JP2016107522A - プラスチックシートの製造方法およびそれにより得られるプラスチックシート並びにディスプレイ用プラスチック基板 - Google Patents

プラスチックシートの製造方法およびそれにより得られるプラスチックシート並びにディスプレイ用プラスチック基板 Download PDF

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早川 誠一郎
Seiichiro Hayakawa
誠一郎 早川
久保田 哲哉
Tetsuya Kubota
哲哉 久保田
法重 前田
Norishige Maeda
法重 前田
久志 戸田
Hisashi Toda
久志 戸田
石川 弦
Gen Ishikawa
弦 石川
佐藤 誠
Makoto Sato
佐藤  誠
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】表面特性や品質に優れ、大面積化や量産性に優れるプラスチックシートの製造方法およびそれにより得られるプラスチックシート並びにディスプレイ用プラスチック基板の提供。【解決手段】2枚の平板状型材(ガラス板1A,1B)とスペーサ(バンク4)とからなる成形型10を用いて、縁部に配設された材料注入口(注入ノズル2)から、硬化性組成物からなる成形材料Mを注入して硬化させるプラスチックシートの製造方法であって、成形型の成形空間に成形材料を充填する際に成形型を材料注入口側が水平より上を向く方向に水平面に対する成形型の正傾斜角αが10°以上になるまで傾けて成形材料を注入を続けた後、成形型の傾斜を角速度1〜10゜/秒で水平面に沿う水平状態に戻す工程を含むプラスチックシートの製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は、硬化性組成物を硬化して得られるプラスチックシートの製造方法およびプラ
スチックシートに関し、特に、光学特性,熱機械特性等に優れた大面積のディスプレイ用
プラスチック基板を得ることができる製造方法に関するものである。
従来、ディスプレイ用の基板としては、ガラスを基板とするものが多く使われてきた。
例えば、カバーウィンドウ,タッチパネル,液晶ディスプレイおよび有機エレクトロルミ
ネッセンス(EL)ディスプレイでは、厚さ0.5〜1mm程度のガラス基板が汎用され
ている。
近年、軽量薄型化や安全性向上の観点から、プラスチック製の基板も使用され始めてき
ており、カバーウィンドウ(保護板)に、ポリメチルメタクリレート(以下PMMA)や
ポリカーボネートの基板が使用されている。また、タッチパネルに用いられる、透明電極
付き基板として、ITOが積層されたポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム
等が汎用されている。このようなプラスチック基板には、光線透過率や複屈折(光学歪)
などの光学性能はもとより、耐熱性や線膨張係数などの熱特性,耐衝撃性,表面硬度,曲
げ弾性率などの機械的特性と、吸水率,比重、耐薬品性、耐溶剤性等の物性および無機膜
の密着性などの高度な加工適性が要求される。
これらの諸特性を満足するために、熱可塑性あるいは光/熱硬化性を問わず数多くの樹
脂が提案されているが、ガラス代替用途に用いるには、性能や品質がまだまだ不十分であ
る。特に、ガラス基板に比べて、表面硬度など性能に優れる樹脂を開発しても、製法の不
適切さから、樹脂製代替品は、うねりなどの表面平坦性や、傷などの表面平滑性は、大き
く劣っているのが現状である。これら樹脂製代替品(基板)の表面特性は、樹脂自体より
も製法(成形法)に依存するところが大きく、樹脂本来の性能を発揮するためにも、製造
方法の改良が重要である。
かかるプラスチック基板における性能や品質の改良のために、近年の提案の中には、特
定の光硬化性組成物を光硬化して得られる成形体も見受けられる。例えば、2官能の(メ
タ)アクリレートと分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物とを含有す
る重合性組成物は、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、
特許文献1参照。)。
また、3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレート化合物を75wt%以上含有する重合
性組成物は、耐熱性が高く、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(
例えば、特許文献2参照。)。また、2官能の脂肪族(メタ)アクリレート化合物と3官
能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性組成物は、耐熱性が高く、線膨
張係数が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)
また、特許文献4には、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと脂環
構造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、鉛筆硬度の高い樹
脂成形体を与えることが開示されており、特許文献5には、脂環構造を有する単官能(メ
タ)アクリレート、脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび脂環構
造を有する多官能(メタ)アクリレートよりなる光重合性組成物が、光学特性や熱機械特
性に優れる樹脂成形体を与えることが開示されている。
更に、特許文献6には、特定の脂環骨格2官能(メタ)アクリレート系化合物、特定の
脂肪族4官能(メタ)アクリレート系化合物、および、脂環骨格を有する分子量200〜
2000の多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物よりなる光重合性組成物が、光
学特性や熱機械特性に優れる樹脂成形体を与えることが開示されている。
かかる光硬化性組成物を硬化して得られるプラスチックシート(基板)は、確かに、光
学特性、熱機械特性、加工適性などに優れる。一方、前述したとおり、樹脂本来の性能を
発揮するためには、適切な製造方法が必要である。光硬化樹脂の場合は、一般的に、光硬
化性組成物を成形型内に注型して光硬化を行う注型成形、もしくは、光硬化性組成物を支
持フィルム上またはフィルム間に塗布し、光硬化を行う連続成形で行われる。
注型成形としては、例えば、2段階の光硬化により表面欠陥を低減する製造方法(特許
文献7)、硬化性シーリング材を用いて硬化収縮に伴う剥離跡を低減する製造方法(特許
文献8)等が開示されており、連続成形としては、例えば、支持フィルムを用いた製造法
(特許文献9,10)、ドラム型ロールを用いた製造方法(特許文献6)等が開示されて
いる。
図12に、成形型を用いた従来のプラスチックシートの製造方法(注型成形)の概略を
示す。この製造方法は、図面上、左上を始点として右回り(時計回り)に循環するもので
、下記の工程順に行われるようになっている。
(A)平板状型材(ガラス板)を準備する工程、
(B)ガラス板上にスペーサを配置して成形型を準備する工程、
(C)成形型を垂直に起立させて成形空間に成形材料を注入する注型工程、
(D)紫外線(UV光)を照射して成形材料(樹脂)を硬化させる照射工程
(E)2枚のガラス板を引き離しプラスチックシート(製品)を露出させる脱型工程、
(F)ガラス板からプラスチックシート(製品)を剥離する製品剥離工程、
(A’)使用済みの平板状型材(ガラス板)を洗浄して再度準備する工程。
また、上記(F)製品剥離工程で得られたプラスチックシートは、
(G)所定形状にカット(打ち抜き等)した後、刻印,洗浄する工程、
(H)熱処理による養生(アニリング)工程、
(I)製品検査工程、
を経てプラスチックシート製品として完成する。なお、上記のような多様な工程を経るバ
ッチ式の光成形過程は、通常、自動化(機械化)するのが困難で、部分的に補助的な機械
を用いている例はあるものの、その作業のほとんどを人手に頼っているのが現状である。
特開平9−152510号公報 特開2002−302517号公報 特開2003−292545号公報 特開2006−193596号公報 特開2007−204736号公報 特開2007−56180号公報 特開平10−058465号公報 特開2002−361656号公報 特開2002−012682号公報 特開2007−290364号公報
ところで、先に述べたような先行技術をもってしても、表面特性や品質に優れるプラス
チックシートを製造するのは困難であり、更に、これらの先行技術は、大面積化や量産性
を考慮すると問題がある。
すなわち、特許文献1〜6に開示の製造方法では、光硬化性組成物を成形型に注入して
光硬化する注型成形の手法が取られているが、注型に際して多大な時間を要するため、生
産性に優れるとは言いがたい。特に、特許文献6では、光硬化性組成物をロール型ドラム
上に流延して光硬化する記載もあるが、この製造方法では、得られるプラスチックシート
は、ロール形状を反映して反ってしまうという問題がある。
特許文献7および8においても、注型に際して多大な時間を要するため生産性に優れる
とは言いがたい。また、特許文献9および10では、支持フィルムとして柔らかいプラス
チックフィルムを用いるため、光硬化に際してうねりが生じたり、表面平滑性や厚み精度
に劣るという問題がある。
これらの特許文献の技術を俯瞰すると、支持フィルムやドラムを用いた連続式の光成形
は、大面積化や量産性に優れるが、表面特性や品質に劣る傾向にある。一方、ガラス型を
成形型として用いたバッチ式の注型成形(図12参照)は、表面特性や品質に優れるが、
注型に多大な時間を要するために量産性に劣る。これは、従来の注型成形が、成形型を垂
直に立てて、上部の材料注入口(ノズル等)より注入し(図12のC工程)、型内下部に
液溜まりを作った後、プレスする方法をとっていたからである。更に、従来の注型成形は
、製造時における異物や気泡等の混入のおそれがあり、プラスチックシートの品質を、よ
り低下させる原因ともなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、表面特性や品質に優れ、大面積化や
量産性に優れるプラスチックシートの製造方法およびそれにより得られるプラスチックシ
ート並びにディスプレイ用プラスチック基板の提供をその目的とする。
しかるに、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、プラスチック
シートの注型成形において、注型工程が、下記(1),(2)の2つの工程を含む構成、
更に好ましくは下記(1)〜(3)の3つの工程を含む構成とすることによって、上記課
題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
前記の目的を達成するため、本発明は、所定の間隙を空けて対向する2枚の平板状型材
と、これらの型材の間の成形空間を縁部で液封するスペーサとからなる成形型を、その縁
部の所定位置に配設された材料注入口側が水平より上を向く方向に傾け、この材料注入口
から、硬化性組成物からなる成形材料を注入して硬化させるプラスチックシートの製造方
法であって、成形型の成形空間に成形材料を充填する注型工程が、下記(1),(2)の
2つの工程を含む構成を、第1の要旨とする。
(1)成形型を、材料注入口側が水平より上を向く方向に、水平面に対する成形型の正傾
斜角αが10°以上になるまで傾け、成形材料を注入する注型第1工程。
(2)成形材料の注入を続けながら、この成形型の傾斜を、角速度1゜〜10゜/秒で、
水平面に沿う水平状態に戻す注型第2工程。
更に、本発明のプラスチックシートの製造方法は、上記第1の要旨の製造方法の中でも
、特に、下記(3)の工程を含む構成を好適に採用する。
(3)成形型が水平状態に戻った後、この成形型を、材料注入口側が水平より下を向く方
向に傾け、水平面に対する成形型の負傾斜角βが−1゜〜−45゜になった状態で所定時
間静止した後、この成形型を水平状態に復帰させる注型第3工程。
また、本発明は、上記プラスチックシートの製造方法により得られるプラスチックシー
トを、第2の要旨とする。
そして、本発明は、上記プラスチックシートの製造方法により得られたプラスチックシ
ートを用いたディスプレイ用プラスチック基板を、第3の要旨とする。
すなわち、本発明の要旨は、硬化性組成物を注型成形することにより、樹脂本来の性能
と表面特性や品質を確保し、注型に際して、成形型を多段階で傾斜させることにより、注
型時間を短縮して、大面積化や量産性を向上させるものである。
また、本発明のプラスチックシートの製造方法は、製造時における異物や気泡等の混入
のおそれが少なく、表面特性(うねりなどの表面平坦性や、傷などの表面平滑性)および
品質(光学性能,熱特性,耐衝撃性,機械的特性,耐薬品性、加工適性等)に優れるプラ
スチックシートを得ることができる。
更に、本発明は、前記製造方法により得られるプラスチックシート、および、該プラス
チックシートを用いてなるディスプレイ用プラスチック基板も提供するものである。
本発明によれば、光学特性,熱機械特性,加工適性,表面特性および品質に優れ、大面
積化や量産性に優れるプラスチックシートの製造が可能になる。また、本発明によれば、
成形型を用いたプラスチックシートのバッチ式注型成形法を、シートの高品質を維持した
まま、製造工程(注型工程)を自動化することができる。更に、かかる製造方法で成形さ
れるプラスチックシートは、ディスプレイ用プラスチック基板として好適である。
本発明のプラスチックシートの製造方法に用いる成形型の構成を説明する図である。 成形型を組み立てた状態を示す図である。 組み立てた状態の成形型を横方向から見た側面図である。 成形型を、材料注入口側が水平より上を向く方向に傾けた状態を示す図である。 成形型を傾け、成形材料の注入を開始した状態を示す図である。 傾けた状態の成形型内の成形材料の流れを、模式的に示す図である。 材料注入口を抜き取り、平板状型材どうしをスペーサを介して密着させた状態を示す成形型の側面図である。 成形型の傾きを水平0°に戻す途中で、成形型を一旦静止させた状態を示す側面図である。 水平面に沿う水平状態の成形型を示す側面図である。 成形型を、材料注入口側が水平より下を向く方向に傾けた状態を示す側面図である。 成形型をプレスする工程を説明する図である。 従来のバッチ式のプラスチックシートの製造方法を説明する図である。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は
、この実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明において、「水平」とは、鉛
直方向に直交する平面(水平面)との間の角度が0°である状態(すなわち、水平面に沿
った平行状態)を表し、「水平状態」とは、水平に近い(水平面に対する角度が±1°未
満の)状態も含めることとする。
本実施形態におけるプラスチックシートの製造方法も、基本的な製造過程は、従来例(
図12)に沿うものであり、成形型に注入・充填した硬化性組成物を、硬化させ、これを
脱型することにより、均一厚みのプラスチックシートを得るものである。
そして、このプラスチックシートの製造方法は、成形型の成形空間に成形材料を充填す
る注型工程(図12におけるC工程)が、
(1)成形型を、材料注入口側が水平より上を向く方向に、水平面に対する成形型の正傾
斜角αが10°以上になるまで傾け、成形材料を注入する注型第1工程。
(2)成形材料の注入を続けながら、この成形型の傾斜を、角速度1゜〜10゜/秒で、
水平面に沿う水平状態に戻す注型第2工程。
の必須の2つの工程と、これらに付加された、
(3)成形型が水平状態に戻った後、この成形型を、材料注入口側が水平より下を向く方
向に傾け、水平面に対する成形型の負傾斜角βが−1゜〜−45゜になった状態で所定時
間静止した後、この成形型を水平状態に復帰させる注型第3工程。
の上記(1)及び(2)、好ましくは(1)〜(3)の工程を含んでおり、これらの工程
を連続して行うことによって、注型工程の自動化(機械化)が達成されている。これが、
本実施形態のプラスチックシートの製造方法の特徴である。
上記プラスチックシートの製造方法(注型工程)について、具体的に説明すると、この
プラスチックシートの製造方法は、図1〜図10に示すように、所定の間隙を空けて対向
する2枚の平板状型材(ガラス板1A,1B)と、これらの型材の間に形成される成形空
間(キャビティ)を縁部で液封するスペーサ(バンク4)とからなる成形型10(図2,
図3参照)を用いて、以下の手順(番号順)で成形材料の注入・充填を行う。なお、各図
において符号3は、材料注入口(注入ノズル2)寄りのガラス板1Aと1Bとの間(成形
型上部の間隙)を、隙間が空いた状態に保つための第1シムである(図5においては図示
を省略している)。
1.成形型10を、材料注入口(注入ノズル2)側が水平より上を向く方向に、水平面に
対する(正)傾斜角αが10°以上の所定角度(例えば30°)になるまで傾け(図4)
、成形材料Mを注入する(注型第1工程−図5参照)。注入ノズル2側が水平より上を向
く方向に傾けるに際しては、水平状態から注入ノズル2側を持ち上げてもよいし、注入ノ
ズル2側の反対側を押し下げてもよい。本実施形態においては、注入ノズル2側の反対側
を押し下げる方向を採用している。
2.注入された成形材料Mが、傾斜状の成形空間の最下部(S1,S2等)に到達したの
を確認した後(図6)、注入ノズル2を退避させ(図7)、一方のガラス板1A(上側)
を他方のガラス板1B(下側)に近づけて、ガラス板全体を、バンク4を介して液封状に
密着させる(図7参照)。なお、成形空間最下部の両端S2,S2の位置には、成形材料
Mの存在を検知するためのセンサ等が配設されている。
3.所定量の成形材料Mの注入が完了後、成形型10を、角速度1゜〜10゜/秒で、水
平状態に戻す(注型第2工程−図9参照)。材料注入口(注入ノズル2)側が水平より上
を向く方向に傾ける場合、先に注入ノズル2側の反対側を押し下げていた場合(本例)に
は、該反対側を持ち上げるように行う。逆に、先に注入ノズル2側を持ち上げた場合には
、ノズル2側を押し下げるように行う。なお、本実施形態においては、成形型10の傾き
をαから0°に戻す(注型第2工程の)途中で、この成形型10を所定傾斜角γ(例えば
20°)で0.1秒以上静止させ、例えば、作業員の目視等により、液状の成形材料Mの
左右方向への広がり具合と、異物や気泡等の混入の有無とをチェックする確認工程(図8
)を行っている。
4.成形材料Mの左右への広がりが確認できたら、成形型10が水平面に沿う水平状態(
図9)に戻った後も、この成形型10の傾斜を、材料注入口側(注入ノズル2が配置され
ていた側)が水平より下を向く方向に更に進め、この成形型10の、水平面に対する傾斜
角(負の傾斜角)βが−1゜〜−45゜(例えば−5°)になった時点で、成形型10を
所定時間静止させる(注型第3工程−図10参照)。
5.静止の所定時間経後、成形型10を水平状態(図9参照)に復帰させ、注型工程を完
了する。
なお、一連の成形型10の動き(動作)は、仮想水平面上に設定された回動軸(ガラス
板の板面に平行)を支点として、成形型(材料注入口)を鉛直方向上下に揺動させる動作
、であると言うこともできる。したがって、上記のような成形型10の動作(注型第1〜
第3工程)は、成形型10を上面(台上)に載置して一体に揺動する揺動台(揺動装置)
を用いれば、自動的にかつ連続で行うことができる。この場合、回動(揺動)の支点(軸
)は、成形型10の上部,下部あるいは中間部(上部と下部の間)のどこに設けてもよい
つぎに、上記注型工程についで実施されるプレス工程について説明する。
注型工程の後に行われるプレス工程は、図11に示すように、成形型10をプレス機に
より水平方向上下から押圧し、注入された成形材料Mを、成形型10全体に万遍なく均一
に充填する工程である。このプレス工程を実施する際は、その前に予め、成形型10の上
下のガラス板1A,1Bの間で、かつ、スペーサ(バンク4)より外縁側の位置に、プレ
ス圧に耐えることのできる板状(所定厚さ)のシム(第2シム5)が、挿入・差し込みさ
れており、この第2シム5および前記バンク4に設けられている開口部(図11では図示
せず、他の図においては符号4aで表示)から、成形材料M注入後に成形空間内に残る残
余の空気が、成形型10の外部に排出されるようになっている。
上記各工程について、より詳しく説明すると、注型第1工程は、成形型10を傾斜させ
て、上側に配設した注入ノズル2から、液状の成形材料を自然落下で注入する手法である
。成形型10を横置き(水平方向)にして加圧注入すると、気泡が混入したり、成形型全
面への液充填が困難であったり、液対流がプラスチックシートの複屈折(光学歪)を誘発
するおそれがある。成形型10を、10゜以上傾斜させて注入することにより、気泡の混
入なく、成形材料Mを、成形型10内の下部に速やかに到達させることができる。なお、
更に速やかに到達させるため、加圧注入したり、成形材料を加温して低粘度化したり、成
形型10を加温して液落下を速めたりすることも可能である。
成形型10の水平面に対する傾斜角(正傾斜角)αは、成形材料の粘度や表面張力、ガ
ラス板表面の接触角、および/または、注入量やスペーサ厚にも依るが、好ましくは注入
時間短縮の点から、10〜90°、より好ましくは、後工程(注型第2工程)の時間短縮
の点から20〜70°、特に好ましくは25〜50°である。傾斜角αが小さすぎると、
成形材料が成形型10内の下部に達するまでの時間が長くなる傾向にある。当然のことな
がら、傾斜角αは、90゜以下である。
なお、注型第1工程は、成形材料の注入開始から、成形材料が成形型10内の少なくと
も最下部に到達するまでであることが好ましい(図6参照)。最下部に到達する前に、次
工程に移行すると、成形型10内の下部の二隅(成形空間下部の両角の入隅部)に気泡が
残存する傾向にあり、最終的に得られるプラスチックシートにも気泡が存在しやすい。
ちなみに、成形型10を、垂直方向(90°)に縦置きにして、液状の成形材料を自然
落下で全量注入すると、成形型10内部の下部に液溜まりができる。この場合、成形型1
0内部の体積に見合った液量を注入しても、型内全体に充填するのが困難であるため、多
くの時間を要することとなり、更に、プラスチックシートの厚み精度を確保するのも困難
である。理由は、注入に従ってガラス板が外側に撓むためと、成形材料の硬化収縮率を見
越して、通常、スペーサは厚めに設定されているためである。
前者に関しては、厚さ1mm以上のガラス板を用いて所定の液量を注入しても、成形型
10内の半分も充填されていない場合がある。後者に関しては、通常、成形材料の硬化収
縮率は2〜20%であり、体積収縮を見越して厚めに設定されたスペーサを用いて注型す
ると、所定の液量を注入しても、おのずと型内全体には充填されない。また、一旦、成形
型10内の下部に溜まった液を、成形型10内の全面に広げることは非常に困難である。
所定量を注入後、成形型10を横置き(水平)にして液を型内全面に広げるには、多大な
時間を要するうえ、ガラス板の下部側からプレスを開始しても、型内上部まで、一様に液
を充填させることは困難である。いずれの場合も、型内に大きな空気部や多くの気泡が残
ることがある。
つぎに、注型第2工程は、従来の注型手法にはない工程であり、成形型10を、傾斜角
αから角速度1゜〜10゜/秒で、水平方向に変化させる(水平方向に傾斜を戻す)こと
により、成形材料Mを、成形型10内の全面に広げるためのものである。角速度は、成形
材料の粘度や表面張力、ガラス板表面の接触角、および/または、注入量やスペーサ厚に
も依るが、好ましくは1°〜8°/秒、より好ましくは1°〜6°/秒、特に好ましくは
2°〜5°/秒である。角速度が小さすぎると、全面に広げる効果が低下する傾向にあり
、大きすぎると、全面に広がる際に、不均一な広がりとなる傾向にある。
かかる注型第2工程は、成形型10内の下部の二隅(成形空間下部の両角の入隅部)に
液が到達し、かつ、未だ液が流れ落ちている状態で実施するのが好ましい。かかる状態で
成形型10を水平方向(傾斜を戻す方向)に変化させることにより、上部二隅(成形空間
上部の両角部)に、型内の気体が押し出されていくのである。そのため、上部二隅に、空
気排出用開口部(各図においては符号4aで表示)を設けておくと、素早く型内全面に液
を広げていくことが可能となり好ましい。
また、注型第2工程において、成形型10は、傾斜角γ(0<γ<α)で一旦静止する
ことが、液面制御の点で好ましい(図8参照)。液面センサ等により型内の液充填度を計
測し、静止後の角速度を最適化することにより、より効率よく成形材料を成形型10内の
全面に広げることができる。静止角度(傾斜角γ)は、上記傾斜角αの角度にも依るが、
好ましくは60〜0゜、より好ましくは40〜5゜、特に好ましくは30〜10゜である
。静止時間は、液面センサの検出精度の点から、好ましくは0.1秒以上、より好ましく
は0.5秒以上、特に好ましくは1秒以上である。当然のことながら、長時間の静止は注
入時間の増加に繋がるため、生産性の点から、通常は10秒以内、好ましくは5秒以内で
行われる。
つぎに、注型第3工程も、従来の注型手法にはない工程であり、成形型10を、傾斜角
度−1゜〜−45゜(傾斜角β)で保持することにより、成形材料Mが成形型全体に充填
されやすくするためのものである(図10参照)。傾斜角度(β)がマイナスであること
は、成形型10内に注入された液体(M)を、注入ノズル2(この時点では退避して存在
しない)の方向に押し返すことを意味する。負の傾斜角βは、成形材料の粘度や表面張力
、ガラス板表面の接触角、および/または、注入量やスペーサ厚にも依るが、好ましくは
−1〜−30°、より好ましくは−2〜−20°、特に好ましくは−3〜−10°である
。傾斜角βが小さすぎると、液を全体に充填する時間が増加し、大きすぎると、液が成形
型10から溢れ出たり、成形型10内に気泡が残存したりしやすい傾向にある。
なお、注型第3工程は、注入ノズル2を挿入していた部位からの液漏れの観点から、上
記ノズル2を成形型10内部から引き抜いた後に、行われることが好ましい。注型第3工
程は、成形型10の負の傾斜角度βがマイナスであるため、ノズル2を成形型内に挿入し
たままでは、ノズル吐出口(先端)周辺の液垂れや、ノズル吐出口と注入液の接触など、
連続しての注型が困難になる場合があるからである。
ついで、本実施形態のプラスチックシートの製造方法においては、上記注型工程(注型
第3工程)の後に、成形材料Mが均一に充填され所定の厚さになるように、先に述べたプ
レス工程(図11参照)を実施することが好ましい。
プレスの手法は、特に限定されないが、一般的なプレス機を用いて、水平状態でなされ
ることが好ましい。かかる場合のプレス圧は、ガラス板の変形回避の点で10MPa以下
が好ましく、より好ましくは、厚み精度の点で0.01〜1MPa、特に好ましくは、充
填状態の制御の点で0.05〜0.5MPaである。プレス時間は、生産性の点で10分
以下が好ましく、より好ましくは、厚み精度の点で10秒〜10分、特に好ましくは、充
填状態の制御の点で1分〜5分である。プレス時の温度は、液漏れ回避の点から、100
℃以下が好ましく、より好ましくは、充填速度の点で70℃以下、特に好ましくは、光学
歪の原因となる液体流を回避するため50℃以下である。
ガラス板へのプレスは、板全面に一様である必要はなく、部分的にプレスしてもよいし
、経時的にプレス位置を変えてもよい。特に、型内に液を一様に充填できる点で、成形型
下部の一辺から上部の一辺に向けて、経時的にプレスしていくことが好ましい。
ガラス板の間のスペーサとして、上述したバンク4を使用する場合は、かかるプレス工
程において、所定の厚さのシム〔上記プレス圧に耐えることのできる板状のシム(第2シ
ム5)〕を、ガラス板1Aとガラス板1Bとの間に差し込んで空隙を確保したうえで、プ
レスを行い、前記空気排出用開口部(4a)から空気を押し出して成形型10内に成形材
料Mを充填し、充填後に、上記シム(第2シム5)を取り外すことが好ましい。かかる手
法により、ゲル状(硬化未完)のバンク4が潰れるのを、回避することができる。
なお、プレス後の成形型10は、厚み精度を向上する観点から、水平状態で静置するこ
とが好ましい。かかる手法により、プレスにより変形したガラス板が元通りの平坦性を取
り戻すことが可能となる。静置時間は、生産性の点から10分以内が好ましい。より好ま
しくは1秒〜7分、特に好ましくは2秒〜5分である。
つぎに、上記プレス後からプラスチックシート製品になるまで(図12におけるD工程
〜I工程)を簡単に説明すると、照射工程(D)は、例えば、光硬化性の組成物(成形材
料)が充填された成形型に、紫外線を照射光量1〜100J/cm2の範囲で光照射して
、光硬化させることが好ましい。照射光量は、使用する樹脂の種類にも依るが、好ましい
範囲は5〜70J/cm2、より好ましい範囲は10〜50J/cm2である。照射光量が
少なすぎると硬化が不十分となる傾向があり、多すぎると生産性が低下する傾向がある。
紫外線の照度は、通常10〜5000mW/cm2、好ましくは100〜1000mW/
cm2である。照度が小さすぎると内部硬化が不十分となる傾向があり、照度が大きすぎ
ると重合が暴走し、プラスチックシートの複屈折が増大する傾向がある。
紫外線源としては、例えば、メタルハライドランプ,高圧水銀灯ランプ,無電極水銀ラ
ンプ等が挙げられる。光源から発生する赤外線により重合が暴走するのを防ぐため、ラン
プに赤外線を遮断するフィルターや赤外線を反射しない鏡等を用いることも可能である。
紫外線の照射に際しては、複数回に分割して照射すると、複屈折がより小さいプラスチッ
クシートが得られるので好ましい。例えば、1回目に全照射量の1/100〜1/10程
度を照射し、2回目以降に必要残量を照射する方法が挙げられる。
続く脱型−製品剥離工程(E→F)は、硬化により得られたプラスチックシートを、ガ
ラス板から剥離する工程である。すなわち、上記成形材料Mの硬化(照射工程D)が終了
した成形型10から、片側のガラス板(例えば、ガラス板1A)を剥離して除去した後、
もう一方のガラス板(例えば、ガラス板1B)に付着したプラスチックシートを剥離する
。剥離の手段としては、脱型刃をガラス板とプラスチックシートの界面に差し込んで剥離
する手法や、成形型全体に熱衝撃を加えてガラス板とプラスチックシートを剥がす手法が
挙げられる。
かかるプラスチックシートの剥離を容易にするために、ガラス板の表面は剥離剤などの
手法で表面処理しておくことが好ましい。更に、片側のガラス板のみを除去しやすくする
ため、片側のガラス板のみ剥離剤濃度を高めておくことも可能である。なお剥離剤として
はフッ素系のシランカップリング剤が、ガラス板表面に強固な剥離膜を形成する観点から
好ましい。
なお、脱型−剥離工程後に、硬化度向上や応力歪除去のために、プラスチックシートを
熱処理することも可能である。熱処理は、大気圧下,不活性ガス下,真空下のいずれでも
よく、温度は50℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上で
ある。なお、上限としては、通常300℃である。
更に、本実施形態の製造方法により得られたプラスチックシートは、CN加工やレーザ
ー加工など公知の技術で所望サイズにカットしたり、洗浄することも可能である(図12
−I工程)。
以上詳述した手法により、プラスチックシートが得られるが、かかるプラスチックシー
トの厚さは、用途により異なるが、0.05〜3mmであることが好ましい。厚さが薄す
ぎると、ディスプレイ用基板としての剛性が不足する傾向にあり、上限を超えるとディス
プレイの軽量薄型化が困難となる傾向がある。厚さは、好ましくは0.1〜2mm、より
好ましくは0.2〜1mmである。
本実施形態の製造方法により得られるプラスチックシートは、ガラス転移温度が100
℃以上であることが、耐熱性の点から好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、うねりが
生じたり、色相が低下する傾向がある。ガラス転移温度の好ましい範囲は100〜500
℃、より好ましくは150〜400℃、更に好ましくは200〜300℃である。かかる
ガラス転移温度を上記範囲に調整するにあたっては、後記する成形材料Mの種類や成分の
含有量を、適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官能(メタ)アクリレー
トの官能基数を上げる等の手法が可能である。
本実施形態の製造方法により得られるプラスチックシートは、鉛筆硬度が3H以上であ
ることが、表面硬度の点から好ましい。鉛筆硬度は、より好ましくは3H〜10H、特に
好ましくは4H〜8Hである。かかる鉛筆硬度を上記範囲に調整するにあたっては、上述
と同様、後記する成形材料Mの種類や成分の含有量を、適宜コントロールする手法が挙げ
られる。例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)として3〜6官能等のも
のを使用する等の手法が可能である。
更に、本実施形態の製造方法により得られるプラスチックシートの曲げ弾性率は、3G
Pa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が低すぎると剛性が低下する傾向にある。曲
げ弾性率は3〜5GPaであることがより好ましく、より好ましくは3.5〜4GPaで
ある。かかる曲げ弾性率を上記範囲に調整するにあたっては、上述と同様、後記する成形
材料Mの種類や成分の含有量を、適宜コントロールする手法が挙げられる。例えば、多官
能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)として3〜6官能等のものを使用する等の手法
が可能である。
また、本実施形態の製造方法により得られるプラスチックシートは、通常、全光線透過
率が80%以上であることが好ましく、特には85%以上、更には90%以上であること
が好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるプラスチックシートには、種々の用途に応じて、
粘着剤層,ハードコート層,印刷層,ガスバリア膜,透明導電膜等を形成してもよい。
つぎに、以上の工程に使用する部材や材料等について説明する。
本実施形態で使用される成形型10は、対向した2枚のガラス板(1A,1B)と、厚
さ制御のためのスペーサ(バンク4等)とで構成される。かかるガラス板は、成形型10
の強度の点から、厚さ1mm以上が好ましく、より好ましくは、プラスチックシートの表
面平坦性や表面平滑性の点から、成形材料Mが接するガラス表面が、光学的研磨(光沢研
磨)されていることが好ましい。更に好ましくは、成形材料が接するガラス表面の平坦性
が20μm以下、特に好ましくは、表面平滑性Raが10nm以下である。ガラス板の厚
さが薄すぎると、成形材料が硬化する際に生じる収縮応力に耐えられず、ガラス板に割れ
や反りが発生する傾向にある。ガラス板は、かかる強度の観点から化学強化されていても
よい。更に、プラスチックシートの脱型性を向上させるため、表面を離型剤で処理しても
よい。
成形型10の液封に用いるスペーサは、プラスチックシートの厚さを制御するものであ
るが、ゴム質やゲル状の材料であれば、目的とするプラスチックシートと同じ厚さにする
必要はなく、厚さが0.05〜10mmのものが好適である。材料としては、樹脂など公
知の材料が使用されるが、本実施形態においては、下記の2つの工程(5)と(6)とで
形成された、堰状のバンク4であることが好ましい。
(5)ガラス板1Bの外周部に、光硬化性組成物を高さ0.1〜10mm、幅0.1〜1
0mmで吐出する工程。
(6)吐出後、光(紫外線)照射して、光硬化性組成物をゲル化させる工程。
上記工程(5)においては、吐出後の光照射は、吐出後速やかに行うことが好ましい。
なお、プラスチックシートを構成する成形材料Mが、光硬化性組成物である場合、この
バンク4を構成する光硬化性組成物を、上記プラスチックシートを構成する成形材料と同
一とすることが望ましい。これにより、バンク4とプラスチックシートとが一体化し、よ
り大面積の成形体を得ることができる。
また、先にも説明したが、バンク4を用いる場合、ガラス板1Bの下部(注入ノズル2
と反対側寄りの下側)に形成されたバンク4とガラス板1Aの下部とを密着させ、ガラス
板1Aの上部(注入ノズル2寄りの上側)は、バンク4と密着していない状態(図4)で
、成形材料の注型(図5参照)を行うことが好ましく、特に、上方より注型を行うことが
好ましい。かかる手法により、成形型10内に注入ノズル2を差し込むのが容易になり、
かつ、注入速度を向上させることができる。更に、注入ノズル2より注入する際に、該注
入ノズル2をガラス板1A,1Bの上部に設けて注入するのが好ましいが、例えば、該注
入ノズル2をガラス板1A,1Bの中腹(傾斜の中間部)に配設して注入し始め、注入が
進むとともに、ガラス板1A,1Bの上部に移動させながら注入することも可能である。
更に、成形材料の注入が終了した時点で、注入ノズル2を型内から引き抜き、ガラス板
1Aが上部までバンク4と密着して、バンク4全体がガラス板1Bと密着する(図7参照
)ことが好ましい。かかる手法により、型内への液充填速度を向上することができる。
つぎに、本発明のプラスチックシートを構成する成形材料Mについて、詳細に説明する
。成形材料Mは、硬化性組成物からなるものであり、これが硬化されプラスチックシート
となるのである。
本発明のプラスチックシートの製造方法は、光硬化性組成物を用いた製造方法で特に効
果を発揮するが、同様に、注型成形が一般的である熱硬化性組成物にも適用が可能である
。本発明において、光硬化性組成物と熱硬化性組成物を合わせて「硬化性組成物」と称す
る。重合開始剤が光重合開始剤である場合は「光硬化」、重合開始剤が熱重合開始剤であ
る場合は「熱硬化」とされるが、重合性官能基は共通であることが多い。また、両開始剤
を混合して光/熱併用硬化も可能であるし、光硬化の後の熱処理により熱硬化を進めるこ
とも可能である。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートと
メタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの総称で
ある。また、ここで言う「多官能」とは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を
有することを意味する。
本発明のプラスチックシートの製造方法で用いる硬化性組成物は、例えば、(メタ)ア
クリル系組成物,エポキシ系組成物,チオール・エン付加系等の光硬化性組成物,(メタ
)アクリル系組成物,エポキシ系組成物,アリル系組成物,スチレン系組成物,アミド系
組成物,イミド系組成物,ウレタン系組成物,チオウレタン系組成物等の熱硬化性組成物
などが挙げられる。好ましくは、注型性の点で、粘度が10〜10000mPa・s、よ
り好ましくは、速硬化の点で、光硬化性組成物、更に好ましくは、プラスチックシートの
光学特性の点で、(メタ)アクリル系組成物、更に好ましくは、プラスチックシートの熱
特性の点で、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)と光重合開始剤(A3)より
なる(メタ)アクリル系組成物、特に好ましくは、プラスチックシートの機械特性の点で
、下記成分(A1),(A2)および(A3)を含有してなる(メタ)アクリル系組成物
である。
(A1)多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(A2)脂環骨格含有多官能(メタ)アクリレート
(A3)光重合開始剤
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)は、多官能であるため、硬化により架橋
樹脂を形成し、表面硬度や耐熱性の高いプラスチックシートを得ることができる。また、
分子内にウレタン結合を有し、得られるプラスチックシートは水素結合により適度な靱性
を有するため、曲げ弾性率が高く、かつ高強度なプラスチックシートを得ることができる
多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)は、ポリイソシアネート系化合物と水酸
基含有(メタ)アクリレートを反応させてなるものであり、ポリイソシアネートとしては
、例えば、芳香族系,脂肪族系,脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、中でもト
リレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,水添化ジフェニルメタン
ジイソシアネート,ポリフェニルメタンポリイソシアネート,変性ジフェニルメタンジイ
ソシアネート,水添化キシリレンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,ヘキ
サメチレンジイソシアネート,トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシア
ネート,1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン,フェニレンジイソシアネ
ート,リジンジイソシアネート,リジントリイソシアネート,ナフタレンジイソシアネー
ト等のポリイソシアネート、あるいは、これらポリイソシアネートの3量体化合物または
多量体化合物、ビューレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例え
ば、日本ポリウレタン工業社製の「アクアネート100」,「アクアネート110」,「
アクアネート200」,「アクアネート210」等)、または、これらポリイソシアネー
トとポリオールの反応生成物等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて
使用することができる。これらの中でも、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート,イ
ソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,1,3−ビス(イソシアナ
トメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ポリイソシアネートが、プラスチックシートの吸
水率を少なくできる点で好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(
メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキ
シエチルアクリロイルホスフェート,2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロ
キシプロピルフタレート,2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メ
タ)アクリレート,カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)
アクリレート,カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート
,カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,エチレンオキサ
イド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート,エチレンオキサイド変性
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2
種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、アクリレートが速硬化性の
点から好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレートなどの炭素鎖(水酸基と(メタ)アクリロイル間の炭素鎖)が比
較的短いものが、プラスチックシートの機械特性を向上できる点でより好ましい。
脂環骨格含有多官能(メタ)アクリレート(A2)は、多官能であるため、硬化により
架橋樹脂を形成し、表面硬度や耐熱性の高いプラスチックシートを得ることができる。ま
た、脂環骨格を有するためプラスチックシートの吸水率を低減することができる。
脂環骨格含有多官能(メタ)アクリレート(A2)としては、例えば、ビス(ヒドロキ
シ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート,ビス(ヒドロキ
シ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート,ビス(ヒド
ロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート,ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレ
ート,ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ
ン=ジ(メタ)アクリレート,ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.0
2,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート,ビス(ヒドロキシメチル)ペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート
,ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデ
カン=アクリレートメタクリレート,2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオ
キシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン,1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ
メチル)シクロヘキサン,1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロヘ
キサン,1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン,1,4−
ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロヘキサンなどの2官能(メタ)アクリ
レート,トリス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=トリ(メタ)ア
クリレート,トリス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=トリ
(メタ)アクリレート,トリス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7
.09,13]ペンタデカン=トリ(メタ)アクリレート,トリス(ヒドロキシメチル)ペン
タシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=トリ(メタ)アクリレート
,1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン,1,3,
5−トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロヘキサンなどの3官能(メタ)
アクリレートが挙げられる。これらの中では、基板の耐熱性の観点から、2官能(メタ)
アクリレートが好ましく、中でもビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デ
カン=ジ(メタ)アクリレート,ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02
,6]デカン=ジ(メタ)アクリレートが好ましい。上記脂環骨格含有多官能(メタ)アク
リレートは2種以上を併用することもできるし、アクリレートとメタクリレートとを併用
することもできる。
本発明において、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(A1)の含有量は、成分(A
1)と成分(A2)の合計に対して、5〜50重量%であることが好ましく、特には8〜
40重量%、更には10〜30重量%であることが好ましい。成分(A1)の含有量が少
なすぎるとプラスチックシートの表面硬度が低下する傾向にあり、逆に、多すぎるとプラ
スチックシートの吸水率が増大する傾向にある。
また、脂環骨格含有多官能(メタ)アクリレート(A2)の含有量は、成分(A1)と
成分(A2)の合計に対して、50〜95重量%であることが好ましく、特には60〜9
2重量%、更には70〜90重量%であることが好ましい。成分(A2)の含有量が少な
すぎるとプラスチックシートの吸水率が増大する傾向にあり、逆に、多すぎるとプラスチ
ックシートの強度が低下する傾向にある。
光重合開始剤(A3)としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、ベンゾフ
ェノン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインプロピルエーテル,ジエトキシアセトフ
ェノン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,2,6−ジメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキシド,2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィン
オキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのラジカル開
裂型の光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤(A3)は単独で用いても、2種
以上を併用してもよい。
光重合開始剤(A3)の含有量は、成分(A1)と成分(A2)の合計100重量部に
対して、0.1〜5重量部、更には0.2〜4重量部、特には0.3〜3重量部であるこ
とが好ましい。含有量が多すぎるとプラスチックシートのリタデーションが増大し、また
黄変が生じやすい傾向にあり、少なすぎると重合速度が低下し、重合が十分に進行しない
おそれがある。
本発明で用いる光硬化性組成物は、プラスチックシートの光学特性や熱機械特性などを
阻害しない程度に、更に少量の補助成分を含んでいてもよく、例えば、成分(A1)及び
(A2)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体,連鎖移動剤,酸化防止剤,紫外線
吸収剤,熱重合開始剤,重合禁止剤,消泡剤,レべリング剤,ブルーイング剤,染顔料,
フィラーなどが挙げられる。
なお、先にも述べたように、本発明のプラスチックシートを構成する成形材料Mが、光
硬化性組成物からなる場合、このバンク4を構成する光硬化性組成物を、上記プラスチッ
クシートを構成する光硬化性組成物と同一とすることが望ましい。バンク4用の材料を、
プラスチックシートを構成する光硬化性組成物の組成と同一にすることにより、バンク4
とプラスチックシートが一体化し、より大面積の成形体を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重
量基準を意味する。また、各物性については以下の通り測定した。
(イ)光線透過率
長さ50mm×幅50mmの試験片を5枚用意し、日本電色社製ヘイズメーター「ND
H−2000」で、全光線透過率(%)を測定した。
(ロ)鉛筆硬度
長さ50mm×幅50mmの試験片を5枚用意し、JIS K−5600に準じて、鉛
筆硬度を測定した。
(ハ)ガラス転移温度
長さ30mm×幅3mmの試験片を用い、セイコー電子社製「TMA120」で、引張
法TMA(支点間距離20mm、加重100g、昇温速度5℃/分、窒素フロー140m
l/分)にて測定した。
(ニ)曲げ弾性率
長さ25mm×幅10mmの試験片を5枚用意し、島津製作所社製オートグラフ「AG
−5kNE」(支点間距離20mm、0.5mm/分)にて、25℃で曲げ弾性率(GP
a)を測定した。
<実施例1>
560×660×8mmのガラス板(ガラス板1A,1B)を2枚用意し、ガラス板1
Bの片面に、6官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製「UV7600B」)
10部,ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリ
レート(新中村化学社製「DCP」)90部,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケ
トン(チバスペシャリティケミカルズ社製「Irgacure184」)1部,よりなる
、粘度が100mPa・sに調整された光硬化性組成物(成形材料M)を用いて、幅1m
m,厚さ1.1mmのバンク(符号4)を形成した。この時、バンクの2隅に空気排出用
の開口部(符号4a)を設けた(図1を参照)。
ガラス板1Bを、上記バンク4が形成された面を上向きにして水平状態に設置し、ガラ
ス板1Aの片面が、ガラス板1Bの上記面と対向するようにガラス板1Aを配置し、これ
らが、空気排出用開口部4aを有さないバンク4の1辺(成形型の下部に相当)で密着す
るようにして、成形型10を準備した。この時、密着しない辺側(成形型の上部に相当)
には、注入ノズル2の差し込みが可能になるように、厚さ3mmのシム(2個の第1シム
3)を差し込んだ。
成形型10全体を、密着した辺が下になるようにして30゜傾斜(α)させ、成形型1
0上部の隙間より注入ノズル2(本実施例においては、ノズル2に円筒形のものを使用)
を差し込み(図2)、温度25℃で光硬化性組成物465gの注入を開始した(図3)。
かかる光硬化性組成物の粘度は200mPa・sである。
液状の光硬化性組成物が、成形型10の最下部の両端(図6の各S2の位置)に到達し
たことを確認してから、注入ノズル2とシム3,3をこの順で引き抜いて(図7)、バン
ク4全体をガラス板1Aの片面と密着させた。
ついで、成形型10全体を、角速度2゜/秒で水平方向に傾きを戻し、光硬化性組成物
を成形型10の成形空間内に広げた。この時、角度20゜の位置(図8のγ)で1秒間静
止させ、光硬化性組成物の広がり具合に問題が無いかチェックした。
更に、水平(図9)を越えて成形型10を傾斜させ、水平に対する角度(β)が−3゜
に達した時点(図10)で10秒間静止させ、液状の光硬化性組成物が、成形空間全体に
ほぼ充填されたことを確認してから、成形型10全体を水平(0゜)に戻した(図9参照
)。
ついで、厚さ1mmのシム(第2シム5)を、ガラス板1Aと1Bの間に差し込み、プ
レス角度の調整が可能なプレス機を用いて、空気排出用開口部4aを有さないバンク4の
1辺側(成形型の下部に相当)から、0.1MPaで荷重を開始し(この時点では、成形
型の上部側は無荷重)、この荷重が1分間で、空気排出用開口部4aのある辺側(成形型
の上部に相当)に到達するようにプレスを進行させ、成形型10全体が0.1MPaでプ
レスされた状態(図11)を1分間保持した。かかるプレス工程の温度は室温である。
プレスを解放後、成形型10から第2シム5を取り外し、2秒間静置した後、メタルハ
ライドランプを用いて、ガラス板を通して上下両面から、光量20J/cm2で紫外線を
照射して、光硬化を完了した。
脱型・剥離して得られた成形体を、200℃の真空オーブン中で2時間加熱した後、レ
ーザーで550×650mmサイズにカットして、厚さ1mmの〈実施例1〉のプラスチ
ックシートを得た。得られた〈実施例1〉のプラスチックシートは、うねりもなく平坦で
あり、異物や傷も無く平滑であった。また、全光線透過率は92%、ガラス転移温度は2
50℃以上、鉛筆硬度は5H、曲げ弾性率は4GPaであった。
<実施例2>
使用するバンク4および第2シム5の厚さを0.2mmに変更して、更に、注型第1工
程での正傾斜角αを50°、注型第2工程における戻しの角速度を5°/秒に変更した以
外は〈実施例1〉と同様の条件にして行い、脱型・剥離して得られる成形体の厚さ(全厚
)を0.2mmとした〈実施例2〉のプラスチックシートを得た。
<実施例3>
2官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製「UT4460」)10部,ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート(新中村
化学社製「A−DCP」)90部,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ
スペシャリティケミカルズ社製「Irgacure184」)1部,よりなる、粘度が2
00mPa・sに調整された光硬化性組成物(M)を使用したこと以外、〈実施例1〉と
同様の条件にして、〈実施例3〉のプラスチックシートを得た。得られた〈実施例3〉の
プラスチックシートは、うねりもなく平坦であり、異物や傷も無く平滑であった。また、
全光線透過率は92%、ガラス転移温度は250℃以上、鉛筆硬度は3H、曲げ弾性率は
3GPaであった。
<実施例4>
プレス工程が無い以外は、〈実施例1〉と同様の条件にして、〈実施例4〉のプラスチ
ックシートを得た。ただし、空気排出用開口部4a(図6参照)付近に気泡が残存したた
め、530×630mmサイズにカットした。得られた〈実施例4〉のプラスチックシー
トは、うねりもなく平坦であり、異物や傷も無く平滑であった。
<実施例5>
バンクに代えて、シリコン樹脂製のスペーサを用いる以外は、〈実施例1〉と同様の条
件にして、〈実施例5〉のプラスチックシートを得た。ただし、縁部に光学歪が観察され
たため、530×630mmサイズにカットした。得られた〈実施例5〉のプラスチック
シートは、うねりもなく平坦であり、異物や傷も無く平滑であった。
いずれのプラスチックシートも品質や性能に優れるものであった。また、実施例による
製造方法を行うことにより、従来多くの時間を要していたのに対して、非常に効率的でか
つ量産性良くプラスチックシートを製造することができる。
本発明のプラスチックシートの製造方法により得られるプラスチックシートは、様々な
光学材料,電子材料に有利に利用できる。例えば、保護シート,タッチパネル,液晶基板
,有機/無機EL用基板,PDP用基板,電子ペーパー用基板,導光板,位相差板,光学
フィルター等,各種ディスプレイ用部材,光ディスク基板を初めとする記憶・記録用途,
薄膜電池基板,太陽電池基板などのエネルギー用途,光導波路などの光通信用途、更には
、機能性フィルム・シート、各種光学フィルム・シート用途に利用できる。また、光学材
料,電子材料の他にも、例えば、照明材料,自動車用材料,建材用材料,医療用材料,文
房具などにも利用できる。なかでも、ディスプレイ用プラスチック基板として最適である
1A,1B ガラス板
2 注入ノズル
3 第1シム
4 バンク
4a 空気排出用開口部
5 第2シム
10 成形型
M 成形材料

Claims (16)

  1. 所定の間隙を空けて対向する2枚の平板状型材と、これらの型材の間の成形空間を縁部
    で液封するスペーサとからなる成形型を、その縁部の所定位置に配設された材料注入口側
    が水平より上を向く方向に傾け、この材料注入口から、硬化性組成物からなる成形材料を
    注入して硬化させるプラスチックシートの製造方法であって、
    成形型の成形空間に成形材料を充填する注型工程が、下記(1),(2)の2つの工程
    を含むことを特徴とするプラスチックシートの製造方法。
    (1)成形型を、材料注入口側が水平より上を向く方向に、水平面に対する成形型の正傾
    斜角αが10°以上になるまで傾け、成形材料を注入する注型第1工程。
    (2)成形材料の注入を続けながら、この成形型の傾斜を、角速度1゜〜10゜/秒で、
    水平面に沿う水平状態に戻す注型第2工程。
  2. 下記(3)の工程を含むことを特徴とする請求項1記載のプラスチックシートの製造方
    法。
    (3)成形型が水平状態に戻った後、この成形型を、材料注入口側が水平より下を向く方
    向に傾け、水平面に対する成形型の負傾斜角βが−1゜〜−45゜になった状態で所定時
    間静止した後、この成形型を水平状態に復帰させる注型第3工程。
  3. 成形型における材料注入口側と反対側寄りの平板状型材どうしがスペーサを介して密着
    し、かつ、材料注入口寄りの平板状型材どうしの間に隙間が空いた状態で、成形型を材料
    注入口側が水平より上を向く方向に傾け、成形型の傾斜に沿って成形型下部から漸次成形
    材料を充填することを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックシートの製造方法
  4. 成形材料の注入量に対応して、一方の平板状型材を他方の平板状型材に近づけ、材料注
    入口側を含む平板状型材全体をスペーサを介して密着させて、2枚の平板状型材の間隙を
    予め決められた間隔に設定する請求項3記載のプラスチックシートの製造方法。
  5. 注型第2工程(2)が、注入された成形材料が傾斜状の成形空間の最下部に到達した後
    に開始されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチックシート
    の製造方法。
  6. 注型第2工程(2)が、成形型の傾斜を正傾斜角αから水平状態に戻す間に、この成形
    型を所定傾斜角γで0.1秒以上静止させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  7. 注型第3工程(3)が、所定量の成形材料の吐出が完了した後に開始されることを特徴
    とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  8. 注型工程の後に、下記(4)の工程が行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
    (4)成形型を水平方向上下から押圧し、注入された成形材料を成形型全体に充填するプ
    レス工程。
  9. プレス工程(4)が、成形型の上下の平板状型材の間で、かつ、スペーサより外縁側の
    位置に、プレス圧に耐え得る板状のシムを挟み込んだ状態で行われることを特徴とする請
    求項8記載のプラスチックシートの製造方法。
  10. 成形材料が光硬化性組成物からなり、2枚の平板状型材が光線を透過する透明板である
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  11. 成形型のスペーサが、光硬化性組成物を光硬化させた堰状のバンクで形成されているこ
    とを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  12. バンクを構成する光硬化性組成物と、プラスチックシートの成形材料を構成する光硬化
    性組成物とが同一であることを特徴とする請求項11記載のプラスチックシートの製造方
    法。
  13. 成形材料の粘度が、10〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜1
    2のいずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  14. 成形型における2枚の平板状型材の間隙が、0.05〜3mmに設定されていることを
    特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のプラスチックシートの製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法により得られるプラスチックシート。
  16. 請求項15記載のプラスチックシートよりなるディスプレイ用プラスチック基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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