。このうち、状態変数Eはユーザが制御できるものではない。ユーザがRD=0とすると、ランプ等の放電負荷に蓄電装置20から電力が供給されなくなる。したがって、K=0にするためにユーザがとり得る最善の方策は、N=0とすることである。そこで、所定の警告としては、ユーザに、シフトポジションをNポジションから他のシフトポジションに変更することを促す内容とする。報知は報知手段14によって行われる。
報知手段14においては、ブザー56がオンされ、ブザー音が出力される。さらに、ディスプレイ54に、「ブザーが鳴ったときはシフトポジションをニュートラルポジションから他のシフトポジションに変更して下さい」等の注意書き表示が行われる。これは一例であって、報知手段14が警告ランプを備えるときは、警告ランプを点滅または点灯させ、ディスプレイも備えるときは、ディスプレイに「ランプが点灯または点滅したときはシフトポジションをニュートラルポジションから他のシフトポジションに変更して下さい」等の注意書き表示を行う。報知手段14が音声スピーカを備えるときは、上記内容のメッセージを音声で報知する。報知手段14がディスプレイのみを備えるときは、上記内容のメッセージをディスプレイに表示する。なお、これらの組み合わせによって報知を行ってもよい。
所定の警告報知が行われると共に、状態変数M1が「0」から「1」に変更される。状態変数M1=1は、所定の警告報知が行われた履歴を示すものである。状態変数M1=1となると、図4の履歴状態分け処理では、「警告報知履歴有り」(S22)の分岐に移る。S22の分岐における処理では、警告報知が行われてからの経過時間T1を用いるので、状態変数M1が「0」から「1」に変更されると共に、経過時間T1=0にセットされ、T1タイマが計時を開始する。また、S22の分岐における処理で、指標値の増加量ΔEを用いるので、状態変数M1が「0」から「1」に変更されると共に、指標値の増加量ΔE=0にセットされ、ΔEの増加量の計測が開始する。これらの設定(S44)が終わると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
次の制御周期では、S14において、全ての状態変数の状態が取得され、S16で改めて履歴状態分けが行われる。S14の状態取得処理で、M1=1が取得されるので、S16の履歴状態分けでは、「警報報知履歴有り」(S22)の分岐に進められる。図7は、履歴状態が「警報報知履歴有り」(S22)の分岐における詳細な処理手順を示すフローチャートである。
「警報報知履歴有り」(S22)の分岐では、ユーザが蓄電装置20の放電劣化発生を防止する方策を行ったときの処理と、警告の報知を行ってもユーザが蓄電装置20の放電劣化発生の防止のための方策を行わないときの処理とを含む。前者は、警報報知解除(S32)であり、後者は、放電停止処理(S34)である。警報報知解除(S32)と放電停止処理(S34)とは密接に関連している。すなわち、警報の報知を知ってユーザが自発的にNポジションから他のシフトポジションに移したときは警報報知の目的を達するので警報報知を解除する(S32)。これに対し、ユーザが蓄電装置20の放電劣化発生を防止する方策を取らず、シフトポジションをNポジションに放置したままのときは、指標値Eが増加するので、充放電制御装置40が強制的にRD=0とする。これが放電停止処理(S34)である。したがって、警報報知が解除されるときは放電停止処理を行うことはなく、逆に、警報報知の解除が所定時間内に行われないときには放電停止処理が行われる。すなわち、警報報知解除(S32)と放電停止処理(S34)とは、一方が実行されるとき他方は実行されない関係にある。
「警報報知履歴有り」(S22)の分岐においては、K条件判断が行われる(S46)。この判断処理の内容は、図5のS40の内容と同じであるので詳細な説明を省略する。K条件の判断について、K=0か否かが判断される(S48)。S48の判断が肯定されるときはK=0であるので、例えば、ユーザが自発的にシフトポジションをNポジションから他へ移したことを示す。これにより蓄電装置20の放電劣化発生の可能性が低くなるので、所定の警告の報知が解除される(S32)。警告報知の解除は、報知手段14によって行われる。報知手段14において、ブザー56がオフされ、ブザーは鳴ることを停止する。また、ディスプレイ54において、「有難うございました」等のメッセージが表示される。報知手段14が警告ランプを備えるときは、警告ランプがオフされ、警告ランプは点灯または点滅を停止して消灯する。報知手段14が音声スピーカを備えるときは、上記のメッセージを音声で報知する。
所定の警告の報知の解除が行われると共に、状態変数M2が「0」から「1」に変更される。状態変数M2=1は、所定の警告の報知が解除された履歴を示すものである。状態変数M2=1となると、図4の履歴状態分け処理では、「警告報知解除履歴有り」(S24)の分岐に移る。S24の分岐における処理では、警告報知解除が行われてからの経過時間T2を用いるので、状態変数M2が「0」から「1」に変更されると共に、経過時間T2=0にセットされ、T2タイマが計時を開始する。また、S24の分岐における処理では、ユーザが放電停止解除要求の操作を行った回数を計数するカウンタC1を用いるので、状態変数M3が「0」から「1」に変更されると共に、カウンタC1の計数値を0にリセットする。これらの設定(S50)が終わると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
S48の判断が否定されるときは、K=1であって、警報報知をしたにも関わらずユーザがまだNポジションのまま放置している状態である。この状態が長く続くと、蓄電装置20の放電劣化が防止できない。そこで、警報報知が行われたときからの時間T1が予め定めた時間T1thを経過したか否かが判断される(S52)。T1thは、M1=1となったときをT1=0とし、ユーザが自発的にシフトポジションを移すのに必要な時間を考慮して定めることができる。一例を挙げると、T1thを数秒とすることができる。処理タイミングの判断を容易にするため、T1thは制御周期の整数倍とする。S52の判断が否定されるときは、まだT1がT1thに達していないときであるので、この制御周期のおける処理を終了させ、「RETURN」としてS14に戻す。
S52の判断が肯定されると、警報報知が行われたときの時間T1=0における指標値E(T1=0)を基準として、T1がT1=0からT1thまで経過した間に指標値Eが蓄電装置20の劣化側に増加し、その増加量ΔE={E(T1=T1th)−E(T1=0)}が予め定めた閾値増加量(ΔE)0を超えたか否かが判断される(S54)。これは、蓄電装置20の放電劣化発生の可能性がさらに高くなったか否かを判断するためである。
閾値増加量(ΔE)0は、蓄電装置20の放電劣化発生の可能性がさらに高くなると判断される程度の増加量に設定される。例えば、E(T1=0)の+10%を閾値増加量(ΔE)0と設定することができる。この数値は説明のための一例であって、忘却係数A等に応じ、その他の適切な数値であってもよい。S54の判断が否定されるときは、蓄電装置20の放電劣化の心配が少ないので、その制御周期の処理を終了し、「END」としてS12に戻す。S54の判断が肯定されると、蓄電装置20の放電を停止させる処理を行う(S34)。この処理手順は、充放電制御装置40の放電停止処理部48の機能によって実行される。
蓄電装置20の放電を停止させる処理としては、システムメインリレー22を遮断することで行われる。このとき、表示手段13の表示部50の「RD」の文字表示が消灯する。これらの処理以外でも、蓄電装置20の放電を停止させることができる処理を行えばよく、ハイブリッド車両の運転状況によっては、放電負荷24の全ての機器等の動作を停止させる等の処理を行ってもよい。なお、報知手段14のブザー56はオンのままであるが、ディスプレイ54の表示は、「速やかにシフトポジションをニュートラルポジションから他のシフトポジションに変更して下さい」等のメッセージ内容に変更される。
放電停止処理が行われると共に、状態変数M3が「0」から「1」に変更される。状態変数M3=1は、放電停止処理が実行された履歴を示すものである。状態変数M3=1となると、図4の履歴状態分け処理では、「放電停止履歴有り」(S26)の分岐に移る。S26の分岐における処理では、放電停止処理が行われてからの経過時間T3を用いるので、状態変数M3が「0」から「1」に変更されると共に、経過時間T3=0にセットされ、T3タイマが計時を開始する。また、S26の分岐における処理では、ユーザがシフトポジションをNポジションに戻す回数を計数するカウンタC2を用いるので、状態変数M2が「0」から「1」に変更されると共に、カウンタC2の計数値を0にリセットする。これらの設定(S56)が終わると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
S34の処理を行うことで、例えば、S30の警告の報知がなされたにも関わらず、シフトポジションをNポジションのままユーザが放置した場合等であっても、蓄電装置20の放電劣化発生を抑制することができる。
履歴状態分け処理(S16)における「警告報知解除履歴有り」(S24)の分岐では、警告報知処理(S30)、警告報知解除処理(S32)の作用効果を補強する処理が行われる。
例えば、S30の警告に応じてシフトポジションがNポジションから他のシフトポジションに変更されたときでも、その後直ちにNポジションに戻される場合、あるいはNポジションと他のシフトポジションとの間で交互に変更がされた場合等において問題が生じる。すなわち、ユーザによって一旦シフトポジションがNポジションから他のシフトポジションに変更する処理によって警告報知解除処理(S32)が実行され、所定の警報報知は解除されるが、その直後に再びNポジションに戻されると、蓄電装置20に対して十分な充電電流の供給が行われないままシフトポジションはNポジションにあることになる。このときに、再度の警告報知を行うことがよいが、図4で説明したフローチャートの手順に従えば、一旦、警告報知処理(S30)が実行されると、M1=1の履歴が残るので、履歴状態分け処理(S16)において「履歴なし」(S20)に進めない。したがって、再度の警告報知が行えず、放電に起因する劣化発生が有効に防止されない。そこで、このような場合に、警報報知解除が行われるとM2=1の履歴が残るようにして、履歴状態分け処理(S16)において「警告報知解除履歴有り」(S24)の分岐に進む。
図8は、「警告報知解除履歴有り」(S24)の分岐における詳細な処理手順を示すフローチャートである。ここでは、警報報知解除処理(S32)においてM2=1に設定された時間T2=0を基準にして、ユーザが他のシフトポジションからNポジションに戻す時間が短すぎないか否かが判断される。短すぎる時間を示すものとして、T2thを用いる。T2thは、Nポジションと他のシフトポジションとの間で交互に変更がされた場合を判別できる程度に短い期間に設定される。例えば、制御周期Δtの数倍程度の期間とする。一例としては、T2th=(5〜10)Δtとする。このような短い期間のときは、劣化評価値DにおけるD(−)が小さい値で、放電に起因する劣化発生が有効に防止されない。上記の数値は説明のための一例であって、忘却係数A等に応じ、その他の適切な数値であってもよい。
T2thを上記のように定めて、T2=T2thに到達したか否かが判断される(S58)。S58の判断が否定されると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。次の制御周期では、履歴状態分けでS24に進み、上記のS58の判断が行われる。その時点でT2=T2thに到達しているとS58の判断が肯定されるので、シフトポジションの状態を取得し、シフトポジションがNポジションであるか否かが判断される(S60)。S60の判断が否定されると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
次の制御周期等において、S60の判断が肯定されるときは、次の状態と考えられる。すなわち、ユーザが警報報知を知って一旦Nポジション以外のシフトポジションに変更し、これによって警報報知解除とされ、その後、T2=0からT2thまでの短い時間の間にユーザがシフトポジションを再びNポジションに戻した状態である。このように、Nポジション以外のシフトポジションに変更しても短時間にまたNポジションに戻されると、蓄電装置20に十分な充電が行われず、放電劣化を防止できないことが生じる。そこで、警報解除後の短時間にNポジションに戻される回数をカウンタC1で計数する。すなわち、S24の分岐処理に入ってS58が肯定されさらにS60が肯定されるとカウンタC1の計数値を+1増加させ、タイマT2を0にリセットする(S62)。そして、カウンタC1の計数値が予め定めた閾値回数C1thに到達したか否かが判断される(S64)。C1thは1以上の整数に設定することができる。ユーザが何かの過誤で警報解除後の短時間にNポジションに戻すこともあり得るので、C1thは、2または3とすることが好ましい。S64の判断が否定されると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
次の制御周期等においてS64が肯定されるときは、ユーザがシフトポジションをNポジションに移したタイミングが意図的に速すぎると判断され、前回の所定の警告よりも強い警告方法で強度警告の報知が行われる(S36)。この処理手順は、充放電制御装置40の警告報知処理部46の機能によって実行される。警告の内容は、図5のS30の所定の警告の内容と同じで、ユーザに、シフトポジションをNポジションから他のシフトポジションに変更することを促す内容である。報知は報知手段14によって行われる。
前回の所定の警告よりも強い警告方法とは、ユーザに対し、より明確に所定の警告の内容が伝達される方法である。報知手段14において、ブザー56の音量を前回よりも大きな音量とし、ディスプレイ54に、例えば「ニュートラルポジション以外のシフトポジションにしばらく固定したままとして下さい」等のメッセージを表示する。ディスプレイ54における文字やキャラクタをより大きめとしてもよい。報知手段14が警告ランプを備えるときは、警報ランプの点灯明るさをより明るくし、または点滅頻度を多くして、頻繁に強い光で点滅させる。報知手段14が音声スピーカを備えるときは、音量を大きくし、上記のメッセージを出力する。
S36の強度警告報知処理が行われると、これまでの一連の蓄電装置20の劣化防止に関する処理を終了し、「END」としてS12に戻す。このように、ユーザに強い警告を行って注意喚起をして、初期状態に戻す。これに代えて、強度の警告報知に応じてユーザがNポジションにしばらく固定する処理を行うことを確認してから、「END」としてS12に戻すことにしてもよい。強度警告報知処理(S36)の手順を行うことで、S30の警告に応じてシフトポジションがNポジションから他のシフトポジションに変更されたときでも、Nポジションと他のシフトポジションとの間で交互に変更がされた場合等に対応でき、ユーザの利便性低下を抑制しながら、警告報知処理(S30)、警告報知解除処理(S32)の作用効果を補強できる。
再び図4に戻り、履歴状態分け処理(S16)における「放電停止処理履歴有り」(S26)の分岐では、放電停止処理(S34)の作用効果を補強する処理が行われる。
例えば、二次電池劣化発生防止のために放電停止処理(S34)が行われると、表示手段13の表示部50の「RD」の文字表示が消灯する。ユーザがこれを見て、シフトポジションをNポジションに放置したまま、車両に備えられている操作子52を操作して放電停止解除要求をすることがある。このような場合、ユーザの要求に応じて放電停止を解除すると、二次電池である蓄電装置20に十分な充電電流が供給されないことが生じ、放電に起因する劣化発生が有効に防止されない。そこで、放電停止処理(S34)が行われたときは、M3=1の履歴を利用して、履歴状態分け処理(S16)において「放電停止履歴有り」(S26)の分岐に進む。
図9は、「放電停止履歴有り」(S26)の分岐における詳細な処理手順を示すフローチャートである。ここでは、放電停止処理(S34)においてM3=1に設定された時間T3=0を基準にして、ユーザが操作子52を操作した時間が短すぎないか否かが判断される。短すぎる時間を示すものとして、T3thを用いる。T3thは、T2thと同程度の時間に設定することができる。例えば、T3thを制御周期Δtの数倍程度の期間とする。上記の数値は説明のための一例であって、その他の適切な数値であってもよい。
T3thを上記のように定めて、T3=T3thに到達したか否かが判断される(S66)。S66の判断が否定されると、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。次の制御周期では、履歴状態分けでS26に進み、上記のS66の判断が行われる。その時点でT3=T3thに到達していればS66の判断が肯定されるので、シフトポジションの状態を取得し、シフトポジションがNポジションであるか否かが判断される(S68)。S68の判断が否定されるときは、シフトポジションがNポジション以外であるので、放電停止処理(S34)の目的を果たすので、放電停止処理解除が行われる(S78)。放電停止処理解除は、システムメインリレー22を接続状態に戻す。これにより、表示手段13のディスプレイ50において「RD」の文字表示が点灯される。そして、その制御周期における処理は終了し「END」となってS12に戻る。
次の制御周期等において、S66,S68の判断が肯定されると、操作子52が操作されたか否かが判断される。操作子52が操作されると「RB信号」が0から1に変更されて充放電制御装置40に伝送されるので、「RB信号」が1か否かを判断する(S70)。S70の判断が否定されるときは、操作子52は操作されていないが、シフトポジションがNポジションのままであるので、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。S70の判断が肯定されるきは、次の状態と考えられる。すなわち、二次電池劣化発生防止のために放電停止処理(S34)が行われたときに表示手段13の表示部50の「RD」の文字表示が消灯する。ユーザがこれを見て、シフトポジションをNポジションに放置したまま、車両に備えられている操作子52を操作して放電停止解除要求をした状態である。
放電停止処理(S34)が行われた後、短時間のうちに、このユーザの放電停止解除要求に応じると、蓄電装置20に十分な充電が行われず、放電劣化を防止できないことが生じる。そこで、シフトポジションをNポジションに放置したまま、放電停止処理(S34)が行われた後短時間でユーザが操作子52を操作した回数をカウンタC2で計数する。すなわち、S26の分岐処理に入ってS66,S68,S70が肯定されるとカウンタC2の計数値を+1増加させ、タイマT3を0にリセットする(S72)。そして、カウンタC2の計数値が予め定めた閾値回数C2thに到達したか否かが判断される(S74)。C2thは1以上の整数に設定することができる。ユーザが何かの過誤で操作子52を操作することもあり得るので、C2thは、2または3とすることが好ましい。S74の判断が否定されるときは、放電停止が継続され、表示手段13の表示部50の「RD」は消灯したまま(S76)で、その制御周期における処理は終了し、「RETURN」となってS14に戻る。
次の制御周期等においてS74が肯定されるときは、ユーザがシフトポジションをNポジションに放置したまま意図的に操作子52を操作したものと判断され、放電停止強化処理が行われる(S38)。この処理手順は、充放電制御装置40の放電停止処理部48の機能によって実行される。放電停止強化処理(S38)の内容としては、ユーザの操作子52の操作が行われても放電停止解除を行わず、予め設定された待機時間Tdを付加する。待機時間Tdは、ユーザの操作子52の操作時からTdの時間を経過した後に、放電停止解除を行うこととする時間である。待機時間Tdは、ユーザが自発的にシフトポジションを移すのに必要な時間を考慮して定めることができる。一例を挙げると、Tdを数秒とすることができる。待機時間Tdの設定に関して、報知手段14のディスプレイ54において、「放電停止解除要求を受けましたが、これを実行することができません。速やかにシフトポジションをニュートラルポジションから他のシフトポジションに変更して下さい」等のメッセージ内容を表示することがよい。
S38の放電停止強化処理が行われると、これまでの一連の蓄電装置20の劣化防止に関する処理を終了し、「END」としてS12に戻す。このように、ユーザの操作子52の操作に対して注意喚起をして、初期状態に戻す。これに代えて、待機時間Tdの経過中にユーザがNポジション以外のシフトポジションに移す処理を行うことを確認してから、「END」としてS12に戻すことにしてもよい。放電停止強化処理(S38)の手順を行うことで、放電停止処理(S34)の後でユーザが放電停止解除要求を行ってきたときでも、ユーザの利便性低下を抑制しながら、放電停止処理(S34)の作用効果を補強できる。
上記構成により、電解液中のイオン濃度が放電により偏る性質を有する二次電池について、放電による電解液中のイオン濃度の偏りを抑制し、また、放電による電解液中のイオン濃度の偏りの進行を抑制できるので、二次電池の放電劣化の発生を抑制できる。