JP2016209430A - ステント - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性の高いステントを提供すること。
【解決手段】本発明のステントは、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたことを特徴とする。前記セルロース系材料は、分子内にイオン性官能基および液晶性官能基を有するセルロース誘導体と、重合性官能基を有する重合性化合物とを反応させて得られたものであるのが好ましい。また、前記セルロース系材料は、分子内に液晶性官能基を有する化合物および分子内にイオン性官能基を有する化合物を前記重合性化合物として用いた反応により得られたものであるのが好ましい。前記重合性化合物は、前記セルロース誘導体の反応時において溶媒として機能するものであるのが好ましい。また、ステントは、三次元造形法により製造されたものであるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステントに関する。
狭心症等の狭窄症の治療等にステントが広く用いられている。
ステントとしては、一般に、強度等の観点から、金属材料で構成されたものが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、金属材料で構成されたステントは、生体内で破損(例えば、ステントを構成する一部のワイヤーの離脱等)を生じた場合等に、生命等に重大な悪影響を及ぼすことが危惧される。
特開2014−138696号公報
本発明の目的は、安全性の高いステントを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のステントは、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたことを特徴とする。
これにより、安全性の高いステントを提供することができる。
本発明のステントでは、前記セルロース系材料は、セルロース骨格構造に導入された繰り返し構造を有する高分子鎖の繰り返し単位に、液晶性官能基が導入されたものであることが好ましい。
これにより、ステントにおいてセルロース系材料を高密度で存在させることができ、ステントの機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記セルロース系材料は、複数個のイオン性官能基を含むブロックと、複数個の液晶性官能基を含むブロックとを有するものであることが好ましい。
これにより、ステントの寸法精度、機械的強度、安全性等をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記イオン性部位は、イオン液体と共通の化学構造を有するものであることが好ましい。
これにより、セルロース誘導体は、水を含む液体(例えば、生理食塩水、体液等)との親和性により優れたものとなる。また、ステントの機械的強度、耐久性等をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記セルロース系材料は、分子内にイオン性官能基を有するセルロース誘導体と、重合性官能基を有する重合性化合物とを反応させて得られたものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記重合性官能基は、炭素−炭素二重結合を含むものであることが好ましい。
これにより、ステントの強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
これにより、ステントの強度、耐久性、信頼性をさらに優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記セルロース誘導体は、分子内に液晶性官能基を有するものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記セルロース系材料は、分子内に液晶性官能基を有する化合物を前記重合性化合物として用いた反応により得られたものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記液晶性官能基を有する前記重合性化合物は、当該重合性化合物の重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をさらに優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記セルロース系材料は、分子内にイオン性官能基を有する化合物を前記重合性化合物として用いた反応により得られたものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記イオン性官能基を有する前記重合性化合物は、当該重合性化合物の重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものであることが好ましい。
これにより、ステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
本発明のステントは、三次元造形法により製造されたものであることが好ましい。
これにより、複雑な形状、微小な構造を有するステントを高い寸法精度のものとして好適に提供することができる。また、このような優れたステントを効率よく製造することができる。また、ステントの適用部位やステントが適用される患者の身体的特徴等に応じた、仕様の調整を好適に行うことができる。
本発明のステントは、筒状部を有するものであり、
前記液晶性部位は、ステントの長手方向に垂直な方向での断面における前記筒状部の外周方向に沿って配向していることが好ましい。
これにより、ステントの生体内での形状の安定性、強度をより優れたものとすることができる。また、ステントが設置される体腔の部位からのステントの不本意な移動をより効果的に防止しつつ、体腔をより好適に拡張し、体腔の狭窄をより好適に防止することができる。
本発明のステントは、筒状部と、前記筒状部の中空部に設けられたリブとを有するものであることが好ましい。
これにより、ステントの生体内での形状の安定性、強度をより優れたものとすることができる。
本発明のステントでは、前記液晶性部位は、ステントの長手方向に垂直な方向での断面における前記リブの長さ方向に沿って配向していることが好ましい。
これにより、ステントの生体内での形状の安定性、強度をより優れたものとすることができる。また、ステントが設置される体腔の部位からのステントの不本意な移動をより効果的に防止しつつ、体腔をより好適に拡張し、体腔の狭窄をより好適に防止することができる。
本発明のステントの好適な実施形態を模式的に示す側面図である。 本発明のステントの好適な実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造に用いる製造装置の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のステントの製造に用いる製造装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《ステント》
図1は、本発明のステントの好適な実施形態を模式的に示す側面図、図2は、本発明のステントの好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明のステントは、血管等の体腔を拡張するため、体腔の狭窄を防止するために用いられる器具である。
そして、本発明のステントは、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたものである。
ステントは、生体内に長期間挿入された状態が保持されるものであり、優れた強度、耐久性、生体適合性等が要求されるものである。
一方、セルロース系材料は、アレルギー等の問題を生じにくく、生体安全性に優れている。また、セルロース系材料は、その化学構造から、一般に優れた機械的強度を有するものである。そして、従来においては、セルロール材料が本来有している機械的強度を十分に発揮させることが困難であったが、本発明では、所定の誘導体とすることにより、セルロール材料が本来有している機械的強度を発揮させることができるとともに、さらに、所定の官能基の効果により、機械的強度を増強することができる。したがって、本発明のステントは、長期間にわたって、上記のようなステントとして求められる機能を安定的に発揮することができる。
また、本発明のステントを構成するセルロース系材料は適度な親水性を有している。このため、例えば、乾燥状態または水分含有率の低い状態のステントに、水を含む液体(例えば、生理食塩水等)を付与すると、ステントが膨潤し、摺動性に優れた状態となる。このため、体腔内への挿入操作を円滑に行うことができる。また、本発明のステントは、徐々に水分を吸収し、膨張の度合いが大きくなるため、例えば、ステントの体腔内への挿入時や体腔内の移動時よりも、ステントを体腔内の目的の部位に移動させた後に、ステントの外径を大きくすることができる。これにより、体腔内の目的の部位において、ステントが体腔内壁を好適に押圧することができ、ステントの不本意な移動を防止しつつ、体腔を好適に拡張し、体腔の狭窄を好適に防止することができる。
また、セルロースは、再生可能な資源で、地球上に莫大な蓄積量があるため、資源の有効活用の観点からも好ましい。
ステントが適用される体腔としては、例えば、血管(例えば、冠動脈、肺動脈、腹部大動脈、胸部大動脈、脳血等)や、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道等が挙げられるが、特に、血管に適用されるステントは、大きな圧力変化が長期間にわたって繰り返し加わるものであり、また、各種ステントの中でも、欠陥が生じた場合に、生命、健康により大きな影響を与えるものであるため、より優れた強度、耐久性、安全性が要求されるが、本発明によれば、これらの要求を満足することができる。
図1、図2に示すように、本実施形態のステントP10は、筒状部P1と、筒状部P1の中空部内に設けられたリブ(梁部)P2とを有している。
筒状部P1は、ステントP10の使用時において、体腔内壁と接触する部位である。
筒状部P1が、後に詳述するようなセルロース系材料を含む材料で構成されたものであることにより、アレルギー等の問題を特に生じにくく、生体に対する安全性をより優れたものとすることができる。
筒状部P1の断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状等、いかなるものであってもよいが、図示の構成では、円形状である。
これにより、生体内におけるステントP10の形状の安定性をより優れたものとすることができる。また、筒状部P1の中空部の断面積をより大きいものとすることができ、ステントP10が適用される体腔が本来有している機能が阻害されることがより効果的に防止される。
筒状部P1の外径Dは、ステントP10の適用部位や、ステントP10が適用される患者の身体的特徴等により異なるが、0.5mm以上20mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上16mm以下であるのがより好ましい。
筒状部P1の長さLは、ステントP10の適用部位や、ステントP10が適用される患者の身体的特徴等により異なるが、3.0mm以上250mm以下であるのが好ましく、5.0mm以上160mm以下であるのがより好ましい。
筒状部P1の厚さTは、10μm以上500μm以下であるのが好ましく、30μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の機械的強度を十分に優れたものとしつつ、ステントP10の軽量化、ステントP10の製造に用いる材料の使用量の削減、低コスト化を図ることができる。
筒状部P1の外径をD[mm]、筒状部P1の厚さをT[mm]としたとき、0.01≦T/D≦1の関係を満足するのが好ましく、0.05≦T/D≦0.1の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、ステントP10の機械的強度を十分に優れたものとしつつ、ステントP10の軽量化、ステントP10の製造に用いる材料の使用量の削減、低コスト化を図ることができる。
ステントP10の長手方向に垂直な方向での断面(図2に示す方向での断面)において、構成材料であるセルロース系材料の液晶性部位は、筒状部P1の外周方向に沿って配向しているのが好ましい。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をより優れたものとすることができる。また、ステントP10が水分を吸収した場合に、ステントP10を前記断面での外径方向に優先的に膨潤させることができ(膨張の方向に異方性があり)、ステントP10が設置される体腔の部位からのステントP10の不本意な移動をより効果的に防止しつつ、体腔をより好適に拡張し、体腔の狭窄をより好適に防止することができる。
リブ(梁部)P2は、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度を向上させる機能を有するものである。
リブP2は、ステントP10の長手方向に垂直な方向での断面(図2に示す方向での断面)において、当該断面の中心(重心)を通過するものであるのが好ましい。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をさらに優れたものとすることができる。
また、各リブP2は、ステントP10の長手方向に垂直な方向での断面(図2に示す方向での断面)において、直線状をなすものである。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をさらに優れたものとすることができる。
図示の構成では、ステントP10の長手方向の異なる部位に、複数のリブP2が設けられている。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をさらに優れたものとすることができるとともに、ステントP10が適用される体腔が本来有している機能が阻害されることをより効果的に防止することができる。
ステントP10の長手方向におけるリブP2の間隔Pは、ステントP10の適用部位や、ステントP10が適用される患者の身体的特徴等により異なるが、0.5mm以上20mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上10mm以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をさらに優れたものとすることができるとともに、ステントP10が適用される体腔が本来有している機能が阻害されることをさらに効果的に防止することができる。
ステントP10の長手方向に垂直な方向での断面(図2に示す方向での断面)でのリブの幅Wは、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をさらに優れたものとすることができるとともに、ステントP10が適用される体腔が本来有している機能が阻害されることをさらに効果的に防止することができる。
ステントP10の長手方向に垂直な方向での断面(図2に示す方向での断面)において、構成材料であるセルロース系材料の液晶性部位は、リブP2の長さ方向に沿って配向しているのが好ましい。
これにより、ステントP10の生体内での形状の安定性、強度をより優れたものとすることができる。また、ステントP10が水分を吸収した場合に、ステントP10を前記断面での外径方向に優先的に膨潤させることができ(膨張の方向に異方性があり)、ステントP10が設置される体腔の部位からのステントP10の不本意な移動をより効果的に防止しつつ、体腔をより好適に拡張し、体腔の狭窄をより好適に防止することができる。
ステントP10は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、三次元造形法(所定の形状を有する層状のパターンを形成する工程を繰り返し行うことにより、前記パターンを重ね合わせ、三次元造形物を製造する方法)により製造されたものであるのが好ましい。
これにより、複雑な形状、微小な構造を有するステントを高い寸法精度で効率よく製造することができる。また、ステントの適用部位やステントが適用される患者の身体的特徴等に応じた、仕様の調整を好適に行うことができる。また、従来の金属材料で構成されたステントでは、各患者に合わせた仕様のステントを製造する場合、通常、発注から納品までに数か月という長期間を要していたが、三次元造形法を適用して本発明のステントを製造した場合、納期を大幅に短縮することができる。
なお、三次元造形法によるステントP10の製造については、後に詳述する。
《ステントの構成材料としてのセルロース系材料》
前述したように、本発明のステントは、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたものである。
以下、ステントを構成するセルロース系材料について詳細に説明する。
ステントを構成するセルロース系材料は、液晶性部位およびイオン性部位を有するものである。言い換えると、ステントは、液晶性部位およびイオン性部位が導入されたセルロース誘導体を含む材料で構成されたものである。
液晶性部位を有することにより、ステント内において、ステントの構成材料を好適に配向させることができ、ステントの機械的強度、形状の安定性を優れたものとすることができる。
また、イオン性部位を有することにより、ステントの親水性を優れたものとすることができる。これにより、例えば、ステントの表面に適度な柔軟性を付与することができ、ステントと体腔内壁との摩擦を低減することができ、ステントの挿入時における操作性を優れたものとすることができ、患者の負担を低減することができる。
また、イオン性部位を有することにより、ステント中でのセルロース誘導体の分子内および分子間の相互作用を大きくすることができ、ステントを高密度のセルロース系材料を含む材料で構成されたものとすることができ、ステントの機械的強度をより確実に優れたものとすることができる。また、ステントの製造時においては、例えば、高濃度でセルロース誘導体を含む液状の組成物を調製することができるため、高密度で寸法精度の高いステントを好適に製造することができる。
セルロースはβ−グルコースがグリコシド結合により重合した化合物であるが、本発明において、セルロース誘導体とは、セルロースから化学反応により誘導することができる化合物であればよく、例えば、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の置換基に変化させたもの(セルロースが有する水酸基の少なくとも一部を他の化合物と縮合反応させたもの等を含む)等が挙げられる。
なお、前記置換基は、すべての繰り返し単位(グルコース構造)について、同様に導入されたものであってもよいし、繰り返し単位(グルコース構造)の一部にのみ導入されたものであってもよい。また、繰り返し単位(グルコース構造)によって、前記置換基が導入された部位が異なっていてもよい。
液晶性官能基としては、例えば、下記式(6)に示すようなものを挙げることができる。
Figure 2016209430
液晶性官能基は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよいが、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、下記式(2)のRに液晶性官能基が導入されているのが好ましい。
Figure 2016209430
(式(2)中、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、少なくとも、分子内に少なくとも1つの官能基が導入されている。)
これにより、液晶性官能基によるセルロース誘導体の配向の効果をより顕著に発揮させることができ、ステントの強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。また、ステントの製造に用いる組成物の構成成分としてのセルロース誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、ステントの生産コストの低減にも寄与することができる。
液晶性官能基は、セルロース誘導体の分子内に少なくとも1つ導入されていればよいが、セルロース誘導体の分子内には、複数個の液晶性官能基が導入されているのが好ましい。
これにより、ステント中においてセルロース誘導体をより好適に配列させることができ、ステントの機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
ステントを構成するセルロース系材料は、液晶性部位およびイオン性部位を有するものであれば、いかなるものであってもよいが、セルロース骨格構造に導入された繰り返し構造を有する高分子鎖の繰り返し単位に、液晶性官能基が導入されたものであるのが好ましい。
これにより、例えば、セルロース系材料分子において、より確実に液晶性官能基を規則的に存在させることができる。また、セルロース系材料分子が有する複数の液晶性官能基の条件を好適に揃えることができる。このようなことから、ステントにおいてセルロース系材料を高密度で存在させることができ、ステントの機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
ステントを構成するセルロース系材料(セルロース誘導体)が有するイオン性部位は、水中において電離可能なもの(例えば、塩構造を有するもの)であればいかなるものであってもよく、例えば、脂肪酸、スルホン酸、リン酸等の各種酸の塩や、アミノ基の塩、第四級アンモニウムイオンの塩等が挙げられるが、イオン液体と共通の化学構造を有するものであるのが好ましい。
イオン液体は、液体状態で存在する塩であり、一般に、通常の固体状の塩に比べて、イオンの大きさ(イオンとして機能する原子団の大きさ)が大きいものである。このようなイオン液体と共通の化学構造としてのイオン性部位を含むことにより、セルロース誘導体は、水を含む液体(例えば、生理食塩水、体液等)との親和性により優れたものとなる。また、イオン性部位を含むセルロース誘導体は、分子間の結合力も大きいものとなるため、製造されるステントの機械的強度、耐久性等をより優れたものとすることができる。
イオン液体を構成する陽イオンとしては、例えば、イミダゾール系、ピリジン系、脂環族アミン系、脂肪族アミン系等の各種陽イオンが挙げられる。
また、イオン液体を構成する陰イオンとしては、例えば、臭化物イオンやトリフラート等のハロゲン系、テトラフェニルボレート等のホウ素系、ヘキサフルオロホスフェート等のリン系等の各種陰イオンが挙げられる。
イオン液体の具体例としては、例えば、N−メチル−N−プロピルピロリヂウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド、1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド、1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリウムジシアナミド、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムビストリフルオロスルホロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
特に、セルロース誘導体が備えるイオン性部位は、イミダゾリウム塩構造を有するものであるのが好ましい。
これにより、前述したようなイオン性部位を有することによる効果がより顕著に発揮される。
イオン性部位としては、例えば、下記式(3)に示すようなものが挙げられる。
Figure 2016209430
(式(3)中、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
イオン性部位は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよいが、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、下記式(2)のRにイオン性部位が導入されているのが好ましい。
Figure 2016209430
(式(2)中、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。ただし、少なくとも、分子内に少なくとも1つの前記イオン性部位を含む官能基が導入されている。)
これにより、イオン性部位をセルロース誘導体の分子の外側に効率よく露出させることができ、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
イオン性部位は、セルロース誘導体の分子内に、複数個導入されているのが好ましい。
これにより、前述したようなイオン性部位を有することによる効果がより顕著に発揮される。
特に、複数個のイオン性部位は、セルロース骨格構造(基本骨格)に導入された繰り返し構造を有する高分子鎖(側鎖)の繰り返し単位に導入されているものであるのが好ましい。
これにより、前述したようなイオン性部位を有することによる効果がより顕著に発揮される。
ステントを構成するセルロース系材料は、液晶性部位およびイオン性部位を、それぞれ、ブロック状に有するものであるのが好ましい。言い換えると、ステントを構成するセルロース系材料は、複数個のイオン性官能基を含むブロックと、複数個の液晶性官能基を含むブロックとを有するものであるのが好ましい。
これにより、複数個の液晶性官能基を有することによる効果、および、複数個のイオン性官能基を有することによる効果が、それぞれ、より顕著に発揮され、製造されるステントの寸法精度、機械的強度、安全性等をより優れたものとすることができる。
このような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の具体例としては、例えば、下記式(18)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016209430
(式(18)中、l、m、nは、それぞれ独立に、2以上の整数であり、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(CHCO)であり、Rは、下記式(9)であり、Rは、下記式(10)または下記式(11)である。)
Figure 2016209430
(式(9)中、kは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
Figure 2016209430
Figure 2016209430
(式(10)、式(11)中、jは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
ステントを構成するセルロース系材料は、液晶性部位およびイオン性部位を有するものであれば、いかなるものであってもよいが、分子内にイオン性官能基を有するセルロース誘導体と、重合性官能基を有する重合性化合物とを反応させて得られたものであるのが好ましい。
これにより、ステントの製造に用いる原料の取扱いのし易さ(例えば、溶媒に対する溶解性、分散性等)を優れたものとし、セルロース系材料の調製、ステントの製造を好適に行うことができる。また、例えば、イオン性官能基を有するセルロース誘導体と重合性化合物との間での共有結合の形成や、セルロース誘導体の分子鎖と重合性化合物の重合物の分子鎖とを絡み合わせること等により、製造されるステントの機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。
以下、ステントを構成するセルロース系材料の調製に用いる、イオン性官能基を有するセルロース誘導体、および、重合性化合物について詳細に説明する。
(イオン性官能基を有するセルロース誘導体)
ステントを構成するセルロース系材料の調製に用いるセルロース誘導体が有するイオン性官能基としては、例えば、前述したようなものが挙げられる。
ステントを構成するセルロース系材料の調製に用いるイオン性官能基を有するセルロース誘導体は、イオン性官能基に加え、分子内に液晶性官能基を有するものであるのが好ましい。
これにより、ステントの製造時に液晶性官能基をより好適に配向させることができ、最終的なステントの機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。また、ステントを構成するセルロース系材料の調製の際に、重合性化合物として、分子内に液晶性官能基を有する化合物(液晶性重合性化合物)を用いる場合に、反応原料としてのセルロース誘導体と、液晶性重合性化合物との親和性をより高いものとすることができ、セルロース系材料を調製する化学反応(セルロース誘導体と重合性化合物との反応)をより効率よく進行させることができ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。
また、ステントを構成するセルロース系材料の調製に用いるイオン性官能基を有するセルロース誘導体としては、重合性化合物等との反応(共有結合を形成する化学反応)に寄与する官能基(反応性官能基)を有するものを好適に用いることができる。
前記反応性官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸基、カルボキシル基等が挙げられるが、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好ましい。
これにより、イオン性官能基を有するセルロース誘導体の反応性を優れたものとすることができ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。また、製造されるステント中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含まれることを効果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから、ステントの強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。また、イオン性官能基を有するセルロース誘導体と反応する化合物(イオン性官能基を有するセルロース誘導体が有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、ステントの設計の幅が広がる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基(反応性官能基)としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これにより、イオン性官能基を有するセルロース誘導体の反応性をさらに優れたものとすることができ、ステントの生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的なステント中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含まれることをより効果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから、ステントの強度、耐久性、信頼性をさらに優れたものとすることができる。また、イオン性官能基を有するセルロース誘導体と反応する化合物(イオン性官能基を有するセルロース誘導体が有する反応性官能基と反応し得る化合物)の選択の幅が広がるため、ステントの設計の幅が広がる。
前記反応性官能基は、セルロース誘導体のいかなる部位に導入されたものであってもよいが、セルロース骨格構造(基本骨格構造)とは異なる前記セルロース誘導体の側鎖に導入されたものであるのが好ましい。
これにより、本来セルロースが有している特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性等)をより効果的に発揮させつつ、反応性官能基を有することによる効果を発揮させることができる。また、セルロース誘導体の側鎖は、一般に、セルロース骨格構造(基本骨格構造)に比べて反応性が高いため、反応性官能基が関与する反応をより効率よく進行させることができる。
特に、前記反応性官能基は、セルロースを構成するβ−グルコースの6位の炭素に結合する水酸基に化学反応により導入されたものであるのが好ましい。すなわち、上記式(2)のRに前記反応性官能基が導入されているのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の立体障害を小さいものとすること等から、セルロース誘導体の反応性を優れたものとすることができ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。また、最終的なステント中に未反応のセルロース誘導体が不本意に多く含まれることを防止することができる。このようなことから、ステントの強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。また、ステントの製造に用いる組成物の構成成分としてのセルロース誘導体の合成を効率よく行うことができる。その結果、ステントの生産コストの低減にも寄与することができる。
また、前記反応性官能基は、基本となるセルロース構造に、少なくとも1つの炭素−炭素単結合を介してセルロース骨格に導入されたものであるのが好ましい。
これにより、前記反応性官能基の反応性をより優れたものとすることでき、ステントの生産性等をより優れたものとすることができる。
上記のような条件を満足する好ましいセルロース誘導体の具体例としては、下記式(12)、式(13)、式(14)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016209430
Figure 2016209430
Figure 2016209430
(式(12)、式(13)、式(14)中、l、m、nは、それぞれ独立に、2以上の整数であり、q、rは、それぞれ独立に、1以上の整数であり、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)またはアセチル基(CHCO)であり、Rは、上記式(9)である。)
セルロース誘導体が式(12)〜式(14)で示されるものであることにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させる反応は、紫外線の照射により進行するものであるのが好ましい。
これにより、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形法によりステントを製造する場合における、ステントの製造装置の構成の複雑化を防止し、ステントの生産コストを抑制することができる。
(重合性化合物)
重合性化合物は、重合性官能基を有するものである。
重合性化合物として、分子内に液晶性官能基を有する化合物(液晶性重合性化合物)を用いるのが好ましい。
これにより、ステントを構成するセルロール系材料に、液晶性部位を好適に導入することができる。また、当該重合性化合物の重合反応の際に、液晶性官能基を好適に配向させることができ、最終的に得られるステントの機械的強度、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。
液晶性官能基を有する重合性化合物(液晶性重合性化合物)が備える液晶性官能基としては、例えば、上記式(6)に示すようなものを挙げることができる。
イオン性官能基を有するセルロース誘導体が有する液晶性官能基と、液晶性重合性化合物が有する液晶性官能基とは、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよいが、同一のものであるのが好ましい。これにより、セルロース誘導体と液晶性重合性化合物との親和性をより優れたものとすることができる。
液晶性官能基を有する重合性化合物を用いる場合、当該重合性化合物は、重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られるステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をさらに優れたものとすることができる。
また、重合性化合物として、分子内にイオン性官能基を有する化合物を用いるのが好ましい。
これにより、反応時におけるセルロース誘導体等の溶解性をより優れたものとすることができ、最終的に得られるステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
イオン性官能基を有する重合性化合物(イオン性重合性化合物)が備えるイオン性官能基としては、例えば、例えば、脂肪酸、スルホン酸、リン酸等の各種酸の塩や、アミノ基の塩、第四級アンモニウムイオンの塩、イオン液体と共通の化学構造(例えば、上記式(3)に示すようなもの)等が挙げられる。
イオン性官能基を有するセルロース誘導体が有するイオン性官能基と、イオン性重合性化合物が有するイオン性官能基とは、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよいが、同一のものであるのが好ましい。これにより、セルロース誘導体とイオン性重合性化合物との親和性をより優れたものとすることができる。
イオン性官能基を有する重合性化合物を用いる場合、当該重合性化合物は、重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものであるのが好ましい。
これにより、反応時におけるセルロース誘導体等の溶解性をより優れたものとすることができ、最終的に得られるステントの機械的強度、形状の安定性、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
重合性化合物が有する重合性官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸基、カルボキシル基等が挙げられるが、炭素−炭素二重結合を含むものであるのが好ましい。
これにより、重合性化合物の反応性を優れたものとすることができ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。また、製造されるステント中に未反応の重合性化合物が不本意に含まれることを効果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから、ステントの強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基(重合性官能基)としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これにより、重合性化合物の反応性をさらに優れたものとすることができ、ステントの生産性をさらに優れたものとすることができる。また、最終的なステント中に未反応の重合性化合物が不本意に含まれることをより効果的に防止することができる。また、反応により形成される共有結合の化学的安定性をより優れたものとすることができる。このようなことから、ステントの強度、耐久性、信頼性をさらに優れたものとすることができる。
上記のような条件を満足する好ましい液晶性重合性化合物の具体例としては、式(15)、式(16)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016209430
(式(15)中、jは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(Me)またはメチル基であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
Figure 2016209430
(式(16)中、jは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはメチル基である。)
液晶性重合性化合物が式(15)、式(16)で示されるものであることにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、上記のような条件を満足する好ましいイオン性重合性化合物の具体例としては、式(17)で示されるようなものが挙げられる。
Figure 2016209430
(式(17)中、kは、1以上の整数であり、Rは、水素原子(H)またはメチル基であり、Rは、水素原子(H)またはアルキル基である。)
イオン性重合性化合物が式(17)で示されるものであることにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
重合性化合物が関与する化学反応は、紫外線の照射により進行するものであるのが好ましい。
これにより、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、ステントの生産性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形法によりステントを製造する場合における、ステントの製造装置の構成の複雑化を防止し、ステントの生産コストを抑制することができる。
また、重合性化合物は、その少なくとも一部が、セルロース誘導体と反応し、セルロース誘導体との間に共有結合を形成するものであってもよい。
セルロース系材料の調製に用いる組成物中における重合性化合物の含有率をX[質量%]、セルロース系材料の調製に用いる組成物中におけるセルロース誘導体の含有率をX[質量%]としたとき、1≦X/X≦10の関係を満足するのが好ましく、1.3≦X/X≦7の関係を満足するのがより好ましく、1.5≦X/X≦5の関係を満足するのがさらに好ましい。
このような関係を満足することにより、セルロース誘導体が本来有している特長をより効果的に発揮させつつ、最終的に得られるステントの寸法精度、機械的強度、耐久性、信頼性等をより優れたものとすることができる。
《ステントの製造方法》
次に、本発明のステントの製造方法について説明する。
本発明のステントは、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたものであればよく、その製造方法は、特に限定されない。
ステントの製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形等の各種成形方法等が挙げられる。また、液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたバルク材に切削・研削・研磨等の機械加工を施す方法等であってもよい。
特に、本発明のステントの製造方法としては、以下に説明するような三次元造形法(所定の形状を有する層状のパターンを形成する工程を繰り返し行うことにより、前記パターンを重ね合わせ、三次元造形物を製造する方法)を用いることができる。
これにより、複雑な形状、微小な構造を有するステントP10を高い寸法精度で効率よく製造することができる。また、ステントP10の適用部位やステントP10が適用される患者の身体的特徴等に応じた、仕様の調整を好適に行うことができる。
以下、ステントの製造方法の具体例として、三次元造形法を適用した例について説明する。
≪第1実施形態≫
図3、図4は、本発明のステントの製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
以下の説明では、ステントの製造に、セルロース誘導体とともに重合性官能基を備えた重合性化合物を含む組成物を用い、ステントの製造過程において、前記重合性官能基を反応させる場合について代表的に説明する。
図3、図4に示すように、本実施形態の製造方法は、粒子を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’を用いて、側面支持部(枠体)45で囲われた領域に、所定の厚さを有する層P4を形成する層形成工程(1a、1d)と、インクジェット法により、層P4に対し、セルロース誘導体(セルロース系材料)を含むインクP42を付与するインク付与工程(1b、1e)と、層P4に付与されたインクP42中に含まれる重合性化合物が有する重合性官能基を反応させ硬化部(固化部、結合部)P43を形成する硬化工程(結合部形成工程)(1c、1f)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1g)、さらに、その後に、各層P4を構成する粒子のうち、インクP42(結合剤、硬化成分)により結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1h)を有している。
以下、各工程について説明する。
<層形成工程>
層形成工程では、粒子を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’を用いて、所定の厚さを有する層P4を形成する(1a、1d)。
このように、粒子を含む層形成用組成物P4’を用いることにより、最終的に得られるステントP10の寸法精度を優れたものとすることができる。また、ステントP10の耐熱性や機械的強度等をより優れたものとすることができる。
なお、層形成用組成物P4’については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段を用いて、層P4を表面が平坦化されたものとして形成する。
1回目の層形成工程では、ステージ41の表面に所定の厚さで層P4を形成する(1a)。このとき、ステージ41の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41と側面支持部45との間から、層形成用組成物P4’が落下することが防止されている。
2回目以降の層形成工程では、先の工程で形成された層P4(第1の層)の表面に新たな層P4(第2の層)を形成する(1d)。このとき、ステージ41の層P4(ステージ41上に複数の層P4がある場合には、少なくとも最も上側に設けられた層P4)の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41とステージ41上の層P4との間から、層形成用組成物P4’が落下することが防止されている。
本工程においては、層形成用組成物P4’を加熱してもよい。これにより、例えば、層形成用組成物P4’が溶融成分を含む場合において、層形成用組成物P4’をより好適にペースト状のものとすることができる。
本工程における層形成用組成物P4’の粘度は、7000mPa・s以上60000mPa・s以下であるのが好ましく、10000mPa・s以上50000mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、形成される層P4における不本意な膜厚のばらつきの発生をより効果的に防止することができる。
なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
本工程で形成する層P4の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上150μm以下であるのがより好ましい。これにより、ステントP10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造されるステントP10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
<インク付与工程>
層形成工程で層P4を形成した後、インクジェット法により、当該層P4に対し、セルロース誘導体(セルロース系材料)を含むインクP42を付与する(1b、1e)。
本実施形態において、インクP42は、層P4を構成する粒子を結合する結着液(結合液)として機能するものである。特に、本実施形態において、インクP42は、セルロース誘導体とともに、硬化工程(結合部形成工程)における重合反応に関与する重合性化合物を含むものである。これにより、層P4を構成する粒子を強固に結合することができるとともに、隣り合う層P4のインクP42が付与された部位同士も強固に結合することができる。また、流動性を有するインクP42中に、液晶成分(セルロース誘導体が有する液晶性部位、重合性化合物が有する液晶性官能基)が含まれることにより、当該液晶成分がより好適に配向することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の機械的強度、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。
また、本工程においてインクP42を付与する際に、インクP42中に含まれるセルロース誘導体は、溶解状態であるのが好ましい。
これにより、インクP42中に含まれるセルロース誘導体等をより好適に配向させることができ、最終的に得られるステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
本工程では、層P4のうちステントP10の実部(筒状部P1およびリブP2)に対応する部位にのみ、選択的にインクP42を付与する。
これにより、層P4を構成する粒子同士を強固に結合させ、最終的に所望の形状の硬化部(結合部)P43を形成することができる。また、最終的に得られるステントP10の機械的強度を優れたものとすることができる。
本工程では、インクジェット法によりインクP42を付与するため、インクP42の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よくインクP42を付与することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより高いものとすることができる。
なお、インクP42については、後に詳述する。
インクP42は、配向処理が施された部材上に付与されるものであってもよい。すなわち、ステージ41が表面に配向処理が施されたものであってもよい。
これにより、インクP42中に含まれる液晶成分(セルロース誘導体が有する液晶性部位、重合性化合物が有する液晶性官能基)を、より好適に配向させることができ、最終的に得られるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性等をより優れたものとすることができる。
なお、ステージ41が表面に配向処理が施されたものであると、2層目以降の層P4についても、インクP42が付与された部位において、インクP42中に含まれる液晶成分(セルロース誘導体が有する液晶性部位、重合性化合物が有する液晶性官能基)が、その下側の層P4(液晶性官能基が配向している層P4)の影響を受けるため、ステージと直接接触していなくても、インクP42中に含まれる液晶成分(セルロース誘導体が有する液晶性部位、重合性化合物が有する液晶性官能基)が好適に配向する。すなわち、2層目以降の層P4については、その下側の層P4が、配向処理が施された部材として機能する。
配向処理としては、ラビング処理等の方法が好適に用いられる。
また、ステージ41の表面の材料としては、例えば、ポリイミド等の配向処理を好適に行う材料を用いることができる。
<結合部形成工程(硬化工程)>
インク付与工程で層P4にインクP42を付与した後、インクP42を固化させ、インクP42の固化物により複数個の粒子が結合した結合部(固化部)P43を形成する(1c、1f)。特に、本実施形態では、インクP42に含まれる重合性化合物が有する重合性官能基を反応させ硬化部(結合部)P43を形成する。
これにより、セルロース系材料が本来有している特長(例えば、高強度、軽量、生体安全性等)を発揮させつつ、インクP42が付与された部位での結合力をより優れたものとすることができる。このようなことから、最終的に得られるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。
本工程は、インクP42に含まれる重合性化合物の種類等により異なるが、例えば、加熱やエネルギー線(例えば、紫外線等の光線や、電子線、陽電子線、中性子線、α線、イオンビーム等)の照射等により行うことができる。
特に、インクP42中に含まれるセルロース誘導体を、加熱により硬化させる場合、ステントP10の製造装置の構成を簡易なものとすることができる。また、ステントP10の原料が光透過性の低い材料であっても、目的とする反応を好適に進行させることができる。
セルロース誘導体の硬化(セルロース誘導体の分子鎖間での共有結合の形成)を加熱により行う場合、加熱温度は、セルロース誘導体の種類等により異なるが、50℃以上180℃以下であるのが好ましく、60℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
また、インクP42中に含まれるセルロース誘導体を、光の照射により硬化させる場合、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
セルロース誘導体を光の照射により硬化させる場合、当該光としては、例えば、紫外線、赤外線、可視光線、X線、マイクロ波、ラジオ波等を用いることができるが、紫外線であるのが好ましい。
これにより、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、ステントP10の製造装置の構成の複雑化を防止し、ステントP10の生産コストを抑制することができる。
また、セルロース誘導体を紫外線の照射により硬化させる場合、紫外線のピーク波長は、250nm以上400nm以下であるのが好ましい。また、硬化させるべき各部位への紫外線の照射時間は、30秒以上60秒以下であるのが好ましい。
なお、インク付与工程と結合部形成工程(硬化工程)とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層P4全体のパターン全体が形成される前に、インクP42が付与された部位から順次反応を進行させるものであってもよい。
<未結合粒子除去工程>
そして、前記のような工程を繰り返し行った後に、後処理工程として、各層P4を構成する粒子のうち、インクP42により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1h)を行う。これにより、ステントP10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子(不要部)を払い除ける方法、未結合粒子(不要部)を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
≪第2実施形態≫
次に、本発明のステントの製造方法の第2実施形態について説明する。
図5、図6は、本発明のステントの製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
図5、図6に示すように、本実施形態の製造方法は、セルロース誘導体(セルロース系材料)を含み実体部P46の形成に用いる実体部形成用インクP46’および実体部P46を支持する支持部P47の形成に用いる支持部形成用インクP47’を、インクジェット法により、所定のパターンで吐出するインク付与工程(2a、2c)と、吐出した実体部形成用インクP46’中に含まれる重合性化合物が有する重合性官能基を反応させる硬化工程(固化工程)(2b、2d)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い仮成形体P10’を得(2e)、さらに、その後に、支持部P47を除去する支持部除去工程(2f)を有している。
このように、本実施形態では、インク付与工程と硬化工程(固化工程)とによって、層P4を形成している。すなわち、本実施形態では、層形成工程は、インク付与工程と硬化工程(固化工程)とを含むものである。
また、本実施形態では、粒子を含む組成物を平坦化手段で平坦化しつつ層を形成することなく、インクジェット法により吐出されるインクを層形成用組成物として用いて、層を形成する。
これにより、造形領域(ステージ41上の領域)の必要な個所に組成物を選択的に付与することができるため、ステントP10の製造に伴う材料の無駄を防止、抑制することができる。このため、ステントP10の生産コストの低減、省資源の観点から有利である。また、全体としての工程数を少なくすることができ、材料の回収等の処理も省略または簡略化することができ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
以下、各工程について説明する。
<インク付与工程(インク吐出工程)>
インク付与工程では、インクジェット法により、セルロース誘導体(セルロース系材料)を含む実体部形成用インクP46’および硬化性樹脂(硬化性成分)を含む支持部形成用インクP47’を、インクジェット法により、所定のパターンで吐出する(2a、2c)。
より具体的には、ステントP10の実体部P46となるべき領域に実体部形成用インクP46’を付与し、ステントP10の実体部P46の最外層となるべき領域に隣接する領域であって、前記最外層の表面側の領域に支持部形成用インクP47’を付与する。
1回目のインク付与工程では、ステージ41上に、インク(実体部形成用インクP46’、支持部形成用インクP47’)を吐出し(2a)、2回目以降のインク付与工程では、層P4上に、インク(実体部形成用インクP46’、支持部形成用インクP47’)を吐出する(2c)。
このように、本実施形態では、ステントP10の実体部P46となるべき部位にインク(実体部形成用インクP46’(前述した第1実施形態でのインクP42に対応するインク))を付与するだけでなく、その表面側にもインク(支持部形成用インクP47’)を付与する。
これにより、支持部形成用インクP47’を付与して支持部P47を形成することにより、ステントP10を構成する層(第2の層)として、それよりも下の層(第1の層)の外周部からはみ出す部分を有するもの(例えば、図中での、下から1層目と2層目との関係、下から2層目と3層目との関係、下から5層目と6層目との関係、下から6層目と7層目との関係)であっても、下層(第1の層)の支持部P47が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクP46’を好適に支持することができる。そのため、実体部P46の不本意な変形(特に、ダレ等)を好適に防止することができ、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
また、本工程では、インクジェット法によりインク(実体部形成用インクP46’および支持部形成用インクP47’)を付与するため、インク(実体部形成用インクP46’および支持部形成用インクP47’)の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よくインクを付与することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより高いものとすることができる。
なお、実体部形成用インクP46’、支持部形成用インクP47’については、後に詳述する。
本工程で付与されるインク量は、特に限定されないが、後の硬化工程(固化工程)で形成される層P4の厚さが5μm以上500μm以下となるものであるのが好ましく、10μm以上150μm以下となるものであるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造されるステントP10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、最終的に得られるステントP10の表面状態をより好適に制御することができる。
<硬化工程(固化工程)>
インク付与工程でインク(実体部形成用インクP46’、支持部形成用インクP47’)を付与(吐出)した後、実体部形成用インクP46’を硬化(固化)させるとともに、支持部形成用インクP47’を硬化(固化)させる(2b、2d)。これにより、実体部P46および支持部P47を有する層P4が得られる。すなわち、実体部形成用インクP46’が付与された部位は、実体部P46となり、支持部形成用インクP47’が付与された部位は、支持部P47となる。
本工程は、実体部形成用インクP46’に含まれる重合性化合物の種類、支持部形成用インクP47’中に含まれる硬化成分(硬化性樹脂)の種類等により異なるが、例えば、加熱やエネルギー線(例えば、紫外線等の光線や、電子線、陽電子線、中性子線、α線、イオンビーム等)の照射等により行うことができる。
特に、実体部形成用インクP46’を、加熱により硬化させる場合、ステントP10の製造装置の構成を簡易なものとすることができる。また、ステントP10の原料が光透過性の低い材料であっても、目的とする反応を好適に進行させることができる。
実体部形成用インクP46’、支持部形成用インクP47’の硬化を加熱により行う場合、加熱温度は、重合性化合物の種類等により異なるが、50℃以上180℃以下であるのが好ましく、60℃以上150℃以下であるのがより好ましい。
また、実体部形成用インクP46’中に含まれるセルロース誘導体を、光の照射により硬化させる場合、材料の不本意な変性・劣化等をより効果的に防止しつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
セルロース誘導体を光の照射により硬化させる場合、当該光としては、例えば、紫外線、赤外線、可視光線、X線、マイクロ波、ラジオ波等を用いることができるが、紫外線であるのが好ましい。
これにより、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、ステントP10の製造装置の構成の複雑化を防止し、ステントP10の生産コストを抑制することができる。
なお、上記の説明では、層P4に対応する形状、パターンで、インクを付与し、その後、インクで構成された層(層P4に対応する層)全体を硬化させるものとして説明したが、少なくとも一部の領域について、インクの吐出とインクの硬化とを同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層P4全体のパターン全体が形成される前に、層P4に対応する領域の少なくとも一部について、インクが付与された部位から順次硬化反応を進行させるものであってもよい。ただし、少なくとも、実体部形成用インクP46’と支持部形成用インクP47’との接触部分(実体部P46と支持部P47とが接触すべき部分)については、同時に硬化処理を施し、実体部形成用インクP46’に対する硬化処理と、支持部形成用インクP47’に対する硬化処理とを別個に行わないのが好ましい。
また、本工程では、インク中に含まれる硬化成分を完全に硬化させる必要はない。例えば、本工程終了時において、支持部形成用インクP47’は、不完全に硬化した状態となり、実体部形成用インクP46’は、支持部形成用インクP47’よりも高い硬化度で硬化していてもよい。
これにより、後に詳述する支持部除去工程を容易に行うことができ、ステントP10の生産性のさらなる向上を図ることができる。
また、本工程終了時において、実体部形成用インクP46’を不完全な状態で硬化した状態としてもよい。このような場合であっても、例えば、後の工程(例えば、硬化工程(固化工程)において下側の層P4を形成した後の「インク付与工程」等)を行った後に、不完全な硬化状態である実体部形成用インクP46’(実体部P46)に対し、硬化度を高めるための本硬化処理を行うことにより、最終的に得られるステントP10の機械的強度等を優れたものとすることができる。また、実体部形成用インクP46’(下層)を不完全な状態で硬化した状態で、上層を形成するためのインクを付与することにより、層間の密着性をより優れたものとすることができる。
<支持部除去工程>
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に、支持部P47を除去する(2f)。これにより、ステントP10が得られる。
支持部P47を除去する方法としては、例えば、支持部P47を選択的に溶解する液体を用いて支持部P47を選択的に溶解除去する方法や、実体部P46に比べて支持部P47の吸収性が高い液体を用いて、支持部P47に選択的に当該液体を吸収させることにより、支持部P47を膨潤させたり、支持部P47の機械的強度を低下させたうえで、当該支持部P47を剥離したり、破壊する方法等が挙げられる。
本工程で用いる液体としては、実体部P46、支持部P47の構成材料等により異なるが、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、支持部の溶解性を高めるために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、有機アミン等の水酸化イオンを生じる水溶性物質、剥離された支持部の分離を容易にする界面活性剤等を混合したものであってもよい。
仮成形体P10’への前記液体の付与方法は、特に限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー法(吹付法)、塗布法、各種印刷方法等を採用することができる。
また、前記の説明では、液体を用いるものとして説明したが、同様の機能を有する物質(例えば、固体、気体、超臨界流体等)を用いてもよい。
また、前記液体を付与する際または前記液体を付与した後に、超音波振動を付与してもよい。
これにより、支持部P47の除去を促進することができ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
上記の説明では、三次元造形物としてのステントP10の表面となるべき領域全体において、実体部形成用インクP46’に接触するように支持部形成用インクP47’を付与するものとして説明したが、支持部形成用インクP47’は、ステントP10の表面となるべき領域の一部についてのみ、実体部形成用インクP46’に接触するように付与されるものであってもよい。また、製造すべきステントP10が支持部P47を形成しなくても製造可能な形状のものである場合、支持部形成用インクP47’を用いなくてもよい。
また、製造すべきステントP10の形状等により、支持部の形成が不要である場合には、実体部形成用インクのみを用いて層P4の形成を行ってもよい。
《ステント製造装置》
次に、本発明のステントを三次元造形法により製造するのに用いるステント製造装置について説明する。
≪第1実施形態≫
図7は、ステント製造装置の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
図7に示すステント製造装置100は、粒子を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’を用いて、層P4を繰り返し成形し積層することにより、ステントP10を製造するものである。
図7に示すように、ステント製造装置100は、制御部2と、粒子を含む層形成用組成物P4’を収容する層形成用組成物供給部3と、層形成用組成物供給部3から供給された層形成用組成物P4’を用いて層P4を形成する層形成部4と、層P4にインクP42を吐出するインク吐出部(インク付与手段)5と、インクP42を硬化させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)6とを有している。
制御部2は、コンピューター21と、駆動制御部22とを有している。
コンピューター21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューター21は、ステントP10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データ(スライスデータ)を駆動制御部22に対して出力する。
駆動制御部22は、層形成部4、インク吐出部5、エネルギー線照射手段6をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、インク吐出部5によるインクP42の吐出パターンや吐出量、層形成用組成物供給部3からの層形成用組成物P4’の供給量、ステージ41の下降量等を制御する。
層形成用組成物供給部3は、駆動制御部22からの指令により移動し、内部に収容された層形成用組成物P4’が、層形成用組成物仮置部44に供給されるように構成されている。
層形成部4は、層形成用組成物供給部3から供給された層形成用組成物P4’を一時的に保持する層形成用組成物仮置部44と、層形成用組成物仮置部44に保持された層形成用組成物P4’を平坦化しつつ層P4を形成するスキージー(平坦化手段)42と、スキージー42の動作を規制するガイドレール43と、形成された層P4を支持するステージ41と、ステージ41を取り囲む側面支持部(枠体)45とを有している。
先に形成された層P4の上に、新たな層P4を形成するのに際して、先に形成された層P4を、側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、新たに形成される層P4の厚さが規定される。
特に、本実施形態では、ステージ41は、先に形成された層P4の上に、新たな層P4を形成するのに際して、駆動制御部22からの指令により所定量だけ順次下降する。このように、ステージ41がZ軸方向(上下方向)に移動可能に構成されていることにより、新たな層P4の形成に際して、層P4の厚さを調整するために移動させるべき部材の数を減らすことができるため、ステント製造装置100の構成をより単純なものとすることができる。
ステージ41は、表面(層形成用組成物P4’が付与される部位)が平坦なものである。
これにより、厚さの均一性の高い層P4を容易かつ確実に形成することができる。また、製造されるステントP10において、不本意な変形等が生じることを効果的に防止することができる。
ステージ41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージ41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージ41の表面(層形成用組成物P4’が付与される部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物P4’の構成材料やインクP42の構成材料がステージ41に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージ41の耐久性をより優れたものとし、ステントP10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージ41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。また、ステージ41は、例えば、ポリイミド等の配向処理が施された材料を用いることができる。これにより、前述したような効果が得られる。
スキージー42は、Y軸方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った刃状の形状を有するブレードを備えている。
ブレードのY軸方向の長さは、ステージ41(造形領域)の幅(Y軸方向の長さ)以上のものである。
なお、ステント製造装置100は、スキージー42による層形成用組成物P4’の拡散が円滑に行えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を備えていてもよい。
側面支持部45は、ステージ41上に形成された層P4の側面を支持する機能を有する。また、層P4の形成時には、層P4の面積を規定する機能も有している。
また、側面支持部45の表面(層形成用組成物P4’と接触しうる部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物P4’の構成材料やインクP42の構成材料が側面支持部45に付着してしまうことをより効果的に防止したり、側面支持部45の耐久性をより優れたものとし、ステントP10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。また、先に形成された層P4を側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる際に、層P4に不本意な乱れが生じることを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の寸法精度、信頼性をより優れたものとすることができる。側面支持部45の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
インク付与手段(インク吐出部)5は、層P4にインクP42を付与するものである。
このようなインク付与手段5を備えることにより、ステントP10の機械的強度を容易かつ確実に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、インク付与手段5が、インクジェット法によりインクP42を吐出するインク吐出部である。
これにより、微細なパターンでインクP42を付与することができ、微細な構造を有するステントP10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクP42を加熱して発生した泡(バブル)によりインクP42を吐出させる方式等を用いることができるが、インクP42の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インク吐出部(インク付与手段)5は、駆動制御部22からの指令により、各層P4において形成すべきパターン、層P4の各部において付与するインクP42の量が制御されている。インク吐出部(インク付与手段)5によるインクP42の吐出パターン、吐出量等は、スライスデータに基づいて決定される。
エネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)6は、層P4に付与されたインクP42を固化(硬化)させるためのエネルギー線を照射するものである。
特に、図示の構成では、インク吐出部(インク付与手段)5の走査方向の前後に、エネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)6が設けられている。
これにより、往路、復路のいずれにおいても、エネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)6による結合部P43の形成を行うことができるため、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
≪第2実施形態≫
次に、ステント製造装置の第2実施形態について説明する。
図8は、ステント製造装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
本実施形態のステント製造装置100は、実体部形成用インクP46’および支持部形成用インクP47’を用いて、層P4を繰り返し成形し積層することにより、ステントP10を製造するものである。
図8に示すように、ステント製造装置100は、制御部2と、ステージ41と、実体部形成用インクP46’を吐出する実体部形成用インク付与手段8と、支持部形成用インクP47’を吐出する支持部形成用インク付与手段9と、実体部形成用インクP46’および支持部形成用インクP47’を硬化させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)6とを有している。
実体部形成用インク付与手段8は、インクジェット法により、実体部形成用インクP46’を吐出するものである。
このような実体部形成用インク付与手段8を備えることにより、微細なパターンで所望の部位に所望の量だけ実体部形成用インクP46’を付与することができ、微細な構造を有するステントP10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インクの構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
実体部形成用インク付与手段8は、駆動制御部22からの指令により、形成すべきパターン、付与する実体部形成用インクP46’の量等が制御されている。実体部形成用インク付与手段8による実体部形成用インクP46’の吐出パターン、吐出量等は、スライスデータに基づいて決定される。
これにより、必要十分な量の実体部形成用インクP46’を目的の部位に付与することができ、所望のパターンの実体部P46を確実に形成することができ、ステントP10の寸法精度、機械的強度をより確実に優れたものとすることができる。また、実体部形成用インクP46’が着色剤を含むものである場合、所望の色調、模様等を確実に得ることができる。
実体部形成用インク付与手段8は、ステージに対して、相対的に、X軸方向、Y軸方向に移動可能になっているとともに、Z軸方向にも移動可能となっている。
これにより、層P4を積層していった場合でも、実体部形成用インク付与手段8のノズル面(吐出部先端)と実体部形成用インクP46’の着弾部との距離を所定の値に保つことができる。
支持部形成用インク付与手段9は、インクジェット法により、支持部形成用インクP47’を吐出するものである。
このような支持部形成用インク付与手段9を備えることにより、微細なパターンで所望の部位に所望の量だけ支持部形成用インクP47’を付与することができ、製造すべきステントP10が微細な構造を有するものであっても、所望の部位に所望の大きさ、形状の支持部P47を形成することができ、ステントP10の表面形状をより確実に制御することができる。また、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
支持部形成用インク付与手段9についての、液滴吐出方式(インクジェット法の方式)、制御、駆動等については、前述した実体部形成用インク付与手段8と同様である。
なお、図中には示していないが、ステント製造装置100は、支持部P47を除去する支持部除去手段や、支持部P47が除去されたステントP10を乾燥する乾燥手段を備えるものであってもよい。
支持部除去手段としては、例えば、機械的に支持部P47を破壊・除去するものや、前述したような液体を収納し、仮成形体P10’を浸漬する槽や、前述したような液体を仮成形体P10’に向けて噴霧する液体噴霧手段や、前述したような液体を仮成形体P10’に塗布する液体塗布手段等が挙げられる。
乾燥手段としては、例えば、前述したような加熱した気体や乾燥した気体を供給するものや、ステントP10が収納された空間を減圧する減圧手段等が挙げられる。
また、ステント製造装置は、前述した工程のうち一部を行うものであってもよく、前述した工程のうちの一部は、ステント製造装置を用いないで行うものであってもよい。
<インク(セルロース誘導体を含むインク)>
次に、本発明のステントの製造(前述したような製造方法、ステント製造装置を用いた製造)に用いるインク(セルロース誘導体を含むインク)について詳細に説明する。
[第1実施形態]
以下、前述した第1実施形態の製造方法、ステント製造装置で用いるインクP42について詳細に説明する。
インクP42は、少なくともセルロース誘導体(セルロース系材料)を含むものである。
(セルロース誘導体)
インクP42を構成するセルロース誘導体としては、例えば、前述した原料としてのセルロース誘導体を好適に用いることができる。
これにより、前述したような効果が得られる。
インクP42中に含まれるセルロース誘導体の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000以上10000000以下であるのが好ましく、10000以上7000000以下であるのがより好ましい。
これにより、インクP42の保存安定性、吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
インクP42中におけるセルロース誘導体の含有率は、特に限定されないが、インクP42中に含まれる全固形分(ステントP10に含まれるべき全成分)に対して、30質量%以上であるのが好ましく、40質量%以上90質量%以下であるのがより好ましく、45質量%以上85質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクP42の保存安定性、吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
インクP42中において、セルロース誘導体は、溶解した状態のものであってもよいし、分散した状態のものであってもよいし、これらの状態が混在していてもよい。
インクP42中においてセルロース誘導体が分散している場合、インクP42中におけるセルロース誘導体の平均粒径は、特に限定されないが、2.0μm以下であるのが好ましく、1.0μm以下であるのがより好ましい。
これにより、インクP42の保存安定性、吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
(重合性化合物)
インクP42は、前述したようなセルロース誘導体に加え、セルロース誘導体と反応する重合性化合物を含むものであってもよい。
インクP42を構成する重合性化合物としては、例えば、前述したものを好適に用いることができる。
これにより、前述したような効果が得られる。
インクP42中における重合性化合物の含有率は、特に限定されないが、インクP42中に含まれる全固形分(ステントP10に含まれるべき全成分)に対して、1質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、インクP42の保存安定性、吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
特に、インクP42が分子内に液晶性官能基を有する化合物(液晶性重合性化合物)を含むものである場合、インクP42中における液晶性重合性化合物の含有率は、1質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
また、インクP42がイオン性官能基を有する重合性化合物(イオン性重合性化合物)を含むものである場合、インクP42中におけるイオン性重合性化合物の含有率は、1質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
インクP42中において、重合性化合物は、溶解した状態のものであってもよいし、分散した状態のものであってもよいし、これらの状態が混在していてもよいが、溶解した状態のものであるのが好ましい。
これにより、インクP42の吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
(溶媒)
インクP42は、前述したような成分に加え、溶媒を含むものであってもよい。
これにより、インクP42の流動性を優れたものとし、セルロース系材料(セルロース系組成物)の取り扱いのしやすさ(例えば、インクジェット法による吐出安定性)をより優れたものとすることができる。
特に、インクP42は、溶媒として、セルロース誘導体を溶解するものを含むものであるのが好ましい。
これにより、インクP42中での組成の不本意なばらつきを効果的に防止することができる。また、例えば、インクジェット法によるインクP42の吐出安定性等をより優れたものとすることができる。このようなことから、長期間にわたって、安定的にステントP10を製造することができる。
また、インクP42中に含まれるセルロース誘導体が液晶性官能基を有するものである場合、インクP42中においてセルロース誘導体が溶解していることにより、製造されるステントP10においてセルロース誘導体(液晶性を有する官能基)をより好適に配向させることができる。その結果、ステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性等をより優れたものとすることができる。
インクP42を構成する溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等の各種有機溶媒、水;二硫化炭素;四塩化炭素等の各種無機溶媒を用いることができる。
特に、インクP42中に含まれるセルロース誘導体がイオン性官能基を有するものである場合、水、アルコール類等の極性溶媒を好適に用いることができる。これにより、インクP42中におけるセルロース誘導体の溶解性をより優れたものとし、例えば、インクP42中における不本意な組成のばらつきを抑制し、インクジェット法による吐出安定性等をより優れたものとすることができる。中でも、溶媒としては、水を用いるのが好ましい。水は、反応液を構成する溶媒として優れた機能を有するとともに、ステントP10の製造後の除去が比較的容易である。また、最終的なステントP10中に残存した場合であっても、ステントP10が適用される生体等に悪影響を与えにくい。
インクP42中における溶媒の含有率は、特に限定されないが、10質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、インクP42の吐出安定性をより優れたものとしつつ、インクP42の付与後の溶媒の除去をより速やかに行うことができるため、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
(その他の結合剤)
前述したようなセルロース誘導体は、結合剤として機能するものであり、ステントP10の機械的強度等を優れたものとすることができるが、インクP42は、さらに、その他の結合剤を含むものであってもよい。
その他の結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られるステントP10の機械的強度やステントP10の生産性等の観点から、その他の結合剤は、硬化性樹脂を含むものであるのが好ましい。また、各種硬化性樹脂の中でも、得られるステントP10の機械的強度やステントP10の生産性、インクP42の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。
多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、脂肪族アルコール系エステル類や、芳香族系骨格を有するもの、アミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、シクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R1)COOCHCH(R2)OH (1)
(ただし、式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物がより好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体等の環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
インクP42中におけるその他の結合剤の含有率は、インクP42中に含まれる全固形分(ステントP10に含まれるべき全成分)に対して、0.3質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなセルロース誘導体を含むことによる効果をより顕著に発揮させつつ、その他の結合剤を含むことによるこれらの相乗効果が発揮され、最終的に得られるステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、インクP42は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;各種蛍光材料;各種蓄光材料;各種燐光材料;赤外線吸収材料;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;金属粉末;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、インクP42が重合開始剤を含むものであると、セルロース誘導体の種類等によっては(例えば、セルロース誘導体が有する前記反応性官能基が炭素−炭素二重結合を含むものである場合に)、セルロース誘導体の反応(セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させる)を好適に進行させることができる。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等を用いることができる。
また、インクP42の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法によるインクP42の吐出安定性をより優れたものとすることができる。
ステントP10の製造においては、複数種のインクP42を用いてもよい。例えば、セルロース誘導体の種類や含有率の異なる複数種のインクP42を用いてもよい。これにより、ステントP10の各部位について、それぞれに求められる剛性、弾性率等の特性を好適に調整することができる。
[第2実施形態]
以下、前述した第2実施形態の製造方法、ステント製造装置で用いるセルロース誘導体(セルロース系材料)を含むインクとしての実体部形成用インクP46’について詳細に説明する。
実体部形成用インクP46’は、少なくともセルロース誘導体(セルロース系材料)を含むものである。
(セルロース誘導体)
実体部形成用インクP46’中におけるセルロース誘導体は、前記第1実施形態で述べたのと同様の条件(インクP42中における条件と同様の条件)を満足するものであるのが好ましい。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
(重合性化合物)
インクP42は、前述したようなセルロース誘導体に加え、セルロース誘導体と反応する重合性化合物を含むものであってもよい。
実体部形成用インクP46’中における重合性化合物は、前記第1実施形態で述べたのと同様の条件(インクP42中における条件と同様の条件)を満足するものであるのが好ましい。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
(溶媒)
実体部形成用インクP46’は、前述したような成分に加え、溶媒を含むものであってもよい。
これにより、第1実施形態で述べたのと同様の効果が得られる。
実体部形成用インクP46’中における溶媒は、前記第1実施形態で述べたのと同様の条件(インクP42中における条件と同様の条件)を満足するものであるのが好ましい。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
(その他の硬化成分)
本実施形態において、前述した重合性化合物等は、硬化成分として機能するものであるが、実体部形成用インクP46’は、さらに、その他の硬化成分を含むものであってもよい。
このような硬化成分(その他の硬化成分)としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、得られるステントP10の機械的強度やステントP10の生産性、実体部形成用インクP46’の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。
多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族のアミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、脂肪族アルコール系エステル類や、芳香族系骨格を有するもの、アミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、シクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R1)COOCHCH(R2)OH (1)
(ただし、式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物がより好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体等の環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
実体部形成用インクP46’は、前述した硬化成分の中でも、特に、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、実体部形成用インクP46’を硬化させて形成される実体部P46の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
また、これらの硬化成分を含むことにより、実体部形成用インクP46’の硬化物の各種溶媒(例えば、水等)に対する溶解性等をより低いものとすることができる。その結果、支持部除去工程において、より確実に、高い選択性で支持部P47を除去することができ、実体部P46に欠陥が生じたりすること等による不本意な変形を防止することができる。その結果、より確実に、ステントP10の寸法精度をより高いものとすることができる。
また、実体部形成用インクP46’の硬化物の膨潤性(溶媒の吸収性)を低いものとすることができるため、例えば、支持部除去工程後の後処理としての乾燥処理を省略または簡略化することができる。また、最終的に得られるステントP10の耐溶剤性も向上するため、ステントP10の信頼性はより高いものとなる。
特に、実体部形成用インクP46’が(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むものであると、酸素阻害を受けにくく、より低エネルギーでの硬化が可能であり、また、他モノマーを含めた共重合を促進し、ステントP10の機械的強度をより高いものとすることができる。
また、実体部形成用インクP46’がポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むものであると、ステントP10の高強度化と高靱性化をより高いレベルで両立することができる。
また、実体部形成用インクP46’が2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートを含むものであると、柔軟性を持ち破断伸び率を向上させることができる。
また、実体部形成用インクP46’が4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含むものであると、PMMA、PEMA粒子やシリカ粒子、金属粒子等への密着性が向上し、ステントP10の機械的強度をより高いものとすることができる。
実体部形成用インクP46’中における硬化成分の含有率は、実体部形成用インクP46’中に含まれる全固形分(ステントP10に含まれるべき全成分)に対して、0.3質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなセルロース誘導体を含むことによる効果をより顕著に発揮させつつ、その他の硬化成分を含むことによるこれらの相乗効果が発揮され、最終的に得られるステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
また、実体部形成用インクP46’は、重合開始剤を含むものであってもよい。
これにより、例えば、セルロース誘導体の種類等によっては(例えば、セルロース誘導体が反応性官能基として炭素−炭素二重結合を含むものである場合等に)、セルロース誘導体の反応(セルロース誘導体の分子鎖同士を共有結合により結合させる)を好適に進行させることができる。また、実体部形成用インクP46’がその他の硬化成分を含むものである場合に、当該その他の硬化成分の硬化反応を好適に進行させることができる。このようなことから、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、ステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより確実に優れたものとすることができる。
重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤(芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等)や光カチオン重合開始剤等を用いることができ、具体的には、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、実体部形成用インクP46’を構成する重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、および、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの少なくとも一方を含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、ステントP10の寸法精度をより確実に優れたものとしつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、実体部形成用インクP46’を硬化させて形成される実体部P46の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
実体部形成用インクP46’中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1.0質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の寸法精度をより確実に優れたものとしつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。また、実体部形成用インクP46’を硬化させて形成される実体部P46の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、実体部形成用インクP46’は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
実体部形成用インクP46’中に含まれるその他の成分としては、第1実施形態において、インクP42の構成成分として説明したその他の成分と同様のものを用いることができ、前述したのと同様の条件を満足するものであるのが好ましい。これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
また、実体部形成用インクP46’の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による実体部形成用インクP46’の吐出安定性をより優れたものとすることができる。
ステントP10の製造においては、複数種の実体部形成用インクP46’を用いてもよい。例えば、セルロース誘導体の種類や含有率の異なる複数種の実体部形成用インクP46’を用いてもよい。これにより、ステントP10の各部位について、それぞれに求められる剛性、弾性率等の特性を好適に調整することができる。
<層形成用組成物>
次に、三次元造形物としての本発明のステントの製造に用いる層形成用組成物について詳細に説明する。
[第1実施形態]
以下、前述した第1実施形態の製造方法、ステント製造装置で説明したような、粒子を含む層形成用組成物P4’について説明する。
層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’は、少なくとも、複数個の粒子を含む三次元造形用粉末を含むものである。
(三次元造形用粉末(粒子))
三次元造形用粉末を構成する粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、マルエージング鋼等が挙げられ、金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物、石膏(硫酸カルシウムの各水和物、硫酸カルシウムの無水物)等が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;セルロース;カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。中でも、粒子がセルロースやセルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース等)で構成されたものである場合、粒子とインクP42中に含まれるセルロース誘導体との親和性をより優れたものとすることができ、最終的に得られるステントP10の機械的強度、耐久性、信頼性を優れたものとすることができる。また、層P4にインクP42を付与する際に、インクP42が不本意に濡れ広がったり、層P4がインクP42を過剰にはじいてしまったりすることを効果的に防止することができる。その結果、所望のパターンの硬化部(結合部)P43をより確実に形成することができ、ステントP10の寸法精度をより確実により優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子は、疎水化処理、親水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
三次元造形用粉末を構成する粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.5μm以上25μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造されるステントP10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’の流動性をより優れたものとし、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、ステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造されるステントP10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’の流動性をより優れたものとし、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
三次元造形用粉末を構成する粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’の流動性をより優れたものとし、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、製造されるステントP10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’中における三次元造形用粉末の含有率は、8質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上75質量%以下であるのがより好ましい。これにより、層形成用組成物(粒子含有組成物)P4’の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られるステントP10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
(溶媒)
層形成用組成物P4’は、前述したような成分に加えて、揮発性の溶媒を含むものであってもよい。
これにより、層形成用組成物P4’中において、前述したような粒子を好適に分散させることができ、好適に層形成用組成物P4’をペースト状のものとすることができ、層形成用組成物P4’の流動性を安定的に優れたものとし、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
層形成用組成物P4’が後述するバインダーを含むものである場合、溶媒は、当該バインダーを溶解するものであるのが好ましい。これにより、層形成用組成物P4’の流動性を良好なものとすることができ、層形成用組成物P4’を用いて形成される層P4の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶媒が除去された状態の層P4を形成した際に、層P4全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られるステントP10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、ステントP10の信頼性をより高いものとすることができる。
層形成用組成物P4’を構成する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶媒;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、層形成用組成物P4’は、水系溶媒を含むものであるのが好ましく、水を含むものであるのがより好ましい。
これにより、層形成用組成物P4’の流動性、層形成用組成物P4’を用いて形成される層P4の組成の均一性をより優れたものとすることができる。また、水は層P4の形成後の除去が容易であるとともに、ステントP10中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。また、層形成用組成物P4’が後に詳述するバインダーとして水溶性樹脂を含む場合に、層形成用組成物P4’中において、当該水溶性樹脂をより好適な溶解状態することができ、後に詳述するようなバインダー(水溶性樹脂)を含むことによる効果がより効果的に発揮される。
水系溶媒は、水に対する溶解性の高い溶媒であればよいが、具体的には、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が30[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、50[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
層形成用組成物P4’が溶媒を含むものである場合、層形成用組成物P4’中における溶媒の含有率は、5質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上89質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような溶媒を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、ステントP10の製造過程において溶媒を短時間で容易に除去することができるため、ステントP10の生産性向上の観点から有利である。
特に、層形成用組成物P4’が溶媒として水を含むものである場合、層形成用組成物P4’中における水の含有率は、18質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、47質量%以上90質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
層形成用組成物P4’が溶媒を含むものである場合、当該溶媒は、インクP42の付与前に、層P4を構成する層形成用組成物P4’から除去されるものであるのが好ましい。
これにより、層P4の形状の安定性が向上するとともに、前記溶媒がインクP42の構成材料(例えば、セルロース誘導体、重合性化合物等)との親和性が低いものであっても、層P4におけるインクP42の不本意なはじき等をより効果的に防止することができ、より容易かつより確実に、所望のパターンでインクP42を付与することができる。
なお、層形成用組成物P4’を構成する溶媒を、インクP42の付与前に、層P4を構成する層形成用組成物P4’から除去する場合、前記溶媒は、層P4から完全に除去するものであってもよいし、その一部のみを除去するものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が発揮される。
(バインダー)
層形成用組成物P4’は、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、層形成用組成物P4’を用いて形成された層P4(特に、溶媒が除去された状態の層P4)において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造されるステントP10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
層形成用組成物P4’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物P4’において、バインダーは溶媒に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、層形成用組成物P4’の流動性をより良好なものとすることができ、層形成用組成物P4’を用いて形成される層P4の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶媒が除去された状態の層P4を形成した際に、層P4全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られるステントP10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、ステントP10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、層形成用組成物P4’を用いて形成された層P4(特に、溶媒が除去された状態の層P4)において複数個の粒子を仮固定する機能を有するものであればよいが、水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、層形成用組成物P4’が溶媒として水系溶媒(特に、水)を含む場合に、層形成用組成物P4’中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、層形成用組成物P4’の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、ステントP10の製造過程において層P4のインクP42が付与されなかった部位を、水系溶媒(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することができる。その結果、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。また、層の除去されるべき部位が、最終的に得られたステントP10に付着、残存することを容易かつ確実に防止することができるため、ステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶媒に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、ステントP10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や層形成用組成物P4’の特性(例えば、粘度、粒子の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様なステントP10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的なステントP10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水系溶媒(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、層形成用組成物P4’が水系溶媒(特に、水)を含むものである場合に、隣接する層P4間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、層形成用組成物P4’が水系溶媒(特に、水)を含むものである場合に、各層P4の機械的強度や隣接する層P4間の接着性をより優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層P4のうちインクP42が付与されない部分の強度・形状の安定性をより優れたものとし、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水に対して高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各層P4を構成する粒子のうち、インクP42の固化物等により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、前述したような三次元造形用粉末との親和性が適度なものであるため、粒子の表面に対する濡れ性は比較的高いものとなる。このため、前述したような仮固定の機能をより効果的に発揮することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、インク付与工程において着色剤を含むインクP42を用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。また、ペースト状の層形成用組成物P4’がポリビニルピロリドンを含むものであると、層形成用組成物P4’中に泡が巻き込まれてしまうことを効果的に防止することができ、層形成工程において、泡の巻き込みによる欠陥が発生するのを効果的により防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
また、水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールである場合、層形成用組成物P4’を好適にペレット状とすることができ、粒子の不本意な飛散等をより効果的に防止することができ、層形成用組成物P4’の取扱い性(取り扱いの容易性)が向上し、作業者の安全や、製造されるステントP10の寸法精度の向上を図ることができるとともに、比較的低い温度で溶融させることができるため、ステントP10の生産に要するエネルギー・コストを抑制することができるとともに、ステントP10の生産性を十分に優れたものとすることができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
層形成用組成物P4’中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、層形成用組成物P4’を用いて形成される層P4の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
層形成用組成物P4’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物P4’中におけるバインダーの含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、層形成用組成物P4’中における粒子等の含有率を十分に高いものとすることができ、製造されるステントP10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、層形成用組成物P4’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;架橋剤;シロキサン化合物;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
[第2実施形態]
以下、前述した第2実施形態の製造方法、ステント製造装置で説明したような層形成用組成物(インクジェット法により吐出される組成物)についてについて説明する。
本実施形態では、層形成用組成物として、実体部形成用インクP46’および支持部形成用インクP47’を用いている。
実体部形成用インクP46’については、セルロース誘導体を含むインクとして詳述したので、以下、支持部形成用インクP47’について詳述する。
<支持部形成用インク>
支持部形成用インクP47’は、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含むものである。
(硬化性樹脂)
支持部形成用インクP47’を構成する硬化性樹脂(硬化成分)としては、例えば、実体部形成用インクP46’の構成成分(その他の硬化成分)として例示した硬化性樹脂(硬化成分)と同様のものが挙げられる。
特に、支持部形成用インクP47’を構成する硬化性樹脂(硬化成分)と、前述した実体部形成用インクP46’を構成する硬化成分(その他の硬化成分)とは、同種のエネルギー線で硬化するものであるのが好ましい。
これにより、ステント製造装置の構成が複雑化するのを効果的に防止することができ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。また、ステントP10の表面形状をより確実に制御することができる。
支持部形成用インクP47’は、各種硬化成分の中でも、特に、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリンよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、ステントP10の寸法精度をより確実に優れたものとしつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP47’を硬化させて形成される支持部P47の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の製造時に、下層(第1の層)の支持部P47が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクP46’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P46の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られるステントP10の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
特に、支持部形成用インクP47’が(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むものであると、以下のような効果が得られる。
すなわち、(メタ)アクリロイルモルフォリンは、硬化反応が進行した場合であっても完全硬化でない状態(完全硬化でない状態の(メタ)アクリロイルモルフォリンの重合体)では、水等の各種溶媒に対する溶解性が高い状態が高いものである。したがって、前述したような支持部除去工程において、実体部P46に欠陥が生じるのをより効果的に防止しつつ、支持部P47を選択的かつ確実に、また、効率よく除去することができる。その結果、より高い信頼性で、所望の形態のステントP10を生産性良く得ることができる。
また、支持部形成用インクP47’がテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後の柔軟性をより好適に保持することができ、支持部P47を除去する液体による処理において、より容易にゲル状になることで、支持部P47の除去効率をさらに高めることができる。
また、支持部形成用インクP47’がエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを含むものであると、支持部P47を除去する液体による処理において、支持部P47の除去効率を高めることができる。
また、支持部形成用インクP47’がポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むものであると、支持部P47を除去する液体が水を主成分とするものである場合に、当該液体への溶解性を高め、より容易に支持部P47を除去することができる。
支持部形成用インクP47’中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、形成される支持部P47の形状の安定性をより優れたものとすることができ、ステントP10の製造時に層P4を積み重ねていった場合に、下側の層P4が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の層P4を好適に支持することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
また、支持部形成用インクP47’は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、ステントP10の製造時における支持部形成用インクP47’の硬化速度を適度に速めることができ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、形成される支持部P47の形状の安定性をより優れたものとすることができ、ステントP10の製造時に層P4を積み重ねていった場合に、下側の層P4が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の層P4を好適に支持することができる。その結果、最終的に得られるステントP10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
支持部形成用インクP47’を構成する重合開始剤としては、例えば、実体部形成用インクP46’の構成成分として例示した重合開始剤と同様のものが挙げられる。
中でも、支持部形成用インクP47’は、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、および、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの少なくとも一方を含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、支持部P47(支持部形成用インクP47’を用いて形成される支持部P47)と接触するようにして形成される実体部P46(実体部形成用インクP46’を用いて形成される実体部P46)の表面の性状をより確実に好適なものとし、ステントP10の寸法精度をより確実に優れたものとしつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP47’を硬化させて形成される支持部P47の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の製造時に、下層(第1の層)の支持部P47が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクP46’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P46の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られるステントP10の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
支持部形成用インクP47’中における重合開始剤の含有率は、実体部形成用インクP46’中における重合開始剤の含有率よりも低いものであるのが好ましく、具体的には、1.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、ステントP10の寸法精度をより確実に優れたものとしつつ、ステントP10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、支持部形成用インクP47’を硬化させて形成される支持部P47の機械的強度、形状の安定性をより優れたものとすることができる。その結果、ステントP10の製造時に、下層(第1の層)の支持部P47が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクP46’をより好適に支持することができる。そのため、実体部P46の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ、最終的に得られるステントP10の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、支持部形成用インクP47’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶媒;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、支持部形成用インクP47’が着色剤を含むことにより、支持部P47の視認性が向上し、最終的に得られるステントP10において、支持部P47の少なくとも一部が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
支持部形成用インクP47’を構成する着色剤としては、例えば、実体部形成用インクP46’の構成成分として例示した着色剤と同様のものが挙げられるが、ステントP10の表面の法線方向から観察した際に当該支持部形成用インクP47’により形成される支持部P47と重なり合う実体部P46の色(ステントP10の外観上視認されるべき色)とは異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、支持部形成用インクP47’の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による支持部形成用インクP47’の吐出安定性をより優れたものとすることができる。
また、ステントP10の製造には、複数種の支持部形成用インクP47’を用いてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、平坦化手段として、スキージーを用いる場合について中心的に説明したが、その代わりに、ローラー等を用いてもよい。
また、本発明のステントの製造に用いる製造装置は、層形成用組成物供給部から供給された層形成用組成物のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備えるものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の層形成用組成物が蓄積されることを防止しつつ、十分な量の層形成用組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的に防止しつつ、より安定的にステントを製造することができる。また、回収した層形成用組成物を、再度、ステントの製造に用いることができるため、ステントの製造コストの低減に寄与することができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、本発明のステントの製造に用いる製造装置は、未結合粒子除去工程で除去された組成物を回収するための回収機構を備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、実体部(最終的なステントの実体を構成する部位)を形成するものとして説明したが、実体部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対して、実体部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、インク付与工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、インク付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
また、実体部形成用インクおよび支持部形成用インクはインクジェット法以外の方法(例えば、他の印刷方法)で付与するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、層形成工程およびインク付与工程に加え、硬化工程(固化工程)も、層形成工程およびインク付与工程と合わせて繰り返し行うものとして説明したが、硬化工程(固化工程)は、繰り返し行うものでなくてもよい。例えば、液状の組成物(インク)を硬化(固化)させるための硬化処理(固化処理)が施されていない複数の層を備えた積層体を形成した後に一括して行うものであってもよい。これにより、例えば、液状の組成物(インク)を硬化(固化)させるためのエネルギーを付与する処理を少なくすることができるため、ステントの製造に、当該エネルギーに対する耐性の低い材料を用いる場合であっても、当該エネルギーによる不本意な変性・劣化等を効果的に防止することができる。
また、前述した実施形態では、インクの固化を化学反応による硬化により行うバイ兄ついて代表的に説明したが、例えば、インクが溶媒を含むものである場合、当該溶媒の除去によりインクを固化してもよい。また、溶融状態のインクを冷却して固化してもよい。
また、前述した実施形態では、平坦化手段がステージ上を移動するものとして説明したが、ステージが移動することにより、ステージとスキージーとの位置関係が変化し、平坦化がなされるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、ステントの製造装置が、硬化手段(結合形成手段)として、エネルギー線を照射するエネルギー線照射手段を備えるものである場合について代表的に説明したが、ステントの製造装置が備える硬化手段(結合形成手段)は、加熱手段等の他の手段であってもよい。
また、前述した第1実施形態の製造方法では、粒子を含む層形成用組成物を用いて層を形成する工程と、インクを付与する工程とを含む一連の工程を繰り返し行う方法において、セルロース系材料を含むインクを用いるものとして説明したが、セルロース系材料は、例えば、粒子を含む層形成用組成物中に含まれるものであってもよく、インクとして、セルロース系材料を含まないものを用いてもよい。
また、前述した実施形態では、セルロース誘導体と重合性化合物とを含む組成物を用いてステントを製造する場合について中心的に説明したが、ステントは、重合性化合物を用いないで製造されたものであってもよい。また、セルロース誘導体と重合性化合物とは、異なる組成物に含まれるものとしてもよい。すなわち、ステントの製造には、セルロース誘導体を含む組成物(第1の組成物)、および、重合性化合物を含む組成物を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、セルロース誘導体を含む組成物を用いてステントを製造する場合について中心的に説明したが、本発明では、最終的なステント中に所定のセルロース系材料(液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料)が含まれていればよく、ステントの製造に用いる組成物中には、セルロース誘導体が含まれていなくてもよく、ステントの製造に用いる組成物は、例えば、化学修飾されていないセルロースを含むものであり、当該セルロースが、ステントの製造過程において化学修飾を受け、所定のセルロース系材料(液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料)に変換されるものであってもよい。
また、本発明のステントの製造時には、前述した以外の化学反応を行ってもよい。例えば、ステントの製造に用いる組成物がアセチル化された水酸基を有するセルロース誘導体を含むものである場合、ステントの製造時において、アセチル基を脱離する反応(脱アセチル化)を行ってもよい。
また、前述した実施形態では、ステントが三次元造形法により製造されたものである場合について中心的に説明したが、本発明のステントは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、三次元造形法以外の方法で製造されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、ステントを構成する各リブが、ステントの長手方向に垂直な方向での断面において、直線状をなすものである場合について代表的に説明したが、リブの形状は特に限定されず、例えば、湾曲部、屈曲部を有するものであってもよい。
また、本発明のステントは、リブを有していなくてもよい。
P10…ステント
P10’…仮成形体
P1…筒状部
P2…リブ(梁部)
P4’…層形成用組成物(粒子含有組成物)
P4…層
P42…インク
P43…硬化部(固化部、結合部)
P46’…実体部形成用インク
P46…実体部
P47’…支持部形成用インク
P47…支持部
100…ステント製造装置
2…制御部
21…コンピューター
22…駆動制御部
3…層形成用組成物供給部
4…層形成部
41…ステージ
42…スキージー(平坦化手段)
43…ガイドレール
44…層形成用組成物仮置部
45…側面支持部(枠体)
5…インク吐出部(インク付与手段)
6…エネルギー線照射手段(硬化手段、結合形成手段)
8…実体部形成用インク付与手段
9…支持部形成用インク付与手段
D…外径
L…長さ
T…厚さ
P…間隔
W…幅

Claims (16)

  1. 液晶性部位およびイオン性部位を有するセルロース系材料を含む材料で構成されたことを特徴とするステント。
  2. 前記セルロース系材料は、セルロース骨格構造に導入された繰り返し構造を有する高分子鎖の繰り返し単位に、液晶性官能基が導入されたものである請求項1に記載のステント。
  3. 前記セルロース系材料は、複数個のイオン性官能基を含むブロックと、複数個の液晶性官能基を含むブロックとを有するものである請求項1または2に記載のステント。
  4. 前記イオン性部位は、イオン液体と共通の化学構造を有するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のステント。
  5. 前記セルロース系材料は、分子内にイオン性官能基を有するセルロース誘導体と、重合性官能基を有する重合性化合物とを反応させて得られたものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のステント。
  6. 前記重合性官能基は、炭素−炭素二重結合を含むものである請求項5に記載のステント。
  7. 前記重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基である請求項6に記載のステント。
  8. 前記セルロース誘導体は、分子内に液晶性官能基を有するものである請求項5ないし7のいずれか1項に記載のステント。
  9. 前記セルロース系材料は、分子内に液晶性官能基を有する化合物を前記重合性化合物として用いた反応により得られたものである請求項5ないし8のいずれか1項に記載のステント。
  10. 前記液晶性官能基を有する前記重合性化合物は、当該重合性化合物の重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものである請求項9に記載のステント。
  11. 前記セルロース系材料は、分子内にイオン性官能基を有する化合物を前記重合性化合物として用いた反応により得られたものである請求項5ないし10のいずれか1項に記載のステント。
  12. 前記イオン性官能基を有する前記重合性化合物は、当該重合性化合物の重合反応の際に前記セルロース誘導体を溶解する溶媒として機能するものである請求項11に記載のステント。
  13. ステントは、三次元造形法により製造されたものである請求項1ないし12のいずれか1項に記載のステント。
  14. ステントは、筒状部を有するものであり、
    前記液晶性部位は、ステントの長手方向に垂直な方向での断面における前記筒状部の外周方向に沿って配向している請求項1ないし13のいずれか1項に記載のステント。
  15. ステントは、筒状部と、前記筒状部の中空部に設けられたリブとを有するものである請求項1ないし14のいずれか1項に記載のステント。
  16. 前記液晶性部位は、ステントの長手方向に垂直な方向での断面における前記リブの長さ方向に沿って配向している請求項15に記載のステント。
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