JP2016102480A - ターボ式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】インペラの回転によって生じるスラスト力を好適に受けることができるターボ式圧縮機を提供すること。【解決手段】ターボ式圧縮機10は、ハウジング11と、回転軸12の先端側の部位である先端部12bに連結されたインペラ14,15と、回転軸12を回転させる電動モータ13とを備え、インペラ14,15の回転によって流体を圧縮して吐出室32,42に吐出するものである。ターボ式圧縮機10は、回転軸12を支持するものであって、回転軸12の外周面12fと対向する第1ラジアル軸支面を有する第1ラジアル動圧軸受81を備えている。回転軸12の外周面12fにおける第1ラジアル軸支面と対向する第1対向領域101には規制溝102が形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ターボ式圧縮機に関する。
従来から、ターボ式圧縮機は、回転軸及び回転軸に連結されたインペラを備え、インペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。また、特許文献1には、ターボ式圧縮機は、インペラの回転によって生じるスラスト力を受けるスラスト軸受を備えている。
ここで、例えばターボ式圧縮機がスラスト軸受を有している構成において、スラスト力が大きくなると、その大きなスラスト力を受けるためにスラスト軸受が大型なものとなり易い。すると、ターボ式圧縮機の大型化が懸念される。特に、スラスト力はインペラの回転数が高くなるに従って大きくなるため、インペラの回転数を高くしようとすると上記問題が発生し易い。以上のことから、上記スラスト力を受けるための構成については未だ改善の余地がある。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的はインペラの回転によって生じるスラスト力を好適に受けることができるターボ式圧縮機を提供することである。
上記目的を達成するターボ式圧縮機は、一端と他端とを有する回転軸の前記一端側に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するものであって、前記回転軸を支持するものであって、前記回転軸の外周面と対向するラジアル軸支面を有するラジアル動圧軸受と、前記インペラが回転することによって生じた前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうスラスト力に対する抗力が前記回転軸に付与されるように構成された抗力付与室と、前記ラジアル動圧軸受を介して連通している室であって前記抗力付与室よりも低圧に構成された低圧室とを有するハウジングと、を備え、前記回転軸の外周面における前記ラジアル軸支面と対向する対向領域には、前記抗力付与室から前記低圧室に向かう流体の流れを規制するように構成された規制溝が形成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、抗力付与室と低圧室との圧力差によってスラスト力に対する抗力が発生し、当該抗力が回転軸に付与されるようになっている。これにより、スラスト力を受けることができる。この場合、ラジアル動圧軸受を介して抗力付与室と低圧室とが連通している関係上、ラジアル動圧軸受を介して抗力付与室から低圧室に向けて流体が流れてしまい、その結果、上記圧力差が小さくなって、抗力が小さくなる不都合が懸念される。これに対して、本構成によれば、規制溝によって、抗力付与室から低圧室に向かう流体の流れが規制される。これにより、ラジアル動圧軸受におけるシール性を高めることができる。よって、上記不都合を抑制することができ、それを通じてスラスト力を好適に受けることができる。
上記ターボ式圧縮機について、前記抗力付与室は、前記ラジアル動圧軸受よりも前記インペラとは反対側に配置されており、前記規制溝は、前記回転軸が回転した場合に、前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かう流れを誘起させるものであるとよい。かかる構成によれば、回転軸が回転した場合、規制溝によって、抗力付与室から低圧室に向かう流体の流れとは反対方向の流れが誘起されるため、抗力付与室から低圧室への流体の流入を規制できる。また、ラジアル軸支面と対向領域との間にて、互いに方向が逆の流体が衝突することにより、動圧が発生する。よって、抗力付与室から低圧室への流体の流入を抑制しつつ、好適に回転軸を非接触で支持できる。
上記ターボ式圧縮機について、前記規制溝は、前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうに従って、前記回転軸の回転方向とは反対方向に傾斜した螺旋形状であり、前記規制溝は、前記回転軸の周方向に複数配列されているとよい。かかる構成によれば、上記のように構成された複数の規制溝を採用することにより、抗力付与室から低圧室への流体の流入の規制と、非接触での回転軸の支持とを行うために必要な流体の流れを、誘起させることができる。
上記ターボ式圧縮機について、前記ラジアル動圧軸受は第1ラジアル動圧軸受であり、前記対向領域は第1対向領域であり、前記ターボ式圧縮機は、前記第1ラジアル動圧軸受とは別に設けられ、前記回転軸の外周面と対向する第2ラジアル軸支面を有する第2ラジアル動圧軸受を備え、前記第2ラジアル動圧軸受は、前記第1ラジアル動圧軸受よりも前記抗力付与室から離れた位置に配置されており、前記回転軸の外周面における前記第2ラジアル軸支面と対向する第2対向領域には、ヘリングボーン形状の溝が形成されているとよい。かかる構成によれば、回転軸が回転すると、ヘリングボーン形状の溝によって、第2ラジアル軸支面と第2対向領域との間に動圧が発生し、当該動圧によって回転軸が非接触で支持される。
特に、第2ラジアル動圧軸受は、第1ラジアル動圧軸受よりも抗力付与室から離れた位置に配置されているため、当該第2ラジアル動圧軸受においては、抗力付与室から低圧室へ向かう流体の影響を受けにくい。これに対して、本構成によれば、互いに逆方向の流れを積極的に誘起させることができるヘリングボーン形状の溝を採用することにより、好適に回転軸を非接触で支持することができる。
上記ターボ式圧縮機について、前記低圧室内には、前記スラスト力を受けるスラスト軸受が設けられているとよい。かかる構成によれば、スラスト軸受と、抗力付与室及び低圧室間の圧力差によって生じる抗力とによって、スラスト力を受けることができる。この場合、上記抗力が存在する分だけ、スラスト軸受の受圧が軽減されるため、スラスト軸受のみでスラスト力を受ける構成と比較して、スラスト軸受の小型化を図ることができる。
また、本構成によれば、抗力付与室と比較して低圧の低圧室内にスラスト軸受が配置されているため、スラスト軸受が抗力付与室に配置されている場合と比較して、スラスト軸受における損失を低減することができる。これにより、スラスト軸受を設けることによる損失の増大を抑制できる。
上記ターボ式圧縮機について、前記ラジアル軸支面には、前記回転軸の周方向に沿って延びたリング溝が形成されているとよい。かかる構成によれば、リング溝がラビリンスシールとして機能するため、抗力付与室から低圧室への流体の流入を、より好適に抑制することができる。
上記ターボ式圧縮機について、前記低圧室は、前記回転軸を駆動させる電動モータが収容されたモータ室であり、前記ハウジングは、低圧流体を前記モータ室に吸入させるための低圧流体吸入口を有し、前記インペラは、第1インペラ及び第2インペラを有し、前記ハウジングには、前記第1インペラが収容された第1インペラ室と、前記第2インペラが収容されたものであって、前記モータ室の前記低圧流体が流入されるように前記モータ室と連通している第2インペラ室と、が区画されており、前記吐出室として、前記ハウジングに設けられた第1ディフューザ流路を介して前記第1インペラ室と連通している第1吐出室と、前記ハウジングに設けられた第2ディフューザ流路を介して前記第2インペラ室と連通している第2吐出室と、を有し、前記第1インペラにおける前記第1ディフューザ流路側の端面と、前記第2インペラにおける前記第2ディフューザ流路側の端面とが、互いに対向配置され、前記低圧流体が前記第2ディフューザ流路を通過することによって得られる前記第2吐出室の中間圧流体が前記第1インペラ室に供給され、前記中間圧流体が前記第1ディフューザ流路を通過することによって得られる前記第1吐出室の高圧流体の一部が、前記ハウジングに設けられたバイパス吸入口を介して前記抗力付与室に供給されるとよい。かかる構成によれば、抗力付与室には高圧流体が充填され、モータ室には低圧流体が充填される。これにより、抗力付与室及びモータ室間にて圧力差が生じ、スラスト力に対する抗力が発生する。特に、中間圧流体ではなく、高圧流体と低圧流体とを用いることにより、上記圧力差を大きくすることができる。
この発明によれば、インペラの回転によって生じるスラスト力を好適に受けることができる。
以下、ターボ式圧縮機の一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、ターボ式圧縮機は車両に搭載されている。ターボ式圧縮機は、例えば流体装置としての車両空調装置に用いられる。なお、図1等においては、図示の都合上、回転軸12については側面図で示し、図2においては、ドットハッチで圧力差を示す。
図1に示すように、ターボ式圧縮機10は、その外郭を構成するハウジング11を備えている。ハウジング11は、全体として例えば円筒形状である。
ターボ式圧縮機10は、回転軸12と、回転軸12を回転させる電動モータ13と、回転軸12に連結された2つのインペラ14,15とを備えている。回転軸12は、本体部12aと、本体部12aよりも縮径され、且つ、両インペラ14,15が連結された先端部12bと、本体部12aよりも先端部12bとは反対側に配置された基端部12cとを有している。基端部12cは、本体部12aと同一径である。
ターボ式圧縮機10は、回転軸12と、回転軸12を回転させる電動モータ13と、回転軸12に連結された2つのインペラ14,15とを備えている。回転軸12は、本体部12aと、本体部12aよりも縮径され、且つ、両インペラ14,15が連結された先端部12bと、本体部12aよりも先端部12bとは反対側に配置された基端部12cとを有している。基端部12cは、本体部12aと同一径である。
なお、回転軸12の先端部12b側(すなわち回転軸12の先端側)を単に前側ともいい、回転軸12の基端部12c側(すなわち回転軸12の基端側)を単に後側とも言う。回転軸12の先端部12b側とは、回転軸12においてインペラ14,15が設けられている側とも言え、回転軸12の基端部12c側とは、回転軸12においてインペラ14,15とは反対側とも言える。本実施形態では、先端部12bが「回転軸の一端」に対応し、回転軸12の先端側が「一端側」に対応する。また、基端部12cが「回転軸の他端」に対応し、回転軸12の基端側が「他端側」に対応する。
ハウジング11は、インペラ14,15が収容されたインペラ室21,22等が区画されたフロントハウジング20を備えている。フロントハウジング20は、3つのパーツ20a〜20cで構成されており、各パーツ20a〜20cは、中間パーツ20cを第1パーツ20a及び第2パーツ20bで挟持した状態でユニット化されている。この場合、第1インペラ室21は、第1パーツ20a及び中間パーツ20cによって区画されており、第2インペラ室22は、第2パーツ20b及び中間パーツ20cによって区画されている。両インペラ室21,22は、中間パーツ20cを介して回転軸12の軸線方向Zに対向配置されている。
なお、中間パーツ20cには、回転軸12の先端部12bが挿通可能な挿通孔20ccが形成されており、回転軸12の先端部12bは、挿通孔20ccを貫通した状態で配置されている。このため、回転軸12の先端部12bは、両インペラ室21,22に跨って配置されている。
フロントハウジング20(詳細には第1パーツ20a)には、流体(例えば冷媒)が吸入される第1吸入口30が形成されている。第1吸入口30は、回転軸12の軸線方向Zの両端面12d,12eのうち両インペラ14,15が連結されている側の端面12d(以降単に回転軸12の先端面12dという)と対向する位置に配置されている。そして、第1吸入口30と、第1インペラ14が収容されている第1インペラ室21とは、回転軸12の軸線方向Zに連通している。
図1に示すように、第1インペラ14は、その基端面14aから先端面14bに向けて徐々に縮径した略円錐台形状である。第1インペラ14は、その先端面14bが基端面14aよりも第1吸入口30側に配置された状態で回転軸12の先端部12bに連結されている。第1インペラ室21は、第1インペラ14の形状に対応させて形成されており、詳細には第1インペラ14よりも一回り大きい円錐台形状である。
フロントハウジング20には、第1インペラ室21の外周側に配置された第1ディフューザ流路31と、第1ディフューザ流路31と連通している第1吐出室32とが区画されている。第1ディフューザ流路31は、第1インペラ14を囲む環状(詳細には円環状)である。第1吐出室32は、第1ディフューザ流路31の外周側に配置されている。第1インペラ室21と第1吐出室32とは、第1ディフューザ流路31を介して連通している。第1吐出室32は、フロントハウジング20に形成された第1吐出口(図示略)と連通している。第1インペラ14の基端面14aは、第1インペラ14における第1ディフューザ流路31側の端面である。
第2インペラ15は、第1インペラ14と同様に、その基端面15aから先端面15bに向けて徐々に縮径した略円錐台形状である。本実施形態では、第2インペラ15は、第1インペラ14よりも一回り小さく形成されており、詳細には、第2インペラ15の基端面15aの径は、第1インペラ14の基端面14aの径よりも短く設定されている。第2インペラ15は、その基端面15aが第1インペラ14の基端面14aと対向するように配置された状態で回転軸12の先端部12bに連結されている。すなわち、両インペラ14,15は、互いに基端面14a,15a同士が対向するように配置されている。
第2インペラ室22は、第2インペラ15に対応させて形成されており、詳細には第2インペラ15よりも一回り大きい円錐台形状である。
フロントハウジング20には、第2インペラ室22の外周側に配置された環状の第2ディフューザ流路41と、第2ディフューザ流路41よりも外周側に設けられているものであって第2ディフューザ流路41と連通している第2吐出室42とが区画されている。第2インペラ室22と第2吐出室42とは、第2ディフューザ流路41を介して連通している。第2吐出室42は、フロントハウジング20に形成された第2吐出口(図示略)と連通している。第2インペラ15の基端面15aは、第2インペラ15における第2ディフューザ流路41側の端面である。
フロントハウジング20には、第2インペラ室22の外周側に配置された環状の第2ディフューザ流路41と、第2ディフューザ流路41よりも外周側に設けられているものであって第2ディフューザ流路41と連通している第2吐出室42とが区画されている。第2インペラ室22と第2吐出室42とは、第2ディフューザ流路41を介して連通している。第2吐出室42は、フロントハウジング20に形成された第2吐出口(図示略)と連通している。第2インペラ15の基端面15aは、第2インペラ15における第2ディフューザ流路41側の端面である。
図1に示すように、ハウジング11は、フロントハウジング20と協働して電動モータ13が収容されるモータ室50を区画するモータハウジング51及びエンドプレート52を備えている。モータハウジング51は略円筒形状であって、その軸線方向の両端は開口している。エンドプレート52は、モータハウジング51の外径と同一径の円板状のプレート本体部53を有している。モータハウジング51の軸線方向の一方の開口端はフロントハウジング20の第2パーツ20bに突き合わさり、他方の開口端はプレート本体部53に突き合わさっている。モータ室50は、モータハウジング51、第2パーツ20b及びプレート本体部53によって区画されている。モータ室50は、第2インペラ室22に対して後側に配置されており、モータ室50と第2インペラ室22とは連通している。本実施形態では、モータ室50が「低圧室」に対応する。
電動モータ13は、回転軸12(詳細には回転軸12の本体部12a)に固定されたロータ61と、ロータ61の外側に配置されるものであってモータハウジング51に固定されたステータ62とを備えている。ロータ61とステータ62とは回転軸12と同一軸線上に配置されており、回転軸12の径方向に対向している。
ステータ62は、円筒形状のステータコア63と、ステータコア63に捲回されたコイル64とを備えている。コイル64に電流が流れることによって、ロータ61と回転軸12とが一体的に回転する。
また、モータハウジング51には、第2吸入口70が形成されている。第2吸入口70は、モータハウジング51における電動モータ13よりもエンドプレート52側の位置に配置されている。
図1に示すように、エンドプレート52は、プレート本体部53から前側(換言すれば回転軸12の先端側)に突出した第1ボス71を有している。プレート本体部53及び第1ボス71には、回転軸12の本体部12a及び基端部12cが挿通可能な第1挿通孔71aが形成されている。
モータハウジング51内には、回転軸12の本体部12aが挿通可能な第2挿通孔72aが形成された第2ボス72が設けられている。第2ボス72は、モータハウジング51内に設けられた連結部(図示略)を介してモータハウジング51に連結されている。ボス71,72は、ロータ61に対して回転軸12の軸線方向Zの両側に配置されている。この場合、ロータ61の軸線方向の端面と、ボス71,72における上記端面と対向する端面との間には隙間が存在する。回転軸12は両挿通孔71a,72aに挿通されている。
ここで、ボス71,72は、回転軸12の本体部12a(及び基端部12c)の径よりも若干長い内径を有する円筒形状である。第1ボス71の内周面と回転軸12との間には、回転軸12を回転可能な状態で支持する第1ラジアル動圧軸受81が設けられている。第2ボス72の内周面と回転軸12との間には、回転軸12を回転可能な状態で支持する第2ラジアル動圧軸受82が設けられている。第1ラジアル動圧軸受81は、電動モータ13よりも回転軸12の基端側に配置されており、回転軸12の基端部12cを支持している。第2ラジアル動圧軸受82は、電動モータ13よりも回転軸12の先端側に配置されており、回転軸12の本体部12aにおける先端側の部位を支持している。
図1に示すように、ハウジング11は、第1挿通孔71aの外側に設けられたリアハウジング91を備えている。リアハウジング91は、例えば一方が開口した有底円筒形状であり、その内径は、第1挿通孔71aの径よりも長く設定されている。エンドプレート52のプレート本体部53は、第1プレート板面53aとは反対側の第2プレート板面53bを有している。リアハウジング91は、その開口端と第2プレート板面53bとが突き合わせられた状態でエンドプレート52に固定されている。
ここで、本実施形態では、図1の二点鎖線に示すように、両インペラ14,15が回転した場合に、回転軸12の先端側から基端側に向かうスラスト力Fが発生する。これに対して、ターボ式圧縮機10は、スラスト力Fを受けるための構成を備えている。当該構成について、両ラジアル動圧軸受81,82の詳細な構成とともに、以下に説明する。
図1に示すように、ターボ式圧縮機10は、スラスト力Fに対する抗力Nが回転軸12に付与されるように構成されている室であって、低圧室としてのモータ室50よりも高圧に設定された抗力付与室としての高圧室92を備えている。高圧室92は、第1ラジアル動圧軸受81よりもインペラ14,15とは反対側に配置されている。回転軸12の軸線方向の両端面12d,12eのうち先端面12dとは反対側の端面12eを基端面12eとすると、高圧室92は、回転軸12の基端面12eよりもインペラ14,15とは反対側(つまり後側)に配置されている。高圧室92は、回転軸12の基端面12eと、リアハウジング91の内面とによって区画されている。リアハウジング91には、モータ室50の圧力よりも高い圧力を有する流体が流入されるための第3吸入口93が設けられている。第3吸入口93が「バイパス吸入口」に対応する。回転軸12の先端側を一端側とすると、基端面12eは、回転軸12の他端側の端面と言える。
ラジアル動圧軸受81,82は例えば円筒状であって、各々の軸線と回転軸12とは、同一軸線上に配置されている。第1ラジアル動圧軸受81は、高圧室92とモータ室50との間であって高圧室92とモータ室50とを連通するように配置されており、第2ラジアル動圧軸受82は、第1ラジアル動圧軸受81よりも高圧室92から離れた位置に配置されている。
ラジアル動圧軸受81,82は、回転軸12が回転することによって生じる動圧を用いて非接触で回転軸12を支持する。
詳細には、図2に示すように、第1ラジアル動圧軸受81は、回転軸12の外周面12fに対して回転軸12の径方向に対向する第1ラジアル軸支面81aを備えている。第1ラジアル軸支面81aの径は、回転軸12の本体部12aの径よりも若干長く設定されている。このため、第1ラジアル軸支面81aと回転軸12との間には隙間94が形成されている。当該隙間94を介して、高圧室92とモータ室50とは連通している。すなわち、高圧室92とモータ室50とは、第1ラジアル動圧軸受81を介して連通している。
詳細には、図2に示すように、第1ラジアル動圧軸受81は、回転軸12の外周面12fに対して回転軸12の径方向に対向する第1ラジアル軸支面81aを備えている。第1ラジアル軸支面81aの径は、回転軸12の本体部12aの径よりも若干長く設定されている。このため、第1ラジアル軸支面81aと回転軸12との間には隙間94が形成されている。当該隙間94を介して、高圧室92とモータ室50とは連通している。すなわち、高圧室92とモータ室50とは、第1ラジアル動圧軸受81を介して連通している。
ここで、既に説明したとおり、高圧室92の圧力がモータ室50の圧力よりも高く設定されているため、高圧室92からモータ室50に向けて流体が流入し得る。すなわち、高圧室92とモータ室50との圧力差によって、回転軸12の基端側から先端側に向かう流体の流れが生じる。
これに対して、本実施形態では、回転軸12の外周面12fにおける第1ラジアル動圧軸受81(詳細には第1ラジアル軸支面81a)と対向する第1対向領域101には、回転軸12の基端側から先端側に向かう流体の流れを規制する規制溝102が形成されている。規制溝102は、回転軸12が回転した場合に、上記圧力差によって生じる流体の流れとは反対方向の流れが誘起されるように構成されている。詳細には、規制溝102は、回転軸12の先端側から基端側に向かうに従って、回転軸12の回転方向Rとは反対方向に傾斜した螺旋形状である。規制溝102は、回転軸12の周方向に所定のピッチで複数配列されている。
図3に示すように、第2ラジアル動圧軸受82は、回転軸12の外周面12fに対して回転軸12の径方向に対向する第2ラジアル軸支面82aを備えている。第2ラジアル軸支面82aの径は、第1ラジアル軸支面81aの径と同一であり、回転軸12の本体部12aの径よりも若干長く設定されている。
回転軸12の外周面12fにおける第2ラジアル動圧軸受82(詳細には第2ラジアル軸支面82a)と対向する第2対向領域103には、回転軸12が回転した場合に動圧が生じるように構成された動圧誘起溝104が形成されている。動圧誘起溝104は、例えばヘリングボーン形状である。詳細には、動圧誘起溝104は、傾斜方向が相違する2つの螺旋溝104a,104bを備えている。第1螺旋溝104aは、回転軸12の先端側から基端側に向かうに従って、回転軸12の回転方向Rとは反対方向に傾斜した螺旋形状であり、第2螺旋溝104bは、回転軸12の先端側から基端側に向かうに従って、回転軸12の回転方向Rに傾斜した螺旋形状である。そして、両螺旋溝104a,104bの間には、螺旋溝104a,104bが形成されていないランド部105が設けられている。回転軸12の先端側から基端側に向けて、第1螺旋溝104a→ランド部105→第2螺旋溝104bの順に配置されている。動圧誘起溝104が「ヘリングボーン形状の溝」に対応する。
両螺旋溝104a,104bは、回転軸12の周方向に所定のピッチで複数配列されている。この場合、両螺旋溝104a,104bのピッチ及び数は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
図4に示すように、ターボ式圧縮機10は、回転軸12に固定された板状(詳細には円板状)の支持プレート(スラストライナ)110と、スラスト力Fを受ける2つのスラスト軸受111,112とを備えている。支持プレート110及びスラスト軸受111,112は、モータ室50内に配置されている。
支持プレート110は、回転軸12の本体部12aに固定されている。支持プレート110は、第2ボス72よりも回転軸12の径方向に突出している。支持プレート110は、第2ボス72よりも回転軸12の先端側に配置されている。
2つのスラスト軸受111,112は、例えば円環板状であって、各々の軸線と回転軸12とは、同一軸線上に配置されている。両スラスト軸受111,112は、支持プレート110を介して回転軸12の軸線方向Zに対向配置されている。両スラスト軸受111,112は、第1ラジアル動圧軸受81及び電動モータ13よりも高圧室92から離れた位置、詳細には電動モータ13よりも回転軸12の先端側に配置されている。
図4に示すように、モータハウジング51内には、第1スラスト軸受111が固定される第1固定壁部113が設けられている。第1固定壁部113は、支持プレート110と電動モータ13との間に配置されている。第1固定壁部113は、例えば円環板状であり、モータハウジング51の内面から、回転軸12の軸線方向Zから見て支持プレート110と重なる位置まで回転軸12の径方向に延びている。第1固定壁部113の内周面と第2ボス72とは離間している。
第1スラスト軸受111は、第1固定壁部113と支持プレート110との間に配置されている。第1スラスト軸受111は、支持プレート110における回転軸12の軸線方向Zと交わる(詳細には直交する)両板面110a,110bのうち第1固定壁部113と対向する第1対向板面110aに対して、所定の隙間を介して対向する第1スラスト軸支面111aを有している。
モータハウジング51内には、第2スラスト軸受112が固定される第2固定壁部114が設けられている。第2固定壁部114は、図示しない固定部によってモータハウジング51に固定されている。第2固定壁部114は、例えば円環板状である。第2固定壁部114は、その軸線と回転軸12とが同一軸線上に配置され、且つ、支持プレート110よりも回転軸12の先端側に配置されている。第2固定壁部114の内径は、回転軸12の本体部12aの径よりも若干長く設定されており、第2固定壁部114と回転軸12とが接触しないようになっている。第2固定壁部114の外径は支持プレート110の外径以上に設定されている。
第2スラスト軸受112は、第2固定壁部114と支持プレート110との間に配置されている。第2スラスト軸受112は、支持プレート110の両板面110a,110bのうち第2固定壁部114と対向する第2対向板面110bに対して、所定の隙間を介して対向する第2スラスト軸支面112aを有している。
ちなみに、図4に示すように、第1固定壁部113には、回転軸12の軸線方向Zに貫通した貫通孔115が設けられている。また、回転軸12の軸線方向Zにおいて第2固定壁部114とフロントハウジング20とは離間している。このため、モータ室50の流体は、貫通孔115、及び、第2固定壁部114とフロントハウジング20との間を介して、第2インペラ室22に流入可能となっている。
次に、高圧室92とモータ室50との間で圧力差を発生させる構成について説明する。
図1に示すように、ターボ式圧縮機10は、車両空調装置200の一部を構成している。車両空調装置200は、ターボ式圧縮機10の他に、凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204を備えている。これら凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204は、配管を介して接続されている。また、凝縮器201は、第1吐出口を介して第1吐出室32に接続されており、蒸発器204は、第2吸入口70に接続されている。
図1に示すように、ターボ式圧縮機10は、車両空調装置200の一部を構成している。車両空調装置200は、ターボ式圧縮機10の他に、凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204を備えている。これら凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204は、配管を介して接続されている。また、凝縮器201は、第1吐出口を介して第1吐出室32に接続されており、蒸発器204は、第2吸入口70に接続されている。
また、ターボ式圧縮機10は、第2吐出口を介して第2吐出室42と第1吸入口30とを接続する配管116を備えている。更に、車両空調装置200は、気液分離器202と膨張弁203とを接続している配管とは別に、気液分離器202と第3吸入口93とを接続するバイパス配管205を有している。
なお、本実施形態では、第2吸入口70が「低圧流体吸入口」に対応し、第3吸入口93が「バイパス吸入口」に対応し、バイパス配管205が「圧力調整部」に対応する。
次に、本実施形態の作用として、上記のように構成されたターボ式圧縮機10及び車両空調装置200における流体の流れについて説明する。
次に、本実施形態の作用として、上記のように構成されたターボ式圧縮機10及び車両空調装置200における流体の流れについて説明する。
回転軸12の回転に伴い両インペラ14,15が回転すると、図1の矢印A1に示すように、蒸発器204から吐出された比較的低圧の流体(以降低圧流体という)が第2吸入口70から吸入される。この場合、モータ室50は低圧空間となる。モータ室50に吸入された流体は、ロータ61及びステータ62間の隙間や貫通孔115等を介して第2インペラ室22に向かう(図1の矢印A2参照)。そして、低圧流体は、第2インペラ15の遠心作用によって第2インペラ室22から第2ディフューザ流路41に送り込まれ、当該第2ディフューザ流路41にて圧縮されて第2吐出室42に吐出される。なお、第2吐出室42に導かれた流体の圧力は低圧流体の圧力よりも高い。なお、第2吐出室42に導かれた流体を中間圧流体という。
図1の矢印A3に示すように、中間圧流体は、第2吐出室42から吐出され、配管116を介して、第1吸入口30に吸入される。中間圧流体は、第1インペラ14の遠心作用によって第1インペラ室21から第1ディフューザ流路31に送り込まれ、当該第1ディフューザ流路31にて圧縮されて第1吐出室32に吐出される。第1吐出室32に導かれた流体の圧力は、中間圧流体の圧力よりも高い。なお、第1吐出室32に導かれた流体を高圧流体という。
高圧流体は、第2吐出室42から凝縮器201に供給される。そして、高圧流体の一部は、バイパス配管205を介して第3吸入口93に供給される。これにより、高圧室92には、高圧流体が充填される。一方、モータ室50には低圧流体が充填される。したがって、高圧室92の圧力が、モータ室50の圧力よりも高くなる。これにより、スラスト力Fに対する抗力Nが回転軸12に付与される。詳細には、高圧室92とモータ室50との圧力差によって生じた押圧力が回転軸12の基端面12eに付与される。
この場合、高圧室92とモータ室50との圧力差によって、高圧室92の高圧流体が第1ラジアル動圧軸受81を介して高圧室92からモータ室50へ向けて流入しようとする。これに対して、回転軸12が回転することによって、規制溝102により高圧室92からモータ室50へ向かう方向(以降単に高圧流体の漏れ方向という)とは逆方向の流れが誘起される。このため、高圧室92からモータ室50への高圧流体の流入が規制される。また、第1ラジアル軸支面81aと第1対向領域101との間にて、互いに逆向きの流体が衝突するため、非接触での回転軸12の支持に必要な動圧が発生する。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)ターボ式圧縮機10は、回転軸12の先端側の部位である先端部12bに連結されたインペラ14,15と、回転軸12を回転させる電動モータ13とを備え、インペラ14,15の回転によって流体を圧縮して吐出室32,42に吐出するものである。ターボ式圧縮機10は、回転軸12を支持するものであって、回転軸12の外周面12fと対向する第1ラジアル軸支面81aを有する第1ラジアル動圧軸受81と、吐出室32,42及び低圧室として電動モータ13が収容されたモータ室50が区画されたハウジング11とを備えている。
(1)ターボ式圧縮機10は、回転軸12の先端側の部位である先端部12bに連結されたインペラ14,15と、回転軸12を回転させる電動モータ13とを備え、インペラ14,15の回転によって流体を圧縮して吐出室32,42に吐出するものである。ターボ式圧縮機10は、回転軸12を支持するものであって、回転軸12の外周面12fと対向する第1ラジアル軸支面81aを有する第1ラジアル動圧軸受81と、吐出室32,42及び低圧室として電動モータ13が収容されたモータ室50が区画されたハウジング11とを備えている。
ハウジング11は、インペラ14,15が回転することによって生じた回転軸12の先端側から基端側に向かうスラスト力Fに対する抗力Nが回転軸12に付与されるようにモータ室50よりも高圧に構成される高圧室92を備えている。そして、高圧室92とモータ室50とは、第1ラジアル動圧軸受81を介して連通している。かかる構成において、回転軸12の外周面12fにおける第1ラジアル軸支面81aと対向する第1対向領域101には、高圧室92からモータ室50に向かう流体(本実施形態では高圧流体)の流れを規制する規制溝102が形成されている。これにより、高圧室92からモータ室50に向かう流体の流れが規制されるため、高圧室92からモータ室50に流体が流れることに起因する抗力Nの低下を抑制できる。よって、スラスト力Fを好適に受けることができる。
(2)高圧室92は、第1ラジアル動圧軸受81(詳細には回転軸12の基端面12e)に対してインペラ14,15とは反対側に配置されている。すなわち、高圧室92は、回転軸12の基端面12eとハウジング11(詳細にはハウジング11において基端面12eに対して回転軸12の軸線方向Zに対向する部位)との間に配置されている。規制溝102は、回転軸12が回転した場合に、回転軸12の先端側から基端側に向かう流れを誘起させるものである。かかる構成によれば、回転軸12が回転した場合、規制溝102によって、高圧室92からモータ室50に向かう流体の流れとは反対方向の流れが誘起されるため、高圧室92からモータ室50への流体の流入を規制できる。また、第1ラジアル動圧軸受81と回転軸12との間にて、互いに方向が逆の流体が衝突することにより、動圧が発生する。よって、高圧室92からモータ室50への高圧流体の流入を抑制しつつ、回転軸12を非接触で支持できる。
(3)具体的には、規制溝102は、回転軸12の先端側から基端側に向かうに従って、回転軸12の回転方向Rとは反対方向に傾斜した螺旋形状であり、規制溝102は、回転軸12の周方向に複数配列されている。これにより、(2)の効果を得るために必要な流体の流れを誘起させることができる。
(4)ターボ式圧縮機10は、第1ラジアル動圧軸受81とは別に設けられ、回転軸12の外周面12fと対向する第2ラジアル軸支面82aを有する第2ラジアル動圧軸受82を備えている。第2ラジアル動圧軸受82は、第1ラジアル動圧軸受81よりも高圧室92から離れた位置に配置されている。そして、回転軸12の外周面12fにおける第2ラジアル軸支面82aと対向する第2対向領域103には、ヘリングボーン形状の動圧誘起溝104が形成されている。かかる構成によれば、回転軸12が回転した場合、動圧誘起溝104によって生じる動圧によって、回転軸12が非接触で支持される。
特に、第2ラジアル動圧軸受82は、第1ラジアル動圧軸受81よりも高圧室92から離れた位置に配置されているため、第2ラジアル動圧軸受82においては、高圧室92の高圧流体の影響を受けにくい。これに対して、本構成によれば、動圧誘起溝104として、互いに逆方向の流れを積極的に誘起させるヘリングボーン形状を採用することにより、好適に回転軸12を非接触で支持することができる。
(5)モータ室50内には、スラスト力Fを受けるスラスト軸受111,112が設けられている。スラスト軸受111,112と、高圧室92及びモータ室50間の圧力差によって生じる抗力Nとによって、スラスト力Fを受けることができる。この場合、上記抗力Nが存在する分だけ、スラスト軸受111,112の受圧が軽減されるため、スラスト軸受111,112のみでスラスト力Fを受ける構成と比較して、スラスト軸受111,112の小型化を図ることができる。
また、例えばStodolaの損失の式によれば、流体の密度が低くなるほど損失が小さくなる。そして、流体の密度は圧力に依存する。この点、本実施形態では、高圧室92と比較して低圧のモータ室50内にスラスト軸受111,112が配置されているため、スラスト軸受111,112が高圧室92に配置されている場合と比較して、スラスト軸受111,112における損失を低減することができる。これにより、スラスト軸受111,112を設けることによる損失の増大を抑制できる。
(6)特に、スラスト軸受111,112は、モータ室50内において高圧室92から離れた位置、詳細には第1ラジアル動圧軸受81及び電動モータ13よりも回転軸12の先端側に配置されている。これにより、高圧流体の影響を受けにくいため、高圧流体による損失の増大化を、より好適に抑制できる。
(7)ハウジング11は、低圧流体をモータ室50に吸入させるための低圧流体吸入口としての第2吸入口70を有している。また、両インペラ14,15は、互いに基端面14a,15a同士が対向配置されている。そして、ハウジング11には、インペラ14,15が収容されたインペラ室21,22と、当該ハウジング11に設けられたディフューザ流路31,41を介してインペラ室21,22と連通している吐出室32,42とが区画されている。モータ室50と第2インペラ室22とは連通している。
かかる構成において、ターボ式圧縮機10は、低圧流体が第2ディフューザ流路41を通過することによって得られる第2吐出室42の中間圧流体が、第1インペラ室21に供給されるように構成されている。そして、ターボ式圧縮機10は、中間圧流体が第1ディフューザ流路31を通過することによって得られる高圧流体の一部が、ハウジング11に設けられたバイパス吸入口としての第3吸入口93を介して高圧室92に供給されるように構成されている。これにより、高圧室92には高圧流体が充填され、モータ室50には低圧流体が充填されるため、高圧室92及びモータ室50間で圧力差が生じ、スラスト力Fの抗力Nが生じる。
特に、本実施形態では、高圧室92及びモータ室50のいずれか一方に中間圧流体が充填される構成と比較して、高圧室92及びモータ室50間の圧力差が大きくなっているため、その分だけ上記抗力Nを大きくすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図5に示すように、第1ラジアル軸支面81aには、回転軸12の周方向に沿って延びたリング溝(オリフィス)210が形成されていてもよい。リング溝210は、回転軸12の軸線方向Zに沿って所定のピッチで複数配列されていてもよい。これにより、第1ラジアル動圧軸受81のシール性の更なる向上を図ることができる。なお、リング溝210は、第2ラジアル動圧軸受82に形成してもよい。
○ 図5に示すように、第1ラジアル軸支面81aには、回転軸12の周方向に沿って延びたリング溝(オリフィス)210が形成されていてもよい。リング溝210は、回転軸12の軸線方向Zに沿って所定のピッチで複数配列されていてもよい。これにより、第1ラジアル動圧軸受81のシール性の更なる向上を図ることができる。なお、リング溝210は、第2ラジアル動圧軸受82に形成してもよい。
○ 高圧室92からモータ室50への流体の流入を規制することができれば、規制溝102の具体的な形状は任意である。同様に、動圧誘起溝104の形状は、回転軸12を非接触で支持する動圧を確保できれば、ヘリングボーン形状に限られず任意である。また、規制溝102及び動圧誘起溝104の数も、「1」を含め任意である。
○ 第1対向領域101には、規制溝102と、ヘリングボーン溝との双方が形成されていてもよい。
○ 第2ラジアル動圧軸受82は、例えば第2対向領域103と対向するものであって径方向に変位可能なトップフォイルと、弾性変形可能な状態でトップフォイルを支持するバンプフォイルとを有し、トップフォイルと第2対向領域103との間にて発生する動圧で回転軸12を回転可能に支持するフォイル式であってもよい。
○ 第2ラジアル動圧軸受82は、例えば第2対向領域103と対向するものであって径方向に変位可能なトップフォイルと、弾性変形可能な状態でトップフォイルを支持するバンプフォイルとを有し、トップフォイルと第2対向領域103との間にて発生する動圧で回転軸12を回転可能に支持するフォイル式であってもよい。
○ 両スラスト軸受111,112を省略してもよい。この場合、支持プレート110、第1固定壁部113及び第2固定壁部114を省略してもよい。
○ 第1固定壁部113に形成された貫通孔115を省略してもよい。この場合であっても、両スラスト軸受111,112を介して流体が第2インペラ室22に向けて流入し得る。
○ 第1固定壁部113に形成された貫通孔115を省略してもよい。この場合であっても、両スラスト軸受111,112を介して流体が第2インペラ室22に向けて流入し得る。
○ 実施形態では、低圧室は、モータ室50であったが、これに限られず、モータ室50とは別に設けられた専用の室であってもよい。つまり、低圧室は、第1ラジアル動圧軸受81を介して連通している室であればよく、モータ室50に限られない。
○ 両スラスト軸受111,112及び支持プレート110は、高圧室92内に配置されていてもよい。
○ ターボ式圧縮機10は、配管等を介して、第2吐出室42から吐出される中間圧流体が第1吸入口30と第3吸入口93との双方に供給される構成であってもよい。この場合、高圧室92が中間圧となる。
○ ターボ式圧縮機10は、配管等を介して、第2吐出室42から吐出される中間圧流体が第1吸入口30と第3吸入口93との双方に供給される構成であってもよい。この場合、高圧室92が中間圧となる。
○ 第1吸入口30に低圧流体が供給される構成であってもよい。詳細には、図6に示すように、車両空調装置200は、配管を介して、蒸発器204から吐出される低圧流体が第1吸入口30に供給され、且つ、第2吐出室42から吐出される流体の一部が凝縮器201及び気液分離器202を介して第3吸入口93に供給されるように構成されている。そして、ハウジング11(詳細にはフロントハウジング20)には、第1吐出室32とモータ室50とを連通する中間圧ポート211が形成されている。なお、本別例においては、第2吸入口70は形成されていない。
かかる構成によれば、流体は、第1吸入口30→第1インペラ室21→第1ディフューザ流路31→第1吐出室32→中間圧ポート211→モータ室50→第2インペラ室22→第2ディフューザ流路41→第2吐出室42の順に流れる。この場合、モータ室50には、低圧流体が第1ディフューザ流路31を通過することによって得られた中間圧流体が充填される。また、第2吐出室42から吐出される流体は高圧流体であるため、高圧室92には高圧流体が充填される。これにより、高圧室92とモータ室50とで圧力差が生じるため、スラスト力Fに対する抗力Nが生じる。
○ 2つのインペラ14,15のうちいずれか一方を省略してもよい。この場合、省略するインペラに対応するディフューザ流路及び吐出室を省略してもよい。
○ 回転軸12の基端部12cは、本体部12aよりも縮径されていてもよい。また、回転軸12の先端部12bの径と本体部12aの径とが同一であってもよい。
○ 回転軸12の基端部12cは、本体部12aよりも縮径されていてもよい。また、回転軸12の先端部12bの径と本体部12aの径とが同一であってもよい。
○ 支持プレート110及び両スラスト軸受111,112の外径は、第1インペラ14の最大外径以下であってもよい。
○ ターボ式圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず、任意である。
○ ターボ式圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず、任意である。
○ 実施形態のターボ式圧縮機10は、車両空調装置200の一部に用いられていたが、これに限られず、他の用途に用いてもよい。例えば、車両が燃料電池を搭載した燃料電池車両(FCV)である場合には、当該ターボ式圧縮機10は、上記燃料電池に空気を供給する供給装置に用いられてもよい。要は、圧縮対象の流体は、冷媒であってもよいし空気などであってもよく、流体装置は、車両空調装置200に限られず、任意である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)一端と他端とを有する回転軸の前記一端側に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するターボ式圧縮機において、前記回転軸を支持するものであって、前記回転軸の外周面と対向するラジアル軸支面を有するラジアル動圧軸受と、前記インペラが回転することによって生じた前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうスラスト力に対する抗力が前記回転軸に付与されるように構成された抗力付与室と、前記抗力付与室よりも低圧に構成された低圧室とを有するハウジングと、を備え、前記低圧室内には、前記スラスト力を受けるスラスト軸受が設けられていることを特徴とするターボ式圧縮機。なお、上記構成に着目すれば、第1ラジアル動圧軸受81を介して高圧室92とモータ室50とが連通している必要はなく、また規制溝102を省略してもよい。
(イ)一端と他端とを有する回転軸の前記一端側に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するターボ式圧縮機において、前記回転軸を支持するものであって、前記回転軸の外周面と対向するラジアル軸支面を有するラジアル動圧軸受と、前記インペラが回転することによって生じた前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうスラスト力に対する抗力が前記回転軸に付与されるように構成された抗力付与室と、前記抗力付与室よりも低圧に構成された低圧室とを有するハウジングと、を備え、前記低圧室内には、前記スラスト力を受けるスラスト軸受が設けられていることを特徴とするターボ式圧縮機。なお、上記構成に着目すれば、第1ラジアル動圧軸受81を介して高圧室92とモータ室50とが連通している必要はなく、また規制溝102を省略してもよい。
(ロ)一端と他端とを有する回転軸の前記一端側に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するターボ式圧縮機を備えた流体装置において、前記ターボ式圧縮機は、前記回転軸を支持するものであって、前記回転軸の外周面と対向するラジアル軸支面を有するラジアル動圧軸受と、前記インペラが回転することによって生じた前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうスラスト力に対する抗力が前記回転軸に付与されるように構成された抗力付与室と、前記ラジアル動圧軸受を介して連通している室であって前記抗力付与室よりも低圧に構成された低圧室とを有するハウジングと、を備え、前記回転軸の外周面における前記ラジアル軸支面と対向する対向領域には、前記抗力付与室から前記低圧室に向かう流体の流れを規制するように構成された規制溝が形成されていることを特徴とする流体装置。
10…ターボ式圧縮機、11…ハウジング、12…回転軸、12f…回転軸の外周面、13…電動モータ、14,15…インペラ、14a,15a…インペラの基端面、21…第1インペラ室、22…第2インペラ室、31,41…ディフューザ流路、32,42…吐出室、50…モータ室(低圧室)、52…エンドプレート、53…プレート本体部、70…第2吸入口、81,82…ラジアル動圧軸受、81a,82a…ラジアル軸支面、92…高圧室(抗力付与室)、93…第3吸入口、101…第1対向領域(対向領域)、102…規制溝、103…第2対向領域、104…動圧誘起溝、110…支持プレート、111,112…スラスト軸受、111a,112a…スラスト軸支面、200…車両空調装置、205…バイパス配管、210…リング溝。
Claims (7)
- 一端と他端とを有する回転軸の前記一端側に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出室に吐出するターボ式圧縮機において、
前記回転軸を支持するものであって、前記回転軸の外周面と対向するラジアル軸支面を有するラジアル動圧軸受と、
前記インペラが回転することによって生じた前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうスラスト力に対する抗力が前記回転軸に付与されるように構成された抗力付与室と、前記ラジアル動圧軸受を介して連通している室であって前記抗力付与室よりも低圧に構成された低圧室とを有するハウジングと、
を備え、
前記回転軸の外周面における前記ラジアル軸支面と対向する対向領域には、前記抗力付与室から前記低圧室に向かう流体の流れを規制するように構成された規制溝が形成されていることを特徴とするターボ式圧縮機。 - 前記抗力付与室は、前記ラジアル動圧軸受よりも前記インペラとは反対側に配置されており、
前記規制溝は、前記回転軸が回転した場合に、前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かう流れを誘起させるものである請求項1に記載のターボ式圧縮機。 - 前記規制溝は、前記回転軸の前記一端側から前記他端側に向かうに従って、前記回転軸の回転方向とは反対方向に傾斜した螺旋形状であり、
前記規制溝は、前記回転軸の周方向に複数配列されている請求項2に記載のターボ式圧縮機。 - 前記ラジアル動圧軸受は第1ラジアル動圧軸受であり、前記対向領域は第1対向領域であり、
前記ターボ式圧縮機は、前記第1ラジアル動圧軸受とは別に設けられ、前記回転軸の外周面と対向する第2ラジアル軸支面を有する第2ラジアル動圧軸受を備え、
前記第2ラジアル動圧軸受は、前記第1ラジアル動圧軸受よりも前記抗力付与室から離れた位置に配置されており、
前記回転軸の外周面における前記第2ラジアル軸支面と対向する第2対向領域には、ヘリングボーン形状の溝が形成されている請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のターボ式圧縮機。 - 前記低圧室内には、前記スラスト力を受けるスラスト軸受が設けられている請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のターボ式圧縮機。
- 前記ラジアル軸支面には、前記回転軸の周方向に沿って延びたリング溝が形成されている請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のターボ式圧縮機。
- 前記低圧室は、前記回転軸を駆動させる電動モータが収容されたモータ室であり、
前記ハウジングは、低圧流体を前記モータ室に吸入させるための低圧流体吸入口を有し、
前記インペラは、第1インペラ及び第2インペラを有し、
前記ハウジングには、
前記第1インペラが収容された第1インペラ室と、
前記第2インペラが収容されたものであって、前記モータ室の前記低圧流体が流入されるように前記モータ室と連通している第2インペラ室と、
が区画されており、
前記吐出室として、
前記ハウジングに設けられた第1ディフューザ流路を介して前記第1インペラ室と連通している第1吐出室と、
前記ハウジングに設けられた第2ディフューザ流路を介して前記第2インペラ室と連通している第2吐出室と、
を有し、
前記第1インペラにおける前記第1ディフューザ流路側の端面と、前記第2インペラにおける前記第2ディフューザ流路側の端面とが、互いに対向配置され、
前記低圧流体が前記第2ディフューザ流路を通過することによって得られる前記第2吐出室の中間圧流体が前記第1インペラ室に供給され、
前記中間圧流体が前記第1ディフューザ流路を通過することによって得られる前記第1吐出室の高圧流体の一部が、前記ハウジングに設けられたバイパス吸入口を介して前記抗力付与室に供給される請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のターボ式圧縮機。
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JP2014242482A JP2016102480A (ja) | 2014-11-28 | 2014-11-28 | ターボ式圧縮機 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10514041B2 (en) * | 2015-07-23 | 2019-12-24 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Centrifugal compressor |
CN114962290A (zh) * | 2021-02-26 | 2022-08-30 | 株式会社丰田自动织机 | 流体机械 |
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2014
- 2014-11-28 JP JP2014242482A patent/JP2016102480A/ja active Pending
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WO2022189256A1 (de) | 2021-03-10 | 2022-09-15 | 3W Turbo Gmbh | Gasgelagerte mikro-turbomaschine |
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