以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3を参照して、普通型コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1〜図3に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、扱胴6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀物タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置される。走行機体1の後部に旋回可能な穀粒排出コンベヤ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、穀粒排出コンベヤ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー43と、副変速レバー44と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切り操作する作業クラッチレバー45とを配置している。なお、運転キャビン10には、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラム46と、前記各レバー43,44,45を設けたレバーコラム47とが配置されている。穀物タンク7の後方の走行機体1上には、動力源としてのディーゼルエンジン14が配置されている。
図1、図3に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にディーゼルエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する前後の中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
図1〜図3に示す如く、刈取装置3は、脱穀装置5前部の扱口5aに連通したフィーダハウス51と、フィーダハウス51の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー52とを備える。穀物ヘッダー52内に掻込みオーガ53(プラットホームオーガ)を回転可能に軸支する。掻込みオーガ53の前部上方にタインバー付き掻込みリール54を配置する。穀物ヘッダー52の前部にバリカン状の刈刃55を配置する。穀物ヘッダー52前部の左右両側に左右の分草体56を突設する。また、フィーダハウス51に供給コンベヤ57を内設する。なお、フィーダハウス51の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、刈取回動支点軸4a(刈取入力軸であるフィーダハウスコンベヤ軸)を昇降支点として、刈取装置3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
上記の構成により、左右の分草体56間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール54にて掻込まれ、未刈り穀稈の稈側が刈刃55にて刈取られ、掻込みオーガ53の回転駆動によって、穀物ヘッダー52の左右幅の中央部寄りのフィーダハウス51入口付近に刈取穀稈が集められる。穀物ヘッダー52の刈取穀稈の全量は、供給コンベヤ57によって搬送され、脱穀装置5の扱口5aに投入されるように構成している。
また、図1、図2に示す如く、フィーダハウス51の前部に左右傾斜調節支点軸58を介して穀物ヘッダー52を左右傾斜調節可能に連結している。穀物ヘッダー52を左右傾斜調節支点軸58回りに回動させる左右傾斜調節用油圧ローリングシリンダ59を備え、穀物ヘッダー52の左右方向の傾斜角度をローリングシリンダ59にて調節して、穀物ヘッダー52、刈刃55、及び掻込みリール54を圃場面に対して水平に支持する。
また、図1〜図3に示す如く、脱穀装置5の扱室内に扱胴6を回転可能に設ける。走行機体1の前後方向に延長させた扱胴軸71に扱胴6を軸支する。扱胴6の下方側には、穀粒を漏下させる受網74を張設する。なお、扱胴6前部の外周面には、螺旋状のスクリュー羽根状の取込み羽根が半径方向外向きに突設されている。
上記の構成により、扱口5aから投入された刈取穀稈は、扱胴6の回転にて走行機体1の後方に向けて搬送されながら、扱胴6と受網74との間などにて混練されて脱穀される。受網74の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網74から漏下する。受網74から漏下しない藁屑等は、扱胴6の搬送作用によって、脱穀装置5後部の排塵口73から圃場に排出される。
なお、扱胴6の上方側には、扱室内の脱穀物の搬送速度を調節する複数の送塵弁(図示省略)を回動可能に枢着する。前記送塵弁の角度調整によって、扱室内の脱穀物の搬送速度(滞留時間)を、刈取穀稈の品種や性状に応じて調節できる。一方、脱穀装置5の下方に配置された穀粒選別機構75として、グレンパン、チャフシーブ、グレンシーブ、及びストローラック等を有する比重選別用の揺動選別盤76を備える。
また、穀粒選別機構75として、揺動選別盤76に選別風を供給する唐箕ファン77等を備える。扱胴6にて脱穀されて受網74から漏下した脱穀物は、揺動選別盤76の比重選別作用と唐箕ファン77の風選別作用とにより、穀粒(精粒等の一番物)、穀粒と藁の混合物(枝梗付き穀粒等の二番物)、及び藁屑等に選別されて取出されるように構成する。
揺動選別盤76の下側方には、穀粒選別機構75として、一番コンベヤ機構78及び二番コンベヤ機構79を備える。揺動選別盤76及び唐箕ファン77の選別によって、揺動選別盤76から落下した穀粒(一番物)は、一番コンベヤ機構78及び揚穀コンベヤ80によって穀物タンク7に収集される。穀粒と藁の混合物(二番物)は、二番コンベヤ機構79及び二番還元コンベヤ81等を介して扱胴6の脱穀始端側に戻され、扱胴6によって再脱穀される。藁屑等は、走行機体1後部の排塵口73から圃場に排出されるように構成する。
次に、図4〜図9、図12、図13を参照して、ディーゼルエンジン14と、排気ガス浄化装置60としての第1ケース61(ディーゼルパティキュレートフィルタ、DPF)と第2ケース62(選択触媒還元、SCR)並びにその取付け構造について説明する。ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース61と、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース62を備える。図6に示すように、第1ケース61には、酸化触媒65、スートフィルタ66が内設される。第2ケース62には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒68、酸化触媒69が内設される。
また、第1ケース61は、入口側ケース63と、出口側ケース64を有している。入口側ケース63の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒65を配置している。入口側ケース63と出口側ケース64の内部に、捕集した粒子状物質(PM)を連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ66を配置している。入口側ケース63及び出口側ケース64内で排気ガスの移動方向に直列に配置したディーゼル酸化触媒65とスートフィルタ66によって、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する一方、第2ケース62内で排気ガスの移動方向に直列に配置したSCR触媒68と酸化触媒69にて窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
さらに、図4〜図8に示す如く、第1ケース61と第2ケース62は、機体前後方向に長く延びた長尺円筒形状に構成している。第1ケース61の筒形状両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。同様に、第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
また、図4、図9に示す如く、ディーゼルエンジン14の排気ガス出口(排気マニホールド15)に、ディーゼルエンジン14に空気を強制的に送り込む過給機38を配置している。過給機38に排気連結管40を介してDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン14の排気ガスを第1ケース61内に導入する一方、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させる尿素混合管39を備え、第1ケース28から尿素混合管39を介して第2ケース29内に排気ガスを導入するように構成している。加えて、過給機38と排気連結管40は、折曲げ及び伸縮可能な蛇腹状連結パイプ41にて接続され、過給機38側のエンジン14振動が排気連結管40側に伝達されないように構成している。なお、図10に示す如く、後述する尿素水タンク195内の尿素水溶液194を圧送する尿素水ポンプ196と、尿素水ポンプ196を駆動する尿素水供給用電動モータ197を備え、尿素混合管39の尿素水供給側に設けた尿素水噴射弁199から尿素水溶液194を噴霧して、尿素混合管39内に供給される尿素水が加水分解にて、第1ケース61から第2ケース62に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。
また、SCR出口管37にテールパイプ87を連結して、第2ケース62後端側から機体後方に向けて直線的にテールパイプ87の排気ガス出口側を延設するものであり、ディーゼルエンジン14(各気筒)の排気ガスは、過給機38から第1ケース61内に導入され、第1ケース61から尿素混合管39に移動し、排気ガスに尿素水が混合されてから第2ケース62内に導入され、第2ケース62内の排気ガスがテールパイプ87から機外に放出されるように構成している。
上記の構成により、ディーゼルエンジン14の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、第1ケース61内のスートフィルタ66に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。次いで、尿素混合管39の内部で、ディーゼルエンジン14からの排気ガスに、尿素水噴射弁199から尿素水が噴射され、加水分解にて生成されたアンモニアが混合された第2ケース62内の排気ガスは、尿素選択触媒還元用のSCR触媒68、酸化触媒69にて窒素酸化物質(NOx)の含有量が低減されるものであり、排気ガス浄化装置60としての第1ケース61と第2ケース62にてディーゼルエンジン14の排気ガスが浄化されて、テールパイプ87から機外に放出される。
次いで、図4〜図9、図12、図13に示す如く、穀物タンク7後方の走行機体1上に機体フレームとしての四角枠状のエンジンルームフレーム91を立設し、エンジンルームフレーム91にてエンジンルーム92を形成している。走行機体1上面側にディーゼルエンジン14を載置し、エンジンルーム92内部の下方側にディーゼルエンジン14を内設すると共に、エンジンルーム92内部のうちディーゼルエンジン14の上側方に水冷用ラジエータ93及びラジエータ冷却ファン94などのエンジン冷却装置90を内設する。即ち、ディーゼルエンジン14と、ディーゼルエンジン14の水冷用ラジエータ93などのエンジン冷却装置90とを、四角縦長形状のエンジンルーム92内部に上下二段構造に配置している。ラジエータ冷却ファン94にてラジエータ93などのエンジン冷却装置90に向けてコンバイン機体右側の除塵フィルタ体89外方から外気を取込む一方、脱穀装置5右側方向に向けてエンジン冷却装置90の暖気をラジエータ冷却ファン94にて排出させるように構成している。
また、ディーゼルエンジン14とエンジン冷却装置90の右側と背面側と上面側がエンジンルームフレーム91にて囲まれ、ディーゼルエンジン14右側のエンジン冷却ファン16と前記ラジエータ冷却ファン94にて、エンジンルームフレーム91の右側下方と右側外方からエンジンルーム92内部に冷却用外気をそれぞれ取込む一方、ディーゼルエンジン14とエンジン冷却装置90を冷却した後の暖気が、エンジンルームフレーム91(エンジンルーム92)に隣接した作業部としての脱穀装置5右側に向けて排出されるように構成している。
図4〜図9、図12、図13に示す如く、脱穀装置5に対面したエンジンルーム92上面の右側に排気ガス浄化装置60としての第1ケース61と第2ケース62を配置させている。エンジンルームフレーム91の左側上部(脱穀装置5に対向したエンジンルーム92左側上部)に、ケース支持フレーム体としての搭載台フレーム95を配置する。即ち、エンジンルーム92左側と、それに対向する脱穀装置5右側の間に形成される駆動ベルト設置空間上方の高位置に、搭載台フレーム95を配置している。また、複数のケース固定体96に複数の締結バンド97にて第1ケース28と第2ケース29を固着すると共に、ベースフレーム98に複数のケース固定体96をボルト締結するものであり、第1ケース61と第2ケース62と尿素混合管39がベースフレーム98にて平行に固定支持されるように構成している。ベースフレーム98を介して第1ケース61と第2ケース62を左右に並列状に連結している。ディーゼルエンジン14左側の上方側に第1ケース61を配置し、第1ケース61の右側方に第2ケース62を並列に設置すると共に、前後に長尺な円筒状の第1ケース61と第2ケース62間で、各ケース61,62の上側方に、前後に長尺な円筒状の尿素混合管39を平行に延設している。
即ち、第1ケース61と第2ケース62をベースフレーム98に並列状に連結してユニット構成する一方、エンジンルーム92と脱穀装置5の間で、穀物排出コンベヤ8の下方側に、第1ケース61と第2ケース62にて形成される排気ガス浄化装置60を、各ケース61,62の排気ガス流れ方向が前後方向になるように配置し、脱穀部5に近接させて第1ケース61を配置する一方、脱穀部5から離間させて第2ケース62を配置し、脱穀部5と第2ケース62の間に第1ケース61を支持すると共に、第2ケース62の後部にテールパイプ87を直列状に連結し、第2ケース62後部から後方に向けてテールパイプ87を延設させるものであり、エンジンルームフレーム91の高位置のうち、エンジンルーム92左側の高位置に搭載台フレーム95を配置して、エンジンルームフレーム91と搭載台フレーム95に亘ってベースフレーム98を固着し、エンジンルーム92の左側上部に排気ガス浄化装置60(第1ケース61と第2ケース62)の設置スペースを確保するから、エンジンルーム92容積または排気ガス浄化装置60(第1ケース61と第2ケース62)容積などが制限されることがない。また、第1ケース61に差圧センサ99を接続させ、スートフィルタ66の詰り状況を差圧センサ99にて検出するように構成している。
図6に示す如く、エンジンルーム92前側のエンジンルームフレーム91前面側に前部ブラケット体111を介して搭載台フレーム95の前端側を固着し、エンジンルーム92後側のエンジンルームフレーム91後面側に後部ブラケット体112を介して搭載台フレーム95の後端側を固着している。また、図4に示す如く、搭載台フレーム95に支持パイプ体115を介して門形の支脚フレーム114の中間を連結させると共に、脱穀装置5の機筐右側面に前後の支脚ブラケット113を介して支脚フレーム114の門形両端部を着脱可能に締結させ、支脚フレーム114を介して脱穀装置5の機筐右側面に搭載台フレーム95を連結させる。即ち、エンジンルームフレーム91左側上部と搭載台フレーム95にベースフレーム98を着脱可能に固着し、エンジンルームフレーム91左側上部と脱穀装置5の機筐右側面の間に排気ガス浄化装置60(第1ケース61、第2ケース62)を取付けている。
上記の構成により、ディーゼルエンジン14設置部(エンジンルーム92)と、脱穀装置5にて、第1ケース61と第2ケース62の左右側を包囲して、高温になる第1ケース61または第2ケース62などの排気ガス浄化装置60に作業者などが接触するのを防止している。エンジン14の冷却効率またはエンジン14の防音性を維持できるものでありながら、第1ケース61または第2ケース62内の排気ガス温度を適正に維持できる。
また、第1ケース61または第2ケース62に供給される排気ガスの温度が低下しない(自己再生能力が低減しない)範囲内で、ディーゼルエンジン14から離間させた位置に第1ケース61または第2ケース62の設置部などを容易に形成できる。ディーゼルエンジン14を停止させたときに、第1ケース61または第2ケース62などの放熱にてディーゼルエンジン14の周辺が高温になるのを防止でき、低耐熱性の部品(ハーネス等)が損傷する等の弊害を低減できる。
さらに、第1ケース61と第2ケース62と尿素混合管39を含む排気ガス浄化装置60の上面高さを、収納位置の穀粒排出コンベヤ8下面高さよりも低く形成している。収納位置または機外側方の穀粒排出位置のいずれに穀粒排出コンベヤ8を移動させても、穀粒排出コンベヤ8が第1ケース61または第2ケース62などに衝突することがない。穀物タンク7の穀粒排出作業において、収納位置乃至穀粒排出位置に穀粒排出コンベヤ8を容易に旋回移動できる。しかも、搭載台フレーム95の上方側を大きく開放して、チェンブロックまたはホイストなどの荷役機器に重量部品である排気ガス浄化装置60を吊下げて組付けることができ、単一部品としてユニット構成した排気ガス浄化装置60(第1ケース61または第2ケース62)の取付けまたは取外し等の作業を簡単に実行できる。
さらに、図4、図12、図13に示す如く、ディーゼルエンジン14に外気を供給するエアクリーナ117と、エアクリーナ117に外気を取込むプリクリーナ118を備える。エンジンルーム92の上面のうち、穀物タンク7後面側の上面にプリクリーナ118を配置すると共に、エンジンルームフレーム91の左側面後部にプリクリーナ118を固着し、ディーゼルエンジン14の上面側と第1ケース61の下面側の間(搭載台フレーム95の下方)にエアクリーナ117を支持し、プリクリーナ118に給気管119を介してエアクリーナ117を接続させている。プリクリーナ118からエアクリーナ117を介してディーゼルエンジン14の吸気マニホールド120に燃焼用空気(新気)を取込むように構成している。
上記の構成により、第1ケース61または第2ケース62(排気ガス浄化装置)周辺の熱風が上方に向けて排出され、エアクリーナ117に対して第1ケース61または第2ケース62などの発熱が悪影響を及ぼすのを容易に低減でき、エアクリーナ117の耐久性を向上できる。さらに、エンジンルーム92の上部空間に排気ガス浄化装置(第1ケース61または第2ケース62)とエアクリーナ117をコンパクトに支持でき、第1ケース61または第2ケース62などを所定温度に簡単に維持できると共に、ラジエータ冷却ファン94の排風にてエアクリーナ117が不適切に高温になるのを防止できる。
図5〜図7に示す如く、穀粒排出コンベヤ8は、籾投げ口9が先端側に配置された横送りコンベヤ8aと、横送りコンベヤ8aの基端側を連結させる縦送りコンベヤ8bと、縦送りコンベヤ8bの下端部に連結させる底部コンベヤ8cを有する。穀物タンク7の底部に底部コンベヤ8cを配置し、エンジンルーム92の後部に底部コンベヤ8cの送り終端側を延設させると共に、エンジンルームフレーム91を利用して、エンジンルーム92の後面外側に縦送りコンベヤ8bを立設させ、縦送りコンベヤ8bの軸心線回りに横送りコンベヤ8aの先端側をコンベヤ旋回モータ28制御にて旋回可能に構成している。なお、コンベヤ昇降シリンダ29にて横送りコンベヤ8aを支持し、横送りコンベヤ8aと縦送りコンベヤ8bの連結部を支点に横送りコンベヤ8aの先端側が昇降動し、例えばトラック荷台またはコンテナなどに向けて各コンベヤ8a,8b,8cを介して穀物タンク7内の穀粒を搬出するように構成している。
図5、図6、図12に示す如く、エンジンルームフレーム91の後側フレーム部91aに、縦軸支点ブラケット体30を介して、縦送りコンベヤ8bを軸心線回りに回動可能に支持させる。また、エンジンルームフレーム91上部右側の除塵フィルタ体89内側にエンジン冷却装置90(水冷用ラジエータ93及びオイルクーラ88など)を支持させ、エンジンルームフレーム91上部のうち縦送りコンベヤ8bよりも機体右側部にエンジン冷却装置90(水冷用ラジエータ93及びオイルクーラ88)を設置する一方、エンジンルームフレーム91上部左側に排気ガス浄化装置60(第1ケース61、第2ケース62、テールパイプ87など)を支持させ、エンジンルームフレーム91上部のうち縦送りコンベヤ8bよりも機体左側部に排気ガス浄化装置60(第1ケース61、第2ケース62、テールパイプ87など)を設置している。
即ち、エンジンルームフレーム91上部で左右に振分けてエンジン冷却装置90と排気ガス浄化装置60を配置し、エンジン冷却装置90と排気ガス浄化装置60間に形成されるスペースを活用して、ディーゼルエンジン14の後部に近接させて縦送りコンベヤ8bを立設できる。そのため、脱穀装置5に対向するエンジンルーム92の高位置に排気ガス浄化装置60をコンパクトに支持できる。例えば、穀物タンク7側に排気ガス浄化装置60を設置する構造に比べ、穀物タンク7の穀粒収納容量を容易に確保できる。
なお、ディーゼルエンジン14の上方を前後方向に横断するエンジンルームフレーム91にファン軸体17を配置し、エンジンルーム92内を左右方向に横断するようにファン軸体17を水平に延設させ、ファン軸体17の右側端部にラジエータ冷却ファン94を取付けると共に、排気ガス浄化装置60下方のファン軸体17の左側端部にファン駆動プーリ18を取付け、下向きに延設させるファン駆動ベルト19を介してファン駆動プーリ18にディーゼルエンジン14の動力を伝達させて、ラジエータ冷却ファン94を駆動するものであり、ファン軸体17の後部に近接させて縦送りコンベヤ8bを立設できるから、機体外形寸法(エンジンルーム92)を後方に拡張することなく、エンジンルーム92後側部に形成されるスペースを活用して、縦送りコンベヤ8b(穀粒排出コンベヤ8)をコンパクトに支持できる。
次いで、図5、図10を参照して、第1ケース61の排気ガス出口に第2ケース62の排気ガス入口を接続させる尿素混合管39の内部に尿素水溶液を供給する構造を説明する。図5、図10に示す如く、尿素混合管39に供給する選択触媒還元用尿素水溶液194を貯蔵する尿素水タンク195を備える。走行機体1の上面のうち、脱穀装置5の前方に配置される刈取装置3の昇降支点である刈取回動支点軸4a近傍の走行機体1上面に、タンク支持体195aを介して尿素水タンク195を支持させている。即ち、脱穀装置5の左側前部の角隅部における走行機体1上面に尿素水タンク195を設置し、左側の走行クローラ2前部上方の走行機体1上面に尿素水タンク195を配置し、脱穀装置5左側前部の角隅部の機外側方から尿素水タンク195内に尿素水溶液194を補充可能に構成している。
また、ディーゼルエンジン14に供給する燃料タンク131と、昇降用油圧シリンダ4またはコンベヤ昇降シリンダ29などを作動させる作動油タンク132を、運転キャビン10下方の走行機体1上面に支持させている。右側の走行クローラ2前部上方の走行機体1上面に燃料タンク131(または作動油タンク132)を配置し、運転キャビン10右側(または前側)の機外側方から燃料タンク131(または作動油タンク132)内にディーゼル燃料(または作動油)を補充可能に構成している。なお、図5に示す如く、走行機体1前部の左右幅中間(左右の走行クローラ2前部の間)にミッションケース133を配置し、ミッションケース133と左右の駆動スプロケット22を介して、左右の走行クローラ2にディーゼルエンジン14の駆動力を伝達し、左右の走行クローラ2を駆動するように構成している。
図5、図10に示す如く、尿素水タンク195内の尿素水溶液194を圧送する尿素水ポンプ196と、尿素水ポンプ196を駆動する尿素水供給用電動モータ197を、尿素水供給装置198に備えると共に、脱穀装置5後部に尿素水供給装置198を配置し、尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間に、尿素水配管129としての尿素水供給管124または尿素水戻し管125または尿素水管理管128を接続している。エンジン冷却装置90のオイルクーラ88と、ミッションケース133に付設するオイルポンプ134に、作動油配管135を介して作動油タンク132を接続している。エンジンルーム92と作動油タンク132間の走行機体1上に延設させる作動油配管135と、尿素水タンク195と尿素水供給装置198間の走行機体1上に延設させる尿素水配管129を並列状に延設させると共に、走行機体1上面側の同一径路に並設した作動油配管135と尿素水配管129を断熱カバー体136にて覆い、作動油配管135にて尿素水配管129を加温可能に構成する。なお、ディーゼルエンジン14(水冷用ラジエータ93)の冷却水配管137などに尿素水配管129を並設して、冷却水配管137などにて尿素水配管129を加温可能に構成することもできる。
さらに、図10に示す如く、尿素混合管39の尿素噴射部に設けた尿素水噴射弁199に、尿素水噴射管123を介して尿素水ポンプ196を接続させると共に、尿素水タンク195と尿素水ポンプ196の間に、尿素水供給管124と尿素水戻し管125を接続させている。また、ディーゼルエンジン14の燃料噴射制御などを実行するエンジンコントローラ121(ECU)と、尿素水ポンプ196または尿素水噴射弁199を制御する尿素噴射コントローラ122(DCU)を備え、尿素混合管39の内部に尿素水噴射弁199から尿素水溶液194を噴霧して、尿素混合管39内に供給される尿素水溶液194が、排気ガス浄化ケースとしての第1ケース61から第2ケース62に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。
また、エンジンコントローラ121と尿素噴射コントローラ122を接続し、ディーゼルエンジン14の作動状況などに応じて、尿素混合管39内に尿素水が適正時期に供給されるように構成している。加えて、尿素水タンク195の尿素水温度センサ126と、尿素水タンク195の尿素水量計127に、尿素噴射コントローラ122を接続する。ハンドルコラム46またはレバーコラム47設けた液晶表示器などの表示パネル141に尿素噴射コントローラ122を接続して、尿素水タンク195内の尿素水温度または尿素水溶液194量などをオペレータに対して表示するように構成している。
図10に示す如く、エンジンコントローラ121は、電源印加用のキースイッチ142を介してバッテリ(図示省略)に接続されると共に、エンジンコントローラ121の入力側に、ブザーまたはランプなどの警報器143を接続させ、尿素水タンク195内の尿素水溶液194温度が凍結温度以下のときに、キースイッチ142のオン操作にて警報器143を作動させて警報するように構成している。また、尿素噴射コントローラ122には、前記バッテリまたは太陽電池144などを電源とする尿素水加温用ヒータ145のオンオフスイッチ部と、尿素水冷却用クーラ146のオンオフスイッチ部を接続させ、尿素水タンク195に向けて尿素水戻し管125または尿素水管理管128内を移動する尿素水溶液194が、所定温度以下のときに尿素水加温用ヒータ145にて自動的に加熱される一方、所定温度以上のときに尿素水冷却用クーラ146にて自動的に冷却され、尿素水タンク195内の尿素水溶液194温度が適正温度に維持されるように構成している。
加えて、尿素水噴射管123の途中に尿素水管理管128を接続させる電磁切換え型分流バルブ147を備え、分流バルブ147の流量切換ソレノイド148に尿素噴射コントローラ122を接続させ、尿素水溶液194が所定温度以下(または所定温度以上)のときに流量切換ソレノイド148を作動させ、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に尿素水溶液194を流出させ、尿素水管理管128を介して尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間で尿素水溶液194を循環させ、尿素水加温用ヒータ145(または尿素水冷却用クーラ146)にて尿素水溶液194を加温(または冷却)して適正温度に維持するように構成している。尿素水溶液194の温度と適正温度との差が大きいとき、分流バルブ147を介して尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に流出させる尿素水溶液194量を多くする流量制御が実行され、尿素水溶液194を速やかに加温(または冷却)して適正温度に早期に戻すように構成している。
そして、図11のフローチャート(SCR供給制御)に示す如く、オペレータによってキースイッチ142がエンジン運転位置に切換え操作され、ディーゼルエンジン14の暖気運転が実行されると、ディーゼルエンジン14の冷却水温度計値及びエンジン回転センサ値と、尿素水温度計126値と、尿素水量計127値と、作業クラッチレバー45の作業クラッチセンサ値が読込まれ、尿素水温度が所定以上のときに、尿素水噴射弁199が作動可能な状態(尿素水噴射OKの状態)に保持されると共に、並びに作業クラッチレバー45の脱穀クラッチ入り操作が前記作業クラッチセンサにて検出された場合、尿素水噴射開始制御が実行されて、尿素水供給用電動モータ197(尿素水ポンプ196)と尿素水噴射弁199が作動制御される。尿素水ポンプ196と尿素水噴射弁199が作動したときに、尿素混合管39内に尿素水が供給されて、尿素水タンク195の尿素水溶液194が尿素混合管39内に供給され、第1ケース61から第2ケース62に至る排気ガス中に、アンモニア(尿素水の加水分解にて生成)が混合され、第2ケース62内の尿素選択触媒還元用のSCR触媒68と酸化触媒69によって、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減する。
上記のように、尿素水タンク195の尿素水溶液194が尿素混合管39内に供給して、排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減しているとき、尿素水溶液194が所定温度以下に降下した場合、または尿素水溶液194が所定温度以上に上昇した場合、尿素水タンク195の尿素水溶液194を尿素混合管39内に供給する状態を継続しながら、流量切換ソレノイド148を自動的に作動させ、流量切換ソレノイド148の分流弁機能にて尿素水噴射管123の尿素水溶液194の一部を尿素水管理管128から尿素水タンク195に還流させる。
即ち、尿素水溶液194が所定温度以下に降下した場合、流量切換ソレノイド148を自動的に作動させ、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に尿素水溶液194を流出させ、尿素水管理管128を介して尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間で尿素水溶液194を循環させ、尿素水加温用ヒータ145にて尿素水溶液194を加温して適正温度に維持する。一方、尿素水溶液194が所定温度以上に上昇した場合、流量切換ソレノイド148を自動的に作動させ、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に尿素水溶液194を流出させ、尿素水管理管128を介して尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間で尿素水溶液194を循環させ、尿素水冷却用クーラ146にて尿素水溶液194を冷却して適正温度に維持する。
また、尿素水溶液194の温度と適正温度との差が大きいとき、分流バルブ147の可変絞り弁開度を自動的に大きくして、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に流出させる尿素水溶液194量を多くする流量制御が実行され、尿素水溶液194を速やかに加温(または冷却)して適正温度に早期に戻す。一方、尿素水溶液194の温度と適正温度との差が小さいとき、分流バルブ147の可変絞り弁開度を自動的に小さくして、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に流出させる尿素水溶液194量を少なくする流量制御が実行され、尿素水溶液194を緩やかに加温(または冷却)して、尿素水溶液194の温度と適正温度との差が大きくなるのを防止する。
他方、ディーゼルエンジン14の暖気運転が実行されたとき(またはディーゼルエンジン14の暖気運転状態、作業クラッチレバー45の脱穀クラッチ切り操作状態のとき)、尿素水温度計126の尿素水温度が所定以下の場合、警報器143を作動させて、尿素水溶液194の凍結警報を表示させ、尿素水溶液194が異常低温状態であることをオペレータに報知すると共に、分流バルブ147の可変絞り弁開度を最大に大きくして、尿素水噴射管123の途中から尿素水管理管128側に流出させる尿素水溶液194量を最大に多くする流量制御が実行され、尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間に尿素水管理管128を介して尿素水溶液194を循環させ、尿素水加温用ヒータ145にて尿素水溶液194を速やかに加温して適正温度に早期に上昇させる。
即ち、ディーゼルエンジン14の暖気運転(または脱穀装置5を停止させたニュートラル運転)状態などにおいて、尿素水温度計126の尿素水温度が所定以下のとき、尿素水循環制御が実行されるものであり、分流バルブ147(尿素水供給用電動モータ197)が作動制御され、尿素水供給管124と尿素水管理管128(または尿素水戻し管125)を介して、尿素水タンク195内の尿素水溶液194を循環させるから、尿素水供給部198または尿素水タンク195内の尿素水溶液194が凍結するのを防止できる。
図1、図4〜図13に示す如く、刈取装置3及び脱穀装置5を装設させる走行機体1と、刈取装置3または脱穀装置5を駆動するディーゼルエンジン14と、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース61と、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース62を備えるコンバインにおいて、ディーゼルエンジン14を内設させるエンジンルーム92を備える構造であって、脱穀装置5に対面するエンジンルーム92の上側部に、並列状に連結した第1ケース61と第2ケース62にて形成される排気ガス浄化装置60を水平に支持させるように構成している。したがって、エンジンルーム92などに簡単なケース支持構造にて第1ケース61または第2ケース62などの排気ガス浄化装置60を容易に固着できると共に、エンジンルーム92などの機枠(エンジンルームフレーム91)を活用して、第1ケース61または第2ケース62などのケース支持強度も容易に確保でき、エンジン14の付設部品などと第1ケース61または第2ケース62などとの干渉を低減でき、第1ケース61または第2ケース62の組立作業性やメンテナンス作業性などを向上できる。エンジンルーム92と、エンジンルーム92に隣接した脱穀装置5間のスペースを活用して、第1ケース61または第2ケース62などをコンパクトに設置できると共に、エンジンルーム92を形成するエンジンルームフレーム91、または脱穀装置5の機筐などの高剛性部材に第1ケース61または第2ケース62などを固着でき、第1ケース61または第2ケース62などの支持構造を簡略化できる。
図4〜図9、図12、図13に示す如く、エンジンルーム92の低位置にディーゼルエンジン14を内設させると共に、エンジンルーム92の高位置にエンジン冷却装置90を配置させる構造であって、脱穀装置5とエンジン冷却装置90の間に排気ガス浄化装置60を支持する一方、エンジン冷却装置90と排気ガス浄化装置60の間に穀粒排出コンベヤ8(縦送りコンベヤ8b)を立設させている。したがって、脱穀装置5に対向するエンジンルーム92の高位置に排気ガス浄化装置60をコンパクトに支持でき、穀物タンク7側に排気ガス浄化装置60を設置する構造に比べ、穀物タンク7の穀粒収納容量を容易に確保できると共に、エンジンルーム92を後方に拡張することなく、エンジンルーム92後側部のスペースを活用して穀粒排出コンベヤ8をコンパクトに支持できる。また、収納位置の穀粒排出コンベヤ8の下面高さよりも前記各ケース61,62の上面高さを低く形成でき、前記各ケース61,62上側面の保護部材として穀粒排出コンベヤ8(横送りコンベヤ8a)を利用できる。
図4〜図9、図12、図13に示す如く、前記第1ケース61と第2ケース62をベースフレーム98に並列状に連結してユニット構成して、前記エンジンルーム92と脱穀装置5の間で、穀物排出コンベヤ8の下方側に、前記第1ケース61と第2ケース62にて形成される排気ガス浄化装置60を前後方向に向けて配置し、前記脱穀部5に近接させて前記第1ケース61を配置する一方、前記脱穀部5から離間させて前記第2ケース62を配置し、前記第2ケース62の後部にテールパイプ87を連結している。したがって、ディーゼルエンジン14の上向き排気ガス出口の上方に前記第1ケース61の下向き排気ガス入口を容易に対設させることができ、ディーゼルエンジン14乃至第1ケース61の排気径路を短縮して形成できると共に、収納位置乃至排出位置に移動させる前記穀粒排出コンベヤ8と、前記各ケース61,62またはプリクリーナ118との相互干渉を防止しながら、前記エンジンルーム92の上面側に前記各ケース61,62とテールパイプ87をコンパクトに配置できる。
図5に示す如く、第1ケース61の排気ガス出口に前記第2ケース62の排気ガス入口を接続させる尿素混合管39と、尿素混合管39に選択触媒還元用の尿素水を供給する尿素水タンク195及び尿素水供給装置198を備える構造であって、脱穀装置5の前方に配置される刈取装置3の昇降支点(刈取回動支点軸4a)近傍の走行機体1上に尿素水タンク195を設置し、走行機体1上に延設される作動油配管135、またはディーゼルエンジン14の冷却水配管137に、尿素水タンク195に尿素水供給装置198を接続させるための尿素水配管(尿素水供給管124または尿素水戻し管125または尿素水管理管128)を並列状に延設させている。したがって、作動油配管135または冷却水配管137などの排熱を活用して、尿素水タンク195から尿素水供給装置198に送る尿素水を加温できるものでありながら、刈取装置3の刈取回動支点軸4a(昇降支点)下方の走行機体1上のスペースを活用して尿素水タンク195をコンパクトに配置できると共に、第1ケース61または第2ケース62などの排気ガス浄化装置60の対角線方向に前記尿素水タンク195を設置でき、機体バランスを維持しながら排気ガス浄化装置60または尿素水タンク195を組付けることができる。
図10、図11に示す如く、尿素水タンク195と尿素水供給装置198を接続する尿素水径路(尿素水戻し管125または尿素水管理管128)に配置するヒータ部材(尿素水加温用ヒータ145)と、尿素水タンク195から尿素水供給装置198に送給する尿素水温度を検出する尿素水温センサ(尿素水温度計126)を備える構造であって、尿素水温度が所定以下のとき、ディーゼルエンジン14始動用のキースイッチ142のオン操作にて、尿素水加温用ヒータ145が配置された尿素水戻し管125または尿素水管理管128を介して、尿素水タンク195と尿素水供給装置198の間に尿素水を循環させるように構成している。したがって、ディーゼルエンジン14が始動されることによって、尿素水タンク195から尿素水供給装置198に送給される尿素水の温度を自動的に最適温度に維持できると共に、例えば警報器143などを作動させて、オペレータに尿素水の温度異常などを報知でき、尿素水管理などの作業性を向上できる。