JP2016105519A - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】選択エッチングの選択比を向上させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。【解決手段】基板処理方法は、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給工程、および前記基板を加熱する加熱工程を含み、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記基板にエッチング剤を供給して前記シリコン窒化膜をエッチングする工程と、を含む。前記加熱工程においては、前記基板を加熱することによって、前記基板に供給されたシリル化剤が、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱される。【選択図】図6

Description

この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、シリコン窒化膜(SiN膜)とシリコン酸化膜(SiO膜)とが形成された基板の表面にエッチング液としての高温(たとえば、120℃〜160℃)のリン酸水溶液を供給して、シリコン窒化膜を選択的に除去する選択エッチングが必要に応じて行われる(たとえば、特許文献1参照)。
特開2007−258405号公報
選択エッチングの選択比(窒化膜の除去量/酸化膜の除去量)は高いことが好ましい。
そこで、この発明の目的は、選択エッチングの選択比を向上させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
この発明は、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板から、前記シリコン酸化膜に吸着された水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去工程の後に、シリル化剤を基板に供給するシリル化工程と、前記シリル化工程の後に、エッチング剤を前記基板に供給するエッチング工程とを含む、基板処理方法を提供する。
この方法によれば、エッチング剤の供給によって基板がエッチングされる前に、シリル化剤の供給によって基板がシリル化される。したがって、シリル化された基板がエッチングされる。シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが形成された基板をシリル化することにより、シリコン酸化膜がエッチングされることを抑制することができる。したがって、シリル化された基板をエッチングすることにより、選択比(シリコン窒化膜の除去量/シリコン酸化膜の除去量)を向上することができる。
さらに、上記の方法では、シリル化工程に先立って、シリコン酸化膜に吸着された水分を除去する水分除去工程が行われる。この水分除去工程によって、シリル化工程において、シリコン酸化膜を保護する保護膜が形成されやすくなる。シリル化剤が有するシリル基は、水酸基(OH基)との反応性が高いので、シリル化工程において基板上に水分が存在していると、シリル化剤と水分中のOH基との反応が優先的に進行してしまい、基板表面のシリコン酸化膜を覆う保護膜の形成が阻害されるおそれがある。そこで、シリル化工程の前に、水分除去工程が行われる。これにより、シリル化剤のシリル基は基板上で露出するシリコン酸化膜と反応し、シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する。よって、その後にエッチング工程を行えば、高い選択比で窒化膜をエッチングできる。
前記方法は、前記シリル化工程と並行して、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱工程をさらに含むことが好ましい。
この発明は、また、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給工程、および前記基板を加熱する加熱工程を含み、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記基板にエッチング剤を供給して前記シリコン窒化膜をエッチングする工程と、を含む基板処理方法を提供する。前記加熱工程においては、前記基板を加熱することによって、前記基板に供給されたシリル化剤が、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱される。
この発明は、また、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給工程、および前記シリル化剤を加熱する加熱工程を含み、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記基板にエッチング剤を供給して前記シリコン窒化膜をエッチングする工程と、を含む基板処理方法を提供する。前記加熱工程においては、前記シリル化剤が、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱される。
これらの方法により、シリル化剤の活性を安定化したり、シリル化剤の活性を高めたりすることができる。それにより、シリコン酸化膜の表面に良好な保護膜を形成できるので、シリコン窒化膜をエッチングするときの選択比を向上できる。
前記シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度が、30℃よりも高くてもよい。
前記シリル化剤供給工程に先立って、前記シリル化剤が供給されるチャンバ内で前記基板が250℃に加熱されてもよい。
この発明は、また、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板から、前記シリコン酸化膜に吸着された水分を除去する水分除去手段と、基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、基板にエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段とを含む、基板処理装置を提供する。
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段をさらに含む。
この発明は、また、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板に、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成するためのシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、前記基板を加熱することにより、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段と、前記基板に前記シリコン窒化膜をエッチングするためのエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段と、を含む、基板処理装置を提供する。
この発明は、また、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板に、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成するためのシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段と、前記基板に前記シリコン窒化膜をエッチングするためのエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段と、を含む、基板処理装置を提供する。
これらの基板処理装置において、前記シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度が、30℃よりも高くてもよい。
この発明の一実施形態に係る基板処理装置は、前記基板を保持する基板保持台と、前記基板保持台を鉛直軸まわりに回転させる基板回転機構と、をさらに含む。この場合、前記シリル化剤供給手段は、回転している前記基板の表面にシリル化剤を供給してもよい。
この発明の一実施形態に係る基板処理装置は、基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板保持手段を鉛直軸まわりに回転させる回転駆動機構と、をさらに含む。この場合、前記エッチング剤供給手段は、回転している前記基板の表面にエッチング剤を供給してもよい。
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。 図2は、水分除去ユニットの構成例を説明するための模式的な断面図である。 図3は、シリル化ユニットの構成例を示す模式図である。 図4は、エッチングユニットの構成例を説明するための模式的な断面図である。 図5は、洗浄ユニットの構成例を説明するための模式的な断面図である。 図6A−6Eは、基板処理装置によって行われる基板の処理の一例を説明するための図である。 図7は、フッ酸ベーパによる窒化膜の選択エッチングに関する実験結果を示す。 図8は、水分除去ユニットの他の構成例を示す。 図9は、水分除去ユニットのさらに他の構成例を示す。 図10は、この発明の第2実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。 図11は、この発明の第3実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。 図12は、この発明の第4実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。 図13は、この発明の第5実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。 図14は、この発明の第6実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハ等の円形の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2と、インデクサブロック2に結合された処理ブロック3と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置4とを備えている。
インデクサブロック2は、キャリア保持部5と、インデクサロボットIRと、IR移動機構6とを備えている。キャリア保持部5は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持する。複数のキャリアCは、水平なキャリア配列方向Uに配列された状態で、キャリア保持部5に保持される。IR移動機構6は、キャリア配列方向UにインデクサロボットIRを移動させる。インデクサロボットIRは、キャリア保持部5に保持されたキャリアCに基板Wを搬入する搬入動作、および基板WをキャリアCから搬出する搬出動作を行う。
一方、処理ブロック3は、基板Wを処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット7と、センターロボットCRとを備えている。複数の処理ユニット7は、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。複数の処理ユニット7は、基板Wを加熱して水分を除去する水分除去ユニット7aと、基板Wをシリル化するシリル化ユニット7bと、基板Wをエッチングするエッチングユニット7cと、基板Wを洗浄する洗浄ユニット7dとを含む。
この実施形態では、一つの水分除去ユニット7aと、一つのシリル化ユニット7bと、2つのエッチングユニット7cと、一つの洗浄ユニット7dとが備えられている。センターロボットCRに対してインデクサブロック2寄りの2つの位置に一つのエッチングユニット7cと洗浄ユニット7dとが配置されている。これらのエッチングユニット7cと洗浄ユニット7dとの間には、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送するための搬送路25が区画されている。また、センターロボットCRに対してインデクサブロック2とは反対側の2つの位置に別の一つのエッチングユニット7cとシリル化ユニット7bとが配置されている。これらのエッチングユニット7cとシリル化ユニット7bとの間に、水分除去ユニット7aが配置されている。
センターロボットCRは、処理ユニット7に基板Wを搬入する搬入動作、および基板Wを処理ユニット7から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボットCRは、複数の処理ユニット7間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサロボットIRから基板Wを受け取ると共に、インデクサロボットIRに基板Wを渡す。インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRは、制御装置4によって制御される。
図2は、水分除去ユニット7aの構成例を説明するための模式的な断面図である。水分除去ユニット7aは、この実施形態では、基板Wを加熱するベークユニットとしての基本構成を有している。水分除去ユニット7aは、直方体状のチャンバ8内に設けられたホットプレート9を備えている。ホットプレート9は、基板Wを載置することができる水平な基板載置面9aを有している。ホットプレート9の内部には、基板Wを加熱して乾燥させるためのヒータ10が埋設されている。したがって、ヒータ10からの熱によって、基板載置面9aに載置された基板Wを加熱し、その表面の水分を飛ばすことができる。
ホットプレート9に関連して、ホットプレート9に対して基板Wを昇降させる複数本(たとえば、3本)のリフトピン11が設けられている。複数本のリフトピン11は、チャンバ8の底壁12に挿通され、チャンバ8外において、共通の支持部材13に支持されている。支持部材13には、シリンダを含むリフトピン昇降機構14が結合されている。リフトピン昇降機構14は、複数本のリフトピン11の先端がホットプレート9の上方に突出する位置と、複数本のリフトピン11の先端がホットプレート9の下方に退避する位置との間で、複数本のリフトピン11を一体的に昇降させる。
また、チャンバ8の一方の側壁15(図2では、左側の側壁)には、チャンバ8内に対する基板Wの搬入/搬出のためのゲート16が形成されている。側壁15の外側には、ゲート16を開閉するゲートシャッタ17が設けられている。ゲートシャッタ17には、シリンダを含むゲート開閉機構18が結合されている。ゲート開閉機構18は、ゲートシャッタ17が側壁15の外面に密着してゲート16を密閉する閉鎖位置と、ゲートシャッタ17が側壁15の側方へ離間しつつ下降してゲート16を大きく開放する開放位置との間で、ゲートシャッタ17を移動させる。
また、チャンバ8の底壁12には、排気口19が形成されている。たとえば、複数の排気口19が平面視においてホットプレート9を取り囲むように配置されている。排気口19には、先端が排気源(図示せず)に接続された排気管20の基端が接続されている。これにより、チャンバ8内の雰囲気は常時排気されている。排気管20の途中には排気バルブ21が介装されている。排気バルブ21は、制御装置4によって制御され、排気管20の流路を開閉する。排気源は、当該基板処理装置1が設置される工場に備えられた排気設備であってもよい。
チャンバ8の天壁22には、不活性ガス供給管23が結合されている。不活性ガス供給管23は、不活性ガス供給源からの不活性ガス(たとえば窒素ガス)をチャンバ8の内部に供給する。不活性ガス供給管23の途中には不活性ガスバルブ24が介装されている。不活性ガスバルブ24は、制御装置4によって制御され、不活性ガス供給管23の流路を開閉する。
次に、水分除去ユニット7aにおいて行われる基板Wの処理の一例について説明する。
基板処理装置1の稼働中、制御装置4は、ヒータ10への通電制御を実行し、ホットプレート9を予め定める高温(室温よりも高い温度)に制御している。さらに、制御装置4は、不活性ガスバルブ24を開いてチャンバ8内の処理空間に不活性ガスを導入するとともに、排気バルブ21を開いてチャンバ8内の雰囲気を排気する。
センターロボットCRは、水分除去ユニット7a内に基板Wを搬入する。水分除去ユニット7a内への基板Wの搬入に先立ち、ゲート開閉機構18が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ17が開放位置に配置され、ゲート16が開放される。また、水分除去ユニット7a内への基板Wの搬入に先立ち、リフトピン昇降機構14が制御装置4によって駆動される。これにより、リフトピン11は、その先端がホットプレート9の基板載置面9aの上方に突出する位置に配置される。そして、基板Wが、センターロボットCRによってチャンバ8内に搬入される。チャンバ8内に搬入された基板Wは、センターロボットCRによってリフトピン11上に載置される。その後、センターロボットCRが、チャンバ8内から退避する。センターロボットCRがチャンバ8内から退避した後は、ゲート開閉機構18が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ17が閉鎖位置に配置され、ゲート16がゲートシャッタ17により密閉される。
ゲート16が密閉された後は、制御装置4は、リフトピン昇降機構14を駆動する。これにより、リフトピン11は、その先端がホットプレート9の下方に退避する位置に下降される。このリフトピン11の下降により、リフトピン11上の基板Wがホットプレート9の基板載置面9a上に移載される。これにより、基板Wが加熱され、基板Wに吸着されている水分が蒸発する。蒸発した水分を含む雰囲気は、排気口19から排出され、不活性ガス供給管23から供給される乾燥した不活性ガスに置換される。こうして、基板Wに吸着されている水分を排除する水分除去処理が行われる。
基板Wが基板載置面9aに載置されてから所定時間が経過すると、リフトピン昇降機構14が制御装置4によって駆動される。これにより、リフトピン11が上昇し、基板Wが基板載置面9aに対して上方に離間する位置(たとえば、センターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しが可能な位置)まで持ち上げられる。そして、ゲート開閉機構18が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ17が開放位置に配置され、ゲート16が開放される。この状態で、リフトピン11によって支持された基板Wが、センターロボットCRによってチャンバ8から搬出される。
図3は、シリル化ユニット7bの概略構成を示す模式図である。シリル化ユニット7bは、チャンバ28を備えている。チャンバ28は、たとえば、直方体状である。チャンバ28は、側壁30と、上下に対向する上壁31および底壁32とを含む。シリル化ユニット7bは、上壁31の外面(上面)に沿って配置された冷却装置33をさらに備えている。チャンバ28は、冷却装置33によって冷却されている。冷却装置33は、たとえば、水冷の冷却装置である。
シリル化ユニット7bは、チャンバ28内に設けられた基板保持台34をさらに備えている。チャンバ28内に搬入された一枚の基板Wは、基板保持台34上に載置された状態で、基板保持台34に保持される。基板保持台34は、鉛直方向に延びる回転軸35の上端に固定されている。回転軸35には、回転軸35の中心軸線まわりに回転軸35を回転させる基板回転機構36が結合されている。基板回転機構36は、たとえば、モータを含む。
基板保持台34の内部には、基板保持台34に保持された基板Wを加熱するためのヒータ37が埋設されている。さらに、基板保持台34上には、ヒータ37による加熱時に基板Wの温度を均一化する均熱リング38が設けられている。均熱リング38は、基板保持台34上における基板Wの保持位置を取り囲むリング状に形成されている。
基板保持台34に関連して、基板保持台34に対して基板Wを昇降させる複数本(たとえば、3本)のリフトピン39が設けられている。複数本のリフトピン39は、チャンバ28の底壁32に挿通され、チャンバ28外において、共通の支持部材40に支持されている。支持部材40には、シリンダを含むリフトピン昇降機構41が結合されている。リフトピン昇降機構41は、複数本のリフトピン39の先端が基板保持台34の上方に突出する位置と、複数本のリフトピン39の先端が基板保持台34の下方に退避する位置との間で、複数本のリフトピン39を一体的に昇降させる。
また、チャンバ28の一方の側壁29(図3では、左側の側壁)には、チャンバ28内に対する基板Wの搬入/搬出のためのゲート42が形成されている。側壁29の外側には、ゲート42を開閉するゲートシャッタ43が設けられている。ゲートシャッタ43には、シリンダを含むゲート開閉機構44が結合されている。ゲート開閉機構44は、ゲートシャッタ43が側壁29の外面に密着してゲート42を密閉する閉鎖位置と、ゲートシャッタ43が側壁29の側方へ離間しつつ下降してゲート42を大きく開放する開放位置との間で、ゲートシャッタ43を移動させる。
また、チャンバ28の他方の側壁30(図3では、右側の側壁)には、不活性ガスの一例である窒素ガスをチャンバ28内に導入する側方導入管45が設けられている。側方導入管45には、側方ガスバルブ46を介して窒素ガスが供給される。側方導入管45は、側壁30を貫通している。側方導入管45のチャンバ28内に臨む端面は、側壁30の内面とほぼ面一となっている。側壁30の内面には、その内面のほぼ全域を覆うサイズの拡散板47が設けられている。拡散板47は、チャンバ28内に臨む多数の吐出口(図示せず)を有している。側方導入管45に供給される窒素ガスは、拡散板47の多数の吐出口から分散して吐出される。したがって、側方導入管45に供給される窒素ガスは、チャンバ28内において、側壁30の内面と平行な面内でほぼ均一な流速となるシャワー状に拡散する。
また、チャンバ28の上壁31を貫通して、シリル化剤のベーパと窒素ガスとをチャンバ28内に導入するシリル化剤導入管48(シリル化剤供給手段)が設けられている。シリル化剤導入管48には、シリル化剤バルブ49および上方ガスバルブ50をそれぞれ介してシリル化剤および窒素ガスが供給される。シリル化剤導入管48のチャンバ28内に臨む端面は、上壁31の内面(下面)とほぼ面一となっている。上壁31の内面には、基板Wよりも大きな径を有する円板状の拡散板51が設けられている。この拡散板51は、チャンバ28内に臨む多数の吐出口(図示せず)を有している。シリル化剤導入管48に供給されるシリル化剤および窒素ガスは、拡散板51の多数の吐出口から分散して吐出される。したがって、シリル化剤導入管48に供給されるシリル化剤および窒素ガスは、チャンバ28内において、上壁31の内面と平行な面内でほぼ均一な流速となるシャワー状に拡散する。
シリル化剤の例としては、TMSI(N-Trimethylsilyimidazole)、BSTFA(N,O-bis [Trimethylsilyl] trifluoroacetamide)、BSA(N,O-bis [Trimethylsilyl] acetamide)、MSTFA(N-Methyl-N-trimethylsilyl-trifluoacetamide)、TMSDMA(N-Trimethylsilyldimethylamine)、TMSDEA(N-Trimethylsilyldiethylamine)、MTMSA(N,O-bis (trimethylsilyl) trifluoroacetamide)、TMCS(with base)(Trimethylchlorosilane)、およびHMDS(Hexamethyldisilazane)が挙げられる。シリル化剤導入管48には、これらのシリル化剤のうちのいずれか一つのベーパが供給される。シリル化剤導入管48に供給されるシリル化剤のベーパは、シリル化剤の微粒子のみを含むものであってもよいし、シリル化剤の微粒子とキャリアガス(たとえば、不活性ガス)とを含むものであってもよい。
また、チャンバ28の底壁32には、基板保持台34の周囲を取り囲む平面視円環状の周囲排気口52が形成されている。周囲排気口52には、先端が排気源に接続された排気管53の基端が接続されている。排気管53の途中部には、周囲排気バルブ54が介装されている。周囲排気バルブ54が開かれると、チャンバ28内の雰囲気が周囲排気口52から排気され、周囲排気バルブ54が閉じられると、周囲排気口52からの排気が停止される。
また、チャンバ28の底壁32には、周囲排気口52の外側において、側壁29に沿って延びる平面視略長方形状のゲート側排気口55が形成されている。ゲート側排気口55には、先端が排気源に接続された排気管56の基端が接続されている。排気管56の途中部には、ゲート側排気バルブ57が介装されている。ゲート側排気バルブ57が開かれると、チャンバ28内の雰囲気がゲート側排気口55から排気され、ゲート側排気バルブ57が閉じられると、ゲート側排気口55からの排気が停止される。
次に、シリル化ユニット7bにおいて行われる基板Wの処理の一例について説明する。
センターロボットCRは、シリル化ユニット7b内に基板Wを搬入する。シリル化ユニット7b内への基板Wの搬入に先立ち、ゲート開閉機構44が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ43が開放位置に配置され、ゲート42が開放される。ゲート42が開放されている間、側方ガスバルブ46が制御装置4によって開かれて、側方導入管45からチャンバ28内に窒素ガスが導入される。さらに、ゲート側排気バルブ57が制御装置4によって開かれて、チャンバ28内の雰囲気がゲート側排気口55から排気される。これにより、基板保持台34のゲート42と反対側、つまり側壁30側からゲート42へ向かう窒素ガスの気流がチャンバ28内に形成され、この気流によって、チャンバ28の外部の雰囲気がチャンバ28内に流入することが防止される。ゲート42が開放されている間、シリル化剤バルブ49、上方ガスバルブ50および周囲排気バルブ54は閉じられている。
また、シリル化ユニット7b内への基板Wの搬入に先立ち、リフトピン昇降機構41が制御装置4によって駆動される。これにより、リフトピン39は、その先端が基板保持台34の上方に突出する位置に配置される。そして、基板Wが、センターロボットCRによってチャンバ28内に搬入される。チャンバ28内に搬入された基板Wは、センターロボットCRによってリフトピン39上に載置される。その後、センターロボットCRが、チャンバ28内から退避する。センターロボットCRがチャンバ28内から退避した後は、ゲート開閉機構44が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ43が閉鎖位置に配置され、ゲート42がゲートシャッタ43により密閉される。
ゲート42が密閉された後は、制御装置4は、側方ガスバルブ46およびゲート側排気バルブ57を閉じ、上方ガスバルブ50および周囲排気バルブ54を開く。これにより、シリル化剤導入管48からチャンバ28内に窒素ガスが導入されると共に、チャンバ28内の雰囲気が周囲排気口52から急速に排気される。その結果、チャンバ28内の雰囲気は、シリル化剤導入管48から導入される窒素ガスに短時間で置換される。また、チャンバ28内の雰囲気が窒素ガス雰囲気に置換されるのと並行して、リフトピン昇降機構41が制御装置4によって駆動される。これにより、リフトピン39は、その先端が基板保持台34の下方に退避する位置に下降される。このリフトピン39の下降により、リフトピン39上の基板Wが基板保持台34上に移載される。これにより、基板Wが基板保持台34に保持される。
基板Wが基板保持台34上に移載された後は、制御装置4は、上方ガスバルブ50を閉じ、シリル化剤バルブ49を開く。これにより、シリル化剤導入管48からチャンバ28内にシリル化剤のベーパが導入され、このシリル化剤のベーパが基板Wの上面に供給される。また、シリル化剤の供給と並行して、基板回転機構36が制御装置4によって駆動されて、基板Wが回転される。これにより、シリル化剤が基板Wの上面の全域にむらなく供給される。さらに、シリル化剤の供給と並行して、ヒータ37が制御装置4によって駆動されて、常温(室温と同じ。たとえば、20℃〜30℃)よりも高い温度まで基板Wが加熱される。基板保持台34に保持された基板Wは、シリル化剤の供給によってシリル化される。
シリル化剤の供給が所定時間にわたって行われると、リフトピン昇降機構41が制御装置4によって駆動される。これにより、リフトピン39が上昇され、基板Wが基板保持台34に対して上方に離間する位置(たとえば、センターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しが可能な位置)まで持ち上げられる。そして、制御装置4が、シリル化剤バルブ49を閉じ、上方ガスバルブ50を開く。これにより、シリル化剤導入管48からチャンバ28内に常温の窒素ガスが導入され、この窒素ガスが基板Wの上面に供給される。その結果、高温の基板Wは、常温の窒素ガスにより冷却される。基板Wが窒素ガスによって冷却されている間、周囲排気バルブ54は開かれたままである。そのため、チャンバ28内の雰囲気は、シリル化剤導入管48から導入される窒素ガスに急速に置換される。
チャンバ28内の雰囲気が窒素ガス雰囲気に置換された後は、ゲート開閉機構44が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ43が開放位置に配置され、ゲート42が開放される。また、ゲート42が開放されると、制御装置4は、上方ガスバルブ50および周囲排気バルブ54を閉じ、側方ガスバルブ46およびゲート側排気バルブ57を開く。これにより、側壁30側からゲート42へ向かう窒素ガスの気流がチャンバ28内に形成され、この気流によって、チャンバ28の外部の雰囲気がチャンバ28内に流入することが防止される。この状態で、リフトピン39によって支持された基板Wが、センターロボットCRによってチャンバ28から搬出される。
図4は、エッチングユニット7cの構成例を説明するための模式的な断面図である。エッチングユニット7cは、この実施形態では、エッチング剤の一例としてのフッ酸(フッ化水素)を含む蒸気を基板Wに供給するベーパ処理ユニット、すなわち気相エッチングユニットである。エッチングユニット7cは、フッ酸(液体)を貯留するHFベーパ発生容器64と、HFベーパ発生容器64を収容する密閉空間S1が内部に設けられたチャンバ65(処理室)とを含む。HFベーパ発生容器64内のフッ酸の濃度は、いわゆる擬似共弗組成となる濃度(たとえば、1気圧、室温のもとで、約39.6%)に調整されている。HFベーパ発生容器64内のフッ酸は、HFベーパ発生容器64に内蔵されたHFヒータ66によって加熱されている。HFベーパ発生容器64内のフッ酸の温度は、制御装置4によって制御される。
エッチングユニット7cは、HFベーパ発生容器64の下方に配置されたパンチングプレート67と、パンチングプレート67の下方に配置されたホットプレート68とを含む。ホットプレート68は、基板Wを保持する基板保持手段の一例であると共に、基板Wを加熱する基板ヒータの一例でもある。ホットプレート68は、基板Wの上面がパンチングプレート67に対向する基板保持位置(図4に示す位置)で当該基板Wを水平に保持する。基板Wは、ホットプレート68によって加熱されながら支持される。基板Wの温度は、制御装置4によって、所定の範囲内(たとえば、30〜100℃)の一定の温度に維持される。ホットプレート68は、回転軸69の上端部に連結されている。モータ等を含む回転駆動機構70は、回転軸69に連結されている。回転駆動機構70が回転軸69を回転させると、ホットプレート68は、回転軸69と共に鉛直軸線まわりに回転する。これにより、ホットプレート68に保持されている基板Wが、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転する。
エッチングユニット7cは、ホットプレート68の周囲に配置された筒状のベローズ71と、ベローズ71を上下に伸縮させる伸縮ユニット(図示せず)と、チャンバ65の側壁に形成された開口72を閉閉するシャッタ73と、シャッタ73を移動させる開閉ユニット(図示せず)とをさらに含む。ホットプレート68は、ベローズ71の内側に配置されている。開口72は、ホットプレート68の側方に配置されている。伸縮ユニットは、ベローズ71の上端縁がパンチングプレート67に当接し、ホットプレート68の周囲の空間が密閉される密閉位置(実線で示す位置)と、ベローズ71の上端縁がホットプレート68の上面よりも下方に退避した退避位置(二点鎖線で示す位置)との間でベローズ71を伸縮させる。また、開閉ユニットは、開口72が開かれる開位置と、開口72が閉じられる閉位置(図4に示す位置)との間でシャッタ73を移動させる。
HFベーパ発生容器64は、フッ酸の蒸気(フッ酸の蒸発によって生じた気体)によって満たされたベーパ発生空間S2と、連通バルブ74を介してベーパ発生空間S2に接続された流路75とを含む。HFベーパ発生容器64は、第1流量コントローラ(MFC)76および第1バルブ77が介装された第1配管78に接続されている。HFベーパ発生容器64は、第1配管78を介して第1窒素ガス供給源79に接続されている。不活性ガスの一例である窒素ガスは、第1配管78を介してベーパ発生空間S2に供給される。同様に、流路75は、第2流量コントローラ(MFC)80および第2バルブ81が介装された第2配管82に接続されている。流路75は、第2配管82を介して第2窒素ガス供給源83に接続されている。窒素ガスは、第2配管82を介して流路75に供給される。
連通バルブ74、第1バルブ77、および第2バルブ81は、制御装置4によって開閉される。連通バルブ74および第1バルブ77が開かれている状態では、ベーパ発生空間S2を漂うフッ酸の蒸気が、第1窒素ガス供給源79からの窒素ガスの流れによって、連通バルブ74を介して流路75に供給される。したがって、全てのバルブ74、77、81が開かれている状態では、流路75に供給されたHFベーパ(フッ酸の蒸気と窒素ガスとを含む気体)が、第2窒素ガス供給源83からの窒素ガスの流れによってパンチングプレート67に導かれる。これにより、HFベーパが、パンチングプレート67に形成された多数の貫通孔を通過し、ホットプレート68に保持されている基板Wの上面に吹き付けられる。また、第2バルブ81だけが開かれている状態では、窒素ガスだけが、パンチングプレート67に導かれる。これにより、窒素ガスが基板Wの上面に吹き付けられる。
エッチングユニット7cは、さらに、チャンバ65内の気体を排出する排気管85と、排気管85に介装された排気バルブ86とを含む。排気バルブ86は、工場の排気ユーティリティ等の排気源に接続されている。排気バルブ86は、制御装置4によって開閉制御される。
次に、エッチングユニット7cによって行われる基板Wの処理例について説明する。具体的には、窒化膜の一例であるLP−SiN(Low Pressure -Silicon Nitride)の薄膜が形成されたシリコン基板の表面にフッ化水素を含む蒸気を供給して、LP−SiNの薄膜をエッチングする処理について説明する。
エッチングユニット7cによって基板Wが処理されるときには、チャンバ65内に基板Wを搬入する搬入工程が行われる。具体的には、制御装置4は、ベローズ71を退避位置に位置させ、シャッタ73を開位置に位置させた状態で、センターロボットCRによって基板Wをチャンバ65内に搬入させる。そして、制御装置4は、センターロボットCRのハンドをチャンバ65内から退避させた後、ベローズ71を密閉位置に移動させ、シャッタ73を閉位置に移動させる。
次に、チャンバ65内の雰囲気を窒素ガスに置換する前処理工程が行われる。具体的には、制御装置4は、回転駆動機構70によって、ホットプレート68に保持されている基板Wを回転させる。その後、制御装置4は、ベローズ71が密閉位置に配置されている状態で、排気バルブ86および第2バルブ81を開く。第2バルブ81が開かれることにより、第2配管82から流路75に窒素ガスが供給され、この窒素ガスが、パンチングプレート67からベローズ71内に供給される。チャンバ65内の雰囲気が窒素ガスに置換され、チャンバ65内の水分量および酸素濃度が低減される。
次に、HFベーパを基板Wに供給するエッチング工程が行われる。具体的には、制御装置4は、連通バルブ74、第1バルブ77、および第2バルブ81を開く。これにより、HFベーパが、パンチングプレート67の貫通孔を通過し、ホットプレート68によって一定の温度に維持されている回転状態の基板Wに吹き付けられる。これにより、HFベーパが基板Wに供給されると共に、ベローズ71内の窒素ガスがHFベーパに置換される。制御装置4は、連通バルブ74、第1バルブ77、および第2バルブ81が開かれてから所定時間が経過した後、連通バルブ74、第1バルブ77、および第2バルブ81を閉じて、基板WへのHFベーパの供給を停止させる。
次に、チャンバ65内の雰囲気を窒素ガスに置換する後処理工程が行われる。具体的には、制御装置4は、第2バルブ81を開く。これにより、HFベーパを含むベローズ71内の雰囲気が、ベローズ71内に供給された窒素ガスによって排気管85に押し出される。そのため、ベローズ71内の雰囲気が窒素ガスに置換される。制御装置4は、ベローズ71内の雰囲気が窒素ガスに置換された後、第2バルブ81を閉じる。その後、制御装置4は、基板Wの回転を停止させる。
次に、チャンバ65内から基板Wを搬出する搬出工程が行われる。具体的には、制御装置4は、ベローズ71を密閉位置から退避位置に移動させ、シャッタ73を閉位置から開位置に移動させる。そして、制御装置4は、ベローズ71およびシャッタ73がそれぞれ退避位置および開位置に位置している状態で、センターロボットCRによって基板Wをチャンバ65内から搬出させる。その後、制御装置4は、シャッタ73を閉位置に移動させる。
エッチング工程では、パンチングプレート67を通過したHFベーパは、基板Wの上面全域に均一に供給される。これにより、HFベーパが基板W上で凝集し、フッ化水素と水とを含む凝集相が基板Wの上面全域に均一に形成される。そのため、極めて厚みの薄い液膜が基板W上に形成され、基板Wの上面全域がこの液膜によって覆われる。このようにして、フッ化水素と水とが基板Wの上面全域に均一に供給され、基板W上で露出する窒化膜が均一にエッチングされる。
図5は、洗浄ユニット7dの構成例を説明するための模式的な断面図である。洗浄ユニット7dは、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック98と、スピンチャック98に保持された基板Wの上面にリンス液を供給するリンス液ノズル100と、スピンチャック98およびリンス液ノズル100を収容するチャンバ101とを備えている。
スピンチャック98は、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心を通る鉛直軸線まわりに回転可能な円盤状のスピンベース102と、このスピンベース102を鉛直軸線まわりに回転させるスピンモータ103とを含む。スピンチャック98は、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図5の例では、スピンチャック98は、挟持式のチャックである。スピンチャック98は、基板Wを水平に保持する。
リンス液ノズル100は、リンス液バルブ106が介装されたリンス液供給管107に接続されている。リンス液ノズル100へのリンス液の供給は、リンス液バルブ106の開閉により制御される。リンス液バルブ106は、制御装置4によって制御される。リンス液ノズル100に供給されたリンス液は、スピンチャック98に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出される。リンス液ノズル100に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
チャンバ101は、チャンバ101内に対する基板Wの搬入/搬出のための開口108が形成された隔壁109と、この開口108を覆うゲートシャッタ110とを含む。ゲートシャッタ110は、隔壁109の外に配置されている。ゲートシャッタ110には、シリンダを含むゲート開閉機構111が結合されている。ゲート開閉機構111は、ゲートシャッタ110が隔壁109の外面に密着して開口108を密閉する閉鎖位置と、ゲートシャッタ110が隔壁109の側方へ離間しつつ下降して開口108を大きく開放する開放位置との間で、ゲートシャッタ110を移動させる。
次に、洗浄ユニット7dにおいて行われる基板Wの処理の一例について説明する。
センターロボットCRは、洗浄ユニット7d内に基板Wを搬入する。洗浄ユニット7d内への基板Wの搬入に先立ち、ゲート開閉機構111が制御装置4によって駆動される。これにより、ゲートシャッタ110が開放位置に配置され、チャンバ101の開口108が開放される。その後、センターロボットCRが、チャンバ101内に基板Wを搬入し、この基板Wをスピンチャック98上に載置する。制御装置4は、センターロボットCRによってスピンチャック98上に基板Wを載置させた後、チャンバ101内からセンターロボットCRを退避させる。その後、ゲート開閉機構111が制御装置4によって駆動され、ゲートシャッタ110が閉鎖位置に配置される。これにより、チャンバ101の開口108がゲートシャッタ110により密閉される。チャンバ101の開口108が密閉された後、制御装置4は、スピンモータ103を制御することにより、スピンチャック98に保持された基板Wを回転させる。
次に、リンス液を基板Wに供給して、基板Wに付着している薬液成分(主としてエッチングユニット7cにおいて付着したエッチング剤成分)を洗い流すリンス処理が行われる。具体的には、制御装置4は、スピンチャック98によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ106を開いて、リンス液ノズル100からスピンチャック98に保持された基板Wの上面中央部に向けてリンス液を吐出させる。リンス液ノズル100から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、基板Wに付着しているエッチング液が洗い流される。そして、リンス液バルブ106が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置4は、リンス液バルブ106を閉じてリンス液ノズル100からのリンス液の吐出を停止させる。
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御装置4は、スピンモータ103を制御して、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着しているリンス液に大きな遠心力が作用し、当該リンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液が除去され、基板Wが乾燥する。乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御装置4は、スピンモータ103を制御して、スピンチャック98による基板Wの回転を停止させる。その後、ゲート開閉機構111が制御装置4によって駆動され、ゲートシャッタ110が開放位置に配置される。これにより、チャンバ101の開口108が開放される。その後、スピンチャック98に保持された基板WがセンターロボットCRによってチャンバ101内から搬出される。
図6A−6Eは、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例を説明するための図である。以下では、酸化膜の一例であるSiO膜と、窒化膜の一例であるSiN膜とが形成された基板Wの表面にエッチング剤を供給して、SiN膜を選択的に除去する選択エッチングの一例について説明する。基板Wの表面に形成された酸化膜は、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を用いて形成された膜(TEOS膜)であってもよい。多孔質の酸化膜等の吸湿性の酸化膜と窒化膜とが露出している基板に対して窒化膜の選択エッチングを行う場合に、この実施形態がとくに有効である。以下では、図1および図6A−6Eを参照する。
キャリア保持部5に保持されたキャリアC内に収容された未処理の基板Wは、インデクサロボットIRによって搬出される。そして、キャリアC内から搬出された基板Wは、インデクサロボットIRからセンターロボットCRに渡される。センターロボットCRは、インデクサロボットIRから受け取った未処理の基板Wを水分除去ユニット7aに搬入する。
図6Aに示すように、水分除去ユニット7aでは、ホットプレート9の基板載置面9a上に基板Wが載置され、それによって基板Wが加熱され、プリベーク処理が行われる。このプリベーク処理によって、基板Wに吸着されている水分が蒸発して、基板W外へと排出される。より具体的には、とくに基板Wの表面の酸化膜に吸着されている水分が蒸発して、排出される。これにより、基板Wの表面に形成された酸化膜が多孔質酸化膜やLTO膜のような吸湿性の酸化膜であっても、その酸化膜中に吸着された水分を除去できる。基板Wから吸着水分を除去するプリベーク処理が終了すると、その基板Wは、センターロボットCRによって水分除去ユニット7aから搬出される。水分除去ユニット7aから搬出された基板Wは、センターロボットCRによって、シリル化ユニット7bに搬入される。
図6Bに示すように、シリル化ユニット7bでは、シリル化剤のベーパが基板Wに供給され、基板Wがシリル化される(シリル化処理)。具体的には、シリル化剤の一例であるHMDSのベーパが、基板保持台34に保持された基板Wの表面に供給され、基板Wの表面がシリル化される。これにより、基板W上で露出する酸化膜の表面に保護膜が形成される。そして、基板Wの表面がシリル化された後は、その基板Wが、センターロボットCRによってシリル化ユニット7bから搬出される。シリル化ユニット7bから搬出された基板Wは、センターロボットCRによって、エッチングユニット7cに搬入される。
図6Cに示すように、エッチングユニット7cでは、フッ酸のベーパが基板Wに供給されることにより、基板W上で露出する窒化膜が選択的にエッチングされる。このとき、基板W上で露出する酸化膜はシリル化によって形成された保護膜で覆われているので、酸化膜はほとんど失われない。こうして基板W上の窒化膜の選択エッチングが終了すると、その基板Wが、センターロボットCRによってエッチングユニット7cから搬出される。エッチングユニット7cから搬出された基板Wは、センターロボットCRによって、洗浄ユニット7dに搬入される。
図6Dに示すように、洗浄ユニット7dでは、リンス液(たとえば純水)がスピンチャック98に保持された基板Wの表面に供給され、基板Wの表面に付着している薬液(とくにエッチング剤)が洗い流される(リンス処理)。このリンス処理の後、図6Eに示すように、基板Wの高速回転によって基板Wに付着しているリンス液が基板Wから除去される。これにより、スピンチャック98に保持された基板Wが乾燥される(乾燥処理)。
洗浄ユニット7dにおいて乾燥処理が行われた基板Wは、センターロボットCRによって洗浄ユニット7dから搬出される。そして、センターロボットCRは、その基板WをインデクサロボットIRに渡す。インデクサロボットIRは、センターロボットCRから受け取った処理済みの基板Wをキャリア保持部5に保持されたキャリアCに搬入する。これにより、基板処理装置1での一連の処理が終了する。制御装置4は、このような動作を繰り返し実行させ、複数枚の基板Wを一枚ずつ処理させる。
図7は、フッ酸ベーパによる窒化膜の選択エッチングに関する実験結果を示す。試料1、試料2および試料3は比較例であり、試料4は実施例である。いずれの試料も、シリコン基板上に窒化膜(SiN)および多孔質シリコン酸化膜(Porous SiO2)が形成され、それらが露出している試料である。試料1は、水分除去処理(プリベーク処理)およびシリル化処理をいずれも行わずにフッ酸ベーパによるエッチングを行った例である。試料2は、水分除去処理(プリベーク処理)は行わずにシリル化処理を行い、その後に、フッ酸ベーパによるエッチングを行った例である。試料3は、水分除去処理(プリベーク処理:250℃、10分)を行い、その後、シリル化処理は行わずに、フッ酸ベーパによるエッチングを行った例である。試料4は、水分除去処理(プリベーク処理:250℃、10分)を行い、次にシリル化処理を行い、その後に、フッ酸ベーパによるエッチングを行った例である。
試料1,2の比較から、シリル化処理によって多孔質シリコン酸化膜のエッチング量が低減されていることが分かる。さらに、試料1,2,3の比較から、水分除去処理によって、シリル化処理と同程度に多孔質酸化膜のエッチング量を低減できることが分かる。そして、試料1,2,3,4の比較から、シリル化処理前に水分除去処理を行うことによって、多孔質シリコン酸化膜のエッチング量をほとんど零とすることができ、窒化膜エッチングの選択比を実質上無限大にできることが分かる。すなわち、シリル化処理に先立つ水分除去処理によって、シリル化による保護膜形成効果を著しく増大でき、それによって、窒化膜エッチングの選択比を著しく向上できる。
以上のように、第1実施形態では、基板Wに対して水分除去処理を行った後、シリル化剤を基板Wに供給し、その後に、エッチング剤(この実施形態ではフッ酸ベーパ)を基板Wに供給する。これにより、基板W上に形成された酸化膜の表面にシリル化による保護膜を確実に形成できるので、その後に行うエッチングによって、基板W上に形成された窒化膜を高い選択比でエッチングできる。
図8は、水分除去ユニット7aの他の構成例を示す。図8において、前述の図2に示された各部の対応部分には同一参照符号を付す。この構成例では、ホットプレート9に代えて、基板保持台9Aが備えられている。すなわち、基板保持台9Aは、基板Wを保持する機能を有するが、基板Wを加熱する機能を有していない。そして、水分除去ユニット7aは、減圧乾燥ユニットとして機能する。具体的には、基板Wが基板保持台9A上に保持され、ゲートシャッタ17によってゲート16が閉じられた後、チャンバ8内が密閉状態とされる。そして、チャンバ8内の雰囲気を不活性ガスに置換した後、不活性ガスバルブ24が閉じられ、真空装置91によって、排気口19から排気管20を介してチャンバ8内の雰囲気が吸引される。これにより、チャンバ8内が減圧され、それによって、基板Wに吸着されている水分(とくに基板W上に形成された酸化膜に吸着されている水分)が除去される。
図9は、水分除去ユニット7aのさらに他の構成例を示す。図9において、前述の図8に示された各部の対応部分には同一参照符号を付す。この構成例では、基板保持台9Aの上方に加熱用ランプ93(たとえばハロゲンランプまたはキセノンフラッシュランプ)が配置されている。この加熱用ランプ93を発光させ、その光で基板Wを照射して加熱することにより、基板保持台9Aに配置された基板Wに吸着した水分を瞬時に蒸発させて除去することができる。
図10は、この発明の第2実施形態に係る基板処理装置201のレイアウトを示す図解的な平面図である。図10において、図1の対応部分には同一参照符号を付す。この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理ユニットの構成が異なることである。すなわち、第1実施形態では、複数の処理ユニットが、基板Wに吸着した水分を除去する水分除去ユニット7aと、基板Wをシリル化するシリル化ユニット7bと、基板Wをエッチングするエッチングユニット7cと、基板Wを洗浄する洗浄ユニット7dを含む場合について説明したが、第2実施形態では、複数の処理ユニットが、基板Wの吸着水分を除去した後に基板Wの表面をシリル化する水分除去・シリル化ユニット7eを含む。水分除去・シリル化ユニット7eは、基板Wを加熱して吸着水分を蒸発させるベーク処理の後、基板Wの表面をシリル化するベーク・シリル化ユニットであってもよい。ベーク・シリル化ユニットは、たとえば、図3に示したシリル化ユニット7bと同様の構成を有していてもよい。
さらに具体的に説明すると、第2実施形態に係る基板処理装置201は、一つの水分除去・シリル化ユニット7eと、2つのエッチングユニット7cと、2つの洗浄ユニット7dとを含み、これらが、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。この構成によっても、前述の第1の実施形態の場合と同様の処理が可能である。
図11は、この発明の第3実施形態に係る基板処理装置301のレイアウトを示す図解的な平面図である。図11において、図1の対応部分には同一参照符号を付す。この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理ユニットの構成が異なることである。すなわち、この第3の実施形態では、複数の処理ユニットが、基板Wの表面をシリル化した後に、基板Wに対してエッチング処理を行うシリル化・エッチングユニット7fを含む。
さらに具体的に説明すると、第3実施形態に係る基板処理装置301は、一つの水分除去ユニット7aと、2つのシリル化・エッチングユニット7fと、2つの洗浄ユニット7dとを含み、これらが、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。この構成によっても、前述の第1の実施形態の場合と同様の処理が可能である。
図12は、この発明の第4実施形態に係る基板処理装置401のレイアウトを示す図解的な平面図である。図12において、図1の対応部分には同一参照符号を付す。この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理ユニットの構成が異なることである。すなわち、この第4の実施形態では、複数の処理ユニットが、基板Wに吸着した水分を除去した後に基板Wの表面をシリル化し、その後に、基板Wに対してエッチング処理を行う水分除去・シリル化・エッチングユニット7gを含む。水分除去・シリル化、エッチングユニット7gは、基板Wを加熱して吸着水分を蒸発させるベーク処理の後、基板Wの表面をシリル化し、その後にエッチング処理を行うベーク・シリル化・エッチングユニットであってもよい。
さらに具体的に説明すると、第4実施形態に係る基板処理装置401は、2つの水分除去・シリル化・エッチングユニット7gと、2つの洗浄ユニット7dとを含み、これらが、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。この構成によっても、前述の第1の実施形態の場合と同様の処理が可能である。
図13は、この発明の第5実施形態に係る基板処理装置501のレイアウトを示す図解的な平面図である。図13において、図1の対応部分には同一参照符号を付す。この第5実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理ユニットの構成が異なることである。すなわち、この第5の実施形態では、複数の処理ユニットが、基板Wに吸着した水分を除去した後に基板Wの表面をシリル化し、その後に、基板Wに対してエッチング処理を行い、さらにその後に基板Wの表面の薬液成分を洗い流す洗浄処理を実行する水分除去・シリル化・エッチング・洗浄ユニット7hを含む。水分除去・シリル化、エッチング・洗浄ユニット7hは、基板Wを加熱して吸着水分を蒸発させるベーク処理の後、基板Wの表面をシリル化し、その後にエッチング処理を行い、さらにその後に基板Wの洗浄処理を行うベーク・シリル化・エッチング・洗浄ユニットであってもよい。
さらに具体的に説明すると、第5実施形態に係る基板処理装置501は、4つの水分除去・シリル化・エッチング・洗浄ユニット7hを含み、これらが、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。この構成によっても、前述の第1の実施形態の場合と同様の処理が可能である。
図14は、この発明の第6実施形態に係る基板処理装置601のレイアウトを示す図解的な平面図である。図14において、図1の対応部分には同一参照符号を付す。この第6実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理ユニットの配置が異なることである。具体的には、第6実施形態に係る基板処理装置601は、一つの水分除去ユニット7aと、一つのシリル化ユニット7bと、1つのエッチングユニット7cと、1つの洗浄ユニット7dとを含み、これらが、平面視において、センターロボットCRを取り囲むように配置されている。第1の実施形態では、水分除去ユニット7aが、センターロボットCRに対してインデクサブロック2とは反対側の流体バルブボックス27,27の間に配置されている。これに対して、第6の実施形態に係る基板処理装置601は、水分除去ユニット7aが、インデクサブロック2側の一つの流体バルブボックス26に隣接して配置されている。この構成によっても、前述の第1の実施形態の場合と同様の処理が可能である。ただし、この実施形態ではエッチングユニット7cが一つだけであるのに対して、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、2つのエッチングユニット7cを備えているので、第1の実施形態の構成の方が生産性に優れている。
以上、この発明の実施の形態について説明してきたが、この発明はさらに他の形態で実施することができる。たとえば、前述の実施形態では、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置を例にとったが、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ式の基板処理装置にもこの発明を適用できる。具体的には、この発明が適用される基板処理装置は、複数枚の基板Wを一括して乾燥処理するバッチ式水分除去ユニットと、複数枚の基板Wを一括してシリル化処理するバッチ式シリル化ユニットと、複数枚の基板Wに対して一括してエッチング処理を施すバッチ式エッチングユニットと、複数枚の基板Wを一括して洗浄するバッチ式洗浄ユニットとを含んでいてもよい。バッチ式シリル化ユニットとバッチ式エッチングユニットとバッチ式洗浄ユニットとは、共通のバッチ式処理ユニットで構成されてもよい。バッチ式処理ユニットは、たとえば、複数枚の基板Wが浸漬される処理液を貯留する処理槽と、処理槽にシリル化剤を供給するシリル化剤供給機構と、処理槽にエッチング剤を供給するエッチング剤供給機構と、処理槽に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、処理槽内の液を排液する排液機構とを含む。
また、前述の実施形態では、エッチング剤をベーパの形態で供給する気相エッチングを行うエッチングユニットを例にとったが、エッチング剤としてエッチング液を基板に供給するエッチングユニットを用いてもよい。
また、前述の実施形態では、水分除去工程、シリル化工程およびエッチング工程はそれぞれ1回ずつ行われているが、水分除去工程、シリル化工程およびエッチング工程が行われた基板Wに対して、再び水分除去工程、シリル化工程およびエッチング工程が行われてもよい。シリル化剤の供給によって酸化膜のエッチングは抑制されるが、エッチング工程が長時間行われると、酸化膜のエッチングを抑制する効果が時間の経過とともに低下し、選択比が低下するおそれがある。そのため、長時間のエッチング工程が行われる場合は、エッチング工程の間に再度水分除去工程およびシリル化工程を行うことにより、エッチング工程において高い選択比を維持することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および添付図面の記載から抽出され得る特徴の例を以下に示す。
基板から水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去工程の後に、シリル化剤を基板に供給するシリル化工程と、前記シリル化工程の後に、エッチング剤を前記基板に供給するエッチング工程とを含む、基板処理方法。前記シリル化工程が、基板を保持する基板保持台と、基板を搬入するためのゲートが形成された第1の側壁と、前記基板保持台に対して前記ゲートと反対側に配置された第2の側壁と、前記基板保持台の周囲に周囲排気口が形成され、前記周囲排気口の外側において前記第1の側壁に沿ってゲート側排気口が形成された底壁と、前記底壁に対向する上壁とを含むチャンバ内で実行されてもよい。また、基板を前記チャンバに搬入するときには前記第2の側壁側から前記チャンバ内に不活性ガスを導入しながら前記ゲート側排気口から排気することによって前記第2の側壁側から前記ゲートに向かう気流を形成させ、前記シリル化工程においては、前記チャンバの上壁から前記チャンバ内にシリル化剤を導入しながら前記周囲排気口から排気することによって前記基板保持台に保持された基板の上面にシリル化剤を供給してもよい。
この方法によれば、エッチング剤の供給によって基板がエッチングされる前に、シリル化剤の供給によって基板がシリル化される。したがって、シリル化された基板がエッチングされる。後述するように、酸化膜と窒化膜とが形成された基板をシリル化することにより、酸化膜がエッチングされることを抑制することができる。したがって、シリル化された基板をエッチングすることにより、選択比(窒化膜の除去量/酸化膜の除去量)を向上することができる。
さらに、上記の方法では、シリル化工程に先立って、基板から水分を除去する水分除去工程が行われる。この水分除去工程によって、シリル化工程において、酸化膜を保護する保護膜が形成されやすくなる。シリル化剤が有するシリル基は、水酸基(OH基)との反応性が高いので、シリル化工程において基板上に水分が存在していると、シリル化剤と水分中のOH基との反応が優先的に進行してしまい、基板表面の酸化膜を覆う保護膜の形成が阻害されるおそれがある。そこで、シリル化工程の前に、水分除去工程が行われる。これにより、シリル化剤のシリル基は基板上で露出する酸化膜と反応し、酸化膜を覆う保護膜を形成する。よって、その後にエッチング工程を行えば、高い選択比で窒化膜をエッチングできる。
前記基板は、窒化膜および酸化膜が露出した表面を有していてもよい。この場合、前記エッチング工程は、前記エッチング剤によって前記窒化膜を選択的にエッチングする選択エッチング工程であってもよい。この方法では、水分除去工程の後にシリル化工程が行われるので、シリル化剤が基板表面に吸着されている水分と反応することを抑制でき、その結果、基板表面の酸化膜とシリル化剤との反応が効率的に生じ、酸化膜を覆う保護膜が形成される。その状態でエッチングを行うことによって、基板上の窒化膜を高い選択性で選択エッチングできる。とくに、前記酸化膜が多孔質酸化シリコン(Porous-SiO)や低温形成酸化膜(LTO:low temperature oxide)のような吸湿性の酸化膜である場合に、水分除去工程を予め行うことにより、吸着水分による保護膜形成阻害の問題を回避して、良好な保護膜を形成できる。
前記エッチング剤は、エッチング成分を有するベーパであってもよい。エッチング成分は、フッ酸(HF:フッ化水素)であってもよい。フッ酸をエッチング成分とするベーパ(フッ酸ベーパ)を用いた気相エッチングは、被処理基板中の吸着水分の影響を大きく受ける。すなわち、被処理基板中の水分がフッ酸を凝集しやすくし、過剰なエッチングの要因となり、エッチング選択性が低下する。とくに、前述のような吸湿性の酸化膜が基板表面に形成されていると、酸化膜の吸着水分にフッ酸が凝集し易くなるため、酸化膜のエッチングが進行してしまい、窒化膜エッチングの選択比が低くなる。前述の水分除去工程が行われることにより、被処理基板中の吸着水分が排除されるうえに、その後のシリル化処理によって酸化膜を覆う保護膜を形成できるから、窒化膜エッチングの選択比を著しく高めることができる。
前記水分除去工程は、基板を加熱する加熱工程、基板周辺の気圧を低下させる減圧工程、および基板に光を照射する照射工程のうちの少なくとも一つを含む工程であってもよい。すなわち、加熱工程、減圧工程および照射工程のいずれか一つが単独で行われてもよく、それらの2つ以上を組み合わせて基板の水分を除去してもよい。
前記基板処理方法は、前記エッチング工程が行われた後に、リンス液を前記基板に供給するリンス工程と、前記リンス工程が行われた後に、前記基板を乾燥させる乾燥工程とをさらに含んでいてもよい。
また、前記基板処理方法は、前記シリル化工程と並行して行われる工程であって、前記基板を加熱する加熱工程をさらに含んでいてもよい。この場合、基板の温度が上昇するから、基板に供給されたシリル化剤の温度の低下を抑制できる。したがって、シリル化剤の活性が温度の変化に伴って変化する場合でも、シリル化剤の活性を安定させることができる。さらに、基板の温度が、当該基板に供給されたシリル化剤の温度よりも高い場合には、基板に供給されたシリル化剤の温度を上昇させることができる。したがって、シリル化剤の活性が温度の上昇に伴って高まる場合には、シリル化剤の活性を高めることができる。
基板から水分を除去する水分除去手段と、基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、基板にエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段と、前記水分除去手段を制御することにより、基板から水分を除去する水分除去工程を実行し、前記シリル化剤供給手段を制御することにより、前記水分除去工程の後に、前記基板にシリル化剤を供給するシリル化工程を実行し、前記エッチング剤供給手段を制御することにより、前記シリル化工程の後に、前記基板にエッチング剤を供給するエッチング工程を実行する制御手段とを含む基板処理装置。この基板処理装置は、さらに、基板を保持する基板保持台と、基板を搬入するためのゲートが形成された第1の側壁と、前記基板保持台に対して前記ゲートと反対側に配置された第2の側壁と、前記基板保持台の周囲に周囲排気口が形成され、前記周囲排気口の外側において前記第1の側壁に沿ってゲート側排気口が形成された底壁と、前記底壁に対向する上壁とを含むチャンバと、前記第2の側壁側から前記チャンバ内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段とを含んでもよい。また、前記シリル化剤供給手段が、前記上壁から前記チャンバ内にシリル化剤を導入するシリル化剤導入手段を含んでもよい。また、前記制御手段が、基板を前記チャンバに搬入するときには前記不活性ガス導入手段から前記チャンバ内に不活性ガスを導入しながら前記ゲート側排気口から排気することによって前記第2の側壁側から前記ゲートに向かう気流を形成させ、前記シリル化工程に際しては、前記シリル化剤導入手段によって前記上壁から前記チャンバ内にシリル化剤を導入しながら前記周囲排気口から排気することによって前記基板保持台に保持された基板の上面にシリル化剤を供給させてもよい。
前記水分除去手段は、基板を加熱する加熱手段、基板に光を照射する照射手段、および基板周辺の気圧を低下させる減圧手段のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。すなわち、水分除去手段は、加熱手段、照射手段および減圧手段のいずれか一つの単独によって構成されてもよいし、それらの2つ以上を組み合わせた構成であってもよい。
IR インデクサロボット
C キャリア
CR センターロボット
1 基板処理装置(第1の実施形態)
2 インデクサブロック
3 処理ブロック
4 制御装置
5 キャリア保持部
6 IR移動機構
7 処理ユニット
7a 水分除去ユニット
7b シリル化ユニット
7c エッチングユニット
7d 洗浄ユニット
7e 水分除去・シリル化ユニット
7f シリル化・エッチングユニット
7g 水分除去・シリル化・エッチングユニット
7h 水分除去・シリル化・エッチング・洗浄ユニット
9 ホットプレート
9A 基板保持台
10 ヒータ
19 排気口
20 排気管
21 排気バルブ
34 基板保持台
37 ヒータ
38 均熱リング
48 シリル化剤導入管
49 シリル化剤バルブ
64 HFベーパ発生容器
68 ホットプレート
91 真空装置
93 加熱用ランプ
98 スピンチャック
100 リンス液ノズル
103 スピンモータ
201 基板処理装置(第2の実施形態)
301 基板処理装置(第3の実施形態)
401 基板処理装置(第4の実施形態)
501 基板処理装置(第5の実施形態)
601 基板処理装置(第6の実施形態)

Claims (13)

  1. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板から、前記シリコン酸化膜に吸着された水分を除去する水分除去工程と、
    前記水分除去工程の後に、シリル化剤を基板に供給するシリル化工程と、
    前記シリル化工程の後に、エッチング剤を前記基板に供給するエッチング工程とを含む、基板処理方法。
  2. 前記シリル化工程と並行して、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱工程をさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
  3. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給工程、および前記基板を加熱する加熱工程を含み、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記基板にエッチング剤を供給して前記シリコン窒化膜をエッチングする工程と、
    を含み、
    前記加熱工程において、前記基板を加熱することによって、前記基板に供給されたシリル化剤が、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱される、基板処理方法。
  4. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給工程、および前記シリル化剤を加熱する加熱工程を含み、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記基板にエッチング剤を供給して前記シリコン窒化膜をエッチングする工程と、
    を含み、
    前記加熱工程において、前記シリル化剤が、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱される、基板処理方法。
  5. 前記シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度が、30℃よりも高い、請求項3または4に記載の基板処理方法。
  6. 前記シリル化剤供給工程に先立って、前記シリル化剤が供給されるチャンバ内で前記基板が250℃に加熱される、請求項3〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
  7. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板から、前記シリコン酸化膜に吸着された水分を除去する水分除去手段と、
    基板にシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、
    基板にエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段とを含む、基板処理装置。
  8. 前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段をさらに含む、請求項7に記載の基板処理装置。
  9. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板に、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成するためのシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、
    前記基板を加熱することにより、前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段と、
    前記基板に前記シリコン窒化膜をエッチングするためのエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段と、
    を含む、基板処理装置。
  10. シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が露出した表面を有する基板に、前記シリコン酸化膜を覆う保護膜を形成するためのシリル化剤を供給するシリル化剤供給手段と、
    前記シリル化剤を、当該シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度まで加熱する加熱手段と、
    前記基板に前記シリコン窒化膜をエッチングするためのエッチング剤を供給するエッチング剤供給手段と、
    を含む、基板処理装置。
  11. 前記シリル化剤の活性が安定化されるか、または当該シリル化剤の活性が高まる温度が、30℃よりも高い、請求項9または10に記載の基板処理装置。
  12. 前記基板を保持する基板保持台と、
    前記基板保持台を鉛直軸まわりに回転させる基板回転機構と、
    をさらに含み、
    前記シリル化剤供給手段が、回転している前記基板の表面にシリル化剤を供給する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  13. 基板を水平に保持する基板保持手段と、
    前記基板保持手段を鉛直軸まわりに回転させる回転駆動機構と、
    をさらに含み、
    前記エッチング剤供給手段が、回転している前記基板の表面にエッチング剤を供給する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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