JP2016104891A - エポキシ樹脂組成物、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張り積層板及び多層プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱い性に優れ、反応性が高く、難燃性に優れ、更に高耐熱性を付与されたエポキシ樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張り積層板、多層プリント配線板を提供する。【解決手段】本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、(A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂とを含有し、(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上である。【選択図】なし
Description
本発明は、プリント配線板用エポキシ樹脂組成物に関し、前記エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張り積層板及び多層プリント配線板に関する。
パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報端末機器の普及に伴って、これらに搭載されるプリント配線板の小型化、高密度化が進んでいる。その実装形態は、ピン挿入型から表面実装型へ、更にはプラスチック基板を使用したBGA(ボールグリッドアレイ)に代表されるエリアアレイ型へと進んでいる。BGAのようにベアチップが直接実装される基板では、チップと基板との接続は、熱超音波圧着によるワイヤボンディングで行なわれるのが一般的である。熱超音波圧着では、ベアチップを実装する基板は、150℃以上の高温にさらされる。このため、電気絶縁性樹脂には、熱超音波圧着の温度条件に耐え得る耐熱性が必要となる。
更に、一度実装したチップを基板から外す、いわゆるリペア性も要求される場合がある。チップを基板から外す際には、チップ実装時と同程度の熱がかけられる。また、基板にチップが再度実装される際に、更に熱処理が加えられることになる。この繰り返し加熱によって、従来の絶縁性樹脂系では、プリプレグの繊維基材と樹脂との間で剥離を起こすことがある。リペア性が要求される基板では、繰り返し高温に曝されることに対する耐性(耐熱衝撃性)が要求される。
エポキシ樹脂に臭素等のハロゲン元素を含むハロゲン化合物を添加することによって、難燃性を確保することができるが、燃焼によって一酸化炭素やシアン化水素が発生する場合がある。また、臭素等のハロゲン化合物が添加されたエポキシ樹脂では、加熱の際に臭素が分解し、耐熱性の低下や信頼性の低下が起こり得る。そのため、エポキシ樹脂にハロゲン化合物を添加せずに、難燃性を確保できる成形物の開発が望まれていた。
ハロゲン化合物を添加せずに、難燃性を確保する方法としては、窒素、珪素、水酸化アルミニウム等のフィラーを配合する方法が挙げられる。その中でもリン化合物を配合する方法が広く用いられている。例えば、リン酸エステル系の化合物であるトリフェニルホスフェート(TPP)やトリクレジルホスフェート(TCP)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらのリン化合物は、エポキシ樹脂中に添加されても、エポキシ樹脂と反応することがないため、得られた成形物の、吸湿後の耐熱性や耐薬品性等が低下するという問題が生じた。
ハロゲン化合物を添加せずに、難燃性を確保する方法としては、窒素、珪素、水酸化アルミニウム等のフィラーを配合する方法が挙げられる。その中でもリン化合物を配合する方法が広く用いられている。例えば、リン酸エステル系の化合物であるトリフェニルホスフェート(TPP)やトリクレジルホスフェート(TCP)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらのリン化合物は、エポキシ樹脂中に添加されても、エポキシ樹脂と反応することがないため、得られた成形物の、吸湿後の耐熱性や耐薬品性等が低下するという問題が生じた。
これに対して、エポキシ樹脂とリン化合物を反応させてリン含有エポキシ樹脂を合成するという方法が提案された(例えば、特許文献2等参照)。しかし、硬化剤として(ジシアンジアミド(DICY)を用いるために、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMAc)等のように、環境に高負荷の溶媒を使用せざるを得ないという問題があった。また、昨今に要求されている低吸湿性、耐熱衝撃性等に十分に対応できているとは言えなかった。
更に、例えば、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(三光株式会社製、商品名:HCA−HQ)、10−(2,5−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(三光株式会社製、商品名:HCA−NQ)等のリン化合物や、その誘導体を硬化剤として用いる方法も挙げられる。
しかし、これらの硬化剤は、溶媒への溶解性が低いため、プレ反応を必要とし、製造工程が煩雑になる等、取り扱い性が低下する問題があった。
しかし、これらの硬化剤は、溶媒への溶解性が低いため、プレ反応を必要とし、製造工程が煩雑になる等、取り扱い性が低下する問題があった。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、取り扱い性に優れ、反応性が高く、難燃性に優れ、更に高耐熱性を付与されたエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本発明は次のものに関する。
[1](A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂とを含有し、該(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上であるエポキシ樹脂組成物。
[1](A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂とを含有し、該(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上であるエポキシ樹脂組成物。
[2]化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記の構造単位を有する上記[1]のエポキシ樹脂組成物。
(上記構造単位において*1はそれぞれ炭素原子に結合する。)
[3]化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記化学式(3)及び(4)から選択される構造の1種又は2種以上を有し、フェノール性水酸基を2個以上有する、上記[1]又は[2]のエポキシ樹脂組成物。
(式(3)、(4)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
(式(3)、(4)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
(式(3)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RAは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。)
(式(4)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RBは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。)
[4]上記[1]〜[3]のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
[5]上記[1]〜[3]のエポキシ樹脂組成物を支持体に積層してなる支持体付き樹脂フィルム。
[6]上記[4]のプリプレグの一方もしくは両方の面、又は[5]の支持体付き樹脂フィルムの一方もしくは両方の面に金属箔を配してなる金属箔張り積層板。
[7]上記[4]のプリプレグよりなる層、[5]の支持体付き樹脂フィルムの樹脂フィルムよりなる層、及び[6]の金属箔張り積層板よりなる層を1層又は2層以上含む多層プリント配線板。
[5]上記[1]〜[3]のエポキシ樹脂組成物を支持体に積層してなる支持体付き樹脂フィルム。
[6]上記[4]のプリプレグの一方もしくは両方の面、又は[5]の支持体付き樹脂フィルムの一方もしくは両方の面に金属箔を配してなる金属箔張り積層板。
[7]上記[4]のプリプレグよりなる層、[5]の支持体付き樹脂フィルムの樹脂フィルムよりなる層、及び[6]の金属箔張り積層板よりなる層を1層又は2層以上含む多層プリント配線板。
本発明によれば、上記化学式(1)で示されるリン含有硬化剤を用いることによって、取り扱い性に優れ、反応性が高く、難燃性に優れ、更に高耐熱性を有するエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張り積層板、多層プリント配線板を得られる。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、下記化学式(1)で示される(A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂を含有し、(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上であることが好ましい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、下記化学式(1)で示される(A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂を含有し、(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上であることが好ましい。
分子量が190以上であると、溶媒に対するリン含有硬化剤の溶解性が向上し、取り扱い性が向上する。このエポキシ樹脂組成物から得られるプリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張積層板などの成形品は、難燃性に優れるとともに、更に耐熱性、電気特性、耐水性等の特性も非常に良好である。
<リン含有硬化剤>
(リン含有硬化剤の構造)
(A)リン含有硬化剤は、化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記の構造単位を有することが好ましい。
(リン含有硬化剤の構造)
(A)リン含有硬化剤は、化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記の構造単位を有することが好ましい。
(上記構造単位において*1はそれぞれ炭素原子に結合する。)
また、(A)リン含有硬化剤は、化学式(1)で示されるリン化合物であり、化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記化学式(3)及び(4)から選択される構造の1種又は2種以上を有し、フェノール性水酸基を2個以上有することが好ましい。
式(3)、(4)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
式(3)、(4)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
(式(3)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RAは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。)
(式(4)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RBは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。)
上記構造単位を有するリン含有硬化剤として更に、化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記化学式(5)、(6)、及び(7)から選択される構造の1種又は2種以上を有し、フェノール性水酸基を2個以上有することが好ましい。
式(5)〜(7)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
式(5)〜(7)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。
(リン含有硬化剤1)
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(8)で表される構造単位Aと化学式(9)で表される構造単位Bとを有する樹脂とすることができる。
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(8)で表される構造単位Aと化学式(9)で表される構造単位Bとを有する樹脂とすることができる。
すなわち、この樹脂は、構造単位Aが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Bが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Aと構造単位Bとが交互に連結してなるユニットを有していてもよく、前記三者ユニットが混在した構造を有していてもよい。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
(リン含有硬化剤2)
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(10)で表される構造単位Cと化学式(11)で表される構造単位Dとを有する樹脂とすることができる。
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(10)で表される構造単位Cと化学式(11)で表される構造単位Dとを有する樹脂とすることができる。
すなわち、この樹脂は、構造単位Cが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Dが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Cと構造単位Dとが交互に連結してなるユニットを有していてもよく、前記三者ユニットが混在した構造を有していてもよい。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
(リン含有硬化剤3)
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(12)で表される構造単位Eと化学式(13)で表される構造単位Fとを有する樹脂とすることができる。
(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(12)で表される構造単位Eと化学式(13)で表される構造単位Fとを有する樹脂とすることができる。
すなわち、この樹脂は、構造単位Eが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Fが複数個連続してなるユニットを有していてもよく、構造単位Eと構造単位Fとが交互に連結してなるユニットを有していてもよく、前記三者ユニットが混在した構造を有していてもよい。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
上述した構造単位を有するフェノール樹脂をリン含有硬化剤として用いた場合に、該リン含有硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、取り扱い性に優れ、高い反応性が得られる。また、難燃性に優れ、高耐熱性を有する。
(リン含有硬化剤の製造方法)
化学式(1)で表される(A)リン含有硬化剤は、化学式(14)で表されるリン化合物に、フェノール性水酸基を有する化合物を反応して得られる。また、場合により、p−アニスアルデヒドを添加してもよい。
化学式(1)で表される(A)リン含有硬化剤は、化学式(14)で表されるリン化合物に、フェノール性水酸基を有する化合物を反応して得られる。また、場合により、p−アニスアルデヒドを添加してもよい。
化学式(14)中のXは、H原子又はハロゲン原子である。
リン含有硬化剤の製造にかかり使用可能なフェノール性水酸基を有する化合物としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂(ノボラック類)、ポリパラビニルフェノール樹脂、フェノール類とジメトキシパラキシレンから合成されるキシリレン基を有するフェノール・アラルキル樹脂などがあり、単独又は2種類以上併用してもよい。
<エポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる(B)エポキシ樹脂としては、分子内に平均1.8個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。中でも、分子内に平均して1.8〜2.5個(約2個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(2官能のエポキシ樹脂)を用いた場合、樹脂の可塑化効果が大きい。この分子内に平均して1.8〜2.5個(約2個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合、接着力等の良好な硬化物となり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた場合、難燃性が得られ易くなり、ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた場合、吸水率が低く、高Tg(ガラス転移温度)の硬化物となる。また、ナフタレン型エポキシ樹脂を用いることにより、Tgが高い硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる(B)エポキシ樹脂としては、分子内に平均1.8個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。中でも、分子内に平均して1.8〜2.5個(約2個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(2官能のエポキシ樹脂)を用いた場合、樹脂の可塑化効果が大きい。この分子内に平均して1.8〜2.5個(約2個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合、接着力等の良好な硬化物となり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた場合、難燃性が得られ易くなり、ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた場合、吸水率が低く、高Tg(ガラス転移温度)の硬化物となる。また、ナフタレン型エポキシ樹脂を用いることにより、Tgが高い硬化物が得られる。
(B)エポキシ樹脂として、分子内に平均して2.5〜3.9個(約3個)のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(3官能のエポキシ樹脂)を用いた場合には、Tgが更に高い硬化物が得られる。
また、(B)エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いた場合には、高いTgであり、かつ難燃性が得られ易い硬化物となる。
<リン含有量>
難燃性の観点からは、エポキシ樹脂組成物中のリン含有量が、樹脂組成物固形分全体の0.8〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜2.5質量%であることがより好ましい。リン含有量が、樹脂組成物固形分全体の0.8質量%未満の場合は、安定した難燃性が得られ難く、5.0質量%を超える場合は、硬化物の特性が悪化する。
ここで、リン含有量とは、エポキシ樹脂中のリン原子の含有量であり、例えば、分子量620の物質にリン原子が1個あり、この物質を50質量%含む配合であれば、2.5質量%のリン含有量になる(リン原子の原子量が約31であるから、31/620×0.5=0.025)。
難燃性の観点からは、エポキシ樹脂組成物中のリン含有量が、樹脂組成物固形分全体の0.8〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜2.5質量%であることがより好ましい。リン含有量が、樹脂組成物固形分全体の0.8質量%未満の場合は、安定した難燃性が得られ難く、5.0質量%を超える場合は、硬化物の特性が悪化する。
ここで、リン含有量とは、エポキシ樹脂中のリン原子の含有量であり、例えば、分子量620の物質にリン原子が1個あり、この物質を50質量%含む配合であれば、2.5質量%のリン含有量になる(リン原子の原子量が約31であるから、31/620×0.5=0.025)。
<その他の添加剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物中に、添加剤として無機充填剤やシランカップリング剤を添加してもよい。無機充填剤を添加することによって、低熱膨張率化や難燃性向上に優れる材料を得ることができる。また、シランカップリング剤を添加することによって、無機充填剤の分散性を向上させ、耐薬品性やピール強度に優れる材料を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中に、添加剤として無機充填剤やシランカップリング剤を添加してもよい。無機充填剤を添加することによって、低熱膨張率化や難燃性向上に優れる材料を得ることができる。また、シランカップリング剤を添加することによって、無機充填剤の分散性を向上させ、耐薬品性やピール強度に優れる材料を得ることができる。
その他、紫外線等で蛍光を発する化学物質、または樹脂を添加してもよい。このことにより、エポキシ樹脂組成物を用いて製造した多層プリント配線板の回路形成後の検査の際に、銅箔パターンをシルエット状に浮き立たせ、これによりパターン形状を認識し、外観検査が行いやすくなる。
<エポキシ樹脂組成物の製造方法>
本発明に係るエポキシ樹脂組成物を得る際、溶媒を用いてもよいし、無溶媒で行ってもよい。また、これらのエポキシ樹脂組成物を得る際、硬化促進剤、その他特性付与剤を必要に応じて添加してもよい。
溶媒を用いたエポキシ樹脂組成物の製造方法の一例を説明する。メチルエチルケトン等の溶媒に、(A)リン含有硬化剤、(B)エポキシ樹脂、その他の硬化剤成分、リン化合物等を配合し、系が均一になるように撹拌する。この後、例えば、水酸化アルミニウムを上記溶媒によりスラリー状にしたものをフィラーとして加え、更に撹拌する。これにより、エポキシ樹脂組成物のワニスを作製することができる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物を得る際、溶媒を用いてもよいし、無溶媒で行ってもよい。また、これらのエポキシ樹脂組成物を得る際、硬化促進剤、その他特性付与剤を必要に応じて添加してもよい。
溶媒を用いたエポキシ樹脂組成物の製造方法の一例を説明する。メチルエチルケトン等の溶媒に、(A)リン含有硬化剤、(B)エポキシ樹脂、その他の硬化剤成分、リン化合物等を配合し、系が均一になるように撹拌する。この後、例えば、水酸化アルミニウムを上記溶媒によりスラリー状にしたものをフィラーとして加え、更に撹拌する。これにより、エポキシ樹脂組成物のワニスを作製することができる。
[プリプレグ、支持体付き樹脂フィルム、金属箔張り積層板、多層プリント配線板]
本発明に係るエポキシ樹脂組成物のワニスを、コンマコータ、転写コータ、カーテンコータ、ダイコータ等を使用して銅箔、アルミ箔等の支持体に塗布し、連続、又は非連続的に加熱乾燥してBステージ化(半硬化)し、絶縁層を形成して支持体付き樹脂フィルムを得る。前記支持体付き樹脂フィルムの金属箔厚、絶縁層樹脂厚は任意であるが、金属箔としては、8〜80μm、絶縁層樹脂厚としては20〜200μmが一般的である。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物のワニスを、コンマコータ、転写コータ、カーテンコータ、ダイコータ等を使用して銅箔、アルミ箔等の支持体に塗布し、連続、又は非連続的に加熱乾燥してBステージ化(半硬化)し、絶縁層を形成して支持体付き樹脂フィルムを得る。前記支持体付き樹脂フィルムの金属箔厚、絶縁層樹脂厚は任意であるが、金属箔としては、8〜80μm、絶縁層樹脂厚としては20〜200μmが一般的である。
また、本発明に係るエポキシ樹脂組成物のワニスを、ガラスクロスやガラス不織布に塗布・含浸させ、連続又は非連続的に加熱乾燥してBステージ化し、プリプレグを得る。このプリプレグの一方又は両方の面に金属箔(例えば、銅箔)を配し、積層し、加熱成形することによって、金属箔張り積層板が得られる。
金属箔張り積層板、または回路パターン形成済みの内層用基板の両面又は片面に、上記支持体付き樹脂フィルムの樹脂面をプリプレグを介して対向させて積層し、加熱成形する。更に外層に回路形成を施して多層プリント配線板が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[評価方法]
<難燃性>
両面銅張り積層板の試験片を作製し、両面銅張り積層板の銅箔をエッチングにより取り除き、UL−94規格に基づく垂直燃焼試験(V法)に準じて、難燃性を評価した。V−0であれば難燃性が良好とし、V−1であれば難燃性が不良とした。
[評価方法]
<難燃性>
両面銅張り積層板の試験片を作製し、両面銅張り積層板の銅箔をエッチングにより取り除き、UL−94規格に基づく垂直燃焼試験(V法)に準じて、難燃性を評価した。V−0であれば難燃性が良好とし、V−1であれば難燃性が不良とした。
<はんだ耐熱性>
両面銅張り積層板を50mm角の試験片を作製し、この試験片を288℃に温めたはんだ耐熱試験機に浮かべ、膨れ等の異常が確認されるまでの時間を測定した。評価は、「○分OK」は、○分まで膨れ等の異常がないことを示し、「○分NG」は、○分で膨れ等の異常が発生したことを示す。
両面銅張り積層板を50mm角の試験片を作製し、この試験片を288℃に温めたはんだ耐熱試験機に浮かべ、膨れ等の異常が確認されるまでの時間を測定した。評価は、「○分OK」は、○分まで膨れ等の異常がないことを示し、「○分NG」は、○分で膨れ等の異常が発生したことを示す。
<ガラス転移点(Tg)>
ガラス転移点(Tg)は、TMA(熱機械分析装置)(マックサイエンス株式会社製TMA−4000)を用いて昇温速度5℃/minの条件で測定を行った。昇温、降温を2回繰り返し、2回目の昇温の熱膨張曲線の屈曲点の温度をTgと定義した。
ガラス転移点(Tg)は、TMA(熱機械分析装置)(マックサイエンス株式会社製TMA−4000)を用いて昇温速度5℃/minの条件で測定を行った。昇温、降温を2回繰り返し、2回目の昇温の熱膨張曲線の屈曲点の温度をTgと定義した。
[製造例1〜5]
<製造例1>
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:エピクロン N−673−70M)を143g(樹脂固形分:70質量%(100g))、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、下記化学式(1)と(15)とで示されるリン含有フェノール樹脂(ダウケミカルカンパニー製、商品名:XZ−92741)を30g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトン(MEK)を100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.6質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
<製造例1>
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:エピクロン N−673−70M)を143g(樹脂固形分:70質量%(100g))、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、下記化学式(1)と(15)とで示されるリン含有フェノール樹脂(ダウケミカルカンパニー製、商品名:XZ−92741)を30g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトン(MEK)を100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.6質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
(式(15)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。)
<製造例2>
1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を使用せず、フィラーを添加しないこと以外は、製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を使用せず、フィラーを添加しないこと以外は、製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
<製造例3>
フィラーとして、CL303の代わりに水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、商品名:HP−360)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
フィラーとして、CL303の代わりに水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、商品名:HP−360)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
<製造例4>
フィラーとして、CL303の代わりにベーマイト(河合石灰工業株式会社製、商品名:BMT)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
フィラーとして、CL303の代わりにベーマイト(河合石灰工業株式会社製、商品名:BMT)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
<製造例5>
フィラーとして、CL303の代わりに破砕シリカ(福島窯業株式会社製、商品名:F05−30)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
フィラーとして、CL303の代わりに破砕シリカ(福島窯業株式会社製、商品名:F05−30)を添加したこと以外は製造例1と同様の手順でエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
[製造例6〜8]
製造例6〜8では、リン含有硬化剤を合成し、合成したリン含有硬化剤を用いてエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。なお、リン含有硬化剤の180℃における溶融粘度及び軟化点は、以下の条件にて測定した。
180℃における溶融粘度:測定温度180℃において、ASTM D4287に準拠して、ICI/コーンプレート粘度計を用いて測定される粘度
軟化点:JIS K7234に準拠して、B&R法により測定される温度
製造例6〜8では、リン含有硬化剤を合成し、合成したリン含有硬化剤を用いてエポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。なお、リン含有硬化剤の180℃における溶融粘度及び軟化点は、以下の条件にて測定した。
180℃における溶融粘度:測定温度180℃において、ASTM D4287に準拠して、ICI/コーンプレート粘度計を用いて測定される粘度
軟化点:JIS K7234に準拠して、B&R法により測定される温度
<製造例6>
(リン含有硬化剤の合成)
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌機を取り付けたフラスコにフェノールノボラック樹脂192.4g(1.85モル)と、p−アニスアルデヒド68.0g(0.50モル)と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(以下 HCAと略)108.0g(0.50モル)とを仕込み、180℃まで昇温し、180℃で8時間反応させた。
次いで、加熱減圧下で水を除去し、下記化学式(8)で表される構造単位Aと化学式(9)で表される構造単位Bとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Xという)355gを得た。リン含有硬化剤Xの軟化点を上述の方法で測定したところ、125℃であった。また、180℃における溶融粘度は、13dPa・sであった。また、水酸基当量は、190g/eq、リン含有量4.2質量%であった。
(リン含有硬化剤の合成)
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌機を取り付けたフラスコにフェノールノボラック樹脂192.4g(1.85モル)と、p−アニスアルデヒド68.0g(0.50モル)と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(以下 HCAと略)108.0g(0.50モル)とを仕込み、180℃まで昇温し、180℃で8時間反応させた。
次いで、加熱減圧下で水を除去し、下記化学式(8)で表される構造単位Aと化学式(9)で表される構造単位Bとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Xという)355gを得た。リン含有硬化剤Xの軟化点を上述の方法で測定したところ、125℃であった。また、180℃における溶融粘度は、13dPa・sであった。また、水酸基当量は、190g/eq、リン含有量4.2質量%であった。
(エポキシ樹脂組成物ワニスの作製)
続いて、リン含有硬化剤Xをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を20g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Xを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.4質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
続いて、リン含有硬化剤Xをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を20g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Xを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.4質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
<製造例7>
(リン含有硬化剤の合成)
製造例6において使用したフェノールノボラック樹脂の代わりに、ビスフェノールAノボラック樹脂330.4g(2.80モル)を使用した以外は、製造例6と同様にして反応を行った。下記化学式(10)で表される構造単位Cと化学式(11)で表される構造単位Dとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Yという)490gを得た。リン含有硬化剤Yの軟化点は、139℃(B&R法)であった。また、リン含有硬化剤Yの溶融粘度は、65dPa・sであった。また、水酸基当量は、232g/eq、リン含有量3.1質量%であった。
(リン含有硬化剤の合成)
製造例6において使用したフェノールノボラック樹脂の代わりに、ビスフェノールAノボラック樹脂330.4g(2.80モル)を使用した以外は、製造例6と同様にして反応を行った。下記化学式(10)で表される構造単位Cと化学式(11)で表される構造単位Dとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Yという)490gを得た。リン含有硬化剤Yの軟化点は、139℃(B&R法)であった。また、リン含有硬化剤Yの溶融粘度は、65dPa・sであった。また、水酸基当量は、232g/eq、リン含有量3.1質量%であった。
(エポキシ樹脂組成物ワニスの作製)
続いて、リン含有硬化剤Yをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を25g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Yを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.3質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
続いて、リン含有硬化剤Yをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を25g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Yを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.3質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
<製造例8>
(リン含有硬化剤の合成)
製造例6において使用したフェノールノボラック樹脂の代わりに、フェノールアラルキル樹脂392.9g(2.35モル)を使用した以外は、製造例6と同様にして反応を行った。下記化学式(12)で表される構造単位Eと化学式(13)で表される構造単位Fとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Zという)550gを得た。リン含有硬化剤Zの軟化点は、102℃(B&R法)であった。また、リン含有硬化剤Zの溶融粘度は、2.5dPa・sであった。また、水酸基当量は、232g/eq、リン含有量2.7質量%であった。
(リン含有硬化剤の合成)
製造例6において使用したフェノールノボラック樹脂の代わりに、フェノールアラルキル樹脂392.9g(2.35モル)を使用した以外は、製造例6と同様にして反応を行った。下記化学式(12)で表される構造単位Eと化学式(13)で表される構造単位Fとを有するフェノール樹脂(リン含有硬化剤Zという)550gを得た。リン含有硬化剤Zの軟化点は、102℃(B&R法)であった。また、リン含有硬化剤Zの溶融粘度は、2.5dPa・sであった。また、水酸基当量は、232g/eq、リン含有量2.7質量%であった。
(エポキシ樹脂組成物ワニスの作製)
続いて、リン含有硬化剤Zをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を25g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Zを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.3質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
続いて、リン含有硬化剤Zをリン含有硬化剤として用いて、エポキシ樹脂組成物ワニスを作製した。
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社、商品名:N−673−70M)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェライト KA−1163)を25g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン含有硬化剤として、リン含有硬化剤Zを60g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を20g、メチルエチルケトン(MEK)を80g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL303)30gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.3質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
[比較製造例1〜3]
(比較製造例1)
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:エピクロン N−673−70M)を143g(樹脂固形分:70質量%(100g))、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を40g、メチルエチルケトンを100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.4質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
(比較製造例1)
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:エピクロン N−673−70M)を143g(樹脂固形分:70質量%(100g))、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を40g、メチルエチルケトンを100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.4質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
(比較製造例2)
エポキシ樹脂として、リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:FX−298)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトンを100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.5質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
エポキシ樹脂として、リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:FX−298)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を35g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトンを100g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.5質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
(比較製造例3)
エポキシ樹脂として、リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:FX−298)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を20g、及びジシアンジアミド(DICY)を5g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトンを70g、ジメチルホルムアミド(DMF)を30g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.5質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
エポキシ樹脂として、リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:FX−298)を100g、硬化剤として、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライト KA−1163)を20g、及びジシアンジアミド(DICY)を5g、2−フェニルイミダゾールを0.2g、リン化合物として、1,3−フェニレン−ビス−(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学工業株式会社製、商品名:PX200)を5g、メチルエチルケトンを70g、ジメチルホルムアミド(DMF)を30g配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した。この後、フィラーとして、水酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、商品名:CL−303)40gをメチルエチルケトンのスラリーとして加え、更に1時間撹拌した。これにより、リン含有量を1.5質量%としたエポキシ樹脂組成物ワニスが得られた。
表1に製造例1〜5、比較製造例1〜3のエポキシ樹脂組成物ワニスの配合表を示す。表2に製造例6〜8のエポキシ樹脂ワニスの配合表を示す。
[プリプレグ及び銅張り積層板の作製]
<実施例1〜5>
製造例1〜5で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを厚さ:0.2mmのガラス布(旭シュエーベル株式会社製、商品名:7629)に含浸後、120℃、20分間加熱、乾燥しプリプレグを得た。
プリプレグの両側に、厚さ:18μmの電解銅箔:F2−WS−18(古河電気工業株式会社製、商品名)を接着面がプリプレグと合わさるように重ね、180℃、30分間、4MPaの真空プレス条件で両面銅張り積層板を作製した。
<実施例6〜8>
製造例6〜8で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを用いて、上述と同様の方法によりプリプレグを得た。また、両面銅張り積層板を作製した。
<比較例1〜3>
比較製造例1〜3で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを用いて、上述と同様の方法によりプリプレグを得た。また、両面銅張り積層板を作製した。
<実施例1〜5>
製造例1〜5で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを厚さ:0.2mmのガラス布(旭シュエーベル株式会社製、商品名:7629)に含浸後、120℃、20分間加熱、乾燥しプリプレグを得た。
プリプレグの両側に、厚さ:18μmの電解銅箔:F2−WS−18(古河電気工業株式会社製、商品名)を接着面がプリプレグと合わさるように重ね、180℃、30分間、4MPaの真空プレス条件で両面銅張り積層板を作製した。
<実施例6〜8>
製造例6〜8で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを用いて、上述と同様の方法によりプリプレグを得た。また、両面銅張り積層板を作製した。
<比較例1〜3>
比較製造例1〜3で作製したエポキシ樹脂組成物ワニスを用いて、上述と同様の方法によりプリプレグを得た。また、両面銅張り積層板を作製した。
[結果]
上記方法にて得られた結果を表3に示した。
上記方法にて得られた結果を表3に示した。
上記化学式(1)で示されるリン含有硬化剤を用いた実施例1〜8の積層板は、難燃性を有し、耐熱性が高く、また、Tgが高いことが判った。また、従来の潜在性硬化剤であるジシアンジアミド(DICY)を用いた比較例3と比較して、実施例1〜8の積層板は、十分な反応性を示す。また、はんだ耐熱性に優れ、Tgも高く耐熱性に優れることが判った。
実施例1〜8では、従来の硬化剤であるジシアンジアミド(DICY)を用いた場合と比べて、ジシアンジアミド(DICY)を溶解させるために、沸点が高く吸湿性のあるジメチルホルムアミド(DMF)を用いなくても、リン含有硬化剤を汎用溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)に溶解させることができる。一方、上記化学式(1)で示されるリン含有硬化剤を用いない比較例1〜3は、はんだ耐熱性に劣り、Tgが低く耐熱性に劣る。
実施例1〜8では、従来の硬化剤であるジシアンジアミド(DICY)を用いた場合と比べて、ジシアンジアミド(DICY)を溶解させるために、沸点が高く吸湿性のあるジメチルホルムアミド(DMF)を用いなくても、リン含有硬化剤を汎用溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)に溶解させることができる。一方、上記化学式(1)で示されるリン含有硬化剤を用いない比較例1〜3は、はんだ耐熱性に劣り、Tgが低く耐熱性に劣る。
Claims (7)
- (A)リン含有硬化剤と、(B)エポキシ樹脂とを含有し、
該(A)リン含有硬化剤は、下記化学式(1)で示されるリン化合物であり、
化学式(1)におけるRで示される有機基が、フェノール性水酸基を2個以上有し、該有機基の分子量が190以上であるエポキシ樹脂組成物。
- 化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記の構造単位を有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
(上記構造単位において*1はそれぞれ炭素原子に結合する。) - 化学式(1)におけるRで示される有機基が、下記化学式(3)及び(4)から選択される構造の1種又は2種以上を有し、フェノール性水酸基を2個以上有する、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式(3)、(4)における*は、化学式(1)のリン原子に直接結合する部位であることを示す。)
(式(3)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RAは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。)
(式(4)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜4のアルキル基である。nは芳香環におけるOR2基の数であり、1〜3のいずれかである。また、RBは、フェノール性水酸基を2個以上有する有機基である。) - 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を支持体に積層してなる支持体付き樹脂フィルム。
- 請求項4に記載のプリプレグの一方もしくは両方の面、又は請求項5に記載の支持体付き樹脂フィルムの一方もしくは両方の面に金属箔を配してなる金属箔張り積層板。
- 請求項4に記載のプリプレグよりなる層、請求項5に記載の支持体付き樹脂フィルムの樹脂フィルムよりなる層、及び請求項6に記載の金属箔張り積層板よりなる層を1層又は2層以上含む多層プリント配線板。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010124326 | 2010-05-31 | ||
JP2010124326 | 2010-05-31 |
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