JP2016103934A - モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法 - Google Patents
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モータの回転制御は、PWM信号のデューティ比を変化させることで行われる。しかしモータの起動時には、起動の回転トルクを確保するために、PWM信号のデューティ比を大きくする必要がある。
例えば、特許文献1の解決手段には、「PWMコントロール部102は、回路動作開始後にPWM入力信号が所定数検出された時点からモータ駆動部104に対して、PWM入力信号に基づくPWM制御を禁止し、モータ105を100%のディーティで駆動開始せしめるPWM信号を出力する一方、モータ1−5の駆動開始後に、ホール信号が所定回数検出された時点以後は、PWM入力信号に相当する信号を出力し、モータ駆動部104にモータ105のPWM制御を実行せしめる」と記載されている。
このような起動補助機能を有するモータドライバICは、起動後、ホール信号の出力をもとに、起動補助機能の解除条件を満たすまで(例えば、1回転したと認識するまで)、PWM信号を所定のオンデューティに固定している。
すなわち、モータは、長期使用により静止摩擦力が増加する。例えば、ベアリングの損傷、油やほこりの堆積により起動が重くなるなどである。しかし、起動補助機能を有するモータ駆動制御装置は、起動補助機能により所定の大きさのデューティ比のPWM信号が与えられて起動してしまうので、モータの劣化を早期に検知できないという問題がある。
所定のデューティ比(例えば、オンデューティ50[%])でモータが起動できなかった場合、モータの劣化がかなり進んでいることが考えられる。よって、劣化が進んでいない段階でできる限り早めに検知して交換したいというニーズに応えられない。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるモータ駆動制御装置1の回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、モータ駆動制御装置1は、モータ20を駆動するためのモータ駆動部2と、モータ駆動部2を制御するための上位部である制御回路部3と、モータ20のロータの位置を検出するホール素子4と、ホール素子4の出力を反転させる反転回路5とを備えている。モータ20は、例えば単相のブラシレスモータであり、電機子コイルの通電により、ロータを回転駆動する。
VCC端子は電源Vccに接続されて、電源電圧が印加される。GND端子はグランドに接続される。これにより、モータドライバICに電力が供給される。
HB端子は、ホール素子4に電圧を印加する端子である。IN1端子とIN2端子とは、ホール素子4の信号が入力される端子である。以下、ホール素子4の信号のことを、ホール素子信号と記載する。
PWM端子は、制御回路部3に接続されて、制御回路部3からモータ20の回転指令信号が入力される。OUT1端子とOUT2端子は、モータ20に接続される。OUT1端子とOUT2端子は、モータ20の不図示のコイルに電流を流して、このモータ20を駆動する。
FG端子は、制御回路部3に接続されている。FG端子から、このモータ20のFG(Frequency Generator)信号が出力される。
また、モータ駆動部2は、モータ20の起動後の所定時間に亘り、モータ20に通電するPWM信号を所定のデューティ比とする起動補助機能を有する。
制御回路部3は、モータ20を回転駆動する駆動制御モードにおいて、PWMOUT端子からモータ駆動部2にPWM信号(PWMOUT信号)を出力し、PIN端子を介してモータ駆動部2からFG信号を取り込む。制御回路部3は更に、KT端子を有し、このKT端子からKT信号を反転回路5に出力して反転回路5を制御し、所望のホール素子信号をモータ駆動部2に出力させる。具体的には、制御回路部3は、モータ20の起動時に、反転回路5によりホール素子信号を繰り返し所定回数以上反転させることにより、起動補助機能を解除する(起動補助機能のキャンセル)。なお、KT信号とは、ホール素子信号の極性を強制的に反転させるために、制御回路部3から反転回路5に出力される制御信号である。
制御回路部3は更に、反転回路5によってホール素子信号を反転させることにより、モータ駆動部2により駆動されるモータ20の回転方向を制御する(第2の実施形態で説明するモータ20の逆転駆動)。
なお、制御回路部3は、入力ポート数が少ない廉価なマイクロコンピュータを使用(採用)することができる。
H1端子は、反転回路5のトランジスタQ2のコレクタに接続され、抵抗R2を介してモータ駆動部2のHB端子に接続される。
H3端子は、反転回路5のトランジスタQ1のコレクタに接続され、抵抗R1を介してモータ駆動部2のHB端子にそれぞれ接続される。
H2端子は、モータ駆動部2のIN1端子に接続される。H4端子は、モータ駆動部2のIN2端子に接続される。これにより、ホール素子4は、ホール素子信号をモータ駆動部2に出力することができる。
トランジスタQ1は、コレクタがホール素子4のH3端子に接続されにと共に、抵抗R1を介してモータ駆動部2のHB端子に接続され、エミッタがグランドに接続される。また、トランジスタQ1は、ベース(制御端子)が、抵抗R4を介してグランドに接続されると共に、抵抗R3を介してトランジスタQ2のコレクタに接続される。
トランジスタQ2は、コレクタがホール素子4のH1端子に接続されると共に、抵抗R2を介してモータ駆動部2のHB端子に接続され、エミッタがグランドに接続される。トランジスタQ2は、トランジスタQ2は、ベース(制御端子)が抵抗R5を介して制御回路部3のKT端子に接続されると共に、抵抗R6を介してグランドに接続されている。
トランジスタQ1がオンすることにより、トランジスタQ2はオフする。また、トランジスタQ1がオフすることにより、トランジスタQ2はオンする。このようなトランジスタQ1,Q2のスイッチングによって、ホール素子4のH1端子とH3端子との間に印加される電圧が反転する。
制御回路部3からのKT信号がHighレベルならば、反転回路5は、トランジスタQ2がオンする。このトランジスタQ2のコレクタ電圧の低下に伴い、トランジスタQ1がオフする。
このとき、ホール素子4のH1端子は、トランジスタQ2のオンによりLowレベルとなり、グランドの電圧が印加される。H3端子には、HB端子の電圧が印加される。このとき、ホール素子4のH3端子とH1端子の電圧は通常時の極性である。
ホール素子4のH3端子は、トランジスタQ1のオンにより、Lowレベルとなる。H1端子には、HB端子の電圧が印加される。ホール素子4のH3端子とH1端子の電圧の極性は通常時とは反転する。
まず、モータ駆動部2の起動補助機能について説明する。
図2(a),(b)は、モータ駆動部2の起動補助機能とその起動補助機能の解除機能を説明する電源電流(図1における電源Vccの電流波形)の波形図である。
図2(a)は、比較例の起動補助機能を示す図である。
従来のモータ駆動制御装置では、制御回路部は、起動補助機能の動作後、所定期間に亘って上位装置から指示されたデューティ比(例えばDuty=30[%])のPWMOUT信号をモータ駆動部に出力する。しかし、起動補助機能によってモータが既に起動されているので、モータの劣化を検知できなくなっている。
図2(b)に示すように、本実施形態では起動補助機能が解除されている。
モータ駆動制御装置1においては、制御回路部3は、起動直後から、所定期間に亘って上位装置から指示されたデューティ比(例えばDuty=20[%])のPWMOUT信号をモータ駆動部2に出力する。これにより、モータ20の劣化を容易に検知できる。
本実施形態は、モータ駆動部2をモータドライバICで構成しつつ、起動補助機能を解除する。
モータ駆動制御装置1(図1参照)は、ホール素子4の出力を反転させる反転回路5と、反転回路5を制御して、所望のホール素子信号をモータ駆動部2に出力させる制御回路部3とを備える。
反転回路5は、制御回路部3からのKT信号がHighレベルならば、ホール素子4の極性をそのままにし、制御回路部3からのKT信号がLowレベルならば、ホール素子4の極性を反転させる。
ここで、起動補助機能は、ホール素子4のホール出力のHigh/Lowのレベル切り替えが所定回数となることで終了するようになっているので、High/Lowのレベル切り替えを強制的に繰り返すようにすることで、起動補助機能を解除する条件を満たすことができる。
制御回路部3(図1参照)は、電源ONにより起動すると、ステップS1の処理に遷移する。
ステップS1において、制御回路部3(図1参照)は、KT端子から反転回路5に、16[kHz]でOnDuty(以下、Dutyと記載)=50[%]のPWM信号であるKT信号の出力を開始する。制御回路部3は更に、PWMOUT端子からモータ駆動部2に、Duty=5[%]のPWMOUT信号をモータ20への速度指示を入力する。
なお、モータ20へ速度指示として、Duty=0[%]を入力すると、起動補助が開始しない。そこで、最小限の起動補助を開始させるべくDuty=5[%]のPWM信号としている。この起動補助は、KT信号を受けた反転回路5によりホール素子4の印加電圧の極性を繰り返し反転させて、ホール素子信号を生成させることによりキャンセルされる。
このステップS1〜ステップS3は、モータ駆動部2にモータ20が駆動していると認識させて起動補助機能を解除する「補助機能解除ステップ」に対応する。
ステップS4で任意のデューティを設定する「起動後任意デューティ設定ステップ」に移行する。ステップS4において、制御回路部3は、PWMOUT端子からモータ駆動部2にモータ20への速度指示(Duty=20[%])のPWMOUT信号を入力する。
このように、起動補助機能解除制御フローを起動開始時に実行することで、モータ駆動部2(モータドライバIC)の起動補助機能の解除が可能となる。
時刻t1以前、KT信号とPWMOUT信号はLowレベルである。
図4(a)に示すように、時刻t1から時刻t2まで、KT信号は、16[kHz]でDuty=50[%]のPWM信号となる。また、図4(b)に示すように、時刻t1から時刻t2まで、PWMOUT信号は、Duty=5[%]のPWM信号となる。ここで、時刻t1は、ステップS1の処理タイミングに相当する。時刻t1から時刻t2までは、ステップS2の処理期間に相当する。
図4(a)に示すように、時刻t2以降、KT信号はHighレベルを維持する。この時刻t2は、ステップS3の処理タイミングに相当する。
図4(b)に示すように、時刻t3以降、PWMOUT信号は、Duty=20[%]のPWM信号となる。時刻t3以降は、ステップS4の処理タイミングに相当する。
第2の実施形態では、ホール素子4の極性の切り替えをモータ20の回転制御に用いる例である。これにより、モータドライバICが逆転機能を有していない場合でも、モータ20の逆転制御が可能となる。
図5(a)は、その正転制御のタイミングチャートである。
制御回路部3は、正転制御ならば、図5(a)に示すように、KT端子から反転回路5にHighレベルに固定のKT信号を出力する。反転回路5は、制御回路部3からのKT信号がHighレベルであるので、ホール素子4の極性はそのまま(通常接続時)である。
モータ駆動部2は、ホール素子4からの出力信号に基づいてロータ位置を検出し、検出したロータの位置に基づいて、モータ20の各相に通電する通電パターンを設定し、ロータの回転を制御する。
図5(a)に示すように、モータ駆動部2のモータドライバ動作による通電パターン「S」「N」は、ロータ位置「S」「N」と一致する。通電パターン「S」「N」とロータ位置「S」「N」とが一致することで、正転制御となる。
制御回路部3は、逆転制御ならば、図5(b)に示すように、KT端子から反転回路5にLowレベルに固定されたKT信号を出力する。反転回路5は、制御回路部3からのKT信号がHighレベルであるので、ホール素子4の極性は逆になる。
図5(b)に示すように、ホール素子4の極性が逆に切り替えられているので、ロータ位置「S」「N」に対するモータ駆動部2による通電パターン「S」「N」は逆となる。すなわち、ロータ位置「S」「N」に対して、モータ駆動部2による通電パターンは、「N」「S」となる。ロータ位置「S」「N」に対して通電パターン「N」「S」が反転していることで、逆転制御となる。
第3の実施形態では、ホール素子4の極性の切り替えをモータ20の進角制御に用いる例である。
一般に、モータトルクを最大限に引き出すために、電機子コイルにおける誘起電圧とモータ電流の位相とを合わせる、いわゆる進角制御が行われている。
第3の実施形態におけるモータ駆動制御装置1は、第1の実施形態のモータ駆動制御装置1(図1参照)と同様に構成されている。制御回路部3は、FG信号を基に進角開始/終了のタイミングを計時するタイマを備え、当該タイマに従ってホール素子4の極性を切り替えて進角制御を行う。
図6に示すように、制御回路部3(図1参照)には、モータ20の回転によって生じるFG信号が入力される。このFG信号は、ロータ位置「S」「N」に対応している。
制御回路部3は、FG信号の立ち上がりに同期して、進角制御を開始するタイミング(図6の期間T3参照)を計時する。なお、期間T1はFG信号がLowレベルの期間である。期間T2は進角制御期間である。期間T3は、期間T1から期間T2を減算して求められる期間である。
反転回路5は、KT信号がHighレベルのとき、ホール素子4の電圧極性を通常時と同一とする。反転回路5は、KT信号がLowレベルに変化すると、ホール素子4の電圧極性を切り替えて、ホール素子4の出力の極性を反転させる。これにより、通電パターン「S」「N」は、ロータ位置「S」「N」よりも進角される。
モータ駆動部2は、このようなホール素子信号に基づき、進角された通電パターンを設定し、ロータの回転を制御する。なお、この進角制御では、ホール素子4の極性を切り替えているが、ロータ位置「S」「N」に対して通電パターン「S」「N」を逆にしているものではなく、通電パターン「S」「N」をロータ位置「S」「N」よりも進角させているだけである。このため、モータ20は正転制御となる。
このように、本実施形態では、モータドライバICを変更することなく、制御回路部3が任意のタイミングでKT信号を制御することで、ホール素子4の出力の極性を制御し、よって進角制御を可能としている。よって、モータドライバICの機能に制約されずにモータを制御可能となる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(h)のようなものがある。
(a) モータ駆動制御装置1の各構成要素は、少なくともその一部がハードウェアによる処理ではなく、ソフトウェアによる処理であってもよい。
(b) モータ駆動制御装置1は、少なくともその一部を集積回路としてもよい。
(c) モータ20は、単相のブラシレスモータに限定されず、他の種類のモータであってもよい。
(d) モータ20の相数は限定されない。
(f) 図1に示した反転回路5のスイッチ素子は、バイポーラトランジスタに限定されない。例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)あってもよい。
(g) 図3に示したフローチャートは一例であり、これに限定されない。例えば、各ステップ間に他の処理が実行されてもよい。また、KT信号およびPWMOUT信号の周波数およびDutyも本実施形態に限定されるものではなく、適宜、適切な値に設定できる。
(h) 図4に示したタイミングチャートは一例であって、これに限定されない。たとえば、本図では、PWMOUT信号がポジティブの場合を示しているが、ポジティブに限定されない。
(i) 図6に示した進角制御を模式的に示すタイミングチャートは一例であって、これに限定されない。例えば、期間T1のFG信号は、Lowレベルではなく、Highレベルの信号であってもよい。
(j) モータ駆動制御装置1は、ホール素子の極性を制御して、遅角制御をしてもよい。
2 モータ駆動部
3 制御回路部
4 ホール素子(磁気センサ)
5 反転回路
20 モータ
Q1,Q2 スイッチ素子
Claims (6)
- ロータの位置を検出する磁気センサ信号を出力する磁気センサと、
前記磁気センサ信号に基づく所定パターンの駆動制御信号をモータに通電して駆動させるモータ駆動部と、
前記磁気センサの出力を反転させる反転回路と、
前記反転回路を制御して、所望の前記磁気センサ信号を前記モータ駆動部に出力させる制御回路と、
を備えることを特徴とするモータ駆動制御装置。 - 前記磁気センサは、正負極性を有するホール素子であり、
前記反転回路は、前記ホール素子の極性を切り替えて前記磁気センサの出力を反転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記モータ駆動部は、前記モータの起動後の所定時間に亘り、前記モータに通電するPWM信号を所定のデューティ比とする起動補助機能を有し、
前記制御回路は、モータ起動時に、前記反転回路により前記磁気センサ信号を繰り返し所定回数以上反転させることにより、前記起動補助機能を制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記制御回路は、前記反転回路によって前記磁気センサ信号を反転させることにより、前記モータ駆動部により駆動される前記モータの回転方向を制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ駆動制御装置。 - 前記制御回路は、前記反転回路によって前記磁気センサ信号の反転タイミングを調整することにより、進角制御を行う、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ駆動制御装置。 - ロータの位置を検出する磁気センサ信号を出力する磁気センサと、
前記磁気センサ信号に基づく所定パターンの駆動制御信号をモータに通電して駆動させるモータ駆動部と、
前記磁気センサの出力を反転させる反転回路と、
前記反転回路を制御して、所望の前記磁気センサ信号を前記モータ駆動部に出力させる制御回路と、を備えるモータ駆動制御装置が実行するモータ駆動制御方法であって、
モータ起動時において前記制御回路は、
前記反転回路にパルス信号を出力して前記磁気センサ信号の反転を開始するステップと、
前記磁気センサ信号の反転を所定回数以上繰り返すステップと、
前記磁気センサ信号の反転を停止するステップと、
前記モータ駆動部に所定のデューティのPWM信号を出力するステップと、
を実行することを特徴とするモータ駆動制御方法。
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