JP2016142177A - 遠心圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転の安定性の向上を図ることができる遠心圧縮機を提供すること。【解決手段】遠心圧縮機10は、インペラ14に向けて吸入される吸入冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ71と、インペラ14の回転によって圧縮された流体であって吸入冷媒よりも高圧の圧縮冷媒の圧力を検出する圧縮圧力センサ72とを備えている。遠心圧縮機10は、圧縮冷媒の一部をインペラ14の吸入側に戻すバイパス流路73と、当該バイパス流路73上に設けられた制御弁としての電磁弁74と、両圧力センサ71,72の検出結果から算出される圧縮比に基づいて電磁弁74を制御する制御部75とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、遠心圧縮機に関する。
従来から、回転軸及び回転軸に連結されたインペラを備え、インペラの回転によって流体を圧縮して吐出する遠心圧縮機が知られている(例えば特許文献1参照)。また、特許文献2には、遠心圧縮機を用いた水冷式の空調装置が記載されている。
特開2009−257165号公報 特開2014−159923号公報
ここで、遠心圧縮機が吐出する流量を大きくする点に着目すれば、吸入側の圧力と吐出側の圧力との比率である圧縮比は高い方が好ましい。しかしながら、圧縮比が過度に高くなると、インペラを流れる流体の速度が音速を超える場合がある。この場合、インペラの表面から流体が剥離してしまい、その結果運転の安定性が低下し得る。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は運転の安定性の向上を図ることができる遠心圧縮機を提供することである。
上記目的を達成する遠心圧縮機は、回転軸に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出するものであって、前記インペラに向けて吸入される吸入流体の圧力を検出する吸入圧力検出部と、前記インペラの回転によって圧縮された流体であって前記吸入流体よりも高圧の流体である圧縮流体の圧力を検出する圧縮圧力検出部と、前記圧縮流体の一部を前記インペラの吸入側に戻すバイパス流路と、前記バイパス流路上に設けられた制御弁と、を備え、前記インペラの表面からの流体の剥離が発生する圧縮比を閾値圧縮比とすると、前記遠心圧縮機は、前記制御弁が閉鎖状態である状況において、前記吸入圧力検出部と前記圧縮圧力検出部との検出結果から算出される圧縮比が前記閾値圧縮比以上となることに基づいて、前記制御弁を、前記閉鎖状態から開放状態に切り替える制御部を備えていることを特徴とする。
かかる構成によれば、圧縮比が閾値圧縮比以上となることに基づいて、制御弁を閉鎖状態から開放状態に切り替えることによって、バイパス流路を介して、比較的高圧の圧縮流体の一部がインペラの吸入側に流入する。これにより、圧縮比が低下するため、圧縮比が過度に高くなることを抑制できる。特に、本構成では、閾値圧縮比は、インペラの表面からの流体の剥離が発生する圧縮比に設定されている。これにより、流体がインペラの表面から剥離する事態を抑制することができる。よって、遠心圧縮機の運転の安定性の向上を図ることができる。
上記遠心圧縮機について、前記閾値圧縮比は4であるとよい。かかる構成によれば、閾値圧縮比が4に設定されることにより、より好適に運転の安定性の向上を図ることができる。
上記遠心圧縮機について、前記制御部は、前記制御弁が前記開放状態である状況において、前記圧縮比が前記閾値圧縮比未満となることに基づいて、前記制御弁を、前記開放状態から前記閉鎖状態に切り替えるとよい。かかる構成によれば、制御弁が開放状態である状況において圧縮比が閾値圧縮比未満となることに基づいて、制御弁を開放状態から閉鎖状態に切り替えることにより、インペラの吸入側への圧縮流体の流入が規制される。これにより、圧縮流体の一部がインペラの吸入側に流入することに起因する効率の低下を抑制できる。よって、運転の安定性と効率の低下の抑制との両立を図ることができる。
上記遠心圧縮機について、前記インペラとして、回転することによって低圧流体を圧縮して中間圧流体を生成する1次インペラと、回転することによって前記中間圧流体を圧縮して高圧流体を生成する2次インペラと、を有し、前記吸入圧力検出部は、前記吸入流体の圧力として前記低圧流体の圧力を検出し、前記圧縮圧力検出部は、前記圧縮流体の圧力として前記中間圧流体の圧力を検出し、前記バイパス流路は、前記中間圧流体又は前記高圧流体の一部を前記1次インペラの吸入側に戻すものであるとよい。かかる構成によれば、2つのインペラによって2段階の圧縮が行われる。ここで、低圧流体の圧力は、周囲の環境などに応じて変動し易い場合がある。このため、低圧流体の圧力と中間圧流体の圧力との比率は、中間圧流体の圧力と高圧流体の圧力との比率よりも高くなり易い場合がある。よって、低圧流体の圧力と中間圧流体の圧力との比率が閾値圧縮比以上となる事態は発生し易い。
この点、本構成では、上記のような低圧流体の圧力変動に着目して、制御弁の制御に用いられる圧縮比として、中間圧流体の圧力と高圧流体の圧力との比率ではなく、低圧流体の圧力と中間圧流体の圧力との比率が採用されている。そして、バイパス流路を介して、中間圧流体又は高圧流体の一部が1次インペラの吸入側に戻ることが可能となっている。これにより、上記低圧流体の圧力変動に起因する圧縮比の過度な上昇に対して好適に対応できる。
上記遠心圧縮機は、空冷式の空調装置に用いられるものであり、前記流体はフロン冷媒であるとよい。一般的に、空冷式の空調装置においては、水冷式の空調装置と比較して、高い圧縮比が求められる。また、フロン冷媒は、空気等と比較して、音速が低いため、閾値圧縮比が低くなり易い。以上のことから、遠心圧縮機がフロン冷媒を用いた空冷式の空調装置に用いられる構成においては、圧縮比が閾値圧縮比以上となる事態が生じ易いため、運転が不安定なものとなり易い。
これに対して、本構成によれば、上述した通り、圧縮比が閾値圧縮比以上となることに基づいて、制御弁を閉鎖状態から開放状態に切り替えることにより、圧縮比を低下させることができ、運転の安定性の向上を図ることができる。よって、遠心圧縮機がフロン冷媒を用いた空冷式の空調装置に用いられる場合における遠心圧縮機の運転の安定性の向上を図ることができる。
この発明によれば、運転の安定性の向上を図ることができる。
第1実施形態の遠心圧縮機及び車両用空調装置の概要を示す模式図。 制御部にて実行される圧縮比制御処理を示すフローチャート。 第2実施形態の遠心圧縮機及び車両用空調装置の概要を示す模式図。 別例の遠心圧縮機及び車両用空調装置の概要を示す模式図。
(第1実施形態)
以下、遠心圧縮機の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、遠心圧縮機は車両に搭載されている。
図1に示すように、本実施形態の遠心圧縮機10は、空冷式の車両用空調装置200に用いられている。車両用空調装置200は、凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204を備えている。これら凝縮器201、気液分離器202、膨張弁203及び蒸発器204は、配管を介して接続されている。遠心圧縮機10は、蒸発器204から吐出された流体としての冷媒を圧縮し、凝縮器201に向けて供給するように構成されている。なお、本実施形態では、冷媒は例えばフロン冷媒(詳細にはR−134a等)である。
遠心圧縮機10は、その外郭を構成するハウジング11を備えている。ハウジング11は、例えば全体として円筒形状である。
遠心圧縮機10は、ハウジング11に収容されているものとして、回転軸12と、回転軸12を回転させる電動モータ13と、回転軸12に連結されたインペラ14とを備えている。回転軸12は、本体部12aと、本体部12aよりも縮径され、且つ、インペラ14が連結された先端部12bと、本体部12aにおける先端部12bが配置される側とは反対側に配置された基端部12cとを有している。基端部12cは、本体部12aより縮径されており、且つ、先端部12bより拡径されている。
なお、回転軸12の先端部12bは回転軸12の一端部とも言える。この場合、回転軸12の先端側(先端部12b側)は、回転軸12の一端側とも言える。同様に、回転軸12の基端部12cは回転軸12の他端部とも言える。この場合、回転軸12の基端側(基端部12c側)は、回転軸12の他端側とも言える。
ハウジング11は、外形が円錐台形状のフロントハウジング21と、電動モータ13が収容されたモータハウジング22と、エンドプレート23と、リアハウジング24と、を備えている。
フロントハウジング21には、円錐台形状のフロントハウジング21の軸線方向に沿って貫通した貫通孔21aが形成されている。貫通孔21aは、例えばその貫通方向と直交する方向から見た断面形状が円形となっており、貫通方向の途中位置からフロントハウジング21の拡径側に向かうに従って徐々に拡径した形状となっている。貫通孔21aの内壁面21bは、貫通方向の位置に関わらず径が一定の円筒面21baと、円筒面21baと連続するものであって円筒面21baから離れるに従って徐々に拡径したテーパ面21bbとを有している。貫通孔21aにおける円筒面21baで区画された開口から、蒸発器204からの冷媒が吸入される。つまり、貫通孔21aの縮径側の開口が、冷媒を貫通孔21a内に流入させるための吸入口31として機能する。
モータハウジング22は、例えば底部22aを有する有底円筒形状である。フロントハウジング21とモータハウジング22とは、フロントハウジング21における拡径側の面である底面21cと、モータハウジング22の外面である底部22aの一方面22bとが回転軸12の軸線方向Zに対向した状態で、組み付けられている。
なお、フロントハウジング21は、フロントハウジング21とモータハウジング22とが組み付けられた状態において、貫通孔21aの拡径側がモータハウジング22の一方面22b側に位置するように配置されている。
また、モータハウジング22の底部22aには、先端部12bが挿通可能な貫通孔22cと、筒状の第1ボス22dとが設けられている。
第1ボス22dは、貫通孔22cより貫通孔22cの径方向外側(貫通孔22cに挿通された先端部12bの径方向外側)に、底部22aの一方面22bとは反対側の他方面22eから立設するように設けられている。
回転軸12は、当該回転軸12の本体部12aがモータハウジング22内に収容され、且つ、先端部12bが貫通孔22cを介してフロントハウジング21の貫通孔21a内に突出した状態で配置されている。詳細には、回転軸12の本体部12aにおける先端部12b側が第1ボス22d内に収容されるとともに先端部12bの一部が貫通孔22cに収容されている。
吸入口31と回転軸12の先端部12bとは、回転軸12の軸線方向Zに対向している。
図1に示すように、インペラ14は、その基端面14aから先端面14bに向けて徐々に縮径した略円錐台形状である。インペラ14は、回転軸12の先端部12b、詳細には先端部12bにおけるフロントハウジング21の貫通孔21a内に突出している部分に連結されており、貫通孔21aの拡径側から貫通孔21a内に挿通されている。インペラ14は、貫通孔21aの内壁面21bとモータハウジング22の一方面22bとによって区画されたインペラ室32に収容されている。つまり、フロントハウジング21の貫通孔21aは、インペラ14を収容するインペラ室32として機能する。また、インペラ14の表面14cには羽根14dが設けられている。
インペラ室32は、インペラ14の形状に対応させて形成されており、詳細にはインペラ14よりも一回り大きい円錐台形状である。
上述した通り、フロントハウジング21の貫通孔21aは、縮径側が吸入口31として機能し、拡径側がインペラ室32として機能する。言い換えると、フロントハウジング21の貫通孔21aは、吸入口31とインペラ室32とを構成している。吸入口31とインペラ室32とは連通している。このため、吸入口31から吸入された冷媒はインペラ室32に流れることとなる。なお、説明の便宜上、以降の説明において、吸入口31から吸入される冷媒を吸入冷媒という。当該吸入冷媒が「吸入流体」に対応する。
ここで、インペラ14の先端面14bは、基端面14aよりも吸入口31側に配置されている。本実施形態では、インペラ14の先端面14bよりも吸入口31側がインペラ14の吸入側に対応する。
ハウジング11には、インペラ室32より回転軸12の径方向外側に配置されたディフューザ流路33と、ディフューザ流路33と連通している吐出室34とが区画されている。ディフューザ流路33は、フロントハウジング21の底面21cとモータハウジング22の一方面22bとによって区画された流路であり、インペラ14(及びインペラ室32)を囲むように環状(詳細には円環状)に形成されている。ディフューザ流路33は、インペラ14の吐出側に設けられており、インペラ室32と連通している。
吐出室34は、フロントハウジング21とモータハウジング22とが突き合わさることによって形成されており、ディフューザ流路33より回転軸12の径方向外側に配置されている。インペラ室32と吐出室34とは、ディフューザ流路33を介して連通している。インペラ14の回転によって圧縮された冷媒は、ディフューザ流路33を流れることにより、更に圧縮されて吐出室34に流れることとなる。
ここで、ディフューザ流路33から吐出室34へ流入した冷媒を圧縮冷媒とする。当該圧縮冷媒は、吸入冷媒よりも高圧である。本実施形態では、圧縮冷媒が「圧縮流体」に対応する。圧縮冷媒は、ハウジング11に設けられた吐出口35を介して、凝縮器201に向けて吐出される。
すなわち、冷媒は、基本的には、吸入口31→インペラ室32→ディフューザ流路33→吐出室34→吐出口35の順に流れる。なお、本実施形態において、上流又は下流とは、上記冷媒の流れを基準にする。
電動モータ13は、回転軸12(詳細には回転軸12の本体部12a)に固定されたロータ41と、ロータ41の外側に配置されるものであってモータハウジング22の内面に固定されたステータ42とを備えている。ロータ41の軸線とステータ42の軸線は、回転軸12の軸線と同一軸線上に配置されており、回転軸12の径方向に対向している。
ステータ42は、円筒形状のステータコア43と、ステータコア43に捲回されたコイル44とを備えている。コイル44に電流が流れることによって、ロータ41と回転軸12とが一体的に回転する。
エンドプレート23は、略有底円筒形状のモータハウジング22の外径と同一径の円板状のプレート本体部23aと第2ボス23bとを有している。
図1に示すように、エンドプレート23とモータハウジング22とは、電動モータ13が収容されるモータ室36を区画している。モータ室36は、モータハウジング22の開口側端部(モータハウジング22の底部22aとは反対側の端部)がプレート本体部23aに突き合わさることによって区画されている。
プレート本体部23aは貫通孔23aaを有している。
第2ボス23bは、貫通孔23aaより貫通孔23aaの径方向外側(貫通孔23aaに挿通される本体部12aの径方向外側)に、プレート本体部23aのモータハウジング22と当接する一方面23cから立設するように設けられている。
本実施形態では、貫通孔23aaの径と第2ボス23bの内径とが同一となっている。
ボス22d,23bは、ロータ41に対して回転軸12の軸線方向Zの両側に配置されている。
第2ボス23b内には、回転軸12の本体部12aにおける基端部12c側が収容される。
ここで、ボス22d,23bは、回転軸12の本体部12aの径よりも若干長い内径を有する円筒形状である。そして、ボス22d,23bの内周面と回転軸12の本体部12aとの間には、回転軸12を回転可能な状態で支持するラジアル軸受50が設けられている。なお、ラジアル軸受50の具体的な構成は任意であるが、例えば回転軸12の回転に伴って発生する動圧によって非接触で回転軸12を支持する動圧軸受等が考えられる。
図1に示すように、回転軸12の基端部12cには、板状の支持プレート(スラストライナ)60が設けられる。
リアハウジング24は、例えば底部24aを有する有底円筒形状である。
リアハウジング24とエンドプレート23とは、支持プレート60が収容されるスラスト室61を区画している。スラスト室61は、リアハウジング24の開口側端部(リアハウジング24の底部24aとは反対側の端部)がプレート本体部23aにおける一方面23cとは反対側の他方面23dに突き合わさることによって区画されている。
リアハウジング24と支持プレート60との間には第1スラスト軸受62が設けられており、エンドプレート23と支持プレート60との間には第2スラスト軸受63が設けられている。スラスト軸受62,63は、インペラ14の回転によって生じるスラスト力を受ける。
ここで、本実施形態の遠心圧縮機10は、吸入冷媒と圧縮冷媒との圧力比である圧縮比CRを調整するための構成を備えている。当該構成について以下に詳細に説明する。
図1に示すように、遠心圧縮機10は、インペラ14に向けて吸入される吸入冷媒の圧力である吸入圧力Psを検出する吸入圧力検出部としての吸入圧力センサ71を備えている。吸入圧力センサ71は、フロントハウジング21の貫通孔21aの内壁面21bのうちインペラ14よりも上流側の位置に設けられている。
また、遠心圧縮機10は、インペラ14の回転及びディフューザ流路33の通過によって圧縮された圧縮冷媒の圧力である圧縮圧力Pdを検出する圧縮圧力検出部としての圧縮圧力センサ72を備えている。圧縮圧力センサ72は、例えば吐出口35の内壁に設けられている。なお、圧縮圧力センサ72の位置については、これに限られず、圧縮冷媒の圧力を検出できる位置であれば任意である。
遠心圧縮機10は、圧縮冷媒の一部をインペラ14の吸入側に戻すバイパス流路73を備えている。バイパス流路73は、フロントハウジング21に形成されており、吐出室34と、フロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側の空間とを連通している。詳細には、バイパス流路73における一方の開口である第1開口73aは、吐出室34を区画する区画壁に設けられており、バイパス流路73における他方の開口である第2開口73bは、フロントハウジング21の貫通孔21aの内壁面21bのうちインペラ14(詳細にはインペラ14の先端面14b)よりも上流側の位置に設けられている。
ちなみに、吸入圧力センサ71及び第2開口73bの相対位置は、吸入圧力センサ71が第2開口73bよりも下流側に配置されるように設定されている。なお、第1開口73aは、バイパス流路73の吸入口又は入口とも言え、第2開口73bは、バイパス流路73の吐出口又は出口とも言える。
図1に示すように、遠心圧縮機10は、バイパス流路73上に設けられた制御弁としての電磁弁74を備えている。電磁弁74は、開放状態又は閉鎖状態に切り替わるものである。電磁弁74が開放状態である場合、バイパス流路73を介して、吐出室34と、フロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側の空間とが連通するため、フロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側への圧縮冷媒の移動が可能となる。一方、電磁弁74が閉鎖状態である場合、吐出室34と、フロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側の空間とは遮断されるため、バイパス流路73を介した圧縮冷媒の移動は規制されている。
遠心圧縮機10は、電磁弁74を制御する制御部75を備えている。両圧力センサ71,72は、その検出結果を制御部75に送信する。このため、制御部75は、吸入圧力Psと圧縮圧力Pdとを把握可能となっている。
制御部75は、遠心圧縮機10の運転中、圧縮比CRを制御する圧縮比制御処理を定期的に実行する。当該圧縮比制御処理について図2を用いて説明する。
図2に示すように、制御部75は、まずステップS101にて、各圧力センサ71,72の検出結果に基づいて、吸入圧力Ps及び圧縮圧力Pdを把握する。続くステップS102では、制御部75は、ステップS101にて把握された吸入圧力Ps及び圧縮圧力Pdに基づいて、吸入圧力Psに対する圧縮圧力Pdの比率である圧縮比CR(=Pd/Ps)を算出する。
その後、制御部75は、ステップS103にて、電磁弁74が閉鎖状態であるか否かを判定する。制御部75は、電磁弁74が閉鎖状態である場合には、ステップS104に進み、ステップS102にて算出された圧縮比CRが予め定められた閾値圧縮比CRth以上であるか否かを判定する。
ここで、閾値圧縮比CRthは、インペラ14の表面14cからの冷媒の剥離が発生する圧縮比である。詳細には、閾値圧縮比CRthは、インペラ14を流れる冷媒の速度が音速に達する圧縮比CRであり、例えば「4」である。
制御部75は、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満である場合には、そのまま本圧縮比制御処理を終了する一方、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上である場合には、ステップS105にて、電磁弁74を閉鎖状態から開放状態に切り替えて、本圧縮比制御処理を終了する。すなわち、制御部75は、電磁弁74が閉鎖状態である状況において圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となることに基づいて、電磁弁74を、閉鎖状態から開放状態に切り替える。
また、制御部75は、電磁弁74が閉鎖状態でない場合、すなわち電磁弁74が開放状態である場合には、ステップS103を否定判定し、ステップS106に進み、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満であるか否かを判定する。制御部75は、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上である場合には、そのまま本圧縮比制御処理を終了する一方、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満である場合には、ステップS107に進み、電磁弁74を開放状態から閉鎖状態に切り替えて、本圧縮比制御処理を終了する。
すなわち、制御部75は、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上である場合には、電磁弁74を開放状態にする一方、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満である場合には、電磁弁74を閉鎖状態にする。
次に本実施形態の作用について説明する。
圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上である場合には、電磁弁74が開放状態となるため、バイパス流路73を介して、インペラ14の吐出側(詳細には吐出室34)と、インペラ14の吸入側(詳細にはフロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側の空間)とが連通する。これにより、吐出室34に充填されている圧縮冷媒の一部が、インペラ14の吸入側に流入する。したがって、圧縮比CRが低下する。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)遠心圧縮機10は、回転軸12と、回転軸12に連結されたインペラ14とを備え、当該インペラ14の回転によって流体としての冷媒を圧縮して吐出するものである。遠心圧縮機10は、インペラ14に向けて吸入される吸入冷媒の圧力である吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ71と、インペラ14の回転によって圧縮されたものであって吸入冷媒よりも高圧の圧縮冷媒の圧力である圧縮圧力Pdを検出する圧縮圧力センサ72とを備えている。遠心圧縮機10は、圧縮冷媒の一部をインペラ14の吸入側に戻すバイパス流路73と、当該バイパス流路73上に設けられた制御弁としての電磁弁74とを備えている。そして、遠心圧縮機10は、電磁弁74が閉鎖状態である状況において、両圧力センサ71,72の検出結果から算出される圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となることに基づいて、電磁弁74を閉鎖状態から開放状態に切り替える制御部75を備えている。
かかる構成によれば、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となることに基づいて、電磁弁74が閉鎖状態から開放状態に切り替わることによって、バイパス流路73を介して、比較的高圧の圧縮冷媒の一部がインペラ14の吸入側に流入する。これにより、圧縮比CRが低下するため、圧縮比CRが過度に高くなることを抑制できる。よって、遠心圧縮機10の運転の安定性の向上を図ることができる。
ここで、圧縮比CRが過度に高くなると、冷媒がインペラ14の表面14cから剥離する事態が発生する。この場合、遠心圧縮機10の運転の安定性が低下する。これに対して、本実施形態では、電磁弁74が閉鎖状態から開放状態に切り替わる契機となる閾値圧縮比CRthは、インペラ14の表面14cからの冷媒の剥離が発生する圧縮比CRに設定されている。これにより、冷媒がインペラ14の表面14cから剥離する事態を抑制することができるため、運転の安定性の向上を図ることができる。
(2)特に、本発明者は、圧縮比CRが「4」以上となることによって、運転の安定性が著しく低下することを見出した。この点、本実施形態では、閾値圧縮比CRthは「4」に設定されている。これにより、より好適に運転の安定性の向上を図ることができる。
(3)制御部75は、電磁弁74が開放状態である状況において圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満となることに基づいて、電磁弁74を、開放状態から閉鎖状態に切り替える。これにより、インペラ14の吸入側への圧縮冷媒の流入が規制されるため、圧縮冷媒の一部がインペラ14の吸入側に流入することに起因する効率の低下を抑制できる。よって、運転の安定性と効率の低下の抑制との両立を図ることができる。
(4)遠心圧縮機10は、空冷式の車両用空調装置200に用いられるものであり、遠心圧縮機10による圧縮対象となる流体はフロン冷媒である。
ここで、ビルや工場等で用いられる水冷式の空調装置で用いられる遠心圧縮機と、本実施形態のような空冷式の車両用空調装置200で用いられる遠心圧縮機10とでは、水冷式と空冷式との違いから、求められる圧縮比CRが異なる。詳細には、空冷式の車両用空調装置200で用いられる遠心圧縮機10の圧縮比CRは、水冷式の空調装置で用いられる遠心圧縮機の圧縮比CRよりも高い値が求められ易い。
更に、遠心圧縮機10の圧縮対象となる流体はフロン冷媒である。当該フロン冷媒は、空気よりも重いため、フロン冷媒の音速は、空気の音速よりも低い。例えば、フロン冷媒としてのR−134aの音速は154m/sである。このため、圧縮対象の流体が空気である場合と比較して、インペラ14を流れる流体の速度が音速に達し易く、インペラ14の表面14cからの流体の剥離が生じ易い。すなわち、閾値圧縮比CRthが、インペラ14を流れる流体の速度が音速に達する圧縮比CRに設定されている構成においては、圧縮対象となる流体がフロン冷媒である場合、圧縮対象となる流体が空気等である場合と比較して、閾値圧縮比CRthが低くなる。
以上のことから、遠心圧縮機10が空冷式の車両用空調装置200に用いられ、且つ、遠心圧縮機10による圧縮対象となる流体がフロン冷媒である場合には、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となり易い。
これに対して、本実施形態では、上記のように、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となることに基づいて、バイパス流路73を介して圧縮冷媒の一部がインペラ14の吸入側に戻る。これにより、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となり易い構成において、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上となることを好適に抑制できる。
(5)遠心圧縮機10は車両に搭載されているものであって、車両用空調装置200に用いられる。ここで、車両用空調装置200においては、車両の走行状況や周囲の環境等によって吸入圧力Psが変動し易い。このため、吸入圧力Psが安定しないことに起因して、圧縮比CRが過度に高くなる場合が生じ得る。これに対して、本実施形態では、上記のように電磁弁74を制御することにより、圧縮比CRが過度に高くなることを好適に抑制できる。これにより、吸入圧力Psが変動し易い状況においても、遠心圧縮機10の運転の安定性の向上を図ることができる。
(6)バイパス流路73は、インペラ14の吸入側(詳細にはフロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側)に配置された第2開口73bを有している。そして、吸入圧力センサ71及びバイパス流路73の第2開口73bの相対位置は、吸入圧力センサ71が第2開口73bよりも下流側に配置されるように設定されている。換言すれば、バイパス流路73の第2開口73bは、吸入圧力センサ71よりも上流側に配置されている。これにより、吸入圧力センサ71にて検出される吸入圧力Psは、圧縮冷媒の流入が反映された値となるため、算出される圧縮比CRの精度向上を図ることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、インペラの数及び冷媒の流れが第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の遠心圧縮機10は、2つのインペラ101,111と、インペラ101,111が収容されたフロントハウジング120とを備えている。
フロントハウジング120は、3つのパーツ121〜123で構成されており、各パーツ121〜123は、中間パーツ123を第1パーツ121及び第2パーツ122で挟持した状態でユニット化されている。
第1パーツ121は、第1実施形態のフロントハウジング21と同様の形状であり、貫通孔121aを有している。貫通孔121aは貫通孔21aと同一形状である。貫通孔121aの縮径側が吸入口131として機能する。回転軸12の先端部12bの一部は、貫通孔121aに収容されている。
第2パーツ122は、略円柱形状である。第2パーツ122は、中間パーツ123とモータハウジング130との間に配置されている。第2パーツ122は、当該第2パーツ122の軸線方向の両端面のうちモータハウジング130側の一方面122aから凹んだ凹部122bと、凹部122bの底面に設けられた貫通孔122cと、を有している。貫通孔122cは、回転軸12の軸線方向Zに貫通しており、当該軸線方向Zの途中位置から中間パーツ123に向かうに従って徐々に拡径している。回転軸12の先端部12bの一部は、凹部122b及び貫通孔122cに収容されている。
中間パーツ123は、略円板状である。中間パーツ123は、回転軸12の先端部12bが挿通可能な貫通孔123aを有している。回転軸12の先端部12bの一部は、貫通孔123aに収容されている。
第1インペラ101は、第1実施形態のインペラ14と同様に、その基端面101aから先端面101bに向けて徐々に縮径した略円錐台形状である。第1インペラ101は、回転軸12の先端部12bにおける第1パーツ121の貫通孔121a内に配置されている部分に連結されており、貫通孔121aの拡径側から貫通孔121a内に挿通されている。第1インペラ101の先端面101bは基端面101aよりも吸入口131側に配置されている。第1インペラ101は、中間パーツ123における軸線方向の両端面のうち第1パーツ121側の一方面123bと、第1パーツ121の貫通孔121aの内壁面121bとによって区画された円錐台形状の第1インペラ室102に収容されている。つまり、貫通孔121aは、第1インペラ室102と吸入口131として機能する。第1インペラ室102と吸入口131とは連通している。
第2インペラ111は、その基端面111aから先端面111bに向けて徐々に縮径した略円錐台形状である。本実施形態では、第2インペラ111は、第1インペラ101と同一に形成されている。第2インペラ111は、その基端面111aが第1インペラ101の基端面101aと対向するように配置されている。つまり、両インペラ101,111は、互いに基端面101a,111a同士が対向するように配置されている。第2インペラ111は、回転軸12の先端部12bにおける第2パーツ122の貫通孔122c内に配置されている部分に連結されている。第2インペラ111は、第2パーツ122の貫通孔122cの拡径側から貫通孔122c内に挿通されている。第2インペラ111は、中間パーツ123における一方面123bとは反対側の他方面123cと、第2パーツ122の貫通孔122cの内壁面122dとによって区画された円錐台形状の第2インペラ室112に収容されている。
また、フロントハウジング120には、第1インペラ室102に対して回転軸12の径方向外側に配置された第1ディフューザ流路103と、第1ディフューザ流路103と連通している第1吐出室104とが区画されている。これらについては第1実施形態のディフューザ流路33と吐出室34と同様であるため、詳細な説明を省略する。
同様に、フロントハウジング120には、第2インペラ室112に対して回転軸12の径方向外側に配置された環状の第2ディフューザ流路113と、第2ディフューザ流路113よりも外周側に設けられているものであって第2ディフューザ流路113と連通している第2吐出室114とが区画されている。第2インペラ室112と第2吐出室114とは、第2ディフューザ流路113を介して連通している。第2吐出室114の冷媒は、フロントハウジング120に形成された吐出口132を介して吐出される。
図3に示すように、本実施形態のモータハウジング130は、第1実施形態のモータハウジング22と同様に、底部130aと当該底部130aから立設した第1ボス22dとを有している。モータハウジング130の底部130aには、第2パーツ122の凹部122bと連通する貫通孔130bが形成されている。貫通孔130bは、底部130aにおいて軸線方向Zから見て第1ボス22dと重なる部分及び第1ボス22dの周囲の部分との双方に跨って形成されている。モータ室36と第2パーツ122の貫通孔122cとは、凹部122b及び貫通孔130bを介して連通している。
なお、貫通孔130bは、底部130aの周方向に複数配列されている。つまり、モータハウジング130の底部130aと第1ボス22dとは、モータ室36と第2インペラ室112とが連通している状態で一体化されている。
ハウジング11は、第1吐出室104とモータ室36とを連通する中間圧通路134を有している。詳細には、中間パーツ123には、中間圧通路134を構成するものであって第1吐出室104と連通している貫通孔123dが形成されている。第2パーツ122には、中間圧通路134を構成するものであって貫通孔123dと連通する貫通孔122eが形成されている。また、モータハウジング130には、中間圧通路134を構成するものであって貫通孔122eと連通する貫通孔130cが形成されている。これらの貫通孔122e,123d,130cによって、中間圧通路134が形成される。
かかる構成によれば、冷媒は、吸入口131→第1インペラ室102→第1ディフューザ流路103→第1吐出室104→中間圧通路134→モータ室36→第2インペラ室112→第2ディフューザ流路113→第2吐出室114の順に流れる。この場合、吸入口131から吸入された低圧冷媒(低圧流体)は、第1インペラ101の回転、及び、第1ディフューザ流路103の通過によって圧縮される。これにより、第1吐出室104には、低圧冷媒よりも高圧の中間圧冷媒(中間圧流体)が充填される。当該中間圧冷媒は、中間圧通路134を介してモータ室36に流れる。そして、中間圧冷媒が第2インペラ室112に流入し、第2インペラ111の回転、及び、第2ディフューザ流路113の通過によって更に圧縮される。これにより、第2吐出室114には、中間圧冷媒よりも高圧の高圧冷媒(高圧流体)が充填され、当該高圧冷媒が吐出口132から吐出される。
すなわち、第1インペラ101は、回転することによって低圧冷媒を圧縮して中間圧冷媒を生成するものであり、第2インペラ111は、回転することによって中間圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を生成するものである。本実施形態では、第1インペラ101が「1次インペラ」に対応し、第2インペラ111が「2次インペラ」に対応する。
かかる構成において、圧縮圧力センサ72は、中間圧通路134の内壁に設けられている。すなわち、本実施形態では、圧縮圧力センサ72は、圧縮圧力Pdとして、中間圧冷媒の圧力を検出する。
なお、吸入圧力センサ71は、第1実施形態と同様に、第1パーツ121の貫通孔121a内における第1インペラ101よりも上流側の位置、すなわち低圧冷媒が流れる位置に設けられており、吸入圧力Psとして低圧冷媒の圧力を検出する。また、バイパス流路73は、第1実施形態と同様に、第1吐出室104と、第1パーツ121の貫通孔121a内における第1インペラ101よりも上流側の空間とを連通させており、中間圧冷媒の一部を第1インペラ101の吸入側に戻すのに用いられる。
制御部75は、遠心圧縮機10の運転中(電動モータ13の回転中)、定期的に圧縮比CRとして、低圧冷媒の圧力と中間圧冷媒の圧力との比率を算出する。そして、制御部75は、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth以上である場合には、電磁弁74を開放状態にする一方、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth未満である場合には、電磁弁74を閉鎖状態にする。この具体的な制御態様については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上詳述した本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
(7)遠心圧縮機10は、回転することによって低圧冷媒を圧縮して中間圧冷媒を生成する第1インペラ101と、回転することによって中間圧冷媒を圧縮して高圧冷媒を生成する第2インペラ111とを備えている。これにより、2段階の圧縮が行われるため、各段階の圧縮比CRを低くすることができる。
かかる構成において、吸入圧力センサ71は、吸入圧力Psとして低圧冷媒の圧力を検出し、圧縮圧力センサ72は、圧縮圧力Pdとして中間圧冷媒の圧力を検出する。バイパス流路73は、中間圧冷媒の一部を第1インペラ101の吸入側に戻すものである。そして、制御部75は、検出された吸入圧力Psと圧縮圧力Pdとに基づいて圧縮比CRを算出し、当該圧縮比CRと閾値圧縮比CRthとの比較結果に応じて電磁弁74を制御する。これにより、(1)〜(6)の効果を得ることができる。
ここで、低圧冷媒の圧力は、車両用空調装置200の動作状況や車両の走行状況等に応じて変動し易い。例えば、車両用空調装置200がヒートポンプとして機能している場合には、低圧冷媒の圧力が過度に低くなる場合がある。このため、低圧冷媒の圧力と中間圧冷媒の圧力との比率は、中間圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力との比率よりも、高くなり易い。よって、低圧冷媒の圧力と中間圧冷媒の圧力との比率は、閾値圧縮比CRth以上となる事態が発生し易い。
この点、本実施形態では、上記のような低圧冷媒の圧力変動に着目して、電磁弁74の制御に用いられる圧縮比CRとして、中間圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力との比率ではなく、低圧冷媒の圧力と中間圧冷媒の圧力との比率が採用されている。そして、バイパス流路73を介して、中間圧冷媒の一部が第1インペラ101の吸入側に戻ることが可能となっている。これにより、上記低圧冷媒の圧力変動に起因する圧縮比CRの過度な上昇に対して好適に対応できる。
(8)バイパス流路73は、中間圧冷媒の一部を第1インペラ101の吸入側に戻すものである。これにより、高圧冷媒の一部を第1インペラ101の吸入側に戻す構成と比較して、圧縮比CRを緩やかに低下させることができるため、運転の安定性の更なる向上を図ることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第2実施形態において、バイパス流路73は、中間圧冷媒に代えて高圧冷媒の一部を、第1インペラ101の吸入側に戻す構成としてもよい。詳細には、バイパス流路は、第2吐出室114と、第1パーツ121の貫通孔121a内における第1インペラ101よりも上流側の空間とを連通させてもよい。この場合、応答性の向上を図ることができ、圧縮比CRを迅速に低下させることができる。但し、圧縮比CRの安定性の観点に着目すれば、中間圧冷媒の一部を戻す構成の方が好ましい。
○ 第2実施形態において、例えばモータ室36の内壁に吸入圧力センサ71が設けられ、吐出口132の内壁に圧縮圧力センサ72が設けられ、電磁弁74の制御に用いられる圧縮比CRとして中間圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力との比率が採用されてもよい。この場合、バイパス流路は、モータ室36、中間圧通路134又は第1吐出室104のいずれかと、第2吐出室114とを連通させる構成であってもよい。
○ 第2実施形態では、第1インペラ101が「1次インペラ」に対応し、第2インペラ111が「2次インペラ」に対応していたが、これに限らない。例えば、図4に示すように、遠心圧縮機10は、第1インペラ室102と連通する吸入口131(以降第1吸入口131という)とは別に、モータハウジング130に設けられた第2吸入口141を有している構成であってもよい。かかる構成においては、フロントハウジング120には、第2吐出室114と連通する吐出口132(以降第2吐出口132という)とは別に、第1吐出室104と連通する第1吐出口142が形成されている。そして、凝縮器201は、第1吐出口142に接続されており、蒸発器204は、第2吸入口141に接続されているとよい。そして、遠心圧縮機10は、第2吐出口132と第1吸入口131とを接続する配管143を備えているとよい。また、本別例においては、中間圧通路134は省略されている。
本別例においては、第2吸入口141から低圧冷媒が吸入される。低圧冷媒は、モータ室36を通って、第2インペラ室112に向けて流れる。低圧冷媒は、第2インペラ111の回転等によって圧縮されて、中間圧冷媒となる。中間圧冷媒は、第2吐出口132から第1吸入口131に向けて流入する。第1インペラ101に向けて吸入される中間圧冷媒は、第1インペラ101の回転等によって圧縮されて、高圧冷媒となる。そして、当該高圧冷媒は、第1吐出口142から吐出される。すなわち、本別例においては、第2インペラ111が「1次インペラ」に対応し、第1インペラ101が「2次インペラ」に対応する。
なお、上記別例においては、例えば図4に示すように、吸入圧力センサ71は、第1パーツ121の貫通孔121a内における第1インペラ101よりも上流側の位置に設けられ、中間圧冷媒の圧力を検出する構成であってもよい。そして、圧縮圧力センサ72は、第1吐出口142の内壁に設けられ、高圧冷媒の圧力を検出するものであってもよい。この場合、電磁弁74の制御に用いられる圧縮比CRとして、中間圧冷媒の圧力と高圧冷媒の圧力との比率が採用される。
○ 第2実施形態において、第1インペラ101と第2インペラ111とは、異なる大きさであってもよい。例えば、第2インペラ111の基端面111aの径は、第1インペラ101の基端面101aの径よりも短く設定されていてもよい。
○ また、第1インペラ101と第2インペラ111とは一体化されていてもよい。この場合、両基端面101a,111a同士が接触していてもよい。
○ 車両用空調装置200は、気液分離器202により分離された中間段の気体冷媒を遠心圧縮機10に供給するガスインジェクション回路を有する構成であってもよい。詳細には、例えば第2実施形態において、第2吸入口141を設け、当該第2吸入口141に上記中間段の気体冷媒が吸入されるように構成されているとよい。
○ 制御弁として、流量(換言すれば開度)の調整が可能な比例制御弁を採用してもよい。この場合、制御部75は、圧縮比CRが閾値圧縮比CRth又は当該閾値圧縮比CRthよりも若干低い値を維持するように、比例制御弁を制御する構成としてもよい。この場合、遠心圧縮機10の運転の安定性の更なる向上を図ることができる。
○ 第1実施形態では、バイパス流路73は、インペラ14の回転とディフューザ流路33の通過とによって圧縮された圧縮冷媒の一部を、インペラ14の吸入側に戻す構成であったが、これに限られない。例えば、バイパス流路は、ディフューザ流路33を通過する前又は通過中の圧縮冷媒の一部をインペラ14の吸入側に戻す構成であってもよい。具体的には、バイパス流路73は、ディフューザ流路33の途中位置にて連通していてもよいし、インペラ14とディフューザ流路33との境界位置にて連通していてもよい。この場合であっても、バイパス流路を介して、フロントハウジング21の貫通孔21a内におけるインペラ14よりも上流側の空間に流入する冷媒は、インペラ14の回転によって、吸入冷媒よりも高圧になっている。すなわち、「圧縮流体」とは、インペラ14の回転によって圧縮された流体であればよく、ディフューザ流路33の通過前、通過中又は通過後のいずれであってもよい。第2実施形態においても同様である。
○ 第1実施形態において、圧縮圧力センサ72及びバイパス流路73の第2開口73bの双方は、インペラ14の先端面14bよりも上流側に配置されていたが、これに限られず、例えば、両者の少なくとも一方が、インペラ14の先端面14bよりも下流側であって、羽根14dよりも上流側の位置に設けられていてもよい。要は、「インペラの吸入側」とは、インペラ14よりも吸入口31側だけでなく、インペラ14の先端面14bよりも基端面14a側の一部、詳細には羽根14dよりも吸入口31側の領域を含む。第2実施形態についても同様である。
○ 冷媒はフロン冷媒に限られず、任意である。
○ 遠心圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず、任意である。
○ 実施形態の遠心圧縮機10は、空冷式の車両用空調装置200に用いられていたが、これに限られず、他の用途に用いてもよい。例えば、車両が燃料電池を搭載した燃料電池車両(FCV)である場合には、当該遠心圧縮機10は、上記燃料電池に空気を供給する供給装置に用いられてもよい。要は、圧縮対象の流体は、任意であり、冷媒であってもよいし空気などであってもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)前記バイパス流路は、前記インペラの吸入側に配置された開口を有し、当該開口は、前記吸入圧力検出部よりも上流側に配置されている請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
(ロ)前記遠心圧縮機は車両に搭載されている請求項1〜5及び(イ)のうちいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、12…回転軸、14…インペラ、71…吸入圧力センサ(吸入圧力検出部)、72…圧縮圧力センサ(圧縮圧力検出部)、73…バイパス流路、74…電磁弁(制御弁)、75…制御部、101…第1インペラ、111…第2インペラ、200…車両用空調装置、CR…圧縮比、CRth…閾値圧縮比。

Claims (5)

  1. 回転軸に連結されたインペラの回転によって流体を圧縮して吐出する遠心圧縮機において、
    前記インペラに向けて吸入される吸入流体の圧力を検出する吸入圧力検出部と、
    前記インペラの回転によって圧縮された流体であって前記吸入流体よりも高圧の流体である圧縮流体の圧力を検出する圧縮圧力検出部と、
    前記圧縮流体の一部を前記インペラの吸入側に戻すバイパス流路と、
    前記バイパス流路上に設けられた制御弁と、
    を備え、
    前記インペラの表面からの流体の剥離が発生する圧縮比を閾値圧縮比とすると、
    前記遠心圧縮機は、前記制御弁が閉鎖状態である状況において、前記吸入圧力検出部と前記圧縮圧力検出部との検出結果から算出される圧縮比が前記閾値圧縮比以上となることに基づいて、前記制御弁を、前記閉鎖状態から開放状態に切り替える制御部を備えていることを特徴とする遠心圧縮機。
  2. 前記閾値圧縮比は4である請求項1に記載の遠心圧縮機。
  3. 前記制御部は、前記制御弁が前記開放状態である状況において、前記圧縮比が前記閾値圧縮比未満となることに基づいて、前記制御弁を、前記開放状態から前記閉鎖状態に切り替える請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
  4. 前記インペラとして、
    回転することによって低圧流体を圧縮して中間圧流体を生成する1次インペラと、
    回転することによって前記中間圧流体を圧縮して高圧流体を生成する2次インペラと、
    を有し、
    前記吸入圧力検出部は、前記吸入流体の圧力として前記低圧流体の圧力を検出し、
    前記圧縮圧力検出部は、前記圧縮流体の圧力として前記中間圧流体の圧力を検出し、
    前記バイパス流路は、前記中間圧流体又は前記高圧流体の一部を前記1次インペラの吸入側に戻すものである請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
  5. 前記遠心圧縮機は、空冷式の空調装置に用いられるものであり、
    前記流体はフロン冷媒である請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
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