JP2016098315A - 液状組成物、造形物および造形物の製造方法 - Google Patents

液状組成物、造形物および造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物の製造に好適に用いることができる液状組成物を提供すること、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物を提供すること、また、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物を効率よく製造することができる造形物の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の液状組成物は、セルロースおよびセルロース誘導体の少なくとも一方を含む材料で構成されたセルロース系材料と、反応性の官能基を有するイオン液体とを含むことを特徴とする。前記イオン液体は、イミダゾリウム塩構造を有するものであるのが好ましい。前記反応性の官能基は、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、液状組成物、造形物および造形物の製造方法に関する。
セルロースは、再生可能な資源で、地球上に莫大な蓄積量があるとともに、生体適合性
、分解性に優れ、環境にやさしい材料であることから、近年注目を浴び、その有効利用が
求められている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来においては、セルロースの用途としては、印刷用紙、段ボール紙等の紙製
品がほとんどで、そのほかに、繊維(セルロース繊維)等に利用されている程度で、セル
ロースが有する様々な特長を十分に生かしきれていないという問題があった。
特に、セルロースは、各種溶媒に対する溶解度が低く、高濃度の溶液を調製することが
困難であるため、所定の形状に成形する際に、均一性の高い液状組成物とすることが困難
であり、高い寸法精度の造形物を製造するのが困難であった。特に、近年、インクジェッ
ト法等を用いて三次元造形物を得る三次元造形法が注目されているが、セルロースを含む
組成物をインクジェット法等で安定的に吐出することは極めて困難であった。
また、セルロースは、その化学構造から、機械的強度に優れた部材を構成し得ることが
知られているが、実用レベルで、セルロースの特性を十分に発揮した高強度、高耐久性の
部材には、適用されていない。
特開平7−268724号公報
本発明の目的は、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物の製造に好
適に用いることができる液状組成物を提供すること、セルロース系材料を含み、寸法精度
、強度に優れた造形物を提供すること、また、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度
に優れた造形物を効率よく製造することができる造形物の製造方法を提供することにある
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液状組成物は、セルロースおよびセルロース誘導体の少なくとも一方を含む材
料で構成されたセルロース系材料と、
反応性の官能基を有するイオン液体とを含むことを特徴とする。
これにより、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物の製造に好適に
用いることができる液状組成物を提供することができる。
本発明の液状組成物では、前記イオン液体は、イミダゾリウム塩構造を有するものであ
ることが好ましい。
これにより、セルロース系材料の前記イオン液体(反応性イオン液体)に対する溶解性
を優れたものとすることができ、セルロース系材料をより高濃度で含む液状組成物を好適
に調製することができ、セルロース系材料を含む造形物をより高い寸法精度で製造するこ
とができる。また、液状組成物が、イミダゾリウム塩構造を有する反応性イオン液体を含
むものであると、セルロース系材料を含む液状組成物のインクジェット法等による吐出安
定性をより優れたものとすることができるため、造形物の生産性をより優れたものとする
ことができる。
本発明の液状組成物では、前記反応性の官能基は、炭素−炭素二重結合を含むものであ
ることが好ましい。
これにより、前記イオン液体(反応性イオン液体)の反応性を優れたものとすることが
でき、液状組成物を用いて製造される造形物の生産性をより優れたものとすることができ
る。また、製造される造形物中に未反応の反応性イオン液体(液体状態のもの)が不本意
に含まれることを効果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合
の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから、造形物の耐
久性、強度、信頼性をより優れたものとすることができる。また、反応性イオン液体と反
応する化合物(反応性イオン液体が有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅
が広がるため、反応性イオン液体の設計の幅が広がる。
本発明の液状組成物では、前記反応性の官能基は、(メタ)アクリロイル基であること
が好ましい。
これにより、前記イオン液体(反応性イオン液体)の反応性をさらに優れたものとする
ことができ、造形物の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的な造
形物中に未反応の反応性イオン液体が不本意に含まれることをより効果的に防止すること
ができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとする
ことができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をさらに優れたもの
とすることができる。また、反応性イオン液体と反応する化合物(反応性イオン液体が有
する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、反応性イオン液体の設
計の幅がさらに広がる。
本発明の液状組成物では、液状組成物中における前記イオン液体の含有率をX[質量
%]、液状組成物中における前記セルロース系材料の含有率をX[質量%]としたとき
、1≦X/X≦40の関係を満足することが好ましい。
これにより、セルロース系材料が本来有している特長をより効果的に発揮させつつ、液
状組成物を用いて製造される造形物の寸法精度、機械的強度、耐久性、信頼性等をより優
れたものとすることができる。
本発明の液状組成物では、液晶性部位を有する前記セルロース誘導体を含むことが好ま
しい。
これにより、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性、信頼性等を
より優れたものとすることができる。
本発明の造形物は、本発明の液状組成物を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物を提供すること
ができる。
本発明の造形物の製造方法は、組成物を用いて層を形成する層形成工程を複数回行い、
前記層を積層し三次元造形物を製造する方法であって、
前記三次元造形物を構成すべき領域に、本発明の液状組成物を付与し、その後、前記反
応性の官能基が関与する化学反応を進行させることを特徴とする。
これにより、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物を効率よく製造
することができる造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の造形物の製造方法では、前記液状組成物は、インクジェット法により付与され
るものであることが好ましい。
これにより、液状組成物の付与パターンがより微細な形状のものであっても、より高い
再現性で液状組成物を付与することができる。その結果、最終的に得られる造形物の寸法
精度をより高いものとすることができる。また、従来においては、インクジェット法を用
いてセルロース系材料を含む材料で構成された造形物を製造しようとした場合に、造形物
の寸法精度等が低いものとなるという問題がより顕著に発生していたが、本発明では、イ
ンクジェット法を用いた場合でも、このような問題の発生を確実に防止することができる
。すなわち、インクジェット法を用いて液状組成物を付与する場合に、本発明の効果がよ
り顕著に発揮される。
本発明の造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造に用いる製造装置の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の造形物の製造に用いる製造装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする
《液状組成物》
まず、本発明の液状組成物について詳細に説明する。
本発明の液状組成物は、セルロースおよびセルロース誘導体の少なくとも一方を含む材
料で構成されたセルロース系材料と、イオン液体とを含むものである。
イオン液体は、液体状態で存在する塩であり、一般に、通常の固体状の塩に比べて、イ
オンの大きさ(イオンとして機能する原子団の大きさ)が大きいものである。
そして、本発明の液状組成物に含まれるイオン液体は、反応性の官能基(反応性官能基
)を有するものである。
このようなイオン液体(反応性イオン液体)は、セルロース系材料を好適に溶解するこ
とができるものであり、高濃度でセルロース系材料を溶解させることができる。このため
、セルロース系材料は、反応性官能基を有するイオン液体(反応性イオン液体)に高濃度
でかつ均一に溶解するものとなり、所定の形状の造形物を製造する際の成形性を優れたも
のとすることができ、製造される造形物の寸法精度を優れたものとすることができる。特
に、インクジェット法のような液状組成物を吐出する方法では、液状組成物の粘度が比較
的低いものであることが要求されるとともに、液状組成物中での組成の均一性が要求され
るが、セルロース系材料と前記のようなイオン液体(反応性イオン液体)とを含む液状組
成物では、このような要求を満足することができる。また、インクジェット法のような液
状組成物を吐出する方法において、固形分の希釈率の大きい液状組成物を用いると、溶媒
の除去に伴い、形成されたパターンが大きく変形し、最終的に得られる造形物の寸法精度
が著しく低下するという問題があるが、本発明では、吐出後の液状組成物からイオン液体
を除去する必要がないため、このような問題の発生を効果的に防止することができる。ま
た、インクジェット法等による液状組成物の吐出を円滑に行うことができ、造形物の生産
性を優れたものとすることができる。したがって、インクジェット法等を用いた三次元造
形法にも好適に適用することができる。
また、液状組成物が反応性の官能基(反応性官能基)を有するイオン液体(反応性イオ
ン液体)を含むものであることにより、液状組成物を用いて製造される造形物中に反応性
イオン液体の反応生成物を含ませることができる。その結果、製造される造形物は、例え
ば、反応性イオン液体の反応生成物によってセルロース系材料が好適に固定されたものと
なり、機械的強度、耐久性等に優れたものとなる。
また、液状組成物中に、高濃度でセルロース系材料を含ませることができるため、液状
組成物を用いて製造される造形物において、セルロース系材料の特長を十分に発揮させる
ことができる。
(セルロース系材料)
前述したように、本発明の液状組成物は、セルロースおよびセルロース誘導体の少なく
とも一方を含むものである。
セルロースはβ−グルコースがグリコシド結合により重合した化合物であるが、本発明
において、セルロース誘導体とは、セルロースから化学反応により誘導することができる
化合物であればよく、例えば、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の置換基
に変化させたもの(セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の化合物と縮合反応
させたもの等を含む)等が挙げられる。
なお、前記置換基は、すべての繰り返し単位(グルコース構造)について、同様に導入
されたものであってもよいし、繰り返し単位(グルコース構造)の一部にのみ導入された
ものであってもよい。また、繰り返し単位(グルコース構造)によって、前記置換基が導
入された部位が異なっていてもよい。
セルロースは、軽量で優れた強度を有する、生体適合性に優れる、分解性に優れ環境に
やさしい等の優れた特長を有している。セルロース系材料を含む本発明の液状組成物を用
いて製造される造形物は、上記のような優れた特長を効果的に発揮することができる。
本発明の液状組成物がセルロース誘導体を含むものである場合、当該セルロース誘導体
はいかなるものであってもよいが、イオン液体と共通の化学構造としてのイオン性部位を
有するものであるのが好ましい。
これにより、セルロース誘導体は、本発明の液状組成物に含まれる反応性の官能基を有
するイオン液体(反応性イオン液体)に対する溶解性がより優れたものとなる。その結果
、液状組成物においてセルロース誘導体は、より高濃度でかつより均一に溶解したものと
することができる。その結果、所定の形状の造形物を製造する際の成形性をより優れたも
のとすることができ、製造される造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる
また、イオン性部位を含むセルロース誘導体は、分子間の結合力も大きいものとなるた
め、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性等をより優れたものとす
ることができる。
イオン液体(イオン性部位)を構成する陽イオンとしては、例えば、イミダゾール系、
ピリジン系、脂環族アミン系、脂肪族アミン系等の各種陽イオンが挙げられる。
また、イオン液体(イオン性部位)を構成する陰イオンとしては、例えば、臭化物イオ
ンやトリフラート等のハロゲン系、テトラフェニルボレート等のホウ素系、ヘキサフルオ
ロホスフェート等のリン系等の各種陰イオンが挙げられる。
イオン液体の具体例としては、例えば、N−メチル−N−プロピルピロリヂウムビス(
フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオ
ロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロス
ルホニル)イミド、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化ブチルメチルイミダ
ゾリウム、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−
メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾ
リウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフ
ルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロ
メチル)スルホニルイミド、1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリウムビス(トリフ
ルオロメチル)スルホニルイミド、1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリウムジシア
ナミド、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビストリフル
オロスルホロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、1−メチル−3−プロピルイミ
ダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリ
ウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロ
ホスフェート等が挙げられる。
特に、セルロース誘導体が備えるイオン性部位は、イミダゾリウム塩構造を有するもの
であるのが好ましい。
これにより、液状組成物を構成する反応性イオン液体に対するセルロース誘導体の溶解
性をより優れたものとすることができ、セルロース誘導体をより高濃度で含む液状組成物
を好適に調製することができ、造形物をより高い寸法精度で製造することができる。また
、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性等をより優れたものとする
ことができる。また、セルロース誘導体が備えるイオン性部位がイミダゾリウム塩構造を
有するものであると、液状組成物のインクジェット法等による吐出安定性をより優れたも
のとすることができるため、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
イオン性部位としては、例えば、下記式(3)に示すようなものが挙げることができる
Figure 2016098315
(式(3)中、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
イオン性部位は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよいが
、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に化学反応により
導入されたものであるのが好ましい。すなわち、下記式(2)のRにイオン性部位が導
入されているのが好ましい。
Figure 2016098315
(式(2)中、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換
基を表す。ただし、少なくとも、分子内に少なくとも1つの前記イオン性部位を含む官能
基が導入されている。)
これにより、イオン性部位をセルロース誘導体の分子の外側に効率よく露出させること
ができる。その結果、セルロース誘導体の反応性イオン液体に対する溶解性をより優れた
ものとし、液状組成物を用いた造形物の成形性・生産性、造形物の寸法精度等をより優れ
たものとすることができ、インクジェット法等を用いた三次元造形法により好適に適用す
ることができる。また、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性をよ
り優れたものとすることができる。また、液状組成物の構成成分としてのセルロース誘導
体の合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コ
ストの低減にも寄与することができる。
セルロース誘導体の分子内には、複数個のイオン性部位が導入されているのが好ましい
これにより、前述したようなイオン性部位を有することによる効果がより顕著に発揮さ
れ、セルロース誘導体の反応性イオン液体に対する溶解性をより優れたものとし、液状組
成物を用いた造形物の成形性・生産性、造形物の寸法精度等をより優れたものとすること
ができ、インクジェット法等を用いた三次元造形法により好適に適用することができる。
また、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性をより優れたものとす
ることができる。
特に、複数個のイオン性部位は、セルロース骨格構造(基本骨格)に導入された繰り返
し構造を有する高分子鎖(側鎖)の繰り返し単位に導入されているものであるのが好まし
い。
これにより、セルロース誘導体の反応性イオン液体に対する溶解性をより優れたものと
し、液状組成物を用いた造形物の成形性・生産性、造形物の寸法精度等をより優れたもの
とすることができ、インクジェット法等を用いた三次元造形法により好適に適用すること
ができる。また、液状組成物を用いて製造される造形物の機械的強度、耐久性をより優れ
たものとすることができる。また、液状組成物の構成成分としてのセルロース誘導体の合
成を効率よく行うことができる。その結果、造形物(セルロース系部材)の生産コストの
低減にも寄与することができる。
このような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の具体例としては、下記式(7)
で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016098315
(式(7)中、n、mは、それぞれ独立に、2以上の整数であり、lは、1以上の整数で
あり、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(
CHCO)であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
セルロース誘導体は、液晶性部位を有するものであってもよい。
これにより、液状組成物を用いて製造される造形物(セルロース系部材)において、液
晶成分(液晶性部位)の配向(配列)による効果を、セルロース誘導体全体に反映させる
ことができ、造形物の機械的強度、耐久性、信頼性等をより優れたものとすることができ
る。特に、前述したように、本発明の液状組成物はセルロース系材料の溶解性に優れる反
応性イオン液体を含むものであるため、セルロース誘導体が反応性イオン液体に好適に溶
解した状態の液状組成物を用いて製造される造形物において、セルロース誘導体(液晶性
部位)を好適に配向させることができ、造形物の機械的強度、耐久性、信頼性等をより優
れたものとすることができる。
液晶性部位(液晶性を有する原子団)としては、例えば、下記式(6)に示すようなも
のが挙げることができる。
Figure 2016098315
液晶性部位(液晶性官能基)は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたもので
あってもよいが、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に
化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、上記式(2)のRに前
記官能基が導入されているのが好ましい。
これにより、液晶性部位(液晶性官能基)によるセルロース誘導体の配向の効果をより
顕著に発揮させることができ、造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたものとするこ
とができる。また、液状組成物の構成成分としてのセルロース誘導体の合成を効率よく行
うことができる。その結果、造形物の生産コストの低減にも寄与することができる。
セルロース誘導体の分子内には、複数個の液晶性部位(液晶性官能基)が導入されてい
るのが好ましい。
これにより、造形物中においてセルロース誘導体をより好適に配列させることができ、
造形物の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
特に、複数個の液晶性部位(液晶性官能基)は、セルロース骨格構造(基本骨格)に導
入された繰り返し構造を有する高分子鎖(側鎖)の繰り返し単位に導入されているもので
あるのが好ましい。
これにより、例えば、セルロース誘導体分子において、より確実に液晶性部位(液晶性
官能基)を規則的に存在させることができる。また、セルロース誘導体分子が有する複数
の液晶性部位(液晶性官能基)の条件を好適に揃えることができる。このようなことから
、造形物においてセルロース誘導体を高密度で存在させることができ、造形物の機械的強
度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
セルロース誘導体は、イオン性部位および液晶性部位を、それぞれ、ブロック状に有す
るものであるのが好ましい。言い換えると、セルロース誘導体は、複数個のイオン性部位
を含むブロックと、複数個の液晶性部位を含むブロックとを有するものであるのが好まし
い。
これにより、イオン性部位を有することによる効果、および、複数個の液晶性部位を有
することによる効果が、それぞれ、より顕著に発揮され、製造される造形物の寸法精度、
機械的強度等をより優れたものとすることができる。
このような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の具体例としては、例えば、下記
式(8)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016098315
(式(8)中、l、m、nは、それぞれ独立に、2以上の整数であり、R、R、R
、Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(CHCO)であり、R
は、下記式(9)であり、Rは、下記式(10)または下記式(11)である。)
Figure 2016098315
(式(9)中、kは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基で
ある。)
Figure 2016098315
Figure 2016098315
(式(10)、式(11)中、jは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)また
はアルキル基である。)
また、セルロース誘導体は、セルロース誘導体の分子鎖同士や、セルロース誘導体と反
応性イオン液体とを、共有結合により結合させる官能基(反応性官能基)を有するもので
あってもよい。
このように、セルロース誘導体の分子鎖同士や、セルロース誘導体と反応性イオン液体
とを、共有結合で結合することにより、造形物の機械的強度、信頼性等をより優れたもの
とし、セルロース系材料が本来有している特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性、環
境安全性等)をより効果的に発揮させることができる。
このような官能基(反応性官能基)としては、セルロース誘導体の分子同士、またはセ
ルロース誘導体と反応性イオン液体とを直接結合するものであってもよいし、他の原子(
少なくとも1個の原子)を介して、結合するものであってもよい。
前記官能基(反応性官能基)としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸
基、カルボキシル基等が挙げられるが、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好まし
い。
これにより、セルロース誘導体の反応性を優れたものとすることができ、液状組成物を
用いて製造される造形物の生産性をより優れたものとすることができる。また、製造され
る造形物中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含まれることを効果的に防止する
ことができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものと
することができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたも
のとすることができる。また、セルロース誘導体と反応する化合物(セルロース誘導体が
有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、造形物の設計の幅が
広がる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基(反応性官能基)としては、例えば、ビニル基、(メ
タ)アクリロイル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これにより、セルロース誘導体の反応性をさらに優れたものとすることができ、造形物
の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的な造形物中に未反応のセ
ルロース誘導体が不本意に多く含まれることをより効果的に防止することができる。また
、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。
このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をさらに優れたものとすることがで
きる。また、セルロース誘導体と反応する化合物(セルロース誘導体が有する反応性官能
基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、造形物の設計の幅が広がる。
前記反応性官能基は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよ
いが、セルロース骨格構造(基本骨格構造)とは異なる前記セルロース誘導体の側鎖に導
入されたものであるのが好ましい。
これにより、本来セルロースが有している特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性、
環境安全性等)をより効果的に発揮させつつ、反応性官能基を有することによる効果を発
揮させることができる。また、セルロース誘導体の側鎖は、一般に、セルロース骨格構造
(基本骨格構造)に比べて反応性が高いため、反応性官能基が関与する反応をより効率よ
く進行させることができる。
特に、前記反応性官能基は、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合
する水酸基に化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、上記式(2
)のRに前記反応性官能基が導入されているのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の立体障害を小さいものとすること等から、セルロース
誘導体の反応性を優れたものとすることができ、造形物の生産性をより優れたものとする
ことができる。また、最終的な造形物中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含ま
れることを防止することができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性
をより優れたものとすることができる。また、液状組成物の構成成分としてのセルロース
誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、造形物の生産コストの低減にも寄
与することができる。
また、前記反応性官能基は、基本となるセルロース構造に、少なくとも1つの炭素−炭
素単結合を介してセルロース骨格に導入されたものであるのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の反応性をより優れたものとすることでき、造形物の生
産性等をより優れたものとすることができる。
上記のような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の一例としては、下記式(12
)、式(13)、式(14)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016098315
Figure 2016098315
Figure 2016098315
(式(12)、式(13)、式(14)中、l、m、nは、それぞれ独立に、2以上の整
数であり、q、rは、それぞれ独立に、1以上の整数であり、R、R、R、R
、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(CHCO)であり、Rは、上
記式(9)である。)
セルロース誘導体が式(12)〜式(14)で示されるものであることにより、前述し
たような効果がより顕著に発揮される。
セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させる反応は、紫外線の照射によ
り進行するものであるのが好ましい。
これにより、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、造形物の生産性
をより優れたものとすることができる。また、造形物の製造装置の構成の複雑化を防止し
、造形物の生産コストを抑制することができる。
セルロース誘導体(特に、前記反応性官能基が炭素−炭素二重結合を含むものであるセ
ルロース誘導体)は、分子内に2個以上のS−H結合を有するシロキサン化合物と反応す
るものであるのが好ましい。
これにより、前記共有結合の形成効率をより優れたものとすることができ、造形物の生
産性をより優れたものとすることができる。また、造形物中に未反応のセルロース誘導体
が不本意に多く含まれることを効果的に防止することができる。また、反応により形成さ
れる共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから
、造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたものとすることができる。また、加熱によ
り、前記共有結合を形成する化学反応を好適に行うことができる。
セルロース誘導体が反応するシロキサン化合物は、分子内に2個以上のS−H結合を有
するものであるのが好ましいが、分子内に3個以上のS−H結合を有するものであるのが
より好ましい。
これにより、前記共有結合を形成する化学反応によって、より複雑な網目構造を形成す
ることができ、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
また、セルロース誘導体が反応する前記シロキサン化合物は、鎖状化合物であってもよ
いが、環状化合物であるのが好ましい。
これにより、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
このような条件を満足するシロキサン化合物(セルロース誘導体と反応するシロキサン
化合物)としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016098315
また、セルロース誘導体(特に、前記反応性官能基が炭素−炭素二重結合を含むもので
あるセルロース誘導体)は、架橋剤と反応するものであってもよい。
これにより、例えば、前記共有結合を形成する化学反応によって、より複雑な網目構造
を形成することができ、造形物の耐久性、強度等をより優れたものとすることができる。
また、例えば、紫外線等の光の照射により、前記共有結合を形成する化学反応を好適に行
うことができる。
架橋剤としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性官能基を有す
る化合物等が挙げられる。
中でも、架橋剤としては、分子内に複数個の重合性官能基を有する化合物が好ましく、
アルキル鎖の両末端が重合性官能基で修飾された化合物がより好ましい。
このような架橋剤としては、例えば、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016098315
(式(5)中、nは、1以上の整数である。)
液状組成物中に含まれるセルロース誘導体の重量平均分子量は、特に限定されないが、
5000以上10000000以下であるのが好ましく、10000以上7000000
以下であるのがより好ましい。
これにより、製造される造形物の耐久性、強度、信頼性をより優れたものとすることが
できる。また、液状組成物の保存安定性、取り扱いのしやすさ(例えば、インクジェット
法による吐出安定性)等を優れたものとすることができる。
液状組成物中におけるセルロース系材料の含有率は、特に限定されないが、30質量%
以上であるのが好ましく、40質量%以上90質量%以下であるのがより好ましく、45
質量%以上85質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、液状組成物を用いて製造される造形物において、セルロース系材料が本来
有している機能をより効果的に発揮させることができるとともに、液状組成物の保存安定
性、取り扱いのしやすさ(例えば、インクジェット法による吐出安定性)等をより優れた
ものとすることができる。
後に詳述する反応性イオン液体へのセルロース系材料の溶解性が高いものであるため、
液状組成物中において、セルロース系材料は、通常反応性イオン液体に溶解した状態で存
在しているが、少なくとも一部が分散した状態のものであってもよい。
このような構成とすることにより、液状組成物中におけるセルロース系材料の含有率を
より高いものとすることができる。
(反応性イオン液体)
前述したように、本発明の液状組成物は、セルロース系材料に加え、重合反応等の化学
反応に関与する反応性の官能基を有するイオン液体(反応性イオン液体)を含むものであ
る。
これにより、液状組成物中において、セルロース系材料を好適に溶解させることができ
、前述したような効果を確実に発揮させることができる。
イオン液体を構成する陽イオンとしては、例えば、イミダゾール系、ピリジン系、脂環
族アミン系、脂肪族アミン系等の各種陽イオンが挙げられる。
また、イオン液体を構成する陰イオンとしては、例えば、臭化物イオンやトリフラート
等のハロゲン系、テトラフェニルボレート等のホウ素系、ヘキサフルオロホスフェート等
のリン系等の各種陰イオンが挙げられる。
特に、反応性イオン液体は、イミダゾリウム塩構造を有しているものであるのが好まし
い。
これにより、セルロース系材料の反応性イオン液体に対する溶解性を優れたものとする
ことができ、セルロース系材料をより高濃度で含む液状組成物を好適に調製することがで
き、セルロース系材料を含む造形物をより高い寸法精度で製造することができる。また、
液状組成物が、イミダゾリウム塩構造を有する反応性イオン液体を含むものであると、セ
ルロース系材料を含む液状組成物のインクジェット法等による吐出安定性をより優れたも
のとすることができるため、造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
反応性イオン液体が有する反応性の官能基は、反応性イオン液体の分子同士を直接結合
するものであってもよいし、他の原子(少なくとも1個の原子)を介して、結合するもの
であってもよい。
前記官能基(反応性官能基)としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸
基、カルボキシル基等が挙げられるが、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好まし
い。
これにより、反応性イオン液体の反応性を優れたものとすることができ、液状組成物を
用いて製造される造形物の生産性をより優れたものとすることができる。また、製造され
る造形物中に未反応の反応性イオン液体(液体状態のもの)が不本意に含まれることを効
果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をよ
り優れたものとすることができる。このようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性
をより優れたものとすることができる。また、反応性イオン液体と反応する化合物(反応
性イオン液体が有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、反応
性イオン液体の設計の幅が広がる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基(反応性官能基)としては、例えば、ビニル基、(メ
タ)アクリロイル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これにより、反応性イオン液体の反応性をさらに優れたものとすることができ、造形物
の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的な造形物中に未反応の反
応性イオン液体が不本意に含まれることをより効果的に防止することができる。また、反
応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。この
ようなことから、造形物の耐久性、強度、信頼性をさらに優れたものとすることができる
。また、反応性イオン液体と反応する化合物(反応性イオン液体が有する反応性官能基と
反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、反応性イオン液体の設計の幅がさらに広が
る。
上記のような条件を満足する好ましい反応性イオン液体の一例としては、式(15)で
示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016098315
(式(15)中、nは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基
である。)
反応性イオン液体が式(15)で示されるものであることにより、前述したような効果
がより顕著に発揮される。
また、反応性イオン液体は、前述したような分子内に2個以上のS−H結合を有するシ
ロキサン化合物等と反応するものであってもよい。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
反応性イオン液体の分子同士を共有結合により結合させる反応は、紫外線の照射により
進行するものであるのが好ましい。
これにより、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、造形物の生産性
をより優れたものとすることができる。また、造形物の製造装置の構成の複雑化を防止し
、造形物の生産コストを抑制することができる。
また、反応性イオン液体は、その少なくとも一部が、セルロース系材料と反応し、セル
ロース系材料との間に共有結合を形成するものであってもよい。
液状組成物中における反応性イオン液体の含有率は、特に限定されないが、10質量%
以上60質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上55質量%以下であるのがより
好ましい。
これにより、例えば、液状組成物の吐出安定性等をより優れたものとすることができる
とともに、造形物において、セルロース系材料が有している特長をより効果的に発揮させ
つつ、機械的強度等をより優れたものとすることができる。
液状組成物中における反応性イオン液体の含有率をX[質量%]、液状組成物中にお
けるセルロース系材料の含有率をX[質量%]としたとき、1≦X/X≦40の関
係を満足するのが好ましく、1.5≦X/X≦2.5の関係を満足するのがより好ま
しい。
このような関係を満足することにより、セルロース系材料が本来有している特長をより
効果的に発揮させつつ、液状組成物を用いて製造される造形物の寸法精度、機械的強度、
耐久性、信頼性等をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、液状組成物は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい
。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;各種蛍光材料;各種蓄
光材料;各種燐光材料;赤外線吸収材料;分散剤;界面活性剤;反応性イオン液体以外の
硬化性樹脂;重合開始剤;重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;反応性イオン液体以
外の溶媒(特に水等の極性溶媒);浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防
腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防
止剤;消泡剤等が挙げられる。
また、液状組成物が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された造
形物を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、液状組成物、造形物の耐光性を良好なも
のとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができ
る。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラッ
ク、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化
鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートア
ゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノ
ン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料
、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸
性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ
顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられ、これらから選択される1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては
、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No
.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化
学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Ra
ven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 350
0、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Car
bon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、R
ega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 80
0、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、M
onarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以
上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black
FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Co
lor Black FW18、Color Black FW200、Color B
1ack S150、Color Black S160、Color Black S
170、Printex 35、Printex U、Printex V、Print
ex 140U、Special Black 6、Special Black 5、
Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ
(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、
21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3
、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、3
7、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98
、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、
129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、
180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、
21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、
48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、14
4、146、149、150、166、168、170、171、175、176、17
7、178、179、184、185、187、202、209、219、224、24
5、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、
43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、
15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25
、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C
.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2
,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙
げられる。
液状組成物が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であ
るのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、例
えば、液状組成物中における顔料の分散安定性や液状組成物の吐出安定性をより優れたも
のとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプ
ルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター
法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)
にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等
が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44
,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289
、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,2
4,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,
24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイ
レクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー
1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクト
ブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアク
ティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,
4,35等が挙げられる。
液状組成物を構成する蛍光材料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 87
、C.I.アシッドレッド 52、C.I.アシッドレッド 92、ブリリアントスルホ
フラビン、エオシン、ベーシックフラビン、アクリジンオレンジ、ローダミン6G、ロー
ダミンB等が挙げられる。
液状組成物を構成する蓄光材料としては、例えば、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム
、バリウム等のアルカリ土類の硫化物やアルミン酸ストロンチウム等の蓄光材、あるいは
硫化亜鉛等に例示される各種の硫化物や酸化物等の無機蛍光材等が挙げられる。
液状組成物を構成する燐光材料としては、例えば、イリジウム錯体、シクロメタル化錯
体等が挙げられる。
液状組成物を構成する赤外線吸収材料としては、例えば、ITO、ATO微粒子等が挙
げられる。
液状組成物が顔料等の分散質を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、分散質
の分散性をより良好なものとすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製す
るのに慣用されている分散剤が挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリア
ミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー
、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とす
るもの等が挙げられる。
高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリ
ーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solspe
rse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディ
スパロンシリーズ等が挙げられる。
液状組成物が界面活性剤を含むものであると、造形物の耐擦性をより良好なものとする
ことができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての
、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中
でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシ
ロキサンを用いるのが好ましい。
界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−U
V3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬
化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化
性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み
合わせて用いることができる。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生
じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体
を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、
アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチ
オン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有
する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少な
くとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物
、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステ
ル類、アミド類等が挙げられる。
多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物と
のエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族のアミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カ
ルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カル
ボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親
電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミ
ン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性
置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類ま
たはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化
合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能の
もの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ
)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニ
ル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(
メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジ
オールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシア
ヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソ
シアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロール
プロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙
げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ
)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼン
のアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、ク
ロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレ
ングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタン
ジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリト
ールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメ
チレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトール
テトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、
ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙
げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレン
グリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート
等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、脂肪族アルコール系エステル類や、芳香族系
骨格を有するもの、アミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては
、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−
ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド
、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリ
レンビスメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、シクロへキシレン構造を有する
もの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性
化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、1分子に2個以上のイソシア
ネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有す
るビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウ
レタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R1)COOCHCH(R2)OH (1)
(ただし、式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有
するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用い
ることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げら
れ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物がより好ましい。このような硬化性化合物と
しては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状
ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体等の環状イミノエーテル
類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニ
ルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能
グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられ
る。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル
類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジル
エーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールト
リグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、
四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシ
ジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキ
シ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−30
1、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセ
ル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチル
エーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合
成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環
式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重
結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキ
シド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ
化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−
エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、
ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3
−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオ
キサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で
使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグ
リシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用す
ることが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポ
キシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキ
シ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、
1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジル
エーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとし
ては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(
以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基
含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ビス(2,
4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリ
メチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等を用いることができる。
また、液状組成物は、流動性を有するものであればよく、例えば、ペースト状をなすも
のであってもよいが、液状組成物の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下である
のが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、例えば、インクジェット法による液状組成物の吐出安定性をより優れたも
のとすることができる。
なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISC
ONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
《造形物》
次に、本発明の造形物(三次元造形物)について説明する。
本発明の造形物は、前述したような本発明の液状組成物を用いて製造されたものである
ことを特徴とする。
これにより、セルロース系材料を含み、寸法精度、強度に優れた造形物を提供すること
ができる。
このような優れた特徴を有するため、本発明の造形物は、様々な用途に適用することが
できる。
本発明の造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物
・展示物;人工透析器、インプラント等の医療機器;印刷用紙;レンズ(可変焦点レンズ
を含む)、位相差フィルム、偏向板等の光学部材;各種細胞、各種細菌等の培養に用いる
培養足場材等のゲル材料;自転車等の乗り物;車椅子等の介護・看護用品等や、これらの
構成部品等が挙げられる。
また、本発明の造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用さ
れるものであってもよい。
《造形物の製造方法》
次に、本発明の造形物の製造方法について説明する。
本発明の造形物は、前述したような本発明の液状組成物を用いて製造されたものであれ
ばよく、その製造方法は、特に限定されない。
本発明の造形物の製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形等の各種
成形方法や、バルク材に切削・研削・研磨等の機械加工を施す方法等が挙げられる。
また、本発明の造形物の製造方法としては、以下に説明するような三次元造形法(組成
物を用いて層を形成する層形成工程を複数回行い、前記層を積層し三次元造形物を製造す
る方法)を用いることができる。
これにより、高い寸法精度が求められる造形物や、複雑な形状の造形物であっても、十
分な寸法精度で効率よく製造することができる。また、形状・大きさが異なる複数種の造
形物の製造にも好適に対応することができる。
以下、造形物の製造方法の具体例として、三次元造形法を適用した例について説明する

≪第1実施形態≫
図1、図2は、本発明の造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に
示す断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の製造方法は、粒子を含む組成物P1’を用いて
、側面支持部(枠体)45で囲われた領域に、所定の厚さを有する層P1を形成する層形
成工程(1a、1d)と、インクジェット法により、層P1に対し、セルロース系材料お
よび反応性イオン液体を含む液状組成物(インク)P12を付与する液状組成物付与工程
(1b、1e)と、層P1に付与された液状組成物P12中に含まれる液状組成物を固化
(硬化)させる固化工程(1c、1f)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1
g)、さらに、その後に、各層P1を構成する粒子のうち、液状組成物(結合剤)により
結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1h)を有している。
以下、各工程について説明する。
<層形成工程>
層形成工程では、粒子を含む組成物(粒子含有組成物)P1’を用いて、所定の厚さを
有する層P1を形成する(1a、1d)。
このように、粒子を含む組成物P1’を用いることにより、最終的に得られる造形物(
三次元造形物)P10の寸法精度を優れたものとすることができる。また、造形物P10
の耐熱性や機械的強度等をより優れたものとすることができる。
なお、組成物P1’については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段を用いて、層P1を表面が平坦化されたものとして形成する。
1回目の層形成工程では、ステージ41の表面に所定の厚さで層P1を形成する(1a
)。このとき、ステージ41の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となって
おり、ステージ41と側面支持部45との間から、組成物P1’が落下することが防止さ
れている。
2回目以降の層形成工程では、先の工程で形成された層P1(第1の層)の表面に新た
な層P1(第2の層)を形成する(1d)。このとき、ステージ41の層P1(ステージ
41上に複数の層P1がある場合には、少なくとも最も上側に設けられた層P1)の側面
と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41とステージ41
上の層P1との間から、組成物P1’が落下することが防止されている。
本工程においては、組成物P1’を加熱してもよい。これにより、例えば、組成物P1
’が溶融成分を含む場合において、組成物P1’をより好適にペースト状のものとするこ
とができる。
本工程における組成物P1’の粘度は、500mPa・s以上1000000mPa・
s以下であるのが好ましい。これにより、形成される層P1における不本意な膜厚のばら
つきの発生をより効果的に防止することができる。
本工程で形成する層P1の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm以上500
μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましい。こ
れにより、造形物P10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される造形物P10
における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物P10の寸法精度をより優
れたものとすることができる。
<液状組成物付与工程(インク付与工程)>
層形成工程で層P1を形成した後、インクジェット法により、当該層P1に対し、セル
ロース系材料および反応性イオン液体を含む液状組成物(インク)P12を付与する(1
b、1e)。
液状組成物P12は、セルロース系材料の溶解性に優れる反応性イオン液体を含むもの
であり、セルロース系材料を均一に含むものである。このようなことから、液状組成物P
12は優れた流動性を有し、所望の量だけ所望の部位に供給することができる。
本工程では、層P1のうち製造すべき造形物P10の実部(実体のある部位)に対応す
る部位にのみ、選択的に液状組成物P12を付与する。
これにより、層P1を構成する粒子同士を結合させ、最終的に所望の形状の結合部(実
体部)P13を形成することができる。
本工程では、インクジェット法により液状組成物P12を付与するため、液状組成物P
12の付与パターンがより微細な形状のものであっても、より高い再現性で液状組成物P
12を付与することができる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度をよ
り高いものとすることができる。また、従来においては、インクジェット法を用いてセル
ロース系材料を含む材料で構成された造形物を製造しようとした場合に、造形物の寸法精
度等が低いものとなるという問題がより顕著に発生していたが、本発明では、インクジェ
ット法を用いた場合でも、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわ
ち、インクジェット法を用いて液状組成物を付与する場合に、本発明の効果がより顕著に
発揮される。
液状組成物P12は、配向処理が施された部材上に付与されるものであってもよい。す
なわち、ステージ41が表面に配向処理が施されたものであってもよい。
これにより、液状組成物P12中に含まれるセルロース誘導体が、液晶性部位を含むも
のである場合に、当該セルロース誘導体(液晶性部位)をより好適に配向させることがで
き、最終的に得られる造形物P10の機械的強度、耐久性、信頼性等をより優れたものと
することができる。
なお、ステージ41が表面に配向処理が施されたものであると、2層目以降の層P1に
ついても、液状組成物P12が付与された部位において、セルロース誘導体(液晶性部位
)が、直下の層P1(セルロース誘導体(液晶性部位)が配向している層P1)の影響を
受けるため、ステージと直接接触していなくても、セルロース誘導体(液晶性部位)が好
適に配向する。すなわち、2層目以降の層P1については、その直下の層P1が、配向処
理が施された部材として機能する。
配向処理としては、ラビング処理等の方法が好適に用いられる。
また、ステージ41の表面の材料としては、例えば、ポリイミド等の配向処理を好適に
行う材料を用いることができる。
<固化工程(硬化工程)>
液状組成物付与工程で層P1に液状組成物P12を付与した後、液状組成物P12を固
化(硬化)させ、結合部(実体部)P13を形成する(1c、1f)。
これにより、液状組成物P12は、流動性を失い、結合部(実体部)P13が形成され
る(1c、1f)。
本工程では、少なくとも反応性イオン液体が関与する化学反応(共有結合を形成する化
学反応)を行う。これにより、形成される結合部(実体部)P13の硬度を高いものとす
ることができ、最終的に得られる造形物P10の機械的強度、耐久性、信頼性を優れたも
のとすることができる。
また、液状組成物P12が、反応性官能基を有するセルロース誘導体を含むものである
場合、当該セルロース誘導体が関与する化学反応(共有結合を形成する化学反応)を行っ
てもよい。これにより、形成される結合部(実体部)P13の硬度をより高いものとする
ことができ、最終的に得られる造形物P10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れた
ものとすることができる。
本工程において、共有結合を形成する化学反応(硬化反応)を行う場合、当該化学反応
は、例えば、加熱やエネルギー線(例えば、紫外線等の光線や、電子線、陽電子線、中性
子線、α線、イオンビーム等)の照射等により行うことができる。
特に、化学反応を加熱により進行させる場合、造形物P10の製造装置の構成を簡易な
ものとすることができる。また、造形物P10の原料が光透過性の低い材料であっても、
目的とする反応を好適に進行させることができる。
化学反応を加熱により進行させる場合、加熱温度は、50℃以上180℃以下であるの
が好ましく、60℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
また、化学反応を光の照射により進行させる場合、材料の不本意な変性・劣化等をより
効果的に防止しつつ、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
化学反応を光の照射により進行させる場合、当該光としては、例えば、紫外線、赤外線
、可視光線、X線、マイクロ波、ラジオ波等を用いることができるが、紫外線であるのが
好ましい。
これにより、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、造
形物P10の製造装置の構成の複雑化を防止し、造形物P10の生産コストを抑制するこ
とができる。
また、化学反応を紫外線の照射により進行させる場合、紫外線のピーク波長は、250
nm以上400nm以下であるのが好ましい。また、硬化させるべき各部位への紫外線の
照射時間は、30秒以上60秒以下であるのが好ましい。
なお、液状組成物付与工程と固化工程とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1
つの層P1全体のパターン全体が形成される前に、液状組成物P12が付与された部位か
ら順次反応を進行させるものであってもよい。
<未結合粒子除去工程>
そして、前記のような工程を繰り返し行った後に、後処理工程として、各層P1を構成
する粒子のうち、液状組成物P12により結合していないもの(未結合粒子)を除去する
未結合粒子除去工程(1h)を行う。これにより、造形物P10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結
合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与す
る方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き
付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから
選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の
気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超
音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対
し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するの
が好ましい。
≪第2実施形態≫
次に、造形物の製造方法の第2実施形態について説明する。
図3、図4は、本発明の造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に
示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明
し、同様の事項についての説明は省略する。
図3、図4に示すように、本実施形態の製造方法は、セルロース系材料および反応性イ
オン液体を含み実体部P16の形成に用いる液状組成物としての実体部形成用インクP1
6’および実体部P16を支持する支持部P17の形成に用いる支持部形成用インクP1
7’を、インクジェット法により、所定のパターンで吐出するインク付与工程(2a、2
c)と、吐出した実体部形成用インクP16’および支持部形成用インクP17’を固化
(硬化)させ、実体部P16および支持部P17を形成する固化工程(2b、2d)と、
これらの工程を順次繰り返し行い仮成形体P10’を得(2e)、さらに、その後に、支
持部P17を除去する支持部除去工程(2f)を有している。
このように、本実施形態では、インク付与工程と固化工程(硬化工程)とによって、層
P1を形成している。すなわち、本実施形態では、層形成工程は、インク付与工程と固化
工程とを含むものである。
このように、本実施形態では、粒子を含む組成物を、平坦化手段で平坦化しつつ層を形
成することなく、インクジェット法により吐出されるインクを層形成用の組成物として用
いて、層を形成する。
これにより、造形領域(ステージ41上の領域)の必要な個所に組成物を選択的に付与
することができるため、造形物P10の製造に伴う材料の無駄を防止、抑制することがで
きる。このため、造形物P10の生産コストの低減、省資源の観点から有利である。また
、全体としての工程数を少なくすることができ、材料の回収等の処理も省略または簡略化
することができ、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
以下、各工程について説明する。
<インク付与工程(インク吐出工程)>
インク付与工程では、インクジェット法により、セルロース系材料および反応性イオン
液体を含む液状組成物としての実体部形成用インクP16’および硬化性樹脂(硬化性成
分)を含む支持部形成用インクP17’を、インクジェット法により、所定のパターンで
吐出する(2a、2c)。
より具体的には、造形物(三次元造形物)P10の実体部P16となるべき領域に実体
部形成用インクP16’を付与し、造形物P10の実体部P16の最外層となるべき領域
に隣接する領域であって、前記最外層の表面側の領域に支持部形成用インクP17’を付
与する。
1回目のインク付与工程では、ステージ41上に、インク(実体部形成用インクP16
’、支持部形成用インクP17’)を吐出し(2a)、2回目以降のインク付与工程では
、層P1上に、インク(実体部形成用インクP16’、支持部形成用インクP17’)を
吐出する(2c)。
このように、本実施形態では、造形物P10の実体部P16となるべき部位に液状組成
物(実体部形成用インクP16’)を付与するだけでなく、その表面側にもインク(支持
部形成用インクP17’)を付与する。
これにより、支持部形成用インクP17’を付与して支持部P17を形成することによ
り、造形物P10を構成する層(第2の層)として、それよりも下の層(第1の層)の外
周部からはみ出す部分を有するもの(例えば、図中での、下から1層目と2層目との関係
、下から2層目と3層目との関係、下から5層目と6層目との関係、下から6層目と7層
目との関係)であっても、下層(第1の層)の支持部P17が上層(第2の層)を形成す
るための実体部形成用インクP16’を好適に支持することができる。そのため、実体部
P16の不本意な変形(特に、ダレ等)を好適に防止することができ、最終的に得られる
造形物P10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
また、本工程では、インクジェット法によりインク(実体部形成用インクP16’およ
び支持部形成用インクP17’)を付与するため、インク(実体部形成用インクP16’
および支持部形成用インクP17’)の付与パターンが微細な形状のものであっても再現
性よくインクを付与することができる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法
精度をより高いものとすることができるとともに、造形物P10の表面形状、外観の制御
をより好適に行うことができる。
なお、支持部形成用インクP17’については、後に詳述する。
本工程で付与されるインク量は、特に限定されないが、後の固化工程で形成される層P
1の厚さが30μm以上500μm以下となるものであるのが好ましく、70μm以上1
50μm以下となるものであるのがより好ましい。
これにより、造形物P10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される造形物P
10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物P10の寸法精度をよ
り優れたものとすることができる。また、最終的に得られる造形物P10の表面状態、外
観をより好適に制御することができる。
<固化工程(層形成工程)>
インク付与工程でインク(実体部形成用インクP16’、支持部形成用インクP17’
)を付与(吐出)した後、実体部形成用インクP16’を固化(硬化)させるとともに、
支持部形成用インクP17’に含まれる硬化成分(硬化性樹脂)を硬化させる(2b、2
d)。これにより、実体部P16および支持部P17を有する層P1が得られる。すなわ
ち、実体部形成用インクP16’が付与された部位は、実体部P16となり、支持部形成
用インクP17’が付与された部位は、支持部P17となる。
本工程は、実体部形成用インクP16’の構成材料、支持部形成用インクP17’中に
含まれる硬化成分(硬化性樹脂)の種類により異なるが、例えば、加熱やエネルギー線(
例えば、紫外線等の光線や、電子線、陽電子線、中性子線、α線、イオンビーム等)の照
射等により行うことができる。
特に、加熱により実体部P16、支持部P17を形成する場合、造形物P10の製造装
置の構成を簡易なものとすることができる。また、造形物P10の原料が光透過性の低い
材料であっても、目的とする反応を好適に進行させることができる。
加熱により実体部P16、支持部P17を形成する場合、加熱温度は、50℃以上18
0℃以下であるのが好ましく、60℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
また、光の照射により実体部P16、支持部P17を形成する場合、材料の不本意な変
性・劣化等をより効果的に防止しつつ、造形物P10の生産性をより優れたものとするこ
とができる。
実体部P16、支持部P17を形成する場合、当該光としては、例えば、紫外線、赤外
線、可視光線、X線、マイクロ波、ラジオ波等を用いることができるが、紫外線であるの
が好ましい。
これにより、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、造
形物P10の製造装置の構成の複雑化を防止し、造形物P10の生産コストを抑制するこ
とができる。
なお、上記の説明では、層P1に対応する形状、パターンで、インクを付与し、その後
、インクで構成された層(層P1に対応する層)全体を硬化させるものとして説明したが
、本発明においては、少なくとも一部の領域について、インクの吐出とインクの硬化とを
同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層P1全体のパターン全体が形成される前
に、層P1に対応する領域の少なくとも一部について、インクが付与された部位から順次
硬化反応を進行させるものであってもよい。ただし、少なくとも、実体部形成用インクP
16’と支持部形成用インクP17’との接触部分(実体部P16と支持部P17とが接
触すべき部分)については、同時に硬化処理を施し、実体部形成用インクP16’に対す
る硬化処理と、支持部形成用インクP17’に対する硬化処理とを別個に行わない。
また、本工程では、インク中に含まれる硬化成分を完全に硬化させる必要はない。例え
ば、本工程終了時において、支持部形成用インクP17’は、不完全に硬化した状態とな
り、実体部形成用インクP16’は、支持部形成用インクP17’よりも高い硬化度で硬
化していてもよい。
これにより、後に詳述する支持部除去工程を容易に行うことができ、造形物P10の生
産性のさらなる向上を図ることができる。
また、本工程終了時において、実体部形成用インクP16’を不完全な状態で硬化した
状態としてもよい。このような場合であっても、例えば、後の工程(例えば、固化工程(
硬化工程)において下側の層P1を形成した後の「インク付与工程」等)を行った後に、
不完全な硬化状態である実体部形成用インクP16’(実体部P16)に対し、硬化度を
高めるための本硬化処理を行うことにより、最終的に得られる造形物P10の機械的強度
等を優れたものとすることができる。また、実体部形成用インクP16’(下層)を不完
全な状態で硬化した状態で、上層を形成するためのインクを付与することにより、層間の
密着性をより優れたものとすることができる。
<支持部除去工程>
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に、支持部P17を除去する(2
f)。これにより、造形物P10が得られる。
支持部P17を除去する方法としては、例えば、支持部P17を選択的に溶解する液体
を用いて支持部P17を選択的に溶解除去する方法や、実体部P16に比べて支持部P1
7の吸収性が高い液体を用いて、支持部P17に選択的に当該液体を吸収させることによ
り、支持部P17を膨潤させたり、支持部P17の機械的強度を低下させたうえで、当該
支持部P17を剥離したり、破壊する方法等が挙げられる。
本工程で用いる液体としては、実体部P16、支持部P17の構成材料等により異なる
が、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピ
ルアルコール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、グリセリン、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。また、支持部の溶解性を高めるために水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、有機アミン等の水酸化イオンを生
じる水溶性物質、剥離された支持部の分離を容易にする界面活性剤等を混合したものであ
ってもよい。上記のような液体は、極性が高いものであり、反応性イオン液体(未反応の
反応性イオン液体)との相溶性に優れるものであるため、上記のような液体を用いること
により、本工程前の実体部P16中に未反応の反応性イオン液体が不本意に含まれている
場合に、当該未反応の反応性イオン液体を効率よく除去することができ、最終的に得られ
る造形物P10中に、未反応の反応性イオン液体が残存することを効果的に防止すること
ができる。
仮成形体P10’への前記液体の付与方法は、特に限定されないが、例えば、浸漬法、
スプレー法(吹付法)、塗布法、各種印刷方法等を採用することができる。
また、前記の説明では、液体を用いるものとして説明したが、同様の機能を有する物質
(例えば、固体、気体、超臨界流体等)を用いてもよい。
また、前記液体を付与する際または前記液体を付与した後に、超音波振動を付与しても
よい。
これにより、支持部P17の除去を促進することができ、造形物P10の生産性をより
優れたものとすることができる。
上記の説明では、造形物P10の最外層となるべき領域全体において、実体部形成用イ
ンクP16’に接触するように支持部形成用インクP17’を付与するものとして説明し
たが、支持部形成用インクP17’は、造形物P10の最外層となるべき領域の一部につ
いてのみ、実体部形成用インクP16’に接触するように付与されるものであってもよい
。また、製造すべき造形物P10が支持部P17を形成しなくても製造可能な形状のもの
である場合、支持部形成用インクP17’を用いなくてもよい。
また、製造すべき造形物P10の形状等により、支持部の形成が不要である場合には、
実体部形成用インクのみを用いて層P1の形成を行ってもよい。
なお、造形物の製造には、前述したようなセルロース系材料および反応性イオン液体を
含む液状組成物を複数種用いてもよい。
例えば、着色剤を含むインク(カラーインク)としての液状組成物と、着色剤を含まな
いインク(クリアインク)としての液状組成物とを用いてもよい。これにより、例えば、
造形物P10の外観上、色調に影響を与える領域に付与する液状組成物として着色剤を含
む液状組成物を用い、造形物P10の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する液状
組成物として着色剤を含まない液状組成物を用いることができる。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の液状組成物を用いてもよい。これに
より、これらの液状組成物の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとする
ことができる。
複数種の液状組成物(インク)を用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)のインク
、紅紫色(マゼンタ)のインクおよび黄色(イエロー)のインクを用いるのが好ましい。
これにより、これらの液状組成物(インク)の組み合わせにより、表現できる色再現領域
をより広いものとすることができる。
また、例えば、セルロース系材料、反応性イオン液体の種類や含有率の異なる複数種の
液状組成物(インク)を用いることにより、造形物P10の各部位について、それぞれに
求められる剛性、弾性率等の特性を好適に調整することができる。
《造形物製造装置》
次に、本発明の造形物(三次元造形物)の製造に用いることのできる製造装置(造形物
製造装置)について説明する。
≪第1実施形態≫
図5は、本発明の造形物の製造に用いる製造装置の第1実施形態を模式的に示す断面図
である。
図5に示す造形物製造装置100は、粒子を含む組成物(粒子含有組成物)P1’を用
いて、層P1を繰り返し成形し積層することにより、造形物P10を製造するものである
図5に示すように、造形物製造装置100は、制御部2と、粒子を含む組成物P1’を
供給する組成物供給部(粒子含有組成物供給部)3と、組成物供給部3から供給された組
成物P1’を用いて層P1を形成する層形成部4と、層P1に液状組成物(インク)P1
2を吐出する液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5と、液状組成物P12を固化(
硬化)させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段(固化手段、結合形成
手段)6とを有している。
制御部2は、コンピューター21と、駆動制御部22とを有している。
コンピューター21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コ
ンピューター等である。コンピューター21は、造形物(三次元造形物)P10の形状を
モデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られ
る断面データ(スライスデータ)を駆動制御部22に対して出力する。
駆動制御部22は、層形成部4、液状組成物吐出部5、エネルギー線照射手段6をそれ
ぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、液状組成物吐出部5によ
る液状組成物P12の吐出パターンや吐出量、組成物供給部3からの組成物P1’の供給
量、ステージ41の下降量等を制御する。
組成物供給部3は、駆動制御部22からの指令により移動し、内部に収容された組成物
P1’が、組成物仮置部44に供給されるように構成されている。
層形成部4は、組成物供給部3から供給された組成物P1’を一時的に保持する組成物
仮置部44と、組成物仮置部44に保持された組成物P1’を平坦化しつつ層P1を形成
するスキージー(平坦化手段)42と、スキージー42の動作を規制するガイドレール4
3と、形成された層P1を支持するステージ41と、ステージ41を取り囲む側面支持部
(枠体)45とを有している。
先に形成された層P1の上に、新たな層P1を形成するのに際して、先に形成された層
P1を、側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、新たに形成さ
れる層P1の厚さが規定される。
特に、本実施形態では、ステージ41は、先に形成された層P1の上に、新たな層P1
を形成するのに際して、駆動制御部22からの指令により所定量だけ順次下降する。この
ように、ステージ41がZ方向(上下方向)に移動可能に構成されていることにより、新
たな層P1の形成に際して、層P1の厚さを調整するために移動させるべき部材の数を減
らすことができるため、造形物製造装置100の構成をより単純なものとすることできる
ステージ41は、表面(組成物P1’が付与される部位)が平坦なものである。
これにより、厚さの均一性の高い層P1を容易かつ確実に形成することができる。また
、製造される造形物P10において、不本意な変形等が生じることを効果的に防止するこ
とができる。
ステージ41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージ41の
構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージ41の表面(組成物P1’が付与される部位)には、表面処理が施され
ていてもよい。これにより、例えば、組成物P1’の構成材料や液状組成物P12の構成
材料がステージ41に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージ41の耐
久性をより優れたものとし、造形物P10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったり
することができる。ステージ41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、
ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。また、ステージ41は、
例えば、ポリイミド等の配向処理が施された材料を用いることができる。これにより、前
述したような効果が得られる。
スキージー42は、Y方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った
刃状の形状を有するブレードを備えている。
ブレードのY方向の長さは、ステージ41(造形領域)の幅(Y方向の長さ)以上のも
のである。
なお、造形物製造装置100は、スキージー42による組成物P1’の拡散が円滑に行
えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を備えてい
てもよい。
側面支持部45は、ステージ41上に形成された層P1の側面を支持する機能を有する
。また、層P1の形成時には、層P1の面積を規定する機能も有している。
また、側面支持部45の表面(組成物P1’と接触しうる部位)には、表面処理が施さ
れていてもよい。これにより、例えば、組成物P1’の構成材料や液状組成物P12の構
成材料が側面支持部45に付着してしまうことをより効果的に防止したり、側面支持部4
5の耐久性をより優れたものとし、造形物P10のより長期間にわたる安定的な生産を図
ったりすることができる。また、先に形成された層P1を側面支持部45に対して相対的
に下方に移動させる際に、層P1に不本意な乱れが生じることを効果的に防止することが
できる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度、信頼性をより優れたもの
とすることができる。側面支持部45の表面の表面処理に用いられる材料としては、例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
液状組成物付与手段(液状組成物吐出部)5は、層P1に液状組成物P12を付与する
ものである。
このような液状組成物付与手段5を備えることにより、造形物P10の機械的強度を容
易かつ確実に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、液状組成物付与手段5が、インクジェット法により液状組成物
P12を吐出する液状組成物吐出部である。
これにより、微細なパターンで液状組成物P12を付与することができ、微細な構造を
有する造形物P10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、液状組成物P12
を加熱して発生した泡(バブル)により液状組成物P12を吐出させる方式等を用いるこ
とができるが、液状組成物P12の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が
好ましい。
液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5は、駆動制御部22からの指令により、各
層P1において形成すべきパターン、層P1の各部において付与する液状組成物P12の
量が制御されている。液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5による液状組成物P1
2の吐出パターン、吐出量等は、スライスデータに基づいて決定される。
エネルギー線照射手段(固化手段、結合形成手段)6は、層P1に付与された液状組成
物P12を固化(硬化)させるためのエネルギー線を照射するものである。
特に、図示の構成では、液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)5の走査方向(主走
査方向)の前後に、エネルギー線照射手段(固化手段、結合形成手段)6が設けられてい
る。
これにより、往路、復路のいずれにおいても、エネルギー線照射手段(固化手段、結合
形成手段)6による接合形成を行うことができるため、造形物P10の生産性をより優れ
たものとすることができる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の造形物の製造に用いる製造装置(造形物製造装置)の第2実施形態につ
いて説明する。
図6は、本発明の造形物の製造に用いる製造装置の第2実施形態を模式的に示す断面図
である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の
事項についての説明は省略する。
造形物製造装置100は、実体部形成用インクP16’および支持部形成用インクP1
7’を用いて、層P1を繰り返し成形し積層することにより、造形物(三次元造形物)P
10を製造するものである。
図6に示すように、造形物製造装置100は、制御部2と、ステージ41と、液状組成
物としての実体部形成用インクP16’を吐出する実体部形成用インク付与手段8と、支
持部形成用インクP17’を吐出する支持部形成用インク付与手段9と、実体部形成用イ
ンクP16’および支持部形成用インクP17’を硬化させるためのエネルギー線を照射
するエネルギー線照射手段(固化手段、結合形成手段)6とを有している。
実体部形成用インク付与手段8は、インクジェット法により、実体部形成用インクP1
6’を吐出するものである。
このような実体部形成用インク付与手段8を備えることにより、微細なパターンで所望
の部位に所望の量だけ実体部形成用インクP16’を付与することができ、微細な構造を
有する造形物P10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して
発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インク
の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
実体部形成用インク付与手段8は、駆動制御部22からの指令により、形成すべきパタ
ーン、付与する実体部形成用インクP16’の量等が制御されている。実体部形成用イン
ク付与手段8による実体部形成用インクP16’の吐出パターン、吐出量等は、スライス
データに基づいて決定される。
これにより、必要十分な量の実体部形成用インクP16’を目的の部位に付与すること
ができ、所望のパターンの実体部P16を確実に形成することができ、造形物P10の寸
法精度、機械的強度をより確実に優れたものとすることができる。また、実体部形成用イ
ンクP16’が着色剤を含むものである場合、所望の色調、模様等を確実に得ることがで
きる。
実体部形成用インク付与手段8は、ステージに対して、相対的に、X方向、Y方向に移
動可能になっているとともに、Z方向にも移動可能となっている。
これにより、層P1を積層していった場合でも、実体部形成用インク付与手段8のノズ
ル面(吐出部先端)と実体部形成用インクP16’の着弾部との距離を所定の値に保つこ
とができる。
支持部形成用インク付与手段9は、インクジェット法により、支持部形成用インクP1
7’を吐出するものである。
このような支持部形成用インク付与手段9を備えることにより、微細なパターンで所望
の部位に所望の量だけ支持部形成用インクP17’を付与することができ、製造すべき造
形物P10が微細な構造を有するものであっても、所望の部位に所望の大きさ、形状の支
持部P17を形成することができ、造形物P10の表面形状、外観をより確実に制御する
ことができる。また、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
支持部形成用インク付与手段9についての、液滴吐出方式(インクジェット法の方式)
、制御、駆動等については、前述した実体部形成用インク付与手段8と同様である。
なお、図中には示していないが、造形物製造装置100は、支持部P17を除去する支
持部除去手段や、支持部P17が除去された造形物P10を乾燥する乾燥手段を備えるも
のであってもよい。
支持部除去手段としては、例えば、機械的に支持部P17を破壊・除去するものや、前
述したような液体を収納し、仮成形体P10’を浸漬する槽や、前述したような液体を仮
成形体P10’に向けて噴霧する液体噴霧手段や、前述したような液体を仮成形体P10
’に塗布する液体塗布手段等が挙げられる。
乾燥手段としては、例えば、前述したような加熱した気体や乾燥した気体を供給するも
のや、造形物P10が収納された空間を減圧する減圧手段等が挙げられる。
また、造形物製造装置は、前述した工程のうち少なくとも一部を行うものであってもよ
く、前述した工程のうちの一部は、造形物製造装置を用いないで行うものであってもよい
<組成物(層形成用組成物)>
次に、前述した造形物(三次元造形物)の製造方法の実施形態で用いた組成物(層形成
用組成物)について詳細に説明する。
[第1実施形態]
以下、前述した第1実施形態の製造方法、造形物製造装置で説明したような、粒子を含
む組成物(粒子含有組成物)P1’について説明する。
組成物(粒子含有組成物)P1’は、少なくとも、複数個の粒子を含む三次元造形用粉
末を含むものである。
(三次元造形用粉末(粒子))
三次元造形用粉末を構成する粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、
これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金
属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、
酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム
、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン
、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛
等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カ
ルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシ
ウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミ
ニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられ
る。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より
具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピ
レンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリ
エステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メ
タ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマ
ー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアク
リル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂
;ポリイミド;セルロース;カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ゼラチ
ン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子がセルロースやセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース
等)で構成されたものである場合、粒子と液状組成物(インク)P12中に含まれるセル
ロース系材料(特に、前述したようなセルロース誘導体)との親和性や、粒子と液状組成
物(インク)P12中に含まれる反応性イオン液体との親和性をより優れたものとするこ
とができ、最終的に得られる造形物P10の機械的強度、耐久性、信頼性を優れたものと
することができる。また、層P1にセルロース系材料および反応性イオン液体を含む液状
組成物P12を付与する際に、液状組成物P12が不本意に濡れ広がったり、層P1が液
状組成物P12を過剰にはじいてしまったりすることを効果的に防止することができる。
その結果、所望のパターンの結合部(実体部)P13をより確実に形成することができ、
造形物P10の寸法精度をより確実により優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子は、疎水化処理、親水化処理等の表面処理が施された
ものであってもよい。
三次元造形用粉末を構成する粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25
μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、造形物P10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに
、製造される造形物P10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物
P10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動
性、三次元造形用粉末を含む組成物(粒子含有組成物)P1’の流動性をより優れたもの
とし、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好
ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、造形物P10の
機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造される造形物P10にお
ける不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物P10の寸法精度をより優れた
ものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む組
成物(粒子含有組成物)P1’の流動性をより優れたものとし、造形物P10の生産性を
より優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球
形状をなすものであるのが好ましい。これにより、三次元造形用粉末の流動性、三次元造
形用粉末を含む組成物(粒子含有組成物)P1’の流動性をより優れたものとし、造形物
P10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、製造される造形物P10
における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、造形物P10の寸法精度をより優
れたものとすることができる。
組成物(粒子含有組成物)P1’中における三次元造形用粉末の含有率は、8質量%以
上95質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上75質量%以下であるのがより好
ましい。これにより、組成物(粒子含有組成物)P1’の流動性を十分に優れたものとし
つつ、最終的に得られる造形物P10の機械的強度をより優れたものとすることができる
(溶剤)
組成物P1’は、前述したような成分に加えて、揮発性の溶剤を含むものであってもよ
い。
これにより、好適に組成物P1’をペースト状のものとすることができ、組成物P1’
の流動性を安定的に優れたものとし、造形物P10の生産性をより優れたものとすること
ができる。
組成物P1’が後述するバインダーを含むものである場合、溶剤は、当該バインダーを
溶解するものであるのが好ましい。これにより、組成物P1’の流動性を良好なものとす
ることができ、組成物P1’を用いて形成される層P1の厚さの不本意なばらつきをより
効果的に防止することができる。また、溶剤が除去された状態の層P1を形成した際に、
層P1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、
不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終
的に得られる造形物P10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果
的に防止することができ、造形物P10の信頼性をより高いものとすることができる。
組成物P1’を構成する溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリ
コールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、
プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルア
セテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、こ
れらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、組成物P1’は、水系溶剤を含むものであるのが好ましく、水を含むものであ
るのがより好ましい。
これにより、組成物P1’の流動性、組成物P1’を用いて形成される層P1の組成の
均一性をより優れたものとすることができる。また、水は層P1の形成後の除去が容易で
あるとともに、造形物P10中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人
体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。また、組成物P1’が後に詳述
するバインダーとして水溶性樹脂を含む場合に、組成物P1’中において、当該水溶性樹
脂をより好適な溶解状態することができ、後に詳述するようなバインダー(水溶性樹脂)
を含むことによる効果がより効果的に発揮される。
水系溶剤は、水に対する溶解性の高い溶剤であればよいが、具体的には、例えば、25
℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が30[g/100g水]
以上のものであるのが好ましく、50[g/100g水]以上のものであるのがより好ま
しい。
組成物P1’が溶剤を含むものである場合、組成物P1’中における溶剤の含有率は、
5質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上89質量%以下である
のがより好ましい。
これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるととも
に、造形物P10の製造過程において溶剤を短時間で容易に除去することができるため、
造形物P10の生産性向上の観点から有利である。
特に、組成物P1’が溶剤として水を含むものである場合、組成物P1’中における水
の含有率は、18質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、47質量%以上90質
量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
組成物P1’が溶剤を含むものである場合、当該溶剤は、液状組成物P12の付与前に
、層P1を構成する組成物P1’から除去されるものであるのが好ましい。
これにより、層P1の形状の安定性が向上するとともに、前記溶剤が液状組成物P12
の構成材料(例えば、セルロース系材料や反応性イオン液体等)との親和性が低いもので
あっても、層P1における液状組成物P12の不本意なはじき等をより効果的に防止する
ことができ、より容易かつより確実に、所望のパターンで液状組成物P12を付与するこ
とができる。
なお、組成物P1’を構成する溶剤を、液状組成物P12の付与前に、層P1を構成す
る組成物P1’から除去する場合、前記溶剤は、層P1から完全に除去するものであって
もよいし、その一部のみを除去するものであってもよい。このような場合であっても、前
述したような効果が発揮される。
(バインダー)
組成物P1’は、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、組成物P1’を用いて形成された層P1(特に、溶剤が除去された状態の
層P1)において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意
な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される造
形物P10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
組成物P1’がバインダーを含むものである場合、組成物P1’において、バインダー
は溶剤に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、組成物P1’の流動性をより良好なものとすることができ、組成物P1’
を用いて形成される層P1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができ
る。また、溶剤が除去された状態の層P1を形成した際に、層P1全体にわたって、より
高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生す
るのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる造形物P10の
各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、造
形物P10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、組成物P1’を用いて形成された層P1(特に、溶剤が除去され
た状態の層P1)において複数個の粒子を仮固定する機能を有するものであればよいが、
水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、組成物P1’が溶剤として水系溶剤(特に、水)を含む
場合に、組成物P1’中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、
組成物P1’の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)をより優れたものとすることが
できる。その結果、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、造形物P10の製造過程において層P1の液状組成物P12が付与されなかった
部位を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することが
できる。その結果、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。また、
層の除去されるべき部位が、最終的に得られた造形物P10に付着、残存することを容易
かつ確実に防止することができるため、造形物P10の寸法精度をより優れたものとする
ことができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、
25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水
]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好
ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリド
ン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル
アミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキ
サイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンス
ターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の
天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん、
酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1
種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、メチルセルロース(信越化学社製、メトロ
ーズSM−15)、ヒドロキシエチルセルローズ(フジケミカル社製、AL−15)、ヒ
ドロキシプロピルセルローズ(日本ソーダ社製、HPC−M)、カルボキシメチルセルロ
ーズ(ニチリン化学社製、CMC−30)、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(松
谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニールピロリドン(東京化学社製、PVP K
−90)、メチルビニールエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット社
製、AN−139)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナイ
ロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO−
1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドと
のランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸ナ
トリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂(
住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、造形物P
10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整
により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や組成物P1’の特性(例えば
、粘度、粒子の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様
な造形物P10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコール
は、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生
産コストを抑制しつつ、安定的な造形物P10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポ
リビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、
水系溶剤(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することがで
きる。そのため、組成物P1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、隣接す
る層P1間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポ
リビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これによ
り、組成物P1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、各層P1の機械的強
度や隣接する層P1間の接着性をより優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、
以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラ
スチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層P1のうち液状組成物P12
が付与されない部分の強度・形状の安定性をより優れたものとし、最終的に得られる造形
物P10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドン
は、水に対して高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各
層P1を構成する粒子のうち、反応性イオン液体の反応生成物等により結合していないも
のを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、前述したよ
うな三次元造形用粉末との親和性が適度なものであるため、粒子の表面に対する濡れ性は
比較的高いものとなる。このため、前述したような仮固定の機能をより効果的に発揮する
ことができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため
、液状組成物付与工程において着色剤を含む液状組成物P12を用いた場合に、着色剤が
不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。また、ペースト状の組成物
P1’がポリビニルピロリドンを含むものであると、組成物P1’中に泡が巻き込まれて
しまうことを効果的に防止することができ、層形成工程において、泡の巻き込みによる欠
陥が発生するのを効果的により防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポ
リビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが
好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
また、水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールである場合、組成物P1’を好適にペ
レット状とすることができ、粒子の不本意な飛散等をより効果的に防止することができ、
組成物P1’の取扱い性(取り扱いの容易性)が向上し、作業者の安全や、製造される造
形物P10の寸法精度の向上を図ることができるとともに、比較的低い温度で溶融させる
ことができるため、造形物P10の生産に要するエネルギー・コストを抑制することがで
きるとともに、造形物P10の生産性を十分に優れたものとすることができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、
当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以
下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
組成物P1’中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、
溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、組成物P1’を用いて形成される層P1の厚さの均一性
を、より高いものとすることができる。
組成物P1’がバインダーを含むものである場合、組成物P1’中におけるバインダー
の含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上1
0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮される
とともに、組成物P1’中における粒子等の含有率を十分に高いものとすることができ、
製造される造形物P10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、組成物P1’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成
分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;浸透促進剤
;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤
;pH調整剤等が挙げられる。
[第2実施形態]
以下、前述した第2実施形態の製造方法、造形物製造装置で説明したような、インクジ
ェット法により吐出される組成物(層形成用組成物)について説明する。
本実施形態では、組成物として、実体部形成用インクP16’および支持部形成用イン
クP17’を用いている。
実体部形成用インクP16’については、セルロース系材料および反応性イオン液体を
含む液状組成物として詳述したので、以下、支持部形成用インクP17’について詳述す
る。
<支持部形成用インク>
支持部形成用インクP17’は、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含むものである
(硬化性樹脂)
支持部形成用インクP17’を構成する硬化性樹脂(硬化成分)としては、例えば、実
体部形成用インクP16’の構成成分(その他の硬化成分)として例示した硬化性樹脂(
硬化成分)と同様のものが挙げられる。
特に、支持部形成用インクP17’を構成する硬化性樹脂(硬化成分)と、前述した実
体部形成用インクP16’を構成する硬化成分(その他の硬化成分)とは、同種のエネル
ギー線で硬化するものであるのが好ましい。
これにより、造形物の製造に用いる製造装置の構成が複雑化するのを効果的に防止する
ことができ、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。また、造形物
P10の表面形状をより確実に制御することができる。
支持部形成用インクP17’は、各種硬化成分の中でも、特に、テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリンよりな
る群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、造形物P10の外観をより確実に優れたものとしつつ、造形物P10の生
産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP17’を硬化させて形成される支持部P17の機械的強度
、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、造形物P10の製造時
に、下層(第1の層)の支持部P17が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用
インクP16’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P16の不本意な
変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られる造形物P10
の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
特に、支持部形成用インクP17’が(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むもので
あると、以下のような効果が得られる。
すなわち、(メタ)アクリロイルモルフォリンは、硬化反応が進行した場合であっても
完全硬化でない状態(完全硬化でない状態の(メタ)アクリロイルモルフォリンの重合体
)では、水等の各種溶媒に対する溶解性が高い状態が高いものである。したがって、前述
したような支持部除去工程において、実体部P16に欠陥が生じるのをより効果的に防止
しつつ、支持部P17を選択的かつ確実に、また、効率よく除去することができる。その
結果、より高い信頼性で、所望の形態の造形物P10を生産性良く得ることができる。
また、支持部形成用インクP17’がテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを
含むものであると、硬化後の柔軟性をより好適に保持することができ、支持部P17を除
去する液体による処理において、より容易にゲル状になることで、支持部P17の除去効
率をさらに高めることができる。
また、支持部形成用インクP17’がエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを
含むものであると、支持部P17を除去する液体による処理において、支持部P17の除
去効率を高めることができる。
また、支持部形成用インクP17’がポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
を含むものであると、支持部P17を除去する液体が水を主成分とするものである場合に
、当該液体への溶解性を高め、より容易に支持部P17を除去することができる。
支持部形成用インクP17’中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5
質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ま
しい。
これにより、形成される支持部P17の形状の安定性をより優れたものとすることがで
き、造形物P10の製造時に層P1を積み重ねていった場合に、下側の層P1が不本意に
変形することをより効果的に防止することができ、上側の層P1を好適に支持することが
できる。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度をより優れたものとするこ
とができる。また、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
また、支持部形成用インクP17’は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、造形物P10の製造時における支持部形成用インクP17’の硬化速度を
適度に速めることができ、造形物P10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、形成される支持部P17の形状の安定性をより優れたものとすることができ、造
形物P10の製造時に層P1を積み重ねていった場合に、下側の層P1が不本意に変形す
ることをより効果的に防止することができ、上側の層P1を好適に支持することができる
。その結果、最終的に得られる造形物P10の寸法精度をより優れたものとすることがで
きる。
支持部形成用インクP17’を構成する重合開始剤としては、例えば、実体部形成用イ
ンクP16’の構成成分として例示した重合開始剤と同様のものが挙げられる。
中でも、支持部形成用インクP17’は、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリ
メチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、および、2,4,6−トリメチ
ルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの少なくとも一方を含むものである
のが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、支持部P17(支持部形成用インクP17’
を用いて形成される支持部P17)と接触するようにして形成される実体部P16(実体
部形成用インクP16’を用いて形成される実体部P16)の表面の性状をより確実に好
適なものとし、造形物P10の外観をより確実に優れたものとしつつ、造形物P10の生
産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP17’を硬化させて形成される支持部P17の機械的強度
、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、造形物P10の製造時
に、下層(第1の層)の支持部P17が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用
インクP16’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P16の不本意な
変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られる造形物P10
の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
支持部形成用インクP17’中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1
.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下で
あるのがより好ましい。
これにより、造形物P10の外観をより確実に優れたものとしつつ、造形物P10の生
産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP17’を硬化させて形成される支持部P17の機械的強度
、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、造形物P10の製造時
に、下層(第1の層)の支持部P17が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用
インクP16’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P16の不本意な
変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られる造形物P10
の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、支持部形成用インクP17’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい
。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;
増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;
酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;
消泡剤等が挙げられる。
特に、支持部形成用インクP17’が着色剤を含むことにより、支持部P17の視認性
が向上し、最終的に得られる造形物P10において、支持部P17の少なくとも一部が不
本意に残存することをより確実に防止することができる。
支持部形成用インクP17’を構成する着色剤としては、例えば、実体部形成用インク
P16’の構成成分として例示した着色剤と同様のものが挙げられるが、造形物P10の
表面の法線方向から観察した際に当該支持部形成用インクP17’により形成される支持
部P17と重なり合う実体部P16の色(造形物P10の外観上視認されるべき色)とは
異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がよ
り顕著に発揮される。
支持部形成用インクP17’が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、
顔料の分散性をより良好なものとすることができる。支持部形成用インクP17’を構成
する分散剤としては、例えば、実体部形成用インクP16’の構成成分として例示した分
散剤と同様のものが挙げられる。
また、支持部形成用インクP17’の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下で
あるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、例えば、インクジェット法による支持部形成用インクP17’の吐出安定
性をより優れたものとすることができる。
また、造形物P10の製造には、複数種の支持部形成用インクP17’を用いてもよい
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるも
のではない。
例えば、前述した実施形態では、平坦化手段として、スキージーを用いる場合について
中心的に説明したが、その代わりに、ローラー等を用いてもよい。
また、本発明の造形物の製造に用いる製造装置は、組成物供給部から供給された組成物
のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備える
ものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の組成物が蓄積されることを防止しつ
つ、十分な量の組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的
に防止しつつ、より安定的に造形物を製造することができる。また、回収した組成物を、
再度、造形物の製造に用いることができるため、造形物の製造コストの低減に寄与するこ
とができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、本発明の造形物の製造に用いる製造装置は、未結合粒子除去工程で除去された組
成物を回収するための回収機構を備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、実体部を形成するものとして説明し
たが、実体部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成され
た層に対して、実体部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、インク付与工程をインクジェット法により行う場合につ
いて中心的に説明したが、インク付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて
行うものであってもよい。
また、実体部形成用インクおよび支持部形成用インクはインクジェット法以外の方法(
例えば、他の印刷方法)で付与するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、層形成工程および液状組成物付与工程(インク付与工程
)に加え、固化工程も、層形成工程およびインク付与工程と合わせて繰り返し行うものと
して説明したが、固化工程は、繰り返し行うものでなくてもよい。例えば、液状組成物を
固化させるための固化処理が施されていない複数の層を備えた積層体を形成した後に一括
して行うものであってもよい。これにより、例えば、液状組成物を固化(硬化)させるた
めのエネルギーを付与する処理を少なくすることができるため、造形物の製造に、当該エ
ネルギーに対する耐性の低い材料を用いる場合であっても、当該エネルギーによる不本意
な変性・劣化等を効果的に防止することができる。
また、本発明においては、造形物の実体部の少なくとも一部の形成に、セルロース系材
料および反応性イオン液体を含む液状組成物を用いればよく、当該液状組成物を用いない
で形成された部位を有するものであってもよい。
また、本発明の造形物の製造においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、
後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
中間処理工程としては、例えば、層形成用組成物がペレット状をなすものである場合、
層形成工程と液状組成物付与工程との間に、加熱を中止等する工程(バインダー固化工程
)を有していてもよい。これにより、ペレットを構成するバインダーが固体状態となり、
層を粒子同士の結合力がより強いものとして得ることができる。また、例えば、層形成用
組成物が水等の溶剤成分(分散媒)を含むものである場合、層形成工程と液状組成物付与
工程との間に、当該溶剤成分を除去する溶剤成分除去工程を有していてもよい。これによ
り、層形成工程をより円滑に行うことができ、形成される層の厚さの不本意なばらつきを
より効果的に防止することができる。その結果、より寸法精度の高い造形物をより高い生
産性で製造することができる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、
被覆層形成工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、平坦化手段がステージ上を移動するものとして説明した
が、ステージが移動することにより、ステージとスキージーとの位置関係が変化し、平坦
化がなされるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、造形物製造装置が、固化手段として、エネルギー線を照
射するエネルギー線照射手段を備えるものである場合について代表的に説明したが、造形
物製造装置が備える固化手段は、加熱手段等の他の手段であってもよい。
また、本発明の造形物は、本発明の液状組成物を用いて製造されたものであればよく、
前述したような方法、装置を用いて製造されたものでなくてもよい。
また、前述した実施形態では、セルロース誘導体がシロキサン化合物、架橋剤等と反応
する反応性官能基を有するものである場合や反応性イオン液体がシロキサン化合物、架橋
剤等と反応するものである場合において、シロキサン化合物、架橋剤等の反応成分が液状
組成物中に含まれる場合について中心的に説明したが、上記反応成分は、液状組成物中に
含まれていなくてもよく、例えば、セルロース誘導体や反応性イオン液体の反応時に、セ
ルロース誘導体や反応性イオン液体と接触するものであってもよい。
また、本発明の造形物の製造時には、前述した以外の化学反応を行ってもよい。例えば
、液状組成物がアセチル化された水酸基を有するセルロース誘導体を含むものである場合
、造形物の製造時において、アセチル基を脱離する反応(脱アセチル化)を行ってもよい
。これにより、例えば、液状組成物中においては、セルロース系材料(セルロース誘導体
)の疎水性をより高いものとしつつ、最終的に得られる造形物については、疎水性を比較
的低いものとすることができ、造形物の生産性や液状組成物の保存安定性と、造形物との
特性との両立を図ることができる。
P10…造形物(三次元造形物)
P10’…仮成形体
P1’…組成物(粒子含有組成物)
P1…層
P12…液状組成物(インク)
P13…結合部(実体部)
P16’…実体部形成用インク
P16…実体部
P17’…支持部形成用インク
P17…支持部
100…造形物製造装置
2…制御部
21…コンピューター
22…駆動制御部
3…組成物供給部(粒子含有組成物供給部)
4…層形成部
41…ステージ
42…スキージー(平坦化手段)
43…ガイドレール
44…組成物仮置部
45…側面支持部(枠体)
5…液状組成物吐出部(液状組成物付与手段)
6…エネルギー線照射手段(固化手段、結合形成手段)
8…実体部形成用インク付与手段
9…支持部形成用インク付与手段

Claims (9)

  1. セルロースおよびセルロース誘導体の少なくとも一方を含む材料で構成されたセルロー
    ス系材料と、
    反応性の官能基を有するイオン液体とを含むことを特徴とする液状組成物。
  2. 前記イオン液体は、イミダゾリウム塩構造を有するものである請求項1に記載の液状組
    成物。
  3. 前記反応性の官能基は、炭素−炭素二重結合を含むものである請求項1または2に記載
    の液状組成物。
  4. 前記反応性の官能基は、(メタ)アクリロイル基である請求項3に記載の液状組成物。
  5. 液状組成物中における前記イオン液体の含有率をX[質量%]、液状組成物中におけ
    る前記セルロース系材料の含有率をX[質量%]としたとき、1≦X/X≦40の
    関係を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液状組成物。
  6. 液晶性部位を有する前記セルロース誘導体を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記
    載の液状組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液状組成物を用いて製造されたことを特徴と
    する造形物。
  8. 組成物を用いて層を形成する層形成工程を複数回行い、前記層を積層し三次元造形物を
    製造する方法であって、
    前記三次元造形物を構成すべき領域に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液状
    組成物を付与し、その後、前記反応性の官能基が関与する化学反応を進行させることを特
    徴とする造形物の製造方法。
  9. 前記液状組成物は、インクジェット法により付与されるものである請求項8に記載の造
    形物の製造方法。
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